取付金具、クレーンフック、および、クレーンフックアセンブリ
航空機が吊上げロケーションにあるときに、取付金具(10)を航空機に固定する工程、取付金具をクレーンフックと係合させる工程、吊上げ荷重を、取付金具を介してクレーンフック(100)から航空機に伝達する工程、および、航空機から取付金具を取り除く工程、を含む、吊上げロケーションにおいて航空機を吊上げるための方法。
吊上げ荷重を、クレーンフックからアイテムに伝達するための取付金具(10)であって、アイテムに固定されるように構成された連結部材(11)と、連結部材に枢動可能に連結され、また、クレーンフック(100)によって係合されるように、かつ、クレーンフックからアイテムに吊上げ荷重を伝達するように構成された吊上げ部材(12)と、を備える取付金具。
ボールソケットジョイントを有するクレーンフック(100)は、フックに、その重心よりも前方に取付けられた第1枢動点(107)、および、クレーンによって吊上げられるように構成された第2枢動点(109)を有する取付けリンク(106)と、フックの非荷重時に、バイアス力を取付けリンクに付与してこの取付けリンクを第1枢動点周りで回転させ、第2枢動点をフックの後方に動かす、バイアスシステムと、を備える。
吊上げ荷重を、クレーンフックからアイテムに伝達するための取付金具(10)であって、アイテムに固定されるように構成された連結部材(11)と、連結部材に枢動可能に連結され、また、クレーンフック(100)によって係合されるように、かつ、クレーンフックからアイテムに吊上げ荷重を伝達するように構成された吊上げ部材(12)と、を備える取付金具。
ボールソケットジョイントを有するクレーンフック(100)は、フックに、その重心よりも前方に取付けられた第1枢動点(107)、および、クレーンによって吊上げられるように構成された第2枢動点(109)を有する取付けリンク(106)と、フックの非荷重時に、バイアス力を取付けリンクに付与してこの取付けリンクを第1枢動点周りで回転させ、第2枢動点をフックの後方に動かす、バイアスシステムと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の吊上げに特に適するが、他の荷の吊上げにも使用され得る、取付金具、クレーンフック、およびクレーンフックアセンブリを提供するものである。さらに本発明は、航空機を吊上げる方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
航空機のクレーンリカバリは多くの空港で用いられる方法である。しかしながら、航空機によっては、上方からアクセス可能であり、かつ、吊上げスリングまたはクレーンフックを取付けるように適切に構成されている強化点を持たないものもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この問題の解決法の1つには、航空機の翼の下でエアバッグを膨らませることが挙げられる。しかしながらこの解決方法では、巨大な航空機において、特にエアバッグが濡れている場合に不安定であるという問題が残る。また、吊上げ時に翼が撓む傾向があることから、エアバッグによるリフトの全高がより長く必要とされるので、この問題が助長される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は第1態様として、吊上げロケーションにて航空機を吊上げるための装置であって、航空機が吊上げロケーションにあるときに航空機に固定されるように構成された取付金具と、取付金具に係合し、取付金具を介して吊上げ荷重を航空機に伝達するように構成されたクレーンフックと、を備える装置を提供する。
【0005】
本発明は、その第1態様としてさらに、吊上げロケーションにおいて航空機を吊上げるための方法であって、航空機が吊上げロケーションにあるときに、取付金具を航空機に固定する工程、取付金具をクレーンフックと係合させる工程、取付金具を介して吊上げ荷重をクレーンフックから航空機に伝達する工程、および、航空機から取付金具を取り除く工程を含む方法も提供する。
【0006】
本発明のこの第1態様は、航空機に恒常的に搭載されるクレーンフック取付金具が、許容以上に重いだろうことを認めるものである。このため、取付金具は、吊上げ操作のためにのみ航空機に固定され、その後は取り外される。つまり、取付金具は、航空機が、滑走路や滑走路に隣接する領域(航空機が滑走路をやり過ごしたり、着陸時に滑走路の側方にそれたりした場合)などの吊上げロケーションにある場合に、航空機に固定される。
【0007】
通常、取付金具は、クレーンフックに係合するように構成された第1部分と、降下機器(これもまたクレーンフックでも良い)に係合するように構成された第2部分とを有する。
【0008】
本発明は、第2態様として、吊上げ荷重を、クレーンフックから吊上げ対称としてのアイテムに伝達するための取付金具であって、アイテムに固定されるように構成された連結部材と、連結部材に枢動可能に連結され、また、クレーンフックによって係合されるように、かつ、クレーンフックからアイテムに吊上げ荷重を伝達するように構成された、吊上げ部材と、を備える取付金具を提供する。
【0009】
本発明は、その第2態様としてさらに、このような取付金具を使ってアイテムを吊上げるための方法であって、取付金具を、連結部材の下方に位置する吊上げ部材によって、適所に降ろす工程、連結部材をアイテムに固定する工程、吊上げ部材を、アイテムに係合するまで、枢軸周りを回転させることで吊上げる工程、吊上げ部材をクレーンフックと係合させる工程、および、吊上げ荷重を吊上げ部材を介してクレーンフックからアイテムに伝達する工程を含む方法も提供する。
【0010】
取付金具の双方の部分が枢軸接続されていることで、取付金具全体(100kg以上、場合によっては350kgにもなる)を持ち上げることなく、固定することが出来る。代わりに、取付金具は適所に降ろされ、吊上げ部材のみを枢軸周りを回転させて吊上げればよい。吊上げ部材を充分に軽く(好適には100kgより軽く)構成することで、この操作は1人または2人により手動で遂行することができる。
【0011】
通常、連結部材および吊上げ部材は、同じ強化点(つまりアイテムの強化領域)に係合し、配置をコンパクトなものとする。
【0012】
吊上げ部材は、側方荷重をアイテムに伝達できるように、アイテムに係合するものとしても良い。さらに好適には、クレーンフックからの側方荷重の全てまたは一部が連結部材を介してアイテムに伝達されるものとする。
【0013】
好適には、取付金具は、垂直吊上げ荷重が、クレーンフックからアイテムへと連結部材を介して実質的には伝達されないように構成される。例えば、枢軸接続は、浮動接続によって連結部材に枢動可能に連結される。
【0014】
この取付金具は、いかなるアイテムを吊上げるためにも使用できるが、特に、航空機を吊上げる方法に適している。
【0015】
本発明は、第3態様として、クレーンフックアセンブリであって、重心を持つフックと、フックに、その重心よりも前方に取付けられた第1枢動点、および、クレーンによって吊上げられるように構成された第2枢動点を有する取付けリンクと、フックの非荷重時に、バイアス力を取付けリンクに付与してこの取付けリンクを第1枢動点周りで回転させ、第2枢動点をフックの後方に動かす、バイアスシステムと、を備えるクレーンフックアセンブリを提供する。
【0016】
本発明は、その第3態様としてさらに、このようなフックアセンブリを使ってアイテムを吊上げる方法であって、フックをアイテムに連結させる工程、および吊上げ力を取付けリンクの第2枢動点に付与して、第2枢動点をバイアス力に抗してフックの前方へと回動させる工程を含む方法も提供する。
【0017】
取付けリンクおよび関連するバイアスシステムは、非荷重時にフックが実質的に垂直に垂れ下がるようにし、適所に固定しやすくする。
【0018】
このフックアセンブリは、いかなるアイテムを吊上げるためにも使用できるが、特に、航空機を吊上げる方法に適している。
【0019】
バイアスシステムは、その最も簡潔な構成はにおいて、ガス衝支柱、引張ばね、または圧縮ばねなどのバイアス部材を、その一方の端部を取付けリンクに、他方の端部をフックに取り付けられたものより成る。しかしながら、このような配置における問題は、バイアス部材が大きなバイアス力を発揮しなければいけない点にある。このため、好適な実施形態において、バイアスシステムは、フックの第1枢動点に連結された第1バイアスリンクと、第1バイアスリンクの第2枢動点と取付けリンクの第3枢動点とに連結された第2バイアスリンクと、バイアス力を付与して、バイアスリンクの枢動点を共直線配置へと動かす、バイアス部材と、を備える。このようなシステムは、バイアス部材により付与される力を低減するという機械的利点を採用するものである。バイアス部材は、例えば、フックまたは取付けリンクに取り付けられたガス衝支柱またはばねとしても良い。
