説明

可撓管装置

【課題】ベローズ管の伸び量を規制するとともに、従来より小型化及び軽量化を図る。
【解決手段】ベローズ管11と、ベローズ管11の一端部に接続される第1の端管12と、他端部に接続される第2の端管13と、第1の端管12の外周部12cに設けられる第1の鍔部材14と、ベローズ管11と離間した外側に、ベローズ管11の他端部側からベローズ管11の一端部側に延在され、ベローズ管11及び第1の鍔部材14を覆うカバー部材16と、第1の鍔部材14と所定間隔L1を介して対向するようにカバー部材16に設けられ、第1の鍔部材14と突き当たって、ベローズ管11が所定間隔L1以上軸線方向に伸びることを規制するストッパ部材18とを備える。そして、第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面は、傾斜面、凹凸球面状又は第1の端管12に対して略垂直となるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベローズ管を用いた可撓管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮や湾曲等が可能である可撓管装置は、温度変化による伸縮や地震又は地盤沈下等の際の変位を吸収するため、更に、既設の障害物を迂回して導管を敷設するための配管として広く利用されている。この様な可撓管装置としては、例えば可撓性や伸縮性、更には密閉性を有するベローズ管が用いられる。ベローズ管は、凸部と凹部とが連続して軸方向に形成されたベローズが設けられ、凸部の断面が逆U字状、Ω状、逆V字状等に形成されている(特許文献1参照。)。
【0003】
このベローズ管は、内部に粉流体等が流れる場合、内部に圧力が作用するため、内部に、管断面積に比例して推力が発生する。特に、管断面積が大きい場合には、内部を流れる粉流体の内圧による推力により、管軸方向に伸びてしまう。したがって、可撓管装置を備える配管は、例えばT字配管の分岐管等に設置された場合、内部を流れる粉流体の内圧による推力により、分岐管方向から本管方向に管軸方向に伸びて分岐管が本管を押し込んでしまうことがある。このように、可撓管装置を備える配管は、内圧による推力による伸びが設置場所によっては問題となる。
【0004】
そこで、図14に示すように、配管100の軸線方向の伸び量を規制するタイロッドを有する配管100がある。配管100は、例えばT字配管された水道管102の本管102aと分岐管102bとの間の配管として用いられるものである。配管100は、ベローズ管等を有する可撓管装置101a,101bと、配管100の軸線方向の伸び量を規制するタイロッド140とを有する。可撓管装置101a,101bは、第1の端管112によって互いに接続され、可撓管装置101aは、第2の端管113によりフランジ機構103に接続され、フランジ機構103を介して本管102aに接続され、可撓管装置101bは、第2の端管113によりフランジ機構104に接続され、フランジ機構104を介して分岐管102bに接続される。以下、可撓管装置101a,101bは、同様の構成を備えるものであるので、可撓管装置101aを例に説明する。
【0005】
可撓管装置101aは、図15に示すように、可撓性や伸縮性、更には密閉性を有するベローズ管111と、ベローズ管111の両端部にそれぞれ一体に接合される一対の第1及び第2の端管112,113とを備える。第1及び第2の端管112,113の一端部112a,113aには、外周部112c,113cに、リング状の第1及び第2の鍔部材114,115が嵌合され、溶接等により一体化される。また、第2の鍔部材115の主面部115bには、リング状のカバー部材116が溶接等により取り付けられる。このカバー部材116の先端部116bには、リング状のストッパ部材118が、第1の鍔部材114と離間し、所定間隔L2を介して対向するように、溶接等により取り付けられる。そして、可撓管装置101aの第1の端管112の他端部112bは、可撓管装置101bのベローズ管111と溶接等され、可撓管装置101bの第1の端管112として、可撓管装置101bのベローズ管111と一体化される。
【0006】
そして、可撓管装置101aの第2の鍔部材115と可撓管装置101bの第2の鍔部材115には、タイロッド140が挿通される。そして、タイロッド140の両端部は、球面座141の球面部141aと球面ナット142の球面部142aとが離間し、所定間隔L3を介して対向するように、球面座141に対して球面ナット142が締め付けられる。すなわち、配管100は、この所定間隔L3が可撓管装置101a,101bの両方にあるために、所定間隔L3の2倍の範囲内において、軸線方向に伸長可能である。
【0007】
そして、図14及び図15に示すように、タイロッド140により互いに連結された可撓管装置101a,101bのうちの可撓管装置101aの第2の端管113の他端部113bと本管102aの端部とは、例えば可撓管装置101aの第2の端管113の他端部113bに設けたフランジ機構103のフランジ103aと本管102aの端部に設けたフランジ機構103のフランジ103bとを軸線を一致させて突き合わせ結合し、突き合わされたフランジ103a,103bをボルト及びナット等の締結部材103cで締め付けることによって接続される。更に、可撓管装置101bの第2の端管113の他端部113bと分岐管102bの端部とは、例えば可撓管装置101bの第2の端管113の他端部113bに設けたフランジ機構104のフランジ104aと分岐管102bの端部に設けたフランジ機構104のフランジ104bとを軸線を一致させて突き合わせ結合し、突き合わされたフランジ104a,104bをボルト及びナット等の締結部材104cで締め付けることによって接続される。
【0008】
このような配管100は、例えばベローズ管111の内部を流れる水道水の内圧による推力によりベローズ管111が軸線方向に伸びた際に、球面座141が球面ナット142に突き当たることで、2つのベローズ管111,111の全体の軸線方向の伸び量を規制し、配管100の軸線方向の伸び量を規制する。更に、配管100は、軸線方向に伸びて球面座141が球面ナット142に突き当たった際、球面ナット142の球面部142aが球面座141の球面部141aに対して摺動することができる。
【0009】
しかしながら、ベローズ管111の内部を流れる水道水の内圧による推力は、管口径の2乗に比例して大きくなる。このため、配管100は、管口径が大きくなるほど、タイロッド140の断面積を大きくしたり、タイロッド140の本数を増やしたりしなくてはならない。何れの場合においても、配管100は、タイロッド140が、カバー部材116の外側に配置されているので、管口径が大きくなるほどタイロッド140を配置するピッチ円直径(P.C.D)が、大きくなる。したがって、配管100では、第2の鍔部材115の直径や板厚が、管口径が大きくなるのに比例して大きくなってしまう。
【0010】
