受信器及び光通信システム
【課題】本発明は、狭いチャープ幅の信号光に対しても、妨害光の光周波数に関係なく妨害光の影響を軽減できるようにして、耐妨害性の高い光通信が可能な受信器及び光通信システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る受信器及び光通信システムは、データの少なくとも1シンボル期間の中で信号光の光周波数が変化する信号光と同期した光周波数の光を受信対象とすると同時に、信号光と所定の光周波数差の光を同時に受信対象とし、前者の出力から後者の出力を減ずることで前者の出力に残存する妨害光成分を後者の出力に存する妨害光にて相殺することとした。
【解決手段】本発明に係る受信器及び光通信システムは、データの少なくとも1シンボル期間の中で信号光の光周波数が変化する信号光と同期した光周波数の光を受信対象とすると同時に、信号光と所定の光周波数差の光を同時に受信対象とし、前者の出力から後者の出力を減ずることで前者の出力に残存する妨害光成分を後者の出力に存する妨害光にて相殺することとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信器から受信器に信号光を送信する際に光伝送路に混入する妨害光の影響を軽減する受信器、及びこれを備える光通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
PON(Passive Optical Network)システムを用いた経済的な光サービスの需要の増大が予想される。PONシステムでは、局内のOLT(Optical Line Terminal)の制御により、単一の光ファイバと伝送設備を複数のユーザ宅内機器のONU(Optical Network Unit)で共用する。
【0003】
ところで、PONシステムの普及に従い、ONUは、電気通信法49条の規定に準じた端末開放の可能性がある。開放により、OLTの制御に従わないメディアコンバータやLAN機器等のPONシステムへの誤接続の可能性が増大する。これらの誤接続機器の出力光は、光ファイバと伝送設備を共用する他ユーザの通信に対する妨害光として作用し、通信途絶の問題を引起しかねない。
【0004】
そこで、この問題を解決するため、第1の方法の方法として光符号多重(OCDM;Optical Code division multiplexing)技術を適用した妨害光の除去方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、第2の方法として、図41及び図42のように送信する信号光の光周波数を時間的に変動させ、その信号光の時間変化に同期して受信する信号光を変動させる受信方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。図41及び図42は、信号光の光周波数を送信データが「1」のビット期間だけ直線的に増大させたときの同期受信の例である。検出対象光周波数は受信器の検出対象の光周波数を示す。図41は妨害光の光周波数が一定の場合についてであり、妨害成分の検出時間はビット期間中の僅かの時間(図中の「検出されるクロストーク」)である。図42は妨害光の光周波数が周期的に変化する場合についてのものであり、信号光の周波数変化と妨害光の光周波数変化が一致しない限り、やはり同様に、同期手段における妨害成分の検出時間はビット期間中の僅かの時間である。共に、妨害光の影響の大部分除去できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−074557号公報
【特許文献2】特開2009−153116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の第1の方法では、妨害光の光周波数に応じて除去対象とする光周波数を変更しなければならず、妨害光の光周波数分布によっては除去が困難となる場合があるという課題があった。第2の方法では、妨害光の抑圧度が信号光の光周波数の変動幅(チャープ幅)に反比例し、十分な抑圧度のためには広いチャープ幅が必要という課題があった。
【0007】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、狭いチャープ幅の信号光に対しても、妨害光の光周波数に関係なく妨害光の影響を軽減できるようにして、耐妨害性の高い光通信が可能な受信器及び光通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、データの少なくとも1シンボル期間の中で信号光の光周波数又は強度が変化する信号光と同期した光周波数又は強度の光を受信対象とすると同時に、信号光と所定の光周波数又は所定の時間異なる光を同時に受信対象とし、前者の出力から後者の出力を減ずることで前者の出力に残存する妨害光成分を後者の出力に存する妨害光にて相殺することとした。
【0009】
具体的には、本発明に係る受信器は、光周波数又は強度がデータの少なくとも1シンボル期間中で変化する信号光を、前記信号光の光周波数又は強度の変化の少なくとも一方で同期受信する加算同期手段と、前記信号光を、前記信号光の光周波数と所定の光周波数差をもつ差分光周波数又は前記信号光の強度が所定の強度となる時間と所定の時間差をもつ差分時間の少なくとも一方で同期受信する減算同期手段と、前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じて、前記信号光に含まれるデータを取得する加減算手段と、を備える。
【0010】
本発明に係る受信器の前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段と、前記混合手段の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、前記光検波手段が出力する電気信号から中間周波数信号を選択してコヒーレント検波する選択コヒーレント検波手段と、を有する。
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、
前記光検波手段が出力する電気信号から前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタで選択して包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う、又は前記光検波手段が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波を行う。
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、
前記光検波手段が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタで選択して包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う、又は前記光検波手段が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波を行う。
本発明に係る受信器は、前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期していることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る受信器の前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段と、前記混合手段の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有する。
前記加減算手段は、前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じた出力から前記信号光の光周波数に同期した中間周波数信号をバンドパスフィルタで選択して包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う、又は前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じて出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波を行う選択コヒーレント検波手段を有している。
本発明に係る受信器は、前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期していることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る受信器の前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段と、前記混合手段の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有する。前記加減算手段は、
前記加算同期手段側と前記減算同期手段側とで中心周波数が互いに異なるバンドパスフィルタを持ち、前記バンドパスフィルタを経由した前記加算同期手段の出力から前記バンドパスフィルタを経由した前記減算同期手段の出力を減じた中間周波数信号を包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う選択コヒーレント検波手段を有する。
本発明に係る受信器は、前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期していることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る受信器の前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光を光周波数に応じて分波する光分波手段と、前記光分波手段で分波した光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、前記光周波数に応じた電気信号を選択する選択手段と、を有している。
前記光検波手段は、前記分波手段で分波した光をそれぞれ光検波して電気信号を出力する光検波手段であり、前記選択手段は前記光検波手段が出力する出力電気信号の中から1の前記電気信号を受信対象として選択する選択手段である、又は前記選択手段は前記光分波手段が出力する光の中から1の前記光を受信対象として選択する手段である。
前記加算同期手段の有する前記選択手段の受信対象とする電気信号又は光は前記信号光の光周波数に同期しており、前記減算同期手段の有する前記選択手段の受信対象とする電気信号は前記差分光周波数に同期していることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る受信器の前記加算同期手段は前記1シンボル期間中で前記信号光の強度が所定の値である時間に同期した出力を加減算手段に出力し、前記減算同期手段は前記差分時間に同期した出力を加減算手段に出力していることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る受信器は、光周波数又は強度がデータの少なくとも1シンボル期間中で変化する信号光を受信する場合に、データの少なくとも1シンボル期間の中で信号光と信号光と所定の光周波数差又は光の強度が所定の強度となる時間と所定の時間差の光とを受信対象とし、前者の出力から後者の出力を減ずることで前者の出力に残存する妨害光成分を相殺している。従って、本発明は、狭いチャープ幅の信号光に対しても、妨害光の光周波数に関係なく妨害光の影響を軽減できるようにして、耐妨害性の高い光通信が可能な受信器を提供することができる。
【0016】
本発明に係る光通信システムは、前記受信器と、光周波数又は強度の少なくとも一方がデータの少なくとも1シンボル期間中で変化する信号光を送信する送信器と、を備える。本発明は、前述の受信器を備える光通信システムである。従って、本発明は、狭いチャープ幅の信号光に対しても、妨害光の光周波数に関係なく妨害光の影響を軽減できるようにして、耐妨害性の高い光通信が可能な光通信システムを提供することができる。
【0017】
本発明に係る光通信システムの前記送信器は、前記信号光に対して前記信号光の光周波数に応じて異なる遅延時間を付与する分散手段を有し、前記受信器は、前記分散手段及び前記送信機と前記受信器を接続する伝送路で光周波数に応じて異なる遅延時間を付与された前記信号光を前記分散手段及び前記送信機と前記受信器を接続する伝送路で与えられた遅延時間を解消する逆分散手段をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る光通信システムの前記送信器は、前記信号光に対して前記信号光の光周波数に応じて異なる遅延時間を付与する分散手段を有し、前記受信器は、前記局発光の光周波数に応じて異なる遅延時間を前記局発光に付与することで前記信号光を前記分散手段及び前記送信機と前記受信器を接続する伝送路で与えられた遅延時間を解消する局発分散手段をさらに備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る光通信システムは、分散手段および逆分散手段または分散手段および局発分散手段により、伝送中の信号光の時間−光周波数変化の特性を変化させ、光周波数に対する伝播時間を変化させるために、妨害光と信号光の光周波数が干渉する確率を低減することができる。また、分散手段と伝送路で付与される分散の総合分散特性と、逆分散手段で付与される分散特性の合計の分散が概ね零になるように分散手段と逆分散手段の分散特性または分散手段と局発分散手段の分散特性を設定すれば、遅延時間の和が信号光の光周波数によらず一定となるので、伝送路の分散の影響を排除することもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、狭いチャープ幅の信号光に対しても、妨害光の光周波数に関係なく妨害光の影響を軽減できるようにして、耐妨害性の高い光通信が可能な受信器及び光通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図2】本発明に係る光通信システムを説明する図である。
【図3】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図4】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図5】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図6】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図7】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図8】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図9】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図10】本発明に係る光通信システムの送信器を説明する図である。
【図11】本発明に係る光通信システムの送信器を説明する図である。
【図12】本発明に係る受信器の動作を説明する図である。
【図13】本発明に係る受信器の動作を説明する図である。
【図14】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図15】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図16】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図17】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図18】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図19】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図20】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図21】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図22】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図23】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図24】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図25】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図26】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図27】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図28】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図29】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図30】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図31】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図32】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図33】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図34】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図35】本発明に係る受信器に入力する信号を説明する図である。
【図36】本発明に係る受信器に入力する信号を説明する図である。
【図37】本発明に係る受信器に入力する信号を説明する図である。
【図38】本発明に係る光通信システムを説明する図である。
【図39】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図40】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図41】関連する光通信システムの動作を説明する図である。
【図42】関連する光通信システムの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施形態であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0023】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の受信器200を説明する図である。受信器200は、光周波数又は強度がデータの少なくとも1シンボル期間中で変化する信号光を、前記信号光の光周波数又は強度の変化の少なくとも一方で同期受信する加算同期手段203と、前記信号光を、前記信号光の光周波数と所定の光周波数差をもつ差分光周波数又は前記信号光の強度が所定の強度となる時間と所定の時間差をもつ差分時間の少なくとも一方で同期受信する減算同期手段204と、加算同期手段203の出力から減算同期手段204の出力を減じて、前記信号光に含まれるデータを取得する加減算手段205と、を備える。
【0024】
本実施形態の受信器200の動作を、図2を用いてより具体的に説明する。図2は本実施形態の光通信システム10の構成を示すブロック図である。100は送信器(例えば、ONU)、200は受信器(例えば、OLT)、300は光スプリッタ、400は光ファイバである。この構成に、光通信システム10の構成には含まれないが、妨害光を出力する不適合器500が接続する場合を想定する。
【0025】
加算同期手段203及び減算同期手段204は、
前記信号光を光周波数に応じて分波する光分波器211と、光分波器211で分波した光を光検波して電気信号を出力する光検波器212と、光検波器212が出力する出力電気信号の中から前記光周波数に応じた電気信号を選択する加算選択器213K及び減算選択器213Gと、を有し、
光検波器212は、前記分波手段で分波した光をそれぞれ光検波して電気信号を出力する複数の光検波器212であり、加算選択器213K及び減算選択器213Gは複数の光検波器212が出力する出力電気信号の中から1の前記電気信号を受信対象として選択する加算選択器213K及び減算選択器213Gであり、
加算同期手段203の有する加算選択器213Kの受信対象とする電気信号は前記信号光の光周波数に同期しており、減算同期手段204の有する減算選択器213Gの受信対象とする電気信号は前記差分光周波数に同期している。
【0026】
図2の光分波器211、光検波器212、加算選択器210K及び減算選択器210Gと加算選択器210K及び減算選択器210Gをそれぞれ信号光の光周波数と差分光周波数に同期した電気信号を受信対象とするように駆動する信号源214が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204に相当する。また、図2の加減算器213Sが図1の加減算手段205に相当する。
【0027】
送信器100は、光源(レーザダイオードその他)110、送信データDinにより光源110からの光を強度変調する強度変調器120、および強度変調された信号光を1シンボル期間で周波数変化させる光周波数変化部130を備える。光周波数変化部130は、送信データDinの1シンボル時間(ここではビット期間とする)毎に繰り返して同じ周波数変調用の信号を発生させる信号源131と、その信号源131からの信号によって信号光の周波数を昇順、降順、正弦波状、ランプ波形、ランダム等の所定の値で、1ビット期間で継続的に変化させる周波数変調器(例えば、LN等の位相変調器、AO等の周波数変調器等)132からなる。よって、送信データDinの1シンボル期間の信号光は、その光周波数が継続的に変化する。
【0028】
なお、光源110からの光が入力する順序は、強度変調器120−>光周波数変化部130の順としているが、両者の変調と変化が同期していれば、光周波数変化部130−>強度変調器120の順であってもよい。さらに、光源110と光周波数変化部130を兼ねることも可能であるし、光源110と強度変調器120を兼ねることも可能であるし、光源110と光周波数変化部130と強度変調器120を兼ねることも可能である。例えば、直接変調レーザダイオード(DML:Directly Moderated Laser)を用いることで可能となる。また、強度変調器120として所望の光周波数の変調幅を満たすようにアルファーパラメータの大きな強度変調器を用い、かつ十分な振幅で変調すれば、強度変調器120と周波数変調器132を兼ねることも可能である。兼ねる場合、後述の直接変調レーザダイオードと同様な変調としてもよい。
【0029】
受信器200は、同期受信部210を備える。同期受信部210は、光ファイバ400から到来する信号光を光周波数に応じて分岐する光分波器(例えば、プリズム、多層膜フィルタ、AWG(Arrayed Waveguide Grating)型回折格子等)211、分波された各周波数の信号光を検出して電気信号に変換させる1群の光検波器(例えば、フォトダイオードアレイ等)212、光検波器212の各出力信号から信号光の光周波数に応じた1個の信号を選択する加算選択器213K、信号光の光周波数から所定の光周波数異なる差分光周波数に応じた1個の信号を選択する減算選択器213G、加算選択器213Kの出力を加え減算選択器213Gの出力を減じて出力する加減算器213S、及び加算選択器213Kと減算選択器213Gの選択動作の制御信号(同期用信号)を光周波数変化部130の信号源131の生成信号に同期して生成する信号源214を備える。
【0030】
加減算器213Sは1ビット時間の信号を積算する。例えば、加減算器213Sは伝送帯域の0.5〜0.9倍程度の帯域の低域濾波器(非図示)を備えることで1ビット時間の信号を積算することができる。
【0031】
加算選択器213Kと減算選択器213Gの受信する光周波数の差は、減算側で信号光の受信が無視できる(例えば、消光比以下で零レベル以下の強度)の周波数差が望ましい。光周波数の差が小さいと減算側に混入して信号強度が減少し、光周波数の差が大きいと加算と減算での出力が異なり、時間的にずれて相殺し難くなるので、両者のトレードオフで光周波数差を選択する。例えば、減算選択器213Gで選択する光周波数に信号光の混入する量が、信号の零レベル以下の強度などであり無視できる最小の光周波数差であることが望ましい。但し、信号光が減算側に混入しても、本発明の妨害光の除去能力の低下は無視できる。
【0032】
よって、受信した信号光はその光周波数に応じて取り出され、元の送信データDinに対応した受信データDoutに再生される。なお、信号源131と信号源214との同期は、例えば、信号光の伝送の開始時のプリアンブルを検出してビット同期することで行われるが、ここでは詳細な説明は省略する。
【0033】
なお、以上の説明で本実施形態では、伝送路分散等によって光周波数毎に異なる伝搬遅延を被らない例で提示した。伝送路分散等がある場合は、以下の方法で補償を行う。
(1)同期受信部210が伝送路分散等による光周波数毎に異なる伝搬遅延を被った後の光周波数に応じて信号を生成する信号源214を用いる。
