可逆熱変色性転写シート及びそれを用いた可逆熱変色性物品
【課題】 物品の外表面に形成した像の耐擦過性に優れ、繰り返しの使用によっても可逆熱変色機能の持続性を満たすと共に、物品に対する接着性や耐光性といった性能も満足させることのできる実用性に優れた可逆熱変色性転写シート及びそれを用いた可逆熱変色性転写物品を提供する。
【解決手段】 基体シート2上に、基体シートに対して剥離性を有する第一の樹脂層3、第二の樹脂層4、可逆熱変色層5、接着剤層6が順次積層されてなる可逆熱変色性転写シート1、及び、それを用いて可逆熱変色層を設けてなる可逆熱変色性物品。
【解決手段】 基体シート2上に、基体シートに対して剥離性を有する第一の樹脂層3、第二の樹脂層4、可逆熱変色層5、接着剤層6が順次積層されてなる可逆熱変色性転写シート1、及び、それを用いて可逆熱変色層を設けてなる可逆熱変色性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製品への転写に適した可逆熱変色性転写シート及びそれを用いた可逆熱変色性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、布帛、プラスチック製品、陶磁器等に可逆熱変色像を形成する手段としては、スクリーン印刷等の各種印刷方法が用いられている。しかし、これらの方法は予めアンカー層を印刷して可逆熱変色層を設け、更に保護層を設けるといった多くの工程を必要とする場合が多く、少ロット印刷にはコスト面から不向きであると共に、作製に長時間を要したり、印刷対象が立体物である場合は複雑な図柄や微細なパターンの印刷が困難であった。
これらの問題を解消するため、基体シートに予め印刷像を形成し、転写によって可逆熱変色像を物品表面に形成できる可逆熱変色性転写シートが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前記転写シートは物品の内側に転写するため、該物品が透明素材に限定されると共に、物品の外表面に適用しても耐擦過性を十分に満足させるものではない。
【特許文献1】特開平7−276777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記した従来の転写シートの問題点を解消しようとするものであって、即ち、物品として特にプラスチック製品の外表面に形成した像の耐擦過性に優れると共に、接着性、耐光性等の諸性能が多種多様な各種プラスチック製品に要求される実用的性能を満たす可逆熱変色性転写シート及びそれを用いた可逆熱変色性転写物品を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、基体シート上に、基体シートに対して剥離性を有する第一の樹脂層、第二の樹脂層、可逆熱変色層、接着剤層が順次積層されてなる可逆熱変色性転写シートを要件とする。
更には、前記第二の樹脂層が複数の層により形成されてなること、前記第一の樹脂層と第二の樹脂層の膜厚の総和が2〜10μmであること、前記可逆熱変色層と接着剤層の間に第三の樹脂層を介在してなること、前記第三の樹脂層が複数の層により形成されてなること、前記第二の樹脂層及び/又は第三の樹脂層が硬化型樹脂により形成されてなること、可逆熱変色層に接する第二の樹脂層及び第三の樹脂層が硬化型樹脂により形成されてなること、前記第一の樹脂層及び/又は第二の樹脂層の少なくとも一層に紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含んでなること、前記第三の樹脂層中に隠蔽性顔料を含んでなること、前記接着剤層中に隠蔽性顔料を含んでなること、前記可逆熱変色層中に隠蔽性顔料を含んでなること、非変色性着色層を有してなること、前記可逆熱変色層中に含まれる可逆熱変色性材料が、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体とからなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料であること等を要件とする。
更には、前記可逆熱変色性転写シートを用いて外表面に可逆熱変色像を設けてなる可逆熱変色性物品を要件とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、物品の外表面に形成した像の耐擦過性に優れ、繰り返しの使用によっても可逆熱変色機能の持続性を満たすと共に、物品に対する接着性や耐光性といった性能も満足させることのできる実用性に優れた可逆熱変色性転写シート及びそれを用いた可逆熱変色性転写物品を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の転写シートに用いられる基体シートは、第一の樹脂層に対して剥離可能であれば特に材質が限定されるものではなく、紙、合成紙、プラスチックフィルム、金属箔等が用いられる。
前記合成紙としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリプロピレン、ポリスチレン等を用いた各種合成紙などが挙げられる。
プラスチックフィルムを構成するポリマーとしては、種々の樹脂(熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂)が使用でき、通常、熱可塑性樹脂が使用される。
熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニルアルコール系樹脂が挙げられる。
前記樹脂のうち、通常、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが使用され、特に、機械的強度、耐熱性、作業性などの点からポリエステル系樹脂が好適である。
金属箔としては、アルミニウム箔や銅箔が挙げられる。
なお、前記基体シートは不透明の他、半透明や透明であってもよい。
【0007】
前記基体シート上に形成される剥離性を有する第一の樹脂層は、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂等の従来より汎用の樹脂により形成される層であり、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤、あるいはこれらの複合型離型剤を含有させて基体シートから剥離可能に構成される。
前記第一の樹脂層は、物品に転写して基体シートを剥離すると、物品の外表面に位置する層であり、物品に転写された後は下層の可逆熱変色層を保護する層として機能する。
なお、剥離性や耐擦過性を損なわない範疇で各種紫外線吸収剤や光安定剤を配合して耐光性を向上させることもできる。
その他、必要により、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、結晶性セルロース等のマット剤、帯電防止剤等を含有させることができる。
【0008】
前記第一の樹脂層上に形成される第二の樹脂層は、前記第一の樹脂層と共に耐擦過性を向上させると共に、各種の物品に応じて必要な性能付与に利用可能な層である。
例えば、耐光性が必要な用途には、各種紫外線吸収剤や光安定剤を配合することができる。この際、第一の樹脂層中にも紫外線吸収剤や光安定剤を配合すると、いっそう耐光性を向上させることができる。
耐水性を向上させる場合には、前記樹脂として硬化型樹脂を用いることができる。
前記硬化型樹脂とは、樹脂分子中に反応性の官能基を有してなり、硬化剤と反応、或いは、自己重合や自己縮合等の架橋反応により三次元構造を形成可能な樹脂であり、緻密な構造の樹脂層を形成できるため、該層の皮膜強度や接着性がいっそう向上する。
なお、前記第二の樹脂層は単一層であってもよいが、複数の層により形成し、各層に種々の特性を付与させることもできる。
例えば、飲料用容器、風呂用品、台所用品等の水が付着する機会の多い物品に適用する場合には、耐水性を向上させる複数の第二の樹脂層を設けたり、光が照射される機会の多い物品に適用する場合には、第二の樹脂層のうち一方の層には紫外線吸収剤を配合して耐光性を向上させ、他方の層は硬化型樹脂により形成して耐水性を向上させることができ、転写対象となる物品に必要な皮膜性能に応じて、第一の樹脂層を含めたこれらの保護層を設計することができる。
