説明

収納器搬送装置

【課題】 収納器の倒れを阻止する状態と収納器を載置部に対して載せ降ろしが可能な状態とに切り換え可能な係止部を備え、その係止部の切り換えを自動的に行うものの低コスト化を図ることができる収納器搬送装置を提供する。
【解決手段】 走行台車9に、収納器に備えられた被係止部31に係合して収納器の倒れを阻止する係止状態と被係止部31に対する係合を解除する解除状態とに切り換え可能な係止部32と、係止部32を係止状態側に復帰付勢する付勢手段と、走行台車9が収納器移載箇所Xに移動するに伴って収納器移載箇所Xに対応して設けられた接当部材34に接当することによる後退移動により付勢手段の付勢力に抗して係止部32を前記解除状態に切り換え操作する操作部35とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納器の載置部を備えた走行台車が、収納器移載装置にて収納器を前記載置部に対して載せ降ろしする収納器移載箇所と前記載置部に載置した収納器に対して処理を行う処理箇所とに亘って走行可能に構成されている収納器搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる収納器搬送装置において、従来では、走行台車を収納器移載箇所と処理箇所とに亘って走行させ、収納器移載箇所に位置する走行台車に対して収納器移載装置にて収納器を載せ降ろしし、処理箇所に位置する走行台車の載置部に載置された収納器に対して処理を行うように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−142911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の構成では、収納器は単に載置部に載置されているだけであるので、走行台車が収納器移載箇所と処理箇所とに亘って走行する際に、走行台車の走行の起動や停止により収納器が倒れてしまう可能性があった。特に、背の高い収納器を載置部に載置させた場合には顕著なものとなる。
そこで、走行台車に、収納器に備えられた被係止部に係合する係止状態と被係止部に対する係合を解除する解除状態とに人為的に切り換え可能な係止部を備えて、走行台車が収納器移載箇所と処理箇所とに亘って走行する際には、走行台車の走行の起動や停止による収納器の倒れを防止するために係止部を係止状態に切り換え、収納器移載装置にて収納器を載置部に対して載せ降ろしする際には、係止部に邪魔されることなく収納器の載せ降ろしが行えるように係止部を解除状態に切り換えるというように、係止部を人為的に切り換え操作する構成が考えられる。また、上記係止部以外に走行台車の走行位置を検出する位置検出センサや係止部を係止状態と解除状態とに切り換え操作する駆動手段、位置検出センサの検出情報に基づいて駆動手段の作動を制御する制御手段を備えて、上記のように係止部を係止状態と解除状態とに自動的に切り換え操作する構成が考えられる。
【0005】
しかし、上記のように係止部を人為的に切り換え操作する構成のものでは、収納器を載置部に対して載せ降ろしする際に係止部を人為的に切り換え操作しなければならないために係止部の切り換え操作が煩わしいものであり、また、位置検出センサや駆動手段や制御手段を備えて係止部を自動的に切り換え操作する構成のものでは、係止部の切り換え操作に煩わしさはないものの、位置検出センサや駆動手段や制御手段を備える必要があるために収納器搬送装置が高コストになるものであった。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、収納器の倒れを阻止する係止状態と収納器を載置部に対して載せ降ろしが可能な解除状態とに切り換え可能な係止部を備え、その係止部の切り換え操作を自動的に行うことができて且つ高コスト化を抑制することができる収納器搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明にかかる収納器搬送装置の第1特徴構成は、収納器の載置部を備えた走行台車が、収納器移載装置にて収納器を前記載置部に対して載せ降ろしする収納器移載箇所と前記載置部に載置した収納器に対して処理を行う処理箇所とに亘って走行可能に構成されている収納器搬送装置において、
