説明

受信装置及び方法、復調装置及び方法、並びにプログラム

【課題】キャリア方式を確実に検出する。
【解決手段】シングルキャリア復調部42−1は、入力信号に対して、復調制御部31の制御にしたがって、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調を行い、マルチキャリア復調部42−2は、入力信号に対して、復調制御部31の制御にしたがって、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調を行い、復調制御部31は、パラメータ記憶部32から取得した各種のパラメータにより定められる所定の規則にしたがって、復調部13により実行される、シングルキャリア復調又はマルチキャリア復調のうち、いずれか一方の復調が試行されるように制御する。本発明は、例えば、地上デジタル放送の規格であるDTMB規格に対応した受信装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置及び方法、復調装置及び方法、並びにプログラムに関し、特に、キャリア方式を確実に検出することができるようにした受信装置及び方法、復調装置及び方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送の規格としては、DTMB(Digital Terrestrial Multimedia Broadcast)等の規格がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
DTMB規格では、データの変調方式として、シングルキャリア(C1)を使った変調方式とマルチキャリア(C3780)を使った変調方式のうちのいずれかを選択することができるようになされている。そのため、DTMB規格に対応した受信装置には、シングルキャリアを使った変調方式で伝送されてきたデータを復調するための機能と、マルチキャリアを使った変調方式で伝送されてきたデータを復調するための機能が用意される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−65673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DTMBの規格では、シングルキャリア伝送とマルチキャリア伝送のキャリア方式を判別するための信号が、DTMB規格のフレームを構成するボディ部のシステム情報(SI:System Information)に含まれている。この信号は、4ビットという短いビット列で表されているため、マルチパスなどの受信が難しい環境においては、そのビット列が誤って検出される可能性がある。
【0006】
そのため、このような誤検出を回避して、確実に、キャリア方式を検出する方法が要求されていた。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、シングルキャリア方式又はマルチキャリア方式のいずれか一方の方式で変調され、伝送されてきた信号のキャリア方式を、確実に検出することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面の受信装置は、所定の規格で規定されているシングルキャリア方式又はマルチキャリア方式のいずれか一方の方式で変調された信号を受信する受信手段と、受信信号に対して、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調を行うシングルキャリア復調手段と、受信信号に対して、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調を行うマルチキャリア復調手段と、あらかじめ定められた所定の規則にしたがって、前記受信信号に対して、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が試行されるように制御する復調制御手段とを備える。
【0009】
前記復調制御手段は、あらかじめ定められた最初に復調を試すキャリア方式にしたがって、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が最初に試行されるようにする。
【0010】
前記復調制御手段は、あらかじめ定められた各キャリア方式における試行回数にしたがって、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調が、各キャリア方式ごとに前記試行回数ずつ繰り返し試行されるようにする。
【0011】
前記復調制御手段は、前記シングルキャリア復調と前記マルチキャリア復調の試行回数が、あらかじめ定められた所定の回数を超えた場合、復調の試行が中止されるようにする。
【0012】
前記復調制御手段は、あらかじめ定められた全試行回数に対する各キャリア方式における試行回数の割合にしたがって、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調が、前記割合に応じて試行されるようにする。
【0013】
前記復調制御手段は、前記シングルキャリア復調と前記マルチキャリア復調の試行回数が、あらかじめ定められた最大試行回数を超えた場合、復調の試行が中止されるようにする。
【0014】
前記復調制御手段は、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方の試行が成功した場合、前記シングルキャリア復調手段又は前記マルチキャリア復調手段の出力のうち、復調の試行に成功した一方の出力が後段に出力されるようにする。
【0015】
前記シングルキャリア復調手段と前記マルチキャリア復調手段は、前記シングルキャリア復調手段と前記マルチキャリア復調手段における共通の復調処理を行う共通復調フロントエンド手段と、前記シングルキャリア復調手段における固有の復調処理を行うシングルキャリア復調バックエンド手段と、前記マルチキャリア復調手段における固有の復調処理を行うマルチキャリア復調バックエンド手段とから構成される。
【0016】
本発明の第1の側面の受信方法は、受信装置が、所定の規格で規定されているシングルキャリア方式又はマルチキャリア方式のいずれか一方の方式で変調された信号を受信し、受信信号に対して、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調を行い、受信信号に対して、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調を行い、あらかじめ定められた所定の規則にしたがって、前記受信信号に対して、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が試行されるように制御するステップを含む。
【0017】
本発明の第1の側面のプログラムは、所定の規格で規定されているシングルキャリア方式又はマルチキャリア方式のいずれか一方の方式で変調された信号を受信する受信手段と、受信信号に対して、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調を行うシングルキャリア復調手段と、受信信号に対して、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調を行うマルチキャリア復調手段と、あらかじめ定められた所定の規則にしたがって、前記受信信号に対して、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が試行されるように制御する復調制御手段として、コンピュータを機能させる。
【0018】
