説明

収納運搬用容器およびスペーサー

【課題】山岳での作業するためのロープを収納し、運搬するのに便利であり、かつ、倉庫において複数の容器を積層し、保管するのに効果的な収納運搬用容器を提供すること。
【解決手段】側部11および底部12から形成され、少なくともロープの一部を側部11により形成される開口から巻回して収納する収納空間13を有する容器本体10と、収納空間13における底部12に配置される支柱20と、を備える収納運搬用容器1であって、支柱20は、底部12から離れる方向に向かうにつれて外径が小さくなる柱体21を有し、側部11の外周の一部は、円柱側面の形状を有し、側部11は、収納空間13を間において対向する部分の上端部および下端部に、それぞれ、上端側切り欠け部31および下端側切り欠け部32を有する収納運搬用容器1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電線工事に使用するロープを、収納し運搬するための収納運搬用容器、および、スペーサーに関する。
【背景技術】
【0002】
送電線を架線するなどの送電線工事に使用するロープ(通鋼)は、普通60〜80mと長尺である。山岳で行うそのような送電線工事には、ロープの運搬−ほどき−巻取−運搬と、かなりの労力を必要とする作業が含まれる。また、ロープを巻き取るときは、ロープのよれ、もつれ、よごれなどがロープに発生しないように気を付けながら巻き取り作業を行うので、ロープの巻き取り作業の効率の低下を招く。作業者は、巻き取ったロープをそのまま肩に担いだり、巻き取ったロープと複数工具とを同時に運ぶことができる背負子に入れてその背負子を担いだりして、ロープを運搬している。
【0003】
例えば、ロープなどの線状物を収納する梱包箱として、特許文献1には、箱部と該箱部の中央に固定される中心筒と、底面部と該底面部を挟んでその両側に設けられ該線状物を側方から囲む側壁部とからなる補助部材と、を備える梱包箱が記載されている。この梱包箱は、線状物が中心筒を巻回するように収納することにより、線状物を連続的に取り出すことが可能になっている。
【特許文献1】登録実用新案公報第3059789号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている梱包箱は、線状物を収納、取り出すことについて検討されているが、運搬については検討されていなかった。また、収納についても、線状物を容器に収納することについての構造は検討されているが、各々の収納容器を保管するための構造については検討されていなかった。
【0005】
本発明は、山岳での作業するためのロープを収納し、運搬するのに便利であり、かつ、倉庫において複数の容器を積層し、保管するのに効果的な収納運搬用容器、および、従来の収納容器の間に積層し、複数のロープを収納するのに便利なスペーサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために、容器の形状に着目して、鋭意研究を重ねた。その結果、容器本体の側部に切り込み部を設けると共に、容器の側部の外周に円柱側面を設けることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0007】
(1) 筒状の側部と該側部の一端を開口として開放するようにかつ他端を覆うように配置された底部とを少なくとも有する容器本体であって、前記側部および前記底部から形成され、少なくともロープの一部を前記開口から巻回して収納する収納空間を有する容器本体と、前記収納空間における前記底部に配置される支柱と、を備える収納運搬用容器であって、前記支柱は、前記底部から離れる方向に向かうにつれて外径が小さくなる柱体を有し、前記側部の外周の一部は、円柱側面の形状を有し、前記側部は、前記収納空間を間において対向する部分の上端部および下端部に、それぞれ、上端側切り欠け部および下端側切り欠け部を有し、前記上端側切り欠け部は、前記収納空間と前記容器本体の外側とへ開放し、前記下端側切り欠け部は、前記容器本体の側部の外側と底部の外側とへ開放する収納運搬用容器。
【0008】