前記走行台車に、前記収納器に備えられた被係止部に係合して前記収納器の倒れを阻止する係止状態と前記被係止部に対する係合を解除する解除状態とに切り換え可能な係止部と、前記係止部を前記係止状態側に復帰付勢する付勢手段と、前記走行台車が前記収納器移載箇所に移動するに伴って前記収納器移載箇所に対応して設けられた接当部材に接当することによる後退移動により前記付勢手段の付勢力に抗して前記係止部を前記解除状態に切り換え操作する操作部とが設けられている点にある。
【0008】
すなわち、前記収納器に備えられた被係止部に係合して前記収納器の倒れを阻止する係止状態と前記被係止部に対する係合を解除する解除状態とに切り換え可能な係止部が備えられており、収納器移載箇所と処理箇所とに亘って走行台車を走行させる際に係止部を係止状態に切り換えておくことによって、走行台車の走行の起動や停止による収納器の倒れを阻止することができ、また、収納器移載箇所において収納器を載置部に対して載せ降ろしする際に係止部を解除状態に切り換えておくことによって、係止部に邪魔されることなく収納器の載せ降ろしを行うことができる。
【0009】
そして、走行台車が収納器移載箇所と処理箇所とに亘って走行している際は、付勢手段の係止状態側への復帰付勢により係止具が係止状態に切り換え操作され、走行台車が収納器移載箇所に移動するに伴って収納器移載箇所に対応して設けられた接当部材に操作部が接当して、走行台車の収納器移載箇所側への移動により操作部が付勢手段の付勢力に抗して後退移動されて係止部が解除状態に切り換え操作される。また、走行台車が処理箇所に向かって走行して走行台車が収納器移載箇所から離れた際には、操作部と接当部材との接当が解除されることにより、係止部は付勢手段の付勢力により復帰付勢されて係止状態に切り換え操作される。
【0010】
従って、走行台車の走行に伴って係止部の切り換え操作が自動的に行われるので、係止部の切り換え操作が煩わしいものではなく、また、付勢手段の付勢力や走行台車の収納器移載箇所への移動することによる操作部の後退移動により、係止部が係止状態と解除状態とに自動的に切り換え操作されるので、走行台車の位置の検出する検出センサや係止部を切り換え操作する駆動手段、検出センサの検出結果に基づいて駆動手段の作動を制御する制御手段が必要なく低コストに構成することができ、もって、係止部の切り換えを自動的に行うことができて且つ高コスト化を抑制することができる収納器搬送装置を提供することができるに至った。
【0011】
本発明にかかる第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記載置部が、前記走行台車の右側前部、左側前部、右側後部及び左側後部の夫々に対応する位置に設置されて、前記収納器における底部の四隅の夫々を各別に載置支持する載置支持部材を備えて構成され、それら載置支持部材の夫々に、前後方向のいずれか一方向への前記収納器の移動を規制する前後方向規制体と左右方向のいずれか一方向への前記収納器の移動を規制する左右方向規制体とが設けられ、前記係止部が、前記走行台車の前部における前記走行台車の右側前部に立設された前記載置支持部材と前記走行台車の左側前部に立設された前記載置支持部材との間に備えられた前係止部材と、前記走行台車の後部における前記走行台車の右側後部に立設された前記載置支持部材と前記走行台車の左側後部に立設された前記載置支持部材との間に備えられた後係止部材とを備えて構成され、前記前係止部材及び前記後係止部材が、前記係止状態において前記収納器の浮き上がりを阻止するように前記被係止部に係止作用するように構成されている点にある。
【0012】
すなわち、載置支持部材の夫々に設けられた前後方向規制体と左右方向規制体とにより載置部に載置された収納器の前後方向並びに左右方向の移動を規制することができる。そして、収納器の前部の浮き上がりは前係止部材によって阻止し、収納器の後部の浮き上がりは後係止部材によって阻止することによって収納器の転倒を規制しているので、走行台車の走行の起動や停止に起因する収納器の倒れを的確に阻止することができる。