本発明の第1の側面の受信装置及び方法、並びにプログラムにおいては、所定の規格で規定されているシングルキャリア方式又はマルチキャリア方式のいずれか一方の方式で変調された信号が受信され、受信信号に対して、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調が行われ、受信信号に対して、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調が行われ、あらかじめ定められた所定の規則にしたがって、受信信号に対して、シングルキャリア復調又はマルチキャリア復調のいずれか一方が試行されるように制御される。
【0019】
本発明の第2の側面の復調装置は、所定の規格で規定されているシングルキャリア方式又はマルチキャリア方式のいずれか一方の方式で変調された受信信号に対して、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調を行うシングルキャリア復調手段と、前記受信信号に対して、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調を行うマルチキャリア復調手段と、あらかじめ定められた所定の規則にしたがって、前記受信信号に対して、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が試行されるように制御する復調制御手段とを備える。
【0020】
前記復調制御手段は、あらかじめ定められた最初に復調を試すキャリア方式にしたがって、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が最初に試行されるようにする。
【0021】
前記復調制御手段は、あらかじめ定められた各キャリア方式における試行回数にしたがって、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調が、各キャリア方式ごとに前記試行回数ずつ繰り返し試行されるようにする。
【0022】
前記復調制御手段は、前記シングルキャリア復調と前記マルチキャリア復調の試行回数が、あらかじめ定められた所定の回数を超えた場合、復調の試行が中止されるようにする。
【0023】
前記復調制御手段は、あらかじめ定められた全試行回数に対する各キャリア方式における試行回数の割合にしたがって、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調が、前記割合に応じて試行されるようにする。
【0024】
前記復調制御手段は、前記シングルキャリア復調と前記マルチキャリア復調の試行回数が、あらかじめ定められた所定の回数を超えた場合、復調の試行が中止されるようにする。
【0025】
前記復調制御手段は、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方の試行が成功した場合、前記シングルキャリア復調手段又は前記マルチキャリア復調手段の出力のうち、復調の試行に成功した一方の出力が後段に出力されるようにする。
【0026】
前記シングルキャリア復調手段と前記マルチキャリア復調手段は、前記シングルキャリア復調手段と前記マルチキャリア復調手段における共通の復調処理を行う共通復調フロントエンド手段と、前記シングルキャリア復調手段における固有の復調処理を行うシングルキャリア復調バックエンド手段と、前記マルチキャリア復調手段における固有の復調処理を行うマルチキャリア復調バックエンド手段とから構成される。
【0027】
本発明の第2の側面の復調方法は、復調装置が、所定の規格で規定されているシングルキャリア方式又はマルチキャリア方式のいずれか一方の方式で変調された受信信号に対して、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調を行い、前記受信信号に対して、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調を行い、あらかじめ定められた所定の規則にしたがって、前記受信信号に対して、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が試行されるように制御するステップを含む。
【0028】
本発明の第2の側面のプログラムは、所定の規格で規定されているシングルキャリア方式又はマルチキャリア方式のいずれか一方の方式で変調された受信信号に対して、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調を行うシングルキャリア復調手段と、前記受信信号に対して、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調を行うマルチキャリア復調手段と、あらかじめ定められた所定の規則にしたがって、前記受信信号に対して、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が試行されるように制御する復調制御手段として、コンピュータを機能させる。
【0029】
本発明の第2の側面の復調装置及び方法、並びにプログラムにおいては、所定の規格で規定されているシングルキャリア方式又はマルチキャリア方式のいずれか一方の方式で変調された受信信号に対して、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調が行われ、受信信号に対して、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調が行われ、あらかじめ定められた所定の規則にしたがって、受信信号に対して、シングルキャリア復調又はマルチキャリア復調のいずれか一方が試行されるように制御される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、キャリア方式を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明を適用した受信装置の一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】復調処理部の構成(第1の構成)を示す図である。
【図3】第1の復調試行処理を示すフローチャートである。
【図4】第2の復調試行処理を示すフローチャートである。
【図5】復調処理部の構成(第2の構成)を示す図である。
【図6】復調処理部の構成(第3の構成)を示す図である。
【図7】コンピュータのハードウェアの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.第4の実施の形態
5.変形例
【0033】
<1.第1の実施の形態>
[受信装置の構成]
図1は、本発明を適用した受信装置の一実施の形態の構成を示す図である。
【0034】
受信装置1は、例えば、地上デジタル放送の規格であるDTMB規格に対応した受信装置である。受信装置1は、アンテナ11、チューナ12、復調部13、誤り訂正部14、デコーダ15、及び出力部16から構成される。また、受信装置1には、受信装置1の各部の動作を制御するコントローラ10が含まれる。
【0035】
アンテナ11は、放送局などの送信装置2から、伝搬路を介して伝送されてくるRF信号を受信し、チューナ12に供給する。
【0036】
チューナ12は、アンテナ11により受信されたRF信号を周波数変換する。RF信号に対して周波数変換を施すことで得られたIF信号は、復調部13に供給される。
【0037】
復調部13は、チューナ12から供給される信号に対してA/D変換を施した後、同期処理や等化処理等の所定の復調処理を行い、その結果得られるデータを、誤り訂正部14に供給する。
【0038】
誤り訂正部14は、復調部13から供給されるデータに対して、所定の誤り訂正処理を施し、その結果得られる符号化データを、デコーダ15に供給する。
【0039】
デコーダ15は、誤り訂正部14から供給される符号化データを、例えばMPEGデコードし、その結果得られる画像や音声のデータを、出力部16に供給する。
【0040】
出力部16は、表示装置やスピーカなどで構成される。表示装置は、デコーダ15から供給される画像データに対応して画像を表示し、スピーカは、音声データに対応して音声を出力する。