なお、紫外線吸収剤と硬化型樹脂が反応して黄変する場合には、紫外線吸収剤を含む層と、硬化型樹脂により形成される層を別々に設けることにより、黄変を防止しつつ、耐光性と耐水性を付与できる。
前記第二の樹脂層に適用される樹脂は第一の樹脂層に適用される樹脂と同様のものが用いられ、特に限定されるものではないが、第一の樹脂層や可逆熱変色層との親和性に優れた樹脂を用いることが好ましい。
【0009】
前記第一の樹脂層と第二の樹脂層の膜厚の総和は2〜10μm、好ましくは3〜7μm、より好ましくは3〜5μmである。
2μm未満では所望の耐擦過性を維持でき難く、10μmを超えると保護層としての機能は満たすものの必要以上の膜厚となり、皮膜全体の膜厚も大きくなって物品に転写した際に表面で突出感(盛り上り)を与えて商品性を損なうことがある。
【0010】
前記第二の樹脂層上に形成される可逆熱変色層は、可逆熱変色性材料を含む層であって、可逆熱変色性材料としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載の(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む加熱消色型の可逆熱変色性材料が利用できる。
前記可逆熱変色性材料は所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、完全消色温度以上の温度域で消色状態、完全発色温度以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しない。即ち、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する(図9参照)。
【0011】
また、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報、特開2005−1369号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t1)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t4)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t2〜t3の間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩を記憶保持できる加熱消色型の可逆熱変色性材料も適用できる(図10参照)。
【0012】
更に、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11−129623号公報、特開平11−5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51−44706号公報、特開2003−253149号公報)加熱発色型の可逆熱変色性材料を適用することもできる(図11参照)。
【0013】
前記可逆熱変色性材料は、前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分を必須成分とする相溶体であり、各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜100、好ましくは0.1〜50、より好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200、より好ましくは5〜100の範囲である(前記割合はいずれも重量部である)。
【0014】
前記三成分から少なくともなる均質相溶混合物は、マイクロカプセルに内包させて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を形成することが好ましく、カプセル膜壁で保護することによって酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化学的に活性な物質又は他の溶剤成分と接触しても、その機能を低下させることがないことは勿論、耐熱安定性を向上させることができる。
更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセルは、平均粒子径0.5〜15μm、好ましくは1〜10μmより好ましくは2〜5μmの範囲が実用性を満たす。
前記マイクロカプセルは、内包物/壁膜=7/1〜1/1(重量比)の範囲が有効であり、壁膜の比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、内包物/壁膜=6/1〜1/1(重量比)である。
前記マイクロカプセル化は、従来より公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン−ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。
【0015】
前記可逆熱変色層は、可逆熱変色性材料をビヒクル中に分散したインキや塗料を用いて、従来より公知の方法により第二の樹脂層上に形成できる。
前記可逆熱変色層に適用される樹脂は第一の樹脂層に適用される樹脂と同様のものが用いられ、特に限定されるものではないが、第二の樹脂層や粘着剤層との親和性に優れた樹脂を用いることが好ましい。
なお、前記可逆熱変色層中には、一般の有色染料や顔料を含有させて有色(1)から有色(2)の色変化を発現させたり、物品の色調が色変化に影響を与えないようにするため、隠蔽性顔料を含有させることもできる。
【0016】
前記可逆熱変色層上に形成される粘着剤層は、前記した樹脂層及び可逆熱変色層からなる可逆熱変色像を物品に接着する層である。
前記粘着剤層中に含まれる粘着性樹脂は、物品との親和性が高い樹脂が好ましく、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、クマロンインデン樹脂等が挙げられる。
なお、前記粘着剤層中にはブロッキングを防止するために、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、バリウム等の無機質充填剤を配合したり、物品の色調が可逆熱変色層の色変化に影響を与えないようにするため、隠蔽性顔料を含有させることができる。
【0017】
前記可逆熱変色層と接着剤層の間には第三の樹脂層を設けることもできる。
前記第三の樹脂層は、可逆熱変色層と接着剤層の接着性を向上させたり、物品の色調が可逆熱変色層の色変化に影響を与えないようにするため、隠蔽性顔料を含有させる目的で形成される。
また、耐水性を向上させるために、硬化型樹脂により形成することもできる。
更に、第三の樹脂層を硬化型樹脂により形成すると共に、前述した第二の樹脂層のうち、可逆熱変色層と接する層も硬化型樹脂により形成して、可逆熱変色層を硬化型樹脂で挟着することにより、いっそう耐水性を向上させることができる。
なお、前記第三の樹脂層は単一層であってもよいが、複数の層により形成し、各層に種々の特性を付与させることもできる。
【0018】
前記可逆熱変色層、粘着剤層、第三の樹脂層に含有させることのできる隠蔽性顔料は、白色顔料が好適に用いられる。
前記白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、シリカ、マイカ、ベントナイト等を例示できる。
これらの白色顔料のうち、酸化チタンが好適であり、結晶型はアナターゼ型であってもよいが、屈折率が大きくて隠蔽力に優れる点から、ルチル型が好ましい。
前記白色顔料の平均粒子径は0.01〜3μm、好ましくは0.05〜2μm、さらに好ましくは0.1〜1μmである。白色顔料の平均粒子径が小さすぎると隠蔽性が充分でなく、大きすぎると接着性が損なわれる。
前記白色顔料は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0019】
前記転写シートには、一般有色染料や顔料を含む非変色性着色層(非変色性着色像)を設けることもできる。
