説明

可変容量素子及び共振回路

【課題】 構成がより簡易であり、受信電圧に対する耐性に優れた可変容量素子を提供する。
【解決手段】 可変容量素子を、強誘電体材料で形成された強誘電体層と、強誘電体層を挟み込むように設けられた2つの電極とを備える構成とする。そして、強誘電体層は、外部から入力される所定周波数の受信信号の印加により容量が変化し、且つ、受信信号の受信電圧値の変化範囲内の所定の電圧範囲で、受信電圧値が高くなると容量が小さくなるまたは大きくなる特性を有するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変容量素子及び共振回路に関し、より具体的には、リーダライターから電波を受信する非接触ICカード等に適用して好適な可変容量素子及び共振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部からバイアス信号を印加することにより、容量を変化させて周波数や時間などを制御する可変容量素子が活用されている。そのような可変容量素子としては、例えば、可変容量ダイオード(バリキャップ)やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などが商品化されている。
【0003】
図11(a)及び(b)に、可変容量素子の回路構成及び特性例を示す。図11(a)は、可変容量素子160周辺の回路構成図であり、図11(b)は、可変容量素子160の容量Cvの制御電圧依存性を示している。通常、可変容量素子160は2端子であり、その容量を制御する制御用バイアス信号を加えるための専用端子を持たない。それゆえ、実際の回路上では、図11(a)に示すように可変容量素子160を4端子化する。具体的には、可変容量素子160(可変容量コンデンサ)の一方の端子を、バイアス除去用コンデンサ161を介して交流信号の一方の入出力端子に接続するとともに、電流制限抵抗162を介して制御電圧の入力端子に接続する。また、可変容量素子160の他方の端子を、交流信号の他方の入出力端子に接続するとともに、制御電圧の出力端子に接続する。
【0004】
このような可変容量素子160の回路構成では、信号電流(交流信号)は、バイアス除去用コンデンサ161及び可変容量コンデンサ160を流れ、制御電流(直流バイアス電流)は、電流制限抵抗162を介して可変容量コンデンサ160のみを流れる。この際、制御電圧を変化させることにより、図11(b)に示すように、可変容量コンデンサ160の容量Cvが変化し、その結果、信号電流も変化する。
【0005】
そして、従来、上述のような可変容量素子を、非接触ICカードにおける保護回路として利用する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、非接触ICカードをそのリーダライター(以下、R/Wと記す)に近づけた際に、過大な受信信号により耐電圧性の低い半導体素子からなる制御回路が破壊されないようにするために、保護回路として可変容量素子を用いている。
【0006】
図12に、特許文献1で提案されている非接触ICカードのブロック構成図を示す。特許文献1では、可変容量素子として可変容量ダイオード103dを用いている。そして、バイアス除去用コンデンサ103c及び可変容量ダイオード103dの直列回路をコイル103a及びコンデンサ103bからなる共振回路に並列に接続している。
【0007】
特許文献1では、受信信号を検波回路113で検波して得た直流電圧Voutを抵抗114a及び114bで抵抗分割する。そして、抵抗分割された直流電圧(抵抗114bに掛かる直流電圧)をその変動を除去するためのコイル115を介して可変容量ダイオード103dに印加して、可変容量ダイオード103dの容量を調整する。すなわち、抵抗分割された直流電圧を可変容量ダイオード103dの制御電圧としている。
【0008】
特許文献1では、受信信号が過大な場合は、制御電圧により可変容量ダイオード103dの容量が小さくなり、これにより受信アンテナ103の共振周波数が高くなる。この様子を示したのが図13である。図13の特性の横軸は周波数であり、縦軸は信号のレスポンスである。受信信号が過大な場合、可変容量ダイオード103dの容量が小さくなり(すなわち、受信アンテナ103合成容量が小さくなり)、その容量低下分に対応した周波数Δfだけ、受信アンテナ103の共振周波数が高域にシフトする(図13中の破線の特性)。この結果、周波数fにおける受信信号のレスポンスは容量低下前より低くなり、受信信号のレベルを抑制することができる。特許文献1で提案されている技術では、このようにして可変容量素子により制御回路120を保護している。
【0009】
また、本発明者らは、従来、可変容量素子として強誘電体材料を用いた素子を提案している(例えば、特許文献2参照)。特許文献2では、信頼性及び生産性の向上を図るために、図14(a)及び(b)に示すような電極構造を有する可変容量素子200を提案している。図14(a)は、可変容量素子200の概略斜視図であり、図14(b)は、可変容量素子200の断面構成図である。特許文献2の可変容量素子200は、立方形状の誘電体層204の4つの面に、それぞれ端子が設けられている。4つの端子のうち、一方の対向する2つの端子が信号電源203に接続される信号端子203a及び203bであり、他方の対向する2つの端子が制御電源202に接続される制御端子202a及び202bである。
