受信装置、通信システム、受信方法及び通信方法
【課題】トレーニング信号を用いずにウエイトの算出を行なう。
【解決手段】受信機のウエイト算出267は、周波数毎に、受信信号から変換された当該周波数のベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における当該ベースバンド信号の複素共役とから、当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成する。そして、生成した当該周波数の仮想の送信信号と、受信信号から得られたベースバンド信号を復調した信号を再変調して生成した当該周波数のレプリカの送信信号との差分であるエラー信号を用いて当該周波数のウエイトを更新する。ウエイト算出部は、この処理をベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行い、更新されたウエイトを誤差補償部257に伝達する。誤差補償部257は、後続の受信信号から変換されたベースバンド信号に、伝達されたウエイトを乗算してIQインバランスを補償する。
【解決手段】受信機のウエイト算出267は、周波数毎に、受信信号から変換された当該周波数のベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における当該ベースバンド信号の複素共役とから、当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成する。そして、生成した当該周波数の仮想の送信信号と、受信信号から得られたベースバンド信号を復調した信号を再変調して生成した当該周波数のレプリカの送信信号との差分であるエラー信号を用いて当該周波数のウエイトを更新する。ウエイト算出部は、この処理をベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行い、更新されたウエイトを誤差補償部257に伝達する。誤差補償部257は、後続の受信信号から変換されたベースバンド信号に、伝達されたウエイトを乗算してIQインバランスを補償する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信やコヒーレント光通信におけるIQインバランスを補償するための信号処理を行なう受信装置、通信システム、受信方法及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この十年の間に、携帯電話やFTTH(Fiber to the Home)等の発達により、インターネットを利用するユーザが増加した。この結果、様々なサービスが提供され、動画像配信など高スループットが必要となるサービスも登場している。これらのサービスを利用するために、携帯電話や無線LAN(Local Area Network)等の無線通信システムの広帯域化への要求が高まっており、FTTHに匹敵する伝送速度を達成する次世代無線通信システムが検討されている。
【0003】
また、インターネットの発展に伴い、バックボーンネットワークを流れるトラヒック量が爆発的に増加しており、バックボーンネットワークの広帯域化も必要となっている。バックボーンネットワークを構成する光通信においてはWDM(Wavelength Division Multiplexing)などの技術を用いてキャパシティを上げてきたが限界に達しているため、最近は1波長当たりのチャネルの広帯域化が検討されている。広帯域化を図るために、無線通信で用いられているデジタル信号処理を用いたコヒーレント送受信が有望視されており、現在盛んに研究されている。
【0004】
無線通信や、コヒーレント光通信では、周波数の有効利用が可能となる位相変調が必須となっている。位相変調を行うためには、送受信機では、通信に利用する帯域において良好なIQバランス特性を有する必要がある。IQバランス特性としては、振幅、及び位相のそれぞれの面でのバランスがあり、理想的な送受信機では、同相チャネル(Iチャネル)と直交チャネル(Qチャネル)信号間の入出力ゲイン(入出力レベル)が等しく、位相差が90度となる。しかしながら、送受信機の広帯域化が進むにつれて、良好なIQバランス特性を広帯域に渡り達成するのは難しくなる。このようなIQバランス特性の悪化(IQインバランス)は、誤り率を増加させ、通信品質を劣化させる問題がある。
【0005】
IQバランス特性には、周波数非選択性(周波数非依存性)と周波数選択性(周波数依存性)との2種類がある。周波数非選択性のIQインバランスは、直交変調器へ入力されるI/Q信号のゲインがケーブル等の減衰によって差が生じた場合や、I/Q信号に乗算されるローカル信号間の位相差が90度からずれた場合に発生する。一方、周波数選択性のIQインバランス特性は、デジタル・アナログ変換器やローパスフィルタ、直交変調器ICなどの周波数特性に起因し、広帯域化が進むほどIQバランス特性を良好に保つのは難しい。
【0006】
送信機内に周波数選択性IQインバランスが存在する場合、直交変調器の出力信号は式(1)のように記述できる。
【0007】
y(t)=g1(t)*x(t)+g2(t)*x*(t) …(1)
【0008】
ここで、x(t)は時刻tにおける送信信号、y(t)は直交変調器の出力複素信号である。*は畳み込み演算、*は複素共役を示す。また、g1(t)及びg2(t)はそれぞれ、以下の式(2)、式(3)で記述できる。
【0009】
g1(t)={hI(t)+a・ejθ・hQ(t)}/2 …(2)
【0010】
g2(t)={hI(t)−a・ejθ・hQ(t)}/2 …(3)
【0011】
ここで、a及びθは周波数に依存しないI/Q間の振幅比及び位相誤差[rad(ラジアン)]であり、理想的な場合、a=1及びθ=0[rad]となる。また、hI(t)及びhQ(t)はそれぞれ、ローパスフィルタやデジタル・アナログ変換器などに起因するIチャネルインパルス応答及びQチャネルのインパルス応答であり、理想的な場合、hI(t)=hQ(t)となる。したがって、a=1、θ=0、且つ、hI(t)=hQ(t)の理想的である場合は、g2(t)の値は0となり、複素共役の信号x*(t)が消え、所望信号であるx(t)のみが直交変調器より出力される。
【0012】
フーリエ変換により式(1)を周波数領域の信号Y(f)に変換すると、以下の式(4)のように記述できる。fは周波数を示す。
【0013】
Y(f)=G1(f)・X(f)+G2(f)・X*(−f) …(4)
【0014】
ここで、G1(f)及びG2(f)は、g1(t)及びg2(t)のフーリエ変換後の信号であり、X(f)はx(t)のフーリエ変換後の信号である。したがって、中心周波数(ローカル信号の周波数)を中心として対称の周波数の信号(X*(−f))が、IQバランス特性に依存する係数(G2(f))と乗算され、干渉信号となって所望信号に合成される。図19は、干渉信号が所望信号に合成される様子を示す概念図である。同図に示すように、IQインバランスに起因する干渉が生じ、伝送品質が劣化する。
【0015】
送信機に周波数選択性IQインバランスが存在する時のシミュレーション結果を説明する。図20は、シミュレーションに用いたシングルキャリア方式の送信機50及び受信機60のシミュレーションモデルを示す図である。送信機50では、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)マッピング処理501により、バイナリ信号をQPSK変調フォーマットに従ってIQ信号に変換する。その後、ルートレイズドコサインフィルタ(ロールオフ率α=0.5)を帯域制限フィルタ502としてIQ信号のフィルタリングを行う。その後、フィルタ503−1及びフィルタ503−2をかけ、周波数非選択性IQインバランス504を付加して周波数選択性IQインバランスを生成している。
【0016】
フィルタのインパルス応答は、一般的に、(b0+b1z―1+b2z−2+…+bNz−N)/(1+a1z―1+a2z−2+…+aMz−M)として算出される。z−1、z−2、…は、遅延を表す。ここでは、フィルタ503−1におけるインパルス応答hI(t)の分子の係数[b0,b1,b2]及び分母の係数[a0,a1,a2]は[1,1,0]及び[1,0.7162,0]とし、フィルタ503−2におけるインパルス応答hQ(t)の分子の係数[b0,b1,b2]及び分母の係数[a0,a1,a2]は[1,1,0]及び[1,0.4602,0]とした。また、周波数非選択性IQインバランスにおけるaとθの値はそれぞれ、0.2dB(デシベル)、3度とした。
【0017】
受信機60では、送信機50の帯域制限フィルタ502と同じ帯域制限フィルタ601を用いてフィルタリングを行い、サイズ64のフーリエ変換602により周波数領域信号に変換して、等化603を行った後、サイズ64の逆フーリエ変換604を行った。オーバラップセーブ法により、中心の32個の信号を抽出し、端の32個の信号を削除することにより、シンボル間干渉を緩和した。
【0018】
図21は、図20に示すシミュレーションモデルによる逆フーリエ変換後の信号のコンスタレーションを示している。周波数選択性IQインバランスにより、コンスタレーションが広がっている。各点の距離が縮まったため、デマッピングを行う際に判定誤りが生じる可能性が高まる。
【0019】
上記の周波数選択性IQインバランスの補償を行う手法として、非特許文献1では、トレーニング信号を用いて、IQインバランス補償用のウエイトを算出し、IQインバランスを補償する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】”Compensation schemes and performance analysis of IQ imbalance in OFDM receivers”,IEEE Trans. on Sig. Proc.,Vol. 53,No. 8,pp. 3257-3268, 2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、非特許文献1の方法では、トレーニング信号を必要とするため、伝送効率が低下する問題がある。すなわち、トレーニング信号を送信する時間があるため、データ信号を送信する時間が短くなり、スループットが低下する。
また、既存の通信システムに導入する場合、信号フォーマットの変更やフォーマット変更に伴う信号処理方法の変更が必要となり、IQインバランス補償装置の導入にかかるコストが大きくなる問題がある。
【0022】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、トレーニング信号を用いずにウエイトの算出を行なう受信装置、通信システム、受信方法及び通信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上述した課題を解決するために、本発明は、受信した信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換して復調する受信装置であって、送信装置からの送信信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換部により変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償部と、前記誤差補償部から出力された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行って得られた前記ウエイトを前記誤差補償部に伝達するウエイト算出部と、を具備することを特徴とする受信装置である。
【0024】
また、本発明は、受信した信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換して復調する受信装置であって、送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトの通知先である前記送信装置からの送信信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、前記変換部により変換された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出部と、前記ウエイト算出部が算出した前記ウエイトを前記送信装置に送信するウエイト送信部と、を具備し、前記受信部は、前記ウエイト送信部が前記ウエイトを前記送信装置に送信した後、送信した前記ウエイトによりIQインバランスが補償された送信信号を前記送信装置から受信する、ことを特徴とする受信装置である。
【0025】
また、本発明は、送信装置と受信装置とからなる通信システムであって、前記送信装置は、入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する変調部と、前記変調部が変調したベースバンド信号を無線信号または光信号に変換した送信信号を送信する送信部とを具備し、前記受信装置は、前記送信装置からの前記送信信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換部により変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償部と、前記誤差補償部から出力された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行って得られた前記ウエイトを前記誤差補償部に伝達するウエイト算出部とを具備する、ことを特徴とする通信システムである。
【0026】
また、本発明は、送信装置と受信装置とからなる通信システムであって、前記送信装置は、入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する変調部と、前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを前記受信装置から受信するウエイト受信部と、前記変調部により変換された前記ベースバンド信号に前記ウエイト受信部により受信した前記ウエイトを乗算してIQインバランスを補償するプリディストーション処理部と、前記プリディストーション処理部から出力された前記ベースバンド信号を無線信号または光信号に変換した送信信号を送信する送信部とを具備し、前記受信装置は、前記送信装置からの前記送信信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、前記変換部により変換された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出部と、前記ウエイト算出部が算出した前記ウエイトを前記送信装置に送信するウエイト送信部とを具備する、ことを特徴とする通信システムである。
【0027】
また、本発明は、上述する通信システムであって、前記変調部は、前記ウエイト算出部において前記ウエイトの算出が完了するまでは、フレーム誤りが発生する可能性が小さい変調方式及び符号化を用いて、入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する、ことを特徴とする。
【0028】
また、本発明は、受信した信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換して復調する受信装置の受信方法であって、送信装置からの送信信号を受信する受信ステップと、前記受信ステップにおいて受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換ステップと、前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換ステップにおいて変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償ステップと、前記誤差補償ステップにおいて出力された前記ベースバンド信号を復調する復調ステップと、前記復調ステップにおいて復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調ステップと、周波数毎に、前記変換ステップにおいて変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調ステップにおいて当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出ステップと、を有することを特徴とする受信方法である。
【0029】
また、本発明は、送信装置と受信装置とからなる通信システムの通信方法であって、前記送信装置が、入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する変調ステップと、前記変調ステップにおいて変調されたベースバンド信号を無線信号または光信号に変換した送信信号を送信する送信ステップと、前記受信装置が、送信装置が送信した送信信号を受信する受信ステップと、前記受信ステップにおいて受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換ステップと、前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換ステップにおいて変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償ステップと、前記誤差補償ステップにおいて出力された前記ベースバンド信号を復調する復調ステップと、前記復調ステップにおいて復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調ステップと、周波数毎に、前記変換ステップにおいて変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調ステップにおいて当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出ステップと、を有することを特徴とする通信方法である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、トレーニング信号を必要とせずにIQインバランス補償用ウエイトを求めることができるため、伝送効率を低下させること無く、周波数選択性IQインバランスを補償することが可能となる。また、信号フォーマットの変更が不要であるため、既存の通信システムへの導入が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第一実施形態による無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】同実施形態による送信機の構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態による変調装置の構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態による受信機の構成を示すブロック図である。
【図5】同実施形態による復調装置の構成を示すブロック図である。
【図6】同実施形態による無線通信システムのアプリケーションデータ送受信処理のフローチャートを示す図である。
【図7】第二実施形態による光信号送信装置の構成を示すブロック図である。
【図8】同実施形態による変調装置の構成を示すブロック図である。
【図9】同実施形態による光信号受信装置の構成を示すブロック図である。
【図10】同実施形態による復調装置の構成を示すブロック図である。
【図11】第三実施形態による基地局の送受信機の構成を示すブロック図である。
【図12】同実施形態による基地局の変調装置の構成を示すブロック図である。
【図13】同実施形態による基地局の復調装置の構成を示すブロック図である。
【図14】同実施形態による端末の送受信機の構成を示すブロック図である。
【図15】同実施形態による端末の復調装置の構成を示すブロック図である。
【図16】同実施形態による端末の無線通信システムのアプリケーションデータ送受信処理のフローチャートを示す図である。
【図17】本発明の実施形態を適用したシミュレーションモデルを示す図である。
【図18】図17に示すシミュレーションモデルを用いたときの逆フーリエ変換後の信号のコンスタレーションを示す図である。
【図19】干渉信号が所望信号に合成される様子を示す概念図である。
【図20】シミュレーションモデルを示す図である。
【図21】図20に示すシミュレーションモデルを用いたときのコンスタレーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0033】
[第一実施形態]
本実施形態では、2台の無線装置がOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)通信方式を用いて信号の送受信を行う無線通信システムを想定する。図1は、本実施形態の無線通信システムの構成を示す図である。無線通信システムは、基地局1と端末2とを備えて構成される。本実施形態では、基地局1から端末2へアプリケーションデータを伝送する。そして、アプリケーションデータの送信側である基地局1が備える送信機において周波数選択性IQインバランスが発生しているものとし、受信側である端末2が備える受信機においてその周波数選択性IQインバランスを補償する。
【0034】
図2は、本実施形態における基地局1が備える送信機10(送信装置)の構成を示すブロック図である。送信機10は、変調装置101、デジタル・アナログ信号変換器(DAC)102−1、デジタル・アナログ信号変換器102−2、ローパスフィルタ(LPF)103−1、ローパスフィルタ(LPF)103−2、ローカル信号発生器104、直交変調器105及びアンテナ106を備えて構成される。
【0035】
変調装置101は、上位レイヤから出力されたバイナリ信号を変調して、ベースバンドIQ信号に変換する。変調装置101は、ベースバンドIQ信号のIチャネル(同相チャネル)のデジタル信号をデジタル・アナログ信号変換器102−1に出力し、ベースバンドIQ信号のQチャネル(直交チャネル)のデジタル信号をデジタル・アナログ信号変換器102−2に出力する。
