説明

受信信号処理時間測定方法

【課題】本発明の目的は、移動体無線基地局装置の受信処理機能部における受信データの処理時間および、該受信データの処理時間と受信電界強度情報データの処理時間の差を高精度に測定する方法を提供することである。
【解決手段】本発明では、ディジタル位相変調信号受信装置の受信データ処理時間を測定する受信信号処理時間測定方法であって、基準タイミングパルスを発生するステップと、前記基準タイミングパルスをトリガとして、バースト信号の中心の時刻に位相が180度反転する高周波信号を発生するステップと、前記受信装置の復調出力の符号反転時刻を、前記基準タイミングパルスをトリガとして測定するステップとを含む受信信号処理時間測定方法を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信信号処理時間測定に関し、特にディジタル位相変調受信装置の受信データと受信電界強度情報データの処理時間の差を測定する受信信号処理時間測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体無線基地局装置(以下Node−B)の受信処理機能部では、受信信号から伝送データを復調するほかに受信電界強度検出(以下RSSI:Receiver Signal Strength Indicator)の機能を持ち、RSSI情報を回線の保守や、通話チャンネルの制御等に利用する。
【0003】
RSSI情報データにより通信品質が確認された伝送データとしての認識が必要であり、受信処理機能部の遅延時間を正確に決定する必要があった。
【0004】
従来、無線信号処理部の遅延時間の決定には、回路シミュレーションによる計算により回路の遅延時間を計算したり、各回路ブロックの設計値による遅延時間を積算して装置全体の遅延時間を求める方法があった(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−129567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の説明におけるように、移動通信システムのNode−Bにおいて移動端末からの受信データと、該データの受信電界強度検出データは対応する必要がある。
【0006】
図1に、Node−Bの受信部の構成を示す。
【0007】
図1において、101は受信アンテナ、102は受信信号処理機能部、103は周波数変換器、104は局部発振器、105は自動利得制御回路(以下AGC回路)、106は直交復調部、107はAD変換器、108は受信電界強度検出部、109は符号処理部をそれぞれ示す。Node−Bの受信アンテナ101で受信した移動端末からの高周波信号は、周波数変換器103において局部発振器104からの高周波信号とミキシングされ、中間周波数(以下IF)信号に変換される。IF信号はAGC回路105により信号レベルが一定とされ、直交復調部106において、基準位相に対し同相成分のデータ( 以下Iデータ)と直交成分のデータ(以下Qデータ)を検出してIデータとQデータを出力する。IF信号の一部は分岐され、受信電界強度検出部108において、所定の周期でIF信号のレベルが検出され、RSSI情報データとして出力される。符号処理部109では、IデータとQデータに対し、例えば、送信側の移動端末におけるCDMA方式の拡散符号を逆拡散および、誤り訂正符号が符号再生処理され、送信された伝送データが再生される。
【0008】
前記IデータとQデータの各符号時刻に対応した受信電界強度により、各符号のS/Nの品質が決まるので、図1において受信処理機能部102からIデータとQデータが出力する時刻と、RSSI情報データが表す受信電界強度検出時刻の関係を対応づける必要がある。
【0009】
しかしながら、前記背景技術に示した計算値による遅延時間は、前記受信処理機能部に含まれる濾波器などアナログ回路の製造バラツキや構成部品の特性バラツキ等による誤差が大きくなり精度が低い。
【0010】
また、符号処理部109はディジタル回路とプロセッサによる信号処理を行なうので、設計値により容易に計算でき、一度測定されれば製造によるバラツキは非常に少ない。
【0011】
従って、本発明の目的の1つは、Node−Bの受信処理機能部における受信データの処理時間および、該受信データの処理時間とRSSI情報データの処理時間の差を高精度に測定するシステムと方法を提供することである。
【0012】
尚、上記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成により導かれる結果であって従来の技術によっては得られない効果も、本発明の他の目的の1つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明では、ディジタル位相変調信号受信装置の受信データ処理時間を測定する受信信号処理時間測定システムであって、基準タイミングパルス発生手段と、前記基準タイミングパルスをトリガとして、バースト信号の中心の時刻に位相が180度反転する高周波信号の発生手段と、前記受信装置の復調出力の符号反転時刻を、前記基準タイミングパルスをトリガとして測定する測定手段と、を備えたこと特徴とする受信信号処理時間測定システムを用いる。
(2)本発明では、ディジタル位相変調信号受信装置の受信データ処理時間を測定する受信信号処理時間測定方法であって、基準タイミングパルスを発生するステップと、前記基準タイミングパルスをトリガとして、バースト信号の中心の時刻に位相が180度反転する高周波信号を発生するステップと、前記受信装置の復調出力の符号反転時刻を、前記基準タイミングパルスをトリガとして測定するステップと、を含む受信信号処理時間測定方法を用いる。
【0014】
好ましくは、請求項1記載の受信信号処理時間測定方法は、前記測定した波形における符号反転時刻から、前記受信装置に入力する高周波の前記バースト信号の位相が180度反転する時刻を差し引くことにより、前記受信装置の受信データの処理時間を補正する受信信号処理時間測定方法を用いる。
(3)本発明では、ディジタル位相変調信号受信装置の受信電界強度情報データの処理時間を測定する受信信号処理時間測定システムであって、基準タイミングパルス発生手段と、
前記基準タイミングパルスをトリガとして、バースト信号の中心の時刻に位相が180度反転する高周波信号の発生手段と、前記受信装置から出力した受信電界強度情報データと出力時刻を、前記基準タイミングパルスをトリガとして測定する測定手段と、前記受信電界強度情報データと前記バースト信号のバースト区間長を用いて、前記電界強度データの出力時刻と前記バースト信号の位相反転時刻の時間差を計算する手段と、前記時間差を用いて前記電界強度情報データの処理時間を決定する手段と、を備えたことを特徴とする受信信号処理時間測定システムを用いる。
(4)本発明では、ディジタル位相変調信号受信装置の受信電界強度情報データの処理時間を測定する受信信号処理時間測定方法であって、基準タイミングパルスを発生するステップと、前記基準タイミングパルスをトリガとして、バースト信号の中心の時刻に位相が180度反転する高周波信号を発生するステップと、前記受信装置の受信電界強度情報データの値と出力時刻を、前記基準タイミングパルスをトリガとして測定するステップと、前記受信電界強度情報データと前記バースト信号のバースト区間長を用いて、前記電界強度データの出力時刻と前記バースト信号の位相反転時刻の時間差を計算するステップと、前記時間差を用いて前記電界強度情報データの処理時間を計算するステップと、
を含む受信信号処理時間測定方法を用いる。
【0015】
好ましくは、請求項2記載の受信信号処理時間測定方法は、前記電界強度情報データの処理時間から、前記受信装置に入力する高周波の前記バースト信号の位相が180度反転する時間を差し引くことにより、前記受信装置の受信電界強度情報データ検出時間を補正するステップを含む受信信号処理時間測定方法を用いる。
【0016】
(5)本発明では、ディジタル位相変調信号受信装置の受信データの処理時間と受信電界強度情報データの処理時間の差を測定する受信信号処理時間測定方法であって、基準タイミングパルスを発生するステップと、前記基準タイミングパルスをトリガとして、バースト信号の中心の時刻に位相が180度反転する高周波信号を発生するステップと、前記受信装置の復調出力の符号反転時刻と受信電界強度情報データの値と出力時刻を、前記基準タイミングパルスをトリガとして測定するステップと、前記符号反転時刻により受信データの処理時間を決定するステップと、前記受信電界強度情報データと前記バースト信号のバースト区間長を用いて、前記電界強度情報データの出力時刻と前記バースト信号の位相反転時刻の時刻差を計算するステップと、前記時刻差を用いて前記電界強度情報データの処理時間を計算するステップと、前記受信データの処理時間と前記受信電界強度情報データの処理時間の差を計算するステップと、を含む受信信号処理時間測定方法を用いる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、Node−Bの受信処理機能部における伝送データの処理時間および、該伝送データの処理時間とRSSI情報データ検出処理時間の差を精密に測定することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について説明する。
(実施例1)
実施例1においては、受信信号処理機能部102における伝送データの処理時間を測定することとする。
・「測定システムの構成と動作」
図2に実施例1における測定システムの構成を示す。
【0019】
図2において、受信信号処理機能部102は図1と同一であり、同じ番号を付してある。201は基準タイミングパルス発生器、202は高周波(以下RF:Radio Frequency)信号発生器、203はロジックアナライザーをそれぞれ示す。
【0020】
図3に実施例1における各部の時間波形を示す。
D301は基準パルス波形、D302はRF信号波形、D303はIデータ出力波形、D304はQデータ出力波形をそれぞれ示す。
【0021】
基準タイミングパルス発生器201は、所定の周期で図3のD301に示すパルス信号を発生し、RF信号発生器202とロジックアナライザー203に供給する。
【0022】
RF信号発生器202は、基準タイミングパルスをトリガとして、RFのバースト信号を発生する。RFバースト信号D302は、バースト区間Tの無変調RF信号が、バースト区間の中点(t=t)において位相が反転(180度変化)した波形であって、受信信号処理機能部102に入力される。
【0023】
受信信号処理機能部102では、周波数変換器103でIF信号に変換された後に、直交復調部106において受信したバースト信号から再生された基準搬送波に対して同相成分と直交成分が復調され、AD変換器107によりディジタル値(1と−1の2値)に変換され、それぞれIデータD303とQデータD304として出力される。
・「I、Qデータの処理時間測定」
図3に示すように、基準タイミングパルス発生器201から発生したタイミングパルスの発生時刻を基準時刻(t=0)とすると、このタイミングパルスに駆動されたRF信号発生器202は、一定の応答時間遅れてRFバースト信号を出力する。RF信号発生器202から受信信号処理部機能部102までの接続ケーブルによりさらに遅延して、受信信号処理部機能部102には、基準時刻からτSGの時間遅延したRFバースト波形D302となり入力する。このRFバースト信号波形D302は、バースト区間Tの中点(t=t)においてRFの位相が反転(180度変化)しており、基準時刻に対しては、(τSG+T/2)の時間遅延した時刻tに位相が反転している。この時刻tの時刻の測定は、図2において、RF信号発生器202から受信信号処理部機能部102までの接続ケーブルを、直接ロジックアナライザー203に接続し、RFバースト信号D302の位相反転時刻により測定する。この測定により、t=(τSG+T/2)が決定できる。
【0024】
受信信号処理部機能部102では、同相成分のIデータD303と、直交成分のQデータD304が復調される。IデータとQデータの出力開始時刻は、RFバースト信号D302入力時刻(t=τSG)からτ遅れる。
【0025】
従って、基準時刻に対するIデータとQデータの中点の出力時刻tは(IデータとQデータは同時刻に出力する)、(1)式で示される。
【0026】
【数1】

【0027】
ただし、t=(τSG+T/2)で受信信号処理部機能部102へ入力するRFバースト信号の位相反転時刻。
【0028】
ロジックアナライザー203により、IデータとQデータ波形を測定し、+1(または−1)がT/2の区間連続し、そのすぐ後のT/2の区間に極性が反転して−1(または+1)が連続する信号系列の中点の反転時刻tを測定する。
【0029】
なお、図3に示すIデータとQデータは、RFバースト信号入力D302が、直交復調部106において再生された基準搬送波の位相に対して、バースト区間T前半が位相7π/4であって、バースト区間T後半の位相が3π/4まで変化した場合の波形を示す。
【0030】
このIデータとQデータの極性(+1または−1)は、直交復調部106において復調された符号は基準搬送波の位相により異なり、1つのRFバースト信号入力に対し、IデータとQデータは4種類となり、ロジックアナライザーによる波形測定では、これらは同一のバースト信号として測定される。
【0031】
すなわち、直交復調されたIデータとQデータの組を、I(ID1,ID2):Q(QD1,QD2)とすると、I(1,−1):Q(1,−1)、I(−1,1):Q(1,−1)、I(−1,1):Q(−1,1)、I(1,−1):Q(−1,1)は、同じRFバースト信号入力を復調したIデータとQデータである。
【0032】
また、図3において、RFバースト信号D302が無い時間帯におけるIデータ出力D303とQデータ出力D304は、ロジックアナライザー203による実際の測定では、ランダムなパルス列である。すなわち、RFバースト信号D302が無い時間帯は、受信信号処理機能部102へのRF信号入力は無くなり、AGC回路105が最大利得の増幅状態となる。その結果、受信信号処理機能部102の内部発生雑音を増幅して直交復調部106に入力するため、IデータとQデータはランダムな雑音となり、AD変換器107の出力はランダムな符号列となる。
【0033】
ランダムな符号列の中から、一定区間(バースト区間長の半分T/2)同じ符号が連続し、途中で符号が反転し同じ一定区間(バースト区間長の半分T/2)が続く波形の符号反転位置を見つけるのは容易であり、確実にバースト符合列の中点の符号反転時刻tを測定することが出来る。
【0034】
例えば、バースト区間長T=10msec、情報データ伝送速度が3.84Mbps(1ビットの符号長≒0.26μsec)場合、RFバースト信号の無い区間では、+1または−1の符号が、0.26μsecの周期でランダムに出力するが、バーストの前半T/2=5msecには、同じ符号が約19200個続き、符号反転後また前半と同じ符号数の約19200個が続き、バーストがなくなると再び、+1または−1の符号が、0.26μsecの周期でランダムに出力する。従って、RFバースト信号のある区間の符号反転時刻tは、ランダム符号列とは明確に識別して測定出来る。
(1)式において、t=(τSG+T/2)は前記の測定で決定しているので、受信信号処理部機能部102における遅延時間τは、
【0035】
【数2】

【0036】
より求める。(2)式により、IデータとQデータの受信信号処理部機能部102における遅延時間τは、ロジックアナライザー203による測定された時刻tとtにより決定することが出来る。
(実施例2)
実施例2においては、受信処理機能部102における、受信データの処理時間および、受信データの処理時間と受信電界強度情報データ検出の処理時間の差の時間を測定することとする。
・「測定システムの構成と動作」
図4に実施例2における測定システムの構成を示す。
図4において、図1、図2と同じものは同一の番号を付してあり、401はNode−B(移動体無線基地局装置)、402はBFN(Node−B Frame Number)をそれぞれ示す。
【0037】
図4に示すように、実施例2では、受信信号処理機能部102におけるIデータ、Qデータおよび、RSSI情報データの処理時間を同時に測定する。
【0038】
また、RF信号発生器202とロジックアナライザー203への基準タイミングパルスは、Node−B401内の基準タイミングであるBFNのパルス信号を用いる。
・「I、Qデータの処理時間測定」
受信信号処理機能部102におけるI、Qデータの遅延時間測定は実施例1と同じであり、ロジックアナライザー203により、IデータとQデータ波形を測定し、+1(または−1)がT/2の区間連続し、そのすぐ後のT/2の区間に極性が反転した−1(または+1)が連続する信号系列の中点の反転時刻tを測定する。また、受信信号処理機能部102へのRFバースト信号D302の入力時刻tも、ロジックアナライザー203により、位相反転時刻により測定される。上記tとtの測定値により、I、Qデータの遅延時間τは(2)式で決定される。
・「I、QデータとRSSI情報データの処理時間差の測定」
図5にI、QデータとRSSI情報データの処理時間差の測定における波形を示す。
【0039】
図5において、D501はBFNのパルス信号による基準パルス波形、D502はバースト信号パルスの信号電力、D503はRSSI情報データをそれぞれ示す。
【0040】
図4の受信信号処理機能部102内の受信電界強度検出部108では、RFバースト信号区間長Tに等しい周期で信号電力の平均値を繰り返し求め、図5のRSSI情報データD503として出力する。
【0041】
図5においてRSSI情報データD503の周期T毎の時刻ts1、ts2、ts3・・・と、受信電界強度検出部108に入力したバースト信号電力D502の位相反転時刻tには時間ずれがある。
【0042】
図5には、バースト信号電力D502の立ち上がり時刻に対し、RSSI情報データD503の2番目のデータ切り替え時刻t=ts2が、xだけ遅れた場合を示す。ただし、xは周期Tに対する時間比を示し、例えばD502が、時刻TよりT/10早い場合はx=0.1とする。ts1からts2の区間および、ts2からts3の区間のRSSI情報データをそれぞれ、d、dとすると、(3)、(4)式となる。
【0043】
【数3】

【0044】
【数4】

【0045】
ただし、y、yはそれぞれ、バースト無し時とバースト有り時の信号電力瞬時値の真数を表す。
【0046】
(3)、(4)式よりxを求めると(5)式となる。
【0047】
【数5】

【0048】
(5)式より、RSSI情報データD503のdデータ区間終了時刻t=ts2に対する、バースト信号D502の中点時刻tの差Δtは(6)式となる。
【0049】
【数6】

【0050】
ただし、y、yはバースト無し時の信号電力の瞬時値とバースト信号有り時の信号電力の瞬時値、Tはバースト信号長さで予め測定しておく。RSSI情報データD503は、各T区間ごとに信号電力の平均値データとして測定され、その中で平均値が大きい2つの山の区間の平均値データがd、dとして選択され、(6)式によりΔtが求められる。
【0051】
即ち、ロジックアナライザー203による、RSSI情報データD503の2つの山は、データd、dが他のデータd、d、・・・より大きな値を示す位置で判断される。
【0052】
RSSI情報データが1つの山になる時は、バースト信号D502の中点tと、RSSI情報データの切り替え時刻が一致した場合であり、(6)式においてd=dの時、Δt=0となることからも分かる。
【0053】
図5のRSSI情報データD503によって示された、2つの山dとdの最初のデータdの終了時刻t=ts2は、バースト信号D502の中点時刻tよりも、(6)式で表されたΔt早い時刻を示すので、tは(7)式で計算できる。
【0054】
【数7】

【0055】
バースト信号D502は、前記I、Qデータ(D303とD304)を生成した信号と同じRFバースト信号から生じたものであるから、前記I、Qデータ(D303とD304)における符号反転時刻tと、RSSI情報データを用いて(7)式により計算されたtは理想的には同じ時刻を示すはずであるが、実際にはI、Qデータの経路とRSSI情報データの経路の処理時間によって異なった値となる。
【0056】
以上により、ロジックアナライザー203で測定したI、Qデータの符号反転出力時刻tと、RSSI情報データに基づき測定したバースト信号の中点時刻tの差により、両データの遅延時間差τcdが(8)式により求まる。
【0057】
【数8】

【0058】
(付記1)
ディジタル位相変調信号受信装置の受信データ処理時間を測定する受信信号処理時間測定システムであって、
基準タイミングパルス発生手段と、
前記基準タイミングパルスをトリガとして、バースト信号の中心の時刻に位相が180度反転する高周波信号の発生手段と、
前記受信装置の復調出力の符号反転時刻を、前記基準タイミングパルスをトリガとして測定する測定手段と、
を備えたこと特徴とする受信信号処理時間測定システム。
(付記2)
ディジタル位相変調信号受信装置の受信データ処理時間を測定する受信信号処理時間測定方法であって、
基準タイミングパルスを発生するステップと、
前記基準タイミングパルスをトリガとして、バースト信号の中心の時刻に位相が180度反転する高周波信号を発生するステップと、
前記受信装置の復調出力の符号反転時刻を、前記基準タイミングパルスをトリガとして測定するステップと、
を含む受信信号処理時間測定方法。
(付記3)
付記2記載の受信信号処理時間測定方法は、前記測定した波形における符号反転時刻から、前記受信装置に入力する高周波の前記バースト信号の位相が180度反転する時刻を差し引くことにより、前記受信装置の受信データの処理時間を補正する受信信号処理時間測定方法。
(付記4)
ディジタル位相変調信号受信装置の受信電界強度情報データの処理時間を測定する受信信号処理時間測定システムであって、
基準タイミングパルス発生手段と、
前記基準タイミングパルスをトリガとして、バースト信号の中心の時刻に位相が180度反転する高周波信号の発生手段と、
前記受信装置から出力した受信電界強度情報データと出力時刻を、前記基準タイミングパルスをトリガとして測定する測定手段と、
前記受信電界強度情報データと前記バースト信号のバースト区間長を用いて、前記電界強度データの出力時刻と前記バースト信号の位相反転時刻の時間差を計算する手段と、
前記時間差を用いて前記電界強度情報データの処理時間を決定する手段と、
を備えたことを特徴とする受信信号処理時間測定システム。
(付記5)
ディジタル位相変調信号受信装置の受信電界強度情報データの処理時間を測定する受信信号処理時間測定方法であって、
基準タイミングパルスを発生するステップと、
前記基準タイミングパルスをトリガとして、バースト信号の中心の時刻に位相が180度反転する高周波信号を発生するステップと、
前記受信装置の受信電界強度情報データの値と出力時刻を、前記基準タイミングパルスをトリガとして測定するステップと、
前記受信電界強度情報データと前記バースト信号のバースト区間長を用いて、前記電界強度データの出力時刻と前記バースト信号の位相反転時刻の時間差を計算するステップと、
前記時間差を用いて前記電界強度情報データの処理時間を計算するステップと、
を含む受信信号処理時間測定方法。
(付記6)
付記5記載の受信信号処理時間測定方法は、前記電界強度情報データの処理時間から、前記受信装置に入力する高周波の前記バースト信号の位相が180度反転する時間を差し引くことにより、前記受信装置の受信電界強度情報データ検出時間を補正するステップを含む受信信号処理時間測定方法。
(付記7)
ディジタル位相変調信号受信装置の受信データの処理時間と受信電界強度情報データの処理時間の差を測定する受信信号処理時間測定方法であって、
基準タイミングパルスを発生するステップと、
前記基準タイミングパルスをトリガとして、バースト信号の中心の時刻に位相が180度反転する高周波信号を発生するステップと、
前記受信装置の復調出力の符号反転時刻と受信電界強度情報データの値と出力時刻を、前記基準タイミングパルスをトリガとして測定するステップと、
前記符号反転時刻により受信データの処理時間を決定するステップと、
前記受信電界強度情報データと前記バースト信号のバースト区間長を用いて、前記電界強度情報データの出力時刻と前記バースト信号の位相反転時刻の時刻差を計算するステップと、
前記時刻差を用いて前記電界強度情報データの処理時間を計算するステップと、
前記受信データの処理時間と前記受信電界強度情報データの処理時間の差を計算するステップと、
を含む受信信号処理時間測定方法。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】移動体無線基地局装置の受信部構成を示す図である。
【図2】I、Qデータ処理時間測定システム(実施例1)を示す図である。
【図3】受信信号とI、Qデータ出力波形(実施例1、2)を示す図である。
【図4】I、QデータとRSSI情報データ処理時間測定システム(実施例2)を示す図である。
【図5】RSSI情報データ波形(実施例2)を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
101 受信アンテナ
102 受信信号処理機能部
103 周波数変換器
104 局部発振器
105 自動利得制御回路
106 直交復調部
107 AD変換器
108 受信電界強度検出部
109 符号処理部
201 基準タイミングパルス発生器
202 高周波信号発生器
203 ロジックアナライザー
401 Node−B
402 BFN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディジタル位相変調信号受信装置の受信データ処理時間を測定する受信信号処理時間測定方法であって、
基準タイミングパルスを発生するステップと、
前記基準タイミングパルスをトリガとして、バースト信号の中心の時刻に位相が180度反転する高周波信号を発生するステップと、
前記受信装置の復調出力の符号反転時刻を、前記基準タイミングパルスをトリガとして測定するステップと、
を含む受信信号処理時間測定方法。
【請求項2】
ディジタル位相変調信号受信装置の受信電界強度情報データの処理時間を測定する受信信号処理時間測定方法であって、
基準タイミングパルスを発生するステップと、
前記基準タイミングパルスをトリガとして、バースト信号の中心の時刻に位相が180度反転する高周波信号を発生するステップと、
前記受信装置の受信電界強度情報データの値と出力時刻を、前記基準タイミングパルスをトリガとして測定するステップと、
前記受信電界強度情報データと前記バースト信号のバースト区間長を用いて、前記電界強度データの出力時刻と前記バースト信号の位相反転時刻の時間差を計算するステップと、
前記時間差を用いて前記電界強度情報データの処理時間を計算するステップと、
を含む受信信号処理時間測定方法。
【請求項3】
ディジタル位相変調信号受信装置の受信データの処理時間と受信電界強度情報データの処理時間の差を測定する受信信号処理時間測定方法であって、
基準タイミングパルスを発生するステップと、
前記基準タイミングパルスをトリガとして、バースト信号の中心の時刻に位相が180度反転する高周波信号を発生するステップと、
前記受信装置の復調出力の符号反転時刻と受信電界強度情報データの値と出力時刻を、前記基準タイミングパルスをトリガとして測定するステップと、
前記符号反転時刻により受信データの処理時間を決定するステップと、
受信電界強度情報データと前記バースト信号のバースト区間長を用いて、前記電界強度情報データの出力時刻と前記バースト信号の位相反転時刻の時刻差を計算するステップと、
前記時刻差を用いて前記電界強度情報データの処理時間を計算するステップと、
前記受信データの処理時間と前記受信電界強度情報データの処理時間の差を計算するステップと、
を含む受信信号処理時間測定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−295118(P2007−295118A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118396(P2006−118396)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】