説明

反応釜温度制御装置および反応釜温度制御方法

【課題】従来よりも精度良く温度制御を行うことのできる、反応釜温度制御装置提供する。
【解決手段】重合反応時において反応釜を密閉状態に制御し、重合反応において発生する温度を測定する。また測定した温度の単位時間あたりの変化率を算出し、測定した温度と目標温度との偏差を算出する。そして、管への冷却流体または加熱流体の何れか一方の注入を指定する情報とその注入時間とを示す制御情報を、所定の変化率と偏差とで示される環境条件ごとに記憶しており、算出した変化率の値と偏差の値とが環境条件と一致する場合に、当該環境条件に対応付けて記憶される制御情報に基づいて、冷却流体または加熱流体を管へ注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釜の内部または外周の何れか一方または両方における所定の領域ごとに冷却流体または加熱流体を通す管を付設した反応釜へ、モノマーと重合促進剤と溶剤とを投入し、また撹拌し、それらモノマーと重合促進剤と溶剤とを加熱して発生する重合反応によりポリマーを合成する反応釜温度制御装置および反応釜温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モノマーなどの樹脂原料と重合促進剤や各種溶剤などの混合物(モノマープレミックス)を反応釜で加熱しながら重合反応させることによりポリマーを合成している。このポリマーを合成する工程における重合工程では、反応釜の温度をできるだけ一定に保つために、反応釜の外周に付設した温度調節手段であるジャケットや、反応釜の内部に付設したコイルと呼ばれる管に加熱流体や冷却流体を注入し、反応釜の温度を制御している。ここでポリマー合成工程における重合工程においては、温度の増減により重合反応がうまく発生せずに、ポリマーの合成不良が発生することから、精度の良い温度制御の方式が必要となる。なお、反応釜を用いた温度制御を行う技術が特許文献1に公開されている。
【特許文献1】特開2004−307591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の特許文献1で公開されている温度制御においては、反応釜内の温度を測定し、PID制御やシーケンサロジック制御を用いてその制御を行っている。しかしながら、この技術では反応釜内の温度をパラメータとしてPID制御のみによって温度制御を行っているので、実際には重合工程における反応釜内の温度を目標温度を目安に安定に保つことが難しかった。従って、より緻密な制御方法を用いた反応釜の温度制御の技術が求められていた。またポリマー合成工程における重合工程の時間を短縮してポリマーの製造効率を上げることを目的として、反応釜の温度を高温高圧状態に制御することが考えられていたが、このような場合に好適な反応釜の温度制御の技術が求められていた。
【0004】
そこでこの発明は、従来よりも精度良く温度制御を行うことのできる、反応釜温度制御装置および反応釜温度制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、釜の内部または外周の何れか一方または両方における所定の領域ごとに冷却流体または加熱流体を通す管を付設した反応釜へ、モノマーと重合促進剤と溶剤とを投入し、また撹拌し、それらモノマーと重合促進剤と溶剤とを加熱して発生する重合反応によりポリマーを合成する際の前記反応釜の温度を制御する反応釜温度制御装置であって、前記重合反応において発生する温度を測定する温度測定手段と、前記重合反応時の目標温度を記憶する目標温度記憶手段と、前記測定した温度の単位時間あたりの変化率を算出する温度変化率算出手段と、前記測定した温度と前記目標温度との偏差を算出する温度偏差算出手段と、前記管への前記冷却流体または前記加熱流体の何れか一方の注入を指定する情報とその注入時間とを示す制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される環境条件ごとに記憶する制御情報記憶手段と、前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記環境条件と一致する場合に、当該環境条件に対応付けて記憶される前記制御情報に基づいて、前記冷却流体または前記加熱流体を前記管へ注入する注入制御手段と、を備えることを特徴とする反応釜温度制御装置である。
【0006】
また本発明は、上述の反応釜温度制御装置が、前記重合反応時において反応釜を密閉状態に制御する密閉手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、釜の内部または外周の何れか一方または両方における所定の領域ごとに冷却流体または加熱流体を通す管を付設した反応釜へ、モノマーと重合促進剤と溶剤とを投入し、また撹拌し、それらモノマーと重合促進剤と溶剤とを加熱して発生する重合反応によりポリマーを合成する際の前記反応釜の温度を制御する反応釜温度制御装置であって、前記重合反応において発生する温度を測定する温度測定手段と、前記重合反応時の目標温度を記憶する目標温度記憶手段と、前記測定した温度の単位時間あたりの変化率を算出する温度変化率算出手段と、前記測定した温度と前記目標温度との偏差を算出する温度偏差算出手段と、前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への、前記冷却流体の注入、前記加熱流体の注入、非注入、の何れかの情報を示す制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される環境条件ごとに記憶する制御情報記憶手段と、前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記環境条件と一致する場合に、当該環境条件に対応付けて記憶される前記制御情報に基づいて、前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への、前記冷却流体の注入、前記加熱流体の注入、非注入、の何れかの制御を行う注入制御手段と、を備えることを特徴とする反応釜温度制御装置である。
【0008】
また本発明は、前記目標温度は前記反応釜または前記モノマーと重合促進剤と溶剤との混合物の目標温度であることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、釜の内部または外周の何れか一方または両方における所定の領域ごとに冷却流体または加熱流体を通す管を付設した反応釜へ、モノマーと重合促進剤と溶剤とを投入し、また撹拌し、それらモノマーと重合促進剤と溶剤とを加熱して発生する重合反応によりポリマーを合成する際の前記反応釜の温度を制御する反応釜温度制御装置であって、前記重合反応において発生する温度を測定する温度測定手段と、前記重合反応時の目標温度を記憶する目標温度記憶手段と、前記測定した温度の単位時間あたりの変化率を算出する温度変化率算出手段と、前記測定した温度と前記目標温度との偏差を算出する温度偏差算出手段と、前記管への前記冷却流体または前記加熱流体の何れか一方の注入を指定する情報とその注入時間とを示す第1制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される第1環境条件ごとに記憶する第1制御情報記憶手段と、前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記第1環境条件と一致する場合に、当該第1環境条件