説明

反閉塞カテーテルアダプター

カテーテルの根元部分を閉塞から保護するための支持装置が、カテーテルアダプターの端から延在する延長された柔軟部材を備える。柔軟な延長部にはテーパーが付けられ、それによって根元部分の最も閉塞を起こし易い部分に付加的な支えが与えられる。さらに、柔軟な延長部によって根元部分が保護され、それによって根元部分の汚染を防いでいる。最後に、柔軟な延長部によってマーカー機能が与えられ、それによって、専門家は、柔軟な延長部が患者と接触する位置までカテーテル管を挿入することができ、カテーテル管の過挿入を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、一般に、血管のアクセス機器を用いた注入療法に関し、特に、静脈内カテーテルを用いた注入療法に関するものである。注入療法は、最も一般的な医療処置の1つである。入院している患者、家庭で世話を受ける患者、また、これらとは別の患者は、血管系に挿入された血管アクセス機器を介して、流体、調剤、あるいは血液製剤を体内に受け入れる。注入療法は、感染症を治療し、麻酔または無痛覚治療を提供し、栄養上の支持を提供し、癌の成長に対する治療をし、血圧および心調律を維持し、あるいは多くの臨床的に重要な用途に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
静脈内療法は、患者の血管系の外に配置される血管アクセス機器(血管外機器)によって容易になる。患者の周辺または中心部の血管系にアクセスできる血管外機器には、直接的にまたは間接的に、ベクトン・ディキンソン社のBD Q-SYTEといった閉じたルアーアクセス機器などの閉じたアクセス機器、注射器、分割アクセス機器、カテーテル、および静脈注射(IV)の流体室が含まれる。血管機器は、短期間(日)、中程度の期間(週)、あるいは長期間(月または年)の間、内在することがある。血管アクセス機器は、継続的な注入療法または間欠的な療法に使用される。
【0003】
一般的な血管アクセス機器は、患者の血管に挿入されるプラスチックのカテーテルである。カテーテル長さは、周辺に対するアクセスのための数センチメートルから中心部へのアクセスのためのより大きいセンチメートルまで変化するものである。カテーテルは、一般に、カテーテルの使いやすさ、アクセス可能性、およびユーティリティの点で助けとなるカテーテルアダプターに組み込まれる。カテーテルアダプターは、一般に、カテーテルの一方の端を収容するようにされた、堅いプラスチック製の管状部材であり、これにより、カテーテルの一方の端がカテーテルアダプターによって支持され、カテーテルの本体および先端がカテーテルアダプターの第1の端部を越えて延在する。カテーテルアダプターは、一般には、カテーテルとともに用いられる追加の注入部品を受け入れるよう構成された第2の端部をさらに備える。例えば、カテーテルアダプターの第2の端部は、カテーテルアダプターに、静脈内ラインを取り付けるための、または注射器を結合するための、一組のねじを含むことができ、これにより、取り付けられたカテーテルを介して患者へのアクセスが可能となる。
【0004】
カテーテルは経皮的に挿入されるか、または患者の皮膚の下に外科的に移植される。経皮的に挿入される場合、カテーテルの挿入は一般に皮下注射針による補助がある。皮下注射針は、一般に、カテーテルの穴の中に収納されるよう、針の径がカテーテルの内径に近いものとなる。針は、カテーテル内に位置するよう針の先端がカテーテルの先端を越えて延在し、それによって、針は、患者の血管に侵入してカテーテル挿入のための開口を提供するのに使用される。
【0005】
針とカテーテルは、一般に、約30°の角度で患者の血管に近づき、その場合に、先ず、針は患者の皮膚を破り、血管内に入って行く。いったん針とカテーテル先端が、患者の血管に入いると、針とカテーテルは再配置されて、針とカテーテルが患者の血管と概略平行な位置とされ、これにより、針とカテーテルが、患者の血管の管腔に挿入される。カテーテルが患者の血管内に適切に配置されたときには、針はカテーテルの管腔から取り除かれ、カテーテルアダプターが患者に固定されることによりカテーテルが早まって除去されることを防止する。