前記非変色性着色層(非変色性着色像)は、第一の樹脂層と第二の樹脂層の間、或いは、第二の樹脂層と可逆熱変色層の間に設けて、常に視認される層(像)であってもよいし、可逆熱変色層と粘着剤層の間に設けて可逆熱変色層の発消色により隠顕する層(像)であってもよい。なお、第三の樹脂層を設ける場合、非変色性着色層(非変色性着色像)は
可逆熱変色層と第三の樹脂層の間に設けてもよいが、第三の樹脂層と粘着剤層の間に設ける構成が製造時の非変色性着色層用のインキ転移性に優れるため、好適である。
更には、可逆熱変色層を設けていない部分に形成することもできる。
【0020】
本発明の転写シートは、基体シート上に、各層を順次形成することにより製造できる。すなわち、基体シートの積層する側に、第一の樹脂層を形成した後、第二の樹脂層、可逆熱変色層、粘着剤層を順次形成することにより製造できる。
各層は慣用の方法、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷方法や、グラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法がある。
前記第一の樹脂層、第二の樹脂層、可逆熱変色層、粘着層以外の層を設ける場合、その方法は前記と同様である。
【0021】
本発明の転写シートには可逆熱変色性材料を用いるが、可逆熱変色性材料が前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分からなる材料の場合、染料〔(イ)成分〕以外の成分を多く含むため一般の着色剤に較べて色濃度が低い。
この問題を解消するため、層中の可逆熱変色性材料の含有量を増加させることが考えられるが、バインダー樹脂の比率が低下して接着性など皮膜強度が低下する。
一方、インキの塗布量を多くすることも考えられるが、膜厚が大となるため実用的な皮膜硬度を満たし難くなる。
一般の顔料を着色剤とする転写シートでは剥離性を備えた樹脂層のみを保護層としたり、保護層を設けず着色層のバインダーのみで実用的な皮膜性能を得ることが可能であるとしても、可逆熱変色材料を着色剤として用いた転写シートを布帛、紙等のように繊維間にインキが保持されることのないプラスチックのような不浸透材に適用する場合には、従来の転写シートの皮膜構成では実用レベルの皮膜性能を得ることができない。
しかし、本発明のように樹脂層を多層構造となし、各種転写物品に要求される皮膜性能を各樹脂層に機能分担させる構成により、必要な性能を付与できる。
【0022】
本発明の転写シートを転写する物品としては、繊維、紙、木材、セラミックス、金属等を材料とする物品であってもよいが、各種プラスチック材料から成形されたプラスチック製品が好適である。
なお、前記物品は平面物、立体物のいずれであってもよい。
【実施例】
【0023】
以下に本発明の実施例を示すが本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施例中の部は重量部を表す。
以下の表に第一の樹脂層、第二の樹脂層、第三の樹脂層を形成する際に適用される塗布液の組成を示す。
【0024】
【表1】
【0025】
以下の表に可逆熱変色性材料の組成と、それを内包したマイクロカプセル顔料の平均粒子径、変色温度、色変化を示す。
【0026】
【表2】
【0027】
以下の表に可逆熱変色層を形成する際に適用されるインキの組成を示す。
【0028】
【表3】
【0029】
以下の表に粘着剤層を形成する際に適用される塗布液の組成を示す。
【0030】
【表4】
【0031】
実施例1
可逆熱変色性転写シートの作製(図1参照)
基体シート(2)としてポリエステルフィルム(16μm厚)を用い、前記フィルムの片面に剥離性の樹脂層用インキ1、樹脂層用インキ1をグラビア印刷により順次印刷し、第1の樹脂層(3)及び第2の樹脂層(4a)を形成した。
さらに、前記第2の樹脂層上に、可逆熱変色性材料をエポキシ樹脂皮膜で内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aを含む可逆熱変色性インキ1を用いて花柄をグラビア印刷し、可逆熱変色層(5)を形成した(前記樹脂層の厚みの総和は3μm)。
次いで、接着剤層用インキ1をグラビア印刷し、接着剤層(7)を形成した後、150℃、1分間の熱処理を行い可逆熱変色性転写シート(1)を作製した。
【0032】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリカーボネート製の筆記具用軸胴にロール転写機を用いて加圧・加熱下で転写を行い、軸胴表面に可逆熱変色性の花柄を形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記軸胴の花柄は室温(25℃)ではピンク色であるが32℃以上の温度に加温すると白色となり、室温に放置すると再びピンク色となった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分の接着性も良好であった。
なお、接着性試験はクロスカット粘着テープ剥離試験(JIS K 5400)に準じて行った。
【0033】
実施例2
可逆熱変色性転写シートの作製(図2参照)
実施例1と同様にして第1の樹脂層(3)及び第2の樹脂層(4a)を形成した後、可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂皮膜で内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bを含む可逆熱変色性インキ2を用いて星形パターンをグラビア印刷し、可逆熱変色層(5)を形成した。
次いで、前記可逆熱変色層上に、樹脂層用インキ2による第3の樹脂層(6b)、接着剤層用インキ2による接着剤層(7)をグラビア印刷により形成した後、150℃、1分間の熱処理を行い可逆熱変色性転写シート(1)を作製した。
【0034】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリプロピレン製カップにロール転写機を用いて加圧・加熱下で転写を行い、カップ表面に可逆熱変色性の星形パターンを形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記カップの星形パターンは室温(25℃)では白色であるが、13℃以下の温度に冷却すると青色となり、室温に放置すると再び白色となった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分を水中(25℃)に24時間浸漬した後の接着性も良好であった。
【0035】
実施例3
可逆熱変色性転写シートの作製(図3参照)
実施例1と同様にして第1の樹脂層(3)及び第2の樹脂層(4a)を形成し、可逆熱変色性インキ1によるハート形パターンの可逆熱変色層(5)、樹脂層用インキ1による第3の樹脂層(6a)、樹脂層用インキ2による第3の樹脂層(6b)、接着剤層用インキ2による接着剤層(7)をグラビア印刷により形成した後、150℃で1分間の熱処理を行い可逆熱変色性転写シート(1)を作製した。
【0036】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリプロピレン製風呂桶にロール転写機を用いて加圧・加熱下で転写を行い、風呂桶表面に可逆熱変色性のハート形パターンを形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記風呂桶表面のハート形パターンは室温(25℃)ではピンク色であるが32℃以上の温度に加熱すると白色となり、室温に放置すると再びピンク色となった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分を温水中(40℃)に24時間浸漬した後の接着性も良好であった。
【0037】
実施例4
可逆熱変色性転写シートの作製(図4参照)
基体シート(2)としてポリエステルフィルム(16μm厚)を用い、前記フィルムの片面に剥離性樹脂層用インキ1、樹脂層用インキ3、樹脂層用インキ1をグラビア印刷により順次印刷し、第1の樹脂層(3)、第2の樹脂層(4b)、第2の樹脂層(4a)を形成した(前記樹脂層の厚みの総和は5μm)。