また、配管100は、上述したように、ベローズ管111が軸線方向に伸びて球面座141が球面ナット142に突き当たった際に、球面ナット142の球面部142aが球面座141の球面部141aに対して摺動することができるものであるが、突き当たった状態でベローズ管111が撓むと、第1の鍔部材114がストッパ部材118に接触してしまう。配管100は、第1の鍔部材114とストッパ部材118との相対する面が、互いに第1の端管112に対して略垂直に設けられている。したがって、ベローズ管111は、第1の鍔部材114がストッパ部材118に接触した状態になると、これ以上同方向に撓むことができず、可撓性を損なってしまう。
【0011】
このため、配管100は、図15(B)に示すように、ベローズ管111が軸線方向に伸びて球面座141が球面ナット142に突き当たった状態でベローズ管111が撓んでも、第1の鍔部材114がストッパ部材118と接触しない程度、第1の鍔部材114とストッパ部材118との間を離間させる必要がある。すなわち、配管100は、第1の鍔部材114とストッパ部材118との間を、ベローズ管111が伸長可能な所定間隔L3から、更に、第1の鍔部材114とストッパ部材118との接触を防止するための所定間隔L4を離間させた所定間隔L2離間させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−290838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、従来より小型化及び軽量化を図ることができるとともに、ベローズ管の軸線方向の伸び量を規制することができ、ベローズ管の可撓性を損なうことを防止することができる可撓管装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的を達成するために本発明に係る可撓管装置は、ベローズ管と、上記ベローズ管の一端部に接続される第1の端管と、上記ベローズ管の他端部に接続される第2の端管と、上記第1の端管の外周部に設けられる第1の鍔部材と、上記ベローズ管と離間した外側に、上記ベローズ管の他端部側を固定端として、上記ベローズ管の一端部側に延在され、上記ベローズ管及び上記第1の鍔部材を覆うカバー部材と、上記第1の鍔部材と離間し、所定間隔を介して対向するように上記カバー部材に設けられ、上記第1の鍔部材と突き当たって、上記ベローズ管が所定間隔以上軸線方向に伸びることを規制するストッパ部材とを備え、上記第1の鍔部材と上記ストッパ部材との相対する面は、互いに、略平行な傾斜面で形成されている。
【0015】
また、本発明に係る可撓管装置は、ベローズ管と、上記ベローズ管の一端部に接続される第1の端管と、上記ベローズ管の他端部に接続される第2の端管と、上記第1の端管の外周部に設けられる第1の鍔部材と、上記ベローズ管と離間した外側に、上記ベローズ管の他端部側を固定端として、上記ベローズ管の一端部側に延在され、上記ベローズ管及び上記第1の鍔部材を覆うカバー部材と、上記第1の鍔部材と離間し、所定間隔を介して対向するように上記カバー部材に設けられ、上記第1の鍔部材と突き当たって、上記ベローズ管が所定間隔以上軸線方向に伸びることを規制するストッパ部材とを備え、上記第1の鍔部材の上記ストッパ部材と相対する面は、凸球面状に形成され、上記ストッパ部材の上記第1の鍔部材と相対する面は、上記凸球面状に対応する凹球面状に形成されている。
【0016】
更に、本発明に係る可撓管装置は、ベローズ管と、上記ベローズ管の一端部に接続される第1の端管と、上記ベローズ管の他端部に接続される第2の端管と、上記第1の端管の外周部に設けられる第1の鍔部材と、上記ベローズ管と離間した外側に、上記ベローズ管の他端部側を固定端として、上記ベローズ管の一端部側に延在され、上記ベローズ管及び上記第1の鍔部材を覆うカバー部材と、上記第1の鍔部材と離間し、所定間隔を介して対向するように上記カバー部材に設けられ、上記第1の鍔部材と突き当たって、上記ベローズ管が所定間隔以上軸線方向に伸びることを規制するストッパ部材とを備え、上記第1の鍔部材、上記ストッパ部材の何れか一方は、上記第1の端管に対して略垂直に設けられており、上記第1の鍔部材、上記ストッパ部材の何れか他方は、上記一方と相対する面が傾斜面又は球面状に形成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1の鍔部材とストッパ部材とがともに、カバー部材の内側に設けられているので、従来より小型化及び軽量化を図ることができ、容易に施工することができる。
【0018】
また、本発明によれば、ベローズ管が軸線方向に伸びた際に、カバー部材の内側で相対するように設けられた第1の鍔部材とストッパ部材とが突き当たることで、ベローズ管の軸線方向の伸び量を規制することができる。
【0019】
更に、本発明によれば、第1の鍔部材とストッパ部材とが突き当たった状態でベローズ管が撓んでも、第1の鍔部材がストッパ部材に対して摺動することができ、ベローズ管の可撓性を損なうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した可撓管装置の使用状態を示した側面図である。
【図2】本発明を適用した可撓管装置を示した断面図である。
【図3】本発明を適用した可撓管装置が伸びた際の状態を示した断面図である。
【図4】本発明を適用した可撓管装置が撓んだ際の状態を示した断面図である。
【図5】第1の鍔部材のストッパ部材と相対する面が、凸球面状に形成され、ストッパ部材の第1の鍔部材と相対する面が、第1の鍔部材の凸球面状に対応する凹球面状に形成された可撓管装置を示した要部断面図である。
【図6】第1の鍔部材のストッパ部材と相対する面が、第1の端管の軸線方向に対して略垂直となるように形成され、ストッパ部材の第1の鍔部材と相対する面が、カバー部材の基端部側から先端部側の方向に向かって内側に傾斜された傾斜面となるように形成された可撓管装置を示した要部断面図である。
【図7】第1の鍔部材のストッパ部材と相対する面が、一端部側から他端部側の方向に向かって内側に傾斜する傾斜面となるように形成され、ストッパ部材の第1の鍔部材と相対する面が、第1の端管の軸線方向に対して略垂直となるように形成された可撓管装置を示した要部断面図である。
【図8】第1の鍔部材のストッパ部材と相対する面が、第1の端管の軸線方向に対して略垂直となるように形成され、ストッパ部材の第1の鍔部材と相対する面が、所定の曲率の凹球面状となるように形成された可撓管装置を示した要部断面図である。
【図9】第1の鍔部材のストッパ部材と相対する面が、所定の曲率の凸球面状となるように形成され、ストッパ部材の第1の鍔部材と相対する面が、第1の端管の軸線方向に対して略垂直となるように形成された可撓管装置を示した要部断面図である。
【図10】第1の鍔部材のストッパ部材と相対する面が、第1の端管の軸線方向に対して略垂直となるように形成され、ストッパ部材の第1の鍔部材と相対する面が、平板リング状のストッパ部材がカバー部材に対して内側に傾斜するようにカバー部材に一体的に設けられることで形成された傾斜面である可撓管装置を示した要部断面図である。