【0006】
一般に、カテーテルアダプターは、カテーテルアダプターをテープおよび/またはステリ(steri)−ストリップによって患者の皮膚に固定することによって患者に固定される。患者の皮膚にカテーテルアダプターを固定する際、カテーテルの根元部分は、アーチ状になる必要があり、それによって、カテーテルアダプターの固定された向きである概略平行から、カテーテルの挿入角度である約30°の角度までの、カテーテルの変移に適応することができる。一般には、カテーテルが患者に挿入されて、カテーテルの延在する部分が患者とカテーテルアダプターの間に残されるようにすることによって、カテーテルの、変移するアーチの形成を可能にすることが必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この露出された、アーチ状になることが可能になるのに必要なカテーテルの長さに関するいくつかの問題が存在する。第1に、このアーチを形成する際に、カテーテルは患者の皮膚に向けて付勢され、それによってカテーテルの根本部分には梃子の作用による力が働く。この場合に、カテーテルは梃子として機能し、カテーテルアダプターの第1の端部はカテーテルの根本部分に上向きの力を及ぼす支点として機能する。カテーテルアダプターの第1の端部によるこの上向きの力は、より堅いカテーテルアダプターに対してカテーテルの根元部分が閉塞する可能性があるため望ましいものではない。閉塞は、一般に、患者および/またはカテーテルが動かされ、それによって、カテーテルアダプターの固定された位置に関連した、挿入の角度が増大することとして生じる。例えば、仮に、カテーテルおよび/または患者の再配置によってカテーテルが患者にさらに挿入されるとすると、患者とカテーテルアダプターの間の、カテーテルのアーチを形成可能な長さが減少し、それによって、挿入の角度およびカテーテルの根元部分に対する固定されたカテーテルアダプターによる上向きの力が増大する。挿入角度が増すと、カテーテルアダプターの上向きの力も増し、それによってカテーテルの構造的剛性が負け、カテーテルアダプターから患者までのカテーテルの移行に適応し続けるためにカテーテルがねじれるまでになる。
【0008】
閉塞がカテーテルを通る流れを遅くしたり止めたりする働きをし、それによって注入システムに誤動作を生じさせ及び/または損傷を生じさる、望ましくない背圧が生成されるので、カテーテルの閉塞は望ましいものではない。さらに、閉塞によって、患者の治療および/または診断をもたらし得る注入システムの効率が低くなる。
【0009】
第2に、アーチが形成されたカテーテル部分の露出された性質のため、その露出されたカテーテルの部分は汚染され、健康上の危険をもたらす。例えば、カテーテルの露出された部分は、汚染され、その後、患者および/またはカテーテルが患者および/または専門家による正常な使用のため再調整されるときに患者に挿入される。汚染の可能性およびその後の患者に対する露出を減らすために、専門家は、最初のカテーテルの患者への挿入を多めにすることによって、露出されたカテーテルの長さを最小化しようとする。露出されたカテーテルの長さを減らす際に、カテーテルアダプターの第1の端部の上向きの力が増大し、それによってカテーテルの根本部分内で閉塞の可能性が増大する。
【0010】
カテーテルおよび/または患者の汚染は明らかな理由によって望ましいものではない。例えば、汚染は、治療する医師が予期できない第2の汚染および/または合併症をもたらし得る。さらに、汚染されたカテーテルは、ウイルスおよび/またはバクテリアを患者に持ち込み、それが患者の最初の療法と矛盾して、患者がさらに必要な治療を受けることができないことがある。
【0011】
従って、カテーテルの根元部分における閉塞を減らし、カテーテルの過挿入を防止し、およびカテーテルの汚染を防止するシステムおよび方法が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による反閉塞カテーテルアダプターは、カテーテルの根元部分に支持部を付加し、それによって、カテーテルの根元部分を支えて、この閉塞になり易い領域内でのカテーテルの閉塞を防止して従来技術の問題を解決するものである。さらに、この付加的な支持は、根元部分を汚染から保護し、過挿入を防止する鞘をもたらす。