次いで可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂皮膜で内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cを含む可逆熱変色性インキ3を用いて第2の樹脂層上に花柄をグラビア印刷し、可逆熱変色層(5)を形成した。
更に前記可逆熱変色層上に、樹脂層用インキ1による第3の樹脂層(6a)、樹脂層用インキ2による第3の樹脂層(6b)、接着剤層用インキ2による接着剤層(7)をグラビア印刷により形成した後、150℃で1分間の熱処理を行い可逆熱変色性転写シート(1)を作製した。
【0038】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリプロピレン製風呂用玩具(船)にロール転写機を用いて転写を行い、玩具表面に可逆熱変色性の花柄を形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記玩具の花柄部分は15℃以下の温度まで冷却されると赤色となり、この状態から32℃未満の温度まで加温されても前記状態を維持しているが、32℃以上になると黄色に変色し、この変色状態から冷却すると15℃以下の温度で再び赤色となった。
前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分を温水中(40℃)に24時間浸漬した後の接着性も良好であった。
【0039】
実施例5
可逆熱変色性転写シートの作製(図2参照)
実施例1と同様にして第1の樹脂層(3)及び第2の樹脂層(4a)を形成した後、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bを含む可逆熱変色性インキ4を用いて星形パターンをグラビア印刷し、可逆熱変色層(5)を形成した。
更に前記可逆熱変色層上に、樹脂層用インキ4による第3の樹脂層(6b)、接着剤層用インキ2による接着剤層(7)をグラビア印刷により形成した後、150℃で1分間の熱処理を行い可逆熱変色性転写シート(1)を作製した。
【0040】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として半透明ポリプロピレン製カップにロール転写機を用いて転写を行い、カップ表面に可逆熱変色性の星形パターンを形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記カップの星形パターンは室温(25℃)ではピンク色であるが13℃以下の温度に冷却すると紫色に変色し、室温に放置すると再びピンク色となった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分を水中(25℃)に24時間浸漬した後の接着性も良好であった。
【0041】
実施例6
可逆熱変色性転写シートの作製(図2参照)
実施例2の接着剤層を接着剤層用インキ3による接着剤層に変更したことを除いて、実施例2と同様にして可逆熱変色性転写シートを作製した。
【0042】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として黄色ポリプロピレン製カップにロール転写機を用いて転写を行い、カップ表面に可逆熱変色性の星形パターンを形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記カップの星形パターンは室温(25℃)では白色であるが13℃以下の温度に冷却すると青色に変色し、室温に放置すると再び白色となった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分を水中(25℃)に24時間浸漬した後の接着性も良好であった。
【0043】
実施例7
可逆熱変色性転写シートの作製(図2参照)
可逆熱変色層として可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aを含む可逆熱変色性インキ5を用い、接着剤層を接着剤層用インキ4による接着剤に変更したことを除いて、実施例2と同様にして可逆熱変色性転写シートを作製した。
【0044】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として透明アクリル樹脂製小物入れにロール転写機を用いて転写を行い、小物入れの表面に可逆熱変色性の星形パターンを形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記小物入れの星形パターンは室温(25℃)ではパステル調のピンク色であるが、32℃以上の温度になると白色となり、室温(25℃)に放置すると再びパステル調のピンク色となった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、接着性も良好であった。
【0045】
実施例8
可逆熱変色性転写シートの作製(図5参照)
基体シート(2)としてポリエステルフィルム(16μm厚)を用い、前記フィルムの片面に剥離性樹脂層用インキ1による第1の樹脂層(3)、非変色性油性グラビア印刷用インキ(紫色)による花柄の非変色性着色層(8)、樹脂層用インキ1による第2の樹脂層(4a)をグラビア印刷により順次形成した。
更に前記第2の樹脂層上の非変色性着色層が印刷されていない部分に可逆熱変色性インキ1による花柄の可逆熱変色層(5)、樹脂層用インキ2による第3の樹脂層(6b)、接着剤層用インキ2による接着剤層(7)をグラビア印刷により形成した後、150℃で1分間の熱処理を行い可逆熱変色性転写シート(7)を作製した。
【0046】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリプロピレン製弁当箱にロール転写機を用いて転写を行い、弁当箱表面に非変色性部分(紫色)及び可逆熱変色性部分よりなる花柄を形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記弁当箱の可逆熱変色性の花柄は室温(25℃)では赤色であるが、32℃以上の温度になると白色となり、室温(25℃)に放置すると再び赤色となった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分を水中(25℃)に24時間浸漬した後の接着性も良好であった。
【0047】
実施例9
可逆熱変色性転写シートの作製(図6参照)
実施例1と同様にして剥離性樹脂層用インキ1による第1の樹脂層(3)及び樹脂層用インキ1による第2の樹脂層(4a)を形成した後、可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂皮膜で内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dを含む可逆熱変色性インキ6を用いて円形の可逆熱変色層(5)を形成した。
更に樹脂層用インキ2による第3の樹脂層(6b)を形成し、次いで第3の樹脂層上から可逆熱変色層部分に非変色性油性グラビアインキ(黄色、赤色、緑色)による花柄の非変色性着色剤層(8)、及び接着剤層用インキ2による接着剤層(7)をグラビア印刷により形成した後、150℃で1分間の熱処理を行い可逆熱変色性転写シート(1)を作製した。
【0048】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリプロピレン製カップの表面に円形の図柄部分をロール転写機を用いて転写して可逆熱変色性物品を得た。
前記カップの転写部分は室温(25℃)では黒色であるが、42℃以上の温度になると黒色部分が無色となり、3色の花柄が現れた。この状態から室温(25℃)に放置すると39℃以下の温度で再び黒色となり前記花柄は視認できなくなった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分を水中(25℃)に24時間浸漬した後の接着性も良好であった。
【0049】
実施例10
可逆熱変色性転写シートの作製(図7参照)
