受動的構造を作製するためのエアゾール化流体の空気力学的噴射方法
物理的、電気的、化学的または光学的な特性の内のひとつ以上の特性において、5%以下の許容差を有する受動的構造を直接的に書き込む方法および装置である。本装置は、延長された析出時間を可能とする。上記装置は、単独動作用に構成され得ると共に、当該システムの物理的特性を検出して最適なプロセス・パラメータを特定かつ維持するセンサおよびフィードバック・ループを使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
本出願は、2004年12月13日に出願された“受動的な電子的構造の溶液式エアゾール噴射法”と題される米国仮特許出願第60/635,848号の出願の利益を主張すると共に、参照によりその明細書が本出願に援用される。
【0002】
発明の背景
本発明は、概して、受動的構造の直接的析出の分野に関する。より詳細には、本発明は、精密抵抗構造の析出に重点を置き乍ら、平面的または非平面的な目標物上にメソスケールの受動的構造をマスクなしで精密に析出する分野に関する。
【背景技術】
【0003】
以下の検討内容は、多数の公報および文献に言及することに留意されたい。本明細書におけるかかる公報の検討内容は、科学的原理の更に完全な背景を与えるためのものであり、特許性を判断する目的でかかる公報が先行技術であることを是認していると解釈されては、ならない。
【0004】
受動的構造を析出させる種々の方法が存在するが、厚膜および薄膜方法は、種々の電子的および超小型電子的な目標物上に、限定されるものでは、ないが、抵抗器もしくは、コンデンサなどの受動的構造を析出する上で支配的な役割を果たしてきた。一例として厚膜技術は、典型的に、100ミクロンもの小ささのライン幅にて電子的ペーストを析出するスクリーン印刷プロセスを使用する。電子的構造を印刷する薄膜方法としては、化学蒸着およびレーザ支援式化学蒸着、並びに、スパッタリングおよび蒸発の様な物理的析出の如き蒸着技術が挙げられる。
【0005】
特許文献1は、超小型電子的回路機構に必要とされる許容差に一致する許容差にてセラミック基板上に厚膜抵抗器を作製する方法を開示している。この方法においては、ルテニウム系の抵抗器材料が上記基板上にスクリーン印刷され、850℃を超える温度にて焼成される。
【0006】
特許文献2は、イオン衝撃を用いてポリイミドの如き可撓基板の表面を活性化し、チタンの如き別の析出材料と組み合わされ得るグラは、イト状カーボン領域を形成することで受動的構造を形成するという、可撓基板上に受動的構造を作製する方法を開示している。
【0007】
特許文献3は、プリント配線基板上に埋設された抵抗器を作製する方法を開示している。該方法は、薄膜プロセスを使用し、導電層内に形成された凹所内に埋設される受動的構造を形成している。該特許文献3の方法は、ポリマ厚膜内に埋設された抵抗器に見られる大きな抵抗変動を排除するプロセスを開示している。
【特許文献1】米国特許第4,938,997号
【特許文献2】米国特許第6,709,944号
【特許文献3】米国特許第6,713,399号
【特許文献4】WO 02/04698(PCT/US01/14841)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
受動的構造を作製する厚膜および薄膜方法は、十分に発達しているが、これらのプロセスは、一定の析出用途に対しては、不適切なこともある。厚膜プロセスの幾つかの不都合は、当該技術の特性として最小ライン幅が比較的に大きいこと、マスク利用が必要なこと、および、析出材料の高温処理が必要なことである。また典型的な薄膜プロセスの不都合としては、マスク、真空雰囲気、および、多段階のフォトリソグラフ的プロセスの使用が挙げられる。
【0009】
受動的構造を析出する習用方法と対照的に、M3D(登録商標)プロセスは、真空チャンバ、マスクの使用、または膨大な析出後処理を必要としない直接的印刷技術である。本出願と同様に本出願人が所有し、また参照により本明細書中に援用される特許文献4(WO 02/04698(PCT/US01/14841))は、種々の目標物上に受動的構造を析出するエアゾール噴射を用いる方法を開示しているが、電子部品の製造に対して容認可能なレベルまで析出構造の許容差を減少する対策は、与えていない。実際、そこで開示された発明におけるバーチャルインパクタは、最終的に、デバイスの内部における粒子の蓄積によりシステムが故障することになる。結果として、先に開示されたシステムが故障する前における最長の動作時間は、15〜100分であり、析出構造の電気的許容差は、およそ10%〜30%である。
【0010】
対照的に本発明は、5%未満の許容差によるコンダクタンス、抵抗、キャパシタンスまたは、インダクタンス値、および、数時間の動作時間にて受動的構造を析出し得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、材料を含む受動的構造を目標物上に析出する装置であって、上記材料とキャリヤガスとを含むエアゾールを形成する噴霧器と、過剰なキャリヤガスを排出する排気流コントローラと、上記エアゾールを円柱状のシースガス流内に取り込む析出ヘッドと、圧力検知変換器と、上記噴霧器、上記析出ヘッド、上記排気流コントローラ、および、上記変換器を接続する交差継手とを備え、上記受動的構造の所望特性の許容差は、約5%よりも良好であるという装置である。上記析出ヘッドおよび上記噴霧器は、好適には、相互に対向する取入口にて上記交差継手に対して接続される。上記排気流コントローラは、好適には、上記交差継手を通るエアゾールの進行方向に直交する方向に過剰キャリヤガスを排出する。上記排気流コントローラは、好適には、キャリヤガス流速を減少する。
【0012】
上記装置は、好適には、上記変換器からデータを受信し、また当該装置に漏出または、目詰りが存在するか否かを決定するプロセッサを更に備えている。かかる場合に上記装置は、もし目詰りが検出されたなら当該装置を自動的に浄化し、または、もし漏出が検出されたならば当該装置の動作を自動的に中断するフィードバック・ループを更に備えている。上記装置は、好適には、レーザであってその光線が流動エアゾールを通過するというレーザと、上記レーザからの散乱光を検出するフォトダイオードとを更に備えている。上記レーザ光線は、好適には、エアゾールの流れ方向に対して直交し、且つ、上記フォトダイオードは、好適には、上記レーザ光線および上記流れ方向の両方に対して直交して配向される。上記フォトダイオードは、好適には、上記噴霧器の動力を自動的に制御する制御器に対して接続される。
【0013】
本発明は、また、材料を含む受動的構造を目標物上に析出する方法であって、上記材料を噴霧する段階と、噴霧された上記材料をキャリヤガス内に取り込んでエアゾールを形成する段階と、上記エアゾールの流れ方向に対して直交して配向された開口を介して上記エアゾールから過剰キャリヤガスを除去する段階と、上記エアゾールの圧力を監視する段階と、上記エアゾールをシースガスで囲む段階と、上記材料を上記目標物上に析出する段階とを備え、上記受動的構造の所望特性の許容差は、約5%よりも良好であるという方法である。上記方法は、好適には、上記圧力の値に基づいて漏出または、目詰りの存在を決定する段階と、もし目詰りが存在するならば当該システムを自動的に浄化し又は、もし漏出が存在するならば動作を自動的に中断する段階とを更に備えている。上記方法は、好適には、上記エアゾール内にレーザ光線を照射する段階と、上記レーザ光線からの散乱光を測定する段階とを更に備えている。上記測定段階は、好適には、上記レーザ光線および上記エアゾールの流れ方向の両方に対して直交して配向された検出器により実施される。上記方法は、好適には、上記測定段階において検出された散乱光の量に基づいて、上記噴霧段階において使用される動力を変化させる段階を更に備えている。
【0014】
上記方法は、好適には、上記材料を処理する段階を更に備えて成り、上記処理段階は、上記エアゾールを加湿する段階、上記エアゾールを乾燥する段階、上記エアゾールを加熱する段階、析出された材料を加熱する段階、析出された材料をレーザ光線で照射する段階、および、それらの組み合わせから成る群から選択される。析出された材料をレーザ光線で照射する上記段階によれば好適には、析出された上記材料の約1ミクロンもの小ささのライン幅が可能とされる。析出された材料をレーザ光線で照射する上記段階は、好適には、上記目標物の平均温度を損傷閾値より高い温度までは、上昇させない。
【0015】
本発明の目的は、飛行中に材料を前処理し、および/または、該材料が目標物上に析出された後に後処理して、バルク材の値に近い値を有する物理的および/または、電気的な特性となることである。
【0016】
本発明の別の目的は、長い動作時間を可能とする析出装置を提供することである。
【0017】
本発明の利点は、析出された受動的構造が5%未満の許容差によるコンダクタンス、抵抗、キャパシタンスまたは、インダクタンスの値を有するということである。
【0018】
本発明の他の目的、利点および新規な特徴、および、適用可能性の更なる有効範囲は、添付図面と併せて以下の詳細な説明において部分的に示され、且つ、当業者であれば以下の内容を検証することで部分的に明らかとなり、または、本発明を実施することにより習得され得る。本発明の目的および利点は、添付の各請求項において特に指摘された手段および組み合わせにより実現かつ達成され得る。
【0019】
取入れられて本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の幾つかの実施例を例示すると共に、記述と協働して本発明の原理を説明する役割を果たす。各図面は、本発明の好適実施例の例示のみを目的としており、発明を制限すると解釈されては、ならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
序論および概略的説明
M3D(登録商標)プロセスは、周囲環境において動作すると共にリソグラフ技術または、真空蒸着技術に対する必要性を排除する追加的な直接的印刷技術である。該方法は、所定パターンで受動的な電子部品を析出し得ると共に、エアゾール流の空気力学的集束を用いることで、マスクもしくは、改変環境を使用せずに平面的もしくは、非平面的な目標物上にパターンを析出する。
【0021】
M3D(登録商標)方法は、商的な厚膜およびポリマ厚膜ペースト組成物に適合しており、液体前駆体系の調製物、粒子系の調製物、および、粒子および液体前駆体の組み合わせから成る調製物と共に使用されても良い。該方法は、同一の目標層上に複数の調製物を析出もし得る。この能力によれば、同一層上に50Ω/スクェア〜500KΩ/スクェアに亙る広範囲な抵抗値にて抵抗構造の直接的析出が可能とされる。
【0022】