【0013】
本発明の反閉塞カテーテルアダプターは、カテーテル管を含み、この場合に、カテーテル管はカテーテルアダプターに取り付けられ、患者の血管系においてカテーテルを配置し、また、支持する際の補助となる。一実施形態では、カテーテル管は、シリコーン、インチシルフ(IntiSilf)シリコーン、ポリウレタン、およびポリエチレンを含む様々な材料を含むことができる。他の実施形態では、カテーテル管は、丸い先端または直角の角を持った先端も含むことができる。具体的な実施形態では、カテーテル管はシリコーンであり、丸い先端を含むものである。カテーテル管は内径と外径を持ち、それぞれはユーザーの必要に基づいて選択することができる。例えば、一実施形態では、内径はその選択によって、針がカテーテルによってその中を摺動可能なように収納されるような、具体的な径の針に適応することができる。
【0014】
また、カテーテル管の材料は、追加の材料が染み込まされるかまたは追加の材料で筋が付けられて、閉塞に対する抵抗を付加し、および/または、放射線不透過性の材料を用いた放射線検出の機能を追加するなどの、機能を提供することができる。1つの具体的な実施形態では、カテーテル管はバリウム硫酸塩の筋が付けられ、それにより、患者内でのカテーテル管の放射線検出を行うことができる。別の具体的な実施形態では、カテーテル管の材料にバリウム硫酸塩がらせん状に染み込み、それによって、染み込んだ材料がカテーテル管に付加的な強度を与えてカテーテルの閉塞を防止するだけでなく、患者内でのカテーテル管の放射線検出を可能にする。
【0015】
カテーテル管は、カテーテルアダプターの第1の端部に取り付けられ、それによって、カテーテル管とカテーテルアダプターは単一の器具を構成する。カテーテル管は、加熱された工具、熱いガス、振動、回転、超音波、誘導、高周波、マイクロ波、抵抗、押し出し成形、電気融合、赤外線、レーザー溶接、機械的締め具および/または化学的接合を含む種々の方法を用いてカテーテルアダプターに取り付けることができる。一実施形態では、カテーテル管は、機械的締め具によってカテーテルアダプターに取り付けられ、その場合に、カテーテル管はカテーテルアダプターに挿入され、また、管インサートはカテーテル管の端部に挿入されて、流体密封が形成される。カテーテルアダプターは、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、および/またはポリエチレンを含む種々の材料を含むことができる。1つの具体的な実施形態では、カテーテルアダプターはポリプロピレンである。
【0016】
カテーテルアダプターは、一般に、第2の端部に開口を備えた円筒形であり、第2の端部は、カテーテルアダプターの第1の端部の反対側であり、第1の端部はカテーテル管が通って延在する開口を備えている。カテーテルアダプターは、注入システムにおいてカテーテルアダプターを用いるのに適応した、構造上の特徴を含むことができる。例えば、一実施形態では、カテーテルアダプターの第2の端部が、カテーテルアダプターを注入システムに取り付けるための雄ルアーのような、アダプターを適合して受け取るための1組のねじを含む。他の実施形態では、カテーテルアダプターの外部が1組の環状隆起部を含み、この場合に、環状の隆起部は、カテーテルアダプターにおける成形された部分であり、カテーテルアダプターを握りおよび/またはコントロールする際に助けとなる。
【0017】
カテーテルアダプターの第1の端部は、また、カテーテルの根元部分を支持するという特徴をも含むことができる。例えば、一実施形態において、カテーテルアダプターの第1の端部はテーパーを付けられた形態で延在し、それによって、カテーテルアダプターの第1の端部がカテーテル管の根元部分を取り囲む柔軟な支持部を形成することができる。この柔軟な支持部は、カテーテルアダプターと同じ材料から成り、カテーテルアダプターの第1の端部に取り付けられるか、またはカテーテルアダプターの一部として成形することができる。
【0018】