【0041】
以上のようにして、受信装置1は構成される。
【0042】
[復調処理部の構成(第1の構成)]
次に、図2を参照して、図1の受信装置1を構成する各部のうち、復調処理に関係するコントローラ10、復調部13、及び誤り訂正部14(以下、これらの復調処理に関係する各部をまとめて、復調処理部という)の詳細な構成を説明する。
【0043】
図2に示すように、コントローラ10は、復調制御部31、パラメータ記憶部32、SIロック判定部33、TSロック判定部34、及びセレクタ35を含むようにして構成される。
【0044】
パラメータ記憶部32には、復調制御部31によって、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調又はマルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調のいずれか一方を、所定の規則にしたがって試行させるための各種のパラメータが記憶されている。このパラメータの詳細については後述するが、パラメータ記憶部32には、例えば、最初に復調を試すキャリア方式の種類や、シングルキャリア復調とマルチキャリア復調の試行回数などがパラメータとして記憶される。
【0045】
復調制御部31は、パラメータ記憶部32に記憶されたパラメータを取得する。復調制御部31は、パラメータ記憶部32から取得した各種のパラメータにより定められる所定の規則にしたがって、復調部13により実行されるシングルキャリア復調又はマルチキャリア復調のうち、いずれか一方の復調が試行されるように制御する。
【0046】
復調部13は、切替部41、シングルキャリア復調部42−1、及びマルチキャリア復調部42−2から構成される。
【0047】
切替部41は、チューナ12から供給された入力信号の出力先を、復調制御部31による制御にしたがって切り替える。すなわち、切替部41は、シングルキャリア復調を試行する場合、スイッチ41Aを端子41B側に接続し、チューナ12からの入力信号を、シングルキャリア復調部42−1に出力する。また、切替部41は、マルチキャリア復調を試行する場合、スイッチ41Aを端子41C側に接続し、チューナ12からの入力信号を、マルチキャリア復調部42−2に出力する。
【0048】
シングルキャリア復調部42−1は、切替部41から供給された入力信号に対して、復調制御部31の制御にしたがって、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調を行い、それにより得られたデータを、誤り訂正部14に出力する。また、シングルキャリア復調部42−1は、シングルキャリア復調の試行が成功した場合、その復調が成功して、シングルキャリア方式にロックしたことを示す信号(以下、SI(System Information)ロック信号という)を、SIロック判定部33に供給する。
【0049】
マルチキャリア復調部42−2は、切替部41から供給された入力信号に対して、復調制御部31の制御にしたがって、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調を行い、それにより得られたデータを、誤り訂正部14に出力する。また、マルチキャリア復調部42−2は、マルチキャリア復調の試行が成功した場合、その復調が成功して、マルチキャリア方式にロックしたことを示すSIロック信号を、SIロック判定部33に供給する。
【0050】
なお、マルチキャリア方式でデータを伝送するマルチキャリア伝送にOFDM方式が用いられている場合、マルチキャリア復調部42−2に対しては、チューナ12の出力を対象として、不図示の処理部において行われた直交復調によって得られたベースバンドのOFDM信号が、入力信号として入力される。
【0051】
SIロック判定部33には、シングルキャリア復調部42−1又はマルチキャリア復調部42−2のいずれか一方から、SIロック信号が入力される。SIロック判定部33は、SIロック信号が入力された場合、入力されたSIロック信号に応じたキャリア方式を判定し、その結果を示す信号(以下、SIロック判定信号という)を、セレクタ35に供給する。
【0052】
誤り訂正部14は、共通後段部51−1、共通後段部51−2、及びセレクタ52から構成される。
【0053】
共通後段部51−1には、シングルキャリア復調部42−1からシングルキャリア復調により得られるデータが供給される。共通後段部51−1は、シングルキャリア復調部42−1からの復調されたデータに対して、FEC(Forward Error Correction)などの所定の誤り訂正処理を施し、それにより得られた符号化データをセレクタ52に出力する。
【0054】
なお、送信装置2(図1)においては、例えば、番組としての画像や音声などのデータが、MPEG(Moving Picture Experts Group)エンコードされ、そのMPEGエンコードデータが含まれるパケットで構成される信号が送信される。また、送信装置2においては、伝搬路上で生じる誤りに対する対策として、データが、RS(Reed Solomon)符号などの符号に符号化される。したがって、共通後段部51−1においては、誤り訂正処理として、その符号を復号する処理などが行われ、それにより得られるTS(Transport Stream)が出力される。
【0055】
また、共通後段部51−1は、誤り訂正処理が成功した場合、その処理が成功して、シングルキャリア方式にロックしたことを示す信号(以下、TS(Transport Stream)ロック信号という)を、TSロック判定部34に供給する。
【0056】
共通後段部51−2には、マルチキャリア復調部42−2からマルチキャリア復調により得られるデータが供給される。共通後段部51−2は、マルチキャリア復調部42−2からの復調されたデータに対して、誤り訂正等の処理を施し、それにより得られた符号化データをセレクタ52に出力する。また、共通後段部51−2は、誤り訂正等の処理が成功した場合、その処理が成功して、マルチキャリア方式にロックしたことを示すTSロック信号を、TSロック判定部34に供給する。
【0057】
TSロック判定部34には、共通後段部51−1又は共通後段部51−2のいずれか一方から、TSロック信号が入力される。TSロック判定部34は、TSロック信号が入力された場合、入力されたTSロック信号に応じたキャリア方式を判定し、その結果を示す信号(以下、TSロック判定信号という)を、セレクタ35に供給する。
【0058】
セレクタ35には、SIロック判定部33からのSIロック判定信号と、TSロック判定部34からのTSロック判定信号が供給される。セレクタ35にはまた、復調制御部31から、SIロック判定信号とTSロック判定信号のいずれか一方を優先して選択させるための信号(以下、判定選択信号という)が供給される。
【0059】
セレクタ35は、復調制御部31から供給される判定選択信号に応じて、SIロック判定信号又はTSロック判定信号のいずれか一方の判定信号を選択する。セレクタ35は、選択された判定信号に応じてキャリア方式を選択させるための信号(以下、キャリア選択信号という)を、復調制御部31及びセレクタ52に供給する。
【0060】
セレクタ52は、セレクタ35から供給されるキャリア選択信号に応じて、共通後段部51−1又は共通後段部51−2の出力のうち、ロックした方のキャリア方式、すなわち、復調の試行に成功した一方の出力(例えばTS出力)を、後段のデコーダ15に出力する。
【0061】
また、一方のキャリア方式により復調の試行が成功した場合、キャリア選択信号が、セレクタ35から復調制御部31に供給されるので、復調制御部31によって、キャリア選択信号に応じたキャリア方式での復調が制御される。すなわち、復調制御部31は、キャリア選択信号がシングルキャリア方式を示している場合、切替部41によって、スイッチ41Aを端子41B側に接続させて、チューナ12からの入力信号が、シングルキャリア復調部42−1に出力されるようにする。これにより、シングルキャリア復調部42−1では、シングルキャリア方式で変調されたシングルキャリア信号に対して、シングルキャリア復調が行われる。