(1)の発明によれば、支柱は、外径が底部から離れる方向に向かうにつれて小さくなる柱体を有している。したがって、ロープを収納する際、ロープを支柱に架けることにより、ロープが支柱を滑るように収納運搬用容器内の収納空間に入るため、ロープを効率よく収納空間に収納することができる。また、容器本体の側部の外周の一部は円柱側面の形状を有しているため、本発明の収納運搬用容器を、例えば背負子に背負うという方法で山岳部を運搬する場合、収納運搬用容器が運搬する経路の脇に生えている木々の枝のような障害物に引っ掛かることを防止することができる。この結果、作業者は収納運搬用容器を容易に運搬することができる。
【0009】
また、容器本体の側部は、収納空間を間において対向する部分の上端部および下端部に、それぞれ、上端側切り欠け部および下端側切り欠け部を有している。作業者は、山岳部における送電線工事を行うために、ロープが収納された収納運搬用容器を背負子に背負い運搬する必要がある。このとき、背負子に収納運搬用容器を固定するためのロープを上端側切り欠け部、および下端側切り欠け部に架けることにより、収納運搬用容器が背負子からずれたり、脱落したりすることを防止することができる。
【0010】
(2) 前記支柱は、さらに、前記柱体の下端部に設けられ前記底部の形状に適合する支持片を有し、前記支持片は、前記容器本体から取り外し可能に前記底部に配置されている(1)の収納運搬用容器。
【0011】
(2)の発明によれば、柱体の下端部は、容器本体の収納空間の底部の形状に適合するよう支持片を備えている。したがって、収納時、または、運搬時などにおいても、支柱が容器内で動くことがないため、収納運搬用容器を安定して運ぶことができる。また、支柱は取り外し可能に配置されているため、支柱を取り外すことにより、容器本体を別の用途に用いることができる。また、支持片の形状を従来用いられているコンテナなどの収納容器に適合する形状とすることで、一般的な収納容器にも適用することができる。
【0012】
(3) 前記側部は、さらに、前記側部のうち前記円柱側面を形成している円柱側面部分の上端部に、前記収納空間と前記容器本体の外側とへ開放するロープ引き出し切り欠け部を有する(1)または(2)記載の収納運搬用容器。
【0013】
(3)の発明によれば、側部のうち、円柱側面を形成している部分の上端部に、ロープ引き出し切り欠け部を有している。したがって、収納するロープが長く複数の収納運搬用容器に収納する場合、このロープ引き出し切り欠け部にロープの中央部分を通し、複数の収納運搬用容器に収納する。そして、この収納運搬用容器を積層しても、ロープの部分で段差を形成せずに収納することができる。また、ロープ引き出し切り欠け部は、収納空間と容器本体の外側とへ開放し形成されているため、ロープを架けることで、ロープ引き出し切り欠け部にロープを通過させることができる。穴を設けた場合は、ロープの先端から穴を通す必要があるため、ロープ引き出し切り欠け部を開放することで、ロープの途中からでも通過させることができ、効率的である。
【0014】
(4) 前記柱体の下端部と上端部との間の長さが、前記底部と前記開口との間の長さと同じ、もしくは、それ以上である(1)から(3)いずれか記載の収納運搬用容器。
【0015】
(4)の発明によれば、柱体の下端部と上端部との間の長さが、容器本体の底部と開口との間の長さと同じ、もしくは、それ以上である。したがって、容器本体にロープを収納する際、ロープを柱体に架け易くなり、容易にロープの収納をすることができる。
【0016】
(5) 前記柱体は、前記柱体の下端部と上端部との間の長さが前記底部と前記開口との間の長さより短くなるように、該柱体の高さ方向に伸縮可能な伸縮機構を有する(4)に記載の収納運搬用容器。
【0017】
(5)の発明によれば、柱体は、容器本体の底部と開口の間の長さより短くなるように伸縮機能を有している。したがって、ロープを巻き取る際は、柱体の下端部と上端部との間の長さを、容器本体の底部と開口の間の長さより長くなるように設定し、ロープを巻き取り易くする。逆に、収納運搬用容器を積層し、収納、運搬する際は、柱体の長さを底部と開口の長さより短くすることにより、柱体が積層される相手側の収納運搬用容器の底部にあたることなく、収納運搬用容器を積層することができ、倉庫などに保管することができる。
【0018】
(6) 前記柱体は、前記底部に直接または間接に配置される柱体下部、該柱体下部において前記底部と反対側に配置される柱体上部、および前記柱体上部と前記柱体下部とを取り外し可能に取り付ける取付部を有し、前記底部と前記取付部との間の長さは、前記底部と前記開口との間の長さより短い(1)から(5)いずれか記載の収納運搬用容器。
【0019】