に対応付けて記憶される前記第1制御情報に基づいて、前記冷却流体または前記加熱流体を前記管へ注入する第1注入制御手段と、前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への、前記冷却流体の注入、前記加熱流体の注入、非注入、の何れかの情報を示す第2制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される第2環境条件ごとに記憶する第2制御情報記憶手段と、前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記第2環境条件と一致する場合に、当該第2環境条件に対応付けて記憶される前記第2制御情報に基づいて、前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への、前記冷却流体の注入、前記加熱流体の注入、非注入、の何れかの制御を行う第2注入制御手段と、を備え、前記ポリマーの合成の工程において、前記第1注入制御手段と、前記第2注入制御手段と、を切り替えて前記制御を行うことを特徴とする反応釜温度制御装置である。
【0010】
また本発明は、上述の反応釜温度制御装置が、前記重合反応時において反応釜を密閉状態に制御する密閉手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、釜の内部または外周の何れか一方または両方における所定の領域ごとに冷却流体または加熱流体を通す管を付設した反応釜へ、モノマーと重合促進剤と溶剤とを投入し、また撹拌し、それらモノマーと重合促進剤と溶剤とを加熱して発生する重合反応によりポリマーを合成する際の前記反応釜の温度を制御する反応釜温度制御装置の反応釜温度制御方法であって、前記反応釜温度制御装置の温度測定手段が、前記重合反応において発生する温度を測定し、前記反応釜温度制御装置の目標温度記憶手段が、前記重合反応時の目標温度を記憶し、前記反応釜温度制御装置の温度変化率算出手段が、前記測定した温度の単位時間あたりの変化率を算出し、前記反応釜温度制御装置の温度偏差算出手段が、前記測定した温度と前記目標温度との偏差を算出し、前記反応釜温度制御装置の制御情報記憶手段が、前記管への前記冷却流体または前記加熱流体の何れか一方の注入を指定する情報とその注入時間とを示す制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される環境条件ごとに記憶し、前記反応釜温度制御装置の注入制御手段が、前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記環境条件と一致する場合に、当該環境条件に対応付けて記憶される前記制御情報に基づいて、前記冷却流体または前記加熱流体を前記管へ注入することを特徴とする反応釜温度制御方法である。
【0012】
また本発明は、前記反応釜温度制御装置が密閉手段を有しており、当該密閉手段が、前記重合反応時において反応釜を密閉状態に制御することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、釜の内部または外周の何れか一方または両方における所定の領域ごとに冷却流体または加熱流体を通す管を付設した反応釜へ、モノマーと重合促進剤と溶剤とを投入し、また撹拌し、それらモノマーと重合促進剤と溶剤とを加熱して発生する重合反応によりポリマーを合成する際の前記反応釜の温度を制御する反応釜温度制御装置の反応釜温度制御方法であって、前記反応釜温度制御装置の温度測定手段が、前記重合反応において発生する温度を測定し、前記反応釜温度制御装置の目標温度記憶手段が、前記重合反応時の目標温度を記憶し、前記反応釜温度制御装置の温度変化率算出手段が、前記測定した温度の単位時間あたりの変化率を算出し、前記反応釜温度制御装置の温度偏差算出手段が、前記測定した温度と前記目標温度との偏差を算出し、前記反応釜温度制御装置の制御情報記憶手段が、前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への、前記冷却流体の注入、前記加熱流体の注入、非注入、の何れかの情報を示す制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される環境条件ごとに記憶し、前記反応釜温度制御装置の注入制御手段が、前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記環境条件と一致する場合に、当該環境条件に対応付けて記憶される前記制御情報に基づいて、前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への、前記冷却流体の注入、前記加熱流体の注入、非注入、の何れかの制御を行うことを特徴とする反応釜温度制御方法である。
【0014】
また本発明は、釜の内部または外周の何れか一方または両方における所定の領域ごとに冷却流体または加熱流体を通す管を付設した反応釜へ、モノマーと重合促進剤と溶剤とを投入し、また撹拌し、それらモノマーと重合促進剤と溶剤とを加熱して発生する重合反応によりポリマーを合成する際の前記反応釜の温度を制御する反応釜温度制御装置の反応釜温度制御方法であって、前記反応釜温度制御装置の温度測定手段が、前記重合反応において発生する温度を測定し、前記反応釜温度制御装置の目標温度記憶手段が、前記重合反応時の目標温度を記憶し、前記反応釜温度制御装置の温度変化率算出手段が、前記測定した温度の単位時間あたりの変化率を算出し、前記反応釜温度制御装置の温度偏差算出手段が、前記測定した温度と前記目標温度との偏差を算出し、前記反応釜温度制御装置の第1制御情報記憶手段が、前記管への前記冷却流体または前記加熱流体の何れか一方の注入を指定する情報とその注入時間とを示す第1制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される第1環境条件ごとに記憶し、前記反応釜温度制御装置の第2制御情報記憶手段が、前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への、前記冷却流体の注入、前記加熱流体の注入、非注入、の何れかの情報を示す第2制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される第2環境条件ごとに記憶し、前記ポリマーの合成の工程において、前記反応釜温度制御装置の第1注入制御手段による、前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記第1環境条件と一致する場合の、当該第1環境条件に対応付けて記憶される前記第1制御情報に基づく、前記冷却流体または前記加熱流体を前記管への注入または、前記反応釜温度制御装置の第2注入制御手段による、前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記第2環境条件と一致する場合の、当該第2環境条件に対応付けて記憶される前記第2制御情報に基づく、前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への前記冷却流体の注入または前記加熱流体の注入または非注入、の何れかの制御を切り替えて行うことを特徴とする反応釜温度制御方法である。
【0015】