一実施形態では、カテーテルアダプターの射出成形はその設計によって、挿入された成形ピンに沿いカテーテルアダプターの第1の端部を越えて延在することができるように制御された量のはみ出しが許可され、それによって、カテーテルアダプターの第1の端部が延在することができる。この制御されたはみ出し量によって、カテーテルアダプターの第1の端部を、薄い、テーパーが付けられた、柔軟な延長部とすることができる。
【0019】
他の実施形態では、カテーテルアダプターの射出成形はその設計によって、カテーテルアダプターの第1の端部から外に向けて延在する材料の延長部分を含むことができ、それによって、成形された、柔軟な延長部分を生成することができる。両方の実施形態において、柔軟な延長部分の内側の輪郭は、カテーテル管の外側の輪郭に近く、それによって、カテーテル管の外側面と柔軟な延長部の内側の面との間に小さい空気隙間が作成される。この空気隙間によって、カテーテル管が柔軟な延長部とは無関係に動くことができる。
【0020】
柔軟な延長部は、一般に、内側の面、外側の面、および長さによって規定される管状であり、この長さは、柔軟な延長部の近位端と遠位端の間の距離として定義されるものである。内側面と外側面の間の厚さは、延長部がテーパーを付けられているように、上記長さに沿って変わる。例えば、柔軟な延長部の近位端は、カテーテルアダプターの第1の端部に取り付けられて、カテーテルアダプターの第1の端部から出て遠位端で終わるように縦方向に延在する。一実施形態では、柔軟な延長部の近位端は、遠位端の厚さより大きい厚さを有している。
【0021】
上述したように、柔軟な延長部の内側面は、カテーテル管の外側の輪郭に近い。柔軟な延長部の内側面のそのような輪郭として、一般には直線状であり、同時に柔軟な延長部の外側の面の輪郭が一般には傾斜したものである。柔軟な延長部の外側の面の傾斜した輪郭は、柔軟な延長部の近位端の外径が遠位端の外径より大きいものである。柔軟な延長部の傾斜した設計によって、柔軟な延長部の厚さとその柔軟性の間の関係が逆の関係となる。例えば、より厚い近位端はより薄い遠位端より柔軟でなく、また、柔軟な延長部の中間部分は、遠位端ほど柔軟ではないが、近位端より柔軟である。
【0022】
柔軟な延長部が支持する効果は、カテーテル管を患者へ挿入した後に実現される。カテーテル管は針の補助によって患者に挿入される。一実施形態では、針は皮下注射針であり、また、針はカテーテルアダプターを介してカテーテル管の内部を通って挿入される。この同じ実施形態では、針先端は、カテーテル管の先端を越えて延在し、それによって、針が患者の中に侵入してカテーテル管を患者の血管系に導入される。カテーテル管が患者の血管系内に置かれた後、針は取り除かれ、また、カテーテルアダプターが患者に固定されることにより、カテーテル管が途中で外されないようにすることができる。一実施形態では、カテーテルアダプターは粘着性のストリップによって患者に固定される。カテーテルアダプターの固定は、カテーテルアダプターを患者の外側の面に平行にした後に行われる。カテーテルアダプターを位置合わせすることにより、カテーテル管に対するカテーテルアダプターの角度を変更し、それによって、カテーテル管の根元部分がカテーテルアダプターの新しい角度に適応するためにアーチ状になることが必要となる。この時点で、柔軟な延長部は、根元部分のアーチ状に沿った形になり、これにより、柔軟な延長部はカテーテル管の根元部分を支持してカテーテル管の根元部分での閉塞を防止することができる。
【0023】
根元部分の近位端は、カテーテルアダプターの第1の端部に隣接している根元部分のその部分、または柔軟な延長部の近位端によって覆われる根元部分のその部分である。根元部分の遠位端は、柔軟な延長部の遠位端によって覆われる根元部分のその部分である。柔軟な延長部の傾斜した特徴によって、根元部分の近位端でより堅い(すなわち、より柔軟でない)支持となり、また、根元部分の遠位端でより堅くない支持(すなわち、より柔軟である)となる。この特徴は、カテーテル管を捩るための支点として作用するカテーテルアダプターの第1の端部に隣接することに起因して、根元部分の近位端で閉塞の可能性が増すという理由で、重要である。柔軟な延長部の傾斜した特徴は、根元部分を通した全体的な梃子の作用を徐々に減らす作用をし、それによって、カテーテルアダプターの第1の端部の支点としての作用を減少させ、根元部分内の閉塞を防止することができる。