【図11】第1の鍔部材のストッパ部材と相対する面が、一端部側から他端部側の方向に向かって内側に傾斜する傾斜面となるように形成され、ストッパ部材の第1の鍔部材と相対する面が、平板リング状のストッパ部材がカバー部材に対して内側に傾斜するようにカバー部材に一体的に設けられることで形成された傾斜面である可撓管装置を示した要部断面図である。
【図12】第1の鍔部材のストッパ部材と相対する面が、所定の曲率の凸球面状となるように形成され、ストッパ部材の第1の鍔部材と相対する面が、平板リング状のストッパ部材がカバー部材に対して内側に傾斜するようにカバー部材に一体的に設けられることで形成された傾斜面である可撓管装置を示した要部断面図である。
【図13】補強部材を設けた可撓管装置を示した断面図である。
【図14】従来の可撓管装置の使用状態を示した側面図である。
【図15】(A)は、従来の可撓管装置を示した断面図であり、(B)は、従来の可撓管装置のベローズ管が伸び及び撓んだ際の状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用した可撓管装置を、図面を参照して説明する。
【0022】
本発明を適用した可撓管装置10a,10bは、図1に示すような配管1に用いられるものであり、例えばT字配管された水道管2の本管2aと分岐管2bとの間の接続に用いられるものである。この配管1において、可撓管装置10a,10bは、第1の端管12によって互いに接続され、可撓管装置10aは、フランジ機構3によって本管2aに接続され、可撓管装置10bは、フランジ機構4によって分岐管2bに接続される。なお、水道管2としては、鋼管、鋳鉄管、塩化ビニール製の合成樹脂管等が用いられているが、本発明が適用された可撓管装置10a,10bは、何れの種類の水道管にも接続可能である。以下、可撓管装置10a,10bは、同様の構成を備えるものであるので、可撓管装置10aを例に説明する。
【0023】
本発明を適用した可撓管装置10aは、図2に示すように、可撓性や伸縮性、更には密閉性を有するベローズ管11と、ベローズ管11の両端部にそれぞれ一体に接合される一対の第1及び第2の端管12,13とを備える。
【0024】
ベローズ管11は、図2に示すように、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材、例えばSUS304を素材とし、断面略波形のベローズ本体11aの両端部に第1及び第2の端管12,13と接続するための接続部11b,11bが一体的に設けられてなる。このベローズ管11は、管の太さ、用途等を考慮して板厚、ベローズの数、高さ等を決定して所定の可撓性や伸縮性を有するように形成されている。また、ベローズ本体11aは、内部を流れる水道水の内圧に耐えられるだけの強度を有している。ベローズ本体11aのベローズを構成する各凸部11cは、例えば、略垂直に立ち上がり先端が略円弧をなす断面逆U字状に形成されている。各凸部11cは、断面逆U字状に形成することによって、断面略Ω状に形成された場合より潰れにくくなり、強度が高められている。なお、板厚等で必要な強度が得られるようにすれば、各凸部11cは、断面略Ω状やその他の形状であっても良い。
【0025】
また、ベローズ本体11aのベローズを構成する各凸部11cによって形成された凹溝の底部は、筒状の接続部11bの内径より小さくならないように形成されている。これにより、ベローズ管11の流路が接続部11bより細くなることがなくなり、ベローズ本体11aの部分で水道水の流れが妨げられることを防止することができる。
【0026】
以上のように構成されたベローズ管11は、その長さの略3倍の長さのステンレス鋼板で形成された素管を管軸方向に圧縮してベローズを形成し、次いで、ベローズ形成後の残留応力による応力割れを防止するため固溶化熱処理を行い、次いで、熱処理後の残滓を除去するため表面の酸洗浄が行われることによって製造される。ベローズ管11は、この熱処理によって、弾性体から塑性体に転移するため、弾性体のような復元力は発生せず、曲げた際には曲げたままの形態が維持されるようになる。なお、ベローズ管11の製造方法は、以上の例に限定されるものではなく、例えば熱処理や酸処理を省略しても良い。
【0027】
なお、ベローズ管11については、SUS304に限定されるものではなく、更にステンレス材に限定されるものでもなく、例えば銅、チタン、アルミニウム合金等のその他の適宜の金属、又は合成樹脂によって形成されたものを用いても良い。また、ベローズ管11は、ベローズの凹凸の構造によって内部で固形物が滞留して詰まり現象が発生することを防止するため、内部に可撓性を有する導管を導通させて構成しても良い。
【0028】
第1及び第2の端管12,13は、図2に示すように、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材、例えばSUS304を素材とし、ベローズ管11の両端部の接続部11b,11bのそれぞれに接続されるものであり、それぞれの接続部11b,11bの外径とほぼ等しい内径を有する直管である。第1及び第2の端管12,13は、一端部12a,13aがベローズ管11の接続部11b,11bの外周部に嵌合され、接続部11b,11bの先端部と第1及び第2の端管12,13の内周部とが溶接されることにより、ベローズ管11と一体化される(溶接箇所を図2中30aで示す。)。
【0029】
更に、第1の端管12の一端部12aには、外周部12cに、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材、例えばSUS304を素材としたリング状の第1の鍔部材14が嵌合される。そして、第1の鍔部材14は、内周部が第1の端管12の一端部12aに溶接により一体化される(溶接箇所を、図2中30bで示す。)。第1の鍔部材14は、ベローズ本体11aの最外凸部11dの端部を保護するために最外凸部11dより高く設けられる。更に、第1の鍔部材14の第1の端管12の他端部12b側の面は、一端部12a側から他端部12b側の方向に向かって内側に傾斜する傾斜面14aとなるように形成される。また、第2の端管13の一端部13aには、外周部13cに、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材、例えばSUS304を素材としたリング状の第2の鍔部材15が嵌合される。第2の鍔部材15は、ベローズ本体11aの最外凸部11dの端部を保護するために最外凸部11dより高く設けられる。そして、第2の鍔部材15は、内周部が第2の端管13の一端部13aに溶接により一体化される(溶接箇所を、図2中30cで示す。)。
【0030】
なお、ベローズ管11は、図2中に30a,30aで示す溶接箇所で第1の端管12及び第2の端管13に溶接されて一体化されることに限定されるものではなく、第1の端管12と一体化された第1の鍔部材14及び第2の端管13と一体化された第2の鍔部材15と、最外凸部11d,11dとが溶接されることにより、第1の鍔部材14及び第2の鍔部材15と一体化されるようにしても良い。