M3D(登録商標)方法は、たとえばひとつの小さい値の組成物およびひとつの大きい値の組成物などの両調製物をエアゾール化すべく複数の噴霧器が使用されるという方法により、移動中に異なる調製物を混合し得る。各調製物は、好適には、単一の析出ヘッドを通して析出されると共に、混合は、エアゾールの移動の間に、または、エアゾール小滴が目標物に結合するときに行われ得る。この方法によれば調製物の自動的な適合調整が許容されることから、析出物の抵抗率、または、他の電気的、熱的、光学的または、化学的な特性が小さな値から大きな値まで連続的に変化され得る。上記混合プロセスは、また、ペースト、インク、種々の流体(限定されるものでは、ないが、化学的前駆溶液、電子的、光学的、生物学的および生体適合的な材料の粒子懸濁液、接着剤)およびそれらの組み合わせに対しても適用され得る。
【0023】
本明細書および各請求項を通して使用される“受動的構造”とは、限定されるものでは、ないが、導体、抵抗器、コンデンサ、誘導体、絶縁体、誘電体、サプレッサ、フィルタ、バリスタ、強磁性体、接着剤などを含む、所望の電気的、磁気的または、他の特性を有する構造を意味する。
【0024】
M3D(登録商標)プロセスは、好適には、エアゾール化形態で材料を析出する。殆どの粒子懸濁液のエアゾール化は、好適には、噴霧器の如き空気圧式デバイスを用いて実施されるが、小粒子もしくは、低密度粒子から成る粒子懸濁液に対しては、超音波エアゾール化が使用され得る。この場合に固体粒子は、水または、有機溶媒、および、当該懸濁液を維持する添加剤中に懸濁され得る。上記2つの噴霧方法によれば、限定されるものでは、ないが、典型的には、1〜5ミクロンのサイズ範囲のサイズにて小滴または、小滴/粒子が生成され得る。
【0025】
超音波的にエアゾール化された組成物は、典型的に、1〜10cPの範囲の粘度を有する。前駆体および前駆体/粒子組成物は、典型的に、10〜100cPの粘度を有すると共に、好適には、空気圧的にエアゾール化される。100〜1000cPの粘度を有する組成物もまた、空気圧的にエアゾール化される。適切な希釈剤を用いると、1000cPより大きな粘度を有する組成物は、空気圧的エアゾール化に適した粘度へと改変され得る。
【0026】
図1aには、延長された動作時間にて5%より低い許容差を有する受動的構造を析出し得る本発明の好適な装置が示される。
【0027】
図1bは、空気圧的噴霧用に構成された装置、および、上記装置の最も概略的な実施例の詳細を示している。エアゾール化サンプルを析出モジュールに対して供与するために好適には、不活性のキャリヤガスもしくは、搬送流体が用いられる。超音波式噴霧の場合、エアゾール担持キャリヤガスは、好適には、エアゾール化プロセスの直後に析出ヘッドに進入する。上記キャリヤガスは、圧縮空気、(溶媒蒸気を含みうる)不活性気体、または、両方の混合物から成り得る。上記空気圧的エアゾール化プロセスは、好適には、析出ヘッド22を通る最大許容ガス流速を超えるキャリヤガス流速を必要とする。(たとえば約0.2〜2リットル/分などの)大きなキャリヤガス流速の使用を可能とするためには、好適には、バーチャルインパクタが使用されることで、粒子もしくは、小滴をそれほど喪失せずにキャリヤガスの流速が減少される。バーチャルインパクタにおいて使用される段階の数は、変更され得ると共に、除去されるべきキャリヤガスの量に依存する。上記ストリームは、M3D(登録商標)析出ヘッド内へと導入され、ここで、シースガスにより囲まれた内側のエアゾール流から成る環状流が引き起こされる。この協働流構成によれば、オリフィス直径の約1/10のサイズへとエアゾール流が集束され得る。
【0028】
環状流を用いて受動的構造を作製する場合、エアゾール流は、好適には、析出ヘッド22上に取付けられたポートに進入し、オリフィスに向けて導向される。エアゾール・キャリヤガス流コントローラ10は、好適には、質量スループットを制御する。上記析出ヘッドの内側にて上記エアゾール流は、好適には、先ずミリメートル・サイズのオリフィスを通過することにより平行化される。出射する粒子流は、次にシースガスもしくは、流体と組み合わされ、内側のエアゾール担持キャリヤガスと外側のシースガスもしくは、流体とから成る環状分布状態を形成する。上記シースガスは、最も一般的には、圧縮空気または不活性気体から成り、その場合に一方もしくは、両方は、改変された溶媒蒸気内容物を含み得る。
【0029】
上記シースガスは、エアゾール取入口の下方のシース空気取入口に進入し、エアゾール流と共に環状流を形成する。ガス流コントローラ12は、好適には、上記シースガスを制御する。上記組み合わせ流は、目標物28に指向されたオリフィスを通り上記チャンバを出射する。この環状流は、エアゾール流を目標物28に集束すると共に、10ミクロン以下という小ささの寸法を有する特定構造の析出を許容する。上記シースガスの目的は、エアゾール流を集束する境界層であって粒子がオリフィス壁部上に析出することを阻止する境界層を形成することである。この遮断効果によれば、上記オリフィスの目詰りが最小限とされる。
【0030】
出射流(故に、析出物のライン幅)の直径は、オリフィスのサイズ、キャリヤガス流速に対するシースガス流速の比率、および、オリフィスと目標物28との間の間隔とにより制御される。典型的な構成において目標物28は、X-Y線形載物台を介してコンピュータ制御下で2つの直交方向に移動するプラテンに取付けられることから、複雑な幾何学形状が析出され得る。代替的構成によれば、目標物28を固定位置に維持し乍ら、析出ヘッド22は、2つの直交方向に移動され得る。更に別の構成によれば、析出ヘッド22は、一方向の移動が許容される一方、目標物28は、析出ヘッド22の方向に直交する方向に移動する。上記プロセスによれば、3次元構造の析出も可能とされる。
【0031】
M3D(登録商標)方法においては、シースガスがエアゾール流と一旦組み合わされたなら、その流れは、ミリメートル未満のライン幅を析出するために1個より多いオリフィスを通過する必要は、ない。10ミクロンのラインの析出においてM3D(登録商標)方法は、典型的に約250の流れ直径収縮を達成し、この“単一段階”析出のためには、1000を超える収縮を行い得る。軸心方向の収縮器は、使用されず流れは、典型的には、超音速の流速に到達しないことから、可能的に流れの完全な収縮に繋がるという乱流の形成が防止される。
【0032】
エアゾール化および仮想的衝撃
図1aに詳細に示された本発明のシステムの好適な動作において、衝突型の空気圧式噴霧器32は、サンプル小瓶内の材料をエアゾール化する。エアゾール担持ガス流は、噴霧器32、析出ヘッド22、排気流コントローラ34および圧力検知変換器36を橋絡する交差継手30に対して供与される。交差継手30は、好適には、エアゾール流取入口がエアゾール流吐出口の逆側である様に構成される。上記吐出口は、M3D(登録商標)析出ヘッドに対して接続される。過剰なキャリヤガスは、好適には、上記システムから、上記エアゾール取入口/吐出口の進行ラインから90°で排出される。質量流量コントローラ34は、好適には、上記システムから排出されるガスの量を制御すべく使用される。排出流を流量制御器を用いて制御すると、上記析出ヘッドへと受け渡される材料の質量流束の制御を加えることにより、上記析出プロセスの精度が高められる。
【0033】
別の実施例において上記噴霧器は、バーチャルインパクタの直近に配置される。上記バーチャルインパクタを上記空気圧式噴霧器の出力部の近傍に位置すると更に大寸の小滴が析出することになる。なぜなら、エアゾールは、最終的に噴霧器から目標物まで移動する時間が短いので蒸発が少ないからである。更に大寸の小滴を析出すると、析出された構造の特性に対して相当な効果を生み出し得る。概略的に、更に大寸の小滴から形成されて析出された構造は、小寸ないし中寸のサイズの小滴により析出された構造と比較した場合、粒子の過剰噴霧が少なく且つエッジ解像力が優れている。上記噴霧器は、選択的に揺動されることで、材料の凝集が防止される。
【0034】
典型的に、エアゾール流が上記析出ヘッド内に導入されるために、空気圧的噴霧に対して必要とされるキャリヤガス流速は、エアゾールが生成された後に減少されねばならない。2L/分もの多さから10ml/分もの少なさまで必要とされるキャリヤガス流速の減少は、好適には、バーチャルインパクタを用いて達成される。但し、バーチャルインパクタを使用すると上記システムは、目詰りし易いので、析出された構造の許容差を不都合に低下させ乍ら上記装置の動作時間は、数分間までの短さに短縮される。たとえば図1bの装置は、抵抗値に対する30%もの大きさの許容差にて、障害の前に15分間もの短さでしかカーボン系抵抗器を析出し得ない。対照的に図1aの装置は、標準的なM3D(登録商標)バーチャルインパクタを、過剰なキャリヤガスをシステムから排出する一方で粒子の喪失およびシステムに対する粒子の蓄積を最少化する交差継手30により置き換えている。交差継手30は、標準的なインパクタよりも相当に大きな噴射および収束器のオリフィス直径にて、バーチャルインパクタとして作用する。更に大寸の噴射および収束器のオリフィス直径を使用すると、上記バーチャルインパクタの流れの短軸を通り流れる材料が増大され得る一方、上記デバイスの内部における材料の蓄積が最小限とされ得る。
【0035】
漏出/目詰りセンサ
本発明は、好適には、噴霧器のガス取入口とシースガスの取入口とにおいて進展した圧力を監視する圧力変換器を備える漏出/目詰りセンサを使用する。通常動作において、上記システム内で進展した圧力は、該システムを通る全体的ガス流速に関連すると共に、二次多項式を用いて計算され得る。
【0036】
図2には、上記システムを通る流れ全体に対する圧力のグラフが示される。もしシステム圧力が図2の曲線により予測される圧力より高ければ、材料蓄積の結果として上記システム内には、非理想流が進展した可能性がある。また圧力が低すぎるなら、システム漏出が存在し、材料析出が全体的に抑制もしくは、停止されるべきこともある。通常動作を表す上記曲線の二次多項式は、以下の形態である:
P=M0+M1Q+M2Q2
式中、Pは、シースガス圧力であり且つQは、全体的流速である。上記システムを通る全体的流速は、次式により与えられる:
Qultrasonic=Fsheath+Fultrasonic
Qpneumatic=Fsheath+Fpneumatic−Fexhaust
式中、Fは、上記デバイスの流速である。上記係数M0、M1およびM2は、析出先端直径の各々に対して一定であるが、大気圧に関しては、可変的である。
【0037】
上記漏出/目詰りセンサは、上記システムの連続的で手動的もしくは、自動的な監視および制御を許容し得る有用なシステム診断を提供する。単独モードで動作しているときに上記システムは、目詰りに対して監視され得ると共に、所定値を超える圧力の増加が検出されたときには、自動的に解消され得る。
【0038】
ミスト検知
上記噴霧器ユニットにより生成されたエアゾールの量の定量的測定は、長時間にわたるM3D(登録商標)システムの手動的または自動的な動作に対して重要である。一定のミスト密度を維持すると精密な析出が許容される。なぜなら、目標物に対して供与されたエアゾール化材料の質量流束が監視かつ制御され得るからである。
【0039】
本発明の上記システムは、好適には、上記噴霧器ユニットのエアゾール吐出管を光線が通過した可視波長のレーザを好適に備えるというミスト・センサを利用する。上記光線は、好適には、上記管の軸心に対して直交して配向され、且つ、上記管の軸心およびレーザの軸心の両方に対して直交する軸心上において上記管の近傍には、シリコン・フォトダイオードが好適に位置される。上記レーザは、上記管を通り流れるミストと相互作用することから、光は、広い角度にわたり散乱される。上記フォトダイオードにより検出されたエネルギは、ミスト流のエアゾール密度に比例する。ミスト流速が増大するにつれて、フォトダイオードの出力は、飽和状態に到達するまで増大し、その時点にてフォトダイオード出力は、一定になる。飽和したミストレベル状態は、一定のミスト出力に対して好適であることから、一定のフォトダイオード出力は、最適な動作条件を表す。
【0040】
フィードバック制御ループにおいて上記フォトダイオードの出力は、監視され、且つ、超音波式噴霧器の変換器に対する入力電力を決定すべく使用され得る。
【0041】
処理
エアゾール化された材料組成物は、析出ヘッド22への移動の間において飛行中に処理され(前処理)、または目標物28に一旦析出されてから処理される(後処理)。前処理としては、限定されるものでは、ないが、エアゾール・キャリヤガスまたはシースガスの加湿または乾燥が挙げられる。加湿プロセスは、エアゾール化された小滴および/または蒸気をキャリヤガス流内へと導入することにより達成され得る。蒸発プロセスは、好適には、一種類以上の溶媒および添加剤を蒸発させる加熱アセンブリを用いて達成される。
【0042】
後処理としては、限定されるものでは、ないが、以下の処理のひとつまたは組み合わせを使用することが挙げられる:(1)析出された特定構造を加熱すること;(2)析出された特定構造を減圧雰囲気に委ねること;または(3)上記特定構造を電磁放射線で照射すること。受動的構造の後処理は、概略的に、約25〜1000℃の範囲の温度を必要とする。溶媒の蒸発または架橋を必要とする析出は、典型的に、約25〜250℃の温度にて処理される。前駆体またはナノ粒子系の析出物は、典型的に約75〜600℃の処理温度を必要とする一方、市販の焼成可能なペーストは、約450〜1000℃の更に習用的な焼成温度を必要とする。後処理は、選択的に、酸化雰囲気または還元雰囲気で行われ得る。溶媒または他の揮発性添加物の除去を助力するために、加熱段階の前またはその間に減圧環境に析出物を委ねると、感熱目標物上の受動的構造の処理が促進され得る。
【0043】
必要な処理温度に到達する2つの好適な方法は、加熱されたプラテン上もしくは、加熱炉内で析出物および目標物を加熱すること(熱的処理)、または、特定構造をレーザ光線で照射することである。析出物をレーザ加熱すると、感熱目標物上の習用的な厚膜ペーストの緻密化が許容される。レーザ光化学処理は、また、液体前駆体を分解して中間の値ないし大きな値の範囲の抵抗器、小さな値ないし中間の値の範囲の誘電膜、および、高度に導電的な金属を形成するためにも使用されてきた。レーザ処理は、選択的に、析出と同時に実施され得る。同時的な析出および処理は、数ミクロンより大きな厚みを有する構造を析出するために、または3次元構造を構築するために使用され得る。レーザ処理に関する更なる詳細は、2004年9月27日に出願された“感熱メソスケール析出のためのレーザ処理”と題される、本出願と同様に本出願人が所有する米国特許出願第10/952,108号に見出すことができ、かつここで参照によりその明細書および各請求項が本明細書中に援用される。
【0044】
熱処理された構造は、上記析出ヘッドと析出パラメータとにより部分的に決定されるライン幅を有すると共に、約5ミクロンの最小ライン幅を有する。最大の単回通過ライン幅は、約200ミクロンである。ラスタ式析出技術を用いると、200ミクロンより大きなライン幅が実現され得る。レーザ処理されたラインは、(単回通過により析出された構造に対し)約1〜100ミクロンの範囲のライン幅を有し得る。ラスタ式処理技術を用いると、100ミクロンより大きなライン幅が実現され得る。概略的にレーザ処理は、400℃以下の低温閾値を有する如き感熱目標物上に析出された薄膜を緻密化もしくは、変換するために、または約5ミクロン未満のライン幅が所望される場合に使用される。エアゾール流の析出および処理は、同時的に行われ得る。
【0045】
構造の種類:材料組成物
本発明は、材料組成物が、限定されるものでは、ないが、液状化学的前駆体、インク、ペースト、またはそれらの任意の組み合わせを含むという受動的構造を精密に作製する方法を提供する。特に本発明は、限定されるものでは、ないが、導体、抵抗器、誘電体および強磁性材料などの電子材料を析出し得る。金属系としては、限定されるものでは、ないが、市販のペースト形態であり得る銀、銅、金、白金およびパラジウムが挙げられる。抵抗器用組成物としては、限定されるものでは、ないが、銀/ガラス、ルテニウム酸塩、ポリマ厚膜調製物、および、カーボン系調製物から構成された系が挙げられる。容量性構造の析出のための調製物は、限定されるものでは、ないが、チタン酸バリウム、チタン酸バリウム・ストロンチウム、酸化アルミニウム、および、酸化タンタルが挙げられる。誘導性構造は、溶融温度が低いガラス粒子と混合されたマンガン/亜鉛フェライト調製物を用いて析出された。本発明は、また、UV硬化可能な2種類のインクを混合することで、特定の屈折率の如き目標特性を備えた最終組成物を生成し得る。
【0046】
前駆体は、適切な溶媒内に溶解された単一種類もしくは、複数種類の溶質から成る化学的調製物である。上記系は、また、溶液の流体的、化学的、物理的または光学的な特性を変化させる添加物も含み得る。インクは、限定されるものでは、ないが、流体媒体内に懸濁された電子材料の金属ナノ粒子、またはガラスを含む金属ナノ粒子などの粒子から成り得る。析出可能なペーストとしては、限定されるものでは、ないが、導電性、抵抗性、誘電性および誘導性の系に対する市販のペースト調製物が挙げられる。本発明は、また、市販の接着性ペーストも析出し得る。
【0047】
抵抗器
銀/ガラス抵抗器用調製物は、ガラス粒子と共に銀に対する液状分子前駆体、または銀およびガラスの粒子、またはガラスに対する液体前駆体中の銀粒子から構成され得る。ルテニウム酸塩系は、導電性の酸化ルテニウム粒子および絶縁性のガラス粒子、またはガラスに対する前駆体中の酸化ルテニウム粒子、または酸化ルテニウム前駆体とガラスに対する前駆体もしくは、絶縁媒体との組み合わせから成り得る。前駆体組成物および一定の前駆体/粒子組成物は、約10〜100cPの粘度を有し得ると共に、超音波でエアゾール化され得る。抵抗器用ペーストは、ルテニウム酸塩、ポリマ厚膜調製物もしくは、カーボン系調製物のいずれか又は、両方を備え得る。典型的には、1000cP以上の粘度を有すると共に酸化ルテニウムおよびガラス粒子から成る市販のルテニウム酸塩ペーストは、テルピネオールの如き適切な溶媒により1000cP以下の粘度まで希釈され得る。ポリマ厚膜ペーストは、また、適切な溶媒内で同様の粘度まで希釈され得ることから、空気圧的エアゾール化および流れ案内が可能とされる。同様にカーボン系ペーストは、ブチル・カルビトールの如き溶媒により約1000cP以下の粘度まで希釈され得る。故に、1000cPより大きな粘度を有する多くの市販ペースト組成物が、M3D(登録商標)プロセスを用いて改変および析出され得る。
【0048】
抵抗器:抵抗の範囲、再現性、および、抵抗の温度係数
M3D(登録商標)プロセスを用いて析出された抵抗構造は、1オームから1Mオームというおよそ6桁にわたる抵抗を有し得る。この抵抗値の範囲は、適切な材料を適切な幾何学形状の断面積で析出することにより獲得され得る。抵抗値の許容差または分散であって、最も高位の受動的構造および最も低位の受動的構造の抵抗値の差と、一群の析出物に対する平均抵抗値との比率、として定義される許容差または分散は、2%もの低さとされ得る。Ag/ガラスおよびルテニウム酸塩構造に対する抵抗の温度係数(TCR)は、約±50〜±100ppmにわたり得る。
【0049】
幾何学形状
本方法は、析出物の幾何学形状を制御することにより所定構造の特定の電子的、光学的、物理的または化学的な値を生成し得る。たとえば構造の特性は、図3aおよび図3bに示された如く構造の断面積を制御することにより変更され得る。抵抗値は、既存のトレースに対して材料を追加してトレース全体の断面積を増大することにより、既存トレースに対して材料が追加されたことで抵抗値が減少されることで、変更され得る。この方法は、一般的に使用されるレーザ・トリミング方法に類似しているが、材料は、除去されるのでは、なく追加される。追加的にトリムされた受動的トレース38は、既存の受動的トレース40上に析出される。更なる例として、析出された構造の長さを制御することにより特定の値が獲得可能であり、図4に示された如く、最右側の抵抗器は、接触パッド間の抵抗器材料の長さが大きいことから、中央の構造よりも大きな抵抗を有する。本発明の方法は、また、図5aおよび図5bに示された如く既に存在している電子回路に対して接続された一群のトレースに対し又は、一群以上の接触パッド42間に材料を追加するためにも使用され得る。既存の受動的トレース40に対し、梯子状受動的トレース44aおよび44bが追加される。この方法によれば、回路が特定の応答もしくは、特性値へと調整され得る。上記方法は、また、ビア内に受動的接続を作成することにより、または図6に示された如く回路層の縁部の回りに抵抗器材料46を巻回することにより、回路機構の各層間にも受動的構造を作成し得る。
【0050】
本発明のM3D(登録商標)プロセスを用いて析出された受動的構造は、典型的に、図7aに示された直線的な受動的トレース48の如き直線的幾何学形状を有する。他の幾何学形状としては、限定されるものでは、ないが、(図7bに示された如き)蛇行パターン50、渦巻き状および螺旋状パターンが挙げられる。析出された抵抗器材料のライン幅は、典型的には、約10〜200ミクロンの範囲であるが、更に大きく又は、小さくされ得る。200ミクロンより大きなライン幅は、ラスタ様式で材料を析出することにより実現され得る。析出された薄膜の厚みは、数百ナノメータ〜数ミクロンにわたり得る。
【0051】
ビア充填(Via Filling)
上記M3D(登録商標)プロセスは、ビアを充填することで、電子回路の隣接層間の電気的相互接続性を提供すべく使用され得る。本発明によれば、たとえばビア孔内へと長時間にわたり精密で均一なエアゾール化材料が析出され得る。
【0052】
図8は、回路機構の異なる層間の抵抗接続を示している。PCB(プリント配線基板)における導電層は、典型的には、金属ビアにより接続されるが、上記M3D(登録商標)プロセスは、ビア内への抵抗構造の析出も許容する。抵抗性ビア形態は、好適である。なぜなら、層抵抗器をビア内へと移動させることにより、回路盤層の表面上には、付加的なスペースが提供されるからである。
【0053】
図9は、ビアの壁部および底部上に被覆を析出する方法を示している。図9aにおいてビア60は、本発明のプロセスを用いてインク62により完全に充填されている。インク62が乾燥するにつれ、ビアの壁部および底部上には、固形物64が付着し、図9bに示された如くビアの中央を中空とする。上記壁部を高度に導電性の材料で被覆すると非常に有用な構造となる。なぜなら、ビア内における電流の殆どは、中央を通らずに壁部に沿い流れるからである。
【0054】
誘電体
誘電構造の作製の場合、インクは、ポリイミドの如き絶縁体のための前駆体から成り得る一方、ペーストは、誘電粒子および低溶融温度のガラス包含物とを含む調製物とされ得る。本発明により提供される精密析出は、許容差の大きいコンデンサの作製に対して重要である。なぜなら、容量性薄膜の厚みおよび均一性がコンデンサのキャパシタンスおよび性能を決定するからである。ガラスおよびポリイミドの如き低誘電率の誘電物質が、コンデンサ用途における誘電層に対し、且つ、電子部品を絶縁すべく絶縁層もしくは、不動態化層として析出された。コンデンサ用途に対しては、チタン酸バリウムの如き中程度の誘電率および高い誘電率の誘電体が析出され得る。
【0055】
エッチングレジスト
M3D(登録商標)プロセスの本実施例は、混合的な追加的/控除的技術において使用されることで、エッチングレジストを用いて精密金属構造を作製すべく使用され得る。図10aに示された如く、エッチングレジスト70は、好適には、噴霧され、上記析出ヘッドを通して金属層72上へと析出される。次に、たとえばエッチングなどの控除的技術が使用されることで、図10bの如く露出金属が除去される。最後の段階においてエッチングレジストが除去されることで、図10cの如く下側の基板上に金属構造74が残置される。上記の追加的/控除的なエッチングレジスト・プロセスは、銅の如き反応性金属を析出するために使用され得る。
【0056】
目標物
M3D(登録商標)プロセスを用いた受動的構造の直接的書き込みに適した目標物としては、限定されるものでは、ないが、ポリイミド、FR4、アルミナ、ガラス、ジルコニア、および、ケイ素が挙げられる。温度損傷閾値が低い、すなわち約400℃以下の損傷閾値を有するポリイミド、FR4および他の目標物上における抵抗器調製物の処理は、適切な緻密化を行うために概略的にレーザ加熱を必要とする。レーザ光化学処理は、ルテニウム酸ストロンチウムの如き中程度ないし高程度の範囲の抵抗器材料を直接的に書き込むために使用され得る。
【0057】
用途
上記M3D(登録商標)プロセスを用いた受動的構造の作製により可能とされる用途としては、限定されるものでは、ないが、電子回路、加熱要素、サーミスタおよび歪ゲージに対する抵抗器の直接的書き込みが挙げられる。上記構造は、アルミナおよびジルコニアの如き更に習用的な高温目標物上に印刷され得るが、ポリイミドおよびFR4の如き感熱目標物上にも印刷され得る。上記M3D(登録商標)プロセスは、また、既に存在する回路盤上に、平面的もしくは、非平面的な表面上に、および、立体的な電子回路の幾つかの層を接続するビア内へと埋設された受動的構造を印刷するためにも使用され得る。他の用途としては、限定されるものでは、ないが、複数の受動的要素調製物を混合して、特定の物理的、光学的、電気的もしくは、化学的特性を有する析出構造を生成すること;既に占有された回路盤上の受動的構造を補修すること;および、既に占有された目標物上へと、システムの物理的、光学的、電気的もしくは、化学的な性能を変更する目的で、受動的構造を析出することが挙げられる。本発明によれば、5%以下の物理的または電気的な特性の許容差にて上記用途が可能とされる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、特定の好適実施例および別の実施例に関して詳細に記述されてきたが、本発明が関連する分野において通常の技術を有する者であれば、添付の各請求項の精神および有効範囲から逸脱せずに種々の改変および増進が為され得ると共に他の実施例が同一の成果を達成し得ることを理解し得よう。上記に開示された種々の形態は、好適実施例および別の実施例に関して読者に示唆を行うことを意図しており、本発明の限界または各請求項の有効範囲を制約することは、意図されない。当業者であれば本発明の変更例および改変例は、自明であり、かかる改変例および均等物の全てを包含することが意図される。上記で引用された全ての特許および公報の開示内容全体は、参照により援用される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1a】延長された動作時間と5%より低い許容差にて受動的構造を析出し得る本発明の好適なM3D(登録商標)装置の実施例の概略図である。
【図1b】空気的噴霧に対して構成された本発明の好適なM3D(登録商標)装置の概略的実施例を示す図である。
【図2】シースガス圧力と全体的ガス流速との間の関係を示すグラフである。
【図3a】終端処理されると共に高さがt1である受動的構造の概略断面図である。
【図3b】追加的にトリムされると共にt2>t1として高さがt2である受動的構造による図3aの概略図である。
【図4】パッド間の抵抗器材料の長さが大きいことから最右側の抵抗器は、中央の構造よりも大きな抵抗を有することを示す概略図である。
【図5a】追加的な受動的構造の直接的書き込みに先立つ梯子状抵抗器の概略図である。
【図5b】基板が処理されて他の構成要素により占有された後で構造が追加されてることにより、殆ど完成した後で回路が調整される方法を示す梯子状抵抗器の概略図である。
【図6】目標物の縁部上に書き込まれた受動的構造の概略図である。
【図7a】終端処理された抵抗器による直線的な受動的トレースの概略図である。
【図7b】終端処理された抵抗器による蛇行した受動的トレースの概略図である。
【図8】2つの回路層間のビア内に埋設された抵抗器の概略図である。
【図9】ビアの壁部および底部上に被覆を析出する方法を示す図である。
【図10a−10c】混合的な追加的/控除的技術においてM3D(登録商標)プロセスを用いてエッチングレジストにより精密金属構造を作製する方法の概略図である。
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
本出願は、2004年12月13日に出願された“受動的な電子的構造の溶液式エアゾール噴射法”と題される米国仮特許出願第60/635,848号の出願の利益を主張すると共に、参照によりその明細書が本出願に援用される。
【0002】
発明の背景
本発明は、概して、受動的構造の直接的析出の分野に関する。より詳細には、本発明は、精密抵抗構造の析出に重点を置き乍ら、平面的または非平面的な目標物上にメソスケールの受動的構造をマスクなしで精密に析出する分野に関する。
【背景技術】
【0003】
以下の検討内容は、多数の公報および文献に言及することに留意されたい。本明細書におけるかかる公報の検討内容は、科学的原理の更に完全な背景を与えるためのものであり、特許性を判断する目的でかかる公報が先行技術であることを是認していると解釈されては、ならない。
【0004】
受動的構造を析出させる種々の方法が存在するが、厚膜および薄膜方法は、種々の電子的および超小型電子的な目標物上に、限定されるものでは、ないが、抵抗器もしくは、コンデンサなどの受動的構造を析出する上で支配的な役割を果たしてきた。一例として厚膜技術は、典型的に、100ミクロンもの小ささのライン幅にて電子的ペーストを析出するスクリーン印刷プロセスを使用する。電子的構造を印刷する薄膜方法としては、化学蒸着およびレーザ支援式化学蒸着、並びに、スパッタリングおよび蒸発の様な物理的析出の如き蒸着技術が挙げられる。
【0005】
特許文献1は、超小型電子的回路機構に必要とされる許容差に一致する許容差にてセラミック基板上に厚膜抵抗器を作製する方法を開示している。この方法においては、ルテニウム系の抵抗器材料が上記基板上にスクリーン印刷され、850℃を超える温度にて焼成される。
【0006】
特許文献2は、イオン衝撃を用いてポリイミドの如き可撓基板の表面を活性化し、チタンの如き別の析出材料と組み合わされ得るグラは、イト状カーボン領域を形成することで受動的構造を形成するという、可撓基板上に受動的構造を作製する方法を開示している。
【0007】
特許文献3は、プリント配線基板上に埋設された抵抗器を作製する方法を開示している。該方法は、薄膜プロセスを使用し、導電層内に形成された凹所内に埋設される受動的構造を形成している。該特許文献3の方法は、ポリマ厚膜内に埋設された抵抗器に見られる大きな抵抗変動を排除するプロセスを開示している。
【特許文献1】米国特許第4,938,997号
【特許文献2】米国特許第6,709,944号
【特許文献3】米国特許第6,713,399号
【特許文献4】WO 02/04698(PCT/US01/14841)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
受動的構造を作製する厚膜および薄膜方法は、十分に発達しているが、これらのプロセスは、一定の析出用途に対しては、不適切なこともある。厚膜プロセスの幾つかの不都合は、当該技術の特性として最小ライン幅が比較的に大きいこと、マスク利用が必要なこと、および、析出材料の高温処理が必要なことである。また典型的な薄膜プロセスの不都合としては、マスク、真空雰囲気、および、多段階のフォトリソグラフ的プロセスの使用が挙げられる。
【0009】
受動的構造を析出する習用方法と対照的に、M3D(登録商標)プロセスは、真空チャンバ、マスクの使用、または膨大な析出後処理を必要としない直接的印刷技術である。本出願と同様に本出願人が所有し、また参照により本明細書中に援用される特許文献4(WO 02/04698(PCT/US01/14841))は、種々の目標物上に受動的構造を析出するエアゾール噴射を用いる方法を開示しているが、電子部品の製造に対して容認可能なレベルまで析出構造の許容差を減少する対策は、与えていない。実際、そこで開示された発明におけるバーチャルインパクタは、最終的に、デバイスの内部における粒子の蓄積によりシステムが故障することになる。結果として、先に開示されたシステムが故障する前における最長の動作時間は、15〜100分であり、析出構造の電気的許容差は、およそ10%〜30%である。
【0010】
対照的に本発明は、5%未満の許容差によるコンダクタンス、抵抗、キャパシタンスまたは、インダクタンス値、および、数時間の動作時間にて受動的構造を析出し得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、材料を含む受動的構造を目標物上に析出する装置であって、上記材料とキャリヤガスとを含むエアゾールを形成する噴霧器と、過剰なキャリヤガスを排出する排気流コントローラと、上記エアゾールを円柱状のシースガス流内に取り込む析出ヘッドと、圧力検知変換器と、上記噴霧器、上記析出ヘッド、上記排気流コントローラ、および、上記変換器を接続する交差継手とを備え、上記受動的構造の所望特性の許容差は、約5%よりも良好であるという装置である。上記析出ヘッドおよび上記噴霧器は、好適には、相互に対向する取入口にて上記交差継手に対して接続される。上記排気流コントローラは、好適には、上記交差継手を通るエアゾールの進行方向に直交する方向に過剰キャリヤガスを排出する。上記排気流コントローラは、好適には、キャリヤガス流速を減少する。
【0012】
上記装置は、好適には、上記変換器からデータを受信し、また当該装置に漏出または、目詰りが存在するか否かを決定するプロセッサを更に備えている。かかる場合に上記装置は、もし目詰りが検出されたなら当該装置を自動的に浄化し、または、もし漏出が検出されたならば当該装置の動作を自動的に中断するフィードバック・ループを更に備えている。上記装置は、好適には、レーザであってその光線が流動エアゾールを通過するというレーザと、上記レーザからの散乱光を検出するフォトダイオードとを更に備えている。上記レーザ光線は、好適には、エアゾールの流れ方向に対して直交し、且つ、上記フォトダイオードは、好適には、上記レーザ光線および上記流れ方向の両方に対して直交して配向される。上記フォトダイオードは、好適には、上記噴霧器の動力を自動的に制御する制御器に対して接続される。
【0013】
本発明は、また、材料を含む受動的構造を目標物上に析出する方法であって、上記材料を噴霧する段階と、噴霧された上記材料をキャリヤガス内に取り込んでエアゾールを形成する段階と、上記エアゾールの流れ方向に対して直交して配向された開口を介して上記エアゾールから過剰キャリヤガスを除去する段階と、上記エアゾールの圧力を監視する段階と、上記エアゾールをシースガスで囲む段階と、上記材料を上記目標物上に析出する段階とを備え、上記受動的構造の所望特性の許容差は、約5%よりも良好であるという方法である。上記方法は、好適には、上記圧力の値に基づいて漏出または、目詰りの存在を決定する段階と、もし目詰りが存在するならば当該システムを自動的に浄化し又は、もし漏出が存在するならば動作を自動的に中断する段階とを更に備えている。上記方法は、好適には、上記エアゾール内にレーザ光線を照射する段階と、上記レーザ光線からの散乱光を測定する段階とを更に備えている。上記測定段階は、好適には、上記レーザ光線および上記エアゾールの流れ方向の両方に対して直交して配向された検出器により実施される。上記方法は、好適には、上記測定段階において検出された散乱光の量に基づいて、上記噴霧段階において使用される動力を変化させる段階を更に備えている。
【0014】
上記方法は、好適には、上記材料を処理する段階を更に備えて成り、上記処理段階は、上記エアゾールを加湿する段階、上記エアゾールを乾燥する段階、上記エアゾールを加熱する段階、析出された材料を加熱する段階、析出された材料をレーザ光線で照射する段階、および、それらの組み合わせから成る群から選択される。析出された材料をレーザ光線で照射する上記段階によれば好適には、析出された上記材料の約1ミクロンもの小ささのライン幅が可能とされる。析出された材料をレーザ光線で照射する上記段階は、好適には、上記目標物の平均温度を損傷閾値より高い温度までは、上昇させない。
【0015】
本発明の目的は、飛行中に材料を前処理し、および/または、該材料が目標物上に析出された後に後処理して、バルク材の値に近い値を有する物理的および/または、電気的な特性となることである。
【0016】
本発明の別の目的は、長い動作時間を可能とする析出装置を提供することである。
【0017】
本発明の利点は、析出された受動的構造が5%未満の許容差によるコンダクタンス、抵抗、キャパシタンスまたは、インダクタンスの値を有するということである。
【0018】
本発明の他の目的、利点および新規な特徴、および、適用可能性の更なる有効範囲は、添付図面と併せて以下の詳細な説明において部分的に示され、且つ、当業者であれば以下の内容を検証することで部分的に明らかとなり、または、本発明を実施することにより習得され得る。本発明の目的および利点は、添付の各請求項において特に指摘された手段および組み合わせにより実現かつ達成され得る。
【0019】
取入れられて本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の幾つかの実施例を例示すると共に、記述と協働して本発明の原理を説明する役割を果たす。各図面は、本発明の好適実施例の例示のみを目的としており、発明を制限すると解釈されては、ならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
序論および概略的説明
M3D(登録商標)プロセスは、周囲環境において動作すると共にリソグラフ技術または、真空蒸着技術に対する必要性を排除する追加的な直接的印刷技術である。該方法は、所定パターンで受動的な電子部品を析出し得ると共に、エアゾール流の空気力学的集束を用いることで、マスクもしくは、改変環境を使用せずに平面的もしくは、非平面的な目標物上にパターンを析出する。
【0021】
M3D(登録商標)方法は、商的な厚膜およびポリマ厚膜ペースト組成物に適合しており、液体前駆体系の調製物、粒子系の調製物、および、粒子および液体前駆体の組み合わせから成る調製物と共に使用されても良い。該方法は、同一の目標層上に複数の調製物を析出もし得る。この能力によれば、同一層上に50Ω/スクェア〜500KΩ/スクェアに亙る広範囲な抵抗値にて抵抗構造の直接的析出が可能とされる。
【0022】
M3D(登録商標)方法は、たとえばひとつの小さい値の組成物およびひとつの大きい値の組成物などの両調製物をエアゾール化すべく複数の噴霧器が使用されるという方法により、移動中に異なる調製物を混合し得る。各調製物は、好適には、単一の析出ヘッドを通して析出されると共に、混合は、エアゾールの移動の間に、または、エアゾール小滴が目標物に結合するときに行われ得る。この方法によれば調製物の自動的な適合調整が許容されることから、析出物の抵抗率、または、他の電気的、熱的、光学的または、化学的な特性が小さな値から大きな値まで連続的に変化され得る。上記混合プロセスは、また、ペースト、インク、種々の流体(限定されるものでは、ないが、化学的前駆溶液、電子的、光学的、生物学的および生体適合的な材料の粒子懸濁液、接着剤)およびそれらの組み合わせに対しても適用され得る。
【0023】
本明細書および各請求項を通して使用される“受動的構造”とは、限定されるものでは、ないが、導体、抵抗器、コンデンサ、誘導体、絶縁体、誘電体、サプレッサ、フィルタ、バリスタ、強磁性体、接着剤などを含む、所望の電気的、磁気的または、他の特性を有する構造を意味する。
【0024】
M3D(登録商標)プロセスは、好適には、エアゾール化形態で材料を析出する。殆どの粒子懸濁液のエアゾール化は、好適には、噴霧器の如き空気圧式デバイスを用いて実施されるが、小粒子もしくは、低密度粒子から成る粒子懸濁液に対しては、超音波エアゾール化が使用され得る。この場合に固体粒子は、水または、有機溶媒、および、当該懸濁液を維持する添加剤中に懸濁され得る。上記2つの噴霧方法によれば、限定されるものでは、ないが、典型的には、1〜5ミクロンのサイズ範囲のサイズにて小滴または、小滴/粒子が生成され得る。
【0025】
超音波的にエアゾール化された組成物は、典型的に、1〜10cPの範囲の粘度を有する。前駆体および前駆体/粒子組成物は、典型的に、10〜100cPの粘度を有すると共に、好適には、空気圧的にエアゾール化される。100〜1000cPの粘度を有する組成物もまた、空気圧的にエアゾール化される。適切な希釈剤を用いると、1000cPより大きな粘度を有する組成物は、空気圧的エアゾール化に適した粘度へと改変され得る。
【0026】
図1aには、延長された動作時間にて5%より低い許容差を有する受動的構造を析出し得る本発明の好適な装置が示される。
【0027】
図1bは、空気圧的噴霧用に構成された装置、および、上記装置の最も概略的な実施例の詳細を示している。エアゾール化サンプルを析出モジュールに対して供与するために好適には、不活性のキャリヤガスもしくは、搬送流体が用いられる。超音波式噴霧の場合、エアゾール担持キャリヤガスは、好適には、エアゾール化プロセスの直後に析出ヘッドに進入する。上記キャリヤガスは、圧縮空気、(溶媒蒸気を含みうる)不活性気体、または、両方の混合物から成り得る。上記空気圧的エアゾール化プロセスは、好適には、析出ヘッド22を通る最大許容ガス流速を超えるキャリヤガス流速を必要とする。(たとえば約0.2〜2リットル/分などの)大きなキャリヤガス流速の使用を可能とするためには、好適には、バーチャルインパクタが使用されることで、粒子もしくは、小滴をそれほど喪失せずにキャリヤガスの流速が減少される。バーチャルインパクタにおいて使用される段階の数は、変更され得ると共に、除去されるべきキャリヤガスの量に依存する。上記ストリームは、M3D(登録商標)析出ヘッド内へと導入され、ここで、シースガスにより囲まれた内側のエアゾール流から成る環状流が引き起こされる。この協働流構成によれば、オリフィス直径の約1/10のサイズへとエアゾール流が集束され得る。
【0028】
環状流を用いて受動的構造を作製する場合、エアゾール流は、好適には、析出ヘッド22上に取付けられたポートに進入し、オリフィスに向けて導向される。エアゾール・キャリヤガス流コントローラ10は、好適には、質量スループットを制御する。上記析出ヘッドの内側にて上記エアゾール流は、好適には、先ずミリメートル・サイズのオリフィスを通過することにより平行化される。出射する粒子流は、次にシースガスもしくは、流体と組み合わされ、内側のエアゾール担持キャリヤガスと外側のシースガスもしくは、流体とから成る環状分布状態を形成する。上記シースガスは、最も一般的には、圧縮空気または不活性気体から成り、その場合に一方もしくは、両方は、改変された溶媒蒸気内容物を含み得る。
【0029】
上記シースガスは、エアゾール取入口の下方のシース空気取入口に進入し、エアゾール流と共に環状流を形成する。ガス流コントローラ12は、好適には、上記シースガスを制御する。上記組み合わせ流は、目標物28に指向されたオリフィスを通り上記チャンバを出射する。この環状流は、エアゾール流を目標物28に集束すると共に、10ミクロン以下という小ささの寸法を有する特定構造の析出を許容する。上記シースガスの目的は、エアゾール流を集束する境界層であって粒子がオリフィス壁部上に析出することを阻止する境界層を形成することである。この遮断効果によれば、上記オリフィスの目詰りが最小限とされる。
【0030】
出射流(故に、析出物のライン幅)の直径は、オリフィスのサイズ、キャリヤガス流速に対するシースガス流速の比率、および、オリフィスと目標物28との間の間隔とにより制御される。典型的な構成において目標物28は、X-Y線形載物台を介してコンピュータ制御下で2つの直交方向に移動するプラテンに取付けられることから、複雑な幾何学形状が析出され得る。代替的構成によれば、目標物28を固定位置に維持し乍ら、析出ヘッド22は、2つの直交方向に移動され得る。更に別の構成によれば、析出ヘッド22は、一方向の移動が許容される一方、目標物28は、析出ヘッド22の方向に直交する方向に移動する。上記プロセスによれば、3次元構造の析出も可能とされる。
【0031】
M3D(登録商標)方法においては、シースガスがエアゾール流と一旦組み合わされたなら、その流れは、ミリメートル未満のライン幅を析出するために1個より多いオリフィスを通過する必要は、ない。10ミクロンのラインの析出においてM3D(登録商標)方法は、典型的に約250の流れ直径収縮を達成し、この“単一段階”析出のためには、1000を超える収縮を行い得る。軸心方向の収縮器は、使用されず流れは、典型的には、超音速の流速に到達しないことから、可能的に流れの完全な収縮に繋がるという乱流の形成が防止される。
【0032】
エアゾール化および仮想的衝撃
図1aに詳細に示された本発明のシステムの好適な動作において、衝突型の空気圧式噴霧器32は、サンプル小瓶内の材料をエアゾール化する。エアゾール担持ガス流は、噴霧器32、析出ヘッド22、排気流コントローラ34および圧力検知変換器36を橋絡する交差継手30に対して供与される。交差継手30は、好適には、エアゾール流取入口がエアゾール流吐出口の逆側である様に構成される。上記吐出口は、M3D(登録商標)析出ヘッドに対して接続される。過剰なキャリヤガスは、好適には、上記システムから、上記エアゾール取入口/吐出口の進行ラインから90°で排出される。質量流量コントローラ34は、好適には、上記システムから排出されるガスの量を制御すべく使用される。排出流を流量制御器を用いて制御すると、上記析出ヘッドへと受け渡される材料の質量流束の制御を加えることにより、上記析出プロセスの精度が高められる。
【0033】
別の実施例において上記噴霧器は、バーチャルインパクタの直近に配置される。上記バーチャルインパクタを上記空気圧式噴霧器の出力部の近傍に位置すると更に大寸の小滴が析出することになる。なぜなら、エアゾールは、最終的に噴霧器から目標物まで移動する時間が短いので蒸発が少ないからである。更に大寸の小滴を析出すると、析出された構造の特性に対して相当な効果を生み出し得る。概略的に、更に大寸の小滴から形成されて析出された構造は、小寸ないし中寸のサイズの小滴により析出された構造と比較した場合、粒子の過剰噴霧が少なく且つエッジ解像力が優れている。上記噴霧器は、選択的に揺動されることで、材料の凝集が防止される。
【0034】
典型的に、エアゾール流が上記析出ヘッド内に導入されるために、空気圧的噴霧に対して必要とされるキャリヤガス流速は、エアゾールが生成された後に減少されねばならない。2L/分もの多さから10ml/分もの少なさまで必要とされるキャリヤガス流速の減少は、好適には、バーチャルインパクタを用いて達成される。但し、バーチャルインパクタを使用すると上記システムは、目詰りし易いので、析出された構造の許容差を不都合に低下させ乍ら上記装置の動作時間は、数分間までの短さに短縮される。たとえば図1bの装置は、抵抗値に対する30%もの大きさの許容差にて、障害の前に15分間もの短さでしかカーボン系抵抗器を析出し得ない。対照的に図1aの装置は、標準的なM3D(登録商標)バーチャルインパクタを、過剰なキャリヤガスをシステムから排出する一方で粒子の喪失およびシステムに対する粒子の蓄積を最少化する交差継手30により置き換えている。交差継手30は、標準的なインパクタよりも相当に大きな噴射および収束器のオリフィス直径にて、バーチャルインパクタとして作用する。更に大寸の噴射および収束器のオリフィス直径を使用すると、上記バーチャルインパクタの流れの短軸を通り流れる材料が増大され得る一方、上記デバイスの内部における材料の蓄積が最小限とされ得る。
【0035】
漏出/目詰りセンサ
本発明は、好適には、噴霧器のガス取入口とシースガスの取入口とにおいて進展した圧力を監視する圧力変換器を備える漏出/目詰りセンサを使用する。通常動作において、上記システム内で進展した圧力は、該システムを通る全体的ガス流速に関連すると共に、二次多項式を用いて計算され得る。
【0036】
図2には、上記システムを通る流れ全体に対する圧力のグラフが示される。もしシステム圧力が図2の曲線により予測される圧力より高ければ、材料蓄積の結果として上記システム内には、非理想流が進展した可能性がある。また圧力が低すぎるなら、システム漏出が存在し、材料析出が全体的に抑制もしくは、停止されるべきこともある。通常動作を表す上記曲線の二次多項式は、以下の形態である:
P=M0+M1Q+M2Q2
式中、Pは、シースガス圧力であり且つQは、全体的流速である。上記システムを通る全体的流速は、次式により与えられる:
Qultrasonic=Fsheath+Fultrasonic
Qpneumatic=Fsheath+Fpneumatic−Fexhaust
式中、Fは、上記デバイスの流速である。上記係数M0、M1およびM2は、析出先端直径の各々に対して一定であるが、大気圧に関しては、可変的である。
【0037】
上記漏出/目詰りセンサは、上記システムの連続的で手動的もしくは、自動的な監視および制御を許容し得る有用なシステム診断を提供する。単独モードで動作しているときに上記システムは、目詰りに対して監視され得ると共に、所定値を超える圧力の増加が検出されたときには、自動的に解消され得る。
【0038】
ミスト検知
上記噴霧器ユニットにより生成されたエアゾールの量の定量的測定は、長時間にわたるM3D(登録商標)システムの手動的または自動的な動作に対して重要である。一定のミスト密度を維持すると精密な析出が許容される。なぜなら、目標物に対して供与されたエアゾール化材料の質量流束が監視かつ制御され得るからである。
【0039】
本発明の上記システムは、好適には、上記噴霧器ユニットのエアゾール吐出管を光線が通過した可視波長のレーザを好適に備えるというミスト・センサを利用する。上記光線は、好適には、上記管の軸心に対して直交して配向され、且つ、上記管の軸心およびレーザの軸心の両方に対して直交する軸心上において上記管の近傍には、シリコン・フォトダイオードが好適に位置される。上記レーザは、上記管を通り流れるミストと相互作用することから、光は、広い角度にわたり散乱される。上記フォトダイオードにより検出されたエネルギは、ミスト流のエアゾール密度に比例する。ミスト流速が増大するにつれて、フォトダイオードの出力は、飽和状態に到達するまで増大し、その時点にてフォトダイオード出力は、一定になる。飽和したミストレベル状態は、一定のミスト出力に対して好適であることから、一定のフォトダイオード出力は、最適な動作条件を表す。
【0040】
フィードバック制御ループにおいて上記フォトダイオードの出力は、監視され、且つ、超音波式噴霧器の変換器に対する入力電力を決定すべく使用され得る。
【0041】
処理
エアゾール化された材料組成物は、析出ヘッド22への移動の間において飛行中に処理され(前処理)、または目標物28に一旦析出されてから処理される(後処理)。前処理としては、限定されるものでは、ないが、エアゾール・キャリヤガスまたはシースガスの加湿または乾燥が挙げられる。加湿プロセスは、エアゾール化された小滴および/または蒸気をキャリヤガス流内へと導入することにより達成され得る。蒸発プロセスは、好適には、一種類以上の溶媒および添加剤を蒸発させる加熱アセンブリを用いて達成される。
【0042】
後処理としては、限定されるものでは、ないが、以下の処理のひとつまたは組み合わせを使用することが挙げられる:(1)析出された特定構造を加熱すること;(2)析出された特定構造を減圧雰囲気に委ねること;または(3)上記特定構造を電磁放射線で照射すること。受動的構造の後処理は、概略的に、約25〜1000℃の範囲の温度を必要とする。溶媒の蒸発または架橋を必要とする析出は、典型的に、約25〜250℃の温度にて処理される。前駆体またはナノ粒子系の析出物は、典型的に約75〜600℃の処理温度を必要とする一方、市販の焼成可能なペーストは、約450〜1000℃の更に習用的な焼成温度を必要とする。後処理は、選択的に、酸化雰囲気または還元雰囲気で行われ得る。溶媒または他の揮発性添加物の除去を助力するために、加熱段階の前またはその間に減圧環境に析出物を委ねると、感熱目標物上の受動的構造の処理が促進され得る。
【0043】
必要な処理温度に到達する2つの好適な方法は、加熱されたプラテン上もしくは、加熱炉内で析出物および目標物を加熱すること(熱的処理)、または、特定構造をレーザ光線で照射することである。析出物をレーザ加熱すると、感熱目標物上の習用的な厚膜ペーストの緻密化が許容される。レーザ光化学処理は、また、液体前駆体を分解して中間の値ないし大きな値の範囲の抵抗器、小さな値ないし中間の値の範囲の誘電膜、および、高度に導電的な金属を形成するためにも使用されてきた。レーザ処理は、選択的に、析出と同時に実施され得る。同時的な析出および処理は、数ミクロンより大きな厚みを有する構造を析出するために、または3次元構造を構築するために使用され得る。レーザ処理に関する更なる詳細は、2004年9月27日に出願された“感熱メソスケール析出のためのレーザ処理”と題される、本出願と同様に本出願人が所有する米国特許出願第10/952,108号に見出すことができ、かつここで参照によりその明細書および各請求項が本明細書中に援用される。
【0044】
熱処理された構造は、上記析出ヘッドと析出パラメータとにより部分的に決定されるライン幅を有すると共に、約5ミクロンの最小ライン幅を有する。最大の単回通過ライン幅は、約200ミクロンである。ラスタ式析出技術を用いると、200ミクロンより大きなライン幅が実現され得る。レーザ処理されたラインは、(単回通過により析出された構造に対し)約1〜100ミクロンの範囲のライン幅を有し得る。ラスタ式処理技術を用いると、100ミクロンより大きなライン幅が実現され得る。概略的にレーザ処理は、400℃以下の低温閾値を有する如き感熱目標物上に析出された薄膜を緻密化もしくは、変換するために、または約5ミクロン未満のライン幅が所望される場合に使用される。エアゾール流の析出および処理は、同時的に行われ得る。
【0045】
構造の種類:材料組成物
本発明は、材料組成物が、限定されるものでは、ないが、液状化学的前駆体、インク、ペースト、またはそれらの任意の組み合わせを含むという受動的構造を精密に作製する方法を提供する。特に本発明は、限定されるものでは、ないが、導体、抵抗器、誘電体および強磁性材料などの電子材料を析出し得る。金属系としては、限定されるものでは、ないが、市販のペースト形態であり得る銀、銅、金、白金およびパラジウムが挙げられる。抵抗器用組成物としては、限定されるものでは、ないが、銀/ガラス、ルテニウム酸塩、ポリマ厚膜調製物、および、カーボン系調製物から構成された系が挙げられる。容量性構造の析出のための調製物は、限定されるものでは、ないが、チタン酸バリウム、チタン酸バリウム・ストロンチウム、酸化アルミニウム、および、酸化タンタルが挙げられる。誘導性構造は、溶融温度が低いガラス粒子と混合されたマンガン/亜鉛フェライト調製物を用いて析出された。本発明は、また、UV硬化可能な2種類のインクを混合することで、特定の屈折率の如き目標特性を備えた最終組成物を生成し得る。
【0046】
