説明

可変容量装置、アンテナモジュールおよび通信装置

【課題】従来よりも広範な容量変化範囲を実現することが可能な可変容量装置、ならびにそのような可変容量装置を備えたアンテナモジュールおよび通信装置を提供する。
【解決手段】可変容量装置1は、固定用部材12と、この固定用部材12により一端側が固定された固定電極16と、固定用部材12により直接もしくは間接的に一端側が固定されたアクチュエータ素子(ポリマーアクチュエータ素子131,132)と、このアクチュエータ素子と直接もしくは間接的に接続するように設けられ、固定電極16と略対向配置された可動電極17と、固定電極16と可動電極17との間の距離d1が変化するように、アクチュエータ素子の他端側を変形させる駆動部18とを備えている。アクチュエータ素子の変形量は比較的大きなものであるため、それに伴い、固定電極16と可動電極17との間の距離d1の変化量も大きくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のアクチュエータ素子を用いて構成された可変容量装置、ならびにそのような可変容量装置を備えたアンテナモジュールおよび通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容量値を変化させることが可能な(容量値が可変である)可変容量素子として、種々の構造のものが開発されている。このような可変容量素子としては、例えば、エアバリコンやポリバリコン、セラミックトリマコン、バリキャップ等が挙げられる(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−74655号公報
【特許文献2】特開2003−218217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような従来の可変容量素子(可変容量装置)では、その容量変化範囲の広さが不十分なものであった(例えば、5〜15倍程度の可変倍率)。そのため、近年では、従来と比べてより広範な容量変化範囲(より大きな可変倍率)を実現することが可能な可変容量素子(可変容量装置)の提案が望まれていた。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、従来よりも広範な容量変化範囲を実現することが可能な可変容量装置、ならびにそのような可変容量装置を備えたアンテナモジュールおよび通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の可変容量装置は、固定用部材と、この固定用部材により一端側が固定された固定電極と、固定用部材により直接もしくは間接的に一端側が固定されたアクチュエータ素子と、このアクチュエータ素子と直接もしくは間接的に接続するように設けられ、固定電極と略対向配置された可動電極と、固定電極と可動電極との間の距離が変化するように、アクチュエータ素子の他端側を変形させる駆動部とを備えたものである。
【0007】
本発明のアンテナモジュールは、アンテナ素子と、上記本発明の可変容量装置とを備えたものである。
【0008】
本発明の通信装置は、上記本発明のアンテナモジュールを備えたものである。
【0009】
本発明の可変容量装置、アンテナモジュールおよび通信装置では、互いに略対向配置された固定電極および可動電極と、それらの間の空間領域(間隙)とにより、容量素子が形成される。そして、固定電極と可動電極との間の距離が変化するようにアクチュエータ素子の他端側が変形することにより、それに応じてこの容量素子の(静電)容量値が変化し、可変容量素子として機能する。ここで、このようなアクチュエータ素子の変形量は比較的大きなものであるため、それに伴い、固定電極と可動電極との間の距離の変化量も大きくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の可変容量装置、アンテナモジュールおよび通信装置によれば、固定電極と可動電極との間の距離が変化するようにアクチュエータ素子の他端側を変形させるようにしたので、固定電極と可動電極との間の距離の変化量を大きくすることができる。よって、これらの固定電極および可動電極を用いて形成される容量素子の容量値も大きく変化させることができ、従来よりも広範な容量変化範囲(従来よりも大きな可変倍率)を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係る可変容量装置の概略構成を表す模式図である。
【図2】図1に示した固定電極および可動電極の詳細構成例を表す断面図である。
【図3】図1に示したポリマーアクチュエータ素子の詳細構成例を表す断面図である。
【図4】図1に示したポリマーアクチュエータ素子、固定用部材および固定電極の一部分の詳細構成を表す断面図である。
【図5】ポリマーアクチュエータ素子の基本動作について説明するための断面模式図である。
【図6】図1に示した可変容量装置の動作について説明するための模式図である。
【図7】電極間の距離と静電容量値との関係の一例を表す特性図である。
【図8】変形例1に係る可変容量装置の概略構成および動作を表す模式図である。
【図9】図8に示した2つの容量素子同士の接続関係の例を表す回路図である。
【図10】変形例2に係る可変容量装置の概略構成を表す模式図である。
【図11】図10に示した駆動部の詳細構成例を表すブロック図である。
【図12】図11に示した容量値検出部の詳細構成例を表す回路図である。
【図13】図12に示した容量値検出部における検出動作について説明するための特性図である。
【図14】変形例3,4に係る可変容量装置の概略構成を表す模式図である。
【図15】変形例5に係るアクチュエータ素子としての圧電素子の概略構成および動作を表す模式図である。
【図16】変形例6に係るアクチュエータ素子としてのバイメタル素子の概略構成および動作を表す模式図である。
【図17】実施の形態および各変形例の可変容量装置の適用例に係る通信装置の概略構成例を表す斜視図である。
【図18】図17に示した通信装置を異なる方向から表した斜視図である。
【図19】図18に示したアンテナモジュールの詳細構成例を比較例に係るアンテナモジュールの構成と対比して表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(1組の固定電極・可動電極間に1つの可変容量素子を形成する例)
2.変形例
変形例1(2組の固定電極・可動電極間に2つの可変容量素子を形成する例)
変形例2(モニター用の可変容量素子の容量値を検出して、アクチュエータ素子の変形量を制御する例)
変形例3(可動電極の変位量を検出して、アクチュエータ素子の変形量を制御する例1:磁石およびホール素子を用いて検出する例)
変形例4(可動電極の変位量を検出して、アクチュエータ素子の変形量を制御する例2:反射部材およびフォトリフレクタを用いて検出する例)
変形例5(アクチュエータ素子として圧電素子を用いた例)
変形例6(アクチュエータ素子としてバイメタル素子を用いた例)
3.適用例(可変容量装置をアンテナモジュールおよび通信装置に適用した例)
【0013】
<実施の形態>
[可変容量装置1の全体構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る可変容量装置(可変容量装置1)の全体構成(概略構成)を、側面図(Z−X側面図)で模式的に表したものである。この可変容量装置1は、支持部材11、固定用部材12、ポリマーアクチュエータ素子131,132、連結部材141,142、接続部材15、固定電極16、可動電極17および駆動部18を備えている。
【0014】
支持部材11は、可変容量装置1全体を支持するためのベース部材(基体)であり、ここではXY平面上に延在するように配置されている。この支持部材11は、例えば液晶ポリマー等の硬質な樹脂材料からなる。
