説明

収率損失を低減させたヒドロシアノ化法

【数1】


本発明は、a)エチレン型不飽和ニトリル、シアン化水素、および触媒前駆体組成物を連続的にフィードすることにより、5個の炭素原子を有するエチレン型不飽和ニトリル、シアン化水素、および触媒前駆体組成物を含む反応混合物を少なくとも1つのルイス酸の存在において形成すること;b)商Q(I)(ここで、3PNは3−ペンテンニトリルであり、4PNは4−ペンテンニトリルである)の値が約0.2から約10の範囲となるように、Xに対する値を約0.001から約0.5の範囲で、ならびにZに対する値を約0.5/1から約0.99/1の範囲で選択することにより、XおよびZ(ここで、Xは全不飽和ニトリルに対する2−ペンテンニトリルの全フィードモル比であり、Zは全不飽和ニトリルに対するシアン化水素の全フィードモル比である)を制御すること;およびc)アジポニトリルを含む反応生成物混合物を抜き出すことを含んでなり;ここで、反応混合物中の3−ペンテンニトリルの濃度に対する2−ペンテンニトリルの濃度の比が約0.2/1から約10/1の範囲にあり;触媒前駆体組成物がゼロ価ニッケルと少なくとも1つの二歯型ホスファイト配位子を含み;ならびに二歯型ホスファイト配位子がこの明細書中に述べられている式IおよびIIにより表される群のメンバーから選択される、アジポニトリルと、6個の炭素原子を有する他のジニトリルを製造するヒドロシアノ化方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願へのクロスリフェレンス)
この出願は、出願番号60/830,864、60/830,869、60/830,970、60/830,865、および60/830,986として2006年7月14日同時出願された共同譲渡出願に関する。
【0002】
本発明の方法は、5個の炭素原子を有するエチレン型不飽和ニトリルをヒドロシアノ化して、アジポニトリル(ADN)と他のジニトリルを製造することを指向する。特に、本発明は、ゼロ価ニッケルと少なくとも1つの二歯型ホスファイト配位子(bidentate phosphite ligand)を含む触媒前駆体組成物を少なくとも1つのルイス酸促進剤の存在において使用して、3−ペンテンニトリル(3PN)および/または4−ペンテンニトリル(4PN)、および場合によっては2−ペンテンニトリル(2PN)をヒドロシアノ化するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
特にエチレン型不飽和化合物のヒドロシアノ化に関するヒドロシアノ化触媒系が記述されてきた。例えば、1,3−ブタジエン(BD)をヒドロシアノ化して、ペンテンニトリル(PN)異性体を形成するのに有用な系、およびペンテンニトリルを以降にヒドロシアノ化して、アジポニトリル(ADN)を形成するのに有用な系が商業的に重要なナイロン合成分野で既知である。
【0004】
【化1】

【0005】
単歯型ホスファイト配位子を含む遷移金属錯体を用いるエチレン型不飽和化合物のヒドロシアノ化が先行技術で列挙されている。例えば、(特許文献1);(特許文献2);(特許文献3);および(特許文献4)と、(非特許文献1)を参照のこと。ある多歯型ホスファイト配位子を使用することによるエチレン型不飽和化合物のゼロ価ニッケル接触ヒドロシアノ化における改善も開示されている。このような改善は、例えば(特許文献5);(特許文献6);(特許文献7);および(特許文献8)で述べられている。
【0006】
共役エチレン型不飽和化合物(例えば、BDおよびスチレン)、および歪エチレン型不飽和化合物(例えば、ノルボルネン)などの活性化されたエチレン型不飽和化合物のヒドロシアノ化は、ルイス酸促進剤を使用しなくとも有用な速度で進行する。しかしながら、1−オクテンおよび3PNなどの活性化されていないエチレン型不飽和化合物のヒドロシアノ化は、n−オクチルシアニドおよびADNなどの線状ニトリルの製造のために工業的に有用な速度と収率を得るにはルイス酸促進剤の使用を必要とする。
【0007】
ヒドロシアノ化反応における促進剤の使用は、例えば(特許文献9)で開示されている。この特許は、ニッケル触媒促進剤として多様な対イオン付きの多数の金属カチオン化合
物から選択される促進剤を用いるヒドロシアノ化における改善を開示している。(特許文献10)は、トリフェニルホウ素およびアルカリ金属ホウ水素化物を含む種々のホウ素含有化合物により促進されたニッケルヒドロシアノ化触媒を開示している。(特許文献11)は、ペンテンニトリルを含む不飽和ニトリルからADNを含むジニトリルをゼロ価ニッケル触媒とトリ有機スズ促進剤の存在において製造するための方法を開示している。更に、(特許文献12)は、ADN合成の所望する反応動力学にしたがって選択される促進剤の相乗的な組み合わせ物の存在において、ペンテンニトリルをゼロ価ニッケル接触ヒドロシアノ化することによりADNを製造するための方法を開示している。更には、多歯型ホスファイト配位子付きのゼロ価ニッケル触媒を用いて、ペンテンニトリルをヒドロシアノ化して、ADNを製造することを促進するのにルイス酸を使用することも開示されている。例えば、(特許文献13);(特許文献14);(特許文献15);(特許文献16);および(特許文献17)を参照のこと。
【0008】
3PNおよび4PNをヒドロシアノ化して、ADNを製造することに付随して、3PNのシス−およびトランス−2PNへの若干の異性化が起こる可能性があるということが先行技術で報告されている。しかしながら、Ni[P(OCなどの単歯型ホスファイト配位子から誘導されるニッケル触媒を用いて、3PNと4PNをヒドロシアノ化する方法において、米国特許第3,564,040号は、シス−もしくはトランス−2PNの存在が低濃度でも触媒効率に有害であり、2PNが収率損失ならびに触媒毒を構成するので、2PNの生成が望ましくないということを述べている。