第2樹脂層を樹脂層用インキ3により形成したことを除き、実施例2と同様にして作製した可逆熱変色性転写シート(第1樹脂層と第2樹脂層の厚みの総和は3μm)を用いて可逆熱変色性転写シートを作製した。
【0050】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリプロピレン製のカップに転写により可逆熱変色性の星形パターンを形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記カップの転写部分は耐擦過性及び乾燥時の接着性は良好であったが、転写部分を水中(25℃)に24時間浸漬した後の接着性試験においては実施例2で作製した軸胴と比較してやや剥離し易かった。
【0051】
実施例11(図2参照)
可逆熱変色性転写シートの作製
第1の樹脂層を剥離性樹脂層用インキ2により形成したことを除き、実施例2と同様にして可逆熱変色性転写シート(第1樹脂層と第2樹脂層の厚みの総和は3μm)を作製した。
【0052】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリプロピレン製カップ表面に転写により可逆熱変色性の星形パターンを形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記カップと実施例2のカップの転写部分のフェードメーターによる耐光性促進試験結果を以下の表に示す。
なお、耐光性試験評価は以下のとおりである。
○:初期濃度を維持している。
△:濃度が半減している。
×:殆ど退色している。
【0053】
【表5】
【0054】
比較例1
可逆熱変色性転写シートの作製(図8参照)
第2の樹脂層を形成しないことを除いて、実施例1と同様にして可逆熱変色性転写シート(第1樹脂層の厚み:1μm)を作製した。
【0055】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリカーボネート製の筆記具軸胴表面に転写により可逆熱変色性の花柄を形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記軸胴表面の花柄部分は皮膜強度が不十分であるため指触による擦過により損傷し、接着性試験においても容易に剥離した。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の可逆熱変色性転写シートの一実施例の縦断面図である。
【図2】本発明の可逆熱変色性転写シートの他の実施例の縦断面図である。
【図3】本発明の可逆熱変色性転写シートの他の実施例の縦断面図である。
【図4】本発明の可逆熱変色性転写シートの他の実施例の縦断面図である。
【図5】本発明の可逆熱変色性転写シートの他の実施例の縦断面図である。
【図6】本発明の可逆熱変色性転写シートの他の実施例の縦断面図である。
【図7】本発明の可逆熱変色性転写シートの他の実施例の縦断面図である。
【図8】従来の可逆熱変色性転写シートの縦断面図である。
【図9】加熱消色型の可逆熱変色性材料の変色挙動を示す説明図である。
【図10】色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性材料の変色挙動を示す説明図である。
【図11】加熱発色型の可逆熱変色性材料の変色挙動を示す説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1 可逆熱変色性転写シート
2 基体シート
3 第一の樹脂層
4a 第二の樹脂層(硬化型)
4b 第二の樹脂層(非硬化型)
5 可逆熱変色層
6a 第三の樹脂層(硬化型)
6b 第三の樹脂層(非硬化型)
7 接着剤層
8 非変色性着色剤層
t1 加熱消色型の可逆熱変色性材料の完全発色温度
t2 加熱消色型の可逆熱変色性材料の発色開始温度
t3 加熱消色型の可逆熱変色性材料の消色開始温度
t4 加熱消色型の可逆熱変色性材料の完全消色温度
T1 加熱発色型の可逆熱変色性材料の完全消色温度
T2 加熱発色型の可逆熱変色性材料の消色開始温度
T3 加熱発色型の可逆熱変色性材料の発色開始温度
T4 加熱発色型の可逆熱変色性材料の完全発色温度
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製品への転写に適した可逆熱変色性転写シート及びそれを用いた可逆熱変色性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、布帛、プラスチック製品、陶磁器等に可逆熱変色像を形成する手段としては、スクリーン印刷等の各種印刷方法が用いられている。しかし、これらの方法は予めアンカー層を印刷して可逆熱変色層を設け、更に保護層を設けるといった多くの工程を必要とする場合が多く、少ロット印刷にはコスト面から不向きであると共に、作製に長時間を要したり、印刷対象が立体物である場合は複雑な図柄や微細なパターンの印刷が困難であった。
これらの問題を解消するため、基体シートに予め印刷像を形成し、転写によって可逆熱変色像を物品表面に形成できる可逆熱変色性転写シートが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前記転写シートは物品の内側に転写するため、該物品が透明素材に限定されると共に、物品の外表面に適用しても耐擦過性を十分に満足させるものではない。
【特許文献1】特開平7−276777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記した従来の転写シートの問題点を解消しようとするものであって、即ち、物品として特にプラスチック製品の外表面に形成した像の耐擦過性に優れると共に、接着性、耐光性等の諸性能が多種多様な各種プラスチック製品に要求される実用的性能を満たす可逆熱変色性転写シート及びそれを用いた可逆熱変色性転写物品を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、基体シート上に、基体シートに対して剥離性を有する第一の樹脂層、第二の樹脂層、可逆熱変色層、接着剤層が順次積層されてなる可逆熱変色性転写シートを要件とする。
更には、前記第二の樹脂層が複数の層により形成されてなること、前記第一の樹脂層と第二の樹脂層の膜厚の総和が2〜10μmであること、前記可逆熱変色層と接着剤層の間に第三の樹脂層を介在してなること、前記第三の樹脂層が複数の層により形成されてなること、前記第二の樹脂層及び/又は第三の樹脂層が硬化型樹脂により形成されてなること、可逆熱変色層に接する第二の樹脂層及び第三の樹脂層が硬化型樹脂により形成されてなること、前記第一の樹脂層及び/又は第二の樹脂層の少なくとも一層に紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含んでなること、前記第三の樹脂層中に隠蔽性顔料を含んでなること、前記接着剤層中に隠蔽性顔料を含んでなること、前記可逆熱変色層中に隠蔽性顔料を含んでなること、非変色性着色層を有してなること、前記可逆熱変色層中に含まれる可逆熱変色性材料が、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体とからなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料であること等を要件とする。
更には、前記可逆熱変色性転写シートを用いて外表面に可逆熱変色像を設けてなる可逆熱変色性物品を要件とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、物品の外表面に形成した像の耐擦過性に優れ、繰り返しの使用によっても可逆熱変色機能の持続性を満たすと共に、物品に対する接着性や耐光性といった性能も満足させることのできる実用性に優れた可逆熱変色性転写シート及びそれを用いた可逆熱変色性転写物品を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の転写シートに用いられる基体シートは、第一の樹脂層に対して剥離可能であれば特に材質が限定されるものではなく、紙、合成紙、プラスチックフィルム、金属箔等が用いられる。