また本発明は、前記反応釜温度制御装置が密閉手段を有しており、当該密閉手段が、前記重合反応時において反応釜を密閉状態に制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、反応釜の温度偏差や温度変化率の値の組合せが環境条件で示される値となった場合に、その環境において予め定められた制御を行っている。これら環境条件で定まる温度制御の制御情報は過去の実測値に基づいて設定された値であり、当該制御によって反応釜の温度が目的温度まで短期間で十分近くなる温度制御である。従って、制御情報に基づいて温度制御をするだけで、その制御のみで測定温度を目標温度に近づけることができる。そしてこのような制御により、反応釜の温度が環境条件で示される値に移行した場合に、直ちに目標温度となるよう制御するため反応釜の温度のハンチングをなくすことができる。またこれにより、重合工程における反応釜内部の温度が従来にも増して目標温度に保持され、合成されるポリマーの生成分子量を一定化してそのばらつきをなくすことができる。そして原料(モノマー、重合促進剤や溶剤)の反応釜内部での重合不良を削減することができる。特に、重合反応を促進するために反応釜を密閉して高温高圧の状態にした場合には、温度の上昇が顕著であるため、従来のPID方式に比べて上述の第1の制御方法に基づいて温度制御を行うことで、ポリマーの品質と製造効率を上げることができる。
【0017】
また、本発明によれば、反応釜を測定することによって算出された温度偏差や温度変化率の値の組合せが制御情報テーブルで記憶する環境条件の値と一致した場合に、反応釜の所定の領域ごとに備えられた何れかのジャケットやコイルへの、冷却水の注入、または蒸気の注入、またはブランクの制御を行っている。また環境条件に応じて適切な反応釜の領域を冷却または過熱することとなる。そして、これら環境条件ごとに制御情報テーブルに登録された制御情報は過去の実測値に基づいて設定された情報であって、測定された温度が目標温度へ効率的に制御できる情報である。従って、制御情報テーブルに記録されている制御情報に基づいて温度制御をすることにより、より緻密な温度制御を行うので、効率的に測定温度を目的温度に近づけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態による反応釜温度制御装置を図面を参照して説明する。図1は同実施形態による反応釜温度制御装置の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は反応釜温度制御装置である。そして反応釜温度制御装置1は、反応釜内部の温度を計測する温度計測部11と、重合反応時における反応釜の目標温度を記憶する目標温度記憶部12と、測定した温度の単位時間あたりの変化率を算出する温度変化率算出部13と、測定した温度と目標温度との偏差を算出する温度偏差算出部14とを備えている。
【0019】
また反応釜温度制御装置1は、上記温度変化率や温度偏差などの反応釜における環境条件ごとに、制御対象とその制御のためのパラメータなどからなる制御情報を記憶する制御情報記憶部15と、環境条件と制御情報とに基づいて冷却流体や加熱流体などのジャケットやコイルへの注入制御(つまり弁の開閉)を行う注入制御部16と、反応釜を非密閉状態から密閉状態に制御する密閉状態制御部17と、PID制御を行うPID制御部18と、反応釜の温度制御の制御方法を注入制御部16や密閉状態制御部17やPID制御部18に通知する制御切替部19と、を備えている。
【0020】
なおPID制御とは、反応釜の目標温度との温度偏差や、その温度変化率などを用いて、偏差に比例した出力を出す動作、偏差の時間積分に比例した出力を出す動作、偏差の時間的変化に比例した出力を出す動作を行うための情報を、P(Proportional:比例),I(Integral:積分),D(Difference:微分)の要素を組み合わせて算出する制御である。
【0021】
図2は反応釜の概要を示す図である。
次に反応釜温度制御装置1によって温度を制御する反応釜の概要について、図2を用いて説明する。
図2において、21は反応釜、22はジャケットと、23はコイル、24は温度計、25は密閉制御弁、26aはPID制御によって冷却流体を注入するためのPID制御弁,26bはPID制御によって加熱流体の流量を制御するためのPID制御弁、26cはPID制御によって冷却流体の流量を制御するためのPID制御弁である。またPID制御弁26aとジャケット22の間,PID制御弁26bとジャケット22の間,PID制御弁26cとコイル23の間には、それぞれ加熱流体或いは冷却流体の注入を制御して、伝熱面積、伝熱ゾーンを選択・設定する複数の開閉弁が設けられている。26a−vuがジャケット22の上段への冷却流体の注入のための開閉弁、26a−vmがジャケット22の中段への冷却流体の注入のための開閉弁、26a−vdがジャケット22の下段への冷却流体の注入のための開閉弁である。また26b−vuがジャケット22の上段への加熱流体の注入のための開閉弁、26b−vmがジャケット22の中段への加熱流体の注入のための開閉弁、26b−vdがジャケット22の下段への加熱流体の注入のための開閉弁である。また26c−viがコイル23の内側への冷却流体の注入のための開閉弁、26c−voがコイル23の外側への冷却流体の注入のための開閉弁である。
【0022】
また図2にはジャケット22やコイル23への冷却流体や加熱流体の注入を制御する弁が複数示されている。反応釜にはモノマーと重合促進剤と溶剤とが投入され、反応釜内で撹拌すると共に、熱を加えることによって重合反応が発生する。そして図2に示すように反応釜21には、ジャケット22とコイル23とが付設されているが、ジャケット22は反応釜21の外周に付設された冷却流体や加熱流体を通す管であり、またコイル23は反応釜21の内部に付設された冷却流体や加熱流体を通す管である。そして反応釜温度制御装置1はジャケットやコイル23に注入する冷却流体や加熱流体の量を各弁の開閉によって変化させることで、反応釜内の温度の制御を行う。なお本実施形態においては反応釜の温度を計測しているが、反応釜内の混合物の温度を直接計測するようにしても良い。
【0023】
図3は第1制御情報テーブルを示す図である。
図4は第2制御情報テーブルを示す図である。
次に、図3、図4を用いて制御情報記憶部15の記憶する制御情報テーブルの情報について説明する。
図3に示す第1制御情報テーブルは、制御切替部19において第1の制御方法に切替えられた際に、注入制御部16が制御に用いる制御情報テーブルである。ここで第1の制御方法とは、主に密閉された反応釜においてポリマーの重合反応を行う際の温度制御の方法である。そして第1の制御方法によって温度制御される反応釜は、密閉下であるために、重合反応時の釜内部が通常(密閉下でない場合)の重合反応時に比べて高温高圧となる。なお反応釜を密閉状態に制御するのは、反応釜内部を高温高圧とすることにより重合反応を促進する為である。これによって、ポリマーの合成の速度を早め製造量を増加させる。そして、反応釜温度制御装置1はこのような高温高圧の状態への移行傾向が強い反応釜内部の温度を、目標温度にできるだけ維持するために第1制御情報テーブルを利用する。第1制御情報テーブルは図3に示すように、反応釜内部の環境(温度偏差と温度変化率)を示す環境条件と、その環境時において制御対象を制御するための制御情報とが対応付けられて記録されている。第1制御情報テーブルの制御情報に格納される制御対象の情報は、コイルへ水(冷却流体)を通水するための弁の情報と、その弁を開とする時間(通水時間)とを示す情報である。
【0024】