【0013】
本発明にかかる第3特徴構成は、第2特徴構成において、前記係止部が、縦軸芯周りに揺動することにより前記係止状態と前記解除状態とに切り換えられるように構成されている点にある。
【0014】
すなわち、係止部を付勢手段にて付勢する方向と係止部が被係止部に係合する方向とが異なり、付勢手段の付勢力により収納器の倒れを阻止する必要がないため、付勢手段の付勢力としては係止部を係止状態側に復帰付勢する程度の力でよく、付勢手段の付勢力にて収納器の倒れを阻止するものに比べて付勢手段の付勢力が小さいものでもよいので、付勢手段の構成の簡素化を図ることができる。
【0015】
本発明にかかる第4特徴構成は、第2又は第3特徴構成において、前記操作部が、前記接当部材との接当により軸芯方向にスライドする形態で後退移動するように構成された棒状部材と、その棒状部材と前記係止部に備えられた前記前係止部材及び前記後係止部材とを連動連結する一対の連結部とを備えて構成されている点にある。
【0016】
すなわち、棒状部材が後退移動することにより棒状部材と連結部にて連動連結された前係止部材と後係止部材との両方を切り換え操作することができるので、前係止部材と後係止部材とを個々に切り換え操作するものに比べて収納器搬送装置の構成の簡素化を図ることができる。
【0017】
本発明にかかる第5特徴構成は、第1〜第4特徴構成のいずれか1つにおいて、前記収納器が、本収納用のラックであり、前記収納器移載装置が、前記収納器を収納する収納棚と前記収納器移載箇所との間を走行して前記収納器を搬送するように構成されている点にある。
【0018】
すなわち、ラックのように背の高く且つ重心が高い位置にある可能性があるものでも、載置部にラックを載置させて走行台車を走行させる際に係止部を係止状態とすることによりラックの倒れを的確に阻止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
〔第1実施の形態〕
以下、本願発明による収納器搬送装置を自動倉庫に適用した場合の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、複数の収納部1を備えた収納棚2が、互いに間口を相対向させた状態で、床面F上に対をなして設置され、その対をなす収納棚2の間の床面F上にはスタッカークレーン用のレール3が直線状に敷設されて、そのスタッカークレーン用のレール3に沿って移動する収納器移載装置としてのスタッカークレーン4が、物品保管棚2の間口に沿って自動走行可能に設けられている。
【0020】
物品保管棚2夫々の間口の沿う方向の一側方には、収納器搬送装置としてのラック搬送装置8が設けられており、各ラック搬送装置8は、スタッカークレーン用のレール3と平行する状態で左右一対のラック搬送装置用のレール7が床面F上に直線状に敷設され、その左右一対のレール7上を本収納用のラック(収納器に相当)Aの載置部10を備えた走行台車9が走行可能に構成されている。
【0021】
そして、走行台車9の走行経路における一端側がスタッカークレーン4にてラックAを載置部10に対して載せ降ろしする収納器移載箇所としてのラック移載箇所Xに設定され、他端側が前記載置部10に載置したラックAに対して処理を行う処理箇所Yに設定されており、スタッカークレーン4が、ラックAを収納する前記収納棚2と前記収納器移載箇所Xとの間を走行して前記ラックを搬送するように構成され、走行台車9が、前記ラック移載箇所Xと前記処理箇所Yとに亘って走行可能に構成されている。
【0022】
また、図1に示すように、ラック移載箇所Xが存在する収納エリアと処理箇所Yが存在する処理エリアとに壁体13にて仕切られている。この壁体13には、上下方向にスライド開閉する開閉扉14にて開閉される開口15が形成されており、前記ラック搬送装置用のレール7は、壁体13の開口15を通って収納エリアと処理エリアとの両方のエリアに亘って敷設されている。そして、処理エリアには、作業者がラックAに対して本の出し入れ等の処理を行うための作業台Dが、床面Fから設定高さ隔てた状態で設けられている。