前記合成紙としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリプロピレン、ポリスチレン等を用いた各種合成紙などが挙げられる。
プラスチックフィルムを構成するポリマーとしては、種々の樹脂(熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂)が使用でき、通常、熱可塑性樹脂が使用される。
熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニルアルコール系樹脂が挙げられる。
前記樹脂のうち、通常、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが使用され、特に、機械的強度、耐熱性、作業性などの点からポリエステル系樹脂が好適である。
金属箔としては、アルミニウム箔や銅箔が挙げられる。
なお、前記基体シートは不透明の他、半透明や透明であってもよい。
【0007】
前記基体シート上に形成される剥離性を有する第一の樹脂層は、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂等の従来より汎用の樹脂により形成される層であり、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤、あるいはこれらの複合型離型剤を含有させて基体シートから剥離可能に構成される。
前記第一の樹脂層は、物品に転写して基体シートを剥離すると、物品の外表面に位置する層であり、物品に転写された後は下層の可逆熱変色層を保護する層として機能する。
なお、剥離性や耐擦過性を損なわない範疇で各種紫外線吸収剤や光安定剤を配合して耐光性を向上させることもできる。
その他、必要により、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、結晶性セルロース等のマット剤、帯電防止剤等を含有させることができる。
【0008】
前記第一の樹脂層上に形成される第二の樹脂層は、前記第一の樹脂層と共に耐擦過性を向上させると共に、各種の物品に応じて必要な性能付与に利用可能な層である。
例えば、耐光性が必要な用途には、各種紫外線吸収剤や光安定剤を配合することができる。この際、第一の樹脂層中にも紫外線吸収剤や光安定剤を配合すると、いっそう耐光性を向上させることができる。
耐水性を向上させる場合には、前記樹脂として硬化型樹脂を用いることができる。
前記硬化型樹脂とは、樹脂分子中に反応性の官能基を有してなり、硬化剤と反応、或いは、自己重合や自己縮合等の架橋反応により三次元構造を形成可能な樹脂であり、緻密な構造の樹脂層を形成できるため、該層の皮膜強度や接着性がいっそう向上する。
なお、前記第二の樹脂層は単一層であってもよいが、複数の層により形成し、各層に種々の特性を付与させることもできる。
例えば、飲料用容器、風呂用品、台所用品等の水が付着する機会の多い物品に適用する場合には、耐水性を向上させる複数の第二の樹脂層を設けたり、光が照射される機会の多い物品に適用する場合には、第二の樹脂層のうち一方の層には紫外線吸収剤を配合して耐光性を向上させ、他方の層は硬化型樹脂により形成して耐水性を向上させることができ、転写対象となる物品に必要な皮膜性能に応じて、第一の樹脂層を含めたこれらの保護層を設計することができる。
なお、紫外線吸収剤と硬化型樹脂が反応して黄変する場合には、紫外線吸収剤を含む層と、硬化型樹脂により形成される層を別々に設けることにより、黄変を防止しつつ、耐光性と耐水性を付与できる。
前記第二の樹脂層に適用される樹脂は第一の樹脂層に適用される樹脂と同様のものが用いられ、特に限定されるものではないが、第一の樹脂層や可逆熱変色層との親和性に優れた樹脂を用いることが好ましい。
【0009】
前記第一の樹脂層と第二の樹脂層の膜厚の総和は2〜10μm、好ましくは3〜7μm、より好ましくは3〜5μmである。
2μm未満では所望の耐擦過性を維持でき難く、10μmを超えると保護層としての機能は満たすものの必要以上の膜厚となり、皮膜全体の膜厚も大きくなって物品に転写した際に表面で突出感(盛り上り)を与えて商品性を損なうことがある。
【0010】
前記第二の樹脂層上に形成される可逆熱変色層は、可逆熱変色性材料を含む層であって、可逆熱変色性材料としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載の(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む加熱消色型の可逆熱変色性材料が利用できる。
前記可逆熱変色性材料は所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、完全消色温度以上の温度域で消色状態、完全発色温度以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しない。即ち、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する(図9参照)。
【0011】
また、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報、特開2005−1369号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t1)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t4)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t2〜t3の間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩を記憶保持できる加熱消色型の可逆熱変色性材料も適用できる(図10参照)。
【0012】
更に、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11−129623号公報、特開平11−5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51−44706号公報、特開2003−253149号公報)加熱発色型の可逆熱変色性材料を適用することもできる(図11参照)。
【0013】
前記可逆熱変色性材料は、前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分を必須成分とする相溶体であり、各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜100、好ましくは0.1〜50、より好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200、より好ましくは5〜100の範囲である(前記割合はいずれも重量部である)。
【0014】
前記三成分から少なくともなる均質相溶混合物は、マイクロカプセルに内包させて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を形成することが好ましく、カプセル膜壁で保護することによって酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化学的に活性な物質又は他の溶剤成分と接触しても、その機能を低下させることがないことは勿論、耐熱安定性を向上させることができる。
更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセルは、平均粒子径0.5〜15μm、好ましくは1〜10μmより好ましくは2〜5μmの範囲が実用性を満たす。
前記マイクロカプセルは、内包物/壁膜=7/1〜1/1(重量比)の範囲が有効であり、壁膜の比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、内包物/壁膜=6/1〜1/1(重量比)である。
前記マイクロカプセル化は、従来より公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン−ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。