【0020】
本発明は、第4態様として、シャンク部分と、フック部分とを備えるクレーンフックであって、該フック部分は、シャンク部分から伸延し、吊上げるべきアイテムのソケット又はボールと連結できるように構成されたボール又はソケットを有する、クレーンフックを提供する。
【0021】
本発明は、その第4態様としてさらに、このようなフックを使ってアイテムを吊上げる方法であって、フックのボール又はソケットを、アイテムのソケット又はボールと連結することで、ボールソケットジョイントを形成する工程、および、ボールソケットジョイントを介して吊上げ荷重をアイテムに付与する工程を含む方法も提供する。
【0022】
後述する好適な実施形態において、フック部分は、吊上げられるべきアイテムのソケットと連結するように構成されたボールを有する。さらに、他の実施形態においては、フック部分は、吊上げられるべきアイテムのボールと連結するように構成されたソケットを有する。どちらの場合においても、構成されるボールソケットジョイントは部分間の全ての方向への相対回転を可能にする。
【0023】
好適には、ボール又はソケットは、使用中、フック上で静止状態を保つ。このため、フックに固定される独立した部分としても、または、フックと一体に形成されるものとしても良い。
【0024】
このフックは、いかなるアイテムを吊上げるためにも使用できるが、特に、航空機を吊上げる方法に適している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下、本発明の実施形態について添付の図面とともに詳述する。
【図1】航空機の主降着装置の外観斜視図である。
【図2】クレーンにより降ろされた非操作位置における取付金具の外観斜視図である。
【図3】クレーン取付金具の分解図である。
【図4】サイドステー取付金具およびクレーン取付金具の下方右側からの等角図である。
【図5】サイドステー取付金具およびクレーン取付金具の第1断面図である。
【図6a】サイドステー取付金具およびクレーン取付金具の第2断面図である。
【図6b】サイドステー取付金具およびクレーン取付金具の部分断面図である。
【図7a】サイドステー取付金具およびクレーン取付金具の正面左側からの等角図である。
【図7b】クレーン取付金具の下側からの等角図である。
【図8】荷重時におけるクレーンフックアセンブリの側面図である。
【図9】非荷重時におけるクレーンフックアセンブリの一部を示す側面図である。
【図10a】吊上げパッドの下側を示す図である。
【図10b】図10a中のB−B線上の断面図であり、ボールとリテーナリングも示すものである。
【図10c】図10a中のA−A線上の断面図であり、互いに係合状態にあるボールとリテーナリングとを示すものである。
【図11】他の実施形態の固定プレートを有する吊上げパッドの下側を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に示すのは、エアバスA340航空機の主降着装置である。
この降着装置は、車輪アセンブリ3を搭載する降着装置の主脚2を有する。降着装置の主脚2は、通常は翼構造の後部翼桁8と、装置支持リブ4とに、後方ピントルピン取付金具5を介して取付けられる。サイドステーアセンブリ6は、その一方の端部を降着装置の主脚2に、他方の端部をサイドステー取付金具7に、それぞれ枢動可能に取付けられる。このサイドステー取付金具7は翼の後部翼桁8に取り付けられている。
【0027】
主降着装置1が、着陸前に図1に示す展開位置まで完全に下がらない場合、または着陸中に失敗した場合、航空機は一方に傾き、航空機の傾いたサイドを支持クレードルに引き上げなければならない。
【0028】
降着装置の主脚2の上方にある大型の構成要素は、上側翼カバー(図示せず)により覆われているため、スリングを取付けるためにアクセスすることはできない。また、サイドステー取付金具7は、上方からアクセスの良い強化点を持つが、スリングを簡単に支持できるような構造は持たない。そのため、クレーンフックからサイドステー取付金具7へと吊上げ荷重を伝達するために、図2〜7に示す取付金具10が用いられる。
【0029】
まず、アクセスパネルを取外して、翼の上側外皮(図示せず)に開口を作る。次に、サイドステーアセンブリ6(アセンブリ6をサイドステー取付金具7に連結するカルダンピン9を含む)が取り外される。そして、図2に示す形態の取付金具10が、クレーンによって、開口を通して上方から降ろされる。
【0030】
取付金具10は、サイドステー取付金具7に固定する用の取付アセンブリ11と、取付アセンブリ11に枢動可能に連結された吊上げアセンブリ12とを備え、この吊上げアセンブリ12は、吊上げ荷重をクレーンフックから航空機へと伝達するために、クレーンフックを引掛けることのできる形状を有する。
【0031】
取付アセンブリ11は、その上側端部にアイピン(9ピン)24(図3に示すが他図では省略)を備える。このアイピン24は、取付金具を、吊上げアセンブリ12が取付アセンブリ11の下方に垂れた状態である図2に示される配置へと降ろすのに使われる。
【0032】
図3の分解図には、取付金具10の種々のパーツが示される。
【0033】
取付アセンブリ11は、フレーム22に境界付けられた穴21を有する垂直プレート20を備える。一対のラグ23が垂直プレート20の下側端部から突出する(図3では一方のラグ23のみが描かれている)。一般にツームストーン取付金具として言及されるトラニオンブロック30とそのツームストーンフランジ31は、垂直プレート20の穴21を通過し、フレーム22に嵌まる。また、ツームストーン30は、側方クランププレート41の穴40も通る。側方クランププレート41は4つの台形ブロック42を有する。これらの台形ブロック42は、図4に最もよく示されるように、サイドステー取付金具7に係合する。プリテンショニングウェッジ50は、垂直プレート20の後面のスロット51によって受けられる。さらに、図5に最もよく示されるように、垂直プレート20のスロット51の上方には、ウェッジ保持プレート52が取付けられる。
【0034】
アイピン24は、垂直プレート20の上端部の穴25にねじ込まれ、取付金具を適所に降ろすために従来のクレーンフックや吊上げスリングを引掛けることのできる輪を有する。アイピン24および穴25は図3には示すが、他の図では省略されていることを留意されたい。
【0035】
図6a,6bに最もよく示されるように、取付アセンブリ11はサイドステー取付金具7に取付けられる。サイドステー取付金具7は、カルダンピン9を受ける一対のラグ62、上側フランジ63、および下側フランジ64を有する。取付金具10は、クレーンフックにより、ツームストーン30が、ラグ62とフランジ63,64との間のギャップと並ぶまで降ろされる。そして、ツームストーン30は、図6a,6bに示すようにギャップに差し込まれ、ダミーカルダンピン60が挿入され、取付アセンブリ11をラグ62に固定する。図6bに示されるように、このダミーカルダンピン60は、ダミーブシュ61および一対の実在ブシュ61a,61bに係合する。ダミーカルダンピン60が取付けられた後、取付金具10を支持するクレーンフックは取り外される。
【0036】
ツームストーン30、サイドステーラグ62、およびブシュ61のフランジの間の隙間(図6b中の符号69)、は1.0mmよりも小さく抑えられる。この構成により、カルダンピン60に沿った摺動距離を+/−0.5mmに抑えることができる。
【0037】
図5に最もよく示されるように、台形ブロック42は、サイドステーラグ62とその接触面65において係合する。サイドステー取付金具を損傷から保護するために、ブロック42の接触面は保護層により覆われるものとしても良い。保護層は、例えば、硬いポリウレタン材、または、真ちゅうやアルミニウムなどの柔らかい金属としても良い。
【0038】
サイドステー取付金具7が装備されているため、ブロック42はリバーシブルであり、同じ取付金具10をどちらの翼にも適用できる。垂直プレート20と側方クランププレート41との間のウェッジ50は、ゼロ荷重でのアセンブリの緩みを無くす。ねじ53がウェッジ保持プレート52を通過しねじ込まれることで、ねじ53はウェッジ50を押し付け、ツームストーン30をダミーカルダンピン60に、台形ブロック42をサイドステー取付金具に、それぞれ軽く把持する。
【0039】