【0024】
柔軟な延長部によって、カテーテルの根元部分の遮へいも行われる。カテーテルが患者に挿入される際、カテーテルの挿入されていない部分が柔軟な延長部によって覆われて、柔軟な延長部の遠位端が患者の皮膚に接触し、それよって、根元部分が、あり得る汚染に対して露出することを少なくすることができる。さらに、柔軟な延長部の遠位端はマーカー機能の役割を果たし、それによって、専門家は、柔軟な部材の遠位端が患者と接触する位置であって、専門家がカテーテルの挿入を止めるべき位置までカテーテルを挿入することができる。この位置で、カテーテルの最適な長さが挿入されないままであり、それによって、適切に移行するアーチが、閉塞の最小の可能性で形成されることが保証される。さらに、柔軟な延長部は、カテーテルがさらに挿入されることを防止し、それによって、カテーテルの正しい挿入角度を維持することができる。
【0025】
上で挙げた特徴事項並びに他の特徴事項および本発明の利点を得るための方法が容易に理解されるように、簡単に上記で説明された発明のより詳細な説明を、添付の図面に記載された具体的な実施形態を参照して行う。これらの図面は発明の典型的な実施形態だけを描くものであり、従って、それによって発明の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】柔軟な延長支持装置を有した伸ばされた第1の端部を備えたカテーテルアダプターを含むカテーテルアセンブリの斜視図である。
【図2】取り付けられたカテーテル管およびカテーテルアダプターの第1の端部に関して、柔軟な延長部支持装置を示すカテーテルアセンブリの断面図である。
【図3】柔軟な延長部支持装置の詳細な断面図である。
【図4】カテーテルを患者に挿入した後のカテーテルアセンブリの部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の現在の好適な実施形態は、図の参照によって最も良く理解され、この図において同様の参照番号は同一または機能的に同様な要素を示している。図において概略的に記述され例示されるものとしての本発明の構成要素が、多種多様な様々な構成において、配置し、また、設計できることを容易に理解できる。従って、以下のより詳細な説明は、図において表されているように、請求する発明の範囲を制限することを意図するものでなく、単に、発明の現在の好ましい実施形態を表すものである。
【0028】
図1を参照すると、カテーテルアダプター12とカテーテル管14を有したカテーテルアセンブリ10が示されている。カテーテルアダプター12は、概略、第1の端部16と第2の端部18を備えた円筒形のものであり、ここで、第1の端部16は柔軟な延長部20に取り付けられ、第2の端部18は注入システム(不図示)に取り付けることができるものである。カテーテル管14は、カテーテルアダプター12に流体密閉の方法で取り付けられ、それによって、カテーテルアセンブリ10による液体の投与の目的で、流体をカテーテルアダプター12からカテーテル管14に移すことができる。カテーテル管14は、概略、近位端26と遠位端28を備えた円筒形のものであり、ここで、近位端26は根元部分30を有し、また、遠位端28はカテーテル先端32を有している。カテーテル先端32はテーパーを付けられて、カテーテル先端32の外径がカテーテル管14の遠位端28の開口に集中するものとなり、それによって、カテーテルの患者の血管系への導入をより容易にしている。
【0029】
カテーテルアダプター12の第2の端部18は取り付けアダプター22を備え、これにより、カテーテルアセンブリ10を注入システム(不図示)に取り付けることが可能になる。取り付けアダプター22は、適合する一組の雌ねじを受けるための一組の雄ねじを含むことができ、これにより、流体密閉接続を形成することができる。カテーテルアダプター12の第2の端部18は、また、十分に開いており、それによって、針アセンブリおよび/または雄ルアーをカテーテルアダプター12に流体密閉方法で取り付けることができる。取り付けアダプター22は、また、必要に応じて、針アセンブリまたは雄ルアーを取り付けるのに用いることができる。