【0015】
前記可逆熱変色層は、可逆熱変色性材料をビヒクル中に分散したインキや塗料を用いて、従来より公知の方法により第二の樹脂層上に形成できる。
前記可逆熱変色層に適用される樹脂は第一の樹脂層に適用される樹脂と同様のものが用いられ、特に限定されるものではないが、第二の樹脂層や粘着剤層との親和性に優れた樹脂を用いることが好ましい。
なお、前記可逆熱変色層中には、一般の有色染料や顔料を含有させて有色(1)から有色(2)の色変化を発現させたり、物品の色調が色変化に影響を与えないようにするため、隠蔽性顔料を含有させることもできる。
【0016】
前記可逆熱変色層上に形成される粘着剤層は、前記した樹脂層及び可逆熱変色層からなる可逆熱変色像を物品に接着する層である。
前記粘着剤層中に含まれる粘着性樹脂は、物品との親和性が高い樹脂が好ましく、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、クマロンインデン樹脂等が挙げられる。
なお、前記粘着剤層中にはブロッキングを防止するために、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、バリウム等の無機質充填剤を配合したり、物品の色調が可逆熱変色層の色変化に影響を与えないようにするため、隠蔽性顔料を含有させることができる。
【0017】
前記可逆熱変色層と接着剤層の間には第三の樹脂層を設けることもできる。
前記第三の樹脂層は、可逆熱変色層と接着剤層の接着性を向上させたり、物品の色調が可逆熱変色層の色変化に影響を与えないようにするため、隠蔽性顔料を含有させる目的で形成される。
また、耐水性を向上させるために、硬化型樹脂により形成することもできる。
更に、第三の樹脂層を硬化型樹脂により形成すると共に、前述した第二の樹脂層のうち、可逆熱変色層と接する層も硬化型樹脂により形成して、可逆熱変色層を硬化型樹脂で挟着することにより、いっそう耐水性を向上させることができる。
なお、前記第三の樹脂層は単一層であってもよいが、複数の層により形成し、各層に種々の特性を付与させることもできる。
【0018】
前記可逆熱変色層、粘着剤層、第三の樹脂層に含有させることのできる隠蔽性顔料は、白色顔料が好適に用いられる。
前記白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、シリカ、マイカ、ベントナイト等を例示できる。
これらの白色顔料のうち、酸化チタンが好適であり、結晶型はアナターゼ型であってもよいが、屈折率が大きくて隠蔽力に優れる点から、ルチル型が好ましい。
前記白色顔料の平均粒子径は0.01〜3μm、好ましくは0.05〜2μm、さらに好ましくは0.1〜1μmである。白色顔料の平均粒子径が小さすぎると隠蔽性が充分でなく、大きすぎると接着性が損なわれる。
前記白色顔料は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0019】
前記転写シートには、一般有色染料や顔料を含む非変色性着色層(非変色性着色像)を設けることもできる。
前記非変色性着色層(非変色性着色像)は、第一の樹脂層と第二の樹脂層の間、或いは、第二の樹脂層と可逆熱変色層の間に設けて、常に視認される層(像)であってもよいし、可逆熱変色層と粘着剤層の間に設けて可逆熱変色層の発消色により隠顕する層(像)であってもよい。なお、第三の樹脂層を設ける場合、非変色性着色層(非変色性着色像)は
可逆熱変色層と第三の樹脂層の間に設けてもよいが、第三の樹脂層と粘着剤層の間に設ける構成が製造時の非変色性着色層用のインキ転移性に優れるため、好適である。
更には、可逆熱変色層を設けていない部分に形成することもできる。
【0020】
本発明の転写シートは、基体シート上に、各層を順次形成することにより製造できる。すなわち、基体シートの積層する側に、第一の樹脂層を形成した後、第二の樹脂層、可逆熱変色層、粘着剤層を順次形成することにより製造できる。
各層は慣用の方法、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷方法や、グラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法がある。
前記第一の樹脂層、第二の樹脂層、可逆熱変色層、粘着層以外の層を設ける場合、その方法は前記と同様である。
【0021】
本発明の転写シートには可逆熱変色性材料を用いるが、可逆熱変色性材料が前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分からなる材料の場合、染料〔(イ)成分〕以外の成分を多く含むため一般の着色剤に較べて色濃度が低い。
この問題を解消するため、層中の可逆熱変色性材料の含有量を増加させることが考えられるが、バインダー樹脂の比率が低下して接着性など皮膜強度が低下する。
一方、インキの塗布量を多くすることも考えられるが、膜厚が大となるため実用的な皮膜硬度を満たし難くなる。
一般の顔料を着色剤とする転写シートでは剥離性を備えた樹脂層のみを保護層としたり、保護層を設けず着色層のバインダーのみで実用的な皮膜性能を得ることが可能であるとしても、可逆熱変色材料を着色剤として用いた転写シートを布帛、紙等のように繊維間にインキが保持されることのないプラスチックのような不浸透材に適用する場合には、従来の転写シートの皮膜構成では実用レベルの皮膜性能を得ることができない。
しかし、本発明のように樹脂層を多層構造となし、各種転写物品に要求される皮膜性能を各樹脂層に機能分担させる構成により、必要な性能を付与できる。
【0022】
本発明の転写シートを転写する物品としては、繊維、紙、木材、セラミックス、金属等を材料とする物品であってもよいが、各種プラスチック材料から成形されたプラスチック製品が好適である。
なお、前記物品は平面物、立体物のいずれであってもよい。
【実施例】
【0023】
以下に本発明の実施例を示すが本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施例中の部は重量部を表す。
以下の表に第一の樹脂層、第二の樹脂層、第三の樹脂層を形成する際に適用される塗布液の組成を示す。
【0024】
【表1】
【0025】
以下の表に可逆熱変色性材料の組成と、それを内包したマイクロカプセル顔料の平均粒子径、変色温度、色変化を示す。
【0026】
【表2】
【0027】
以下の表に可逆熱変色層を形成する際に適用されるインキの組成を示す。
【0028】
【表3】
【0029】
以下の表に粘着剤層を形成する際に適用される塗布液の組成を示す。
【0030】
【表4】
【0031】
実施例1
可逆熱変色性転写シートの作製(図1参照)
基体シート(2)としてポリエステルフィルム(16μm厚)を用い、前記フィルムの片面に剥離性の樹脂層用インキ1、樹脂層用インキ1をグラビア印刷により順次印刷し、第1の樹脂層(3)及び第2の樹脂層(4a)を形成した。
さらに、前記第2の樹脂層上に、可逆熱変色性材料をエポキシ樹脂皮膜で内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aを含む可逆熱変色性インキ1を用いて花柄をグラビア印刷し、可逆熱変色層(5)を形成した(前記樹脂層の厚みの総和は3μm)。
次いで、接着剤層用インキ1をグラビア印刷し、接着剤層(7)を形成した後、150℃、1分間の熱処理を行い可逆熱変色性転写シート(1)を作製した。
【0032】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリカーボネート製の筆記具用軸胴にロール転写機を用いて加圧・加熱下で転写を行い、軸胴表面に可逆熱変色性の花柄を形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記軸胴の花柄は室温(25℃)ではピンク色であるが32℃以上の温度に加温すると白色となり、室温に放置すると再びピンク色となった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分の接着性も良好であった。