(2)光分波器211入力以前に伝送路分散を補償する分散補償器(不図示)を送信器100、受信器200あるいは光ファイバ400中に具備する。
(3)光分波器211、光検波器212、加算選択器213K、及び減算選択器213Gの全部又は一部における光周波数毎の伝搬時間を調整する。
以下の実施形態においても同様である。
【0034】
本実施形態による妨害光の影響の軽減について、図3から図9を用いて説明する。図3から図7の横軸は時間、縦軸は光周波数を示す。各図において、Aは光周波数変化部130により光周波数が変化(ここでは単純化のため直線で近似)する信号光である。Bは受信器200におけるその信号光を受信する加算同期手段203及び信号光と所定の周波数差でその周波数変化が同期した光を受信する減算同期手段204の通過帯域幅(信号を通過させるためには少なくともその信号のナイキスト周波数の通過帯域幅が必要)である。Cは妨害光を示す。また、Fsは信号光の光周波数変動幅(チャープ幅)、Fjは妨害光の光周波数幅、Tjは妨害光の検出時間、Tはビット期間を示す。なお、図3〜図7において、加算同期手段203での妨害光の検出時間Tjを残留干渉信号比R1、減算同期手段204での妨害光の検出時間Tjを残留干渉信号比R2として説明している。
【0035】
まず、図3に示すように、妨害光Cの光周波数幅Fjが少なく、且つFsがFjを包含する場合(Fj<B<Fs)の各同期手段における妨害光Cの検出時間Tjは、
Tj≒(B/Fs)×T
となり、妨害光Cの検出時間Tjはビット期間Tに比べて極めて短くなる。このため、妨害光Cの影響は少なくなり、加算同期手段203及び減算同期手段204におけるその抑圧比は、
(通過帯域幅B)/(信号光Aの光周波数変動幅Fs)
となる。
【0036】
従来の発明では、この抑圧された妨害光Cの影響は信号光Aの光周波数変動幅Fsに対する通過帯域幅Bの比に抑圧される。そのため信号光Aの光周波数変動幅Fsが通過帯域幅Bに対して十分大きな必要があった。しかし本願では、加算同期手段203及び減算同期手段204で受信する妨害光Cの影響が同等である場合、加算同期手段203及び減算同期手段204の出力を加減算手段205で減ずる(残留干渉信号比R1−残留干渉信号比R2)ため無視できる。
【0037】
図8及び図9に例を示す。ここで、信号光の送信データ系列Dinが010110であり、その入力データの値が「1」の場合にそのビット時間Tの間に、光周波数が直線的にチャープ幅Fsだけ増大し、ビット時間の最初で光周波数が元に戻るとし、妨害光は全時間、同一光周波数で連続発光(データ系列が111111)とした。図8が信号光の受信を、図9が妨害光の受信を示している。各図の左から順に、各時間における入力光の光周波数(太実線)、各時間における入力光と受信対象とする光周波数(太点線)、各時間における受信電気信号の強度を表し、それぞれ上から順に加算同期手段、減算同期手段、加減算手段の例を示す。
【0038】
入力光が信号光である場合は、加算同期手段の出力は入力データ系列と同値の010110であり、減算同期手段の出力は、減算同期手段は各時点で信号光の光周波数を受信対象としないため、入力データ系列の値によらず常時零である。従って、両同期手段の出力の差をとる加減算手段の出力は入力データ系列と同値となる。
【0039】
入力光が妨害光である場合は、加算同期手段および減算同期手段の出力は、それぞれが受信対象とする光周波数と妨害光の光周波数が重なった時間のみに出力があり、そのビット時間における平均値は、概ね妨害光の強度に(通過帯域幅B)/(信号光Aの光周波数変動幅Fs)を乗じた同値である。従って、両同期手段の出力の差をとる加減算手段の出力は零となり、妨害光の影響が除去されていることが分かる。ここで、妨害光Cの光周波数が一定としたが、周期的に変化する場合も、信号光Aの周波数変化と妨害光Cの光周波数変化が一致しない限り、同様である。
【0040】
特許文献2に示す従来例と本願の耐妨害性を比較する。例えば、信号光Aの通過帯域幅又は信号光を光検波した後の信号の通過帯域幅Bが100MHz、信号光Aの光周波数変動幅Fsが100GHzとすると、妨害光Cの検出時間Tjはビット期間Tに比べて1/1000となる。従って、妨害光の強度が信号光の強度の1000倍、即ち30 dB大きい場合、妨害光の残留成分と信号光の出力が同値となり除去できない。しかし、本発明では、その1/10000の妨害光の影響も加算同期手段203と減算同期手段204の出力から相殺されるために、妨害光Cの影響は概ね無視できる。
【0041】
また、図6に示すように、妨害光Cがある程度の光周波数幅Fjを有しFsがFjを包含する場合(B<Fj<Fs)の各同期手段における妨害光Cの検出時間Tjは、
Tj≒{(B+Fj)/Fs}×T
となる。このときは、各同期手段における検出時間Tjで検出される妨害光Cの強度はB/Fjに軽減される。図6の場合、図3の場合よりも検出時間Tjが長くなるが、妨害光Cの各瞬間の寄与は軽減し、ビット期間全体で図3の場合の{(B+Fj)/Fj}倍となる。このため、加算同期手段203及び減算同期手段204における抑圧比は、
{(通過帯域幅B)+(妨害光Cの光周波数幅Fj)}/(信号光Aの光周波数変動幅Fs)
となる。本願ではこの残留した影響も加算同期手段203と減算同期手段204の出力から相殺される(残留干渉信号比R1−残留干渉信号比R2)ために、妨害光Cの影響は概ね無視できる。
【0042】
さらに、図7に示すように、妨害光Cの光周波数幅Fjが信号光Aの光周波数変動幅Fsより大きくFjがFsを包含する場合(B<Fs<Fj)の加算同期手段203と減算同期手段204における妨害光Cの検出時間Tjはビット期間Tとなるが、加算同期手段203と減算同期手段204における検出強度はB/Fjに軽減される。よって、妨害光Cの寄与は僅かとなる。更に、その影響も加算同期手段203と減算同期手段204の出力から相殺される(残留干渉信号比R1−残留干渉信号比R2)ために、妨害光Cの影響は概ね無視できる。
以上示したように、妨害光の周波数幅と信号光の周波数変動の幅の関係の如何によらず妨害光の影響は概ね無視できることが分かる。
【0043】
図3と図6と図7では、図3に示すように加算同期手段と減算同期手段が受信対象とする光周波数は一定値の差分周波数だけずれた光周波数としているが、信号光が変化するチャープ幅に含まれる最小の光周波数と最大の光周波数を繋いだ場合に差分周波数だけずれた光周波の光を受信するとしてもよい。即ち、図4及び図5に示すように光周波数が減少方向に変化する場合に、チャープ幅に含まれる最小の光周波数の後にチャープ幅に含まれる最大の光周波数に変化し、そのまま減少を続ける。また逆に、光周波数が増加方向に変化する場合に、チャープ幅に含まれる最大の光周波数の後にチャープ幅に含まれる最小の光周波数に変化し、そのまま増加を続ける。このような設定は特に妨害光の光周波数が、信号光の変化するチャープ幅の最大又は最小の光周波数近傍で受信対象とする光周波数と重なる場合、特に最大又は最小の光周波数から透過周波数帯域Bの1/2以下のずれの場合に有効である。
【0044】
図3を例にとる。図3では加算同期手段と減算同期手段で受信する透過周波数帯域Bはそれぞれ隣接している。しかし、透過周波数帯域B同士が隣接していても、互いに受信する光周波数は異なる。チャープ幅の最小の光周波数をfm、最大の光周波数をfMとすると、加算同期手段と減算同期手段の受信する光周波数はそれぞれfm−B/2〜fM+B/2、fm+B/2〜fM+3B/2となる。従って、妨害光の光周波数がfm−B/2〜fm+B/2、または、fM+B/2〜fM+3B/2の場合に加算同期手段または減算同期手段のいずれか一方でのみ受信されるため、従来の第2の方法と同様の妨害光の残留成分が発生する。しかし、図5、図6、図8及び図9に示すようにチャープ幅に含まれる光周波数の最大と最小を繋いで輪環した状態での差分光周波数だけ異なる光周波数を受信することとすれば残留成分を相殺することができる効果がある。
【0045】
更に、差分周波数が一定であるとしたが、一定でなくともよい。このときも、加算同期手段の受信する光周波数は信号光の光周波数の時間変動と同期している。減算同期手段の同期する光周波数は、その時間における信号光の光周波数を受信対象としない光周波数であり、かつビット時間の含まれる他の時間に信号光が送信する光周波数であればよい。例えば、信号光がビット時間Tを10分割した微少時間τi(i=1〜10)の各微小時間で順に、f1、f2、f3、f4、f5、f6、f7、f8、f9、f10と昇順又は降順に光周波数変化する場合、加算同期手段は、順にf1、f2、f3、f4、f5、f6、f7、f8、f9、f10を受信対象とする。減算同期手段は、図3のように順にf2、f3、f4、f5、f6、f7、f8、f9、f10、f11を受信対象としてもよいし、図5のように順にf2、f3、f4、f5、f6、f7、f8、f9、f10、f1を受信対象としてもよいし、f2、f4、f6、f8、f10、f1、f3、f5、f7、f9のようにしてもよい。
【0046】
また、減算側での信号光の受信に伴う信号光の受信レベルの低下を許容する場合は、減算同期手段の同期する光周波数は、少なくともビット時間を構成する一部の時間においてその時間における信号光の光周波数を受信対象としない光周波数であり、かつビット時間の含まれる他の時間に信号光が送信する光周波数であればよい。例えば減算側での信号光の受信に伴う信号光の受信レベルの低下の1/10の低下を許容する場合は、ビット時間で信号光が継続する時間の1/10の時間が同一でもよい。この場合、例えばf10、f9、f8、f7、f5、f6、f4、f3、f2、f1としてもよい。ここで信号光はビット時間全体で一定の強度で出力するとした。
【0047】
また望ましくは、減算同期手段の同期する光周波数は、その時間における信号光の光周波数を受信対象としない光周波数であり、かつビット時間に含まれる他の微小時間に信号光が送信する光周波数であり、かつ同一ビット時間に信号光の当該光周波数である時間だけその光周波数を受信対象として揃える。これは、減算同期手段も対応する光周波数での受信の時間が揃っていない場合、妨害光の残留成分が相殺しないからである。特に、信号光が長く滞留し減算同期手段よりも加算同期手段で長い時間受信対象とする光周波数又は減算同期手段が加算同期手段よりも長い時間受信対象とする光周波数に妨害光の周波数が一致した場合、相殺しない残留成分が増大する。例えば、望ましくない設定では、信号光がビット時間Tを分割した各微小時間で順に、f1、f2、f2、f3、f3、f3、f4、f4、f4、f4と光周波数変化し、加算同期手段は、順にf4、f1、f1、f2、f2、f2、f3、f3、f3、f3を受信対象とする。
【0048】
この設定では、妨害光の光周波数がf4であった場合、妨害光の残留成分は加算同期手段で4/10で、減算同期手段で1/10で、4/10−1/10=3/10であり相殺しないことは明らかである。f4以外の他の光周波数の場合の各光周波数を受信対象とする時間に差異があるため相殺できないことは同様である。そこで、同一ビット時間内でチャープ幅に含まれる各光周波数毎の受信対象とする時間を加算同期手段と減算同期手段で揃えることが望ましい。例えば減算同期手段は順にf4、f4、f4、f4、f1、f2、f2、f3、f3、f3を受信対象とする。このとき加算同期手段と減算同期手段は同一の光周波数の範囲を受信し、各光周波数の受信する時間は同一であり、同時に同一の光周波数を受信しないようになっている。この場合、妨害光の光周波数がf1のときは1/10−1/10=0、f2のとき2/10−2/10=0、f3のとき3/10−3/10=0、f4のとき4/10−4/10=0であり、いずれの光周波数のときも残留成分が相殺することが分かる。
【0049】
また、減算側での信号光の受信に伴う信号光の受信レベルの低下を許容する場合は、減算同期手段の同期する光周波数は、少なくともビット時間を構成する一部の時間においてその時間における信号光の光周波数を受信対象としない光周波数であり、かつビット時間の含まれる他の時間に信号光が送信する光周波数であり、かつ同一ビット時間に信号光の当該光周波数である時間だけその光周波数を受信対象として揃えることが望ましい。減算側での信号光の受信に伴う信号光の受信レベルの低下を許容する比率が、ビット時間で信号光強度が同一でビット時間で信号光が継続する時間に対する受信対象とする信号が重なってもよい比率の上限としてもよい。
【0050】
なお、以上の説明では、信号光Aの光周波数の変化の周期が送信データDinの「1」のビット期間と同期していることを前提としたが、信号光Aの光周波数はビット時間の間変化し続けていればよく、かならずしもその周期が送信データDinのビット期間と同期する関係にある必要はない。すなわち、信号光Aの光周波数は、送信データDinのビット周期と無関係に変化し続けさせてもよい。例えば、信号光Aの光周波数の変化の周期が送信データDinのビット周期に対して短ければ、妨害光Cの光周波数が変化するとき、周波数が干渉する可能性が減少する。妨害光Cの光周波数があまり変化しないときは、周波数が干渉する回数が増えるが、干渉成分は1回当りの重なり時間と重なり回数の積であるので、妨害光Cの除去の点からは悪影響は少ない。信号光Aの光周波数の変化の周期が送信データDinのビット周期に対して長ければ、各ビットにおける光周波数の変化量が減少する。また、信号光Aの光周波数の変化は、直線的あるいは正弦波的な変化よりも、ランダムに変化する方が、偶然に直接変調してくる妨害光と一致する可能性が軽減できる。ただし、以上のいずれにおいても、信号光Aの光周波数の変化に対して、受信器200で発生させる検出対象(同期用)信号(信号源214で発生させる信号)は同期させる必要がある。
【0051】
なお、送信器100は図10及び図11に示す構成であってもよい。図10は送信器100の別の構成を示すブロック図である。本構成において、光周波数変化部140は、周波数変調用の信号を発生させる信号源141と、その信号源141からの周波数変調用の信号と送信データDinを混合する混合器142と、混合器142からの変調信号によって直接発振光を変調する直接変調レーザダイオード(DML)143とからなる。混合器142は、送信データDinのビット期間中の「1」のデータを信号源141からの信号によって変調させる。この変調は、図3〜図9で説明したように、2ビット以上連続する「1」のデータを1ビットずつランプ波等に変調させても、あるいは前記したように、送信データDinのビット周期と無関係に継続的に変調させてもよい。直接変調レーザダイオード143は、印加電流を送信データDinに応じて変調することで、送信データに応じた強度変調を行うが、印加電流と光出力強度により生じるレーザダイオード内のキャリア変動に応じた屈折率変化を主たる原因として、出力光の周波数が変動するチャープが発生する。ここでは、印加電流を変化させることでこのチャープを積極的に発生させ、信号光の光周波数を変化させる。
【0052】
図11も送信器100の別の構成を示すブロック図である。本構成において、光周波数変化部150は、送信データDinが入力する波形整形器151と直接変調レーザダイオード152とからなる。波形整形器151は、例えば、NRZ(Non Return to Zero)の送信データDinを入力して1ビット期間の最初と最後が零の値に戻るRZ(Return to Zero)の信号に変換する変換器と、直接変調レーザダイオード152に対する1ビット当りの印加電流が平坦になる部分を無くするために信号を鈍らせるための、伝送帯域の例えば75%の通過帯域幅をもつローパスフィルタとから構成されている。これによって、1ビット当りの時間幅の矩形波が、ガウシアン等で近似できる強度−時間特性となり、信号光の発光が継続する1ビット期間毎に、継続的に光周波数が変化する。
【0053】
図12は受信器200の同期受信部210の動作を具体的に示す説明図である。この同期受信部210は、受信した信号光の光周波数に応じて光を分波する分波器211と、そのプリズム211aで分波された各光を検出して電気信号に変換する1群の光検出器212と、その光検出器212の各出力電気信号を選択する加算選択器213K及び減算選択器213Gとから構成している。加算選択器213K及び減算選択器213Gは、図2の送信器100の信号源131の出力信号、図10の信号源141の出力信号、又は図11の波形整形器151の出力信号の変化に同期して、図2で示した信号源214の出力信号によって、選択動作を行う。なお、分波器211は、空間系のプリズムのイメージで記載しているが、ファイバ系や前記した誘電体多層膜あるいはAWG等の構成であってもよい。加算選択器213K及び減算選択器213Gは、メカニカルに選択するイメージで記載しているが、通常では電気的に選択する構成となる。例えば、電荷結合素子CCD(Charge Coupled Device)等を用いてもよい。CCDの場合、多数の電極の隣同士で異なる電圧を与えることによりポテンシャルウェルを作り出し、これを利用して電荷を保持する。この各電極に加える電圧を適切に制御することにより、画素毎の電荷をバケツリレー式に順次取り出す。一つの画素を一つの光周波数と対応付しておき、ビット時間Tを構成する微小時間で出力を取り出す画素を選択することで、構成することができる。
【0054】
ここで、分波器211と光検出器212は単一であり、どの微小時間毎の出力を取り出す光検出器212を加算選択器213Kと減算選択器213Gのそれぞれで選択するとしたが、分波器211と光検出器212は加算選択器213Kと減算選択器213Gに対応して複数あってもよい。この場合、複数の光分波器211に入力光を分岐する分岐器とそれぞれの光分波器211が図1の光分岐手段202に相当する。光検出器212のみが加算選択器213Kと減算選択器213Gに対応して複数ある場合は、加算選択器210K及び減算選択器210Gのそれぞれに対応する光検出器212と加算選択器210K及び減算選択器210Gの組が、図1の加算同期手段203及び減算同期手段204に相当する。
【0055】
更に、図12の構成では、複数の光検出器212から受信対象とする光周波数に対応する光検出器212の出力を選択するとしたが、図13の構成の様に、加算同期手段と減算同期手段に少なくとも一つの光検出器212を備え、それぞれの検出器にビット時間を構成する微小時間に到達する光を光スイッチ等のゲートで選択するとしてもよい。この場合、ゲートとそれぞれの光検出器と時間に応じてそれぞれの光検出器に到達する光周波数を選択する加算選択器と減算選択器の組がそれぞれ図1の加算同期手段203及び減算同期手段204に相当する。ここで図12及び図13で加算選択器と減算選択器の機能が異なっている。図12では、信号光の光周波数の変化に応じて、出力対象とする光検出器を選択し、その出力を加減算手段に受け渡す。図13では信号光の光周波数の変化に応じて、導通対象とする光周波数のゲートを開閉し、その光周波数の光を光検出器に導通させる。加算選択器と減算選択器は光検出器の出力を直接加減算手段に受け渡さない。
【0056】
この構成では、加算同期手段203及び減算同期手段204は、前記信号光を光周波数に応じて分波する光分波器211と、光分波器211で分波した光の中から1の前記光を、光ゲートを用いて受信対象として選択する加算選択器213Kと加算選択器が選択した光を光検波して電気信号を出力する光検波器212Kと、光分波器211で分波した光の中から1の前記光を、光ゲートを用いて受信対象として選択する減算選択器と減算選択器が選択した光を光検波して電気信号を出力する光検波器212Gと、を有し、加算同期手段の有する加算選択器213Kが受信対象とする光は前記信号光の光周波数に同期しており、減算同期手段の有する減算選択器が受信対象とする光は前記差分光周波数に同期している。
【0057】
光分波器、光検波器と光ゲートと加算選択器213K及び減算選択器213Gが、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204に相当する。また、加減算器213Sが図1の加減算手段205に相当する。
【0058】
図13でも分波器211と光ゲートは加算選択器と減算選択器に対応して複数あってもよい。図2、図12、図13に示す本実施形態の構成は後述の実施形態と比べて、図5のような光周波数関係での受信や、時間に対してランダムに信号光の光周波数が変化する場合に特に効果がある。
【0059】
例えば、光受信器212が1000個あり、番号の降順に低い光周波数を受信し、チャープ幅に含まれる光周波数を受信する光受信器212が101から900であり、各光受信器212は互いに隣接した光周波数の光を透過周波数帯域Bだけ受信するとする。図3では、加算選択器は順に900、899、898、・・・、103、102、101の光受信器の出力を選択し、減算選択器は順に901、900、899、・・・、104、103、102の光受信器の出力を選択する。図5では、加算選択器は順に900、899、898、・・・、103、102、101の光受信器の出力を選択し、減算選択器は順に101、900、899、・・・、104、103、102の光受信器の出力を選択するように組み替えればよい。時間に対してランダムに信号光の光周波数が変化する場合も同様に光受信器の出力を選択するように組み替えればよい。これは図2や図12に示す複数の光受信器の出力を選択する代わりに、図13に示す開閉するゲートを選択する構成であっても同様である。
【0060】
(実施形態2)
図14は受信器200の実施形態のコヒーレント検波方式の同期受信部220の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、同期受信部220は、局発光の変調用の信号源221、その信号源221の出力信号によって発光する局発光の光周波数が変調される局発光源222Kと222G、局発光源222Kと222Gから出力する局発光と光ファイバ400から受信した信号光とをそれぞれ混合して出力する混合器223Kと223G、混合器223Kと223Gの出力光を光電変換する際にその2乗検波特性により局発光と信号光のビート成分が発生する光検波器224Kと224G、光検波器224Kから出力する電気信号を加算し光検波器224Kから出力する電気信号を減算する加減算器227、加減算器227の出力から中間周波数成分を抽出するバンドパスフィルタ225、およびそのバンドパスフィルタ225の出力信号をコヒーレント包絡線検波するコヒーレント検波器226からなる。なお、図では、コヒーレント検波器226は包絡線検波器として示しているが、二乗検波器等の同等の検波器であってもよい。局発光源も受信器に内蔵としているが受信器の外にあってもよい。
【0061】
加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段である混合器223Kと223Gと、混合器223Kと223Gの混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有し、
前記加算同期手段の混合する前記局発光と前記減算同期手段の混合する前記局発光は前記加算同期手段の混合する前記局発光と前記差分光周波数異なり、
前記加減算手段である加減算器227と選択コヒーレント検波手段を有し、選択コヒーレント検波手段は前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じた出力から前記信号光の光周波数に同期した中間周波数信号をバンドパスフィルタ225で選択してコヒーレント検波器226でコヒーレント包絡線検波し、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0062】
図14の光分波器202、信号源221と局発光源222Kと光検波器224K、信号源221と局発光源222Gと光検波器224K、加減算器227とバンドパスフィルタと包絡線検波器226が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0063】
信号源221において、送信器100の信号源(131、141)又は波形整形器151の出力信号の変化に同期した同期用信号を発生させる。例えば、2値データのときは、信号源(131、141)又は波形成型器151のデータが「1」の場合の出力信号と同様な電気信号を、到着した信号光に同期して出力させる。局発光源222Gが図2の送信器100と同様な構成であれば、局発光源222Gから出力される局発光の光周波数と到着した信号光の光周波数との光周波数差が所定の光周波数差となるように、到着した信号光に同期して出力させる。すると、局発光源222Gにおいて、直接変調レーザダイオード(143,152)と同様のチャープ特性を持たせたとき、受信した信号光の光周波数と局発光源222Gの局発光の光周波数の周波数差が一定となる。よって、光検波器(224K、224G)で、中間周波数が一定の信号光と局発光との間の中間周波数が得られる。加算同期手段と減算同期手段の受信対象とする光周波数が図3に対応するようにするには、例えば2つの局発光源222Kと局発光源222Gの中心周波数を受信対象とする光周波数の差だけずらして設定し、信号源221等から同位相で局発光源222Kと局発光源222Gを周波数変調すればよい。局発光源222Kと局発光源222Gの変調する位相が揃っていれば信号源221は複数の信号源であってもよいし、単一の出力を分岐器等で分岐した出力を局発光源222Kと局発光源222Gに渡す信号源221であってもよい。局発光源の中心周波数を設定するには、例えば、局発光源が直接変調レーザダイオードであればその温度又は印加電流の平均値又は印加電流の振幅を設定することで可能である。
【0064】