【0030】
カテーテルアダプター12は、また、把持機構24を備え、これによって、カテーテルアセンブリ10を操作する際や固定する際に補助となることもできる。把持機構24は、最適な把持面を与えるよう配置された、一組の成形された環状のリングを備える。把持機構24は、把持機能を増大させる目的を実現するように表面組織および/または追加の材料をも含むことができる。把持機構24は、カテーテルアダプター12全体の構造に対して剛性を与えるものでもある。
【0031】
図2および図3を参照すると、カテーテル管14は、管インサート40をカテーテル管14のアダプター端42に挿入することによって、カテーテルアダプター12に機械的に取り付けられ、それによって、管インサート40がカテーテル管14をカテーテルアダプター12の管腔内に流体密閉方法で固定することができる。カテーテル管14の根元部分30は、柔軟な延長部20の中に隠され、それによって、柔軟な延長部は望ましくない閉塞に対してカテーテル管14の根元部分30を支持する。柔軟な延長部20は、概略、内側の面60および外側の面62と、長さとによって規定される管状のものである。この長さは、柔軟な延長部20の近位端46と遠位端48との間の距離として規定される。柔軟な延長部は、カテーテルアダプターl2の第1の端部16を半径方向における中心とされ、これによって、カテーテルアダプター12の第1の端部16と柔軟な部材20の外側の面62との間にステップ72が形成される。柔軟な延長部20の管壁の厚さは、柔軟な延長部20の長さに沿って変化し、それによって、柔軟な延長部20は長さに沿ってテーパーが付けられたものとなる。例えば、近位側の管壁の厚さ64は遠位側の管壁の厚さ66より厚く、この場合に、管壁の厚さは、柔軟な延長部20の近位端46から遠位端48にかけて漸減する。
【0032】
柔軟な延長部20の内側の面60は、カテーテル管14の外側の輪郭68に近く、それによって、柔軟な延長部20の内側面60とカテーテル管14の外側面74が平行となる。さらに、カテーテル管14の外側面74と柔軟な部材20の内側面60との間に空気隙間68が設けられ、それによって、カテーテル管14の根元部分30は、柔軟な延長部20と無関係に動くことができる。柔軟な延長部20管壁の漸減する厚さは、柔軟な延長部20の外側面62が柔軟な延長部20の内側面60の輪郭に対して傾斜していることに起因したものであり、この場合に、傾斜部の高さが、柔軟な延長部20の近位端46から遠位端48にかけて減少する。柔軟な延長部20のこの傾斜した外側面62は、傾斜した角度θを90°未満の角度に設定することによって成し遂げられる。
【0033】
柔軟な延長部20の傾斜した外側面62によって、管壁の厚さと管壁の柔軟性との間の逆の関係が与えられる。例えば、近位側の管壁厚さ64は遠位側の管壁厚さ66より厚いが、近位側の管壁厚さ64の柔軟性は遠位側の管壁厚さ66の柔軟性より少ない。柔軟な延長部20の長さに沿ったこの逆の関係はより大きい柔軟性を与え、これにより、根元部分の遠位端72に対してより少ない支持が可能となる。さらに、この逆の関係はより少ない柔軟性を与え、それによって、閉塞が起こる可能性がより高い、根元部分30の近位端70に対してより多い支持が可能となる。
【0034】
例えば、根元部分30の近位端70は、カテーテルアダプター12の第1の端部16が近接しているため閉塞のより大きな可能性を有している。従って、柔軟な延長部20無しでは、カテーテルアダプター12の第1の端部16は、カテーテル管14が動くときにその上で根元部分30の近位端70が曲がり得る支点として作用する。従って、柔軟な延長部20がより少ない柔軟性を与えることにより、近位端70がカテーテルアダプター12の第1の端部16隣接している、根元部分30の近位端70により多くの支持を与え、それによって、根元部分30の近位端70に対するカテーテルアダプター12の第1の端部16による支点作用を最小化することができる。
【0035】
