説明

可撓開閉体及びそれを用いたシートシャッター装置

【課題】
工場や施設への出入口や、製品、資材などの搬出入口に用いるシート開閉式シャッター装置において、採光性や対人認識性を有し、さらに帯電防止性と抗菌性とを兼備するシャッターを提供することにある。
【解決手段】
本発明によるシートシャッター用可撓開閉体は、粗目繊維織物を基布として、その両面に熱可塑性樹脂被覆層を有する光線透過複合シートであって、粗目繊維織物が、充実部及び空隙部による編織組織を有し、充実部総和20〜70%、かつ、その1面以上に金属薄膜層を有しており、その金属薄膜層を、少なくとも第一金属薄膜層表面と、それを被覆する第二金属薄膜層とから構成し、第一金属薄膜層が、銀、銅、及び亜鉛から選ばれた1種以上の金属を含む層、第二金属薄膜層が合金層または金属酸化物層による層とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシートシャッター装置に用いられる開閉体シート及び、この開閉体シートを用いたシャッター装置に関し、特に工場や施設への出入口や、製品、資材などの搬出入口に用いる開閉式シャッター装置であって、特に開閉体シートに採光性や対人認識性を有するシート開閉式シャッター装置と、それに用いる帯電防止性及び抗菌性を兼備するシャッター装置用可撓開閉体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫などの出入口には、フォークリフトなどの搬送車による荷物の入出庫作業が頻繁に行われるため、出入口を自動開閉するシートシャッター装置が設けられている。これらのシートシャッター装置は、食品工場、薬品工場、精密機器工場などでクリーンルーム仕様や防虫・防塵仕様として、帯電防止性や害虫飛来防止性を考慮した自動開閉型シートシャッター装置が用いられている。特に食品工場では冷凍室、冷蔵室、加工室の各室間接続口にも自動開閉型シートシャッターが設けられて、エリア毎の温度と空気清浄度の管理がなされ、特に機械音が大きい製造工場においては防音性を有するシャッター素材なども使用されている。この他、総合病院や研究施設の隔離空間などにおいてもこれらのシートシャッター装置が多用されている。
【0003】
これらのシートシャッター装置は、人や車両の接近をセンサー感知して、これによってシート開閉体が機械的に巻上げ上昇して開口し、人や車両の通過後には直ちにシート開閉体が下降して閉口するシステムであり、特に開閉体素材を繰り返し巻回・巻解可能なフレキシブルシートとすることでシートシャッター装置上部にシート巻回体の状態で収納することができ、これによりシートシャッター装置は省スペース設置可能な利便性を有している。これらのシートシャッター装置において開閉体素材である可撓シートには、合成繊維織編物を形態安定付与と破壊強度付与のための芯材として、これを熱可塑性樹脂層で被覆したシートが用いられている。特にシャッター部分に採光性や対人認識性が求められる用途においては、補強芯材に粗目状合成繊維織編物を用いて、透光性または透明性を有する熱可塑性樹脂層で被覆したシートが有用で、具体的には、1111〜2222dtex程度のポリエステル糸条を経糸及び緯糸として、経糸と緯糸の打ち込み密度を2〜6本/1インチ程度で製織した粗目平織物を補強芯材として、この両面に厚さが0.2〜0.5mm程度の軟質塩化ビニル樹脂シートを積層接着して得られる可撓シ−トがシャッター開閉体として多岐に使用されている。
【0004】
しかし、塩化ビニル樹脂のような熱可塑性樹脂で被覆したシャッター開閉体は、高速開閉における巻回の摩擦で静電気を発生し易く、帯電したシャッター開閉体が近くに浮遊する塵やゴミなどを引き付けることによる室内汚染や、有機溶剤揮発や粉塵飛散などの環境では引火や爆発の災害原因となる問題があった。このためシートシャッターの静電気対策として、熱可塑性樹脂層内に金属粉末やカーボンブラックを練り込んだり、あるいは熱可塑性樹脂層表面に金属粉末やカーボンブラックを含む塗料でのコーティングなどの方法ではシャッター開閉体に隠蔽性を付与してしまい、採光性や対人認識性を阻害する欠点がある。また、有機化合物からなる界面活性剤などの配合や塗布による静電気対策では、シャッター開閉体の採光性や対人認識性を阻害することは無いが、頻繁な高速開閉が要求されるシートシャッター用途では充分な帯電防止性能が得られず、経時によりシャッター開閉体の表面に界面活性剤がブリードアウトして室内汚染の原因となり食品工場や精密機器工場などで使用することができない。また、金属線や金属メッキ線を混用して補強芯材に導電性を付与する方法では、シャッター開閉体の繰り返し巻回・巻解によって金属線や金属メッキ線が容易に疲労して断線する問題があった。
【0005】
また、静電気は空気中の浮遊菌や菌糸をシャッター開閉体表面に付着させる原因ともなることで、特に食品工場、総合病院、研究施設などでは衛生管理の一環としてシートシャッター装置には抗菌性が求められているが、今まで帯電防止性と抗菌性とを兼備するシャッター装置、及びそれに用いる帯電防止性と抗菌性とを兼備するシャッター用可撓開閉体は存在していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平4−60423号公報
