説明

可逆性感熱記録材料とこれを用いたICタグ

【課題】ICタグ製造時の熱圧着条件に耐え得る強度を持ち、高搬送速度でも安定した発色・消去特性を有する発色感度や画像濃度などの優れた可逆性感熱記録媒体を提供する。
【解決手段】支持体上に、中空粒子、バインダーを含有する中間層、電子供与性呈色性化合物および電子受容性化合物を含む可逆性感熱記録層、保護層を設けた感熱記録材料とし、中空粒子の中空率を70%以上98%以下とし、バインダーをウレタン化(メタ)アクリレートポリマーからなる水性・活性エネルギー線硬化樹脂とし、中空粒子とバインダーの合計に対するバインダーの含有比率を30%以上85%以下にすると共に、記録媒体を金属板に挟み加熱・加圧した後のSEMにより測定される中空粒子の長軸に対する短軸の比(中間層の形状維持率)を60%以上とする。この記録媒体を貼り合わせてICタグとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した可逆性感熱発色組成物を用い、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録材料に関し、さらに詳しくは、支持体と感熱記録層との間に中空粒子とバインダーを含有する中間層を設けた、熱圧着による貼り合わせに耐え得る可逆性感熱記録材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子供与性呈色性化合物(以下、発色剤またはロイコ染料ともいう)と電子受容性化合物(以下、顕色剤ともいう)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られており、OA化の進展と共にファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機などの出力用紙として、また最近ではプリペイドカードやポイントカードなどの磁気感熱カードとしても広く使用されているが、環境問題、リサイクルの視点から、何度でも書き換え可能な可逆性感熱記録媒体の開発が望まれている。
【0003】
本出願人は、先に、顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基を持つ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物を用い、これらと発色剤であるロイコ染料とを組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行なわせることができ、その発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、しかも発色と消色を繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物およびこれを記録層に用いた可逆性感熱記録材料を提案した(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この提案の記録媒体は発色感度、画像濃度の点でさらなる改善が求められていた。
【0004】
発色感度、画像濃度などに関しては、幾つかの改善方法が提案されており、その中の一つの方法として可逆性記録層と支持体の間に断熱効果を有する中間層を設ける方法がある。
例えば、中空シリカを用いた中間層を設定する方法(例えば、特許文献2参照。)、スチレン-アクリルの微小中空粒子を用いた中間層を設置する方法(例えば、特許文献3、4参照。)、中空状のカルボキシル基含有共重合ラテックスを用いる中間層を設置する方法(例えば、特許文献5、6参照。)などが提案されている。さらに、断熱層として塩化ビニリデンの中空粒子や多孔質のアルミノ−シリケートを用いる中間層を設置する方法が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
【0005】
上記方法は、可逆性感熱記録層と支持体の間に、中空状の粒子からなる層を設置することにより印加される熱の活用効率を上げることを目的としており、高濃度化にそれなりの有効性が認められている。
但し、これらの方法に用いられている中空状粒子は、中空率が低いかまたは粒子系が大きいものであり、中空率が低い粒子を利用している場合、例えば、特許文献3、4で開示されている中空率50%程度のスチレン−アクリルの微小中空粒子を用いた中間層では、断熱効果は僅かな効果しか発揮することができず、高濃度化の効果も決して満足できるものではなかった。
また、粒子系が大きい場合、例えば、特許文献7で開示されている粒子系20μm程度の塩化ビニリデンの中空粒子を用いた中間層、あるいは、特許文献2で開示されている粒子系40μm程度の中空シリカを用いた中間層では、中間層の厚みよりも中空粒子の粒子径が大きくなるものがあり、中間層の表面に大きな凹凸が形成されてしまう。その結果、中間層の上に可逆性感熱記録層を積層すると、中間層表面に大きな粒子がある部分は可逆性感熱記録層が形成されない部分ができ、ベタ画像を印字した場合に白抜けが発生しやすくなるという問題が生じ、高濃度化に対応するものとしては決して満足できるものではなかった。
【0006】
上述の中間層の課題に対して、本出願人は中空樹脂粒子の中空率および粒子径を最適化することで安定した発色画像と消去特性を獲得できることを見い出し、画像品質の点で従来には無かった実用性の高い可逆性感熱記録材料を提案した(例えば、特許文献8参照。)。
【0007】
一方、最近になって、可逆性感熱記録材料はICタグのチップ情報を可視化できる材料として広く注目されており、ICタグ製造における熱圧着工程で貼り合わされる用途が増してきている。しかし、上述の中空粒子を含有する中間層を設置した従来の可逆性感熱記録材料では、熱圧着条件によっては中間層の変形が起こり、所望の画像品質が得られないといった問題が顕在化してきている。
特許文献8においても、熱圧着に対して十分ではなく、このような状況の中、ICタグ製造時の熱圧着条件に耐えうる強度を持ち、かつ良好な画像品質を確保可能である可逆性感熱記録材料が求められている。
【0008】
【特許文献1】特許第2981558号公報
【特許文献2】特開2003−11514号公報
【特許文献3】特開平6−340174号公報
【特許文献4】特開平8−183254号公報
【特許文献5】特開平7−228050号公報
【特許文献6】特開平7−257036号公報
【特許文献7】特許第3007899号公報
【特許文献8】特開2005−199704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、ICタグ製造時等における熱圧着条件に耐え得る強度を持ち、かつ、高速の搬送速度においても安定した発色および消去特性を有し、発色感度や画像濃度などの画像品質に優れた可逆性感熱記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の(1)〜(9)に記載する発明によって上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。
【0011】
(1):上記課題は、支持体上に、中空粒子およびバインダーを含有する中間層と、電子供与性呈色性化合物および電子受容性化合物を含む可逆性感熱記録層と、保護層とを設けてなる可逆性感熱記録材料において、
前記中空粒子の中空率が70%以上98%以下であり、かつ、前記感熱記録材料を金属板に挟み、加熱温度140℃、加熱時間15分間、圧力1.47MPaの条件下で圧縮した後に、中間層断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して測定される中空粒子の長軸と短軸の値を用い、下記式(1)により求められる中間層の形状維持率が60%以上であることを特徴とする可逆性感熱記録材料により解決する。
中間層の形状維持率(%)=([中空粒子の短軸]/[中空粒子の長軸])×100 …(1)
【0012】
(2):上記(1)に記載の可逆性感熱記録材料において、前記中空粒子とバインダーの合計に対する該バインダーの含有比率〔{[バインダー]/([中空粒子]+[バインダー])}×100:重量%〕が、30%以上85%以下であることを特徴とする。
【0013】
バインダーの含有比率を上記範囲とすることで、中間層内に充填された中空粒子間の空隙を埋めることができ、中間層表面も平滑となり感度が向上して発色濃度が高くなる。
【0014】
(3):上記(1)または(2)に記載の可逆性感熱記録材料において、前記バインダーが、ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーからなる水性・活性エネルギー線硬化樹脂であることを特徴とする。
【0015】
(4):上記(3)に記載の可逆性感熱記録材料において、前記ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーが、水酸基含有アクリル酸エステル、有機ポリイソシアネート類、および水酸基含有ポリエチレングリコール類を最低構成成分として得られる反応生成物であることを特徴とする。
【0016】
(5):上記(3)または(4)に記載の可逆性感熱記録材料において、前記ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーが、強制乳化型エマルジョンであるノニオン系水性・活性エネルギー線硬化樹脂であることを特徴とする。
【0017】
(6):上記(3)〜(5)のいずれかに記載の可逆性感熱記録材料において、前記ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーが、水酸基含有アクリル酸エステル、有機ポリイソシアネート類、水酸基含有ポリエチレングリコール類、および水酸基含有脂肪酸を最低構成成分として得られる反応生成物であることを特徴とする。
【0018】
(7):上記(3)または(4)に記載の可逆性感熱記録材料において、前記ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーが、水酸基含有アクリル酸エステル、有機ポリイソシアネート類、水酸基含有ポリエチレングリコール類、および水酸基含有脂肪酸を最低構成成分として得られる反応生成物を、さらに3級アミンで中和してなる反応生成物の中和塩からなるアニオン系水性・活性エネルギー線硬化樹脂であることを特徴とする。
【0019】
上記(3)〜(7)によれば、紫外線などにより硬化形成される中間層塗膜の架橋密度が高まって耐熱性や硬度、さらに耐水性や耐薬品性が向上し、熱加工特性や圧力加工特性などが一層改善される。また、バインダーが水性樹脂であるため、中空粒子の壁材を溶解せず安定した中空粒子形状、中空率が保持でき、バインダーとの相互の作用により、熱圧着特性が非常に向上する。しかも可逆性感熱記録層の白色度および発色画像濃度を良好に保持することができる。
【0020】
(8):上記(1)〜(7)のいずれかに記載の可逆性感熱記録材料において、前記電子受容性化合物が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする。
【0021】
【化1】