【0031】
そして、図1及び図2に示すように、可撓管装置10aの第1の端管12の他端部12bは、可撓管装置10bにおけるベローズ管11の接続部11bの先端部と溶接される。したがって、可撓管装置10aの第1の端管12は、可撓管装置10bの第1の端管12として、可撓管装置10bのベローズ管11と一体化される。また、可撓管装置10aの第2の端管13の他端部13bと本管2aの端部とは、例えば可撓管装置10aの第2の端管13の他端部13bに設けたフランジ機構3のフランジ3aと本管2aの端部に設けたフランジ機構3のフランジ3bとを軸線を一致させて突き合わせ結合し、突き合わされたフランジ3a,3bをボルト及びナット等の締結部材3cで締め付けることによって接続される。更に、可撓管装置10bの第2の端管13の他端部13bと分岐管2bの端部とは、例えば可撓管装置10bの第2の端管13の他端部13bに設けたフランジ機構4のフランジ4aと分岐管2bの端部に設けたフランジ機構4のフランジ4bとを軸線を一致させて突き合わせ結合し、突き合わされたフランジ4a,4bをボルト及びナット等の締結部材4cで締め付けることによって接続される。なお、第2の端管13,13と本管2a及び分岐管2bとの接続するための機構は、これに限定されるものではなく、その他周知の機構を用いることもできる。
【0032】
そして、第2の鍔部材15の外周部15aには、図2に示すように、リング状のカバー部材16が設けられる。このカバー部材16は、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材、例えばSUS304を素材とし、ベローズ管11の内部を流れる水道水の内圧による推力に耐えられる厚さを有している。すなわち、カバー部材16は、従来のタイロッド140と同様の機能を有し、タイロッド140に代わる部材となる。このようなカバー部材16は、ベローズ管11より大径であり、ベローズ管11との間に間隙17が形成される大きさとなっている。また、カバー部材16は、第2の鍔部材15側から軸線方向に第1の鍔部材14側に延在され、ベローズ管11及び第1の鍔部材14を覆うような長さに形成されている。この際、ベローズ管11とカバー部材16との間の間隙17は、カバー部材16の中でベローズ管11が撓むことができる程度とされる。このようなカバー部材16は、基端部16aが第2の鍔部材15の外周部15aに溶接により一体化される(溶接箇所を、図2中30dで示す。)。
【0033】
なお、カバー部材16のベローズ管11への固定方法は、第2の鍔部材15の外周部15aにカバー部材16を溶接する固定方法に限定されるものではなく、ベローズ管11の内部を流れる水道水の内圧による推力に耐えられるものであれば、種々の固定方法を用いることができる。また、カバー部材16は、SUS304に限定されるものではなく、更にステンレス材に限定されるものでもなく、例えば銅、チタン、アルミニウム合金等のその他の適宜の金属、又は合成樹脂によって形成されたものを用いても良い。
【0034】
そして、カバー部材16の先端部16bには、図2に示すように、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材、例えばSUS304を素材としたリング状のストッパ部材18が、第1の端管の軸線方向に対して内側に略垂直となるように設けられ、更に、第1の鍔部材14と離間し、所定間隔L1を介して対向するように設けられる。このストッパ部材18は、ベローズ管11が撓んでも、第1の鍔部材14を突き当てることが可能な高さに形成されている。ストッパ部材18の第1の鍔部材14に相対する面は、第1の鍔部材14のストッパ部材18に相対する面の傾斜面14aに対応するように、カバー部材16の基端部16a側から先端部16b側の方向に向かって内側に傾斜された傾斜面18aとなるように形成される。例えば、傾斜面18aは、ベローズ管11が撓んだ際の第1の鍔部材14のストッパ部材18に相対する面である傾斜面14aの軌跡の近似形状となるように形成される。更に、第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面は、互いに、略平行な傾斜面14a,18aで形成される。そして、ストッパ部材18は、カバー部材16の先端部16bに溶接により一体化される(溶接箇所を、図2中30eで示す。)。
【0035】
なお、第1の鍔部材14の傾斜面14aが、凸円弧状となるように形成され、ストッパ部材18の傾斜面18aが、第1の鍔部材14の凸円弧状に対応するように、凹円弧状となるように形成されるようにしてもよい。例えば、傾斜面18aは、ベローズ管11が撓んだ際の第1の鍔部材14のストッパ部材18に相対する面である傾斜面14aの軌跡の近似形状となるように、凹円弧状に形成される。また、ストッパ部材18のカバー部材16への固定方法は、溶接する固定方法に限定されるものではなく、第1の鍔部材14がストッパ部材18に突き当たった際にベローズ管11の内部を流れる水道水の内圧による推力に耐えられるものであれば、種々の固定方法を用いることができる。更に、ストッパ部材18は、SUS304に限定されるものではなく、更にステンレス材に限定されるものでもなく、例えば銅、チタン、アルミニウム合金等のその他の適宜の金属、又は合成樹脂によって形成されたものを用いても良い。
【0036】
また、カバー部材16の先端部16bには、図2に示すように、伸縮性及び防水性を有するゴム等の弾性材を素材とし、カバー部材16内に外部より水等が浸入しないように防水する防水シート19が設けられる。防水シート19は、ストッパ部材18の内周面18bと第1の端管12の外周部12cとの間の開口部を閉塞するように折り曲げられ、一端部19aがカバー部材16の先端部16bの外周部16cに嵌合され、他端部19bが第1の端管12の外周部12cに嵌合され、締付バンド20,20によって固定される。このような防水シート19は、伸縮性を有する弾性材で形成されているので、図3に示すように、ベローズ管11が軸線方向に伸びた際や、図4に示すように、撓んだ際にもこれに追従して変位し、ストッパ部材18の内周面18bと第1の端管12の外周部12cとの間の開口部を閉塞することができる。したがって、防水シート19は、外部より水等がカバー部材16内に浸透することを防止することができ、ベローズ管11が腐蝕することを防止することができる。なお、防水シート19は、伸縮性を有し、ベローズ管11の伸縮や撓んだ際の変位に追従して変位することができるものであれば、いかなる素材で形成されたものでもよい。
【0037】