【0009】
この問題に対処するために、(特許文献18)は、2PNの定常状態濃度を反応混合物中に存在するニトリル基準で5モルパーセント以下に維持する方法を述べている。トランス−2PNは、相対的な揮発性が近いことにより3PNと4PNの混合物から蒸留により分離することが困難であるために、開示されている方法は、トランス−2PNをシス−2PNに触媒異性化し、続いてペンテンニトリル異性体の混合物を分別蒸留して、揮発性シス−2PN異性体を除去することを包含する。トランス−2PNのシス−2PNへの異性化に使用される触媒系は、ペンテンニトリルのADNへのヒドロシアノ化にも機能する触媒、特に、(特許文献19)および(特許文献20)で述べられている単歯型ホスファイト配位子から誘導されるニッケル触媒である。
【0010】
トランス−2PNをシス−2PNに異性化するための代替の触媒系は、(特許文献21)および(特許文献22)で開示されている。その中で述べられている触媒系の主な利点は、ペンテンニトリル異性体中での認識可能な炭素−炭素二重結合移動の回避にあり、そのことによって3PNが2PNに実質的に更なる異性化を起こさずに、トランス−2PNのシス−2PNへの異性化が可能となる。(特許文献23)で述べられている触媒は、トリフェニルメチルブロミドなどの一般式RC−X(式中、Rは18個までの炭素原子を有するアリール基であり、−Xは−H、−Cl、−Br、−I、−SH、−B(C、−PF、−AsF、−SbF、および−BFからなる基である)の化合物であり、(特許文献24)で述べられている触媒系は、塩化亜鉛とトリフェニルホスフィンとの組み合わせ物などのルイス酸/ルイス塩基組成物である。
【0011】
3PNと4PNを含有するペンテンニトリル異性体の混合物から2PNを除去する異なる方法が(特許文献25)で開示されている。亜硫酸および重亜硫酸イオンとアンモニウムもしくはアルカリ金属カチオンを含む処理剤の水溶液とニトリルの混合物を接触させることにより、2PNおよび/または2−メチル−2−ブテンニトリル(2M2BN)を3PNと4PNを含有するペンテンニトリル異性体の混合物から選択的に分離して、2PNおよび/または2M2BNの重亜硫酸塩付加物を含有する水相と、2PNと2M2BNを実質的に含まない、3PNと4PNを含有する有機相を製造することができる。回収される有機相は、更にヒドロシアノ化して、触媒効率に有害な所望しない副生成物の2PNの
量を大きく低減しながらADNを製造するためのペンテンニトリルのフィード材料を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第3,496,215号
【特許文献2】米国特許第3,631,191号
【特許文献3】米国特許第3,655,723号
【特許文献4】米国特許第3,766,237号
【特許文献5】米国特許第5,821,378号
【特許文献6】米国特許第5,981,772号
【特許文献7】米国特許第6,020,516号
【特許文献8】米国特許第6,284,865号
【特許文献9】米国特許第3,496,217号
【特許文献10】米国特許第3,496,218号
【特許文献11】米国特許第4,774,353号
【特許文献12】米国特許第4,874,884号
【特許文献13】米国特許第5,512,696号
【特許文献14】米国特許第5,723,641号
【特許文献15】米国特許第5,959,135号
【特許文献16】米国特許第6,127,567号
【特許文献17】米国特許第6,646,148号
【特許文献18】米国特許第3,564,040号
【特許文献19】米国特許第3,496,217号
【特許文献20】米国特許第3,496,218号
【特許文献21】米国特許第3,852,325号
【特許文献22】米国特許第3,852,327号
【特許文献23】米国特許第3,852,325号
【特許文献24】米国特許第3,852,327号
【特許文献25】米国特許第3,865,865号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Tolman et.al.,Advances in Catalysis,1985,33,1.
【発明の概要】
【0014】
米国特許第6,127,567号は、二歯型ホスファイト配位子から誘導されるニッケル触媒前駆体組成物と、単歯型ホスファイトから誘導されるニッケル触媒を用いる先行方法よりも高速、選択的、効率的かつ安定である、モノエチレン型不飽和化合物をヒドロシアノ化するための方法を開示している。米国特許第5,688,986号は、この類の触媒の少なくとも1つのメンバーがニトリルに共役しているオレフィン、例えば2PNをヒドロシアノ化する能力があるということを開示している。本発明は、米国特許第6,127,567号で述べられているある触媒前駆体組成物を用いて、ペンテンニトリルをヒドロシアノ化して、ジニトリル、特にADNを製造するための新規な方法を提供する。このような方法は、触媒効率に及ぼす2PNの有害な影響を克服し、ペンテンニトリルヒドロシアノ化反応における2PNへの収率損失を大きく低減させるか、もしくは無くすことができる。
【発明の要約】
【0015】
第1の局面においては、本発明は、a)エチレン型不飽和ニトリル、シアン化水素(H
CN)、および触媒前駆体組成物を連続的にフィードすることにより、5個の炭素原子を有するエチレン型不飽和ニトリル、シアン化水素、および触媒前駆体組成物を含む反応混合物を少なくとも1つのルイス酸の存在において形成すること;b)商Q
【0016】
【数1】