【0022】
(式中lは0〜2の自然数、mは0または1、nは1〜3の整数を示し、XおよびYは窒素原子または酸素原子を含む二価の基を表す。また、R1は置換基を有していてもよい炭素数2以上の脂肪族炭化水素基を表し、R2は炭素数6以上の脂肪族炭化水素基を表す。)
【0023】
上記一般式(1)で表される化合物を用いることにより、さらに発色特性や消去特性を向上させることができ、高速の搬送速度においても安定した発色および消去特性を示す。また、発色感度や画像濃度などにも優れた可逆性感熱記録媒体が得られる。
【0024】
(9):上記課題は、(1)〜(8)のいずれかに記載の可逆性感熱記録材料を貼り合わせてなることを特徴とするICタグにより解決する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の可逆性感熱記録材料によれば、中間層を構成する中空粒子の中空率、水性・活性エネルギー線硬化樹脂からなるバインダー(ウレタン化(メタ)アクリレートポリマー)および中空粒子とバインダーの含有比率がそれぞれ好適に調整され、中間層の形状維持率が60%以上とされることによって、熱圧着特性が良好でICタグ加工適正に極めて優れているほか、搬送速度の早い印字時における画像精細性や安定した発色・消去特性および繰り返し耐久性にも優れており、ICタグなど各種出力媒体として応用することができる。
本発明の可逆性感熱記録材料を貼り合わせてなるICタグによれば、ICタグ製造が容易であり、ICタグの情報を可視化でき、何度でも書き換え可能であるため、長期にわたって使用可能であり、境問題やリサイクルの観点からも好ましく使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
前述のように本発明における可逆性感熱記録材料は、支持体上に、中空粒子およびバインダーを含有する中間層と、電子供与性呈色性化合物および電子受容性化合物を含む可逆性感熱記録層と、保護層とを設けてなる可逆性感熱記録材料において、
前記中空粒子の中空率が70%以上98%以下であり、かつ、前記感熱記録材料を金属板に挟み、加熱温度140℃、加熱時間15分間、圧力1.47MPaの条件下で圧縮した後に、中間層断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して測定される中空粒子の長軸と短軸の値を用い、下記式(1)により求められる中間層の形状維持率が60%以上であることを特徴とするものである。
中間層の形状維持率(%)=([中空粒子の短軸]/[中空粒子の長軸])×100 …(1)
【0027】
上記において、中空粒子とバインダーの合計に対する該バインダーの含有比率〔{[バインダー]/([中空粒子]+[バインダー])}×100:重量%〕が、30%以上85%以下であることが好ましい。
また、前記バインダーが、ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーからなる水性・活性エネルギー線硬化樹脂であることが好ましい。
【0028】
以下に本発明について詳細に説明する。
[中間層]
本発明の可逆性感熱記録材料における中間層は、70%以上98%以下の中空率を有する中空粒子と、ウレタン化(メタ)アクリレートポリマー(水性・活性エネルギー線硬化樹脂)からなるバインダーとを含有し、バインダーの含有比率が30%以上85%以下であり、上記式(1)により求められる中間層の形状維持率が60%以上である。
すなわち、バインダーとして用いられる水性・活性エネルギー線硬化樹脂は、紫外線などの活性エネルギー線により硬化されることにより、例えば、形成された塗膜の架橋密度が高まり、耐水性や耐薬品性が向上し、加えて耐熱性や硬度も向上する。これによって、熱加工特性や圧力加工特性などが改善される。
また、バインダーが水を希釈剤とする水性樹脂であることにより、中間層を構成する中空粒子(後に詳述する)の壁材を溶解しないため、安定した中空粒子形状、強いては中空率を保持でき、前記バインダーと中空粒子との相互の作用により、熱圧着特性が非常に向上する。
【0029】
ここで、バインダーの含有比率が30%以上85%以下とすれば、中間層内に充填された中空粒子間の空隙を埋めることができ、中間層表面も平滑となり感度が向上して発色濃度が高くなる。これに対して30%より少ないと中空粒子間の空隙が残って、発色濃度の低下を生ずる。一方、バインダーの含有比率が85%以下よりも大きくなると中空粒子の割合が低下するため、断熱性が低減して感度低下を引き起こす。
【0030】
したがって、支持体上に、前記中間層、電子供与性呈色性化合物および電子受容性化合物を含む可逆性感熱記録層、保護層などを設けた可逆性感熱記録材料とすれば、ICタグ加工においても問題無く適用することができ、高速搬送における発色・消去特性および繰り返し耐久性に優れた特性を示す。
以下に、中間層を形成するバインダー(水性・活性エネルギー線硬化樹脂)および中空粒子について説明する。
【0031】
〔バインダー(水性・活性エネルギー線硬化樹脂)〕
本発明における水性・活性エネルギー線硬化樹脂からなるバインダーとしては、ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーが好ましい。
このようなウレタン化(メタ)アクリレートポリマーとしては、水酸基含有アクリル酸エステル、有機ポリイソシアネート類、および水酸基含有ポリエチレングリコール類を最低構成組成分として得られる反応生成物であることが好ましく、さらに、強制乳化型エマルジョンであるノニオン系水性・活性エネルギー線硬化樹脂であることが好適である。
また、ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーとして、水酸基含有アクリル酸エステル、有機ポリイソシアネート類、水酸基含有ポリエチレングリコール類、および水酸基含有脂肪酸を最低構成組成分として得られる反応生成物であることが好ましく、該ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーをさらに3級アミンで中和してなる反応生成物の中和塩からなるアニオン系水性・活性エネルギー線硬化樹脂であることが好適である。
これらのノニオン系水性・活性エネルギー線硬化樹脂(ノニオン系ウレタン化(メタ)アクリレートポリマー)や、アニオン系水性・活性エネルギー線硬化樹脂(アニオン系ウレタン化(メタ)アクリレートポリマー)によれば、前記中間層における要求を満たすことができるばかりでなく、可逆性感熱記録層の白色度および発色画像濃度を良好に保持することが可能である。
【0032】
本発明において好ましく用いられる上記ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーのウレタン化(メタ)アクリレートポリマー水分散液(ノニオン系水分散液)につき、さらに詳細に説明する。
ノニオン系水分散液は、分子内に少なくとも1個の水酸基を含有するアクリル酸エステル(A)、有機ポリイソシアネート類(B)、および、少なくとも1個の水酸基を含有するポリエチレングリコール類(C)を最低構成組成分として得られる反応生成物を含むものである。
【0033】
(A)成分は水酸基含有アクリル酸エステルであり、その分子内に少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する各種のものが該当する。
具体例として例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどの2−アラルキルオキシプロピル(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独または組み合わせて使用できる。(A)成分の使用量は、ビヒクル中の(A)成分と(B)成分の和に対し通常25〜70重量%、好ましくは30〜65重量%である。
【0034】