【特許文献2】特開2001−40546号公報
【特許文献3】特開平8−215295号公報
【特許文献4】特開平10−216210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とする処は、工場や施設への出入口や、製品、資材などの搬出入口に用いるシート開閉式シャッター装置において、特に採光性や対人認識性を有し、さらに帯電防止性と抗菌性とを兼備する可撓開閉体と、その可撓開閉体を用いたシャッター装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシートシャッター用可撓開閉体は、粗目繊維織物を基布として、その両面に熱可塑性樹脂被覆層を有してなる光線透過複合シートであって、前記粗目繊維織物が、充実部及び空隙部による編織組織を有し、前記充実部総和20〜70%、かつ、その1面以上に金属薄膜層を有しており、前記金属薄膜層が、少なくとも第一金属薄膜層表面と、それを被覆する第二金属薄膜層とからなり、前記第一金属薄膜層が、銀、銅、及び亜鉛から選ばれた1種以上の金属を含み、前記第二金属薄膜層が合金層または金属酸化物層であることが好ましい。この技術的手段によって可撓開閉体に採光性や対人認識性を付与し、さらに帯電防止性と抗菌性とを兼備させることができる。
【0009】
本発明のシートシャッター用可撓開閉体は、前記粗目繊維織物基布が、撥水性化合物によって含浸処理されて、前記粗目繊維織物基布の断面からの吸水長が10mm以下である、請求項1に記載のシートシャッター用可撓開閉体であることが好ましい。この技術的手段によって水濡れによる可撓開閉体内部への水の侵入を防止し、カビなどの微生物の侵入を抑制することができる。
【0010】
本発明のシートシャッター用可撓開閉体は、前記粗目繊維織物基布が、可撓性樹脂によって含浸された樹脂コート基布であることが好ましい。この技術的手段によって水濡れによる可撓開閉体内部への水の侵入を防止し、カビなどの微生物の侵入を抑制することができる。
【0011】
本発明のシートシャッター用可撓開閉体は、前記光線透過複合シートにおいて、前記充実部を含む部分と前記空隙部を含む部分との厚み差が0.1〜1.0mmであることが好ましい。この技術的手段によって巻回状態の可撓開閉体を高速で解くことを可能として、さらに静電気発生を抑制することができる。
【0012】
本発明のシートシャッター用可撓開閉体は、前記金属薄膜層が、JIS K6911(1995年)の5.13項に規定の表面抵抗率109〜1012Ω/□を有し、かつ、JIS Z2801(2000年)に規定の抗菌活性値2〜4を有することが好ましい。
【0013】
本発明のシートシャッター装置は、粗目繊維織物を基布として、その両面に熱可塑性樹脂被覆層を有してなる光線透過複合シートを可撓開閉体とするシャッター装置であって、前記可撓開閉体が含む前記粗目繊維織物が、充実部及び空隙部による編織組織を有し、前記充実部総和20〜70%、かつ、その1面以上に金属薄膜層を有し、前記金属薄膜層が、少なくとも第一金属薄膜層表面と、それを被覆する第二金属薄膜層とからなり、前記第一金属薄膜層が、銀、銅、及び亜鉛から選ばれた1種以上の金属を含み、前記第二金属薄膜層が合金層または金属酸化物層であることが好ましい。この技術的手段によってシートシャッター装置に採光性や対人認識性を付与し、さらに帯電防止性と抗菌性とを兼備させることができる。
【0014】
本発明のシートシャッター装置は、前記可撓開閉体において、前記充実部を含む部分と前記空隙部を含む部分との厚み差が0.1〜1.0mmであることが好ましい。この技術的手段によって巻回状態の可撓開閉体を高速で解くことを可能として、さらに静電気発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるシートシャッター用可撓開閉体は、採光性や対人認識性を有し、さらに帯電防止性と抗菌性とを兼備するので、本発明の可撓開閉体を用いたシートシャッター装置は、工場や施設への出入口や、製品、資材などの搬出入口に適して用いることができる。これらの用途において、本発明のシートシャッター用可撓開閉体が採光性を有していることで日中の工場内、施設内環境を明るくし、また対人認識性を有していることで可撓開閉体を介在しての安全確認が容易となって出会い頭の衝突事故を未然防止することができる。さらに本発明の可撓開閉体が帯電防止性を有していることで、開閉体を高速開閉した時に発生する静電気を人や運搬物に帯電させる心配がない上に、塵やゴミの静電吸着も低減することができる。また、本発明の可撓開閉体表面に菌が付着した場合でも、菌の増殖が抑制されるので、従って本発明によるシートシャッター用可撓開閉体は、特に食品工場、薬品工場、精密機器工場などの自動開閉型シャッター装置に適して有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係わる可撓開閉体を用いたシートシャッター装置の一例(閉じた 状態で対人認識性を有する)を示す正面図とその断面図である。