【0023】
次に、前記走行台車9について説明する。
図1〜図4に示すように、前記走行台車9には、前記ラックAに備えられた被係止部31に係合して前記ラックAの倒れを阻止する係止状態と前記被係止部31に対する係合を解除する解除状態とに切り換え可能な係止部32と、前記係止部32を前記係止状態側に復帰付勢する付勢手段33と、前記走行台車9が前記ラック移載箇所Xに移動するに伴って前記ラック移載箇所Xに対応して設けられた接当部材34に接当することによる後退移動により前記付勢手段33の付勢力に抗して前記係止部32を前記解除状態に切り換え操作する操作部35とが設けられている。尚、図2に示すように、ラックAは本を収納する本体部5とこの本体部5を支持する脚部6とで構成され、この脚部6にはフレーム材にて平面視が矩形状に枠組みされた底部分6aが備えられており、この底部分6aにおける係止部32と係合する部分が被係止部31に構成されている。
【0024】
図2に示すように、前記走行台車9は、前記載置部10を備えた本体部17と、前記ラック搬送装置用のレール7上を転動する走行車輪19を備えた走行部18とを備えて構成されている。そして、走行部18は、フレーム材にて平面視が矩形状に形成された走行側枠体25と、左右夫々に前後一対の計4つ設けられた前記走行車輪19と、この4つの走行車輪19のうちの1つの駆動車輪19aを正逆回転駆動させる走行用電動モータ26と、床面Fに設けられた検出片(図示せず)との接当により走行台車9の走行位置を検出するリミットスイッチ20とを備えて構成されている。また、本体部17は、図4に示すように、フレーム材にて平面視が矩形状に形成されて四隅に載置支持部材37が立設された本体側枠体24と、前記係止部32と、前記付勢手段33と、前記操作部35と、これら本体側枠体24や係止部32、付勢手段33、操作部35を覆う本体カバー23とを備えて構成されている。
【0025】
図3に示すように、本体側枠体24と走行側枠体25とが板材にて正面視がエ字状に形成された連結部材21にて連結されており、前記作業台Dに形成された連結部材通過用のスリット22内を連結部分21の幅狭の上下中央部が通過するように走行台車9が走行して、走行台車9が前記処理エリアに位置する状態においては走行部18が作業台Dより下方に位置し、本体部17が作業台Dより上方に位置するように構成されている。
【0026】
図2、図4に示すように、走行台車9に備えられた載置部10は、前記走行台車9の右側前部、左側前部、右側後部及び左側後部の夫々に対応する位置に設置されて、前記ラックAにおける底部の四隅の夫々を各別に載置支持する載置支持部材37を備えて構成され、それら載置支持部材37の夫々に、前後方向のいずれか一方向への前記ラックAの移動を規制する前後方向規制体38と左右方向のいずれか一方向への前記ラックAの移動を規制する左右方向規制体39とが設けられている。尚、載置支持部材37の夫々の上端部は、前記本体カバー23の上面から上方に突出する状態で設けられている。
つまり、走行台車9の左側前部並びに右側前部に立設された載置支持部材37には、前方向へのラックAの移動を規制する前後方向規制体38が設けられ、走行台車9の左側後部並びに右側後部に立設された載置支持部材37には、後方向へのラックAの移動を規制する前後方向規制体38が設けられている。また、走行台車9の左側前部並びに左側後部に立設された載置支持部材37には、左方向へのラックAの移動を規制する左右方向規制体39が設けられ、走行台車9の右側前部並びに右側後部に立設された載置支持部材37には、右方向へのラックAの移動を規制する左右方向規制体39が設けられている。よって、載置部10に載置されたラックAは、前後方向規制体38にて前後方向への移動が規制され、左右方向規制体39にて左右方向への移動が規制される。
【0027】
次に、ラックAの倒れを阻止する構成について詳述する。