また図4に示す第2制御情報テーブルは、制御切替部19において第2の制御方法に切替えられた際に、注入制御部16が制御に用いる制御情報テーブルである。ここで第2の制御方法とは、反応釜へ冷却流体(水など)や加熱流体(蒸気など)を注入する際に、それらを注入するジャケットやコイルの反応釜における領域を反応釜内部の環境に応じて変更し、これにより従来と比べて更に精度良く反応釜内の温度を目標温度へ制御する方法である。反応釜における領域は、冷却流体や加熱流体を注入するジャケット22やコイル23の反応釜に対して付設された位置によって定まる。また第2制御情報テーブルは図4に示すように、反応釜内部の環境(測定温度と温度変化率の種類)を示す環境条件と、その環境時において制御対象を制御するための制御情報とが対応付けられて記録されている。環境条件のうち温度変化率は急上昇、緩上昇、緩下降、急下降によって示されているが、それぞれについての具体的な単位時間あたりの温度の変化率の範囲は予め定まっており、メモリ等に記憶されているものとする。第2制御情報テーブルの制御情報は、反応釜の上段、中段、下段付設されているジャケット22と、反応釜の内部と外周部に付設されているコイル23のそれぞれについて、非注入(B:Blank)、冷却水(C:Cool)の注入、蒸気(H:Heat)の注入のどの制御を行うかの情報が格納されている。そして図4においてBHB/BBという記号は、左から順に、ジャケット22の上段は非注入(B),ジャケット22の中段は蒸気注入(H),ジャケット22の下段は非注入(B)/反応釜の外周に付設されたコイル23は非注入(B),反応釜の内部に付設されたコイル23は非注入(B)である旨を示している。なおこの時の各弁の状態としては、ジャケット上段へ冷却水を注入する開閉弁26a−vuとジャケット上段へ蒸気を注入する開閉弁26b−vuは「閉」、ジャケット中段へ冷却水を注入する開閉弁26a−vmは「閉」、ジャケット中段へ蒸気を注入する開閉弁26b−vmは「開」、ジャケット下段へ冷却水を注入する開閉弁26a−vdとジャケット下段へ蒸気を注入する開閉弁26b−vdは「閉」、コイル内側へ冷却水を注入する開閉弁26c−viとコイル外側へ冷却水を注入する開閉弁26c−voは「閉」となる。
【0025】
次に、ポリマー合成工程の概要について説明する。
ポリマー合成工程においては、まず、反応釜内部にモノマーと溶剤とを投入し撹拌するとともに重合促進剤(触媒)を加えながら加熱する。ここでモノマーは本実施形態においてはアクリル酸ブチルやアクリル酸エステルとする。また本実施形態において重合促進剤はパーブチルやカヤブチル等の過酸化物であるとする。また本実施形態において溶剤はキシレンやトルエンなどであるとする。そして反応釜を所定時間で目標温度まで過熱する。これにより重合反応が発生する。また重合反応が発生している重合工程において、目標温度を保つ制御を行いながら、モノマーと重合促進剤とを反応釜内に滴下する(これによって重合反応を制御する処理を滴下重合と呼ぶ)。ここで、本実施形態における上記第1の制御方法では、反応釜内部を密閉することによって圧力が0.5〜0.9MPa,目標温度が170℃の高温高圧状態に制御するとともに、目標温度を170℃などの所定の温度を保つ制御を行うものとする。また本実施形態による第2の制御方法では、反応釜の圧力を開放し常圧(0MPa)に制御するとともに、目標温度(120℃)を保つ制御を行う。そして所定の重合工程の期間が経過した後、ホールド期間を設けて熟成反応させる。そして、重合工程の期間とホールド期間における重合反応によってポリマーが合成される。また本実施形態におけるポリマー合成工程における上記重合促進剤は、一般的な触媒とは異なり、反応釜内部へ滴下した全量について重合反応が終了した後は反応釜に残らない。またモノマーや重合促進剤の滴下比率は、反応釜内部に初期投入した量の65%〜100%とする。
【0026】
次に、第1の制御方法での反応釜の温度制御が行われる際の反応釜温度制御装置1の処理について順を追って説明する。
まず反応釜温度制御装置1に対して目標温度までの昇温指示が通知される。すると、制御切替部19はPID制御部18に対して目標温度記憶部12から読み取った目標温度(第1制御方法を行う際の目標温度)を通知する。するとPID制御部18は温度計測部11から通知される温度が目標温度に達するまで従来のPID制御により反応釜の温度を上昇させる。またこの時、密閉状態制御部17が密閉制御弁25を「閉」に制御して反応釜を密閉状態に制御する。PID制御においては、PID制御弁26bの弁の開度を調節することによって、反応釜21の温度を上昇させる。次に制御切替部19は、温度計測部11から通知される温度が目標温度に達したことを検出すると、第1制御方法による温度制御への切替を注入制御部16へ通知する。またこのとき制御切替部19はPID制御部18へ制御の停止を通知する。
【0027】
ここで、ポリマー合成の全工程に渡って、温度計測部11は温度計24から出力された値を計測し、温度変化率算出部13と温度偏差算出部14へ計測温度を通知する。そして温度変化率算出部13は所定の単位時間あたりの温度変化率(本実施形態においては1分間あたりの温度変化率)を算出し注入制御部16へ当該温度変化率を通知する。また温度偏差算出部14は注入制御部16から第1の制御方法による制御である旨の通知を受けており、これによって第1の制御方法の制御における目標温度を目標温度記憶部12から読み取って、温度計測部11から通知を受けた温度と目標温度とを比較することによりその偏差を算出し、当該算出した温度偏差を注入制御部16へ通知する。
【0028】
次に、第1の制御方法の通知を受けた注入制御部16は、目標温度に達した後の重合工程において第1の制御方法による温度制御を開始する(ステップS101)。ここで26a,26b,26cの各PID制御弁は前述したようにOFFとなり、関係する開閉弁も全てOFFとなる。また注入制御部16は、予め計算された重合工程の時間分のタイマをカウントする(ステップS102)。またカウントが終了したかを判定する(ステップS103)。そして重合工程の時間分のタイマのカウントが終了してなければ、注入制御部16は、温度偏差算出部14から通知を受けた温度偏差と、温度変化率算出部13から通知を受けた温度変化率と、の組合せの値が、制御情報記憶部15に記録されている第1制御情報テーブル内の環境条件と一致するか否かを判定する(ステップS104)。つまり通知を受けた温度偏差と温度変化率との組合せが、図3で示した第1制御情報テーブル内の環境条件のうち「偏差x℃以上,変化率y℃未満」である場合、「偏差x℃以下x℃以上,変化率y℃以上」である場合、「偏差x℃以下x℃以上,変化率y℃以上」である場合、「偏差x℃以下,変化率y℃以上」である場合、「偏差x℃以下,変化率y℃以下」である場合の何れかに該当するかどうかを判定する。
【0029】
そして注入制御部16は、通知を受けた温度偏差と温度変化率との組合せが「偏差x℃以上,変化率y℃未満」であると判定した場合(ステップS105)、その環境条件に対応付けて第1制御情報テーブルに記録されている制御情報を読み取る。この制御情報には、「コイル,通水,z秒」のパラメータが格納されている。従って注入制御部16は、この制御情報に基づいて、コイルへの冷却水の通水の開始の情報と、z秒のタイマカウントの情報をメモリ等にセットする(ステップS106)。具体的には、26c−vi,26c−voの開閉弁を「開」にして、予め定められた制御パラメータによりPID制御弁26cの開度を設定されたインターバルにより全開/全閉を繰り返して冷却水を通水するか、重合の組成物によっては設定時間PID制御弁を全開にして冷却水を通水してもよい。