【図2】本発明に係わる可撓開閉体を用いたシートシャッター装置の一例(開いた 状態)を示す正面図とその断面図である。
【図3】同可撓開閉体の構造を示す断面図である。
【図4】同可撓開閉体の基布を示す図である。
【図5】同可撓開閉体の基布構造(金属薄膜層形成)を示す図である。
【図6】同可撓開閉体の基布構造(金属薄膜層の片面形成)を示す第5図のA−A’ 断面図の一例である。
【図7】同可撓開閉体の基布構造(金属薄膜層の両面形成)を示す第5図のA−A’ 断面図の一例である。
【図8】同可撓開閉体の基布構造(金属薄膜層の片面形成)を示す第5図のA−A’ 断面図の一例である。
【図9】同可撓開閉体の基布構造(金属薄膜層の両面形成)を示す第5図のA−A’ 断面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のシートシャッター用可撓開閉体は、粗目繊維織物を基布として、その両面に熱可塑性樹脂被覆層を有してなる光線透過複合シートであって、粗目繊維織物が、充実部及び空隙部による編織組織を有し、充実部総和20〜70%、かつ、その1面以上に金属薄膜層を有しており、金属薄膜層が、少なくとも第一金属薄膜層表面と、それを被覆する第二金属薄膜層とからなり、第一金属薄膜層が、銀、銅、及び亜鉛から選ばれた1種以上の金属を含み、第二金属薄膜層を合金層または金属酸化物層とするシートである。
【0018】
本発明のシートシャッター用可撓開閉体の基布に用いる粗目繊維織物は、織布、編布のいずれでもよく、織布としては平織、綾織、繻子織などが挙げられるが、特に平織織布が得られるシートシャッター用可撓開閉体の経・緯物性バランスに優れ好ましい。粗目繊維織物の経糸・緯糸の糸条は合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維またはこれらの2種以上から成る混用繊維のいずれによっても良いが、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維(PET、PBT、PENなど)、芳香族ポリエステル繊維、ナイロン繊維、芳香族ポリアミド繊維などの合成繊維糸条が好ましい。これらの糸条は、マルチフィラメント、短繊維紡績、モノフィラメント、スプリットヤーン、テープヤーンなどのいずれの形状でも使用できるがマルチフィラメントが好ましい。また特に耐火用途ではガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などの無機繊維を使用することもできる。
【0019】
粗目繊維織物の編織組織は、500(555dtex)〜3000(3333dtex)デニール、特に1000(1111dtex)〜2000(2222dtex)デニールの太径が好ましく、経糸及び緯糸の打込み本数はこれらのマルチフィラメント糸条を、経糸・緯糸1インチ(2.54cm)当たり1〜10本、好ましくは2〜6本打込んで得られる平織布帛が例示できる。この粗目繊維織物は、糸条の占める充実部と糸条間に形成される空隙部とから構成され、粗目繊維織物に対して充実部総和の占有率が20〜70%(粗目繊維織物に対して空隙部総和の占有率は30〜80%)の範囲内、好ましくは充実部が35〜65%(空隙率は35〜65%)の範囲内のものが適している。粗目繊維織物の充実部が20未満だと得られる可撓開閉体シートの強度と、応力に対する寸法安定性が不十分となって可撓開閉体が変形し易くなるだけでなく、大腸菌や黄色ブドウ球菌などに対する繁殖抑制効果が不十分となることがある。また、粗目繊維織物の充実部が70%を越えると得られる可撓開閉体シートの風合いが硬くなるだけでなく、採光性や対人認識性を悪くすることがある。充実部総和の占有率は粗目繊維織物の単位面積中(例えばタテ1インチ×ヨコ1インチの正方形)に占める糸条の総和面積を百分率として求め、100から差し引いた値(×100%)として求めることができる。また、粗目繊維織物には、必要に応じて接着剤塗布、樹脂含浸加工、吸水防止処理、難燃処理など公知の下処理を施すことができる。
【0020】
本発明において粗目繊維織物は、撥水性化合物によって含浸処理されて、粗目繊維織物基布の断面からの吸水長を10mm以下に制御することにより、水濡れによる可撓開閉体内部への水の侵入を制御し、カビなどの微生物の侵入を防止することができる。撥水性化合物は、フッ素原子含有化合物、シリコーン系化合物、パラフィン系化合物などであり、これらを含有する溶液の含浸塗布によって乾燥時の付着率0.05〜3.0質量%で処理されたものが好ましい。撥水性化合物の乾燥付着率が0.05重量%未満だと得られる可撓開閉体シートの断面から雨水などが侵入して、湿気状態が長く続くことでカビ発生の原因となることがある。また乾燥付着率が3.0質量%を越えると粗目繊維織物と熱可塑性樹脂被覆層との密着性を悪くして、可撓開閉体シートの動的耐久性を不十分とすることがある。
【0021】