加算同期手段と減算同期手段の受信対象とする光周波数が図5に対応するようにするには、例えば2つの局発光源222Kと局発光源222Gの中心周波数を受信対象とする光周波数を同一とし、信号源221等により局発光源222Kと局発光源222Gとを位相をずらして周波数変調すればよい。位相をずらすためには、遅延線等(不図示)により信号源221と局発光源への経路長を変更すればよい。または単一の局発光を分岐し、分岐した信号光を光検波器224Kと224Gとで遅延線等で異なる経路長として、異なる位相で入力させればよい。この場合局発光源から光検波器の経路長を異ならせる代わりに、光分岐器202から光検波器224Kと光検波器224Gの経路長を異ならせることで同様の効果が得られる。
【0065】
この光検波器224Kで生成する中間周波数信号を含む光検波器224Kからの電気信号及び光検波器224Kでの中間周波数信号を含む光検波器224Gからの電気信号をバンドパスフィルタ225に通過させると、光検波器224Kでの信号光に対応する中間周波数信号はそこを通過する。信号光およびそれに伴う局発光のチャープ幅が十分大きい場合、光検波器224Kでの妨害光と局発光の光周波数差はバンドパスフィルタ225を通過する所定の値にほとんどないため、妨害光に対応する中間周波数信号のほとんどが、通過せず除去される。更に、チャープ幅が十分大きくない場合であっても、残留した光検波器224Kでの妨害光と局発光の中間周波数信号でバンドパスフィルタ225を通過する信号と同等の光検波器224Gでの妨害光と局発光の中間周波数信号でバンドパスフィルタ225を通過するのでこの両者は相殺される。
【0066】
例えば、信号光の光周波数が(f1)→(f2)→(f3)→(f4)→(f5)と変化する場合に、加算同期手段の局発光源222Kからの局発光の光周波数が(f1+Δ1)→(f2+Δ1)→(f3+Δ1)→(f4+Δ1)→(f5+Δ1)、減算同期手段の局発光源222Gからの局発光の光周波数が(f1+Δ2)→(f2+Δ2)→(f3+Δ2)→(f4+Δ2)→(f5+Δ2)とする。ここでf1、f2、f3、f4、f5は信号光の変化する光周波数で、矢印はその推移、Δ1は信号光と加算同期手段の局発光源222Kからの局発光との光周波数の差、Δ2は信号光と減算同期手段の局発光源222Gからの局発光との光周波数の差で、Δ1とΔ2は伝送する信号光の変調周波数以上離れる。バンドパスフィルタが導通する中心周波数は信号光と加算同期手段の局発光の光周波数差であるΔ1でありその導通周波数幅は信号光の変調周波数以上とする。信号光と加算同期手段の局発光とのビート信号はその中間周波数がΔ1であるためバンドパスフィルタを導通し、コヒーレント検波され受信される。信号光と減算同期手段の局発光とのビート信号は、その中間周波数がΔ2でありバンドパスフィルタで除去される。減算同期手段の局発光と中間周波数がΔ1となる信号光はないので、中間周波数Δ1での出力は零となる。(Δ2−Δ1)をBとすれば、それぞれが受信対象とする図3〜図5に示すような光周波数の光を受信対象とすることができ、実施形態1と同様の効果が得られる。
【0067】
なお、以上の説明で本実施形態では、伝送路分散等によって光周波数毎に異なる伝搬遅延を被らない例で提示した。伝送路分散等がある場合は、同期受信部220が伝送路分散等による光周波数毎に異なる伝搬遅延を被った後の光周波数変化に応じて信号を生成する信号源221を用いるか、混合器223入力以前に伝送路分散を補償する分散補償器を送信器100あるいは受信器200あるいは伝送路中に具備する(不図示)等の方法で補償する。
【0068】
また、分散が、波形が広がる方向の分散であり、広がった波形が隣接するビット期間まで広がる場合、データのビット同士が干渉(ISI:Inter Symbol Interference)する恐れがある。その場合、ISIを発生しない部分のみを抜き出して、データ信号として取り出すことが望ましい。例えば、信号光の光周波数がビット期間でf1からf2まで単調増加する場合で、分散により波形が広がり、本来のビット期間内に収まる部分の光周波数が、f1’からf2’(f1<f1’<f2’<f2)となるのであれば、局発光を、到着する信号光に同期したビット期間でf1’からf2’に単調増加する局発光とすれば、隣接ビット期間に漏れ込む成分は検波対象とならないため、ISIの発生しない部分のみを抜き出すことができる。
【0069】
なお、加算同期手段の局発光はコヒーレント検波した中間周波数の電気信号がバンドパスフィルタを通過する周波数範囲で同期し、減算同期手段の局発光はコヒーレント検波した中間周波数の電気信号がバンドパスフィルタを通過しない周波数範囲で同期していればよい。減算同期手段の局発光の光周波数は加算同期手段の局発光と一定値の差分周波数だけずれた光周波数として例示しているが、実施形態1と同様であってもよい。例えば、図4や図5に示すように信号光が変化するチャープ幅に含まれる最小の光周波数と最大の光周波数を繋いだ場合に差分周波数だけずれた光周波数の光との中間周波数成分がΔ1となるようにしてもよい。このような設定は特に妨害光の光周波数が、信号光の変化するチャープ幅の最大又は最小の光周波数近傍で受信対象とする光周波数と重なる場合に効果的であるのは同様である。加算同期手段の局発光と減算同期手段の局発光の差分周波数が一定でなくともよい。このときも、加算同期手段の局発光は、受信する光周波数が信号光の光周波数の時間変動と同期するように変化する。減算同期手段の局発光は、減算同期手段による信号光受信による出力の減少を許容する範囲以上に受信する光周波数がそのビット時間に含まれる微小時間における信号光の光周波数を受信対象としない光周波数であり、かつビット時間の含まれる他の時間に信号光が送信する光周波数であり、かつ加算同期手段と減算同期手段の局発光同士の中間周波数が受信対象とする中間周波数にならなければよい。加算同期手段と減算同期手段の局発光同士の中間周波数が受信対象とする中間周波数である場合、それが雑音となる。
【0070】
また望ましくは、減算同期手段の局発光は、減算同期手段による信号光受信による出力の減少を許容する範囲以上に受信対象とする光周波数がその時間における信号光の光周波数を受信対象としない光周波数であり、かつビット時間に含まれる他の微小時間に信号光が送信する光周波数であり、加算同期手段と減算同期手段の局発光同士の中間周波数が受信対象とする中間周波数にならず、かつ同一ビット時間に信号光の当該光周波数である時間だけその光周波数を受信対象とする。これらは以降の局発光を用いる実施形態でも同様である。
【0071】
また、図14ではバンドパスフィルタを加減算器227と包絡検波器226の間に配置しているが、図16に示すように光検波器222Kと加減算器227及び光検波器224Gと加減算器227の間にそれぞれ設置してもよいし、図17のように加減算器の前に包絡線検波器226をそれぞれ設置してもよい。
【0072】
図16及び図17の場合、加算同期手段からの導通する中間周波数と減算同期手段からの導通する中間周波数信号を独立して設定することができるので、包絡線検波器の検波に関する周波数特性が同等とみなす中間周波数を設定できれば、後述の図22及び図26に示す実施形態のように加算同期手段と減算同期手段で同じ局発光を用いることが可能である。なお、同等とみなすとは、検波効率が中間周波数で異なり、加算同期手段側あるいは減算同期手段側の一方の中間周波数で小さく他方の中間周波数で大きい場合は、大きい方のビート信号を発生する信号光強度又は局発強度又はその両方の強度を効率分だけ小さくしてやること等で検波効率及び同符号連続に伴う誤り率増加が加算同期手段と減算同期手段で同等に調整することができればよいことを意味する。
【0073】
なお、このことは、光検波器でも同様である。即ち、検波効率が光周波数で異なり、加算同期手段側あるいは減算同期手段側の一方の光周波数で小さく他方で大きい場合は、大きい方の光検波器に入力する信号光強度又は局発強度又はその両方の強度を効率分だけ小さくしてやること等で検波効率及び同符号連続に伴う誤り率増加が加算同期手段と減算同期手段で同等に調整することができればよいことを意味する。
【0074】
図16に示す受信器の前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段と、前記混合手段の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有し、前記加減算手段は、前記加算同期手段側と前記減算同期手段側とで中心周波数が互いに異なるバンドパスフィルタを持ち、前記バンドパスフィルタを経由した前記加算同期手段の出力から前記バンドパスフィルタを経由した前記減算同期手段の出力を減じた中間周波数信号を包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う選択コヒーレント検波手段を有する。
【0075】
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0076】
図16の光分波器202、信号源221と局発光源222Kと223Kと光検波器224Kとバンドパスフィルタ225K、信号源221と局発光源222Gと光検波器224Kとバンドパスフィルタ225G、加減算器227と包絡線検波器226が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0077】
図17に示す受信器の前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段である混合器223Kと223Gと、混合器223Kと223Gの混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有し、
前記加減算手段は、前記加算同期手段側と前記減算同期手段側とで中心周波数が互いに異なるバンドパスフィルタを持ち、前記バンドパスフィルタを経由した前記加算同期手段の出力から前記バンドパスフィルタを経由した前記減算同期手段の出力を減じた中間周波数信号を包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う選択コヒーレント検波手段を有し、
前記加算同期手段は、前記光検波手段が出力する電気信号から前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号を前記加算同期手段の有するバンドパスフィルタ225Kで選択し、
前記減算手段は、前記光検波手段が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号を前記減算同期手段の有するバンドパスフィルタ225Gで選択する。
【0078】
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0079】
図17の光分波器202、信号源221と局発光源222Kと光検波器224Kとバンドパスフィルタ225Kと包絡線検波器226K、信号源221と局発光源222Gと光検波器224Kとバンドパスフィルタ225Gと包絡線検波器226G、加減算器227が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0080】
また、図14、図17ではコヒーレント検波としてヘテロダイン検波の包絡線検波を前提に構成しているが、図15、図18に示すように同期検波を採用してもよいし、中間周波数を0に近似されるホモダイン検波としてもよい。
【0081】
なお、中間周波数は、強い妨害光の場合に、そのベースバンド付近の干渉を除去する観点から、妨害光の変調周波数よりも十分大きい、例えば妨害光の干渉のエンベロープが信号光の強度に比べて十分小さく、バンドパスフィルタでベースバンド付近の干渉を、例えば20dB以下となる中間周波数で、かつ光検波器を含む受信器の帯域が現実的な値、例えば10GHz以下となる中間周波数とするのが望ましい。
【0082】
同期検波の場合は、例えば、バンドパスフィルタと包絡線検波器の組み合わせの代わりに、中間周波数信号と位相を同期した電気信号を出力する発振器と発信機から出力した電気信号を中間周波数信号に乗ずるミキサー等の乗算器に置き換えてもよい。
【0083】
図15の構成では、加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段である混合器223Kと223Gと、混合器223Kと223Gの混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有し、
前記加算同期手段の混合する前記局発光と前記減算同期手段の混合する前記局発光は前記加算同期手段の混合する前記局発光と前記差分光周波数異なり、
前記加減算手段である加減算器227と選択コヒーレント検波手段を有し、選択コヒーレント検波手段は前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じて出力する電気信号に信号源221Bからの電気信号を乗算手段である乗算器228で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出す。
【0084】
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0085】
図15の光分波器202、信号源221と局発光源222Kと光検波器224K、信号源221と局発光源222Gと光検波器224K、加減算器227と発振器と乗算器が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0086】
ホモダイン検波の場合は、位相ダイバーシティ型としてもよいし、位相同期ループを具備した同期検波としてもよい。ホモダイン検波を適用した場合は、妨害光の残留分の最大値がヘテロダイン検波の場合の最大値の1/2となる効果もある。
【0087】
図22の構成は図14と同様の効果を、同期受信の対象とする光周波数と局発光との光周波数差に対応する異なる中間周波数を抜き出すバンドパスフィルタ(225K、225G)をもちいることで実現している。
【0088】
前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、前記光検波手段224が出力する電気信号から中間周波数信号を選択してコヒーレント検波する選択コヒーレント検波手段と、を有し、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Kで選択して包絡線検波器226Kでコヒーレント包絡線検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Gで選択して包絡線検波器226Gでコヒーレント包絡線検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0089】
図22の信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器、バンドパスフィルタ225Kと包絡検波器226K、バンドパスフィルタ225Gと包絡検波器226G、加減算器227が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0090】
図22ではコヒーレント検波としてヘテロダイン検波の包絡線検波を前提に構成しているが、同期検波を採用してもよいし、加算同期手段と減算同期手段のいずれか一方を中間周波数を0に近似されるホモダイン検波としてもよい。
【0091】
同期検波の場合は、例えば、バンドパスフィルタと包絡線検波器の組み合わせの代わりに、中間周波数信号と位相を同期した電気信号を出力する発振器と発信機から出力した電気信号を中間周波数信号に乗ずるミキサー等の乗算器に置き換えてもよい。このとき、前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波手段を行い、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Gで選択して包絡線検波器226Gでコヒーレント包絡線検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0092】
加算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数に同期した電気信号であり、減算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数以外の周波数である。
【0093】
図23の信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器、信号源と乗算器、信号源と乗算器、加減算器227が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0094】
図24の構成は、前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、前記光検波手段224が出力する電気信号から中間周波数信号を選択してコヒーレント検波する選択コヒーレント検波手段と、を有し、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Kで選択して包絡線検波器226Kでコヒーレント包絡線検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Gで選択して包絡線検波器226でコヒーレント包絡線検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0095】
図24の信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器、バンドパスフィルタ225Kと包絡検波器226K、バンドパスフィルタ225Gと包絡検波器226G、加減算器227が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0096】
図22ではコヒーレント検波としてヘテロダイン検波の包絡線検波を前提に構成しているが、同期検波を採用してもよいし、加算同期手段と減算同期手段のいずれか一方を中間周波数を0に近似されるホモダイン検波としてもよい。
【0097】
同期検波の場合は、例えば、図23に示すように、バンドパスフィルタと包絡線検波器の組み合わせの代わりに、中間周波数信号と位相を同期した電気信号を出力する発振器と発信機から出力した電気信号を中間周波数信号に乗ずるミキサー等の乗算器に置き換えてもよい。このとき、前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波手段を行い、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した前期中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0098】
加算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数に同期した電気信号であり、減算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数と異なる周波数である。
【0099】
図23の信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器、信号源と乗算器、信号源と乗算器、加減算器227が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0100】
更に、図22で、包絡線検波器を加算同期手段と減算同期手段で共通として、加減算器227に対して後置してもよい。
【0101】
この場合、図24に示すように、前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、を有し、
前記加算同期手段の混合する前記局発光と前記減算同期手段の混合する前記局発光は同一であり、前記加算同期手段と前記減算同期手段は中間周波数が互いに異なるバンドパスフィルタを備え、
前記加減算手段は前記中心周波数が互いに異なるバンドパスフィルタで選択した前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じた中間周波数信号を包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う。
【0102】
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0103】
図24の信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器とバンドパスフィルタ225K、信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器とバンドパスフィルタ225Gとバンドパスフィルタ225G、加減算器227と包絡検波器226が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0104】
図22ではコヒーレント検波としてヘテロダイン検波の包絡線検波を前提に構成しているが、同期検波を採用してもよいし、加算同期手段と減算同期手段のいずれか一方を中間周波数を0に近似されるホモダイン検波としてもよい。
【0105】
同期検波の場合は、例えば、図23に示すように、バンドパスフィルタと包絡線検波器の組み合わせの代わりに、中間周波数信号と位相を同期した電気信号を出力する発振器と発信機から出力した電気信号を中間周波数信号に乗ずるミキサー等の乗算器に置き換えてもよい。このとき、前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波手段を行い、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Gで選択して包絡線検波器226Gでコヒーレント包絡線検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0106】
加算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数に同期した電気信号であり、減算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数と異なる周波数である。
【0107】
図23の信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器、信号源と乗算器、信号源と乗算器、加減算器227が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0108】
前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、前記光検波手段224が出力する電気信号から中間周波数信号を選択してコヒーレント検波する選択コヒーレント検波手段と、を有し、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Kで選択して包絡線検波器226Kでコヒーレント包絡線検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Gで選択して包絡線検波器226Gでコヒーレント包絡線検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0109】
図19〜図21の信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器、バンドパスフィルタ225Kと包絡検波器226K、バンドパスフィルタ225Gと包絡検波器226G、加減算器227が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0110】
図19〜図21ではコヒーレント検波としてヘテロダイン検波の包絡線検波を前提に構成しているが、同期検波を採用してもよいし、加算同期手段と減算同期手段のいずれか一方を中間周波数を0に近似されるホモダイン検波としてもよい。
【0111】
同期検波の場合は、例えば、バンドパスフィルタと包絡線検波器の組み合わせの代わりに、中間周波数信号と位相を同期した電気信号を出力する発振器と発信機から出力した電気信号を中間周波数信号に乗ずるミキサー等の乗算器に置き換えてもよい。このとき、前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波手段を行い、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Gで選択して包絡線検波器226Gでコヒーレント包絡線検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0112】
加算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数に同期した電気信号であり、減算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数と異なる周波数である。
【0113】
図22〜図24の構成では、局発光源222と光検波器224が単一でよいので構成が簡単な効果がある。更に、図24の構成では、包絡検波器も単一とできるので更に構成が簡単な効果がある。
【0114】
実施形態1の同期受信部210では、光分波器211の分解能や光検波器212を構成するフォトダイオード数の限界や選択器213の動作速度の限界から、受信対象とする光周波数の変動幅の細かさに限界があるが、本実施形態のコヒーレント検波を用いた同期受信部220は、その限界を軽減する効果がある。
【0115】