(B)成分としては、分子内に反応性のイソシアナート基を3個以上有する有機ポリイソシアネート類が該当する。またその分子量は500〜1000程度が好ましい。
(B)成分の具体例としては、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの各種ジイソシアネートから得られる3量体、該ジイソシアネート類をトリメチロールプロパンなどの多価アルコールと反応させたプレポリマー、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどが挙げられる。(B)成分の使用量は、ビヒクル中の(A)成分と(B)成分の和に対し通常30〜75重量%、好ましくは35〜70重量%である。
【0035】
(C)成分のポリエチレングリコール類は、その分子内に少なくとも1個の水酸基を有する各種のものを特に制限なく使用できるが、好ましくは、分子両末端の水酸基が無置換であるジオール化合物であるか、一方がアルキル基で置換されているモノアルキルオキシ化合物である。
【0036】
上述の如く(A)、(B)および(C)成分からなるノニオン系水分散液(水性・活性エネルギー線硬化樹脂水分散液)は、各種分散媒で希釈し、中空粒子を添加して使用することが可能となるが、中空粒子が樹脂粒子である場合には壁材が有機溶剤に溶解し、粒子形状が安定に保持できなかったり、所望の中空率を保持できなくなる。このため、水分散物とし、いわゆる水系コーティングにより中間層塗膜を形成することが好ましい。
【0037】
ビヒクル中の(C)成分の使用量は、通常は、(C)/{(A)+(B)}=0.2〜0.6、好ましくは0.25〜0.4の条件を満足するのがよい。この比率が0.2に満たない場合には、水性樹脂組成物それ自体の水分散性が劣悪であったり、初期の水分散性が比較的良好であっても経時的に分離するなどの傾向があり、好ましくない。また、0.6を越える場合には、架橋密度の低下により硬化が不十分となったり、十分硬化させても硬化形成される皮膜の耐水性が低下する傾向があるために好ましくない。
【0038】
以下、(A)〜(C)成分からなるウレタン化(メタ)アクリレートの製造法につき説明する。まず、(A)成分と(B)成分をそれぞれ前記使用割合で反応させ、遊離イソシアナート基を有するプレポリマーを得る。次いで、該プレポリマーと(C)成分を前記使用割合で反応させる。反応温度は40〜100℃、好ましくは60〜80℃であり、全反応時間は4〜12時間程度である。上記のウレタン化反応に際しては、反応促進のためにオクチル酸第1スズなどの公知のウレタン化触媒を使用するのが好ましい。また、ウレタン化反応に際し(A)成分の重合を防止するため、ハイドロキノン、メトキシフェノール、フェノチアジンなどの重合防止剤を反応系に対して10〜5000ppm、好ましくは50〜2000ppm使用するのがよい。
【0039】
上記で得られた反応生成物は、各種公知の方法に従って水に分散させることにより、容易に水性・活性エネルギー線硬化樹脂水分散液となしうる。具体的には、該反応生成物を激しく撹拌しながら、徐々に水を添加し、固形分が20〜50重量%程度になるよう調節する。分散時の系内温度は通常40〜100℃、好ましくは60〜80℃とされ、分散終了後は冷却して目的とする含水樹脂組成物を収得できる。
【0040】
上記の如く、水性・活性エネルギー線硬化樹脂は、前記(A)、(B)および(C)成分からなる反応生成物を水中に強制乳化分散してなる水中油型のエマルジョン(強制乳化型エマルジョン)であることから、可逆性感熱記録層に酸性発色成分からなる電子受容性化合物を含有する本発明の可逆性感熱記録材料の白色度が損なわれることがない。
【0041】
次に、本発明において好ましく用いられる上記ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーのアニオン系水分散液につき、さらに詳細に説明する。
アニオン系水分散液は、水酸基含有アクリル酸エステル(A)、有機ポリイソシアネート類(B)、水酸基含有ポリエチレングリコール類(C)、および水酸基含有脂肪酸から得られる反応生成物のウレタン化(メタ)アクリレートポリマー(D)を、さらに3級アミン(E)で中和してなる反応生成物(中和塩)を最低構成組成分とするものであり、(A)〜(C)成分についてはノニオン系組成物と同様のものが使用できる。
【0042】
(D)成分の脂肪酸は、その分子内に少なくとも1個の水酸基と、1個のカルボキシル基を含有する。その酸価および水酸基価は特に制限されないが、通常はともに150〜500の範囲が好ましい。(D)成分の具体例としては、例えば、ひまし油脂肪酸、硬化ひまし油脂肪酸、6−ヒドロキシカプロン酸などが挙げられる。
ウレタン化(メタ)アクリレート中の(D)成分の含有量はウレタン化(メタ)アクリレートの酸価が10〜50mgKOH/g、好ましくは15〜45mgKOH/gとなるように配合されるのが好ましい。ウレタン化(メタ)アクリレートの酸価が10mgKOH/g未満であると親水性が不十分で安定なエマルジョンが得られない。また、ウレタン化(メタ)アクリレートの酸価が50mgKOH/gを超えると親水性が強くなりすぎ、高粘度の水溶液しか得られず水性コーティング溶液としては不適切なものとなる。
【0043】
(E)成分の3級有機アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが例示される。これらの中で特に、トリメチルアミン、トリエチルアミンが好ましい。揮発性の低い3級アミンを使用すると乾燥後も塗膜に残存して耐水性を低下させる傾向があり、可逆性感熱記録材料としての耐久性に問題が生じる可能性がある。水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等も同様の理由により中和成分として好ましくない。
【0044】
以下、(A)〜(D)成分からなるウレタン化(メタ)アクリレートの製造法につき説明する。まず、(A)成分、(B)成分、(C)成分をそれぞれ前記使用割合で反応させ、遊離イソシアナート基を有するプレポリマーを得る。次いで、該プレポリマーと(D)成分を前記使用割合で反応させる。反応温度は40〜100℃、好ましくは60〜80℃であり、全反応時間は4〜12時間程度である。上記のウレタン化反応に際しては、反応促進のためにオクチル酸第1スズなどの公知のウレタン化触媒を使用するのが好ましい。また、ウレタン化反応に際し(A)成分の重合を防止するため、ハイドロキノン、メトキシフェノール、フェノチアジンなどの重合防止剤を反応系に対して10〜5000ppm、好ましくは50〜2000ppm使用することができる。
【0045】
上記で得られたウレタン化(メタ)アクリレートは、次に(E)成分により中和される。中和度は特に限定はされないが、通常は30〜100%、好ましくは50〜100%とされる。中和後、水を加え、固形分20〜50質量%になるよう希釈して目的の水性・活性エネルギー線硬化樹脂組成物を収得する。
【0046】
上記の如く、水性活性エネルギー線硬化樹脂は、前記(A)、(B)、(C)および(D)成分からなる反応生成物を(E)成分により中和してなるアニオン系水性・活性エネルギー線硬化樹脂(アニオン型のエマルジョン)であり、ノニオン型と同様に、可逆性感熱記録層に酸性発色成分からなる電子受容性化合物を含有する本発明の可逆性感熱記録材料の白色度が損なわれることがない。
【0047】
中間層のバインダーには、熱圧着の際に中空粒子が破壊しない範囲において、公知の樹脂を併用することができる。それらの例としては、疎水性樹脂であるスチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリルエステル共重合体のラテックスや酢酸ビニール、酢酸ビニール/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリルエステル共重合体、アクリルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のエマルジョンが挙げられる。