フッ素原子含有化合物としては、パーフルオロアルキルアクリレートモノマーに加えて、長鎖アルキルアクリレートモノマー、塩化ビニルモノマーなどを含み、架橋成分としてN―メチロール基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基などを持つモノマーなどを構成成分として含むパーフルオロアルキルアクリレート共重合体のエマルジョンが例示される。また、シリコーン系化合物としては、メチルハイドロジエンポリシロキサン及び、メチルハイドロジエンポリシロキサンと水酸基両末端ジメチルポリシロキサンとの併用物のエマルジョンが例示される。また、パラフィン系化合物としてはパラフィン系潤滑油留分を脱ロウ化した炭素数20〜48、融点50〜70℃のn−パラフィンワックスのエマルジョンが例示できる。これらの撥水性化合物には公知の防カビ剤を併用することもでき、さらにこれらの撥水性化合物には熱可塑性樹脂のエマルジョン、ディスパージョンなどの水分散体を併用することもできる。熱可塑性樹脂は具体的に、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系共重合体樹脂などの水分散体である。
【0022】
本発明において粗目繊維織物は、可撓性樹脂によって含浸処理されて、粗目繊維織物基布の断面からの吸水長を10mm以下に制御することにより、水濡れによる可撓開閉体内部への水の侵入を制御して菌糸類などの侵入を防止することができる。可撓性樹脂は具体的に、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系共重合体樹脂などの水分散体、または可塑剤を含む塩化ビニル系樹脂によるペーストである。本発明において可撓性樹脂はポリ塩化ビニル樹脂微粉末と可塑剤との併用によるペーストゾルに着色剤や難燃剤を配合したものが好ましい。可撓性樹脂による粗目繊維織物の含浸は、公知の塗工方法、例えばディッピング(織物に対する両面加工)、コーティング(織物に対する片面加工、または両面加工)などの塗工、及び含浸塗工が例示できる。粗目繊維織物の単位質量(g/m)に対する可撓性樹脂含浸被覆量(乾燥質量)は、10〜300%、好ましくは50〜200%である。
【0023】
本発明のシートシャッター用可撓開閉体に用いる粗目繊維織物には、その片面上、もしくは両面上に金属薄膜層が設けられており、この金属薄膜層は第一金属薄膜層と、少なくとも第一金属薄膜層を被覆して保護する第二金属薄膜層との構成を有している。粗目繊維織物は撥水性化合物によって含浸処理されたもの、可撓性樹脂によって含浸処理されたもの、あるいは無処理のもの、の何れでもよい。金属薄膜層の形成は、「片面形成の場合、第二金属薄膜層/第一金属薄膜層/粗目繊維織物」構成であり、両面形成の場合「第二金属薄膜層/第一金属薄膜層/粗目繊維織物/第一金属薄膜層/第二金属薄膜層」構成、または「第二金属薄膜層/第一金属薄膜層/粗目繊維織物/第二金属薄膜層」構成である。
【0024】
金属薄膜層を構成する第一金属薄膜層は、銀、銅、亜鉛から選ばれた1種以上の金属を含み、JIS Z2801(2000年)に規定の抗菌活性値2〜4を有することが好ましい。本発明の可撓開閉体をシートシャッターに用いたとき、開閉運動による物理的刺激と静電気によって、第一金属薄膜層から銀イオン、銅イオン、亜鉛イオンなどが放出され易くなる。これらの金属イオンが経時的に熱可塑性樹脂被覆層内を拡散して本発明の可撓開閉体表面に移行することによって、そしてこれらの金属イオンが細菌の呼吸系や電子伝達系などの基本代謝系の酵素阻害、あるいは細胞膜の物質移動阻害に作用することで細菌の増殖を抑制する効果を長期継続して得ることを可能とする。本発明において熱可塑性樹脂被覆層は、これら金属イオンの拡散移行を容易とするために、可塑剤を含有する熱可塑性樹脂が好ましく、特に軟質塩化ビニル樹脂が好ましい。可塑剤はアジピン酸エステル系、セバシン酸エステル系、フタル酸エステル系、リン酸エステル系、塩素化パラフィン系など公知の可塑剤を任意の配合量、好ましくは塩化ビニル樹脂100質量部に対して20〜150質量部で使用でき、これら複数種を併用することもできる。
【0025】
金属薄膜層を構成する第二金属薄膜層は、Fe−Ni−Cr(ステンレス鋼)、Ni−Cr、Cu−Niなどの合金を含む層、または、スズドープ酸化インジウム(TIO)による金属酸化物を含む層によって形成され、JIS K6911(1995年)の5.13項に規定の表面抵抗率で109〜1012Ω/□を有することが好ましい。これによって本発明の可撓開閉体をシートシャッターに用いたとき、開閉運動で発生した静電気を第二金属薄膜層を伝導させて地面や床面に逃がす効果を得ることができる。また、第二金属薄膜層は第一金属薄膜層を被覆することで第一金属薄膜層を保護し、酸化や変質の劣化から守り、この2層金属薄膜構造によって安定した抗菌効果を得ることができる。
【0026】
