説明

口腔内で使用するための平型システム

本発明は、口腔内に使用する平型システム(flat system)、およびそれを製造する方法に関する。前記平型システム(flat system)は、少なくとも1の上部水溶性被覆層、および少なくとも1の下部水溶性被覆層から成る。少なくとも1の中間層が、上部水溶性被覆層と下部水溶性被覆層との間に提供され、前記中間層が、両被覆層より小さい表面積を有し、そして平型システム(flat system)の端部に沿って凹んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内に使用するための平型システム(flat system)、およびそれを製造する方法に関する。このシステム(system)が、少なくとも1の上部水溶性被覆層と少なくとも1の下部水溶性被覆層から構成される。上部被覆層と下部被覆層との間に少なくとも1の中間層を備え、その面積を両被覆層の面積より小さく、そしてその平型システムの端部に沿って凹んだ形状である。
【背景技術】
【0002】
口腔内にて使用する平型調製物が知られている。典型的に口内における唾液中で溶解させて、急速に崩壊する水溶性重合フイルムがある。その重合フイルムが、経口又は歯の管理に又は防臭、消毒、又は新鮮性を保持する目的と考えられる成分を含み、その成分が、口腔に又は鼻/喉の腔内へ特に作用する。
【0003】
この分野からの生成物としては、たとえば、Wrigley社からのEclipse Flash又はPfizer社からのListerine Pocket Paksがあげられる。化粧用の使用に加えさらに医薬剤を、平型調製物中に含み、現在こうした生成物が開発中である。先行技術の例としての引用が、DE 2432925,DE 19956486A1,DE 19652257A1,DE 19652188,DE 10107659,およびWO 03/011259A1の特許にて行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医薬生成物が水を飲むことなく投与できること、咽喉下への何らかの不快感を取り除き、且たとえば経粘膜吸収を通し口腔に、又は口腔を介し血流中に、活性成分がその機能を達成する多くの可能性を提供できるという利点がある。
【0005】
先行技術により平型薬剤の成形物の欠点は以下のようである。
- 水溶性重合フイルムを、水性溶液から典型的に100℃を超える温度で製造し、そして乾燥時間を比較的長くする、その理由は水の除去には有機溶媒と比較して高い熱容量を必要とするため、多くのエネルギーを消費する処理となる。これらの処理条件が、揮発し易いか又は熱安定性のない活性成分に対して適切で有り得ない。
【0006】
- 又は水溶液中高温にて活性成分が、化学的に容易に分解され、
- 典型的に平型薬剤の成形物が、その表面の全面を均一に分散されている活性成分を含む。長方形又は正方形の外の形状を使用する場合、切断工程において活性成分の一部が屑化される。
- 活性成分を負荷する時、濃度が増大するにつれ、水溶性重合体のフイルム形成の特性を損なうことになり(たとえば脆性の増大)、そしてその影響によりフイルムの負荷容量が減少することになる。
【0007】
- 水溶性フイルムが、医薬的な適用物たとえばステロイド・ホルモンにしばしば遭遇する親油性活性成分に対し天然の低溶解性である高親水性重合体を使用し、製造される。結果としてこのフイルムが、親油性活性成分に対し負荷容量が低く、次いで結晶性懸濁液の形状で、又は多相システムとして例えば乳化液の形状でのみ、負荷され得る。
【0008】
- 水溶性重合フイルムが、重合鎖に多数のヒドロキシ又はカルボキシの官能基を有する法則的に高級官能基の重合体から構成される。これら高級官能性重合体が、医薬剤と多くの化学的相互作用を受ける位置にあり、安定性の問題に容易に導くことができる。
- 処理可能であるために、水溶性重合フイルムは、典型的に十分な柔軟性を確保し、又は脆性を防止するよう残留水分を含有する必要がある。しかしながら、残留水を含むことが、薬剤の活性成分の化学的安定性に負の影響をおよぼす。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の説明
従って本発明の目的は、口腔内に使用する従来における平型医薬生成物のこれらの欠点を克服することである。本発明により本目的が、口腔内において使用する平型システム(flat system)の手段により達成される、少なくとも1の上部水溶性被覆層、および少なくとも1の下部水溶性被覆層から成り、少なくとも1の中間層が、上部被覆層と下部被覆層との間に備えられる。中間層が、平型システム(flat system)の端部に沿って凹んだ形状であることから、この中間層の面積が、被覆層の面積より有意に小さくなる。
【0010】
本発明により、上部被覆層と下部被覆層とが、平型システム(flat system)の端部に沿ってシール方式にて相互に接着することができる。シール継ぎ手の幅が、0.3乃至3mm、好ましくは0.5乃至2mm、そして特に好ましくは0.75乃至1.5mmにて良い。本発明による平型システム(flat system)において、この平型システム(flat system)の全体の厚みのうち最も厚い点は、50乃至500μm、好ましくは100乃至300μm、そして特に好ましくは150乃至250μmにて良い。
【0011】
本発明により、中間層が水溶性で良く、そして融点が、30と120℃との間、好ましくは50と100℃との間、そして特に好ましくは60と90℃との間の温度である。さらに中間層が、水に不溶でも良い。本発明による平型システム(flat system)の利点となる例は、中間層の固体調製物から成り、その調製物が、30と45℃との間、好ましくは32と40℃との間、そして特に好ましくは35と38℃との間の温度にて溶解する。
【0012】
中間層が、直腸の座薬の製造に使用され、好ましくは欧州薬局方標章に記載されている1又は複数の硬性脂肪(hard fats)(Adeps solidus)から作成されるマトリックスから成る。さらに油性溶液、懸濁液、又は乳化液でも良い。本発明により中間層が、上部被覆層と下部被覆層とが、この領域においてシール方式にて相互に接着されるという事実により、中間層が、平型生成物内で画分化される。
【0013】
さらに中間層が、溶解状又は非溶解状の少なくとも1の医薬剤を含む。さらに中間層における医薬剤の溶解性は、少なくとも10のn倍、好ましくは10乃至100のn倍であり、ここでnは被覆層の溶解性を表している。
【0014】
平型システムを製造する方法は、方法の第一工程では、親油性医薬調製物を構成する中間層が、水溶性重合体の層上へ薄層状態で配置され、さらに第二の水溶性重合体の層にて被覆され、その上に、方法の次の工程では、上部重合層と下部重合層とを、熱シール手段により互いに画分状に接着し、シール点での機械的圧力が、上部重合層と下部重合層との間に適切に配置された中間層に変換され、そしてシールされた両被覆層が、中間層に完全に封入された画分を形成する。
【0015】
本発明による方法において、水溶性重合フイルム中の残留水分が、シール容量を改良する値に、水分量を好ましくは1乃至10%の値に、そして特に好ましくは2乃至5%(m/m)の値に設定することができる。さらに本発明による方法において、水溶性重合フイルムの残留水分が、平型カプセルの製造後、乾燥工程の手段により減少できる。本発明による方法において、さらに水溶性重合フイルムのシール容量が、親水性液体の群から、好ましくは3乃至6個の炭素原子(C3-C6)を有する多価アルコールの群から、特に好ましくはグリセロール、1,2-プロピレン・グリコール、1,3-プロピレン・グリコール、1,3-ブタンジオール、ヘキシレングリコール又はジプロピレングリコールなどからの軟化添加物の手段により、保障される。
【0016】
本発明による平型システム(flat system)が、ホルモンの置換治療、又はホルモン性避妊剤として1又は2種のステロイド・ホルモンを含むことができる。ステロイドホルモンは、レボノルゲステレル(levonorgestrel)、ゲストデン(gestoden)、ジエノゲスト(dienogest)、デソゲステレル(desogestrel)、3-ケト-デソゲステレル(desogestrel)、ノルエルゲストロミン(norelgestromin)、ドロスピレノン(drospirenon)、エストラジオール(estradiol)、エチニル・エストラジオール(estradiol)、エストラジオール・バレレイト(valerate)、テストステロン、テストステロン・ウンデカノエイト、テストステロン・エナンチエイト、7-アルファ-メチル-19-ノルテストステロン、又はそのフッ素含有誘導体にて可能である。
【0017】
本発明による平型システムにおいて、活性成分が、有機硝酸塩(狭心症の治療に使用)の群から選択することができ、特にグリセロール・トリニトレイトが良く、又は活性成分が、抗嘔吐性の群から選択することができ、特に5-HT3受容体アンタゴニストが良く、そして特にオンダンセトロン、グラニストロン、ラモセトロン、アロセトロンの群から若しくは医薬的に受け入れ可能なその塩から選択されることが好ましい。
さらに平型システム(flat system)は、ニコチン塩基又は医薬的に受け入れ可能なその塩を含むことができる。有機硝酸塩とニコチン塩基との両方に関し、直接に又は経口粘膜を介し、活性成分を血流中にできるだけ迅速に導入する必要がある。
【0018】
さらに、本発明による平型システム(flat system)は、老人病の治療のため、特にアルツハイマー病、パーキンソン病、痴呆誘発疾患を治療するための活性成分、および精神分裂症又は精神病などの重篤な精神医学的な病気治療の活性成分を含むことが可能である。これらの治療分野が、服用する容量の減少又は良好な飲用感覚によりある度識別され、従って口腔を介した剤の投与することが利点となり得る。
【0019】
驚いたことに、記載の目的は、多重構造体を備えた平型(flat)生成物を選択することにより達成でき、その構造体中で水溶性重合フイルムの機能と活性成分基質の機能とが、異なる層に別々に備えられ、すなわち活性成分含有層が、その平型システム(flat system)の全面積より、小さな面積を有する中間層の形状が包含され、その事実は該中間層が、平型システム(flat system)の端部に沿って凹んでいることにより達成される。
【0020】
さらに驚いたことに、水溶性重合フイルムが、熱シール方式で処理可能な容量を有する。驚いたことにこれは、親油性、油性、又はワックス様の中間層が、熱シール前のこれら層間に含まれる場合でさえ、こうした件例であることがわかる。
本発明の手段により、極めて平坦なカプセルの外被と良く似た形状にて、親水性、水溶性重合フイルムの外被中に中間層を包埋することができる。この中間層が、液体、半固体、又はワックス様固体調製物から成り得る。口腔内に使用される場合、第一の水溶性重合フイルムの被覆物が溶解される。次に中間層が、溶解にて、唾液中で分解することで、又は同時に起こる2つの過程で崩壊する。
【0021】
中間層が溶解する場合に、その実施の例では、その化合物が、典型的に32と37℃との間の口腔温度で、溶解することが好ましい。この点において中間層は、使用者が実際に知見できなく、そして口内感覚における快適性が、固体状態の中間層における口内感覚より、有為な快適性である。さらにこれは、親油性層がら溶解で促進される活性成分の放出を容易にし且つ加速する。ワックス様の中間層を使用する場合、薬剤が保存されている期間に、融解か起こらないようにするために、溶解温度を30℃より低い温度でまだ溶解が起こらないようにすべきである。
【0022】
外側の水溶性被覆層を製造する適切な物質として、加水分解の等級が75-99%(たとえばMowiol(登録商標)型)によるポリビニル・アルコール、ポリビニル・ピロリドン、ヒドロキシプロピル・セルローズ、ヒドロキシメチルプロピル・セルローズ、又はカルボキシメチル・セルローズなどの親水性デンプン誘導体、プルラン又はマルトース、カルボオキシメチル・スターチ、アルギネイト又はゲラチンなどの親水性デンプン誘導体などの群からの親水性重合体、および先行技術により知られた他の重合体があげられる。
【0023】
中間層の成形体及び技術的処理方法が、3つの要件により決定されることが重要である、すなわち、
1. 中間層が、唾液中に融解又は溶解するか、あるいはその両方により、口内で迅速に溶解する必要がある。
2. 好ましい場合において、中間層を、水溶性重合層上の直接1層に接着し、そして加工技術から見て、被覆基質として機能する重合層を溶解可能な溶媒を必要とすべきでない。
3. 中間体層が、被覆両層間の熱シールを作成中に縮小できるようにするために、熱可塑性重合体として変形できる必要がある。
【0024】
ワックス様の低融点成形物が、親油性中間層を成形するための可能性として好ましい。これらの例としては、直腸の座薬、又は膣の座薬の製造がある。広範囲の中から選択できる融点を有する低溶融マトリックスの選択が、Softisan(登録商標)およびWitepsol(登録商標)硬性脂肪(Hard Fat)の群から作成することができる。さらに適切な基質物質が、欧州薬局方標章「硬性脂肪(hard fats)」(Adeps solidus)に記載されている。
選択肢として、油性、粘性溶液が、中間層として使用することができる。適切な基質物質が、主として香味の中性(flavor-neutral)が好ましく、たとえば飽和トリグリセリド(たとえばMiglyol 812)、イソプロピル・ミリステイト、又はイソプロピル・パルミテイトである医薬的な一般オイル、および親油性流体を含む。厚み剤は、粘性を増大させるために油性溶液に添加できる。
【0025】
完全性に関しクレームのない場合、好ましくはポリアクリレート(たとえば、Eudragit(登録商標)E 100又はPlastoid(登録商標)B)、ポリビニル・ピロリドン(Kollidon(登録商標) 25,30,90,又はVA64)、ポリビニル・アセテート(たとえばKollidon(登録商標)SR)、ポリエチレン・グリコール、又は親油性セルローズ誘導体(たとえば、セルローズエチルエステル又はセルローズ・アセテートブチレート)群からの重合体を含む。
【0026】
完全性に関しクレームのない場合、中間層の適切な重合体成分が、たとえば、2000Daより大きい分子量を有するポリビニル・ピロリドン(PVP)又はその共重合体、たとえばKollidon(登録商標)25,30,90,又はVA64、およびポリエチレン・グリコール(マクロゴール)を含む。さらに中間層の成形物に、完全性に関しクレームのない場合、軟化剤、伸張剤、溶解促進剤、浸透改良剤、画分化合物、抗酸化剤、光およびUV-保護剤、顔料、着色剤、香料調整剤、有機又は無機充填剤および香料の群から添加物を加えることができる。
【0027】
この関係において、溶解促進剤、および浸透改良剤が特に重要である。一方において本発明による平型カプセルは小さな内容積しか有せず、それが活性成分の負荷容量を減少させる。さらに、含有する活性成分が、胃腸管内に吸飲された後にのみ吸収される代わりに、すでに口内の粘膜を介して完全に又は顕著に吸収されることが、利点となり得る。
【0028】
中間層の成形物は、提供される活性成分に対し、可能な最も高い溶解力を有する必要があり、そして溶解促進剤をこの目的に使用することができる。溶解促進剤が、溶解の促進、溶解処理、又は強力な軟化処理する結果、そして水溶性被覆層を一体化するおそれのないような溶解促進剤を選択する必要がある。
【0029】