あるいは、水溶性樹脂である、完全けん化ポリビニルアルコール、カルボキシル変成ポリビニルアルコール、部分けん価ポリビニルアルコール、スルホン酸変成ポリビニルアルコール、シリル変成ポリビニルアルコール、アセトアセチル変成ポリビニルアルコール、ジアセトン変成ポリビニルアルコール等各種変成ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0048】
次いで、本発明に好ましく用いられる中空粒子について詳細を説明する。
〔中空粒子〕
本発明に用いられる中空粒子は、前述のように中空率が70%以上98%以下のものが好ましく用いられる。
すなわち、空粒子は中空率が高くなりすぎると壁材が薄くなり、外圧等の圧力に対する強度が弱くなって破壊されやすくなる。一方、単に壁材を固くして強度を維持しようとすると脆くなる傾向があり、屈曲など変形に対して弱くなって破壊されやすくなる。
したがって、中空粒子の壁材には、固さと柔軟性のバランスが必要である。このような中空粒子の壁材特性として要求される固さと柔軟性を併せ持つ好ましいものとして、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどが挙げられる。
なお、上記中空率は、中空粒子の外径と内径の比であり下記式(2)で表示されるものである。
中空率(%)=(中空粒子の内径/中空粒子の外径)×100 …(2)
【0049】
本発明において、中空粒子は断熱材として作用すると共に弾力性を有することから、サーマルヘッドからの熱エネルギーを効率良く活用し発色感度向上をもたらす。感度の点から中空率は70%以上98%以下であり、好ましくは75〜98%、さらに好ましくは85%〜95%の範囲の中空粒子が使用される。中空率は70%未満では上記の効果が少なく、98 %を超えた中空率のものでは膜厚が薄くなるため強度が劣る。
【0050】
上述の如く、中間層に好ましく用いられる中空粒子の固さと柔軟性によって断熱効果を最大限に発揮でき、印加熱エネルギーの損失を最小限に抑えることが達成され高速消去印字搬送適性が獲得できる。
なお、従来の単に固さと柔軟性のバランスがとれた中空粒子というだけでは、ICタグ成形条件の熱と圧力に耐えうるだけの固さは確保できない。また、一般的に用いられるバインダー樹脂と前記中空粒子を組み合わせて中間層を形成する場合、中間層の形状維持率は60%以上を保持できなかった。このような60%未満の形状維持率では中間層としての所定の断熱効果が得られず、印加熱エネルギーの損失が大きくなり、高速消去印字搬送適性は確保できない。この問題に対し、高中空率を保持した状態での壁材の開発が検討されているものの、固さを重視すると所望の中空率が得られなかったり、また脆さが大きくなることで逆に形状維持率が低下するといった課題を未だ解決できていなかった。
【0051】
しかし、本発明に好適に用いられるウレタン化(メタ)アクリレートポリマーからなる水性・活性エネルギー線硬化樹脂は、ICタグ成形条件に十分耐えうる強固さを保持しつつ、中空粒子の壁材を溶解破壊することなく中空粒子の固さと柔軟性を保持し、その相乗効果によって、中間層を形成した場合[高ストレス(加熱温度140℃、加熱時間15分間、圧力1.47MPa)の条件下で圧縮]でも、中間層の形状維持率が60%以上を保持することができ、可逆性感熱記録材料において実用上満足できる高速消去印字搬送適性が得られる。
【0052】
本発明において、中空粒子の最大粒子径5〜10μmであることが好ましいが、10μ mよりの大きい場合は、これらを用いた中間層上に感熱記録層を設けると中間層の大きな粒子の部分は感熱記録層が形成されない部分ができ、ベタ画像を印字した場合に白抜けが発生しやすい。一方、5μmより小さい場合は、中空率70%以上を確保することが困難になりその結果感度が低くなる。従って、中空粒子の最大粒子径は5〜10μmであることが好ましい。また、発色濃度の高濃度化のみを考えた場合、中空率は60%以上あれば効果を発現することは可能であるが、可逆性感熱記録媒体は消去過程を有しており、中でもサーマルヘッドを用いた消去方式では、熱ローラを用いた方式と比べて消去に供するエネルギーが極端に小さくなる特徴があるため、印加エネルギーの有効活用の程度がより高くする必要がある。従って、サーマルヘッドを用いた消去方式での消去濃度、消去エネルギー領域の拡大を確保するためには中間層に用いる中空粒子の中空率は70%以上が必要となる。
【0053】
本発明において、中空粒子の50%頻度の粒子径(D50)と最大粒子径(D100) の比率D100/D50は2.0〜3.0が好ましいが、3.0より大きい場合は、粒子径分布がブロード状態にあることを示しており、粒子径1μm以下の微小粒子の割合が多くなり、これらを用いた中間層は層内の中空粒子の分布不均一になり感度が低下する現象を引き起こす。一方、2.0未満の場合は非常にシャープな粒子径分布を有することになり合成条件の点から実現が難しいのが現状である。従って中空粒子の50%頻度の粒子径(D50)と最大粒子径(D100)の比率D100/D50は2.0〜3.0が好ましい。
本発明でいう粒径の値は、全てレーザー回折式粒径分布測定装置(堀場委製作所性LA −900)を用いて測定したものである。メジアン径は50%頻度の粒径でありD50と記し、最大粒子径は分布の最大粒子径でありD100と記す。
【0054】
中空粒子の製造方法は種々提案されているが、本発明の中空粒子を製造する方法としては、ポリマーの芯物質として揮発性物質を内包させ、外層は熱可塑性ポリマーからなり、揮発発泡させる方法等が通常用いられる。本発明において使用される中空粒子は外層が架橋構造により形成されたものも可能である。
【0055】
本発明において中空粒子のTgは95〜150℃が好ましく、さらにより好ましくは95 ℃〜120℃が好ましい。Tgが95℃よりが低い場合、これらを用いた中間層はICタグ製造時等における熱圧着条件で形状維持率が損なわれ、その結果発色および消色感度が損なわれる現象が認められる。一方、150℃より高い場合は、サーマルヘッドによる印字時に中間層が剛直な状態にあり柔軟性が不足するためにヘッドとの密着性が低下し感度が低下する現象が認められる、従って、中空粒子のTgは95〜150℃が好ましい。
上記Tgはガラス転移温度のことであり、中空粒子の樹脂成分のTgを表す。これは、中空粒子の樹脂成分と同一の樹脂で固形物を形成し、その固形物について通常の方法(DSC、DTA、TMA等)によってTgを測定したものである。
なお、中空粒子としては、例えば、本出願人が先に出願している特開2005−199704号公報に記載の中空粒子などが好ましく用いられる。
【0056】
中間層には、上記の中空粒子およびバインダーとともに、必要に応じてさらにこの種の感熱記録媒体に慣用される補助添加成分、例えば、フィラー、熱可融性成分、界面活性剤等を使用することができる。また、これら中間層成分を均一に、かつさらに高速に塗工するためには、中空粒子の20%水分散液の液温20℃における粘度が200mPa.s以下であることが好ましい。200mPa.sを超える粘度の場合、上記のようにして作成した塗工液は粘度が高くなり、塗工ムラが発生する。また、前記のようにして支持体上に形成された中間層の表面をより平滑にするために中間層形成後、キャレンダー処理することにより平面を平滑にしてもよい。
【0057】
[可逆性感熱記録層]
本発明の可逆性感熱記録層には、可逆性感熱記録材料を構成する電子供与性呈色性化合物および電子受容性化合物を含有する。以下に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物について詳しく説明する。
〔電子受容性化合物〕
電子受容性化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物を用いることが好ましい。この化合物を用いることにより、発色濃度や、消去特性を向上させることができる。
【0058】
【化2】

