説明

受光素子の作製方法

【課題】特定の波長に対して感度を持たせた素子を材料の選定を行うことなく容易に作製可能な受光素子の作製方法を提供する。
【解決手段】P型半導体14、N型半導体13、各電極12、15の何れかを構成する材料を、逆バイアス電圧を印加するとともに、堆積させる材料の吸収波長よりも長波長である希望波長の光を照射しつつ堆積させる堆積工程を有し、この堆積工程は、照射光により近接場光を発生可能な局所形状54が堆積させている材料表面に形成されている箇所では、近接場光による非断熱過程を通じて希望波長の照射光を光吸収して電子を生成するとともに、その電子により当該局所形状54に逆バイアス電圧に基づく局所電場を打ち消す非断熱フローと、局所形状54が未形成の箇所では、逆バイアス電圧に基づく局所電場が生じた箇所に粒子51を順次吸着させ、その結果、局所形状54が形成された場合には非断熱フローへ移行する粒子吸着フローとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光素子の作製方法に関し、特定の波長に対して感度を持たせた素子を材料の選定を行うことなく容易に作製可能な受光素子の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
受光素子は、PN接合に逆バイアス電圧を印加して空乏層を形成させた状態で受光を行う。受光素子の受光表面に入射した光は光吸収層と呼ばれるエネルギーバンドの小さい領域で吸収されて当該光吸収層にキャリアを発生させる。光吸収により生じたキャリアは、印加された逆バイアス電圧に基づく内部電場勾配により加速されて電気信号として検出されることになる。
【0003】
ところで、この受光素子について、ある特定の波長に対して感度を持たせるためには、その波長に基づく光子エネルギーよりも小さなバンドギャップを持つ材料を選定する必要がある。しかしながら、現代社会においてセキュリティなどへの光技術の応用といった、多様で高度な社会的要求が高まる中、受光可能波長に関する要求は、多岐に亘る。このため、受光素子に対して感度を持つ波長を新たに設定したり、或いは以前から製造していた受光素子に対して感度を持つ波長を他の波長に切り替える場合には、その都度材料の選定をしなければならず、製造労力の負担が増大してしまうという問題点があった。このため、特定の波長に対して感度を持たせた素子を材料の選定を行うことなく容易に作製可能な製造技術が従来より求められていた。
【0004】
これに加えて、現在に至るまでに提案されている受光素子では、材料技術の限界から、受光感度を持たせることができる波長領域は限られている。このような従来の受光素子において、到底光電変換することができない波長の光が入射された場合であっても、これを光電変換することができれば、受光可能波長に関する様々なニーズにも応えることができる。
【0005】
近年では、非特許文献1に示すように近接場光による非断熱過程を用いて、伝搬光に感度を持たない近接場光のみを検出する技術が提案されている。しかしながら、上述した非特許文献1の技術では、特定の波長に対して感度を持たせた素子を材料の選定を行うことなく、いかに容易に作製するかに焦点を当てたものではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】T. Kawazoe、 K. Kobayashi、 S. Takubo、 and M. Ohtsu、 J. Chem. Phys.、 Vol.122、 No.2、January 2005、 pp.024715 1-5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、特定の波長に対して感度を持たせた素子を材料の選定を行うことなく容易に作製可能な受光素子の作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1記載の受光素子の作製方法は、上述した課題を解決するために、P型半導体とN型半導体とを接合したPN接合と、上記P型半導体並びにN型半導体にそれぞれ接続された各電極とを有する受光素子の作製方法において、上記P型半導体、上記N型半導体、上記各電極の何れかを構成する材料を、逆バイアス電圧を印加するとともに、堆積させる材料の吸収波長よりも長波長である希望波長の光を照射しつつ堆積させる堆積工程を有し、上記堆積工程は、上記希望波長の照射光により近接場光を発生可能な局所形状が上記堆積させている材料表面に形成されている箇所では、当該局所形状に発生した近接場光による非断熱過程を通じて上記希望波長の照射光を光吸収して電子を生成するとともに、その生成した電子により当該局所形状に上記逆バイアス電圧に基づく局所電場が生じるのを打ち消すことを連続して行う非断熱フローと、上記局所形状が未形成の箇所では、上記逆バイアス電圧に基づく局所電場が生じた箇所に上記材料を構成する粒子を順次吸着させ、その吸着プロセスを経て上記局所形状が形成された場合には上記非断熱フローへ移行する粒子吸着フローとを有することを特徴とする。
【0009】
本願請求項2記載の受光素子の作製方法は、請求項1記載の発明において、上記非断熱フローと上記粒子吸着フローとを継続して実行することにより、上記堆積させている材料表面に上記局所形状を順次形成させていくことを特徴とする。
【0010】
本願請求項3記載の受光素子は、請求項1又は2記載の受光素子の作製方法により作製されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上述した構成からなる本発明によれば、特定の波長に対して感度を持たせた素子を材料の選定を行うことなく容易に作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用した受光素子の作製方法を実現するためのスパッタリング装置の構成を示す図である。
【図2】実際に台上に設置される受光素子の詳細な構成を示す図である。
【図3】N型半導体を構成する材料をスパッタリング堆積させている際の材料表面の微視的な状態を示す図である。
【図4】N型半導体の材料のポテンシャルエネルギーの概念図を示す図である。
【図5】非断熱過程を説明するための、原子同士の結合をバネで置き換えたモデルを示す図である。
【図6】非断熱フローと粒子吸着フローとを継続して実行する場合について示す図である。
【図7】非断熱過程を利用した受光プロセスについて説明するための図である。
【図8】本発明を適用した受光素子の作製方法を経て作製された受光素子の光電流に対する波長依存性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明を適用した受光素子の作製方法を実現するためのスパッタリング装置3の構成を示している。
【0015】
このスパッタリング装置3は、チャンバ31内に受光素子1と、受光素子1を設置するための台32と、受光素子1に対向する側に配設されたターゲット34と、このターゲット34が装着される電極35とを配設して構成され、またこのチャンバ31の外部において、電極35と接続されて配設される電源36と、チャンバ31の側方等に設置される光発振器37とを備えて構成される。
【0016】
スパッタリング装置3では、チャンバ31内を約10−2Torrまで排気した後に、Ar等の不活性ガスを導入し、さらに電源36により電極に対して電圧を印加し放電させる。これにより、ターゲット34表面近傍において、プラズマ状態を作り出すことができる。この生成されたプラズマの電位は、通常ターゲット34表面より高くなるため、プラズマとターゲット34との間で直流的な電界が生じることになる。不活性ガス中のAr等の正イオンは、この生じた電界により加速されて、ターゲット34表面に衝突し、その結果スパッタリングが起こるため、ターゲット34上の微粒子が順次放出される。ちなみに、この放出された微粒子は、不活性ガスの分子と衝突することなく、受光素子1上に堆積されることになる。
【0017】
図2は、実際に台32上に設置される受光素子1の詳細な構成を示している。この受光素子は、基板11上に積層された第1の電極12、第1の電極2に接続されたN型半導体13、N型半導体13との間でPN接合を構成するP型半導体14、P型半導体14に接続された第2の電極15とを備えている。この第1の電極12、第2の電極15には、電源17が接続されており、N型側が正電圧、P型側が負電圧となるように逆バイアス電圧が負荷されることになる。
【0018】
基板11は、いわゆるサファイヤ、シリコン等の基板等で構成される。
【0019】
また、第1の電極12は、透明電極等で構成され、例えばITO(Indium Tin Oxide)を使用するようにしてもよい。第2の電極15は、例えばAg等を使用するようにしてもよい。但し、これら第1の電極12、第2の電極15は、これらに限定されるものではなく、いかなる材料を用いるようにしてもよい。
【0020】
N型半導体13は、例えばZnO、In、SnO等に代表される半導体を用いるようにしてもよい。P型半導体14は、ポリチオフェン(P3HT)等を用いるようにしてもよい。但し、これらPN接合を構成するN型半導体13、P型半導体14は、これらに限定されるものではなく、いかなる材料を用いるようにしてもよい。
【0021】
電源17は、安定化直流電源、電池等で構成されている。
【0022】
本発明を適用した受光素子の作製方法では、P型半導体14、N型半導体13、各電極12、15の何れかを構成する材料をスパッタリングにより堆積させる。この堆積工程においては、上述のP型半導体14、N型半導体13より構成されるPN接合に対して逆バイアス電圧を印加しつつ、堆積させる材料の吸収波長よりも長波長の光を光発振器37により出射する。この光発振器37により出射された光は、窓31aを介して受光素子1上へと導かれる。以下、この光発振器37により出射された光の波長を希望波長という。
【0023】
以下、この受光素子1においてP型半導体14、N型半導体13、各電極12、15のうち、N型半導体13を構成する材料をスパッタリング堆積させる場合を例にとり説明をする。図3は、このN型半導体13を構成する材料をスパッタリング堆積させている際の材料表面の微視的な状態を示している。
【0024】
N型半導体13の表面には、逆バイアス電圧に基づく局所電場が生じている。この局所電場が生じた箇所には、N型半導体13の材料を構成する粒子51が順次吸着されることになる。この吸着プロセスを通じてN型半導体13の表面に材料が順次堆積していくことになる。この局所電場に対して粒子51が順次吸着されるフローを、以下、粒子吸着フローという。
【0025】
ところで、このようなスパッタリング堆積を実行していく過程において、例えば図3に示す局所形状54が偶然に形成される場合がある。この局所形状54は、上述した希望波長の光が照射された場合に近接場光をより効果的に発生させることができる形状である。
【0026】
この近接場光を発生させることができる局所形状54は、照射されてくる光の波長によって異なる。このため、希望波長を変更した場合には、それによって近接場光を発生させることができる局所形状54も当然に異なる。即ち、この局所形状54は、希望波長毎に特有となる。
【0027】
今回照射する希望波長に対して近接場光を効果的に発生させることができる局所形状54が図3に示すような形状であれば、他の箇所において局所形状54が仮に形成されていた場合には、当該箇所においても希望波長に基づく近接場光が同様に発生することになる。
【0028】
このような近接場光が発生すると、以下に説明するような非断熱過程が生じる。図4は、N型半導体13の材料のポテンシャルエネルギーの概念図を示している。N型半導体13の材料を構成する原子の原子核間距離を一定に保った状態で安定している。しかし光子エネルギーにより分子軌道中の電子が励起される。
【0029】
この非断熱過程とは、図5に示すように、原子同士の結合をバネで置き換えたモデルで考えることができる。一般に伝搬光の波長は分子の寸法に比べると遥かに大きいため、分子レベルでは空間的には一様な電場とみなせる。その結果、図5(a)に示すように、バネで隣り合う電子は同振幅、同位相で振動させられる。感光性樹脂膜12の原子核は重いため、この電子の振動には追従できず、伝搬光では分子振動は極めて起こりにくい。このように伝搬光では、分子振動が電子の励起過程に関わることを無視することができるため、この過程を断熱過程という(非特許文献1参照。)。
【0030】
一方、近接場光の空間的な電場勾配は非常に急峻に低下する。このため近接場光では隣り合う電子に異なる振動を与えることになり、図5(b)に示すように、この異なる電子の振動により重い原子核も振動させられる。近接場光が分子振動を起こすことは、エネルギーが分子振動の形態を取ることに相当するため、近接場光では図4に示すように、振動準位を介した励起過程(非断熱過程)が可能となる。このように原子核の振動準位を介した励起過程は、通常の光学応答である断熱過程に対し、原子核が応答し動くため、非断熱過程という(非特許文献1参照。)。非断熱過程では、図4に示すように振動準位を介し電子を励起するため、堆積させる材料の吸収波長よりも長波長である希望波長の光でもこれを励起状態まで励起させることができ、電子を生成させることが可能となる。
【0031】
このように、局所形状54において近接場光を発生させることにより、当該局所形状54において非断熱過程に基づいて励起状態へ励起されることになる。この非断熱過程では、エネルギーの低い光、即ち堆積させる材料の吸収波長よりも長波長である希望波長の光であっても、上述した振動準位を介した励起過程により励起させることが可能となり、局所形状54のみに対して選択的に電子を生成させることが可能となる。
【0032】
このようにして局所形状54に対して局所的に電子が生成されると、その生成した電子により当該局所形状54に逆バイアス電圧に基づく局所電場が生じるのを打ち消すことが可能となる。以下、このような近接場光に基づく非断熱過程を通じて局所形状54において電子を生成させ、その生成した電子に基づいて局所形状54に局所電場が生じるのを打ち消すフローを以下、非断熱フローという。堆積工程の間、希望波長の光を照射し続けることにより、局所形状54において非断熱フローが連続して生じることになり、当該局所形状54において電子が連続して発生し続けることになる。その結果、局所形状54には局所電場が発生するのを、この電子により常に打ち消されることになる。
【0033】
そして、局所形状54において非断熱フローが生じ、局所電場が打ち消されることになるため、当該局所形状54には、N型半導体13の材料を構成する粒子51が吸着されるのを防止することが可能となる。その結果、局所形状54は、粒子51が吸着されることが無くなり、堆積工程が終了するまでその形状が維持されることになる。
【0034】
このように、本発明を適用した受光素子の作製方法は、上述した非断熱フローと粒子吸着フローとを継続して実行することにより、堆積させている材料表面に局所形状54を順次形成させていくことを行う。
【0035】
図6(a)に示すように、箇所Aにおいて偶発的に局所形状54が形成された場合には、当該箇所Aにおいて非断熱フローが進行し、局所電場が打ち消されることになる。また、箇所A以外は、局所形状54が形成されなかったため、粒子吸着フローに基づいて粒子51が順次堆積されることになる。
【0036】
次に図6(b)に示すように、箇所Bにおいて粒子吸着フローに基づく粒子51の堆積が連続的に起こった結果、偶発的に局所形状54が形成された場合には、非断熱フローに移行し、局所電場が打ち消されることになる。箇所A、Bは、非断熱フローが繰り返し起きる結果、局所電場の打ち消しが継続して行われ、粒子51の吸着を防止することが可能となる。その結果、箇所A、Bは、局所形状54を維持し続けることになる。この間、箇所A、B以外は、粒子吸着フローが継続して進行することになる。
【0037】
次に図6(c)に示すように、箇所Cにおいて粒子吸着フローに基づく粒子51の堆積が連続的に起こった結果、偶発的に局所形状54が形成された場合には、非断熱フローに移行し、局所電場が打ち消されることになる。箇所Cも、箇所A、Bと同様に非断熱フローが繰り返し起きる結果、局所電場の打ち消しが継続して行われ、粒子51の吸着を防止することが可能となる。その結果、箇所Cも、箇所A、Bと同様に、局所形状54を維持し続けることになる。この間、箇所A、B、C以外は、粒子吸着フローが継続して進行することになる。
【0038】
次に図6(d)に示すように、箇所Dにおいて粒子吸着フローに基づく粒子51の堆積が連続的に起こった結果、偶発的に局所形状54が形成された場合には、非断熱フローに移行し、局所電場が打ち消されることになる。箇所Dも同様に非断熱フローが繰り返し起きる結果、局所電場の打ち消しが継続して行われ、粒子51の吸着を防止することが可能となる。
【0039】
このようにして、堆積させている材料表面に局所形状54が順次形成されていくことになる。そして、最終的に堆積工程が終了したN型半導体13の表面には、この局所形状54が多数に亘り形成された状態となる。
【0040】
本発明を適用した受光素子の作製方法に基づいて作製された受光素子1により実際に光電変換処理を行う場合には、第1の電極12、第2の電極15には、N型側が正電圧、P型側が負電圧となるように逆バイアス電圧を負荷し、このPN接合に形成される空乏層に対して受光させるべき光を照射する。そのとき、希望波長の光が入射された場合には、局所形状54において近接場光が発生する。この局所形状54は、上述したように、希望波長の光が照射された場合に近接場光をより効果的に発生させることができる形状だからである。
【0041】
そして、この近接場光が発生すると、非断熱過程が生じる。図7に示すように、受光素子1のエネルギーギャップE2である場合、希望波長によるエネルギーE1では、通常の断熱過程では、到底励起準位へ励起させることができず、光電変換を実現することができない。これに対して、近接場光による非断熱過程が生じると、希望波長のエネルギーE1がエネルギーギャップE2未満であっても、多段階遷移を通じて励起準位へ励起させることが可能となることから、これを受光素子1により受光させることが可能となる。これは、受光素子1により受光可能な波長帯域より、希望波長が長波長であっても、これを受光素子1により受光できることを意味している。
【0042】
また、本発明を適用した受光素子の作製方法では、ある特定の波長に対して感度を持たせた受光素子の作製を望む場合、その特定の波長を希望波長とした光を照射することにより、当該希望波長の光を受光可能な受光素子を作製することが可能となる。従って、本発明によれば、特定の波長に対して感度を持たせた素子を材料の選定を行うことなく容易に作製することが可能となる。
【0043】
図8は、本発明を適用した受光素子の作製方法を経て作製された受光素子1の光電流に対する波長依存性を示している。それぞれのプロットは、入射光の光強度をそれぞれ0.1mW、0.5mW、1.0mWとした場合の例としている。横軸が波長、縦軸が光電流である。希望波長660nmの光を照射したところ、図8に示すように、受光した光電流のピークは、620nmであった。このため、局所形状54において近接場光が発生して非断熱過程が生じ、波長660nmからなる希望波長の光が、波長620nmを中心とした低波長側の光として受光されているものと考えることができる。
【0044】
なお、上述した実施の形態では、N型半導体13を構成する材料をスパッタリング堆積させる場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではなく、他のP型半導体14、各電極12、15を堆積させる際においても、同様の技術思想を適用することが可能となる。
【0045】
また、スパッタリング以外に、MBE(Molecular Beam Epitaxy)やCVD(Chemical Vapor Deposition)等、他の堆積手法を用いてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1 受光素子
3 スパッタリング装置
11 基板
12 第1の電極
13 N型半導体
14 P型半導体
15 第2の電極
17 電源
31 チャンバ
32 台
34 ターゲット
35 電極
36 電源
37 光発振器
51 粒子
54 局所形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
P型半導体とN型半導体とを接合したPN接合と、上記P型半導体並びにN型半導体にそれぞれ接続された各電極とを有する受光素子の作製方法において、
上記P型半導体、上記N型半導体、上記各電極の何れかを構成する材料を、逆バイアス電圧を印加するとともに、堆積させる材料の吸収波長よりも長波長である希望波長の光を照射しつつ堆積させる堆積工程を有し、
上記堆積工程は、
上記希望波長の照射光により近接場光を発生可能な局所形状が上記堆積させている材料表面に形成されている箇所では、当該局所形状に発生した近接場光による非断熱過程を通じて上記希望波長の照射光を光吸収して電子を生成するとともに、その生成した電子により当該局所形状に上記逆バイアス電圧に基づく局所電場が生じるのを打ち消すことを連続して行う非断熱フローと、
上記局所形状が未形成の箇所では、上記逆バイアス電圧に基づく局所電場が生じた箇所に上記材料を構成する粒子を順次吸着させ、その吸着プロセスを経て上記局所形状が形成された場合には上記非断熱フローへ移行する粒子吸着フローとを有すること
を特徴とする受光素子の作製方法。
【請求項2】
上記非断熱フローと上記粒子吸着フローとを継続して実行することにより、上記堆積させている材料表面に上記局所形状を順次形成させていくこと
を特徴とする請求項1記載の受光素子の作製方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の受光素子の作製方法により作製されたことを特徴とする受光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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