説明

可動キャリパ型ディスクブレーキ装置

【課題】可動キャリパ型ディスクブレーキ装置において、ディスクロータの内外両側に配置されるパッドの無用な移動を抑えて、ブレーキ鳴き、異音の発生を抑制する。
【解決手段】可動キャリパ型ディスクブレーキ装置において、マウンティング40には、インナートルクブロック81,82とアウタートルクブロック91,92がそれぞれ移動不能に組付けられている。インナートルクブロック81,82にはインナーパッド51が、また、アウタートルクブロック91,92にはアウターパッド52が、それぞれロータ径方向およびロータ周方向への移動を規制されロータ軸方向への移動を許容された状態で支持されている。インナーパッド側では、制動力がインナートルクブロック81,82を介してマウンティング40にて受承され、アウターパッド側では制動力がアウタートルクブロック91,92を介してマウンティング40にて受承される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクブレーキ装置に係り、特に、インナーパッドをディスクロータに向けて押動可能なピストンをロータ軸方向へ移動可能に支持するシリンダ部とアウターパッドを前記ディスクロータに向けて押動可能なリアクション部とを有するキャリパが、ピンスライド手段を介してマウンティングにロータ軸方向へ移動可能に支持され、前記インナーパッドと前記アウターパッドが、前記マウンティングにロータ軸方向へ移動可能に支持されていて、前記インナーパッドと前記アウターパッドが前記ディスクロータに向けてロータ軸方向に押動・押圧されることにより前記ディスクロータに摺接して生じる制動力が前記マウンティングにて受承されるように構成されている可動キャリパ型ディスクブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のディスクブレーキ装置は、例えば、下記特許文献1に示されていて、この可動キャリパ型ディスクブレーキ装置においては、前記インナーパッドと前記マウンティング間および前記アウターパッドと前記マウンティング間に、それぞれリテーナが介装されている。各リテーナは、薄板のプレス品であり、各パッドをディスクロータの中心方向に付勢する弾性爪部を有している。
【特許文献1】実開平3−48136号公報
【発明の開示】
【0003】
上記した特許文献1に記載されている可動キャリパ型ディスクブレーキ装置においては、各パッド(インナーパッドとアウターパッド)がマウンティングに対してロータ軸方向、ロータ周方向、ロータ径方向に移動可能に支持されていて、リテーナの弾性爪部によってディスクロータの中心方向に付勢されてはいるものの、制動時には、リテーナにおける弾性爪部のばね特性により各パッドの自励振動が生じ、これに起因してブレーキ鳴きが生じるおそれがある。また、各パッドがマウンティングに対してロータ軸方向、ロータ周方向、ロータ径方向に移動可能に支持されているため、各パッドがマウンティングに対して無用に移動して異音(ラトル音・クロンク音等)が生じるおそれがある。
【0004】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、上記したように構成されている可動キャリパ型ディスクブレーキ装置において、前記マウンティングに移動不能に組付けられて前記インナーパッドをロータ径方向およびロータ周方向への移動を規制しロータ軸方向への移動を許容した状態で支持するインナートルクブロックが設けられるとともに、前記マウンティングに移動不能に組付けられて前記アウターパッドをロータ径方向およびロータ周方向への移動を規制しロータ軸方向への移動を許容した状態で支持するアウタートルクブロックが設けられていて、前記インナーパッド側では前記制動力が前記インナートルクブロックを介して前記マウンティングにて受承され、前記アウターパッド側では前記制動力が前記アウタートルクブロックを介して前記マウンティングにて受承されるように構成されていることに特徴がある。
【0005】
本発明による可動キャリパ型ディスクブレーキ装置においては、マウンティングに移動不能に組付けられているインナートルクブロック(プレス品に比して高剛性であるもの)に、インナーパッドをロータ径方向およびロータ周方向への移動を規制しロータ軸方向への移動を許容した状態(ディスクロータの半径方向および回転方向には無用に移動しない状態)で取付けることが可能である。このため、インナーパッドの無用な移動を抑えるためのばね部材が不要であって、シンプルかつ安価に構成することが可能であるとともに、ばね部材のばね特性によるインナーパッドのマウンティングに対する動きに起因したブレーキ鳴きや異音(ラトル音・クロンク音等)の発生を抑制することが可能である。
【0006】
また、マウンティングに移動不能に組付けられているアウタートルクブロック(プレス品に比して高剛性であるもの)に、アウターパッドをロータ径方向およびロータ周方向への移動を規制しロータ軸方向への移動を許容した状態(ディスクロータの半径方向および回転方向には無用に移動しない状態)で取付けることが可能である。このため、アウターパッドの無用な移動を抑えるためのばね部材が不要であって、シンプルかつ安価に構成することが可能であるとともに、ばね部材のばね特性によるアウターパッドのマウンティングに対する動きに起因したブレーキ鳴きや異音(ラトル音・クロンク音等)の発生を抑制することが可能である。
【0007】
また、本発明の実施に際して、前記インナーパッドと前記インナートルクブロック間および前記アウターパッドと前記アウタートルクブロック間のロータ径方向およびロータ周方向でのクリアランスは、前記シリンダ部と前記ピストン間のクリアランスおよび前記ピンスライド手段でのピンクリアランスより小さく設定されていることも可能である。この場合には、前記シリンダ部と前記ピストン間のクリアランスおよび前記ピンスライド手段でのピンクリアランスが確保され、制動時に、ピンスライド手段での軸方向移動とピストンのシリンダ部に対する軸方向移動が阻害されなくて、インナーパッドがピストンにより的確に押圧され、アウターパッドがキャリパのリアクション部により的確に押圧される。このため、インナーパッドとアウターパッドがディスクロータに摺接する面での面圧が安定してブレーキの効きが安定する。
【0008】
また、本発明の実施に際して、前記インナートルクブロックと前記インナーパッドの裏板は同一素材であり、前記アウタートルクブロックと前記アウターパッドの裏板は同一素材であることが好ましい。この場合には、インナートルクブロックとインナーパッドの裏板間およびアウタートルクブロックとアウターパッドの裏板間での初期なじみがよくなり、使用初期におけるインナーパッドの裏板のインナートルクブロックに対する摺動抵抗およびアウターパッドの裏板のアウタートルクブロックに対する摺動抵抗を低減することが可能である。
【0009】
また、本発明の実施に際して、前記インナートルクブロックと前記アウタートルクブロックの少なくとも各パッド係合部(各パッドと係合する部分)には低摩擦係数で耐摩耗性と耐食性を有するコーティング(例えば、DLC(Diamond Like Carbon)コーティング)が施されていることが好ましい。この場合には、インナートルクブロックとインナーパッド間およびアウタートルクブロックとアウターパッド間の滑り性能や耐久性を向上させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3は本発明を車両用の可動キャリパ型ディスクブレーキ装置に実施した実施形態を概略的に示していて、この実施形態のディスクブレーキ装置Aにおいては、キャリパ10が両アーム部11,12にて一対のピンスライド手段20,30を介してマウンティング40の両キャリパ支持部41,42にロータ軸方向へスライド可能に支持されている。
【0011】
キャリパ10は、図3に示したように、インナーパッド51をディスクロータ60に向けて押動可能なピストン71をロータ軸方向へ移動可能に支持するシリンダ部13と、アウターパッド52をディスクロータ60に向けて押動可能なリアクション部14とを有するとともに、これらを連結するブリッジ部15を有していて、ディスクロータ60の一部を跨ぐ形状に形成されている。キャリパ10のシリンダ部13とピストン71間には、ピストンシール72とダストブーツ73が設けられている。
【0012】
ピストンシール72は、シリンダ部13のシリンダ内孔13aに組付けられて内周部にてピストン71の外周に係合しており、ピストン71とによってピストンリトラクション機構を構成している。ピストンリトラクション機構は、ピストンシール72における内周部の弾性復帰作用によって、制動解除時にピストン71をシリンダ部13に対してインナー側に向けて所定量戻す機能を有している。ダストブーツ73は、内周端部にてピストン71の外周に組付けられ、外周端部にてシリンダ部13のシリンダ内孔13aの開口側取付部13bに組付けられていて、ピストン71の摺動部を保護している。
【0013】
一方のピンスライド手段20は、図2に示したように、ロータ軸方向に延びてマウンティング40のキャリパ支持部41に設けたガイド孔41aにロータ軸方向へ移動可能に嵌合されるスライドガイドピン21と、キャリパ10のアーム部11に設けた取付孔11aに挿通されてスライドガイドピン21をキャリパ10のアーム部11に一体的に連結するピンボルト22と、スライドガイドピン21のガイド孔41aから突出する部分の外周に装着されてスライドガイドピン21の摺動部を保護するピンブーツ23を備えるとともに、スライドガイドピン21の先端部に組付けたブッシュ24を備えている。
【0014】
他方のピンスライド手段30は、図2に示したように、ロータ軸方向に延びてマウンティング40のキャリパ支持部42に設けたガイド孔42aにロータ軸方向へ移動可能に嵌合されるスライドガイドピン31と、キャリパ10のアーム部12に設けた取付孔12aに挿通されてスライドガイドピン31をキャリパ10のアーム部12に一体的に連結するピンボルト32と、スライドガイドピン31のガイド孔42aから突出する部分の外周に装着されてスライドガイドピン31の摺動部を保護するピンブーツ33を備えるとともに、スライドガイドピン31の先端部に組付けたブッシュ34を備えている。
【0015】
マウンティング40は、上記したキャリパ支持部41,42を有するとともに、ディスクロータ60のインナー側にパッド支持部43と取付部44を有し、ディスクロータ60のアウター側にパッド支持部45を有していて、ディスクロータ60の一部を跨ぐ形状に形成されている。なお、取付部44には、ボルト挿通孔44a、44b(図1参照)が形成されていて、これらに挿通されるボルト(図示省略)によってマウンティング40が車体の一部に組付けられるようになっている。
【0016】
ところで、このディスクブレーキ装置Aにおいては、マウンティング40のインナー側パッド支持部43に一対のインナートルクブロック81,82が適宜な固定手段(例えば、圧入嵌合固定、接着固定、ねじ固定等の単独または組み合わせ)にて移動不能に組付けられ、マウンティング40のアウター側パッド支持部45に一対のアウタートルクブロック91,92が適宜な固定手段(例えば、圧入嵌合固定、接着固定、ねじ固定等の単独または組み合わせ)にて移動不能に組付けられている。
【0017】
各インナートルクブロック81,82は、インナーパッド51をロータ径方向およびロータ周方向への移動を規制しロータ軸方向への移動を許容した状態で支持するものであり、インナーパッド51の裏板51aと同一素材(金属であっても樹脂等の非金属であってもよい)にて四角柱形状に形成されていて、薄板をプレス成形して形成されているばね部材に比して高剛性である。また、各インナートルクブロック81,82は、その少なくともパッド係合部(インナーパッド51の裏板51aと係合する部分)に低摩擦係数で耐摩耗性と耐食性を有するコーティング(例えば、DLC(Diamond
Like Carbon)コーティング)が施されている。
【0018】
インナーパッド51は、前記裏板51aと、この裏板51aに固着したライニング51bによって構成されていて、裏板51aにて両インナートルクブロック81,82に微小なロータ径方向(図1の左右方向)およびロータ周方向(図1の上下方向)のクリアランス(このクリアランスは、キャリパ10のシリンダ部13とピストン71間のピストン径方向クリアランスおよびピンスライド手段20,30のスライドガイドピン21,31とキャリパ支持部41,42間のピン径方向クリアランスより小さく設定されている)で組付けられている。上記したインナーパッド51の裏板51aと両インナートルクブロック81,82間のロータ径方向およびロータ周方向のクリアランスは、マウンティング40に比して小さくて高精度に製作しやすい両インナートルクブロック81,82の図1左右方向寸法と図1上下方向寸法を高精度に仕上げることにより得られている。
【0019】
各アウタートルクブロック91,92は、アウターパッド52をロータ径方向およびロータ周方向への移動を規制しロータ軸方向への移動を許容した状態で支持するものであり、アウターパッド52の裏板52aと同一素材(金属であっても樹脂等の非金属であってもよい)にて四角柱形状に形成されていて、薄板をプレス成形して形成されているばね部材に比して高剛性である。また、各アウタートルクブロック91,92は、その少なくともパッド係合部(アウターパッド52の裏板52aと係合する部分)に低摩擦係数で耐摩耗性と耐食性を有するコーティング(例えば、DLC(Diamond Like Carbon)コーティング)が施されている。
【0020】
アウターパッド52は、前記裏板52aと、この裏板52aに固着したライニング52bによって構成されていて、裏板52aにて両アウタートルクブロック91,92に微小なロータ径方向およびロータ周方向のクリアランス(このクリアランスは、キャリパ10のシリンダ部13とピストン71間のピストン径方向クリアランスおよびピンスライド手段20,30のスライドガイドピン21,31とキャリパ支持部41,42間のピン径方向クリアランスより小さく設定されている。)で組付けられている。上記したアウターパッド52の裏板52aと両アウタートルクブロック91,92間のロータ径方向およびロータ周方向のクリアランスは、マウンティング40に比して小さくて高精度に製作しやすい両アウタートルクブロック91,92の図1左右方向寸法と図1上下方向寸法を高精度に仕上げることにより得られている。
【0021】
上記のように構成したこのディスクブレーキ装置Aにおいては、制動時に、インナーパッド51がピストン71によってディスクロータ60に向けて押動・押圧され、アウターパッド52をキャリパ10のリアクション部14によってディスクロータ60に向けて押動・押圧されて、インナーパッド51とアウターパッド52がディスクロータ60に摺接して制動する。このときに生じる制動力は、インナートルクブロック81または82を介してマウンティング40のインナー側パッド支持部43にて受承されるとともに、アウタートルクブロック91または92を介してマウンティング40のアウター側パッド支持部45にて受承される。
【0022】
ところで、このディスクブレーキ装置Aにおいては、マウンティング40のインナー側パッド支持部43に移動不能に組付けられているインナートルクブロック81,82に、インナーパッド51がロータ径方向およびロータ周方向への移動を規制しロータ軸方向への移動を許容した状態(ディスクロータ60の半径方向および回転方向には無用に移動しない状態)で取付けられている。このため、インナーパッド51の無用な移動を抑えるためのばね部材が不要であって、シンプルかつ安価に構成することが可能であるとともに、ばね部材のばね特性によるインナーパッド51のマウンティング40に対する動きに起因したブレーキ鳴きや異音(ラトル音・クロンク音等)の発生を抑制することが可能である。
【0023】
また、マウンティング40のアウター側パッド支持部45に移動不能に組付けられているアウタートルクブロック91,92に、アウターパッド52がロータ径方向およびロータ周方向への移動を規制しロータ軸方向への移動を許容した状態(ディスクロータ60の半径方向および回転方向には無用に移動しない状態)で取付けられている。このため、アウターパッド52の無用な移動を抑えるためのばね部材が不要であって、シンプルかつ安価に構成することが可能であるとともに、ばね部材のばね特性によるアウターパッド52のマウンティング40に対する動きに起因したブレーキ鳴きや異音(ラトル音・クロンク音等)の発生を抑制することが可能である。
【0024】
また、このディスクブレーキ装置Aにおいては、インナーパッド51とインナートルクブロック81,82間およびアウターパッド52とアウタートルクブロック91,92間のロータ径方向およびロータ周方向でのクリアランスが、シリンダ部13とピストン71間のピストン径方向クリアランスおよびピンスライド手段20,30でのピン径方向クリアランスより小さく設定されている。このため、シリンダ部13とピストン71間のクリアランスおよびピンスライド手段20,30でのピンクリアランスが確保され、制動時に、ピンスライド手段20,30での軸方向移動とピストン71のシリンダ部13に対する軸方向移動が阻害されなくて、インナーパッド51がピストン71により的確に押圧され、アウターパッド52がキャリパ10のリアクション部14により的確に押圧される。このため、インナーパッド51とアウターパッド52がディスクロータ60に摺接する面での面圧が安定してブレーキの効きが安定する。
【0025】
また、このディスクブレーキ装置Aにおいては、インナートルクブロック81,82とインナーパッド51の裏板51aが同一素材であり、アウタートルクブロック91,92とアウターパッド52の裏板52aが同一素材である。このため、インナートルクブロック81,82とインナーパッド51の裏板51a間およびアウタートルクブロック91,92とアウターパッド52の裏板52a間での初期なじみがよくなり、使用初期におけるインナーパッド51の裏板51aのインナートルクブロック81,82に対する摺動抵抗およびアウターパッド52の裏板52aのアウタートルクブロック91,92に対する摺動抵抗を低減することが可能である。
【0026】
また、このディスクブレーキ装置Aにおいては、インナートルクブロック81,82とアウタートルクブロック91,92の少なくとも各パッド係合部には低摩擦係数で耐摩耗性と耐食性を有するコーティングが施されている。このため、インナートルクブロック81,82とインナーパッド51間およびアウタートルクブロック91,92とアウターパッド52間の滑り性能や耐久性を向上させることが可能である。
【0027】
また、この実施形態においては、インナートルクブロック81,82およびアウタートルクブロック91,92というマウンティング40に比して小さい小部品の精度向上、表面処理向上を行うことで当該ディスクブレーキ装置A(キャリパASSY)の性能を向上させることが可能であり、マウンティング40の加工コストを低減することが可能である。
【0028】
上記した実施態様においては、インナーパッド51の裏板51aに一対の矩形凹部を設けて、これら各矩形凹部にてインナーパッド51がインナートルクブロック81,82に係合するように構成するとともに、アウターパッド52の裏板52aに一対の矩形凹部を設けて、これら各矩形凹部にてアウターパッド52がアウタートルクブロック91,92に係合するように構成して本発明を実施したが、図4にて概略的に示したように、各パッド52(51)の裏板52a(51a)に一対の矩形凸部を設けて、これら各矩形凸部にて各パッド52(51)が各トルクブロック91(81)に形成した矩形凹部に係合するように構成して本発明を実施すること、或いは、図5にて概略的に示したように、各パッド52(51)の裏板52a(51a)に一対のT形凹部を設けて、これら各T形凹部にて各パッド52(51)が各トルクブロック91(81)に形成したT形凸部に係合するように構成して本発明を実施することも可能である。
【0029】
また、上記した実施態様においては、各ピンスライド手段20,30が、キャリパ10に一体的に組付けられてロータ軸方向に延びるスライドガイドピン21,31と、マウンティング40に設けられてスライドガイドピン21,31がロータ軸方向へ移動可能に嵌合するガイド孔41a,42aとを備えるディスクブレーキ装置Aに本発明を実施したが、各ピンスライド手段が、マウンティングに一体的に組付けられてロータ軸方向に延びるガイドピンと、キャリパに設けられてガイドピンがロータ軸方向へ移動可能に嵌合するガイド孔とを備えるディスクブレーキ装置にも本発明は同様に実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による可動キャリパ型ディスクブレーキ装置の一実施形態を概略的に示す側面図である。
【図2】図1に示したディスクブレーキ装置の正面図である。
【図3】図2の3−3線に沿った断面図である。
【図4】本発明の一変形実施形態を概略的に示す要部側面図である。
【図5】本発明の他の変形実施形態を概略的に示す要部側面図である。
【符号の説明】
【0031】
10…キャリパ、11,12…アーム部、13…シリンダ部、14…リアクション部、15…ブリッジ部、20,30…ピンスライド手段、40…マウンティング、41,42…キャリパ支持部、43,45…パッド支持部、51…インナーパッド、51a…インナーパッドの裏板、52…アウターパッド、52a…アウターパッドの裏板、60…ディスクロータ、71…ピストン、81,82…インナートルクブロック、・91,92…アウタートルクブロック、A…可動キャリパ型ディスクブレーキ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナーパッドをディスクロータに向けて押動可能なピストンをロータ軸方向へ移動可能に支持するシリンダ部とアウターパッドを前記ディスクロータに向けて押動可能なリアクション部とを有するキャリパが、ピンスライド手段を介してマウンティングにロータ軸方向へ移動可能に支持され、前記インナーパッドと前記アウターパッドが、前記マウンティングにそれぞれロータ軸方向へ移動可能に支持されていて、前記インナーパッドと前記アウターパッドが前記ディスクロータに向けてロータ軸方向に押動・押圧されることにより前記ディスクロータに摺接して生じる制動力が前記マウンティングにて受承されるように構成されている可動キャリパ型ディスクブレーキ装置であり、
前記マウンティングに移動不能に組付けられて前記インナーパッドをロータ径方向およびロータ周方向への移動を規制しロータ軸方向への移動を許容した状態で支持するインナートルクブロックが設けられるとともに、前記マウンティングに移動不能に組付けられて前記アウターパッドをロータ径方向およびロータ周方向への移動を規制しロータ軸方向への移動を許容した状態で支持するアウタートルクブロックが設けられていて、前記インナーパッド側では前記制動力が前記インナートルクブロックを介して前記マウンティングにて受承され、前記アウターパッド側では前記制動力が前記アウタートルクブロックを介して前記マウンティングにて受承されるように構成されていることを特徴とする可動キャリパ型ディスクブレーキ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の可動キャリパ型ディスクブレーキ装置において、前記インナーパッドと前記インナートルクブロック間および前記アウターパッドと前記アウタートルクブロック間のロータ径方向およびロータ周方向でのクリアランスは、前記シリンダ部と前記ピストン間のクリアランスおよび前記ピンスライド手段でのピンクリアランスより小さく設定されていることを特徴とする可動キャリパ型ディスクブレーキ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の可動キャリパ型ディスクブレーキ装置において、前記インナートルクブロックと前記インナーパッドの裏板は同一素材であり、前記アウタートルクブロックと前記アウターパッドの裏板は同一素材であることを特徴とする可動キャリパ型ディスクブレーキ装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の可動キャリパ型ディスクブレーキ装置において、前記インナートルクブロックの前記インナーパッドと係合するパッド係合部と、前記アウタートルクブロックの前記アウターパッドと係合するパッド係合部には、低摩擦係数で耐摩耗性と耐食性を有するコーティングが施されていることを特徴とする可動キャリパ型ディスクブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−164069(P2008−164069A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354666(P2006−354666)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】