前駆体は、適切な溶媒内に溶解された単一種類もしくは、複数種類の溶質から成る化学的調製物である。上記系は、また、溶液の流体的、化学的、物理的または光学的な特性を変化させる添加物も含み得る。インクは、限定されるものでは、ないが、流体媒体内に懸濁された電子材料の金属ナノ粒子、またはガラスを含む金属ナノ粒子などの粒子から成り得る。析出可能なペーストとしては、限定されるものでは、ないが、導電性、抵抗性、誘電性および誘導性の系に対する市販のペースト調製物が挙げられる。本発明は、また、市販の接着性ペーストも析出し得る。
【0047】
抵抗器
銀/ガラス抵抗器用調製物は、ガラス粒子と共に銀に対する液状分子前駆体、または銀およびガラスの粒子、またはガラスに対する液体前駆体中の銀粒子から構成され得る。ルテニウム酸塩系は、導電性の酸化ルテニウム粒子および絶縁性のガラス粒子、またはガラスに対する前駆体中の酸化ルテニウム粒子、または酸化ルテニウム前駆体とガラスに対する前駆体もしくは、絶縁媒体との組み合わせから成り得る。前駆体組成物および一定の前駆体/粒子組成物は、約10〜100cPの粘度を有し得ると共に、超音波でエアゾール化され得る。抵抗器用ペーストは、ルテニウム酸塩、ポリマ厚膜調製物もしくは、カーボン系調製物のいずれか又は、両方を備え得る。典型的には、1000cP以上の粘度を有すると共に酸化ルテニウムおよびガラス粒子から成る市販のルテニウム酸塩ペーストは、テルピネオールの如き適切な溶媒により1000cP以下の粘度まで希釈され得る。ポリマ厚膜ペーストは、また、適切な溶媒内で同様の粘度まで希釈され得ることから、空気圧的エアゾール化および流れ案内が可能とされる。同様にカーボン系ペーストは、ブチル・カルビトールの如き溶媒により約1000cP以下の粘度まで希釈され得る。故に、1000cPより大きな粘度を有する多くの市販ペースト組成物が、M3D(登録商標)プロセスを用いて改変および析出され得る。
【0048】
抵抗器:抵抗の範囲、再現性、および、抵抗の温度係数
M3D(登録商標)プロセスを用いて析出された抵抗構造は、1オームから1Mオームというおよそ6桁にわたる抵抗を有し得る。この抵抗値の範囲は、適切な材料を適切な幾何学形状の断面積で析出することにより獲得され得る。抵抗値の許容差または分散であって、最も高位の受動的構造および最も低位の受動的構造の抵抗値の差と、一群の析出物に対する平均抵抗値との比率、として定義される許容差または分散は、2%もの低さとされ得る。Ag/ガラスおよびルテニウム酸塩構造に対する抵抗の温度係数(TCR)は、約±50〜±100ppmにわたり得る。
【0049】
幾何学形状
本方法は、析出物の幾何学形状を制御することにより所定構造の特定の電子的、光学的、物理的または化学的な値を生成し得る。たとえば構造の特性は、図3aおよび図3bに示された如く構造の断面積を制御することにより変更され得る。抵抗値は、既存のトレースに対して材料を追加してトレース全体の断面積を増大することにより、既存トレースに対して材料が追加されたことで抵抗値が減少されることで、変更され得る。この方法は、一般的に使用されるレーザ・トリミング方法に類似しているが、材料は、除去されるのでは、なく追加される。追加的にトリムされた受動的トレース38は、既存の受動的トレース40上に析出される。更なる例として、析出された構造の長さを制御することにより特定の値が獲得可能であり、図4に示された如く、最右側の抵抗器は、接触パッド間の抵抗器材料の長さが大きいことから、中央の構造よりも大きな抵抗を有する。本発明の方法は、また、図5aおよび図5bに示された如く既に存在している電子回路に対して接続された一群のトレースに対し又は、一群以上の接触パッド42間に材料を追加するためにも使用され得る。既存の受動的トレース40に対し、梯子状受動的トレース44aおよび44bが追加される。この方法によれば、回路が特定の応答もしくは、特性値へと調整され得る。上記方法は、また、ビア内に受動的接続を作成することにより、または図6に示された如く回路層の縁部の回りに抵抗器材料46を巻回することにより、回路機構の各層間にも受動的構造を作成し得る。
【0050】
本発明のM3D(登録商標)プロセスを用いて析出された受動的構造は、典型的に、図7aに示された直線的な受動的トレース48の如き直線的幾何学形状を有する。他の幾何学形状としては、限定されるものでは、ないが、(図7bに示された如き)蛇行パターン50、渦巻き状および螺旋状パターンが挙げられる。析出された抵抗器材料のライン幅は、典型的には、約10〜200ミクロンの範囲であるが、更に大きく又は、小さくされ得る。200ミクロンより大きなライン幅は、ラスタ様式で材料を析出することにより実現され得る。析出された薄膜の厚みは、数百ナノメータ〜数ミクロンにわたり得る。
【0051】
ビア充填(Via Filling)
上記M3D(登録商標)プロセスは、ビアを充填することで、電子回路の隣接層間の電気的相互接続性を提供すべく使用され得る。本発明によれば、たとえばビア孔内へと長時間にわたり精密で均一なエアゾール化材料が析出され得る。
【0052】
図8は、回路機構の異なる層間の抵抗接続を示している。PCB(プリント配線基板)における導電層は、典型的には、金属ビアにより接続されるが、上記M3D(登録商標)プロセスは、ビア内への抵抗構造の析出も許容する。抵抗性ビア形態は、好適である。なぜなら、層抵抗器をビア内へと移動させることにより、回路盤層の表面上には、付加的なスペースが提供されるからである。
【0053】
図9は、ビアの壁部および底部上に被覆を析出する方法を示している。図9aにおいてビア60は、本発明のプロセスを用いてインク62により完全に充填されている。インク62が乾燥するにつれ、ビアの壁部および底部上には、固形物64が付着し、図9bに示された如くビアの中央を中空とする。上記壁部を高度に導電性の材料で被覆すると非常に有用な構造となる。なぜなら、ビア内における電流の殆どは、中央を通らずに壁部に沿い流れるからである。
【0054】
誘電体
誘電構造の作製の場合、インクは、ポリイミドの如き絶縁体のための前駆体から成り得る一方、ペーストは、誘電粒子および低溶融温度のガラス包含物とを含む調製物とされ得る。本発明により提供される精密析出は、許容差の大きいコンデンサの作製に対して重要である。なぜなら、容量性薄膜の厚みおよび均一性がコンデンサのキャパシタンスおよび性能を決定するからである。ガラスおよびポリイミドの如き低誘電率の誘電物質が、コンデンサ用途における誘電層に対し、且つ、電子部品を絶縁すべく絶縁層もしくは、不動態化層として析出された。コンデンサ用途に対しては、チタン酸バリウムの如き中程度の誘電率および高い誘電率の誘電体が析出され得る。
【0055】
エッチングレジスト
M3D(登録商標)プロセスの本実施例は、混合的な追加的/控除的技術において使用されることで、エッチングレジストを用いて精密金属構造を作製すべく使用され得る。図10aに示された如く、エッチングレジスト70は、好適には、噴霧され、上記析出ヘッドを通して金属層72上へと析出される。次に、たとえばエッチングなどの控除的技術が使用されることで、図10bの如く露出金属が除去される。最後の段階においてエッチングレジストが除去されることで、図10cの如く下側の基板上に金属構造74が残置される。上記の追加的/控除的なエッチングレジスト・プロセスは、銅の如き反応性金属を析出するために使用され得る。
【0056】
目標物
M3D(登録商標)プロセスを用いた受動的構造の直接的書き込みに適した目標物としては、限定されるものでは、ないが、ポリイミド、FR4、アルミナ、ガラス、ジルコニア、および、ケイ素が挙げられる。温度損傷閾値が低い、すなわち約400℃以下の損傷閾値を有するポリイミド、FR4および他の目標物上における抵抗器調製物の処理は、適切な緻密化を行うために概略的にレーザ加熱を必要とする。レーザ光化学処理は、ルテニウム酸ストロンチウムの如き中程度ないし高程度の範囲の抵抗器材料を直接的に書き込むために使用され得る。
【0057】
用途
上記M3D(登録商標)プロセスを用いた受動的構造の作製により可能とされる用途としては、限定されるものでは、ないが、電子回路、加熱要素、サーミスタおよび歪ゲージに対する抵抗器の直接的書き込みが挙げられる。上記構造は、アルミナおよびジルコニアの如き更に習用的な高温目標物上に印刷され得るが、ポリイミドおよびFR4の如き感熱目標物上にも印刷され得る。上記M3D(登録商標)プロセスは、また、既に存在する回路盤上に、平面的もしくは、非平面的な表面上に、および、立体的な電子回路の幾つかの層を接続するビア内へと埋設された受動的構造を印刷するためにも使用され得る。他の用途としては、限定されるものでは、ないが、複数の受動的要素調製物を混合して、特定の物理的、光学的、電気的もしくは、化学的特性を有する析出構造を生成すること;既に占有された回路盤上の受動的構造を補修すること;および、既に占有された目標物上へと、システムの物理的、光学的、電気的もしくは、化学的な性能を変更する目的で、受動的構造を析出することが挙げられる。本発明によれば、5%以下の物理的または電気的な特性の許容差にて上記用途が可能とされる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、特定の好適実施例および別の実施例に関して詳細に記述されてきたが、本発明が関連する分野において通常の技術を有する者であれば、添付の各請求項の精神および有効範囲から逸脱せずに種々の改変および増進が為され得ると共に他の実施例が同一の成果を達成し得ることを理解し得よう。上記に開示された種々の形態は、好適実施例および別の実施例に関して読者に示唆を行うことを意図しており、本発明の限界または各請求項の有効範囲を制約することは、意図されない。当業者であれば本発明の変更例および改変例は、自明であり、かかる改変例および均等物の全てを包含することが意図される。上記で引用された全ての特許および公報の開示内容全体は、参照により援用される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1a】延長された動作時間と5%より低い許容差にて受動的構造を析出し得る本発明の好適なM3D(登録商標)装置の実施例の概略図である。
【図1b】空気的噴霧に対して構成された本発明の好適なM3D(登録商標)装置の概略的実施例を示す図である。
【図2】シースガス圧力と全体的ガス流速との間の関係を示すグラフである。
【図3a】終端処理されると共に高さがt1である受動的構造の概略断面図である。
【図3b】追加的にトリムされると共にt2>t1として高さがt2である受動的構造による図3aの概略図である。
【図4】パッド間の抵抗器材料の長さが大きいことから最右側の抵抗器は、中央の構造よりも大きな抵抗を有することを示す概略図である。
【図5a】追加的な受動的構造の直接的書き込みに先立つ梯子状抵抗器の概略図である。
【図5b】基板が処理されて他の構成要素により占有された後で構造が追加されてることにより、殆ど完成した後で回路が調整される方法を示す梯子状抵抗器の概略図である。
【図6】目標物の縁部上に書き込まれた受動的構造の概略図である。
【図7a】終端処理された抵抗器による直線的な受動的トレースの概略図である。
【図7b】終端処理された抵抗器による蛇行した受動的トレースの概略図である。
【図8】2つの回路層間のビア内に埋設された抵抗器の概略図である。
【図9】ビアの壁部および底部上に被覆を析出する方法を示す図である。
【図10a−10c】混合的な追加的/控除的技術においてM3D(登録商標)プロセスを用いてエッチングレジストにより精密金属構造を作製する方法の概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を含む受動的構造を目標物上に析出する装置であって、
前記材料とキャリヤガスとを含むエアゾールを形成する噴霧器と、
過剰なキャリヤガスを排出する排気流コントローラと、
前記エアゾールを円柱状のシースガス流内に取り込む析出ヘッドと、
圧力検知変換器と、
前記噴霧器、前記析出ヘッド、前記排気流コントローラ、および、前記変換器を接続する交差継手とを備え、
前記受動的構造の所望特性の許容差は、約5%よりも良好である、
前記装置。
【請求項2】
前記析出ヘッドおよび前記噴霧器は、相互に対向する取入口にて前記交差継手に対して接続される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記排気流コントローラは、前記交差継手を通るエアゾールの進行方向に直交する方向に過剰キャリヤガスを排出する、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記排気流コントローラは、キャリヤガス流速を減少する、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記変換器からデータを受信し、また当該装置に漏出または目詰りが存在するか否かを決定するプロセッサを更に備える、請求項1記載の装置。
【請求項6】
もし目詰りが検出されたなら当該装置を自動的に浄化し、またはもし漏出が検出されたならば当該装置の動作を自動的に中断するフィードバック・ループを更に備える、請求項5記載の装置。
【請求項7】
レーザであってその光線が流動エアゾールを通過するレーザと、
前記レーザからの散乱光を検出するフォトダイオードとを更に備える、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記レーザ光線は、エアゾールの流れ方向に対して直交し、且つ、前記フォトダイオードは、前記レーザ光線および前記流れ方向の両方に対して直交して配向される、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記噴霧器の動力を自動的に制御する制御器を更に備える、請求項7記載の装置。
【請求項10】
材料を含む受動的構造を目標物上に析出する方法であって、
前記材料を噴霧する段階と、
噴霧された前記材料をキャリヤガス内に取り込んでエアゾールを形成する段階と、
前記エアゾールの流れ方向に対して直交して配向された開口を介して前記エアゾールから過剰キャリヤガスを除去する段階と、
前記エアゾールの圧力を監視する段階と、
前記エアゾールをシースガスで囲む段階と、
前記材料を前記目標物上に析出する段階とを備え、
前記受動的構造の所望特性の許容差は、約5%よりも良好である、
前記方法。
【請求項11】
前記圧力の値に基づいて漏出または目詰りの存在を決定する段階を更に備える、請求項10記載の方法。
【請求項12】
もし目詰りが存在するならば当該システムを自動的に浄化する段階を更に備える、請求項11記載の方法。
【請求項13】
もし漏出が存在するならば動作を自動的に中断する段階を更に備える、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記エアゾール内にレーザ光線を照射する段階と、
前記レーザ光線からの散乱光を測定する段階とを更に備える、請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記測定段階は、前記レーザ光線および前記エアゾールの流れ方向の両方に対して直交して配向された検出器により実施される、請求項10記載の方法。
【請求項16】
前記測定段階において検出された散乱光の量に基づいて、前記噴霧段階において使用される動力を変化させる段階を更に備える、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記材料を処理する段階を更に備える、請求項10記載の方法。
【請求項18】
前記処理段階は、前記エアゾールを加湿する段階、前記エアゾールを乾燥する段階、前記エアゾールを加熱する段階、析出された材料を加熱する段階、析出された材料をレーザ光線で照射する段階、および、それらの組み合わせから成る群から選択される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
析出された材料をレーザ光線で照射する前記段階によれば、析出された前記材料の約1ミクロンもの小ささのライン幅が可能とされる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
析出された材料をレーザ光線で照射する前記段階は、前記目標物の平均温度を損傷閾値より高い温度までは、上昇させない、請求項18記載の方法。
【請求項1】
材料を含む受動的構造を目標物上に析出する装置であって、
前記材料とキャリヤガスとを含むエアゾールを形成する噴霧器と、
過剰なキャリヤガスを排出する排気流コントローラと、
前記エアゾールを円柱状のシースガス流内に取り込む析出ヘッドと、
圧力検知変換器と、
前記噴霧器、前記析出ヘッド、前記排気流コントローラ、および、前記変換器を接続する交差継手とを備え、
前記受動的構造の所望特性の許容差は、約5%よりも良好である、
前記装置。
【請求項2】
前記析出ヘッドおよび前記噴霧器は、相互に対向する取入口にて前記交差継手に対して接続される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記排気流コントローラは、前記交差継手を通るエアゾールの進行方向に直交する方向に過剰キャリヤガスを排出する、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記排気流コントローラは、キャリヤガス流速を減少する、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記変換器からデータを受信し、また当該装置に漏出または目詰りが存在するか否かを決定するプロセッサを更に備える、請求項1記載の装置。
【請求項6】
もし目詰りが検出されたなら当該装置を自動的に浄化し、またはもし漏出が検出されたならば当該装置の動作を自動的に中断するフィードバック・ループを更に備える、請求項5記載の装置。
【請求項7】
レーザであってその光線が流動エアゾールを通過するレーザと、
前記レーザからの散乱光を検出するフォトダイオードとを更に備える、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記レーザ光線は、エアゾールの流れ方向に対して直交し、且つ、前記フォトダイオードは、前記レーザ光線および前記流れ方向の両方に対して直交して配向される、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記噴霧器の動力を自動的に制御する制御器を更に備える、請求項7記載の装置。
【請求項10】
材料を含む受動的構造を目標物上に析出する方法であって、
前記材料を噴霧する段階と、
噴霧された前記材料をキャリヤガス内に取り込んでエアゾールを形成する段階と、
前記エアゾールの流れ方向に対して直交して配向された開口を介して前記エアゾールから過剰キャリヤガスを除去する段階と、
前記エアゾールの圧力を監視する段階と、
前記エアゾールをシースガスで囲む段階と、
前記材料を前記目標物上に析出する段階とを備え、
前記受動的構造の所望特性の許容差は、約5%よりも良好である、
前記方法。
【請求項11】
前記圧力の値に基づいて漏出または目詰りの存在を決定する段階を更に備える、請求項10記載の方法。
【請求項12】
もし目詰りが存在するならば当該システムを自動的に浄化する段階を更に備える、請求項11記載の方法。
【請求項13】
もし漏出が存在するならば動作を自動的に中断する段階を更に備える、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記エアゾール内にレーザ光線を照射する段階と、
前記レーザ光線からの散乱光を測定する段階とを更に備える、請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記測定段階は、前記レーザ光線および前記エアゾールの流れ方向の両方に対して直交して配向された検出器により実施される、請求項10記載の方法。
【請求項16】
前記測定段階において検出された散乱光の量に基づいて、前記噴霧段階において使用される動力を変化させる段階を更に備える、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記材料を処理する段階を更に備える、請求項10記載の方法。
【請求項18】
前記処理段階は、前記エアゾールを加湿する段階、前記エアゾールを乾燥する段階、前記エアゾールを加熱する段階、析出された材料を加熱する段階、析出された材料をレーザ光線で照射する段階、および、それらの組み合わせから成る群から選択される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
析出された材料をレーザ光線で照射する前記段階によれば、析出された前記材料の約1ミクロンもの小ささのライン幅が可能とされる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
析出された材料をレーザ光線で照射する前記段階は、前記目標物の平均温度を損傷閾値より高い温度までは、上昇させない、請求項18記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【公表番号】特表2008−526469(P2008−526469A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545735(P2007−545735)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/045407
【国際公開番号】WO2006/065986
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(501429955)オプトメック・デザイン・カンパニー (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/045407
【国際公開番号】WO2006/065986
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(501429955)オプトメック・デザイン・カンパニー (6)
【Fターム(参考)】
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