【0030】
また注入制御部16は、通知を受けた温度偏差と温度変化率との組合せが「偏差x℃以下x℃以上,変化率y℃以上」であると判定した場合(ステップS107)、その環境条件に対応付けて第1制御情報テーブルに記録されている制御情報を読み取る。この制御情報には、「コイル,通水,z秒」のパラメータが格納されている。従って注入制御部16は、この制御情報に基づいて、コイルへの冷却水の通水の開始の情報と、z秒のタイマカウントの情報をメモリ等にセットする(ステップS108)。
【0031】
また注入制御部16は、通知を受けた温度偏差と温度変化率との組合せが「偏差x℃以下x℃以上,変化率y℃以上」であると判定した場合(ステップS109)、その環境条件に対応付けて第1制御情報テーブルに記録されている制御情報を読み取る。この制御情報には、「コイル,通水,z秒」のパラメータが格納されている。従って注入制御部16は、この制御情報に基づいて、コイルへの冷却水の通水の開始の情報と、z秒秒のタイマカウントの情報をメモリ等にセットする(ステップS110)。
【0032】
また注入制御部16は、通知を受けた温度偏差と温度変化率との組合せが「偏差x℃以下,変化率y℃以上」であると判定した場合(ステップS111)、その環境条件に対応付けて第1制御情報テーブルに記録されている制御情報を読み取る。この制御情報には、「コイル,通水,z秒」のパラメータが格納されている。従って注入制御部16は、この制御情報に基づいて、コイルへの冷却水の通水の開始の情報と、z秒のタイマカウントの情報をメモリ等にセットする(ステップS112)。
【0033】
そして、ステップS106、ステップS108、ステップS110、ステップS112の後、タイマカウントの秒数のカウントを開始し(ステップS113)、注入制御部16はメモリにセットした情報に基づいてコイルへの通水を開始する(ステップS114)。また注入制御部16はカウント終了を判定し(ステップS115)、カウント終了後にコイルへ冷却水を通水する弁を閉に制御することにより通水を停止する(ステップS116)。
【0034】
また注入制御部16は、通知を受けた温度偏差と温度変化率との組合せが「偏差x℃以下,変化率y℃以下」であると判定した場合(ステップS117)、その環境条件に対応付けて第1制御情報テーブルに記録されている制御情報を読み取る。この制御情報には、「蒸気弁,開」のパラメータが格納されている。従って注入制御部16は、この制御情報に基づいて、PID制御弁26bの開度を制御し、必要な開閉弁、例えば26b−vm,26b−vdを「開」にする(ステップS118)。なおこの後、注入制御部16は温度変化率がy℃以上と算出されたかどうかを判定して(ステップS119)、温度変化率y℃以上となった場合には蒸気弁を閉じる制御を行う(ステップS120)。
【0035】
そして、ステップS115、ステップS119の後、注入制御部16は重合工程の時間分のタイマをカウントが終了したかどうかを判定し、重合工程の時間分のタイマカウントが終了するまで上記制御を繰り返して行う重合工程が終了する。またその後、担当者が合成されたポリマーをサンプリングして分析し、品質が規格内であれば反応釜温度制御装置1に対して反応釜の冷却と、密閉状態を開放する指示を入力する。
【0036】
つまり上述の処理においては、反応釜の温度偏差や温度変化率の値の組合せが環境条件で示される値となった場合に、その環境に好適な予め定められた冷却水の注入、または蒸気の注入の制御を行っている。ここで、これら環境条件ごとに第1制御情報テーブルに登録された温度制御の情報は過去の実測値に基づいて設定された値であり、当該制御によって反応釜の温度が目標温度まで短期間で十分近くなる温度制御である。従って、制御情報テーブルに記録されている制御情報に基づいて温度制御をするだけで、1度に測定温度を目的温度に近づけることができる。従来のPID制御のように、入力された値を基に出力の値(例えば弁の開閉出力の為の値)を算出して当該算出結果による温度制御を行い、その温度制御の結果、目標温度に達していなければPID制御の演算を再度行って、これを繰り返すことにより、反応釜の温度を目標温度へ近づける処理では、その演算を何度も繰り返さなければ測定温度が目標温度に近づかなかったため、目標温度に近づけるために時間がかかっていた。
【0037】
しかしながら、上述の第1の制御方法を用いることにより、測定温度が目標温度となる制御を短時間で行うことができ、また当該制御によって反応する温度のハンチングを抑制することができる。これにより重合工程における反応釜内部の温度を従来より安定に保つことができ、合成されるポリマーの生成分子量を一定化してそのばらつきをなくすことができる。また原料(モノマー、重合促進剤や溶剤)の反応釜内部での重合不良を削減することができる。特に、重合反応を促進するために反応釜を密閉して高温高圧の状態にした場合には、温度の上昇が顕著であるため、従来のPID方式に比べて上述の第1の制御方法に基づいて温度制御を行うことで、ポリマーの品質と製造効率を上げることができる。
【0038】
次に、第2の制御方法での反応釜の温度制御が行われる際の反応釜温度制御装置1の処理について順を追って説明する。
まず反応釜温度制御装置1に対して目標温度までの昇温指示が通知される。すると、制御切替部19はPID制御部18に対して目標温度記憶部12から読み取った目標温度(第2の制御方法を行う際の目標温度)を通知する。するとPID制御部18は温度計測部11から通知される温度が目標温度に達するまで従来のPID制御により反応釜の温度を上昇させる。PID制御においては、PID制御弁26bの弁の開度を調節することによって、反応釜21の温度を上昇させる。次に制御切替部19は、温度計測部11から通知される温度が目標温度に達したことを検出すると、第2の制御方法による温度制御への切替を注入制御部16へ通知する。これにより反応釜温度制御装置1は、目標温度に達した後の重合工程においては第2の制御方法によって温度制御を行う。なお第2の制御方法においてPID制御部18は目標温度に達した後は、反応釜の測定温度を目標温度に近づけるPID制御をそのまま継続する。
【0039】
ここで、ポリマー合成の全工程に渡って、温度計測部11は温度計24から出力された値を計測し、温度変化率算出部13と温度偏差算出部14へ計測温度を通知する。そして温度変化率算出部13は所定の単位時間あたりの温度変化率(本実施形態においては1分間あたりの温度変化率)を算出し注入制御部16へ当該温度変化率を通知する。また温度偏差算出部14は注入制御部16から第2の制御方法による制御である旨の通知を受けており、これによって第2の制御方法の制御における目標温度を目標温度記憶部12から読み取って、温度計測部11から通知を受けた温度と目標温度とを比較することによりその偏差を算出し、当該算出した温度偏差を注入制御部16へ通知する。
【0040】
