説明

収納容器

【課題】ドライアイスから生じた氷や水が収納物に落下することを防止すると共に、ドライアイスから生じた二酸化炭素が容器本体の内部に流入することを防止する収納容器を提供することを目的とする。
【解決手段】天井面2に配置穴を形成する容器本体1と、ドライアイスを入れる皿部3と、容器本体1に収納した収納物と皿部3との間に位置する受け部4と、皿部3の開放面3aを覆う押え部とを備え、
皿部3は、熱伝導率の高い素材で構成されてドライアイスの冷熱を皿部3の素材を介して容器本体1の内部へ伝え、
受け部4は、ドライアイスによって皿部3の外面に生じた氷及び/又は水が収納物へ落下することを防ぎ、
押え部は、ドライアイスの二酸化炭素を外部へ逃がす構成を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ケーキ等の食品を紙製の収納容器に収納して持ち運ぶ際には、ドライアイスや蓄冷剤を収納容器内に入れ、一定時間、食品の品質が低下しないようにしている。
【0003】
この時、ドライアイスや蓄冷剤を収納容器の側面や底部に配置した場合は、冷却効率が十分でないため、収納容器の天井部分に、保冷用の皿や容器等の支持手段を介してドライアイス等を配置し、冷却効率を高めることが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特願2007−15738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような収納容器では、ドライアイス等が天井部分に配置されるため、食品を収納して保冷する際に、ドライアイス等によって皿等の支持手段に生じた氷や水が食品に直接落下し、食品(収納物)の品質の低下を招くという問題があった。又、保冷の際にドライアイスを用いた場合には、二酸化炭素が発生して冷気と共に収納容器内に流入するため、収納容器内のケーキ等の食品(収納物)の味(品質)が変化する問題があった。更に、保冷の際に蓄冷剤を用いた場合には、ドライアイスに比べて冷却効率が弱いという問題があった。
【0005】
本発明は、上述の実情に鑑みてなされたものであり、ドライアイスから生じた氷や水が収納物に落下することを防止すると共に、ドライアイスから生じた二酸化炭素が容器本体の内部に流入することを防止する収納容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、天井面に配置穴を形成する容器本体と、該容器本体の配置穴に配置してドライアイスを入れる皿部と、前記容器本体に収納した収納物と皿部との間に位置するよう容器本体内に配置する受け部と、前記皿部の開放面を覆ってドライアイスの露出を防ぐ押え部とを備え、
前記皿部は、熱伝導率の高い素材で構成されてドライアイスの冷熱を皿部の素材を介して容器本体の内部へ伝え、
前記受け部は、ドライアイスによって皿部の外面に生じた氷及び/又は水が収納物へ落下することを防ぎ、
前記押え部は、ドライアイスの二酸化炭素による容器本体内への侵入を防止するよう、ドライアイスの二酸化炭素を外部へ逃がす構成を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
又、本発明において、前記受け部は、皿部との間に隙間を有して容器本体内に懸吊され、容器本体の内部で冷気が収納物側へ流通し得る流通口を備えることが好ましい。
【0008】
更に、本発明において、前記受け部は、天井面に懸吊されるよう配置穴の周囲面に係止する係止部と、該係止部から容器本体の内部へ延在する中間部と、皿部の下方に位置するよう中間部に支持される下部を備えることが好ましい。
【0009】
又、本発明において、前記押え部は、ドライアイスの二酸化炭素を外部へ逃がすよう、皿部との間に隙間を備えるシート面、二酸化炭素を透過する素材を有したシート面、二酸化炭素を排出する孔を形成したシート面の少なくとも1つで形成されることが好ましい。
【0010】
更に、本発明において、前記皿部は、天井面に懸吊されるよう配置穴の周囲面に合致する縁部を備え、前記押え部は、皿部の縁部を配置穴の周囲面に押え付けて皿部と容器本体の隙間を塞ぐよう着接手段を備えることが好ましい。
【0011】
而して、本発明によれば、収納物と皿部との間に受け部を備えるので、収納物を収納して保冷する際に、ドライアイスによって皿部の外面に生じた氷及び/又は水が落下する場合であっても、氷や水を受け部で受け止めて収納物への氷や水の落下を防止し、収納物の品質の低下を抑制できる。又、皿部の開放面を覆う押え部は、ドライアイスの二酸化炭素を外部へ逃がす構成を備えるので、ドライアイスの二酸化炭素による容器本体内への侵入を防止し、収納容器内の収納物が二酸化炭素により変化することを抑制できる。更に、天井面に皿部を介してドライアイスに備えるので、蓄冷剤に比べて冷却効率を十分に高めることができる。更に又、天井面の配置穴に皿部を配置し、次に皿部にドライアイスを入れて押え部を配置し得るので、皿部を簡易に配置できると共に、皿部にドライアイスを入れて容易に準備できる。
【0012】
本発明において、受け部は、皿部との間に隙間を有して容器本体内に懸吊され、容器本体の内部で冷気が流通し得る流通口を備えると、皿部との間の隙間により、皿部の外面に生じた氷及び/又は水が受け部に直接移行して受け部自体に新たな氷や水が生じることがないので、受け部から収納物への氷や水の落下を防止し、収納物の品質の低下を抑制できる。又、受け部は、容器本体の内部で冷気が収納物側へ流通し得る流通口を備えるので、収納物を適切に保冷できる。
【0013】
本発明において、受け部は、天井面に懸吊されるよう配置穴の周囲面に係止する係止部と、係止部から容器本体の内部へ延在する中間部と、皿部の下方に位置するよう中間部に支持される下部を備えると、天井面の配置穴に受け部を配置した後に、受け部の係止部を挟み込むように皿部を配置して受け部を固定するので、受け部を簡易に設置できる。又、受け部の構成により収納物への氷や水の落下を好適に受け止めると共に、収納物を好適に保冷できる。
【0014】
本発明において、押え部は、ドライアイスの二酸化炭素を外部へ逃がすよう、皿部との間に隙間を備えるシート面、二酸化炭素を透過する素材を有したシート面、二酸化炭素を排出する孔を形成したシート面の少なくとも1つで形成されると、ドライアイスの二酸化炭素による容器本体内への侵入を防止し、収納容器内の収納物が二酸化炭素により変化することを好適に抑制できる。
【0015】
本発明において、皿部は、天井面に係止されるよう配置穴の周囲面に合致する縁部を備え、押え部は、皿部の縁部を配置穴の周囲面に押え付けて皿部と容器本体の隙間を塞ぐよう着接手段を備えると、皿部と容器本体の隙間からドライアイスの二酸化炭素が容器本体内へ侵入することを防止し、収納容器内の収納物が二酸化炭素により変化することを好適に抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
上記した本発明の収納容器によれば、ドライアイスから生じた氷や水が収納物に直接落下することを抑制できると共に、ドライアイスから生じた二酸化炭素が容器本体の内部に流入することを抑制できるという種々の優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1〜図7は本発明を実施する形態の一例を示すもので、本形態例の収納容器は、内部にケーキ等の食品(収納物)を入れて持ち運びできる紙やダンボール製の容器本体1と、容器本体1の天井面2に配置してドライアイスDを入れる皿部3と、収納物(図示せず)と皿部3との間で容器本体1内に配置する受け部4と、皿部3の開放面3aを覆ってドライアイスDの露出を防ぐ押え部5a,5bとを備えている。
【0019】
容器本体1は、一枚の紙やダンボール製シートを折り畳んで形成されるものであり、底面6と、底面6から折り返して形成される周囲面7と、底面6から折り返して形成される背面8と、背面8から更に折り返して形成される天井面2とを備えている。又、周囲面7には、切り込み9aを介して背面8側で接続する接続部9と、周囲面7の上端から折り返して配置される縁部10とが備えられている(図5参照)。更に、天井面2には、中央位置に所定の面積を備えた配置穴11が形成される(図4参照)と共に、天井面2の先端には、天井面2が蓋として閉じ得るよう縁部10の切り込み10aに挿入する舌部2aが形成されている(図5参照)。ここで、容器本体1は、内部に皿部3及び受け部4を配置しても、食品に接触しない高さを備えている。なお、容器本体1の形状は配置穴11を備えて内部に食品(収納物)を収納するならば、他の形状や素材でも良い。
【0020】
皿部3は、ドライアイスDを入れる収納部分を容器本体1の内部へ露出させるよう、容器本体1の配置穴11に挿入し得る皿本体12と、皿本体12を天井面2に係止させるよう配置穴11の周囲面2bに合致する所定幅の縁部13とを備えている。又、皿部3は、熱伝導率の高いアルミ、銅等の金属素材で構成され、ドライアイスDの冷熱をドライアイスDの皿本体12から直接、容器本体1の内部へ伝えるようにしている。ここで、皿部3の皿本体12は、ドライアイスDを数十gから数百gを収納し得る容積を備えている。又、皿部3の素材は、熱伝導率の高いものならば金属素材以外のものでも良い。
【0021】
受け部4は、皿部3の皿本体12との間に隙間を有して天井面2から容器本体1内に懸吊されるよう、配置穴11の周囲面2bに係止する二つの係止部14と、二つの係止部14から容器本体1の内部へ略平行に延在する二つの中間部15と、皿部3の下方に位置するよう二つの中間部15に支持される下部16とを備えている。又、受け部4は、皿部3の皿本体12に接触しないように配置される共に、中間部15のない部分を流通口17とし、皿部3の皿本体12との間の隙間から食品(収納物)側へ冷気が流通し得るようにしている。ここで、受け部4は、紙等の素材で構成されており、素材は、水を吸収できるものが特に好ましい。
【0022】
押え部5a,5bは、図6、図7に示す如く、ドライアイスDの二酸化炭素を外部へ逃がすよう、皿部3の縁部13との間に隙間を備えるシート面18a、二酸化炭素を透過するシート面18b、二酸化炭素を排出する孔を形成したシート面18cの少なくとも1つで形成された構成を備えている。このうち、シート面18aが皿部3の縁部13との間に隙間を備える構成の場合には、押え部5a,5bにより皿部3の縁部13を押え付けると共に、他の位置に形成された隙間により皿部3内と外気とを流通可能にしており、シート面18bが二酸化炭素を透過する構成の場合には、押え部5a,5bにより皿部3の縁部13を押え付けると共に、シート面18bの素材を樹脂や布等で構成して皿部3内と外気とを流通可能にしており、シート面18cが二酸化炭素を排出する孔を形成する構成の場合には、押え部5a,5bにより皿部3の縁部13を押え付けると共に、シート面18cの孔により皿部3内と外気とを流通可能にしている。ここで、シート面18aに形成される隙間や、シート面18cに形成される孔は、ドライアイスDが露出しない位置や細孔で構成され、ドライアイスDが外側へ漏れないようになっている。又、押え部5a,5bは、これらの構成を組み合せたものでも良いし、押え部5a,5bの素材は、紙、布、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、PS(ポリスチレン)等の素材でも良い。
【0023】
又、図6に示す如く、押え部5aは、皿部3の縁部13よりも一回り大きい形状を備えると共に、裏面の周囲に着接手段の接着面19aを備えて良い。更に、図7に示す如く、押え部5bは、容器本体1の背面8から天井面2を介して前方の周囲面7まで掛け回し得る帯状の形状を備えると共に、帯状の裏面の両端等に着接手段の接着面19bを備えても良く、押え部5a,5bの着接手段で容器本体1に接着した際に、押え部5a,5bのシート面18a,18b,18cにより皿部3の縁部13を配置穴11の周囲面2bに押え付けて皿部3と容器本体1の隙間を塞ぐものならば、どのような形状や構成でも良い。
【0024】
又、押え部5a,5bの表面には、ドライアイスDに使用している旨の表記や、賞味期限を記載するようにしている。ここで、表面に記載する内容は、広告等の他の表記や、図面、模様等の意匠でも良く、特に制限されるものではない。
【0025】
以下本発明の収納容器を実施する形態例の作用を説明する。
【0026】
収納容器を使用する際には、初めに容器本体1を組み立て、図4に示す如く、配置穴11に受け部4の下部16及び中間部15を挿入して配置穴11の周囲面2bに係止部14を係止し、受け部4を天井面2に懸吊する。次に、受け部4を備えた配置穴11に皿部3の皿本体12を挿入し、受け部4の係止部14を挟み込むよう配置穴11の周囲面2bに皿部3の縁部13を係止し、皿部3を容器本体1の天井面2に配置する。ここで、容器本体1、受け部4、皿部3は、予め準備しても良いし、ドライアイスDを入れる直前に組み立てても良い。又、容器本体1の天井面2と受け部4の係止部14、容器本体1の天井面2と皿部3の縁部13を、適宜、接着手段により固定しても良いし、載置するのみでも良い。
【0027】
続いて、容器本体1内にケーキ等の食品(収納物)を入れ、皿部3に、所望の保冷時間に対応する量のドライアイスDを入れ、更に、押え部5a,5bで皿部3の開放面3aを塞ぐと共に、皿部3の縁部13を配置穴11の周囲面2bに押え付けて皿部3と容器本体1との隙間を塞ぐ。ここで、押え部5a,5bが、図6に示す如く皿部3の縁部13よりも一回り大きい形状の場合には、予めドライアイスDを入れて押え部5a,5bを貼付した後に、容器本体1内に食品(収納物)を入れても良い。更に、押え部5a,5bが、図7に示す如く容器本体1の背面8から前方の周囲面7まで掛け回し得る帯状の形状の場合には、容器本体1内に食品(収納物)を入れた後に、ドライアイスDを入れて押え部5a,5bを貼付し、同時に容器本体1の天井部(蓋部)を周囲面2bに固定しても良い。又、ドライアイスDは、予め所定の時間に対応する大きさのブロック状のものを入れても良いし、量を測った粒状、又は破砕した形状のものを入れても良い(図6ではブロック状を示す)。
【0028】
その後、容器本体1内の食品を保冷する際には、ドライアイスDによって皿部3の外面に霜状の氷及び/又は水が生じ、容器本体1の振動や温度上昇によって落下する一方で、受け部4は、皿部3の外面から落下した氷や水を受け止め、水分を吸収するようにしている。ここで、皿部3と受け部4との間に隙間が無い場合には、皿部3の外面に生じた氷及び/又は水が受け部4に直接移行して受け部4自体に新たな氷や水が生じ、受け部4から氷や水が食品へ落下するという問題がある。
【0029】
同時に、容器本体1内の食品を保冷する際には、熱伝導率の高い皿部3の素材によりドライアイスDの冷熱を容器本体1の内部へ直接伝えると共に、押え部5a,5bのドライアイスDの二酸化炭素を外部へ逃がす構成により、容器本体1内への二酸化炭素の侵入を防止する。
【0030】
次に、本発明の如く収納容器の皿部3にドライアイスDを用いた場合と、収納容器内に蓄冷剤を用いた場合とにおいて、冷却効率等を比較する(室温設定30℃)。
【0031】
図8のグラフに示す如く、容器本体1にドライアイス(DI)を50g入れた場合と、同じ形状の容器本体1に一般的な蓄冷剤を50g入れた場合で比較すると、ドライアイスの場合には容器本体1内の温度が約2時間にわたって3〜5℃低く、ドライアイスの冷却効率が蓄冷剤よりも高いことが明らかである。
【0032】
図9のグラフに示す如く、容器本体1にドライアイス(DI)を50g入れた場合と、容器本体1にドライアイス(DI)を100g入れた場合と、同じ形状の容器本体1に一般的な蓄冷剤を50g入れた場合で比較すると、ドライアイス100gの場合には容器本体1内の温度が蓄冷剤に比べて約2時間にわたって約7℃低く、更にドライアイス50gに比べて長時間保冷して温度変化を抑制することができ、ドライアイスの量によって保冷時間をコントロールできることが明らかである。なお、蓄冷剤を用いた場合には、保冷時間をコントロールできず、蓄冷剤の量を増やしても冷却効率を高めることができない。
【0033】
図10のグラフに示す如く、容器本体1にドライアイス(DI)を50g入れた場合と、同じ形状の容器本体1に一般的な蓄冷剤を50g入れた場合で比較すると、ドライアイスの場合にはケーキの品温が約2時間にわたって2〜3℃低く、ドライアイスの冷却効率が蓄冷剤よりも高いことが明らかである。
【0034】
以上のことから、ケーキを収納する収納容器の場合には、冷却効率が高く、且つ容器内に入れる量によって保冷時間をコントロールできるドライアイスを用いることが最適である。
【0035】
続いて、本発明の如くドライアイスを皿部3に入れて押え部5a,5bで覆った場合と、ドライアイスの冷気を直接内部に入れた場合とにおいて、二酸化炭素のガス濃度(%vol)を比較する(室温設定30℃、ケーキなし)。
【0036】
本発明の如くドライアイス50gを皿部3に入れて押え部5a,5bで覆った場合には、容器本体1内の二酸化炭素の濃度が1時間後に1.04%volとなり、ドライアイスの冷気を直接内部に入れるように皿部を紙製にした場合には、容器本体1内の二酸化炭素の濃度が1時間後に2.40%volとなり、2倍以上の二酸化酸素のガス濃度となった。なお、蓄冷剤50gを用いた場合には、容器本体1内の二酸化炭素の濃度が1時間後に0.59%volとなっている。
【0037】
更に、容器本体1内に二酸化炭素が存在した場合において、ケーキの品質に対する二酸化炭素の影響を複数のモニタ(少なくとも3名以上)により調べた。
【0038】
容器本体1にケーキを入れることなく、天井面2にドライアイス50gを直接貼付した場合には、容器本体1内の二酸化炭素の濃度が1時間後に5.50%vol、2時間後に4.00%vol、3時間後に2.50%volと変化するのに対し、容器本体1にケーキを入れて、天井面2にドライアイス50gを直接貼付した場合には、容器本体1内の二酸化炭素の濃度が1時間後に4.50%volとなる一方で、2時間後、3時間後に二酸化炭素の濃度を検出することができず、ケーキ自体が二酸化炭素を吸収していると考えられた。その後、二酸化炭素を吸収したと考えられるケーキを複数のモニタにより試食したところ、ケーキの種類によって異なるが、スポンジ面の大きいケーキでは、酸味やエグミの発生、クリアー感の消失等による品質(味)の変化が散見された。
【0039】
以上のことから、ケーキを収納する収納容器の場合には、容器本体1の内部に二酸化炭素の冷気が流入しない構成が極めて有効である。
【0040】
而して、このように本発明を実施する形態によれば、収納物と皿部3との間に受け部4を備えるので、ケーキ等の食品(収納物)を収納して保冷する際に、ドライアイスDによって皿部3の外面に生じた氷及び/又は水が落下する場合であっても、氷や水を受け部4で受け止めて食品への氷や水の落下を防止し、食品の品質の低下を抑制できる。又、皿部3の開放面3aを覆う押え部5a,5bは、ドライアイスDの二酸化炭素を外部へ逃がす構成を備えるので、ドライアイスDの二酸化炭素による容器本体1内への侵入を防止し、ケーキ等の食品の品質(味)が変化するような食品に対する酸味等の発生やクリアー感の消失を抑制できる。更に、天井面2に皿部3を介してドライアイスDに備えるので、蓄冷剤に比べて冷却効率を十分に高めると共に、ドライアイスDの量によって保冷時間を調整することができる。更に又、天井面2の配置穴11に皿部3を配置し、次に皿部3にドライアイスDを入れて押え部5a,5bを配置し得るので、皿部3を簡易に配置できると共に、皿部3にドライアイスDを入れて容易に準備できる。
【0041】
本発明を実施する形態において、受け部4は、皿部3との間に隙間を有して容器本体1内に懸吊され、容器本体1の内部で冷気が流通し得る流通口17を備えると、皿部3との間の隙間により、皿部3の外面に生じた氷及び/又は水が受け部4に直接移行して受け部4自体に新たな氷や水が生じることがないので、受け部4からケーキ等の食品への氷や水の落下を防止し、食品の品質の低下を抑制できる。又、受け部4は、容器本体1の内部で冷気が食品側へ流通し得る流通口17を備えるので、食品を適切に保冷できる。
【0042】
本発明を実施する形態において、受け部4は、天井面2に懸吊されるよう配置穴11の周囲面2bに係止する係止部14と、係止部14から容器本体1の内部へ延在する中間部15と、皿部3の下方に位置するよう中間部15に支持される下部16を備えると、天井面2の配置穴11に受け部4を配置した後に、受け部4の係止部14を挟み込むように皿部3を配置して受け部4を固定するので、受け部4を簡易に設置できる。又、受け部4の構成により食品への氷や水の落下を好適に受け止めると共に、食品を好適に保冷できる。
【0043】
本発明を実施する形態において、押え部5a,5bは、ドライアイスDの二酸化炭素を外部へ逃がすよう、皿部3との間に隙間を備えるシート面、二酸化炭素を透過する素材を有したシート面、二酸化炭素を排出する孔を形成したシート面の少なくとも1つで形成されると、ドライアイスDの二酸化炭素による容器本体1内への侵入を防止し、収納容器内の食品の品質が二酸化炭素により変化することを好適に抑制できる。
【0044】
本発明を実施する形態において、皿部3は、天井面2に係止されるよう配置穴11の周囲面2bに合致する縁部13を備え、押え部5a,5bは、皿部3の縁部13を配置穴11の周囲面2bに押え付けて皿部3と容器本体1の隙間を塞ぐよう着接手段を備えると、皿部3と容器本体1の隙間からドライアイスDの二酸化炭素が容器本体1内へ侵入することを防止し、収納容器内の食品の品質が二酸化炭素により変化することを好適に抑制できる。
【0045】
尚、本発明の収納容器は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、配置穴を天井面の中央でなく、天井面の他の位置に設けても良いこと、配置穴を天井面に複数設け、夫々に受け部、皿部を備えても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す上面図である。
【図2】図1のII−II方向の矢視図である。
【図3】図1のIII−III方向の矢視図である。
【図4】容器本体、受け部、皿部の組み立て順を示す概念図である。
【図5】容器本体の天井面を開けた状態を示す概念図である
【図6】ドライアイスを入れて押え部を配置する一例を示す概念図である。
【図7】ドライアイスを入れて押え部を配置する他例を示す概念図である。
【図8】ドライアイスと蓄冷剤とにおいて容器本体内の温度を比較したグラフである。
【図9】ドライアイスの量を変更した際の容器本体内の温度を比較したグラフである。
【図10】ドライアイスと蓄冷剤とにおいてケーキの品温を比較したグラフである。
【符号の説明】
【0047】
1 容器本体
2 天井面
2b 周囲面
3 皿部
3a 開放面
4 受け部
5a 押え部
5b 押え部
11 配置穴
13 縁部
14 係止部
15 中間部
16 下部
17 流通口
18a シート面
18b シート面
18c シート面
19a 接着面(接着手段)
19b 接着面(接着手段)
D ドライアイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面に配置穴を形成する容器本体と、該容器本体の配置穴に配置してドライアイスを入れる皿部と、前記容器本体に収納した収納物と皿部との間に位置するよう容器本体内に配置する受け部と、前記皿部の開放面を覆ってドライアイスの露出を防ぐ押え部とを備え、
前記皿部は、熱伝導率の高い素材で構成されてドライアイスの冷熱を皿部の素材を介して容器本体の内部へ伝え、
前記受け部は、ドライアイスによって皿部の外面に生じた氷及び/又は水が収納物へ落下することを防ぎ、
前記押え部は、ドライアイスの二酸化炭素による容器本体内への侵入を防止するよう、ドライアイスの二酸化炭素を外部へ逃がす構成を備えたことを特徴とする収納容器。
【請求項2】
前記受け部は、皿部との間に隙間を有して容器本体内に懸吊され、容器本体の内部で冷気が収納物側へ流通し得る流通口を備えたことを特徴とする請求項1に記載の収納容器。
【請求項3】
前記受け部は、天井面に懸吊されるよう配置穴の周囲面に係止する係止部と、該係止部から容器本体の内部へ延在する中間部と、皿部の下方に位置するよう中間部に支持される下部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の収納容器。
【請求項4】
前記押え部は、ドライアイスの二酸化炭素を外部へ逃がすよう、皿部との間に隙間を備えるシート面、二酸化炭素を透過する素材を有したシート面、二酸化炭素を排出する孔を形成したシート面の少なくとも1つで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の収納容器。
【請求項5】
前記皿部は、天井面に係止されるよう配置穴の周囲面に合致する縁部を備え、前記押え部は、皿部の縁部を配置穴の周囲面に押え付けて皿部と容器本体の隙間を塞ぐよう着接手段を備えたことを特徴とする請求項1又は4に記載の収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−67440(P2009−67440A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237043(P2007−237043)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(591072385)日本炭酸株式会社 (4)
【出願人】(591250248)株式会社ギンポーパック (7)
【Fターム(参考)】