説明

口腔内粘膜貼付製剤

【課題】血中へ効率的に薬物を吸収させるとともに、服用時の薬物による苦味や刺激といった不快感が緩和された口腔内粘膜貼付製剤を提供すること。
【解決手段】本発明の口腔内粘膜貼付製剤10は、口腔内粘膜に付着し、矯味剤及び可食性水溶性高分子を含有する粘膜付着層1と、粘膜付着層1の反対側の最外層に配置され、可食性水難溶性高分子を含有する支持層2と、粘膜付着層1と支持層2の間に配置され、薬物、矯味剤及び可食性水溶性高分子を含有する少なくとも2つの薬物層3と、薬物層3の間に配置され、可食性水溶性高分子及び矯味剤を含有する中間層4とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は口腔内粘膜貼付製剤に関し、より詳細には口腔内粘膜に貼付して血中に効率良く薬物を吸収させることの可能な多層構造を有するフィルム製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
放出制御(コントロールドリリース)を目的として種々のドラッグデリバリーシステムが提案されているが、その一つに薬物の徐放技術が知られている。この徐放性製剤として、例えば、ニコチン及び各種添加剤を均一に混合して作製されたチューインガム・コアに、ニコチン及び各種添加剤を含むコーティング組成物を被覆したニコチン含有チューインガムがある(特許文献1)。
このニコチン含有チューインガムの投与経路は持続型経口投与であり、薬物は口腔内粘膜だけなく消化管からも吸収されるため、消化管から吸収された薬物は肝臓で初回通過効果により代謝、分解されてしまう。また、噛み終ったチューイングガム中にも高分子に結合した薬物等が残存しやすい。そのため、喫煙時と同等のニコチン血中濃度の上昇効果を得るには、製剤中の薬物をより一層増量させることが必要となる。
【0003】
また、薬物含有層と、水膨潤性ゲル形成層と、薬物含有層及び水膨潤性ゲル形成層の間に設けられた中間層とを有する経口投与剤が提案されている(特許文献2)。この製剤は、最外層に設けられた水膨潤性ゲル形成層が口腔内で唾液等の水分によりゲル化し、その内部に薬物が包囲された形で残存しやすいため、薬物による苦味・刺激等のマスキング効果が期待できる。しかしながら、前述のチューイングガムと同様に、口腔内では高分子ゲルの内部に薬物が滞留している状態となるため、口腔内粘膜から薬物が十分に吸収され難い。また、投与経路が持続型経口投与であるため大部分が消化管吸収となり、薬物の血中濃度を短期間で上昇させ、有効治療濃度域を保持するための薬物含量を低減することが不可能である。
【0004】
さらに、口腔内粘膜に貼付可能なコーティング層をニコチン含有層の両側に設けた三層構造を有するニコチン含有フィルム製剤が提案されている(特許文献3)。このフィルム製剤は、適切な徐放性を有し適用時の違和感がなく、口腔内粘膜への貼付が容易であるが、口腔内上顎粘膜に貼付後、唾液等の水分によりコーティング層が極めて短時間(0.5〜3分)で溶解し薬物が放出されるため、薬物が口腔内粘膜に効率的に吸収され難いことがある。
【0005】
【特許文献1】特表2005−500296号公報
【特許文献2】特開2006−160617号公報
【特許文献3】特開2003−95947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来の徐放性製剤においては、口腔内粘膜から効率的に薬物が吸収されているとは言い難く、改善の余地がある。また、薬物の苦味や刺激等の不快感が緩和された製剤技術が求められているが、このような要求に対して十分に満足できる技術は未だ見出されていない。
【0007】
したがって、本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、血中へ効率的に薬物を吸収させるとともに、服用時の薬物による苦味や刺激といった不快感が緩和された口腔内粘膜貼付製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決のために鋭意研究を行った結果、少なくとも2つの薬物層の間に中間層を介在させ、最外層に口腔内粘膜に付着する粘膜付着層と支持層を配置した構造を採用し、更に薬物層、中間層、粘膜付着層及び支持層を特定成分で構成することにより、血中へ効率的に薬物を吸収させるとともに、服用時の薬物による苦味や刺激といった不快感が緩和された口腔内粘膜貼付製剤が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、
口腔内粘膜に付着し、矯味剤及び可食性水溶性高分子を含有する粘膜付着層と、
前記粘膜付着層の反対側の最外層に配置され、可食性水難溶性高分子を含有する支持層と、
前記粘膜付着層と前記支持層の間に配置され、薬物、矯味剤及び可食性水溶性高分子を含有する少なくとも2つの薬物層と、
前記薬物層の間に配置され、可食性水溶性高分子及び矯味剤を含有する中間層と、
を備える、口腔内粘膜貼付製剤を提供するものである。
【0010】
本発明の口腔内粘膜貼付製剤は、粘膜付着層、薬物層、中間層、薬物層及び支持層が順次積層された5層構造を有するものが好ましく、少なくとも1つの薬物層は多孔性であってもよい。これにより、血中への薬物の吸収性がより一層高められるとともに、服用時の薬物による苦味や刺激といった不快感をより確実に緩和することができる。
【0011】
本発明においては、薬物による苦味や刺激といった不快感の緩和の観点から、矯味剤として、酸味剤、高甘度甘味剤及び清涼剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。また、酸味剤としてはアスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、高甘度甘味剤としてはアスパルテーム、ステビア、スクラロース、グリチルリチン酸、ソーマチン、アセスルファムカリウム、サッカリン及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、清涼剤としてはウイキョウ油、カンフル、ハッカ油、ハッカ水、ミント、ペパーミント及びメントールからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0012】
また、可食性水溶性高分子としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、カルボキシメチルセルロース・カリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びアルギン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これにより、口腔内の唾液等の水分による溶解又は崩壊の制御が容易になり、また強度を高めることができる。
一方、可食性水難溶性高分子としては、デンプン、ゼラチン、トラガントガム、結晶セルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート及びポリアクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これにより、口腔内の唾液等の水分による支持層の溶解又は崩壊を抑制し、口腔内粘膜からの薬物の吸収性を高めることができる。なお、支持層は、上記した可食性水溶性高分子を更に含有していてもよい。
【0013】
本発明の口腔内粘膜貼付製剤は、口腔内において2〜15分で崩壊することが好ましく、また水に対する崩壊時間が5〜25分であることが好ましい。これにより、適度な放出速度を有しながら持続的に薬物を放出させて血中への薬物の吸収性を高めるともに、服用時の薬物による苦味や刺激といった不快感をより確実に緩和することができる。このような口腔内粘膜貼付製剤においては、喫煙時と同等のニコチン血中濃度に速やかに上昇させることが可能であることから、薬物としてニコチンを使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の口腔内粘膜貼付製剤は、最外層に支持層を設けることで口腔内において唾液中への薬物の放出が抑制されるため、適度な放出速度を有しながら持続的に薬物を放出することができる。その結果、口腔内粘膜を通して血中に効率良く薬物を吸収させることが可能になり、更に薬物による苦味や刺激といった不快感を緩和することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0016】
図1は、本発明の口腔内粘膜貼付製剤(以下、単に「製剤」とも称する)の一実施形態を示す図である。
図1(a)は製剤10の平面図であり、図1(b)は製剤10のI−I線に沿って取られた断面図である。
図1に示す製剤10は、口腔内粘膜に付着する粘膜付着層1と、粘膜付着層1の反対側の最外層に配置された支持層2と、粘膜付着層1と支持層2の間に配置された2つの薬物層(第1の薬物層3a、第2の薬物層3b)と、これら薬物層3の間に配置された中間層4から構成されており、5層構造を有するものである。
【0017】
粘膜付着層1は、口腔内粘膜に押し付けられると、被着面が唾液等の水分により速やかに溶解(0.1分〜1分)して付着し、簡単に剥がれることはない。ここで、口腔内粘膜としては、口腔内において粘液に覆われている粘膜であれば特に限定されないが、例えば、上顎の粘膜、舌下粘膜、頬の粘膜、歯肉粘膜、口蓋の粘膜、唇のラインの粘膜が例示される。
一方、支持層2は、支持体として機能するとともに、口腔内において唾液等の水分による溶解又は崩壊を抑制する機能を有する。そのため、製剤10は、先ず口腔内粘膜に付着した粘膜付着層1から溶解が始まり、次いで第1の薬物層3a、中間層4及び第2の薬物層3bが順次溶解する。このように、支持層2により口腔内の水分との接触が遮断されているため、唾液内への薬物の放出が抑制される。その結果、消化管吸収による初回通過効果を受け難く、薬物の血中濃度を短期間で上昇させることができ、更には薬物の放出時間の調節、有効治療濃度域を保持するための薬物含量の低減が可能になる。そして、粘膜付着層1、第1の薬物層3a、中間層4、第2の薬物層3bに含まれる矯味剤と相俟って、口腔内に放出された薬物による苦味や刺激といった不快感を緩和することができる。また、支持層2により、当該製剤のブロッキング性の回避、外観上の視覚的価値や取り扱い性の向上等の効果も得られる。このような効果は、粘膜付着層、第1の薬物層、中間層、第2の薬物層及び支持層が順次積層された5層構造を採用することで、より確実に得ることができる。
【0018】
本発明の製剤は、口腔内において2〜15分、更に4〜12分、特に5〜8分で崩壊するか、あるいは水に対して5〜25分、更に6〜20分、特に7〜15分で崩壊することが好ましく、これら双方の特性を具備することが特に好ましい。これにより、適度な放出速度を有しながら持続的に薬物を放出することが可能であり、しかも不快感を緩和することができる。
【0019】
なお、本明細書において、「口腔内における崩壊時間」とは下記の口腔内崩壊試験により測定したものをいい、また「水に対する崩壊時間」とは下記の水崩壊性試験により測定したものをいう。
【0020】
口腔内崩壊試験
円形φ12mmのサイズに裁断した試験片を採取し、それを健康な成人の口腔内粘膜に貼付後、試験片が口腔内の唾液のみで完全に崩壊するまでの時間を測定する。試験は6名のパネラーの服用に要した時間を平均し、その平均値を口腔内崩壊時間とする。
【0021】
水崩壊性試験
円形φ12mmのサイズに裁断した試験片を採取し、それを試験液(精製水900mL)に入れ、第15改正日本薬局方 [B]一般試験法 6.製剤試験法 6.10溶出試験法 パドル法(p.587)にしたがって、シンカーを使用し毎分50回転で試験を行う。試験開始後60分まで5分ごとに試験液を採取し、液体クロマトグラフィーにて薬物溶出率が95質量%以上となった時を水崩壊時間とする。
【0022】
本発明の製剤の水崩壊時間に影響を及ぼす要因として、支持層を構成する可食性水難溶性高分子と当該製剤の厚みが挙げられる。口腔内で15分以内に崩壊し、水に25分以内で崩壊する製剤とするには、製剤全体の厚みが100〜300μm、特に110〜200μmであることが好ましい。これにより、口腔内において粘膜付着層から徐々に順次崩壊して、薬物の口腔内粘膜吸収や矯味剤の放出を効率的に進行させることができる。かかる観点から、粘膜付着層の厚みは20〜60μm、特に22〜40μmが好ましく、第1及び第2の薬物層の各厚みは20〜60μm、特に22〜40μmが好ましく、中間層の厚みは20〜60μm、特に22〜40μmが好ましく、支持層の厚みは20〜60μm、特に22〜40μmが好ましい。
また、製剤の大きさは、口腔内での貼付に適した大きさであれば特に限定されないが、例えば、平面形状が円形である場合、その直径が10〜30mm程度であることが好ましい。また、その形状も口腔内での貼付に適した形状であれば特に限定されないが、例えば、円形、楕円形、方形等の形状を適宜選択することが可能であり、製剤表面はフラットであることが好ましい。
【0023】
粘膜付着層は矯味剤及び可食性水溶性高分子を含有し、支持層は可食性水難溶性高分子を含有するものであるが、支持層は可食性水溶性高分子を更に含有していてもよい。また、薬物層は薬物、矯味剤及び可食性水溶性高分子を含有し、中間層は可食性水溶性高分子及び矯味剤を含有するものである。
【0024】
本発明で用いられる矯味剤としては、例えば、酸味剤、高甘度甘味剤、清涼剤等が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。
酸味剤としては、例えば、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸又はそれらの塩等が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、薬物の苦味や刺激といった不快感の緩和、製剤のpH安定性の観点から、酒石酸、クエン酸が特に好ましい。なお、塩の形態としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が例示される。また、酒石酸、クエン酸及びリンゴ酸は酸無水物の形態であってもよい。
高甘度甘味剤とは、ショ糖の甘さを基準として比較される甘味度がショ糖の50倍以上である合成又は天然の砂糖代替物のことであるが、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、トレハロース及びマルチトール等の糖アルコール等の甘味度はショ糖よりも小さく、期待する甘味を得るには多量の添加が必要となる。本発明の製剤は、質量が小さいため、賦形剤や速溶性を得るための崩壊剤として糖アルコールを使用することは可能であっても、甘味を得る目的で糖アルコールを使用することは困難である。そのため、本発明に係る高甘度甘味剤には、糖アルコールは包含されないものとする。
高甘度甘味剤としては、例えば、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、グリチルリチン酸、ソーマチン、アセスルファムカリウム、サッカリン又はそれらの塩が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、薬物の苦味や刺激といった不快感の緩和の観点から、サッカリンナトリウム、スクラロースが特に好ましい。なお、塩の形態としては、アルカリ金属塩等が例示される。
清涼剤としては、例えば、ウイキョウ油、カンフル、ハッカ油、ハッカ水、ミント、ペパーミント、メントール等が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、薬物の苦味や刺激といった不快感の緩和の観点から、メントールが特に好ましい。なお、メントールは、単一の光学活性体であっても、これらの混合物(例えば、ラセミ体)であってもよいが、単一の光学活性体、特にl−メントールが好ましい。
【0025】
粘膜付着層中の矯味剤の含有量は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは7〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。
第1及び第2の薬物層中の矯味剤の各含有量は、好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは7〜30質量%、特に好ましくは10〜20質量%である。
中間層中の矯味剤の含有量は、好ましくは3〜50質量%、更に好ましくは7〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。
【0026】
なお、単位製剤中の矯味剤の含有量は、苦味や刺激等の不快感の緩和の観点から、薬物1mg当たり1.5〜10mg、更に2〜8mg、特に2.5〜6mgが好ましい。
単位製剤中の酸味剤の含有量は、苦味や刺激等の不快感の緩和及び製剤のpH安定性の観点から、薬物1mg当たり0.5〜3mg、更に0.75〜2.75mg、特に1〜2.5mgが好ましい。単位製剤中の高甘度甘味剤の含有量は、苦味や刺激等の不快感の緩和の観点から、薬物1mg当たり0.5〜5mg、更に0.75〜4mg、特に1〜3mgが好ましい。単位製剤中の清涼剤の含有量は、苦味や刺激等の不快感の緩和の観点から、薬物1mg当たり0.1〜2mg、更に0.2〜1.5mg、特に0.3〜1mgが好ましい。
ここで、本明細書において、「単位製剤」とは、服用に供される製剤の最小単位を意味し、例えば、一つひとつ個別包装された製剤においては、その一つの製剤であり、また形状を画定する切断線が設けられた複数個の製剤が行列状に配置されたフィルム状製剤の場合、その切断線に沿って分離された一つの製剤である。
【0027】
本発明で用いられる可食性水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、別名:ヒプロメロース)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム(CMC-Na、別名:カルメロース・ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース・カルシウム(CMC-Ca、別名:カルメロース・カルシウム)、カルボキシメチルセルロース・カリウム(CMC-K、別名:カルメロース・カリウム)、カルボキシメチルセルロース(CMC、別名:カルメロース)、ポリビニルピロリドン(PVP)、アルギン酸ナトリウム等が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、口腔内の唾液等の水分による溶解又は崩壊の制御、及び強度付与の観点から、特にHPC、HPMCが好適である。なお、HPC及びHPMCの粘度は特に限定されるものではないが、例えば、HPCの場合、20℃における2%水溶液の動粘度が2.0〜10mPa・s、特に3.0〜10mPa・sであるものが好ましく、HPMCの場合、20℃における2%水溶液の動粘度が3.0〜10mPa・s、特に3.0〜6mPa・sであるものが好ましい。かかる動粘度は、第15改正日本薬局方に記載の試験方法に基づく値である。
【0028】
粘膜付着層中の可食性水溶性高分子の含有量は、好ましくは60〜85質量%、更に好ましくは65〜80質量%、特に好ましくは65〜75質量%である。
第1及び第2の薬物層中の可食性水溶性高分子の各含有量は、好ましくは60〜85質量%、更に好ましくは65〜80質量%、特に好ましくは70〜80質量%である。
中間層中の可食性水溶性高分子の含有量は、好ましく60〜95質量%、更に好ましくは65〜93質量%、特に70〜90質量%である。
支持層中の可食性水溶性高分子の含有量は、好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは7〜25質量%、特に9〜20質量%である。
なお、単位製剤中の可食性水溶性高分子の含有量は、好ましくは50〜80質量%、更に好ましくは55〜75質量%、特に好ましくは60〜70質量%である。
【0029】
本発明で用いられる薬物としては、口腔内で粘膜投与が可能なものであれば特に限定されるものではない。具体的には、アラントイン、ニコチン、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、メシル酸ジヒドロエルゴトキシン、酒石酸ゾルピデム、フェノバルビタール、アモバルビタール、ブプレノルフィン、ニフェジピン、ニソルジピン、インドメタシン、ロキソプロフェンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ラベタロール、ニルブフィン、ペントキシフィリン、ピリドスチグリン、テルブタリン、ベラパミル、アテノロール、アシクロビル、ヒドララジン、プロクロルペラジン、セルトラリン、ジプラシドン、イトラコナゾール、フェンタニル化合物等が例示される。中でも、本発明の製剤が、喫煙時と同等のニコチン血中濃度に速やかに上昇させることが可能であることから、ニコチンが好適である。
【0030】
ニコチンとしては、当該技術分野において通常用いられているものを特に限定なく使用することができるが、市販品を使用してもよい。具体的には、ニコチンオイル、ニコチン・二酒石酸塩、ニコチン・クエン酸塩、ニコチン・サリチル酸塩、ニコチンとシクロデキストリン又は高分子樹脂とのニコチン複合体(例えば、ニコチン・ポラクリレックス)等が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、ニコチンオイル、ニコチン・二酒石酸塩、ニコチン・クエン酸塩及びニコチン・サリチル酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、特にニコチンオイルが好ましい。
【0031】
ニコチンは、遊離塩基形態及びイオン化形態のいずれの形態でも使用することができる。遊離塩基形態の場合は、有効ニコチン量は100質量%とみることができる。ニコチンオイルは、米国薬局方(USP28)で定められた規格に適合し、99質量%以上のニコチン遊離塩基を含んでなる医薬品グレードであり、下記で述べるニコチンイオン化形態の如く換算する必要はなく、そのまま有効成分量として使用することができる。
【0032】
ニコチンイオン化形態は、薬学的に酸添加が許容される塩又は金属塩である。「薬学的に酸添加が許容される塩」とは、硫酸、硝酸、りん酸等の無機塩や、クエン酸、酒石酸、サリチル酸等の有機塩で形成されるイオン化合物であり、「金属塩」とは、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオンの他、亜鉛イオン等の金属イオンで形成されるイオン化合物である。
イオン化形態の場合は、その分子量から算出される換算係数を用いて使用量を補正しなければならない。例えば、ニコチン・二酒石酸塩を使用する場合、その換算係数はニコチンの分子量/ニコチン・二酒石酸塩の分子量=162.23/498.44=0.325…≒0.325となる。したがって、ニコチン・二酒石酸塩1mgは、ニコチン0.325mgに相当する。
【0033】
単位製剤中の薬物の含有量は薬物の種類により適宜設定することが可能であるが、例えば、薬物がニコチンである場合、好ましくは0.1〜5mg、更に好ましくは0.3〜4mg、特に好ましくは0.4〜2mgであり、薬物層中のニコチンの含有量は好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは3〜35質量%、特に好ましくは4〜20質量%である。
【0034】
本発明で用いられる可食性水難溶性高分子としては、口腔内と同等のpH範囲を有し、かつ水に難溶であれば特に限定されるものではないが、例えば、デンプン、ゼラチン、トラガントガム、結晶セルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート及びポリアクリル酸エステルが例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、口腔内において唾液等の水分による溶解又は崩壊の抑制の観点から、特にHPMCPが好適である。
【0035】
単位製剤中の可食性水難溶性高分子の含有量は、好ましくは5〜20質量%、更に好ましくは6〜18質量%、特に好ましくは7〜15質量%である。
支持層中の可食性水難溶性高分子の含有量は、好ましくは50〜80質量%、更に好ましくは55〜75質量%、特に好ましくは60〜70質量%である。
【0036】
本発明に係る粘膜付着層、薬物層及び支持層には、必要により崩壊剤、賦形剤、着色剤、可塑剤、抗酸化剤、精油、香料等の各種添加剤を含有させることができる。
【0037】
崩壊剤としては、当該技術分野において常用され、かつ可食性であれば特に限定されるものではないが、例えば、糖類、カルメロース及びその塩、セルロース、デンプン、ショ糖脂肪酸エステル、ゼラチン、炭酸水素ナトリウム、デキストリン、デヒドロ酢酸及びその塩、ポビドン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、ポリソルベート)、ポリエチレングリコール(例えば、マクロゴール)、無水クエン酸等が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、製剤の崩壊性改善及び可塑性付与の観点から、糖類、マクロゴールが好適に用いられる。なお、ここでいう糖類とは、甘味度がショ糖の50倍未満である合成又は天然の砂糖代替物をいい、例えば、マンニトール、マルトース、トレハロース、還元麦芽糖水飴、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、ショ糖、フルクトース、ソルビトール、白糖、乳糖等が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、製剤の崩壊性改善の観点から、マンニトール、マルトース、マルチトール、トレハロース、還元麦芽糖水飴が好適に用いられる。
【0038】
賦形剤としては、当該技術分野において常用され、かつ可食性であれば特に限定されるものではないが、例えば、アメ粉、デンプン、果糖、カラメル、カンテン、キシリトール、クエン酸、グリセリン、パラフィン、セルロース、酸化チタン、酒石酸、ソルビトール、乳糖、白糖、ブドウ糖、プルラン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール(例えば、マクロゴール)、マルチトール、マルトース、マンニトール、トレハロース、リンゴ酸等が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、製品の外観及び製造時の作業性向上の観点から、酸化チタン、マンニトール、トレハロース、マクロゴールが好適に用いられる。
着色剤としては、当該技術分野において常用され、かつ可食性であれば特に限定されるものではないが、黄色三二酸化鉄、褐色酸化鉄、カラメル、黒酸化鉄、酸化チタン、三二酸化鉄、タール色素、アルミニウムレーキ色素、銅クロロフィリンナトリウム等が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、製品の外観及び製品イメージ向上の観点から、酸化チタンやアルミニウムレーキ色素が好適に用いられる。
【0039】
可塑剤としては、当該技術分野において常用され、かつ可食性であれば特に限定されるものではないが、例えば、グリセリン、ゴマ油、ソルビトール、ヒマシ油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリソルベート80[モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO)]、ポリエチレングリコール[特に、マクロゴール400(オキシエチレン単位の重合度nが7〜9、以下、同様)、マクロゴール600(nが11〜13)、マクロゴール1500(nが5〜6と、nが28〜36との等量混合物)、マクロゴール4000(nが59〜84)、マクロゴール6000(nが165〜210)]等が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、製造時の加圧によるフィルム層同士の密着性向上と製品への柔軟性付与の観点から、グリセリン、プロピレングリコール、マクロゴール400が好適に用いられる。
【0040】
抗酸化剤としては、当該技術分野において常用され、かつ可食性であれば特に限定されるものではないが、例えば、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、クエン酸、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、天然ビタミンE、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール等が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、薬物の安定性向上の観点から、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、エデト酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールが好適に用いられる。
【0041】
精油としては、上記清涼剤を除いたアニス油、ユーカリ油、オレンジ油、セージ油、タイム油、レモン油等が例示され、必要に応じて適宜添加することができる。なお、これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0042】
香料としては、例えば、バニラフレーバー、オレンジフレーバー、オレンジ皮フレーバー、ストロベリーフレーバー、ラズベリーフレーバー、チョコレートフレーバー、グレープフルーツフレーバー、クランベリーフレーバー、ウメフレーバー、コクトウフレーバー、ハーブフレーバー、コーヒーフレーバー、紅茶フレーバー、シナモンフレーバー、ハチミツレモンフレーバー等が例示される。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、製剤溶解時の清涼感及び爽快感の向上の観点から、オレンジフレーバー、グレープフルーツフレーバーが好適である。
【0043】
本発明において、各種添加剤の含有量は本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜設定することが可能であるが、例えば、単位製剤中の崩壊剤及び賦形剤の含有量は合計0〜49質量%が好ましい。更に、単位製剤中の可塑剤の含有量は0〜10質量%が好ましく、また単位製剤中の抗酸化剤の含有量は0〜10質量%が好ましい。
【0044】
本実施形態においては、説明の便宜上、口腔内粘膜貼付製剤が5層構造を有する場合について説明したが、本発明の口腔内粘膜貼付製剤はこれに限定されず5層を超える積層構造を有していてもよい。例えば、第1の薬物層及び/又は第2の薬物層に内側及び/又は外側に隣接させて別の機能層を設けることができる。このような層としては、エチルセルロースを主体とし、防湿のための防湿層等が例示される。なお、同一種の層を隣接して積層した場合、それらは互いに密着し一体となって同一の機能を奏するため、本発明においては実質的に一層として取り扱うものとする。また、第1の薬物層及び第2の薬物層の組成は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0045】
次に、本発明の口腔内粘膜貼付製剤の製造方法について説明する。
本発明の製剤は、公知の方法を採用して製造することが可能であり、例えば、特開2004−196784号公報、特開2004−043450号公報、特開平11−116469号公報等に記載の方法が例示される。
【0046】
本発明においては、下記工程(1)〜(11)を含む製造方法が好ましく採用される。
(1)矯味剤及び可食性水溶性高分子を含有する塗工液を樹脂フィルム上に直接塗布して所定厚さの粘膜付着層を形成する工程、
(2)工程(1)で形成された粘膜付着層上に薬物、嬌味剤及び可食性水溶性高分子を含有する塗工液を塗布して所定の厚さの第1の薬物層を有する中間製品Aを得る工程と、
(3)可食性水難溶性高分子を含有する塗工液を樹脂フィルム上に直接塗布して所定の厚さの支持層を形成する工程、
(4)工程(3)で形成された支持層上に薬物、嬌味剤及び可食性水溶性高分子を含有する塗工液を塗布して所定の厚さの第2の薬物層を有する中間製品Bを得る工程、
(5)可食性水溶性高分子及び矯味剤を含有する塗工液を樹脂フィルム上に直接塗布して所定の厚さの中間層を形成する工程、
(6)工程(5)で得られた中間層と、工程(2)で得られた中間製品Aを互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、両者を相互に密着させて中間製品Cを得る工程、
(7)工程(6)で得られた中間製品Cの中間層側の樹脂フィルムのみを剥離して中間製品Dを得る工程、
(8)工程(5)で得られた中間層と、工程(4)で得られた中間製品Bの第2の薬物層を互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、両者を相互に密着させて中間製品Eを得る工程、
(9)工程(8)で得られた中間製品Eの中間層側の樹脂フィルムのみを剥離して中間製品Fを得る工程、
(10)工程(7)で得られた中間製品Dの中間層と、工程(9)で得られた中間製品Fの中間層を互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧することにより、両者を密着させて中間製品Gを得る工程、
(11)工程(10)で得られた中間製品Gの両側にある樹脂フィルムのうちの少なくとも一方の樹脂フィルムを剥離する工程。
【0047】
なお、上述した工程(1)〜(5)においては、塗工液を樹脂フィルム上に塗布して乾燥させることにより形成できるが、その場合、例えば、特開2004−196784号公報に記載の塗工装置を使用することができる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン、セルローストリアセテート、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、トリアセテート、フッ素樹脂(ETFE、PFA、FEP)等の樹脂からなるフィルムから適宜選択して使用することができる。中でも、特にポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
塗工液の調製に使用する溶媒としては、水、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アミド又はこれらの混合物等を特に制限なく使用できるが、中でも、水、アルコール(特に、エタノール)、エステル(特に、酢酸エチル)又はこれら溶媒を組み合わせたもの(例えば、エタノール−水混合物、エタノール−酢酸エチル混合物)が好ましく使用される。
また、工程(6)〜(11)においては、特開2004−196784号、特開2005−80838号公報に記載の圧着装置を使用することができる。この場合、圧力を0.05〜1.5MPa、圧着させるべき層の温度を30〜70℃に調整し圧着し、その後樹脂フィルムを剥離するまで0℃以下にならないように圧着時よりも10℃以上低い温度に冷却することが好ましい。
【実施例】
【0048】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0049】
実施例1〜2、比較例1〜3の口腔内粘膜貼付製剤の厚さは、138μmで統一されている。
【0050】
[実施例1]
粘膜付着層、第1の薬物層、中間層、第2の薬物層及び支持層が順次積層された5層構造を有し、支持層以外の全ての層に無水クエン酸、サッカリンナトリウム及びl−メントールを含む口腔内粘膜貼付製剤(I)
水15gに無水クエン酸0.6g、サッカリンナトリウム0.6g、D−マンニトール0.6gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール15gにl−メントール0.2gを溶解させた溶液を加えた後、酸化チタン1gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7gを加え、粘膜付着層調製液を得た。
水5gにマクロゴール2.5gを混和させた。次いで、この液にエタノール20gに三二酸化鉄0.06gを分散させた溶液を加えた後、酸化チタン0.3gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート6.2g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1gを加え、支持層調製液を得た。
水30gにニコチンオイル2g、無水クエン酸1.2g、サッカリンナトリウム1.2g、D−マンニトール0.6gを溶解させた。次いで、この溶液にエタノール30gにl−メントール0.4gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7.3g、ヒドロキシプロピルセルロース7.3gを加え、薬物層調製液を得た。
水30gに無水クエン酸1.2g、サッカリンナトリウム1.2g、D−マンニトール3gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール30gにl−メントール0.4gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース14.2gを加え、中間層調製液を得た。
【0051】
各調製液を用いて、下記の手順により口腔内粘膜貼付製剤を作製した。
1)可食性中間製品11の製造工程
シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に粘膜付着層調製液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)に粘膜付着層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ23μmの可食性の粘膜付着層を形成した。次いで、粘膜付着層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸にセットし、粘膜付着層上に薬物層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ46μmの可食性の中間製品11を得た。
2)可食性の中間層の製造工程
両面をシリコーン剥離処理したPETフィルムを塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に中間層調製液を供給して、PETフィルムの表面に中間層調製液を塗布した。次いで、温風にて乾燥し厚さ23μmの可食性の中間層を形成した。
【0052】
3)可食性中間製品12の製造工程
シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に支持層調製液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)に支持層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ23μmの可食性の支持層を形成した。次いで、支持層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸にセットし、支持層上に薬物層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ46μmの可食性の中間製品12を得た。
4)圧着工程
中間製品11の薬物層と、工程2)で得られた中間層とが対向するように貼り合わせ、圧着温度70℃で両者を圧着し、二つのPETフィルム間に、粘膜付着層と、薬物層と、中間層の3層構造を有する中間製品13を得た。
【0053】
5)樹脂フィルム剥離工程
中間製品13の中間層側のPETフィルムのみを剥離し、中間製品14を得た。
6)圧着工程
中間製品12の薬物層と、工程2)で得られた中間層とが対向するように貼り合わせ、圧着温度70℃で両者を圧着し、二つのPETフィルム間に、支持層と、薬物層と、中間層の3層からなる中間製品15を得た。
7)樹脂フィルム剥離工程
中間製品15の中間層側のPETフィルムのみを剥離し、中間製品16を得た。
【0054】
8)圧着工程
中間製品14の中間層と中間製品16の中間層とが対向するように貼り合わせ、圧着温度70℃で両者を圧着し、二つのPETフィルム間に、粘膜付着層と、薬物層と、中間層と、薬物層と、支持層からなる5層構造の中間製品17を得た。
9)樹脂フィルム剥離工程
中間製品17の支持層側のPETフィルムのみを剥離し、中間製品18を得た。
10)打ち抜き工程
中間製品18を、円形φ12mmのカッターを用いて、PETフィルムの裏面まで到達しないように打ち抜き、厚さ138μmの口腔内粘膜貼付製剤(I)を得た。
【0055】
[実施例2]
粘膜付着層、第1の薬物層、中間層、第2の薬物層及び支持層が順次積層された5層構造を有し、支持層以外の全ての層に無水クエン酸、サッカリンナトリウム及びl−メントールを含む口腔内粘膜貼付製剤(II)
水15gに無水クエン酸0.6g、サッカリンナトリウム0.6g、トレハロース0.6gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール15gにl−メントール0.2gを溶解させた溶液を加えた後、酸化チタン1gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7gを加え、粘膜付着層調製液を得た。
水5gにマクロゴール2.5gを混和させた。次いで、この液にエタノール20gに三二酸化鉄0.06gを分散させた溶液を加えた後、酸化チタン0.3gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート6.2g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1gを加え、支持層調製液を得た。
水30gにニコチンオイル2g、無水クエン酸1.2g、サッカリンナトリウム1.2gを溶解させた。次いで、この溶液にエタノール30gにl−メントール0.4gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7.3g、ヒドロキシプロピルセルロース7.3gを加え、薬物層調製液を得た。
水30gに無水クエン酸1.2g、サッカリンナトリウム1.2gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール30gにl−メントール0.4gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース14.2gを加え、中間層調製液を得た。
各調製液を用いて、実施例1と同様の操作により口腔内粘膜貼付製剤(II)を得た。
【0056】
実施例群の単位製剤(口腔内粘膜貼付製剤1枚)当たりの組成を表1及び2に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
[比較例1]
粘膜付着層、薬物層及び支持層が順次積層された3層構造を有し、支持層以外の全ての層に無水クエン酸、サッカリンナトリウム及びl−メントールを含む口腔内粘膜貼付製剤
水15gに無水クエン酸1.5g、サッカリンナトリウム1.5g、D−マンニトール1.5gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール15gにl−メントール0.5gを溶解させた溶液を加えた後、酸化チタン2.5gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース17.5gを加え、粘膜付着層調製液を得た。
水5gにマクロゴール2.5gを混和させた。次いで、この溶液にエタノール20gに三二酸化鉄0.06gを分散させた溶液を加えた後、酸化チタン0.3gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート6.2g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1gを加え、支持層調製液を得た。
水30gにニコチンオイル2.0g、無水クエン酸1.5g、サッカリンナトリウム1.5g、D−マンニトール0.75gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール30gにl−メントール0.5gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース9.38g、ヒドロキシプロピルセルロース9.38gを加え、薬物層調製液を得た。
【0059】
各調製液を用いて、下記の手順により口腔内粘膜貼付製剤を作製した。
1)可食性中間製品101の製造工程
シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に粘膜付着層調製液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)に粘膜付着層調製液を塗布した。次いで、温風にて乾燥し厚さ58μmの可食性の粘膜付着層を形成した。次いで、粘膜付着層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸にセットし、粘膜付着層上に薬物層調製液を塗布した。次いで、温風にて乾燥し厚さ86μmの可食性の中間製品101を形成した。
2)可食性中間製品102の製造工程
シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に支持層調製液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)に支持層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ23μmの可食性の支持層を形成した。次いで、支持層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸にセットし、支持層上に薬物層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ52μmの可食性の中間製品102を形成した。
【0060】
3)圧着工程
中間製品101と中間製品102の薬物層同士が対向するように貼り合わせ、圧着温度70℃で両者を圧着し、2つのPETフィルム間に、粘膜付着層と、薬物層と、支持層の3層構造の中間製品103を得た。
4)樹脂フィルム剥離工程
中間製品103の支持層側のPETフィルムのみを剥離し、中間製品104を得た。
5)打ち抜き工程
中間製品104を、円形φ12mmのカッターを用いて、PETフィルムの裏面まで到達しないように打ち抜き、厚さ138μmの口腔内粘膜貼付製剤を得た。
【0061】
[比較例2]
粘膜付着層、薬物層及び支持層が順次積層された3層構造を有し、薬物層のみに無水クエン酸、サッカリンナトリウム及びl−メントールを含む口腔内粘膜貼付製剤
水15gにD−マンニトール1.5gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール15gを加えた後、酸化チタン2.5gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース21gを加え、粘膜付着層調製液を得た。
水30gにニコチンオイル2.0g、無水クエン酸3g、サッカリンナトリウム3g、D−マンニトール0.75gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール30gにl−メントール1gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7.63g、ヒドロキシプロピルセルロース7.63gを加え、薬物層調製液を得た。
水5gにマクロゴール2.5gを混和させた。次いで、この溶液に、エタノール20gに三二酸化鉄0.06gを分散させた溶液を加えた後、酸化チタン0.3gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート6.2g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1gを加え、支持層調製液を得た。
各調製液を用いて、比較例1と同様の操作により口腔内粘膜貼付製剤を得た。
【0062】
[比較例3]
粘膜付着層、第1の薬物層、中間層、第2の薬物層及び支持層が順次積層された5層構造を有し、支持層以外の全ての層に無水クエン酸、サッカリンナトリウム及びl−メントールを含み、支持層は水難溶性高分子を含まない口腔内粘膜貼付製剤
水15gに無水クエン酸0.6g、サッカリンナトリウム0.6g、D−マンニトール0.6gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール15gにl−メントール0.2gを溶解させた溶液を加えた後、酸化チタン1gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7gを加え、粘膜付着層調製液を得た。
水5gにマクロゴール2.5gを混和させた。次いで、この液にエタノール20gに三二酸化鉄0.06gを分散させた溶液を加えた後、酸化チタン0.3gを加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7.2gを加え、支持層調製液を得た。
水30gにニコチンオイル2g、無水クエン酸1.2g、サッカリンナトリウム1.2g、D−マンニトール0.6gを溶解させた。次いで、この溶液にエタノール30gにl−メントール0.4gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース7.3g、ヒドロキシプロピルセルロース7.3gを加え、薬物層調製液を得た。
水30gに無水クエン酸1.2g、サッカリンナトリウム1.2g、D−マンニトール3gを溶解させた。次いで、この溶液に、エタノール30gにl−メントール0.4gを溶解させた溶液を加えた。そして、この溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロース14.2gを加え、中間層調製液を得た。
【0063】
各調製液を用いて、下記の手順により口腔内粘膜貼付製剤を作製した。
1)可食性中間製品201の製造工程
シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に粘膜付着層調製液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)に粘膜付着層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ23μmの可食性の粘膜付着層を形成した。次いで、粘膜付着層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸にセットし、粘膜付着層上に薬物層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ46μmの可食性の中間製品201を得た。
2)可食性の中間層の製造工程
両面をシリコーン剥離処理したPETフィルムを塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に中間層調製液を供給して、PETフィルムの表面にに中間層調製液を塗布した。次いで、温風にて乾燥し厚さ23μmの可食性の中間層を形成した。
【0064】
3)可食性中間製品202の製造工程
シリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を塗工機巻き出し軸にセットし、ダム部に支持層調製液を供給して、PETフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)に支持層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ23μmの可食性の支持層を形成した。次いで、支持層を形成したPETフィルムを再度巻き出し軸にセットし、支持層上に薬物層調製液を塗布した後、温風にて乾燥し厚さ46μmの可食性の中間製品202を得た。
4)圧着工程
中間製品201の薬物層と、工程2)で得られた中間層とが対向するように貼り合わせ、圧着温度70℃で両者を圧着し、二つのPETフィルム間に、粘膜付着層と、薬物層と、中間層の3層構造を有する中間製品203を得た。
【0065】
5)樹脂フィルム剥離工程
中間製品203の中間層側のPETフィルムのみを剥離し、中間製品204を得た。
6)圧着工程
中間製品202の薬物層と、工程2)で得られた中間層とが対向するように貼り合わせ、圧着温度70℃で両者を圧着し、二つのPETフィルム間に、支持層と、薬物層と、中間層の3層からなる中間製品205を得た。
7)樹脂フィルム剥離工程
中間製品205の中間層側のPETフィルムのみを剥離し、中間製品206を得た。
【0066】
8)圧着工程
中間製品204の中間層と中間製品206の中間層とが対向するように貼り合わせ、圧着温度70℃で両者を圧着し、二つのPETフィルム間に、粘膜付着層と、薬物層と、中間層と、薬物層と、支持層からなる5層構造の中間製品207を得た。
9)樹脂フィルム剥離工程
中間製品207の支持層側のPETフィルムのみを剥離し、中間製品208を得た。
10)打ち抜き工程
中間製品208を、円形φ12mmのカッターを用いて、PETフィルムの裏面まで到達しないように打ち抜き、厚さ138μmの口腔内粘膜貼付製剤を得た。
【0067】
比較例群の単位製剤(口腔内粘膜貼付製剤1枚)当たりの組成を表2に示す。
【0068】
【表2】

【0069】
喉ごしに関する味覚官能試験
各実施例及び比較例で得られた製剤を6人のパネラーが服用し、服用後の喉ごしを下記の基準で評価した。評価は、最も喉に刺激を感じなかった製剤を「1点」、最も喉に刺激を感じた製剤を「5点」とする5段階で行い、6人の評点の平均値をもって判断した。その結果を表3に示す。
【0070】
【表3】

【0071】
表3に示すように、服用後の喉ごしの評点は、支持層以外の全ての層に嬌味剤を含む5層型の実施例1及び2の製剤ではそれぞれ1.8点、1.7点であったが、支持層以外の全ての層に嬌味剤を含む3層型の比較例1の製剤では3.2点であり、また薬物層のみに嬌味剤を含む比較例2の製剤では4.0点であった。このことから、薬物層の間に中間層を設けた5層構造を持ち、かつ支持層以外の全ての層に嬌味剤を含有することは、薬物由来の刺激を緩和する上で有効であると考えられる。
また、支持層が水難溶性高分子を含まない5層型の比較例3の製剤では4.3点であることから、最外層である支持層が水難溶性高分子を含有することは、口腔内への薬物の過度な放出を抑制して薬物由来の刺激を緩和可能な点、口腔内粘膜吸収を効率的に促進する上で有効であると考えられる。
【0072】
各実施例及び比較例で得られた製剤について、下記の水への崩壊性試験及び口腔内崩壊試験を行った。その結果を表4に示す。
【0073】
水崩壊性試験
円形φ12mmのサイズに裁断した試験片を採取し、それを試験液(精製水900mL)に入れ、第15改正日本薬局方 [B]一般試験法 6.製剤試験法 6.10溶出試験法 パドル法(P587)にしたがって、シンカーを使用し毎分50回転で試験を行った。試験開始後60分まで5分ごとに試験液を採取し、液体クロマトグラフィーにて薬物溶出率が95質量%以上となった時を水崩壊時間とした。
【0074】
口腔内崩壊試験
円形φ12mmのサイズに裁断した試験片を採取し、それを健康な成人の口腔内粘膜に貼付後、試験片が口腔内の唾液のみで完全に溶解するまでの時間を測定した。試験は6名のパネラーの服用に要した時間を平均し、その値を口腔内崩壊時間とした。
【0075】
【表4】

【0076】
表3及び4から、比較例1の製剤は適度な放出速度で持続的に薬物を血中へ吸収させることが可能であるが、服用時に不快感があり、また比較例2の製剤は薬物の放出速度が遅いだけでなく服用時に不快感があり、更に比較例3の製剤は薬物の放出速度が最も速いが服用時の不快感が最も強いものであった。これに対し、実施例1及び2の製剤は、適度な放出速度を有しながら持続的に薬物を放出することが可能であり、しかも服用時の不快感が緩和されていた。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の口腔内粘膜貼付製剤の一実施形態を示し、図1(a)は製剤10の平面図であり、図1(b)は製剤10のI−I線に沿って取られた断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 :粘膜付着層
2 :支持層
3 :薬物層(3a:第1の薬物層、3b:第2の薬物層)
4 :中間層
10:口腔内粘膜貼付製剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内粘膜に付着し、矯味剤及び可食性水溶性高分子を含有する粘膜付着層と、
前記粘膜付着層の反対側の最外層に配置され、可食性水難溶性高分子を含有する支持層と、
前記粘膜付着層と前記支持層の間に配置され、薬物、矯味剤及び可食性水溶性高分子を含有する少なくとも2つの薬物層と、
前記薬物層の間に配置され、可食性水溶性高分子及び矯味剤を含有する中間層と
を備える、口腔内粘膜貼付製剤。
【請求項2】
粘膜付着層、薬物層、中間層、薬物層及び支持層が順次積層された5層構造を有するものである、請求項1記載の口腔内粘膜貼付製剤。
【請求項3】
前記支持層が可食性水溶性高分子を更に含有するものである、請求項1又は2記載の口腔内粘膜貼付製剤。
【請求項4】
前記矯味剤が酸味剤、高甘度甘味剤及び清涼剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の口腔内粘膜貼付製剤。
【請求項5】
前記酸味剤がアスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載の口腔内粘膜貼付製剤。
【請求項6】
前記高甘度甘味剤がアスパルテーム、ステビア、スクラロース、グリチルリチン酸、ソーマチン、アセスルファムカリウム、サッカリン及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載の口腔内粘膜貼付製剤。
【請求項7】
前記清涼剤がウイキョウ油、カンフル、ハッカ油、ハッカ水、ミント、ペパーミント及びメントールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載の口腔内粘膜貼付製剤。
【請求項8】
前記可食性水溶性高分子がヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、カルボキシメチルセルロース・カリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びアルギン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の口腔内粘膜貼付製剤。
【請求項9】
前記可食性水難溶性高分子がデンプン、ゼラチン、トラガントガム、結晶セルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート及びポリアクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の口腔内粘膜貼付製剤。
【請求項10】
前記薬物がニコチンである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の口腔内粘膜貼付製剤。
【請求項11】
口腔内において2〜15分で崩壊するものである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の口腔内粘膜貼付製剤。
【請求項12】
水に対する崩壊時間が5〜25分である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の口腔内粘膜貼付製剤。

【図1】
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【公開番号】特開2010−138124(P2010−138124A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316733(P2008−316733)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000161714)救急薬品工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】