次に、第2の制御方法の通知を受けた注入制御部16は、目標温度に達した後の重合工程において第2の制御方法による温度制御を開始する(ステップS201)。また注入制御部16は、予め計算された重合工程の時間分のタイマをカウントする(ステップS202)。またカウントが終了したかを判定する(ステップS203)。そして重合工程の時間分のタイマのカウントが終了してなければ、注入制御部16は、温度偏差算出部14から通知を受けた温度偏差と、温度変化率算出部13から通知を受けた温度変化率と、の組合せの値が、制御情報記憶部15に記録されている第2制御情報テーブル内の環境条件と一致するか否かを判定する(ステップS204)。つまり通知を受けた温度偏差と温度変化率との組合せが、図4の第2制御情報テーブルで示すような温度偏差「目標温度+b℃<測定温度」,「a℃≦測定温度≦b℃」,「目標温度−a℃>測定温度」の何れかと、温度変化率「急上昇」,「緩上昇」,「緩下降」,「急下降」の何れかとによって組み合される環境条件のうち、どの環境条件に該当するのかを判定する。そして、何れかの環境条件に一致する場合には、その環境条件に対応して第2制御情報テーブルに記録されている制御情報を読み取って(ステップS205)、その制御情報によって指定されている領域に付設されたジャケットやコイルへ冷却水や蒸気を注入する弁を制御する(ステップS206)。
【0041】
ここで注入制御部16が、通知を受けた温度偏差と温度変化率との組合せが「目標温度+b℃<測定温度,急上昇」であると判定した場合、その環境条件に対応付けて第2制御情報テーブルに記録されている制御情報を読み取る。この制御情報には、「CCC/CC」のパラメータが格納されている。従って注入制御部16は、この制御情報に基づいて、ジャケット上段,中段,下段、内部、外周のコイルの全てに冷却水を通水するための弁の制御を行う。
【0042】
また注入制御部16が、通知を受けた温度偏差と温度変化率との組合せが「目標温度+b℃<測定温度,緩上昇」であると判定した場合、および「目標温度+b℃<測定温度,緩下降」であると判定した場合、その環境条件に対応付けて第2制御情報テーブルに記録されている制御情報を読み取る。この制御情報には、「CCC/CC」のパラメータが格納されている。従って注入制御部16は、この制御情報に基づいて、ジャケット上段,中段,下段、内部のコイル、外周のコイルの全てに冷却水を通水するための弁の制御を行う。
【0043】
また注入制御部16が、通知を受けた温度偏差と温度変化率との組合せが「目標温度+b℃<測定温度,急下降」であると判定した場合、および「a℃≦測定温度≦b℃,急上昇」であると判定した場合、その環境条件に対応付けて第2制御情報テーブルに記録されている制御情報を読み取る。この制御情報には、「CCC/BB」のパラメータが格納されている。従って注入制御部16は、この制御情報に基づいて、ジャケット上段,中段,下段に冷却水を通水し、内部のコイル、外周のコイルに注入されている流体をブランクにするための弁の制御を行う。
【0044】
また注入制御部16が、通知を受けた温度偏差と温度変化率との組合せが「a℃≦測定温度≦b℃,緩上昇」であると判定した場合、「BCB/BB」のパラメータによる制御を行う。この制御は、ジャケット上段,下段および内部のコイル,外周のコイルをブランクとし、ジャケット中段に冷却水を通水する制御である。
【0045】
また注入制御部16が、通知を受けた温度偏差と温度変化率との組合せが「a℃≦測定温度≦b℃,緩下降」であると判定した場合、「CBB/BB」のパラメータによる制御を行う。この制御は、ジャケット中段,下段および内部のコイル,外周のコイルをブランクとし、ジャケット上段に冷却水を通水する制御である。
【0046】
また注入制御部16が、通知を受けた温度偏差と温度変化率との組合せが「a℃≦測定温度≦b℃,急下降」であると判定した場合、「BHH/BB」のパラメータによる制御を行う。この制御は、ジャケット上段および内部のコイル,外周のコイルをブランクとし、ジャケット中段と下段に蒸気を注入する制御である。
【0047】
また注入制御部16が、通知を受けた温度偏差と温度変化率との組合せが「目標温度−a℃>測定温度,急上昇」であると判定した場合、「BHB/BB」のパラメータによる制御を行う。この制御は、ジャケット上段,下段および内部のコイル,外周のコイルをブランクとし、ジャケット中段に蒸気を注入する制御である。
【0048】
また注入制御部16が、通知を受けた温度偏差と温度変化率との組合せが「目標温度−a℃>測定温度,緩上昇」であると判定した場合、および「目標温度−a℃>測定温度,緩下降」であると判定した場合、および「目標温度−a℃>測定温度,急下降」であると判定した場合、「BHH/BB」のパラメータによる制御を行う。この制御は、ジャケット上段および内部のコイル,外周のコイルをブランクとし、ジャケット中段,下段に蒸気を注入する制御である。そして、注入制御部16は、重合工程の時間分のタイマをカウントが終了したかどうかを判定し、重合工程の時間分のタイマカウントが終了するまで上記制御を繰り返して行う重合工程が終了する。またその後、担当者が合成されたポリマーをサンプリングして分析し、品質が規格内であれば反応釜温度制御装置1に対して反応釜の冷却と、密閉状態を開放する指示を入力する。
【0049】
上述の第2の制御方法による制御においては、反応釜を測定することによって算出された温度偏差や温度変化率の値の組合せが制御情報テーブルで記憶する環境条件の値と一致した場合に、反応釜の所定の領域ごとに備えられた何れかのジャケットやコイルへの、冷却水の注入、または蒸気の注入、またはブランクの制御を行っている。ここで、これら環境条件ごとに第2の制御情報テーブルに登録された制御情報は過去の実測値に基づいて設定された情報であって、測定された温度が目標温度へ効率的に制御できる情報である。従って、制御情報テーブルに記録されている制御情報に基づいて温度制御をすることにより、より効率的に測定温度を目的温度に近づけることができる。
【0050】
つまり従来のPID制御のように、入力された値を基に出力の値(例えば弁の開閉出力の為の値)を算出して当該算出結果による温度制御を行い、その温度制御の結果、目標温度に達していなければPID制御の演算を再度行って、これを繰り返すことにより、反応釜の温度を目標温度へ近づける処理では、その演算を何度も繰り返さなければ測定温度が目標温度に近づかなかったため、目標温度に近づけるために時間がかかっていた。しかしながら、本実施形態においては、PID制御と共に、上述の第2の制御方法を用いることにより、反応釜の異なる領域に付設されたジャケットやコイルのうち冷却水や蒸気の注入するジャケットやコイルを、算出した環境条件によって変更して、効率的に反応釜内部の温度を制御している。これにより、PID制御のみによる温度制御に比べて、より反応釜内部の温度の上昇または下降の反応が良くなり、測定温度を目標温度に近づける制御を短時間で行うことができる。また当該制御によって反応する温度のハンチングを抑制することができる。そしてこの制御によって、重合工程における反応釜内部の温度を目標温度を目安として安定して保持し、合成されるポリマーの生成分子量を一定化してそのばらつきをなくすことができる。また原料(モノマー、重合促進剤や溶剤)の反応釜内部での重合不良を削減することができる。
【0051】
ここで、上述の第1の制御方法や第2の制御方法において設定されている各目標温度は、モノマーや重合促進剤や溶剤の種類に依存し、また合成されるポリマー樹脂の粘度が高いときは環境条件として利用する温度変化率の値は変更される。また、上述の第1の制御方法や第2の制御方法による反応釜内部の温度制御が必要なモノマー樹脂としては、溶剤重合を行う樹脂全般であり、特に高圧状態で滴下を行う場合の重合工程に適している。また、滴下重合反応によりポリマー樹脂を製造する際に、初期モノマー混合物が少なく、滴下するモノマー、重合促進剤(触媒)の比率が高い樹脂の合成時の制御に適しており、特にアクリル系溶剤重合樹脂などを用いる場合に適しているが、基本的には発熱のある樹脂に対応できる。
【0052】