(6)の発明によれば、柱体は、取付部で柱体下部と柱体上部で取り外しが可能となっている。したがって、柱体下部と柱体上部で取り外すことにより、柱体が積層される相手側の収納運搬用容器の底部にあたることなく、収納運搬用容器を積層することができる。
【0020】
(7) 前記底部に、前記開口における前記柱体の断面形状より大きい形状の支柱貫通用の開口部が設けられている(1)から(4)いずれか記載の収納運搬用容器。
【0021】
(7)の発明によれば、収納運搬用容器の底部には、収納運搬用容器の開口における柱体の断面形状より大きい形状の支柱貫通用の開口部が設けられている。したがって、収納運搬用容器を積層する際、下側になる収納運搬用容器の開口から上部にある支柱は、上側になる収納運搬用容器の底部に設けられる支柱貫通用の開口部を貫通する。したがって、収納運搬用容器を積層することができ、運搬、収納に便利である。
【0022】
(8) 前記側部は、さらに、前記側部において前記円柱側面が形成されている円柱側面部分を除いた上端部に、矩形状の側面を有する相手側収納運搬用容器の底部に形成された凸部に係合する係合部と、前記円柱側面部分の上端部に、前記相手側収納運搬用容器の凸部に嵌合しかつ前記収納空間と前記容器本体の外側とへ開放する切り欠け部とを有する(1)から(7)いずれか記載の収納運搬用容器。
【0023】
(8)の発明によれば、収納運搬用容器の側部の円柱側面部分を除いた上端部に、積層する相手側収納容器の底部に形成された凸部に係合する係合部を有している。したがって、収納運搬用容器を積層した際、上側と下側の収納運搬用容器がずれることがなく、収納運搬用容器を安定して運搬することができる。また、円柱側面部分の上端部は、相手側収納運搬用容器の凸部に嵌合する切り欠け部を有する。したがって、相手側収納運搬用容器の凸部の形状と収納運搬用容器の側部の上端部との形状が異なる場合でも、切り欠け部で相手側収納運搬用容器の凸部とで嵌合するため、収納運搬用容器を安定して積層することができる。
【0024】
(9) 前記柱体は、前記ロープの巻回した量を示す目盛りを表示する目盛り領域を有する(1)から(8)いずれか記載の収納運搬用容器。
【0025】
(9)の発明によれば、柱体は、目盛り領域を有するため、ロープを収納運搬用容器から引き出した際に、残りのロープの長さを確認することができる。
【0026】
(10) ロープを収納する2個以上の収納容器の間に積層される筒状のスペーサーであって、前記スペーサーの上端部側および下端部側の少なくともいずれかに、前記スペーサーの内部と外部とへ開放するロープ引き出し切り欠け部を有するスペーサー。
【0027】
(10)の発明によれば、2個以上の収納容器の間に積層されるスペーサーにロープ引き出し切り欠け部を有している。したがって、例えばコンテナのような収納容器の間にスペーサーを積層することにより、スペーサーのロープ引き出し切り欠け部からロープを引き出すことにより、段差を形成することなく安定して収納容器を積層することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、切り欠け部に運搬用のロープを架けて運搬することで、容器のずれを防止し、また、運搬時に枝などの引っ掛かりが少なく、運搬に便利な収納運搬用容器を提供することができる。また、2個以上の収納運搬用容器にロープを収納する際、側面の上端部にあるロープ引き出し切り欠け部にロープを通すことで、段差を形成することなく収納運搬用容器を積層することができる。また、側部の外周の一部が円柱側面の形状である上端部に切り欠け部を設けることで、例えば、収納運搬用容器を並べて倉庫などに保管する場合、隣り合う収納運搬用容器との隙間にロープが配置されるため、収納運搬用容器は整頓されて配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について添付した図面を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一実施形態であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0030】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る収納運搬用容器1について説明する。
【0031】
<全体構成>
