説明

可撓性インプラント

少なくとも1つの生体適合材料で形成され、1つ以上の第1機能を実現するための形状を有する、人間または動物の体内に一時的または恒久的に挿入されるインプラントであって、前記形状は1つ以上の領域(1,18)を有し、該領域には、弾性または可動性が第2機能として与えられ、前記インプラントは、前記領域に、局所的に剛性を低減させ、前記第1機能により生じた前記形状に加えて設けられた材料凹部(7,19)を有することを特徴とする、インプラントである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1または3の包括部分に記載のインプラント、及び請求項19の包括部分に記載のインプラント製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代医学においては、インプラントを使用して、人または動物の体内における欠陥を補強したり最小化したりすることができる。例えば、椎骨または椎間板のスペースホルダは、椎体または椎間板の代替物として知られている。さらなる例としては、椎骨に固定した茎ねじ(pedicle screws)を、接続ロッドを介して互いに接続することで、椎骨どうしの距離及び配置を互いに合わせて固定することのできる、脊柱用の固定また安定システムが挙げられる。
【0003】
全てのインプラントに関し、人または動物の生体に対して親和性の、すなわち、崩壊現象(disintegration phenomena)による生体に対する拒絶反応または負荷を生じることのない材料を使用することが重要である。したがって、インプラントの材料の選択は実質的に制約されている。
【0004】
さらに、インプラントをできるだけ簡素に、特に少数の部品で形成するのが効果的である。これは、多数の部品による構成が、インプラントを挿入する操作者に要する費用負担を増大させ、一方、種々の部品どうしの接続部位によりエラー発生率が上がり、誤作動の確率も増加するためである。よって、インプラントを一体形成するのが特に好ましい。
【0005】
しかしながら、その一方で、インプラントは種々の異なる機能を実現しなければならないことから、異なる材料を使用し、かつ/または複数の部品からインプラントを構成することが望ましい。例えば、スペーサは、空間を埋めて椎骨を互いに一定の距離に保持する機能を実現するだけではなく、椎骨どうしの一定運動を促進する、すなわち、ある限定範囲内での連接(articulating)機能を実現することが望ましい。この目的のためには、例えば、特許文献1によるスペースホルダを設けることができる。このスペースホルダは、椎体に接する支持部材の間に、インプラントの長手方向に伸張可能で、密に織られたまたは編まれた繊維材料でできた蛇腹型の管状部品が配置されている。しかしながら、この技術には上記の問題がある。すなわち、互いに接続しなければならない複数の異なる材料が使用されるため、エラー発生率が上がる可能性がある。さらに、一定の可撓性、特に伸張性、圧縮性、及び屈曲性が効果的であるインプラントがあるが、このことは、接続技術または材料の選択に関する上記の問題のために、これまで考慮されてこなかった。
【0006】
特許文献2により、以下のような隣接椎骨を安定化させる安定装置が知られている。すなわち、安定装置は、単軸(monoaxial)の2つの茎ねじと、これら茎ねじのそれぞれの収容部分にクランプねじにより固着されたバンドとを含み、この装置は、複数の支持部材を、バンド上に引っ張られた耐圧体として有している。しかしながら、異なる多数の部品という欠点の他に、この安定装置には、支持部材により覆われると可撓性を失うという問題もある。また、単軸の茎ねじの使用により、この安定装置の用途が制限される。単軸茎ねじの代わりに多軸(polyaxial)茎ねじを使用した同様の安定装置が特許文献3により知られている。
【0007】
特許文献4により、以下のような椎骨用の動的安定装置が知られている。すなわち、安定装置は、椎骨に固定された第1及び第2のねじを含み、各ねじが、ねじどうしを接続するばねの1つを挿入するための収容部と、かかるばねの1つを有する。ばね自体は全体が螺旋ばね形状に形成されて、引っ張りばねのように密着して隣接した巻き(threads)を有し、クランプねじを介して収容部に固定されている。しかしながら、この構造には、ばねがその弾性のためにクランプねじの圧力を受けることで、骨ねじとばねとの固定が緩むという危険がある。
【0008】
したがって、本発明の目的は、できる限り簡素な部品、特に単一部品または接続が容易な少数の部品で構成され、インプラントまたはその領域内部における一定の可撓性及び可動性が、他の機能に加えて保証されるインプラントを提供することである。さらに、かかるインプラントは、製造及び移植が容易であり、安全に操作できるとともに、寿命が長く、かつ多様な適用の可能性を有している。
【0009】
【特許文献1】独国特許発明第10056977号明細書
【特許文献2】欧州特許第0669109号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1188416号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0109880号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、請求項1または3に記載の特性を有するインプラント及び請求項19の特性を有するインプラント製造方法により実現する。効果的な実施形態が従属項の目的である。
【0011】
本発明は、人または動物の体に用いられるインプラントの場合、基本的に、そのインプラントが体内において行う1つ以上の機能が実現するような形状が選択される、という知識から発生している。これらの機能には、インプラントによる、ある程度の可動性または弾性の提供をも含むことができる。場合によっては、インプラント内の弾性または可動性は基本的に必要ないが、おそらくは望ましくかつ効果的である。これに関し、以下の説明では、可動性及び弾性の機能を第2の機能と指定し、他の全ての機能を第1の機能として表す。
【0012】
第1のケース群では、従来技術において、可動性及び弾性は、付加的な部品及び/または異なる種類の材料により得られる。本発明は別の方法を採用し、可撓性または可動性を別の材料または付加的な別の部品を設けることにより得るのではなく、一体的なインプラントまたはインプラント部品の場合に、可撓性または可動性を有する領域を、材料の凹部(material recess)をそのデザインに組み込むことにより実現する。
【0013】
第2のケース群では、可撓性または可動性は絶対的に必要な機能ではなく、この付加的な機能は、本発明により、対応する材料の凹部を対応する領域に設けることにより実現する。この凹部は、意図される機能によって特定される形状に加え、発生する。
【0014】
このように、追加的な弾性材料及び対応する接続部品または追加的な個別部品を使用しないことにより、可撓性及び可動性をインプラントまたはその部品において簡単に得ることができる。これに関し、弾性または可動性の機能は、インプラントの必要な機能に加えて、または必要な機能の構成要素として、提供することができる。特に、圧縮及び/または伸張領域を、かつ、一定の制限内で屈曲接合部またはねじり部材などを、特に一体型インプラントまたはインプラント部品において、このような方法で簡単かつ確実に実現できる。
【0015】
これに対応し、好ましくは一体形成されたインプラントに対し、安定性があり、硬く、特に意図された使用条件に対して、剛性で、好ましくは可撓性で剛性の材料、例えばチタン、チタン合金、プラスチックなどを使用することができる。一般に、拒絶反応を起こさない、または身体への負荷である、いかなる崩壊現象も示さない、すべての生体適合材料がこのような材料の候補である。
【0016】
材料凹部は、好ましくは、インプラントまたはインプラント部品の壁の溝型凹部または開放開口として設けることができる。材料凹部の形状、数、及び配置は、場合に応じて、負荷要件に対して調節が可能である。
【0017】
多様な要件を満たす一般的な形状として、材料凹部はインプラント本体周囲を取り囲むように螺旋状に形成され、特に、螺旋ねじタイプの形状となる。この形状は、特に、材料凹部により、螺旋状ねじの隣り合うフィレット(fillet,巻き)間に自由空間が存在するという効果が得られる。これにより、製造の容易性及びこれに関連するより多様な材料の選択肢に加え、可撓性がより大きくなるという効果がある。
【0018】
特に効果的な点として、二重トラック(twin‐track)または2段(two‐flight)螺旋状に形成された2つの材料凹部を提供できる。このように、互いの内側に配置された2つの螺旋ねじを特に形成することができる。螺旋形状の凹部の領域が同じ高さを有する場合、1つの低ピッチ螺旋形状凹部に代えて、2つのダブルピッチ螺旋形状凹部が形成できる。
【0019】
椎骨及び/または椎間板用のスペースホルダ及び茎ねじ構造の接続ロッドが、同様に可撓性のインプラントに特に適し、これらは、特に効果的にシステムとして共に用いることができる。これにより、安定した脊柱を有する患者が、十分な可動性を有することが可能になる。
【0020】