また、本実施形態においては、上記第1の制御方法と第2の制御方法を別々に行う場合について説明したが、ポリマーの合成工程において、例えば、重合工程については第1の制御方法を利用し、反応釜を常圧に戻した後の工程において第2の制御方法を利用するように切替えても良い。この場合、制御切替部19がその切替を注入制御部16やPID制御部18へ通知する。
【0053】
なお上述の反応釜温度制御装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0054】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。また反応釜温度制御装置はシーケンサによって制御される装置であってもよい。
【0055】
図5は本実施形態による温度制御によって測定された反応釜の温度変化を示すグラフである。
この図においては、従来のPID制御方法によって重合工程を温度制御した場合の反応釜内の温度変化、上述の第1の制御方法によって重合工程を温度制御した場合の反応釜内の温度変化、上述の第2の制御方法によって重合工程を温度制御した場合の反応釜内の温度変化を示している。そして、この図により、従来のPID制御方法のみの温度制御では、反応釜内の温度のハンチングが大きい状態となっていることが分かる。また第1の制御方法および第2の制御方法は従来のPID制御方法のみにより温度制御を行う場合に比べて、ハンチングが小さい。また第1の制御方法が第2の制御方法より温度のハンチングが小さいことが分かる。つまり反応釜内部が高温高圧下である場合には温度上昇が激しいので第1の制御方法を利用することにより、反応釜内の温度を目標温度に近づけて安定的に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】反応釜温度制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】反応釜の概要を示す図である。
【図3】第1制御情報テーブルを示す図である。
【図4】第2制御情報テーブルを示す図である。
【図5】温度制御によって測定された反応釜の温度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0057】
1・・・反応釜温度制御装置
11・・・温度計測部
12・・・目標温度記憶部
13・・・温度変化率算出部
14・・・温度偏差算出部
15・・・制御情報記憶部
16・・・注入制御部
17・・・密閉状態制御部
18・・・制御切替部
19・・・PID制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釜の内部または外周の何れか一方または両方における所定の領域ごとに冷却流体または加熱流体を通す管を付設した反応釜へ、モノマーと重合促進剤と溶剤とを投入し、また撹拌し、それらモノマーと重合促進剤と溶剤とを加熱して発生する重合反応によりポリマーを合成する際の前記反応釜の温度を制御する反応釜温度制御装置であって、
前記重合反応において発生する温度を測定する温度測定手段と、
前記重合反応時の目標温度を記憶する目標温度記憶手段と、
前記測定した温度の単位時間あたりの変化率を算出する温度変化率算出手段と、
前記測定した温度と前記目標温度との偏差を算出する温度偏差算出手段と、
前記管への前記冷却流体または前記加熱流体の何れか一方の注入を指定する情報とその注入時間とを示す制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される環境条件ごとに記憶する制御情報記憶手段と、
前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記環境条件と一致する場合に、当該環境条件に対応付けて記憶される前記制御情報に基づいて、前記冷却流体または前記加熱流体を前記管へ注入する注入制御手段と、
を備えることを特徴とする反応釜温度制御装置。
【請求項2】
前記重合反応時において反応釜を密閉状態に制御する密閉手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の反応釜温度制御装置。
【請求項3】
釜の内部または外周の何れか一方または両方における所定の領域ごとに冷却流体または加熱流体を通す管を付設した反応釜へ、モノマーと重合促進剤と溶剤とを投入し、また撹拌し、それらモノマーと重合促進剤と溶剤とを加熱して発生する重合反応によりポリマーを合成する際の前記反応釜の温度を制御する反応釜温度制御装置であって、
前記重合反応において発生する温度を測定する温度測定手段と、
前記重合反応時の目標温度を記憶する目標温度記憶手段と、
前記測定した温度の単位時間あたりの変化率を算出する温度変化率算出手段と、
前記測定した温度と前記目標温度との偏差を算出する温度偏差算出手段と、
前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への、前記冷却流体の注入、前記加熱流体の注入、非注入、の何れかの情報を示す制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される環境条件ごとに記憶する制御情報記憶手段と、
前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記環境条件と一致する場合に、当該環境条件に対応付けて記憶される前記制御情報に基づいて、前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への、前記冷却流体の注入、前記加熱流体の注入、非注入、の何れかの制御を行う注入制御手段と、
を備えることを特徴とする反応釜温度制御装置。
【請求項4】
前記目標温度は前記反応釜または前記モノマーと重合促進剤と溶剤との混合物の目標温度であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の反応釜温度制御装置。
【請求項5】
釜の内部または外周の何れか一方または両方における所定の領域ごとに冷却流体または加熱流体を通す管を付設した反応釜へ、モノマーと重合促進剤と溶剤とを投入し、また撹拌し、それらモノマーと重合促進剤と溶剤とを加熱して発生する重合反応によりポリマーを合成する際の前記反応釜の温度を制御する反応釜温度制御装置であって、
前記重合反応において発生する温度を測定する温度測定手段と、
前記重合反応時の目標温度を記憶する目標温度記憶手段と、
前記測定した温度の単位時間あたりの変化率を算出する温度変化率算出手段と、
前記測定した温度と前記目標温度との偏差を算出する温度偏差算出手段と、
前記管への前記冷却流体または前記加熱流体の何れか一方の注入を指定する情報とその注入時間とを示す第1制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される第1環境条件ごとに記憶する第1制御情報記憶手段と、
前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記第1環境条件と一致する場合に、当該第1環境条件に対応付けて記憶される前記第1制御情報に基づいて、前記冷却流体または前記加熱流体を前記管へ注入する第1注入制御手段と、
前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への、前記冷却流体の注入、前記加熱流体の注入、非注入、の何れかの情報を示す第2制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される第2環境条件ごとに記憶する第2制御情報記憶手段と、