【0036】
デジタル・アナログ信号変換器102−1は、Iチャネルのデジタル信号をアナログ信号に変換し、ローパスフィルタ103−1に出力する。デジタル・アナログ信号変換器102−2は、Qチャネルのデジタル信号をアナログ信号に変換し、ローパスフィルタ103−2に出力する。ローパスフィルタ103−1は、所定の帯域のIチャネルのアナログ信号を通過させ、直交変調器105に出力する。ローパスフィルタ103−2は、所定の帯域のQチャネルのアナログ信号を通過させ、直交変調器105に出力する。
【0037】
ローカル信号発生器104は、ローカル信号を発生させる。直交変調器105は、ローパスフィルタ103−1から入力されたIチャネルのアナログ信号及びローパスフィルタ103−2から入力されたQチャネルのアナログ信号であるアナログのベースバンドIQ信号と、ローカル信号発生器104が発生させたローカル信号をミキシングし、高周波無線信号に変換する。アンテナ106は、直交変調器105により変換された高周波無線信号を空中へ出力する。
【0038】
図3は、図2に示す変調装置101の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、変調装置101は、ヘッダ付加部151、誤り検査用信号付加部152、誤り訂正符号化部153、マッピング処理部154、シリアル・パラレル変換器(S/P)155、逆フーリエ変換部156、パラレル・シリアル変換器(P/S)157、ガードインターバル(GI)付加部158及びプリアンブル付加部159を備えて構成される。
【0039】
ヘッダ付加部151は、変調方式及び符号化情報を含むヘッダをフレーム毎に付加し、誤り検査用信号付加部152に出力する。誤り検査用信号付加部152は、端末2が備える受信機において誤りを検出できるように、誤り検査用の信号をヘッダ付加部151から入力されたフレーム毎に付加し、誤り訂正符号化部153に出力する。誤り訂正符号化部153は、端末2が備える受信機において誤り訂正ができるように、誤り検査用信号付加部152から入力されたフレームに誤り訂正符号化を行い、マッピング処理部154に出力する。マッピング処理部154は、誤り訂正符号化部153から入力されたバイナリ信号を、決定された変調フォーマットに従って、同相成分・直交成分からなるIQ信号に変換し、シリアル・パラレル変換器155に出力する。
【0040】
シリアル・パラレル変換器155は、マッピング処理部154から出力されたIQ信号のシリアルデータをパラレルに並べ替えて逆フーリエ変換部156に出力する。逆フーリエ変換部156は、シリアル・パラレル変換器155から入力された信号に逆フーリエ変換処理を行い、パラレル・シリアル変換器157に出力する。パラレル・シリアル変換器157は、逆フーリエ変換部156から入力されたパラレルデータをシリアルに並べ替えてガードインターバル付加部158に出力する。
【0041】
ガードインターバル付加部158は、パラレル・シリアル変換器157から入力された信号に対して、OFDMシンボル毎にガードインターバルを付加し、プリアンブル付加部159に出力する。プリアンブル付加部159は、ガードインターバル付加部158から入力された信号にプリアンブルを付加する。
【0042】
図4は、図1示す端末2が備える受信機20(受信装置)の構成を示す図である。
同図に示すように、受信機20は、アンテナ201、バンドパスフィルタ(BPF)202、ローカル信号発生器203、ダウンコンバータ204、バンドパスフィルタ(BPF)205、アナログ・デジタル信号変換器(ADC)206、デジタルローカル信号発生器207、デジタル直交復調器208、ローパスフィルタ(LPF)209−1、ローパスフィルタ(LPF)209−2及び復調装置210を備えて構成される。
【0043】
アンテナ201は、高周波無線信号を受信し、バンドパスフィルタ202に出力する。バンドパスフィルタ202は、アンテナ201が受信した信号の所定の帯域を通過させ、ダウンコンバータ204に出力する。ローカル信号発生器203は、ローカル信号を発生させる。ダウンコンバータ204は、バンドパスフィルタ202から入力された高周波無線信号と、ローカル信号発生器203が発生させたローカル信号とをミキシングし、低周波無線信号に変換してバンドパスフィルタ205に出力する。
【0044】
バンドパスフィルタ205は、所定の帯域の信号を通過させ、アナログ・デジタル信号変換器206に出力する。アナログ・デジタル信号変換器206は、バンドパスフィルタ205から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換してデジタル直交復調器208に出力する。デジタルローカル信号発生器207は、デジタルのローカル信号を発生させる。デジタル直交復調器208は、アナログ・デジタル信号変換器206によりデジタル信号化された低周波無線信号と、デジタルローカル信号発生器207が発生させたデジタルのローカル信号をミキシングし、ベースバンドIQ信号に変換する。デジタル直交復調器208は、ベースバンドIQ信号のIチャネルのデジタル信号をローパスフィルタ209−1に出力し、Qチャネルのデジタル信号をローパスフィルタ209−2に出力する。
【0045】
ローパスフィルタ209−1は、所定の帯域のIチャネルのデジタル信号を通過させ、復調装置210に出力する。ローパスフィルタ209−2は、所定の帯域のQチャネルのデジタル信号を通過させ、復調装置210に出力する。復調装置210は、ローパスフィルタ209−1から入力されたIチャネルの信号及びローパスフィルタ209−2から入力されたQチャネルの信号であるIQ信号からベースバンド無線信号を復調し、上位レイヤに出力する。
【0046】
図5は、図4に示す復調装置210の構成を示す図である。復調装置210は、同期処理部251、シリアル・パラレル変換器(S/P)252、フーリエ変換部253、チャネル状態推定部254、等化部255、メモリ256、誤差補償部257、パラレル・シリアル変換器(P/S)258、ヘッダ解析部259、デマッピング処理部260、誤り訂正復号部261、誤り検査部262、誤り検査用信号付加部263、誤り訂正符号化部264、マッピング処理部265、シリアル・パラレル変換器(S/P)266及びウエイト算出部267を備えて構成される。
【0047】
同期処理部251は、IQ信号に付加されたプリアンブルやパイロット信号を用いて、タイミング同期、周波数オフセット同期処理等を行い、処理タイミングや周波数ずれの補正を行い、シリアル・パラレル変換器252に出力する。プリアンブル、パイロット信号、トレーニング信号は、いずれも既知信号という点で共通する。本実施形態において、プリアンブルとパイロット信号は、それぞれ無線チャネル状態の推定、およびローカル信号間の周波数のオフセットや位相雑音の補償に用いるものであり、IQインバランス補償の有無にかかわらず必要となる。一方、従来技術において用いられているトレーニング信号は、IQインバランスの推定に用いるために、プリアンブルとパイロット信号の他に追加されたものである。
【0048】
シリアル・パラレル変換器252は、同期処理部251から入力されたIQ信号のシリアルデータをパラレルに並べ替えてフーリエ変換部253に出力する。フーリエ変換部253は、シリアル・パラレル変換器252から入力されたシリアルデータのフーリエ変換演算処理を行う。フーリエ変換部253は、フーリエ変換された信号のプリアンブルをチャネル状態推定部254に出力し、データ信号を等化部255へ出力する。
【0049】
チャネル状態推定部254は、フーリエ変換部253から入力されたプリアンブル信号からチャネル状態を推定する。等化部255は、チャネル状態推定部254が推定したチャネル状態を基に、フーリエ変換部253から入力された信号の等化処理を行う。メモリ256は、等化部255から出力された等化処理後の信号を一時記憶する。誤差補償部257は、ウエイト算出部267により算出されたウエイトを基に、等化部255による等化処理後の信号に対しウエイトを乗算して加算することにより、IQインバランスを補償する。パラレル・シリアル変換器258は、誤差補償部257から入力された信号のパラレルデータをシリアルに並べ替えて出力する。
【0050】
ヘッダ解析部259は、パラレル・シリアル変換器258から出力された信号のヘッダを解析し、変調方式・符号化情報を取得する。デマッピング処理部260は、ヘッダ解析部259がヘッダから取得した変調方式情報に基づいて、パラレル・シリアル変換器258から入力された同相成分・直交成分からなるIQ信号をバイナリ信号に変換し、誤り訂正復号部261に出力する。誤り訂正復号部261は、ヘッダ解析部259がヘッダから取得した符号化情報に基づいて、デマッピング処理部260から入力された信号の誤り訂正復号を行い、誤り訂正復号された信号を誤り検査部262に出力する。誤り検査部262は、誤り訂正復号部261から入力された信号に送信側が付加した誤り検出用の信号を用いて、受信した信号のフレーム中に誤りが存在しないかを確認する。
【0051】
誤り検査用信号付加部263は、誤り検査部262により誤りが存在しないかが確認された信号の各フレームに、誤り検査用の信号を付加し、誤り訂正符号化部264に出力する。誤り訂正符号化部264は、誤り検査用信号付加部263から入力されたフレームに誤り訂正符号化を行い、マッピング処理部265に出力する。マッピング処理部265は、誤り訂正符号化部264から入力されたバイナリ信号を、決定された変調フォーマットに従って、同相成分・直交成分からなるIQ信号に変換し、シリアル・パラレル変換器266に出力する。シリアル・パラレル変換器266は、マッピング処理部265から入力されたIQ信号のシリアルデータをパラレルに並べ替えてウエイト算出部267に出力する。
【0052】
ウエイト算出部267は、メモリ256が記憶している各周波数成分における受信信号(ベースバンド信号)と、シリアル・パラレル変換器266より入力された復調後の信号から再変調されたベースバンド信号の各周波数成分における信号を用いて、適応アルゴリズムにより、ウエイトを算出する。ウエイト算出部267は、誤差補償後の信号と、復調後の信号から再変調されたベースバンド信号との差が小さな値に収束するまで、十分な回数繰り返しながらウエイトを算出する。
【0053】
図6は、本実施形態の通信システムにおけるアプリケーションデータ送受信処理のフローチャートを示す図である。
最初のアプリケーションデータの伝送では、基地局1の送信機10は、フレーム内に誤りが生じる可能性が小さい変調方式・符号化(たとえば、最も低い伝送速度となる変調方式、符号化率の組合せ)によって、端末2に信号を伝送する(ステップS11)。端末2の受信機20は、ステップS11において伝送された信号を用いてウエイトを算出し(ステップS13)、誤差補償部257は、算出されたウエイトをセットする(ステップS15)。なお、フレーム内に誤りが生じる可能性が小さい変調方式・符号化を使用するのは、ウエイトの算出を精度よく、かつ、短い期間で行うためであり、したがって、ウエイトの算出が完了すれば、他の変調方式・符号化を用いる。その後、基地局1の送信機10は、チャネル状態などに応じて変調方式や符号化を変更して、アプリケーションデータの伝送を行う(ステップS17)。
【0054】
以下に、基地局1から端末2へアプリケーションデータを送信する際の基地局1及び端末2内の具体的な処理例を示す。ここでは、OFDM信号を生成するためのフーリエ変換のサイズを64、その内のデータを伝送するために用いるサブキャリア数を48とする。変調方式・符号化は、表1に示すように、5セットがあるものとする。最初の伝送は、1番のセットを用いる。
【0055】
【表1】
【0056】
基地局1内において、上位レイヤからアプリケーションデータがバイナリ信号として、送信機10内の変調装置101に入力される。変調装置101のヘッダ付加部151は、入力された信号をフレーム毎に分け、ヘッダを付加し、誤り検査用信号付加部152に出力する。ヘッダには、変調方式と符号化の情報が格納される。最初は、フレーム内に誤りが生じる可能性が小さい変調方式・符号化として1番のセットを用いるため、変調方式としてBPSK(Binary Phase Shift Keying)、符号化率として1/2の情報を格納する。その後、誤り検査用信号付加部152は、誤り検査用の信号を、ヘッダ付加部151から入力された信号のフレーム毎に付加し、誤り訂正符号化部153に出力する。
【0057】
次に、誤り訂正符号化部153は、畳み込み符号により、誤り検査用信号付加部152から入力された信号の誤り訂正符号化を行い、マッピング処理部154に出力する。ここでは、誤り訂正符号化部153は、1/2の符号化率で誤り訂正符号化を行う。この時のフレーム長は、48*2*N(Nは整数)となっている。次に、マッピング処理部154は、誤り訂正符号化部153から入力されたバイナリ信号をIQ信号に変換し、シリアル・パラレル変換器155に出力する。ここでは、マッピング処理部154は、BPSKフォーマットに従ってIQ信号に変換する。
【0058】
シリアル・パラレル変換器155は、マッピング処理部154からシリアルに入力された48シンボルを一旦蓄積した後、48シンボルをパラレルに出力する。続いて逆フーリエ変換部156は、64サブキャリア中のDC(直流)を中心とする48サブキャリアに上記48シンボルを割り当てた後、逆フーリエ変換処理を行う。パラレル・シリアル変換器157は、逆フーリエ変換部156からパラレルに入力された信号をシリアルに出力し、OFDMシンボルを生成し、ガードインターバル付加部158に出力する。この時、フレームはN個のOFDMシンボルより構成されている。
【0059】
その後、ガードインターバル付加部158は、逆フーリエ変換部156から入力されたそれぞれのOFDMシンボルにガードインターバルを付加し、プリアンブル付加部159に出力する。次に、プリアンブル付加部159は、ガードインターバル付加部158から入力された信号のフレーム毎にプリアンブルを付加し、変調装置101から出力する。
【0060】
変調装置101から出力されたこの信号は、デジタル・アナログ信号変換器102−1及びデジタル・アナログ信号変換器102−2によってアナログ信号に変換され、ローパスフィルタ103−1及びローパスフィルタ103−2によって不要信号成分がカットされた後、直交変調器105へ入力される。直交変調器105は、ローパスフィルタ103−1から出力されたIチャネルの信号及びローパスフィルタ103−2から出力されたQチャネルの信号と、ローカル信号発生器104が発生させたローカル信号とをミキシングして高周波無線信号に変換する。高周波無線信号に変換された信号は、アンテナ106より端末2へ向けて放射される。
【0061】
端末2のアンテナ201が、基地局1から放射された信号を受信した後、バンドパスフィルタ202は、アンテナ201が受信した信号の所定の帯域を通過さることにより、所要信号を抽出してダウンコンバータ204へ出力する。ダウンコンバータ204は、バンドパスフィルタ202から入力された信号をローカル信号発生器203が発生させたローカル信号とミキシングして低周波無線信号に変換する。バンドパスフィルタ205は、ダウンコンバータ204が変換した低周波無線信号の所定の帯域を通過さることにより、不要な信号成分を除去してアナログ・デジタル信号変換器206に出力する。
【0062】
アナログ・デジタル信号変換器206は、バンドパスフィルタ205から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタル直交復調器208に出力する。次に、デジタル直交復調器208は、アナログ・デジタル信号変換器206から入力されたデジタル信号と、デジタルローカル信号発生器207が発生させたデジタルローカル信号とをミキシングする。ローパスフィルタ209−1及びローパスフィルタ209−2は、デジタル直交復調器208より入力されたデジタルローカル信号から所定の帯域の不要信号を除去してベースバンドのIQ信号に変換し、復調装置210へ出力する。
【0063】
復調装置210の同期処理部251は、入力されたIQ信号に付加されたプリアンブルやパイロット信号を用いて、処理タイミングや周波数ずれ補正等の同期処理を行い、1OFDMシンボル毎にIQ信号をシリアル・パラレル変換器252に出力する。シリアル・パラレル変換器252は、同期処理部251からシリアルに入力された信号をパラレルに出力し、フーリエ変換部253は、シリアル・パラレル変換器252からパラレルに入力された信号のフーリエ変換を行う。フーリエ変換部253は、プリアンブルをチャネル状態推定部254に出力し、データ信号を等化部255に出力する。
【0064】
チャネル状態推定部254は、プリアンブルを用いてチャネル状態の推定を行い、等化部255へ伝達する。等化部255は、チャネル状態推定部254から伝達された推定チャネル状態を基に、受信信号の等化処理を行う。等化処理後、メモリ256に信号を送り、一時記憶させる。また、等化部255は、等化処理を行った信号を誤差補償部257に出力し、誤差補償部257は、ウエイト算出部267より伝達されたウエイトを用いて、等化部255からの出力信号に対し、式(5)の演算を行い、誤差を補償する。すなわち、時刻t、周波数kにおけるIQインバランス補償後の信号Yc(t,k)は式(5)のようになる。なお、時刻tは、1OFDMシンボルに対応する。
【0065】
Yc(t,k)=W1(k)・Y(t,k)+W2(k)・Y*(t,−k) …(5)
【0066】
ここで、W1(k)及びW2(k)は周波数(サブキャリア)kにおけるウエイト、Y(t,k)は周波数kにおける受信信号(ベースバンド信号)、Y(t,−k)はDC(直流)を挟んでkと対称の位置にある周波数(−k)における受信信号(ベースバンド信号)である。*は複素共役を示す。ウエイト算出部267よりウエイト情報が伝達されていない場合は、W1(k)=1、W2(k)=0と設定する。
【0067】
誤差補償部257は、誤差補償した信号をパラレルにパラレル・シリアル変換器258に出力する。パラレル・シリアル変換器258は、誤差補償部257からパラレルに入力された信号をシリアルに出力する。ヘッダ解析部259は、パラレル・シリアル変換器258から出力された信号のヘッダを解析し、変調方式情報をデマッピング処理部260へ伝達し、符号化情報を誤り訂正復号部261へ伝達する。
【0068】
デマッピング処理部260は、ヘッダ解析部259から伝達された変調方式情報に基づき、パラレル・シリアル変換器258から入力されたBPSKフォーマットのIQ信号をバイナリ信号に変換し、誤り訂正復号部261に出力する。誤り訂正復号部261は、ヘッダ解析部259から伝達された符号化情報に基づき、デマッピング処理部260から入力されたバイナリ信号に、符号化率1/2のビタビ復号による誤り訂正復号化を行った後、誤り検査部262は、誤り検査用の信号を用いて、フレーム内に誤りが存在しないか確認する。誤りが検出された場合、誤り検査部262は、パケットを廃棄する。誤りが検出されなければ、誤り検査部262は、該フレームを上位レイヤへ送信し、復調装置210は、該フレームに対して、送信機10と同様に、誤り検査用信号の付加、誤り訂正符号化を行う。
【0069】
つまり、誤り訂正復号部261は、ヘッダ解析部259から伝送された符号化情報に基づいて、デマッピング処理部260から入力された信号の誤り訂正復号を行い、誤り訂正復号された信号を誤り検査部262に出力する。誤り検査部262は、誤り訂正復号部261から入力された信号のフレーム中に誤りが存在しないかを確認する。誤り検査用信号付加部263は、誤り検査部262により誤りが存在しないかが確認された信号の各フレームに、誤り検査用の信号を付加し、誤り訂正符号化部264に出力する。誤り訂正符号化部264は、誤り検査用信号付加部263から入力されたフレームに誤り訂正符号化を行い、マッピング処理部265に出力する。
【0070】
マッピング処理部265は、BPSKフォーマットに従って、誤り訂正符号化部264が誤り訂正符号化を行った信号をIQ信号に変換してシリアル・パラレル変換器266に出力し、シリアル・パラレル変換器266は、マッピング処理部265から入力されたシリアル信号をパラレルに信号を出力して送信信号のレプリカを生成する。この時の、時刻t、周波数kにおけるレプリカ信号をN(t,k)とする。
【0071】
その後、ウエイト算出部267は、シリアル・パラレル変換器266が生成したレプリカの送信信号と、メモリ256に記憶していた受信信号とを用い、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムにより、反復処理でIQインバランス補償用のウエイトを算出する。ウエイト算出部267は、W1(0,k)=1及びW2(0,k)=0を初期値(t=0)として以下のように式(6)から式(8)を反復し、ウエイトW1(k)及びW2(k)を算出する。
【0072】
Y’(t,k)=W1(k)・Y(t,k)+W2(t,k)・Y*(t,−k) …(6)
【0073】
W1(t+1,k)=W1(k)+μ・e(t,k)・Y*(t,k) …(7)
【0074】
W2(t+1,k)=W2(k)+μ・e(t,k)・Y(t,−k) …(8)
【0075】
ここで、Y’(t,k)は、ウエイト算出に用いる仮想の送信信号、μはステップサイズ、e(t,k)はエラー信号である。e(t,k)は、以下の式(9)のように算出される。
【0076】
e(t,k)=N(t,k)−Y’(t,k) …(9)
【0077】
つまり、ウエイト算出部267は、式(6)によりY’(t,k)を算出した後、上記の式(9)によりe(t,k)を算出し、算出したe(t,k)を用いて、式(7)及び式(8)の演算を行なう。
【0078】
ウエイト算出部267は、1≦t≦Nまで、つまり、OFDMシンボル1つずつN個のOFDMシンボルまで、式(6)から式(9)の処理を繰り返し、W1(N+1,k)及びW2(N+1,k)をサブキャリアkにおけるウエイトW1(k)及びW2(k)とする。以下同様に、ウエイト算出部267は、各サブキャリアにおけるW1及びW2を算出する。ウエイト算出部267は、算出したウエイトを誤差補償部257に伝達する。