また、第1の端管12の外周部12cとカバー部材16の外周部16cには、図2に示すように、出荷時にベローズ管11が伸縮したり撓んだりすることを防止する出荷用金具21が設けられる。出荷用金具21は、第1の端管12の外周部12cとカバー部材16の外周部16cに、略同一円周上に互いに等間隔に、複数個配置される。出荷用金具21は、第1及び第2の金具取付片21a,21bと、第1及び第2の金具取付片21a,21bを接続するボルト及びナット等の締結部材21cとを有する。第1の金具取付片21aは、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材、例えばSUS304を素材とし、第1の端管12の外周部12cの略同一円周上に互いに等間隔に、複数個配置され、第1の端管12の外周部12cに溶接等により一体化されている。第2の金具取付片21bは、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材、例えばSUS304を素材とし、第1の端管12に設けられた第1の金具取付片21aと相対するように、カバー部材16の外周部16cの略同一円周上に互いに等間隔に、複数個配置され、カバー部材16の外周部16cに溶接等により一体化されている。このような出荷用金具21は、これら第1及び第2の金具取付片21a,21bを、ボルト及びナット等の締結部材21cで締め付けられることによって接続され、ベローズ管11が出荷時に伸縮したり撓んだりすることを防止する。なお、出荷用金具21は、可撓管装置10a,10bが本管2a及び分岐管2bに接続される前に、ボルト及びナット等の締結部材21cが外され、ベローズ管11が伸縮し撓むことができるようにするものである。
【0038】
以上のような構成を有する可撓管装置10a,10bを用いた配管1は、図1に示すように、T字配管された水道管2に、可撓管装置10aの第2の端管13の他端部13bと本管2aの端部とが、例えば可撓管装置10aの第2の端管13の他端部13bに設けたフランジ機構3のフランジ3aと本管2aの端部に設けたフランジ機構3のフランジ3bとを軸線を一致させて突き合わせ結合し、突き合わされたフランジ3a,3bをボルト及びナット等の締結部材3cで締め付けることによって接続される。次いで、可撓管装置10bの第2の端管13の他端部13bと分岐管2bの端部とが、可撓管装置10bの第2の端管13の他端部13bに設けたフランジ機構4のフランジ4aと分岐管2bの端部に設けたフランジ機構4のフランジ4bとを軸線を一致させて突き合わせ結合し、突き合わされたフランジ4a,4bをボルト及びナット等の締結部材4cで締め付けることによって接続される。次いで、配管1は、出荷用金具21のボルト及びナット等の締結部材21cが外され、ベローズ管11が伸縮し撓むことができるようにする。
【0039】
このような施工の際、可撓管装置10a,10bは、図2に示すように、第1の鍔部材14が第1の端管12の外周部12cに設けられ、ストッパ部材18がカバー部材16内の先端部16bに設けられ、第1の鍔部材14及びストッパ部材18がともにカバー部材16内に設けられているので、従来のタイロッド付の配管100より、第2の鍔部材15の直径を小さくすることができるとともに、第2の鍔部材15の板厚を薄くすることができ、更に、タイロッド、球面ナット、球面座金等が不要となるため、従来のタイロッド付の配管100より、小型化及び軽量化を図ることができるものであるので、従来のタイロッド付の配管100より、容易に施工することができる。
【0040】
また、可撓管装置10a,10bは、ベローズ管11の内部を水道水が流される。この際、可撓管装置10a,10bは、ベローズ管11の内部を流れる水道水の内圧による推力により、ベローズ管11が軸線方向に伸びることがある。しかしながら、可撓管装置10a,10bは、図3に示すように、第1の鍔部材14とストッパ部材18とが突き当たることで、ベローズ管11の軸線方向の伸び量を規制することができる。したがって、可撓管装置10a,10bは、水道管2の内部に水道水が流れた際に、内部を流れる水道水の内圧による推力により、分岐管2bが本管2aを押し込んでしまうことを許容する範囲内に留めることができる。
【0041】
更に、可撓管装置10a,10bは、地盤の経年変化や地震による変位を吸収するために、ベローズ管11が伸びたり撓んだりすることがある。この際、可撓管装置10a,10bは、カバー部材16が、ベローズ管11より大径であり、ベローズ管11との間に間隙17が形成される大きさとなっており、第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面が、所定間隔L1を有するように設けられているので、上述した推力や地盤の経年変化や地震による変位を吸収するために、ベローズ管11が伸びたり、撓んだりすることができる。
【0042】
更にまた、可撓管装置10a,10bは、第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面が、互いに、略平行な傾斜面14a,18aを有しているので、上述した推力や地盤の経年変化や地震による変位を吸収するために、ベローズ管11が軸線方向に伸びて、第1の鍔部材14とストッパ部材18とが突き当たった状態でベローズ管11が撓んでも、図4に示すように、第1の鍔部材14の傾斜面14aがストッパ部材18の傾斜面18aに対して摺動することができ、ベローズ管11の可撓性を損なうことを防止することができる。
【0043】
なお、第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面は、互いに、略平行な傾斜面14a,18aであることに限定されるものではなく、少なくとも一方が他方に対して摺動することができるようなものであればよい。
【0044】
例えば、図5に示すように、第1の鍔部材14のストッパ部材18と相対する面は、凸球面状に形成され、ストッパ部材18の第1の鍔部材14と相対する面は、第1の鍔部材14の凸球面状に対応する凹球面状に形成されるようにしてもよい。例えば、この凹球面18cは、ベローズ管11が撓んだ際の第1の鍔部材14のストッパ部材18に相対する面である凸球面14cの軌跡に対応する形状となるように形成される。この際、ストッパ部材18と第1の鍔部材14とは、所定間隔L1を介して対向するように設けられる。このように設けられた第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面は、ベローズ管11が軸線方向に伸びて、第1の鍔部材14とストッパ部材18とが突き当たった状態でベローズ管11が撓んでも、第1の鍔部材14の凸球面14cがストッパ部材18の凹球面18cに対して、又は、ストッパ部材18の凹球面18cが第1の鍔部材14の凸球面14cに対して摺動することができ、ベローズ管11の可撓性を損なうことを防止することができる。
【0045】
更に、図6及び図7に示すように、第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面のいずれか一方は、傾斜面14e、18dとなるように形成され、他方は、第1の端管12の軸線方向に対して略垂直となるように形成されるようにしてもよい。