【0015】
固定用部材12は、ポリマーアクチュエータ素子131,132の一端側および固定電極16の一端側をそれぞれ固定するための部材であり、例えば液晶ポリマー等の硬質な樹脂材料からなる。この固定用部材12は、詳細は後述(図4)するが、Z軸の正方向に沿って配置された、下部固定用部材12D、中部(中央)固定用部材12Cおよび上部固定用部材12Uの3つの部材からなる。
【0016】
ポリマーアクチュエータ素子131,132はそれぞれ、一端側が固定用部材12により直接固定されており、後述する連結部材141,142および接続部材15を介して可動電極17をZ軸に沿って駆動する(変形させる)ためのアクチュエータ素子である。これらのポリマーアクチュエータ素子131,132はそれぞれ、後述する可動電極17の変位方向(移動方向)と直交する駆動面(X−Y平面上の駆動面)を有しており、Z軸に沿って駆動面同士が対向するように配置されている。ポリマーアクチュエータ素子131,132が、本発明における「アクチュエータ素子」の一具体例に対応している。なお、このようなポリマーアクチュエータ素子131,132の詳細構成については、後述する(図3)。
【0017】
連結部材141,142はそれぞれ、ポリマーアクチュエータ素子131,132の各他端と、後述する接続部材15の端部との間を互いに連結(接続)するための部材である。具体的には、連結部材141は、接続部材15の下端部とポリマーアクチュエータ素子131の他端との間を連結し、連結部材142は、接続部材15の上端部とポリマーアクチュエータ素子132の他端との間を連結するようになっている。これらの連結部材141,142はそれぞれ、例えばポリイミドフィルム等のフレキシブルフィルムからなり、各ポリマーアクチュエータ素子131,132と同等以下(好ましくは同一以下)の剛性を有する柔軟な材料からなることが望ましい。これにより、連結部材141,142がポリマーアクチュエータ素子131,132の湾曲方向とは逆方向に湾曲する自由度が生まれ、ポリマーアクチュエータ131,132と連結部材141,142とからなる片持ち梁における断面形状が、S字状の曲線を描くようになる。その結果、接続部材15がZ軸方向に沿って平行移動することが可能となり、可動電極17が固定電極12に対して平行状態を保ったまま、Z軸方向に駆動されるようになる。
【0018】
接続部材15は、ポリマーアクチュエータ素子131,132の各他端側と、後述する可動電極17の一端側との間(具体的には、連結部材141,142の各端部と可動電極17の一端との間)を接続するための部材である。この接続部材15は、ここではZ軸方向に延在するように配置されており、例えば液晶ポリマー等の硬質な樹脂材料からなる。
【0019】
固定電極16は、一端側が固定用部材12により固定された電極であり、ここではXY平面上に延在する平板状の形状となっている。この固定電極16は、一対のポリマーアクチュエータ素子131,132の間に配置されている。
【0020】
可動電極17は、一端側が接続部材15により固定された電極であり、上記した連結部材141,142および接続部材15を介して、ポリマーアクチュエータ素子131,132の他端側に配設されている。換言すると、可動電極17は、アクチュエータ素子141,142と間接的に接続するように設けられている。この可動電極17もまた、ここではXY平面上に延在する平板状の形状となっており、一対のポリマーアクチュエータ素子131,132の間(具体的には、ポリマーアクチュエータ素子131と固定電極16との間)に配置されている。すなわち、可動電極17は、Z軸方向に沿って固定電極16と略対向配置(望ましくは対向配置)されている。この可動電極17は、詳細は後述するが、ポリマーアクチュエータ素子131,132の変形に基づく接続部材15の変位(Z軸方向の変位)に応じて、Z軸方向に変位することが可能となっている。
【0021】
図2は、固定電極16および可動電極17の詳細構成例を、断面図(Z−X断面図)で表わしたものである。
【0022】
固定電極16は、導体層161と、この導体層161の両面に設けられた一対の誘電体層162A,162Bとからなる積層構造を有している。一方、可動電極17は、導体層171からなる単層構造となっている。導体層161,171はそれぞれ、例えば銅(Cu)やアルミニウム(Al)等の金属材料からなる。また、誘電体層162A,162Bはそれぞれ、例えば、チタン酸バリウムや酸化タンタル、フッ化ビニリデン、フェノール樹脂等の高誘電率材料からなる。このような断面構成により、一対の導体層161,171と、これらの間の空間領域(間隙)(ここでは空気層)および誘電体層162A(可動電極17側の誘電体層)とによって、静電容量からなる容量素子(可変容量素子)C1が形成されるようになっている。ここで、固定電極16と可動電極17との間の距離をd1、誘電体層162Aの厚みをd2、固定電極16と可動電極17とが対向する領域の面積(XY平面上の面積)をS、上記した空気層の比誘電率をε1(=1)、誘電体層162Aの比誘電率をε2とすると、容量素子C1の(静電)容量値Cは、以下の(1)式で表わされる。なお、上記した厚みd2は、一例として0.3mm程度であり、比誘電率ε2は、例えば上記したフッ化ビニリデンを用いた場合には6程度である。
C=(ε1×ε2×S)/(ε2×d1+ε1×d2) ……(1)
【0023】
駆動部18は、ポリマーアクチュエータ素子131,132をそれぞれ駆動する(変形させる)ためのものであり、例えば半導体素子等を用いた電気回路からなる。この駆動部18は、具体的には後述する電圧供給部181を有しており、この電圧供給部181を用いて、ポリマーアクチュエータ素子131,132に対してそれぞれ駆動用電圧Vdを供給するようになっている。なお、この駆動部18によるポリマーアクチュエータ素子131,132の駆動動作の詳細については、後述する。
【0024】
[ポリマーアクチュエータ素子131,132の詳細構成]
次に、図3および図4を参照して、ポリマーアクチュエータ素子131,132の詳細構成について説明する。図3は、ポリマーアクチュエータ素子131,132の断面構成(Z−X断面構成)を表したものである。また、図4は、ポリマーアクチュエータ素子131,132、固定用部材12、および以下説明する固定電極121A,121B,122A,122Bの一部分の詳細構成を、断面図(Z−X断面図)で表わしたものである。
【0025】
図3に示したように、ポリマーアクチュエータ素子131,132はそれぞれ、イオン導電性高分子化合物膜51(以下、単に高分子化合物膜51という。)の両面に、一対の電極膜52A,52Bが形成された断面構造を有している。換言すると、ポリマーアクチュエータ素子131,132はそれぞれ、一対の電極膜52A,52Bと、これらの電極膜52A,52Bの間に挿設された高分子化合物膜51とを有している。なお、ポリマーアクチュエータ素子131,132および電極膜52A,52Bは、それらの周囲が、高弾性を有する材料(例えばポリウレタンなど)からなる絶縁性の保護膜によって覆われていてもよい。
【0026】
また、例えば図4に示したようにして、ポリマーアクチュエータ素子131,132と、固定用部材12を構成する上部用固定部材12U、中部固定用電極12C、下部固定用電極12Dおよび固定電極121A,121B,122A,122Bとが、接続されるようになっている。具体的には、ポリマーアクチュエータ素子131では、電極膜52Aが、下部固定用部材12D側の固定電極121Aと電気的に接続され、電極膜52Bが、中部固定用部材12C側の固定電極121Bと電気的に接続されている。一方、ポリマーアクチュエータ素子132では、電極膜52Aが、中部固定用部材12C側の固定電極122Aと電気的に接続され、電極膜52Bが、上部固定用部材12U側の固定電極122Bと電気的に接続されている。これにより、前述した駆動部18(電圧供給部181)から供給される駆動用電圧Vdが、固定電極121A,121Bを介してポリマーアクチュエータ素子131へ供給されると共に、固定電極122A,122Bを介してポリマーアクチュエータ素子132へ供給されるようになっている。
【0027】
なお、下部固定用部材12D側の固定電極121Aから上部固定用部材12U側の固定電極122Bまでの各部材・電極はそれぞれ、図示しない押え部材(板ばね)によって、一定の圧力で挟み込まれるようにして固定されているのが望ましい。これにより、大きな力を与えてもポリマーアクチュエータ素子131,132を破壊することがなく、ポリマーアクチュエータ素子131,132が変形した際も安定して電気的な接続を行うことが可能となるからである。
【0028】
ここで、上記した高分子化合物膜51は、電極膜52A,52Bの間に所定の電位差が生じることにより湾曲を生じるようになっている。この高分子化合物膜51にはイオン物質が含浸されている。ここでの「イオン物質」とは、高分子化合物膜51内を伝導することが可能なイオン全般を指しており、具体的には、水素イオンや金属イオン単体、またはそれら陽イオンおよび/または陰イオンと極性溶媒とを含むもの、あるいはイミダゾリウム塩などのそれ自体が液状である陽イオンおよび/または陰イオンを含むものを意味する。前者としては、例えば、陽イオンおよび/または陰イオンに極性溶媒が溶媒和したものが挙げられ、後者としては、例えばイオン液体が挙げられる。
【0029】
高分子化合物膜51を構成する材料としては、例えばフッ素樹脂あるいは炭化水素系などを骨格としたイオン交換樹脂が挙げられる。このイオン交換樹脂としては、陽イオン物質が含浸される場合には陽イオン交換樹脂が好ましく、陰イオン物質が含浸される場合には陰イオン交換樹脂が好ましい。
【0030】
陽イオン交換樹脂としては、例えば、スルホン酸基あるいはカルボキシル基などの酸性基が導入されたものが挙げられる。具体的には、酸性基を有するポリエチレン、酸性基を有するポリスチレンあるいは酸性基を有するフッ素樹脂などである。中でも、陽イオン交換樹脂としては、スルホン酸基あるいはカルボン酸基を有するフッ素樹脂が好ましく、例えばナフィオン(デュポン株式会社製)が挙げられる。
【0031】
高分子化合物膜51に含浸されている陽イオン物質としては、有機や無機など、その種類を問わない。例えば、金属イオン単体、金属イオンと水とを含むもの、有機陽イオンと水とを含むもの、あるいはイオン液体など種々の形態が応用可能である。金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、リチウムイオン(Li+)あるいはマグネシウムイオン(Mg2+)などの軽金属イオンが挙げられる。また、有機陽イオンとしては、例えば、アルキルアンモニウムイオンなどが挙げられる。これらの陽イオンは、高分子化合物膜51中において水和物として存在している。よって、陽イオンと水とを含む陽イオン物質が高分子化合物膜51中に含浸されている場合には、ポリマーアクチュエータ素子131,132では、水の揮発を抑制するために全体として封止されていることが好ましい。
【0032】
イオン液体とは、常温溶融塩とも言われるものであり、燃性および揮発性が低い陽イオンと陰イオンとを含んでいる。イオン液体としては、例えば、イミダゾリウム環系化合物、ピリジニウム環系化合物あるいは脂肪族系化合物などが挙げられる。
【0033】
中でも、陽イオン物質は、イオン液体であることが好ましい。揮発性が低いため、高温雰囲気中あるいは真空中においてもポリマーアクチュエータ素子131,132が良好に動作するからである。
【0034】
高分子化合物膜51を挟んで互いに対向する電極膜52A,52Bは、それぞれ1種あるいは2種以上の導電性材料を含んでいる。電極膜52A,52Bは、導電性材料粉末同士がイオン導電性高分子により結着されたものが好ましい。電極膜52A,52Bの柔軟性が高まるからである。導電性材料粉末としてはカーボン粉末が好ましい。導電性が高く、比表面積が大きいため、より大きい変形量が得られるからである。カーボン粉末としては、ケッチェンブラックが好ましい。イオン導電性高分子としては、上記した高分子化合物膜51の構成材料と同様のものが好ましい。
【0035】
電極膜52A,52Bは、例えば、以下のようにして形成される。すなわち、分散媒に導電性材料粉末と導電性高分子とを分散させた塗料を、高分子化合物膜51の両面に塗布したのち、乾燥させる。また、導電性材料粉末とイオン導電性高分子とを含むフィルム状のものを、高分子化合物膜51の両面に圧着するようにしてもよい。
【0036】
電極膜52A,52Bは、多層構造になっていてもよく、その場合、高分子化合物膜51の側から順に、導電性材料粉末同士がイオン導電性高分子により結着された層と金属層とが積層された構造を有していることが好ましい。これにより、電極膜52A,52Bの面内方向において電位がより均一な値に近づき、より優れた変形性能を得られるからである。金属層を構成する材料としては、金あるいは白金などの貴金属が挙げられる。金属層の厚さは任意であるが、電極膜52A,52Bに電位が均一になるように連続膜となっていることが好ましい。金属層を形成する方法としては、めっき法、蒸着法あるいはスパッタ法などが挙げられる。
【0037】
高分子化合物膜51の大きさ(幅および長さ)は、例えば可動電極17の大きさや重量、あるいは高分子化合物膜51において必要とされる変位量(変形量)に応じて、任意に設定可能である。高分子化合物膜51の変位量は、例えば、要求される可動電極17の変位量(Z軸方向に沿った移動量)に応じて設定されるようになっている。
【0038】
[可変容量装置1の作用・効果]
続いて、本実施の形態の可変容量装置1の作用および効果について説明する。
【0039】
(1.ポリマーアクチュエータ素子131,132の動作)
最初に、図5を参照して、ポリマーアクチュエータ素子441,442の動作について説明する。図5は、ポリマーアクチュエータ素子131,132の動作を、断面図を用いて模式的に表したものである。
【0040】
まず、陽イオン物質として、陽イオンと極性溶媒とを含むものを用いた場合について説明する。
【0041】
この場合、電圧無印加状態におけるポリマーアクチュエータ素子131,132は、陽イオン物質が高分子化合物膜51中にほぼ均一に分散することから、湾曲することなく平面状となる(図5(A))。ここで、図5(B)中に示した駆動部18内の電圧供給部181によって電圧印加状態とする(駆動用電圧Vdの印加を開始する)と、ポリマーアクチュエータ素子131,132はそれぞれ、以下のような挙動を示す。すなわち、例えば電極膜52Aがマイナスの電位、電極膜52Bがプラスの電位となるように電極膜52A,52Bの間に所定の駆動用電圧Vdを印加すると、陽イオンが極性溶媒と溶媒和した状態で電極膜52A側に移動する。この際、高分子化合物膜51中では陰イオンがほとんど移動できないため、高分子化合物膜51では、電極膜52A側が膨潤し、電極膜52B側が収縮する。これにより、ポリマーアクチュエータ素子131,132は全体として、図5(B)に示したように電極膜52B側に湾曲する。こののち、電極膜52A,52Bの間の電位差を無くして電圧無印加状態とする(駆動用電圧Vdの印加を停止する)と、高分子化合物膜51中において電極膜52A側に偏っていた陽イオン物質(陽イオンおよび極性溶媒)が拡散し、図5(A)に示した状態に戻る。また、図5(A)に示した電圧無印加状態から、電極膜52Aがプラスの電位、電極膜52Bがマイナスの電位となるように、電極膜52A,52Bの間に所定の駆動電圧Vdを印加すると、陽イオンが極性溶媒と溶媒和した状態で電極膜52B側に移動する。この場合、高分子化合物膜51では、電極膜52A側が収縮し電極膜52B側が膨潤するので、ポリマーアクチュエータ素子131,132は全体として、電極膜52A側に湾曲する。
【0042】
次に、陽イオン物質として、液状の陽イオンを含むものであるイオン液体を用いた場合について説明する。
【0043】
この場合においても、電圧無印加状態では、イオン液体が高分子化合物膜51中にほぼ均一に分散しているので、ポリマーアクチュエータ素子131,132が図5(A)に示した平面状となる。ここで、電圧供給部181によって電圧印加状態とする(駆動用電圧Vdの印加を開始する)と、ポリマーアクチュエータ素子131,132は以下のような挙動を示す。すなわち、例えば電極膜52Aがマイナスの電位、電極膜52Bがプラスの電位となるように電極膜52A,52Bの間に所定の駆動電圧Vdを印加すると、イオン液体のうちの陽イオンが電極膜52A側に移動し、陰イオンは陽イオン交換膜である高分子化合物膜51中を移動できない。このため高分子化合物膜51では、その電極膜52A側が膨潤し、電極膜52B側が収縮する。これにより、ポリマーアクチュエータ素子131,132は全体として、図5(B)に示したように電極膜52B側に湾曲する。こののち、電極膜52A,52Bの間の電位差を無くして電圧無印加状態とする(駆動用電圧Vdの印加を停止する)と、高分子化合物膜51中において電極膜52A側に偏っていた陽イオンが拡散し、図5(A)に示した状態に戻る。また、図5(A)に示した電圧無印加状態から、電極膜52Aがプラスの電位、電極膜52Bがマイナスの電位となるように、電極膜52A,52Bの間に所定の駆動電圧Vdを印加すると、イオン液体のうちの陽イオンが電極膜52B側に移動する。この場合、高分子化合物膜51では、電極膜52A側が収縮し電極膜52B側が膨潤するので、ポリマーアクチュエータ素子131,132は全体として、電極膜52A側に湾曲する。
【0044】
(2.可変容量装置1の動作)
続いて、図6を参照して、可変容量装置1全体の動作について説明する。図6は、可変容量装置1の動作を断面図(Z−X断面図)で表したものであり、(A)は動作前の状態を、(B)は動作後の状態をそれぞれ示す。
【0045】
この可変容量装置1では、前述した一対のポリマーアクチュエータ素子131,132の変形(湾曲)に応じて、接続部材15等を介して可動電極17が駆動される。これにより、図6(A),(B)に示したように、可動電極17がZ軸に沿って移動可能(変位可能)となる。
【0046】
すると、このような可動電極17のZ軸方向の変位に伴い、固定電極16と可動電極17との間の距離d1が変化する(ここでは、可動電極17の変位に伴い、距離d1が短くなる)。換言すると、本実施の形態の駆動部18では、固定電極16と可動電極17との間の距離d1が変化するように、ポリマーアクチュエータ素子131,132の他端側を変形(湾曲)させている。したがって、前述した(1)式により、この距離d1の変化に応じて容量素子C1の(静電)容量値Cも変化する(ここでは容量値C1が大きくなる)ため、この容量素子C1が可変容量素子として機能する。
【0047】
ここで、本実施の形態では、アクチュエータ素子(ポリマーアクチュエータ素子131,132)の変形量が、比較的大きい(例えば、1〜2mm程度)ものとなる。このため、それに伴って固定電極16と可動電極17との間の距離d1の変化量も、大きくなる(例えば、0〜2mm程度)。その結果、本実施の形態の可変容量装置1では、容量素子C1における容量変化範囲が、従来の可変容量素子(例えば、エアバリコンやポリバリコン、セラミックトリマコン、バリキャップ等)における容量変化範囲と比べ、広範なものとなる。換言すると、可変容量装置1では、容量素子C1における可変倍率が、従来の可変容量素子における可変倍率と比べて大きくなる。具体的には、従来の可変容量素子では、5〜15倍程度の可変倍率からなる容量変化範囲であったのに対し、可変容量装置1では、例えば20〜50倍程度の可変倍率からなる広範な容量変化範囲となる。
【0048】
図7は、可変容量装置1における、固定電極16と可動電極17との間の距離d1と、静電容量値Cとの関係についての、一実施例を表したものである。具体的には、この実施例では、前述した(1)式において、誘電体層162Aの厚みd2=0.3mm、固定電極16と可動電極17とが対向する領域の面積S=24mm2、比誘電率ε1=1(空気層)、誘電体層162Aの比誘電率ε2=6となっている。図7により、この実施例では、距離d1と静電容量値Cとが略反比例の関係となっていると共に、約40倍程度の可変倍率からなる広範な容量変化範囲が実現されていることが分かる。
【0049】
以上のように本実施の形態では、駆動部18によって、固定電極16と可動電極17との間の距離d1が変化するようにポリマーアクチュエータ素子131,132の他端側を変形させているので、固定電極16と可動電極17との間の距離d1の変化量を大きくすることができる。よって、これらの固定電極16および可動電極17を用いて形成される容量素子C1の容量値も大きく変化させることができ、従来よりも広範な容量変化範囲(従来よりも大きな可変倍率)を実現することが可能となる。また、このような広範な容量変化範囲(大きな可変倍率)を、比較的小さく簡単な構造により実現することが可能である。
【0050】
また、特に本実施の形態では、アクチュエータ素子としてポリマーアクチュエータ素子131,132を用いるようにしたので、他の方式のアクチュエータ素子(後述する圧電素子やバイメタル素子等)を用いた場合と比べ、以下の利点も得られる。すなわち、駆動用電圧Vdを低く抑えて低消費電力化を図ることが可能となると共に、低コストで製造することも可能となる。
【0051】
更に、固定電極16が、導体層161と、この導体層161における可動電極17側に設けられた誘電体層162Aとを含む積層構造となっているようにしたので、以下の利点が得られる。すなわち、この誘電体層162Aの存在によって、容量素子C1の容量値を大きくすることができると共に、可動電極17の変位時における導体層161,171同士の電気的な短絡(ショート)を防止することも可能となる。なお、場合によっては、固定電極16において、このような誘電体層162A(および誘電体層162B)を設けないようにしてもよい。
【0052】
加えて、可動電極17が連結部材141,142を介して駆動されるようにしたので、例えば一対のポリマーアクチュエータ素子131,132間で動作ばらつき(変形量のばらつき)が生じる場合であっても、可動電極17をZ軸に沿って移動し易くすることが可能となる。
【0053】
<変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1〜6)について説明する。なお、実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0054】
[変形例1]
図8は、変形例1に係る可変容量装置(可変容量装置1A)の全体構成(概略構成)および動作を、側面図(Z−X側面図)で模式的に表したものであり、(A)は動作前の状態を、(B)は動作後の状態をそれぞれ示す。
【0055】
本変形例の可変容量装置1Aは、複数組の固定電極および可動電極の間に、複数の可変容量素子を形成するようにしたものである。具体的には、可変容量装置1Aは、上記実施の形態の可変容量装置1において、1組の固定電極16および可動電極17の代わりに、2組の固定電極16A,16Bおよび可動電極17A,17Bを設けたものとなっており、他の構成は同様となっている。
【0056】
固定電極16A,16Bはそれぞれ、一端側が固定用部材12により固定された電極であり、ここではXY平面上に延在する平板状の形状となっている。これらの固定電極16A,16Bは、一対のポリマーアクチュエータ素子131,132の間において、互いに対向するように(略平行となるように)配置されている。