【0059】
(式中lは0〜2の自然数、mは0または1、nは1〜3の整数を示し、XおよびYは窒素原子または酸素原子を含む二価の基を表す。また、R1は置換基を有していてもよい炭素数2以上の脂肪族炭化水素基を表し、R2は炭素数6以上の脂肪族炭化水素基を表す。)
【0060】
前記一般式(1)において、脂肪族炭化水素基は直鎖でも分枝していてもよく、不飽和結合を有していてもよい。炭化水素基に置換される置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等がある。R1とR2の炭素の和が7以下では発色の安定性や消色性が低下するため、炭素数は8以上が好ましく、11以上であることがさらに好ましい。
【0061】
1の好ましい例としては以下に示すものが挙げられ、これらの中でも[−(CH2)q−]が特に好ましい。
【0062】
【化3】

【0063】
(式中、q、q’、q’’、q’’’はそれぞれ前記R1とR2の炭素の和が8以上となるように選択される整数を表す。)
【0064】
また、R2の好ましい例としては以下に示すものが挙げられ、これらの中でも[−(CH2)q−CH3]が特に好ましい。
【0065】
【化4】

【0066】
(式中、q、q’、q’’、q’’’は、上記[−(CH2)q−]で示したのと同じ定義である。)
【0067】
前記一般式(1)において、X、YはN原子またはO原子を含む2価の基を示し、好ましくは下記に示す基を少なくとも1個以上有する2価の基を表す。
【0068】
【化5】

【0069】
上記2価の基の例としては、以下に示すものが挙げられる。
【0070】
【化6】

【0071】
上記のうち、特に好ましい基は次に示すものである。
【0072】
【化7】

【0073】
前記一般式(1)で表される電子受容性化合物、いわゆるフェノール化合物の具体的例としては、以下に示すものが挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0074】
【化8】

【0075】
(式中、rは2以上の整数、sは1以上の整数を表す。)
【0076】
〔電子供与性呈色性化合物〕
本発明で用いられる電子供与性呈色性化合物、いわゆるロイコ染料の例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−N−n−アミル−N−メチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリドなどが挙げられる。これらのロイコ染料を単独または混合して用いることもできる。
【0077】
本発明で用いる発色剤は上記のフルオラン化合物、アザフタリド化合物の他に、従来公知のロイコ染料を単独または混合して使用することができる。その発色剤を以下に示す。
例えば、2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロロアニリノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−トルイジノ)フルオランなどが挙げられる。
【0078】
〔制御剤〕
本発明において可逆性感熱記録層に制御剤を用いることができる。このような制御剤としては、発色濃度、消去特性の点からアミド基、ウレタン基、尿素基、ケトン基、ジアシルヒドラジド基等を部分構造として含有する化合物が好ましい。中でも、アミド基、2級アミド基、ウレタン基を有する化合物が特に好ましく、具体的な例としては以下の構造式(S−1)〜(S−10)、(T−1)〜(T−11)、(U−1)〜(U−11)、(W−1)〜(W−12)または化学式に示す化合物が挙げられる。
【0079】
【化9】

【0080】
(式中、n、n’、n’’n’’’、n””は0〜21の整数を示す。ただし全てが5以下であることはない。)
【0081】
【化10】

【0082】
(式中、n、n’、n’’n’’’、n””は0〜21の整数を示す。ただし全てが5以下であることはない。)
【0083】
【化11】

【0084】
1123CONHC1225、C1531CONHC1633、C1735CONHC1837、C1735CONHC1835、C2141CONHC1837、C1531CONHC1837、C1735CONHCHHNOCC1735、C1123CONHCHHNOCC1123、C15CONHCHNOCC1735、C19CONHCHNOCC19、C1123CONHCHNOCC1123、C1735CONHCHNOCC1735、(CHCHC1435CONHCHNOCC1435(CH、C2143CONHCHNOCC2143、C1735CONHC12HNOCC1735、C2143CONHC12HNOCC2143、C1733CONHCHHNOCC1733、C1733CONHCHNOCC1733、C2141CONHCHNOCC2141、C1733CONHC12HNOCC1733、C17NHCOCCONHC1837、C1021NHCOCCONHC1021、C1225NHCOCCONHC1225、C1837NHCOCCONHC1837、C2143NHOCCCONHC2143、C1837NHOCC12CONHC1837、C1835NHCOCCONHC1835、C1835NHCOC16CONHC1835、C1225OCONHC1837、C1327OCONHC1837、C1633OCONHC1837、C1837OCONHC1837、C2143OCONHC1837、C1225OCONHC1633、C1327OCONHC1633、C1633OCONHC1633、C1837OCONHC1633、C2143OCONHC1633、C1225OCONHC1429、C1327OCONHC1429、C1633OCONHC1429、C1837OCONHC1429、C2245OCONHC1429、C1225OCONHC1237、C1327OCONHC1237、C1633OCONHC1237、C1837OCONHC1237、C2143OCONHC1237、C2245OCONHC1837、C1837NHCOOCOCONHC1837、C1837NHCOOCOCONHC1837、C1837NHCOOCOCONHC1837、C1837NHCOOC12OCONHC1837、C1837NHCOOC16OCONHC1837、C1837NHCOOCOCOCONHC1837、C1837NHCOOCOCOCONHC1837、C1837NHCOOC1224OCONHC1837、C1837NHCOOCOCOCOCONHC1837、C1633NHCOOCOCONHC1633、C1633NHCOOCOCONHC1633、C1633NHCOOCOCONHC1633、C1633NHCOOC12OCONHC1633、C1633NHCOOC16OCONHC1633、C1837OCOHNC12NHCOOC1837、C1633OCOHNC12NHCOOC1633、C1429OCOHNC12NHCOOC1429、C1225OCOHNC12NHCOOC1225、C1021OCOHNC12NHCOOC1021、C17OCOHNC12NHCOOC17、あるいは、
【0085】
【化12】