椎骨及び/または椎間板用のスペースホルダは、第1の機能として、空間保持及び重量移動の機能を提供する一方、第2の機能として、緩衝効果及び可動性を付加的に提供する。
【0021】
接続ロッドに関しては、支持及び接続機能を第1の機能とする。
【0022】
インプラントまたはスペースホルダまたは接続ロッドに関し、これらの部材を、中央の管状本体部とその端部に設けられた接続部材とを備える管状体に形成し、可撓性を提供する材料凹部を好ましくは1つまたは2つの螺旋形状開口として管状本体部に設けることにより、この部分が互いの内側に配置された1つまたは2つの螺旋ばねの形状を実質的に有するのが効果的である。スペースホルダの接続部材は、好ましくは、隣接する身体部分、例えば椎骨にスペースホルダを接続する対応する手段を、その両端部において鉤状突起として有し、及び/または外被面に凹部、溝部及び開口を有し、これによりスペースホルダは組織に成長するまたは結合することができる。ただし、この点に関し、接続部材のキャビティまたは凹部を、管状本体部分においてスペースホルダの可撓性及び可動性を実現するための材料凹部と混同してはならない。接続部材は、隣接する身体部分、例えば椎骨に完全に結合するため、椎骨の可撓性や可動性には寄与しないのである。
【0023】
管状本体部を隣接する身体部分に接続するための手段は、特にこの本体部の端部を延長することにより管状本体部と一体的に形成してもよいし、その端部に対して着脱可能に、例えば管状本体部の端部にねじ挿入できる端部プレートを配置してもよい。
【0024】
このような着脱可能な端部プレートまたは管状本体部と一体接続された端部プレートは、好ましくは、材料凹部を有する管状本体部の周囲に少なくとも1つの弾性材料のスリーブが弾性または可動性を実現する目的で配置される場合、あるいは、管状本体部の内部に少なくとも1つの弾性コアが配置される場合に設けられる。好ましくは1つのエラストマで形成されるこのような弾性コアまたは弾性スリーブには、管状本体またはスペースホルダの弾性または剛性を正確に調整できるという効果がある。対応する凹部及びコア及び/またはスリーブを備える管状本体のモジュラー構造により、異なる部品または異なる剛性を使用して、インプラントの正確に定められた剛性を、緩衝として簡単に実現できる。これに関し、材料凹部を有し、可撓性を実現するインプラント部品と、1つの可撓性材料で構成され、定められた剛性を調整するインプラント部品との組み合わせは、広く本発明の目的である。剛性を変更するには、部品の組成を変えるだけでよく、すなわち、例えば異なる剛性の異なるコアまたは異なるスリーブを可撓性の管状本体に使用すればよい。スリーブとコアとのいずれをも、可撓性管状本体部とともに同時に使用可能であるとも考え得るが、装置の簡素化のために、通常は、管状本体部とコアとの組み合わせ、または管状本体部とスリーブとの組み合わせを用いる。これに関し、スリーブには、好ましくは螺旋形状の凹部を有する管状本体部を外部の影響から保護するという効果もあり、一方、これに対してコアを用いた場合には、コアが管状本体部により保護される。
【0025】
コアとスリーブのいずれもが、管状本体部の両端部に配置された端部プレートにより、効果的に保持可能である。ここで、スリーブ構造の場合には、端部プレートは好ましくは管状本体部を超えて突出し、よって、管状本体部より大きい直径を有する。端部プレートは、少なくとも部分的に、すなわちその一方の側で、管状本体部と一体的に接続することができ、これによりビーカのような形状が得られる。さらに、端部プレートは、例えば、ねじまたはねじ山(thread)接続により、管状本体部に対して1つの側または2つの側のいずれかに着脱可能に接続できる。この場合、端部プレートと管状部材のいずれにも外ねじを設けることができる。
【0026】
好ましくは、インプラントまたは可撓性及び可動性を得るための材料凹部を有する管状本体部は、その長さ方向に、スペースホルダの長さ方向軸に沿って0.5から20%、特に1から15%伸縮可能であり、かつスペースホルダの長さ方向軸に垂直な径方向軸を中心に屈曲可能であり、これにより、隣接する身体部分が長さ方向軸に対して約0.5から10度、特に1から6度だけ回動可能である。さらに、好ましい実施形態においては、長さ方向軸を中心に0.5°から2.5°のねじれ運動が可能である。
【0027】
可撓性インプラントのさらなる効果的な適用例においては、茎ねじ構造の間の領域における単軸または多軸茎ねじ構造のあいだに設けられた接続ロッドは、対応する材料凹部の構造により、ロッドを中空体として少なくとも部分的に形成することによって特に実現可能な特定の可撓性及び可動性を受ける。ロッド形状部材は、異なる重症度の椎間板の欠陥がある場合に、隣り合う椎骨の安定及び可動性の制限のための使用に特に適している。これらの特性は、ロッド形状部材の大きさを変えることにより、製造中に簡単に実現できる。
【0028】
このようなインプラントは、1つ以上の材料凹部を機械的または化学的切削(milling)、EDM(electrical discharge machining)、レーザ処理または他の任意の方法で本体部の壁に導入できるように、本体部から簡単に製造できる。特に、1つまたは好ましくは2つの材料凹部を、螺旋形状または壁に沿って本体の周囲に設けることができる。
【0029】
本体部が中実体、例えば中実の円筒であれば、先行するまたは後続の第2ステップにおいて、特に、材料凹部と同軸上のボアホールを形成し、弾性領域において好ましくは螺旋ばね形状が形成されるようにすることができる。パイプ状の材料が用いられる場合には、コアの穿孔の必要がなくなることがある。
【0030】
好ましくは、パイプ形の本体をレーザ処理することにより材料凹部が形成できる。この場合、1処理ステップで2つの凹部を導入することができるからである。すなわち、レーザにより、パイプ状の本体(例えば、二次パイプ(quadratic pipe)でも)を貫通して穴開けすることにより、両側に同時にボアホールを形成できる。本体を回転及び前進させることにより、二重螺旋が同時に生成される。
【0031】
さらなる態様においては、本発明は少なくとも2つの骨固定部材を接続するロッド形状部材に関する。骨固定部材のそれぞれは、骨に固定される固定部分と、単一片から形成される少なくとも1つの剛性部分と1つの弾性部分を備えるロッド形状部材に接続するための収容部分とを有し、特に、弾性部分は螺旋ばねとして形成される。さらに/または、剛性部分に接する弾性部分の反対の端部には、弾性部分に近接して第2の剛性部分が設けられる。さらに/または、弾性部分の外径は、少なくとも1つの位置において剛性部分の外径と異なり、さらに/または弾性部分は、ロッド軸と垂直なある方向において、別の方向においてより、少なくとも部分的にその外径が小さく、さらに/または弾性部分の外径は変化し、さらに/または弾性部分はコアであり、さらに/またはロッド形状部材を貫通して伸張する同軸ボアホールが設けられている。
【0032】
さらに、別の態様においては、本発明は、少なくとも2つの骨固定部材を備える、骨の安定装置に関する。各骨固定装置は、骨に固定するための骨固定部分と収容部、及び骨固定装置に接続するための上記のようなロッド形状部材を有し、特に、骨固定部材は単軸または多軸骨ねじである。
【0033】
さらに、本発明は、以下のステップを含むロッド形状部材の生成方法に関する。
a)剛性ロッドを準備するステップ、
b)好ましくは材料除去方法によって、前記ロッドの少なくとも1つの長さ方向部分に、ロッドの自由単部から所定の距離にわたって螺旋ねじ部分を生成するステップ。特に、コアが軸方向に穿孔され、または残され、かつ/または所定の材料部分が弾性部分の長さ方向に取り除かれて、弾性部分の少なくとも1領域に非円形の断面を生成し、かつ/または,剛性部分の直径が弾性部分に対して低減されている。
【0034】
本発明は、特に、第1の端部とこれに対向する第2の端部を備える実質的に円筒体として提供される、骨または椎骨のための安定装置に用いられる弾性部材に関し、前記本体の対向する端部は、それぞれが同軸の穴を有し、これら端部の少なくとも1つが、骨ねじのシャフト及び/またはヘッドに接続するため、またはロッド部分またはプレートに接続するための内ねじ溝を有し、特に、両端部のそれぞれに内ねじ溝が設けられている。
【0035】
本発明は、さらに、第1の端部とこれに対向する第2の端部を備える実質的に円筒体として提供される、骨または椎骨のための安定装置に用いられる弾性部材に関し、前記本体の第1端部は、骨ねじのシャフトまたはヘッドに接続するため、ロッド部分に接続するため、またはプレートに接続するための、外ねじ山を備える円筒突起を有する。
【0036】
前記本体の第2端部は、効果的には、骨ねじのシャフトまたはヘッドに接続するため、ロッド部分に接続するため、またはプレートに接続するための、外ねじ山を備える円筒突起を有する。
【0037】
さらに好ましい実施形態によれば、弾性部分は、その第2端部に近接して同軸ボアホールを有し、かつ/または少なくとも第2端部に近接する同軸ボアホールの部分に、骨ねじのシャフトまたはヘッド、あるいはロッド部分またはプレートに接続するための、内ねじ溝を有する。
【0038】