図2、図4に示すように、前記走行台車9の前部における前記走行台車9の右側前部に立設された前記載置支持部材37と前記走行台車9の左側前部に立設された前記載置支持部材37との間に前係止部材32Aが備えられ、前記走行台車9の後部における前記走行台車9の右側後部に立設された前記載置支持部材37と前記走行台車9の左側後部に立設された前記載置支持部材37との間に後係止部材32Bが備えられており前記前係止部材32A及び前記後係止部材32Bが、前記係止状態において前記ラックAの浮き上がりを阻止するように前記被係止部31に係止作用するように構成されている。
そして、前記係止部32は、これら前係止部材32Aと後係止部材32Bとを備えて構成され、係止状態の前係止部材32AにてラックAの前部の浮き上がりを阻止し、係止状態の後係止部材32BにてラックAの後部の浮き上がりを阻止することにより、ラックAの倒れを阻止するように構成されている。
【0028】
図4に示すように、前記係止部32は、縦軸芯周りに揺動することにより前記係止状態と前記解除状態とに切り換えられるように構成されている。そして、前記操作部35は、前記接当部材34との接当により軸芯方向にスライドする形態で後退移動するように構成された棒状部材40と、その棒状部材40と前記係止部32に備えられた前記前係止部材32A及び前記後係止部材32Bとを連動連結する一対の連結部36とを備えて構成されている。
【0029】
つまり、図4、図5に示すように、走行台車9に備えられた前後一対の回転ブッシュ44の夫々に回転軸43が縦軸芯周りに回転自在に支持されており、その前後一対の回転軸43の前記本体カバー23から上方に突出した上端部に前係止部材32A並びに後係止部材32Bが振り分けて連結され、前後一対の回転軸43の下端部夫々にピニオンギヤ42が固着されている。前記棒状部材40は、走行台車9の走行方向に沿って前端部40aが本体カバー23から前方に突出する状態で、且つ、走行台車9に備えられたスライドブッシュ45にて軸芯方向にスライド移動自在に支持されている。その棒状部材40の横側面には、ピニオンギヤ42と噛合するラック材41が備えられている。よって、棒状部材40が軸芯方向にスライド移動することでラック材41が移動し、このラック材41の移動によりピニオンギヤ42の夫々が縦軸芯周りに回転されて、前係止部材32A並びに後係止部材32Bが縦軸芯周りに揺動し、前記係止状態と前記解除状態とに切り換えられるように構成されている。そして、前記付勢手段33は、前記スライドブッシュ45と棒状部材40に固設された部材との間に圧縮スプリングを設けて構成されており、付勢手段33にて棒状部材40は前進移動側、つまりは、本体カバー23から突出する側に付勢されており、これにより、係止具32が係止状態側に復帰付勢されている。尚、ラック材41とピニオンギヤ42と回転軸43とにより連結部36が構成されている。
【0030】
従って、図5(イ)に示すように、走行台車9がラック移載箇所Xと処理箇所Yとに亘って走行している際は、付勢手段33の係止状態側への復帰付勢により前係止部材32A並びに後係止部材32Bが係止状態に切り換え操作されている。そして、図5(ロ)に示すように、走行台車9がラック移載箇所Xに移動するに伴ってラック移載箇所Xに対応して設けられた接当部材34に棒状部材40の前端部40aが接当して、走行台車9のラック移載箇所X側への移動により棒状部材40が付勢手段33の付勢力に抗して後退移動され、前係止部材32A並びに後係止部材32Bが解除状態に切り換え操作される。また、走行台車9が処理箇所Yに向かって走行して走行台車9がラック移載箇所Xから離れた際には、図5(イ)に示すように、棒状部材40の前端部40aと接当部材34との接当が解除されることにより、前係止部材32A並びに後係止部材32Bは付勢手段33の付勢力により復帰付勢されて係止状態に切り換え操作される。
尚、処理箇所Yにおいては、前係止部材32A並びに後係止部材32Bを係止状態に維持させておくことによりラックAに対して本の出し入れ処理を行う際のラックAの倒れを阻止することができる。
【0031】
次に、自動倉庫の制御構成について説明する。
図6に示すように、スタッカークレーン4や開閉扉14を昇降移動させる扉用電動モータ47の作動を制御し、呼び出し指令手段48からの作動指令やスタッカークレーン4からの検出情報が入力されるメインコンピュータH1と、各ラック搬送装置8における走行用電動モータ26の作動を制御し、リミットスイッチ20からの検出情報が入力されるサブコントローラH2とが設けられており、メインコントローラH1とサブコントローラH2との間で情報の授受が可能に構成されている。
【0032】
つまり、呼び出し指令手段48にてラックAを呼び出す呼び出し指令が指令されると、呼び出し指令に対応するラックAをスタッカークレーン4にて収納棚2からラック移載箇所Xに位置する走行台車9の載置部10に移載し、走行用電動モータ26を作動させて走行台車9を処理箇所Yに向けて走行させる。その後、走行台車9が処理箇所まで移動したことがリミットスイッチ20にて検出されると走行用電動モータ26を停止させる。
そして、呼び出し指令手段48にてラックAに対する処理の終了が指令されると、走行用電動モータ26を作動させて走行台車9をラック移載箇所Xに向けて走行させ、その後、走行台車9の載置部10に載置されたラックAを元の収納部1に移載する。
【0033】
走行台車9がラック移載箇所Xと処理箇所Yとに亘って走行する際に、走行台車9が開閉扉14に近づいたことがリミットスイッチ20にて検出されると扉用電動モータ47を作動させて開閉扉14を開き操作し、走行台車9が開閉扉14から離れたことがリミットスイッチ20にて検出されると扉用電動モータ47を作動させて開閉扉14を閉じ操作する。
【0034】
〔第2実施の形態〕
この第2実施の形態は、操作部35における連結部36を、棒状部材40に設けられたピン49と、前記回転軸43と、この回転軸43に固着されて前記ピン49と係合する係合部50とを備えて構成したものであり、その点を中心に図面に基づいて説明する。尚、その他の構成については、上記第1実施の形態と同様であるので、同符号を記すなどにより、その詳細な説明は省略する。
【0035】
図7、図8に示すように、回転ブッシュ44に縦軸芯周りに回転自在に支持された前後一対の回転軸43の上端部に前係止部材32A並びに後係止部材32Bが振り分けて連結され、回転軸43の夫々下端部に板状の係合部50が連結されている。そして、棒状部材40の上面に係合部50に備えられた係合孔51と係合するピン49が立設されており、棒状部材40が軸芯方向にスライド移動することにより、ピン49の移動により係合部50が縦軸芯周りに揺動されて前係止部材32A並びに後係止部材32Bが縦軸芯周りに揺動して前記係止状態と前記解除状態とに切り換えられるように構成されている。
尚、係合孔51は、棒状部材40がスライド移動することにより係合板50が揺動可能なように長孔に形成されている。
【0036】
〔別実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、係止部32として、走行台車9の前部に備えられた前係止部材32Aと走行台車9の後部に備えられた後係止部材32Bとの2つの係止部材を備えて構成したが、係止部32を1つの係止部材にて構成したものや、3つ以上の係止部材を備えて構成してもよく、係止部材を備える位置も走行台車9の中央部や右部や左部でもよく、走行台車9の前部や後部に限られるものではない。
【0037】
(2) 上記実施の形態では、係止部32を、縦軸芯周りに揺動することにより係止状態と解除状態とに切り換えられるように構成したが、横軸芯周りの揺動により係止状態と解除状態とに切り換えるように構成してもよい。また、棒状部材40のスライド方向或いはこのスライド方向に交差する方向に係止部32がスライド移動することにより係止状態と解除状態とに切り換えられるように構成してもよい。
【0038】
(3) 上記実施の形態では、1つの棒状部材40と、この1つの棒状部材40と前係止部材32A及び後係止部材32Bとを連動連結する一対の連結部36とを備えて、1つの棒状部材40が後退移動することにより前係止部材32Aと後係止部材32Bとの両方を切り換え操作することができるように構成したが、一対の棒状部材40と、一対の棒状部材40の一方と前係止部材32Aとを連動連結する連結部36並びに一対の棒状部材40の他方と後係止部材32Bとを連動連結する連結部36とを備えて、一対の棒状部材40にて前係止部材32Aと後係止部材32Bとを個々に切り換え操作するように構成してもよい。
【0039】
(4) 上記実施の形態では、収納器Aを本収納用のラックとしたが、本以外の他の物品を収納するものでもよく、また、その物品を収納するものとしてコンテナ等の他の収納器でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】自動倉庫の平面図
【図2】ラック搬送装置の斜視図
【図3】ラック搬送装置の正面図
【図4】ラック搬送装置における本体部の断面側面図
【図5】ラック搬送装置の作用図
【図6】自動倉庫の制御ブロック図
【図7】第2実施の形態におけるラック搬送装置の側面図
【図8】第2実施の形態におけるラック搬送装置の作用図
【符号の説明】
【0041】
2 収納棚
4 収納器移載装置
8 収納器搬送装置
9 走行台車
10 載置部
31 被係止部
32 係止部
32a 前係止部材
32b 後係止部材
33 付勢手段
34 接当部材
35 操作部
36 連結部
37 載置支持部材
38 前後方向規制体
39 左右方向規制体
40 棒状部材
A 収納器
X 収納器移載箇所
Y 処理箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納器の載置部を備えた走行台車が、収納器移載装置にて収納器を前記載置部に対して載せ降ろしする収納器移載箇所と前記載置部に載置した収納器に対して処理を行う処理箇所とに亘って走行可能に構成されている収納器搬送装置であって、
前記走行台車に、前記収納器に備えられた被係止部に係合して前記収納器の倒れを阻止する係止状態と前記被係止部に対する係合を解除する解除状態とに切り換え可能な係止部と、前記係止部を前記係止状態側に復帰付勢する付勢手段と、前記走行台車が前記収納器移載箇所に移動するに伴って前記収納器移載箇所に対応して設けられた接当部材に接当することによる後退移動により前記付勢手段の付勢力に抗して前記係止部を前記解除状態に切り換え操作する操作部とが設けられている収納器搬送装置。
【請求項2】
前記載置部が、前記走行台車の右側前部、左側前部、右側後部及び左側後部の夫々に対応する位置に設置されて、前記収納器における底部の四隅の夫々を各別に載置支持する載置支持部材を備えて構成され、それら載置支持部材の夫々に、前後方向のいずれか一方向への前記収納器の移動を規制する前後方向規制体と左右方向のいずれか一方向への前記収納器の移動を規制する左右方向規制体とが設けられ、
前記係止部が、前記走行台車の前部における前記走行台車の右側前部に立設された前記載置支持部材と前記走行台車の左側前部に立設された前記載置支持部材との間に備えられた前係止部材と、前記走行台車の後部における前記走行台車の右側後部に立設された前記載置支持部材と前記走行台車の左側後部に立設された前記載置支持部材との間に備えられた後係止部材とを備えて構成され、前記前係止部材及び前記後係止部材が、前記係止状態において前記収納器の浮き上がりを阻止するように前記被係止部に係止作用するように構成されている請求項1記載の収納器搬送装置。
【請求項3】
前記係止部が、縦軸芯周りに揺動することにより前記係止状態と前記解除状態とに切り換えられるように構成されている請求項2記載の収納器搬送装置。
【請求項4】
前記操作部が、前記接当部材との接当により軸芯方向にスライドする形態で後退移動するように構成された棒状部材と、その棒状部材と前記係止部に備えられた前記前係止部材及び前記後係止部材とを連動連結する一対の連結部とを備えて構成されている請求項2又は3記載の収納器搬送装置。
【請求項5】
前記収納器が、本収納用のラックであり、前記収納器移載装置が、前記収納器を収納する収納棚と前記収納器移載箇所との間を走行して前記収納器を搬送するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の収納器搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate