説明

古紙破砕装置

【課題】 紙中に含有する繊維質を分断せずに有効的に残す為、安全・安価で、コンパクトで、誰もが簡単に効率良く、縦長形状に細断可能な小型古紙破砕装置を開発・提供する事にある。
【解決手段】 前面側に古紙(NP)を投入するための投入口(1a')を設けた、ほぼ箱状の装置本体と、該装置本体の下方部に位置し、且つ、左右水平方向に、所定間隔で前後方向に複数列並設して、古紙を破砕するチェーンソー用の刃付チェーン(12)と、装置本体の左右両端下方部の前後方向に、複数の回転刃をそれぞれ軸着して設けた連接回転刃(7)と、駆動用電動モートル等の回転手段(MO)と、回転手段の駆動軸部に連結した従動軸部(3a)及び遊動軸部(3b)と、刃付チェーンの張り調整を行う為、刃付チェーンの下方に複数設けたチェーン張り調整装置(8)と、古紙を一定の力で下方側に押圧する為の押圧装置から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、新聞紙や雑誌等の古紙(NP)を用い、該古紙に含まれる繊維質を分断せずに、繊維の長手方向に沿って、古紙を細長に破砕する古紙破砕装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プライバシーの保護や情報の漏洩防止の為に、使用されている古紙破砕機は、回転刃を使用して古紙を細断することが、一般的である。この場合、古紙は細片化することが可能であるが、繊維が短く切断されており、紙の強度低下を招いたり、製造段階で繊維の流出を招くため、再生紙の原料として利用されずに、そのまま焼却処分されることが多い。
【0003】
そこで、上記問題を解決する為、紙中に含有する繊維質を分断せずに有効的に残す為、安全・安価で、誰もが簡単に効率良く、縦長形状に細断可能な古紙破砕装置を早期に開発することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
これまでに、出願されている古紙破砕装置に関する特許文献を参考のため、紹介する(特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特許公開2008−133559
【特許文献2】特許公開平9−059887
【特許文献3】特許公開平7−241490
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、上記課題を解決する為に、この発明は紙中に含有する繊維質を分断せずに有効的に残す為、安全・安価で、コンパクトで、誰もが簡単に効率良く、縦長形状に細断可能な古紙破砕装置を開発・提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決する為の手段として、ケース本体には、古紙を投入する投入口を、ケース本体の側面の一に形成すると共に、該ケース本体内部の下部には、所定間隔を保ち、且つ、古紙と同方向に、複数のチェーンソー用の刃付チェーンを並列して設け、これらチェーンソー用の刃付チェーンに、複数の連接回転刃をそれぞれ連接して設け、これら刃付チェーン及び連接回転刃を、動力による駆動手段で駆動させ、該駆動手段の駆動軸部に軸着した従動軸部並びに遊動軸部と、前記刃付チェーンの張り調整のための、刃付チェーンの張り調整装置と、古紙を一定の圧力で下方向に押圧する押圧装置とを設けたものである。
【0007】
又、複数の連接回転刃は、古紙の折り目の肉厚部を破砕させるため、ケース本体の内部側面の両端に、内向き方向にそれぞれ回転するよう設けたものである。
【0008】
又、左右水平前後方向に複数並設した刃付チェーンの回転方向を、一台の駆動用電動モートル等の駆動手段と、該駆動手段の駆動軸と軸着した従動軸及び遊動軸と、複数の連結部材により左右交互に駆動させるものである。
【0009】
又、チェーンソー用の刃付チェーン及び連接回転刃を、電気的制御装置を用いて、定期的に自動逆回転させるものである。
【0010】
又、押圧装置は、スプリング等の弾性体や、電動アクチュエータ、エアシリンダ、オイルシリンダ等の動力手段から選ばれたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の効果として、ケース本体には、古紙を投入する投入口を、ケース本体の側面の一に形成すると共に、該ケース本体内部の下部には、所定間隔を保ち、且つ、古紙と同方向に、複数のチェーンソー用の刃付チェーンを並列して設け、これらチェーンソー用の刃付チェーンに、複数の連接回転刃をそれぞれ連接して設け、これら刃付チェーン及び連接回転刃を、動力による駆動手段で駆動させ、該駆動手段の駆動軸部に軸着した従動軸部並びに遊動軸部と、前記刃付チェーンの張り調整のための、刃付チェーンの張り調整装置と、古紙を一定の圧力で下方向に押圧する押圧装置とを設け、又、複数の連接回転刃は、古紙の折り目の肉厚部を破砕させるため、ケース本体の内部側面の両端に、内向き方向にそれぞれ回転するよう設け、又、左右水平前後方向に複数並設した刃付チェーンの回転方向を、一台の駆動用電動モートル等の駆動手段と、該駆動手段の駆動軸と軸着した従動軸及び遊動軸と、複数の連結部材により左右交互に駆動させ、又、チェーンソー用の刃付チェーン及び連接回転刃を、電気的制御装置を用いて、定期的に自動逆回転させ、又、押圧装置は、スプリング等の弾性体や、電動アクチュエータ、エアシリンダ、オイルシリンダ等の動力手段から選ばれたことで、安全・安価で、コンパクトで、誰もが簡単に効率良く、縦長形状に細断可能な古紙破砕装置を小型の古紙再生装置に内蔵することによって、紙中に含有する繊維質を分断せずに有効的に残し、且つ、排出元で強度のある再生紙を製造することが可能と成り、且つ、古紙のリサイクル率の向上に大きく寄与する等、極めて有益なる効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施例を示し、正面図である。
【図2】この発明の一実施例を示し、一部欠截右側面図である。
【図3】この発明の一実施例を示し、一部欠截左側面図である。
【図4】この発明の一実施例を示し、背面図である。
【図5】この発明の一実施例を示し、図2のa−a矢視断面図である。
【図6】この発明の一実施例を示し、図2のb−b矢視断面図である。
【図7】この発明の使用例を示し、古紙装着時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明を実施するための形態として、新聞紙や雑誌等の古紙(NP)を用い、該古紙に含まれる繊維質を分断せずに、繊維の長手方向に沿って、古紙を細長に破砕する破砕装置であって、ケース本体(1)には、古紙を投入する投入口(1a')を、ケース本体(1)の側面の一に形成すると共に、該ケース本体(1)内部の下部には、所定間隔(P)を保ち、且つ、古紙と同方向に、複数のチェーンソー用の刃付チェーン(12)を並列して設け、これらチェーンソー用の刃付チェーン(12)に、複数の連接回転刃(7)をそれぞれ連接して設け、これら刃付チェーン(12)及び連接回転刃(7)を、動力による駆動手段(MO)で駆動させ、該駆動手段(MO)の駆動軸部に軸着した従動軸部並びに遊動軸部と、前記刃付チェーン(12)の張り調整のための、刃付チェーン(12)の張り調整装置(8)と、古紙(NP)を一定の圧力で下方向に押圧する押圧装置(Y)とを設けたことを特徴とする古紙破砕装置から構成される。
【0014】
又、複数の連接回転刃(7)は、古紙の折り目の肉厚部を破砕させるため、ケース本体(1)の内部側面の両端に、内向き方向にそれぞれ回転するよう設けたことを特徴とする古紙破砕装置から構成される。
【0015】
又、左右水平前後方向に複数並設した刃付チェーン(12)の回転方向を、一台の駆動用電動モートル等の駆動手段(MO)と、該駆動手段の駆動軸と軸着した従動軸及び遊動軸と、複数の連結部材により左右交互に駆動させることを特徴とする古紙破砕装置から構成される。
【0016】
又、チェーンソー用の刃付チェーン(12)及び連接回転刃(7)を、電気的制御装置(X)を用いて、定期的に自動逆回転させることを特徴とする古紙破砕装置から構成される。
【0017】
又、押圧装置(Y)は、スプリング等の弾性体や、電動アクチュエータ、エアシリンダ、オイルシリンダ等の動力手段から選ばれたものであることを特徴とする古紙破砕装置から構成される。
【実施例1】
【0018】
そこで、この発明の一実施例を図1〜図6に基づいて詳述すると、まずケース本体(1)の外形寸法は、横幅寸法約340mm×縦寸法約220mm×高さ寸法約430mmのほぼ箱状に形成され、前面平板(1a)には、古紙を投入するための古紙投入口(1a')が設けられ、背面平板(1b)の右上端部にはL字状の切り欠き部(1b')が設けられ、又、左右側面板(1b)(1c)の両端はコの字状に折り曲げ形成し、前記、前面平板(1a)及び背面平板(1b)とボルト(B)・ナット(N)・ワッシャー(W)等の係止部材で一体に組み付けて箱状を形成している。又、更にケース本体(1)の強度を保持する為、四角の前面平板(1a)と背面平板(1b)の中間部に円筒状挟着金具(1e)を挟着し、前後をスタッドボルト(SB)とナット(N)でそれぞれ係止している。
【0019】
そして、ケース本体(1)の背面平板(1b)の内面左上には、駆動軸側が後方側に突出するようにして駆動用電動モートル等の駆動手段(MO)を軸着して設け、且つ、駆動軸部には、二列歯付スプロケット(4d)を嵌着して設け、且つ、該ケース本体(1)の下方左右には、ローラー・チェーン(9)(10)で従動連結した従動軸部(3a)(3c),(3a)(3c)をそれぞれ軸着し、該従動軸部(3a)(3c)は前面平板(1a)と背面平板(1b)の表面側に螺着した軸受部(2)(2),(2)(2)にそれぞれ嵌挿して設けられている。
【0020】
又、図2・図3に示すように、ケース本体(1)の左右両端部の前後水平方向には6枚の連接回転刃(7)を従動軸部(3c)にそれぞれ軸着し、駆動軸(MO')と従動軸(3a)をそれぞれ連結するローラー・チェーン(9)(10)の外側に外接させて、従動軸(3a)の回転方向(下向き方向)と反対方向(上向き方向)に回転するように軸支されている。
【0021】
又、図5・図6に示すように、ケース本体(1)の下方部に位置し、且つ、左右水平方向に、所定間隔(P)で前後方向に刃付チェーン(12)を七列並設して設け、該刃付チェーンの回転方向は、前面側から上向き・下向きの順に、交互に回転するように構成されている。そして、刃付チェーン(12)の下方中央には、アジャスター(8a)と、スプリング(8b)と、ワッシャー(8c)と、ナット(8d)を組み合せたチェーン張り調整装置(8)をそれぞれ設けている。そして、更に、刃付チェーン(12)の上部下面と、下部上面を、14枚の刃付チェーンガイド(18)(19)でガイドして、刃付チェーン(12)が円滑に回転するよう配慮されている。
【0022】
又、上記連接回転刃(7)及び刃付チェーン(12)は、古紙を破砕する際の目詰まり防止の為、駆動手段(MO)の駆動軸部(MO')の回転方向を電気的制御装置(X)により、任意の間隔で定期的に正・逆交互に回転するよう設けられている。
【0023】
次に、図5・図6に示すように、ケース本体(1)の中心部には、古紙(NP)を下向き方向に押圧して効率良く破砕する為に、押圧用スプリング(13)と、インナーケース(14)と、アウターケース(15)を組み合わせた押圧装置(Y)を設け、且つ、インナーケース(14)の四角にワイヤー(16)を係止し、且つ、押圧装置を引き上げる時は、ワイヤー(16)を、上部に設けた滑車を経由して中央部に集中させて引き上げる。又、古紙を押圧する時は、引き上げたワイヤー(16)を緩めることで、スプリング(13)の力が作用して古紙(NP)は下方へ均一の力で押圧される。そして、押圧装置(Y)のインナーケース(14)が、刃付チェーン(12)の上面部に達する手前で、リミットスィッチ(LS)が作動して、駆動用電動モートル等の駆動手段(MO)が停止する。
【0024】
次に、本古紙破細装置の簡単な作業手順について説明すると、まずケース本体(1)の前面に設けた古紙投入口(1a')から古紙(NP)を水平方向に投入し、押圧装置(Y)と刃付チェーン(12)の間にセットする。そして、電源ボタンを押すと、駆動用電動モートル(MO)が作動し、刃付チェーン(12)及び連接回転刃(7)が回転し、同時に押圧装置(Y)のインナーケース牽引装置が解除され、押圧装置(Y)内のスプリング(13)の力が下向きに働いて、セットした古紙(NP)が下方に押されて刃付チェーン(12)に圧接され、破砕を開始する。又、それと同時に左右両端に設けた連接回転刃(7)が装置中央方向に回転することにより、古紙両端の折り目肉厚部が破砕される。そして、破砕装置可動中は、破砕された古紙(NP)が連接回転刃(7)に巻き付くことを防止するため、電気的制御装置(X)により、駆動用電動モートル(MO)の回転方向を定期的に正・逆交互に回転させるように成っている。そして、破砕された古紙(NP)は、左右両端の連接回転刃(7)の下部より、下方向に排出され、一定量の古紙の破砕が終了し、押圧装置(Y)のインナーケース(14)先端が刃付チェーン(12)の上面付近に達したら、リミットスィッチ(LS)が作動して駆動用電動モートル(MO)が作動を停止し、刃付チェーン(12)及び連接回転刃(7)がそれぞれ回転を停止し、同時に押圧装置(Y)のインナーケース牽引装置が作動してインナーケース(14)が上昇して最上部で停止する。
【産業上の利用可能性】
【0025】
この発明の古紙破砕装置は、紙中に含有する繊維質を分断せずに有効的に残す為、安全・安価で、コンパクトで、誰もが簡単に効率良く、縦長形状に細断可能な為、多くのリサイクル業者及び関連市場に寄与する点で産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0026】
1 ケース本体
1a 前面平板
1a' 古紙投入口
1b 背面平板
1b' L字状切り欠き部
1c コの字状左側面板
1c' 門型状切り欠き部
1d コの字状右側面板
1d' 門型状切り欠き部
1e 円筒状挟着金具
2 軸受
3a 従動軸
3b 遊動軸
3c 従動軸
4a スプロケット(従動軸部)
4a' ガイドローラー(従動軸部)
4c スプロケット(遊動軸部)
4d 二列歯付スプロケット(駆動軸部)
5 ガイドローラー(従動軸部)
6 ガイドローラー(従動軸部)
7 連接回転刃
8 チェーン張り調整装置(刃付チェーン用)
8a アジャスター
8b スプリング
8c ワッシャー
8d ナット
9 ローラー・チェーン
10 ローラー・チェーン
11 チェーン張り調整装置(ローラー・チェーン用)
12 刃付チェーン
13 スプリング(古紙押圧用)
14 インナーケース
15 アウターケース
16 ワイヤー
17 滑車
18 刃付チェーンガイド(上部)
19 刃付チェーンガイド(下部)
B ボルト
LS リミットスィッチ
SB スタッドボルト
MO 駆動用電動モートル等の駆動手段
MO' 駆動軸
N ナット
NP 古紙
P 所定間隔
W ワッシャー
X 電気的制御装置
Y 押圧装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
新聞紙や雑誌等の古紙(NP)を用い、該古紙に含まれる繊維質を分断せずに、繊維の長手方向に沿って、古紙を細長に破砕する破砕装置であって、ケース本体(1)には、古紙を投入する投入口(1a')を、ケース本体(1)の側面の一に形成すると共に、該ケース本体(1)内部の下部には、所定間隔(P)を保ち、且つ、古紙と同方向に、複数のチェーンソー用の刃付チェーン(12)を並列して設け、これらチェーンソー用の刃付チェーン(12)に、複数の連接回転刃(7)をそれぞれ連接して設け、これら刃付チェーン(12)及び連接回転刃(7)を、動力による駆動手段(MO)で駆動させ、該駆動手段(MO)の駆動軸部に軸着した従動軸部並びに遊動軸部と、前記刃付チェーン(12)の張り調整のための、刃付チェーン(12)の張り調整装置(8)と、古紙(NP)を一定の圧力で下方向に押圧する押圧装置(Y)とを設けたことを特徴とする古紙破砕装置。
【請求項2】
複数の連接回転刃(7)は、古紙の折り目の肉厚部を破砕させるため、ケース本体(1)の内部側面の両端に、内向き方向にそれぞれ回転するよう設けたことを特徴とする請求項1記載の古紙破砕装置。
【請求項3】
左右水平前後方向に複数並設した刃付チェーン(12)の回転方向を、一台の駆動用電動モートル等の駆動手段(MO)と、該駆動手段の駆動軸と軸着した従動軸及び遊動軸と、複数の連結部材により左右交互に駆動させることを特徴とする請求項1又は2記載の古紙破砕装置。
【請求項4】
チェーンソー用の刃付チェーン(12)及び連接回転刃(7)を、電気的制御装置(X)を用いて、定期的に自動逆回転させることを特徴とする請求項1又は2又は3記載の古紙破砕装置。
【請求項5】
押圧装置(Y)は、スプリング等の弾性体や、電動アクチュエータ、エアシリンダ、オイルシリンダ等の動力手段から選ばれたものであることを特徴とする請求項1記載の古紙破砕装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−36537(P2012−36537A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180006(P2010−180006)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(592250414)株式会社テックコーポレーション (24)
【Fターム(参考)】