図1は、収納運搬用容器1の概略図であり、図1(a)に全体図、図1(b)に円柱側面部分の上端部の拡大図を示す。収納運搬用容器1は、筒状の側部11と底部12を有し、側部11と底部12から形成される収納空間13を有する容器本体10と、収納運搬用容器1の底部12に配置される支柱20と、を備える。
【0032】
<容器本体10>
容器本体10は、筒状の側部11と側部11の一端を開口として開放するようにかつ他端を覆うように配置された底部12とを少なくとも有する。また、容器本体10は側部11および底部12から形成され、少なくともロープ2(図4参照)の一部を開口から巻回して収納する収納空間13を有する。容器本体10は、側部11の外周14の部分11aに円柱側面の形状を有している。側部11の外周14の部分11aを円柱側面の形状とすることで、収納運搬用容器1の運搬時に、収納運搬用容器1が運搬路の近くに生えている枝などに引っ掛かることを防止することができる。さらに、側部11は、側部11の部分11bに直線形状を有しているので、運搬の際に固定し安定して運搬することができる。また、側部11の内周15はロープ2を収納空間中に巻回して収納するため、内周15のコーナー部15aが略円形状であることが好ましい。
【0033】
容器本体10の材質は、ロープ2を収納することができれば、特に限定されないが、運搬に便利であるため、容器本体10は軽量のプラスチックで形成されていることが好ましい。
【0034】
<支柱20>
支柱20は、容器本体10の収納空間13に配置され、本発明の収納運搬用容器1を構成する。支柱20は、柱体21と容器本体10の底部12の形状に適合する支持片22とを有している。柱体21の外径は、容器本体10の底部12や支持片22からロープ2を収納することができるように、底部12から離れる方向に向かうにつれて小さくなる形状を有する。これにより、ロープ2を収納する際、ロープ2が柱体21を滑り易くなるため、容器本体10の底部12からロープ2を収納することができる。また、支持片22は、容器本体10の底部12に適合するように形成されているため、運搬時に柱体21が底部12に対してゆれることがなく、収納運搬用容器1を安定して運ぶことができる。
【0035】
また、柱体21は、巻回した量を示す目盛りを表示する目盛り領域23を有する。目盛りを目盛り領域23に表示することにより、作業者が収納されたロープ2の長さを確認することができる。
【0036】
なお、支柱20は図示の例に限定されず、図2、図3に示す他の形状であってもよい。図2に示す支柱20aは、4本の柱体21aにより形成されており、4本の柱体全体として、底部12から離れるにつれて外径が小さくなっている。柱体の数は、4本に限定されず、2本、3本、または5本以上であってもよい。また、柱体の形状も、角柱に限定されず、円柱、三角柱などを用いることができる。また、図3に示すように、柱体21bが十字状である支柱20bであってもよい。このような形状にすることにより支柱20を軽量化することができる。
【0037】
また、支柱20の材質は、容器本体10と同様に軽量のプラスチックで形成されていることが好ましい。
【0038】
また、図1は、支柱20が容器本体10と取り外しが可能である収納運搬用容器1であるが、収納運搬用容器は、容器本体10に支柱20が固定されている構成であってもよい。
【0039】
また、柱体21の下端部と上端部との間の長さlが、容器本体10の収納空間13の底部と開口との間の長さlと同じ、もしくは、それ以上であることが好ましい。柱体21の長さlを収納空間13の底部と開口との間の長さlより長くすることで、ロープ2を収納する際、柱体21に、ロープ2が架け易くなるため、ロープ2を簡単に収納することができる。
【0040】
図4は、本発明の収納運搬用容器1を用いて、ロープ2を引き出す作業状態を示す図である。本発明の収納運搬用容器1を用いることにより、ロープ2の収納時に、ロープ2を支柱20に巻回して収納するため、ロープ2のもつれ、よれがない。また、収納運搬用容器1の底部12からロープ2が整理され収納されているため、ロープ2を収納運搬用容器1から引き出す際に、ロープ2をほどく必要がなく、一人でロープ2を引き出す作業を行うことができる。また、収納する際にも、従来は、複数名で、ロープ2をほどき、巻き取らなければならなかったが、本発明の収納運搬用容器1によれば、支柱20に巻回するだけで収納することができるため、一人でも容易に作業することができる。
【0041】
また、ロープ2を地面に置くことなく、ロープ2を収納運搬用容器1に収納できるため、ロープ2を汚すことなく使用することができる。
【0042】
<上端側切り欠け部31、下端側切り欠け部32>
図6に示すように、容器本体10の側部11は、収納空間13を間において対向する部分の上端部および下端部にそれぞれ、上端側切り欠け部31および下端側切り欠け部32を有する。例えば、背負子3などで運搬する場合、上端側切り欠け部31および下端側切り欠け部32に固定用ロープ4を架けて運搬することで、背負子3から収納運搬用容器1がずれること、脱落することを防止することができる。
【0043】
上端側切り欠け部31は、容器本体10の収納空間13と容器本体の外側とへ開放するように形成されている。また、下端側切り欠け部32は、容器本体10の側部11の外側と底部12の外側とへ開放するように形成されている。このように、側面へ開放する切り欠け部を有することで、例えば、固定用ロープ4を側部11に形成された穴に通す場合などにくらべ、容易に切り欠け部に固定用ロープ4を上端側切り欠け部31および下端側切り欠け部32に架けることができる。
【0044】
上端側切り欠け部31および下端側切り欠け部32の形状は、固定用ロープ4を側部11に架けることができ、収納運搬用容器1が背負子3からずれなければ、特に限定されないが、U字状であることが好ましい。また、上端側切り欠け部31および下端側切り欠け部32は、それぞれ2個以上有することが好ましい。固定用ロープ4を2箇所以上に架けることができるため、収納運搬用容器1を安定して背負子3に取り付けることができ、収納運搬用容器1を安定して運搬することができる。
【0045】
容器本体10が、2箇所の上端側切り欠け部31および2箇所の下端側切り欠け部32を有する場合、一方の上端側切り欠け部31と他方の上端側切り欠け部31の間の長さlは、一方の下端側切り欠け部32と他方の下端側切り欠け部32の間の長さlより長いことが好ましい。また、収納運搬用容器1を上から見たとき、上端側切り欠け部31とこれに隣接する上端側切り欠け部31との間に、対応する下端側切り欠け部32、32が入っていることが好ましい。つまり、固定用ロープ4を収納運搬用容器1の上端側切り欠け部31、下端側切り欠け部32に架けた場合、固定用ロープ4が逆ハの字状になることが好ましい。
【0046】
<ロープ引き出し切り欠け部41>
図5に示すように、容器本体10の側部11の上端部には、収納空間13と容器本体10の外側とへ開放するロープ引き出し切り欠け部41が備えられている。ロープ2が長く、2個以上の収納運搬用容器1に収納する場合、一方の収納運搬用容器1から他方の収納運搬用容器1に伸びるロープ2を、ロープ引き出し切り欠け部41に架けることにより、2つの収納運搬用容器1を、これらの間に段差をつくることなく、積層することができる。
【0047】
ロープ引き出し切り欠け部41は、容器本体10の側部11のうち、円柱側面を形成している円柱側面の部分11aの上端部に形成されていることが好ましい。円柱側面の部分11aに形成することにより、後に記載するように、複数の収納運搬用容器1を例えば、倉庫などに保管する場合、容器本体10の外側に配置されているロープ2が、隣り合う収納運搬用容器1と接触することがなく、整列して並べることができる。また、側部11の円柱側面の部分11aを除いた部分11bに、取手などを設けることができる。
【0048】
ロープ引き出し切り欠け部41の形状としては、ロープ2を引き出した状態で、上下方向に2つの収納運搬用容器1を積層した際に、段差が形成されなければ特に限定されないが、U字状であることが好ましい。また、用いるロープ2の外径より、ロープ引き出し切り欠け部41が大きく形成されていることが好ましい。
【0049】
<切り欠け部51>
図1に示すように、容器本体10の側部11の円柱側面の部分11aの上端部には、収納空間13と容器本体10の外側とへ開放する切り欠け部51が形成されている。本発明の収納運搬用容器1は、側部11の外周の一部が円柱側面の形状を有しているため、コーナー部の形状がほぼ角張っている矩形状の側部11を有している収納運搬用容器を積層すると、積層する収納運搬用容器の底部に形成された凸部と係合しないため、うまく積層することができない。しかし、収納運搬用容器1は、円柱側面の部分11aの上端部に形成された切り欠け部51を有しているため、この切り欠け部51を、積層する相手側収納運搬用容器の凸部と嵌合するように設けることで、矩形状の収納運搬用容器を容易にかつ確実に積層することができる。
【0050】
なお、容器本体10の側部において円柱側面の部分11aを除いた上端部に、相手側収納運搬用容器の底部に形成された凸部に係合する係合部を有することが好ましい。係合部を設けることにより、より安定して、収納運搬用容器を積層することができる。
【0051】
図5に、ロープ2を2個の収納運搬用容器1に収納した図を示す。図5に示すように、ロープ2は、一方の収納運搬用容器1に収納され、収納しきれなかったロープ2は一方の収納運搬用容器1のロープ引き出し切り欠け部41を通り、他方のロープ引き出し切り欠け部41から他方の収納運搬用容器1内に収納される。下段の収納運搬用容器1のロープ引き出し切り欠け部41を通過させることにより、段差をつくることなくロープ2を収納運搬用容器1に収納することができる。
【0052】
図6に本発明の収納運搬用容器1を背負子3に配置した図を示す。図7に従来の収納容器501を背負子3に配置した図を示す。図7に示すように、背負子3に従来の収納容器501を配置した場合、固定用ロープ4を収納容器501に架ける箇所がないため、運搬中に背負子3から収納容器501がずれてしまう可能性がある。また、2個以上の収納容器501を運搬する場合、固定用ロープ4は、収納容器501の上で固定されているため、さらに、収納容器501を積層すると固定用ロープ4の分、段差が生じ不安定である。
【0053】
しかし、図6に示すように、本発明の収納運搬用容器1を用いることにより、上端側切り欠け部31および下端側切り欠け部32に固定用ロープ4を架けることで、背負子3からずれることなく、収納運搬用容器1を安定して運搬することができる。また、固定用ロープ4は、上端側切り欠け部31および下端側切り欠け部32内に入るため、収納運搬用容器1を積層しても、固定用ロープ4の段差ができない。
【0054】
<支柱の構造>
図1に示すように、柱体21の下端部と上端部との間の長さlが、容器本体10の収納空間13の底部と開口との間の長さl以上とした場合、柱体21は、柱体21の長さlが収納空間13の底部と開口との間の長さlより短くなるため伸縮機構を有することが好ましい。柱体21の長さlが収納空間13の底部と開口との間の長さlより短くなることにより、積層する収納運搬用容器の底部に柱体21があたらず、収納運搬用容器1を積層することができる。
【0055】
図8(a)にロープ収納時の柱体を説明する収納運搬用容器の断面図、図8(b)に収納運搬用容器の積層時の柱体を説明する収納運搬用容器の断面図を示す。図8は、柱体121の内部に伸縮機構160であるバネを有する。通常、図8(b)に示すように、バネは、底部12に配置される柱体下部125中に備えられ、柱体上部124は取付部126の下側に取り外し可能に配置される。積層時には、バネを収縮させ、柱体下部125内に収納することができる。また、ロープ2を収納、引き出す場合は、図8(a)に示すように、伸縮機構160であるバネを伸ばし、取付部126で柱体上部124と柱体下部125と取り付ける。これにより、柱体121の下端部と上端部の長さを底部12と開口との間の長さより長くすることができる。
【0056】
図9は、柱体の他の形状を示す図である。図9に示す柱体は、伸縮機構260として蛇腹形状を有している。これにより、ロープ2の収納時には、図9(a)に示すように、柱体221の下端部と上端部の長さを底部12と開口との間の長さより長くすることができ、積層時には、図9(b)に示すように短くすることができる。
【0057】
図10は、柱体のさらに他の形状を示す図である。図10に示す柱体321は、取付部326で柱体上部324と柱体下部325とで取り外し可能に取り付けられている。したがって、ロープ2の収納時には、図10(a)に示すように、柱体上部324と柱体下部325を取り付けることにより、柱体321の下端部と上端部の長さを底部12と開口との間の長さより長くすることができる。また、積層時には、図10(b)に示すように、柱体上部324を反転させ、収納することで、短くすることができる。
【0058】
図11は、収納運搬用容器の他の形状を示す断面図である。この収納運搬用容器410は、収納運搬用容器410を積層した場合、下部に積層される収納運搬用容器410の開口における柱体421の断面形状より大きい形状の支柱貫通用の開口部416が、底部412に設けられている。開口部より上部の柱体は、上側に積層された収納運搬用容器410の支柱貫通用の開口部416を貫通し、柱体は収納運搬用容器410内に、収納される。したがって、柱体421の下端部と上端部の長さが容器本体411の底部412と開口部の長さより長くても、収納運搬用容器410を積層することができる。
【0059】
図12は、ロープ2が収納された複数の収納運搬用容器1を保管した状態の平面図を示す。ロープ引き出し切り欠け部41は、側部11のうち円柱側面を形成している円柱側面部分に設けられている。したがって、図12に示すように、破線で示す矩形の側部を有する収納容器と比較し、円柱側面部分の外側にロープ2を配置することができる。収納運搬用容器1を保管する際、容器本体10の外部に出ているロープ2が隣り合う収納運搬用容器1に隙間を通過し、接触することがない。そのため、円柱側面部分を除いた側部11で収納運搬用容器1を並べることができ、整列して並べることができる。
【0060】
<スペーサー70>
図13は、本発明のスペーサーを示す斜視図、図14は、スペーサーの使用状態を示す斜視図である。スペーサー70は、筒状の形状であり、ロープ2を2個以上の収納容器501に収納する際、収納容器501の間に積層して用いられる。形状は、用いられる収納容器の形状に合わせ適宜、選択することができる。スペーサー70の側部71の上端部側および下端部側の少なくともいずれかに、積層される一方の収納容器501から他方の収納容器501につながるロープを通過させるロープ引き出し切り欠け部72が、備えられている。ロープ引き出し切り欠け部72は、スペーサー70の内部と外部とへ開放するように形成されている。また、スペーサー70の側部71は、筒状の空間の対向する位置の上端部および下端部にそれぞれ、上端側切り欠け部73および下端側切り欠け部74を備えることができる。下端部側切り欠け部73および下端部側切り欠け部73についても同様に、スペーサー70の内部と外部とへ開放するように形成されている。ロープ引き出し切り欠け部72、上端側切り欠け部73および下端側切り欠け部74の形状については、上述した収納運搬用容器1のそれぞれの切り欠け部と同様の形状を示すことができる。
【0061】
図14にスペーサーの使用状態を示す斜視図を示す。本発明のスペーサー70は、従来使用されている収納容器501の間に積層し用いられる。一方の収納容器に収納しきれなかったロープ2をスペーサー70に形成されているロープ引き出し切り欠け部72を通し、他方の収納容器501に収納させることで、収納容器に段差を設けることなく、収納容器501を積層させることができる。また、図示しないが、本発明のスペーサー70を収納容器501の上部と下部に積層させ、上端側切り欠け部73および下端側切り欠け部74に固定用ロープで固定することで、収納容器501がずれることなく、安定して運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の収納運搬用容器を示す概略図の全体図(a)および円柱側面部分の上端部の拡大図(b)である。
【図2】本発明の支柱の他の形状を示す斜視図である。
【図3】本発明の支柱のさらに他の形状を示す斜視図である。
【図4】本発明の収納運搬用容器の使用状態を示す図である。
【図5】2個の収納運搬用容器にロープを収納した状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の収納運搬用容器を背負子に配置した状態を示す図である。
【図7】従来の収納容器を背負子に配置した状態を示す図である。
【図8】本発明の収納運搬用容器の断面図であり、使用時を説明する図(a)および積層時を説明する図(b)である。
【図9】柱体の他の実施形態を示す断面図であり、使用時を説明する図(a)および積層時を説明する図(b)である。
【図10】柱体のさらに他の実施形態を示す断面図であり、使用時を説明する図(a)および積層時を説明する図(b)である。
【図11】柱体のさらに他の実施形態を示す断面図であり、積層時を説明する図である。
【図12】ロープが収納された本発明の収納運搬用容器の保管状態を説明する図である。
【図13】本発明のスペーサーを示す斜視図である。
【図14】本発明のスペーサーの使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 収納運搬用容器
2 ロープ
3 背負子
4 固定用ロープ
10 容器本体
11、411 側部
12、412 底部
13 収納空間
14 外周
15 内周
20、20a、20b 支柱
21、21a、21b、121、221、321、421 柱体
22、22a、22b 支持片
23 目盛り領域
31 上端側切り欠け部
32 下端側切り欠け部
41 ロープ引き出し切り欠け部
51 切り欠け部
70 スペーサー
71 側部
72 ロープ引き出し切り欠け部
73 上端側切り欠け部
74 下端側切り欠け部
124、324 柱体上部
125、325 柱体下部
126 取付部
160、260 伸縮機構
416 支柱貫通用の開口部
501 収納容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の側部と該側部の一端を開口として開放するようにかつ他端を覆うように配置された底部とを少なくとも有する容器本体であって、前記側部および前記底部から形成され、少なくともロープの一部を前記開口から巻回して収納する収納空間を有する容器本体と、
前記収納空間における前記底部に配置される支柱と、を備える収納運搬用容器であって、
前記支柱は、前記底部から離れる方向に向かうにつれて外径が小さくなる柱体を有し、
前記側部の外周の一部は、円柱側面の形状を有し、
前記側部は、前記収納空間を間において対向する部分の上端部および下端部に、それぞれ、上端側切り欠け部および下端側切り欠け部を有し、
前記上端側切り欠け部は、前記収納空間と前記容器本体の外側とへ開放し、
前記下端側切り欠け部は、前記容器本体の側部の外側と底部の外側とへ開放する収納運搬用容器。
【請求項2】
前記支柱は、さらに、前記柱体の下端部に設けられ前記底部の形状に適合する支持片を有し、
前記支持片は、前記容器本体から取り外し可能に前記底部に配置されている請求項1記載の収納運搬用容器。
【請求項3】
前記側部は、さらに、前記側部のうち前記円柱側面を形成している円柱側面部分の上端部に、前記収納空間と前記容器本体の外側とへ開放するロープ引き出し切り欠け部を有する請求項1または2記載の収納運搬用容器。
【請求項4】
前記柱体の下端部と上端部との間の長さが、前記底部と前記開口との間の長さと同じ、もしくは、それ以上である請求項1から3いずれか記載の収納運搬用容器。
【請求項5】
前記柱体は、前記柱体の下端部と上端部との間の長さが前記底部と前記開口との間の長さより短くなるように、該柱体の高さ方向に伸縮可能な伸縮機構を有する請求項4に記載の収納運搬用容器。
【請求項6】
前記柱体は、前記底部に直接または間接に配置される柱体下部、該柱体下部において前記底部と反対側に配置される柱体上部、および前記柱体上部と前記柱体下部とを取り外し可能に取り付ける取付部を有し、
前記底部と前記取付部との間の長さは、前記底部と前記開口との間の長さより短い請求項1から5いずれか記載の収納運搬用容器。
【請求項7】
前記底部に、前記開口における前記柱体の断面形状より大きい形状の支柱貫通用の開口部が設けられている請求項1から4いずれか記載の収納運搬用容器。
【請求項8】
前記側部は、さらに、前記側部において前記円柱側面が形成されている円柱側面部分を除いた上端部に、矩形状の側面を有する相手側収納運搬用容器の底部に形成された凸部に係合する係合部と、
前記円柱側面部分の上端部に、前記相手側収納運搬用容器の凸部に嵌合しかつ前記収納空間と前記容器本体の外側とへ開放する切り欠け部とを有する請求項1から7いずれか記載の収納運搬用容器。
【請求項9】
前記柱体は、前記ロープの巻回した量を示す目盛りを表示する目盛り領域を有する請求項1から8いずれか記載の収納運搬用容器。
【請求項10】
ロープを収納する2個以上の収納容器の間に積層される筒状のスペーサーであって、
前記スペーサーの上端部側および下端部側の少なくともいずれかに、前記スペーサーの内部と外部とへ開放するロープ引き出し切り欠け部を有するスペーサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−81142(P2008−81142A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261113(P2006−261113)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】