適切な溶解促進剤には、たとえば、2乃至4個の炭素原子を有する1価乃至3価の脂肪族アルコールを伴い、6乃至18個の炭素原子の鎖長を有する飽和脂肪酸の脂肪酸エステル(エチル・オレイト、プロピレングリコール・モノラウレイト、グリセロール・モノオレイト)、ポリエチレン・グリコールを伴う6乃至18個の炭素原子を有する脂肪性アルコールの脂肪性アルコール・エステル(たとえばBRIJ(登録商標)生成物)、ポリエチレン・グリコールを伴う6乃至18個の炭素原子を有する脂肪酸の脂肪酸エステル(たとえばMYRJ(登録商標)生成物)、2乃至3個の炭素原子を有するカルボン酸を伴い、6乃至18個の炭素原子を有する脂肪アルコールのエステル(ラウリルラクテイト、又はラウリルアセテイト)、ソルビタン・脂肪酸エステル(たとえばSPAN(登録商標)生成物)、脂肪酸エステルのソルビタン・ポリエチレン・グリコールエステル(たとえばTWEEN(登録商標)生成物)、クエン酸エステル(たとえば、トリエチル・シトレイト又はアセチル・トリブチル・シトレイト)、ジエチレン・グリコール・モノセチルエーテル(Transcutol(登録商標))、プロピレンカルボネイト、ソルケタル(solketal)、グリコフロル(glycofurol)、トラセチン(tracetin)およびシクロデキストリン(cyclodextrine)が、あげられる。
【0030】
中間層と被覆層の化合物では、中間層において中間層の活性成分の溶解性が、被覆層におけるより有為に高くなるように選択する利点がある。これは被覆層に移動した後、活性成分の所望しない化学的分解反応の可能性が減少する。
本発明による平型システムを製造するためには、最初に水溶性重合フイルムを、ウエブ(web)様基質物質上へ溶液を一層にて(a coat)付着させ、次にそれを乾燥させて製造する。選択肢としてさらにそのフイルムを、溶媒のない熱溶解法の手段により製造することができる。
【0031】
重合層の単位体積当りの重量が、25乃至200g/m2、好ましくは40乃至150g/m2、そして特に好ましくは60乃至100g/m2である。中間層を、水溶性重合体の側面から、開始物質(基質物質上の重合フイルム、たとえば非付着紙(nonstick coated paper)へ付着する。この中間層は、好ましくは中間粘性親油性流体、又は新油性化合物の溶融した塊状物から成る。親油性流体又は化合物を、たとえば、シート・ダイス、被覆ナイフ、ローラ接着装置、又はナイフ・キャスターの支援にて適用することができる。
【0032】
中間層の単位面積当りの重量が、25乃至300g/m2、好ましくは30乃至200g/m2、そして特に好ましくは40乃至150g/m2である。
中間層が、好ましくは下にある重合層の端部にまでずっと付着させる必要がない、そのかわり、後の処理工程において中間層が端部に出るのを防止ために、少なくとも0.5乃至5cmのマージン(margin)を残しておく。
【0033】
いったんそれを冷却した後再固化した、中間層の暴露された表面で、規則的に同じ組成物である第二の水溶性重合層にて被覆され、そして第一の重合層の最低部と同じ製造方法にて製造される。しかしながら、好ましくは、第二の水溶性重合層を、最初にその基質物質から取り出し、そして次に中間層へ単一層として積層する。
【0034】
第二の処理工程において、複合体が、基質物質、第一の水溶性重合層、親油性中間層、および第二の水溶性重合層から構成され、適切なシールマスクを用い、熱シーリングにかけられ、その熱シールは、自由に暴露された重合層の最上端部から、そして結果としてウエブ(web)形状の基質物質から最も離れた側面より形成される。
【0035】
2つの水溶性重合フイルムを、熱シーリングの手段で永久結合するこれらの点で相互に接合させるまで、水溶性重合体両フイルム間の中間層を、最初に必要とされる程度に溶解し、次いで機械的圧力により置き換えてこれらの諸点をシールする。熱シーリング容量の目的のために、水溶性重合フイルムにおける残留水分を維持すること、又は湿気を与えることにより最初にその残留水分を調節できることが、利点と成り得る。
【0036】
さらに水溶性重合フイルムのシーリング容量を、親水性流体の群から軟化添加剤の手段により、好ましくは3乃至6の炭素原子(C3-C6)を有する多価アルコールの群からの軟化添加剤の手段により、特に好ましくは、グリセロール、1,2-プロピレン・グリコール、1,3-プロピレン・グリコール、1,3-ブタン・ジオール、ヘキシレン・グリコール、又はジプロピレン・グリコールにより、増大させることができる。
【0037】
シール容量のために残留水分が必要とされる場合に、製造後に生成物を乾燥させること、そしてたとえば生成物の長期にわたる化学的安定性を増大させるために、残留水分の値が、シール中に必要とされる値より、有為に低く設定することが、必要となり得る。個々に投与される成形物を製造するために、上部重合層と下部重合層とが、面積で定義された所定量の親油性中間層を、個々の投与形式で完全にシールされるよう、提供された輪郭線に沿って相互にシールする。
【0038】
活性成分含有中間層の個々の用量を、この処理工程において成形し、それが、使用されるシーリング・マスクが、医薬的に必要な用量の精度を維持できるために、プラス・マイナス5%またはそれより対応して良好な寸法精度を有する必要があることを意味する。シーリング・マスクの設計に関し、典型的にむしろもろい水溶性重合フイルム上で不必要な高せん断力が生じないようにするため、シーリングする輪郭の端部を丸くすることが、好都合である。
【0039】
最終的に生成された平型生成物が、シーリング継ぎ手に沿って機械的に切断され、または分割され、したがって個々の形状に又は個々の形状の群に分割される。平型生成物のシールされた端部領域の残っている幅が、できるだけ狭く維持すべきであり、その理由は、これらの領域において上部被覆層と下部被覆層の水溶性重合フイルムが、口内において溶解速度が最も遅く、そのため口内の感覚に負の影響を及ぼすと考えられる特に厚い領域を結合状に構成される。シールされた継ぎ目の幅が、0.3乃至3mm、好ましくは0.5乃至2mm、そして特に好ましくは0.75乃至1.5mmにすべきである。
【実施例】
【0040】
実施例1. ワックス様半固体状中間層を有する3層平坦カプセル
中間層 : 半固体
材料 : Eclipse(登録商標) peppermint strips(3x2cm)(Wrigley)
ソフテサン100(Softisan 100)(hard fat)(Sasol)
温度調節可能な水槽
ビーカ
単使用パスツール・ピペット(single-use Pasteur pipettes)
シールプライヤー(sealing pliers)
実施 : 親油性中間層
【0041】
ソフテサン100(Softisan 100)を、清浄な塊状形状に融解するまで、水槽内にて加熱した。パスツール・ピペットの支援により、ソフテサン100(Softisan 100)を、Eclipse(登録商標)peppermint strips(3x2cm)を全体的に均一に塗る。ハード脂肪が固形化し始めた後、別のEclipse(登録商標)peppermint strips(3x2cm)を、親油性層に正確に置いた。次に3層中間生成物を、約160℃まで加熱したシールプライヤー(sealing pliers)の支援により4側面の全てを約5秒間シールした。
【0042】
実施例2. 2の半固体中間層を有する5層平坦カプセル
ソフテサン100(Softisan 100)を、清浄な塊状形状に融解するまで水槽内にて加熱した。パスツール・ピペットの支援により、ソフテサン100(Softisan 100)を、Eclipse(登録商標)peppermint strips(3x2cm)を全体的に均一に塗る。ハード脂肪が固形化し始めた後、別のEclipse(登録商標)peppermint strips(3x2cm)を、親油性層に正確に置いた。第二のハード脂肪層を塗布し、それが固化した後、さらにEclipse(登録商標)peppermint strips(3x2cm)にて正確に被覆する。次に5層の生成物を、約160℃まで加熱したシールプライヤー(sealing pliers)の支援により4側面の全てを約8秒間シールした。
【0043】
実施例3. 油性の中間層を有する3層平坦カプセル
材料 : Eclipse(登録商標)(3x2cm)(Wrigley Co.)
粘性パラフィン
単一使用パスツール・ピペット(single-use Pasteur pipettes)
シールプライヤー(sealing pliers)
【0044】
実施 :
パスツール・ピペット( Pasteur pipettes)の支援により、粘性パラフィンを、Eclipse(登録商標)peppermint strips(3x2cm)を全体的に均一に塗る。別のEclipse(登録商標)peppermint strips(3x2cm)を、親油性層に正確に置いた。次に3層中間生成物を、約160℃まで加熱したシールプライヤー(sealing pliers)の支援により4側面の全てを約5秒間シールした。
【0045】
実施例1乃至3に使用される定義および計算
単位面積(FG)当りの重量を決定するために、製造された多重生成物を、個々に秤量し、そして各面積を決定した。10のEclipse(登録商標)peppermint stripsの重量を決定し、そして平均値を計算する。
【0046】
単位の変換を計算式に考慮に入れる。
ストリップ(Strips) :
【数1】

【0047】
FGb : 単位面積当りの重量(g/m2)
mb : 質量(平均)(mg)
A : 面積(cm2)
【0048】
Flat Caps :
【数2】

【0049】
FGfc : 単位面積当りの重量(g/m2)
mfc : 質量(平均)(mg)
親油性中間層 : FG = FGfc - FGb
【0050】
この実施例において、45と55g/m2との間の値が、Eclipse(登録商標)peppermint stripsの単位面積当り重量に対し決定される。
実施例1におけるソフテサン層(Softisan layer)の単位面積当りの重量が132g/m2であった。実施例3における油性層の単位面積あたりの重量が、80g/m2であった。
本発明によるシステム(systems)の主要パッケイジに関し、これにより引例として、特許 DE 19800682、DE 10008165、DE 10144287、DE 10102818、DE 10159746A1、およびDE 10143120A1が本明細書に先行技術として引用される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1−1】図1-1は、概要的な平型システムの断面図を示している。 上部被覆層(1)と下部被覆層(2)とが協働し、内在する中間層(3)をシールする。図1-1の場合に2つの外部層が平坦な空洞を有する。
【図1−2】図1-2において、中間層を収容する空洞が、2つの被覆層の一方にのみ備えられている。被覆層(1)と(2)とが識別できるか、若しくは異なる構造を有することができる。
【図1−3】図1-3は、付加的な被覆層(5)の支援により成形された2の別々の区画部(3及び4)を備えた平型システム(flat system)を示す。
【0052】
【図2】図2は、熱シール工程後の平型中間生成物を示し、すなわち長手方向および横方向両方で、平型生成物は、中間層の多数を分離した活性成分含有の断片(segments)を有することができ、その中間層が、追加的な処理工程で切断又は穿孔することにより最終生成物に変換される。
【図3】図3は、本発明による平型生成物の種々の例における形状の平面図を示す。これらは、実施例の可能な形状を示すよう特に意図されている。一方生成物C2とC3が、消費者に対し視覚的により受け入れ可能であるが、生成物C1、C4、およびC5は、平型中間生成物の有為に高い利用係数を有し、且つその生成物は廃棄物がより少なく、しかしながらこの廃棄物が、いずれの活性成分も含んでいない。C4と対照的にC5は、活性成分含有の内部の輪郭線が、平坦生成物の外部輪郭線に従う必要がないという可能性を示している。
【0053】
【図4】図4は、多くの活性成分のセグメント(3)を有する平型生成物の例を示す。この生成物が、個々の投与量に分割することのできる複数用量生成物を表している。
【図5】図5は、本発明による熱シーリング処理工程を示している。穿孔するには、熱シーリング・ツール(7)が、上部被覆層(1)、下部被覆層(2)、および基質物質(6)のウエブ上の内在する中間層(3)から成る積層体を、シール・ステイションの対抗圧力(8)に対して圧力をかけ、シーリング・ツールのみか、シーリング・ツールと対抗圧力板の両方のいずれかを加熱する。 さらにこの処理工程は、平型空洞を備えた対抗圧力板逆圧板を使用し実施することができ、それが本発明による平型システム(flat system)のほぼ対称的な断面形状を形成する。E3は、こうしたシーリング手順の結果を概略的に明示している。 E4において、丸くなった領域が、矢印にて指示されるシーリング・マスク(7)上の位置で提供され、その領域により、被覆層(1)上で機械による変形ひずみの減少が起こり、そのためにシール継ぎ部における裂けや漏れの危険性の減少が起こる。さらにこの技術を、E3による2の側面となる形状に自然に適用することができる。
【0054】
E1乃至E4は、積層ウエブ(web)が処理工程中に終了をもたらす停止操作のための、平面シールダイス上の関連処理工程を示している。さらに天然の本処理工程が、対応した輪郭を描くシールとエンボス処理ローラ、および連続移動積層ウエブ(web)を備えた回転システムにて行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内にて使用するための平型システム(flat system)において、少なくとも1つの上部水溶性被覆層と少なくとも1つの下部水溶性被覆層とを含み、上部被覆層と下部被覆層との間に、少なくとも1の中間層を備え、ここで中間層が平型システムの端部に沿って凹みを形成するということにより、該中間層の面積が、被覆層の面積より有意に小さい、口腔内で使用するための平型システム。
【請求項2】
前記上部被覆層と下部被覆層とを、平型システムの端部領域をシールする手段にて相互に接着させる、請求項1記載の平型システム。
【請求項3】
シールされる継ぎ目の幅が、0.3乃至3mm、好ましくは0.5乃至2mmである、請求項1〜2のいずれか1項記載の平型システム。
【請求項4】
前記平型システムの全体にわたる厚さのうち最も厚い点が、50乃至500μm、好ましくは100乃至300μmである、請求項1〜3のいずれか1項記載の平型システム。
【請求項5】
前記中間層が水溶性で、且つ、融点が30と120℃との間、好ましくは50と100℃との間である、請求項1〜4のいずれか1項記載の平型システム。
【請求項6】
前記中間層が非水溶性である、請求項1〜4のいずれか1項記載の平型システム。
【請求項7】
前記中間層が固体調製物で、30と45℃との間、好ましくは32と40℃との間の温度で溶解する、請求項6記載の平型システム。
【請求項8】
直腸用座薬の製造に使用し、好ましくは欧州薬局方の標章に記載されている1又は複数の硬質脂肪(hard fats)(Adeps solidus)から作成されるマトリックスから成る、請求項7記載の平型システム。
【請求項9】
前記中間層が油性溶液、懸濁液、又は乳化液である請求項6記載の平型システム。
【請求項10】
前記上部被覆層と下部被覆層とが、この領域で互いにシールされていることにより、中間層が平型生成物において区分化された、請求項1〜9のいずれか1項記載の平型システム。
【請求項11】
前記中間層が、溶解状か又は非溶解状の少なくとも1の医薬剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の平型システム(flat system)。
【請求項12】
前記中間層内の医薬剤の溶解性が、少なくとも10のn倍、好ましくは10乃至100のn倍で、ここでnが被覆層の溶解性を表している、請求項11記載の平型システム(flat system)。
【請求項13】
1又は複数の前請求項記載の平型システムの製造方法において、
- 親油性医薬調製物から構成される中間層を、水溶性重合層上へ薄層状に付着し、
- 次に第二の水溶性重合層にて被覆し、
- 上部重合層と下部重合層とを、熱シールの手段により断片状に相互に接着し、
すなわち、機械的圧力を、上部重合層と下部重合層との間の位置にある中間層に移し、そしてシールされた被覆層が、中間層において完全に封入した画分を形成する、請求項1〜13のいずれか1項記載の平型システムの製造方法。
【請求項14】
前記水溶性重合フイルムの残留水分を、シール容量を改良し、好ましくは1乃至10%(m/m)の水分含量の値に設定した、請求項13記載の方法。
【請求項15】
平型カプセルを製造後、水溶性重合フイルムの残留水分を、乾燥工程の手段により減少させる請求項14記載の方法。
【請求項16】
水溶性重合フイルムのシール容量が、親水性液体の群から、好ましくは3個乃至6個の炭素原子(C3-C6)を有する多価アルコール群より、特に好ましくはグリセロール、1,2-プロピレン・グリコール、1,3-プロピレン・グリコール、1,3-ブタンジオール、ヘキシレングリコール又はジプロピレングリコールなどの軟化添加物の手段により確証される、請求項13〜15のいずれか1項記載の方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−520517(P2007−520517A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551801(P2006−551801)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001076
【国際公開番号】WO2005/074882
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】