前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記第2環境条件と一致する場合に、当該第2環境条件に対応付けて記憶される前記第2制御情報に基づいて、前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への、前記冷却流体の注入、前記加熱流体の注入、非注入、の何れかの制御を行う第2注入制御手段と、
を備え、
前記ポリマーの合成の工程において、前記第1注入制御手段と、前記第2注入制御手段と、を切り替えて前記制御を行う
ことを特徴とする反応釜温度制御装置。
【請求項6】
前記重合反応時において反応釜を密閉状態に制御する密閉手段と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の反応釜温度制御装置。
【請求項7】
釜の内部または外周の何れか一方または両方における所定の領域ごとに冷却流体または加熱流体を通す管を付設した反応釜へ、モノマーと重合促進剤と溶剤とを投入し、また撹拌し、それらモノマーと重合促進剤と溶剤とを加熱して発生する重合反応によりポリマーを合成する際の前記反応釜の温度を制御する反応釜温度制御装置の反応釜温度制御方法であって、
前記反応釜温度制御装置の温度測定手段が、前記重合反応において発生する温度を測定し、
前記反応釜温度制御装置の目標温度記憶手段が、前記重合反応時の目標温度を記憶し、
前記反応釜温度制御装置の温度変化率算出手段が、前記測定した温度の単位時間あたりの変化率を算出し、
前記反応釜温度制御装置の温度偏差算出手段が、前記測定した温度と前記目標温度との偏差を算出し、
前記反応釜温度制御装置の制御情報記憶手段が、前記管への前記冷却流体または前記加熱流体の何れか一方の注入を指定する情報とその注入時間とを示す制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される環境条件ごとに記憶し、
前記反応釜温度制御装置の注入制御手段が、前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記環境条件と一致する場合に、当該環境条件に対応付けて記憶される前記制御情報に基づいて、前記冷却流体または前記加熱流体を前記管へ注入する
ことを特徴とする反応釜温度制御方法。
【請求項8】
前記反応釜温度制御装置が密閉手段を有しており、当該密閉手段が、前記重合反応時において反応釜を密閉状態に制御する
ことを特徴とする請求項7に記載の反応釜温度制御方法。
【請求項9】
釜の内部または外周の何れか一方または両方における所定の領域ごとに冷却流体または加熱流体を通す管を付設した反応釜へ、モノマーと重合促進剤と溶剤とを投入し、また撹拌し、それらモノマーと重合促進剤と溶剤とを加熱して発生する重合反応によりポリマーを合成する際の前記反応釜の温度を制御する反応釜温度制御装置の反応釜温度制御方法であって、
前記反応釜温度制御装置の温度測定手段が、前記重合反応において発生する温度を測定し、
前記反応釜温度制御装置の目標温度記憶手段が、前記重合反応時の目標温度を記憶し、
前記反応釜温度制御装置の温度変化率算出手段が、前記測定した温度の単位時間あたりの変化率を算出し、
前記反応釜温度制御装置の温度偏差算出手段が、前記測定した温度と前記目標温度との偏差を算出し、
前記反応釜温度制御装置の制御情報記憶手段が、前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への、前記冷却流体の注入、前記加熱流体の注入、非注入、の何れかの情報を示す制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される環境条件ごとに記憶し、
前記反応釜温度制御装置の注入制御手段が、前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記環境条件と一致する場合に、当該環境条件に対応付けて記憶される前記制御情報に基づいて、前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への、前記冷却流体の注入、前記加熱流体の注入、非注入、の何れかの制御を行う
ことを特徴とする反応釜温度制御方法。
【請求項10】
釜の内部または外周の何れか一方または両方における所定の領域ごとに冷却流体または加熱流体を通す管を付設した反応釜へ、モノマーと重合促進剤と溶剤とを投入し、また撹拌し、それらモノマーと重合促進剤と溶剤とを加熱して発生する重合反応によりポリマーを合成する際の前記反応釜の温度を制御する反応釜温度制御装置の反応釜温度制御方法であって、
前記反応釜温度制御装置の温度測定手段が、前記重合反応において発生する温度を測定し、
前記反応釜温度制御装置の目標温度記憶手段が、前記重合反応時の目標温度を記憶し、
前記反応釜温度制御装置の温度変化率算出手段が、前記測定した温度の単位時間あたりの変化率を算出し、
前記反応釜温度制御装置の温度偏差算出手段が、前記測定した温度と前記目標温度との偏差を算出し、
前記反応釜温度制御装置の第1制御情報記憶手段が、前記管への前記冷却流体または前記加熱流体の何れか一方の注入を指定する情報とその注入時間とを示す第1制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される第1環境条件ごとに記憶し、
前記反応釜温度制御装置の第2制御情報記憶手段が、前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への、前記冷却流体の注入、前記加熱流体の注入、非注入、の何れかの情報を示す第2制御情報を、所定の前記変化率と前記偏差とで示される第2環境条件ごとに記憶し、
前記ポリマーの合成の工程において、
前記反応釜温度制御装置の第1注入制御手段による、前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記第1環境条件と一致する場合の、当該第1環境条件に対応付けて記憶される前記第1制御情報に基づく、前記冷却流体または前記加熱流体を前記管への注入
または、
前記反応釜温度制御装置の第2注入制御手段による、前記算出した変化率の値と偏差の値とが前記第2環境条件と一致する場合の、当該第2環境条件に対応付けて記憶される前記第2制御情報に基づく、前記釜の所定の領域ごとに備えられた各管への前記冷却流体の注入または前記加熱流体の注入または非注入、
の何れかの制御を切り替えて行う
ことを特徴とする反応釜温度制御方法。
【請求項11】
前記反応釜温度制御装置が密閉手段を有しており、当該密閉手段が、前記重合反応時において反応釜を密閉状態に制御する
ことを特徴とする請求項8に記載の反応釜温度制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−314593(P2007−314593A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142433(P2006−142433)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【出願人】(599132580)ディックテクノ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】