さらに好ましい実施形態によれば、弾性部材は、ボアホールが長さ全体にわたって延びていること、かつ/または本体には、連続する同軸ボアが設けられて管状の形状を形成し、凹部が螺旋形状に円筒軸の方向に壁を延び、ここで、径方向において、凹部はボアホールで終端していること、を特徴とする。
【0039】
さらに別の好ましい実施形態によれば、弾性部材は、ボアホールにコアが設けられていること、かつ/または弾性部材が螺旋ばねとして設けられていること、を特徴とする。
【0040】
さらに別の好ましい実施形態によれば、弾性部材は、生体適合材料、特にチタンから形成される。
【0041】
本発明は、特に、上記の弾性部材を備える骨固定部材に関する。骨固定部材は、弾性部材の1端部に接続される骨ねじ山を有するシャフトと、弾性部材の他端部に接続される、骨ねじの端部ピース、好ましくはヘッドを有する。
【0042】
本発明は、特に、弾性部材と、弾性部材の1端部に接続された第1剛性ロッド部分とを有する、2つの骨固定部材を接続するためのロッド形状部材に関し、特に、第2剛性ロッド部分が弾性部材の他端部に接続されている。
【0043】
本発明は、特に、上記の可撓性または弾性部材に接続するための、外ねじ山を備える円筒突起、または内ねじ溝を備えるボアホールを、少なくともその1端部に有するプレートに関する。
【0044】
本発明は、特に、上記のロッド形状部材によって互いに接続された少なくとも2つの骨固定部材を有する、骨、骨部分、または脊柱の動的安定のための安定装置に関する。
【0045】
本発明は、特に、以下のステップを含む、弾性部材の製造方法に関する。
(a)管状の本体を用意し、または
(b)円筒形状の本体を用意し、
(c)円筒または管形状の本体の主軸に対して同軸に延びる螺旋に沿って、金属切削により、外側から材料を除去することにより螺旋形状の凹部を形成し、
(d)円筒本体の主軸に沿ってボアホールを形成し、
(e)管状本体またはボアホールの2つの端部部分の一方に、内ねじ溝を形成し、
ここで、特に、ステップ(d)のボアホールの内径が、ステップ(c)において金属切削により形成された円筒本体の外壁における螺旋形状の凹部が径方向においてボアホールで終端するように選択され、特に、ボアホールの他端部分に内ねじ溝が形成される。
【0046】
本発明は、特に、以下のステップを含む弾性部材の製造方法に関する。
(a)円筒形状の本体を用意し、
(b)円筒形本体の2つの端部のそれぞれに、外ねじ山を有する1つの円筒突起を金属切削回転により形成し、
(c)円筒形状本体の主軸に対して同軸に延びる螺旋に沿って、金属切削により、外側から材料を除去することにより螺旋形状の凹部を形成し、
(d)円筒本体の主軸に沿ってボアホールを形成し、
効果的に、さらに以下のステップを含む。
(f)ボアホールの内側の鋭い端部を取り除くために、ボアホール形成後に、切削によって螺旋形状の凹部の逃げを仕上げ、
(g)このようにして形成された弾性部材のデバリングを行う。
【0047】
本発明は、特に、以下のステップを含む、弾性部材の製造方法に関する。
(a)第1及び第2の端部を有する管状の本体を用意し、
(b)第1及び第2の端部を有する円筒形状の本体を用意し、円筒形状の本体の主軸に対して同軸にボアホールを形成し、このボアホールが円筒形状本体の少なくとも第1の端部に近接し、
(c)円筒形本体の主軸に対して同軸に延びる螺旋に沿って、ワイヤEDM、レーザ処理、またはウォータジェット処理により、凹部を切削し、
(d)金属切削回転により、ステップ(a)または(b)で用意された円筒形または管状の本体の所定の外径より小さい直径を有する円筒形突起を形成し、円筒形本体の第1の端部における円筒形突起の表面上に外ねじ山を形成する、あるいは、円筒形本体または管状本体の第1の端部に近接する部分において、ボアホールに内ねじ溝を形成し、ここで、特に、ステップ(b)で形成されたボアホールが円筒形本体の第1の端部から第2の端部まで延びる。
【0048】
さらに別の好ましい実施形態によれば、上記の方法はさらに、ボアホールの、円筒形本体の第2端部に近接する部分に、内ねじ溝を形成するステップをさらに含む。
【0049】
さらに別の好ましい実施形態によれば、上記の方法はさらに、金属切削回転により、円筒形または管状の本体の所定の外径より小さい直径を有する円筒形突起を形成し、円筒形本体の第2の端部における円筒形突起の表面上に外ねじ山を形成するステップをさらに含む。
【0050】
本発明は、特に、以下のステップを含む、弾性部材の製造方法に関する。
(a)第1および第2の端部を有する円筒形または管状の本体を用意し、
(b)金属切削回転により、ステップ(a)で用意された円筒形または管状の本体の所定の外径より小さい直径を有する円筒形突起を形成し、円筒形本体の第1および第2の端部における円筒形突起の表面上に外ねじ山を形成し、
(c)円筒形本体の主軸に対して同軸に延びる螺旋に沿って、ワイヤEDM、レーザ処理、またはウォータジェット処理により、凹部を形成し、ここで、特に、螺旋形状凹部の2つの逃げ部が4分の1円の形状で設けられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本発明のさらなる効果、特徴および特性は、図面に基づき、以下の2つの実施形態の詳細な説明から明白である。図面は、単に概略的に示されている。
【0052】
図1は、本発明によるインプラントの第1実施形態を、椎骨または椎間板用のスペースホルダとして示した三次元図である。スペースホルダ10は、円筒形本体1と2つの接続部材2とを有する。接続部材2は、円筒形本体1の両端部に設けられ、スペースホルダ10を人体の近接する身体部分、例えば骨または軟骨に接続する。
【0053】
接続部材2は、円筒形本体1の両端部に配置され、図示される例示的な実施形態においては同一の形状を有するが、形状が互いに異なってもよい。接続部材2は、それぞれの自由端部に、鋸歯(セレーション)3を有し、これにより、移植部位において近接する身体組織に係合することができる。
【0054】
鋸歯3は、スペースホルダ10の両端部において三角形の凹部5により形成され、この結果、近接する身体組織に係合および固着可能な台形形状の鋸歯縁部が形成される。
【0055】
さらに、接続部材2には、菱形の空洞4(図2参照)が、その円筒形の外被表面全体に沿って、互いに近接して設けられている。この結果、各接続部材が、多数の菱形の相互結合したフィレット6によって形成され、フィレット6により形成される菱形の先端部を切り取ることにより、台形の鋸歯状縁部3が形成される。
【0056】
円筒の各端部に設けられた接続部材2の間に位置する管状本体1は、図示される実施形態において、螺旋形の材料凹部7を有し、これにより、壁11(図3参照)自体が螺旋形状を有する。それ以外では、スペースホルダ10全体が中空の円筒として形成されているので、スペースホルダ10自体が本質的に硬い材料、例えばチタンまたはチタン合金で形成されるとしても、この材料凹部7を有する、接続部材2の間の管状本体1は弾性領域または運動領域として機能する。この材料凹部7により、スペースホルダ10は管状本体1の領域に設計に関連する弾性を受け、この結果、弾性または可動性を別に得るために、別の弾性材料をこの領域に設ける必要がなくなる。特に、これによって、スペースホルダを複数の部品から製造して、これらを結合する必要がなくなる。
【0057】
螺旋形の材料凹部7により、スペースホルダ10の長さ方向軸9に沿った管状本体1の伸張性及び収縮性と、例えば軸8(図2)で示される、長さ方向軸9に垂直な回転軸を中心にした屈曲性が簡単な方法で得られる。ここで、特に、材料凹部7の螺旋形は、バランスのとれた弾性または可動性を最も多様な方向において得ることができる点で価値があることが判明した。ただし、当然ながら、他の形状の材料凹部及びこれらの材料凹部の異なる数及び構成も可能かつ想定可能であり、その解決法は個々の場合または可能な負荷プロファイルに対応する。
【0058】
図4は、a)からc)において、スペースホルダ100の第2実施形態の3つの異なる三次元分解図と断面図(b)を示す。スペースホルダ100は、管状本体部101を有する。この管状本体部101は、これと一体的に接続された端部プレート125によりその下端部を密封され、この結果、ビーカのような形状を有している。
【0059】
管状本体部101は、その壁111に螺旋形凹部107を有し、この螺旋形凹部107が管状本体部101に本発明による可撓性を与える。
【0060】
スペースホルダ100の硬度(stiffness)を正確に調節可能にするため、管状本体部101の内側には、エラストマ材料でできた交換可能なコア部材130が設けられている。コア部材130は、その下端側を端部プレート125に保持され、その上端側は管状本体部1016端部プレート126により保持されている。
【0061】
スペースホルダの上端側に設けられた端部プレート126は外ねじ山127を有し、これにより、端部プレート126を、管状本体部101の内側上端側に設けられた管状本体部101の内ねじ溝に回し入れることができる。端部プレート126はショルダを有し、このショルダによって壁111に抗してしっかりと固定される。鋸歯103が壁111の端部全周に沿って設けられ、端部プレート125及び126を超えて突出し、隣接する組織に係合することにより、スペースホルダを適所にしっかりと保持することができる。
【0062】