【0086】
〔可逆性感熱記録層形成に用いられるバインダー樹脂〕
可逆性感熱記録層の形成に用いられるバインダー樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類などがある。
これらのバインダー樹脂の役割は、組成物の各材料が記録・消去の熱印加によって片寄ることなく均一に分散した状態を保つことにある。したがって、バインダー樹脂には耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。例えば、熱、紫外線、電子線などにより架橋させたバインダー樹脂でもよい。
【0087】
本発明に用いられる架橋させた状態にある樹脂としては、具体的にはアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または架橋剤と反応する基を有するモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などが挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0088】
また、アクリルポリオール樹脂においては構成の違いによってその特性に違いがあり、水酸基モノマーとしてヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、2−ヒドロキシブチルモノアクリレート(2−HBA)、1,4―ヒドロキシブチルモノアクリレート(1−HBA)などが用いられる。特に、第1級水酸基を有するモノマーを使用した方が塗膜のワレ抵抗性や耐久性が良いことから、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましく用いられる。
【0089】
本発明に用いられる硬化剤としては、従来公知のイソシアネート類、アミン類、フェノール類、エポキシ化合物等が挙げられる。その中でもイソシアネート系硬化剤が好ましく用いられる。ここで用いられるイソシアネート系化合物は、公知のイソシアネート単量体のウレタン変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、カルボジイミド変性体、ブロックドイソシアネートなどの変性体から選択される。
【0090】
また、変性体を形成するイソシアネート単量体としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、等が挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0091】
さらに、架橋反応促進剤として、従来公知のこの種の反応に用いられる触媒を用いてもよい。架橋促進剤としては、例えば1,4−ジアザ−ビシクロ[2,2,2]オクタンなどの3級アミン類、有機すず化合物などの金属化合物などが挙げられる。
【0092】
また、硬化剤は添加した全量が架橋反応をしていても、していなくてもよい。すなわち、未反応硬化剤が存在していてもよい。この種の架橋反応は経時的に進行するため、未反応の硬化剤が存在していることは架橋反応が全く進行していないことを示すのではなく、未反応の硬化剤が検出されたとしても、架橋状態にある樹脂が存在しないということにはならない。
【0093】
本発明におけるポリマーが架橋状態にあるのか非架橋状態にあるのかを区別する方法として、塗膜を溶解性の高い溶媒中に浸すことによって区別することができる。すなわち、非架橋状態にあるポリマーは、溶媒中に該ポリマーが溶け出し溶質中には残らなくなるため、溶質のポリマー構造の有無を分析すればよい。そこで、溶質中にポリマー構造の存在が確認できなければ、該ポリマーは非架橋状態にあることが言え、架橋状態のポリマーと区別することができる。ここでは、これをゲル分率で表す。
【0094】
つまり、ゲル分率とは、溶媒中で樹脂溶質が相互作用により独立運動性を喪失して集合し固化した状態(ゲル)を生じるときの、そのゲルの生成比率をいう。本発明の可逆性感熱記録層形成に用いられるバインダー樹脂としては、ゲル分率が30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、80%以上が特に好ましい。 ゲル分率が小さいと繰り返し耐久性が低下する。前述のように、ゲル分率を向上させるには、樹脂中に熱、UV、EB等によって硬化する硬化性樹脂を混合するか、樹脂自身を架橋すればよい。
【0095】
ゲル分率測定方法としては、支持体より膜を剥離してその膜の初期重量を測定し、その後に膜を400メッシュ金網に挾んで、架橋前の樹脂が可溶な溶剤中に24時間浸してから真空乾燥して、乾燥後の重量を測定する。ゲル分率計算は、下記式(3)によって行なう。
ゲル分率(%)=[乾燥後重量(g)/初期重量(g)]×100 …(3)
【0096】
上記式(3)に基づきゲル分率を算出する際、可逆性感熱記録層中の樹脂成分以外の有機低分子物質粒子等の重量を除いて計算を行なう。この際、予め有機低分子物質重量が分からないときには、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)等の断面観察により、単位面積あたりに占める面積比率と樹脂と有機低分子物質のそれぞれの比重により重量比率を求めて有機低分子物質重量を算出し、ゲル分率値が算出される。
【0097】
また、上記測定の際に、支持体上に可逆性感熱記録層が設けられており、その上に保護層等の他の層が積層されている場合や、支持体と感熱記録層の間に他の層がある場合には、上記したように、まずTEM、SEM等の断面観察により可逆性感熱記録層およびその他の層の膜厚を調べておき、その他の層の膜厚分の表面を削り、可逆性感熱記録層表面を露出させると共に、可逆性感熱記録層を剥離して前記測定方法と同様にゲル分率測定を行なえばよい。
【0098】
また、この方法において可逆性感熱記録層上層に紫外線硬化樹脂等からなる保護層等がある場合には、この層が混入するのを極力防ぐために、保護層分の膜厚分を削ると共に可逆性感熱記録層表面も少し削りゲル分率値への影響を防ぐ必要がある。
【0099】
本発明においては、必要に応じて可逆性感熱記録層の塗布特性や発色・消色特性を改善したり制御するための添加剤を用いることができる。これらの添加剤としては、例えば、界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、光安定化剤、発色安定化剤などがある。
【0100】
電子供与性呈色性化合物(発色剤)と電子受容性化合物(顕色剤)の割合は、使用する化合物の組み合わせにより適切な範囲が変化するが、モル比で概ね発色剤1に対し顕色剤が0.1〜20の範囲であり、好ましくは0.2〜10の範囲である。この範囲より顕色剤が少なくても多くても発色状態の濃度が低下し問題となる。
【0101】
また、消色促進剤の割合は顕色剤に対し0.1重量%〜300重量%が好ましく、より好ましくは3重量%〜100重量%が好ましい。また、発色剤と顕色剤はマイクロカプセル中に内包して用いることもできる。可逆性感熱記録層中の発色成分と樹脂の割合は、発色成分1に対して0.1〜10が好ましく、これより少ないと可逆性感熱記録層の熱強度が不足し、これより多い場合には発色濃度が低下して問題となる。
【0102】
可逆性感熱記録層(記録層)の形成には、前記の顕色剤、発色剤、種々の添加剤、硬化剤および架橋状態にある樹脂ならびに塗液溶媒よりなる混合物を均一に混合分散させて調製した塗布液(塗液)を用いる。
【0103】
塗液調製に用いられる溶媒の具体例としては水;メタノール、エタノール、イソプロパノール,n−ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類等を例示することができる。
【0104】
塗液調製はペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、三本ロールミル、ケディーミル、サンドミル、ダイノミル、コロイドミル等公知の塗液分散装置を用いて行なうことができる。また、上記塗液分散装置を用いて各材料を溶媒中に分散してもよいし、各々単独で溶媒中に分散して混ぜ合わせてもよい。さらに、加熱溶解して急冷または除冷によって析出させてもよい。
【0105】
記録層を設ける塗工方法については特に制限はなく、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等公知の方法を用いることができる。
【0106】
記録層の乾燥・硬化方法は塗布・乾燥後、必要に応じて硬化処理を行なう。高温槽等を用いて比較的高温で短時間でも良く、また、比較的低温で長時間かけて熱処理しても良い。架橋反応の具体的な条件としては反応性の面から30℃〜130℃程度の温度条件で1分〜150時間程度加温することが好ましい。より好ましくは40℃〜100℃の温度条件で2分〜120時間程度加温することが好ましい。また、製造では生産性を重視するので、架橋が充分完了するまで時間をかけるのは困難である。したがって、乾燥過程とは別に架橋工程を設けてもよい。架橋工程の条件としては40℃〜100℃の温度条件で2分〜120時間程度加温することが好ましい。
可逆性感熱記録層の膜厚は1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは3〜15μmである。
【0107】
[保護層]
本発明の可逆性感熱記録材料においては、可逆性感熱記録層上に保護層が設けられる。