【0062】
一方、セレクタ35からのキャリア選択信号がマルチキャリア方式を示している場合、復調制御部31は、切替部41によって、スイッチ41Aを端子41C側に接続させて、チューナ12からの入力信号が、マルチキャリア復調部42−2に出力されるようにする。これにより、マルチキャリア復調部42−2では、マルチキャリア方式で変調されたマルチキャリア信号に対して、マルチキャリア復調が行われる。
【0063】
以上のようにして、復調処理部は構成される。
【0064】
[第1の復調試行処理]
次に、図3のフローチャートを参照して、コントローラ10の制御にしたがって、復調部13により実行される第1の復調試行処理について説明する。
【0065】
なお、第1の復調試行処理においては、C_next(復調を試行するキャリア方式の種類)と、N(カウンタ)が変数として用いられる。また、第1の復調試行処理では、あらかじめ設定された各種のパラメータを用いた処理が実行されるが、そのパラメータとしては、例えば、次に示す3種類のパラメータが変更可能に設定される。
【0066】
C_start:最初に復調を試すキャリア方式の種類
C1_max:シングルキャリア復調(以下、C1復調ともいう)の試行回数
C3780_max:マルチキャリア復調(以下、C3780復調ともいう)の試行回数
【0067】
受信装置1において、各チャネルのスキャンが実行され、図3の第1の復調試行処理が開始されると、復調制御部31は、パラメータ記憶部32に記憶されたパラメータを読み出す。そして、復調制御部31は、パラメータの初期化として、C_nextに、あらかじめ設定されたC_startの値を代入し(ステップS11)、さらに、カウンタNを0に初期化する(ステップS12)。続いて、ステップS13において、復調制御部31は、C_nextに、C_startとして代入された値が、C1(シングルキャリア)であるか否かを判定する。
【0068】
ステップS13において、C_nextに代入された値が、C1であると判定された場合、処理は、ステップS14に進み、シングルキャリア復調部42−1によって、シングルキャリア復調が試行される。また、シングルキャリア復調が試行されると、復調制御部31によって、カウンタNがインクリメントされる(ステップS15)。
【0069】
ステップS16において、復調制御部31は、セレクタ35からのキャリア選択信号に基づいて、復調ロックがかかっているか否かを判定する。ステップS16において、復調ロックがかかっていないと判定された場合、処理は、ステップS17に進む。
【0070】
なお、復調ロックとは、先に述べたシングルキャリア復調又はマルチキャリア復調の試行によりキャリア方式が検出され、シングルキャリア復調又はマルチキャリア復調のいずれか一方の復調にロックがかかっている状態をいう。つまり、この復調ロックは、SIロック信号やTSロック信号によって定まるものであり、復調ロックがかかることで、伝送されてきた信号のキャリア方式が検出されたことになるので、図3の復調試行処理が終了される。
【0071】
ステップS17において、復調制御部31は、カウンタNが、C1_maxに到達したか否かを判定する。ステップS17において、カウンタNがC1_maxに到達していないと判定された場合、ステップS14に戻り、復調ロックがかかっていると判定されるか(ステップS16の「Yes」)、あるいは、カウンタNがC1_maxに到達したと判定されるまで(ステップS17の「Yes」)、ステップS14乃至S17が繰り返される。
【0072】
ステップS14乃至S17が繰り返されることで、カウンタNをインクリメントしながら、シングルキャリア復調が試行され、ステップS16において、復調ロックがかかっていると判定された場合、シングルキャリア復調の試行によって、復調が成功したことになる。すなわち、この場合、伝送されてきた信号のキャリア方式として、シングルキャリア方式が検出されたことになるので、図3の第1の復調試行処理は終了する。
【0073】
一方、ステップS17において、カウンタNがC1_maxに到達したと判定された場合、処理は、ステップS18に進む。ステップS18において、復調制御部31によって、C_nextに、C3780(マルチキャリア)が代入されると、処理は、ステップS12に戻り、カウンタNが0に初期化される(ステップS12)。
【0074】
そして、再度、ステップS13において、C_nextに代入された値が、C1であるか否かが判定され、今度は、C3780がC_nextに代入されているので(ステップS13の「No」)、処理は、ステップS19に進み、マルチキャリア復調部42−2によって、マルチキャリア復調が試行される。また、マルチキャリア復調が試行されると、復調制御部31によって、カウンタNがインクリメントされる(ステップS20)。
【0075】
ステップS21において、復調制御部31は、復調ロックがかかっているか否かを判定する。ステップS21において、復調ロックがかかっていないと判定された場合、処理は、ステップS22に進む。
【0076】
ステップS22において、復調制御部31が、カウンタNが、C3780_maxに到達したか否かを判定する。ステップS22において、カウンタNがC3780_maxに到達していないと判定された場合、ステップS19に戻り、復調ロックがかかっていると判定されるか(ステップS21の「Yes」)、あるいは、カウンタNがC3780_maxに到達したと判定されるまで(ステップS22の「Yes」)、ステップS19乃至S22が繰り返される。
【0077】
ステップS19乃至S22が繰り返されることで、カウンタNをインクリメントしながら、マルチキャリア復調が試行され、ステップS21において、復調ロックがかかっていると判定された場合、マルチキャリア復調の試行によって、復調が成功したことになる。すなわち、この場合、伝送されてきた信号のキャリア方式として、マルチキャリア方式が検出されたことになるので、図3の第1の復調試行処理は終了する。
【0078】
一方、ステップS22において、カウンタNがC3780_maxに到達したと判定された場合、処理は、ステップS23に進む。ステップS23において、復調制御部31によって、C_nextに、C1が代入されると、処理は、ステップS12に戻り、カウンタNが0に初期化される(ステップS12)。
【0079】
そして、再度、ステップS13において、C_nextに代入された値が、C1であるか否かが判定され、今度は、C1がC_nextに代入されているので(ステップS13の「Yes」)、処理は、ステップS14に進み、シングルキャリア復調が試行される。また、カウンタNがC1_maxに到達するまでに、シングルキャリア復調を行っても復調ロックがかからず、復調に成功しない場合には、再度、C_nextにC3780が代入され、マルチキャリア復調が試行されることになる。
【0080】
このように、シングルキャリア復調又はマルチキャリア復調の試行によって、復調ロックがかかるまで、シングルキャリア復調とマルチキャリア復調とが交互に、それぞれの試行回数分だけ繰り返し試行され、最終的に復調ロックがかかることで、図3の第1の復調試行処理は終了される。
【0081】
ところで、C_start,C1_max,C3780_maxのパラメータを、任意の値に設定できることは先に述べたとおりであるが、以下、その具体例について説明する。
【0082】
(1)C_startの設定
C_startは、シングルキャリア方式とマルチキャリア方式のうち、どちらのキャリア方式から復調を試行するかを設定するためのパラメータである。したがって、C_startとして、C1が設定された場合には、シングルキャリア復調が最初に試行され、C3780が設定された場合には、マルチキャリア復調が最初に試行される。
【0083】
(1−1)C_start=C1が設定された場合
この場合、C1復調 → C3780復調 → C1復調→ C3780復調 → C1復調 → C3780復調→・・・のように、C1復調から開始された復調試行処理が、その後、C3780復調,C1復調の順に繰り返しながら試行される。
【0084】
(1−2)C_start=C3780が設定された場合
この場合、C3780復調 → C1復調 → C3780復調 → C1復調 → C3780復調 → C1復調→・・・のように、C3780復調から開始された復調試行処理が、その後、C3780復調,C1復調の順に繰り返しながら試行される。
【0085】
(2)C1_max,C3780_maxの設定
C1_maxは、C1復調の試行回数、C3780_maxは、C3780復調の試行回数を設定するためのパラメータである。
【0086】
(2−1)C1_max=3,C3780_max=2,C_start=C1が設定された場合
この場合、C1復調 → C1復調 → C1復調 → C3780復調 → C3780復調 → C1復調→・・・のように、C1復調から開始された復調試行処理が、その後、C1復調を3回、C3780復調を2回という単位で繰り返される。
【0087】
(3)その他
先に述べたパラメータとしては定義設定しなかったが、C1復調とC3780復調の試行回数の全試行回数に対する割合が設定されるようにしてもよい。例えば、C1復調の割合が6割、C3780復調の割合が4割と設定された場合、C1復調 → C1復調 → C3780復調 → C1復調 → C3780復調 → C1復調 → C1復調 → C3780復調 → C1復調 → C3780復調 →・・・のように試行される。すなわち、この場合、10回の全試行回数のうち、C1復調が6回試行され、C3780復調が4回試行される。
【0088】
以上のように、第1の実施の形態においては、あらかじめ定められた所定の規則にしたがって、伝送されてきた信号に対して、シングルキャリア復調又はマルチキャリア復調が試行されることで、伝送されてきた信号のキャリア方式が検出される。すなわち、第1の実施の形態では、システム情報に含まれているビット列からキャリア方式を検出するのではなく、シングルキャリア復調とマルチキャリア復調を所定の規則にしたがって試行することで、キャリア方式が検出される。これにより、マルチパスなどの受信が難しい環境においても、所定の規則にしたがった復調の試行を繰り返すことで、キャリア方式を確実に検出することができる。
【0089】
また、C_start,C1_max,C3780_maxや、C1復調とC3780復調の試行回数の全試行回数に対する割合などを設定することができるので、キャリア方式を確実に検出するのみならず、より柔軟にキャリア方式の検出を行うことができる。例えば、地域ごとに、キャリア方式の試行順序、試行回数をあらかじめテレビジョン受像機(受信装置)に登録しておいて、それを購入した視聴者が居住地域を選択した後のチャネルスキャンにおいて、登録しておいたその地域専用のキャリア方式の試行順序、試行回数でチャネルスキャンを行うといったことが可能になる。例えば、地上デジタル放送の規格として、DTMB規格を採用している中国などの広範囲な地域において、地域ごとにキャリア方式が異なる場合であっても、それらの地域ごとに適切なキャリア方式の試行順序、試行回数等を設定しておくことができる。これにより、全ての地域におけるキャリア方式の検出時間を短縮することができる。
【0090】
<2.第2の実施の形態>
ところで、シングルキャリア復調とマルチキャリア復調の試行を一定回数実行したにもかかわらず、復調が成功しない場合があり、この場合、現在復調を試行している周波数帯には信号が存在しないこととなる。そこで、次に、復調を試行している周波数帯に信号が存在しない場合の復調試行処理について説明する。
【0091】
[第2の復調試行処理]
図4は、コントローラ10及び復調部13により実行される第2の復調試行処理を示すフローチャートである。
【0092】
なお、第2の復調試行処理においては、図3の第1の復調試行処理と同様に、C_next,Nが変数として用いられる他、さらに、M(カウンタ)が変数として用いられる。また、第2の復調試行処理では、図3の第1の復調試行処理と同様に、あらかじめ設定されたパラメータを用いた処理が実行されるが、先に述べたC_start,C1_max,C3780_maxの他に、C_max(最大試行回数)が変更可能に設定される。
【0093】
受信装置1において、各チャネルのスキャンが実行され、図4の第2の復調試行処理が開始されると、復調制御部31は、パラメータの初期化として、C_nextに、あらかじめ設定されたC_startの値を代入し、さらに、カウンタMを0に初期化する(ステップS31)。そして、ステップS32において、復調制御部31は、カウンタMが、C_maxに到達したか否かを判定する。
【0094】
ステップS32において、カウンタMがC_maxに到達していないと判定された場合、ステップS33において、復調制御部31は、カウンタNを初期化し、さらに、カウンタMをインクリメントして、処理は、ステップS34に進む。
【0095】
ステップS34乃至S39においては、先に述べたステップS13乃至S18(図3)と同様に、カウンタNをインクリメントしながら、シングルキャリア復調が試行される。すなわち、復調ロックがかかっていると判定されるか(ステップS37の「Yes」)、あるいは、カウンタNがC1_maxに到達したと判定されるまで(ステップS38の「Yes」)、ステップS35乃至S38が繰り返される。
【0096】
ステップS35乃至S38が繰り返されることで、カウンタNをインクリメントしながら、シングルキャリア復調が試行され、ステップS37において、復調ロックがかかっていると判定された場合、シングルキャリア復調部42−1によるシングルキャリア復調によって、復調が成功したことになる。すなわち、この場合、伝送されてきた信号のキャリア方式として、シングルキャリア方式が検出されたことになるので、図4の第2の復調試行処理は終了する。
【0097】
一方、ステップS38において、カウンタNがC1_maxに到達したと判定された場合、復調制御部31によって、C_nextに、C3780が代入され(ステップS39)、処理は、ステップS32に戻る。
【0098】
そして、再度、ステップS32において、復調制御部31は、シングルキャリア復調の試行に応じてインクリメントされたカウンタMが、C_maxに到達したか否かを判定する。ステップS32において、カウンタMがC_maxに到達していないと判定された場合、復調制御部31は、カウンタNを初期化し、さらに、カウンタMをインクリメントする(ステップS33)。
【0099】
続いて、ステップS34において、C_nextに代入された値が、C1であるか否かが判定され、今度は、C3780がC_nextに代入されているので(ステップS34の「No」)、処理は、ステップS41に進む。
【0100】
ステップS41乃至S45においては、先に述べたステップS19乃至S23(図3)と同様に、マルチキャリア復調が試行される。すなわち、復調ロックがかかっていると判定されるか(ステップS43の「Yes」)、あるいは、カウンタNがC3780_maxに到達したと判定されるまで(ステップS44の「Yes」)、ステップS41乃至S44が繰り返される。
【0101】
ステップS41乃至S44が繰り返されることで、カウンタNをインクリメントしながら、マルチキャリア復調が試行され、ステップS43において、復調ロックがかかっていると判定された場合、マルチキャリア復調部42−2によるマルチキャリア復調によって、復調が成功したことになる。すなわち、この場合、伝送されてきた信号のキャリア方式として、マルチキャリア方式が検出されたことになるので、図4の第2の復調試行処理は終了する。
【0102】
一方、ステップS44において、カウンタNがC3780_maxに到達したと判定された場合、復調制御部31によって、C_nextに、C1が代入され(ステップS45)、処理は、ステップS32に戻る。
【0103】
そして、再度、復調制御部31によって、シングルキャリア復調の試行に応じてインクリメントされたカウンタMが、C_maxに到達したか否かが判定され(ステップS32)、カウンタMがC_maxに到達していない場合、処理は、ステップS33に進む。そして、復調制御部31は、カウンタNを初期化し、さらに、カウンタMをインクリメントする(ステップS33)。
【0104】
ステップS34において、C_nextに代入された値が、C1であるか否かが判定され、今度は、C1がC_nextに代入されているので(ステップS34の「Yes」)、処理は、ステップS35に進み、シングルキャリア復調が試行される。また、カウンタNがC1_maxに到達するまでに、シングルキャリア復調を行っても復調ロックがかからず、復調に成功しない場合には、再度、C_nextにC3780が代入され、マルチキャリア復調が試行されることになる。
【0105】
このように、シングルキャリア復調又はマルチキャリア復調によって復調ロックがかかるまで、シングルキャリア復調とマルチキャリア復調とが交互に、それぞれの試行回数分だけ繰り返し試行されるが、カウンタMがC_maxに到達しても、復調ロックがかからなかった場合(ステップS32の「Yes」)、処理は、ステップS40に進む。
【0106】
ステップS40において、復調制御部31は、現在復調を試行している周波数帯に信号がないことを示すフラグを立てて、図4の第2の復調試行処理は終了される。すなわち、この場合、現在復調を試行している周波数帯には信号が存在しないので、続いて、復調制御部31及び復調部13によって、次の周波数帯に対する第2の復調試行処理が行われることになる。
【0107】
以上のように、第2の実施の形態では、復調を試行している周波数帯域に必ずしも信号が存在するとは限らないため、あらかじめ最大試行回数C_maxを定めて、シングルキャリア復調とマルチキャリア復調の試行回数が、所定の最大試行回数を超えた場合には、その周波数帯域の復調の試行を中止して、次の周波数帯域の復調の試行を開始する。これにより、ある周波数帯域の復調を、復調が成功したか失敗したかにかかわらず、一定時間内に終了させることができるので、結果として、キャリア方式を確実に検出するだけでなく、各周波数帯域におけるキャリア方式を迅速に検出することができる。
【0108】
<3.第3の実施の形態>
ところで、復調処理部は、図2に示した第1の構成以外の他の構成を採用することができる。そこで、次に、図5及び図6を参照して、復調処理部の他の構成について説明する。
【0109】
[復調処理部の構成(第2の構成)]
図5は、復調処理部の第2の構成を示す図である。
【0110】
なお、図5の復調処理部において、図2の復調処理部と同様の箇所には同一の符号が付してあり、その説明は適宜省略する。
【0111】
図5において、コントローラ10には、図2のコントローラと比べて、SIロック判定部33、TSロック判定部34、及びセレクタ35の代わりに、SIロック判定部36が設けられている。また、復調部13には、図2の復調部13と比べて、シングルキャリア復調部42−1とマルチキャリア復調部42−2の後段に、セレクタ43が追加されている。
【0112】
シングルキャリア復調部42−1は、切替部41から供給された入力信号に対して、復調制御部31の制御にしたがってシングルキャリア復調を行い、それにより得られたデータを、セレクタ43に出力する。
【0113】
マルチキャリア復調部42−2は、切替部41から供給された入力信号に対して、復調制御部31の制御にしたがってマルチキャリア復調を行い、それにより得られたデータを、セレクタ43に出力する。
【0114】
また、シングルキャリア復調部42−1又はマルチキャリア復調部42−2においては、復調の試行が成功した場合、その復調が成功したことを示すSIロック信号が、SIロック判定部36に供給される。
【0115】
SIロック判定部36には、シングルキャリア復調部42−1又はマルチキャリア復調部42−2のいずれか一方から、SIロック信号が入力される。SIロック判定部36は、SIロック信号が入力された場合、入力されたSIロック信号に応じてキャリア方式を選択させるためのキャリア選択信号を、復調制御部31及びセレクタ43に供給する。
【0116】
セレクタ43は、SIロック判定部36から供給されるキャリア選択信号に応じて、シングルキャリア復調部42−1又はマルチキャリア復調部42−2の出力のうち、復調の試行に成功した一方の出力を、後段の誤り訂正部14に出力する。
【0117】
誤り訂正部14は、共通後段部51から構成される。共通後段部51は、セレクタ43から供給されるシングルキャリア復調又はマルチキャリア復調により得られたデータに対して、FECなどの所定の誤り訂正処理を施し、それにより得られた符号化データを、後段のデコーダ15に出力する。
【0118】
以上のように、第3の実施の形態では、セレクタ43によって、シングルキャリア復調とマルチキャリア復調のうち、復調の試行が成功した一方のデータが、後段の誤り訂正部14に出力される。そのため、誤り訂正部14においては、シングルキャリア用とマルチキャリア用の共通後段部51−1,51−2(図2)を設ける必要がなく、1つの共通後段部51を設ければよい。これにより、誤り訂正部14の回路規模を小さくすることができる。
【0119】
<4.第4の実施の形態>
[復調処理部の構成(第3の構成)]
図6は、復調処理部の第3の構成を示す図である。
【0120】
なお、図6の復調処理部において、図5の復調処理部と同様の箇所には同一の符号が付してあり、その説明は適宜省略する。
【0121】
図6において、コントローラ10及び誤り訂正部14は、図5のコントローラ10及び誤り訂正部14と同様の構成を有している。また、図6において、復調部13は、図5の復調部13と比べて、シングルキャリア復調部42−1及びマルチキャリア復調部42−2の代わりに、共通復調フロントエンド部44、シングルキャリア復調バックエンド部45−1、及びマルチキャリア復調バックエンド部45−2が設けられている。
【0122】
共通復調フロントエンド部44は、先に述べたシングルキャリア復調部42−1とマルチキャリア復調部42−2で行われる復調処理のうち、例えば同期処理等の共通の復調処理を行う。すなわち、共通復調フロントエンド部44は、チューナ12から供給された入力信号に対して、復調制御部31の制御にしたがってシングルキャリアとマルチキャリアにおける共通の復調処理を行い、それにより得られたデータを、切替部41に供給する。
【0123】
切替部41は、共通復調フロントエンド部44から供給されたデータの出力先を、復調制御部31による制御にしたがって切り替える。すなわち、切替部41は、シングルキャリア復調を試行する場合、スイッチ41Aを端子41B側に接続し、共通復調フロントエンド部44から供給されたデータを、シングルキャリア復調バックエンド部45−1に出力する。また、切替部41は、マルチキャリア復調を試行する場合、スイッチ41Aを端子41C側に接続し、共通復調フロントエンド部44から供給されたデータを、マルチキャリア復調バックエンド部45−2に出力する。
【0124】
シングルキャリア復調バックエンド部45−1は、先に述べたシングルキャリア復調部42−1とマルチキャリア復調部42−2で行われる復調処理のうち、例えば等化処理等のシングルキャリア復調部42−1における固有の復調処理を行う。すなわち、シングルキャリア復調バックエンド部45−1は、切替部41から供給されたデータに対して、復調制御部31の制御にしたがってシングルキャリア固有の復調処理を行い、それにより得られたデータを、セレクタ43に出力する。
【0125】
マルチキャリア復調バックエンド部45−2は、先に述べたシングルキャリア復調部42−1とマルチキャリア復調部42−2で行われる復調処理のうち、例えば等化処理等のマルチキャリア復調部42−2における固有の復調処理を行う。マルチキャリア復調バックエンド部45−2は、切替部41から供給されたデータに対して、復調制御部31の制御にしたがってマルチキャリア固有の復調処理を行い、それにより得られたデータを、セレクタ43に出力する。
【0126】
セレクタ43は、SIロック判定部36から供給されるキャリア選択信号に応じて、シングルキャリア復調バックエンド部45−1又はマルチキャリア復調バックエンド部45−2の出力のうち、復調の試行に成功した一方の出力を、後段の誤り訂正部14に出力する。
【0127】
以上のように、第4の実施の形態では、シングルキャリア復調とマルチキャリア復調について、共通の復調処理と、シングルキャリア固有の復調処理と、マルチキャリア固有の復調処理とに処理を分けることで、共通となる復調処理を行う部分をまとめることができる。そのため、誤り訂正部14の回路規模のみならず、復調部13の回路規模についても小さくすることができる。
【0128】
また、シングルキャリア方式とマルチキャリア方式の両キャリア方式で復調を同時に行う方法は、同時に復調を試すので、はやくキャリア方式を検出することはできるが、復調回路を二重に持つことになるため、回路規模が増大してしまうことになる。本実施の形態では、共通可能な部分をまとめることで、回路規模を抑えた上で、迅速にキャリア方式を検出することができる。
【0129】
<5.変形例>
上述した実施の形態においては、復調部13と、復調部13を制御するコントローラ10とは別々に構成されるとして説明したが、コントローラ10が有する復調制御機能を復調部13が備えるようにしてもよい。すなわち、上述した実施の形態では、図3及び図4の復調試行処理は、コントローラ10及び復調部13により実行されるとして説明したが、この復調試行処理は、復調部13と、コントローラ10が有する復調制御機能(復調制御部31乃至セレクタ35)とを備える復調装置(復調LSI)によって実行されると捉えることも可能である。また、この復調装置には、誤り訂正部14の他、A/D変換部(不図示)などが含まれてもよい。
【0130】
また、上述した実施の形態において、共通後段部51,51−1,51−2からのTSロック信号によって、共通後段部51などで実行された誤り訂正等の処理が成功した否かを判定するとして説明したが、TSロック信号の代わりに、例えば、BER(Bit Error Ratio)に関する情報を用いてもよい。すなわち、例えば、復号された(誤り訂正された)誤り符号の数を、復号された(誤り訂正された)符号の総数で割ることでBERを求めて、そのBERが所定の閾値以下になるか否かを判定することで、誤り訂正等の処理が成功した否かを判定することができる。
【0131】
また、上述した実施の形態において、C_start,C1_max,C3780_max,C_maxなどのパラメータは、変更可能に設定され、パラメータ記憶部32に記憶されるとして説明した。このパラメータを記憶させる方法としては、例えば、いわゆる工場出荷時設定によって地域ごとに適切なパラメータを設定したり、ユーザが手動で設定したりすることができる。
【0132】
[本発明を適用したコンピュータの説明]
ところで、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、又は、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等に、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0133】
図7は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータの構成の例を示す図である。
【0134】
このコンピュータ100において、CPU(Central Processing Unit)101,ROM(Read Only Memory)102,RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互に接続されている。
【0135】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部106、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部107、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部108、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部109、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア111を駆動するドライブ110が接続されている。
【0136】
以上のように構成されるコンピュータ100では、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105及びバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0137】
なお、コンピュータが実行するプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0138】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0139】
1 受信装置, 10 コントローラ, 11 アンテナ, 12 チューナ, 13 復調部, 14 誤り訂正部, 15 デコーダ, 16 出力部, 31 復調制御部, 32 パラメータ記憶部, 33,36 SIロック判定部, 34 TSロック判定部, 35 セレクタ, 41 切替部, 42−1 シングルキャリア復調部, 42−2 マルチキャリア復調部, 43 セレクタ, 44 共通復調フロントエンド部, 45−1 シングルキャリア復調バックエンド部, 45−2 マルチキャリア復調バックエンド部, 51,51−1,51−2 共通後段部, 52 セレクタ, 100 コンピュータ, 101 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の規格で規定されているシングルキャリア方式又はマルチキャリア方式のいずれか一方の方式で変調された信号を受信する受信手段と、
受信信号に対して、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調を行うシングルキャリア復調手段と、
受信信号に対して、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調を行うマルチキャリア復調手段と、
あらかじめ定められた所定の規則にしたがって、前記受信信号に対して、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が試行されるように制御する復調制御手段と
を備える受信装置。
【請求項2】
前記復調制御手段は、あらかじめ定められた最初に復調を試すキャリア方式にしたがって、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が最初に試行されるようにする
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記復調制御手段は、あらかじめ定められた各キャリア方式における試行回数にしたがって、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調が、各キャリア方式ごとに前記試行回数ずつ繰り返し試行されるようにする
請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記復調制御手段は、前記シングルキャリア復調と前記マルチキャリア復調の試行回数が、あらかじめ定められた所定の回数を超えた場合、復調の試行が中止されるようにする