端部プレート126は係合開口129を有し、これにより端部プレート126を管状本体部101にねじ留めすることができる。
【0063】
図5a)からc)には、スペースホルダの第3実施形態が示されている。図5a)からc)が三次元分解図であり、b)が三次元断面図である。図5の実施形態においても、管状本体部201が、本体部の壁211に螺旋形の凹部207を有する。
【0064】
管状本体部201は、ここでも、その下端部が、一体的に設けられた端部プレート225によって閉じられ、その結果、管状本体部201がビーカのような形状を有する。一般的に、端部プレート225は、螺旋形材料の凹部207が設けられている管状本体部201より大きい外径を有するように形成される。これにより、エラストマ材料の管状スリーブ230に対する受け部(receptacle)を形成するショルダが生成される。弾性のスリーブ230は、管状本体部201がスリーブによって完全に覆われるように管状本体部201を覆って押し入れられる。上端部において、端部プレート226が、ねじ山による接続により管状本体部201に回し入れられる。ここで、端部プレート226の外ねじ山227が管状本体部201の内ねじ溝228に係合し、これにより、スリーブ230が端部プレート225と226とのあいだにしっかりと保持される。スリーブ230は全体の剛性を調節する機能も有し、スリーブ230を交換可能なコア130(図4参照)と同様の方法で交換するだけで、インプラント100及び200全体の剛性を簡単に変えることができる。
【0065】
端部プレート226及び225には角錐形の鋸歯203が設けられ、これが隣接する組織に係合して、スペースホルダをしっかりと固定する。
【0066】
蓋226にも係合開口229が設けられ、これによって、端部プレート226は管状本体部201にねじ留めできる。
【0067】
図6には、レーザ処理により、レーザビーム331がパイプ301に2つの材料凹部307及び337をいかに簡単に形成できるかが例示されている。
【0068】
図6a)に示されるように、特に平面図から明らかなように、パイプ301には、まず、2つの開口部332及び333が形成されるように、レーザビーム331によって貫通孔が開けられる。次に、図6b)に示すように、パイプ301を回転させ、同時に矢印の方向に進めることにより、開口部332から出発して材料凹部307が、開口部333から出発して材料凹部337が形成される。この結果、2つの平行な材料凹部が形成され、互いの内側に配置された二重トラック、2ピッチの螺旋ばね、または螺旋ばね領域が形成される。
【0069】
本発明の可撓性インプラントのさらなる実施形態が図7に示されている。図7は、茎ねじ(pedicle screw)13及び15をそれぞれ有する2つの茎ねじ構造12及び14を三次元図で示している。茎ねじ構造12と14とは、接続ロッド20により互いに接続されている。接続ロッド20は、可撓性インプラントとして設計され、より正確には、保持領域16及び17の間に配置された弾性または可動領域18を有し、この保持領域において茎ねじ構造により保持されている。
【0070】
螺旋形の材料凹部19が接続ロッド20の可撓性領域18に設けられ、接続ロッド20の長さ方向軸21の周囲に延びている。
【0071】
接続ロッド20が中空円筒として設計されているので、弾性領域18も本質的に螺旋の形状を有する。
【0072】
図7に示される、本発明の接続ロッドを製造するには、生体適合性の材料、例えばチタン合金の中実の円筒またはロッドを使用することができる。第1のステップとして、所望の領域、すなわち可撓性領域18における機械的または化学的切削あるいはレーザ処理により、この中実のロッドに材料凹部19を形成する。この種類の接続ロッドはすでに可撓性領域18における弾性が増加しており、そのようなものとして使用できる。
【0073】
可撓性領域18における弾性または可動性は、接続ロッドの長さ方向軸21に沿ってボアホールを機械的または化学的に形成し、ロッド20に中空の円筒形状またはパイプ形状を与えることによってさらに強化できる。
【0074】
ボアホールの直径を、接続ロッドに残された壁の厚さが、すでに形成された材料の凹部19の深さより小さくなるように選択した場合には、溝状の凹部ではなく、開放開口が可撓性領域18に形成され、これが本質的に螺旋形の形状を提供する。最後に例示したこの形状が好ましい実施形態であるが、単に材料の凹部を形成しただけの先行ステップ、すなわち、溝状の凹部または中空本体部の形成も利用可能な代替例である。
【0075】
図8には、2つの実施形態、すなわち、2つの椎骨22及び23のあいだに配置されたスペースホルダ10と、人体の脊柱において、2つの茎ねじ構造12及び14のあいだに設けられた可撓性接続ロッド20の適用例が示されている。この図から簡単にわかるように、可撓性を有するようにインプラントを形成した結果、対応する領域において脊柱が可動性を有し、これにより、特に組み合わされた適用例において、患者に対する快適性が実質的に増大する。
【0076】
図9から38には、可撓性インプラントのさらなる実施形態及び適用領域、特に椎骨用安定装置における接続ロッドが示される。
【0077】
図9からわかるように、図示された適用例における安定装置は、ロッド形状部材401と、このロッド形状部材401によって互いに接続された2つの茎ねじ402,403とを有する。茎ねじ402,403は隣り合う2つの椎骨404,405の茎(pedicles)に固定され、これら椎骨の間に損傷した椎間板406が位置する。
【0078】
本発明のロッド形状部材401は一体的に形成されている。第1の実施形態によれば、図10、11a及び11bに示すように、ロッド形状部材401は、その第1端部から所定の長さにわたって延在する第1の剛性部分407と、その第2端部から所定の長さにわたって延在する第2の剛性部分408と、剛性部分407と408との間に延在する所定の長さの弾性部分409とを含み、これら全ての部分が同一の外径を有する。ロッド形状部材を貫通して、所定の径を有する同軸ボアホール410が延びている。弾性部分409は、所定のピッチの巻き(スレッド,thread)411を有する螺旋ばねとして形成されている。ロッド形状部材の長さ軸Aの方向における弾性部分409の巻き411の高さ、巻き411の径方向の厚さを決定する同軸ボアホール410の直径、及びピッチは、ロッド形状部材401に作用する軸力、屈曲力及びねじり力に対する所望の剛性が得られるように選択される。
【0079】
図9、図12a及び図12bからわかるように、安定装置の茎ねじ402,403は、周知の方法で、骨ねじ山(bone thread)を備えるねじシャフト412と、ロッド形状部材を挿入するためのU字形凹部415を有する本質的に円筒形の受け部413とを含む。剛性部分407,408を受け部413に固定するために、内部ねじ414が、受け部に回し入れることのできるような周知の方法で設けられる。茎ねじは、好ましくは、多軸(polyaxial)ねじとして形成される。ロッド形状部材401の剛性部分407,408の軸方向の長さ及び直径は、その剛性部分407,408を備えるロッド形状部材401が茎ねじ402,403に接合できるような大きさに定められる。よって、剛性部分407,408の長さは、少なくとも、ロッド形状部材を固定するために設けられた内部ねじ414の直径にほぼ一致する。茎ねじ420の受け部413’の場合、ロッド形状部材が上から挿入されるのでなく、横向きに開口421に押し込まれるため、剛性部分の長さは、ロッド形状部材を受け部413’に固定する固定部材414の直径にも少なくともほぼ一致する。
【0080】
図9に示される安定装置の例では、ロッド形状部材401の弾性部分409の長さは、椎間板406の無負荷状態で、茎ねじ402,403の間の距離に本質的に一致するように選択されている。しかしながら,弾性部分409の長さはこれより長くても短くてもよい。
【0081】
ロッド形状部材401は、生体適合材料、例えばチタンまたは生体適合性プラスチックで形成されるが、このような材料は弾性(エラストマ)特性がわずかしかないか、全くない。
【0082】
動作においては、まず、茎ねじ402,403,420を茎に隣り合う椎骨にねじ入れ、次に、剛性部分407,408を有するロッド形状部材401を茎ねじ402,403,420の受け部413,413’のそれぞれに挿入する。椎骨404,405を互いに対して位置決めし、茎ねじ402,403,420をロッド形状部材に対して調整した後、剛性部分407,408を受け部413,413’に固定する。ある適用例における、椎骨404,405どうしの位置決めは、ロッド形状部材401の弾性部分409が、椎間板406の無負荷状態において静止位置にあるように行われる。負荷が加わると、椎骨及び椎間板装置を介して椎間板406に力が作用する。ロッド形状部材401は、弾性部分409により、椎骨どうしの多軸方向運動を制限し、それにより、過度に大きい力が椎間板に作用するのを回避する。よって、わずかにまたは軽度に欠陥のある椎間板の退化工程を止めることができる。あるいは、指示によっては、椎骨の所定の延長(distraction)が,安定装置を介して、脊椎の無負荷状態ですでに行われることで、椎間板を緩和する。あるいは、同じく指示によっては、骨ねじを直接椎体に横方向に固定することもできる。
【0083】