保護層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。保護層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、バインダー、塗工方法、乾燥・硬化方法等は上記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
【0108】
なお、可逆性感熱記録層と保護層の接着性向上、保護層の塗布による記録層の変質防止、保護層に含まれる添加剤の記録層への移行防止、あるいは、記録層に含まれる添加剤の保護層への移行防止などの目的のため、可逆性感熱記録層と保護層の間にバリア層を設けてもよい。バリア層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。バリア層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、バインダー、塗工方法、乾燥・硬化方法等は上記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
【0109】
[支持体]
本発明の可逆性感熱記録媒体の支持体としては紙、樹脂フィルム、PETフィルム、合成紙、金属箔、ガラスまたはこれらの複合体などであり、記録層を保持できるものであればよい。また、必要に応じた厚みのものを単独あるいは貼り合わせる等して用いることができる。すなわち、数μm程度から数mm程度まで任意の厚みの支持体が用いられる。
【0110】
また、これらの支持体は可逆性感熱記録層と同一面および/または反対面に磁気記録層を有していてもよい。また、本発明の可逆性感熱記録媒体は粘着層等を介して、他の媒体へ貼り付けてもよい。あるいは、PETフィルムなどの支持体の片面にバックコート層を設け、該バックコート層の反対面に熱転写リボンに用いられる剥離層、剥離層上に本発明の感熱記録層、さらに表面上に紙、樹脂フィルム、PETフィルムなどに転写できる樹脂層を設け熱転写プリンターを用いて転写させてもよい。
【0111】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、シート状あるいはカード状に加工されていてもよく、その形状は任意の形状に加工することができ、また、媒体表面への印刷加工を施すことができる。また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、非可逆の感熱記録層を併用してもよく、このときそれぞれの記録層の発色色調は同じでも異なってもよい。
【0112】
前記可逆性感熱記録層、中間層、保護層には紫外線吸収性能または紫外線遮蔽性能を持たない他のフィラーを添加してもよい。フィラーとしては、無機フィラーと有機フィラーに分けることができる。
【0113】
無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、含水ケイ酸、含水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸カルシウム、アルミナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、シリカ、タルク、マイカ、等が挙げられる。
【0114】
有機フィラーとしては、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、スチレン、ポリスチレン、ポリスチレン・イソプレン、スチレンビニルベンゼンなどのスチレン系樹脂、塩化ビニリデンアクリル、アクリルウレタン、エチレンアクリルなどのアクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
【0115】
本発明ではフィラーを単独で用いることもできるが、2種類以上含まれていてもよい。複数の場合、無機フィラーと有機フィラーの組み合わせ方について特に限定はされない。また、形状としては球状、粒状、板状、針状等が挙げられる。保護層中のフィラーの含有量は体積分率で5〜50体積%である。
【0116】
上記可逆性感熱記録層、中間層、保護層に滑剤を添加してもよい。
滑剤の具体例としては、エステルワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス類:硬化ひまし油等の植物性ワックス類:牛脂硬化油等の動物性ワックス類:ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類:マルガリン酸、ラウリン酸、ミスチレン酸、パルミチル酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、フロメン酸等の高級脂肪酸類:ソルビタンの脂肪酸エステルなどの高級脂肪酸エステル類:ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド等のアミド類などが挙げられる。層中の滑剤の含有量は体積分率で0.1〜95%、より好ましくは1〜75%である。
【実施例】
【0117】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制約を受けるものではない。なお、以下に示す部および%はいずれも重量基準である。
【0118】
以降の実施例における中間層塗布液の調製に用いる水性・活性エネルギー線硬化樹脂、および中空粒子を下記により合成もしくは作製した。
<水性・活性エネルギー線硬化樹脂の合成>
HMDI三量体の350.0部、ヒドロキシプロピルアクリレートの170.0部、4−メトキシフェノールの0.7部およびオクチル酸第一スズの0.14部を仕込んだフラスコ内に空気を吹き込みながら75℃まで昇温した。同温にて1.5時間攪拌後、ポリエチレンモノメチルエーテル(東邦化学工業社製;メトキシPEG#400)の190.0部を添加し、ウレタン化反応を行った。得られたウレタン化アクリレート化合物の80部を70℃で攪拌する中に、イオン交換水の120部を加えることで目的の水性・活性エネルギー線硬化樹脂(A)を得た。
【0119】
HMDI三量体の360.0部、ロジンエポキシアクリレートの165.0部、2−ヒドロキシエチルアクリレートの90部、4−メトキシフェノールの0.7部およびオクチル酸第一スズの0.14部を仕込んだフラスコ内に空気を吹き込みながら75℃まで昇温した。同温にて1.5時間攪拌後、2−ヒドロキシエチルアクリレートの33.0部を追加し、さらに1.5時間加熱攪拌を継続した。次いで、ひまし油脂肪酸の82.0部を追加し、ウレタン化反応を完結させた。得られたウレタンアクリレートの酸価は16.8mgKOH/gであり、トリエチルアミンの6.0gによって中和反応を行うことでアニオン型水性活性エネルギー線硬化樹脂(B)を得た。
【0120】
<中空粒子aの調製>
塩化ナトリウム55gをイオン交換水160gに溶解し、アジピン酸−ジエタノールアミン縮合物1.0g、コロイダルシリカ20%水溶液25gを加えた後、硫酸でpHを3.8から4.2に調整し、均一に混合してこれを水相とする。
【0121】
アクリロニトリル45g、メタクリロニトリル16g、N−メチロールアクリルアミド5g、イソボニルメタクリレート23g、エチレングリコールジメタクリエート0.1g、アゾビスイソブチロニトリル0.3g、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル(V−40)0.1g、イソブタン15gを混合、攪拌、溶解し、これを油相とする。
【0122】
水相と油相を混合し、ホモミキサーで4000rpmにて1分間攪拌して懸濁液とする。これをセパラブルフラスコに移して窒素置換をしてから、攪拌しつつ70℃で6時間その後90℃で14時間反応する。反応後冷却し、濾過してカプセル粒子を得る。次にこれを加熱による発泡を行ない中空粒子(a)を作製した。得られた中空粒子(a)はTg=105℃、中空率89%であった。
【0123】
中空粒子aの調整方法において、N−メチロールアクリルアミドを除いた以外は中空粒子aと同様の方法で中空樹脂粒子(b)を作製した。得られた中空樹脂粒子(b)はTg=104℃中空率90%であった。
【0124】
(実施例1)
<中間層の形成>
下記組成の混合物を攪拌分散して調製した中間層塗布液を、厚さ約100μmの白色PETフィルム(大日本インキ製)上に、ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ照射下、10m/分の搬送速度で通して硬化し、膜厚約10.0μmの中間層を設けた。
【0125】
(中間層塗布液の組成)
中空粒子(a)の水分散液(固形分濃度30%): 10部
水性活性エネルギー硬化樹脂(A)の水分散液(固形分濃度40%): 30部
光重合開始剤イルガキュア184
(チバスペシャルティケミカルズ社製光重合開始剤): 1.5部
水: 50部
【0126】
<可逆性感熱記録層の形成>
下記組成物をボールミルにより平均粒径0.1〜3μmとなるように粉砕分散し、得られた分散液で可逆性感熱記録層塗布液(記録層塗布液)を調製した。
【0127】
(記録層塗布液の組成)
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン: 2部
下記化学式(I)の顕色剤: 8部
【0128】
【化13】

【0129】
下記化学式(II)の制御剤: 2部
【0130】
【化14】

【0131】
アクリルポリオール樹脂の15%メチルエチルケトン溶液
(水酸基価:70、酸価:1.0未満、分子量:35000、
ガラス転移温度:52℃、水酸基モノマー:2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート): 150部
コロネートHL: 10部
【0132】
上記記録層塗布液を、前記中間層の上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥した後、60℃で24時間加温して、膜厚約10.0μmの可逆性感熱記録層を設けた。
【0133】
<保護層の形成>
下記組成分を良く攪拌して保護層塗布液を調製した。この塗布液を上記記録層の上にワイヤーバーを用いて塗工し、90℃で1分間乾燥させた後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ照射下、9m/分の搬送速度で通して硬化し、膜厚約3μmの保護層を設けて本発明の可逆性感熱記録材料を作製した。
【0134】
(保護層塗布液の組成)
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂
(大日本インキ社製C7−157): 15部
酢酸エチル: 85部
【0135】
(実施例2)
実施例1において、中空粒子(a)の替わりに、中空粒子(b)を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作製した。
【0136】
(実施例3)
実施例1において、水性活性エネルギー線硬化樹脂(A)の替わりに、水性活性エネルギー線硬化樹脂(B)を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作製した。
【0137】
(実施例4)
実施例1において、中空粒子(a)の替わりに、中空粒子(b)を用い、かつ水性活性エネルギー線硬化樹脂(A)の替わりに、水性活性エネルギー線硬化樹脂(B)を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作製した。
【0138】
(実施例5)
実施例1において、さらに、完全ケン価ポリビニルアルコール水溶液(固形分濃度10%)の7部を追加した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作製した。
【0139】
(比較例1)
実施例1において水性活性エネルギー線硬化樹脂(A)の替わりに、完全ケン価ポリビニルアルコール水溶液(固形分濃度10%)を用い、さらに紫外線ランプを照射しなかったこと以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作製した。
【0140】
(比較例2)
実施例1において中空粒子(a)を80部に変更した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作製した。
【0141】
(比較例3)
実施例1において水性活性エネルギー線硬化樹脂(A)を6部に、さらに光重合開始剤を0.3部に変更した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作製した。
【0142】
実施例(1)〜(5)および比較例(1)〜(3)で作製した可逆性感熱記録材料を用い、中間層変形率、画像濃度、地肌濃度、消去濃度に関する評価を以下の条件で実施した。結果を下記表1に示す。
【0143】
〔評価1〕
〈中間層の形状維持率の測定〉
作製した可逆性感熱記録材料をSUS板に挟み込み、東邦マシナリー社製加熱冷却成形機TBD−30を用いて、加熱温度140℃、加熱時間15分間、圧力1.47MPaの条件下でプレスを行った。
【0144】
プレス後のシート断面をSEM観察し、下記計算式により中間層の形状維持率を求めた。
中間層の形状維持率(%)=([中空粒子の短軸]/[中空粒子の長軸])×100 …(1)
【0145】
〔評価2〕
〈画像濃度、地肌濃度、消去濃度の評価〉
作製した可逆性感熱記録媒体を、京セラ社製端面型サーマルヘッドKSB320AA(抵抗値1206オーム)とセラミックヒーター(4mm幅)を用いた感熱印字シミュレータを用いて下記の条件で印字および消去を行い、濃度をマクベス濃度計RD−914を用いて測定した。
・評価条件:印字速度5インチ/s、副走査密度8dot/mmを適用する。
・画像濃度:印加エネルギーを1V刻みで電圧を変化させて印字したときの最大濃度を用いる。
・消去濃度:前記画像濃度で最大濃度を得た印加エネルギーでベタ画像を形成したものに対し、セラミックヒーター設定温度を5℃刻みで変化させて消去したときの最小消去濃度を用いる。
【0146】
【表1】

【0147】
上記表1の評価結果からわかるように、本発明の実施例1〜実施例5の可逆性感熱記録材料は、評価1(中間層の形状維持率)および評価2(画像濃度、地肌濃度、消去濃度)において非常に良好な結果が得られている。しかしながら、中間層のバインダーとしてウレタン化(メタ)アクリレートポリマーからなる水性・活性エネルギー線硬化樹脂を用いず中間層の形状維持率が5%である比較例1や、バインダーの含有比率が33%であり、中間層の形状維持率が55%である比較例2、あるいはバインダーの含有比率が87%であり、中間層の形状維持率が25%である比較例3の可逆性感熱記録材料は、いずれも画像濃度と消去濃度において満足な結果が得られなかった。
すなわち、中間層を構成する中空粒子の中空率、水性・活性エネルギー線硬化樹脂からなるバインダー(ウレタン化(メタ)アクリレートポリマー)および中空粒子とバインダーの含有比率がそれぞれ好適に調整された本発明の可逆性感熱記録材料を用いれば、高速搬送においても安定した発色・消去特性を示すとともに、熱圧着特性に優れ、ICタグなどの出力媒体として応用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、中空粒子およびバインダーを含有する中間層と、電子供与性呈色性化合物および電子受容性化合物を含む可逆性感熱記録層と、保護層とを設けてなる可逆性感熱記録材料において、
前記中空粒子の中空率が70%以上98%以下であり、かつ、前記感熱記録材料を金属板に挟み、加熱温度140℃、加熱時間15分間、圧力1.47MPaの条件下で圧縮した後に、中間層断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して測定される中空粒子の長軸と短軸の値を用い、下記式(1)により求められる中間層の形状維持率が60%以上であることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
中間層の形状維持率(%)=([中空粒子の短軸]/[中空粒子の長軸])×100 …(1)
【請求項2】
前記中空粒子とバインダーの合計に対する該バインダーの含有比率〔{[バインダー]/([中空粒子]+[バインダー])}×100:重量%〕が、30%以上85%以下であることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録材料。
【請求項3】
前記バインダーが、ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーからなる水性・活性エネルギー線硬化樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の可逆性感熱記録材料。
【請求項4】
前記ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーが、水酸基含有アクリル酸エステル、有機ポリイソシアネート類、および水酸基含有ポリエチレングリコール類を最低構成成分として得られる反応生成物であることを特徴とする請求項3に記載の可逆性感熱記録材料。
【請求項5】
前記ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーが、強制乳化型エマルジョンであるノニオン系水性・活性エネルギー線硬化樹脂であることを特徴とする請求項3または4に記載の可逆性感熱記録材料。
【請求項6】
前記ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーが、水酸基含有アクリル酸エステル、有機ポリイソシアネート類、水酸基含有ポリエチレングリコール類、および水酸基含有脂肪酸を最低構成成分として得られる反応生成物であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の可逆性感熱記録材料。
【請求項7】
前記ウレタン化(メタ)アクリレートポリマーが、水酸基含有アクリル酸エステル、有機ポリイソシアネート類、水酸基含有ポリエチレングリコール類、および水酸基含有脂肪酸を最低構成成分として得られる反応生成物を、さらに3級アミンで中和してなる反応生成物の中和塩からなるアニオン系水性・活性エネルギー線硬化樹脂であることを特徴とする請求項3または4に記載の可逆性感熱記録材料。
【請求項8】
前記電子受容性化合物が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の可逆性感熱記録材料。
【化1】


(式中lは0〜2の自然数、mは0または1、nは1〜3の整数を示し、XおよびYは窒素原子または酸素原子を含む二価の基を表す。また、R1は置換基を有していてもよい炭素数2以上の脂肪族炭化水素基を表し、R2は炭素数6以上の脂肪族炭化水素基を表す。)
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の可逆性感熱記録材料を貼り合わせてなることを特徴とするICタグ。

【公開番号】特開2008−221728(P2008−221728A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65732(P2007−65732)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】