なお、局発光源222で発生する局発光の光周波数が、受信した信号光の光周波数と同期せず一定の光周波数の場合でも、実施形態2の受信器200は使用可能である。この場合は、光検波器224K及び224Gから出力する中間周波数信号の中間周波数が変化するので、図22〜図24に示すように、送信側の光周波数の変化に同期してレベル等が変化する電気信号を発生する信号源221Aからの当該電気信号によって、バンドパスフィルタ225の中心周波数を変化させればよい。これにより中間周波数の信号を検出できる。
【0116】
ここで、コヒーレント包絡線検波を例に説明したが、コヒーレント同期検波の場合の中間周波数信号に乗ずる電気信号の周波数と位相を送信側の光周波数の変化に同期して変化させればよい。即ち、図15、図18、図19、図20、図21、図23、図25、図26では信号源の出力する電気信号を送信側の光周波数の変化に同期して変化させればよい。
【0117】
なお、局発光の光周波数が一定の場合について示したが、信号光と局発光の光周波数差の変化に同期してバンドパスフィルタ225の通過する中心周波数や信号源221Bの出力する電気信号の周波数を変化できれば、局発光の周波数が変動してもかまわない。
【0118】
即ち、図14〜図18及び図22〜図24では局発光の光周波数のみが、図19〜図21、図25及び図26ではコヒーレント検波をする中間周波数の周波数のみを変更した例で示したが、局発光の光周波数変化とコヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期すればよいので、適宜、その変化量を局発光の光周波数の変化とコヒーレント検波対象の中間周波数の変化は割り振ってよい。
【0119】
(実施形態3)
本実施形態の送通信システムと実施形態1の光通信システムとが異なる点は、本実施形態の送通信システムが送信器100側の光周波数変化部130の後段に分散器160(不図示)を配置し、受信器200の同期受信部210の前段に逆分散器230(不図示)を配置した点である。分散器160および逆分散器230は、伝送中の信号光の時間−光周波数変化の特性を変化させ、光周波数に対する伝搬時間を変化させる。例えば、高周波数ほど遅延の大きくなる分散を付与するときは、1ビット期間に信号光の光周波数が低周波数側から高周波数側に変化する場合、1ビットの信号は時間方向に伸張されることになる。これに対し、いずれかが逆であれば、逆に1ビットの信号は時間方向に短縮されることになる。例えば、高周波数ほど遅延の小さくなる分散を付与するときは、1ビット期間に信号光の光周波数が低周波数側から高周波数側に変化する場合、1ビットの信号は時間方向に短縮されることになる。
【0120】
本実施形態によれば、信号光の1ビット期間が時間方向に伸張あるいは短縮されて光ファイバ400内を伝送されるので、妨害光と信号光の光周波数が干渉する確率が大幅に低減される。また、分散器160と光ファイバ400で付与される分散の総合分散特性と、逆分散器230で付与される「分散特性の合計の分散が概ね零になる」ように分散器160と逆分散器230の分散特性を設定すれば、遅延時間の和が信号光の光周波数によらず一定となるので、送信器100の信号源131の信号の変化と受信器200の信号源214の信号の変化が一致し、受信器200では送信データDinに正確に対応した受信データDoutを再生することができる。
【0121】
受信器200を、上述の説明したコヒーレント検波方式の同期受信部220で構成した場合であっても、信号光と局発光の周波数関係は同様である。このとき、光周波数による遅延時間の和の誤差分は、中間周波数信号を通過させるバンドパスフィルタ225の通過周波数以下に収まることが望ましい。2値データの場合で、伝送速度をBbit/sとすると、バンドパスフィルタ225の通過帯域幅はBHz以上必要となるが、ホモダインではバンドパスフィルタ(この場合、通常、DCブロックとローパスフィルタの組み合わせ)の通過帯域幅は、0.5BHzで済む。従って、妨害光の残留成分は、概ね半分となる。
【0122】
なお、前記した「分散特性の合計の分散が概ね零になる」とは、ある時刻における信号光の光周波数が同期受信部の検出対象(同期用)周波数の範囲に含まれていることを意味する。図2の同期受信部210であれば、ある時刻における信号光の光周波数が、選択器213により選択されている光検出器に分波される光周波数であることであり、図14、図16、図17の同期受信部220であれば、局発光と信号光の光周波数差である中間周波数の信号成分が、バンドパスフィルタ225の通過域に含まれていることである。
【0123】
本実施形態は、妨害光の光周波数が時間に対して変化する場合に特に有効である。例えば、妨害光と信号光の時刻tにおける光周波数の差が、同期受信部の受信対象(同期用)周波数の幅(図3〜図5のBに相当)以下である場合に有効となる。このような妨害光としては、信号光と同一シンボルレートの妨害光があり、その妨害光を発生する直接変調レーザダイオードのチャープ特性が信号光を発生する直接変調レーザダイオードのチャープ特性と同一の場合に起こりうる。実施形態1〜2では、このような場合に、妨害光の影響を除去することができなかった。しかし、本実施形態では、逆分散器230によって、妨害光の時間に対する光周波数の変調が変化するので、妨害光と信号光の時刻tにおける光周波数の差を、同期受信部210の受信対象(同期用)周波数の幅(図3〜図5のBに相当)以上とすることができる。
【0124】
また、分散器160によって伸張し又は短縮したビット期間は、既存の機器で用いられているような「ビット期間に一致しない」ことが望ましい。例えば、155Mbit/sと622Mbit/sの伝送速度(シンボルレート)を考えると、155Mbit/sの伝送速度の信号光のビットが4倍に伸張する分散を与えてしまうと、622Mbit/sの妨害光と偶然一致する可能性が出てくる。逆に、622Mbit/sの伝送速度の信号光のビットが1/4倍に短縮する分散を与えてしまうと、155Mbit/sの妨害光と偶然一致する可能性が出てくる。このため、分散器160によって、既存の機器では用いられていないようなビット期間に伸張又は短縮するような分散を与えることが望ましい。
【0125】
ここで、「ビット期間に一致しない」とは、ある時刻における妨害光の光周波数が、同期受信部の検出対象(同期用)周波数に含まれていないことである。図2の同期受信部210であれば、選択器213により選択されている光検波器に分波される光周波数に含まれていないことであり、図14及び図16の同期受信部220であれば、局発光と信号光の光周波数差である中間周波数の信号成分が、バンドパスフィルタ225の通過域に含まれていないことである。このように、分散量を決定することが望ましい。
【0126】
なお、逆分散器230により妨害光の実時間波形が拡大する方向に遅延時間を付与する場合、徐々に各シンボル同士が重なり合い、同時に複数の光周波数の妨害光が存在することになり、その極限としては、妨害光として一定の値に近づく恐れがあるため、逆分散器230では、妨害光の実時間波形が短縮する方向に遅延時間を付与することが望ましい。
【0127】
また、以上では、分散器160や逆分散器230として、通常の伝送路分散を補償する分散補償器と同様に、光周波数に対する遅延時間が一様に増加するか減少する単調変化の分散や逆分散を前提に説明したが、光周波数に対する遅延時間がランダムに変化する分散を用いることも可能であり、この場合は、信号光と妨害光の光周波数が一致する可能性がより低くなるのでより好ましい。
【0128】
また、分散付与の違いを、光周波数領域の符号として用いれば、光符号多重用の符号として用いることも可能となる。この場合、多元接続干渉(MAI)は、ある時刻における他符号光の光周波数が、同期受信部の検出対象(同期用)周波数の範囲に含まれていることから発生する。図2の同期受信部210であれば、選択器213により選択されている光検出器に分波される光周波数に含まれていることであり、図14及び図16の同期受信部220であれば、局発光と信号光の光周波数差である中間周波数の信号成分が、バンドパスフィルタ225の通過帯域に含まれていることである。許容範囲となるMAIに収まるように信号光の光周波数変化や分散を付与する。信号光の光周波数変化の仕方(傾きや変化幅等)と分散器の分散付与の組み合わせにより符号を構成すれば、より符号数が増大する。
【0129】
(実施形態4)
本実施形態では、受信した信号光に逆分散を与える逆分散器230に代えて、コヒーレント検波型の同期受信部220において、局発分散器227を配置している。この局発分散器227は、信号光と同期して光周波数が変化する局発光源222で発生した局発光に対して、その光周波数に応じて異なる遅延時間を付与する。本実施形態では、送信器100側の分散器160と局発分散器227は、光検波器224で得られる中間周波数だけずれた光周波数に同じ遅延時間を付与する。このため、信号光と局発光の周波数関係は図14及び図16の受信器200を使用する場合と同様となる。
【0130】
従って、局発分散器227の分散は、伝送路分散に分散器160の分散を加えた分散から、局発分散器227の分散を減じた分散特性の合計の分散が概ね零となるようにする。また、実施形態1の送信器100と組み合わせて、伝送路分散がある場合の分散補償器の代わりに、本局発分散器227を用いることも可能である。この場合、伝送路分散から、局発分散手段の分散を減じた分散特性の合計の分散が概ね零となるようにする。なお、本実施形態では、分散器160および局発分散器227の分散は波形が広がる方向の分散であり、広がった波形が隣接するビット期間まで広がる場合、ISIが発生するため、波形が狭まる方向に分散を加えることが望ましい。又はISIを発生しない部分のみを抜き出してデータ信号として取り出すことが望ましい。
【0131】
(実施形態5)
以上では送信器100に分散器160を設置し、受信器200に逆分散器230や局発分散器227を設置したが、送信器100に分散器160を設置するのみでも、信号光と妨害光の光周波数が偶然一致する可能性の軽減を高めることができる。この場合は、受信器200において、送信器100の分散器160および光ファイバ400で分散が付与された遅延時間をもつビットの信号光の光周波数に応じた時間−周波数特性に対応して検出対象(同期用)周波数を変化させてデータを同期受信する同期受信部を使用すればよい。
【0132】
従って、同期受信部は、伝送路分散に分散器160の分散を加えた分散による光周波数毎に異なる伝搬遅延を被った後の光周波数変化に応じて同期受信する。また、実施形態1の送信器100と組み合わせて、伝送路分散がある場合の分散補償器の代わりに、局発分散器227を用いることも可能である。この場合、伝送路分散による光周波数毎に異なる伝搬遅延を被った後の光周波数変化に応じて同期受信する。
【0133】
また、実施形態3の受信器に本同期受信部を組み合わせてもよい。この場合、伝送路分散に分散器160の分散と逆分散器230の分散を加えた分散による光周波数毎に異なる伝搬遅延を被った後の光周波数変化に応じて同期受信する。更に、実施形態4の受信器に本同期受信部を組み合わせてもよい。この場合、伝送路分散に分散器160の分散を加えた分散から、局発分散器227の分散を減じた分散による光周波数毎に異なる伝搬遅延を被った後の光周波数変化に応じて同期受信する。これらの実施形態3や実施形態4の受信器に本同期受信部を組み合わせることで、分散補償の不足分や、信号光と局発光の光周波数変化の違いを補償することが可能である。
【0134】
なお、本実施形態でも、実施形態4と同様に、波形が広がる方向に分散があるときISIの恐れがあるので、波形が狭まる方向に分散を加えるか、ISIを発生しない部分のみを抜き出してデータ信号として取り出すことが望ましい。
【0135】
(実施形態6)
本実施形態の受信器200の構成は図27から図34に示すどの構成であってもよい。図27と図31を用いて説明する。
【0136】
加算同期手段は光検出器と電気の分岐器と半ビットの遅延線(T/2遅延線)とから構成され、減算同期手段は光検出器と電気の分岐器とから構成される。加減算手段は加減算器とゲートスイッチから構成される。
【0137】
加算同期手段は光の半ビットの遅延線(T/2遅延線)と光検出器224Kとから構成され、減算同期手段は光検出器224Gから構成される。加減算手段は加減算器213Sとゲートスイッチから構成される。図31の光分岐手段202、T/2遅延線と光検波器224K、光検波器224G、加減算器213S及びゲートが、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、図1の加減算手段205に相当する。
【0138】
本発明に係る受信器の前記加算同期手段は前記1シンボル期間中で前記信号光の強度が所定の値である時間に同期した出力を加減算手段に出力し、前記減算同期手段は前記差分時間に同期した出力を加減算手段に出力している。ここで差分時間、例えば、前記1シンボル期間中で前記信号光の強度が所定の値である時間と前記1シンボル期間中で前記信号光の強度が前記所定の値と反転した値である時間との時間の差として1/2ビット時間で例示する。この差分時間は例であり、この値に限定されない。また、信号光を除く入力に対する出力が均衡するように出力する時間の積が加算同期手段と減算同期手段で一致するようにすれば1ビット時間の内の複数時間を加算同期手段と減算同期手段で出力してもよい。
【0139】
本受信器に入力される信号は、図35から図37に示すように、本願の他の実施の形態と異なり、ビット時間を半分に分け、それぞれを複数の異なる強度で変調する。図35の信号光の場合はデータの値が1の場合に半分のビット時間を出力あり、残り半分を出力なしとし、データの値が0の場合に全ビット時間が出力なしとしている。図35から図37では右から時間が始まるとする。データの値が図の右から001101である場合、信号光の強度は半ビットずつみてビットごとに括弧でくくると(00)(00)(10)(10(00)(10)となる。加算側はT/2遅延線によって半ビットずれるので、000001010001となり、減算側はそのままであるので000010100010となる。前者から後者を減ずると000001010001となる。ここでゲートスイッチによりビットの後半の値を抜き出すと順に001101となりデータが復元できる。妨害光の場合をビット同期ができており、データの値が図の右から001101である場合で説明する。このとき、ビット全体に信号光が広がっているとする。信号光の強度は半ビットずつみてビットごとに括弧でくくると(00)(00)(11)(11)(00)(11)となる。加算側はT/2遅延線によって半ビットずれるので、000001111001となり、減算側はそのままであるので000011110011となる。前者から後者を減ずると000−10010−10となる。ここでゲートスイッチによりビットの後半の値を抜き出すと順に000000となり妨害光が除去できていることが分かる。
【0140】
信号光の強度は図37に示すものであってもよい。この場合はデータの値が1の場合に前半のビット時間に出力あり、残り半分を出力なしとし、データの値が0の場合に後半のビット時間に出力あり、残り半分を出力なしとしている。この信号の場合は、図に示すように、1の値は正の値、0の値は負の値となり、1の値と0の値で信号の出力強度が左側の信号の形式よりも倍大きい効果がある。なおここで、直接検波の例で示したが、ヘテロダイン受信等のコヒーレント受信を適用してもよい。
【0141】
本実施形態では強度をビット時間内で変更する信号光を用いたが、強度に加えて加えて、本発明の他の実施形態でビット時間内で光周波数を変化させる信号光を用いて、本実施形態で用いた受信器と本発明の他の実施形態を組み合わせるのが更に望ましい。
【0142】
例えば、図38に示す構成とする。ここで、受信器は図14と同じ構成である。但し、受信対象とする光周波数は図5に示すものとする。送信器は、図5に示す光周波数を受信するのに用いる複数の局発光と同様のビット時間よりも短い時間だけ時間シフトして2つの光の内のいずれかにより、送信データの値を示す信号光を出力する。このような送信機は、図14の局発光の生成と同様に、時間差を与えた電気信号で複数の光源を周波数変調するか、変調した信号光を分岐すればよい。そして、例えば、時間シフトなしの光が送信データの「1」の値をしめし、時間シフトありの光が「0」の値を示すとすればよい。信号光とその出力の例を図39に示す。図39の1段目は時間に対する信号光の光周波数を、2段目は時間に対する加算同期手段と減算同期手段の受信対象とする光周波数を示す。信号光、加算同期手段、減算同期手段はそれぞれ実線、点線、破線にて示している。3段目は加算同期手段の、4段目は減算同期手段の、5段目は加減算手段のそれぞれの時間に対する出力強度を示している。実施形態2であれば、減算同期手段の出力が零であるため、加減算手段の出力も加算同期手段の出力と等しくなる。本実施例では、減算同期手段の出力も非零の値となるため、1の値と0の値で信号の出力強度が倍となる効果もある。妨害光の場合の例を図40に示す。図40の1段目は時間に対する妨害光の光周波数を、2段目は時間に対する加算同期手段と減算同期手段の受信対象とする光周波数を示す。妨害光、加算同期手段、減算同期手段はそれぞれ実線、点線、破線にて示している。3段目は加算同期手段の、4段目は減算同期手段の、5段目は加減算手段のそれぞれの時間に対する出力強度を示している。図に示すように、各ビット毎の加算同期手段と減算同期手段の出力が同一であり、相殺するために妨害光の影響が除去できることがわかる。なお、本実施形態では示していないが、上述の実施形態と同様に光周波数毎に遅延時間を付与及び除去する構成を追加してもよい。
【符号の説明】
【0143】
10:光通信システム
100:送信器
110:光源
120:強度変調器
130:光周波数変化部
131:信号源
132:周波数変調器
140、150:光周波数変化部
141:信号源
142:混合器
143、152:直接変調レーザダイオード
151:波形整形器
200:受信器
202:光分岐手段
203:加算同期手段
204:減算同期手段
205:加減算手段
211:光分波器
212:光検波器
213、213K、213G:加算選択器
213S:加減算器
214:信号源
220:同期受信部
221、221A、221B:信号源
222、222K、222G:局発光源
223、223K、223G:混合器
224、224K、224G:光検波器
225、225K、225G:バンドパスフィルタ
226、226K、226G:コヒーレント検波器
227:加減算器
300:光カプラ
400:光ファイバ
500:不適合器
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信器から受信器に信号光を送信する際に光伝送路に混入する妨害光の影響を軽減する受信器、及びこれを備える光通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
PON(Passive Optical Network)システムを用いた経済的な光サービスの需要の増大が予想される。PONシステムでは、局内のOLT(Optical Line Terminal)の制御により、単一の光ファイバと伝送設備を複数のユーザ宅内機器のONU(Optical Network Unit)で共用する。
【0003】
ところで、PONシステムの普及に従い、ONUは、電気通信法49条の規定に準じた端末開放の可能性がある。開放により、OLTの制御に従わないメディアコンバータやLAN機器等のPONシステムへの誤接続の可能性が増大する。これらの誤接続機器の出力光は、光ファイバと伝送設備を共用する他ユーザの通信に対する妨害光として作用し、通信途絶の問題を引起しかねない。
【0004】
そこで、この問題を解決するため、第1の方法の方法として光符号多重(OCDM;Optical Code division multiplexing)技術を適用した妨害光の除去方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、第2の方法として、図41及び図42のように送信する信号光の光周波数を時間的に変動させ、その信号光の時間変化に同期して受信する信号光を変動させる受信方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。図41及び図42は、信号光の光周波数を送信データが「1」のビット期間だけ直線的に増大させたときの同期受信の例である。検出対象光周波数は受信器の検出対象の光周波数を示す。図41は妨害光の光周波数が一定の場合についてであり、妨害成分の検出時間はビット期間中の僅かの時間(図中の「検出されるクロストーク」)である。図42は妨害光の光周波数が周期的に変化する場合についてのものであり、信号光の周波数変化と妨害光の光周波数変化が一致しない限り、やはり同様に、同期手段における妨害成分の検出時間はビット期間中の僅かの時間である。共に、妨害光の影響の大部分除去できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−074557号公報
【特許文献2】特開2009−153116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の第1の方法では、妨害光の光周波数に応じて除去対象とする光周波数を変更しなければならず、妨害光の光周波数分布によっては除去が困難となる場合があるという課題があった。第2の方法では、妨害光の抑圧度が信号光の光周波数の変動幅(チャープ幅)に反比例し、十分な抑圧度のためには広いチャープ幅が必要という課題があった。
【0007】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、狭いチャープ幅の信号光に対しても、妨害光の光周波数に関係なく妨害光の影響を軽減できるようにして、耐妨害性の高い光通信が可能な受信器及び光通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、データの少なくとも1シンボル期間の中で信号光の光周波数又は強度が変化する信号光と同期した光周波数又は強度の光を受信対象とすると同時に、信号光と所定の光周波数又は所定の時間異なる光を同時に受信対象とし、前者の出力から後者の出力を減ずることで前者の出力に残存する妨害光成分を後者の出力に存する妨害光にて相殺することとした。
【0009】
具体的には、本発明に係る受信器は、光周波数又は強度がデータの少なくとも1シンボル期間中で変化する信号光を、前記信号光の光周波数又は強度の変化の少なくとも一方で同期受信する加算同期手段と、前記信号光を、前記信号光の光周波数と所定の光周波数差をもつ差分光周波数又は前記信号光の強度が所定の強度となる時間と所定の時間差をもつ差分時間の少なくとも一方で同期受信する減算同期手段と、前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じて、前記信号光に含まれるデータを取得する加減算手段と、を備える。
【0010】
本発明に係る受信器の前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段と、前記混合手段の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、前記光検波手段が出力する電気信号から中間周波数信号を選択してコヒーレント検波する選択コヒーレント検波手段と、を有する。
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、
前記光検波手段が出力する電気信号から前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタで選択して包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う、又は前記光検波手段が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波を行う。
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、
前記光検波手段が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタで選択して包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う、又は前記光検波手段が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波を行う。
本発明に係る受信器は、前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期していることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る受信器の前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段と、前記混合手段の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有する。
前記加減算手段は、前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じた出力から前記信号光の光周波数に同期した中間周波数信号をバンドパスフィルタで選択して包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う、又は前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じて出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波を行う選択コヒーレント検波手段を有している。
本発明に係る受信器は、前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期していることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る受信器の前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段と、前記混合手段の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有する。前記加減算手段は、
前記加算同期手段側と前記減算同期手段側とで中心周波数が互いに異なるバンドパスフィルタを持ち、前記バンドパスフィルタを経由した前記加算同期手段の出力から前記バンドパスフィルタを経由した前記減算同期手段の出力を減じた中間周波数信号を包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う選択コヒーレント検波手段を有する。
本発明に係る受信器は、前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期していることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る受信器の前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光を光周波数に応じて分波する光分波手段と、前記光分波手段で分波した光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、前記光周波数に応じた電気信号を選択する選択手段と、を有している。
前記光検波手段は、前記分波手段で分波した光をそれぞれ光検波して電気信号を出力する光検波手段であり、前記選択手段は前記光検波手段が出力する出力電気信号の中から1の前記電気信号を受信対象として選択する選択手段である、又は前記選択手段は前記光分波手段が出力する光の中から1の前記光を受信対象として選択する手段である。
前記加算同期手段の有する前記選択手段の受信対象とする電気信号又は光は前記信号光の光周波数に同期しており、前記減算同期手段の有する前記選択手段の受信対象とする電気信号は前記差分光周波数に同期していることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る受信器の前記加算同期手段は前記1シンボル期間中で前記信号光の強度が所定の値である時間に同期した出力を加減算手段に出力し、前記減算同期手段は前記差分時間に同期した出力を加減算手段に出力していることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る受信器は、光周波数又は強度がデータの少なくとも1シンボル期間中で変化する信号光を受信する場合に、データの少なくとも1シンボル期間の中で信号光と信号光と所定の光周波数差又は光の強度が所定の強度となる時間と所定の時間差の光とを受信対象とし、前者の出力から後者の出力を減ずることで前者の出力に残存する妨害光成分を相殺している。従って、本発明は、狭いチャープ幅の信号光に対しても、妨害光の光周波数に関係なく妨害光の影響を軽減できるようにして、耐妨害性の高い光通信が可能な受信器を提供することができる。
【0016】
本発明に係る光通信システムは、前記受信器と、光周波数又は強度の少なくとも一方がデータの少なくとも1シンボル期間中で変化する信号光を送信する送信器と、を備える。本発明は、前述の受信器を備える光通信システムである。従って、本発明は、狭いチャープ幅の信号光に対しても、妨害光の光周波数に関係なく妨害光の影響を軽減できるようにして、耐妨害性の高い光通信が可能な光通信システムを提供することができる。
【0017】
本発明に係る光通信システムの前記送信器は、前記信号光に対して前記信号光の光周波数に応じて異なる遅延時間を付与する分散手段を有し、前記受信器は、前記分散手段及び前記送信機と前記受信器を接続する伝送路で光周波数に応じて異なる遅延時間を付与された前記信号光を前記分散手段及び前記送信機と前記受信器を接続する伝送路で与えられた遅延時間を解消する逆分散手段をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る光通信システムの前記送信器は、前記信号光に対して前記信号光の光周波数に応じて異なる遅延時間を付与する分散手段を有し、前記受信器は、前記局発光の光周波数に応じて異なる遅延時間を前記局発光に付与することで前記信号光を前記分散手段及び前記送信機と前記受信器を接続する伝送路で与えられた遅延時間を解消する局発分散手段をさらに備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る光通信システムは、分散手段および逆分散手段または分散手段および局発分散手段により、伝送中の信号光の時間−光周波数変化の特性を変化させ、光周波数に対する伝播時間を変化させるために、妨害光と信号光の光周波数が干渉する確率を低減することができる。また、分散手段と伝送路で付与される分散の総合分散特性と、逆分散手段で付与される分散特性の合計の分散が概ね零になるように分散手段と逆分散手段の分散特性または分散手段と局発分散手段の分散特性を設定すれば、遅延時間の和が信号光の光周波数によらず一定となるので、伝送路の分散の影響を排除することもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、狭いチャープ幅の信号光に対しても、妨害光の光周波数に関係なく妨害光の影響を軽減できるようにして、耐妨害性の高い光通信が可能な受信器及び光通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図2】本発明に係る光通信システムを説明する図である。
【図3】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図4】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図5】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図6】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図7】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図8】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図9】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図10】本発明に係る光通信システムの送信器を説明する図である。
【図11】本発明に係る光通信システムの送信器を説明する図である。
【図12】本発明に係る受信器の動作を説明する図である。
【図13】本発明に係る受信器の動作を説明する図である。
【図14】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図15】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図16】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図17】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図18】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図19】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図20】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図21】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図22】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図23】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図24】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図25】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図26】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図27】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図28】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図29】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図30】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図31】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図32】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図33】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図34】本発明に係る受信器を説明する図である。
【図35】本発明に係る受信器に入力する信号を説明する図である。
【図36】本発明に係る受信器に入力する信号を説明する図である。
【図37】本発明に係る受信器に入力する信号を説明する図である。
【図38】本発明に係る光通信システムを説明する図である。
【図39】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図40】本発明に係る光通信システムの動作を説明する図である。
【図41】関連する光通信システムの動作を説明する図である。
【図42】関連する光通信システムの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施形態であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0023】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の受信器200を説明する図である。受信器200は、光周波数又は強度がデータの少なくとも1シンボル期間中で変化する信号光を、前記信号光の光周波数又は強度の変化の少なくとも一方で同期受信する加算同期手段203と、前記信号光を、前記信号光の光周波数と所定の光周波数差をもつ差分光周波数又は前記信号光の強度が所定の強度となる時間と所定の時間差をもつ差分時間の少なくとも一方で同期受信する減算同期手段204と、加算同期手段203の出力から減算同期手段204の出力を減じて、前記信号光に含まれるデータを取得する加減算手段205と、を備える。
【0024】
本実施形態の受信器200の動作を、図2を用いてより具体的に説明する。図2は本実施形態の光通信システム10の構成を示すブロック図である。100は送信器(例えば、ONU)、200は受信器(例えば、OLT)、300は光スプリッタ、400は光ファイバである。この構成に、光通信システム10の構成には含まれないが、妨害光を出力する不適合器500が接続する場合を想定する。
【0025】
加算同期手段203及び減算同期手段204は、
前記信号光を光周波数に応じて分波する光分波器211と、光分波器211で分波した光を光検波して電気信号を出力する光検波器212と、光検波器212が出力する出力電気信号の中から前記光周波数に応じた電気信号を選択する加算選択器213K及び減算選択器213Gと、を有し、
光検波器212は、前記分波手段で分波した光をそれぞれ光検波して電気信号を出力する複数の光検波器212であり、加算選択器213K及び減算選択器213Gは複数の光検波器212が出力する出力電気信号の中から1の前記電気信号を受信対象として選択する加算選択器213K及び減算選択器213Gであり、
加算同期手段203の有する加算選択器213Kの受信対象とする電気信号は前記信号光の光周波数に同期しており、減算同期手段204の有する減算選択器213Gの受信対象とする電気信号は前記差分光周波数に同期している。
【0026】
図2の光分波器211、光検波器212、加算選択器210K及び減算選択器210Gと加算選択器210K及び減算選択器210Gをそれぞれ信号光の光周波数と差分光周波数に同期した電気信号を受信対象とするように駆動する信号源214が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204に相当する。また、図2の加減算器213Sが図1の加減算手段205に相当する。
【0027】
送信器100は、光源(レーザダイオードその他)110、送信データDinにより光源110からの光を強度変調する強度変調器120、および強度変調された信号光を1シンボル期間で周波数変化させる光周波数変化部130を備える。光周波数変化部130は、送信データDinの1シンボル時間(ここではビット期間とする)毎に繰り返して同じ周波数変調用の信号を発生させる信号源131と、その信号源131からの信号によって信号光の周波数を昇順、降順、正弦波状、ランプ波形、ランダム等の所定の値で、1ビット期間で継続的に変化させる周波数変調器(例えば、LN等の位相変調器、AO等の周波数変調器等)132からなる。よって、送信データDinの1シンボル期間の信号光は、その光周波数が継続的に変化する。
【0028】
なお、光源110からの光が入力する順序は、強度変調器120−>光周波数変化部130の順としているが、両者の変調と変化が同期していれば、光周波数変化部130−>強度変調器120の順であってもよい。さらに、光源110と光周波数変化部130を兼ねることも可能であるし、光源110と強度変調器120を兼ねることも可能であるし、光源110と光周波数変化部130と強度変調器120を兼ねることも可能である。例えば、直接変調レーザダイオード(DML:Directly Moderated Laser)を用いることで可能となる。また、強度変調器120として所望の光周波数の変調幅を満たすようにアルファーパラメータの大きな強度変調器を用い、かつ十分な振幅で変調すれば、強度変調器120と周波数変調器132を兼ねることも可能である。兼ねる場合、後述の直接変調レーザダイオードと同様な変調としてもよい。
【0029】
受信器200は、同期受信部210を備える。同期受信部210は、光ファイバ400から到来する信号光を光周波数に応じて分岐する光分波器(例えば、プリズム、多層膜フィルタ、AWG(Arrayed Waveguide Grating)型回折格子等)211、分波された各周波数の信号光を検出して電気信号に変換させる1群の光検波器(例えば、フォトダイオードアレイ等)212、光検波器212の各出力信号から信号光の光周波数に応じた1個の信号を選択する加算選択器213K、信号光の光周波数から所定の光周波数異なる差分光周波数に応じた1個の信号を選択する減算選択器213G、加算選択器213Kの出力を加え減算選択器213Gの出力を減じて出力する加減算器213S、及び加算選択器213Kと減算選択器213Gの選択動作の制御信号(同期用信号)を光周波数変化部130の信号源131の生成信号に同期して生成する信号源214を備える。
【0030】
加減算器213Sは1ビット時間の信号を積算する。例えば、加減算器213Sは伝送帯域の0.5〜0.9倍程度の帯域の低域濾波器(非図示)を備えることで1ビット時間の信号を積算することができる。
【0031】
加算選択器213Kと減算選択器213Gの受信する光周波数の差は、減算側で信号光の受信が無視できる(例えば、消光比以下で零レベル以下の強度)の周波数差が望ましい。光周波数の差が小さいと減算側に混入して信号強度が減少し、光周波数の差が大きいと加算と減算での出力が異なり、時間的にずれて相殺し難くなるので、両者のトレードオフで光周波数差を選択する。例えば、減算選択器213Gで選択する光周波数に信号光の混入する量が、信号の零レベル以下の強度などであり無視できる最小の光周波数差であることが望ましい。但し、信号光が減算側に混入しても、本発明の妨害光の除去能力の低下は無視できる。
【0032】
よって、受信した信号光はその光周波数に応じて取り出され、元の送信データDinに対応した受信データDoutに再生される。なお、信号源131と信号源214との同期は、例えば、信号光の伝送の開始時のプリアンブルを検出してビット同期することで行われるが、ここでは詳細な説明は省略する。
【0033】
なお、以上の説明で本実施形態では、伝送路分散等によって光周波数毎に異なる伝搬遅延を被らない例で提示した。伝送路分散等がある場合は、以下の方法で補償を行う。
(1)同期受信部210が伝送路分散等による光周波数毎に異なる伝搬遅延を被った後の光周波数に応じて信号を生成する信号源214を用いる。
(2)光分波器211入力以前に伝送路分散を補償する分散補償器(不図示)を送信器100、受信器200あるいは光ファイバ400中に具備する。
(3)光分波器211、光検波器212、加算選択器213K、及び減算選択器213Gの全部又は一部における光周波数毎の伝搬時間を調整する。
以下の実施形態においても同様である。
【0034】
本実施形態による妨害光の影響の軽減について、図3から図9を用いて説明する。図3から図7の横軸は時間、縦軸は光周波数を示す。各図において、Aは光周波数変化部130により光周波数が変化(ここでは単純化のため直線で近似)する信号光である。Bは受信器200におけるその信号光を受信する加算同期手段203及び信号光と所定の周波数差でその周波数変化が同期した光を受信する減算同期手段204の通過帯域幅(信号を通過させるためには少なくともその信号のナイキスト周波数の通過帯域幅が必要)である。Cは妨害光を示す。また、Fsは信号光の光周波数変動幅(チャープ幅)、Fjは妨害光の光周波数幅、Tjは妨害光の検出時間、Tはビット期間を示す。なお、図3〜図7において、加算同期手段203での妨害光の検出時間Tjを残留干渉信号比R1、減算同期手段204での妨害光の検出時間Tjを残留干渉信号比R2として説明している。
【0035】
まず、図3に示すように、妨害光Cの光周波数幅Fjが少なく、且つFsがFjを包含する場合(Fj<B<Fs)の各同期手段における妨害光Cの検出時間Tjは、
Tj≒(B/Fs)×T
となり、妨害光Cの検出時間Tjはビット期間Tに比べて極めて短くなる。このため、妨害光Cの影響は少なくなり、加算同期手段203及び減算同期手段204におけるその抑圧比は、
(通過帯域幅B)/(信号光Aの光周波数変動幅Fs)
となる。
【0036】
従来の発明では、この抑圧された妨害光Cの影響は信号光Aの光周波数変動幅Fsに対する通過帯域幅Bの比に抑圧される。そのため信号光Aの光周波数変動幅Fsが通過帯域幅Bに対して十分大きな必要があった。しかし本願では、加算同期手段203及び減算同期手段204で受信する妨害光Cの影響が同等である場合、加算同期手段203及び減算同期手段204の出力を加減算手段205で減ずる(残留干渉信号比R1−残留干渉信号比R2)ため無視できる。
【0037】
図8及び図9に例を示す。ここで、信号光の送信データ系列Dinが010110であり、その入力データの値が「1」の場合にそのビット時間Tの間に、光周波数が直線的にチャープ幅Fsだけ増大し、ビット時間の最初で光周波数が元に戻るとし、妨害光は全時間、同一光周波数で連続発光(データ系列が111111)とした。図8が信号光の受信を、図9が妨害光の受信を示している。各図の左から順に、各時間における入力光の光周波数(太実線)、各時間における入力光と受信対象とする光周波数(太点線)、各時間における受信電気信号の強度を表し、それぞれ上から順に加算同期手段、減算同期手段、加減算手段の例を示す。
【0038】
入力光が信号光である場合は、加算同期手段の出力は入力データ系列と同値の010110であり、減算同期手段の出力は、減算同期手段は各時点で信号光の光周波数を受信対象としないため、入力データ系列の値によらず常時零である。従って、両同期手段の出力の差をとる加減算手段の出力は入力データ系列と同値となる。
【0039】
入力光が妨害光である場合は、加算同期手段および減算同期手段の出力は、それぞれが受信対象とする光周波数と妨害光の光周波数が重なった時間のみに出力があり、そのビット時間における平均値は、概ね妨害光の強度に(通過帯域幅B)/(信号光Aの光周波数変動幅Fs)を乗じた同値である。従って、両同期手段の出力の差をとる加減算手段の出力は零となり、妨害光の影響が除去されていることが分かる。ここで、妨害光Cの光周波数が一定としたが、周期的に変化する場合も、信号光Aの周波数変化と妨害光Cの光周波数変化が一致しない限り、同様である。
【0040】
特許文献2に示す従来例と本願の耐妨害性を比較する。例えば、信号光Aの通過帯域幅又は信号光を光検波した後の信号の通過帯域幅Bが100MHz、信号光Aの光周波数変動幅Fsが100GHzとすると、妨害光Cの検出時間Tjはビット期間Tに比べて1/1000となる。従って、妨害光の強度が信号光の強度の1000倍、即ち30 dB大きい場合、妨害光の残留成分と信号光の出力が同値となり除去できない。しかし、本発明では、その1/10000の妨害光の影響も加算同期手段203と減算同期手段204の出力から相殺されるために、妨害光Cの影響は概ね無視できる。
【0041】
また、図6に示すように、妨害光Cがある程度の光周波数幅Fjを有しFsがFjを包含する場合(B<Fj<Fs)の各同期手段における妨害光Cの検出時間Tjは、
Tj≒{(B+Fj)/Fs}×T
となる。このときは、各同期手段における検出時間Tjで検出される妨害光Cの強度はB/Fjに軽減される。図6の場合、図3の場合よりも検出時間Tjが長くなるが、妨害光Cの各瞬間の寄与は軽減し、ビット期間全体で図3の場合の{(B+Fj)/Fj}倍となる。このため、加算同期手段203及び減算同期手段204における抑圧比は、
{(通過帯域幅B)+(妨害光Cの光周波数幅Fj)}/(信号光Aの光周波数変動幅Fs)
となる。本願ではこの残留した影響も加算同期手段203と減算同期手段204の出力から相殺される(残留干渉信号比R1−残留干渉信号比R2)ために、妨害光Cの影響は概ね無視できる。
【0042】
さらに、図7に示すように、妨害光Cの光周波数幅Fjが信号光Aの光周波数変動幅Fsより大きくFjがFsを包含する場合(B<Fs<Fj)の加算同期手段203と減算同期手段204における妨害光Cの検出時間Tjはビット期間Tとなるが、加算同期手段203と減算同期手段204における検出強度はB/Fjに軽減される。よって、妨害光Cの寄与は僅かとなる。更に、その影響も加算同期手段203と減算同期手段204の出力から相殺される(残留干渉信号比R1−残留干渉信号比R2)ために、妨害光Cの影響は概ね無視できる。
以上示したように、妨害光の周波数幅と信号光の周波数変動の幅の関係の如何によらず妨害光の影響は概ね無視できることが分かる。
【0043】
図3と図6と図7では、図3に示すように加算同期手段と減算同期手段が受信対象とする光周波数は一定値の差分周波数だけずれた光周波数としているが、信号光が変化するチャープ幅に含まれる最小の光周波数と最大の光周波数を繋いだ場合に差分周波数だけずれた光周波の光を受信するとしてもよい。即ち、図4及び図5に示すように光周波数が減少方向に変化する場合に、チャープ幅に含まれる最小の光周波数の後にチャープ幅に含まれる最大の光周波数に変化し、そのまま減少を続ける。また逆に、光周波数が増加方向に変化する場合に、チャープ幅に含まれる最大の光周波数の後にチャープ幅に含まれる最小の光周波数に変化し、そのまま増加を続ける。このような設定は特に妨害光の光周波数が、信号光の変化するチャープ幅の最大又は最小の光周波数近傍で受信対象とする光周波数と重なる場合、特に最大又は最小の光周波数から透過周波数帯域Bの1/2以下のずれの場合に有効である。
【0044】
図3を例にとる。図3では加算同期手段と減算同期手段で受信する透過周波数帯域Bはそれぞれ隣接している。しかし、透過周波数帯域B同士が隣接していても、互いに受信する光周波数は異なる。チャープ幅の最小の光周波数をfm、最大の光周波数をfMとすると、加算同期手段と減算同期手段の受信する光周波数はそれぞれfm−B/2〜fM+B/2、fm+B/2〜fM+3B/2となる。従って、妨害光の光周波数がfm−B/2〜fm+B/2、または、fM+B/2〜fM+3B/2の場合に加算同期手段または減算同期手段のいずれか一方でのみ受信されるため、従来の第2の方法と同様の妨害光の残留成分が発生する。しかし、図5、図6、図8及び図9に示すようにチャープ幅に含まれる光周波数の最大と最小を繋いで輪環した状態での差分光周波数だけ異なる光周波数を受信することとすれば残留成分を相殺することができる効果がある。
【0045】
更に、差分周波数が一定であるとしたが、一定でなくともよい。このときも、加算同期手段の受信する光周波数は信号光の光周波数の時間変動と同期している。減算同期手段の同期する光周波数は、その時間における信号光の光周波数を受信対象としない光周波数であり、かつビット時間の含まれる他の時間に信号光が送信する光周波数であればよい。例えば、信号光がビット時間Tを10分割した微少時間τi(i=1〜10)の各微小時間で順に、f1、f2、f3、f4、f5、f6、f7、f8、f9、f10と昇順又は降順に光周波数変化する場合、加算同期手段は、順にf1、f2、f3、f4、f5、f6、f7、f8、f9、f10を受信対象とする。減算同期手段は、図3のように順にf2、f3、f4、f5、f6、f7、f8、f9、f10、f11を受信対象としてもよいし、図5のように順にf2、f3、f4、f5、f6、f7、f8、f9、f10、f1を受信対象としてもよいし、f2、f4、f6、f8、f10、f1、f3、f5、f7、f9のようにしてもよい。
【0046】
また、減算側での信号光の受信に伴う信号光の受信レベルの低下を許容する場合は、減算同期手段の同期する光周波数は、少なくともビット時間を構成する一部の時間においてその時間における信号光の光周波数を受信対象としない光周波数であり、かつビット時間の含まれる他の時間に信号光が送信する光周波数であればよい。例えば減算側での信号光の受信に伴う信号光の受信レベルの低下の1/10の低下を許容する場合は、ビット時間で信号光が継続する時間の1/10の時間が同一でもよい。この場合、例えばf10、f9、f8、f7、f5、f6、f4、f3、f2、f1としてもよい。ここで信号光はビット時間全体で一定の強度で出力するとした。
【0047】
また望ましくは、減算同期手段の同期する光周波数は、その時間における信号光の光周波数を受信対象としない光周波数であり、かつビット時間に含まれる他の微小時間に信号光が送信する光周波数であり、かつ同一ビット時間に信号光の当該光周波数である時間だけその光周波数を受信対象として揃える。これは、減算同期手段も対応する光周波数での受信の時間が揃っていない場合、妨害光の残留成分が相殺しないからである。特に、信号光が長く滞留し減算同期手段よりも加算同期手段で長い時間受信対象とする光周波数又は減算同期手段が加算同期手段よりも長い時間受信対象とする光周波数に妨害光の周波数が一致した場合、相殺しない残留成分が増大する。例えば、望ましくない設定では、信号光がビット時間Tを分割した各微小時間で順に、f1、f2、f2、f3、f3、f3、f4、f4、f4、f4と光周波数変化し、加算同期手段は、順にf4、f1、f1、f2、f2、f2、f3、f3、f3、f3を受信対象とする。
【0048】
この設定では、妨害光の光周波数がf4であった場合、妨害光の残留成分は加算同期手段で4/10で、減算同期手段で1/10で、4/10−1/10=3/10であり相殺しないことは明らかである。f4以外の他の光周波数の場合の各光周波数を受信対象とする時間に差異があるため相殺できないことは同様である。そこで、同一ビット時間内でチャープ幅に含まれる各光周波数毎の受信対象とする時間を加算同期手段と減算同期手段で揃えることが望ましい。例えば減算同期手段は順にf4、f4、f4、f4、f1、f2、f2、f3、f3、f3を受信対象とする。このとき加算同期手段と減算同期手段は同一の光周波数の範囲を受信し、各光周波数の受信する時間は同一であり、同時に同一の光周波数を受信しないようになっている。この場合、妨害光の光周波数がf1のときは1/10−1/10=0、f2のとき2/10−2/10=0、f3のとき3/10−3/10=0、f4のとき4/10−4/10=0であり、いずれの光周波数のときも残留成分が相殺することが分かる。
【0049】
また、減算側での信号光の受信に伴う信号光の受信レベルの低下を許容する場合は、減算同期手段の同期する光周波数は、少なくともビット時間を構成する一部の時間においてその時間における信号光の光周波数を受信対象としない光周波数であり、かつビット時間の含まれる他の時間に信号光が送信する光周波数であり、かつ同一ビット時間に信号光の当該光周波数である時間だけその光周波数を受信対象として揃えることが望ましい。減算側での信号光の受信に伴う信号光の受信レベルの低下を許容する比率が、ビット時間で信号光強度が同一でビット時間で信号光が継続する時間に対する受信対象とする信号が重なってもよい比率の上限としてもよい。
【0050】
なお、以上の説明では、信号光Aの光周波数の変化の周期が送信データDinの「1」のビット期間と同期していることを前提としたが、信号光Aの光周波数はビット時間の間変化し続けていればよく、かならずしもその周期が送信データDinのビット期間と同期する関係にある必要はない。すなわち、信号光Aの光周波数は、送信データDinのビット周期と無関係に変化し続けさせてもよい。例えば、信号光Aの光周波数の変化の周期が送信データDinのビット周期に対して短ければ、妨害光Cの光周波数が変化するとき、周波数が干渉する可能性が減少する。妨害光Cの光周波数があまり変化しないときは、周波数が干渉する回数が増えるが、干渉成分は1回当りの重なり時間と重なり回数の積であるので、妨害光Cの除去の点からは悪影響は少ない。信号光Aの光周波数の変化の周期が送信データDinのビット周期に対して長ければ、各ビットにおける光周波数の変化量が減少する。また、信号光Aの光周波数の変化は、直線的あるいは正弦波的な変化よりも、ランダムに変化する方が、偶然に直接変調してくる妨害光と一致する可能性が軽減できる。ただし、以上のいずれにおいても、信号光Aの光周波数の変化に対して、受信器200で発生させる検出対象(同期用)信号(信号源214で発生させる信号)は同期させる必要がある。
【0051】
なお、送信器100は図10及び図11に示す構成であってもよい。図10は送信器100の別の構成を示すブロック図である。本構成において、光周波数変化部140は、周波数変調用の信号を発生させる信号源141と、その信号源141からの周波数変調用の信号と送信データDinを混合する混合器142と、混合器142からの変調信号によって直接発振光を変調する直接変調レーザダイオード(DML)143とからなる。混合器142は、送信データDinのビット期間中の「1」のデータを信号源141からの信号によって変調させる。この変調は、図3〜図9で説明したように、2ビット以上連続する「1」のデータを1ビットずつランプ波等に変調させても、あるいは前記したように、送信データDinのビット周期と無関係に継続的に変調させてもよい。直接変調レーザダイオード143は、印加電流を送信データDinに応じて変調することで、送信データに応じた強度変調を行うが、印加電流と光出力強度により生じるレーザダイオード内のキャリア変動に応じた屈折率変化を主たる原因として、出力光の周波数が変動するチャープが発生する。ここでは、印加電流を変化させることでこのチャープを積極的に発生させ、信号光の光周波数を変化させる。
【0052】
図11も送信器100の別の構成を示すブロック図である。本構成において、光周波数変化部150は、送信データDinが入力する波形整形器151と直接変調レーザダイオード152とからなる。波形整形器151は、例えば、NRZ(Non Return to Zero)の送信データDinを入力して1ビット期間の最初と最後が零の値に戻るRZ(Return to Zero)の信号に変換する変換器と、直接変調レーザダイオード152に対する1ビット当りの印加電流が平坦になる部分を無くするために信号を鈍らせるための、伝送帯域の例えば75%の通過帯域幅をもつローパスフィルタとから構成されている。これによって、1ビット当りの時間幅の矩形波が、ガウシアン等で近似できる強度−時間特性となり、信号光の発光が継続する1ビット期間毎に、継続的に光周波数が変化する。
【0053】
図12は受信器200の同期受信部210の動作を具体的に示す説明図である。この同期受信部210は、受信した信号光の光周波数に応じて光を分波する分波器211と、そのプリズム211aで分波された各光を検出して電気信号に変換する1群の光検出器212と、その光検出器212の各出力電気信号を選択する加算選択器213K及び減算選択器213Gとから構成している。加算選択器213K及び減算選択器213Gは、図2の送信器100の信号源131の出力信号、図10の信号源141の出力信号、又は図11の波形整形器151の出力信号の変化に同期して、図2で示した信号源214の出力信号によって、選択動作を行う。なお、分波器211は、空間系のプリズムのイメージで記載しているが、ファイバ系や前記した誘電体多層膜あるいはAWG等の構成であってもよい。加算選択器213K及び減算選択器213Gは、メカニカルに選択するイメージで記載しているが、通常では電気的に選択する構成となる。例えば、電荷結合素子CCD(Charge Coupled Device)等を用いてもよい。CCDの場合、多数の電極の隣同士で異なる電圧を与えることによりポテンシャルウェルを作り出し、これを利用して電荷を保持する。この各電極に加える電圧を適切に制御することにより、画素毎の電荷をバケツリレー式に順次取り出す。一つの画素を一つの光周波数と対応付しておき、ビット時間Tを構成する微小時間で出力を取り出す画素を選択することで、構成することができる。
【0054】
ここで、分波器211と光検出器212は単一であり、どの微小時間毎の出力を取り出す光検出器212を加算選択器213Kと減算選択器213Gのそれぞれで選択するとしたが、分波器211と光検出器212は加算選択器213Kと減算選択器213Gに対応して複数あってもよい。この場合、複数の光分波器211に入力光を分岐する分岐器とそれぞれの光分波器211が図1の光分岐手段202に相当する。光検出器212のみが加算選択器213Kと減算選択器213Gに対応して複数ある場合は、加算選択器210K及び減算選択器210Gのそれぞれに対応する光検出器212と加算選択器210K及び減算選択器210Gの組が、図1の加算同期手段203及び減算同期手段204に相当する。
【0055】
更に、図12の構成では、複数の光検出器212から受信対象とする光周波数に対応する光検出器212の出力を選択するとしたが、図13の構成の様に、加算同期手段と減算同期手段に少なくとも一つの光検出器212を備え、それぞれの検出器にビット時間を構成する微小時間に到達する光を光スイッチ等のゲートで選択するとしてもよい。この場合、ゲートとそれぞれの光検出器と時間に応じてそれぞれの光検出器に到達する光周波数を選択する加算選択器と減算選択器の組がそれぞれ図1の加算同期手段203及び減算同期手段204に相当する。ここで図12及び図13で加算選択器と減算選択器の機能が異なっている。図12では、信号光の光周波数の変化に応じて、出力対象とする光検出器を選択し、その出力を加減算手段に受け渡す。図13では信号光の光周波数の変化に応じて、導通対象とする光周波数のゲートを開閉し、その光周波数の光を光検出器に導通させる。加算選択器と減算選択器は光検出器の出力を直接加減算手段に受け渡さない。
【0056】
この構成では、加算同期手段203及び減算同期手段204は、前記信号光を光周波数に応じて分波する光分波器211と、光分波器211で分波した光の中から1の前記光を、光ゲートを用いて受信対象として選択する加算選択器213Kと加算選択器が選択した光を光検波して電気信号を出力する光検波器212Kと、光分波器211で分波した光の中から1の前記光を、光ゲートを用いて受信対象として選択する減算選択器と減算選択器が選択した光を光検波して電気信号を出力する光検波器212Gと、を有し、加算同期手段の有する加算選択器213Kが受信対象とする光は前記信号光の光周波数に同期しており、減算同期手段の有する減算選択器が受信対象とする光は前記差分光周波数に同期している。
【0057】
光分波器、光検波器と光ゲートと加算選択器213K及び減算選択器213Gが、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204に相当する。また、加減算器213Sが図1の加減算手段205に相当する。
【0058】
図13でも分波器211と光ゲートは加算選択器と減算選択器に対応して複数あってもよい。図2、図12、図13に示す本実施形態の構成は後述の実施形態と比べて、図5のような光周波数関係での受信や、時間に対してランダムに信号光の光周波数が変化する場合に特に効果がある。
【0059】
例えば、光受信器212が1000個あり、番号の降順に低い光周波数を受信し、チャープ幅に含まれる光周波数を受信する光受信器212が101から900であり、各光受信器212は互いに隣接した光周波数の光を透過周波数帯域Bだけ受信するとする。図3では、加算選択器は順に900、899、898、・・・、103、102、101の光受信器の出力を選択し、減算選択器は順に901、900、899、・・・、104、103、102の光受信器の出力を選択する。図5では、加算選択器は順に900、899、898、・・・、103、102、101の光受信器の出力を選択し、減算選択器は順に101、900、899、・・・、104、103、102の光受信器の出力を選択するように組み替えればよい。時間に対してランダムに信号光の光周波数が変化する場合も同様に光受信器の出力を選択するように組み替えればよい。これは図2や図12に示す複数の光受信器の出力を選択する代わりに、図13に示す開閉するゲートを選択する構成であっても同様である。
【0060】
(実施形態2)
図14は受信器200の実施形態のコヒーレント検波方式の同期受信部220の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、同期受信部220は、局発光の変調用の信号源221、その信号源221の出力信号によって発光する局発光の光周波数が変調される局発光源222Kと222G、局発光源222Kと222Gから出力する局発光と光ファイバ400から受信した信号光とをそれぞれ混合して出力する混合器223Kと223G、混合器223Kと223Gの出力光を光電変換する際にその2乗検波特性により局発光と信号光のビート成分が発生する光検波器224Kと224G、光検波器224Kから出力する電気信号を加算し光検波器224Kから出力する電気信号を減算する加減算器227、加減算器227の出力から中間周波数成分を抽出するバンドパスフィルタ225、およびそのバンドパスフィルタ225の出力信号をコヒーレント包絡線検波するコヒーレント検波器226からなる。なお、図では、コヒーレント検波器226は包絡線検波器として示しているが、二乗検波器等の同等の検波器であってもよい。局発光源も受信器に内蔵としているが受信器の外にあってもよい。
【0061】
加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段である混合器223Kと223Gと、混合器223Kと223Gの混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有し、
前記加算同期手段の混合する前記局発光と前記減算同期手段の混合する前記局発光は前記加算同期手段の混合する前記局発光と前記差分光周波数異なり、
前記加減算手段である加減算器227と選択コヒーレント検波手段を有し、選択コヒーレント検波手段は前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じた出力から前記信号光の光周波数に同期した中間周波数信号をバンドパスフィルタ225で選択してコヒーレント検波器226でコヒーレント包絡線検波し、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0062】
図14の光分波器202、信号源221と局発光源222Kと光検波器224K、信号源221と局発光源222Gと光検波器224K、加減算器227とバンドパスフィルタと包絡線検波器226が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0063】
信号源221において、送信器100の信号源(131、141)又は波形整形器151の出力信号の変化に同期した同期用信号を発生させる。例えば、2値データのときは、信号源(131、141)又は波形成型器151のデータが「1」の場合の出力信号と同様な電気信号を、到着した信号光に同期して出力させる。局発光源222Gが図2の送信器100と同様な構成であれば、局発光源222Gから出力される局発光の光周波数と到着した信号光の光周波数との光周波数差が所定の光周波数差となるように、到着した信号光に同期して出力させる。すると、局発光源222Gにおいて、直接変調レーザダイオード(143,152)と同様のチャープ特性を持たせたとき、受信した信号光の光周波数と局発光源222Gの局発光の光周波数の周波数差が一定となる。よって、光検波器(224K、224G)で、中間周波数が一定の信号光と局発光との間の中間周波数が得られる。加算同期手段と減算同期手段の受信対象とする光周波数が図3に対応するようにするには、例えば2つの局発光源222Kと局発光源222Gの中心周波数を受信対象とする光周波数の差だけずらして設定し、信号源221等から同位相で局発光源222Kと局発光源222Gを周波数変調すればよい。局発光源222Kと局発光源222Gの変調する位相が揃っていれば信号源221は複数の信号源であってもよいし、単一の出力を分岐器等で分岐した出力を局発光源222Kと局発光源222Gに渡す信号源221であってもよい。局発光源の中心周波数を設定するには、例えば、局発光源が直接変調レーザダイオードであればその温度又は印加電流の平均値又は印加電流の振幅を設定することで可能である。
【0064】
加算同期手段と減算同期手段の受信対象とする光周波数が図5に対応するようにするには、例えば2つの局発光源222Kと局発光源222Gの中心周波数を受信対象とする光周波数を同一とし、信号源221等により局発光源222Kと局発光源222Gとを位相をずらして周波数変調すればよい。位相をずらすためには、遅延線等(不図示)により信号源221と局発光源への経路長を変更すればよい。または単一の局発光を分岐し、分岐した信号光を光検波器224Kと224Gとで遅延線等で異なる経路長として、異なる位相で入力させればよい。この場合局発光源から光検波器の経路長を異ならせる代わりに、光分岐器202から光検波器224Kと光検波器224Gの経路長を異ならせることで同様の効果が得られる。
【0065】
この光検波器224Kで生成する中間周波数信号を含む光検波器224Kからの電気信号及び光検波器224Kでの中間周波数信号を含む光検波器224Gからの電気信号をバンドパスフィルタ225に通過させると、光検波器224Kでの信号光に対応する中間周波数信号はそこを通過する。信号光およびそれに伴う局発光のチャープ幅が十分大きい場合、光検波器224Kでの妨害光と局発光の光周波数差はバンドパスフィルタ225を通過する所定の値にほとんどないため、妨害光に対応する中間周波数信号のほとんどが、通過せず除去される。更に、チャープ幅が十分大きくない場合であっても、残留した光検波器224Kでの妨害光と局発光の中間周波数信号でバンドパスフィルタ225を通過する信号と同等の光検波器224Gでの妨害光と局発光の中間周波数信号でバンドパスフィルタ225を通過するのでこの両者は相殺される。
【0066】
例えば、信号光の光周波数が(f1)→(f2)→(f3)→(f4)→(f5)と変化する場合に、加算同期手段の局発光源222Kからの局発光の光周波数が(f1+Δ1)→(f2+Δ1)→(f3+Δ1)→(f4+Δ1)→(f5+Δ1)、減算同期手段の局発光源222Gからの局発光の光周波数が(f1+Δ2)→(f2+Δ2)→(f3+Δ2)→(f4+Δ2)→(f5+Δ2)とする。ここでf1、f2、f3、f4、f5は信号光の変化する光周波数で、矢印はその推移、Δ1は信号光と加算同期手段の局発光源222Kからの局発光との光周波数の差、Δ2は信号光と減算同期手段の局発光源222Gからの局発光との光周波数の差で、Δ1とΔ2は伝送する信号光の変調周波数以上離れる。バンドパスフィルタが導通する中心周波数は信号光と加算同期手段の局発光の光周波数差であるΔ1でありその導通周波数幅は信号光の変調周波数以上とする。信号光と加算同期手段の局発光とのビート信号はその中間周波数がΔ1であるためバンドパスフィルタを導通し、コヒーレント検波され受信される。信号光と減算同期手段の局発光とのビート信号は、その中間周波数がΔ2でありバンドパスフィルタで除去される。減算同期手段の局発光と中間周波数がΔ1となる信号光はないので、中間周波数Δ1での出力は零となる。(Δ2−Δ1)をBとすれば、それぞれが受信対象とする図3〜図5に示すような光周波数の光を受信対象とすることができ、実施形態1と同様の効果が得られる。
【0067】
なお、以上の説明で本実施形態では、伝送路分散等によって光周波数毎に異なる伝搬遅延を被らない例で提示した。伝送路分散等がある場合は、同期受信部220が伝送路分散等による光周波数毎に異なる伝搬遅延を被った後の光周波数変化に応じて信号を生成する信号源221を用いるか、混合器223入力以前に伝送路分散を補償する分散補償器を送信器100あるいは受信器200あるいは伝送路中に具備する(不図示)等の方法で補償する。
【0068】
また、分散が、波形が広がる方向の分散であり、広がった波形が隣接するビット期間まで広がる場合、データのビット同士が干渉(ISI:Inter Symbol Interference)する恐れがある。その場合、ISIを発生しない部分のみを抜き出して、データ信号として取り出すことが望ましい。例えば、信号光の光周波数がビット期間でf1からf2まで単調増加する場合で、分散により波形が広がり、本来のビット期間内に収まる部分の光周波数が、f1’からf2’(f1<f1’<f2’<f2)となるのであれば、局発光を、到着する信号光に同期したビット期間でf1’からf2’に単調増加する局発光とすれば、隣接ビット期間に漏れ込む成分は検波対象とならないため、ISIの発生しない部分のみを抜き出すことができる。
【0069】
なお、加算同期手段の局発光はコヒーレント検波した中間周波数の電気信号がバンドパスフィルタを通過する周波数範囲で同期し、減算同期手段の局発光はコヒーレント検波した中間周波数の電気信号がバンドパスフィルタを通過しない周波数範囲で同期していればよい。減算同期手段の局発光の光周波数は加算同期手段の局発光と一定値の差分周波数だけずれた光周波数として例示しているが、実施形態1と同様であってもよい。例えば、図4や図5に示すように信号光が変化するチャープ幅に含まれる最小の光周波数と最大の光周波数を繋いだ場合に差分周波数だけずれた光周波数の光との中間周波数成分がΔ1となるようにしてもよい。このような設定は特に妨害光の光周波数が、信号光の変化するチャープ幅の最大又は最小の光周波数近傍で受信対象とする光周波数と重なる場合に効果的であるのは同様である。加算同期手段の局発光と減算同期手段の局発光の差分周波数が一定でなくともよい。このときも、加算同期手段の局発光は、受信する光周波数が信号光の光周波数の時間変動と同期するように変化する。減算同期手段の局発光は、減算同期手段による信号光受信による出力の減少を許容する範囲以上に受信する光周波数がそのビット時間に含まれる微小時間における信号光の光周波数を受信対象としない光周波数であり、かつビット時間の含まれる他の時間に信号光が送信する光周波数であり、かつ加算同期手段と減算同期手段の局発光同士の中間周波数が受信対象とする中間周波数にならなければよい。加算同期手段と減算同期手段の局発光同士の中間周波数が受信対象とする中間周波数である場合、それが雑音となる。
【0070】
また望ましくは、減算同期手段の局発光は、減算同期手段による信号光受信による出力の減少を許容する範囲以上に受信対象とする光周波数がその時間における信号光の光周波数を受信対象としない光周波数であり、かつビット時間に含まれる他の微小時間に信号光が送信する光周波数であり、加算同期手段と減算同期手段の局発光同士の中間周波数が受信対象とする中間周波数にならず、かつ同一ビット時間に信号光の当該光周波数である時間だけその光周波数を受信対象とする。これらは以降の局発光を用いる実施形態でも同様である。
【0071】
また、図14ではバンドパスフィルタを加減算器227と包絡検波器226の間に配置しているが、図16に示すように光検波器222Kと加減算器227及び光検波器224Gと加減算器227の間にそれぞれ設置してもよいし、図17のように加減算器の前に包絡線検波器226をそれぞれ設置してもよい。
【0072】
図16及び図17の場合、加算同期手段からの導通する中間周波数と減算同期手段からの導通する中間周波数信号を独立して設定することができるので、包絡線検波器の検波に関する周波数特性が同等とみなす中間周波数を設定できれば、後述の図22及び図26に示す実施形態のように加算同期手段と減算同期手段で同じ局発光を用いることが可能である。なお、同等とみなすとは、検波効率が中間周波数で異なり、加算同期手段側あるいは減算同期手段側の一方の中間周波数で小さく他方の中間周波数で大きい場合は、大きい方のビート信号を発生する信号光強度又は局発強度又はその両方の強度を効率分だけ小さくしてやること等で検波効率及び同符号連続に伴う誤り率増加が加算同期手段と減算同期手段で同等に調整することができればよいことを意味する。
【0073】
なお、このことは、光検波器でも同様である。即ち、検波効率が光周波数で異なり、加算同期手段側あるいは減算同期手段側の一方の光周波数で小さく他方で大きい場合は、大きい方の光検波器に入力する信号光強度又は局発強度又はその両方の強度を効率分だけ小さくしてやること等で検波効率及び同符号連続に伴う誤り率増加が加算同期手段と減算同期手段で同等に調整することができればよいことを意味する。
【0074】
図16に示す受信器の前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段と、前記混合手段の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有し、前記加減算手段は、前記加算同期手段側と前記減算同期手段側とで中心周波数が互いに異なるバンドパスフィルタを持ち、前記バンドパスフィルタを経由した前記加算同期手段の出力から前記バンドパスフィルタを経由した前記減算同期手段の出力を減じた中間周波数信号を包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う選択コヒーレント検波手段を有する。
【0075】
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0076】
図16の光分波器202、信号源221と局発光源222Kと223Kと光検波器224Kとバンドパスフィルタ225K、信号源221と局発光源222Gと光検波器224Kとバンドパスフィルタ225G、加減算器227と包絡線検波器226が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0077】
図17に示す受信器の前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段である混合器223Kと223Gと、混合器223Kと223Gの混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有し、
前記加減算手段は、前記加算同期手段側と前記減算同期手段側とで中心周波数が互いに異なるバンドパスフィルタを持ち、前記バンドパスフィルタを経由した前記加算同期手段の出力から前記バンドパスフィルタを経由した前記減算同期手段の出力を減じた中間周波数信号を包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う選択コヒーレント検波手段を有し、
前記加算同期手段は、前記光検波手段が出力する電気信号から前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号を前記加算同期手段の有するバンドパスフィルタ225Kで選択し、
前記減算手段は、前記光検波手段が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号を前記減算同期手段の有するバンドパスフィルタ225Gで選択する。
【0078】
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0079】
図17の光分波器202、信号源221と局発光源222Kと光検波器224Kとバンドパスフィルタ225Kと包絡線検波器226K、信号源221と局発光源222Gと光検波器224Kとバンドパスフィルタ225Gと包絡線検波器226G、加減算器227が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0080】
また、図14、図17ではコヒーレント検波としてヘテロダイン検波の包絡線検波を前提に構成しているが、図15、図18に示すように同期検波を採用してもよいし、中間周波数を0に近似されるホモダイン検波としてもよい。
【0081】
なお、中間周波数は、強い妨害光の場合に、そのベースバンド付近の干渉を除去する観点から、妨害光の変調周波数よりも十分大きい、例えば妨害光の干渉のエンベロープが信号光の強度に比べて十分小さく、バンドパスフィルタでベースバンド付近の干渉を、例えば20dB以下となる中間周波数で、かつ光検波器を含む受信器の帯域が現実的な値、例えば10GHz以下となる中間周波数とするのが望ましい。
【0082】
同期検波の場合は、例えば、バンドパスフィルタと包絡線検波器の組み合わせの代わりに、中間周波数信号と位相を同期した電気信号を出力する発振器と発信機から出力した電気信号を中間周波数信号に乗ずるミキサー等の乗算器に置き換えてもよい。
【0083】
図15の構成では、加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段である混合器223Kと223Gと、混合器223Kと223Gの混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有し、
前記加算同期手段の混合する前記局発光と前記減算同期手段の混合する前記局発光は前記加算同期手段の混合する前記局発光と前記差分光周波数異なり、
前記加減算手段である加減算器227と選択コヒーレント検波手段を有し、選択コヒーレント検波手段は前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じて出力する電気信号に信号源221Bからの電気信号を乗算手段である乗算器228で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出す。
【0084】
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0085】
図15の光分波器202、信号源221と局発光源222Kと光検波器224K、信号源221と局発光源222Gと光検波器224K、加減算器227と発振器と乗算器が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0086】
ホモダイン検波の場合は、位相ダイバーシティ型としてもよいし、位相同期ループを具備した同期検波としてもよい。ホモダイン検波を適用した場合は、妨害光の残留分の最大値がヘテロダイン検波の場合の最大値の1/2となる効果もある。
【0087】
図22の構成は図14と同様の効果を、同期受信の対象とする光周波数と局発光との光周波数差に対応する異なる中間周波数を抜き出すバンドパスフィルタ(225K、225G)をもちいることで実現している。
【0088】
前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、前記光検波手段224が出力する電気信号から中間周波数信号を選択してコヒーレント検波する選択コヒーレント検波手段と、を有し、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Kで選択して包絡線検波器226Kでコヒーレント包絡線検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Gで選択して包絡線検波器226Gでコヒーレント包絡線検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0089】
図22の信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器、バンドパスフィルタ225Kと包絡検波器226K、バンドパスフィルタ225Gと包絡検波器226G、加減算器227が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0090】
図22ではコヒーレント検波としてヘテロダイン検波の包絡線検波を前提に構成しているが、同期検波を採用してもよいし、加算同期手段と減算同期手段のいずれか一方を中間周波数を0に近似されるホモダイン検波としてもよい。
【0091】
同期検波の場合は、例えば、バンドパスフィルタと包絡線検波器の組み合わせの代わりに、中間周波数信号と位相を同期した電気信号を出力する発振器と発信機から出力した電気信号を中間周波数信号に乗ずるミキサー等の乗算器に置き換えてもよい。このとき、前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波手段を行い、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Gで選択して包絡線検波器226Gでコヒーレント包絡線検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0092】
加算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数に同期した電気信号であり、減算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数以外の周波数である。
【0093】
図23の信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器、信号源と乗算器、信号源と乗算器、加減算器227が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0094】
図24の構成は、前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、前記光検波手段224が出力する電気信号から中間周波数信号を選択してコヒーレント検波する選択コヒーレント検波手段と、を有し、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Kで選択して包絡線検波器226Kでコヒーレント包絡線検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Gで選択して包絡線検波器226でコヒーレント包絡線検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0095】
図24の信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器、バンドパスフィルタ225Kと包絡検波器226K、バンドパスフィルタ225Gと包絡検波器226G、加減算器227が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0096】
図22ではコヒーレント検波としてヘテロダイン検波の包絡線検波を前提に構成しているが、同期検波を採用してもよいし、加算同期手段と減算同期手段のいずれか一方を中間周波数を0に近似されるホモダイン検波としてもよい。
【0097】
同期検波の場合は、例えば、図23に示すように、バンドパスフィルタと包絡線検波器の組み合わせの代わりに、中間周波数信号と位相を同期した電気信号を出力する発振器と発信機から出力した電気信号を中間周波数信号に乗ずるミキサー等の乗算器に置き換えてもよい。このとき、前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波手段を行い、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した前期中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0098】
加算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数に同期した電気信号であり、減算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数と異なる周波数である。
【0099】
図23の信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器、信号源と乗算器、信号源と乗算器、加減算器227が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0100】
更に、図22で、包絡線検波器を加算同期手段と減算同期手段で共通として、加減算器227に対して後置してもよい。
【0101】
この場合、図24に示すように、前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、を有し、
前記加算同期手段の混合する前記局発光と前記減算同期手段の混合する前記局発光は同一であり、前記加算同期手段と前記減算同期手段は中間周波数が互いに異なるバンドパスフィルタを備え、
前記加減算手段は前記中心周波数が互いに異なるバンドパスフィルタで選択した前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じた中間周波数信号を包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う。
【0102】
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0103】
図24の信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器とバンドパスフィルタ225K、信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器とバンドパスフィルタ225Gとバンドパスフィルタ225G、加減算器227と包絡検波器226が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0104】
図22ではコヒーレント検波としてヘテロダイン検波の包絡線検波を前提に構成しているが、同期検波を採用してもよいし、加算同期手段と減算同期手段のいずれか一方を中間周波数を0に近似されるホモダイン検波としてもよい。
【0105】
同期検波の場合は、例えば、図23に示すように、バンドパスフィルタと包絡線検波器の組み合わせの代わりに、中間周波数信号と位相を同期した電気信号を出力する発振器と発信機から出力した電気信号を中間周波数信号に乗ずるミキサー等の乗算器に置き換えてもよい。このとき、前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波手段を行い、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Gで選択して包絡線検波器226Gでコヒーレント包絡線検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0106】
加算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数に同期した電気信号であり、減算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数と異なる周波数である。
【0107】
図23の信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器、信号源と乗算器、信号源と乗算器、加減算器227が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0108】
前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、前記光検波手段224が出力する電気信号から中間周波数信号を選択してコヒーレント検波する選択コヒーレント検波手段と、を有し、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Kで選択して包絡線検波器226Kでコヒーレント包絡線検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Gで選択して包絡線検波器226Gでコヒーレント包絡線検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0109】
図19〜図21の信号源221と局発光源222と混合手段223と光検波器224と光検波器224の出力を分岐する分岐器、バンドパスフィルタ225Kと包絡検波器226K、バンドパスフィルタ225Gと包絡検波器226G、加減算器227が、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、加減算手段205に相当する。
【0110】
図19〜図21ではコヒーレント検波としてヘテロダイン検波の包絡線検波を前提に構成しているが、同期検波を採用してもよいし、加算同期手段と減算同期手段のいずれか一方を中間周波数を0に近似されるホモダイン検波としてもよい。
【0111】
同期検波の場合は、例えば、バンドパスフィルタと包絡線検波器の組み合わせの代わりに、中間周波数信号と位相を同期した電気信号を出力する発振器と発信機から出力した電気信号を中間周波数信号に乗ずるミキサー等の乗算器に置き換えてもよい。このとき、前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、前記信号光と局発光とを混合する混合手段223と、前記混合手段223の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段224と、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波手段を行い、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した同期電気信号を取り出すコヒーレント同期検波する選択コヒーレント検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、前記光検波手段224が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタ225Gで選択して包絡線検波器226Gでコヒーレント包絡線検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期している。
【0112】
加算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数に同期した電気信号であり、減算同期手段が乗算手段で用いる電気信号は信号光と局発光の中間周波数と異なる周波数である。
【0113】
図22〜図24の構成では、局発光源222と光検波器224が単一でよいので構成が簡単な効果がある。更に、図24の構成では、包絡検波器も単一とできるので更に構成が簡単な効果がある。
【0114】
実施形態1の同期受信部210では、光分波器211の分解能や光検波器212を構成するフォトダイオード数の限界や選択器213の動作速度の限界から、受信対象とする光周波数の変動幅の細かさに限界があるが、本実施形態のコヒーレント検波を用いた同期受信部220は、その限界を軽減する効果がある。
【0115】
なお、局発光源222で発生する局発光の光周波数が、受信した信号光の光周波数と同期せず一定の光周波数の場合でも、実施形態2の受信器200は使用可能である。この場合は、光検波器224K及び224Gから出力する中間周波数信号の中間周波数が変化するので、図22〜図24に示すように、送信側の光周波数の変化に同期してレベル等が変化する電気信号を発生する信号源221Aからの当該電気信号によって、バンドパスフィルタ225の中心周波数を変化させればよい。これにより中間周波数の信号を検出できる。
【0116】
ここで、コヒーレント包絡線検波を例に説明したが、コヒーレント同期検波の場合の中間周波数信号に乗ずる電気信号の周波数と位相を送信側の光周波数の変化に同期して変化させればよい。即ち、図15、図18、図19、図20、図21、図23、図25、図26では信号源の出力する電気信号を送信側の光周波数の変化に同期して変化させればよい。
【0117】
なお、局発光の光周波数が一定の場合について示したが、信号光と局発光の光周波数差の変化に同期してバンドパスフィルタ225の通過する中心周波数や信号源221Bの出力する電気信号の周波数を変化できれば、局発光の周波数が変動してもかまわない。
【0118】
即ち、図14〜図18及び図22〜図24では局発光の光周波数のみが、図19〜図21、図25及び図26ではコヒーレント検波をする中間周波数の周波数のみを変更した例で示したが、局発光の光周波数変化とコヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期すればよいので、適宜、その変化量を局発光の光周波数の変化とコヒーレント検波対象の中間周波数の変化は割り振ってよい。
【0119】
(実施形態3)
本実施形態の送通信システムと実施形態1の光通信システムとが異なる点は、本実施形態の送通信システムが送信器100側の光周波数変化部130の後段に分散器160(不図示)を配置し、受信器200の同期受信部210の前段に逆分散器230(不図示)を配置した点である。分散器160および逆分散器230は、伝送中の信号光の時間−光周波数変化の特性を変化させ、光周波数に対する伝搬時間を変化させる。例えば、高周波数ほど遅延の大きくなる分散を付与するときは、1ビット期間に信号光の光周波数が低周波数側から高周波数側に変化する場合、1ビットの信号は時間方向に伸張されることになる。これに対し、いずれかが逆であれば、逆に1ビットの信号は時間方向に短縮されることになる。例えば、高周波数ほど遅延の小さくなる分散を付与するときは、1ビット期間に信号光の光周波数が低周波数側から高周波数側に変化する場合、1ビットの信号は時間方向に短縮されることになる。
【0120】
本実施形態によれば、信号光の1ビット期間が時間方向に伸張あるいは短縮されて光ファイバ400内を伝送されるので、妨害光と信号光の光周波数が干渉する確率が大幅に低減される。また、分散器160と光ファイバ400で付与される分散の総合分散特性と、逆分散器230で付与される「分散特性の合計の分散が概ね零になる」ように分散器160と逆分散器230の分散特性を設定すれば、遅延時間の和が信号光の光周波数によらず一定となるので、送信器100の信号源131の信号の変化と受信器200の信号源214の信号の変化が一致し、受信器200では送信データDinに正確に対応した受信データDoutを再生することができる。
【0121】
受信器200を、上述の説明したコヒーレント検波方式の同期受信部220で構成した場合であっても、信号光と局発光の周波数関係は同様である。このとき、光周波数による遅延時間の和の誤差分は、中間周波数信号を通過させるバンドパスフィルタ225の通過周波数以下に収まることが望ましい。2値データの場合で、伝送速度をBbit/sとすると、バンドパスフィルタ225の通過帯域幅はBHz以上必要となるが、ホモダインではバンドパスフィルタ(この場合、通常、DCブロックとローパスフィルタの組み合わせ)の通過帯域幅は、0.5BHzで済む。従って、妨害光の残留成分は、概ね半分となる。
【0122】
なお、前記した「分散特性の合計の分散が概ね零になる」とは、ある時刻における信号光の光周波数が同期受信部の検出対象(同期用)周波数の範囲に含まれていることを意味する。図2の同期受信部210であれば、ある時刻における信号光の光周波数が、選択器213により選択されている光検出器に分波される光周波数であることであり、図14、図16、図17の同期受信部220であれば、局発光と信号光の光周波数差である中間周波数の信号成分が、バンドパスフィルタ225の通過域に含まれていることである。
【0123】
本実施形態は、妨害光の光周波数が時間に対して変化する場合に特に有効である。例えば、妨害光と信号光の時刻tにおける光周波数の差が、同期受信部の受信対象(同期用)周波数の幅(図3〜図5のBに相当)以下である場合に有効となる。このような妨害光としては、信号光と同一シンボルレートの妨害光があり、その妨害光を発生する直接変調レーザダイオードのチャープ特性が信号光を発生する直接変調レーザダイオードのチャープ特性と同一の場合に起こりうる。実施形態1〜2では、このような場合に、妨害光の影響を除去することができなかった。しかし、本実施形態では、逆分散器230によって、妨害光の時間に対する光周波数の変調が変化するので、妨害光と信号光の時刻tにおける光周波数の差を、同期受信部210の受信対象(同期用)周波数の幅(図3〜図5のBに相当)以上とすることができる。
【0124】
また、分散器160によって伸張し又は短縮したビット期間は、既存の機器で用いられているような「ビット期間に一致しない」ことが望ましい。例えば、155Mbit/sと622Mbit/sの伝送速度(シンボルレート)を考えると、155Mbit/sの伝送速度の信号光のビットが4倍に伸張する分散を与えてしまうと、622Mbit/sの妨害光と偶然一致する可能性が出てくる。逆に、622Mbit/sの伝送速度の信号光のビットが1/4倍に短縮する分散を与えてしまうと、155Mbit/sの妨害光と偶然一致する可能性が出てくる。このため、分散器160によって、既存の機器では用いられていないようなビット期間に伸張又は短縮するような分散を与えることが望ましい。
【0125】
ここで、「ビット期間に一致しない」とは、ある時刻における妨害光の光周波数が、同期受信部の検出対象(同期用)周波数に含まれていないことである。図2の同期受信部210であれば、選択器213により選択されている光検波器に分波される光周波数に含まれていないことであり、図14及び図16の同期受信部220であれば、局発光と信号光の光周波数差である中間周波数の信号成分が、バンドパスフィルタ225の通過域に含まれていないことである。このように、分散量を決定することが望ましい。
【0126】
なお、逆分散器230により妨害光の実時間波形が拡大する方向に遅延時間を付与する場合、徐々に各シンボル同士が重なり合い、同時に複数の光周波数の妨害光が存在することになり、その極限としては、妨害光として一定の値に近づく恐れがあるため、逆分散器230では、妨害光の実時間波形が短縮する方向に遅延時間を付与することが望ましい。
【0127】
また、以上では、分散器160や逆分散器230として、通常の伝送路分散を補償する分散補償器と同様に、光周波数に対する遅延時間が一様に増加するか減少する単調変化の分散や逆分散を前提に説明したが、光周波数に対する遅延時間がランダムに変化する分散を用いることも可能であり、この場合は、信号光と妨害光の光周波数が一致する可能性がより低くなるのでより好ましい。
【0128】
また、分散付与の違いを、光周波数領域の符号として用いれば、光符号多重用の符号として用いることも可能となる。この場合、多元接続干渉(MAI)は、ある時刻における他符号光の光周波数が、同期受信部の検出対象(同期用)周波数の範囲に含まれていることから発生する。図2の同期受信部210であれば、選択器213により選択されている光検出器に分波される光周波数に含まれていることであり、図14及び図16の同期受信部220であれば、局発光と信号光の光周波数差である中間周波数の信号成分が、バンドパスフィルタ225の通過帯域に含まれていることである。許容範囲となるMAIに収まるように信号光の光周波数変化や分散を付与する。信号光の光周波数変化の仕方(傾きや変化幅等)と分散器の分散付与の組み合わせにより符号を構成すれば、より符号数が増大する。
【0129】
(実施形態4)
本実施形態では、受信した信号光に逆分散を与える逆分散器230に代えて、コヒーレント検波型の同期受信部220において、局発分散器227を配置している。この局発分散器227は、信号光と同期して光周波数が変化する局発光源222で発生した局発光に対して、その光周波数に応じて異なる遅延時間を付与する。本実施形態では、送信器100側の分散器160と局発分散器227は、光検波器224で得られる中間周波数だけずれた光周波数に同じ遅延時間を付与する。このため、信号光と局発光の周波数関係は図14及び図16の受信器200を使用する場合と同様となる。
【0130】
従って、局発分散器227の分散は、伝送路分散に分散器160の分散を加えた分散から、局発分散器227の分散を減じた分散特性の合計の分散が概ね零となるようにする。また、実施形態1の送信器100と組み合わせて、伝送路分散がある場合の分散補償器の代わりに、本局発分散器227を用いることも可能である。この場合、伝送路分散から、局発分散手段の分散を減じた分散特性の合計の分散が概ね零となるようにする。なお、本実施形態では、分散器160および局発分散器227の分散は波形が広がる方向の分散であり、広がった波形が隣接するビット期間まで広がる場合、ISIが発生するため、波形が狭まる方向に分散を加えることが望ましい。又はISIを発生しない部分のみを抜き出してデータ信号として取り出すことが望ましい。
【0131】
(実施形態5)
以上では送信器100に分散器160を設置し、受信器200に逆分散器230や局発分散器227を設置したが、送信器100に分散器160を設置するのみでも、信号光と妨害光の光周波数が偶然一致する可能性の軽減を高めることができる。この場合は、受信器200において、送信器100の分散器160および光ファイバ400で分散が付与された遅延時間をもつビットの信号光の光周波数に応じた時間−周波数特性に対応して検出対象(同期用)周波数を変化させてデータを同期受信する同期受信部を使用すればよい。
【0132】
従って、同期受信部は、伝送路分散に分散器160の分散を加えた分散による光周波数毎に異なる伝搬遅延を被った後の光周波数変化に応じて同期受信する。また、実施形態1の送信器100と組み合わせて、伝送路分散がある場合の分散補償器の代わりに、局発分散器227を用いることも可能である。この場合、伝送路分散による光周波数毎に異なる伝搬遅延を被った後の光周波数変化に応じて同期受信する。
【0133】
また、実施形態3の受信器に本同期受信部を組み合わせてもよい。この場合、伝送路分散に分散器160の分散と逆分散器230の分散を加えた分散による光周波数毎に異なる伝搬遅延を被った後の光周波数変化に応じて同期受信する。更に、実施形態4の受信器に本同期受信部を組み合わせてもよい。この場合、伝送路分散に分散器160の分散を加えた分散から、局発分散器227の分散を減じた分散による光周波数毎に異なる伝搬遅延を被った後の光周波数変化に応じて同期受信する。これらの実施形態3や実施形態4の受信器に本同期受信部を組み合わせることで、分散補償の不足分や、信号光と局発光の光周波数変化の違いを補償することが可能である。
【0134】
なお、本実施形態でも、実施形態4と同様に、波形が広がる方向に分散があるときISIの恐れがあるので、波形が狭まる方向に分散を加えるか、ISIを発生しない部分のみを抜き出してデータ信号として取り出すことが望ましい。
【0135】
(実施形態6)
本実施形態の受信器200の構成は図27から図34に示すどの構成であってもよい。図27と図31を用いて説明する。
【0136】
加算同期手段は光検出器と電気の分岐器と半ビットの遅延線(T/2遅延線)とから構成され、減算同期手段は光検出器と電気の分岐器とから構成される。加減算手段は加減算器とゲートスイッチから構成される。
【0137】
加算同期手段は光の半ビットの遅延線(T/2遅延線)と光検出器224Kとから構成され、減算同期手段は光検出器224Gから構成される。加減算手段は加減算器213Sとゲートスイッチから構成される。図31の光分岐手段202、T/2遅延線と光検波器224K、光検波器224G、加減算器213S及びゲートが、図1の光分岐手段202、加算同期手段203及び減算同期手段204、図1の加減算手段205に相当する。
【0138】
本発明に係る受信器の前記加算同期手段は前記1シンボル期間中で前記信号光の強度が所定の値である時間に同期した出力を加減算手段に出力し、前記減算同期手段は前記差分時間に同期した出力を加減算手段に出力している。ここで差分時間、例えば、前記1シンボル期間中で前記信号光の強度が所定の値である時間と前記1シンボル期間中で前記信号光の強度が前記所定の値と反転した値である時間との時間の差として1/2ビット時間で例示する。この差分時間は例であり、この値に限定されない。また、信号光を除く入力に対する出力が均衡するように出力する時間の積が加算同期手段と減算同期手段で一致するようにすれば1ビット時間の内の複数時間を加算同期手段と減算同期手段で出力してもよい。
【0139】
本受信器に入力される信号は、図35から図37に示すように、本願の他の実施の形態と異なり、ビット時間を半分に分け、それぞれを複数の異なる強度で変調する。図35の信号光の場合はデータの値が1の場合に半分のビット時間を出力あり、残り半分を出力なしとし、データの値が0の場合に全ビット時間が出力なしとしている。図35から図37では右から時間が始まるとする。データの値が図の右から001101である場合、信号光の強度は半ビットずつみてビットごとに括弧でくくると(00)(00)(10)(10(00)(10)となる。加算側はT/2遅延線によって半ビットずれるので、000001010001となり、減算側はそのままであるので000010100010となる。前者から後者を減ずると000001010001となる。ここでゲートスイッチによりビットの後半の値を抜き出すと順に001101となりデータが復元できる。妨害光の場合をビット同期ができており、データの値が図の右から001101である場合で説明する。このとき、ビット全体に信号光が広がっているとする。信号光の強度は半ビットずつみてビットごとに括弧でくくると(00)(00)(11)(11)(00)(11)となる。加算側はT/2遅延線によって半ビットずれるので、000001111001となり、減算側はそのままであるので000011110011となる。前者から後者を減ずると000−10010−10となる。ここでゲートスイッチによりビットの後半の値を抜き出すと順に000000となり妨害光が除去できていることが分かる。
【0140】
信号光の強度は図37に示すものであってもよい。この場合はデータの値が1の場合に前半のビット時間に出力あり、残り半分を出力なしとし、データの値が0の場合に後半のビット時間に出力あり、残り半分を出力なしとしている。この信号の場合は、図に示すように、1の値は正の値、0の値は負の値となり、1の値と0の値で信号の出力強度が左側の信号の形式よりも倍大きい効果がある。なおここで、直接検波の例で示したが、ヘテロダイン受信等のコヒーレント受信を適用してもよい。
【0141】
本実施形態では強度をビット時間内で変更する信号光を用いたが、強度に加えて加えて、本発明の他の実施形態でビット時間内で光周波数を変化させる信号光を用いて、本実施形態で用いた受信器と本発明の他の実施形態を組み合わせるのが更に望ましい。
【0142】
例えば、図38に示す構成とする。ここで、受信器は図14と同じ構成である。但し、受信対象とする光周波数は図5に示すものとする。送信器は、図5に示す光周波数を受信するのに用いる複数の局発光と同様のビット時間よりも短い時間だけ時間シフトして2つの光の内のいずれかにより、送信データの値を示す信号光を出力する。このような送信機は、図14の局発光の生成と同様に、時間差を与えた電気信号で複数の光源を周波数変調するか、変調した信号光を分岐すればよい。そして、例えば、時間シフトなしの光が送信データの「1」の値をしめし、時間シフトありの光が「0」の値を示すとすればよい。信号光とその出力の例を図39に示す。図39の1段目は時間に対する信号光の光周波数を、2段目は時間に対する加算同期手段と減算同期手段の受信対象とする光周波数を示す。信号光、加算同期手段、減算同期手段はそれぞれ実線、点線、破線にて示している。3段目は加算同期手段の、4段目は減算同期手段の、5段目は加減算手段のそれぞれの時間に対する出力強度を示している。実施形態2であれば、減算同期手段の出力が零であるため、加減算手段の出力も加算同期手段の出力と等しくなる。本実施例では、減算同期手段の出力も非零の値となるため、1の値と0の値で信号の出力強度が倍となる効果もある。妨害光の場合の例を図40に示す。図40の1段目は時間に対する妨害光の光周波数を、2段目は時間に対する加算同期手段と減算同期手段の受信対象とする光周波数を示す。妨害光、加算同期手段、減算同期手段はそれぞれ実線、点線、破線にて示している。3段目は加算同期手段の、4段目は減算同期手段の、5段目は加減算手段のそれぞれの時間に対する出力強度を示している。図に示すように、各ビット毎の加算同期手段と減算同期手段の出力が同一であり、相殺するために妨害光の影響が除去できることがわかる。なお、本実施形態では示していないが、上述の実施形態と同様に光周波数毎に遅延時間を付与及び除去する構成を追加してもよい。
【符号の説明】
【0143】
10:光通信システム
100:送信器
110:光源
120:強度変調器
130:光周波数変化部
131:信号源
132:周波数変調器
140、150:光周波数変化部
141:信号源
142:混合器
143、152:直接変調レーザダイオード
151:波形整形器
200:受信器
202:光分岐手段
203:加算同期手段
204:減算同期手段
205:加減算手段
211:光分波器
212:光検波器
213、213K、213G:加算選択器
213S:加減算器
214:信号源
220:同期受信部
221、221A、221B:信号源
222、222K、222G:局発光源
223、223K、223G:混合器
224、224K、224G:光検波器
225、225K、225G:バンドパスフィルタ
226、226K、226G:コヒーレント検波器
227:加減算器
300:光カプラ
400:光ファイバ
500:不適合器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光周波数又は強度がデータの少なくとも1シンボル期間中で変化する信号光を、前記信号光の光周波数又は強度の変化の少なくとも一方で同期受信する加算同期手段と、
前記信号光を、前記信号光の光周波数と所定の光周波数差をもつ差分光周波数又は前記信号光の強度が所定の強度となる時間と所定の時間差をもつ差分時間の少なくとも一方で同期受信する減算同期手段と、
前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じて、前記信号光に含まれるデータを取得する加減算手段と、
を備える受信器。
【請求項2】
前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、
前記信号光と局発光とを混合する混合手段と、
前記混合手段の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、
前記光検波手段が出力する電気信号から中間周波数信号を選択してコヒーレント検波する選択コヒーレント検波手段と、を有し、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、
前記光検波手段が出力する電気信号から前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタで選択して包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う、又は前記光検波手段が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、
前記光検波手段が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタで選択して包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う、又は前記光検波手段が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期していることを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項3】
前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、
前記信号光と局発光とを混合する混合手段と、
前記混合手段の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有し、
前記加減算手段は、
前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じた出力から前記信号光の光周波数に同期した中間周波数信号をバンドパスフィルタで選択して包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う、又は前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じて出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波を行う選択コヒーレント検波手段を有しており、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期していることを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項4】
前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、
前記信号光と局発光とを混合する混合手段と、
前記混合手段の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有し、
前記加減算手段は、
前記加算同期手段側と前記減算同期手段側とで中心周波数が互いに異なるバンドパスフィルタを持ち、前記バンドパスフィルタを経由した前記加算同期手段の出力から前記バンドパスフィルタを経由した前記減算同期手段の出力を減じた中間周波数信号を包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う選択コヒーレント検波手段を有し、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期していることを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項5】
前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、
前記信号光を光周波数に応じて分波する光分波手段と、
前記光分波手段で分波した光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、
前記光周波数に応じた電気信号を選択する選択手段と、を有し、
前記光検波手段は前記分波手段で分波した光をそれぞれ光検波して電気信号を出力する光検波手段であり、前記選択手段は前記光検波手段が出力する出力電気信号の中から1の前記電気信号を受信対象として選択する選択手段である、又は前記選択手段は前記光分波手段が出力する光の中から1の前記光を受信対象として選択する手段であり、
前記加算同期手段の有する前記選択手段の受信対象とする電気信号又は光は前記信号光の光周波数に同期しており、
前記減算同期手段の有する前記選択手段の受信対象とする電気信号は前記差分光周波数に同期していることを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項6】
前記加算同期手段は前記1シンボル期間中で前記信号光の強度が所定の値である時間に同期した出力を加減算手段に出力し、
前記減算同期手段は前記差分時間に時間に同期した出力を加減算手段に出力していることを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の受信器と、
光周波数又は強度の少なくとも一方がデータの少なくとも1シンボル期間中で変化する信号光を送信する送信器と、
を備える光通信システム。
【請求項8】
前記送信器は、前記信号光に対して前記信号光の光周波数に応じて異なる遅延時間を付与する分散手段を有し、
前記受信器は、前記分散手段及び前記送信機と前記受信器を接続する伝送路で光周波数に応じて異なる遅延時間を付与された前記信号光を前記分散手段及び前記送信機と前記受信器を接続する伝送路で与えられた遅延時間を解消する逆分散手段をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の光通信システム。
【請求項9】
前記送信器は、前記信号光に対して前記信号光の光周波数に応じて異なる遅延時間を付与する分散手段を有し、
請求項2から4のいずれかに記載の受信器は、前記局発光の光周波数に応じて異なる遅延時間を前記局発光に付与することで前記信号光を前記分散手段及び前記送信機と前記受信器を接続する伝送路で与えられた遅延時間を解消する局発分散手段をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の光通信システム。
【請求項1】
光周波数又は強度がデータの少なくとも1シンボル期間中で変化する信号光を、前記信号光の光周波数又は強度の変化の少なくとも一方で同期受信する加算同期手段と、
前記信号光を、前記信号光の光周波数と所定の光周波数差をもつ差分光周波数又は前記信号光の強度が所定の強度となる時間と所定の時間差をもつ差分時間の少なくとも一方で同期受信する減算同期手段と、
前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じて、前記信号光に含まれるデータを取得する加減算手段と、
を備える受信器。
【請求項2】
前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、
前記信号光と局発光とを混合する混合手段と、
前記混合手段の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、
前記光検波手段が出力する電気信号から中間周波数信号を選択してコヒーレント検波する選択コヒーレント検波手段と、を有し、
前記加算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、
前記光検波手段が出力する電気信号から前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタで選択して包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う、又は前記光検波手段が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波を行い、
前記減算同期手段の有する前記選択コヒーレント検波手段は、
前記光検波手段が出力する電気信号から前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号をバンドパスフィルタで選択して包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う、又は前記光検波手段が出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記差分光周波数に同期した前記中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波を行い、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期していることを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項3】
前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、
前記信号光と局発光とを混合する混合手段と、
前記混合手段の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有し、
前記加減算手段は、
前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じた出力から前記信号光の光周波数に同期した中間周波数信号をバンドパスフィルタで選択して包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う、又は前記加算同期手段の出力から前記減算同期手段の出力を減じて出力する電気信号に信号源からの電気信号を乗算手段で乗じて前記信号光の光周波数に同期した前記中間周波数信号を取り出すコヒーレント同期検波を行う選択コヒーレント検波手段を有しており、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期していることを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項4】
前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、
前記信号光と局発光とを混合する混合手段と、
前記混合手段の混合した混合光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、を有し、
前記加減算手段は、
前記加算同期手段側と前記減算同期手段側とで中心周波数が互いに異なるバンドパスフィルタを持ち、前記バンドパスフィルタを経由した前記加算同期手段の出力から前記バンドパスフィルタを経由した前記減算同期手段の出力を減じた中間周波数信号を包絡線検波器でコヒーレント包絡線検波を行う選択コヒーレント検波手段を有し、
前記局発光の光周波数変化と前記選択コヒーレント検波手段の選択する中間周波数信号の周波数変化の和が信号光の時間変化に同期していることを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項5】
前記加算同期手段及び前記減算同期手段は、
前記信号光を光周波数に応じて分波する光分波手段と、
前記光分波手段で分波した光を光検波して電気信号を出力する光検波手段と、
前記光周波数に応じた電気信号を選択する選択手段と、を有し、
前記光検波手段は前記分波手段で分波した光をそれぞれ光検波して電気信号を出力する光検波手段であり、前記選択手段は前記光検波手段が出力する出力電気信号の中から1の前記電気信号を受信対象として選択する選択手段である、又は前記選択手段は前記光分波手段が出力する光の中から1の前記光を受信対象として選択する手段であり、
前記加算同期手段の有する前記選択手段の受信対象とする電気信号又は光は前記信号光の光周波数に同期しており、
前記減算同期手段の有する前記選択手段の受信対象とする電気信号は前記差分光周波数に同期していることを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項6】
前記加算同期手段は前記1シンボル期間中で前記信号光の強度が所定の値である時間に同期した出力を加減算手段に出力し、
前記減算同期手段は前記差分時間に時間に同期した出力を加減算手段に出力していることを特徴とする請求項1に記載の受信器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の受信器と、
光周波数又は強度の少なくとも一方がデータの少なくとも1シンボル期間中で変化する信号光を送信する送信器と、
を備える光通信システム。
【請求項8】
前記送信器は、前記信号光に対して前記信号光の光周波数に応じて異なる遅延時間を付与する分散手段を有し、
前記受信器は、前記分散手段及び前記送信機と前記受信器を接続する伝送路で光周波数に応じて異なる遅延時間を付与された前記信号光を前記分散手段及び前記送信機と前記受信器を接続する伝送路で与えられた遅延時間を解消する逆分散手段をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の光通信システム。
【請求項9】
前記送信器は、前記信号光に対して前記信号光の光周波数に応じて異なる遅延時間を付与する分散手段を有し、
請求項2から4のいずれかに記載の受信器は、前記局発光の光周波数に応じて異なる遅延時間を前記局発光に付与することで前記信号光を前記分散手段及び前記送信機と前記受信器を接続する伝送路で与えられた遅延時間を解消する局発分散手段をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の光通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【公開番号】特開2012−244478(P2012−244478A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113691(P2011−113691)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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