【0057】
可動電極17A,17Bはそれぞれ、一端側が接続部材15により固定された電極であり、可動電極17と同様に連結部材141,142および接続部材15を介して、ポリマーアクチュエータ素子131,132の他端側に配設されている。これらの可動電極17A,17Bもまた、ここではXY平面上に延在する平板状の形状となっており、一対のポリマーアクチュエータ素子131,132の間に配置されている。具体的には、可動電極17Aは、ポリマーアクチュエータ素子131と固定電極16Aとの間に配置され、可動電極17Bは、固定電極16A,16Bの間に配置されている。すなわち、可動電極17Aは、Z軸方向に沿って固定電極16Aと略対向配置(対向配置)されている一方、可動電極17Bは、Z軸方向に沿って固定電極16Bと略対向配置(対向配置)されている。これらの可動電極17A,17Bもまた可動電極17と同様に、以下説明するように、ポリマーアクチュエータ素子131,132の変形に基づく接続部材15の変位(Z軸方向の変位)に応じて、それぞれZ軸方向に変位することが可能となっている。
【0058】
このような構成により可変容量装置1Aでは、互いに略対向配置(対向配置)された固定電極16Aおよび可動電極17Aと、それらの間の空間領域(間隙)(および固定電極16Aにおける誘電体層162A)とにより、容量素子C1Aが形成される。また、互いに略対向配置(対向配置)された固定電極16Bおよび可動電極17Bと、それらの間の空間領域(間隙)(および固定電極16Bにおける誘電体層162A)とにより、容量素子C1Bが形成される。すなわち、可変容量装置1Aでは、2組の固定電極16A,16Bおよび可動電極17A,17Bを用いて、2つの容量素子C1A,C1Bが形成されるようになっている。
【0059】
ここで、これらの容量素子C1A,C1B同士は、例えば図9(A)に示したように互いに並列接続されているようにしてもよく、あるいは、例えば図9(B)に示したように互いに直列接続されているようにしてもよい。なお、並列接続されているようにした場合、可変容量装置1A全体としての容量値を大きくする(ここでは2倍の容量値とする)ことができる。
【0060】
本変形例の可変容量装置1Aでは、図8(A),(B)に示したように、一対のポリマーアクチュエータ素子131,132の変形(湾曲)に応じて、接続部材15等を介して可動電極17A,17Bがそれぞれ駆動される。これにより、可動電極17A,17Bがそれぞれ、Z軸に沿って移動可能(変位可能)となる。すると、このような可動電極17A,17BのZ軸方向の変位に伴い、固定電極16Aと可動電極17Aとの間の距離d1A、および固定電極16Bと可動電極17Bとの間の距離d1Bが、それぞれ変化する(ここでは、可動電極17A,17Bの変位に伴い、距離d1A,d1Bが短くなる)。したがって、上記実施の形態と同様に、これらの距離d1A,d1Bの変化に応じて容量素子C1A,C1Bの(静電)容量値もそれぞれ変化する(ここでは容量値が大きくなる)ため、これらの容量素子C1A,C1Bがそれぞれ、可変容量素子として機能する。
【0061】
ここで、本変形例においても上記実施の形態と同様の作用により、上記した距離d1A,d1Bの変化量を大きくすることができ、容量素子C1A,C1Bの容量値も大きく変化させることができる。よって、本変形例においても、従来よりも広範な容量変化範囲(従来よりも大きな可変倍率)を実現することが可能となる。
【0062】
なお、本変形例では、2組の固定電極および可動電極を用いて2つの可変容量素子を形成する場合について説明したが、例えば、3組以上の固定電極および可動電極を用いて3つ以上の可変容量素子を形成し、それらを組み合わせて用いるようにしてもよい。具体的には、そのようにして形成される複数の可変容量素子が、互いに、並列、直列またはそれらの組み合わせにより接続されている(並列接続、直列接続またはそれらの混合接続となっている)ようにしてもよい。
【0063】
[変形例2]
図10は、変形例2に係る可変容量装置(可変容量装置1B)の全体構成(概略構成)を、側面図(Z−X側面図)で模式的に表したものである。本変形例の可変容量装置1Bでは、以下説明するモニター用の可変容量素子(後述する容量素子C2)の容量値を検出し、その検出した容量値を利用して、ポリマーアクチュエータ素子131,132の変形量(変位量,湾曲量)を制御するようになっている。
【0064】
具体的には、可変容量装置1Bは、上記実施の形態の可変容量装置1において、固定電極16の代わりに固定電極16−1を設けると共に、駆動部18の代わりに駆動部18Bを設けたものであり、他の構成は同様となっている。
【0065】
固定電極16−1は、絶縁性部材163と、この絶縁性部材163における可動電極17との対向面上において互いに電気的に分離された複数(ここでは2つ)のサブ電極16C,16Dとからなる。換言すると、固定電極16−1は、これら2つのサブ電極16C,16Dを用いて構成されている。絶縁性部材163は、サブ電極16C,16Dをそれぞれ支持(固定)するための部材としても機能しており、例えばフッ化ビニリデン等の絶縁材料からなる。
【0066】
このような構成により、本変形例の可変容量装置1Bでは、互いに略対向配置(対向配置)されたサブ電極16Cおよび可動電極17と、それらの間の空間領域(間隙)(およびサブ電極16Cにおける誘電体層162A)とにより、容量素子(可変容量素子)C1が形成される。また、互いに略対向配置(対向配置)されたサブ電極16Dおよび可動電極17と、それらの間の空間領域(間隙)(およびサブ電極16Dにおける誘電体層162A)とにより、モニター用の容量素子(可変容量素子)C2が形成されるようになっている。なお、これらの容量素子C1,C2では、サブ電極16Cまたはサブ電極16Dと可動電極17との間の距離は、いずれもd1となっている。
【0067】
駆動部18Bは、図11に示したように、前述した電圧供給部181に加え、容量値検出部182、記憶部183および減算部184を有している。
【0068】
容量値検出部182は、上記したモニター用の容量素子C2の容量値を検出するものである。この容量値検出部182は、例えば図12に示したように、周波数f=f0の周波数からなる交流信号を発生する発振回路182Bと、互いに電磁気的に結合された3つのインダクタL1,L2,L3と、ダイオード(整流素子)D3と、抵抗器R3と、容量素子(コンデンサ)C3とを有している。インダクタL1は発振回路182Bの両端間に接続され、インダクタL2は容量素子C2の両端間に接続されている。インダクタL3の一端はダイオードD3のアノードに接続され、他端は抵抗器R3の一端および容量素子C3の一端にそれぞれ接続されている。ダイオードD3のカソードは、抵抗器R3の他端および容量素子C3の他端にそれぞれ接続されている。このような接続構成により、インダクタL2および容量素子C2によって共振回路(LC共振回路)が構成されると共に、インダクタL3、ダイオードD3、抵抗器R3および容量素子C3によって検波回路が構成されるようになっている。
【0069】
この容量値検出部182では、具体的には以下のようにして、容量素子C2の容量値を検出している。まず、上記したLC共振回路では、例えば図13に示したような共振特性からなる共振動作(LC共振動作)が行われる。このとき、この共振動作における共振周波数f2は、インダクタL2のインダクタンスをL、容量素子C2の容量値をC2とすると、以下の(2)式により表わされる。ここで、容量素子C2における容量値が変化すると、(2)式によりそれに伴って共振周波数f2が変化する(シフトする)ため、発振回路182Bでの周波数f0における検波出力(出力電圧Vout)も変動する。例えば、図13に示したように、容量素子C2の容量値変化に伴って共振周波数がf2から(f2+Δf)に変化すると、周波数f0における出力電圧Voutの値も変化する(ここでは、−ΔVだけ減少している)。ここで、容量素子C2における容量値と出力電圧Voutとは1対1で対応するため、この出力電圧Voutを検出することにより、容量素子C2の容量値も検出(測定)することができる。なお、このようにして容量値検出部182により検出された容量素子C2の容量値を、ここでは容量値C2dとする。
f2=1/{2π×(L×C2)1/2} ……(2)
【0070】
図11に示した記憶部183は、容量素子C2における「所定の目標値」である容量値C2tを予め記憶(保持)しておくためのメモリであり、種々の方式のメモリを用いて構成することが可能である。減算部184は、記憶部183に保持されている容量値C2tと、容量値検出部182により検出された容量値C2dとの間で減算処理を行う(具体的には、容量値C2tから容量値C2dを減算する処理を行う)ものである。これにより、減算された容量値(C2t−C2d)が、電圧供給部181へ出力されるようになっている。
【0071】
本変形例の電圧供給部181では、容量値検出部182により検出されたモニター用の容量素子C2の容量値C2dを用いて、ポリマーアクチュエータ素子131,132の変形量を制御するようになっている。具体的には、減算部184から供給される容量値(C2t−C2d)を用いて、この容量素子C2の容量値C2dが所定の目標値(容量値C2t)と略一致(好ましくは一致)するように、ポリマーアクチュエータ素子131,132の変形量を制御する。すなわち、ここでは、容量値(C2t−C2d)の値が0(ゼロ)に近づくように(好ましくは0となるように)、駆動用電圧Vdの値を調整して、ポリマーアクチュエータ素子131,132の変形量を制御している。
【0072】
このようにして本変形例の可変容量装置1Bでは、電圧供給部181において、容量値検出部182により検出されたモニター用の容量素子C2の容量値C2dを用いて、ポリマーアクチュエータ素子131,132の変形量を制御するようにしたので、振動や可変容量装置1Bの姿勢差などに影響されることなく、実際に使用する容量素子C1の容量値を所望の値に精度良く調整することが可能となる。
【0073】
なお、本変形例では、2つのサブ電極を用いてモニター用の可変容量素子を形成する場合について説明したが、例えば、3つ以上のサブ電極を用いて3つ以上の可変容量素子を形成し、それらのうちの1つをモニター用の可変容量素子として用いるようにしてもよい。
【0074】
[変形例3,4]
図14(A)は、変形例3に係る可変容量装置(可変容量装置1C)の全体構成(概略構成)を、側面図(Z−X側面図)で模式的に表したものである。また、図14(B)は、変形例4に係る可変容量装置(可変容量装置1D)の全体構成(概略構成)を、側面図(Z−X側面図)で模式的に表したものである。これらの変形例3,4では、可動電極17の変位量(移動量)を検出し、その検出した変位値を利用して、ポリマーアクチュエータ素子131,132の変形量(変位量,湾曲量)を制御するようになっている。
【0075】
図14(A)に示した変形例3の可変容量装置1Cは、上記実施の形態の可変容量装置1において、駆動部18の代わりに駆動部18Cを設けると共に、磁石191およびホール素子192を更に設けたものであり、他の構成は同様となっている。なお、磁石191およびホール素子192が、本発明における「変位量検出部」の一具体例に対応している。
【0076】
磁石191は、接続部材15上(ここでは側面上)に配置されており、例えば、ネオジム(Nd)−鉄(Fe)−ホウ素(B)の化合物(Nd2Fe14B)等の磁性材料からなる。ホール素子192は、支持部材11上における磁石191と対向する位置に設けられており、磁石191により発生される磁場の強さを検出するものである。なお、このホール素子192の代わりに、磁気抵抗効果素子(MR素子)を用いて磁場の強さを検出するようにしてもよい。駆動部18Cでは、ホール素子192により検出された磁場の強さ(可動電極17の変位量、磁石191とホール素子192との間の距離d3に対応)を用いて、ポリマーアクチュエータ素子131,132の変形量を制御するようになっている。具体的には、駆動部18Cは、駆動用電圧Vdの値を調整して、ポリマーアクチュエータ素子131,132の変形量を制御している。
【0077】
一方、図14(B)に示した変形例4の可変容量装置1Dは、上記実施の形態の可変容量装置1において、駆動部18の代わりに駆動部18Dを設けると共に、反射部材193およびフォトリフレクタ194を更に設けたものであり、他の構成は同様となっている。なお、反射部材193およびフォトリフレクタ194が、本発明における「変位量検出部」の一具体例に対応している。
【0078】
反射部材193は、接続部材15上(ここでは側面上)に配置されており、例えばアルミニウム(Al)等の金属材料からなる。フォトリフレクタ194は、支持部材11上における反射部材193と対向する位置に設けられており、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)とフォトトランジスタとを単一のパッケージ内に収容してなるものである。これによりフォトリフレクタ194では、LEDから発せられて反射部材193で反射された光(反射光)の光量を、フォトトランジスタにおいて検出するようになっている。駆動部18Dでは、フォトリフレクタ194により検出された反射光の光量(可動電極17の変位量、反射部材193とフォトリフレクタ194との間の距離d4に対応)を用いて、ポリマーアクチュエータ素子131,132の変形量を制御するようになっている。具体的には、駆動部18Dは、駆動用電圧Vdの値を調整して、ポリマーアクチュエータ素子131,132の変形量を制御している。
【0079】
このようにして変形例3,4では、可動電極17の変位量を検出すると共に、その検出した変位値を利用して、ポリマーアクチュエータ素子131,132の変形量を制御するようにしたので、振動や可変容量装置1C,1Dの姿勢差などに影響されることなく、容量素子C1の容量値Cを所望の値に精度良く調整することが可能となる。
【0080】
[変形例5]
図15は、変形例5に係る可変容量装置に適用されるアクチュエータ素子としての圧電素子231,232の概略構成および動作を、模式図で表わしたものである。本変形例の可変容量装置では、上記実施の形態のポリマーアクチュエータ素子131,132の代わりに、以下説明する圧電素子231,232を設けたものとなっている。
【0081】
これらの圧電素子231,232はそれぞれ、XY平面上に延在する導体板61と、この導体板61の両面に配置された一対の圧電体62A,62Bと、導体板61および圧電体62A,62Bの一端側を固定する一対の固定用部材63A,63Bとからなる。
【0082】
導体板61は、例えばリン青銅等の材料からなる。圧電体62A,62Bはそれぞれ、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電性材料からなる。なお、これらの圧電体62A,62Bにはそれぞれ、それらの厚み方向(Z軸方向)に沿って所定の分極処理が施されており、それらの分極方向は互いに同じ方向になっているものとする。
【0083】
このような構成の圧電素子231,232では、圧電体62A,62Bに対してそれぞれ所定の駆動用電圧Vdが印加されると、一方の圧電体(ここでは圧電体62A)がX軸方向に沿って伸びる一方、他方の圧電体(ここでは圧電体62B)がX軸方向に沿って縮むため、結果として圧電素子231,232全体ではその厚み方向(Z軸方向)に沿って湾曲(屈曲)し、Z軸方向の変形量dが生ずる。なお、駆動用電圧Vdの極性を反転させれば、それに伴って逆方向の変形量dが得られる。このようにして、駆動用電圧Vdを供給することにより、圧電素子231,232がそれぞれ、アクチュエータ素子として機能する。
【0084】
よって、これらの圧電素子231,232をアクチュエータ素子として用いた本変形例の可変容量装置においても、上記実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることが可能である。
【0085】
[変形例6]
図16は、変形例6に係る可変容量装置に適用されるアクチュエータ素子としてのバイメタル素子331,332の概略構成および動作を、模式図で表わしたものであり、(A)は動作前の状態を、(B)は動作後の状態をそれぞれ示す。本変形例の可変容量装置では、上記実施の形態のポリマーアクチュエータ素子131,132の代わりに、以下説明するバイメタル素子331,332を設けたものとなっている。
【0086】
これらのバイメタル素子331,332はそれぞれ、XY平面上に延在する一対の金属板(熱膨張率が互いに異なる高膨張性金属板72Aおよび低膨張性金属板72B)と、これらの金属板の一端側を固定する一対の固定用部材73A,73Bとからなる。高膨張性金属板72Aおよび低膨張性金属板72Bは、互いに貼り合わせられることにより積層構造を形成するようになっている。
【0087】
高膨張性金属板72Aおよび低膨張性金属板72Bはそれぞれ、例えば、鉄(Fe)とニッケル(Ni)との合金にマンガン(Mn)やクロム(Cr)、銅(Cu)などの金属を添加した材料からなる。これらの添加量を異ならせることにより、互いの熱膨張率が異なるものとなるようになっている。
【0088】
このような構成のバイメタル素子331,332では、図16(A)に示した平坦状態(動作前状態)と比べて高い温度状態とすると、高膨張性金属板72Aのほうが、低膨張性金属板72Bと比べてより多く膨張する。このため、結果としてバイメタル素子331,332全体では、その厚み方向(Z軸方向)に沿って湾曲(屈曲)し、Z軸方向の変形量dが生ずる。したがって、図示しないヒーター等の加熱手段を用いて高膨張性金属板72Aおよび低膨張性金属板72Bの温度を変化させることにより、バイメタル素子331,332がそれぞれ、アクチュエータ素子として機能する。
【0089】
よって、これらのバイメタル素子331,332をアクチュエータ素子として用いた本変形例の可変容量装置においても、上記実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることが可能である。
【0090】
<適用例>
続いて、上記実施の形態および変形例1〜6に係る可変容量装置(可変容量装置1,1A〜1D等)の適用例(アンテナモジュールおよび通信装置への適用例)について説明する。
【0091】
図17および図18は、上記実施の形態等の可変容量装置の適用例に係る通信装置(携帯電話機4)の概略構成を表す斜視図で表わしたものある。この携帯電話機4では、2つの筐体41A,41B同士が、図示しないヒンジ機構を介して折り畳み自在に連結されている。
【0092】
図17に示したように、筐体41Aの一方側の面には、各種の操作キー42が複数配設されると共に、その下端部にマイクロフォン43が配設されている。操作キー42は使用者(ユーザ)による所定の操作を受け付けて情報を入力するためのものである。マイクロフォン43は、通話時等における使用者の音声を入力するためのものである。
【0093】
筐体41Bの一方側の面には、図17に示したように、液晶表示パネル等を用いた表示部44が配設されると共に、その上端部には、スピーカー45が配設されている。表示部44には、例えば、電波の受信状況や電池残量、通話相手の電話番号、電話帳として登録されている内容(相手先の電話番号や氏名等)、発信履歴、着信履歴等の各種の情報が表示されるようになっている。スピーカー45は、通話時等における通話相手の音声等を出力するためのものである。
【0094】
図18に示したように、筐体11Aの他方側の面の内部には、上記実施の形態等の可変容量装置を有するアンテナモジュール46が配設されている。
【0095】
図19(A)は、アンテナモジュール46の主要な回路構成を表したものである。このアンテナモジュール46は、アンテナ素子461と、容量素子C1(可変容量素子)を含む上記実施の形態等の可変容量装置1(1A〜1D等)とを有している。
【0096】
このような構成のアンテナモジュール46では、上記実施の形態等の可変容量装置1(1A〜1D等)を用いて構成されていることにより、従来のアンテナモジュールと比較して、以下の利点を得ることが可能である。
【0097】
すなわち、まず、携帯電話機に代表される無線通信機能を有する携帯端末機器(通信装置)では、通信データの高速化や利便性向上のため、近年では、使用周波数のマルチバンド化や搭載システムのマルチモード化が進展している。特に最近では、GSM(Global System for Mobile Communications)方式と、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)方式(W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式)との双方の方式を使用可能なマルチバンド・マルチモードの携帯電話機やスマートフォンなどが広く普及している。このような携帯端末機器(通信装置)では、例えばGPS(Global Positioning System)やワンセグ(携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス)等に加えて、Bluetooth(登録商標)やWLAN(Wireless Local Area Network)、FeliCa(非接触型ICカード;登録商標)に代表される近距離無線通信(NFC;Near Field Communication)など、様々な方式の無線通信システムを混載する必要がある。
【0098】
ここで、図19(B)に示した比較例に係る従来のアンテナモジュール106では、このような多数の方式の無線通信システム間でのバンド切り替えは、以下のようにして実現していた。すなわち、そのバンドの数と同数のインピーダンス調整素子(ここでは、1つの固定容量素子C100および6つの固定容量素子C101〜C106)を予め用意しておき、スイッチ素子SWによってそれらのインピーダンス調整素子との接続を切り替えることにより実現していた。ところが、このような構成では、まず、複数のインピーダンス調整素子(ここでは固定容量素子)が必要になってしまう。また、それらを切り替えるためのスイッチ素子SWとしては、大電力を扱えてかつ損失の小さなものであることが望まれることから、ガリウムヒ素(GaAs)スイッチ等の比較的高価な部品を用いる必要があった。これらのことから、従来のアンテナモジュール106では、構成が複雑化および大型化してしまうと共に、製造コストが高くなってしまう。
【0099】
これに対して、図19(B)に示した本適用例に係るアンテナモジュール46では、バンド切り替えのために必要な素子は、上記実施の形態等で説明した可変容量装置1等のみとなるため、送受信回路の構成を非常に単純化することができる。また、可変容量素子C1における容量値を連続的に変化させることができるため、バンド数を非常に多く(原理的には無数に)選択することが可能となる。更に、小さい容量値から大きな容量値までの広範な容量値範囲を単一の可変容量素子でカバーすることができるため、単純な構成により、多数の方式の無線通信システムの混載が実現される。
【0100】
<その他の変形例>
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0101】
例えば、上記実施の形態等で説明した接続部材15および連結部材141,142はそれぞれ、場合によっては設けないようにしてもよい。また、上記実施の形態等では、アクチュエータ素子の一端側が固定用部材12によって直接固定されている場合について説明したが、この場合には限られない。すなわち、アクチュエータ素子の一端側が、固定用部材12によって間接的に(固定電極16等を介して)固定されているようにしてもよい。更に、上記実施の形態等では、可動電極17がアクチュエータ素子と間接的に接続するように設けられている場合について説明したが、この場合には限られない。すなわち、可動電極17が、アクチュエータ素子と直接接続するように設けられている(可動電極17が、アクチュエータ素子の一部(表面等)に形成されている)ようにしてもよい。
【0102】
また、上記実施の形態等では、主に一対のアクチュエータ素子を設けた場合について説明したが、必ずしも一対ではなくてもよく、1つあるいは3つ以上のアクチュエータ素子を設けるようにしてもよい。
【0103】
更に、各アクチュエータ素子の形状については、上記実施の形態等に示したものには限定されず、またその積層構造についても、上記実施の形態等で説明したものに限定されず、適宜変更可能である。また、可変容量装置における各部材の形状や材料等についても、上記実施の形態等で説明したものには限られない。
【0104】
加えて、本発明の可変容量装置は、上記適用例で説明したアンテナモジュールおよび通信装置(携帯電話機)には限られず、他の電子機器等にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0105】
1,1A〜1D…可変容量装置、11…支持部材、12…固定用部材、12U…上部固定用部材、12C…中部固定用部材、12D…下部固定用部材、121A,121B,122A,122B…固定電極、131,132…ポリマーアクチュエータ素子、141,142…連結部材、15…接続部材、16,16A,16B,16−1…固定電極、16C,16D…サブ電極、161…導体層、162A,162B…誘電体層、163…絶縁性部材、17,17A,17B…可動電極、171…導体層、18,18B,18C,18D…駆動部、181…電圧供給部、182…容量値検出部、182B…発振回路、183…記憶部、184…減算部、191…磁石、192…ホール素子、193…反射部材、194…フォトリフレクタ、231,232…圧電素子、331,332…バイメタル素子、4…携帯電話機、46…アンテナモジュール、461…アンテナ素子、51…高分子化合物膜、52A,52B…電極膜、61…導体板、62A,62B…圧電体、63A,63B…固定用部材、72A…高膨張性金属板、72B…低膨張性金属板、73A,73B…固定用部材、Vd…駆動用電圧、Vout…出力電圧、C1,C1A,C1B,C2,C3…容量素子、C2d,C2t…容量値、L1〜L3…インダクタ、D3…ダイオード、R3…抵抗器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定用部材と、
前記固定用部材により一端側が固定された固定電極と、
前記固定用部材により直接もしくは間接的に一端側が固定されたアクチュエータ素子と、
前記アクチュエータ素子と直接もしくは間接的に接続するように設けられ、前記固定電極と略対向配置された可動電極と、
前記固定電極と前記可動電極との間の距離が変化するように、前記アクチュエータ素子の他端側を変形させる駆動部と
を備えた可変容量装置。
【請求項2】
前記アクチュエータ素子が複数設けられており、
前記複数のアクチュエータ素子の各他端側と前記可動電極の一端側との間を接続する接続部材を備えた
請求項1に記載の可変容量装置。
【請求項3】
前記複数のアクチュエータ素子の各他端と前記接続部材との間を連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、各ポリマーアクチュエータ素子と同等以下の剛性を有する
請求項2に記載の可変容量装置。
【請求項4】
前記固定用電極と前記可動電極とが複数組設けられている
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の可変容量装置。
【請求項5】
前記複数組の固定電極および可動電極を用いて形成される複数の可変容量素子が、互いに、並列、直列またはそれらの組み合わせにより接続されている
請求項4に記載の可変容量装置。
【請求項6】
前記固定電極が、前記可動電極との対向面上において互いに電気的に分離された複数のサブ電極を用いて構成され、
前記複数のサブ電極のうちの一のサブ電極と前記可動電極とを用いて形成されるモニター用の可変容量素子の容量値を検出する容量値検出部を備え、
前記駆動部は、前記容量値検出部により検出されたモニター用の可変容量素子の容量値を用いて、前記アクチュエータ素子の変形量を制御する
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の可変容量装置。
【請求項7】
前記駆動部は、検出されたモニター用の可変容量素子の容量値が所定の目標値と略一致するように、前記アクチュエータ素子の変形量を制御する
請求項6に記載の可変容量装置。
【請求項8】
前記可動電極の変位量を検出する変位量検出部を備え、
前記駆動部は、前記変位量検出部により検出された変位量を用いて、前記アクチュエータ素子の変形量を制御する
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の可変容量装置。
【請求項9】
前記固定電極は、導体層と、この導体層における前記可動電極側に設けられた誘電体層とを含む積層構造を有する
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の可変容量装置。
【請求項10】
前記アクチュエータ素子が、ポリマーアクチュエータ素子である
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の可変容量装置。
【請求項11】
前記ポリマーアクチュエータ素子は、
一対の電極膜と、
前記一対の電極膜の間に挿設された高分子膜と
を有する請求項10に記載の可変容量装置。
【請求項12】
前記アクチュエータ素子が、圧電素子またはバイメタル素子である
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の可変容量装置。
【請求項13】
アンテナ素子と可変容量装置とを備え、
前記可変容量装置は、
固定用部材と、
前記固定用部材により一端側が固定された固定電極と、
前記固定用部材により固定用部材により直接もしくは間接的に一端側が固定されたアクチュエータ素子と、
前記アクチュエータ素子と直接もしくは間接的に接続するように設けられ、前記固定電極と略対向配置された可動電極と、
前記固定電極と前記可動電極との間の距離が変化するように、前記アクチュエータ素子を駆動する駆動部と
を有するアンテナモジュール。
【請求項14】
アンテナ素子と可変容量装置とを有するアンテナモジュールを備え、
前記可変容量装置は、
固定用部材と、
前記固定用部材により一端側が固定された固定電極と、
前記固定用部材により固定用部材により直接もしくは間接的に一端側が固定されたアクチュエータ素子と、
前記アクチュエータ素子と直接もしくは間接的に接続するように設けられ、前記固定電極と略対向配置された可動電極と、
前記固定電極と前記可動電極との間の距離が変化するように、前記アクチュエータ素子を駆動する駆動部と
を有する通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−89573(P2012−89573A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232754(P2010−232754)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】