【0046】
具体的に、図6の例では、第1の鍔部材14のストッパ部材18と相対する面は、第1の端管12の軸線方向に対して略垂直となるように形成され、第1の鍔部材14のストッパ部材18と相対する面と外周面14bとからなる略90°の角部14dを有するように形成される。ストッパ部材18の第1の鍔部材14と相対する面は、カバー部材16の基端部16a側から先端部16b側の方向に向かって内側に傾斜された傾斜面18dとなるように形成される。例えば、傾斜面18dは、ベローズ管11が撓んだ際の第1の鍔部材14のストッパ部材18に相対する面の角部14dの軌跡の近似形状となるように形成される。この際、ストッパ部材18と第1の鍔部材14とは、所定間隔L1を介して対向するように設けられる。このように設けられた第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面は、第1の鍔部材14の角部14dがストッパ部材18の傾斜面18dに対して、又は、ストッパ部材18の傾斜面18dが第1の鍔部材14の角部14dに対して、線接触し摩擦が小さくなるので、摺動することができ、ベローズ管11の可撓性を損なうことを防止することができる。
【0047】
また、図7の例では、ストッパ部材18の第1の鍔部材14と相対する面は、第1の端管12の軸線方向に対して略垂直となるように形成され、ストッパ部材18の第1の鍔部材14と相対する面と内周面18bとからなる略90°の角部18eを有するように形成される。第1の鍔部材14のストッパ部材18と相対する面は、一端部12a側から他端部12b側の方向に向かって内側に傾斜する傾斜面14eとなるように形成される。この際、ストッパ部材18と第1の鍔部材14とは、所定間隔L1を介して対向するように設けられる。このように設けられた第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面は、第1の鍔部材14の傾斜面14eがストッパ部材18の角部18eに対して、又は、ストッパ部材18の角部18eが第1の鍔部材14の傾斜面14eに対して、線接触し摩擦が小さくなるので、摺動することができ、ベローズ管11の可撓性を損なうことを防止することができる。
【0048】
更に、図8及び図9に示すように、第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面のいずれか一方は、所定の曲率の凸球面状又は凹球面状となるように形成され、他方は、第1の端管12の軸線方向に対して略垂直となるように形成されるようにしてもよい。
【0049】
具体的に、図8の例では、第1の鍔部材14のストッパ部材18と相対する面は、第1の端管12の軸線方向に対して略垂直となるように形成され、第1の鍔部材14のストッパ部材18と相対する面と外周面14bとからなる略90°の角部14fを有するように形成される。ストッパ部材18の第1の鍔部材14と相対する面は、所定の曲率の凹球面状となるように形成される。例えば、この凹球面18fは、ベローズ管11が撓んだ際の第1の鍔部材14のストッパ部材18に相対する面の角部14fの軌跡に対応する形状となるように形成される。この際、ストッパ部材18と第1の鍔部材14とは、所定間隔L1を介して対向するように設けられる。このように設けられた第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面は、第1の鍔部材14の角部14fがストッパ部材18の凹球面18fに対して、又は、ストッパ部材18の凹球面18fが第1の鍔部材14の角部14fに対して、線接触し摩擦が小さくなるので、摺動することができ、ベローズ管11の可撓性を損なうことを防止することができる。
【0050】
また、図9の例では、第1の鍔部材14のストッパ部材18と相対する面は、所定の曲率の凸球面状となるように形成される。ストッパ部材18の第1の鍔部材14と相対する面は、第1の端管12の軸線方向に対して略垂直となるように形成され、ストッパ部材18の第1の鍔部材14と相対する面と内周面18bとからなる略90°の角部18gを有するように形成される。この際、ストッパ部材18と第1の鍔部材14とは、所定間隔L1を介して対向するように設けられる。このように設けられた第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面は、第1の鍔部材14の凸球面14gがストッパ部材18の角部18gに対して、又は、ストッパ部材18の角部18gが第1の鍔部材14の凸球面14gに対して、線接触し摩擦が小さくなるので、摺動することができ、ベローズ管11の可撓性を損なうことを防止することができる。
【0051】
更に、ストッパ部材18は、第1の端管12の軸線方向に対して内側に略垂直となるようにカバー部材16に一体的に設けられることに限定されるものではなく、図10乃至図12に示すように、平板リング状に設けられ、カバー部材16に対して内側に傾斜するように、カバー部材16に一体的に設けられるようにしてもよい。すなわち、ストッパ部材18は、カバー部材16に対して内側に傾斜するようにカバー部材16に一体的に設けられることで、第1の鍔部材14と相対する面が、カバー部材16の基端部16a側から先端部16b側の方向に向かって内側に傾斜された傾斜面となる。
【0052】
具体的に、図10の例では、第1の鍔部材14のストッパ部材18と相対する面は、第1の端管12の軸線方向に対して略垂直となるように形成され、第1の鍔部材14のストッパ部材18と相対する面と外周面14bとからなる略90°の角部14hを有するように形成される。ストッパ部材18の第1の鍔部材14と相対する面は、カバー部材16の基端部16a側から先端部16b側の方向に向かって内側に傾斜された傾斜面18hとなるように形成される。例えば、この傾斜面18hは、ベローズ管11が撓んだ際の第1の鍔部材14のストッパ部材18に相対する面の角部14hの軌跡の近似形状となるように形成される。この際、ストッパ部材18と第1の鍔部材14とは、所定間隔L1を介して対向するように設けられる。このように設けられた第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面は、第1の鍔部材14の角部14hがストッパ部材18の傾斜面18hに対して、又は、ストッパ部材18の傾斜面18hが第1の鍔部材14の角部14hに対して、線接触し摩擦が小さくなるので、摺動することができ、ベローズ管11の可撓性を損なうことを防止することができる。更に、このように設けられたストッパ部材18は、第1の端管12の軸線方向に対して内側に略垂直となるようにカバー部材16に一体的に設けられ、第1の鍔部材14と相対する面を傾斜面に設けるものより、容易に、傾斜面を設けることができる。
【0053】