本発明において、金属薄膜層を構成する第一金属薄膜層及び第二金属薄膜層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学的蒸着法などの何れの蒸着法によっても形成することができるが、特に広幅長尺となる本発明のシートシャッター用可撓開閉体の製造にはスパッタリング法が好ましい。第一金属薄膜層及び第二金属薄膜層の薄膜質量は、それぞれ30〜300mg/m2、特に50〜150mg/mであることが好ましい。薄膜質量が30mg/m未満だと得られる可撓開閉体の抗菌効果と帯電防止効果が不十分となることがあり、また300mg/mを越えると可撓開閉体の開閉屈曲によって金属薄膜層が亀裂破壊して十分な帯電防止効果が得られなくなる不都合を生じることがある。また、本発明において粗目繊維織物の充実部表面に金属薄膜層が設けられており、充実部の好ましい占有率は20〜70%である。この充実部占有率20〜70%による第一金属薄膜層及び第二金属薄膜層の付着質量範囲は粗目繊維織物の質量に対して各々0.0005〜0.002質量%である。
【0027】
本発明のシートシャッター用可撓開閉体において、熱可塑性樹脂被覆層は、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂(PE,PPなど)、オレフィン系エラストマー、ウレタン樹脂、ウレタン系エラストマー、アクリル樹脂、アクリル系エラストマー、スチレン樹脂、スチレン系エラストマー、ポリエステル樹脂、ポリエステル系エラストマー、フッ素含有共重合体樹脂、フッ素系エラストマー、シリコーン樹脂、シリコーン系エラストマーなどの熱可塑性樹脂などにより構成される。これらのうち、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、公知の可塑剤を20〜150質量部配合した軟質塩化ビニル樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂被覆層はカレンダー成型やTダイス押出法などで成形した、厚さ0.01〜0.3mmのフィルム、または厚さ0.3〜1.0mmのシートを、上述の粗目繊維織物を基布として用いて、その両面に熱ラミネート積層、または接着剤積層して粗目繊維織物を完全被覆する。得られた光線透過複合シートにおいて、糸条が占める充実部は、熱可塑性樹脂被覆層/粗目繊維織物/熱可塑性樹脂被覆層の構成となり、糸条間に形成される空隙部は、熱可塑性樹脂被覆層/熱可塑性樹脂被覆層となる。この光線透過複合シートの全光線透過率(JIS−K7105)は20〜75%であることが好ましい。
【0028】
本発明のシートシャッター用可撓開閉体において、充実部を含む部分と空隙部を含む部分との厚み差が0.1〜1.0mm、特に0.2〜0.6mmであることが好ましい。可撓開閉体全面にこのような厚み差を多数設けることによって、巻回状態にある可撓開閉体同士の密着を防ぎ、巻解をスムーズとするので大きな音を立てることもなく、また静電気の発生を効果的に抑制することができる。充実部を含む部分の厚さは「熱可塑性樹脂被覆層/金属薄膜層を有する粗目繊維織物/熱可塑性樹脂被覆層」の各層を総合した厚さで、空隙部を含む部分の厚さは「熱可塑性樹脂被覆層/熱可塑性樹脂被覆層」を総合した厚さである。
【0029】
また、熱可塑性樹脂被覆層には、全光線透過率20〜65%を阻害しない範囲で、着色剤、安定剤、難燃剤、充填剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、導電性フィラー、防カビ剤、抗菌剤など公知の添加剤を使用できる。特に銀、銅、亜鉛などの金属、またはイオンを担持した、平均粒子径が0.3〜3.0μmの無機系多孔質微粒子を抗菌剤として、熱可塑性樹脂被覆層に対して0.1〜3質量%含有することが好ましく、さらにイミダゾール系化合物、チアゾール系化合物、N−ハロアルキルチオ系化合物、ピリチオン系化合物、ピリジン系化合物、イソチアゾリン系化合物、トリアジン系化合物などの有機化合物による防カビ剤を熱可塑性樹脂被覆層に対して0.01〜1質量%含有することが好ましい。また、本発明の可撓開閉体表面にはポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子を含む塗料、または界面活性剤を含む塗料などの塗膜によって帯電防止層が設けられていてもよい。
【0030】
本発明のシートシャッター装置は採光性と対人認識性を有し、さらに帯電防止性と抗菌性を兼備する光線透過複合シートを可撓開閉体に用いる。シートシャッター装置のサイズに特段の制限はないが、人の出入専用には幅2〜3m、高さ3〜4mの可撓開閉体サイズが適している。また、フォークリフトなどの搬送車による荷物の入出庫作業が行われる場合には幅4〜6m、高さ3〜4mの可撓開閉体サイズが適している。シートシャッター装置(1)の構成を図1で説明する。シートシャッター装置(1)は、可撓開閉体(2)、サイドフレーム(3)、巻取部(4)、開閉スイッチ(5)によって構成され、サイドフレーム(3)には可撓開閉体(2)の昇降を支持して安定させるガイド溝が設けられている。巻取部(4)には巻取ドラム芯と駆動エンジンを有し、十分な巻取収納スペースを有している。また、センサー感知による自動開閉を行うためのセンサー、開閉の表示ランプ、音声案内、激突防止ポールなどを附帯させることもできる。また、図1は可撓開閉体(2)が完全に降りて閉じた状態で、可撓開閉体(2)の背面に人物(6)が存在することを外部から認知可能な状態を示す。可撓開閉体(2)には、巻回と巻解を繰り返し行う際に、水平方向の寸法安定性を維持するために一定間隔にパイプ状、またはロッド状の細長い支持体を介在させることが好ましい。図2は可撓開閉体(2)が完全に巻き上げられて巻取部(4)に収納され、通行可能な状態を示す。
【実施例】
【0031】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の実施例及び比較例に使用した試験方法は下記の通りである。
(1) 抗菌試験
a)JIS Z2801(2000年)抗菌性試験に準じて試験体シート表面に
おける抗菌効果(大腸菌・黄色ブドウ球菌)の評価を行ない、これをブランクと
して抗菌活性値2.0以上を抗菌効果の有効とした。
b)試験体シートを耐揉み試験(JIS K6328 1kgf荷重×1000
回)し、試験後の抗菌性を評価した。この試験はシートシャッター用可撓開閉体
の繰り返し巻回・巻解の屈曲によって、抗菌作用に機能する層の劣化や破壊に影
響しないことを確認するための試験であり、抗菌活性値2.0以上を抗菌効果の
有効とした。
c)耐候促進試験JIS K7350-4に準拠し、サンシャインカーボンアーク
灯にて試験体シートを500Hrの促進試験耐候促進に晒した後の抗菌性を評価
した。この試験はシートシャッター用可撓開閉体が屋外で使用されたときに、日
光や雨によって、外観及び対人認識性、抗菌作用に機能する層の劣化や破壊に影
響しないことを確認するための試験であり、抗菌活性値2.0以上を抗菌効果の
有効とした。
(2) 帯電防止性
JIS K6911 5.13抵抗率に準じて測定を行った。試験体シートの表
面抵抗の測定環境は、a)温度20±2℃ 湿度65±5%と、b)温度20±
2℃40±5%、c)温度20±2℃30±5%の3条件で評価した。この試験
はシートシャッター用可撓開閉体が湿度によって帯電防止に機能する層の劣化や
破壊に影響しないことを確認するための試験であり、表面抵抗率109〜1012
Ω/□を帯電防止効果の有効範囲とした。
(3) 光線透過率
試験体シートの光線透過率をJIS Z8722に準じて測定を行った。
(4) 開閉体の耐吸水性
試験体シートの耐吸水性を(社)日本膜構造協会試験法標準「膜材料の品質及び
性能試験方法」(MSAJ/M−3−2003)13項「耐吸水性A法」により
赤インク3%水溶液72時間浸漬試験し、吸水長10mm以内を適合とした。
(5) 開閉体の巻解性
試験体シートより5cm幅×100cmに切り出し、これをφ3cmのPVCパ
イプに巻き重ね、30℃のオーブン中に1時間静置した後、これを解き解く状態
を観察した。試験体シートの自重で容易に解けるものを「良好」とし、ブロッキ
ングを生じて剥離にやや手の掛かるもので小さな剥離音を伴うものを「やや悪
い」、ブロッキングを生じて剥離に人手の掛かるもので大きな剥離音を伴うもの
を「悪い」と判定した。
(6) 対人認識性
人が試験体シート背面1mの位置に立ち、これを正面1mから観察して、顔を識
別した。顔の識別が可能なものを「良好」、顔の識別が困難なものを「不良」と
判定した。
【0032】
<実施例1>
(1)金属薄膜層を有する粗目繊維織物基布
粗目繊維織物基布として、下記組織のポリエステルフィラメント粗目状織物を用い
た。
1111dtex/2本×2222dtex/1本
6×4 (本/25.4mm)

この粗目状織物の片面にスパッタリング加工により93.0mg/mの銅薄膜を
形成して第一金属薄膜層とし、次に、その上に更にスパッタリング加工により
94.2mg/mのステンレス薄膜を形成して第二金属薄膜層を形成した。
(2)熱可塑性樹脂被覆層の形成
熱可塑性樹脂被覆層として、ポリ塩化ビニル系樹脂を含む下記組成1の軟質ポリ塩
化ビニル系樹脂組成物からなるフィルム(0.30mm厚)を165℃でカレンダ
ー成形機にて作製し、(1)の粗目繊維織物基布の両面に160℃の加熱ラミネー
ト条件で0.30mm厚の軟質ポリ塩化ビニル系樹脂フィルムを積層して質量85
0g/mの可撓シートを得た。このシートを開閉体とするシートシャッター装置
を構成した。
(組成1)
ストレート塩化ビニル樹脂 100質量部
フタル酸エステル系可塑剤 27質量部
リン酸エステル系可塑剤 27質量部
Ba−Zn系安定剤 2.0質量部
錫系安定剤 1.5質量部
紫外線吸収剤 1.0質量部
加工助剤 1.0質量部
【0033】
<実施例2>
実施例1と同様にして可撓開閉体シートの作製を行なった。但し粗目状織物の両面
にスパッタリング加工を施して金属薄膜化した粗目繊維織物基布を用いた。この粗
目繊維織物基布の金属薄膜各々は、第一金属薄膜層が93.0mg/m銅層で、
第二金属薄膜層が94.2mg/mステンレス層である。
【0034】
<実施例3>
実施例1と同様にして可撓開閉体シートの作製を行なった。但し粗目状織物の両面
にスパッタリング加工を施して金属薄膜化した粗目繊維織物基布を用いた。この粗
目繊維織物基布の金属薄膜各々は、片面が93.0mg/m銅層による第一金属
