説明

収納状態検出装置及び収納状態検出システム

【課題】検出対象に対応して容易に着脱が可能であり、かつ部品を交換することなくクレーンブームの収納状態の検出精度を維持することが可能な収納状態検出装置を提供すること。
【解決手段】この収納状態検出装置1は、クレーンブーム3の収納状態を無線通信によって報知するための無線通信部17と、無線通信部17を内蔵する筐体11と、筐体11をクレーンブーム3を駆動する油圧シリンダ4のシリンダ部5に着脱可能に固定するためのクランプ12と、クレーンブーム3が収納される際にクレーンブーム3に接触することによってオン/オフ状態を切り換え可能なように、筐体11に固定されたリミットスイッチ13とを備え、無線通信部17は、リミットスイッチ13のオン/オフ状態を検出してオン/オフ状態に応じた信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレームブームの収納状態を検出する収納状態検出装置及び収納状態検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載されたクレーンの収納状態を検出して、クレーンブームが構造物や人に接触する事故を未然に防止するための装置が知られている。例えば、下記特許文献1記載には、ブザーとそのブザーに直列に接続されたスイッチとを備え、アウトトリガの格納時にブームが未格納状態の場合に警報を発するような警報装置が開示されている。また、下記特許文献2に記載の装置は、ブーム検知器とアウトトリガ感知器と走行検知器とが制御部に接続された警報装置を有し、各検知手段からの信号を受けて予め定められた条件以外で使用された場合に警報を発する。また、下記特許文献3に記載の装置は、クレーン旋回台に固着された近接センサとその近接センサにリード線で接続された回路を有し、クレーンブームが所定位置に戻されていない場合に警報を発する。
【特許文献1】特開2001−139282号公報
【特許文献2】特開2004−59290号公報
【特許文献3】特開平9−165193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の装置においては、検出対象のクレーンブームの収納状態を検出するためのセンサと警報出力用の回路との間の配線は、可動性を考慮した長さや強度を有するケーブルによるものであることが必要であった。その結果、いったん対象の車両や船舶に装着した後は、他の未装着車両等に転用するには、センサと回路との間の配線をやり直したり、ケーブル自体を交換する必要がある場合があった。
【0004】
また、検出対象のブームを含むクレーンの構造や形状は様々であるため、そのブームの位置を確実に検出するためにはその構造に対応したセンサを特定の位置に取り付ける必要がある。この場合、クレーンの種類によってはセンサを交換する必要が有る場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、検出対象に対応して容易に着脱が可能であり、かつ部品を交換することなくクレーンブームの収納状態の検出精度を維持することが可能な収納状態検出装置及び収納状態検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の収納状態検出装置は、クレーンブームの収納状態を無線通信によって報知するための無線通信部と、無線通信部を内蔵する筐体と、筐体を、クレーンブームを駆動する油圧シリンダの固定側に着脱可能に固定するためのクランプと、クレーンブームが収納される際にクレーンブームに接触することによってオン/オフ状態を切り換え可能なように、筐体に固定されたリミットスイッチと、を備え、無線通信部は、リミットスイッチのオン/オフ状態を検出してオン/オフ状態に応じた信号を送信する。
【0007】
このような収納状態検出装置によれば、無線通信部を内蔵する筐体が、クレーンブーム駆動用の油圧シリンダの固定側にクランプによって固定されることによって、筐体に固定されたリミットスイッチが、クレーン機構の構造や形状に対応して、クレーンブームが収納された際にクレーンブームに接触するように容易に配置可能にされる。そして、リミットスイッチがクレーンブームに接触することによってリミットスイッチのオン/オフ状態が切り替えられ、そのオン/オフ状態に対応した信号が無線通信によって送信されるので、別の検出対象に搭載される場合でもリミットスイッチと警報出力装置側との配線をやり直す必要がなくなる。これにより、ケーブルやスイッチ等の部品を交換することなくクレーンブームの収納状態を容易に検出して知らせることができる。
【0008】
本発明の収納状態検出システムは、上述した収納状態検出装置と、無線通信部から信号を受信する受信部、及び受信部が受信した信号が示すオン/オフ状態に基づいて、クレーンブームの収納状態を出力する出力部を有する受信装置と、を備える。
【0009】
このような収納状態検出システムによれば、別の検出対象に搭載される場合であっても、ケーブル等の配線をやり直すことなく、クレーンブームの収納状態を容易に出力させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、検出対象に対応して容易に着脱が可能であり、かつ部品を交換することなくクレーンブームの収納状態の検出精度を維持することが可能な収納状態検出装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面とともに本発明による収納状態検出装置及び収納状態検出システムの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明の好適な一実施形態である収納状態検出装置1のクレーン2への装着時の外観構成を示す斜視図、図2は、図1の収納状態検出装置1を反対側から見た斜視図、図3は、図1の収納状態検出装置1のクレーンブーム収納時の状態を示す斜視図である。収納状態検出装置1は、車両や船舶等に搭載されるクレーンのクレーンブームの収納状態を監視者に知らせるための装置である。
【0013】
収納状態検出装置1は、無線通信機能を具備する略直方体形状の筐体11と、筐体11をクレーン2に着脱可能に固定するためのクランプ12と、筐体11の外面に固定されたリミットスイッチ13とを備えている。
【0014】
クランプ12は、筐体11の外面にねじ止め、融着等により固定されたステンレスや鉄等の金属製のリング状締め付け部材であり、内径を調整可能な螺子を含む調整機構14が外周側に設けられている。このクランプ12は、クレーンブーム3の先端(遊端)側を上昇及び下降させてクレーンブーム3を駆動するための油圧シリンダ4のシリンダ部(固定側)5に着脱可能な形状を有する。また、クランプ12は、そのシリンダ部5への装着時に筐体11がクレーンブーム3の基端3aの駆動方向Vに沿ったシリンダ部5側に固定可能なように、筐体11の外面に取り付けられている。
【0015】
リミットスイッチ13は、筐体11のクレーン2への装着時におけるクレーンブーム3側の外面に固定され、棒状のスイッチレバー15を備えている。このスイッチレバー15は、その先端に筐体11の外側から所定の圧力が加えられた場合に、基端側を支点として先端側が回動可能な構造を有し、筐体11の外側に向けて反発力を有するように構成されている。そして、リミットスイッチ13は、スイッチレバー15の先端が筐体11側に所定距離だけ動いた場合にオン状態を検出する。すなわち、リミットスイッチ13は、クレーンブーム3が油圧シリンダ4のロッド部16のスライド運動により収納される際に、クレーンブーム3の基端3aがスイッチレバー15の先端に接触することによってスイッチレバー15が筐体側に押し込まれることを検出する。さらに、リミットスイッチ13は、そのスイッチレバー15の往復運動に応じてオン/オフ状態を切り替える。
【0016】
筐体11には、クレーンブーム3の収納状態を車両や船舶等の運転室に設置された受信装置20に無線通信によって報知するための無線通信部17を内蔵している。この無線通信部17は、スイッチレバー15のオフ状態、すなわち、クレーンブーム3が未収納状態にある場合に、その未収納状態を示す信号を無線通信を用いて受信装置20に送信する。このとき用いられる無線方式は、様々な方式が用いられるが、無線モジュールの小型化や外部への影響の低減の観点から特定小電力無線や簡易無線が好適に用いられる。また、無線通信部17は、定期的に信号を送信してもよいし、スイッチレバー15の状態遷移時に信号を送信するように動作してもよい。
【0017】
次に、図4を参照して、収納状態検出装置1と受信装置20との接続関係について説明する。なお、収納状態検出装置1と受信装置20によって、クレーンブーム3の収納状態を監視者に知らせるための収納状態検出システム30が構成される。
【0018】
同図に示すように、受信装置20は、無線受信部21と警報出力部22とを備え、収納状態検出装置1の無線通信部17と受信装置20の無線受信部21とが無線通信によって信号を送受信可能にされている。無線受信部21は、クレーンブーム3の未収納状態を示す信号を無線通信部17から受信し、受信した信号に応じて、警報出力部22に対して警報を出力するための指示を送出する。これに対して、警報出力部22は、無線受信部21から受け取った警報出力指示に応じて、内蔵又は外付けされたランプ、ディスプレイ、ブザー等の出力手段において警報を出力させる。ここで、警報を出力させる方法としては、回転灯の点灯、ディスプレイによる情報表示、ブザーや音声の鳴動等様々な方法を採ることができる。
【0019】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、無線通信部17は、リミットスイッチ13のオフ状態を検出して信号を送信していたが、これは、リミットスイッチのオン状態を検出して信号を送信しても良いし、オン/オフ状態間の遷移を契機に信号を送信しても良い。このような場合は、無線受信部21が受信した信号に応じて、クレーンブームの未収納状態を判定して警報出力部22に出力する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の好適な一実施形態である収納状態検出装置のクレーンへの装着時の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1の収納状態検出装置を反対側から見た斜視図である。
【図3】図1の収納状態検出装置のクレーンブーム収納時の状態を示す斜視図である。
【図4】収納状態検出システムの概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0021】
1…収納状態検出装置、3…クレーンブーム、4…油圧シリンダ、4…シリンダ部(固定側)、11…筐体、12…クランプ、13…リミットスイッチ、17…無線通信部、20…受信装置、30…収納状態検出システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンブームの収納状態を無線通信によって報知するための無線通信部と、
前記無線通信部を内蔵する筐体と、
前記筐体を、前記クレーンブームを駆動する油圧シリンダの固定側に着脱可能に固定するためのクランプと、
前記クレーンブームが収納される際に前記クレーンブームに接触することによってオン/オフ状態を切り換え可能なように、前記筐体に固定されたリミットスイッチと、
を備え、
前記無線通信部は、前記リミットスイッチのオン/オフ状態を検出して前記オン/オフ状態に応じた信号を送信する、
ことを特徴とする収納状態検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の収納状態検出装置と、
前記無線通信部から前記信号を受信する受信部、及び前記受信部が受信した信号が示す前記オン/オフ状態に基づいて、前記クレーンブームの収納状態を出力する出力部を有する受信装置と、
を備えることを特徴とする収納状態検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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