【0079】
以後、端末2が基地局1から信号を受信した場合は、同様の処理を行う。なお、この後、変調方式や符号化率は、チャネル状態や受信電力、フレーム誤り率などに応じて変更され、アプリケーションデータの伝送が継続される。すなわち、本実施形態では、BPSKフォーマットを用いた比較的送信成功しやすい送信信号を最初に送信することによって、受信機20で誤りのない信号を取得させ、当該受信信号から送信信号のレプリカを生成する。当該送信信号のレプリカはIQインバランスを含まない送信信号である。一方、等化処理後にメモリ256に記憶した受信信号はIQインバランスによる歪を含む。したがって、これらの送信信号のレプリカと等化処理後にメモリ256に記憶した受信信号を用いた演算により、IQインバランスを補償するためのウエイトを算出できる。
【0080】
以上の処理により、送信機10において発生した周波数選択性IQインバランスを補償することができる。IQインバランスの時変動はほとんど無いため、Nが十分に大きい場合は、エラー信号はある小さな値に収束する。一旦ウエイトが算出された場合は、ウエイト算出処理を継続しなくとも、後続の信号に対して誤差補償を行うことが可能である。したがって、本実施形態では、信号が受信される都度ウエイトを算出する構成であるが、この限りでは無い。例えば、ウエイト算出後一定時間以上経過した場合に信号が受信された時に、ウエイトを再度算出するような構成でも良い。
【0081】
なお、本実施形態では、IF信号をデジタル信号化した後ベースバンド信号に変換したために、受信側のIQインバランスは発生しないものとしたが、アナログの直交復調器によってベースバンド信号に変換した場合、IQインバランスが受信機20に発生する可能性がある。その場合でも、本実施形態と同様な構成により、受信機20で発生したIQインバランスを補償することができる。
【0082】
また、本実施形態では、ウエイト算出部267に用いる信号は、等化部255からの出力信号である必要は無く、例えば、フーリエ変換部253からの出力信号を用いても同様な処理が可能となる。また、受信機20は、必ずしもヘテロダイン受信構成である必要はなく、ダイレクトコンバージョン受信構成でも本実施形態を適用できる。
【0083】
また、本実施形態では、LMSアルゴリズムを用いたが、この限りでは無く、RLS(Recursive Least Square)など他のアルゴリズムでも同様の効果が得られる。
【0084】
本実施形態では、誤り検査処理を行ったが、この限りでは無く、誤り訂正符号等の利用により誤りの発生率が低い場合は、誤り検査処理を省いても同様な効果が得られる。
【0085】
[第二実施形態]
本実施形態では、2台の光通信装置が、シングルキャリア通信方式を用いて信号の送受信を行う光通信システムを想定する。1台の光通信装置が光信号送信装置を備え、もう1台の光通信装置が光信号受信装置を備える。そして、光信号受信装置において、周波数選択性IQインバランスが発生しているものとする。
【0086】
図7は、本実施形態の光通信装置が備える光信号送信装置11(送信装置)の構成を示すブロック図である。光信号送信装置11は、変調装置111、デジタル・アナログ信号変換器112−1、デジタル・アナログ信号変換器112−2、ローパスフィルタ113−1、ローパスフィルタ113−2、レーザ114及び光変調器115を備えて構成される。
【0087】
変調装置111は、バイナリ信号を変調して、ベースバンドIQ信号に変換する。デジタル・アナログ信号変換器112−1、デジタル・アナログ信号変換器112−2、ローパスフィルタ113−1、ローパスフィルタ113−2はそれぞれ、第一実施形態の送信機10のデジタル・アナログ信号変換器102−1、デジタル・アナログ信号変換器102−2、ローパスフィルタ103−1、ローパスフィルタ103−2と同様である。レーザ114は、レーザ光を発生する。光変調器115は、アナログのベースバンドIQ信号とレーザ114が発生させたレーザ光をミキシングし、光信号に変換する。
【0088】
図8は、図7に示す変調装置111の構成を示すブロック図である。変調装置111は、誤り検査用信号付加部161、マッピング処理部162、プリアンブル付加部163及び帯域制限フィルタ164を備えて構成される。
【0089】
誤り検査用信号付加部161、マッピング処理部162、プリアンブル付加部163はそれぞれ、第一実施形態の変調装置101の誤り検査用信号付加部152、マッピング処理部154、プリアンブル付加部159と同様である。帯域制限フィルタ164は、入力信号に対して帯域によるフィルタリングを行う。
【0090】
図9は、本実施形態の光通信装置が備える光信号受信装置21(受信装置)の構成を示すブロック図である。同図に示すように、光信号受信装置21は、光バンドパスフィルタ(OBPF)221、レーザ222、偏波コントローラ(PC)223、光カプラ224、光−電気信号変換器225、ローパスフィルタ(LPF)226−1、ローパスフィルタ(LPF)226−2、アナログ・デジタル信号変換器227−1、アナログ・デジタル信号変換器227−2及び復調装置228を備えて構成される。
【0091】
光バンドパスフィルタ221は、所定の帯域の光信号を通過させ、光カプラ224に出力する。レーザ222は、レーザ光を発生させる。偏波コントローラ223は、レーザ222が発生させたレーザ光の偏光状態を制御する。光カプラ224は、光バンドパスフィルタ221から入力された光信号と、偏波コントローラ223から入力されたレーザ光を合波し、光−電気信号変換器225に出力する。光−電気信号変換器225は、光カプラ224から入力された光信号を電気信号に変換し、Iチャネルの電気信号をローパスフィルタ226−1に出力し、Qチャネルの電気信号をローパスフィルタ226−2に出力する。ローパスフィルタ226−1、ローパスフィルタ226−2は、図4に示す第一実施形態の受信機20のローパスフィルタ209−1、ローパスフィルタ209−2と同様である。
【0092】
アナログ・デジタル信号変換器227−1は、ローパスフィルタ226−1から入力されたアナログの電気信号をデジタルの電気信号に変換して復調装置228に出力する。アナログ・デジタル信号変換器227−2は、ローパスフィルタ226−2から入力されたアナログの電気信号をデジタルの電気信号に変換して復調装置228に出力する。復調装置210は、アナログ・デジタル信号変換器227−1及びアナログ・デジタル信号変換器227−2から入力されたデジタルのIQ信号からベースバンド無線信号を復調し、出力する。
【0093】
図10は、図9に示す復調装置228の構成を示すブロック図である。同図において、図5に示す第一実施形態の復調装置210と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。復調装置228が、第一実施形態の復調装置210と異なる点は、帯域制限フィルタ271、逆フーリエ変換部272及びフーリエ変換部273を備える点、ヘッダ解析部259、誤り訂正復号部261及び誤り訂正符号化部264を備えていない点である。
【0094】
同期処理部251、シリアル・パラレル変換器252、フーリエ変換部253、チャネル状態推定部254、等化部255、メモリ256、誤差補償部257、パラレル・シリアル変換器258、デマッピング処理部260、誤り検査部262、誤り検査用信号付加部263、マッピング処理部265、シリアル・パラレル変換器266及びウエイト算出部267は、第一実施形態の復調装置210と同様である。
帯域制限フィルタ271は、入力信号に対して帯域によるフィルタリングを行う。逆フーリエ変換部272は、誤差補償部257から入力された信号を逆フーリエ変換してパラレル・シリアル変換器258に出力する。フーリエ変換部273は、シリアル・パラレル変換器266から入力された信号にフーリエ変換を行い、ウエイト算出部267に出力する。
【0095】
次に、本実施形態の光通信装置の処理例を説明する。本実施形態では、フーリエ変換部253におけるフーリエ変換サイズを64とし、シンボル間干渉を緩和するためのオーバラップセーブ法におけるシンボル抽出数は32とする。
【0096】
送信側の光通信装置において、上位レイヤから連続するアプリケーションデータがバイナリ信号として、光信号送信装置11内の変調装置111に入力される。変調装置111の誤り検査用信号付加部161は、入力されたバイナリ信号に誤り検査用信号を付加し、マッピング処理部162に出力する。マッピング処理部162は、誤り検査用信号付加部161から入力されたバイナリ信号を、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)フォーマットに従ってIQ信号に変換し、プリアンブル付加部163に出力する。プリアンブル付加部163は、マッピング処理部162から入力されたIQ信号にN個のシンボル毎にプリアンブルを付加して帯域制限フィルタ164に出力する。帯域制限フィルタ164は、ルートレイズドコサインフィルタによるフィルタリングを行い、変調装置111から出力する。
【0097】
変調装置111から出力されたこれらの信号は、デジタル・アナログ信号変換器112−1及びデジタル・アナログ信号変換器112−2によってアナログ信号に変換され、ローパスフィルタ113−1及びローパスフィルタ113−2によって不要信号成分がカットされる。光変調器115は、ローパスフィルタ113−1から入力されたIチャネルの信号及びローパスフィルタ113−2から入力されたQチャネルの信号と、レーザ114が発生させたレーザ光とミキシングして光信号に変換し、光伝送路により伝送する。
【0098】
受信側の光通信装置において光信号受信装置21では、光バンドパスフィルタ221が、受信した光信号の所定の帯域を通過させる。光カプラ224には、光バンドパスフィルタ221が出力した光信号と、偏波コントローラ223により偏光状態が調整されたレーザ光が入力される。光カプラ224は、光信号とレーザ光を合波し、光−電気信号変換器225に出力する。光−電気信号変換器225は、光カプラ224から入力された光信号を電気信号に変換する。
【0099】
ローパスフィルタ226−1は、光−電気信号変換器225から入力されたIチャネルの電気信号からから所定の帯域の不要信号を除去してアナログ・デジタル信号変換器227−1に出力し、アナログ・デジタル信号変換器227−1は、ローパスフィルタ226−1から入力されたアナログの電気信号をデジタル信号に変換して復調装置228に出力する。
【0100】
ローパスフィルタ226−2は、光−電気信号変換器225から入力されたQチャネルの電気信号からから所定の帯域の不要信号を除去してアナログ・デジタル信号変換器227−2に出力し、アナログ・デジタル信号変換器227−2は、ローパスフィルタ226−2から入力されたアナログの電気信号をデジタル信号に変換して復調装置228に出力する。
【0101】
復調装置228の帯域制限フィルタ271は、アナログ・デジタル信号変換器227−1及びアナログ・デジタル信号変換器227−2から入力されたIQ信号の帯域制限フィルタリングを行い、同期処理部251に出力する。同期処理部251は、IQ信号に付加されたプリアンブル・パイロット信号を用いて、処理タイミングや周波数ずれ補正等の同期処理を行う。シリアル・パラレル変換器252は、32シンボルずつスライドさせながら、同期処理部251から64シンボルのシリアルに入力された信号をパラレルに出力する。フーリエ変換部253は、シリアル・パラレル変換器252から入力されたシリアルデータのフーリエ変換を行う。フーリエ変換部253は、フーリエ変換された信号のプリアンブルをチャネル状態推定部254に出力し、データ信号を等化部255へ出力する。
【0102】
チャネル状態推定部254は、フーリエ変換部253から入力されたプリアンブルを用いてチャネル状態を推定し、等化部255へ伝達する。等化部255は、チャネル状態推定部254から伝達された推定チャネル状態を基に、フーリエ変換部253から入力された受信信号の等化処理を行い、波長分散や偏波モード分散の補償を行う。等化部255は、等化処理した信号を誤差補償部257へ信号を出力するとともに、メモリ256に書き込む。メモリ256は、等化部255から入力された信号を一時記憶する。誤差補償部257は、ウエイト算出部267から伝達されたウエイトを用いて、等化部255からの出力信号に対し、第一実施形態に示す式(5)のように誤差補償を行い、逆フーリエ変換部272に出力する。
【0103】
逆フーリエ変換部272は、誤差補償部257から入力された信号の逆フーリエ変換を行い、オーバラップセーブ法により中心の32シンボルの信号を抽出し、端の32シンボルの信号を廃棄する。逆フーリエ変換部272は、抽出した信号をシリアルにパラレル・シリアル変換器258に出力する。パラレル・シリアル変換器258は、逆フーリエ変換部272から入力された信号のパラレルデータをシリアルに並べ替えてデマッピング処理部260に出力する。
【0104】
デマッピング処理部260は、QPSKフォーマットのIQ信号をバイナリ信号に変換して誤り検査部262に出力する。誤り検査部262は、デマッピング処理部260から入力された信号に送信側が付加した誤り検出用の信号を用いて、受信した信号のフレーム中に誤りが存在しないかを確認する。誤り検査部262は、誤りが検出されなければ、該フレームを上位レイヤへ送信するとともに、フレームを誤り検査用信号付加部263に出力する。
【0105】
誤り検査用信号付加部263は、誤り検査部262により誤りが存在しないかが確認された信号の各フレームに、誤り検査用の信号を付加し、マッピング処理部265に出力する。マッピング処理部265は、誤り検査用信号付加部263から入力されたバイナリ信号を再度QPSKフォーマットのIQ信号に変換し、シリアル・パラレル変換器266に出力する。シリアル・パラレル変換器266は、マッピング処理部265から入力された信号をシリアルからパラレルに並べ替えてフーリエ変換部273に出力する。
【0106】
フーリエ変換部273は、シリアル・パラレル変換器266から入力された信号にフーリエ変換を行い、レプリカ信号N(t,k)を生成し、ウエイト算出部267に出力する。ウエイト算出部267は、第一実施形態と同様に、メモリ256が記憶している各周波数成分における受信信号と、フーリエ変換部273から入力された各周波数成分における信号を用いて、LMSアルゴリズムにより、式(6)から式(9)に従ってIQインバランス補償用ウエイトを算出する。ウエイト算出部267は、誤差補償後の信号と、復調後の信号から変換されたベースバンド信号との差が所定の小さな値に収束するまで、十分な回数繰り返しながらウエイトを算出する。ウエイト算出部267は、算出したウエイトを誤差補償部257に伝達する。
以後、光信号受信装置21において光信号送信装置11から信号が受信された場合は、同様の処理を行う。
【0107】
以上の処理により、光信号受信装置21において発生した周波数選択性IQインバランスを補償することができる。
【0108】
なお、本実施形態では、光信号受信装置21で発生した周波数選択性IQインバランスを補償したが、この限りでは無く、光信号送信装置11で発生した周波数選択性IQインバランスも補償することができる。
【0109】
また、本実施形態では、信号が受信される度に、ウエイトを算出する構成であるが、この限りでは無い。例えば、ウエイト算出後一定時間以上経過した場合に信号が受信された時に、ウエイトを再度算出するような構成でも良い。
【0110】
また、本実施形態では、ウエイト算出部267に用いる信号は、等化部255からの出力信号である必要は無く、フーリエ変換部253からの出力信号を用いても同様な処理が可能である。
【0111】
また、本実施形態では、デマッピング処理部260が出力した信号に対してマッピング処理部265におけるマッピング処理及びフーリエ変換部273におけるフーリエ変換処理を行い、レプリカ信号N(t,k)を生成したが、この限りでは無く、誤り訂正符号が使われている場合は、第一実施形態で記述したように、誤り訂正復号後の信号を用いても良い。
【0112】
また、本実施形態では、LMSアルゴリズムを用いたが、この限りでは無く、RLSなど他のアルゴリズムでも同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、チャネル状態推定部254においてプリアンブルを使ってチャネル状態を推定し、等化部255における等化処理により波長分散等を補償したが、この限りではなく、プリアンブルのような既知信号を用いずに波長分散や偏波モード分散の補償を行っても良い。
また、本実施形態では、変調方式や符号化率を変更していないが、この限りでは無く、これらの変更制御を行ってもよい。
【0113】
[第三実施形態]
本実施形態では、第一実施形態と同様に、2台の無線装置がOFDM通信方式を用いて信号の送受信を行う無線通信システムを想定する。無線通信システムは、図1に示す第一の実施形態の基地局1に代えて基地局1aを設け、端末2に代えて端末2aを設けた構成である。本実施形態では、基地局1aから端末2aへ信号を伝送するものとし、基地局1aが備える送信機において周波数選択性IQインバランスが発生したものとする。端末2aが備える受信機において、その周波数選択性IQインバランス補償用のウエイトを算出し、基地局1aが備える送信機へフィードバックする。基地局1aが備える送信機は、プリディストーションを行うことによって、上記周波数選択性IQインバランスを補償する。
【0114】
図11は、本実施形態における基地局1aが備える送受信機12の構成を示すブロック図である。同図において、図2に示す第一実施形態の送信機10、図4に示す第一実施形態の受信機20と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。送受信機12は、送信機13、受信機14、サーキュレータ15及びアンテナ16を備えて構成される。
送信機13は、変調装置101に代えて変調装置101aを備える点、アンテナ106を備えていない点を除き、図2に示す第一実施形態の送信機10と同様の構成である。受信機14は、アンテナ201を備えていない点、復調装置210に代えて復調装置210aを備える点を除き、図4に示す第一実施形態の受信機20と同様の構成である。サーキュレータ15は、送信信号と受信信号の流れる方向を切り替える。
【0115】
図12は、図11に示す変調装置101aの構成を示すブロック図である。同図において、図3に示す第一実施形態の変調装置101と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す変調装置101aが、第一実施形態の変調装置101と異なる点は、プリディストーション処理部170が付加されている点である。プリディストーション処理部170は、端末2aから伝達されたウエイトを送信信号に乗算し、送信信号に加算することによって、直交変調器105から入力された信号の干渉が打ち消されるようにプリディストーション処理を行う。
【0116】
図13は、復調装置210aの構成を示すブロック図である。同図において、図5に示す第一実施形態の復調装置210と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す復調装置210aが、第一実施形態の復調装置210と異なる点は、メモリ256、誤差補償部257、誤り検査用信号付加部263、誤り訂正符号化部264、マッピング処理部265、シリアル・パラレル変換器266及びウエイト算出部267を備えていない点である。
【0117】
図14は、端末2aが備える送受信機22の構成を示すブロック図である。図2に示す第一実施形態の送信機10、図4に示す第一実施形態の受信機20と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。送受信機22は、アンテナ23、サーキュレータ24、受信機25及び送信機26を備えて構成される。
サーキュレータ24は、送信信号と受信信号の流れる方向を切り替える。受信機25は、アンテナ201を備えていない点、復調装置210に代えて復調装置210bを備える点を除き、図4に示す第一実施形態の受信機20と同様の構成である。送信機26は、アンテナ106を備えていない点を除き、図2に示す第一実施形態の送信機10と同様の構成である。
【0118】
図15は、図14に示す復調装置210bの構成を示すブロック図である。同図において、図5に示す第一実施形態の復調装置210と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す復調装置210bが、第一実施形態の復調装置210と異なる点は、誤差補償部257を備えていない点である。
【0119】
図16は、本実施形態の通信システムにおけるアプリケーションデータ送受信処理のフローチャートを示す図である。図6に示す第一実施形態と同様に、基地局1aの送受信機12は、最初のアプリケーションデータの伝送では、フレーム誤りが発生する可能性が小さい変調方式・符号化によって、プリディストーション処理を施さずに端末2aに信号を伝送する(ステップS21)。端末2aの送受信機22は、ステップS21において伝送された信号を用いて、ウエイトを算出し(ステップS23)、基地局1aへ算出したウエイト情報を伝達する(ステップS25)。その後、基地局1aが備える送受信機12において、端末2aから伝達されたウエイトをセットする(ステップS27)。基地局1aが備える送受信機12は、チャネル状態などに応じて変調方式や符号化を変更し、セットしたウエイトを用いたプリディストーション処理を施したアプリケーションデータの送信を行う(ステップS29)。
【0120】
以下に、基地局1a及び端末2aにおける具体的な処理例を示す。ここでは、OFDM信号を生成するためのフーリエ変換のサイズを64、その内のデータを伝送するために用いるサブキャリア数を48とする。変調方式・符号化は、第一実施形態と同様、表1に示すように、5セットがあるものとする。最初の伝送は、1番のセットを用いる。
【0121】
アプリケーションデータがバイナリ信号として、基地局1aが備える送信機13の変調装置101aに入力されると、第一実施形態と同様に、変調装置101aにおいて、ヘッダ付加部151が入力されたバイナリ信号にヘッダを付加し、誤り検査用信号付加部152が誤り検査信号を付加し、誤り訂正符号化部153は、畳み込み符号化を行う。その後、マッピング処理部154が、BPSKフォーマットに従ってバイナリ信号をIQ信号に変換し、シリアル・パラレル変換器155が、マッピング処理部154から入力されたIQ信号の48シンボルをプリディストーション処理部170にパラレルに出力する。
【0122】
プリディストーション処理部170は、シリアル・パラレル変換器155から入力された信号に、端末2aからフィードバックされたウエイトを用いてプリディストーション処理を行う。時刻t、周波数(サブキャリア)kで伝送する送信信号をX(t,k)、DC(直流)を挟んでkと対称の位置にある周波数(−k)における送信信号をX(t,−k)、フィードバックされたウエイトをW1(k)及びW2(k)とすると、プリディストーション処理部170は、以下の式(10)のように処理し、プリディストーション後の送信信号XP(t,k)を得る。
【0123】
XP(t,k)=W1(k)X(t,k)+W2(k)X*(t,−k) …(10)
【0124】
ただし、ステップS21のように、まだ端末2aからのフィードバック情報が無い場合は、W1(k)=1及びW2(k)=0とする。W1(k)=1及びW2(k)=0の場合、実質的にはプリディストーション処理を行なっていない。プリディストーション処理部170は、サブキャリア毎に上記演算を行った信号を、逆フーリエ変換部156に出力する。
【0125】
以降は、第一実施形態と同様に、逆フーリエ変換部156は、64ポイントの逆フーリエ変換処理を行い、パラレル・シリアル変換器157は、逆フーリエ変換部156からパラレルに入力された信号をシリアルに出力し、OFDMシンボルを生成する。ガードインターバル付加部158は、パラレル・シリアル変換器157から入力されたOFDMシンボル毎にガードインターバルを付加し、プリアンブル付加部159は、プリアンブルを付加し、変調装置101aから出力する。
【0126】
変調装置101aから出力されたこの信号は、デジタル・アナログ信号変換器102−1及びデジタル・アナログ信号変換器102−2によってアナログ信号に変換され、ローパスフィルタ103−1及びローパスフィルタ103−1によって不要信号成分がカットされた後、直交変調器105に入力される。直交変調器105は、ローパスフィルタ103−1及びローパスフィルタ103−2から入力されたIQチャネルの信号と、ローカル信号発生器104が発生させたローカル信号とをミキシングして無線信号に変換する。アンテナ16は、直交変調器105により変換された無線信号を放射する。
【0127】
端末2aのアンテナ23が、基地局1aから放射された信号を受信した後、第一実施形態と同様に、バンドパスフィルタ202は、受信信号から所要信号を抽出してダウンコンバータ204へ出力する。ダウンコンバータ204は、バンドパスフィルタ202から入力された信号をローカル信号発生器203が発生させたローカル信号とミキシングして、低周波無線信号に変換する。その後、バンドパスフィルタ205は、変換された低周波無線信号から不要な信号成分を除去し、アナログ・デジタル信号変換器206は、不要な信号成分が除去された低周波無線信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。
【0128】
次に、デジタル直交復調器208は、アナログ・デジタル信号変換器206から入力されたデジタル信号と、デジタルローカル信号発生器207が発生させたデジタルローカル信号とミキシングする。ローパスフィルタ209−1及びローパスフィルタ209−2は、デジタル直交復調器208から入力されたデジタルローカル信号をベースバンドIQ信号に変換した後、復調装置210bへ出力する。
【0129】
第一実施形態と同様に復調装置210bにおいて、同期処理部251による同期処理、シリアル・パラレル変換器252によるシリアル・パラレル変換処理、フーリエ変換部253によるフーリエ変換処理、チャネル状態推定部254によるチャネル状態の推定処理、等化部255による等化処理が行なわれる。等化部255は、等化処理を行なった信号をパラレル・シリアル変換器258に出力すると、第一実施形態と同様に、パラレル・シリアル変換器258によるパラレル・シリアル変換処理、ヘッダ解析部259によるヘッダ解析処理、デマッピング処理部260によるデマッピング処理、誤り訂正復号部261による誤り訂正復号処理が行われる。これにより、復調装置210bは、受信信号からバイナリ信号を得る。
【0130】
誤り検査部262は、得られたバイナリ信号の誤り検査を行い、誤りが検出された場合は、基地局1aへ再送要求を行う。フレーム内に誤りが検出されなければ、該フレームを上位レイヤへ送信する。さらに、該フレームは、誤り検査用信号付加部263による誤り検査用信号の付加、誤り訂正符号化部264による誤り訂正符号化が行われる。マッピング処理部265は、誤り訂正符号化が行われた信号をBPSKフォーマットに従ってIQ信号に変換し、シリアル・パラレル変換器266に出力する。シリアル・パラレル変換器266は、マッピング処理部265から入力されたシリアル信号をパラレルに信号を出力して送信信号のレプリカを生成する。これにより、レプリカ信号N(t,k)が生成される。これら、誤り検査用信号の付加、誤り訂正符号化、BPSKフォーマットに従ったIQ信号への変換、レプリカ信号N(t,k)生成の処理は、送信側の基地局1aの送受信機12と同様の処理である。
【0131】
その後、ウエイト算出部267は、第一実施形態と同様に、式(6)から式(9)に従って、各サブキャリアにおけるウエイトW1及びW2を算出する。送信機26は、ウエイト算出部267が算出したウエイト情報を、基地局1aへ送信する。送信機26における送信処理は、第一実施形態の基地局1の送信機10と同様である。このウエイト情報の伝達は、定期的に行われる。
【0132】
基地局1aのアンテナ16が、ウエイト情報が格納された信号を端末2aから受信した後、受信機14は、第一実施形態の端末2の受信機20と同様に受信処理を行う。これにより、復調装置210aは、信号に格納されていたウエイト情報を取得する。復調装置210aは、取得したウエイト情報を送信機13の変調装置101a内のプリディストーション処理部170へ伝達する。以後、プリディストーション処理部170は、端末2aから伝達(フィードバック)されたウエイトW1及びW2を用いて式(10)のように処理し、シリアル・パラレル変換器155から入力された送信信号に対してプリディストーション処理を行う。以後、基地局1aから送信する信号の変調方式や符号化率は、チャネル状態や受信電力、フレーム誤り率などに応じて変更され、端末2aとの間でアプリケーションデータの伝送が継続される。
【0133】
以上の処理により、無線の送受信機12において発生した周波数選択性IQインバランスを補償することができる。また、送受信機22において発生した周波数選択性IQインバランスについても同様に補償することができる。
【0134】
なお、本実施形態におけるウエイト情報の伝達は定期的に行われるものとしたが、ウエイト値があらかじめ定められた量以上変動した場合に伝達する処理でも良い。また、OFDM方式だけでは無く、シングルキャリア方式にも適用可能である。
【0135】
[シミュレーション評価]
本実施形態による周波数選択性IQインバランスの補償を行った場合のシミュレーション結果を示す。図17は、シミュレーションに用いたシングルキャリア方式の送信機50及び受信機60aのシミュレーションモデルを示す図である。同図において、図20と同じ構成には同じ符号を付している。
【0136】
送信機50は、図20に示す送信機50と同様である。受信機60aは、送信機50と同じ帯域制限フィルタ601を用いてフィルタリングを行い、サイズ64のフーリエ変換602により周波数領域信号に変換して、等化603を行った後、サイズ64の逆フーリエ変換604を行う。そして、受信機60aは、逆フーリエ変換後、デマッピング702、マッピング703、フーリエ変換704を行ってレプリカの受信信号を送信し、本実施形態によるウエイト算出705を行い、周波数選択性IQインバランス補償701を行っている。
【0137】
図18は、図21に示すコンスタレーションに対して、本実施形態によるウエイト算出及びIQインバランス補償を適用した場合の結果を示している。適応アルゴリズムとしてLMSアルゴリズムを用い、ウエイト算出に用いたシンボル数は400、ステップサイズは0.0004としている。同図に示すように、IQインバランス補償により干渉信号が消え、コンスタレーションの広がりが抑圧されている。
【0138】
無線通信やコヒーレント光通信において位相変調を適用する場合、IQバランス特性の劣化(IQインバランス)により通信品質が劣化する。特に、フィルタの周波数特性等により起因する周波数選択性IQインバランスを補償するための従来の技術として、トレーニング信号を用いて、LMSなどの適応アルゴリズムにより、ウエイト処理を行う手法があった。しかし、トレーニング信号を用いるため、伝送効率が低下する問題がある。
【0139】
上述した本発明の実施形態では、受信装置(受信機、光信号受信装置)のウエイト算出部が、送信装置(送信機、光信号送信装置)から受信したデータ信号を用いてIQインバランスを推定する。このために、第一実施形態、第二実施形態の受信装置は、プリアンブルを用いてIQインバランス以外の歪成分をデータ信号から取り除く等化部と、データ信号を用いてウエイトを算出するウエイト算出部と、算出したウエイトを後続のデータ信号のIQインバランスのキャンセルに用いる誤差補償部を備えて構成される。ウエイト算出部は、周波数毎に、受信信号から得られた当該周波数のベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数におけるベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と受信信号から得られたベースバンド信号を復調した信号を再変調して生成したレプリカの送信信号との差分からエラー信号を求め、求めたエラー信号を用いて当該周波数のウエイトを更新する処理を、ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行う。これにより、後続する信号のIQインバランスを補償するウエイトを算出する。
また、第三実施形態では、受信装置がIQインバランスを補償する誤差補償部を備えずに、送信装置が受信装置のウエイト算出部において算出されたウエイトを用いてIQインバランスを補償した信号を送信する。
【0140】
従って、本実施形態では、送信成功したデータ信号から推定したIQインバランスの補償信号を用いて後続のデータ信号のIQインバランスをキャンセルできるため、トレーニング信号なしでIQインバランスの補償をすることができる。
【符号の説明】
【0141】
1、1a…基地局
10、13…送信機(送信装置)
11…光信号送信装置(送信装置)
12…送受信機
14…受信機(ウエイト受信部)
15…サーキュレータ
16、106…アンテナ(送信部)
101、101a、111…変調装置(変調部)
102−1、102−2…デジタル・アナログ信号変換器(DAC)
103−1、103−2…ローパスフィルタ(LPF)
104…ローカル信号発生器(送信部)
105…直交変調器(送信部)
112−1、112−2…デジタル・アナログ信号変換器(DAC)
113−1、113−2…ローパスフィルタ(LPF)
114…レーザ(送信部)
115…光変調器(送信部)
151…ヘッダ付加部
152、161…誤り検査用信号付加部
153…誤り訂正符号化部
154、162…マッピング処理部
155…シリアル・パラレル変換器(S/P)
156…逆フーリエ変換部
157…パラレル・シリアル変換器(P/S)
158…ガードインターバル(GI)付加部
159、163…プリアンブル付加部
164…帯域制限フィルタ
170…プリディストーション処理部
2、2a…端末
20、25…受信機(受信装置)
21…光信号受信装置(受信装置)
22…送受信機
23、201…アンテナ(受信部)
24…サーキュレータ
26…送信機(ウエイト送信部)
202、205…バンドパスフィルタ(BPF)
203…ローカル信号発生器(変換部)
204…ダウンコンバータ(変換部)
206…アナログ・デジタル信号変換器(ADC)(変換部)
207…デジタルローカル信号発生器(変換部)
208…デジタル直交復調器(変換部)
209−1、209−2、226−1、226−2…ローパスフィルタ(LPF)
210、228、210a、210b…復調装置
221…光バンドパスフィルタ(OBPF)
222…レーザ(変換部)
223…偏波コントローラ(PC)(変換部)
224…光カプラ(変換部)
225…光−電気信号変換器(変換部)
227−1、227−2…アナログ・デジタル信号変換器(ADC)(変換部)
251…同期処理部(変換部)
252…シリアル・パラレル変換器(S/P)(変換部)
253…フーリエ変換部(変換部)
254…チャネル状態推定部(変換部)
255…等化部(変換部)
256…メモリ
257…誤差補償部
258…パラレル・シリアル変換器(P/S)(復調部)
259…ヘッダ解析部(復調部)
260…デマッピング処理部(復調部)
261…誤り訂正復号部(復調部)
262…誤り検査部
263…誤り検査用信号付加部(再変調部)
264…誤り訂正符号化部(再変調部)
265…マッピング処理部(再変調部)
266…シリアル・パラレル変換器(S/P)(再変調部)
267…ウエイト算出部
271…帯域制限フィルタ
272…逆フーリエ変換部(復調部)
273…フーリエ変換部(再変調部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信やコヒーレント光通信におけるIQインバランスを補償するための信号処理を行なう受信装置、通信システム、受信方法及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この十年の間に、携帯電話やFTTH(Fiber to the Home)等の発達により、インターネットを利用するユーザが増加した。この結果、様々なサービスが提供され、動画像配信など高スループットが必要となるサービスも登場している。これらのサービスを利用するために、携帯電話や無線LAN(Local Area Network)等の無線通信システムの広帯域化への要求が高まっており、FTTHに匹敵する伝送速度を達成する次世代無線通信システムが検討されている。
【0003】
また、インターネットの発展に伴い、バックボーンネットワークを流れるトラヒック量が爆発的に増加しており、バックボーンネットワークの広帯域化も必要となっている。バックボーンネットワークを構成する光通信においてはWDM(Wavelength Division Multiplexing)などの技術を用いてキャパシティを上げてきたが限界に達しているため、最近は1波長当たりのチャネルの広帯域化が検討されている。広帯域化を図るために、無線通信で用いられているデジタル信号処理を用いたコヒーレント送受信が有望視されており、現在盛んに研究されている。
【0004】
無線通信や、コヒーレント光通信では、周波数の有効利用が可能となる位相変調が必須となっている。位相変調を行うためには、送受信機では、通信に利用する帯域において良好なIQバランス特性を有する必要がある。IQバランス特性としては、振幅、及び位相のそれぞれの面でのバランスがあり、理想的な送受信機では、同相チャネル(Iチャネル)と直交チャネル(Qチャネル)信号間の入出力ゲイン(入出力レベル)が等しく、位相差が90度となる。しかしながら、送受信機の広帯域化が進むにつれて、良好なIQバランス特性を広帯域に渡り達成するのは難しくなる。このようなIQバランス特性の悪化(IQインバランス)は、誤り率を増加させ、通信品質を劣化させる問題がある。
【0005】
IQバランス特性には、周波数非選択性(周波数非依存性)と周波数選択性(周波数依存性)との2種類がある。周波数非選択性のIQインバランスは、直交変調器へ入力されるI/Q信号のゲインがケーブル等の減衰によって差が生じた場合や、I/Q信号に乗算されるローカル信号間の位相差が90度からずれた場合に発生する。一方、周波数選択性のIQインバランス特性は、デジタル・アナログ変換器やローパスフィルタ、直交変調器ICなどの周波数特性に起因し、広帯域化が進むほどIQバランス特性を良好に保つのは難しい。
【0006】
送信機内に周波数選択性IQインバランスが存在する場合、直交変調器の出力信号は式(1)のように記述できる。
【0007】
y(t)=g1(t)*x(t)+g2(t)*x*(t) …(1)
【0008】
ここで、x(t)は時刻tにおける送信信号、y(t)は直交変調器の出力複素信号である。*は畳み込み演算、*は複素共役を示す。また、g1(t)及びg2(t)はそれぞれ、以下の式(2)、式(3)で記述できる。
【0009】
g1(t)={hI(t)+a・ejθ・hQ(t)}/2 …(2)
【0010】
g2(t)={hI(t)−a・ejθ・hQ(t)}/2 …(3)
【0011】
ここで、a及びθは周波数に依存しないI/Q間の振幅比及び位相誤差[rad(ラジアン)]であり、理想的な場合、a=1及びθ=0[rad]となる。また、hI(t)及びhQ(t)はそれぞれ、ローパスフィルタやデジタル・アナログ変換器などに起因するIチャネルインパルス応答及びQチャネルのインパルス応答であり、理想的な場合、hI(t)=hQ(t)となる。したがって、a=1、θ=0、且つ、hI(t)=hQ(t)の理想的である場合は、g2(t)の値は0となり、複素共役の信号x*(t)が消え、所望信号であるx(t)のみが直交変調器より出力される。
【0012】
フーリエ変換により式(1)を周波数領域の信号Y(f)に変換すると、以下の式(4)のように記述できる。fは周波数を示す。
【0013】
Y(f)=G1(f)・X(f)+G2(f)・X*(−f) …(4)
【0014】
ここで、G1(f)及びG2(f)は、g1(t)及びg2(t)のフーリエ変換後の信号であり、X(f)はx(t)のフーリエ変換後の信号である。したがって、中心周波数(ローカル信号の周波数)を中心として対称の周波数の信号(X*(−f))が、IQバランス特性に依存する係数(G2(f))と乗算され、干渉信号となって所望信号に合成される。図19は、干渉信号が所望信号に合成される様子を示す概念図である。同図に示すように、IQインバランスに起因する干渉が生じ、伝送品質が劣化する。
【0015】
送信機に周波数選択性IQインバランスが存在する時のシミュレーション結果を説明する。図20は、シミュレーションに用いたシングルキャリア方式の送信機50及び受信機60のシミュレーションモデルを示す図である。送信機50では、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)マッピング処理501により、バイナリ信号をQPSK変調フォーマットに従ってIQ信号に変換する。その後、ルートレイズドコサインフィルタ(ロールオフ率α=0.5)を帯域制限フィルタ502としてIQ信号のフィルタリングを行う。その後、フィルタ503−1及びフィルタ503−2をかけ、周波数非選択性IQインバランス504を付加して周波数選択性IQインバランスを生成している。
【0016】
フィルタのインパルス応答は、一般的に、(b0+b1z―1+b2z−2+…+bNz−N)/(1+a1z―1+a2z−2+…+aMz−M)として算出される。z−1、z−2、…は、遅延を表す。ここでは、フィルタ503−1におけるインパルス応答hI(t)の分子の係数[b0,b1,b2]及び分母の係数[a0,a1,a2]は[1,1,0]及び[1,0.7162,0]とし、フィルタ503−2におけるインパルス応答hQ(t)の分子の係数[b0,b1,b2]及び分母の係数[a0,a1,a2]は[1,1,0]及び[1,0.4602,0]とした。また、周波数非選択性IQインバランスにおけるaとθの値はそれぞれ、0.2dB(デシベル)、3度とした。
【0017】
受信機60では、送信機50の帯域制限フィルタ502と同じ帯域制限フィルタ601を用いてフィルタリングを行い、サイズ64のフーリエ変換602により周波数領域信号に変換して、等化603を行った後、サイズ64の逆フーリエ変換604を行った。オーバラップセーブ法により、中心の32個の信号を抽出し、端の32個の信号を削除することにより、シンボル間干渉を緩和した。
【0018】
図21は、図20に示すシミュレーションモデルによる逆フーリエ変換後の信号のコンスタレーションを示している。周波数選択性IQインバランスにより、コンスタレーションが広がっている。各点の距離が縮まったため、デマッピングを行う際に判定誤りが生じる可能性が高まる。
【0019】
上記の周波数選択性IQインバランスの補償を行う手法として、非特許文献1では、トレーニング信号を用いて、IQインバランス補償用のウエイトを算出し、IQインバランスを補償する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】”Compensation schemes and performance analysis of IQ imbalance in OFDM receivers”,IEEE Trans. on Sig. Proc.,Vol. 53,No. 8,pp. 3257-3268, 2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、非特許文献1の方法では、トレーニング信号を必要とするため、伝送効率が低下する問題がある。すなわち、トレーニング信号を送信する時間があるため、データ信号を送信する時間が短くなり、スループットが低下する。