薄膜層で、両面が94.2mg/mのステンレス層による第二金属薄膜層であ
る。
【0035】
<実施例4>
実施例1と同様にして可撓開閉体シートの作製を行なった。但し銅のスパッタリン
グによる第一金属薄膜層を、銀のスパッタリングによる89.0mg/mの第一
金属薄膜層と変更した。
【0036】
<実施例5>
実施例1と同様にして可撓開閉体シートの作製を行なった。但しステンレスのスパ
ッタリングによる第二金属薄膜層を、酸化インジウムのスパッタリングによる
87.7mg/mの第二金属薄膜層と変更した。
【0037】
<実施例6>
粗目繊維織物基布として、下記組織のポリエステルフィラメント粗目状織物に吸水
防止加工を施した。まず、フッ素原子含有化合物LK-15(ユニオン化学工業(株)
製)を水で希釈して濃度5%に調整し、この溶液浴中に粗目状織物を浸漬した後、
粗目状織物を引き上げると同時にマングルロールを通過させ、基布重量に対し、弗
素樹脂系撥水剤液のウェット含浸量が60質量%となるように搾液し、これを15
0℃で2分間乾燥した。

1111dtex/2本×2222dtex/1本
6×4 (本/25.4mm)

この粗目繊維織物基布として実施例1と同様にして可撓開閉体シートの作製を行な
った。(吸水防止加工を施した基布の片面にスパッタリング加工による93.0
mg/mの第一金属薄膜層(銅)が形成され、その上にスパッタリング加工に
よる94.2mg/mの第二金属薄膜層(ステンレス)が形成されている。)
【0038】
<実施例7>
実施例6同様にして可撓開閉体シートの作製を行なった。但し銅のスパッタリング
による第一金属薄膜層を、銀のスパッタリングによる89.0mg/mの第一金
属薄膜層と変更した。
【0039】
<実施例8>
粗目繊維織物基布として、下記組織のポリエステルフィラメント粗目状織物に樹脂
含浸被覆を施した。まず、アクリル系エマルジョン樹脂HR-50(新中村化学工業
(株)製:固形分50質量%)浴に粗目状織物を浸漬した後、粗目状織物を引き上
げると同時にマングルロールを通過させ、基布重量に対し、アクリル系エマルジョ
ン樹脂液のウェット含浸量が100質量%となるように搾液し、これを150℃で
2分間乾燥した。

1111dtex/2本×2222dtex/1本
6×4 (本/25.4mm)

この粗目繊維織物基布として実施例1と同様にして可撓開閉体シートの作製を行な
った。(樹脂含浸被覆を施した基布の片面にスパッタリング加工による93.0
mg/mの第一金属薄膜層(銅)が形成され、その上にスパッタリング加工によ
る94.2mg/mの第二金属薄膜層(ステンレス)が形成されている。)
【0040】
<実施例9>
実施例8同様にして可撓開閉体シートの作製を行なった。但し銅のスパッタリング
による第一金属薄膜層を、銀のスパッタリングによる89.0mg/mの第一金
属薄膜層と変更した。
【0041】
<比較例1>
金属薄膜層を有する粗目繊維織物基布として、下記組織のポリエステルフィラメン
ト粗目状織物の片面にスパッタリング加工により93.0mg/mの銅薄膜を形
成したものを用いた以外は実施例1と同様にして質量850g/mの可撓開閉体
シートを得た。

1111dtex/2本×2222dtex/1本
6×4 (本/25.4mm)

得られたシートでは、耐候促進後に銅が酸化によって変色し、外観が黒ずんでしま
い、屋外使用に適さないものであった。
【0042】
<比較例2>
実施例1の可撓開閉体シートから第一金属薄膜層(銅)を省略した以外は実施例1
と同様にした。得られたシートでは、抗菌試験の結果が不十分で食品工場や病院な
どの用途に適さないものであった。
【0043】
<比較例3>
実施例1の可撓開閉体シートにおいて、第一金属薄膜層をステンレス薄膜とし、第
二金属薄膜層を銅薄膜とした以外は実施例1と同様にした。得られたシートでは、
耐候促進後に銅が酸化によって変色し、外観が黒ずんでしまい、屋外使用に適さな
いものであった。
【0044】
<比較例4>
実施例1の可撓開閉体シートにおいて、金属薄膜層を有する粗目繊維織物基布を下
記組織のポリエステルフィラメント粗目状織物に変更した以外は実施例1と同様に
した。

1111dtex/1本×1111dtex/1本
1×1 (本/25.4mm)

得られたシートでは、十分な帯電防止効果が得られず、抗菌効果も不十分であり、
シートシャッター開閉体としての強度面でも実用に適さないものであった。
【0045】
<比較例5>
実施例1の可撓開閉体シートにおいて、金属薄膜層を有する粗目繊維織物基布を下
記組織のポリエステルフィラメント粗目状織物に変更した以外は実施例1と同様に
した。

1111dtex/1本×1111dtex/1本
16×17 (本/25.4mm)

得られたシートでは、透光率が低く、対人認識性も不十分で特に工場用途において
安全面で実用に適さないものであった。
【0046】
<比較例6>
実施例1の粗目繊維織物基布から金属薄膜層(第一金属薄膜層と第二金属薄膜層)
を省略し、さらに実施例1の熱可塑性樹脂被覆層(組成1)を下記(組成2)に変
更した以外は実施例1と同様にした。得られたシートでは、帯電防止効果と、抗菌
効果の持続性が不十分であった。
(組成2)
ストレート塩化ビニル樹脂 100質量部
フタル酸エステル系可塑剤
(帯電防止可塑剤) 27質量部
リン酸エステル系可塑剤 27質量部
Ba−Zn系安定剤 2.0質量部
錫系安定剤 1.5質量部
紫外線吸収剤 1.0質量部
加工助剤 1.0質量部
ZPT(ジンクピリチオン) 1.0質量部
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によるシートシャッター用可撓開閉体は、採光性や対人認識性を有し、さらに帯電防止性と抗菌性とを兼備するので、本発明の可撓開閉体を用いたシートシャッター装置は、工場や施設への出入口や、製品、資材などの搬出入口に適して用いることができる。これらの用途において、本発明のシートシャッター用可撓開閉体が採光性を有していることで日中の工場内、施設内環境を明るくし、また対人認識性を有していることで可撓開閉体を介在しての安全確認が容易となって出会い頭の衝突事故を未然防止することができる。さらに本発明の可撓開閉体が帯電防止性を有していることで、開閉体を高速開閉した時に発生する静電気を人や運搬物に帯電させる心配がない上に、塵やゴミの静電吸着も低減することができる。また、本発明の可撓開閉体表面に菌が付着した場合でも、菌の増殖が抑制されるので、従って本発明によるシートシャッター用可撓開閉体は、特に食品工場、薬品工場、精密機器工場などの自動開閉型シャッター装置に適して有用である。
【符号の説明】
【0053】
1:シートシャッター装置
2:可撓開閉体
2−1:金属薄膜層を有する粗目繊維織物
2−11:粗目繊維織物
2−12:糸条
2−13:フィラメント
2−2:熱可塑性樹脂被覆層
2−3:可撓性樹脂含浸
2−4:金属薄膜層
2−41:第一金属薄膜層
2−42:第二金属薄膜層
2−5:金属薄膜層を有する粗目繊維織物を構成する糸条
3:サイドフレーム
4:巻取部
5:開閉スイッチ
6:人物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗目繊維織物を基布として、その両面に熱可塑性樹脂被覆層を有してなる光線透過複合シートであって、前記粗目繊維織物が、充実部及び空隙部による編織組織を有し、前記充実部総和20〜70%、かつ、その1面以上に金属薄膜層を有しており、前記金属薄膜層が、少なくとも第一金属薄膜層表面と、それを被覆する第二金属薄膜層とからなり、前記第一金属薄膜層が、銀、銅、及び亜鉛から選ばれた1種以上の金属を含み、前記第二金属薄膜層が合金層または金属酸化物層であることを特徴とするシートシャッター用可撓開閉体。
【請求項2】
前記粗目繊維織物基布が、撥水性化合物によって含浸処理されて、前記粗目繊維織物基布の断面からの吸水長が10mm以下である、請求項1に記載のシートシャッター用可撓開閉体。
【請求項3】
前記粗目繊維織物基布が、可撓性樹脂によって含浸された樹脂コート基布である、請求項1または2に記載のシートシャッター用可撓開閉体。
【請求項4】
前記光線透過複合シートにおいて、前記充実部を含む部分と前記空隙部を含む部分との厚み差が0.1〜1.0mmである請求項1〜3のいずれか1項に記載のシートシャッター用可撓開閉体。
【請求項5】
前記金属薄膜層が、JIS K6911(1995年)の5.13項に規定の表面抵抗率109〜1012Ω/□を有し、かつ、JIS Z2801(2000年)に規定の抗菌活性値2〜4を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシートシャッター用可撓開閉体。
【請求項6】
粗目繊維織物を基布として、その両面に熱可塑性樹脂被覆層を有してなる光線透過複合シートを可撓開閉体とするシャッター装置であって、前記可撓開閉体が含む前記粗目繊維織物が、充実部及び空隙部による編織組織を有し、前記充実部総和20〜70%、かつ、その1面以上に金属薄膜層を有し、前記金属薄膜層が、少なくとも第一金属薄膜層表面と、それを被覆する第二金属薄膜層とからなり、前記第一金属薄膜層が、銀、銅、及び亜鉛から選ばれた1種以上の金属を含み、前記第二金属薄膜層が合金層または金属酸化物層であることを特徴とするシートシャッター装置。
【請求項7】
前記可撓開閉体において、前記充実部を含む部分と前記空隙部を含む部分との厚み差が0.1〜1.0mmである請求項6に記載のシートシャッター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−7425(P2012−7425A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145793(P2010−145793)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(594017075)株式会社グロー工業 (5)
【出願人】(591158335)積水ナノコートテクノロジー株式会社 (20)
【出願人】(000239862)平岡織染株式会社 (81)
【Fターム(参考)】