また、図11の例では、第1の鍔部材14のストッパ部材18と相対する面は、一端部12a側から他端部12b側の方向に向かって内側に傾斜する傾斜面14iとなるように形成される。ストッパ部材18の第1の鍔部材14と相対する面は、第1の鍔部材14のストッパ部材18に相対する面の傾斜面14iに対応するように、カバー部材16の基端部16a側から先端部16b側の方向に向かって内側に傾斜された傾斜面18iとなるように形成される。例えば、この傾斜面18iは、ベローズ管11が撓んだ際の第1の鍔部材14のストッパ部材18に相対する面である傾斜面14iの軌跡の近似形状となるように形成される。すなわち、第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面は、互いに、略平行な傾斜面14i,18iで形成されている。この際、ストッパ部材18と第1の鍔部材14とは、所定間隔L1を介して対向するように設けられる。このように設けられた第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面は、ベローズ管11が軸線方向に伸びて、第1の鍔部材14とストッパ部材18とが突き当たった状態でベローズ管11が撓んでも、第1の鍔部材14の傾斜面14iがストッパ部材18の傾斜面18iに対して摺動することができ、ベローズ管11の可撓性を損なうことを防止することができる。更に、このように設けられたストッパ部材18は、第1の端管12の軸線方向に対して内側に略垂直となるようにカバー部材16に一体的に設けられ、第1の鍔部材14と相対する面を傾斜面に設けるものより、容易に、傾斜面を設けることができる。
【0054】
また、図12の例では、第1の鍔部材14のストッパ部材18と相対する面は、所定の曲率の凸球面状となるように形成される。ストッパ部材18の第1の鍔部材14と相対する面は、カバー部材16の基端部16a側から先端部16b側の方向に向かって内側に傾斜された傾斜面18jとなるように形成される。例えば、この傾斜面18jは、ベローズ管11が撓んだ際の第1の鍔部材14のストッパ部材18に相対する面である凸球面14jの軌跡の近似形状となるように形成される。このように形成された第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面は、ベローズ管11が軸線方向に伸びて、第1の鍔部材14とストッパ部材18とが突き当たった状態でベローズ管11が撓んでも、第1の鍔部材14の凸球面14jがストッパ部材18の傾斜面18jに対して、又は、ストッパ部材18の傾斜面18jが第1の鍔部材14の凸球面14jに対して、線接触し摩擦が小さくなるので、摺動することができ、ベローズ管11の可撓性を損なうことを防止することができる。更に、このように設けられたストッパ部材18は、第1の端管12の軸線方向に対して内側に略垂直となるようにカバー部材16に一体的に設けられ、第1の鍔部材14と相対する面を傾斜面に設けるものより、容易に、傾斜面を設けることができる。
【0055】
なお、角部14d,14f,14h,18e,18gについて、線接触した際により摩擦が小さくなるように、角部14d,14f,14h,18e,18gに傾斜状や円弧状に面取りを行い、傾斜部や円弧部が形成されるようにしてもよい。そして、これら傾斜部や円弧部が、相対する面に対して摺動するようにしてもよい。また、角部14d,14f,14hを設けずに、第1の鍔部材14の外周面14bが凸円弧状となるように形成されるようにしてもよい。そして、このような凸円弧状に形成された外周面14bが、相対する面に対して摺動するようにしてもよい。更に、角部18e,18gを設けずに、ストッパ部材18の内周面18bが凸円弧状となるように形成されるようにしてもよい。そして、このような凸円弧状に形成された内周面18bが、相対する面に対して摺動するようにしてもよい。
【0056】
更に、第2の鍔部材15には、図13に示すように、第2の鍔部材15の物理的強度を補強するリング状の補強部材22を設けるようにしてもよい。この補強部材22は、機械的特性と防錆性に優れたステンレス材、例えばSUS304を素材とし、一定の肉厚を有して、一端部22a側から他端部22b側の方向に向かって拡径するようなリング状に形成されている。この際、補強部材22の肉厚は、第1の鍔部材14がストッパ部材18に突き当たった際に、第2の鍔部材15の撓みを防止することができるような厚さを有している。そして、補強部材22は、一端部22aが第2の端管13の外周部13cに溶接により一体化され、他端部22bが第2の鍔部材15の第2の端管13側の主面部15bに溶接により一体化される(溶接箇所を、図13中30fで示す。)。したがって、第2の鍔部材15は、補強部材22により物理的強度が補強されることで、補強部材22を設けない場合より肉厚を薄くすることができる。よって、可撓管装置10a,10bは、補強部材22を設けない場合より軽量化を図ることができる。更に、補強部材22は、第1の鍔部材14がストッパ部材18に突き当たった際に、第2の鍔部材15が撓むことを防止することができる。
【0057】
また、補強部材22は、他端部22bが第2の鍔部材15の第2の端管13側の主面部15bに溶接により一体化されることに限定されるものではなく、第2の鍔部材15の外周部15aに溶接により一体化されるようにしてもよい。更に、補強部材22は、リング状に形成されることに限定されるものではなく、三角形、方形等の多角形状や湾曲形状の薄板状に形成されるようにしてもよい。このような補強部材22は、第2の端管13の外周部13cに、略同一円周上に互いに等間隔に、複数個配置され、第2の端管13の外周部13cと第2の鍔部材15の第2の端管13側の主面部15bとに溶接等により一体化される。更に、補強部材22は、SUS304に限定されるものではなく、更にステンレス材に限定されるものでもなく、例えば銅、チタン、アルミニウム合金等のその他の適宜の金属、又は合成樹脂によって形成されたものを用いても良い。
【0058】
更に、第2の鍔部材15に補強部材22を設ける際には、図13に示すように、第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面が、互いに、略平行な傾斜面14a,18aで形成されていることに限定されるものではない。すなわち、第2の鍔部材15に補強部材22を設ける際に、図5に示すように、第1の鍔部材14のストッパ部材18と相対する面は、凸球面状に形成され、ストッパ部材18の第1の鍔部材14と相対する面は、第1の鍔部材14の凸球面状に対応する凹球面状に形成されていてもよい。更に、図6及び図7に示すように、第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面のいずれか一方が、傾斜面14e、18dとなるように形成され、他方が、第1の端管12の軸線方向に対して略垂直となるように形成されていてもよい。また、図8及び図9に示すように、第1の鍔部材14とストッパ部材18との相対する面のいずれか一方が、所定の曲率の凸球面状又は凹球面状となるように形成され、他方が、第1の端管12の軸線方向に対して略垂直となるように形成されていてもよい。また、図10及び図12に示すように、平板リング状のストッパ部材18が、カバー部材16に対して内側に傾斜するようにカバー部材16に一体的に設けられることで、第1の鍔部材14と相対する面が、カバー部材16の基端部16a側から先端部16b側の方向に向かって内側に傾斜された傾斜面となるように形成され、第1の鍔部材14のストッパ部材18と相対する面が、傾斜面、凹球面状、又は、第1の端管12の軸線方向に対して略垂直となるように形成されていてもよい。