【0010】
可変容量素子200の内部は、図14(b)に示すように、複数の制御電極202c〜202g及び複数の信号電極203c〜203fが、強誘電体層204を介して交互に積層された構造になっている。図14(b)の例では、一番下層の制御電極202g、下から5番目の制御電極202e及び一番上層の制御電極202cが一方の制御端子202aに接続されている。また、下から3番目の制御電極202f及び7番目の制御電極202dが他方の制御端子202bに接続されている。また、下から2番目の信号電極203f、及び下から6番目の信号電極203dが一方の信号端子203aに接続されている。さらに、下から4番目の信号電極203e、及び下から8番目の信号電極203cが他方の信号端子203bに接続されている。
【0011】
特許文献2の可変容量素子200では、制御端子及び信号端子に個別に電圧を印加することができるとともに、内部に信号電極及び制御電極を複数積層させることにより、低コストで容量を増大することができるという利点がある。また、特許文献2のような構造の可変容量素子200は、製造が容易であり、低コストである。さらに、特許文献2の可変容量素子200では、図11(a)中のバイアス除去用コンデンサ161も不要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平08−7059号公報
【特許文献2】特開2007−287996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した非接触ICカードのような非接触受信装置では、非接触受信装置をR/Wに近づけすぎると、過大な受信電圧が入力され、半導体素子等で構成された集積回路(IC:Integrated Circuit)が破壊されるという問題がある。この問題を解決するため、特許文献1では、可変容量ダイオードを保護回路として用いている。また、従来、上記問題を解決するために、ICの入力部に半導体素子、例えばFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)等からなるスイッチ回路を保護回路として用いているものもある。
【0014】
しかしながら、保護回路として、特許文献1のように可変容量素子を用いた場合には、制御信号(直流電圧)が共振回路に影響を与えないようにするために直流電流を遮断するためのバイアス除去用コンデンサを可変容量素子に接続する必要があるという問題がある。また、可変容量素子の制御信号を生成するための付加回路が必要であるという問題もある。
【0015】
さらに、上述のように保護回路として特許文献1の可変容量ダイオードやFET等の素子を用いた場合、それらの素子は半導体で形成されるので、素子そのものの耐電圧性も低いという問題がある。
【0016】
また、特許文献2で提案されている可変容量素子200は、端子数が4つとなるので、素子のサイズが大きくなり、コストが高くなるという問題がある。また、特許文献2の可変容量素子200では、図11や図12に示した従来例と同様に、制御信号を生成するための周辺回路が必要となるという問題もある。
【0017】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、構成がより簡易であり、受信電圧に対する耐性に優れた非接触受信装置、共振回路及び可変容量素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記問題を解決するために、本発明の第1の可変容量素子は、強誘電体材料で形成された強誘電体層と、強誘電体層を挟み込むように設けられた2つの電極とを備える構成とした。そして、強誘電体層は、外部から入力される所定周波数の受信信号の印加により容量が変化し、且つ、受信信号の受信電圧値の変化範囲内の所定の電圧範囲で、受信電圧値が高くなると容量が小さくなるまたは大きくなる特性を有するようにした。
【0019】
また、本発明の第2の可変容量素子は、強誘電体材料で形成された強誘電体層と、強誘電体層を挟み込むように設けられた複数の電極であって、2つの電極のみで構成された複数の電極とを備える構成とした。そして、強誘電体層は、外部から入力される交流信号の印加により容量が変化し、且つ、該交流信号の交流電圧値の変化範囲内の所定の電圧範囲で、交流電圧値が高くなると容量が小さくなるまたは大きくなる特性を有するようにした。
【0020】
また、本発明の第3の可変容量素子は、強誘電体材料で形成された強誘電体層と、強誘電体層を挟み込むように設けられた2つの電極とを備える構成とした。そして、強誘電体層は、外部から入力される交流信号の印加により容量が変化し、且つ、交流信号の交流電圧値の変化範囲内の所定の電圧範囲で、交流電圧値が高くなると容量が小さくなる特性を有するようにした。
【0021】
また、本発明の第4の可変容量素子は、イオン分極を生じる強誘電体材料で形成された強誘電体層と、強誘電体層を挟み込むように設けられた2つの電極とを備える構成とした。そして、強誘電体層は、外部から入力される交流信号の印加により容量が変化し、且つ、交流信号の交流電圧値の変化範囲内の所定の電圧範囲で、交流電圧値が高くなると容量が小さくなるまたは大きくなる特性を有するようにした。
【0022】
さらに、上記問題を解決するために、本発明の共振回路は、強誘電体材料で形成された可変容量素子を含む共振コンデンサと、共振コンデンサに接続された共振コイルとを備える構成とした。そして、可変容量素子は、外部から入力される所定周波数の受信信号の印加により容量が変化し、且つ、容量の変化量が受信信号の受信電圧値に応じて変化するようにした。
【0023】
なお、本明細書でいう「受信電圧値」及び「交流電圧値」は、例えば、可変容量素子で受信される所定周波数の交流電圧の実効値、最大値、半周期当たりの平均値などのことであり、可変容量素子の設計時に該素子の容量と対応付け可能な電圧値のことである。
【発明の効果】
【0024】
上述のように、本発明では、非接触受信装置の受信部に用いる可変容量素子として、外部から受信する所定周波数の交流信号(受信信号)の印加により容量が変化し且つ該容量の変化量が該交流信号の交流電圧値に応じて容量が変化する可変容量素子を用いる。それゆえ、可変容量素子の容量を変化させるための制御信号及びそれを生成するための回路を別途設ける必要がない。また、本発明では、可変容量素子を半導体等に比べて耐電圧性の高い強誘電体材料で形成する。したがって、本発明によれば、構成がより簡易になり、受信電圧に対する耐性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る非接触受信装置例のブロック構成図である。
【図2】可変容量コンデンサの概略構成図である。
【図3】強誘電体層の断面画像である。
【図4】交流電圧に対する可変容量コンデンサの容量の変化例を示した図である。
【図5】図5(a)は、可変容量コンデンサ付近の回路構成図であり、図5(b)は、交流電圧に対する可変容量コンデンサの容量変化を示す図である。
【図6】図6(a)は、LSIの最小動作電圧値の受信信号を受信した際の動作を示した図であり、図6(b)は、受信最大電圧値の受信信号を受信した際の動作を示した図である。
【図7】具体例のデチューン特性である。
【図8】具体例におけるデチューン周波数と電圧圧縮比との関係を示す図である。
【図9】具体例の可変容量コンデンサの設計概要を説明するための図である。
【図10】図10(a)は、変形例1の受信部の回路構成図であり、図10(b)は、変形例2の受信部の回路構成図である。
【図11】図11(a)は、従来の可変容量コンデンサ付近の回路構成図であり、図11(b)は、制御電圧に対する従来の可変容量コンデンサの容量変化を示す図である。
【図12】従来の非接触ICカードのブロック構成図である。
【図13】可変容量素子による受信信号の電圧レベル抑制の原理図である。
【図14】図14(a)は、従来の可変容量素子の概略斜視図であり、図14(b)は、従来の可変容量素子の断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態に係る非接触受信装置の一例を図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態は以下の順で説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。
1.非接触受信装置の構成
2.可変容量コンデンサの構成
3.可変容量コンデンサの設計概要
4.具体例
5.変形例
【0027】
[1.非接触受信装置の構成]
本実施形態では、非接触受信装置として、非接触ICカードを例にとり説明する。図1は、本実施形態の非接触ICカードの受信系(復調系)回路部のブロック構成図である。なお、図1では、説明を簡略するために、信号の送信系(変調系)回路部は省略している。送信系回路部の構成は、従来の非接触ICカード等と同様の構成である。
【0028】
非接触ICカード10は、図1に示すように、受信部1(アンテナ)と、整流部2と、信号処理部3とを備える。
【0029】
受信部1は、共振コイル4及び共振コンデンサ5からなる共振回路で構成され、非接触ICカード10のR/W(不図示)から送信される信号をこの共振回路で受信する。なお、図1では、共振コイル4をそのインダクタンス成分4a(L)と抵抗成分4b(r:数オーム程度)とに分けて図示している。
【0030】
共振コンデンサ5は、容量Coのコンデンサ5aと、受信信号の電圧値(受信電圧値)に応じて容量Cvが変化する可変容量コンデンサ5b(可変容量素子)とが並列に接続されている。すなわち、本実施形態では、従来のアンテナ(共振コイル4とコンデンサ5aとからなる共振回路)に可変容量コンデンサ5bを並列接続した構成となる。なお、可変容量コンデンサ5bについては後で詳述する。
【0031】
コンデンサ5aは、従来のアンテナと同様に、常誘電体材料で形成されたコンデンサを用いる。常誘電体材料で形成されたコンデンサ5aは、比誘電率が低く、入力電圧の種類(交流または直流)及びその電圧値に関係なくその容量はほとんど変化しない。それゆえ、コンデンサ5aは、入力信号に対して非常に安定した特性を有する。従来のアンテナでは、アンテナの共振周波数がずれないようにするために、このような入力信号に対して安定性の高い常誘電体材料で形成されたコンデンサを用いる。
【0032】
なお、実際の回路上では、共振コイル4のインダクタンス成分Lのばらつきや信号処理部3内の集積回路の入力端子の寄生容量などによる受信部1の容量変動(数pF程度)が存在し、その変動量は非接触ICカード10毎に異なる。それゆえ、本実施形態では、これらの影響を抑制(補正)するために、コンデンサ5aの電極パターンをトリミングして容量Coを適宜調整している。
【0033】
整流部2は、整流用ダイオード6と整流用コンデンサ7とからなる半波整流回路で構成され、受信部1で受信した交流電圧を直流電圧に整流して出力する。
【0034】
信号処理部3は、主に半導体素子の集積回路(LSI:Large Scale Integration)で構成され、受信部1で受信した交流信号を復調する。信号処理部3内のLSIは整流部2から供給される直流電圧により駆動される。なお、LSIとしては、従来の非接触ICカードと同様(例えば、図12参照)のものを用いることができる。
【0035】
[2.可変容量コンデンサの構成]
次に、可変容量コンデンサ5bについて、図2〜4を参照しながら説明する。図2は、可変容量コンデンサ5bの概略構成図である。
【0036】
可変容量コンデンサ5bは、強誘電体材料で形成された強誘電体層51と、強誘電体層51を挟み込むように強誘電体層51上に設けられた2つの電極52及び53とで構成される。
【0037】
電極52及び53は、それぞれリード線54及び55を介して整流部2及び信号処理部3に接続されている。電極52及び53は、ニッケル等の金属材料で形成される。なお、電極52及び53をニッケルで形成する場合には、ニッケルメッキ法等を用いて形成する。
【0038】
強誘電体層51は、強誘電体材料に希土類金属等を添加した材料を焼成して作製する。なお、この際、強誘電体層51は、後述するように、必要とする容量の交流電圧依存特性に応じて、強誘電体層51の形成条件や膜厚等を適宜調整する。
【0039】
強誘電体層51に用い得る強誘電体材料としては、例えば、イオン分極を生じる強誘電体材料を用いることができる。イオン分極を生じる強誘電体材料は、イオン結晶材料からなり、プラスのイオンとマイナスのイオンの原子が変位することで電気的に分極する強誘電体材料である。このイオン分極を生じる強誘電体材料は、一般に、所定の2つの元素をA及びBとすると、化学式ABO(Oは酸素元素)で表され、ペロブスカイト構造を有する。このような強誘電材料としては、例えば、BaTiO(チタン酸バリウム)、ニオブ酸カリウム(KNbO)、チタン酸鉛(PbTiO)等が挙げられる。また、強誘電体層51に用い得る強誘電体材料として、チタン酸鉛(PbTiO)にジルコン酸鉛(PbZrO)を混ぜ合わせたPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いてもよい。
【0040】
強誘電体層51を形成する際、上述のような強誘電体材料に希土類金属などの常誘電体材料を添加して焼成すると、強誘電体層51は、コアシェル構造と呼ばれる構造を有する粒子(粒径が約1μm以下)の集合体として形成される。図3に、強誘電体層51内に形成される粒子(図3の例では粒径約0.3μm)のコアシェル構造を示す。なお、図3は、強誘電体材料としてBaTiO(チタン酸バリウム)を用いた場合の粒子構造である。強誘電体層51内に形成される粒子は、強誘電体からなるコア部56(図3右図中の筋状の部分)と、コア部56の周囲を取り囲むように生成された常誘電体からなるシェル(殻)部57とで構成される。
【0041】
図4に、コアシェル構造の粒子の集合体として形成された強誘電体層51を備える可変容量コンデンサ5bの容量の交流電圧依存性(以下、この特性を容量特性ともいう)を示す。図4中の横軸は共振コイル4の両端に印加される交流電圧の実効値Vrmsである。また、縦軸は、周波数1kHz、電圧値1Vの交流電圧が印加された際の可変容量コンデンサ5bの容量を基準とした場合の容量比である。
【0042】
また、図4中には、参考のため、非接触ICカードで受信される受信信号(交流信号)の電圧値(交流電圧値)の範囲の一例も示した。例えば、図4に示すように、通常の使用電圧範囲が1.4〜10V程度である非接触ICカードをそのR/Wに近づけると、非接触ICカードで受信される交流電圧の電圧値(実効値)が15Vを越え、最大で30V程度に達する場合がある。このような場合には、非接触ICカード内のLSIが破壊される可能性が高い。
【0043】
可変容量コンデンサ5bの容量Cvは、図4に示すように、印加される交流電圧が小さい場合には、電圧値の上昇とともに容量も大きくなる。そして、ある電圧値(ピーク電圧値)で可変容量コンデンサ5bの容量は最大となり、その後は電圧値の上昇とともに容量が減少する。なお、以下では、電圧値の上昇とともに容量が減少する領域を容量低下領域という。
【0044】
図4に示した可変容量コンデンサ5bの容量特性は、コアシェル構造のシェル部の厚さを変化させることにより調整することができる。このシェルの厚さは、強誘電体材料の組成、焼結条件、添加元素の種類及びその添加量等によりにより調整することができる。また、可変容量コンデンサ5bの容量特性は、強誘電体層51の厚さによっても調整することができる。例えば、強誘電体層51の厚さを薄くすることにより、可変容量コンデンサ5bに加わる交流電圧を小さくすることができる。上述のように、強誘電体層51の形成条件や膜厚を調整することにより、可変容量コンデンサ5bの容量が最大となるピーク電圧値や、容量低下領域における容量の変化率(特性の傾き)等を適宜調整することができる。
【0045】
なお、本実施形態では、可変容量コンデンサ5bの強誘電体層51の形成材料としては、イオン分極を生じる強誘電体材料を用いた例を説明したが、本発明はこれに限定されない。図4に示すように、容量特性において、交流電圧の上昇に伴い容量が減少する領域(容量低下領域)を有する強誘電体材料であれば、任意の材料を用いることができる。また、強誘電体層51の形成材料として、異方性を有する強誘電体材料を用いてもよい。
【0046】
また、強誘電体層51の形成材料として、電子分極を生じる強誘電体材料を用いてもよい。この強誘電体材料では、プラスの電荷に偏った部分と、マイナスの電荷に偏った部分に分かれて電気双極子モーメントが生じ、分極が生じる。そのような材料として、従来、Fe2+の電荷面と、Fe3+の電荷面の形成により、分極を形成して強誘電体的特性を示す希土類鉄酸化物が報告されている。この系においては、希土類元素をREとし、鉄族元素をTMとしたときに、分子式(RE)・(TM)・O(O:酸素元素)で表される材料が高誘電率を有することが報告されている。なお、希土類元素としては、例えばY、Er、Yb、Lu(特にYと重希土類元素)が挙げられ、鉄族元素としては、例えばFe、Co、Ni(特にFe)が挙げられる。また、(RE)・(TM)・Oとしては、例えばErFe、LuFe、YFeが挙げられる。
【0047】
[3.可変容量コンデンサの設計概要]
次に、本実施形態の可変容量コンデンサ5bの容量特性の設計概要を図5及び6を参照しながら説明する。図5(a)は、可変容量コンデンサ5b周辺の回路構成図であり、図5(b)は、可変容量コンデンサ5bの容量Cvの交流電圧依存性(容量特性)を示した図である。
【0048】
本実施形態では、まず、可変容量コンデンサ5bの最大容量に対応する受信信号の電圧値(ピーク電圧値)が、信号処理部3のLSIの最小動作電圧値程度となるように、強誘電体層51の形成条件や膜厚を調整する。さらに、可変容量コンデンサ5bの容量特性の容量低下領域の傾きが大きくなるように強誘電体層51の形成条件や膜厚を調整する。
【0049】
このように調整すると、LSIの最小動作電圧から受信信号の最大電圧の範囲(実際の受信電圧範囲)において、図5(b)の特性60のように、可変容量コンデンサ5bの容量Cvが受信信号の交流電圧に対して直線的に単調減少するような容量特性が得られる。
【0050】
なお、可変容量コンデンサ5bの最大容量に対応するピーク電圧値を、信号処理部3のLSIの最小動作電圧値より小さくてもよい。図4から明らかなように、可変容量コンデンサ5bの最大容量に対応するピーク電圧値が信号処理部3のLSIの最小動作電圧値以下であれば、LSIの最小動作電圧から受信信号の最大電圧までの範囲が容量低下領域になる。それゆえ、可変容量コンデンサ5bの最大容量に対応するピーク電圧値を信号処理部3のLSIの最小動作電圧値より小さくしても、図5(b)の特性60と同様の容量特性が得られる。
【0051】
また、本実施形態では、最大電圧値Vmaxを有する信号が受信された場合に、受信信号の周波数における受信部1での受信レベル(出力電圧値)がVLmax以下となるように、可変容量コンデンサ5bの容量特性を調整する。なお、最大電圧値Vmaxを有する信号が受信された場合に、受信部1での受信レベルをVLmax以下とするための設計条件については、後述の具体例において詳述する。
【0052】
図6に、上記設計概要に基づいて容量特性が調整された可変容量コンデンサ5bを備える受信部1の動作を示す。図6(a)は、周波数fでLSIの最小動作電圧値VLminと同等の電圧値を有する受信信号を受信した際の動作である。また、図6(b)は、周波数fで最大電圧値Vmax(>LSIの最大動作電圧VLmax)の受信信号を受信した際の動作である。
【0053】
上述のように、本実施形態では、可変容量コンデンサ5bの最大容量に対応するピーク電圧値を、信号処理部3のLSIの最小動作電圧値とほぼ同じになるように可変容量コンデンサ5aの容量特性が調整されている。それゆえ、周波数fでLSIの最小動作電圧レベルVLminの受信信号を受信した際には、共振コンデンサ5と共振コイル4とからなる共振回路の共振周波数が受信信号の周波数fと略同じになる。その結果、この場合には、図6(a)に示すように、受信信号と同レベルの電圧値を有する交流信号Voutが受信部1から出力される。なお、可変容量コンデンサ5bの最大容量に対応するピーク電圧値を、信号処理部3のLSIの最小動作電圧値より小さくなるように調整した場合には、受信部1から出力される交流信号の電圧値はLSIの最小動作電圧値より小さくなる。
【0054】
一方、周波数fで最大電圧値Vmax(>LSIの最大動作電圧VLmax)の受信信号を受信した際には、上述のように、LSIの最大動作電圧値VLmax以下の交流信号が受信部1から出力されるように、強誘電体層51の容量特性が調整されている。それゆえ、この場合には、図6(b)に示すように、受信部1からLSIの最大動作電圧値VLmax以下の電圧値を有する交流信号Voutが出力される。
【0055】
本実施形態では、上述のように、受信部1の出力信号の電圧値(受信信号の周波数における受信部1の受信レベル)が信号処理部3のLSIの動作の許容範囲に収まるように可変容量コンデンサ5bの容量特性が調整されている。したがって、非接触ICカード10がR/Wに近づきすぎて、過大な電圧値の信号を受信しても、信号処理部3のLSIが破壊されることが無くなる。
【0056】
また、本実施形態では、非接触ICカード10の保護回路として、受信信号の電圧値に応じて容量が変化する可変容量コンデンサ5bを用いる。それゆえ、図11(a)及び図12の従来例のように、制御電圧(直流電圧)を用いて容量を変化させる必要がなくなり、回路構成が簡易になる。また、バイアス除去用コンデンサや、制御電圧を生成するための付加回路を設ける必要がないので、より低コストで非接触ICカードを作製することができる。また、省スペース(装置の小型化)を図ることもできる。
【0057】
また、図11(a)及び図12の従来例に示す回路構成では、可変容量素子の端子が4端子化されているものの、制御電圧源から流れる直流バイアス電流と、交流信号とが干渉してしまう。それに対して、本実施形態では、図5(a)に示すように、制御電圧源を用いないので、上述のような従来の問題を解消することができる。
【0058】
さらに、本実施形態では、可変容量コンデンサ5bを強誘電体材料で形成しているので、電圧に対する耐性も向上させることができる。なお、本実施形態では、可変容量コンデンサ5bの容量特性において、受信信号の電圧値の上昇とともに容量が低下する容量低下領域、すなわち、容量特性のピーク電圧値以上の領域を利用する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。容量特性のピーク電圧値を適宜調整して(例えば、ピーク電圧値を高めに設定して)、受信信号の電圧変化範囲がピーク電圧値以下となるように可変容量コンデンサ5bを設計してもよい。この場合、受信電圧値の上昇とともに可変容量コンデンサ5bの容量が単調増加し、これにより、共振回路の共振周波数が受信信号の周波数より低域側にシフトして、受信信号の周波数における電圧値を抑制することができる。
【0059】
本実施形態では、まず、可変容量コンデンサ5bの最大容量に対応する受信信号の電圧値(ピーク電圧値)が、信号処理部3のLSIの最小動作電圧値程度となるように、強誘電体層51の形成条件や膜厚を調整する。さらに、可変容量コンデンサ5bの容量特性の容量低下領域の傾きが大きくなるように強誘電体層51の形成条件や膜厚を調整する。
【0060】
[4.具体例]
次に、本実施形態の具体例を説明する。具体例では、強誘電体層51の形成材料として、BaTiO(チタン酸バリウム)を用いた例を説明する。
【0061】
図7に、受信部1の合成容量が変化した際の受信部1のインピーダンスの絶対値|Z|の周波数特性(以下、この特性をデチューン特性ともいう)を示す。図7の横軸は、受信部1の合成容量が70pFである場合の共振周波数(以下、基準周波数ともいう)からの周波数差であり、縦軸は受信部1のインピーダンス|Z|である。なお、具体例では、受信部1の合成容量が70pFである場合の受信部1の共振周波数(基準周波数)が、受信信号の周波数と略同じであるものとする。
【0062】
図7には、受信部1の共振コンデンサ5の合成容量C(=Co+Cv)が70pF(丸印の特性)、60pF(四角印の特性)及び50pF(三角印の特性)である場合の特性を示した。なお、合成容量Cの変化量は、可変容量コンデンサ5bの容量Cvの変化によるものである。具体例では、コンデンサ5aの容量Coは約20〜30pFである。また、可変容量コンデンサ5bの容量Cvの変化幅は、コンデンサ5aの容量Coに応じて適宜変更する。
【0063】
図7のデチューン特性から明らかなように、合成容量Cが小さくなると、すなわち、可変容量コンデンサ5bの容量Cvが小さくなると、受信部1の共振周波数(インピーダンス|Z|が最大となる周波数)は、高域側にシフトする。この結果、例えば、合成容量Cが70pFから60pFに減少すると、基準周波数(受信信号の周波数)におけるインピーダンス|Z|は、シフトする前の値の約0.55倍の値に減少する(図7中の太線矢印)。すなわち、受信部1の受信電圧レベルはインピーダンス|Z|に比例するので、合成容量Cが70pFから60pFに減少すると、受信部1の受信電圧レベルは約0.55倍に抑制(圧縮)される。
【0064】
また、図8に、基準周波数(受信信号の周波数)に対する受信部1の共振周波数の相対値(共振周波数/基準周波数)と、基準周波数における受信部1の受信電圧レベル(出力電圧値)との関係を示す。なお、以下では、基準周波数(受信信号の周波数)に対する受信部1の共振周波数の相対値をデチューン値Δfd(またはデチューン周波数)という。このデチューン値Δfdは、受信部1の共振周波数の受信信号の周波数からのシフト量に対応するパラメータである。
【0065】
図8は図7に対応する図面であり、図8の横軸は、デチューン値Δfdであり、縦軸は、基準電圧に対する受信部1の受信電圧値の相対値(電圧圧縮比)である。なお、図8の縦軸の基準電圧は、合成容量Cが70pFである場合の受信部1の受信電圧値(実効値)である。また、図8中の丸印が受信部1の合成容量を70pFとした場合のデータ点であり、四角印が合成容量を60pFとした場合のデータ点であり、そして、三角印が合成容量を50pFとした場合のデータ点である。
【0066】
図8から明らかなように、受信部1のデチューン値Δfdが大きくなると(合成容量Cが小さくなると)、受信部1での基準周波数における受信電圧値が小さくなる。すなわち、受信部1のデチューン値Δfdが大きくなると、電圧圧縮比が小さくなる(電圧値の圧縮度合いが大きくなる)。
【0067】
ここで、具体例における可変容量コンデンサ5bの設計例を、上述した図8の特性及び図9の特性を用いて説明する。図9は、受信部1における受信信号の電圧値の圧縮特性である。図9の横軸は、受信信号の電圧値(実効値)であり、縦軸は、受信信号の周波数における受信部1での受信電圧値(実効値)である。
【0068】
図9中の一点鎖線の特性は、保護回路を備えない場合の特性であり、実線は、具体例(保護回路を備える場合)の特性である。また、図9には、可変容量コンデンサ5bの容量特性(破線の特性)も合わせて示した。なお、具体例では、受信信号の最大電圧値Vmaxを10.6(Vrms)とし、信号処理部3のLSIが動作し且つ破壊されない許容電圧範囲(VLmin〜VLmax)を1.4〜5.3(Vrms)とした。
【0069】
具体例では、可変容量コンデンサ5bの最大容量(図9中のCv1)に対応するピーク電圧値が、信号処理部3の最小動作電圧値(VLmin=1.4Vrms)程度になるように設計した。これにより、受信信号の電圧値の変化範囲(VLmin〜Vmax)では、電圧値の上昇とともに、可変容量コンデンサ5bの容量Cv(共振コンデンサ5の合成容量C)が減少する容量特性が得られる(図9中の破線の特性)。
【0070】
また、具体例では、受信部1に最大電圧値Vmaxの受信信号が入力された際に、受信部1での受信電圧レベルが信号処理部3の最大動作電圧VLmaxと同程度となるように可変容量コンデンサ5bの容量特性を設計した。具体的には、次のようにして設計した。
【0071】
最大電圧値Vmax(=10.6Vrms)の受信信号が受信部1に入力された際に、その電圧値を、LSIの動作の最大電圧値VLmax(=5.3Vrms)に低減するには、受信部1における電圧圧縮比を約0.5にする必要がある。この電圧圧縮比を得るには、図8から、受信部1でのデチューン値Δfdを約1.10にしなければならない。
【0072】
ここで、デチューン値Δfdが1となる場合(受信部1の共振周波数が受信信号の周波数と同じになる場合)の共振コンデンサ5の合成容量CをCとし、デチューン値Δfdが約1.10となる場合の共振コンデンサ5の合成容量CをCとする。受信部1の共振周波数は1/C1/2に比例するので、CとCとの間には、C=C/1.10という関係が得られる。それゆえ、可変容量コンデンサ5bの容量特性をこの関係式が成立するように設計すると、最大電圧値(10.6Vrms)の受信信号が受信部1に入力された際には、その最大電圧値を受信部1でLSIの動作の最大電圧値(5.3Vrms)に圧縮することができる。
【0073】
上述のように設計すると、図9中の実線の特性に示すように、LSIの最小動作電圧値VLmin(=1.4Vrms)の受信信号が入力された際には、受信部1の受信電圧値(出力電圧値)は1.4Vrmsとなり、その電圧圧縮比は1となる。一方、最大電圧値Vmax(=10.6Vrms)の受信信号が受信部1に入力された際に、受信部1で電圧値が1/2に圧縮され、受信部1の受信電圧値は5.3Vrmsとなり、LSIの動作の最大電圧値VLmaxと同じになる。
【0074】
また、C<C/1.10という関係が成立するように共振コンデンサ5を設計すると、最大電圧値Vmaxの受信信号が受信部1に入力された際に、受信部1から出力される交流信号の電圧値はLSIの動作の最大電圧値VLmaxより小さくなる。すなわち、具体例では、C≦C/1.10という関係が成立するように共振コンデンサ5を設計することにより、受信部1から出力される交流信号の電圧値が信号処理部3のLSIの動作の許容範囲に収まり、LSIが破壊されることが無くなる。
【0075】
なお、共振コンデンサ5の合成容量の上記関係式を一般化すると、C≦C/Δfdとなる。ここで、デチューン値ΔFdは、受信信号の最大電圧値Vmaxに対する信号処理部3の最大動作電圧値VLmaxの相対値(VLmax/Vmax:最低限必要とする電圧圧縮比)に対応する受信部1(共振回路)のデチューン値である。
【0076】
また、実際に受信部1の共振コンデンサ5を設計する際には、電圧に対して容量変化しないコンデンサ5aや、共振コイル4の容量及びLSIの入力端子の寄生容量のバラツキ等の影響を考慮する必要がある。それゆえ、これらの影響を考慮して、LSIの動作の最小電圧値VLminの信号を受信した場合の可変容量コンデンサ5bの容量Cv1が、最大電圧値Vmaxの信号を受信した場合の容量Cv2の約4倍以上になるように容量特性を設計することが好ましい。
【0077】
上記具体例では、可変容量コンデンサ5bの容量特性を設計する際に、その容量と対応付ける受信信号の電圧値として実効値を用いた例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、受信信号の電圧の最大値を用いてもよいし、受信信号の半周期当たりの平均値を用いてもよい。
【0078】
[5.変形例]
上記実施形態では、電圧に対して容量がほぼ変化しないコンデンサ5aと可変容量コンデンサ5bとを並列に接続して構成した共振コンデンサ5を備える受信部1(アンテナ)の例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、共振コンデンサ5を可変容量コンデンサ5bのみで構成してもよいし、コンデンサ5aと可変容量コンデンサ5bとを直列に接続して共振コンデンサ5を構成してもよい。
【0079】
図10(a)に、共振コンデンサ5を可変容量コンデンサ5bのみで構成した場合(変形例1)の受信部1の構成を示す。また、図10(b)に、コンデンサ5aと、可変容量コンデンサ5bとを直列に接続して共振コンデンサ5を構成した場合(変形例2)の受信部1の構成を示す。いずれの場合においても、受信部1の共振コンデンサ5の合成容量C(変形例1の場合はC=Cvとなる)を上記実施形態で説明した設計概要と同様にして調整することにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0080】
上記実施形態では、非接触受信装置の一例として、非接触ICカードを例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、共振コイル及び共振コンデンサからなる共振回路を用いて非接触で情報及び/または電力を受信する任意の装置に適用可能であり、同様の効果が得られる。例えば、携帯電話等や、ワイアレス電力伝送装置にも適用可能である。なお、ワイアレス電力伝送装置では、電力を非接触で伝送する装置であるので、非接触ICカードのように受信信号を復調する信号処理部を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…受信部、2…整流部、3…信号処理部、4…共振コイル、5…共振コンデンサ、5a…コンデンサ、5b…可変容量コンデンサ(可変容量素子)、6…整流用ダイオード、7…整流用コンデンサ、10…非接触ICカード(非接触受信装置)、51…強誘電体層、52,53…電極、56…コア、57…シェル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強誘電体材料で形成され、外部から入力される所定周波数の受信信号の印加により容量が変化し、且つ、該受信信号の受信電圧値の変化範囲内の所定の電圧範囲で、前記受信電圧値が高くなると前記容量が小さくなるまたは大きくなる特性を有する強誘電体層と、
前記強誘電体層を挟み込むように設けられた2つの電極と
を備える可変容量素子。
【請求項2】
強誘電体材料で形成され、外部から入力される交流信号の印加により容量が変化し、且つ、該交流信号の交流電圧値の変化範囲内の所定の電圧範囲で、前記交流電圧値が高くなると前記容量が小さくなるまたは大きくなる特性を有する強誘電体層と、
前記強誘電体層を挟み込むように設けられた複数の電極であって、2つの電極のみで構成された複数の電極と
を備える可変容量素子。
【請求項3】
強誘電体材料で形成され、外部から入力される交流信号の印加により容量が変化し、且つ、該交流信号の交流電圧値の変化範囲内の所定の電圧範囲で、前記交流電圧値が高くなると前記容量が小さくなる特性を有する強誘電体層と、
前記強誘電体層を挟み込むように設けられた2つの電極と
を備える可変容量素子。
【請求項4】
イオン分極を生じる強誘電体材料で形成され、外部から入力される交流信号の印加により容量が変化し、且つ、該交流信号の交流電圧値の変化範囲内の所定の電圧範囲で、前記交流電圧値が高くなると前記容量が小さくなるまたは大きくなる特性を有する強誘電体層と、
前記強誘電体層を挟み込むように設けられた2つの電極と
を備える可変容量素子。
【請求項5】
前記電極の個数が2つのみである
請求項1に記載の可変容量素子。
【請求項6】
前記強誘電体層に印加される前記受信電圧値又は前記交流電圧値が高くなると、前記強誘電体層の前記容量が小さくなる特性を有する
請求項1、2及び5のいずれか一項に記載の可変容量素子。
【請求項7】
前記強誘電体材料が、イオン分極を生じる強誘電体材料である
請求項1、2、3、5及び6のいずれか一項に記載の可変容量素子。
【請求項8】
強誘電体材料で形成され、外部から入力される所定周波数の受信信号の印加により容量が変化し、且つ、該容量の変化量が該受信信号の受信電圧値に応じて変化する可変容量素子を含む共振コンデンサと、
前記共振コンデンサに接続された共振コイルと
を備える共振回路。
【請求項9】
前記可変容量素子が、前記受信電圧値の変化範囲内の所定の電圧範囲で、前記受信電圧値が高くなると前記可変容量素子の容量が小さくなる特性を有し、前記共振回路の共振周波数が前記所定周波数と略同一になる場合の前記共振コンデンサの容量をCとし、最大の前記受信電圧値を受信した際の前記共振コンデンサの容量をCとし、かつ、前記最大の受信電圧値に対する、受信信号を復調する信号処理部の最大の動作電圧値の相対値に対応する前記共振回路のデチューン値をΔfdとしたとき、
≦C/(Δfd)
の関係が成立する
請求項8に記載の共振回路。
【請求項10】
前記共振コンデンサが、前記可変容量素子のみで構成される
請求項8又は9に記載の共振回路。


【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−138544(P2011−138544A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55427(P2011−55427)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【分割の表示】特願2008−222812(P2008−222812)の分割
【原出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】