説明

可塑性油脂用組成物

【課題】 本発明は、食パン、菓子パンなどのパン類の製造に適したショートニング、マーガリンなどの可塑性油脂の原料となる可塑性油脂用組成物を提供する。本発明の可塑性油脂用組成物は飽和脂肪酸含有量が少なく、トランス酸を実質的な含まないことから、健康、栄養生理学上、優れている。
【解決手段】 下記のA成分3〜15質量%およびB成分85〜97質量%からなる実質的にトランス脂肪酸を含まない可塑性油脂用組成物。
A成分:構成脂肪酸中に炭素数16の脂肪酸と炭素数18の脂肪酸を80質量%以上含み、炭素数16の脂肪酸と炭素数18の脂肪酸との比率が質量比で1:1〜6であるヨウ素価1以下の飽和油脂。
B成分:構成脂肪酸中に飽和脂肪酸を20質量%以下含み、0〜40℃で液状である油脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食パン、菓子パンなどのパン類の製造に適したショートニング、マーガリンなどの可塑性油脂の原料となる可塑性油脂用組成物に関する。本発明の可塑性油脂用組成物は飽和脂肪酸含有量が少なく、トランス酸を実質的に含まないことから、健康、栄養生理学上、優れている。
【背景技術】
【0002】
パンを製造する場合、ショートニング又はマーガリンなどの可塑性油脂が使用され、製パン時の作業性やパン類の食感、品質などがこの使用により大きく影響されることが知られている。ショートニング又はマーガリンはその原料である油脂組成物により、硬さや可塑性が調整されている。そのため、油脂組成物において液体状態と固形状態の油脂をバランスよく構成する必要から、これらの製造に用いられる原料油脂にはエステル交換した油脂、水素添加のなどの加工した油脂が使用されている。しかしながらエステル交換を行なうためには専用の反応設備が必要であり、そのための工程を1つ増やさねばならず、またリパーゼ等の高価な触媒を使用し、高度な反応制御を行なわねばならない。操作が煩雑で、コストが上昇するという問題点がある。また、水素添加を行なうと、完全水素添加した極度硬化油としなければトランス脂肪酸が工程中に生成することは避けられない。トランス脂肪酸は天然には実質的に存在しないもので、その栄養生理学的な知見はまだ確認されていないが、健康に悪影響を及ぼすと指摘する専門家も少なくない。
【0003】
さらに、油脂に関して、栄養生理学的知見から、飽和脂肪酸を多く含む油脂の摂取量が過剰である場合には、高脂血症や肥満につながる脂肪の体内蓄積を引き起こすことが知られている。理論上、油脂を選択し単純に飽和脂肪酸量を低減した油脂組成物を得ることは可能であるが、多量の液体脂(不飽和脂肪酸)を含有するため、ショートニング、マーガリンを製造する際に良好な可塑性を得ることができず、可塑性油脂用の油脂組成物として適さない。
【0004】
従って、エステル交換のような工程を経ることなく、且つ実質的にトランス脂肪酸を含まず、飽和脂肪酸を低減でき、さらに製パンに適する可塑性油脂用組成物を開発する要望が高まりつつある。
その試みとして、炭素数20以上の飽和脂肪酸を5質量%以上含む高融点油脂を配合した油脂組成物(特許文献1)、炭素数20以上の飽和脂肪酸を含む魚油の極度硬化油及び炭素数12の飽和脂肪酸を含むパーム核等の極度硬化油を配合した油脂組成物(特許文献2)が開示されている。また、可塑性油脂の製造方法を改良し、原料油脂を急冷・混和することなく冷却する方法が開示されている(特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】特開平2001−139983号公報
【特許文献2】特開平9−143490号公報
【特許文献3】特開平2004−121114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1および2に開示された炭素数20以上の飽和脂肪酸を含む極度硬化油を配合した油脂を使用して製造されるショートニング、マーガリンは柔らかく、可塑性が十分ではない。製パン工程において、だれが生じやすく、製造されたパンの口溶けが十分でなくなる。
また、特許文献3に開示された製造方法は、トリグリセライドの構成が限定された油脂組成物にしか適用できず、そして、急冷してショートニング、マーガリンを製造する場合に比べ、製造効率が悪くなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究した結果、特定の飽和油脂と特定の液状油を一定の割合で配合することによって、上記目的を達成できることを見出した。
【0008】
本発明の第1の発明は、下記のA成分3〜15質量%およびB成分85〜97質量%からなる実質的にトランス脂肪酸を含まない可塑性油脂用組成物である。
A成分:構成脂肪酸中に炭素数16の脂肪酸と炭素数18の脂肪酸を80質量%以上含み、炭素数16の脂肪酸と炭素数18の脂肪酸との比率が質量比で1:1〜6であるヨウ素価1以下の飽和油脂。
B成分:構成脂肪酸中に飽和脂肪酸を20質量%以下含み、0〜40℃で液状である油脂。
【0009】
本発明の第2の発明は、第1の発明の可塑性油脂用組成物を原料としたショートニング又はマーガリンである。
【0010】
本発明の第3の発明は、さらに酵素を配合した第2の発明のショートニング又はマーガリンである。
【0011】
本発明の第4の発明は、第2又は第3の発明のショートニング又はマーガリンを使用して製造されたパン類である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の発明によれば、広範囲の温度範囲で優れた可塑性を有し、保存安定性が良好なショートニング、マーガリンの原料となる可塑性油脂用組成物を提供することができる。本発明の油脂組成物は、飽和脂肪酸の含有量が少なく、トランス酸を実質的に含まないので、健康、栄養生理学上、優れている。さらに、本発明の油脂組成物は、これを原料とすると、急冷可塑化することで、容易にショートニング、マーガリンを製造することができる。
【0013】
本発明の第2の発明によれば、保存安定性に優れており広範囲の温度範囲で優れた可塑性を有するショートニング、マーガリンを提供できる。
本発明の第3の発明によれば、広範囲の温度範囲で優れた可塑性を有し、比容積が向上し、口溶けなどのパンの食感を改良できるショートニング、マーガリンを提供できる。
本発明の第4の発明によれば、比容積が向上し、口溶けなどの食感の良好なパン類を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の詳細を説明する。
本発明は、下記のA成分の油脂およびB成分の油脂からなる実質的にトランス脂肪酸を含まない可塑性油脂用組成物である。
(A成分)
構成脂肪酸中に炭素数16の脂肪酸と炭素数18の脂肪酸を80質量%以上含み、炭素数16の脂肪酸と炭素数18の脂肪酸との比率が質量比で1:1〜6であるヨウ素価1以下の飽和油脂である。
構成脂肪酸中に炭素数16の脂肪酸と炭素数18の脂肪酸を80質量%未満含む場合、急冷可塑化してショートニング、マーガリンを製造しても製造直後の状態が不安定でオイルオフの原因となったり、やわらかく腰のない物性となったりする。炭素数16の脂肪酸と炭素数18の脂肪酸との比率が質量比で1:1〜6であり、好ましくは1:1〜4が良い。この比率に含まれないとき、製造直後の状態が安定せず、オイルオフの原因となり、良好な状態を保てなくなり易い。
【0015】
A成分の油脂としては、具体的には、天然油脂として、菜種油、パーム油、オリーブ油、米油、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、大豆油、ヒマワリ油、豚脂、牛脂の極度硬化油、又はこれらの混合物などがあげられるが、上記油脂に限定されるわけではない。ここでの極度硬化油とは、水素添加によって不飽和脂肪酸を完全に飽和した飽和油脂であり、ヨウ素価を1以下、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.1以下にしたものである。得られる極度硬化油には実質的に二重結合が含まれないことから、実質的にトランス脂肪酸を含まないことになる。
【0016】
(B成分)
構成脂肪酸中に飽和脂肪酸を20質量%以下含み、さらに好ましくは10質量%以下である0〜40℃で液状の油脂である。
飽和脂肪酸を20質量部以上含むと、可塑性が低下し、硬い物性となりやすい。さらに、0〜40℃で液状である油脂である。この範囲で液状でなければ、ショートニング、マーガリンを製造した際に、広い温度範囲で可塑性を得ることができない。
飽和脂肪酸量が20%以下の10〜40℃において液状の油脂の具体例として、菜種油、米油、大豆油、米油、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、サフラワー油などがあげられるが、上記油脂にのみ限定されるわけではない。
B成分の油脂は、天然油脂をそのまま水素添加等をおこなわずに使用するものであり、トランス酸を実質的に含まない油脂である。
【0017】
本発明の油脂組成物は、A成分3〜15質量%およびB成分85〜97質量%からなる油脂用組成物である。好ましくは、A成分4〜12質量%、即ちB成分88〜96質量%、更に好ましくはA成分6〜10質量%、即ちB成分90〜94質量%である。A成分が3質量%より少ない場合は、ショートニング、マーガリンを製造する際の保形性が維持できず、15質量%を超えると可塑性が不十分となり、いずれも製パン性能を低下させる。
本発明の油脂組成物は、A成分、B成分ともトランス酸を実質的に含まない油脂を混合するものであり、実質的にトランス酸を実質的に含まない油脂組成物である。栄養生理学上の知見から、健康上、トランス酸の含有量が2質量%以下であることが好ましい。
【0018】
本発明の油脂組成物を原料として、ショートニング、マーガリンなどの可塑性油脂を製造することができる。
ショートニングは、A成分、B成分からなる油脂組成物を70℃以上で溶解し、その後試作機により急冷可塑化することにより製造することができる。
マーガリンは、本発明の油脂組成物に1〜25質量%の水を加え、急冷可塑化することにより製造することができる。
いずれの場合も急冷可塑化工程は、ボテーター、コンビネーター、パーフェクターなどの急冷捏和装置によりおこなうことができる。
さらに、本発明の油脂組成物を用いて、マーガリンを製造する場合、通常用いられる乳化剤、例えばレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を用いてもよい。また、より効果を完全なものとする為に、水相および油相にキサンタンガム、カラギーナン、ファーセラン、アルギン酸塩、寒天、ペクチン、グァーガム、カラヤガム、タマリンドガム、タラガム、カゼインソーダ、カルボキシメチルセルロース、ローカストビーンカム、アラビアガム、ガムエレミ、ガムカナダ、ガムダマール等の増粘剤を添加、併用しても良いし、更に栄養強化を目的とした各種ビタミン類例えば、ビタミンA、D、E等を添加、併用しても良いし、呈味剤としての各種香料、乳関連物質、例えば全脂粉乳、脱脂粉乳、醗酵乳、各種塩類、乳脂肪等を添加、併用しても良い。また、上記以外の原材料としては、酸化防止剤、着色剤等が全て使用可能である。
【0019】
本発明の油脂組成物に、アミラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシダーゼなどの酵素を含ませ、ショートニング、マーガリンを製造することができるが、使用する酵素としてはアミラーゼがより好ましい。酵素を使用すると、製造されるパン類において、比容積が向上し、口溶けなどの食感を改良することができる。
酵素の使用割合は、目的とする油脂組成物中に0.01〜2質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%である。0.01質量%より少ない場合は、食感の改良効果が認められず、2質量%を超えると酵素の作用により、パン生地がべたついたり、焼成後のパンの食感を著しく低下させるなど問題が生じる。
【実施例】
【0020】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。なお、ヨウ素価は、基準油脂分析試験法(2.3.4.1−1996、ウィイス−シクロヘキサン法)により、測定した。
【0021】
実施例1
パーム油の極度硬化油(ヨウ素価0.1)5kg、サフラワー油の極度硬化油(ヨウ素価0.1)2kg、菜種油93kgからなる可塑性油脂用組成物を75℃に加熱し、完全に溶解した。その後、コンビネーター(シュレーダー製)を用いて急冷可塑化し、本発明のショートニングを製造した。このようにして製造されたショートニングは10℃から40℃までの温度範囲で良好な可塑性を有し、30℃の温度下で5日間置いても物性は安定していた。
【0022】
実施例2
牛脂の極度硬化油(ヨウ素価0.1)10kg、菜種油90kgからなる可塑性油脂用組成物を75℃に加熱し、完全に溶解した。その後、、コンビネーター(シュレーダー製)を用いて急冷可塑化し、本発明のショートニングを製造した。このようにして製造されたショートニングは10℃から40℃までの温度範囲で良好な可塑性を有し、30℃の温度下で5日間置いても物性は安定していた。
【0023】
実施例3
パーム油の極度硬化油(ヨウ素価0.1)4kg、菜種油96kgからなる可塑性油脂用組成物を75℃に加熱し、完全に溶解した。その後、50℃まで降温し、酵素としてアミラーゼ酵素(Grindamyl MAX−LIFE E12、Danisco社製)100gを加え、十分に分散させたのち、コンビネーター(シュレーダー製)を用いて急冷可塑化し、本発明のショートニングを製造した。このようにして製造されたショートニングは10℃から40℃までの温度範囲で良好な可塑性を有し、30℃の温度下で5日間置いても物性は安定していた。
【0024】
実施例4
大豆油の極度硬化油(ヨウ素価0.1)1kg、綿実油の極度硬化油(ヨウ素価0.1)9kg、菜種油90kg、グリセリン脂肪酸エステル200g、大豆レシチン200gからなる可塑性油脂用組成物を油相とし、水20kgを水相として製造した。油相および水相を75℃に加熱し、その後、油相に水相を加え乳化後、コンビネーター(シュレーダー製)を用いて急冷可塑化し、本発明のマーガリンを製造した。このようにして製造されたマーガリンは10℃から40℃までの温度範囲で良好な可塑性を有し、30℃の温度下で5日間置いても物性は安定していた。
【0025】
比較例1
ハイエルシン菜種油の極度硬化油(ヨウ素価0.1)5kg、菜種油95kgからなる可塑性油脂用組成物を75℃に加熱し、完全に溶解した。その後、コンビネーター(シュレーダー製)を用いて急冷可塑化し、ショートニングを製造した。このようにして製造されたショートニングは柔らかな流動性の物性を示し、製パン工程において扱いづらいものであった。
【0026】
比較例2
ヤシ油の極度硬化油(ヨウ素価0.1)8kg、トウモロコシ油92kgからなる可塑性油脂用組成物を75℃に加熱し、完全に溶解した。その後、試作機を用いて急冷可塑化し、ショートニングを製造した。このようにして製造されたショートニングは、柔らかな流動性の物性を示し、保存1日後には油の染み出しが見られ、不安定な物性であった。
【0027】
比較例3
パーム油の極度硬化油(ヨウ素価0.1)20kg、菜種油80kgからなる可塑性油脂用組成物を75℃に加熱し、完全に溶解した。その後、コンビネーター(シュレーダー製)を用いて急冷可塑化し、ショートニングを製造した。このようにして製造されたショートニングは、硬くぼそぼそとした物性を示し、可塑性は見られなかった。
【0028】
比較例4
パーム油の極度硬化油(ヨウ素価0.1)4kg、パーム油96kgからなる可塑性油脂用組成物を75℃に加熱し、完全に溶解した。その後、コンビネーター(シュレーダー製)を用いて急冷可塑化し、ショートニングを製造した。このようにして製造されたショートニングは、硬くぼそぼそとした物性を示し、可塑性は見られなかった。
【0029】
比較例5
ハイエルシン菜種油の極度硬化油(ヨウ素価0.1)3kg、トウモロコシ油97kg、グリセリン脂肪酸エステル200g、大豆レシチン200gからなる可塑性油脂用組成物を油相とし、水20kgを水相として製造した。油相および水相を75℃に加熱し、その後、油相に水相を加え乳化後、コンビネーター(シュレーダー製)を用いて急冷可塑化し、マーガリンを製造した。このようにして製造されたマーガリンは、流動性の物性を示し、保存後、油相と水相の分離が見られた。
【0030】
比較例6
サフラワー油の極度硬化油(ヨウ素価0.1)10kg、菜種油90kgからなる可塑性油脂用組成物を75℃に加熱し、完全に溶解した。その後、コンビネーター(シュレーダー製)を用いて急冷可塑化し、ショートニングを製造した。このようにして製造されたショートニングは、流動性の物性を示し、保存1日後には油の染み出しが見られ、不安定な物性であった。
【0031】
実施例1〜4、比較例1〜6の油脂の組成およびA成分における炭素数16(C16)及び炭素数18(C18)の飽和脂肪酸の脂肪酸中における割合ならびにそれらの比率について表1に示した。また、B成分の0〜40℃における状態について表1に示した。
【0032】
【表1】

【0033】
実施例1〜4、比較例1〜6で製造されたショートニング又はマーガリンを、30℃の温度下で5日間置いた際の物性の安定性、1日間10、20、30、40℃に置いた後の物性を表2に示した。
【0034】
【表2】

【0035】
表2で明らかなように、実施例1〜4で得られたショートニング又はマーガリンは、比較例1〜6に比べて、10〜40℃の温度範囲で良好な物性を示し、30℃下で5日間置いても物性の変化が少なく良好であった。
【0036】
実施例5〜6及び比較例7〜8
実施例1、3及び比較例1、3で製造したショートニングを使用してパンを製造し、製パン性能、食感を評価した。
<パンの製造方法>
強力粉700g、イースト20g、イーストフード1g、水420gをミキサーボウルに投入し、低速2分、中速2分混捏し、捏ね上げ温度24℃の中種生地を28℃で4時間醗酵させた。醗酵させた中種生地をミキサーボウルに投入し、さらに、強力粉300g、上白糖50g、脱脂粉乳20g、食塩17g、水250gを投入し、低速2分、中速4分混捏し、ここにショートニング50g配合し、さらに低速2分(2分以内にショートニングが練り込まれない場合は、練り込まれるまで延長した)、中速4分混捏し、捏ね上げ温度28℃の生地を得た。フロアタイムを20分取った後、430gに分割し、次いでベンチタイムを15分とった後、モルダーに生地を通し、ワンローフ食パン型に生地をつめた。さらに、38℃、相対湿度85%のホイロに35分入れて最終醗酵を行なった。最終醗酵後、上火180℃、下火210℃のオーブンに入れて、26分焼成し、ワンローフ食パンを得た。このパンを1時間半室温で放冷した後、袋に入れ、20℃で保管した。
【0037】
<評価方法>
ワンローフの比容積については菜種置換法により測定した。
また、20℃で焼成後3日間保管したワンローフ食パンを15人のパネラーにて食感の評価を行なった。ソフトである、口溶けが良い、しっとりとしているとの評価項目を設け、それぞれの項目に対し、ソフト、口溶け良好、しっとりと感じた人が12人以上であった場合を◎、8人以上11人以下の場合を○、4人以上7人以下の場合を△、3人以下の場合を×とした。その結果を表4に示す。
【0038】
【表3】

【0039】
表3で明らかなように、本発明のショートニングを使用した実施例では比容積が増加し、ソフトで口溶けが良く、しっとりとした食感となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のA成分3〜15質量%およびB成分85〜97質量%からなる実質的にトランス脂肪酸を含まない可塑性油脂用組成物。
A成分:構成脂肪酸中に炭素数16の脂肪酸と炭素数18の脂肪酸を80質量%以上含み、炭素数16の脂肪酸と炭素数18の脂肪酸との比率が質量比で1:1〜6であるヨウ素価1以下の飽和油脂。
B成分:構成脂肪酸中に飽和脂肪酸を20質量%以下含み、0〜40℃で液状である油脂。
【請求項2】
請求項1に記載の可塑性油脂用組成物を原料としたショートニング又はマーガリン。
【請求項3】
さらに酵素を配合した請求項2に記載のショートニング又はマーガリン。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のショートニング又はマーガリンを使用して製造されたパン類。

【公開番号】特開2006−325541(P2006−325541A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−157284(P2005−157284)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【Fターム(参考)】