【0059】
更に、本発明は、図1に示すように、水道管2の本管2aと分岐管2bとの間の配管1について、2個の可撓管装置10a,10bを有する例を説明したが、一の可撓管装置、例えば可撓管装置10aのみが水道管2の本管2aと分岐管2bとの間の配管1として用いられるようにしてもよい。すなわち、可撓管装置10aの第2の端管13の他端部13bと本管2aの端部とが、例えば第2の端管13の他端部13bに設けたフランジ機構3のフランジ3aと本管2aの端部に設けたフランジ機構3のフランジ3bとを軸線を一致させて突き合わせ結合し、突き合わされたフランジ3a,3bをボルト及びナット等の締結部材3cで締め付けることによって接続される。また、可撓管装置10aの第1の端管12の他端部12bと分岐管2bの端部とが、例えば第1端管12の他端部12bに設けたフランジ機構4のフランジ4aと分岐管2bの端部に設けたフランジ機構4のフランジ4bとを軸線を一致させて突き合わせ結合し、突き合わされたフランジ4a,4bをボルト及びナット等の締結部材4cで締め付けることによって接続される。
【0060】
更に、本発明は、ベローズ管11、第1及び第2の端管12,13、第1及び第2の鍔部材14,15、カバー部材16、ストッパ部材18等の全ての部品において、上述した材質に限定されるものではなく、ベローズ管11の内部を流れる水道水の内圧による推力に耐え得る強度を得られれば、如何なる材質であってもよい。
【0061】
更に、本発明は、埋設型の水道管2の配管1として適用可能であり、水道橋、橋梁、高架水槽等の構造体に添架される露出型の水道管2の配管1としても適用可能である。
【0062】
また、本発明は、中水導管や下水管の配管工事にも適用可能であり、更に、都市ガスや冷却ガス等の気体又は粉体、粒体、ゲル状体等の固体からなる流体が流れる導管の配管工事にも適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 配管、2 水道管、2a 本管、2b 分岐管、3 フランジ機構、3a フランジ、3b フランジ、3c 締結部材、4 フランジ機構、4a フランジ、4b フランジ、4c 締結部材、10a 可撓管装置、10b 可撓管装置、11 ベローズ管、11a ベローズ本体、11b 接続部、11c 凸部、11d 最外凸部、12 第1の端管、12a 一端部、12b 他端部、12c 外周部、13 第2の端管、13a 一端部、13b 他端部、13c 外周部、14 第1の鍔部材、14a 傾斜面、14b 外周面、14c 凸球面、14d 角部、14e 傾斜面、14f 角部、14g 凸球面、14h 角部、14i 傾斜面、14j 凸球面、15 第2の鍔部材、15a 外周部、15b 主面部、16 カバー部材、16a 基端部、16b 先端部、16c 外周部、17 間隙、18 ストッパ部材、18a 傾斜面、18b 内周面、18c 凹球面、18d 傾斜面、18e 角部、18f 凹球面、18g 角部、18h 傾斜面、18i 傾斜面、18j 傾斜面、19 防水シート、19a 一端部、19b 他端部、20 締付バンド、21 出荷用金具、21a 第1の金具取付片、21b 第2の金具取付片、21c 締結部材、22 補強部材、22a 一端部、22b 他端部、30a〜30f 溶接箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベローズ管と、
上記ベローズ管の一端部に接続される第1の端管と、
上記ベローズ管の他端部に接続される第2の端管と、
上記第1の端管の外周部に設けられる第1の鍔部材と、
上記ベローズ管と離間した外側に、上記ベローズ管の他端部側を固定端として、上記ベローズ管の一端部側に延在され、上記ベローズ管及び上記第1の鍔部材を覆うカバー部材と、
上記第1の鍔部材と離間し、所定間隔を介して対向するように上記カバー部材に設けられ、上記第1の鍔部材と突き当たって、上記ベローズ管が所定間隔以上軸線方向に伸びることを規制するストッパ部材とを備え、
上記第1の鍔部材と上記ストッパ部材との相対する面は、互いに、略平行な傾斜面で形成されている可撓管装置。
【請求項2】
ベローズ管と、
上記ベローズ管の一端部に接続される第1の端管と、
上記ベローズ管の他端部に接続される第2の端管と、
上記第1の端管の外周部に設けられる第1の鍔部材と、
上記ベローズ管と離間した外側に、上記ベローズ管の他端部側を固定端として、上記ベローズ管の一端部側に延在され、上記ベローズ管及び上記第1の鍔部材を覆うカバー部材と、
上記第1の鍔部材と離間し、所定間隔を介して対向するように上記カバー部材に設けられ、上記第1の鍔部材と突き当たって、上記ベローズ管が所定間隔以上軸線方向に伸びることを規制するストッパ部材とを備え、
上記第1の鍔部材の上記ストッパ部材と相対する面は、凸球面状に形成され、
上記ストッパ部材の上記第1の鍔部材と相対する面は、上記凸球面状に対応する凹球面状に形成されている可撓管装置。
【請求項3】
ベローズ管と、
上記ベローズ管の一端部に接続される第1の端管と、
上記ベローズ管の他端部に接続される第2の端管と、
上記第1の端管の外周部に設けられる第1の鍔部材と、
上記ベローズ管と離間した外側に、上記ベローズ管の他端部側を固定端として、上記ベローズ管の一端部側に延在され、上記ベローズ管及び上記第1の鍔部材を覆うカバー部材と、
上記第1の鍔部材と離間し、所定間隔を介して対向するように上記カバー部材に設けられ、上記第1の鍔部材と突き当たって、上記ベローズ管が所定間隔以上軸線方向に伸びることを規制するストッパ部材とを備え、
上記第1の鍔部材、上記ストッパ部材の何れか一方は、上記第1の端管に対して略垂直に設けられており、
上記第1の鍔部材、上記ストッパ部材の何れか他方は、上記一方と相対する面が傾斜面又は球面状に形成されている可撓管装置。
【請求項4】
上記ストッパ部材は、平板略リング状であり、上記カバー部材に対して内側に傾斜するように、該カバー部材に一体的に設けられて上記傾斜面が形成されており、
上記第1の鍔部材は、第1の端管に対して略垂直に設けられている請求項3記載の可撓管装置。
【請求項5】
上記カバー部材は、上記第2の端管の外周部に設けられた第2の鍔部材に取り付けられている請求項1乃至請求項4のうち1記載の可撓管装置。
【請求項6】
上記第2の鍔部材は、上記第2の端管に設けられた補強部によって補強されている請求項5記載の可撓管装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate