説明

収納容器

【課題】収納されている物品を収納空間から取り出し易いものとなる収納容器を提供する。
【解決手段】底面とその底面に連なる周壁面とにより上部が開口された収納空間を形成する収納部本体と、その収納部本体の上部開口を開閉自在な蓋体とを備えて構成され、底面が、所定の第1方向並びに第1方向と交差する第2方向の夫々に沿って凹部5と凸部6とが交互に並ぶ形態で且つ凹部5と凸部6とが千鳥状に配置される形態で凹凸面に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底面とその底面に連なる周壁面とにより上部が開口された収納空間を形成する収納部本体と、その収納部本体の上部開口を開閉自在な蓋体とを備えて構成されている収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記収納容器は、収納空間内に、例えば、作業車の修理点検作業等に用いられる工具等の各種の物品を収納するような場合に用いられるものであるが、従来の収納容器では、収納空間を形成する底面が平坦面に形成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−186512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、収納容器に収納される物品として、手で取り出し易い物品を収納する場合には問題はないが、収納容器には工具以外に、例えば工具を用いた作業に付随するネジやナットあるいは座金などの小物物品を収納する場合があり、このような小物物品が収納されている場合には物品を収納容器から取り出し難い場合があった。
【0005】
すなわち、上記したような小物物品等が収納容器内に収納されているときに、使用者が収納容器内に手を挿入して物品を取り出すために、物品を手指で掴もうとしても、底面が平坦面であれば、物品の外周部と底面との間に手指の先端を入れるための隙間が小さい又は殆ど隙間の無い状態となるので、手指で物品を掴むことが難しくなり、物品を収納容器から取り出し難いものとなる。
【0006】
特に、工具等を用いて作業を行う場合、作業者は手に軍手等の手袋を装着した状態で作業を行う場合が多く、このように軍手等の手袋を装着した状態であれば、特に物品の取り出しが行い難いものである。
【0007】
ところで、上述したように物品の取り出しが行い難い場合には、収納容器全体を持ち上げてひっくり返して収納されている物品を取り出すことが可能となるものであるが、収納容器が、作業車等に位置固定状態で取り付けられているような場合には、収納容器全体を持ち上げてひっくり返して収納されている物品を取り出すことが出来ないので、上述した小物物品のような手で掴み難い物品の取り出しがさらに行い難いものとなるおそれがあった。
【0008】
本発明の目的は、収納されている物品を収納空間から取り出し易いものとなる収納容器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る収納容器は、底面とその底面に連なる周壁面とにより上部が開口された収納空間を形成する収納部本体と、その収納部本体の上部開口を開閉自在な蓋体とを備えて構成されているものであって、その第1特徴構成は、前記底面が、所定の第1方向並びに前記第1方向と交差する第2方向の夫々に沿って凹部と凸部とが交互に並ぶ形態で且つ前記凹部と前記凸部とが千鳥状に配置される形態で凹凸面に形成されている点にある。
【0010】
第1特徴構成によれば、例えばナットや座金等の手で掴み難い物品が収納容器内に収納されているような場合であっても、前記底面が、所定の第1方向並びに前記第1方向と交差する第2方向の夫々に沿って凹部と凸部とが交互に並ぶ状態で凹凸面に形成されており、物品が凹部に入り込む状態で底面に存在していても、その凹部の横側には凸部が形成されることになるので、物品が凹部と凸部とにわたって載置された状態で存在することが多くなる。その結果、凹部と凸部との間の底面の屈曲部分において、物品との間に隙間が形成されることになり、手指にて物品を掴み易いものとなる。
【0011】
ところで、凹部と凸部とが交互に並ぶ状態で凹凸面に形成されていても、それらが千鳥状ではなく、例えば、図22に示すように、底面に所定の第1方向並びに第1方向と交差する第2方向の夫々に沿って整然と列状に並ぶ状態で複数の凸部6を設け、凸部6同士の間の低い領域で凹部5を形成するような場合であれば、物品を取り出し難いものとなるおそれがある。
【0012】
説明を加えると、図22に示すような構成であれば、凹部5が第1方向及び第2方向の夫々に沿って連続して形成される領域Aが存在することになり、例えば、物品が、凹部5内に収まった状態で載置されるような小形の物品であれば、凹部5内に収まった状態で載置される物品を手指で掴もうとしても、物品が長く連続する凹部5に沿って逃げてしまい掴み難いものとなるおそれがある。
【0013】
これに対して、第1特徴構成によれば、底面は凹部と凸部とが千鳥状に配置される形態で凹凸面に形成されているから、凹部が連続して長く形成されることがなく、凹部内に収まった状態で載置される物品を手指で掴もうとしたときに物品が横にずれることがあっても、いずれの方向にずれても凸部が存在するので、物品が凹部と凸部との間の底面の屈曲部分において物品との間に隙間が形成されることになり、手指にて物品を掴み易いものとなる。
【0014】
その結果、手で掴み難い物品が収納容器内に収納されているような場合であっても、物品と底面との間に隙間が形成されて手指にて物品を掴み易いものとなって、収納されている物品を収納空間から外部に取り出し易いものとなる。
【0015】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記底面を前記第1方向に沿って複数に分割した帯状の底面分割領域の夫々が、その底面分割領域の長手方向に沿って前記凹部と前記凸部とが交互に並ぶ状態で波面状に形成され、複数の前記底面分割領域の夫々において、隣接する底面分割領域との間で前記長手方向に互いに位置をずらした状態で前記凹部と前記凸部とが形成されて、前記凹部と前記凸部とが千鳥状に配置されるものである点にある。
【0016】
第2特徴構成によれば、底面を第1方向に沿って複数に分割された帯状の底面分割領域が、長手方向に沿って凹部と凸部とが交互に並ぶ状態で波面状に形成されることにより、凹部と凸部とが千鳥状に配置される形態で凹凸面に形成されることになる。
そして、複数の底面分割領域の夫々において、凹部と凸部との間の底面の屈曲部分と物品との間に隙間が形成されるので、手指にて物品を掴み易いものとなる。
【0017】
本発明の第3特徴構成は、第2特徴構成に加えて、複数の前記底面分割領域の夫々が、前記凹部と前記凸部とが交互に並ぶ状態で且つ滑らかな曲面を描く状態で波面状に形成されている点にある。
【0018】
第3特徴構成によれば、複数の底面分割領域の夫々は、その長手方向に沿って凹部と凸部とが交互に並ぶ状態で且つ滑らかな曲面を描く状態で波面状に形成されているから、手で掴み難い物品が収納容器内に収納されている場合、その物品を滑らかな曲面を描く状態で波面状に形成されている底面分割領域の長手方向に沿って押しながら移動させることができる。
【0019】
その結果、収納している物品を作業者が取り出し易い位置まで移動させた状態で、物品と底面との間に形成されて手指にて物品を掴み易いものとなって、収納している物品を収納空間から外部に取り出し易いものになる。
【0020】
本発明の第4特徴構成は、第2特徴構成又は第3特徴構成に加えて、前記底面が幅狭の辺と幅広の辺とを有する長方形状に形成され、前記第1方向が前記底面の幅狭の辺に沿う方向に、且つ、前記第2方向が前記底面の幅広の辺に沿う方向に夫々設定されている点にある。
【0021】
第4特徴構成によれば、帯状の底面分割領域の長手方向を底面の幅広の辺に沿う方向を沿わせた状態で凹部と凸部とが交互に並ぶ状態で波面状に形成するので、収納している物品を作業者が底面分割領域の長手方向に沿って取り出し易い位置まで移動させることを一層的確に行い易いものとなる。
【0022】
従って、長方形状に形成される底面の構成を有効利用して、収納されている物品を収納空間からより一層取り出し易いものにできる。
【0023】
本発明の第5特徴構成は、第2特徴構成〜第4特徴構成のいずれかに加えて、前記底面分割領域の前記凹部が形成される箇所と、それに隣接する底面分割領域における前記凸部が形成される箇所との境界部分に、前記周壁面に沿う縦壁面が形成されている点にある。
【0024】
第5特徴構成によれば、手で掴み難い物品が底面分割領域の凹部に位置している場合、凹部内に収まった状態で載置される物品を手指で掴もうとしたときに、掴みきれずに物品が横ずれして逃げると、物品はその底面分割領域の凹部内を移動するが、その凹部の端部に至ると、隣接する底面分割領域との境界部分に形成される縦壁面によって物品のそれ以上の横ずれを阻止することができる。
【0025】
このように横ずれを阻止した状態で、物品を底面分割領域の長手方向に押し移動させると、凹部と凸部との間の底面の屈曲部分において、物品との間に隙間が形成されて、手指にて物品を掴み易いものとなる。
【0026】
従って、物品を手指で掴もうとしたときに物品が横ずれして逃げることがあっても、縦壁面にて物品の横ずれを阻止した状態で手指にて物品を掴み易いものとなって、収納している物品を収納空間から外部に取り出し易いものにできる。
【0027】
本発明の第6特徴構成は、第1特徴構成〜第5特徴構成のいずれかに加えて、前記底面を形成する底板部の容器外方側の表面の少なくとも一部が平坦面に形成されている点にある。
【0028】
収納容器を支持台に載置して支持させる場合、収納容器を支持する支持台の被載置面は平坦面に形成されることが一般的であるが、第6特徴構成によれば、このような平坦な被載置面に底板部の容器外方側の表面の平坦面に形成されている箇所を載置させた状態で支持させることにより、収納容器を安定的に載置支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】収納容器の斜視図である。
【図2】収納容器の一部切欠正面図である。
【図3】収納容器の平面図である。
【図4】収納容器の横断平面図である。
【図5】収納容器の一部切欠側面図である。
【図6】収納容器の縦断側面図である。
【図7】収納容器の一部切欠正面図である。
【図8】収納容器の一部切欠側面図である。
【図9】トラクタへの装着状態を示す平面図である。
【図10】別実施形態の収納容器の一部切欠正面図である。
【図11】別実施形態の収納容器の一部切欠正面図である。
【図12】別実施形態の収納容器の一部切欠正面図である。
【図13】別実施形態の収納容器の横断平面図である。
【図14】別実施形態の収納容器の一部切欠平面図である。
【図15】別実施形態の収納容器の一部切欠正面図である。
【図16】別実施形態の収納容器の一部切欠平面図である。
【図17】別実施形態の収納容器の一部切欠平面図である。
【図18】別実施形態の収納容器の横断平面図である。
【図19】別実施形態の収納容器の一部切欠平面図である。
【図20】別実施形態の収納容器の一部切欠平面図である。
【図21】別実施形態の収納容器の一部切欠正面図である。
【図22】比較例の収納容器の一部切欠平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に基づいて、本発明に係る収納容器について説明する。
図1及び図2に本発明に係る収納容器Yを示している。この収納容器Yは、底面1とその底面1に連なる周壁面2とにより上部が開口された収納空間Rを形成する収納部本体3と、その収納部本体3の上部開口Kを開閉自在な蓋体4とを備えて構成されている。
【0031】
この収納容器Yは、例えば、トラクターに固定状態で取り付けられて、トラクターの修理点検作業等に用いられる工具を収納するように構成されている。尚、この収納容器Yには、工具を用いた作業に付随するネジ、ナット、座金などの小物物品も合せて収納されることがある。
【0032】
次に、収納容器Yの具体的な構成について説明を加える。
図1〜図6に示すように、収納部本体3及び蓋体4は、ポリプロピレン(PP)等の一般的な材質の合成樹脂材で一体的に成形されて構成され、平面視で長方形状の収納空間Rを備えており、底面1も平面視で長方形状に形成されている。ちなみに、収納部本体3と蓋体4との接続部分は肉厚を薄くしてあり、蓋体4が収納部本体3の上部開口を閉じる状態と開放する状態とに折り曲げ操作可能に接続されて、この接続部によりヒンジ部8が形成されている。
【0033】
この収納容器Yの収納空間Rの大きさは、図4に示すように、幅広方向(長手方向)の幅L1が約330mmであり、幅狭方向の幅L2が約100mm程度を有する大きさであり、工具として、例えば、ハンマーやスパナ、モンキーレンチ等を収容することができるような大きさに設定されている。
【0034】
図1、図3及び図5に示すように、蓋体4のヒンジ部8が形成される箇所とは反対側の箇所、つまり、揺動端側の箇所には、蓋体4を閉じたときに、収納部本体3の上部開口Kの縁部に形成された被係合部9に弾性的に係合して蓋体4を閉じ状態にて保持する弾性係合部10が、長手方向に間隔をあけて2箇所形成されている。蓋体4を開放させるときには、弾性係合部10を手動操作にて被係合部9との係合を解除して、蓋体4を開けることができるように構成されている。
【0035】
図1、図3及び図6に示すように、収納部本体3の上部開口Kの周縁部及び蓋体4の揺動端側の箇所には、夫々、長手方向の中央部に上下方向に貫通する貫通孔11が形成されたロック具装着部12が形成されており、蓋体4を閉めた状態でロック具装着部12の夫々の挿通孔11に沿ってロック用の鍵(図示せず)を装着して防犯のためにロックしておくことができる。
【0036】
図2、図4及び図6に示すように、底面1の長手方向の中央部には、長手方向に沿って所定幅を有し且つ長手方向と直交する幅狭方向の全幅にわたる状態で、略門形に上方に突出するように屈曲し且つ平板状に設けられているステー取付部13が形成されている。又、このステー取付部13における底面1の長手方向両側に取付用のボルト14が挿通するボルト挿通孔15が夫々形成されている。又、底面1が形成される底板部19の容器外方側の表面のうち、前記ステー取付部13が対応する箇所は、平坦面に形成されている。
【0037】
従って、この収納容器Yをトラクターに固定状態で取り付ける場合には、図1及び図9に示すように、トラクターの運転座席Sの後方に機体横向きに延びる横向きフレーム16の上部に、例えば低速走行用車両であることを表示する表示具Hを支持するための支持ステー17が設けられており、この支持ステー17に収納容器Yのステー取付部13を上方側から当て付けて、収納部本体3の収納空間R側から取付用のボルト14をボルト挿通孔15を通して横向きフレーム16に締め付け固定することで、収納容器Yをトラクターに固定状態で取り付けることができるように構成されている。
【0038】
底面1が形成される底板部19の容器外方側の表面のうちステー取付部13が対応する箇所は平坦面に形成されているから、収納容器Yを支持ステー17の上面に安定的に載置支持させることができる。
【0039】
そして、ステー取付部13の長手方向両側に位置する両側底面部分1A,1Bには、底面1の幅狭方向(図4の紙面上下方向)(第1方向に相当)に沿って複数に分割した帯状の底面分割領域7の夫々が、その底面分割領域7の長手方向(図4の紙面左右方向)(第2方向に相当)に沿って凹部5と凸部6とが交互に並ぶ状態で波面状に形成されている。
【0040】
具体的には、図4、図7及び図8に示すように、両側底面部分1A,1Bを底面1の幅狭方向に沿って5個に分割した底面分割領域7の夫々が、凹部5と凸部6とが交互に並ぶ状態で且つ滑らかな曲面を描く状態で波面状に形成されている。又、5個の底面分割領域7の夫々において、隣接する底面分割領域7との間で長手方向に互いに位置をずらした状態で凹部5と凸部6とが形成されて、両側底面部分1A,1Bにおいては、凹部5と凸部6とが千鳥状に配置される構成となっている。
尚、図4では、複数の底面分割領域7の夫々において、凸部6の最も高い部分を実線にて表し、各実線(凸部6)同士で挟まれる領域に凹部5が形成される状態を表している。
【0041】
底面1の凹凸形状について説明を加えると、前記各底面分割領域7においては、凹部5と凸部6とが一定ピッチで交互に繰り返す状態で形成され、隣接する底面分割領域7との間で長手方向に互いに半ピッチずつ位置をずらした状態で凹部5と凸部6とが形成されている。つまり、1つの底面分割領域7の凹部5の幅狭方向両側に隣接する箇所には、隣接する底面分割領域7における凸部6が存在するのであり、凹部5が連続して形成されることはなく、凹部5と凸部6とが千鳥状に配置されることになる。
【0042】
しかも、図8に示すように、底面分割領域7の凹部5が形成される箇所と、それに隣接する底面分割領域7における凸部6が形成される箇所との境界部分に、周壁面2に沿う縦壁面18が形成されている。
【0043】
前記各底面分割領域7においては長手方向に沿って凹部5と凸部6とが交互に並ぶ状態で形成されるが、その繰り返し周期(ピッチ)、すなわち、交互に形成される凸部6の先端部同士あるいは凹部5の最底部同士の間隔ptは、約30mmに設定されている。又、底面1が形成される底板部19の板厚は底面1全域にわたり約3mmであり、凹部5と凸部6との高低差は約2mmである。
【0044】
従って、この収納容器Yは、収納部本体3における底面1が、所定の第1方向並びに前記第1方向と直交する第2方向の夫々に沿って凹部5と凸部6とが交互に並ぶ形態で且つ前記凹部5と前記凸部6とが千鳥状に配置される形態で凹凸面に形成され、又、前記第1方向が前記底面1の幅狭の辺に沿う方向に、且つ、前記第2方向が前記底面1の幅広の辺に沿う方向に夫々設定されており、底面1を第1方向に沿って複数に分割した帯状の底面分割領域7の夫々が、その底面分割領域7の長手方向に沿って前記凹部5と前記凸部6とが交互に並ぶ状態で波面状に形成され、複数の前記底面分割領域7の夫々において、隣接する底面分割領域7との間で前記長手方向に互いに位置をずらした状態で前記凹部5と前記凸部6とが形成されて、凹部5と凸部6とが千鳥状に配置されるものである。
【0045】
このように構成されているから、例えば、座金等の手で掴み難い物品が収納されている場合であっても、凹部5と凸部6との間の底面1の屈曲部分と物品との間に隙間が形成されて手指にて物品を掴み易いものになる。
【0046】
又、底面分割領域7の凹部5に入り込んで収納されるような小物の物品が存在している場合には、手指で掴もうとしても物品が凹部5内を幅狭方向に沿って逃げて横方向に移動することがあるが、縦壁面18にて受止めたのち物品を長手方向に位置をずらすことで、凹部5と凸部6との間の底面1の屈曲部分と物品との間に隙間が形成されて、手指にて物品を掴み易いものとなる。
【0047】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、底面1が形成される底板部19が板厚が約3mmで底面1の全面にわたり略一定になる状態で形成され、凹部5と凸部6とが形成される両側底面部分1A,1Bにおける底板部19の容器外方側の表面は、底面1における凹凸形状と同じような凹凸形状に形成される構成となっていたが、このような構成に代えて、図10に示すように、前記両側底面部分1A,1Bの容器外方側の表面を平坦面に形成してもよい。
【0048】
この構成では、合成樹脂材で一体成形される底板部19は、凹部5が形成される箇所では薄くなるが、凸部6が形成される箇所では厚みが厚くなるので、それだけ強度を向上させることが可能となる。しかも、収納容器Yをトラクターの横向きフレーム16に取り付けるときに、底板部19の容器外方側の平坦な表面を横向きフレーム16上に載置させることにより、安定的に支持させた状態で取り付けることができる。
【0049】
(2)上記実施形態では、凹部5と凸部6とが交互に並ぶ状態で且つ滑らかな曲面を描く状態で波面状に形成されているものを例示したが、このような構成に代えて、例えば、図11に示すように、台形状となる凸部6と逆向きの台形状となる凹部5とが交互に並ぶ状態で波面状に形成されるもの、又、図12に示すように、矩形状の凸部6と凹部5とが交互に並ぶ状態で波面状に形成されるもの等、種々の形態の凹凸形状を用いることができる。
【0050】
(3)上記実施形態では、底面1の幅狭方向に沿って複数に分割した帯状の底面分割領域7の夫々が、その底面分割領域7の長手方向に沿って凹部5と凸部6とが交互に並ぶ状態で波面状に形成されるものを例示したが、このような構成に代えて、例えば、図13に示すように、底面1の長手方向及び幅狭方向の夫々に対して斜めに交差する第1の方向D1を前記第1方向として設定し、その第1の方向D1と直交する第2の方向D2を第2方向として設定して、底面1を第1の方向D1に沿って複数に分割した帯状の底面分割領域7の夫々が、第2の方向D2に沿って凹部5と凸部6とが交互に並ぶ状態で波面状に形成されるものでもよい。
【0051】
(4)上記実施形態では、凹部5と凸部6とを交互に並ぶ状態で波面状に形成するにあたり、複数の凸部6の高さが互いに異なるものや複数の凹部5の凹入深さが互いに異なるものを組み合わせた形状、凹部5と凸部6との間で形成される曲面の曲率半径を異ならせた形状、凹部5と凸部6とが交互に形成されるときの繰り返しピッチを隣接する底面分割領域7同士で異ならせる形態で凹凸状に形成したもの等、種々の形状のもので構成することができる。
要するに、図22に示すような凹部5が連続して形成される領域Aが存在しないように、凹部5と前記凸部6とが千鳥状に配置される形態で凹凸面に形成されるものであればよい。
【0052】
(5)上記実施形態では、凹部5と凸部6とが交互に並ぶ状態で波面状に形成されているものを例示したが、このような構成に代えて、次のように構成してもよい。
【0053】
図14及び図15に示すように、上部が平坦面を有する円形状の凸部6を所定の第1方向並びに第1方向と直交する第2方向の夫々に沿って所定間隔を開けて並ぶ形態で且つ千鳥状に配置される形態で形成して、凸部6同士の間の底部にて凹部5を形成する状態で凹凸面に形成してもよい。
【0054】
そして、前記凸部6の形状として、円形状の他、円錐形状、四角錐形状、三角錐形状等の種々の形状の突起を形成して凹凸面に形成してもよい。
【0055】
又、図16に示すように、平面視で矩形状の複数の凸部6を略ハの字状に配置する状態で並べて、且つ、凸部6同士の間の底部にて凹部5を形成して、凹部5と凸部6とが千鳥状に配置される形態で凹凸面に形成されるものでもよい。
尚、図16に示すものは、収納容器Yの底面1が、第1方向(図16の紙面左右方向)並びに第2方向(図16の紙面上下方向)の夫々に沿って凸部6とその凸部6同士の間の底部にて形成される凹部5とが交互に並ぶ形態で、且つ、凹部5と凸部6とが千鳥状に配置される形態で、凹凸面に形成されるものである。
【0056】
(6)上記実施形態では、底面1が、所定の第1方向並びに第1方向と直交する、すなわち、90度傾斜する方向に沿う第2方向の夫々に沿って凹部と凸部とが交互に並ぶ形態で且つ凹部と凸部とが千鳥状に配置される形態で凹凸面に形成されているものを示したが、この構成に代えて、所定の第1方向並びに第1方向に対して90度よりも大きい角度で傾斜する第2方向の夫々に沿って凹部5と凸部6とが交互に並ぶ形態で且つ凹部5と凸部6とが千鳥状に配置される形態で凹凸面に形成されるものであってもよい。
【0057】
例えば、凸部6同士の間の底部にて凹部5を形成する状態で凹凸面に形成する場合を例にして説明すると、図17に示すように、上部が平坦面を有する円形状の凸部6を、所定の第1方向D3並びに第1方向D3に対して90度よりも大きい角度で傾斜する第2方向D4の夫々に沿って所定間隔を開けて並ぶ形態で且つ千鳥状に配置される形態で形成して、凸部6同士の間の底部にて凹部5を形成する状態で凹凸面に形成するものであってもよい。
【0058】
(7)上記実施形態では、底面1の長手方向の中央部にステー取付部13が形成されるものを例示したが、このようなステー取付部13を形成せずに、図18に示すように、底面1の全域において、凹部5と凸部6とが交互に並ぶ形態で且つ凹部5と凸部6とが千鳥状に配置される形態で凹凸面に形成される構成としてもよい。
【0059】
(8)上記実施形態では、収納容器Yを合成樹脂材にて一体成形して構成するものを例示したが、これに代えて、収納容器Yを金属材にて構成するものでもよい。
【0060】
(9)上記収納容器Yの底面1の凹凸形状として、次のように構成するものでもよい。
図19に示すように、平面視で菱形に形成された凸部6が第1方向(紙面左右方向)並びに第1方向と直交する第2方向(紙面上下方向)の夫々に沿って並ぶ形態で設けられ、それら各凸部6は第1方向並びに第2方向の夫々において菱形の先端部同士が接する状態で形成され、凸部6同士の間の底部にて凹部5を形成する状態で凹凸面が形成される。
【0061】
図20及び図21に示すように、底面1を第1方向に沿って複数に分割した帯状の底面分割領域7の夫々が、その底面分割領域7の長手方向に沿って凹部5と凸部6とが交互に並ぶ状態で波面状に形成されるものであり、複数の底面分割領域7に、少なくとも隣接するもの同士の凹部5と凸部6とが前記長手方向に交互に並ぶときの繰り返し周期(ピッチ)を互いに異ならせる形態で凹凸面が形成される。
【0062】
説明を加えると、図20及び図21に示すものでは、第1方向(紙面上下方向)の両側端部に位置する底面分割領域7の繰り返し周期が最も短い最短周期pt1であり、それに隣接する底面分割領域7の繰り返し周期pt2は最短周期pt1の2倍であり、第1方向の幅方向中央に位置する底面分割領域7の繰り返し周期pt3は最短周期pt1の4倍となるように繰り返し周期(ピッチ)を異ならせる形状としている。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、例えば、工具や工具の使用に付随するネジ、ナット、座金等の小物物品等を収納するための収納容器に適用できる。
【符号の説明】
【0064】
1 底面
1A,1B 両側底面部分
2 周壁面
3 収納部本体
4 蓋体
5 凹部
6 凸部
7 底面分割領域
18 縦壁面
19 底板部
K 上部開口
R 収納空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面とその底面に連なる周壁面とにより上部が開口された収納空間を形成する収納部本体と、その収納部本体の上部開口を開閉自在な蓋体とを備えて構成されている収納容器であって、
前記底面が、所定の第1方向並びに前記第1方向と交差する第2方向の夫々に沿って凹部と凸部とが交互に並ぶ形態で且つ前記凹部と前記凸部とが千鳥状に配置される形態で凹凸面に形成されている収納容器。
【請求項2】
前記底面を前記第1方向に沿って複数に分割した帯状の底面分割領域の夫々が、その底面分割領域の長手方向に沿って前記凹部と前記凸部とが交互に並ぶ状態で波面状に形成され、
複数の前記底面分割領域の夫々において、隣接する底面分割領域との間で前記長手方向に互いに位置をずらした状態で前記凹部と前記凸部とが形成されて、前記凹部と前記凸部とが千鳥状に配置されるものである請求項1記載の収納容器。
【請求項3】
複数の前記底面分割領域の夫々が、前記凹部と前記凸部とが交互に並ぶ状態で且つ滑らかな曲面を描く状態で波面状に形成されている請求項2記載の収納容器。
【請求項4】
前記底面が幅狭の辺と幅広の辺とを有する長方形状に形成され、
前記第1方向が前記底面の幅狭の辺に沿う方向に、且つ、前記第2方向が前記底面の幅広の辺に沿う方向に夫々設定されている請求項2又は3記載の収納容器。
【請求項5】
前記底面分割領域の前記凹部が形成される箇所と、それに隣接する底面分割領域における前記凸部が形成される箇所との境界部分に、前記周壁面に沿う縦壁面が形成されている請求項2〜4のいずれか1項に記載の収納容器。
【請求項6】
前記底面を形成する底板部の容器外方側の表面の少なくとも一部が平坦面に形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−207495(P2011−207495A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75030(P2010−75030)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】