図3に戻り、吊上げアセンブリ12について説明する。吊上げアセンブリの主要部品は、両端にそれぞれ3つのヒンジラグ71を有する吊上げパッド70である。ラグの個数は必要に応じて増やしても減らしても良いことに留意されたい。両端にヒンジラグ71を有することで、吊上げアセンブリ12は取付アセンブリ11に対してリバーシブルであり、同じ取付金具10をどちらの翼にも適用できる。垂直プレート20の一対のヒンジラグ23は、ヒンジラグ71の間のスロットによって受けられ、一直線上に並んだ、ヒンジラグ71,23の穴をヒンジピン72が貫通する。吊上げパッド70の上側面には、台形ブロックが取り付けられる。航空機構造を損傷から保護するために、ブロック73の接触面は、保護層により覆われるものとしても良い。保護層は、例えば、硬いポリウレタン材、または、真ちゅうやアルミニウムなどの柔らかい金属としても良い。
【0040】
吊上げパッド70の下側面(図示せず)には、フックソケット部材74,フック保持部材75、及び固定プレート76が取付けられる。この固定プレート76は一対のスロット77とハンドル78を有する。固定プレートは、吊上げパッド70の底側面から下方に伸延し、固定プレート76のスロット77を通過する一対のピン(図示せず)により、吊上げパッドの底側面に摺動可能に取付けられる。ピンは、その遠位端にねじ込まれたナットを有し、これらのナットは固定プレート76が脱落するのを防止する。固定プレート76は図2に示される解放位置に待避でき、この位置において、固定プレート76は吊上げアセンブリ12を解放し、吊上げアセンブリ12は図示するように垂れ下がることができる。取付アセンブリがサイドステーブラケット17に取付けられると、吊上げパッド70はヒンジピン72回りを90°回転して図3に示される操作位置へと移行する。この操作位置において、ブロック73は、図5に示されるように、サイドステー取付金具の下側フランジ64の下側において接触面65に係合する。この作業を2人で達成できるように、吊上げパッド70の重量は100kgよりも少ないものとする。下側に面する、サイドステー取付金具7の接触面65は、航空機に重大な損傷を与えることなく吊上げ荷重を伝達するのに相応しく強靭な作用面を提供する。
【0041】
次に、固定プレート76のハンドル78を握り、図7aに示されるロック位置へと摺動させることで、吊上げパッドはその操作位置にロックされる。ロック位置において、固定プレート76は垂直プレート20、および、吊上げパッド70のヒンジラグ71の2つと係合し、吊上げパッド70が元の状態に倒落するのを防ぐ。
【0042】
図11に示されるのは、固定プレート76bの他の実施形態である。この実施形態において、固定プレート76bは、ハンドル78bと一対のスロット77bとを有する。固定プレート76bは固定プレート76と似た方法で操作されるが、図11に示されるロック位置において、一対のヒンジラグ71ではなく、これらの間のパッド70に係合する。次に、図8,9に示されるクレーンフックアセンブリ100が適所に降ろされ、図10a〜10cに示されるように、吊上げパッドの下側のソケットに係合する。
【0043】
フックアセンブリ100は、垂直シャンク部分102を持つ略C字状フックと、シャンク部分の上端から前方に延在する吊上げ部分101と、シャンク部分の下端部から前方に延在するフック部分103と、を備える。シャンク部分102は、後部翼桁8の深さに適合するのに充分に長い。フック部分103は、上方に突出し遠位端に指向するように配置された、一体形成のボール104を有する。フックの吊上げ部分101は、一対の吊上げ機構を持ち、これらにより、フックは、荷重の有無に関わらず吊上げられた時に、常に垂直に位置することが保証される。アセンブリ100の重量は、およそ1500kgとする。
【0044】
2つの吊上げ機構のうちの一方は、吊上げ部分101の左側に取付けられており、図8中に符号105で示される。他方に吊上げ機構は、吊上げ機構105と鏡対称となっており、吊上げ部分101の右側に取付けられるので、図中には示されない。
【0045】
吊上げ機構105は、フックの重心108よりも前方に取付けられた第1枢動ピン107と、右側吊上げ機構の取付けリンク(図示せず)に連結された第2枢動ピン109とを有する、を有する取付けリンク106と、を備える。フックアセンブリは、クレーンフックをピン109に連結することで吊上げられる。フックに荷重がかかっていないとき、バイアスシステムは取付けリンク106にバイアス力を付与してこれを第1枢動ピン107周りを回転させ、第2枢動ピン109はフックの後方へと移動して図9に示される位置へと移動する。
【0046】
バイアスシステムは、吊上げ部分103の上側の遠位端のアーム111を介してフックの第1枢動点112に取付けられた、第1バイアスリンク110;第1バイアスリンク110の第2枢動点114と、取付けリンク106の第3枢動点115に連結された第2バイアスリンク113、および、バイアス力を付与して、枢動点112,114,115を図9に示される一共直線に沿った位置へと動かす圧縮ばね116、を備える。さらに、バイアスシステムは、枢動点112,114,115が完全に一直線上の位置にまで動くことを防止する機械的なストッパ(図示せず)を備える。
【0047】
図9に示される非荷重時の配置形態において、ばね116は、約40°の角度で取付けリンク106を押し、枢動ピン109がフックの重心108の上方に位置するようにする。このため、フックが適所へと吊上げられると、これは直立姿勢をとり、取付金具10に簡単に連結されることができる。吊上げ荷重が付与されると、取付けリンク106の第2枢動ピン109に吊上げ荷重が付与されることで、これは、ばねのバイアス力に抗してフックの前方へと回転する。図8に示される加重時の配置において、取付けリンク106を垂直位置から離すように働きかける傾向のモーメントは低下して低値をとるが、フックへの荷重がゼロに近づくと同時に、リンク106が回転してその非荷重位置へと戻るには充分な大きさである。右側の吊上げ機構(図示せず)は、左側の吊上げ機構105と共に同様に動く。
【0048】
他の実施形態(図示せず)において、ばね116はその一方の端部を枢動点114に、他方の端部をフックの吊上げ部分101に(取付けリンク106に連結する代わりに)連結される。
【0049】
図7bに示されるように、吊上げパッドの下側は、ソケット部材74により形成されるソケットを有する。このソケット部材74は、吊上げパッド70の凹所に取付けられ、留具82によりその位置に把持される。補強用リブ83は、図7bに示されるように、ソケット部材から放射状に伸延する。
【0050】
図10に示すように、ボールの半球面104が、ソケットの半球面84に係合することで、ボール104はソケットにフィットする。ボール104は、図10b,10cに見て取れるリテーナリング86を備える。ボールが挿入されると、リテーナリングは一対の留めスタッドにより固定される。これらのスタッドは、リテーナリング86を通り、図7bに示されるソケット部材の穴81に収まる。留めスタッド87の1つが図10bに示される。このため、リテーナリング86は、もしクレーンケーブルが弛んでも、ボール104がソケットから脱落しないよう保証する。この結果として、リテーナリング86と固定プレート76とは、フックの重量を支持しなければならない。
【0051】
もし固定プレート76が、クレーンケーブルが弛んだ場合にフックの全重量を支持するのに充分に強靭でない場合、以下の2つの代替アレンジが可能である;
・固定プレート76全体を省略し、クレーンフックが適所にて吊上げパッドの重量を支持するまで、吊上げパッドをその操作位置に手動で把持する。
・リテーナリング86を省略し、吊上げパッドのソケットをより深く形成し、ボール104が側方荷重の作用に起因して滑り落ちないようにする。
【0052】
ボール104が適所に固定されたあと、フック100が吊上げられ、吊上げパッド70が、垂直吊上げ荷重を、サイドステー取付金具7および翼桁8を介して航空機に伝達する。いったん航空機が水平になると、支持クレードルは翼の下に配置され、クレーンからの吊上げ荷重は、支持クレードルが全重量を支持するまで、しだいに減少する。次に、取付金具10は、これを先立って適所に降ろすのに用いられた従来型クレーンフックに係合され、サイドステー取付金具7から取り外され、航空機から吊去られる。
【0053】
フックアセンブリ100を取付金具10に連結するボールソケットジョイントは、どの方向にも15°の角度で相対回転できる。これは、航空機が吊上げられたときの姿勢の変化と、下側フランジ64の接触面のスロープが、航空機が水平であるときに、水平でない可能性と、の原因となる。A340においては、航空機が水平である場合、下側フランジ64の接触面のスロープは11°であることに留意されたい。
【0054】
ヒンジラグ71および/またはヒンジラグ23の穴は、長円形である(長円形の長手方向軸は水平に配向される)。こうすることで浮動接続が構成され、そのため吊上げパッド70は垂直方向に浮動することができ、実質的には垂直吊上げ荷重が垂直プレート20に全く伝わらないように保証できる。このため、全垂直吊上げ荷重が、吊上げパッド70を介して、サイドステー取付金具7の下側フランジ64と、翼の後部翼桁とに付与される。
【0055】
吊上げ操作(大抵クレーンのトップが航空機に対してジブ回転することに起因する。ジブ回転は航空機が吊上げられる際に急に傾くことから生じ得る)から生じるどの側方荷重(つまり、縦方向および横方向の荷重)も、吊上げパッド70から取付アセンブリ11に伝わり、そしてサイドステー取付金具17に伝わる。ヒンジラグ71,23は、垂直荷重の33%の側方荷重を受けられるようにデザインされており、垂直荷重と同時に作動し、どの方向にも作動する。
【0056】
取付金具10の主成分としてアルミニウム合金を用いてもよく、こうすることで、その重量が軽減される。
【0057】
アセンブリでの逃げを可能な限り防ぐために、隙間は最小化される。ウェッジ50によってアセンブリをプリテンショニングしておくことで、非荷重時のアセンブリの緩みを無くす。
【0058】
底側翼外皮(図示せず)と接触するのは、サイドステー取付金具7のすぐ下の領域、および後部翼桁8の底フランジとウェブに限定されている。
【0059】
上記例にて説明された取付金具およびクレーンフックアセンブリはA340航空機をそのサイドステー取付金具を介して吊上げるように構成されたものであるが、本発明は、このような使用目的に限定されないことを留意されたい。このため、類似する取付金具および/またはクレーンフックアセンブリが、A340を他の強化点を介して吊上げるのに使用されても良いし、他の航空機や他のいかなるアイテムを吊上げるのに使用されても良い。
【0060】
以上、本発明を、いくつかの好適な実施形態に基づいて説明してきたが、添付の請求の範囲に規定される本発明の範囲を超えることなく、種々の変更と修正を加えることが出来ることは言うまでも無い。
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の吊上げに特に適するが、他の荷の吊上げにも使用され得る、取付金具、クレーンフック、およびクレーンフックアセンブリを提供するものである。さらに本発明は、航空機を吊上げる方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
航空機のクレーンリカバリは多くの空港で用いられる方法である。しかしながら、航空機によっては、上方からアクセス可能であり、かつ、吊上げスリングまたはクレーンフックを取付けるように適切に構成されている強化点を持たないものもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この問題の解決法の1つには、航空機の翼の下でエアバッグを膨らませることが挙げられる。しかしながらこの解決方法では、巨大な航空機において、特にエアバッグが濡れている場合に不安定であるという問題が残る。また、吊上げ時に翼が撓む傾向があることから、エアバッグによるリフトの全高がより長く必要とされるので、この問題が助長される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は第1態様として、吊上げロケーションにて航空機を吊上げるための装置であって、航空機が吊上げロケーションにあるときに航空機に固定されるように構成された取付金具と、取付金具に係合し、取付金具を介して吊上げ荷重を航空機に伝達するように構成されたクレーンフックと、を備える装置を提供する。
【0005】
本発明は、その第1態様としてさらに、吊上げロケーションにおいて航空機を吊上げるための方法であって、航空機が吊上げロケーションにあるときに、取付金具を航空機に固定する工程、取付金具をクレーンフックと係合させる工程、取付金具を介して吊上げ荷重をクレーンフックから航空機に伝達する工程、および、航空機から取付金具を取り除く工程を含む方法も提供する。
【0006】
本発明のこの第1態様は、航空機に恒常的に搭載されるクレーンフック取付金具が、許容以上に重いだろうことを認めるものである。このため、取付金具は、吊上げ操作のためにのみ航空機に固定され、その後は取り外される。つまり、取付金具は、航空機が、滑走路や滑走路に隣接する領域(航空機が滑走路をやり過ごしたり、着陸時に滑走路の側方にそれたりした場合)などの吊上げロケーションにある場合に、航空機に固定される。
【0007】
通常、取付金具は、クレーンフックに係合するように構成された第1部分と、降下機器(これもまたクレーンフックでも良い)に係合するように構成された第2部分とを有する。
【0008】
本発明は、第2態様として、吊上げ荷重を、クレーンフックから吊上げ対称としてのアイテムに伝達するための取付金具であって、アイテムに固定されるように構成された連結部材と、連結部材に枢動可能に連結され、また、クレーンフックによって係合されるように、かつ、クレーンフックからアイテムに吊上げ荷重を伝達するように構成された、吊上げ部材と、を備える取付金具を提供する。
【0009】
本発明は、その第2態様としてさらに、このような取付金具を使ってアイテムを吊上げるための方法であって、取付金具を、連結部材の下方に位置する吊上げ部材によって、適所に降ろす工程、連結部材をアイテムに固定する工程、吊上げ部材を、アイテムに係合するまで、枢軸周りを回転させることで吊上げる工程、吊上げ部材をクレーンフックと係合させる工程、および、吊上げ荷重を吊上げ部材を介してクレーンフックからアイテムに伝達する工程を含む方法も提供する。
【0010】
取付金具の双方の部分が枢軸接続されていることで、取付金具全体(100kg以上、場合によっては350kgにもなる)を持ち上げることなく、固定することが出来る。代わりに、取付金具は適所に降ろされ、吊上げ部材のみを枢軸周りを回転させて吊上げればよい。吊上げ部材を充分に軽く(好適には100kgより軽く)構成することで、この操作は1人または2人により手動で遂行することができる。
【0011】
通常、連結部材および吊上げ部材は、同じ強化点(つまりアイテムの強化領域)に係合し、配置をコンパクトなものとする。
【0012】
吊上げ部材は、側方荷重をアイテムに伝達できるように、アイテムに係合するものとしても良い。さらに好適には、クレーンフックからの側方荷重の全てまたは一部が連結部材を介してアイテムに伝達されるものとする。
【0013】
好適には、取付金具は、垂直吊上げ荷重が、クレーンフックからアイテムへと連結部材を介して実質的には伝達されないように構成される。例えば、枢軸接続は、浮動接続によって連結部材に枢動可能に連結される。
【0014】
この取付金具は、いかなるアイテムを吊上げるためにも使用できるが、特に、航空機を吊上げる方法に適している。
【0015】
本発明は、第3態様として、クレーンフックアセンブリであって、重心を持つフックと、フックに、その重心よりも前方に取付けられた第1枢動点、および、クレーンによって吊上げられるように構成された第2枢動点を有する取付けリンクと、フックの非荷重時に、バイアス力を取付けリンクに付与してこの取付けリンクを第1枢動点周りで回転させ、第2枢動点をフックの後方に動かす、バイアスシステムと、を備えるクレーンフックアセンブリを提供する。
【0016】
本発明は、その第3態様としてさらに、このようなフックアセンブリを使ってアイテムを吊上げる方法であって、フックをアイテムに連結させる工程、および吊上げ力を取付けリンクの第2枢動点に付与して、第2枢動点をバイアス力に抗してフックの前方へと回動させる工程を含む方法も提供する。
【0017】
取付けリンクおよび関連するバイアスシステムは、非荷重時にフックが実質的に垂直に垂れ下がるようにし、適所に固定しやすくする。
【0018】
このフックアセンブリは、いかなるアイテムを吊上げるためにも使用できるが、特に、航空機を吊上げる方法に適している。
【0019】
バイアスシステムは、その最も簡潔な構成はにおいて、ガス衝支柱、引張ばね、または圧縮ばねなどのバイアス部材を、その一方の端部を取付けリンクに、他方の端部をフックに取り付けられたものより成る。しかしながら、このような配置における問題は、バイアス部材が大きなバイアス力を発揮しなければいけない点にある。このため、好適な実施形態において、バイアスシステムは、フックの第1枢動点に連結された第1バイアスリンクと、第1バイアスリンクの第2枢動点と取付けリンクの第3枢動点とに連結された第2バイアスリンクと、バイアス力を付与して、バイアスリンクの枢動点を共直線配置へと動かす、バイアス部材と、を備える。このようなシステムは、バイアス部材により付与される力を低減するという機械的利点を採用するものである。バイアス部材は、例えば、フックまたは取付けリンクに取り付けられたガス衝支柱またはばねとしても良い。
【0020】
本発明は、第4態様として、シャンク部分と、フック部分とを備えるクレーンフックであって、該フック部分は、シャンク部分から伸延し、吊上げるべきアイテムのソケット又はボールと連結できるように構成されたボール又はソケットを有する、クレーンフックを提供する。
【0021】
本発明は、その第4態様としてさらに、このようなフックを使ってアイテムを吊上げる方法であって、フックのボール又はソケットを、アイテムのソケット又はボールと連結することで、ボールソケットジョイントを形成する工程、および、ボールソケットジョイントを介して吊上げ荷重をアイテムに付与する工程を含む方法も提供する。
【0022】
後述する好適な実施形態において、フック部分は、吊上げられるべきアイテムのソケットと連結するように構成されたボールを有する。さらに、他の実施形態においては、フック部分は、吊上げられるべきアイテムのボールと連結するように構成されたソケットを有する。どちらの場合においても、構成されるボールソケットジョイントは部分間の全ての方向への相対回転を可能にする。
【0023】
好適には、ボール又はソケットは、使用中、フック上で静止状態を保つ。このため、フックに固定される独立した部分としても、または、フックと一体に形成されるものとしても良い。
【0024】
このフックは、いかなるアイテムを吊上げるためにも使用できるが、特に、航空機を吊上げる方法に適している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下、本発明の実施形態について添付の図面とともに詳述する。
【図1】航空機の主降着装置の外観斜視図である。
【図2】クレーンにより降ろされた非操作位置における取付金具の外観斜視図である。
【図3】クレーン取付金具の分解図である。
【図4】サイドステー取付金具およびクレーン取付金具の下方右側からの等角図である。
【図5】サイドステー取付金具およびクレーン取付金具の第1断面図である。
【図6a】サイドステー取付金具およびクレーン取付金具の第2断面図である。
【図6b】サイドステー取付金具およびクレーン取付金具の部分断面図である。
【図7a】サイドステー取付金具およびクレーン取付金具の正面左側からの等角図である。
【図7b】クレーン取付金具の下側からの等角図である。
【図8】荷重時におけるクレーンフックアセンブリの側面図である。
【図9】非荷重時におけるクレーンフックアセンブリの一部を示す側面図である。
【図10a】吊上げパッドの下側を示す図である。
【図10b】図10a中のB−B線上の断面図であり、ボールとリテーナリングも示すものである。
【図10c】図10a中のA−A線上の断面図であり、互いに係合状態にあるボールとリテーナリングとを示すものである。
【図11】他の実施形態の固定プレートを有する吊上げパッドの下側を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に示すのは、エアバスA340航空機の主降着装置である。
この降着装置は、車輪アセンブリ3を搭載する降着装置の主脚2を有する。降着装置の主脚2は、通常は翼構造の後部翼桁8と、装置支持リブ4とに、後方ピントルピン取付金具5を介して取付けられる。サイドステーアセンブリ6は、その一方の端部を降着装置の主脚2に、他方の端部をサイドステー取付金具7に、それぞれ枢動可能に取付けられる。このサイドステー取付金具7は翼の後部翼桁8に取り付けられている。
【0027】
主降着装置1が、着陸前に図1に示す展開位置まで完全に下がらない場合、または着陸中に失敗した場合、航空機は一方に傾き、航空機の傾いたサイドを支持クレードルに引き上げなければならない。
【0028】
降着装置の主脚2の上方にある大型の構成要素は、上側翼カバー(図示せず)により覆われているため、スリングを取付けるためにアクセスすることはできない。また、サイドステー取付金具7は、上方からアクセスの良い強化点を持つが、スリングを簡単に支持できるような構造は持たない。そのため、クレーンフックからサイドステー取付金具7へと吊上げ荷重を伝達するために、図2〜7に示す取付金具10が用いられる。
【0029】
まず、アクセスパネルを取外して、翼の上側外皮(図示せず)に開口を作る。次に、サイドステーアセンブリ6(アセンブリ6をサイドステー取付金具7に連結するカルダンピン9を含む)が取り外される。そして、図2に示す形態の取付金具10が、クレーンによって、開口を通して上方から降ろされる。
【0030】
取付金具10は、サイドステー取付金具7に固定する用の取付アセンブリ11と、取付アセンブリ11に枢動可能に連結された吊上げアセンブリ12とを備え、この吊上げアセンブリ12は、吊上げ荷重をクレーンフックから航空機へと伝達するために、クレーンフックを引掛けることのできる形状を有する。
【0031】
取付アセンブリ11は、その上側端部にアイピン(9ピン)24(図3に示すが他図では省略)を備える。このアイピン24は、取付金具を、吊上げアセンブリ12が取付アセンブリ11の下方に垂れた状態である図2に示される配置へと降ろすのに使われる。
【0032】
図3の分解図には、取付金具10の種々のパーツが示される。
【0033】
取付アセンブリ11は、フレーム22に境界付けられた穴21を有する垂直プレート20を備える。一対のラグ23が垂直プレート20の下側端部から突出する(図3では一方のラグ23のみが描かれている)。一般にツームストーン取付金具として言及されるトラニオンブロック30とそのツームストーンフランジ31は、垂直プレート20の穴21を通過し、フレーム22に嵌まる。また、ツームストーン30は、側方クランププレート41の穴40も通る。側方クランププレート41は4つの台形ブロック42を有する。これらの台形ブロック42は、図4に最もよく示されるように、サイドステー取付金具7に係合する。プリテンショニングウェッジ50は、垂直プレート20の後面のスロット51によって受けられる。さらに、図5に最もよく示されるように、垂直プレート20のスロット51の上方には、ウェッジ保持プレート52が取付けられる。
【0034】
アイピン24は、垂直プレート20の上端部の穴25にねじ込まれ、取付金具を適所に降ろすために従来のクレーンフックや吊上げスリングを引掛けることのできる輪を有する。アイピン24および穴25は図3には示すが、他の図では省略されていることを留意されたい。
【0035】
図6a,6bに最もよく示されるように、取付アセンブリ11はサイドステー取付金具7に取付けられる。サイドステー取付金具7は、カルダンピン9を受ける一対のラグ62、上側フランジ63、および下側フランジ64を有する。取付金具10は、クレーンフックにより、ツームストーン30が、ラグ62とフランジ63,64との間のギャップと並ぶまで降ろされる。そして、ツームストーン30は、図6a,6bに示すようにギャップに差し込まれ、ダミーカルダンピン60が挿入され、取付アセンブリ11をラグ62に固定する。図6bに示されるように、このダミーカルダンピン60は、ダミーブシュ61および一対の実在ブシュ61a,61bに係合する。ダミーカルダンピン60が取付けられた後、取付金具10を支持するクレーンフックは取り外される。
【0036】
ツームストーン30、サイドステーラグ62、およびブシュ61のフランジの間の隙間(図6b中の符号69)、は1.0mmよりも小さく抑えられる。この構成により、カルダンピン60に沿った摺動距離を+/−0.5mmに抑えることができる。
【0037】
図5に最もよく示されるように、台形ブロック42は、サイドステーラグ62とその接触面65において係合する。サイドステー取付金具を損傷から保護するために、ブロック42の接触面は保護層により覆われるものとしても良い。保護層は、例えば、硬いポリウレタン材、または、真ちゅうやアルミニウムなどの柔らかい金属としても良い。
【0038】
サイドステー取付金具7が装備されているため、ブロック42はリバーシブルであり、同じ取付金具10をどちらの翼にも適用できる。垂直プレート20と側方クランププレート41との間のウェッジ50は、ゼロ荷重でのアセンブリの緩みを無くす。ねじ53がウェッジ保持プレート52を通過しねじ込まれることで、ねじ53はウェッジ50を押し付け、ツームストーン30をダミーカルダンピン60に、台形ブロック42をサイドステー取付金具に、それぞれ軽く把持する。
【0039】
図3に戻り、吊上げアセンブリ12について説明する。吊上げアセンブリの主要部品は、両端にそれぞれ3つのヒンジラグ71を有する吊上げパッド70である。ラグの個数は必要に応じて増やしても減らしても良いことに留意されたい。両端にヒンジラグ71を有することで、吊上げアセンブリ12は取付アセンブリ11に対してリバーシブルであり、同じ取付金具10をどちらの翼にも適用できる。垂直プレート20の一対のヒンジラグ23は、ヒンジラグ71の間のスロットによって受けられ、一直線上に並んだ、ヒンジラグ71,23の穴をヒンジピン72が貫通する。吊上げパッド70の上側面には、台形ブロックが取り付けられる。航空機構造を損傷から保護するために、ブロック73の接触面は、保護層により覆われるものとしても良い。保護層は、例えば、硬いポリウレタン材、または、真ちゅうやアルミニウムなどの柔らかい金属としても良い。
【0040】
吊上げパッド70の下側面(図示せず)には、フックソケット部材74,フック保持部材75、及び固定プレート76が取付けられる。この固定プレート76は一対のスロット77とハンドル78を有する。固定プレートは、吊上げパッド70の底側面から下方に伸延し、固定プレート76のスロット77を通過する一対のピン(図示せず)により、吊上げパッドの底側面に摺動可能に取付けられる。ピンは、その遠位端にねじ込まれたナットを有し、これらのナットは固定プレート76が脱落するのを防止する。固定プレート76は図2に示される解放位置に待避でき、この位置において、固定プレート76は吊上げアセンブリ12を解放し、吊上げアセンブリ12は図示するように垂れ下がることができる。取付アセンブリがサイドステーブラケット17に取付けられると、吊上げパッド70はヒンジピン72回りを90°回転して図3に示される操作位置へと移行する。この操作位置において、ブロック73は、図5に示されるように、サイドステー取付金具の下側フランジ64の下側において接触面65に係合する。この作業を2人で達成できるように、吊上げパッド70の重量は100kgよりも少ないものとする。下側に面する、サイドステー取付金具7の接触面65は、航空機に重大な損傷を与えることなく吊上げ荷重を伝達するのに相応しく強靭な作用面を提供する。
【0041】
次に、固定プレート76のハンドル78を握り、図7aに示されるロック位置へと摺動させることで、吊上げパッドはその操作位置にロックされる。ロック位置において、固定プレート76は垂直プレート20、および、吊上げパッド70のヒンジラグ71の2つと係合し、吊上げパッド70が元の状態に倒落するのを防ぐ。
【0042】
図11に示されるのは、固定プレート76bの他の実施形態である。この実施形態において、固定プレート76bは、ハンドル78bと一対のスロット77bとを有する。固定プレート76bは固定プレート76と似た方法で操作されるが、図11に示されるロック位置において、一対のヒンジラグ71ではなく、これらの間のパッド70に係合する。次に、図8,9に示されるクレーンフックアセンブリ100が適所に降ろされ、図10a〜10cに示されるように、吊上げパッドの下側のソケットに係合する。
【0043】
フックアセンブリ100は、垂直シャンク部分102を持つ略C字状フックと、シャンク部分の上端から前方に延在する吊上げ部分101と、シャンク部分の下端部から前方に延在するフック部分103と、を備える。シャンク部分102は、後部翼桁8の深さに適合するのに充分に長い。フック部分103は、上方に突出し遠位端に指向するように配置された、一体形成のボール104を有する。フックの吊上げ部分101は、一対の吊上げ機構を持ち、これらにより、フックは、荷重の有無に関わらず吊上げられた時に、常に垂直に位置することが保証される。アセンブリ100の重量は、およそ1500kgとする。
【0044】
2つの吊上げ機構のうちの一方は、吊上げ部分101の左側に取付けられており、図8中に符号105で示される。他方に吊上げ機構は、吊上げ機構105と鏡対称となっており、吊上げ部分101の右側に取付けられるので、図中には示されない。
【0045】
吊上げ機構105は、フックの重心108よりも前方に取付けられた第1枢動ピン107と、右側吊上げ機構の取付けリンク(図示せず)に連結された第2枢動ピン109とを有する、を有する取付けリンク106と、を備える。フックアセンブリは、クレーンフックをピン109に連結することで吊上げられる。フックに荷重がかかっていないとき、バイアスシステムは取付けリンク106にバイアス力を付与してこれを第1枢動ピン107周りを回転させ、第2枢動ピン109はフックの後方へと移動して図9に示される位置へと移動する。
【0046】
バイアスシステムは、吊上げ部分103の上側の遠位端のアーム111を介してフックの第1枢動点112に取付けられた、第1バイアスリンク110;第1バイアスリンク110の第2枢動点114と、取付けリンク106の第3枢動点115に連結された第2バイアスリンク113、および、バイアス力を付与して、枢動点112,114,115を図9に示される一共直線に沿った位置へと動かす圧縮ばね116、を備える。さらに、バイアスシステムは、枢動点112,114,115が完全に一直線上の位置にまで動くことを防止する機械的なストッパ(図示せず)を備える。
【0047】
図9に示される非荷重時の配置形態において、ばね116は、約40°の角度で取付けリンク106を押し、枢動ピン109がフックの重心108の上方に位置するようにする。このため、フックが適所へと吊上げられると、これは直立姿勢をとり、取付金具10に簡単に連結されることができる。吊上げ荷重が付与されると、取付けリンク106の第2枢動ピン109に吊上げ荷重が付与されることで、これは、ばねのバイアス力に抗してフックの前方へと回転する。図8に示される加重時の配置において、取付けリンク106を垂直位置から離すように働きかける傾向のモーメントは低下して低値をとるが、フックへの荷重がゼロに近づくと同時に、リンク106が回転してその非荷重位置へと戻るには充分な大きさである。右側の吊上げ機構(図示せず)は、左側の吊上げ機構105と共に同様に動く。
【0048】
他の実施形態(図示せず)において、ばね116はその一方の端部を枢動点114に、他方の端部をフックの吊上げ部分101に(取付けリンク106に連結する代わりに)連結される。
【0049】
図7bに示されるように、吊上げパッドの下側は、ソケット部材74により形成されるソケットを有する。このソケット部材74は、吊上げパッド70の凹所に取付けられ、留具82によりその位置に把持される。補強用リブ83は、図7bに示されるように、ソケット部材から放射状に伸延する。
【0050】
図10に示すように、ボールの半球面104が、ソケットの半球面84に係合することで、ボール104はソケットにフィットする。ボール104は、図10b,10cに見て取れるリテーナリング86を備える。ボールが挿入されると、リテーナリングは一対の留めスタッドにより固定される。これらのスタッドは、リテーナリング86を通り、図7bに示されるソケット部材の穴81に収まる。留めスタッド87の1つが図10bに示される。このため、リテーナリング86は、もしクレーンケーブルが弛んでも、ボール104がソケットから脱落しないよう保証する。この結果として、リテーナリング86と固定プレート76とは、フックの重量を支持しなければならない。
【0051】
もし固定プレート76が、クレーンケーブルが弛んだ場合にフックの全重量を支持するのに充分に強靭でない場合、以下の2つの代替アレンジが可能である;
・固定プレート76全体を省略し、クレーンフックが適所にて吊上げパッドの重量を支持するまで、吊上げパッドをその操作位置に手動で把持する。
・リテーナリング86を省略し、吊上げパッドのソケットをより深く形成し、ボール104が側方荷重の作用に起因して滑り落ちないようにする。
【0052】
ボール104が適所に固定されたあと、フック100が吊上げられ、吊上げパッド70が、垂直吊上げ荷重を、サイドステー取付金具7および翼桁8を介して航空機に伝達する。いったん航空機が水平になると、支持クレードルは翼の下に配置され、クレーンからの吊上げ荷重は、支持クレードルが全重量を支持するまで、しだいに減少する。次に、取付金具10は、これを先立って適所に降ろすのに用いられた従来型クレーンフックに係合され、サイドステー取付金具7から取り外され、航空機から吊去られる。
【0053】
フックアセンブリ100を取付金具10に連結するボールソケットジョイントは、どの方向にも15°の角度で相対回転できる。これは、航空機が吊上げられたときの姿勢の変化と、下側フランジ64の接触面のスロープが、航空機が水平であるときに、水平でない可能性と、の原因となる。A340においては、航空機が水平である場合、下側フランジ64の接触面のスロープは11°であることに留意されたい。
【0054】
ヒンジラグ71および/またはヒンジラグ23の穴は、長円形である(長円形の長手方向軸は水平に配向される)。こうすることで浮動接続が構成され、そのため吊上げパッド70は垂直方向に浮動することができ、実質的には垂直吊上げ荷重が垂直プレート20に全く伝わらないように保証できる。このため、全垂直吊上げ荷重が、吊上げパッド70を介して、サイドステー取付金具7の下側フランジ64と、翼の後部翼桁とに付与される。
【0055】
吊上げ操作(大抵クレーンのトップが航空機に対してジブ回転することに起因する。ジブ回転は航空機が吊上げられる際に急に傾くことから生じ得る)から生じるどの側方荷重(つまり、縦方向および横方向の荷重)も、吊上げパッド70から取付アセンブリ11に伝わり、そしてサイドステー取付金具17に伝わる。ヒンジラグ71,23は、垂直荷重の33%の側方荷重を受けられるようにデザインされており、垂直荷重と同時に作動し、どの方向にも作動する。
【0056】
取付金具10の主成分としてアルミニウム合金を用いてもよく、こうすることで、その重量が軽減される。
【0057】
アセンブリでの逃げを可能な限り防ぐために、隙間は最小化される。ウェッジ50によってアセンブリをプリテンショニングしておくことで、非荷重時のアセンブリの緩みを無くす。
【0058】
底側翼外皮(図示せず)と接触するのは、サイドステー取付金具7のすぐ下の領域、および後部翼桁8の底フランジとウェブに限定されている。
【0059】
上記例にて説明された取付金具およびクレーンフックアセンブリはA340航空機をそのサイドステー取付金具を介して吊上げるように構成されたものであるが、本発明は、このような使用目的に限定されないことを留意されたい。このため、類似する取付金具および/またはクレーンフックアセンブリが、A340を他の強化点を介して吊上げるのに使用されても良いし、他の航空機や他のいかなるアイテムを吊上げるのに使用されても良い。
【0060】
以上、本発明を、いくつかの好適な実施形態に基づいて説明してきたが、添付の請求の範囲に規定される本発明の範囲を超えることなく、種々の変更と修正を加えることが出来ることは言うまでも無い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊上げロケーションにて航空機を吊上げるための装置であって、
前記航空機が前記吊上げロケーションにあるときに、前記航空機に固定されるように構成された取付金具と、
前記取付金具に係合し、吊上げ荷重を前記取付金具を介して前記航空機に伝達するように構成されたクレーンフックと、
を備える装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置であって、前記取付金具が、前記クレーンフックに係合するように構成された第1部分と、降下機器に係合するように構成された第2部分とを有する装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置であって、前記取付金具の前記第1部分が、前記取付金具の前記第2部分に枢動可能に連結された装置。
【請求項4】
吊上げロケーションにおいて航空機を吊上げるための方法であって、
前記航空機が前記吊上げロケーションにあるときに、取付金具を前記航空機に固定する工程、
前記取付金具をクレーンフックと係合させる工程、
吊上げ荷重を、前記取付金具を介して前記クレーンフックから前記航空機に伝達する工程、および、
前記航空機から前記取付金具を取り除く工程、
を含む方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、前記吊上げ荷重を、前記航空機の翼の翼桁に伝達する方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記吊上げ荷重を、主降着装置のサイドステー取付金具によって前記翼桁に伝達する方法。
【請求項7】
請求項4〜6のうちいずれか一項に記載の方法において、さらに、前記取付金具を降下機器によって適所に降ろす工程を含む方法。
【請求項8】
吊上げ荷重を、クレーンフックから吊上げ対称としてのアイテムに伝達するための取付金具であって、
前記アイテムに固定されるように構成された連結部材と、
前記連結部材に枢動可能に連結され、また、前記クレーンフックによって係合されるように、かつ、前記クレーンフックから前記アイテムに吊上げ荷重を伝達するように構成された、吊上げ部材と、
を備える取付金具。
【請求項9】
請求項8記載の取付金具において、さらに、解放位置からロック位置へと動かすことができる固定部材であって、該ロック位置において、前記吊上げ部材を前記連結部材に対する操作位置に固定する該固定部材を備える取付金具。
【請求項10】
請求項8または9記載の取付金具において、前記吊上げ部材は前記連結部材に対してリバーシブルである取付金具。
【請求項11】
吊上げ対象としてのアイテムを吊上げるための装置であって、
請求項8記載の取付金具と、
前記吊上げ部材に係合するように、かつ、吊上げ荷重を前記クレーンフックから前記吊上げ部材に伝達するように構成されたクレーンフックと、
を備える装置。
【請求項12】
アイテムを吊上げるための方法であって、
請求項8〜10のうちいずれか一項記載の取付金具を、前記連結部材の下方に位置する前記吊上げ部材によって、適所に降ろす工程、
前記連結部材を前記アイテムに固定する工程、
前記吊上げ部材を、前記アイテムに係合するまで、枢軸周りを回転させることで吊上げる工程、
前記吊上げ部材をクレーンフックと係合させる工程、および、
吊上げ荷重を前記吊上げ部材を介して前記クレーンフックから前記アイテムに伝達する工程、
を含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、さらに、
側方荷重を前記クレーンフックから前記アイテムに、前記連結部材を介して伝達する工程を含む方法。
【請求項14】
クレーンフックアセンブリであって、
重心を持つフックと、
前記フックに、その重心よりも前方に取付けられた第1枢動点、および、クレーンによって吊上げられるように構成された第2枢動点を有する取付けリンクと、
フックの非荷重時に、バイアス力を前記取付けリンクに付与してこの前記取付けリンクを前記第1枢動点周りで回転させ、前記第2枢動点を前記フックの後方に動かす、バイアスシステムと、
を備えるクレーンフックアセンブリ。
【請求項15】
請求項14記載のアセンブリにおいて、前記バイアスシステムが、
前記フックの第1枢動点に連結された第1バイアスリンクと、
前記第1バイアスリンクの第2枢動点と前記取付けリンクの第3枢動点とに連結された第2バイアスリンクと、
バイアス力を付与して、前記バイアスリンクの前記枢動点を共直線配置へと動かす、バイアス部材と、
を備えるアセンブリ。
【請求項16】
請求項15記載のアセンブリにおいて、前記バイアス部材は圧縮ばねを備えるアセンブリ。
【請求項17】
請求項14〜16のうちいずれか1項に記載のアセンブリにおいて、前記フックは、請求項20記載のフックを備えるアセンブリ。
【請求項18】
航空機を吊上げるための装置であって、
請求項14〜17のうちいずれか一項記載の前記フックアセンブリと、
前記航空機に固定されるように、かつ、吊上げ荷重を前記クレーンフックから前記航空機に伝達するように構成された取付金具と、
を備える装置。
【請求項19】
請求項14記載のフックアセンブリを使ってアイテムを吊上げる方法であって、
前記フックを前記アイテムに連結させる工程、および、
吊上げ力を前記取付けリンクの前記第2枢動点に付与して、前記第2枢動点を前記バイアス力に抗して前記フックの前方へと回動させる工程、
を含む方法。
【請求項20】
クレーンフックであって、
シャンク部分と、
前記シャンク部分から伸延し、吊上げるべきアイテムのソケット又はボールと連結できるように構成されたボール又はソケットを有するフック部分と、
を備えるクレーンフック。
【請求項21】
請求項20記載のフックにおいて、前記フック部分が、吊上げられるべき前記アイテムのソケットと連結するように構成されたボールを有するフック。
【請求項22】
請求項20または21記載のフックにおいて、前記ボール又はソケットは、前記フック部分の遠位端に指向するように配向されたフック。
【請求項23】
航空機を吊上げるための装置であって、
請求項20〜22のいずれか一項記載のクレーンフックと、
前記フックの前記ボール又はソケットと連結するように構成されたソケット又はボールを有する航空機に固定されるように構成された取付金具と、
を備える装置。
【請求項24】
請求項20〜22のうちいずれか一項記載の前記フックを使ってアイテムを吊上げる方法であって、
前記フックの前記ボール又はソケットを、前記アイテムの前記ソケット又はボールと連結することで、ボールソケットジョイントを形成する工程、および、
前記ボールソケットジョイントを介して吊上げ荷重を前記アイテムに付与する工程、
を含む方法。
【請求項25】
請求項12、19、または24記載の方法において、前記アイテムが航空機である方法。
【請求項1】
吊上げロケーションにて航空機を吊上げるための装置であって、
前記航空機が前記吊上げロケーションにあるときに、前記航空機に固定されるように構成された取付金具と、
前記取付金具に係合し、吊上げ荷重を前記取付金具を介して前記航空機に伝達するように構成されたクレーンフックと、
を備える装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置であって、前記取付金具が、前記クレーンフックに係合するように構成された第1部分と、降下機器に係合するように構成された第2部分とを有する装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置であって、前記取付金具の前記第1部分が、前記取付金具の前記第2部分に枢動可能に連結された装置。
【請求項4】
吊上げロケーションにおいて航空機を吊上げるための方法であって、
前記航空機が前記吊上げロケーションにあるときに、取付金具を前記航空機に固定する工程、
前記取付金具をクレーンフックと係合させる工程、
吊上げ荷重を、前記取付金具を介して前記クレーンフックから前記航空機に伝達する工程、および、
前記航空機から前記取付金具を取り除く工程、
を含む方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、前記吊上げ荷重を、前記航空機の翼の翼桁に伝達する方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記吊上げ荷重を、主降着装置のサイドステー取付金具によって前記翼桁に伝達する方法。
【請求項7】
請求項4〜6のうちいずれか一項に記載の方法において、さらに、前記取付金具を降下機器によって適所に降ろす工程を含む方法。
【請求項8】
吊上げ荷重を、クレーンフックから吊上げ対称としてのアイテムに伝達するための取付金具であって、
前記アイテムに固定されるように構成された連結部材と、
前記連結部材に枢動可能に連結され、また、前記クレーンフックによって係合されるように、かつ、前記クレーンフックから前記アイテムに吊上げ荷重を伝達するように構成された、吊上げ部材と、
を備える取付金具。
【請求項9】
請求項8記載の取付金具において、さらに、解放位置からロック位置へと動かすことができる固定部材であって、該ロック位置において、前記吊上げ部材を前記連結部材に対する操作位置に固定する該固定部材を備える取付金具。
【請求項10】
請求項8または9記載の取付金具において、前記吊上げ部材は前記連結部材に対してリバーシブルである取付金具。
【請求項11】
吊上げ対象としてのアイテムを吊上げるための装置であって、
請求項8記載の取付金具と、
前記吊上げ部材に係合するように、かつ、吊上げ荷重を前記クレーンフックから前記吊上げ部材に伝達するように構成されたクレーンフックと、
を備える装置。
【請求項12】
アイテムを吊上げるための方法であって、
請求項8〜10のうちいずれか一項記載の取付金具を、前記連結部材の下方に位置する前記吊上げ部材によって、適所に降ろす工程、
前記連結部材を前記アイテムに固定する工程、
前記吊上げ部材を、前記アイテムに係合するまで、枢軸周りを回転させることで吊上げる工程、
前記吊上げ部材をクレーンフックと係合させる工程、および、
吊上げ荷重を前記吊上げ部材を介して前記クレーンフックから前記アイテムに伝達する工程、
を含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、さらに、
側方荷重を前記クレーンフックから前記アイテムに、前記連結部材を介して伝達する工程を含む方法。
【請求項14】
クレーンフックアセンブリであって、
重心を持つフックと、
前記フックに、その重心よりも前方に取付けられた第1枢動点、および、クレーンによって吊上げられるように構成された第2枢動点を有する取付けリンクと、
フックの非荷重時に、バイアス力を前記取付けリンクに付与してこの前記取付けリンクを前記第1枢動点周りで回転させ、前記第2枢動点を前記フックの後方に動かす、バイアスシステムと、
を備えるクレーンフックアセンブリ。
【請求項15】
請求項14記載のアセンブリにおいて、前記バイアスシステムが、
前記フックの第1枢動点に連結された第1バイアスリンクと、
前記第1バイアスリンクの第2枢動点と前記取付けリンクの第3枢動点とに連結された第2バイアスリンクと、
バイアス力を付与して、前記バイアスリンクの前記枢動点を共直線配置へと動かす、バイアス部材と、
を備えるアセンブリ。
【請求項16】
請求項15記載のアセンブリにおいて、前記バイアス部材は圧縮ばねを備えるアセンブリ。
【請求項17】
請求項14〜16のうちいずれか1項に記載のアセンブリにおいて、前記フックは、請求項20記載のフックを備えるアセンブリ。
【請求項18】
航空機を吊上げるための装置であって、
請求項14〜17のうちいずれか一項記載の前記フックアセンブリと、
前記航空機に固定されるように、かつ、吊上げ荷重を前記クレーンフックから前記航空機に伝達するように構成された取付金具と、
を備える装置。
【請求項19】
請求項14記載のフックアセンブリを使ってアイテムを吊上げる方法であって、
前記フックを前記アイテムに連結させる工程、および、
吊上げ力を前記取付けリンクの前記第2枢動点に付与して、前記第2枢動点を前記バイアス力に抗して前記フックの前方へと回動させる工程、
を含む方法。
【請求項20】
クレーンフックであって、
シャンク部分と、
前記シャンク部分から伸延し、吊上げるべきアイテムのソケット又はボールと連結できるように構成されたボール又はソケットを有するフック部分と、
を備えるクレーンフック。
【請求項21】
請求項20記載のフックにおいて、前記フック部分が、吊上げられるべき前記アイテムのソケットと連結するように構成されたボールを有するフック。
【請求項22】
請求項20または21記載のフックにおいて、前記ボール又はソケットは、前記フック部分の遠位端に指向するように配向されたフック。
【請求項23】
航空機を吊上げるための装置であって、
請求項20〜22のいずれか一項記載のクレーンフックと、
前記フックの前記ボール又はソケットと連結するように構成されたソケット又はボールを有する航空機に固定されるように構成された取付金具と、
を備える装置。
【請求項24】
請求項20〜22のうちいずれか一項記載の前記フックを使ってアイテムを吊上げる方法であって、
前記フックの前記ボール又はソケットを、前記アイテムの前記ソケット又はボールと連結することで、ボールソケットジョイントを形成する工程、および、
前記ボールソケットジョイントを介して吊上げ荷重を前記アイテムに付与する工程、
を含む方法。
【請求項25】
請求項12、19、または24記載の方法において、前記アイテムが航空機である方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11】
【公表番号】特表2010−516590(P2010−516590A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546817(P2009−546817)
【出願日】平成20年1月14日(2008.1.14)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050027
【国際公開番号】WO2008/090372
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(302053010)エアバス・ユ―ケ―・リミテッド (54)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月14日(2008.1.14)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050027
【国際公開番号】WO2008/090372
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(302053010)エアバス・ユ―ケ―・リミテッド (54)
【Fターム(参考)】
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