【0017】
(ここで、3PNは3−ペンテンニトリルであり、4PNは4−ペンテンニトリルである)の値が約0.2から約10の範囲となるように、Xに対する値を約0.001から約0.5の範囲で、ならびにZに対する値を約0.5から約0.99の範囲で選択することにより、XおよびZ(ここで、Xは全不飽和ニトリルに対する2−ペンテンニトリルの全フィードモル比であり、Zは全不飽和ニトリルに対するシアン化水素の全フィードモル比である)を制御すること;およびc)アジポニトリルを含む反応生成物混合物を抜き出すことを含んでなり;ここで、反応混合物中の3−ペンテンニトリルの濃度に対する2−ペンテンニトリルの濃度の比が約0.2/1から約10/1の範囲にあり;触媒前駆体組成物がゼロ価ニッケルと少なくとも1つの二歯型ホスファイト配位子を含み;ならびに二歯型ホスファイト配位子が式IおよびII(全ての類似の参照文字は更に明白に限定されている場合を除いて同一の意味を有する)
【0018】
【化2】

【0019】
(式中、各Rはメチル、エチル、および3から6個の炭素原子の一級ヒドロカルビルからなる群から独立に選択され;各Rは1から6個の炭素原子の一級および二級ヒドロカルビルからなる群から独立に選択され;ならびに各R11、R12、R13、R21、R
22、およびR23は、H、アリール、および1から6個の炭素原子の一級、二級もしくは三級ヒドロカルビルからなる群から独立に選択される)により表される群のメンバーから選択される、アジポニトリルと6個の炭素原子を有する他のジニトリルを製造するヒドロシアノ化方法を提供する。
【0020】
本発明のもう一つの局面は、Xに対する選択された値が約0.01から約0.25の範囲にあり;Zに対する選択された値が約0.70から約0.99の範囲にあり;Qの値が約1から約5の範囲にあり;ならびに反応混合物中の3−ペンテンニトリルの濃度に対する2−ペンテンニトリルの濃度の比が約1/1から約5/1の範囲にある方法である。
【0021】
本発明のもう一つの局面は、全不飽和ニトリルに対する2−ペンテンニトリルの全フィードモル比が独立した方法で製造される2−ペンテンニトリルの添加により、もしくは工程内の反応生成物混合物からの2−ペンテンニトリルの直接的な再循環により制御される方法である。
【0022】
本発明のもう一つの局面は、2−ペンテンニトリルがペンテンニトリルヒドロシアノ化法に由来する方法である。
【0023】
本発明のもう一つの局面は、3−ペンテンニトリルが1,3−ブタジエンヒドロシアノ化法に由来する方法である。
【0024】
本発明のもう一つの局面は、触媒前駆体組成物が少なくとも1つの単歯型ホスファイト配位子を更に含んでなる方法である。
【0025】
本発明のもう一つの局面は、約0.01から約2.5のジニトリルに対するペンテンニトリルのモル比を持つ反応生成物混合物が液体−液体抽出法にフィードされる方法である。
【0026】
本発明のもう一つの局面は、2−ペンテンニトリルが抽出物、ラフィネートまたは液体−液体抽出法の抽出物およびラフィネート相の蒸留に由来する方法である。
【0027】
本発明のもう一つの局面は、少なくとも1つの二歯型ホスファイト配位子が
式I(式中、各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=H、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=メチル、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=H、各R13=メチル、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式II(各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=H、および各R13=H)
により表される化合物;
式II(各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=メチル、および各R13=H)
により表される化合物;
式II(各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=H、および各R13=メチル)
により表される化合物;
式I(各R=メチル、各R=メチル、
各R11=H、各R12=H、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(各R=メチル、各R=メチル、
各R11=H、各R12=メチル、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(各R=メチル、各R=メチル、
各R11=H、各R12=H、各R13=メチル、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(各R=メチル、各R=メチル、
各R11=H、各R12=H、各R13=H、
各R21=メチル、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(各R=メチル、各R=メチル、
各R11=H、各R12=メチル、各R13=H、
各R21=メチル、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(各R=メチル、各R=メチル、
各R11=H、各R12=H、各R13=メチル、
各R21=メチル、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式II(各R=メチル、各R=シクロペンチル、
各R11=H、各R12=H、および各R13=H)
により表される化合物;
式II(各R=メチル、各R=シクロペンチル、
各R11=H、各R12=メチル、および各R13=H)
により表される化合物;
式II(各R=メチル、各R=シクロペンチル、
各R11=H、各R12=H、および各R13=メチル)
により表される化合物;
式I(各R=エチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=H、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;および
式I(各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=tert−ブチル、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物
からなる群のメンバーから選択される方法である。
【0028】
本発明のもう一つの局面は、ルイス酸促進剤が塩化亜鉛、塩化鉄(II)、塩化マンガン(II)、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む方法である。
【0029】
本発明のもう一つの局面は、反応混合物の温度が約20℃から約90℃で維持される方法である。
【0030】
本発明のもう一つの局面は、反応混合物の温度が約35℃から約70℃で維持される方法である。
【0031】
本発明のもう一つの局面は、少なくとも1つの二歯型ホスファイト配位子が
式I(各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=H、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=メチル、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;および
式II(各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=H、および各R13=H)
により表される化合物
からなる群のメンバーから選択される方法である。
【0032】
上記の触媒前駆体組成物を使用することによって、5個の炭素原子を有するエチレン型不飽和ニトリルをヒドロシアノ化反応させて、ADNと6個の炭素原子を有する他のジニトリルを製造する場合、反応混合物中の3PNの濃度に対する2PNの濃度の比を約0.2/1から約10/1で制御することにより、3PNから2PNが同時生成することによる収率損失を低減もしくは無くすことができるということを見出した。
【0033】
反応混合物中の3PNの濃度に対する2PNの濃度の比を制御することは、全不飽和ニトリルに対する2PNの全フィードモル比の「X」を制御すること、ならびに全不飽和ニトリルに対するHCNの全フィードモル比の「Z」を制御することにより達成可能である。商Q
【0034】
【数2】

【0035】
(ここで、3PNは3−ペンテンニトリルであり、4PNは4−ペンテンニトリルである)の値が約0.2から約10の範囲となるように、Xに対する値を約0.001から約0.5の範囲で、ならびにZに対する値を約0.5から約0.99の範囲で選択することにより、XおよびZ(ここで、Xは全不飽和ニトリルに対する2−ペンテンニトリルの全フィードモル比であり、Zは全不飽和ニトリルに対するシアン化水素の全フィードモル比である)を制御することにより、XおよびZが制御可能である。反応混合物中の3PNの濃度に対する2PNの濃度の比を約1/1から約5/1まで制御する場合、例えば、商Qの値が約1から約5の範囲になるように、Xに対する値を約0.01から約0.25の範囲で、ならびにZに対する値を約0.70から約0.99の範囲で選択することにより、XおよびZが制御可能である。
【0036】
モノエチレン型不飽和化合物のヒドロシアノ化で使用される単歯型ホスファイト配位子(monodentate phosphite ligand)から誘導される先行す
る触媒よりも選択的、効率的かつ安定であると期待される上記の触媒前駆体組成物を使用することにより、ADNを製造するためのこのような新規なペンテンニトリルヒドロシアノ化法は、2PNの定常状態濃度を5モルパーセント(反応混合物中に存在するニトリル基準で)以下に維持するという先行技術の制約を克服することができる。有利なことには、2PNを有価な生成物の3PN、4PN、およびADNに転化するのに、単一のゼロ価ニッケル触媒系と、はるかに少ない工程装置が使用可能である。本発明の方法によって、工程内の反応生成物混合物からの2−ペンテンニトリルの直接的な再循環によりもしくは独立した方法で製造される2−ペンテンニトリルの添加によって、全不飽和ニトリルに対する2PNの全フィードモル比を制御することが可能となる。このような方法の潜在的な利点は、シス−2PN蒸留塔(塔5からの流れ9がペンテンニトリルヒドロシアノ化反応器2に直接にフィードされる、米国特許第3、564、040号の図面中の塔8を参照のこと)に対する投資と、前記塔を運転するための関連変動費と固定コストを無くすることを含むことができる。
【発明の詳細な記述】
【0037】
本発明は、5個の炭素原子を有するエチレン型不飽和ニトリルをヒドロシアノ化して、ADNと6個の炭素原子を有する他のジニトリルを製造するための方法を提供する。ADNは、フィルム、繊維、および成形品の形成において有用なナイロンポリアミドの工業的製造において商業的に多用途で、重要な中間体であるために、特に関心がある。
【0038】
この明細書中で使用される時、用語「5個の炭素原子を有するエチレン型不飽和ニトリル」は、ペンテンニトリルおよびメチルブテンニトリルを意味する。この明細書中で使用される時、用語「不飽和ニトリル」もペンテンニトリルおよびメチルブテンニトリルを意味する。
【0039】
この明細書中で使用される時、用語「2PN」、「2−ペンテンニトリル」は、特記しない限り、シス−2−ペンテンニトリル(シス−2PN)とトランス−2−ペンテンニトリル(トランス−2PN)の両方を含む。同様に、用語「3PN」、「3−ペンテンニトリル」は、特記しない限り、シス−3−ペンテンニトリル(シス−3PN)とトランス−3−ペンテンニトリル(トランス−3PN)を含む。用語「4PN」は4−ペンテンニトリルを指す。
【0040】
5個の炭素原子を有するエチレン型不飽和ニトリルは、シアン化水素(HCN)と1,3−ブタジエン(BD)との反応により製造可能である。単歯型ホスファイト付きの遷移金属錯体(例えば、米国特許第3,496,215号;第3,631,191号;第3,655,723号;および第3,766,237号)と、多歯型ホスファイト配位子付きのゼロ価ニッケル触媒(例えば、米国特許第5,821,378号;第5,981,772号;第6,020,516号;および第6,284,865号)を用いて、BDのヒドロシアノ化
【0041】
【化3】

【0042】
により形成される主な線状ペンテンニトリル生成物はトランス−3PNである。先行技術
で述べられているように、BDのヒドロシアノ化に使用される同一の触媒組成物を使用して、この分岐BDヒドロシアノ化生成物の2−メチル−3−ブテンニトリル(2M3BN)を主としてトランス−3PNに異性化することができる。例えば、米国特許第3,536,748号および第3,676,481号を参照のこと。BDのヒドロシアノ化と2M3BNの異性化からの主なトランス−3PN生成物は、少量の4PN、シス−3PN、2PN、および2M2BN異性体も含有することができる。
【0043】
【化4】

【0044】
3PNおよび/または4PNのヒドロシアノ化時に本発明で有用な2PNを大量に製造して、先行技術で述べられているように、3PNの2PNへの同時異性化から他のジニトリルのなかでADNを形成することができる。当業界で開示されているように、ペンテンニトリル異性体の混合物を分別蒸留することにより、富化されたシス−2PN異性体流れを分離することによって、本発明により使用される単離2PNの源を得ることができる。例えば、米国特許第3,852,327号および第3,564,040号を参照のこと。あるいは、シス−2PNをペンテンニトリル異性体の混合物から単離する必要がない。例えば、当業界で既知の方法によって未反応ペンテンニトリル、ADNと他の6個の炭素ジニトリル、触媒、および促進剤を含むペンテンニトリルヒドロシアノ化反応生成物から真空蒸留により、2PN、3PN、および4PNを含む2PN混合物を分離し得る。次に、この2PN混合物を蒸留塔の副流またはオーバーヘッド流として、ペンテンニトリルヒドロシアノ化法に直接に再循環し得る。別法としては、本発明のヒドロシアノ化反応法をペンテンニトリルの充分に高い転化率で運転することによって、例えば米国特許第6,936,171号で述べられているように、未反応ペンテンニトリル、ADNと他の6個の炭素ジニトリル、触媒、および促進剤を含むペンテンニトリルヒドロシアノ化反応生成物を液体−液体抽出法に直接にフィードすることが可能となり得る。ここで、ジニトリルに対するペンテンニトリルのモル比は約0.01から約2.5である。例えば抽出物、ラフィネートまたはこれらの液体−液体抽出法の抽出物およびラフィネート相を蒸留することにより回収される2PN、3PN、および4PNを含む2PN混合物を本発明のペンテンニトリルヒドロシアノ化法にも再循環し得る。
【0045】
ADNと6個の炭素原子を有する他のジニトリルを製造するためのヒドロシアノ化法は、少なくとも1つのルイス酸の存在において、ならびにゼロ価ニッケルと少なくとも1つの二歯型ホスファイト配位子を含む触媒前駆体組成物を用いて行われ、ここで、二歯型ホスファイト配位子は、式IおよびII(全ての類似の参照文字は更に明白に限定されている場合を除いて同一の意味を有する)
【0046】
【化5】

【0047】
(式中、
各Rはメチル、エチル、および3から6個の炭素原子の一級ヒドロカルビルからなる群から独立に選択され;
各Rは1から6個の炭素原子の一級および二級ヒドロカルビルからなる群から独立に選択され;ならびに
各R11、R12、R13、R21、R22、およびR23は、H、アリール、および1から6個の炭素原子の一級、二級もしくは三級ヒドロカルビルからなる群から独立に選択される)
により表される群のメンバーから選択される。
【0048】
式Iと式IIが三次元分子の二次元表示であり、化学結合の周りの回転が分子中で起こって、図示したものと異なる立体配置を与えることができるということは認識されるであろう。例えば、式Iと式IIのビフェニルおよびオクタヒドロビナフチル架橋基の2−および2’位の間の炭素−炭素結合の周りの回転によって、各式の2個のリン原子が相互に近接し、ホスファイト配位子が単一のニッケル原子に二歯型の形式で結合することができる。用語「二歯型」は当業界で周知であり、配位子の両方のリン原子が単一のニッケル原子に結合しているということを意味する。
【0049】
用語「ヒドロカルビル」は当業界で周知され、少なくとも1つの水素原子が除去されている炭化水素分子を表す。このような分子は単結合、二重結合、および三重結合を含むことができる。
【0050】
用語「アリール」は当業界で周知であり、少なくとも1つの水素原子が除去されている芳香族炭化水素分子を表す。
【0051】
好適なアリール基の例は、6から10個の炭素原子を含有するものを含み、非置換もしくは単一もしくは多重置換であることができる。好適な置換基は、例えば、C−Cヒドロカルビルまたはフッ素、塩素または臭素などのハロゲンまたはトリフルオロメチルなどのハロゲン化ヒドロカルビルまたはフェニルなどのアリールを含む。
【0052】
本発明で有用な各触媒前駆体組成物は、ゼロ価ニッケルがある点において二歯型ホスファイト配位子に結合し、恐らく例えば、初期の触媒組成物のエチレン型不飽和化合物への錯化などの更なる反応がヒドロシアノ化時に起こるという点で「前駆体」組成物と考えられ得る。
【0053】
この明細書中で使用される時、用語「触媒前駆体組成物」は、再循環触媒、すなわち、本発明の方法で使用されて、工程に戻されるか、もしくは工程に戻され、再度使用され得るゼロ価ニッケルと少なくとも1つの二歯型ホスファイト配位子を含む触媒前駆体組成物もその意味内に含む。
【0054】
単歯型ホスファイト配位子が本発明のメリットのある局面を減じないという前提ならば、この触媒前駆体組成物は、少なくとも1つの単歯型ホスファイト配位子を更に含み得る。単歯型ホスファイト配位子は、二歯型ホスファイト配位子の合成からの不純物として存在し得るか、もしくは単歯型ホスファイト配位子が触媒前駆体組成物の更なる成分として添加され得る。
【0055】
この触媒前駆体組成物は、少なくとも1つのルイス酸促進剤を更に含み得る。
【0056】
この二歯型ホスファイト配位子は、式IおよびII(全ての類似の参照文字は更に明白に限定されている場合を除いて同一の意味を有する)
【0057】
【化6】

