説明

可撓性容器のスパウト

【課題】可撓性の容器体Aの口部2に固定して収納物を取り出すためのスパウトBであって、収納物の殺菌処理等を円滑に行えるとともに、製造工程の簡略化を図れ、また、栓部をねじ切るという簡単な操作で開封でき、容器の未使用を表現できるスパウトを提案する。
【解決手段】容器体口部2に外周を固定する筒状の本体部10と、該本体部に着脱可能に装着したキャップ13とを備えたスパウトであって、本体部10上に薄肉の破断部17を介して周縁部下端を一体に連結した筒状をなし、本体部内外を遮断する隔壁18を内部に横設した栓部12をキャップ内に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可撓性容器のスパウトに関する。
【背景技術】
【0002】
内部に例えば流動状の食品等を収納し、可撓性を備えた袋状の容器体に筒状のスパウトを融着固定した袋状容器(業界ではチアパック等の称呼が用いられている)が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記容器のスパウトは、上記袋状の容器体外部に露出させた筒状の口部に、容器体内部に垂下させた筒状のストロー部を一体に連設している。また、ストロー部外面上部から両側にそれぞれ板状に突設し、容器本体に熱溶着させた耳部を備えている。また、口部に着脱自在に螺着したキャップを備えている。更に、口部の先端には、流動状の食品を充填した後に、開口部を封止するシール材が設けられており、加圧加熱殺菌しても口部から内容物が漏れ出るのを防ぐことができるように構成している。これらのシール材は合成樹脂フィルムと金属箔とをラミネートしたフィルム等により形成され、口部の先端開口にヒートシールなどの手段により溶着される。
【0004】
また、この種の容器では流動状の食品等の収納物を口部から容器体内に充填した後前記シール材を溶着する。
【特許文献1】特開2001−120240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のこの種の容器は、口部のシール材の存在で、上記した如く収納物の殺菌処理を不都合なく円滑に行えるとともに、容器の未開封を証明できる等の種々の優れた効果を発揮するものである。しかしながら、シール材は本体部とは別部材であるため、別工程で溶着しなければならない。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、収納物の殺菌処理等を円滑に行えるとともに、製造工程の簡略化が図れ、その結果安価に製造でき、また、栓部をねじって破断部を切断するという簡単な操作で開封することができるスパウトを提案する。また、同時に容器の未使用を表現できるスパウトを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段として、可撓性の容器体Aの口部2に固定する筒状をなす本体部10と、該本体部上に薄肉の破断部17を介して周縁部下端を一体に連結した筒状をなし、且つ、前記本体部内外を遮断する隔壁18を内部に横設した栓部12と、該栓部を被覆して前記本体部外周に着脱可能に装着したキャップ13とを備えている。
【0008】
第2の手段として、前記第1の手段に於いて、前記キャップ13下面に易切断性の連結部24を介して一体に連結した封緘リング25を、前記本体部10の外周に上方への抜け出しを防止して乗り越え係合させた。
【0009】
第3の手段として、前記第1の手段又は第2の手段に於いて、前記栓部12の外周に縦突条19を周方向多数縦設した形態の滑り止め用の凹凸20を設けた。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスパウトは、本体部10上に薄肉の破断部17を介して周縁部下端を一体に連結した筒状をなし且つ本体部内外を遮断する隔壁18を内部に横設した栓部12を備えているため、従前通り収納物の殺菌処理等を収納物の漏れ等を心配することなく円滑に行えるものであり、しかも栓部12は本体部10と一体に形成されているため、部材数は2部材で済み、その製造工程も簡略化される利点がある。
【0011】
また、キャップ13下面に易切断性の連結部24を介して一体に連結した封緘リング25を、前記本体部10の外周に上方への抜け出しを防止して乗り越え係合させた場合には、容器の未使用を表現でき、その信頼性を高めて商品価値を向上させる。
【0012】
更に、栓部12の外周に縦突条19を周方向多数縦設した形態の滑り止め用の凹凸20を設けた場合には、栓部12を水平にねじって破断部17を容易に破断することができ、また、容易に開封するための栓部12の縦幅も比較的短く構成することができ、その径も特別スペースをとらずに済むため、キャップ13の大きさ等を含めて全体的に無駄な部分を出来るだけ排除することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明スパウトを使用した容器の一例を示し、該容器は、容器体Aと、スパウトBとを備えている。
【0015】
容器体Aは、可撓性のある袋状のものが好ましく採用でき、例えば、二枚のシートの周縁を融着等の手段で固着したタイプ、或いは箱型の所謂ガゼットタイプ、或いは横三角柱状の所謂スタンディングパウチタイプ等が採用でき、その他薄肉のブロー成形容器等の各種の可撓性容器が使用できる。この様な容器体は、例えば、合成樹脂の単独層或いは積層、或いは合成樹脂と金属薄膜層との積層等の可撓性を備えた材質を種々選択できる。そして、袋状の容器体Aの場合は口部2に後述する本体部を融着固定させる。容器体Aの口部2は主として上端部に位置するがこれに限られない。
【0016】
スパウトBは、本体部10と、パイプ11と、栓部12と、キャップ13とを備えている。
【0017】
本体部10は、前記容器体Aの口部2に固定する筒状をなしている。図示例では、本体部10外周下部に口部2の密な溶着を可能ならしめるために、平面視紡錘形状の帯状の融着外面aを突出形成している。また、融着外面a上方には一対のフランジ14を突設し、その更に上方外周に突条15及び螺条16を順次周設している。尚、前記融着外面aはこの形状に限定されず、例えば、平面視楕円状をなす帯状融着面であっても、左右一対の板状突起の両側面であっても良い。
【0018】
パイプ11は、前記本体部10と内部を連結して容器体A内に垂設するもので、容器体A内の収納物を円滑に且つ効率良く吸引するために作用し、また、可撓性を備えた容器体Aの保形にも寄与する。図示例では、本体部10の下端開口と連結して上端を一体に連結し、容器体A内下部に下端を垂下させた管状をなしている。尚、このパイプ11には窓孔を穿設することも可能であり、窓孔の数、位置、大きさ等は適宜選択できる。
【0019】
栓部12は、収納物を容器体内に密封し、また、使用時には切断除去して本体部10の上端を開口するためのもので、本体部10上に下端周縁部を薄肉の破断部17を介して一体に連結した筒状をなすとともに、本体部10内外を遮断する隔壁18を内部に横設している。従って、本体部10、パイプ11及び栓部12は合成樹脂により一体に形成することができる。栓部12を切断除去する際には本体部10に対して平行に回動させてねじ切る手段を取ることができ、その為、栓部12の外周に縦突条19を周方向多数縦設した形態の滑り止め用の凹凸20を設けている。尚、切断除去の方法はねじ切りに限定されず、折り曲げての切断除去であっても良いが、ねじ切る場合には、その縦幅が折り曲げの場合と比較して小さくてすむ。
【0020】
キャップ13は前記栓部12を被覆して本体部10外周に着脱可能に装着させており、図示例では、周壁21上端縁より頂壁22を延設した下端開口の有頂筒状をなし、周壁21の内周下部に前記本体部の螺条16に螺合する螺条23を周設している。周壁21は前記栓部12を収納するのに必要な縦幅を有している。また、開封後のシール性を付与するため、周壁21内周の螺条23上方所定位置を本体部10の外周上端部に密嵌するシール部として構成している。また、キャップ13の下端面には易切断性の連結部24を介して切り取り可能な封緘リング25を一体に形成して未使用を表現できる如く構成している。この封緘リング25は内面に突周設した係合突条26を前記本体部10の突条15下面に乗り越え係合させている。そして、キャップ13を強制的に螺脱方向に回動した際に前記連結部24が破断して封緘リング25が分離され、キャップ13の螺脱が可能となるとともに、開封が確認される。易切断性の連結部24の具体例としては、図示例の如く、両者間を細棒状の連結片により連結することにより構成できるが、これに限られず、両者間を薄肉状に一体に連結することも可能である。
【0021】
上記の如く構成したスパウトBは、例えば、容器体Aに収納物を充填した後、その口部2を融着外面aに融着させて固定して容器を形成する。容器を使用する場合には、例えば、図3(a) の状態からキャップ13を螺脱方向へ回動させて、図3(b) に示す如く易切断性の連結部24を切断した後、キャップ13を螺脱する。次いで、図3(c) に示す如く、栓部12を本体部10に対して水平方向に回動させて破断部17を破断して本体部10上端を開口する。図4は開封状態を示す。
【0022】
尚、上記例では、容器体Aとして袋状容器体の例について説明し、本体部10の外周を容器体Aの口部2に溶着して固定する例について説明したが、容器体がブロー成形等の場合には、その口部に本体部を密嵌して固定する手段を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明スパウトのキャップを外した状態の斜視図である。(実施例1)
【図2】本発明スパウトの一部切欠正面図である。(実施例1)
【図3】本発明スパウトの作用を説明する説明図である。(実施例1)
【図4】本発明スパウトの開封状態を示す要部斜視図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0024】
2…口部,10…本体部,12…栓部,13…キャップ,17…破断部,18…隔壁,
19…縦突条,20…滑り止め用の凹凸,24…連結部,25…封緘リング,A…容器体,
B…スパウト,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の容器体Aの口部2に固定する筒状をなす本体部10と、該本体部上に薄肉の破断部17を介して周縁部下端を一体に連結した筒状をなし、且つ、前記本体部内外を遮断する隔壁18を内部に横設した栓部12と、該栓部を被覆して前記本体部外周に着脱可能に装着したキャップ13とを備えていることを特徴とする可撓性容器のスパウト。
【請求項2】
前記キャップ13下面に易切断性の連結部24を介して一体に連結した封緘リング25を、前記本体部10の外周に上方への抜け出しを防止して乗り越え係合させてなる請求項1記載のスパウト。
【請求項3】
前記栓部12の外周に縦突条19を周方向多数縦設した形態の滑り止め用の凹凸20を設けてなる請求項1又は請求項2のいずれかに記載のスパウト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−62719(P2006−62719A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−248764(P2004−248764)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】