さらに、カテーテルアダプター12の第1の端部16までの距離が増加するに従って閉塞の可能性が減少するという、閉塞の可能性に対して逆の関係が存在している。例えば、根元部分30の近位端70がカテーテルアダプター12の第1の端部16の近くに位置する場合は、閉塞の可能性は大きく、従って、柔軟な延長部20は、根元部分30のこの端部70に追加の支持を与える必要がある。逆に、根元部分30の遠位端72がカテーテルアダプター12の第1の端部16から遠くに位置する場合は、閉塞の可能性は少なく、従って、柔軟な延長部20は、根元部分30のこの端部72に最小の支持を与えればよい。閉塞の可能性についての逆の関係によって柔軟な延長部20のテーパー付けが決定され、その場合に、テーパー付けは、閉塞の可能性がカテーテル管14の根元部分30全体で最小化されように選ばれる。
【0036】
図4を参照すると、患者82の血管系80に挿入されたカテーテル管14を示したカテーテルアセンブリ10が記載されている。カテーテル管14は患者82に挿入され、それによって、カテーテル先端32および針(不図示)が、約30度の角度θ´で患者82の皮膚に入る。一度カテーテル先端32と針が血管系80の内部に到達すると、カテーテル管14は血管系80内に進められ、針がカテーテル管14から取り除かれる。針が取り除かれるので、カテーテル管14とカテーテル先端32は血管系80内に留まり、その結果、カテーテル管は患者82内で再調整することにより、カテーテル管14は患者82内で入力角θ’で置かれ、また、カテーテル先端は血管系80の壁と概略平行になる。針の除去の後に、カテーテルアダプター12は患者82に固定され、それによって、カテーテルアダプター12は患者82と概略平行になる。この位置で、カテーテル管14の根元部分30はアーチ状になって、カテーテル管14のカテーテルアダプター12から患者82への変移を達成することができる。さらに、柔軟な延長部20は、アーチ状の根元部分30によってアーチ状に付勢され、アーチ状の柔軟な延長部20は、それによって、根元部分30に追加の支持を加えることによりアーチ状の根元部分30を支え、これにより、カテーテル管14が根元部分30で閉塞することを防止することができる。
【0037】
本発明は、ここで広く記載され、また、以下で請求される、その構造、方法、または他の必須の特徴から離れずに、他の具体的な形態において具体化できるものである。記載された実施形態は、すべての点で説明のためであって制限的でないものとして考慮されるものである。従って、本発明の範囲は、上述の記載よりも請求の範囲によって示されるものである。請求の範囲と等価な意味と範囲内に入る総ての変更は、それらの範囲内に含まれるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアダプターのための支持装置であって、カテーテルアダプターの第1の端部から延在している柔軟な部材を具え、前記柔軟な部材がカテーテル管の根元部分を取り囲むことにより汚染および予期しない閉塞からカテーテル管を保護することを特徴とする支持装置。
【請求項2】
前記柔軟な部材が前記カテーテルアダプターより柔軟であることを特徴とする請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
前記根元部分が前記カテーテルアダプターの第1の端部に近接していることを特徴とする請求項2に記載の支持装置。
【請求項4】
前記柔軟な部材は、前記カテーテル管の外側面の直径に近い内側面の直径を有し、 前記内側面の直径が前記外側面の直径よりわずかに大きいことにより、これら2つの面の間に空気隙間が維持される。
【請求項5】
前記柔軟な部材は、前記カテーテルアダプターの第1の端部の近くの第1の外径と前記カテーテルアダプターの第1の端部から遠くにある第2の外径とを有した外側面を有し、前記第1の外径が前記第2の外径より大きいことにより、前記柔軟な部材の外側面は前記第1の外径から前記第2の外径へと内側に向かうテーパーが付いていることを特徴とする請求項4に記載の支持装置。
【請求項6】
前記柔軟な部材は、前記第1の外径のところの第1の管壁厚さと前記第2の外径のところの第2の管壁厚さを有した管状であることにより、前記第1の管壁厚さがの第2の管壁厚さより厚いことを特徴とする請求項5に記載の支持装置。
【請求項7】