【0058】
(式中、
各Rはメチル、エチル、および3から6個の炭素原子の一級ヒドロカルビルからなる群から独立に選択され;
各Rは1から6個の炭素原子の一級および二級ヒドロカルビルからなる群から独立に選択され;ならびに
各R11、R12、R13、R21、R22、およびR23は、H、アリール、および1から6個の炭素原子の一級、二級もしくは三級ヒドロカルビルからなる群から独立に選択される)
により表される群のメンバーから選択される。本発明の触媒前駆体組成物で有用な配位子は、米国特許第6,171,996号および第5,512,696号で概述され、上記に定義するように、式Iと式IIにより上記に例示されている。一つの好ましい式Iの配位子(本発明の実施例における配位子「A」)においては、各Rはメチルであり、各Rはイソプロピルであり、各R11、R12、R13、およびR21は水素であり、各R22およびR23はメチルである。第2の好ましい式Iの配位子(実施例における配位子「B」)においては、各Rはメチルであり、各Rはイソプロピルであり、各R11、R13、およびR21は水素であり、各R12、R22、およびR23はメチルである。一つの好ましい式IIの配位子(実施例における配位子「C」)においては、各Rはメチルであり、各Rはイソプロピルであり、各R11、R12、およびR13は水素である。
【0059】
本発明で使用される触媒前駆体組成物において有用な配位子の合成は、参照によりこの明細書中に組み込まれている、米国特許第6,171,996号で述べられている。配位子「A」に対しては、例えば2等量のo−クレゾールと三塩化リンとの反応によって、対応するホスホロクロリダイトが得られる。ホスホロクロリダイトと3,3’−ジ−イソプロピル−5,5’,6,6’−テトラ−メチル−2,2’−ビフェノールとをトリエチル
アミンの存在において反応することによって、配位子「A」が得られる。粗二歯型ホスファイト配位子は、参照によりこの明細書中に組み込まれている、米国特許第6,069,267号で述べられている方法により仕上げ可能である。その中で開示されているように、二歯型ホスファイト配位子生成物混合物は、通常、所望の生成物を約70%から約90%選択率で含有することができ、単歯型ホスファイトなどの他のホスファイト副生成物が生成物混合物の残りを埋める。二歯型ホスファイト配位子はそれ自身またはこれらの二歯型/単歯型ホスファイト配位子混合物は本発明による使用に好適である。
【0060】
この方法に使用される触媒前駆体組成物は、理想的には、一酸化炭素、酸素、および水を実質的に含んではならず、米国特許第6,171,996号でも述べられている当業界で周知の方法により予備形成されるか、もしくは系内で作製され得る。この触媒前駆体組成物は、二歯型ホスファイト配位子と当業界で周知のNi(COD)、Ni[P(O−o−CCH、およびNi[P(O−o−CCH(C)などの有機ホスファイト配位子により容易に置き換えられる配位子を有するゼロ価ニッケル化合物を接触させることにより形成され得る。ここで、1,5−シクロオクタジエン(COD)、トリス(オルト−トリル)ホスファイト[P(O−o−CCH]、およびエチレン(C)が易置換性配位子である。米国特許第3,903,120号で述べられているように元素状ニッケル、好ましくはニッケル粉末もハロゲン化触媒と合体されるとゼロ価ニッケルの好適な源である。別法としては、本発明で有用なゼロ価ニッケルの源として機能させるためには、二価ニッケル化合物が有機ホスファイト配位子の存在において還元剤と合体され得る。好適な二価ニッケル化合物は、式NiY(ここで、Yはハライド、カルボキシレートまたはアセチルアセトネートである)の化合物を含む。好適な還元剤は、金属ホウ水素化物、金属アルミニウム水素化物、金属アルキル、Zn、Fe、Al、NaまたはHを含む。例えば、米国特許第6,893,996号を参照のこと。触媒前駆体組成物においては、この二歯型ホスファイト配位子は、与えられた時間においてニッケルに理論的に配位可能であるものよりも過剰に存在し得る。触媒前駆体組成物の性状は、有効な触媒がニッケルに対する配位子の任意のモル比で形成され得るようなものであるが、ニッケルに対する配位子のモル比の好ましい範囲は約1/1から約4/1である。
【0061】
本発明で行われるペンテンニトリルヒドロシアノ化法は、触媒系の活性および選択率の両方に影響を及ぼす少なくとも1つのルイス酸促進剤の存在において実施可能である。この促進剤は、先行技術で述べられているように、カチオンがスカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、カドミウム、レニウム、ランタン、エルビウム、イッテルビウム、サマリウム、タンタル、およびスズから選択される、無機もしくは有機金属化合物であり得る。例は、限定ではないが、BPh、ZnCl、CoI、SnCl、PhAlCl、PhSn(OSCCH)、およびCu(OSCFを含む。好ましい促進剤は、塩化亜鉛ZnCl、塩化鉄(II)FeCl、および塩化マンガン(II)MnClと、これらの混合物を含む。米国特許第4,874,884号は、如何に促進剤の相乗的な組み合わせ物を選択して、触媒系の触媒活性を増大させることができるかを述べている。反応物中に存在するニッケルに対する促進剤のモル比は、例えば約0.1/1から約10/1の範囲に、例えば約0.5/1から約1.2/1の範囲にあることができる。
【0062】
この触媒前駆体組成物は、ヒドロシアノ化反応混合物に対して非反応性であり、混和性である溶媒に溶解され得る。好適な溶媒は、例えば1から10個の炭素原子の脂肪族および芳香族炭化水素とアセトニトリルなどのニトリル溶媒を含む。別法としては、触媒前駆体組成物を溶解するのに、3PN、異性体ペンテンニトリルの混合物、異性体メチルブテンニトリルの混合物、異性体ペンテンニトリルと異性体メチルブテンニトリルの混合物ま
たは前の競合反応からの反応生成物が使用され得る。
【0063】
活性ニッケルの酸化による触媒消費をHCNにより最小化する一方で、ペンテンニトリルヒドロシアノ化速度を最大化するために、本発明のヒドロシアノ化反応は、ペンテンニトリル、HCN、および触媒の効率的な物質移動と、反応の効率的な熱除去をもたらす反応器系中で行われなければならない。このような反応器系は当業界で既知である。少なくとも1つの態様においては、反応生成物を反応混合物と充分に逆混合させる連続攪拌タンク反応器中で本発明のヒドロシアノ化反応は、有効に実施可能である。このような反応器系中で、ヒドロシアノ化反応の動力学は、反応器生成物組成物により主として支配されると予期され得る。もう一つの好適な態様においては、本発明のヒドロシアノ化反応は、米国特許第4,382,038号で開示されている反応器系中で実施可能である。この反応器系中で、一次反応域は、以降の段階に連続的に向かう一つの段階からの生成物と直列の複数の段階を含んでなり、HCNが各段階に添加される。次に、ゼロ価ニッケル触媒、未反応ペンテンニトリル、未反応HCN、およびジニトリル生成物を含む一次反応域からの流出物を二次反応域に送り、ここでは温度を制御することができ、HCNを流出物に添加しない。
【0064】
連続ヒドロシアノ化反応は、例えば約20℃から約90℃の間で、例えば約35℃から約70℃の範囲で実施可能である。
【0065】
本発明を行うのには大気圧で充分であるが、高圧および低圧が使用可能である。この点に関して、例えば約0.5から約10気圧(約50.7から約1013kPa)の圧力を使用し得る。所望ならば、20,000kPa以上までの高圧を使用し得るが、操作コストの増大を考慮すると、これにより得られるいかなるメリットも正当化され得ない。
【0066】
一酸化炭素、酸素、アンモニア、および水を実質的に含まないHCNを蒸気、液体またはこれらの混合物として反応に導入することができる。代替法として、シアンヒドリンがHCN源として使用可能である。例えば、米国特許第3,655,723号を参照のこと。
【0067】
ゼロ価ニッケルに対するHCNの全フィードモル比は、例えば約100/1から約3000/1の範囲、例えば約300/1から約2000/1の範囲にあり得る。反応器スタートアップにおいては、反応容器に基質ペンテンニトリル中の触媒前駆体組成物の溶液または前の競合反応からの反応器生成物のいずれかにより部分的に装填し、続いて全反応器フィードを開始させ得る。反応容器内で所望の流体レベルを確保する時に連続反応器生成物の取り出しを開始し得る。未反応ペンテンニトリル、ADNと他の6個の炭素ジニトリル反応生成物と、触媒前駆体組成物の成分は、例えば米国特許第6,936,171号で開示されている液体−液体抽出、および蒸留などの当業界で既知の慣用の方法により回収可能である。
【0068】
3PNの2PNへの同時異性化による収率損失の低減を伴うエチレン型不飽和ニトリルのヒドロシアノ化に対して上述の触媒前駆体組成物を使用する少なくとも1つの潜在的な利点は、反応混合物中の3PNの濃度に対する2PNの濃度の比が約0.2/1から約10/1に維持される場合に実現され得る。商Q
【0069】
【数3】

【0070】
(ここで、3PNは3−ペンテンニトリルであり、4PNは4−ペンテンニトリルである)の値が約0.2から約10の範囲となるように、Xに対する値を約0.001から約0.5の範囲で選択することにより全不飽和ニトリルに対する2PNの全フィードモル比であるXを制御し、ならびにZに対する値を約0.5から約0.99の範囲で選択することにより、全不飽和ニトリルに対するシアン化水素の全フィードモル比のZを制御することによって、反応混合物中の3PNの濃度に対する2PNの濃度の比のこの範囲内での制御を確立することができる。同様に、3PNの2PNへの同時異性化による収率損失の低減は、反応混合物中の3PNの濃度に対する2PNの濃度の比が約1/1から約5/1に維持される場合に実現され得る。商Qの値が約1から約5の範囲になるように、Xに対する値を約0.01から約0.25の範囲で、ならびにZに対する値を約0.70から約0.99の範囲で選択することにより、この範囲内でのこの比の制御を確立することができる。
【0071】
いかなる特定の方法にも限定されるのでないが、全不飽和ニトリルに対する2PNの全フィードモル比の確立は、少なくとも2つの異なる方法および/またはこれらの組み合わせにより達成され得る。例えば、全不飽和ニトリルに対する2PNの全フィードモル比は、独立した方法で製造される2PNを添加することにより、もしくはこの工程内の反応生成物混合物からの2PNを直接に再循環することにより制御可能である。第1の方法は、異なる方法により、もしくは別な製造設備で製造された2PNを入手することを包含する。次に、このようにして得られる2PNを他の基質のペンテンニトリル異性体と適切な比率でブレンドすることにより、所望のフィードモル比が達成され得る。別法としては、2PNはペンテンニトリルヒドロシアノ化法に由来するものであることができる。例えば、本発明の反応器生成物中の2PNを他の未反応の不飽和ニトリルと一緒にジニトリル生成物および触媒から例えば真空蒸留により物理的に分離し得る。回収された2PNは、本発明の反応へのフィードを所望のモル比で構成するのに、再循環され、他の基質ペンテンニトリル異性体と適切な比率でブレンドされ得る。この2PNは他のニトリルを実質的に含まないか、もしくは更なるニトリルを含む工程流中に存在することができる。
【0072】
次の非限定的な実施例を見れば、本発明の範囲内に入る態様が更に理解され得る。
【実施例】
【0073】
当業界で既知のいかなる好適な合成手段によっても実施例1の配位子「A」を製造し得る。例えば、参照によりこの明細書中に組み込まれている、米国公開特許出願No.2003/0100802で開示されている手順により、3,3’−ジイソプロピル−5,5’,6,6’−テトラメチル−2,2’−ビフェノールを製造することができ、ここでは塩化水酸化銅−TMEDA錯体(TMEDAはN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンである)と空気の存在において4−メチルチモールに置換ビフェノールへの酸化的カップリングを行うことができる。
【0074】
例えば参照によりこの明細書中に組み込まれている、米国公開特許出願No.2004/0106815で開示されている手順により、o−クレゾールのホスホロクロリダイトの(CO)PClを製造することができる。このホスホロクロリダイトを選択的に形成するために、無水トリエチルアミンとo−クレゾールを温度制御された条件下で適切な溶媒に溶解したPClに別々かつ同時に制御して添加することができる。
【0075】
例えば参照によりこの明細書中に組み込まれている、米国特許第6、069、267号で開示されている方法にしたがって、このホスホロクロリダイトと3,3’−ジイソプロピル−5,5’,6,6’−テトラメチル−2,2’−ビフェノールとを反応させて、所望の配位子「A」を形成することを行うことができる。このホスホロクロリダイトを3,
3’−ジイソプロピル−5,5’,6,6’−テトラメチル−2,2’−ビフェノールと有機塩基の存在において反応させて、配位子「A」を形成し、これを米国特許第6,069,267号で述べられるように、当業界で周知の方法により単離することができる。この方法により製造される配位子「A」中の単歯型ホスファイト不純物は、次の構造を有する。
【0076】
【化7】

【0077】
同様に、配位子「B」を3,3’−ジイソプロピル−5,5’,6,6’−テトラメチル−2,2’−ビフェノールと2,4−キシレノールのホスホロクロリダイトの((CO)PClから製造することができる。この方法により製造される配位子「B」中の単歯型ホスファイト不純物は、次の構造を有する。
【0078】
【化8】

【0079】
同様に、米国特許出願No.2003/0100803で述べられている方法により製造される3,3’−ジイソプロピル−5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−2,2’−ビナフトールとo−クレゾールのホスホロクロリダイトの(CO)PClから配位子「C」を製造することができる。この方法により製造される配位子「C」中の単歯型ホスファイト不純物は、次の構造を有する。
【0080】
【化9】

【0081】
次の実施例では、特記しない限り、窒素雰囲気下でドライボックスまたは標準的なシュレンク法を用いて全操作を行った。本発明の連続ヒドロシアノ化法の例を単一段階の18mLのガラス連続攪拌タンク反応器(CSTR)中で行った。この全体的な設計は、全開示が参照によりこの明細書中に組み込まれている、米国特許第4,371,474号、第4,705,881号、および第4,874,884号で述べられている。この反応器は、ジャケット付で外部の制御された流体加熱温度浴からの流体流れにより反応混合物の温度を制御するようなクリンプバッフル付丸底ガラス容器よりなるものであった。ゴムセプタムを嵌めた側腕から注射器ポンブ経由で全試剤を反応容器の中に導入した。反応生成物が重力により生成物受器の中に流入するオーバーフロー腕を反応器に嵌めた。反応混合物の振盪および混合を磁気攪拌により行った。僅かな窒素パージを反応器の蒸気空間に常に加えて、不活性雰囲気を維持した。
【0082】
下記に述べるヒドロシアノ化実験で使用されるトランス−3PN(95重量%)とシス−2PN(98重量%)は、BDとペンテンニトリルをヒドロシアン化する商用のADNプラントに由来するものであった。BDおよびペンテンニトリルヒドロシアノ化法から製造されるトランス−3PNとシス−2PNは、Sigma−Aldrich Chemical Companyからも商業的に入手され得る。各ペンテンニトリルを窒素雰囲気下で蒸留し、次に窒素充填ドライボックス中で貯蔵した。
【0083】
反応器への無水の非禁止HCNフィードをペンテンニトリル(PN)溶液(40重量%HCN)として送達した。フィード溶液の作製に使用されるPNの組成を反応器への所望のPNフィード組成物により決定した。ペンテンニトリルフィード溶液中のメチルブテンニトリルの量は無視し得るものであった。米国特許第6,120,700号で概述されるように、Ni(COD)と若干過剰の対応する二歯型ホスファイト配位子(ほぼ1.2から1.4モル等量/ニッケル)とをトルエン溶媒中室温で反応させることにより、配位子−Ni触媒前駆体組成物を合成した。トルエン溶媒と揮発性材料を真空下で除去した後、対応する量の無水ルイス酸促進剤を配位子−Ni触媒前駆体組成物の固体残渣に添加し、全混合物をペンテンニトリルの対応する混合物に溶解した。このように、触媒前駆体組成物と促進剤を含む、生成ペンテンニトリル溶液を下記に述べるように反応器にフィードした。
【0084】
スタートアップにおいては、反応容器に触媒前駆体組成物と促進剤を含む約9mLのペンテンニトリル溶液を装填した。次に、前駆体組成物と促進剤を含むペンテンニトリル溶液と、HCN溶液の両方のフィードの栓を開くことにより、連続ヒドロシアノ化反応を開始した。受器まで流れる反応器生成物の周期的な試料をガスクロマトグラフ(GC)分析により分析して、反応器の転化率および収率の計算に使用されるニトリル生成物組成を求めた。
【0085】
定義
PN=経験式CNの全メチルブテンニトリル異性体を含む経験式CNの全ペンテンニトリル異性体
2PN=シス−およびトランス−2−ペンテンニトリル
3PN=シス−およびトランス−3−ペンテンニトリル
4PN=4−ペンテンニトリル
DN=経験式Cの全ジニトリル異性体(ADN、MGN、およびESNを含む)
ADN=アジポニトリル
MGN=2−メチルグルタロニトリル
ESN=エチルスクシノニトリル
g/時=グラム/時
転化率=反応モル/フィ−ドモル
収率=生成モル/反応(3PN+4PN)モル
モル%DN=反応器生成物中のDN/(PN+DN)のモル分率
モル%2PNフィード=反応器フィード中の2PN/(PN+DN)のモル分率
モル%2PN生成物=反応器生成物中の2PN/(PN+DN)のモル分率
モル%3PN生成物=反応器生成物中の3PN/(PN+DN)のモル分率
直線性=モルADN/生成モル(ADN+MGN+ESN)
【0086】
実施例1
下記に示す配位子「A」とFeClをルイス酸促進剤として用いて、本発明の連続ヒドロシアノ化法を実証した。
【0087】
【化10】

【0088】
目標反応速度=1.6×10−4モルHCN/リットル・秒
温度=50℃
モル%2PNフィード=12.8%
反応成分の目標フィード速度は次の通りであった。
【0089】
【表1】

【0090】
全不飽和ニトリルに対する2PNの全フィードモル比は約0.13であり、全不飽和ニトリルに対するHCNの全フィードモル比は約0.75であった。
【0091】
連続流の開始から92から100時間で採取された反応器生成物試料の平均化されたGC分析は次の定常状態の結果を示した。
【0092】
【表2】

【0093】
反応混合物中の3PNの濃度に対する2PNの濃度の比は約1.2であった。
【0094】
実施例2
配位子「A」とZnClをルイス酸促進剤として用いて、本発明の連続ヒドロシアノ化法を実証した。
目標反応速度=1.6×10−4モルHCN/リットル・秒
温度=50℃
モル%2PNフィード=20.6%
反応成分の目標フィード速度は次の通りであった。
【0095】
【表3】

【0096】
全不飽和ニトリルに対する2PNの全フィードモル比は約0.21であり、全不飽和ニトリルに対するHCNの全フィードモル比は約0.70であった。
【0097】
連続流の開始から49から53時間で採取された反応器生成物試料の平均化されたGC分析は次の定常状態の結果を示した。
【0098】
【表4】

【0099】
反応混合物中の3PNの濃度に対する2PNの濃度の比は約2.8であった。
【0100】
比較例A
次は、反応器フィードへの2PNを添加せずに配位子「A」と促進剤としてZnClを用いる、連続ヒドロシアノ化反応の比較例である。
目標反応速度=2.3×10−4モルHCN/リットル・秒
温度=50℃
モル%2PNフィード=0.1%
反応成分の目標フィード速度は次の通りであった。
【0101】
【表5】

【0102】
全不飽和ニトリルに対する2PNの全フィードモル比は約0.001であり、全不飽和ニトリルに対するHCNの全フィードモル比は約0.70であった。
【0103】
連続流の開始から46から54時間で採取された反応器生成物試料の平均化されたGC分析は次の定常状態の結果を示した。
【0104】
【表6】

【0105】
反応混合物中の3PNの濃度に対する2PNの濃度の比は約0.08であった。
【0106】
実施例3
下記に示す配位子「B」とFeClをルイス酸促進剤として用いて、本発明の連続ヒドロシアノ化法を実証した。
【0107】
【化11】

【0108】
目標反応速度=1.6×10−4モルHCN/リットル・秒
温度=50℃
モル%2PNフィード=15.4%
反応成分の目標フィード速度は次の通りであった。
【0109】
【表7】

【0110】
全不飽和ニトリルに対する2PNの全フィードモル比は約0.15であり、全不飽和ニトリルに対するHCNの全フィードモル比は約0.80であった。
【0111】
連続流の開始から69から78時間で採取された反応器生成物試料の平均化されたGC分析は次の定常状態の結果を示した。
【0112】
【表8】

【0113】
反応混合物中の3PNの濃度に対する2PNの濃度の比は約2.4であった。
【0114】
実施例4
配位子「B」とZnClをルイス酸促進剤として用いて、本発明の連続ヒドロシアノ
化法を実証した。
目標反応速度=1.6×10−4モルHCN/リットル・秒
温度=50℃
モル%2PNフィード=14.9%
反応成分の目標フィード速度は次の通りであった。
【0115】
【表9】

【0116】
全不飽和ニトリルに対する2PNの全フィードモル比は約0.15であり、全不飽和ニトリルに対するHCNの全フィードモル比は約0.77であった。
【0117】
連続流の開始から66から73時間で採取された反応器生成物試料の平均化されたGC分析は次の定常状態の結果を示した。
【0118】
【表10】

【0119】
反応混合物中の3PNの濃度に対する2PNの濃度の比は約2.0であった。
【0120】
比較例B
次は、反応器フィードへの2PNを添加せずに配位子「B」と促進剤としてZnClを用いる、連続ヒドロシアノ化反応の比較例である。
目標反応速度=2.3×10−4モルHCN/リットル・秒
温度=50℃
モル%2PNフィード=0.3%
反応成分の目標フィード速度は次の通りであった。
【0121】
【表11】

【0122】
全不飽和ニトリルに対する2PNの全フィードモル比は約0.003であり、全不飽和ニトリルに対するHCNの全フィードモル比は約0.70であった。
【0123】
連続流の開始から45から48時間で採取された反応器生成物試料の平均化されたGC分析は次の定常状態の結果を示した。
【0124】
【表12】

【0125】
反応混合物中の3PNの濃度に対する2PNの濃度の比は約0.08であった。
【0126】
実施例5
配位子「C」とZnClをルイス酸促進剤として用いて、本発明の連続ヒドロシアノ化法を実証した。
【0127】
【化12】

【0128】
目標反応速度=1.6×10−4モルHCN/リットル・秒
温度=50℃
モル%2PNフィード=20.4%
反応成分の目標フィード速度は次の通りであった。
【0129】
【表13】

【0130】
全不飽和ニトリルに対する2PNの全フィードモル比は約0.20であり、全不飽和ニトリルに対するHCNの全フィードモル比は約0.73であった。
【0131】
連続流の開始から71から79時間で採取された反応器生成物試料の平均化されたGC分析は次の定常状態の結果を示した。
【0132】
【表14】

【0133】
反応混合物中の3PNの濃度に対する2PNの濃度の比は約2.7であった。
【0134】
比較例C
次は、反応器フィードへの2PNを添加せずに配位子「C」と促進剤としてZnClを用いる、連続ヒドロシアノ化反応の比較例である。
目標反応速度=2.3×10−4モルHCN/リットル・秒
温度=50℃
モル%2PNフィード=0.4%
反応成分の目標フィード速度は次の通りであった。
【0135】
【表15】

【0136】
全不飽和ニトリルに対する2PNの全フィードモル比は約0.004であり、全不飽和ニトリルに対するHCNの全フィードモル比は約0.70であった。
【0137】
連続流の開始から48から53時間で採取された反応器生成物試料の平均化されたGC分析は次の定常状態の結果を示した。
【0138】
【表16】

【0139】
反応混合物中の3PNの濃度に対する2PNの濃度の比は約0.08であった。
【0140】
前出の説明においては本発明の特定の態様を述べてきたが、当業者ならば本発明が本発明の精神または本質的な属性から逸脱することなく多数の改変、置き換え、および再配置ができるということを理解するであろう。本発明の範囲を示すものとして、参照は前出の明細書に対してでなく、添付の特許請求の範囲に対してなされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)エチレン型不飽和ニトリル、シアン化水素、および触媒前駆体組成物を連続的にフィードすることにより、5個の炭素原子を有するエチレン型不飽和ニトリル、シアン化水素、および触媒前駆体組成物を含む反応混合物を少なくとも1つのルイス酸の存在において形成すること;
b)商Q
【数1】

(ここで、3PNは3−ペンテンニトリルであり、4PNは4−ペンテンニトリルである)
の値が約0.2から約10の範囲となるように、Xに対する値を約0.001から約0.5の範囲で、ならびにZに対する値を約0.5から約0.99の範囲で選択することにより、XおよびZを制御すること;および
c)アジポニトリルを含む反応生成物混合物(ここで、反応混合物中の3−ペンテンニトリルの濃度に対する2−ペンテンニトリルの濃度の比は約0.2/1から約10/1の範囲にある)を抜き出すこと
を含んでなり;
ここで、Xが全不飽和ニトリルに対する2−ペンテンニトリルの全フィードモル比であり、Zは全不飽和ニトリルに対するシアン化水素の全フィードモル比であり;
触媒前駆体組成物がゼロ価ニッケルと少なくとも1つの二歯型ホスファイト配位子を含み;ならびに
二歯型ホスファイト配位子が式IおよびII(全ての類似の参照文字は更に明白に限定されている場合を除いて同一の意味を有する)
【化1】

(式中、
各Rはメチル、エチル、および3から6個の炭素原子の一級ヒドロカルビルからなる群から独立に選択され;
各Rは1から6個の炭素原子の一級および二級ヒドロカルビルからなる群から独立に選択され;ならびに
各R11、R12、R13、R21、R22、およびR23は、H、アリール、および1から6個の炭素原子の一級、二級もしくは三級ヒドロカルビルからなる群から独立に選択される)
により表される群のメンバーから選択される、アジポニトリルと、6個の炭素原子を有する他のジニトリルを製造するヒドロシアノ化法。
【請求項2】
Xに対する選択された値が約0.01から約0.25の範囲にあり;Zに対する選択された値が約0.70から約0.99の範囲にあり;Qの値が約1から約5の範囲にあり;ならびに反応混合物中の3−ペンテンニトリルの濃度に対する2−ペンテンニトリルの濃度の比が約1/1から約5/1の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの二歯型ホスファイト配位子が
式I(式中、各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=H、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(式中、各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=メチル、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(式中、各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=H、各R13=メチル、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式II(式中、各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=H、および各R13=H)
により表される化合物;
式II(式中、各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=メチル、および各R13=H)
により表される化合物;
式II(式中、各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=H、および各R13=メチル)
により表される化合物;
式I(式中、各R=メチル、各R=メチル、
各R11=H、各R12=H、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(式中、各R=メチル、各R=メチル、
各R11=H、各R12=メチル、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(式中、各R=メチル、各R=メチル、
各R11=H、各R12=H、各R13=メチル、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(式中、各R=メチル、各R=メチル、
各R11=H、各R12=H、各R13=H、
各R21=メチル、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(式中、各R=メチル、各R=メチル、
各R11=H、各R12=メチル、各R13=H、
各R21=メチル、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(式中、各R=メチル、各R=メチル、
各R11=H、各R12=H、各R13=メチル、
各R21=メチル、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式II(式中、各R=メチル、各R=シクロペンチル、
各R11=H、各R12=H、および各R13=H)
により表される化合物;
式II(式中、各R=メチル、各R=シクロペンチル、
各R11=H、各R12=メチル、および各R13=H)
により表される化合物;
式II(式中、各R=メチル、各R=シクロペンチル、
各R11=H、各R12=H、および各R13=メチル)
により表される化合物;
式I(式中、各R=エチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=H、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;および
式I(式中、各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=tert−ブチル、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物
からなる群のメンバーから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの二歯型ホスファイト配位子が
式I(式中、各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=H、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;
式I(式中、各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=メチル、各R13=H、
各R21=H、各R22=メチル、および各R23=メチル)
により表される化合物;および
式II(式中、各R=メチル、各R=イソプロピル、
各R11=H、各R12=H、および各R13=H)
により表される化合物
からなる群のメンバーから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
全不飽和ニトリルに対する2−ペンテンニトリルの全フィードモル比が、独立した方法で製造される2−ペンテンニトリルの添加により、もしくは工程内の反応生成物混合物からの2−ペンテンニトリルの直接的な再循環により制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ルイス酸促進剤が塩化亜鉛、塩化鉄(II)、塩化マンガン(II)、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
反応混合物の温度が約20℃から約90℃で維持される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
反応混合物の温度が約35℃から約70℃で維持される、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
2−ペンテンニトリルがペンテンニトリルヒドロシアノ化法に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
3−ペンテンニトリルが1,3−ブタジエンヒドロシアノ化法に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
触媒前駆体組成物が少なくとも1つの単歯型ホスファイト配位子を更に含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ジニトリルに対するペンテンニトリルのモル比が約0.01から約2.5である反応生成物混合物が液体−液体抽出法にフィードされる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
2−ペンテンニトリルが抽出物、ラフィネートまたは液体−液体抽出法の抽出物およびラフィネート相の蒸留に由来する、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2009−543881(P2009−543881A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520915(P2009−520915)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/073421
【国際公開番号】WO2008/008930
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(599088656)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (11)
【Fターム(参考)】