請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記復調制御手段は、あらかじめ定められた全試行回数に対する各キャリア方式における試行回数の割合にしたがって、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調が、前記割合に応じて試行されるようにする
請求項2に記載の受信装置。
【請求項6】
前記復調制御手段は、前記シングルキャリア復調と前記マルチキャリア復調の試行回数が、あらかじめ定められた最大試行回数を超えた場合、復調の試行が中止されるようにする
請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記復調制御手段は、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方の試行が成功した場合、前記シングルキャリア復調手段又は前記マルチキャリア復調手段の出力のうち、復調の試行に成功した一方の出力が後段に出力されるようにする
請求項1に記載の受信装置。
【請求項8】
前記シングルキャリア復調手段と前記マルチキャリア復調手段は、
前記シングルキャリア復調手段と前記マルチキャリア復調手段における共通の復調処理を行う共通復調フロントエンド手段と、
前記シングルキャリア復調手段における固有の復調処理を行うシングルキャリア復調バックエンド手段と、
前記マルチキャリア復調手段における固有の復調処理を行うマルチキャリア復調バックエンド手段と
から構成される
請求項7に記載の受信装置。
【請求項9】
受信装置が、
所定の規格で規定されているシングルキャリア方式又はマルチキャリア方式のいずれか一方の方式で変調された信号を受信し、
受信信号に対して、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調を行い、
受信信号に対して、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調を行い、
あらかじめ定められた所定の規則にしたがって、前記受信信号に対して、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が試行されるように制御する
ステップを含む受信方法。
【請求項10】
所定の規格で規定されているシングルキャリア方式又はマルチキャリア方式のいずれか一方の方式で変調された信号を受信する受信手段と、
受信信号に対して、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調を行うシングルキャリア復調手段と、
受信信号に対して、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調を行うマルチキャリア復調手段と、
あらかじめ定められた所定の規則にしたがって、前記受信信号に対して、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が試行されるように制御する復調制御手段と
して、コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項11】
所定の規格で規定されているシングルキャリア方式又はマルチキャリア方式のいずれか一方の方式で変調された受信信号に対して、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調を行うシングルキャリア復調手段と、
前記受信信号に対して、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調を行うマルチキャリア復調手段と、
あらかじめ定められた所定の規則にしたがって、前記受信信号に対して、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が試行されるように制御する復調制御手段と
を備える復調装置。
【請求項12】
前記復調制御手段は、あらかじめ定められた最初に復調を試すキャリア方式にしたがって、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が最初に試行されるようにする
請求項11に記載の復調装置。
【請求項13】
前記復調制御手段は、あらかじめ定められた各キャリア方式における試行回数にしたがって、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調が、各キャリア方式ごとに前記試行回数ずつ繰り返し試行されるようにする
請求項12に記載の復調装置。
【請求項14】
前記復調制御手段は、前記シングルキャリア復調と前記マルチキャリア復調の試行回数が、あらかじめ定められた所定の回数を超えた場合、復調の試行が中止されるようにする
請求項13に記載の復調装置。
【請求項15】
前記復調制御手段は、あらかじめ定められた全試行回数に対する各キャリア方式における試行回数の割合にしたがって、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調が、前記割合に応じて試行されるようにする
請求項12に記載の復調装置。
【請求項16】
前記復調制御手段は、前記シングルキャリア復調と前記マルチキャリア復調の試行回数が、あらかじめ定められた所定の回数を超えた場合、復調の試行が中止されるようにする
請求項15に記載の復調装置。
【請求項17】
前記復調制御手段は、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方の試行が成功した場合、前記シングルキャリア復調手段又は前記マルチキャリア復調手段の出力のうち、復調の試行に成功した一方の出力が後段に出力されるようにする
請求項11に記載の復調装置。
【請求項18】
前記シングルキャリア復調手段と前記マルチキャリア復調手段は、
前記シングルキャリア復調手段と前記マルチキャリア復調手段における共通の復調処理を行う共通復調フロントエンド手段と、
前記シングルキャリア復調手段における固有の復調処理を行うシングルキャリア復調バックエンド手段と、
前記マルチキャリア復調手段における固有の復調処理を行うマルチキャリア復調バックエンド手段と
から構成される
請求項17に記載の復調装置。
【請求項19】
復調装置が、
所定の規格で規定されているシングルキャリア方式又はマルチキャリア方式のいずれか一方の方式で変調された受信信号に対して、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調を行い、
前記受信信号に対して、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調を行い、
あらかじめ定められた所定の規則にしたがって、前記受信信号に対して、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が試行されるように制御する
ステップを含む復調方法。
【請求項20】
所定の規格で規定されているシングルキャリア方式又はマルチキャリア方式のいずれか一方の方式で変調された受信信号に対して、シングルキャリア方式に基づいたシングルキャリア復調を行うシングルキャリア復調手段と、
前記受信信号に対して、マルチキャリア方式に基づいたマルチキャリア復調を行うマルチキャリア復調手段と、
あらかじめ定められた所定の規則にしたがって、前記受信信号に対して、前記シングルキャリア復調又は前記マルチキャリア復調のいずれか一方が試行されるように制御する復調制御手段と
して、コンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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