図13に示される実施形態においては、前記実施形態と同様に、ロッド形状部材500は、剛性部分507,508と、これらの剛性部分507,508の間に一体的に接続された螺旋ばねの形状の弾性部分590を有する。この実施形態は、弾性部分590の直径が剛性部分507,508の直径より大きい点で第1の実施形態と異なる。この結果、第1の実施形態によるロッド形状部材の剛性に対し、より大きい剛性が得られる。動作は、第1の実施形態と同様である。
【0084】
図14及び図15には、ロッド形状部材501のさらなる実施形態が示されている。ロッド形状部材501は、剛性部分507,508の間に設けられた弾性部分591が、互いに180°オフセットして位置し、ロッド軸に対して凹形状を有する2つの領域592を有する点で、前記実施形態のロッド形状部材401,500と異なる。領域592のロッド軸方向の長さは、最大で弾性部分592の長さに等しく、その曲率半径は螺旋ばねの巻きが妨げられない程度である。この形状により、弾性部分591は、ロッド軸Aに垂直な方向Bにくびれ、よって、この方向により小さい剛性を有する。この結果、方向付けられた剛性が得られ、特定の適用にとっては好都合である。
【0085】
動作は、前記実施形態と同様であるが、唯一の相違点は、ロッド形状部材501を円周方向に方向付けて茎ねじに取り付けることが可能な点である。ばね部分の大きさを選択することにより、所望の剛性を正確に選択して設定できる。
【0086】
図16及び図17に示されるさらなる実施形態においては、ロッド形状部材502は、弾性部分593を貫通して同軸上に延びる円筒形コア511を有する。このコアは、特定の屈曲弾性を有する。コア511の直径は、コアがボアホール510に押し込まれた後にぴったりと収まって保持されるような大きさに決められる。コアは、好ましくはロッド形状部材と同じ材料から作られているが、可撓性プラスチックで構成することも可能である。
【0087】
変形例として、コア511は、剛性部分507、508及び弾性部分593の螺旋ばねの巻きと一体的に接続される。
【0088】
コア511は、前記実施形態に比べ、ロッド形状部材502のより大きな屈曲剛性を提供する。よって、この実施形態では、弾性部分の直径がより大きいロッド形状部材500と同様の剛性が得られる。この屈曲剛性は、コアの直径及び/または材料の選択によりさらに調整が可能である。
【0089】
動作は、前記の実施形態と同様である。ただし、前記の実施形態と異なり、弾性部分593の軸方向における収縮または伸張及びねじりは、寸法的に(dimensionally)低減する。好ましくは、屈曲運動のみが認められる。これは、特定の実施形態で効果的である。
【0090】
図19に示されるさらなる実施形態では、前記の実施形態と同様に、ロッド形状部材503は、剛性部分507,508と、弾性部分509とを有する。同軸ボアホール510には、伸張性部材512、例えばワイヤが設けられている。この伸張性部材512は、固定部材、例えばクランピングねじ513によって伸張状態で剛性部分507,508に固定される。これにより、動作時には、弾性部分590にプレストレスを与えることができる。
【0091】
記載された実施形態の特性は互いに組み合わせることが可能である。例えば、ロッド形状部材501は、方向付けられた剛性を有するためのコア及び/または成形部分(shaped sections)を有することもできる。実施形態502の1つの変形例では、所定方向に特定の剛性を得るために、弾性部分は1つの位置において均一に絞られる、あるいは弾性部分の円周方向に均等な距離で複数の凹部領域が成形される。
【0092】
さらなる実施形態においては、ロッドには、複数の剛性部分が、それぞれの間に設けられる複数の弾性部分に対して設けられ、これにより、茎ねじの多くを、一部は剛性により、一部は弾性により、互いに接続することができる。
【0093】
さらなる実施形態においては、生体適合性材料のコーティングまたは保護スリーブを弾性部分の周囲に設け、組織、血管または他の身体部分が巻きの間に挟まって、損傷しないように、またはロッド形状部材の機能が損なわれないようにすることができる。
【0094】
さらなる実施形態では、多軸ねじに代えて単軸ねじが設けられる。あるいは、安定装置のための多軸ねじと単軸ねじの組み合わせ、またはこれら複数のねじの組み合わせを使用する。また、骨ねじに代えてフックの使用も考慮できる。さらなる実施形態では、剛性部分及び/または弾性部分を湾曲させてもよい。
【0095】
図19から図24には、ロッド形状部材を有する本発明の安定装置の好ましい適用例が示されている。図19から図22の安定装置には、コア511を有するロッド形状部材502が使用されている。安定装置は、例えば、わずかにあるいは中程度に欠陥のある椎間板406を支持し、椎骨の運動を制限することにより、椎間板に作用する有害な力を回避する際に使用される。ロッド形状部材502は軸方向に剛性を有し、軸方向の圧縮と伸張のいずれも許容しない。しかしながら、ロッド軸に対する角度α、例えば最大±8°の屈曲運動は可能である。
【0096】
図23は、自然の椎間板を取り除いた後に、剛性部材450、例えばチタン円筒によって2つの椎骨404,405を結合(fusion)する場合における、ロッド形状部材を有する安定装置の適用例を示す。ここで、十分な運動制限を得るために、より強いロッドの剛性が望ましい。しかしながら、椎骨が互いの方向にわずかに運動可能である方が、完全な剛性接続に比べて効果的である。これは、周期的な部分負荷が増すことにより骨の成長が刺激され、骨化(ossification)がより速く進行するためである。
【0097】
図24は、延長された結合体の可撓性端部としての動的安定装置の適用例を示す。すなわち、複数の、図示された例では3つの、椎骨405,405’、405”が剛性部材450によって互いに結合され、その後、剛性ロッド460を介して接続される。結合体の最後の椎骨405に接する天然椎間板406、及び次の椎骨404が不均衡な負荷を受け、この結果、椎間板406はより重度に摩耗する。この隣接セグメントを、異常な運動及び増大した負荷から保護するため、安定装置を運動制限部材として設ける。この例示的実施形態では、ロッド460は剛性部分458を有し、この剛性部分458は、3つの茎ねじ402,402’,402”が接続できるような寸法を有する。弾性部分459は、これに隣接して、かつその端部に、茎ねじ403に接続するための剛性部分457を有する。
【0098】
本発明によるロッド形状部材の製造方法においては、生体適合性材料、例えばチタンから、所望の直径の剛性ロッドを用意する。次に、このロッドの端部間のある部分に、弾性部分409を、切削によって螺旋形状に形成する。所望であれば、このばね部分を貫通するコア410を穴開けする。この結果、ロッド401が製造される。
【0099】
ロッド502を生成するには、コア511を残すか、あるいは、別のコアを引き続き押し入れる。
【0100】
ロッド500を生成するには、所望の弾性部分590の直径に一致する直径を有するロッドをスタート材料として用意する。続いて、例えば切削により、螺旋ばねを生成する。その後、剛性部分507,508を所望の直径に形成する。
【0101】
ロッド501を製造するには、材料の1領域で、弾性部分の、円周に沿って互いに180度オフセットした位置を除去することにより、一定方向を向いたウエスト形状部分を形成する。
【0102】
図25a及び図25bに示される可撓性部材601は、連続する同軸ボアホール602と凹部603とを有する円筒管から構成される。凹部603は、円筒形軸の方向に沿って所定ピッチを有する螺旋形状に所定の長さにわたって壁に延び、径方向においてはホール602で終端している。これにより、螺旋ばねが形成される。円筒軸の方向における螺旋形状凹部の長さ、凹部の高さ、螺旋のピッチ、及び同軸ボアの直径は、ばね部材に作用する軸方向の力、屈曲力、及びねじれ力に対して、螺旋ばねの望ましい硬度が提供されるように選択される。可撓性部材601は、その自由端部のそれぞれに近接し、所定の長さに沿って延びる内ねじ溝604,604’を含む。可撓性部材の外径は、対応する適用に応じて選択される。
【0103】
図26に示される第1の適用例においては、ばね部材601は、弾性ロッド形状部材630の一体的な一部である。弾性ロッド形状部材630は、可撓性部材601と、2つの円筒形ロッド部分631,631’とから構成される。各ロッド部分は、可撓性部材601の内ねじ溝604,604’に関連して作用する外ねじ山633,633’を備える円筒形突起632,632’をその端部に含む。ロッド部分631,631’及びばね部材601の長さは、所望の適用に関し、互いに独立して選択できる。例えば、ロッド形状部材は、脊柱において茎ねじを接続するために使用される。ばね部材601の弾性特性により、このように形成されたロッド形状部材630は、圧縮力、張力、屈曲及びねじれ力を所定の程度吸収する。
【0104】
図26bには、弾性ロッド形状部材680が示される。弾性ロッド形状部材680は、第1の剛性ロッド部分681が可撓性部材601より大きい外径を有し、第2剛性ロッド部分681’が可撓性部材601より小さい外径を有する点で、弾性ロッド形状部材630とは異なる。あるいは、ロッド部分が、いずれもばね部材より大きいまたは小さい直径を有してもよい。
【0105】
図27は、可撓性部材601の第2適用例を示す。ここで、可撓性部材601は、多軸骨ねじとして設けられた骨固定部材610の一体的な一部である。多軸骨ねじは、可撓性部材601と、図示されない先端部を有するシャフト612と、ねじヘッド613とで構成されるばね部材611を含む。
【0106】
シャフト612は、骨にねじ入れるための骨ねじ山624と、可撓性部材601の内ねじ溝604に関連して作用する外ねじ山を備える円筒形突起625とを含む。
【0107】
ねじヘッド613は、円筒突起627と、シャフト612と同様に、円筒突起627に近接して円筒形状突起626とを含む。円筒形状突起626は、可撓性部材601の内ねじ溝604に関連して作用する外ねじ山を備える。
【0108】
ねじ部材611は、無負荷状態で旋回できるように収容部614に保持される。収容部614は、本質的に円筒形の形状を有し、その端部の一方に、第1のボアホール615を有する。第1のボアホール615は、軸方向に対称な方向に位置合わせされ、シャフト612の径より大きく、ねじヘッド613より小さい径を有する。さらに、収容部614は、第1のボアホール615と反対の端部において開口する、同軸上の第2ボアホール616を含む。第2ボアホール616の直径は、ねじ部材が、その開口端を通過し、シャフトが第1ボアホール615を通過して、ねじヘッド613が第1ボアホール615の端部に抗して接するまで通過できるように大きさを定められている。収容部614は、その自由端から第1ボアホール615の方向に延び、2つの自由脚部617,618を形成する、T型凹部614’を有する。その自由端に近接する領域において、脚部617,618は、ロッド620を固定するための内部ねじ619の対応する外ねじ山に関連して作用する内ねじ溝を有する。
【0109】
さらに、ねじヘッド613を固定するための加圧部材621が収容部614に設けられている。加圧部材は621は、ねじヘッド613に対向する側に球状の凹部622を有するように設けられる。球状の凹部622は、ねじヘッド613の球状扇形部分の半径と実質的に同一の半径を有する。加圧部材621の外径は、加圧部材621が収容部614の内部においてねじヘッド613の方向に移動できるように選択される。さらに、加圧部材621は、ねじヘッド613の凹部(図示せず)に接近して、回しねじ具により係合するための同軸ボアホール623を含む。
【0110】
動作時には、シャフト612が、その円筒形突起625によって、可撓性部材601の内ねじ溝604に係合し、ねじヘッド613が、その円筒形突起626によって内ねじ溝604’に係合することにより、ねじ部材611が形成される。次に、シャフト612を先端とし、このように形成されたねじ部材611が、第2開口を通過して、ねじヘッド613が第1ボアホール615の端部に抗して接するまで収容部614に導入される。その後、加圧部材621が、その球状凹部を先端に、第2ボアホール616を通過して収容部614に導入される。そして、ねじ部材611が骨または椎骨にねじ入れられる。最後に、ロッド620を、収容部614において、2つの脚部617と618との間に配置し、ねじ部材に対する収容部の角度位置を調節し、内部ねじ619で固定する。弾性部分により、静止位置を中心にした限定された程度の動きが許容される。
【0111】
多軸ねじは、上記の実施形態に限られず、上記の記載による3ピースねじ部材を備える他の任意の多軸ねじにすることができる。従って、実際の動作時に、可撓性部材601及びシャフト612をねじヘッド613に接続する前に、まず、ねじヘッド613を、その円筒形突起626を先端にして第2ボアホール616から収容部614に挿入する場合には、図27に示される実施形態の第1ボアホール615は、シャフト612より小さい直径を有することができる。この場合、第1ボアホール615は、円筒形突起626及び円筒形部分627より大きい直径を有すれば十分である。あるいは、ねじヘッド613には、円筒部分627を設けなくてもよい。この場合、ボアホールは、突起626がこれを通過してガイドできるだけ大きければよい。
【0112】
一方、収容部は、ねじ部材が下方から挿入されて、加圧部材によって収容部にクランプできるように設けることができる。この場合は、図27に示されるボアホール615は、ねじヘッド613の直径より大きい。
【0113】
ロッドの固定方法は、図27に示される内部ねじに限られず、追加的な外部ナットを設けることもできるし、または既知のタイプの任意のロッド固定方法を用いることもできる。
【0114】
可撓性部材601が少なくとも部分的に、骨の表面を超えて突出する場合、可撓性部材601は、屈曲力ならびに張力及び押圧力を吸収することができる。ばね部材が骨の表面から突出していない場合でも、ねじ部材611は、骨または椎骨の動きに応じることできる。これにより、望ましくない張力の発生を防ぐことができる。
【0115】
図28には、脊椎の安定装置690が示される。安定装置690においては、ねじ部材693を備える2つの骨固定部材691,691’と、弾性ロッド形状部材692とのそれぞれが本発明による可撓性部材601を有し、2つの骨固定部材を接続するために使用される。弾性ロッド形状部材及びねじ部材とによる複数ピースデザインにより、種々の特性を有する安定装置690を少数の基本部材を組み合わせるだけで得ることができる。安定装置は、必ずしも、可撓性部材を有する骨固定部材と可撓性部材を備えるロッド形状部材とを含む必要はない。適用の分野によっては、可撓性部材を有するロッド形状部材と、剛性ねじ部材を有する骨固定部材のみを設けることもできる。
【0116】
図29には、可撓性部材640が示されている。可撓性部材640は、2つの内ねじ溝604,604’の代わりに、可撓性部材の長さ全体に沿って延びる内ねじ溝641が設けられている点のみが可撓性部材601と異なる。
【0117】
図30には、可撓性部材650が示されている。前記の実施形態とは異なり、可撓性部材650は、剛性端部部分651及び651’と、前記実施形態に比べて少数の螺旋の回転を含む。これにより、ばね部材の長さとは独立してばね部材の弾性を設計することができる。
【0118】
図31a及び31bには、前記の実施形態とは異なり、互いに対して180度オフセットした位置に設けられ、中心軸に向かって凹んだ2つの領域661を含むばね部材660が示されている。領域661の中心軸方向の長さL’は、螺旋の長さLより小さく、成形領域661の曲率半径は、螺旋ねじの回転が妨げられないように決定される。このような設計により、ばね部材は中心軸と垂直な方向にくびれた形状を有し、よってこの方向において硬度が小さくなる。このため、可撓性部材は、特定の適用例の目的に適する、所定方向の硬度を有する。
【0119】
図32には、穴にスライド挿入されるロッド形状コア671を有する可撓性部材672が示されている。コアは、可撓性部材672が押圧力を受ける場合に、制限ストップとして機能することができる。一方、コア671を用いて、屈曲力に対する可撓性部材672の硬度を高めることができる。
【0120】
図33に示されるばね部材760は、その一端部に、前記実施形態のような、内ねじ溝を有するボアホールに代えて、外ねじ山を有する円筒形突起761を含む。したがって、このばね部材の端部に結合される部材には、対応する内ねじ溝を有するボアホールが設けられている。可撓性部材の他端部には、前記実施形態と同様に、ばね部材の端部に近接して内ねじ溝763が形成されたポケットボアホール762が設けられている。
【0121】
図34に示されるばね部材770は、その各端部に、外ねじ山を有する円筒形突起771,772を含む。
【0122】
前記実施形態の変更例においては、可撓性部材が連続するボアホールを含まない。
【0123】
本発明による可撓性部材601のさらなる適用例として、図35aには、接続部材700の分解図が示されている。接続部材700は、ロッド形状部材631と、可撓性部材601と、プレート701とから構成される。ロッド形状部材631は、可撓性部材601の一端部に近接して設けられた内ねじ溝604に回し入れるための外ねじ山633を有する円筒形突起632を含む。プレート701も同様に、可撓性部材601の一端部に近接して設けられた内ねじ溝604’に係合させるための外ねじ山703を有する円筒形突起702を含む。プレートは、2つの部分704,704’から構成される。これらの部分704,704’は、上面図では円形であり、フィン705によって互いに接続されている。フィン705の幅Bは、円形部分704,704’の直径Dより小さい。プレートを貫通する、皿ねじのための2つのボアホール706,706’が、円形部分と同軸上に設けられている。図35bに示されるように、プレートの第1の側707は凸形の湾曲を有し、一方、プレートの第2の側708は凹形の湾曲を有し、この凹形の側に抗して骨が接する。このようにプレート701の2つの側707,708の異なる曲率半径により、プレート701は側端部709の方向にテーパ形状を有する。この結果、プレートが安定するとともに、スペースを節約できる。図35bに示されるように、ボアホール706,706’は、第2の側708に近接してオフィリス706aを有し、このオリフィスに近接して円錐型の第1部分706bを有し、さらに、第1部分及び第1の側707に近接して第2部分706cを含む。これらの形状により、ボアホール706,706’は、皿ねじを収容するのに適する。ボアホール706,706’の形状は、皿ねじの収容に適当であれば、上記の形状と異なってもよい。
【0124】
図36には、図35aの接続部材700の適用例が示される。この例では、プレート701は、後方側から、2つの骨ねじ710によって頸部脊柱の2つの椎骨711に固定され、可撓性部材601によってプレートに接続されたロッド形状部材631は、3つの骨固定部材715によって、胸部脊柱の椎骨712に固定されている。
【0125】
本発明によるばね部材601が動的骨盤安定装置730に使用される、さらなる適用例が図37aに示されている。動的骨盤安定装置は、ロッド形状部材631,631’,631”と可撓性部材601,601’とによって互いに接続された骨固定部材728,728’,728”で構成されている。
【0126】
他の2つの骨固定部材728’,728”と同様に、骨固定部材728は、2つのハーフ部分725,731で構成されている。これらハーフ部分どうしが、第1のハーフ部分725のねじ山734と第2のハーフ部分731のねじ山735とを係合するねじ727によって互いにねじ係合されている。図37aに示される上面図では、上部ハーフ部分725のみが示されている。ロッド形状部材631は、前述のハーフ部分725,731のあいだに、第1ハーフ部分725の凹部732及び第2ハーフ部分731の凹部733においてクランプされ、これにより、骨固定部材728がロッド形状部材631にしっかりと接続される。さらに、いずれのハーフ部分725,731にも、それぞれ、ボアホール736または737が設けられている。これらのボアホール736,737は、組み立てられた状態において互いに同軸上に並ぶ。ボアホール736に近接して球状凹部738が、ボアホール737に近接して球状凹部739が設けられ、骨ねじ726を収容する。骨ねじ726は、骨にねじ挿入するための外ねじ山752を有するシャフト形状部分751と、球状凹部738,739の半径と実質的に同一の半径を有する球状扇形形状ヘッド部分753とを含む。
【0127】
骨固定部材と同様に、接続部材724も2つのハーフ部分722で構成されている。ただし、図37aに示される上面図には、その一方しか示されていない。凹部内をガイドされ、ロッド形状部材631が上述のこれら2つのハーフ部分722のあいだにクランプされ、これにより、接続部材724がロッド形状部材631にしっかりと接続される。
【0128】
ロッド部材721は、ボール形状のヘッド部分721bと、シャフト部分721aとで構成される。ヘッド部分721bは、2つのハーフ部分のあいだで、図示しない凹部内にクランプされる。これにより、ヘッド部分721bは、特定のピボット位置に固定できるように2つのハーフ部分722に接続される。シャフト部分721aは、ヘッド部分721bと反対の端部に、円筒形の突起(図示せず)を有する。円筒形突起は外ねじ山を有し、これが可撓性部材601’の内ねじ溝(図示せず)にねじ係合する。
【0129】
切削による可撓性部材の製造は、所定の外径を有する、生体適合材料、例えばチタンでできた円筒から始まる。この円筒に、薄ディスクミリングカッタで、円筒の主軸と同一線上に主軸を有する螺旋に沿って凹部を切削する。つづいて、ボアホールを、螺旋形状の凹部がこのボアホールで終端するように、円筒の主軸に沿って、円筒の長さ全体にわたって形成する。可撓性部材の安定性のために、螺旋部分とばね部材の端部側部分との移行部における螺旋の逃げ(runout)が大変重要である。したがって、エンドミリングカッタを用いて、ボアホールの内側におけるとがった端部が取り除かれるように、螺旋の両端部において螺旋の逃げを仕上げることが必要である。このために、逃げは、螺旋の輪郭に接する角度で、エンドミリングカッタにより切削される。引き続き、部品の内側及び外側においてデバリング(deburring)を行う。最後に、ボアホールの2つの端部部分のそれぞれに、内ねじ溝を形成する。
【0130】
切削に代わるものとして、可撓性部材800は、ワイヤカットEDM、レーザ処理またはウォータジェット処理により円筒形本体から製造される。図38に示されるように、この方法も、所定の外径D’を有する円筒から始め、次のステップで、円筒形本体の長さ全体にわたり、主軸Aに沿ってボアホール801を形成する。次に、壁の厚さに応じ、上記の処理の1つを用いて、このように形成された中空の円筒の壁に、螺旋802に沿って切り込みを入れる。螺旋802の逃げ803を4分の1円の形状に形成することにより、切削による処理に比べて更なる作業ステップにおける逃げ803の仕上げを省くことができる。さらに、この製造処理においては、デバリングは必要ない。逃げの形状は、必ずしも4分の1円である必要はなく、他の任意の形状、例えば、動作中に材料における負荷のピークが低く保たれるような円の別の部分の形状などにすることもできる。
【0131】
最後に、切削を用いた製造処理と同様に、ボアホールの2つの端部部分のそれぞれに、内ねじ溝が形成される。
【0132】
変更例として、上記処理手順の最初に、外ねじ山を有する円筒形突起を旋盤加工することにより、内ねじ溝の少なくともいずれかと交換することで、上記の処理を変更する。この場合、ボアホールの直径は、円筒形突起の直径より小さくなければならない。
【0133】
前記製造処理のさらなる変更例では、ばね部材が、連続するボアホールを形成せずに製造される。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】椎骨または椎間板用のスペースホルダの三次元図である。
【図2】図1のスペースホルダの側面図である。
【図3】図1及び図2のスペースホルダの詳細側面図である。
【図4】さらなるスペースホルダを示す図である。
【図5】第3のスペースホルダを示す図である。
【図6】本発明による本体の製造段階を示す図である。
【図7】接続ロッドとスペースホルダとを備える2茎ねじ構造の三次元図である。
【図8】間にスペースホルダが配置された2つの隣接する椎骨と、可撓性接続ロッドを有する茎ねじ構造による横方向の固定を示す三次元図である。
【図9】本発明による、ロッド形状部材を備える安定装置の概略三次元図である。
【図10】図9のロッド形状部材の三次元図である。
【図11a】図9のロッド形状部材の側面図である。
【図11b】図9のロッド形状部材の断面図である。
【図12a】ロッド形状部材と骨固定部材との接続を示す三次元図である。
【図12b】ロッド形状部材と骨固定部材との接続を示す断面図である。
【図13】さらなる実施形態によるロッド形状部材の側面図である。
【図14】さらなる実施形態によるロッド形状部材の側面図である。
【図15】図14のロッド形状部材を90度回転した側面図である。
【図16】さらなる実施形態によるロッド形状部材の三次元図である。
【図17】図16のロッド形状部材の側面図である。
【図18】さらなる実施形態によるロッド形状部材の断面図である。
【図19】ロッド形状部材を有する本発明の安定装置の動作を示す図である。
【図20】図19のロッド形状部材の側面図である。
【図21】図19のロッド形状部材を有する本発明の安定装置の第2の状態を示す三次元図である。
【図22】図21のロッド形状部材の側面図である。
【図23】安定装置のさらなる適用を示す図である。
【図24】安定装置のさらなる適用例を示す図である。
【図25a】可撓性ロッド形状部材のさらなる実施形態を示す側面図である。
【図25b】図25aの可撓性ロッド形状部材の断面図である。
【図26a】可撓性ロッド形状部材の第1適用例を示す図である。
【図26b】図26aを変更した図である。
【図27】図25a及び図25bの可撓性ロッド形状部材を備える骨固定部材を示す図である。
【図28】それぞれが可撓性部材を含む、2つの3ピース骨固定部材と1つのロッド形状部材とから構成される、安定装置を示す図である。
【図29】可撓性ロッド形状部材のさらなる実施形態を示す側面図である。
【図30】可撓性ロッド形状部材のよりさらなる実施形態を示す側面図である。
【図31a】別の実施形態による可撓性ロッド形状部材を示す側面図である。
【図31b】図31aの可撓性ロッド形状部材を90度回転した側面図である。
【図32】可撓性ロッド形状部材の側面図である。
【図33】本発明のさらなる実施形態による可撓性ロッド形状部材を示す図である。
【図34】本発明のさらなる実施形態による可撓性ロッド形状部材を示す図である。
【図35a】ロッド形状部材と、本発明による可撓性部材と、プレートとで構成された結合部材の分解図である。
【図35b】図35aのプレートのラインA−Aに沿った断面図である。
【図36】図35a及び図35bのプレートの適用例を示す図であり、プレートと、可撓性部材によってプレートに接続されたロッド形状部材とがそれぞれ、骨固定部材によって椎骨に固定されている。
【図37a】本発明による可撓性ロッド形状部材を、骨盤の動的安定装置に適用した例を示す図である。
【図37b】図37aの安定装置に使用される骨固定部材の断面図である。
【図38】ワイヤーカット放電加工(ワイヤー加工EDM)、レーザ処理またはウォータジェット処理によって製造された本発明のばね部材を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの生体適合材料で形成され、1つ以上の第1機能を実現するための形状を有する、人間または動物の体内に一時的または恒久的に挿入されるインプラントであって、
前記形状は1つ以上の領域(1,18)を有し、該領域には、弾性または可動性が第2機能として与えられ、前記インプラントは、前記領域に、局所的に剛性を低減させ、前記第1機能により生じた前記形状に加えて設けられた材料凹部(7,19)を有することを特徴とする、インプラント。
【請求項2】
請求項1に記載のインプラントであって、
前記インプラントまたは第1及び第2機能を備える領域を有する少なくともその部品が1つの材料から一体形成されることを特徴とする、インプラント。
【請求項3】
少なくとも1つの生体適合材料で形成され、1つ以上の第1機能と、少なくとも1領域において弾性または可動性に関する第2機能とを実現するための形状を有する、人間または動物の体内に一時的または恒久的に挿入されるインプラントであって、
前記インプラント、または弾性もしくは移動機能(第2機能)を備える領域と備えない領域とを有する少なくともその部品が、1つの材料から一体形成され、第2機能の領域(1,18)が、剛性を局所的に低減するための材料凹部(7,19)を有することを特徴とする、インプラント。
【請求項4】
前記請求項のいずれか1項に記載のインプラントであって、
前記領域において、前記弾性または移動機能(第2機能)は、1つ以上の第1機能に加えて提供されることを特徴とする、インプラント。
【請求項5】
前記請求項のいずれか1項に記載のインプラントであって、
前記領域には、他の機能領域と特に一体的に接続された、圧縮または伸張ゾーン、ねじれゾーン、及び/または連接接合部としての材料凹部が形成されていることを特徴とする、インプラント。
【請求項6】
前記請求項のいずれか1項に記載のインプラントであって、
前記生体適合材料は、剛性の、特に意図される使用条件において、屈曲に対して剛性の材料であることを特徴とする、インプラント。
【請求項7】
前記請求項のいずれか1項に記載のインプラントであって、
前記生体適合材料は、チタン及びその合金、ならびにプラスチックを含むグループから選択されることを特徴とする、インプラント。
【請求項8】
前記請求項のいずれか1項に記載のインプラントであって、
前記材料凹部(7,19)は、特に螺旋形状の、溝のような凹部及び/または壁の開放開口として形成されることを特徴とする、インプラント。
【請求項9】
前記請求項のいずれか1項に記載のインプラントであって、
2つの材料凹部が、互いの内側に螺旋状に配置された2重トラックを形成する、溝のような凹部及び/または開放開口として形成されることを特徴とする、インプラント。
【請求項10】
前記請求項のいずれか1項に記載のインプラントであって、
前記インプラントは、可撓性材料、特にエラストマのインプラント部品を含み、該インプラント部品は、材料凹部を有するインプラント部品とともに作用して、インプラント全体の決定的な剛性または可動性が設定できるように可撓性を実現することを特徴とする、インプラント。
【請求項11】
前記請求項のいずれか1項に記載のインプラントであって、
前記インプラントは、スペース保持及び重量移動の機能を第1機能として有する、椎骨及び/または椎間板のスペースホルダ(10)、及び/または支持及び接続機能を第1機能として有する茎ねじ構造のための接続ロッド(20)であり、特に、スペースホルダと茎ねじ接続のシステムが提供されることを特徴とする、インプラント。
【請求項12】
前記請求項のいずれか1項に記載のインプラントであって、
前記インプラントは管状の本体(1)を有し、該管状の本体の両端部に、隣接する身体部分、他のインプラント、またはインプラント部品に接続するための手段(2)を有し、前記管状の本体に材料凹部が設けられることにより、前記インプラントは、軸方向に圧縮及び伸張可能であり、かつ、前記端部に設けられた接続手段(2)に関し、径方向の回転軸(13)を中心に屈曲可能であり、軸方向の回転軸を中心にねじれ可能であることを特徴とする、インプラント。
【請求項13】
請求項12に記載のインプラントであって、
前記管状の本体(1)は、弾性生体適合材料で構成されるスリーブにより周囲を囲まれ、かつ/または弾性生体適合材料で構成されるコアが設けられることを特徴とする、インプラント。
【請求項14】
請求項13に記載のインプラントであって、
前記スリーブ及び/または前記コアは、特にねじまたはねじ山による接続により、前記管状の本体に対して一体的及び/または着脱可能に設けられた端部プレートによって保持されることを特徴とする、インプラント。
【請求項15】
請求項13または14に記載のインプラントであって、
前記弾性材料はエラストマであることを特徴とする、インプラント。
【請求項16】
前記請求項のいずれか1項に記載のインプラントであって、
前記インプラントと、特に前記管状の本体は、その長さ方向に関し、0.5%から20%、特に1%から15%だけ弾性により伸縮可能であることを特徴とする、インプラント。
【請求項17】
前記請求項のいずれか1項に記載のインプラントであって、
前記インプラントと、特に前記管状の本体(1)は、径方向軸(3)を中心に弾性により屈曲可能であり、これにより、端部に設けられた接続手段(2)は、前記管状本体の長さ方向軸(12)からおよそ0.5から10°、特に1から6°だけ回動可能であることを特徴とする、インプラント。
【請求項18】
前記請求項のいずれか1項に記載のインプラントであって、
前記インプラントと、特に前記管状の本体は、軸方向の軸を中心に、0.5から10°、特に1から6°だけねじれ可能であることを特徴とする、インプラント。
【請求項19】
インプラントを生体適合材料より、特に前記請求項のいずれか1項にしたがって、軸の周囲に壁を有する本体から製造する方法であって、
前記軸の周囲に設けられた壁に沿って、少なくとも1つの材料凹部、特に螺旋形の材料凹部が、機械的、化学的、または他の任意の方法、特にレーザ処理により、溝のようなまたはスロットのような形状に切削されることを特徴とする、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
2つの材料凹部が、前記軸と同軸上に、互いの内側に螺旋状に二重トラックとして配置されるように、溝またはスロット形状の凹部として切削されることを特徴とする、方法。
【請求項21】
請求項19または20に記載の方法であって、
前記本体は中実体、特に中実の円筒であり、該中実の本体に、前記材料凹部の切削前または切削後に、前記軸に沿ってボアホールを導入して中空体を生成し、特に、残った壁が前記溝形状の凹部の深さより狭いことを特徴とする、方法。
【請求項22】
請求項19または20に記載の方法であって、
前記本体は、パイプまたはビーカ形状であることを特徴とする、方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25a】
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【図25b】
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【図26a】
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【図26b】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31a】
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【図31b】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35a】
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【図35b】
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【図36】
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【図37a】
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【図37b】
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【図38】
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【公表番号】特表2007−508085(P2007−508085A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534721(P2006−534721)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011782
【国際公開番号】WO2005/039454
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(505166823)ヴィーダーマン モテッヒ ゲーエムベーハー (9)
【Fターム(参考)】