前記第1の管壁厚さは、前記第2の管壁厚さより柔軟ではないことを特徴とする請求項6に記載の支持装置。
【請求項8】
前記カテーテルアダプターは、第2の端部と本体をさらに有し、前記本体は前記第1の端部と前記第2の端部の間にスペースを規定し、前記第2の端部は当該第2の端部の前記外径上に環状に配置されたルアー固定部を有し、前記本体は前記カテーテル管が収納される管腔をさらに有することにより、前記カテーテルアダプターの前記管腔と前記カテーテル管との間で連続した流体連通が生じることを特徴とする請求項7に記載の支持装置。
【請求項9】
前記柔軟な部材によって保護機能が与えられることにより、前記カテーテル管の前記根元部分が前記柔軟な部材の保護によって外部の汚染から守られることを特徴とする請求項7に記載の支持装置。
【請求項10】
柔軟な部材はマーカー機能を与えることにより、カテーテル管は、カテーテル管がそれ以上挿入できない位置である、前記柔軟な部材の前記第2の外径が患者と接触する位置まで、患者に挿入され、それによって、カテーテル管の過挿入を防止することを特徴とする請求項7に記載の支持装置。
【請求項11】
カテーテル管の根元部分を閉塞から保護する方法であって、
カテーテルアダプターの第1の端部を延在させることによって、前記カテーテル管の根元部分が覆われるようにし、それによって前記根元部分をカテーテルアダプターの柔軟な延長部内で支持し、
前記柔軟な延長部を、テーパーが付けられた外側面を有するようにして、前記柔軟な延長部の第1の外径が前記柔軟な延長部の第2の外径より大きくし、
前記柔軟な延長部の内側面と前記カテーテル管の根元部分の外側面の間に空気隙間を与え、
前記柔軟な延長部が、概略前記カテーテル管より柔軟でなく、また、概略カテーテルアダプターの第1の端部より柔軟であるようにする、
工程を有したことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記柔軟な延長部は、前記カテーテル管の過挿入を防止することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記根元部分が前記カテーテルアダプターの第1の端部に近接していることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記カテーテルアダプターが第2の端部と本体をさらに有し、前記本体は前記カテーテル管が収納される管腔を有することにより、前記管腔と前記カテーテル管の間で流体連通が生じることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の端部は、前記第2の端部の外側面に環状に配置されたルアー固定部をさらに有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
カテーテルアダプター支持システムであって、カテーテル管の根元部分を柔軟に支持し、それによって、前記カテーテルの根元部分を閉塞から守るための柔軟手段
を具えたことを特徴とする支持システム。
【請求項17】
前記柔軟手段は、前記カテーテル管の過挿入を防止することを特徴する請求項16に記載の支持システム。
【請求項18】
前記カテーテル管は前記柔軟手段より柔軟であることを特徴する請求項16に記載の支持システム。
【請求項19】
前記柔軟手段は前記カテーテル管の根元部分を取り囲むことを特徴する請求項18に記載の支持システム。
【請求項20】
前記柔軟手段と前記カテーテル管の根元部分との間に空気隙間が設けられることを特徴する請求項19に記載の支持システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−506042(P2011−506042A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539623(P2010−539623)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/086097
【国際公開番号】WO2009/079278
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】