また、既存の通信システムに導入する場合、信号フォーマットの変更やフォーマット変更に伴う信号処理方法の変更が必要となり、IQインバランス補償装置の導入にかかるコストが大きくなる問題がある。
【0022】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、トレーニング信号を用いずにウエイトの算出を行なう受信装置、通信システム、受信方法及び通信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上述した課題を解決するために、本発明は、受信した信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換して復調する受信装置であって、送信装置からの送信信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換部により変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償部と、前記誤差補償部から出力された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行って得られた前記ウエイトを前記誤差補償部に伝達するウエイト算出部と、を具備することを特徴とする受信装置である。
【0024】
また、本発明は、受信した信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換して復調する受信装置であって、送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトの通知先である前記送信装置からの送信信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、前記変換部により変換された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出部と、前記ウエイト算出部が算出した前記ウエイトを前記送信装置に送信するウエイト送信部と、を具備し、前記受信部は、前記ウエイト送信部が前記ウエイトを前記送信装置に送信した後、送信した前記ウエイトによりIQインバランスが補償された送信信号を前記送信装置から受信する、ことを特徴とする受信装置である。
【0025】
また、本発明は、送信装置と受信装置とからなる通信システムであって、前記送信装置は、入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する変調部と、前記変調部が変調したベースバンド信号を無線信号または光信号に変換した送信信号を送信する送信部とを具備し、前記受信装置は、前記送信装置からの前記送信信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換部により変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償部と、前記誤差補償部から出力された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行って得られた前記ウエイトを前記誤差補償部に伝達するウエイト算出部とを具備する、ことを特徴とする通信システムである。
【0026】
また、本発明は、送信装置と受信装置とからなる通信システムであって、前記送信装置は、入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する変調部と、前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを前記受信装置から受信するウエイト受信部と、前記変調部により変換された前記ベースバンド信号に前記ウエイト受信部により受信した前記ウエイトを乗算してIQインバランスを補償するプリディストーション処理部と、前記プリディストーション処理部から出力された前記ベースバンド信号を無線信号または光信号に変換した送信信号を送信する送信部とを具備し、前記受信装置は、前記送信装置からの前記送信信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、前記変換部により変換された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出部と、前記ウエイト算出部が算出した前記ウエイトを前記送信装置に送信するウエイト送信部とを具備する、ことを特徴とする通信システムである。
【0027】
また、本発明は、上述する通信システムであって、前記変調部は、前記ウエイト算出部において前記ウエイトの算出が完了するまでは、フレーム誤りが発生する可能性が小さい変調方式及び符号化を用いて、入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する、ことを特徴とする。
【0028】
また、本発明は、受信した信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換して復調する受信装置の受信方法であって、送信装置からの送信信号を受信する受信ステップと、前記受信ステップにおいて受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換ステップと、前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換ステップにおいて変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償ステップと、前記誤差補償ステップにおいて出力された前記ベースバンド信号を復調する復調ステップと、前記復調ステップにおいて復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調ステップと、周波数毎に、前記変換ステップにおいて変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調ステップにおいて当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出ステップと、を有することを特徴とする受信方法である。
【0029】
また、本発明は、送信装置と受信装置とからなる通信システムの通信方法であって、前記送信装置が、入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する変調ステップと、前記変調ステップにおいて変調されたベースバンド信号を無線信号または光信号に変換した送信信号を送信する送信ステップと、前記受信装置が、送信装置が送信した送信信号を受信する受信ステップと、前記受信ステップにおいて受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換ステップと、前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換ステップにおいて変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償ステップと、前記誤差補償ステップにおいて出力された前記ベースバンド信号を復調する復調ステップと、前記復調ステップにおいて復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調ステップと、周波数毎に、前記変換ステップにおいて変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調ステップにおいて当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出ステップと、を有することを特徴とする通信方法である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、トレーニング信号を必要とせずにIQインバランス補償用ウエイトを求めることができるため、伝送効率を低下させること無く、周波数選択性IQインバランスを補償することが可能となる。また、信号フォーマットの変更が不要であるため、既存の通信システムへの導入が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第一実施形態による無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】同実施形態による送信機の構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態による変調装置の構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態による受信機の構成を示すブロック図である。
【図5】同実施形態による復調装置の構成を示すブロック図である。
【図6】同実施形態による無線通信システムのアプリケーションデータ送受信処理のフローチャートを示す図である。
【図7】第二実施形態による光信号送信装置の構成を示すブロック図である。
【図8】同実施形態による変調装置の構成を示すブロック図である。
【図9】同実施形態による光信号受信装置の構成を示すブロック図である。
【図10】同実施形態による復調装置の構成を示すブロック図である。
【図11】第三実施形態による基地局の送受信機の構成を示すブロック図である。
【図12】同実施形態による基地局の変調装置の構成を示すブロック図である。
【図13】同実施形態による基地局の復調装置の構成を示すブロック図である。
【図14】同実施形態による端末の送受信機の構成を示すブロック図である。
【図15】同実施形態による端末の復調装置の構成を示すブロック図である。
【図16】同実施形態による端末の無線通信システムのアプリケーションデータ送受信処理のフローチャートを示す図である。
【図17】本発明の実施形態を適用したシミュレーションモデルを示す図である。
【図18】図17に示すシミュレーションモデルを用いたときの逆フーリエ変換後の信号のコンスタレーションを示す図である。
【図19】干渉信号が所望信号に合成される様子を示す概念図である。
【図20】シミュレーションモデルを示す図である。
【図21】図20に示すシミュレーションモデルを用いたときのコンスタレーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0033】
[第一実施形態]
本実施形態では、2台の無線装置がOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)通信方式を用いて信号の送受信を行う無線通信システムを想定する。図1は、本実施形態の無線通信システムの構成を示す図である。無線通信システムは、基地局1と端末2とを備えて構成される。本実施形態では、基地局1から端末2へアプリケーションデータを伝送する。そして、アプリケーションデータの送信側である基地局1が備える送信機において周波数選択性IQインバランスが発生しているものとし、受信側である端末2が備える受信機においてその周波数選択性IQインバランスを補償する。
【0034】
図2は、本実施形態における基地局1が備える送信機10(送信装置)の構成を示すブロック図である。送信機10は、変調装置101、デジタル・アナログ信号変換器(DAC)102−1、デジタル・アナログ信号変換器102−2、ローパスフィルタ(LPF)103−1、ローパスフィルタ(LPF)103−2、ローカル信号発生器104、直交変調器105及びアンテナ106を備えて構成される。
【0035】
変調装置101は、上位レイヤから出力されたバイナリ信号を変調して、ベースバンドIQ信号に変換する。変調装置101は、ベースバンドIQ信号のIチャネル(同相チャネル)のデジタル信号をデジタル・アナログ信号変換器102−1に出力し、ベースバンドIQ信号のQチャネル(直交チャネル)のデジタル信号をデジタル・アナログ信号変換器102−2に出力する。
【0036】
デジタル・アナログ信号変換器102−1は、Iチャネルのデジタル信号をアナログ信号に変換し、ローパスフィルタ103−1に出力する。デジタル・アナログ信号変換器102−2は、Qチャネルのデジタル信号をアナログ信号に変換し、ローパスフィルタ103−2に出力する。ローパスフィルタ103−1は、所定の帯域のIチャネルのアナログ信号を通過させ、直交変調器105に出力する。ローパスフィルタ103−2は、所定の帯域のQチャネルのアナログ信号を通過させ、直交変調器105に出力する。
【0037】
ローカル信号発生器104は、ローカル信号を発生させる。直交変調器105は、ローパスフィルタ103−1から入力されたIチャネルのアナログ信号及びローパスフィルタ103−2から入力されたQチャネルのアナログ信号であるアナログのベースバンドIQ信号と、ローカル信号発生器104が発生させたローカル信号をミキシングし、高周波無線信号に変換する。アンテナ106は、直交変調器105により変換された高周波無線信号を空中へ出力する。
【0038】
図3は、図2に示す変調装置101の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、変調装置101は、ヘッダ付加部151、誤り検査用信号付加部152、誤り訂正符号化部153、マッピング処理部154、シリアル・パラレル変換器(S/P)155、逆フーリエ変換部156、パラレル・シリアル変換器(P/S)157、ガードインターバル(GI)付加部158及びプリアンブル付加部159を備えて構成される。
【0039】
ヘッダ付加部151は、変調方式及び符号化情報を含むヘッダをフレーム毎に付加し、誤り検査用信号付加部152に出力する。誤り検査用信号付加部152は、端末2が備える受信機において誤りを検出できるように、誤り検査用の信号をヘッダ付加部151から入力されたフレーム毎に付加し、誤り訂正符号化部153に出力する。誤り訂正符号化部153は、端末2が備える受信機において誤り訂正ができるように、誤り検査用信号付加部152から入力されたフレームに誤り訂正符号化を行い、マッピング処理部154に出力する。マッピング処理部154は、誤り訂正符号化部153から入力されたバイナリ信号を、決定された変調フォーマットに従って、同相成分・直交成分からなるIQ信号に変換し、シリアル・パラレル変換器155に出力する。
【0040】
シリアル・パラレル変換器155は、マッピング処理部154から出力されたIQ信号のシリアルデータをパラレルに並べ替えて逆フーリエ変換部156に出力する。逆フーリエ変換部156は、シリアル・パラレル変換器155から入力された信号に逆フーリエ変換処理を行い、パラレル・シリアル変換器157に出力する。パラレル・シリアル変換器157は、逆フーリエ変換部156から入力されたパラレルデータをシリアルに並べ替えてガードインターバル付加部158に出力する。
【0041】
ガードインターバル付加部158は、パラレル・シリアル変換器157から入力された信号に対して、OFDMシンボル毎にガードインターバルを付加し、プリアンブル付加部159に出力する。プリアンブル付加部159は、ガードインターバル付加部158から入力された信号にプリアンブルを付加する。
【0042】
図4は、図1示す端末2が備える受信機20(受信装置)の構成を示す図である。
同図に示すように、受信機20は、アンテナ201、バンドパスフィルタ(BPF)202、ローカル信号発生器203、ダウンコンバータ204、バンドパスフィルタ(BPF)205、アナログ・デジタル信号変換器(ADC)206、デジタルローカル信号発生器207、デジタル直交復調器208、ローパスフィルタ(LPF)209−1、ローパスフィルタ(LPF)209−2及び復調装置210を備えて構成される。
【0043】
アンテナ201は、高周波無線信号を受信し、バンドパスフィルタ202に出力する。バンドパスフィルタ202は、アンテナ201が受信した信号の所定の帯域を通過させ、ダウンコンバータ204に出力する。ローカル信号発生器203は、ローカル信号を発生させる。ダウンコンバータ204は、バンドパスフィルタ202から入力された高周波無線信号と、ローカル信号発生器203が発生させたローカル信号とをミキシングし、低周波無線信号に変換してバンドパスフィルタ205に出力する。
【0044】
バンドパスフィルタ205は、所定の帯域の信号を通過させ、アナログ・デジタル信号変換器206に出力する。アナログ・デジタル信号変換器206は、バンドパスフィルタ205から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換してデジタル直交復調器208に出力する。デジタルローカル信号発生器207は、デジタルのローカル信号を発生させる。デジタル直交復調器208は、アナログ・デジタル信号変換器206によりデジタル信号化された低周波無線信号と、デジタルローカル信号発生器207が発生させたデジタルのローカル信号をミキシングし、ベースバンドIQ信号に変換する。デジタル直交復調器208は、ベースバンドIQ信号のIチャネルのデジタル信号をローパスフィルタ209−1に出力し、Qチャネルのデジタル信号をローパスフィルタ209−2に出力する。
【0045】
ローパスフィルタ209−1は、所定の帯域のIチャネルのデジタル信号を通過させ、復調装置210に出力する。ローパスフィルタ209−2は、所定の帯域のQチャネルのデジタル信号を通過させ、復調装置210に出力する。復調装置210は、ローパスフィルタ209−1から入力されたIチャネルの信号及びローパスフィルタ209−2から入力されたQチャネルの信号であるIQ信号からベースバンド無線信号を復調し、上位レイヤに出力する。
【0046】
図5は、図4に示す復調装置210の構成を示す図である。復調装置210は、同期処理部251、シリアル・パラレル変換器(S/P)252、フーリエ変換部253、チャネル状態推定部254、等化部255、メモリ256、誤差補償部257、パラレル・シリアル変換器(P/S)258、ヘッダ解析部259、デマッピング処理部260、誤り訂正復号部261、誤り検査部262、誤り検査用信号付加部263、誤り訂正符号化部264、マッピング処理部265、シリアル・パラレル変換器(S/P)266及びウエイト算出部267を備えて構成される。
【0047】
同期処理部251は、IQ信号に付加されたプリアンブルやパイロット信号を用いて、タイミング同期、周波数オフセット同期処理等を行い、処理タイミングや周波数ずれの補正を行い、シリアル・パラレル変換器252に出力する。プリアンブル、パイロット信号、トレーニング信号は、いずれも既知信号という点で共通する。本実施形態において、プリアンブルとパイロット信号は、それぞれ無線チャネル状態の推定、およびローカル信号間の周波数のオフセットや位相雑音の補償に用いるものであり、IQインバランス補償の有無にかかわらず必要となる。一方、従来技術において用いられているトレーニング信号は、IQインバランスの推定に用いるために、プリアンブルとパイロット信号の他に追加されたものである。
【0048】
シリアル・パラレル変換器252は、同期処理部251から入力されたIQ信号のシリアルデータをパラレルに並べ替えてフーリエ変換部253に出力する。フーリエ変換部253は、シリアル・パラレル変換器252から入力されたシリアルデータのフーリエ変換演算処理を行う。フーリエ変換部253は、フーリエ変換された信号のプリアンブルをチャネル状態推定部254に出力し、データ信号を等化部255へ出力する。
【0049】
チャネル状態推定部254は、フーリエ変換部253から入力されたプリアンブル信号からチャネル状態を推定する。等化部255は、チャネル状態推定部254が推定したチャネル状態を基に、フーリエ変換部253から入力された信号の等化処理を行う。メモリ256は、等化部255から出力された等化処理後の信号を一時記憶する。誤差補償部257は、ウエイト算出部267により算出されたウエイトを基に、等化部255による等化処理後の信号に対しウエイトを乗算して加算することにより、IQインバランスを補償する。パラレル・シリアル変換器258は、誤差補償部257から入力された信号のパラレルデータをシリアルに並べ替えて出力する。
【0050】
ヘッダ解析部259は、パラレル・シリアル変換器258から出力された信号のヘッダを解析し、変調方式・符号化情報を取得する。デマッピング処理部260は、ヘッダ解析部259がヘッダから取得した変調方式情報に基づいて、パラレル・シリアル変換器258から入力された同相成分・直交成分からなるIQ信号をバイナリ信号に変換し、誤り訂正復号部261に出力する。誤り訂正復号部261は、ヘッダ解析部259がヘッダから取得した符号化情報に基づいて、デマッピング処理部260から入力された信号の誤り訂正復号を行い、誤り訂正復号された信号を誤り検査部262に出力する。誤り検査部262は、誤り訂正復号部261から入力された信号に送信側が付加した誤り検出用の信号を用いて、受信した信号のフレーム中に誤りが存在しないかを確認する。
【0051】
誤り検査用信号付加部263は、誤り検査部262により誤りが存在しないかが確認された信号の各フレームに、誤り検査用の信号を付加し、誤り訂正符号化部264に出力する。誤り訂正符号化部264は、誤り検査用信号付加部263から入力されたフレームに誤り訂正符号化を行い、マッピング処理部265に出力する。マッピング処理部265は、誤り訂正符号化部264から入力されたバイナリ信号を、決定された変調フォーマットに従って、同相成分・直交成分からなるIQ信号に変換し、シリアル・パラレル変換器266に出力する。シリアル・パラレル変換器266は、マッピング処理部265から入力されたIQ信号のシリアルデータをパラレルに並べ替えてウエイト算出部267に出力する。
【0052】
ウエイト算出部267は、メモリ256が記憶している各周波数成分における受信信号(ベースバンド信号)と、シリアル・パラレル変換器266より入力された復調後の信号から再変調されたベースバンド信号の各周波数成分における信号を用いて、適応アルゴリズムにより、ウエイトを算出する。ウエイト算出部267は、誤差補償後の信号と、復調後の信号から再変調されたベースバンド信号との差が小さな値に収束するまで、十分な回数繰り返しながらウエイトを算出する。
【0053】
図6は、本実施形態の通信システムにおけるアプリケーションデータ送受信処理のフローチャートを示す図である。
最初のアプリケーションデータの伝送では、基地局1の送信機10は、フレーム内に誤りが生じる可能性が小さい変調方式・符号化(たとえば、最も低い伝送速度となる変調方式、符号化率の組合せ)によって、端末2に信号を伝送する(ステップS11)。端末2の受信機20は、ステップS11において伝送された信号を用いてウエイトを算出し(ステップS13)、誤差補償部257は、算出されたウエイトをセットする(ステップS15)。なお、フレーム内に誤りが生じる可能性が小さい変調方式・符号化を使用するのは、ウエイトの算出を精度よく、かつ、短い期間で行うためであり、したがって、ウエイトの算出が完了すれば、他の変調方式・符号化を用いる。その後、基地局1の送信機10は、チャネル状態などに応じて変調方式や符号化を変更して、アプリケーションデータの伝送を行う(ステップS17)。
【0054】
以下に、基地局1から端末2へアプリケーションデータを送信する際の基地局1及び端末2内の具体的な処理例を示す。ここでは、OFDM信号を生成するためのフーリエ変換のサイズを64、その内のデータを伝送するために用いるサブキャリア数を48とする。変調方式・符号化は、表1に示すように、5セットがあるものとする。最初の伝送は、1番のセットを用いる。
【0055】
【表1】
【0056】
基地局1内において、上位レイヤからアプリケーションデータがバイナリ信号として、送信機10内の変調装置101に入力される。変調装置101のヘッダ付加部151は、入力された信号をフレーム毎に分け、ヘッダを付加し、誤り検査用信号付加部152に出力する。ヘッダには、変調方式と符号化の情報が格納される。最初は、フレーム内に誤りが生じる可能性が小さい変調方式・符号化として1番のセットを用いるため、変調方式としてBPSK(Binary Phase Shift Keying)、符号化率として1/2の情報を格納する。その後、誤り検査用信号付加部152は、誤り検査用の信号を、ヘッダ付加部151から入力された信号のフレーム毎に付加し、誤り訂正符号化部153に出力する。
【0057】
次に、誤り訂正符号化部153は、畳み込み符号により、誤り検査用信号付加部152から入力された信号の誤り訂正符号化を行い、マッピング処理部154に出力する。ここでは、誤り訂正符号化部153は、1/2の符号化率で誤り訂正符号化を行う。この時のフレーム長は、48*2*N(Nは整数)となっている。次に、マッピング処理部154は、誤り訂正符号化部153から入力されたバイナリ信号をIQ信号に変換し、シリアル・パラレル変換器155に出力する。ここでは、マッピング処理部154は、BPSKフォーマットに従ってIQ信号に変換する。
【0058】
シリアル・パラレル変換器155は、マッピング処理部154からシリアルに入力された48シンボルを一旦蓄積した後、48シンボルをパラレルに出力する。続いて逆フーリエ変換部156は、64サブキャリア中のDC(直流)を中心とする48サブキャリアに上記48シンボルを割り当てた後、逆フーリエ変換処理を行う。パラレル・シリアル変換器157は、逆フーリエ変換部156からパラレルに入力された信号をシリアルに出力し、OFDMシンボルを生成し、ガードインターバル付加部158に出力する。この時、フレームはN個のOFDMシンボルより構成されている。
【0059】
その後、ガードインターバル付加部158は、逆フーリエ変換部156から入力されたそれぞれのOFDMシンボルにガードインターバルを付加し、プリアンブル付加部159に出力する。次に、プリアンブル付加部159は、ガードインターバル付加部158から入力された信号のフレーム毎にプリアンブルを付加し、変調装置101から出力する。
【0060】
変調装置101から出力されたこの信号は、デジタル・アナログ信号変換器102−1及びデジタル・アナログ信号変換器102−2によってアナログ信号に変換され、ローパスフィルタ103−1及びローパスフィルタ103−2によって不要信号成分がカットされた後、直交変調器105へ入力される。直交変調器105は、ローパスフィルタ103−1から出力されたIチャネルの信号及びローパスフィルタ103−2から出力されたQチャネルの信号と、ローカル信号発生器104が発生させたローカル信号とをミキシングして高周波無線信号に変換する。高周波無線信号に変換された信号は、アンテナ106より端末2へ向けて放射される。
【0061】
端末2のアンテナ201が、基地局1から放射された信号を受信した後、バンドパスフィルタ202は、アンテナ201が受信した信号の所定の帯域を通過さることにより、所要信号を抽出してダウンコンバータ204へ出力する。ダウンコンバータ204は、バンドパスフィルタ202から入力された信号をローカル信号発生器203が発生させたローカル信号とミキシングして低周波無線信号に変換する。バンドパスフィルタ205は、ダウンコンバータ204が変換した低周波無線信号の所定の帯域を通過さることにより、不要な信号成分を除去してアナログ・デジタル信号変換器206に出力する。
【0062】
アナログ・デジタル信号変換器206は、バンドパスフィルタ205から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタル直交復調器208に出力する。次に、デジタル直交復調器208は、アナログ・デジタル信号変換器206から入力されたデジタル信号と、デジタルローカル信号発生器207が発生させたデジタルローカル信号とをミキシングする。ローパスフィルタ209−1及びローパスフィルタ209−2は、デジタル直交復調器208より入力されたデジタルローカル信号から所定の帯域の不要信号を除去してベースバンドのIQ信号に変換し、復調装置210へ出力する。
【0063】
復調装置210の同期処理部251は、入力されたIQ信号に付加されたプリアンブルやパイロット信号を用いて、処理タイミングや周波数ずれ補正等の同期処理を行い、1OFDMシンボル毎にIQ信号をシリアル・パラレル変換器252に出力する。シリアル・パラレル変換器252は、同期処理部251からシリアルに入力された信号をパラレルに出力し、フーリエ変換部253は、シリアル・パラレル変換器252からパラレルに入力された信号のフーリエ変換を行う。フーリエ変換部253は、プリアンブルをチャネル状態推定部254に出力し、データ信号を等化部255に出力する。
【0064】
チャネル状態推定部254は、プリアンブルを用いてチャネル状態の推定を行い、等化部255へ伝達する。等化部255は、チャネル状態推定部254から伝達された推定チャネル状態を基に、受信信号の等化処理を行う。等化処理後、メモリ256に信号を送り、一時記憶させる。また、等化部255は、等化処理を行った信号を誤差補償部257に出力し、誤差補償部257は、ウエイト算出部267より伝達されたウエイトを用いて、等化部255からの出力信号に対し、式(5)の演算を行い、誤差を補償する。すなわち、時刻t、周波数kにおけるIQインバランス補償後の信号Yc(t,k)は式(5)のようになる。なお、時刻tは、1OFDMシンボルに対応する。
【0065】
Yc(t,k)=W1(k)・Y(t,k)+W2(k)・Y*(t,−k) …(5)
【0066】
ここで、W1(k)及びW2(k)は周波数(サブキャリア)kにおけるウエイト、Y(t,k)は周波数kにおける受信信号(ベースバンド信号)、Y(t,−k)はDC(直流)を挟んでkと対称の位置にある周波数(−k)における受信信号(ベースバンド信号)である。*は複素共役を示す。ウエイト算出部267よりウエイト情報が伝達されていない場合は、W1(k)=1、W2(k)=0と設定する。
【0067】
誤差補償部257は、誤差補償した信号をパラレルにパラレル・シリアル変換器258に出力する。パラレル・シリアル変換器258は、誤差補償部257からパラレルに入力された信号をシリアルに出力する。ヘッダ解析部259は、パラレル・シリアル変換器258から出力された信号のヘッダを解析し、変調方式情報をデマッピング処理部260へ伝達し、符号化情報を誤り訂正復号部261へ伝達する。
【0068】
デマッピング処理部260は、ヘッダ解析部259から伝達された変調方式情報に基づき、パラレル・シリアル変換器258から入力されたBPSKフォーマットのIQ信号をバイナリ信号に変換し、誤り訂正復号部261に出力する。誤り訂正復号部261は、ヘッダ解析部259から伝達された符号化情報に基づき、デマッピング処理部260から入力されたバイナリ信号に、符号化率1/2のビタビ復号による誤り訂正復号化を行った後、誤り検査部262は、誤り検査用の信号を用いて、フレーム内に誤りが存在しないか確認する。誤りが検出された場合、誤り検査部262は、パケットを廃棄する。誤りが検出されなければ、誤り検査部262は、該フレームを上位レイヤへ送信し、復調装置210は、該フレームに対して、送信機10と同様に、誤り検査用信号の付加、誤り訂正符号化を行う。
【0069】
つまり、誤り訂正復号部261は、ヘッダ解析部259から伝送された符号化情報に基づいて、デマッピング処理部260から入力された信号の誤り訂正復号を行い、誤り訂正復号された信号を誤り検査部262に出力する。誤り検査部262は、誤り訂正復号部261から入力された信号のフレーム中に誤りが存在しないかを確認する。誤り検査用信号付加部263は、誤り検査部262により誤りが存在しないかが確認された信号の各フレームに、誤り検査用の信号を付加し、誤り訂正符号化部264に出力する。誤り訂正符号化部264は、誤り検査用信号付加部263から入力されたフレームに誤り訂正符号化を行い、マッピング処理部265に出力する。
【0070】
マッピング処理部265は、BPSKフォーマットに従って、誤り訂正符号化部264が誤り訂正符号化を行った信号をIQ信号に変換してシリアル・パラレル変換器266に出力し、シリアル・パラレル変換器266は、マッピング処理部265から入力されたシリアル信号をパラレルに信号を出力して送信信号のレプリカを生成する。この時の、時刻t、周波数kにおけるレプリカ信号をN(t,k)とする。
【0071】
その後、ウエイト算出部267は、シリアル・パラレル変換器266が生成したレプリカの送信信号と、メモリ256に記憶していた受信信号とを用い、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムにより、反復処理でIQインバランス補償用のウエイトを算出する。ウエイト算出部267は、W1(0,k)=1及びW2(0,k)=0を初期値(t=0)として以下のように式(6)から式(8)を反復し、ウエイトW1(k)及びW2(k)を算出する。
【0072】
Y’(t,k)=W1(k)・Y(t,k)+W2(t,k)・Y*(t,−k) …(6)
【0073】
W1(t+1,k)=W1(k)+μ・e(t,k)・Y*(t,k) …(7)
【0074】
W2(t+1,k)=W2(k)+μ・e(t,k)・Y(t,−k) …(8)
【0075】
ここで、Y’(t,k)は、ウエイト算出に用いる仮想の送信信号、μはステップサイズ、e(t,k)はエラー信号である。e(t,k)は、以下の式(9)のように算出される。
【0076】
e(t,k)=N(t,k)−Y’(t,k) …(9)
【0077】
つまり、ウエイト算出部267は、式(6)によりY’(t,k)を算出した後、上記の式(9)によりe(t,k)を算出し、算出したe(t,k)を用いて、式(7)及び式(8)の演算を行なう。
【0078】
ウエイト算出部267は、1≦t≦Nまで、つまり、OFDMシンボル1つずつN個のOFDMシンボルまで、式(6)から式(9)の処理を繰り返し、W1(N+1,k)及びW2(N+1,k)をサブキャリアkにおけるウエイトW1(k)及びW2(k)とする。以下同様に、ウエイト算出部267は、各サブキャリアにおけるW1及びW2を算出する。ウエイト算出部267は、算出したウエイトを誤差補償部257に伝達する。
【0079】
以後、端末2が基地局1から信号を受信した場合は、同様の処理を行う。なお、この後、変調方式や符号化率は、チャネル状態や受信電力、フレーム誤り率などに応じて変更され、アプリケーションデータの伝送が継続される。すなわち、本実施形態では、BPSKフォーマットを用いた比較的送信成功しやすい送信信号を最初に送信することによって、受信機20で誤りのない信号を取得させ、当該受信信号から送信信号のレプリカを生成する。当該送信信号のレプリカはIQインバランスを含まない送信信号である。一方、等化処理後にメモリ256に記憶した受信信号はIQインバランスによる歪を含む。したがって、これらの送信信号のレプリカと等化処理後にメモリ256に記憶した受信信号を用いた演算により、IQインバランスを補償するためのウエイトを算出できる。
【0080】
以上の処理により、送信機10において発生した周波数選択性IQインバランスを補償することができる。IQインバランスの時変動はほとんど無いため、Nが十分に大きい場合は、エラー信号はある小さな値に収束する。一旦ウエイトが算出された場合は、ウエイト算出処理を継続しなくとも、後続の信号に対して誤差補償を行うことが可能である。したがって、本実施形態では、信号が受信される都度ウエイトを算出する構成であるが、この限りでは無い。例えば、ウエイト算出後一定時間以上経過した場合に信号が受信された時に、ウエイトを再度算出するような構成でも良い。
【0081】
なお、本実施形態では、IF信号をデジタル信号化した後ベースバンド信号に変換したために、受信側のIQインバランスは発生しないものとしたが、アナログの直交復調器によってベースバンド信号に変換した場合、IQインバランスが受信機20に発生する可能性がある。その場合でも、本実施形態と同様な構成により、受信機20で発生したIQインバランスを補償することができる。
【0082】
また、本実施形態では、ウエイト算出部267に用いる信号は、等化部255からの出力信号である必要は無く、例えば、フーリエ変換部253からの出力信号を用いても同様な処理が可能となる。また、受信機20は、必ずしもヘテロダイン受信構成である必要はなく、ダイレクトコンバージョン受信構成でも本実施形態を適用できる。
【0083】
また、本実施形態では、LMSアルゴリズムを用いたが、この限りでは無く、RLS(Recursive Least Square)など他のアルゴリズムでも同様の効果が得られる。
【0084】
本実施形態では、誤り検査処理を行ったが、この限りでは無く、誤り訂正符号等の利用により誤りの発生率が低い場合は、誤り検査処理を省いても同様な効果が得られる。
【0085】
[第二実施形態]
本実施形態では、2台の光通信装置が、シングルキャリア通信方式を用いて信号の送受信を行う光通信システムを想定する。1台の光通信装置が光信号送信装置を備え、もう1台の光通信装置が光信号受信装置を備える。そして、光信号受信装置において、周波数選択性IQインバランスが発生しているものとする。
【0086】
図7は、本実施形態の光通信装置が備える光信号送信装置11(送信装置)の構成を示すブロック図である。光信号送信装置11は、変調装置111、デジタル・アナログ信号変換器112−1、デジタル・アナログ信号変換器112−2、ローパスフィルタ113−1、ローパスフィルタ113−2、レーザ114及び光変調器115を備えて構成される。
【0087】
変調装置111は、バイナリ信号を変調して、ベースバンドIQ信号に変換する。デジタル・アナログ信号変換器112−1、デジタル・アナログ信号変換器112−2、ローパスフィルタ113−1、ローパスフィルタ113−2はそれぞれ、第一実施形態の送信機10のデジタル・アナログ信号変換器102−1、デジタル・アナログ信号変換器102−2、ローパスフィルタ103−1、ローパスフィルタ103−2と同様である。レーザ114は、レーザ光を発生する。光変調器115は、アナログのベースバンドIQ信号とレーザ114が発生させたレーザ光をミキシングし、光信号に変換する。
【0088】
図8は、図7に示す変調装置111の構成を示すブロック図である。変調装置111は、誤り検査用信号付加部161、マッピング処理部162、プリアンブル付加部163及び帯域制限フィルタ164を備えて構成される。
【0089】
誤り検査用信号付加部161、マッピング処理部162、プリアンブル付加部163はそれぞれ、第一実施形態の変調装置101の誤り検査用信号付加部152、マッピング処理部154、プリアンブル付加部159と同様である。帯域制限フィルタ164は、入力信号に対して帯域によるフィルタリングを行う。
【0090】
図9は、本実施形態の光通信装置が備える光信号受信装置21(受信装置)の構成を示すブロック図である。同図に示すように、光信号受信装置21は、光バンドパスフィルタ(OBPF)221、レーザ222、偏波コントローラ(PC)223、光カプラ224、光−電気信号変換器225、ローパスフィルタ(LPF)226−1、ローパスフィルタ(LPF)226−2、アナログ・デジタル信号変換器227−1、アナログ・デジタル信号変換器227−2及び復調装置228を備えて構成される。
【0091】
光バンドパスフィルタ221は、所定の帯域の光信号を通過させ、光カプラ224に出力する。レーザ222は、レーザ光を発生させる。偏波コントローラ223は、レーザ222が発生させたレーザ光の偏光状態を制御する。光カプラ224は、光バンドパスフィルタ221から入力された光信号と、偏波コントローラ223から入力されたレーザ光を合波し、光−電気信号変換器225に出力する。光−電気信号変換器225は、光カプラ224から入力された光信号を電気信号に変換し、Iチャネルの電気信号をローパスフィルタ226−1に出力し、Qチャネルの電気信号をローパスフィルタ226−2に出力する。ローパスフィルタ226−1、ローパスフィルタ226−2は、図4に示す第一実施形態の受信機20のローパスフィルタ209−1、ローパスフィルタ209−2と同様である。
【0092】
アナログ・デジタル信号変換器227−1は、ローパスフィルタ226−1から入力されたアナログの電気信号をデジタルの電気信号に変換して復調装置228に出力する。アナログ・デジタル信号変換器227−2は、ローパスフィルタ226−2から入力されたアナログの電気信号をデジタルの電気信号に変換して復調装置228に出力する。復調装置210は、アナログ・デジタル信号変換器227−1及びアナログ・デジタル信号変換器227−2から入力されたデジタルのIQ信号からベースバンド無線信号を復調し、出力する。
【0093】
図10は、図9に示す復調装置228の構成を示すブロック図である。同図において、図5に示す第一実施形態の復調装置210と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。復調装置228が、第一実施形態の復調装置210と異なる点は、帯域制限フィルタ271、逆フーリエ変換部272及びフーリエ変換部273を備える点、ヘッダ解析部259、誤り訂正復号部261及び誤り訂正符号化部264を備えていない点である。
【0094】
同期処理部251、シリアル・パラレル変換器252、フーリエ変換部253、チャネル状態推定部254、等化部255、メモリ256、誤差補償部257、パラレル・シリアル変換器258、デマッピング処理部260、誤り検査部262、誤り検査用信号付加部263、マッピング処理部265、シリアル・パラレル変換器266及びウエイト算出部267は、第一実施形態の復調装置210と同様である。
帯域制限フィルタ271は、入力信号に対して帯域によるフィルタリングを行う。逆フーリエ変換部272は、誤差補償部257から入力された信号を逆フーリエ変換してパラレル・シリアル変換器258に出力する。フーリエ変換部273は、シリアル・パラレル変換器266から入力された信号にフーリエ変換を行い、ウエイト算出部267に出力する。
【0095】
次に、本実施形態の光通信装置の処理例を説明する。本実施形態では、フーリエ変換部253におけるフーリエ変換サイズを64とし、シンボル間干渉を緩和するためのオーバラップセーブ法におけるシンボル抽出数は32とする。
【0096】
送信側の光通信装置において、上位レイヤから連続するアプリケーションデータがバイナリ信号として、光信号送信装置11内の変調装置111に入力される。変調装置111の誤り検査用信号付加部161は、入力されたバイナリ信号に誤り検査用信号を付加し、マッピング処理部162に出力する。マッピング処理部162は、誤り検査用信号付加部161から入力されたバイナリ信号を、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)フォーマットに従ってIQ信号に変換し、プリアンブル付加部163に出力する。プリアンブル付加部163は、マッピング処理部162から入力されたIQ信号にN個のシンボル毎にプリアンブルを付加して帯域制限フィルタ164に出力する。帯域制限フィルタ164は、ルートレイズドコサインフィルタによるフィルタリングを行い、変調装置111から出力する。
【0097】
変調装置111から出力されたこれらの信号は、デジタル・アナログ信号変換器112−1及びデジタル・アナログ信号変換器112−2によってアナログ信号に変換され、ローパスフィルタ113−1及びローパスフィルタ113−2によって不要信号成分がカットされる。光変調器115は、ローパスフィルタ113−1から入力されたIチャネルの信号及びローパスフィルタ113−2から入力されたQチャネルの信号と、レーザ114が発生させたレーザ光とミキシングして光信号に変換し、光伝送路により伝送する。
【0098】
受信側の光通信装置において光信号受信装置21では、光バンドパスフィルタ221が、受信した光信号の所定の帯域を通過させる。光カプラ224には、光バンドパスフィルタ221が出力した光信号と、偏波コントローラ223により偏光状態が調整されたレーザ光が入力される。光カプラ224は、光信号とレーザ光を合波し、光−電気信号変換器225に出力する。光−電気信号変換器225は、光カプラ224から入力された光信号を電気信号に変換する。
【0099】
ローパスフィルタ226−1は、光−電気信号変換器225から入力されたIチャネルの電気信号からから所定の帯域の不要信号を除去してアナログ・デジタル信号変換器227−1に出力し、アナログ・デジタル信号変換器227−1は、ローパスフィルタ226−1から入力されたアナログの電気信号をデジタル信号に変換して復調装置228に出力する。
【0100】
ローパスフィルタ226−2は、光−電気信号変換器225から入力されたQチャネルの電気信号からから所定の帯域の不要信号を除去してアナログ・デジタル信号変換器227−2に出力し、アナログ・デジタル信号変換器227−2は、ローパスフィルタ226−2から入力されたアナログの電気信号をデジタル信号に変換して復調装置228に出力する。
【0101】
復調装置228の帯域制限フィルタ271は、アナログ・デジタル信号変換器227−1及びアナログ・デジタル信号変換器227−2から入力されたIQ信号の帯域制限フィルタリングを行い、同期処理部251に出力する。同期処理部251は、IQ信号に付加されたプリアンブル・パイロット信号を用いて、処理タイミングや周波数ずれ補正等の同期処理を行う。シリアル・パラレル変換器252は、32シンボルずつスライドさせながら、同期処理部251から64シンボルのシリアルに入力された信号をパラレルに出力する。フーリエ変換部253は、シリアル・パラレル変換器252から入力されたシリアルデータのフーリエ変換を行う。フーリエ変換部253は、フーリエ変換された信号のプリアンブルをチャネル状態推定部254に出力し、データ信号を等化部255へ出力する。
【0102】
チャネル状態推定部254は、フーリエ変換部253から入力されたプリアンブルを用いてチャネル状態を推定し、等化部255へ伝達する。等化部255は、チャネル状態推定部254から伝達された推定チャネル状態を基に、フーリエ変換部253から入力された受信信号の等化処理を行い、波長分散や偏波モード分散の補償を行う。等化部255は、等化処理した信号を誤差補償部257へ信号を出力するとともに、メモリ256に書き込む。メモリ256は、等化部255から入力された信号を一時記憶する。誤差補償部257は、ウエイト算出部267から伝達されたウエイトを用いて、等化部255からの出力信号に対し、第一実施形態に示す式(5)のように誤差補償を行い、逆フーリエ変換部272に出力する。
【0103】
逆フーリエ変換部272は、誤差補償部257から入力された信号の逆フーリエ変換を行い、オーバラップセーブ法により中心の32シンボルの信号を抽出し、端の32シンボルの信号を廃棄する。逆フーリエ変換部272は、抽出した信号をシリアルにパラレル・シリアル変換器258に出力する。パラレル・シリアル変換器258は、逆フーリエ変換部272から入力された信号のパラレルデータをシリアルに並べ替えてデマッピング処理部260に出力する。
【0104】
デマッピング処理部260は、QPSKフォーマットのIQ信号をバイナリ信号に変換して誤り検査部262に出力する。誤り検査部262は、デマッピング処理部260から入力された信号に送信側が付加した誤り検出用の信号を用いて、受信した信号のフレーム中に誤りが存在しないかを確認する。誤り検査部262は、誤りが検出されなければ、該フレームを上位レイヤへ送信するとともに、フレームを誤り検査用信号付加部263に出力する。
【0105】
誤り検査用信号付加部263は、誤り検査部262により誤りが存在しないかが確認された信号の各フレームに、誤り検査用の信号を付加し、マッピング処理部265に出力する。マッピング処理部265は、誤り検査用信号付加部263から入力されたバイナリ信号を再度QPSKフォーマットのIQ信号に変換し、シリアル・パラレル変換器266に出力する。シリアル・パラレル変換器266は、マッピング処理部265から入力された信号をシリアルからパラレルに並べ替えてフーリエ変換部273に出力する。
【0106】
フーリエ変換部273は、シリアル・パラレル変換器266から入力された信号にフーリエ変換を行い、レプリカ信号N(t,k)を生成し、ウエイト算出部267に出力する。ウエイト算出部267は、第一実施形態と同様に、メモリ256が記憶している各周波数成分における受信信号と、フーリエ変換部273から入力された各周波数成分における信号を用いて、LMSアルゴリズムにより、式(6)から式(9)に従ってIQインバランス補償用ウエイトを算出する。ウエイト算出部267は、誤差補償後の信号と、復調後の信号から変換されたベースバンド信号との差が所定の小さな値に収束するまで、十分な回数繰り返しながらウエイトを算出する。ウエイト算出部267は、算出したウエイトを誤差補償部257に伝達する。
以後、光信号受信装置21において光信号送信装置11から信号が受信された場合は、同様の処理を行う。
【0107】
以上の処理により、光信号受信装置21において発生した周波数選択性IQインバランスを補償することができる。
【0108】
なお、本実施形態では、光信号受信装置21で発生した周波数選択性IQインバランスを補償したが、この限りでは無く、光信号送信装置11で発生した周波数選択性IQインバランスも補償することができる。
【0109】
また、本実施形態では、信号が受信される度に、ウエイトを算出する構成であるが、この限りでは無い。例えば、ウエイト算出後一定時間以上経過した場合に信号が受信された時に、ウエイトを再度算出するような構成でも良い。
【0110】
また、本実施形態では、ウエイト算出部267に用いる信号は、等化部255からの出力信号である必要は無く、フーリエ変換部253からの出力信号を用いても同様な処理が可能である。
【0111】
また、本実施形態では、デマッピング処理部260が出力した信号に対してマッピング処理部265におけるマッピング処理及びフーリエ変換部273におけるフーリエ変換処理を行い、レプリカ信号N(t,k)を生成したが、この限りでは無く、誤り訂正符号が使われている場合は、第一実施形態で記述したように、誤り訂正復号後の信号を用いても良い。
【0112】
また、本実施形態では、LMSアルゴリズムを用いたが、この限りでは無く、RLSなど他のアルゴリズムでも同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、チャネル状態推定部254においてプリアンブルを使ってチャネル状態を推定し、等化部255における等化処理により波長分散等を補償したが、この限りではなく、プリアンブルのような既知信号を用いずに波長分散や偏波モード分散の補償を行っても良い。
また、本実施形態では、変調方式や符号化率を変更していないが、この限りでは無く、これらの変更制御を行ってもよい。
【0113】
[第三実施形態]
本実施形態では、第一実施形態と同様に、2台の無線装置がOFDM通信方式を用いて信号の送受信を行う無線通信システムを想定する。無線通信システムは、図1に示す第一の実施形態の基地局1に代えて基地局1aを設け、端末2に代えて端末2aを設けた構成である。本実施形態では、基地局1aから端末2aへ信号を伝送するものとし、基地局1aが備える送信機において周波数選択性IQインバランスが発生したものとする。端末2aが備える受信機において、その周波数選択性IQインバランス補償用のウエイトを算出し、基地局1aが備える送信機へフィードバックする。基地局1aが備える送信機は、プリディストーションを行うことによって、上記周波数選択性IQインバランスを補償する。
【0114】
図11は、本実施形態における基地局1aが備える送受信機12の構成を示すブロック図である。同図において、図2に示す第一実施形態の送信機10、図4に示す第一実施形態の受信機20と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。送受信機12は、送信機13、受信機14、サーキュレータ15及びアンテナ16を備えて構成される。
送信機13は、変調装置101に代えて変調装置101aを備える点、アンテナ106を備えていない点を除き、図2に示す第一実施形態の送信機10と同様の構成である。受信機14は、アンテナ201を備えていない点、復調装置210に代えて復調装置210aを備える点を除き、図4に示す第一実施形態の受信機20と同様の構成である。サーキュレータ15は、送信信号と受信信号の流れる方向を切り替える。
【0115】
図12は、図11に示す変調装置101aの構成を示すブロック図である。同図において、図3に示す第一実施形態の変調装置101と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す変調装置101aが、第一実施形態の変調装置101と異なる点は、プリディストーション処理部170が付加されている点である。プリディストーション処理部170は、端末2aから伝達されたウエイトを送信信号に乗算し、送信信号に加算することによって、直交変調器105から入力された信号の干渉が打ち消されるようにプリディストーション処理を行う。
【0116】
図13は、復調装置210aの構成を示すブロック図である。同図において、図5に示す第一実施形態の復調装置210と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す復調装置210aが、第一実施形態の復調装置210と異なる点は、メモリ256、誤差補償部257、誤り検査用信号付加部263、誤り訂正符号化部264、マッピング処理部265、シリアル・パラレル変換器266及びウエイト算出部267を備えていない点である。
【0117】
図14は、端末2aが備える送受信機22の構成を示すブロック図である。図2に示す第一実施形態の送信機10、図4に示す第一実施形態の受信機20と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。送受信機22は、アンテナ23、サーキュレータ24、受信機25及び送信機26を備えて構成される。
サーキュレータ24は、送信信号と受信信号の流れる方向を切り替える。受信機25は、アンテナ201を備えていない点、復調装置210に代えて復調装置210bを備える点を除き、図4に示す第一実施形態の受信機20と同様の構成である。送信機26は、アンテナ106を備えていない点を除き、図2に示す第一実施形態の送信機10と同様の構成である。
【0118】
図15は、図14に示す復調装置210bの構成を示すブロック図である。同図において、図5に示す第一実施形態の復調装置210と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示す復調装置210bが、第一実施形態の復調装置210と異なる点は、誤差補償部257を備えていない点である。
【0119】
図16は、本実施形態の通信システムにおけるアプリケーションデータ送受信処理のフローチャートを示す図である。図6に示す第一実施形態と同様に、基地局1aの送受信機12は、最初のアプリケーションデータの伝送では、フレーム誤りが発生する可能性が小さい変調方式・符号化によって、プリディストーション処理を施さずに端末2aに信号を伝送する(ステップS21)。端末2aの送受信機22は、ステップS21において伝送された信号を用いて、ウエイトを算出し(ステップS23)、基地局1aへ算出したウエイト情報を伝達する(ステップS25)。その後、基地局1aが備える送受信機12において、端末2aから伝達されたウエイトをセットする(ステップS27)。基地局1aが備える送受信機12は、チャネル状態などに応じて変調方式や符号化を変更し、セットしたウエイトを用いたプリディストーション処理を施したアプリケーションデータの送信を行う(ステップS29)。
【0120】
以下に、基地局1a及び端末2aにおける具体的な処理例を示す。ここでは、OFDM信号を生成するためのフーリエ変換のサイズを64、その内のデータを伝送するために用いるサブキャリア数を48とする。変調方式・符号化は、第一実施形態と同様、表1に示すように、5セットがあるものとする。最初の伝送は、1番のセットを用いる。
【0121】
アプリケーションデータがバイナリ信号として、基地局1aが備える送信機13の変調装置101aに入力されると、第一実施形態と同様に、変調装置101aにおいて、ヘッダ付加部151が入力されたバイナリ信号にヘッダを付加し、誤り検査用信号付加部152が誤り検査信号を付加し、誤り訂正符号化部153は、畳み込み符号化を行う。その後、マッピング処理部154が、BPSKフォーマットに従ってバイナリ信号をIQ信号に変換し、シリアル・パラレル変換器155が、マッピング処理部154から入力されたIQ信号の48シンボルをプリディストーション処理部170にパラレルに出力する。
【0122】
プリディストーション処理部170は、シリアル・パラレル変換器155から入力された信号に、端末2aからフィードバックされたウエイトを用いてプリディストーション処理を行う。時刻t、周波数(サブキャリア)kで伝送する送信信号をX(t,k)、DC(直流)を挟んでkと対称の位置にある周波数(−k)における送信信号をX(t,−k)、フィードバックされたウエイトをW1(k)及びW2(k)とすると、プリディストーション処理部170は、以下の式(10)のように処理し、プリディストーション後の送信信号XP(t,k)を得る。
【0123】
XP(t,k)=W1(k)X(t,k)+W2(k)X*(t,−k) …(10)
【0124】
ただし、ステップS21のように、まだ端末2aからのフィードバック情報が無い場合は、W1(k)=1及びW2(k)=0とする。W1(k)=1及びW2(k)=0の場合、実質的にはプリディストーション処理を行なっていない。プリディストーション処理部170は、サブキャリア毎に上記演算を行った信号を、逆フーリエ変換部156に出力する。
【0125】
以降は、第一実施形態と同様に、逆フーリエ変換部156は、64ポイントの逆フーリエ変換処理を行い、パラレル・シリアル変換器157は、逆フーリエ変換部156からパラレルに入力された信号をシリアルに出力し、OFDMシンボルを生成する。ガードインターバル付加部158は、パラレル・シリアル変換器157から入力されたOFDMシンボル毎にガードインターバルを付加し、プリアンブル付加部159は、プリアンブルを付加し、変調装置101aから出力する。
【0126】
変調装置101aから出力されたこの信号は、デジタル・アナログ信号変換器102−1及びデジタル・アナログ信号変換器102−2によってアナログ信号に変換され、ローパスフィルタ103−1及びローパスフィルタ103−1によって不要信号成分がカットされた後、直交変調器105に入力される。直交変調器105は、ローパスフィルタ103−1及びローパスフィルタ103−2から入力されたIQチャネルの信号と、ローカル信号発生器104が発生させたローカル信号とをミキシングして無線信号に変換する。アンテナ16は、直交変調器105により変換された無線信号を放射する。
【0127】
端末2aのアンテナ23が、基地局1aから放射された信号を受信した後、第一実施形態と同様に、バンドパスフィルタ202は、受信信号から所要信号を抽出してダウンコンバータ204へ出力する。ダウンコンバータ204は、バンドパスフィルタ202から入力された信号をローカル信号発生器203が発生させたローカル信号とミキシングして、低周波無線信号に変換する。その後、バンドパスフィルタ205は、変換された低周波無線信号から不要な信号成分を除去し、アナログ・デジタル信号変換器206は、不要な信号成分が除去された低周波無線信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。
【0128】
次に、デジタル直交復調器208は、アナログ・デジタル信号変換器206から入力されたデジタル信号と、デジタルローカル信号発生器207が発生させたデジタルローカル信号とミキシングする。ローパスフィルタ209−1及びローパスフィルタ209−2は、デジタル直交復調器208から入力されたデジタルローカル信号をベースバンドIQ信号に変換した後、復調装置210bへ出力する。
【0129】
第一実施形態と同様に復調装置210bにおいて、同期処理部251による同期処理、シリアル・パラレル変換器252によるシリアル・パラレル変換処理、フーリエ変換部253によるフーリエ変換処理、チャネル状態推定部254によるチャネル状態の推定処理、等化部255による等化処理が行なわれる。等化部255は、等化処理を行なった信号をパラレル・シリアル変換器258に出力すると、第一実施形態と同様に、パラレル・シリアル変換器258によるパラレル・シリアル変換処理、ヘッダ解析部259によるヘッダ解析処理、デマッピング処理部260によるデマッピング処理、誤り訂正復号部261による誤り訂正復号処理が行われる。これにより、復調装置210bは、受信信号からバイナリ信号を得る。
【0130】
誤り検査部262は、得られたバイナリ信号の誤り検査を行い、誤りが検出された場合は、基地局1aへ再送要求を行う。フレーム内に誤りが検出されなければ、該フレームを上位レイヤへ送信する。さらに、該フレームは、誤り検査用信号付加部263による誤り検査用信号の付加、誤り訂正符号化部264による誤り訂正符号化が行われる。マッピング処理部265は、誤り訂正符号化が行われた信号をBPSKフォーマットに従ってIQ信号に変換し、シリアル・パラレル変換器266に出力する。シリアル・パラレル変換器266は、マッピング処理部265から入力されたシリアル信号をパラレルに信号を出力して送信信号のレプリカを生成する。これにより、レプリカ信号N(t,k)が生成される。これら、誤り検査用信号の付加、誤り訂正符号化、BPSKフォーマットに従ったIQ信号への変換、レプリカ信号N(t,k)生成の処理は、送信側の基地局1aの送受信機12と同様の処理である。
【0131】
その後、ウエイト算出部267は、第一実施形態と同様に、式(6)から式(9)に従って、各サブキャリアにおけるウエイトW1及びW2を算出する。送信機26は、ウエイト算出部267が算出したウエイト情報を、基地局1aへ送信する。送信機26における送信処理は、第一実施形態の基地局1の送信機10と同様である。このウエイト情報の伝達は、定期的に行われる。
【0132】
基地局1aのアンテナ16が、ウエイト情報が格納された信号を端末2aから受信した後、受信機14は、第一実施形態の端末2の受信機20と同様に受信処理を行う。これにより、復調装置210aは、信号に格納されていたウエイト情報を取得する。復調装置210aは、取得したウエイト情報を送信機13の変調装置101a内のプリディストーション処理部170へ伝達する。以後、プリディストーション処理部170は、端末2aから伝達(フィードバック)されたウエイトW1及びW2を用いて式(10)のように処理し、シリアル・パラレル変換器155から入力された送信信号に対してプリディストーション処理を行う。以後、基地局1aから送信する信号の変調方式や符号化率は、チャネル状態や受信電力、フレーム誤り率などに応じて変更され、端末2aとの間でアプリケーションデータの伝送が継続される。
【0133】
以上の処理により、無線の送受信機12において発生した周波数選択性IQインバランスを補償することができる。また、送受信機22において発生した周波数選択性IQインバランスについても同様に補償することができる。
【0134】
なお、本実施形態におけるウエイト情報の伝達は定期的に行われるものとしたが、ウエイト値があらかじめ定められた量以上変動した場合に伝達する処理でも良い。また、OFDM方式だけでは無く、シングルキャリア方式にも適用可能である。
【0135】
[シミュレーション評価]
本実施形態による周波数選択性IQインバランスの補償を行った場合のシミュレーション結果を示す。図17は、シミュレーションに用いたシングルキャリア方式の送信機50及び受信機60aのシミュレーションモデルを示す図である。同図において、図20と同じ構成には同じ符号を付している。
【0136】
送信機50は、図20に示す送信機50と同様である。受信機60aは、送信機50と同じ帯域制限フィルタ601を用いてフィルタリングを行い、サイズ64のフーリエ変換602により周波数領域信号に変換して、等化603を行った後、サイズ64の逆フーリエ変換604を行う。そして、受信機60aは、逆フーリエ変換後、デマッピング702、マッピング703、フーリエ変換704を行ってレプリカの受信信号を送信し、本実施形態によるウエイト算出705を行い、周波数選択性IQインバランス補償701を行っている。
【0137】
図18は、図21に示すコンスタレーションに対して、本実施形態によるウエイト算出及びIQインバランス補償を適用した場合の結果を示している。適応アルゴリズムとしてLMSアルゴリズムを用い、ウエイト算出に用いたシンボル数は400、ステップサイズは0.0004としている。同図に示すように、IQインバランス補償により干渉信号が消え、コンスタレーションの広がりが抑圧されている。
【0138】
無線通信やコヒーレント光通信において位相変調を適用する場合、IQバランス特性の劣化(IQインバランス)により通信品質が劣化する。特に、フィルタの周波数特性等により起因する周波数選択性IQインバランスを補償するための従来の技術として、トレーニング信号を用いて、LMSなどの適応アルゴリズムにより、ウエイト処理を行う手法があった。しかし、トレーニング信号を用いるため、伝送効率が低下する問題がある。
【0139】
上述した本発明の実施形態では、受信装置(受信機、光信号受信装置)のウエイト算出部が、送信装置(送信機、光信号送信装置)から受信したデータ信号を用いてIQインバランスを推定する。このために、第一実施形態、第二実施形態の受信装置は、プリアンブルを用いてIQインバランス以外の歪成分をデータ信号から取り除く等化部と、データ信号を用いてウエイトを算出するウエイト算出部と、算出したウエイトを後続のデータ信号のIQインバランスのキャンセルに用いる誤差補償部を備えて構成される。ウエイト算出部は、周波数毎に、受信信号から得られた当該周波数のベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数におけるベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と受信信号から得られたベースバンド信号を復調した信号を再変調して生成したレプリカの送信信号との差分からエラー信号を求め、求めたエラー信号を用いて当該周波数のウエイトを更新する処理を、ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行う。これにより、後続する信号のIQインバランスを補償するウエイトを算出する。
また、第三実施形態では、受信装置がIQインバランスを補償する誤差補償部を備えずに、送信装置が受信装置のウエイト算出部において算出されたウエイトを用いてIQインバランスを補償した信号を送信する。
【0140】
従って、本実施形態では、送信成功したデータ信号から推定したIQインバランスの補償信号を用いて後続のデータ信号のIQインバランスをキャンセルできるため、トレーニング信号なしでIQインバランスの補償をすることができる。
【符号の説明】
【0141】
1、1a…基地局
10、13…送信機(送信装置)
11…光信号送信装置(送信装置)
12…送受信機
14…受信機(ウエイト受信部)
15…サーキュレータ
16、106…アンテナ(送信部)
101、101a、111…変調装置(変調部)
102−1、102−2…デジタル・アナログ信号変換器(DAC)
103−1、103−2…ローパスフィルタ(LPF)
104…ローカル信号発生器(送信部)
105…直交変調器(送信部)
112−1、112−2…デジタル・アナログ信号変換器(DAC)
113−1、113−2…ローパスフィルタ(LPF)
114…レーザ(送信部)
115…光変調器(送信部)
151…ヘッダ付加部
152、161…誤り検査用信号付加部
153…誤り訂正符号化部
154、162…マッピング処理部
155…シリアル・パラレル変換器(S/P)
156…逆フーリエ変換部
157…パラレル・シリアル変換器(P/S)
158…ガードインターバル(GI)付加部
159、163…プリアンブル付加部
164…帯域制限フィルタ
170…プリディストーション処理部
2、2a…端末
20、25…受信機(受信装置)
21…光信号受信装置(受信装置)
22…送受信機
23、201…アンテナ(受信部)
24…サーキュレータ
26…送信機(ウエイト送信部)
202、205…バンドパスフィルタ(BPF)
203…ローカル信号発生器(変換部)
204…ダウンコンバータ(変換部)
206…アナログ・デジタル信号変換器(ADC)(変換部)
207…デジタルローカル信号発生器(変換部)
208…デジタル直交復調器(変換部)
209−1、209−2、226−1、226−2…ローパスフィルタ(LPF)
210、228、210a、210b…復調装置
221…光バンドパスフィルタ(OBPF)
222…レーザ(変換部)
223…偏波コントローラ(PC)(変換部)
224…光カプラ(変換部)
225…光−電気信号変換器(変換部)
227−1、227−2…アナログ・デジタル信号変換器(ADC)(変換部)
251…同期処理部(変換部)
252…シリアル・パラレル変換器(S/P)(変換部)
253…フーリエ変換部(変換部)
254…チャネル状態推定部(変換部)
255…等化部(変換部)
256…メモリ
257…誤差補償部
258…パラレル・シリアル変換器(P/S)(復調部)
259…ヘッダ解析部(復調部)
260…デマッピング処理部(復調部)
261…誤り訂正復号部(復調部)
262…誤り検査部
263…誤り検査用信号付加部(再変調部)
264…誤り訂正符号化部(再変調部)
265…マッピング処理部(再変調部)
266…シリアル・パラレル変換器(S/P)(再変調部)
267…ウエイト算出部
271…帯域制限フィルタ
272…逆フーリエ変換部(復調部)
273…フーリエ変換部(再変調部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換して復調する受信装置であって、
送信装置からの送信信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、
前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換部により変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償部と、
前記誤差補償部から出力された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、
前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、
周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行って得られた前記ウエイトを前記誤差補償部に伝達するウエイト算出部と、
を具備することを特徴とする受信装置。
【請求項2】
受信した信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換して復調する受信装置であって、
送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトの通知先である前記送信装置からの送信信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、
前記変換部により変換された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、
前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、
周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出部と、
前記ウエイト算出部が算出した前記ウエイトを前記送信装置に送信するウエイト送信部と、
を具備し、
前記受信部は、前記ウエイト送信部が前記ウエイトを前記送信装置に送信した後、送信した前記ウエイトによりIQインバランスが補償された送信信号を前記送信装置から受信する、
ことを特徴とする受信装置。
【請求項3】
送信装置と受信装置とからなる通信システムであって、
前記送信装置は、
入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する変調部と、
前記変調部が変調したベースバンド信号を無線信号または光信号に変換した送信信号を送信する送信部とを具備し、
前記受信装置は、
前記送信装置からの前記送信信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、
前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換部により変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償部と、
前記誤差補償部から出力された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、
前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、
周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行って得られた前記ウエイトを前記誤差補償部に伝達するウエイト算出部とを具備する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
送信装置と受信装置とからなる通信システムであって、
前記送信装置は、
入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する変調部と、
前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを前記受信装置から受信するウエイト受信部と、
前記変調部により変換された前記ベースバンド信号に前記ウエイト受信部により受信した前記ウエイトを乗算してIQインバランスを補償するプリディストーション処理部と、
前記プリディストーション処理部から出力された前記ベースバンド信号を無線信号または光信号に変換した送信信号を送信する送信部とを具備し、
前記受信装置は、
前記送信装置からの前記送信信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、
前記変換部により変換された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、
前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、
周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出部と、
前記ウエイト算出部が算出した前記ウエイトを前記送信装置に送信するウエイト送信部とを具備する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
前記変調部は、前記ウエイト算出部において前記ウエイトの算出が完了するまでは、フレーム誤りが発生する可能性が小さい変調方式及び符号化を用いて、入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する、
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
受信した信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換して復調する受信装置の受信方法であって、
送信装置からの送信信号を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにおいて受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換ステップと、
前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換ステップにおいて変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償ステップと、
前記誤差補償ステップにおいて出力された前記ベースバンド信号を復調する復調ステップと、
前記復調ステップにおいて復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調ステップと、
周波数毎に、前記変換ステップにおいて変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調ステップにおいて当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出ステップと、
を有することを特徴とする受信方法。
【請求項7】
送信装置と受信装置とからなる通信システムの通信方法であって、
前記送信装置が、
入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する変調ステップと、
前記変調ステップにおいて変調されたベースバンド信号を無線信号または光信号に変換した送信信号を送信する送信ステップと、
前記受信装置が、
送信装置が送信した送信信号を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにおいて受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換ステップと、
前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換ステップにおいて変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償ステップと、
前記誤差補償ステップにおいて出力された前記ベースバンド信号を復調する復調ステップと、
前記復調ステップにおいて復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調ステップと、
周波数毎に、前記変換ステップにおいて変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調ステップにおいて当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出ステップと、
を有することを特徴とする通信方法。
【請求項1】
受信した信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換して復調する受信装置であって、
送信装置からの送信信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、
前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換部により変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償部と、
前記誤差補償部から出力された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、
前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、
周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行って得られた前記ウエイトを前記誤差補償部に伝達するウエイト算出部と、
を具備することを特徴とする受信装置。
【請求項2】
受信した信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換して復調する受信装置であって、
送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトの通知先である前記送信装置からの送信信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、
前記変換部により変換された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、
前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、
周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出部と、
前記ウエイト算出部が算出した前記ウエイトを前記送信装置に送信するウエイト送信部と、
を具備し、
前記受信部は、前記ウエイト送信部が前記ウエイトを前記送信装置に送信した後、送信した前記ウエイトによりIQインバランスが補償された送信信号を前記送信装置から受信する、
ことを特徴とする受信装置。
【請求項3】
送信装置と受信装置とからなる通信システムであって、
前記送信装置は、
入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する変調部と、
前記変調部が変調したベースバンド信号を無線信号または光信号に変換した送信信号を送信する送信部とを具備し、
前記受信装置は、
前記送信装置からの前記送信信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、
前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換部により変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償部と、
前記誤差補償部から出力された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、
前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、
周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行って得られた前記ウエイトを前記誤差補償部に伝達するウエイト算出部とを具備する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
送信装置と受信装置とからなる通信システムであって、
前記送信装置は、
入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する変調部と、
前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを前記受信装置から受信するウエイト受信部と、
前記変調部により変換された前記ベースバンド信号に前記ウエイト受信部により受信した前記ウエイトを乗算してIQインバランスを補償するプリディストーション処理部と、
前記プリディストーション処理部から出力された前記ベースバンド信号を無線信号または光信号に変換した送信信号を送信する送信部とを具備し、
前記受信装置は、
前記送信装置からの前記送信信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換部と、
前記変換部により変換された前記ベースバンド信号を復調する復調部と、
前記復調部により復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調部と、
周波数毎に、前記変換部により変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調部が当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出部と、
前記ウエイト算出部が算出した前記ウエイトを前記送信装置に送信するウエイト送信部とを具備する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
前記変調部は、前記ウエイト算出部において前記ウエイトの算出が完了するまでは、フレーム誤りが発生する可能性が小さい変調方式及び符号化を用いて、入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する、
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
受信した信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換して復調する受信装置の受信方法であって、
送信装置からの送信信号を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにおいて受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換ステップと、
前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換ステップにおいて変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償ステップと、
前記誤差補償ステップにおいて出力された前記ベースバンド信号を復調する復調ステップと、
前記復調ステップにおいて復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調ステップと、
周波数毎に、前記変換ステップにおいて変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調ステップにおいて当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出ステップと、
を有することを特徴とする受信方法。
【請求項7】
送信装置と受信装置とからなる通信システムの通信方法であって、
前記送信装置が、
入力された信号をIチャネルとQチャネルからなるベースバンド信号に変換する変調ステップと、
前記変調ステップにおいて変調されたベースバンド信号を無線信号または光信号に変換した送信信号を送信する送信ステップと、
前記受信装置が、
送信装置が送信した送信信号を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにおいて受信した前記送信信号をベースバンド信号に変換する変換ステップと、
前記送信装置または前記受信装置の周波数特性による周波数選択性IQインバランスを補償するためのウエイトを、前記変換ステップにおいて変換された前記ベースバンド信号に乗算してIQインバランスを補償する誤差補償ステップと、
前記誤差補償ステップにおいて出力された前記ベースバンド信号を復調する復調ステップと、
前記復調ステップにおいて復調された信号を再度ベースバンド信号に変換して送信信号のレプリカを生成する再変調ステップと、
周波数毎に、前記変換ステップにおいて変換された当該周波数の前記ベースバンド信号と、直流成分を挟んで当該周波数と対象の位置にある周波数における前記ベースバンド信号の複素共役とから当該周波数のウエイトを用いて当該周波数の仮想の送信信号を生成し、生成した当該周波数の仮想の送信信号と前記再変調ステップにおいて当該周波数の前記ベースバンド信号から生成したレプリカの送信信号との差分として算出したエラー信号を用いて当該周波数の前記ウエイトを更新する処理を、前記ベースバンド信号のシンボル毎に繰り返し行うウエイト算出ステップと、
を有することを特徴とする通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−9023(P2013−9023A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138284(P2011−138284)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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