なお、接着性試験はクロスカット粘着テープ剥離試験(JIS K 5400)に準じて行った。
【0033】
実施例2
可逆熱変色性転写シートの作製(図2参照)
実施例1と同様にして第1の樹脂層(3)及び第2の樹脂層(4a)を形成した後、可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂皮膜で内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bを含む可逆熱変色性インキ2を用いて星形パターンをグラビア印刷し、可逆熱変色層(5)を形成した。
次いで、前記可逆熱変色層上に、樹脂層用インキ2による第3の樹脂層(6b)、接着剤層用インキ2による接着剤層(7)をグラビア印刷により形成した後、150℃、1分間の熱処理を行い可逆熱変色性転写シート(1)を作製した。
【0034】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリプロピレン製カップにロール転写機を用いて加圧・加熱下で転写を行い、カップ表面に可逆熱変色性の星形パターンを形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記カップの星形パターンは室温(25℃)では白色であるが、13℃以下の温度に冷却すると青色となり、室温に放置すると再び白色となった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分を水中(25℃)に24時間浸漬した後の接着性も良好であった。
【0035】
実施例3
可逆熱変色性転写シートの作製(図3参照)
実施例1と同様にして第1の樹脂層(3)及び第2の樹脂層(4a)を形成し、可逆熱変色性インキ1によるハート形パターンの可逆熱変色層(5)、樹脂層用インキ1による第3の樹脂層(6a)、樹脂層用インキ2による第3の樹脂層(6b)、接着剤層用インキ2による接着剤層(7)をグラビア印刷により形成した後、150℃で1分間の熱処理を行い可逆熱変色性転写シート(1)を作製した。
【0036】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリプロピレン製風呂桶にロール転写機を用いて加圧・加熱下で転写を行い、風呂桶表面に可逆熱変色性のハート形パターンを形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記風呂桶表面のハート形パターンは室温(25℃)ではピンク色であるが32℃以上の温度に加熱すると白色となり、室温に放置すると再びピンク色となった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分を温水中(40℃)に24時間浸漬した後の接着性も良好であった。
【0037】
実施例4
可逆熱変色性転写シートの作製(図4参照)
基体シート(2)としてポリエステルフィルム(16μm厚)を用い、前記フィルムの片面に剥離性樹脂層用インキ1、樹脂層用インキ3、樹脂層用インキ1をグラビア印刷により順次印刷し、第1の樹脂層(3)、第2の樹脂層(4b)、第2の樹脂層(4a)を形成した(前記樹脂層の厚みの総和は5μm)。
次いで可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂皮膜で内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Cを含む可逆熱変色性インキ3を用いて第2の樹脂層上に花柄をグラビア印刷し、可逆熱変色層(5)を形成した。
更に前記可逆熱変色層上に、樹脂層用インキ1による第3の樹脂層(6a)、樹脂層用インキ2による第3の樹脂層(6b)、接着剤層用インキ2による接着剤層(7)をグラビア印刷により形成した後、150℃で1分間の熱処理を行い可逆熱変色性転写シート(1)を作製した。
【0038】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリプロピレン製風呂用玩具(船)にロール転写機を用いて転写を行い、玩具表面に可逆熱変色性の花柄を形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記玩具の花柄部分は15℃以下の温度まで冷却されると赤色となり、この状態から32℃未満の温度まで加温されても前記状態を維持しているが、32℃以上になると黄色に変色し、この変色状態から冷却すると15℃以下の温度で再び赤色となった。
前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分を温水中(40℃)に24時間浸漬した後の接着性も良好であった。
【0039】
実施例5
可逆熱変色性転写シートの作製(図2参照)
実施例1と同様にして第1の樹脂層(3)及び第2の樹脂層(4a)を形成した後、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Bを含む可逆熱変色性インキ4を用いて星形パターンをグラビア印刷し、可逆熱変色層(5)を形成した。
更に前記可逆熱変色層上に、樹脂層用インキ4による第3の樹脂層(6b)、接着剤層用インキ2による接着剤層(7)をグラビア印刷により形成した後、150℃で1分間の熱処理を行い可逆熱変色性転写シート(1)を作製した。
【0040】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として半透明ポリプロピレン製カップにロール転写機を用いて転写を行い、カップ表面に可逆熱変色性の星形パターンを形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記カップの星形パターンは室温(25℃)ではピンク色であるが13℃以下の温度に冷却すると紫色に変色し、室温に放置すると再びピンク色となった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分を水中(25℃)に24時間浸漬した後の接着性も良好であった。
【0041】
実施例6
可逆熱変色性転写シートの作製(図2参照)
実施例2の接着剤層を接着剤層用インキ3による接着剤層に変更したことを除いて、実施例2と同様にして可逆熱変色性転写シートを作製した。
【0042】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として黄色ポリプロピレン製カップにロール転写機を用いて転写を行い、カップ表面に可逆熱変色性の星形パターンを形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記カップの星形パターンは室温(25℃)では白色であるが13℃以下の温度に冷却すると青色に変色し、室温に放置すると再び白色となった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分を水中(25℃)に24時間浸漬した後の接着性も良好であった。
【0043】
実施例7
可逆熱変色性転写シートの作製(図2参照)
可逆熱変色層として可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Aを含む可逆熱変色性インキ5を用い、接着剤層を接着剤層用インキ4による接着剤に変更したことを除いて、実施例2と同様にして可逆熱変色性転写シートを作製した。
【0044】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として透明アクリル樹脂製小物入れにロール転写機を用いて転写を行い、小物入れの表面に可逆熱変色性の星形パターンを形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記小物入れの星形パターンは室温(25℃)ではパステル調のピンク色であるが、32℃以上の温度になると白色となり、室温(25℃)に放置すると再びパステル調のピンク色となった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、接着性も良好であった。
【0045】
実施例8
可逆熱変色性転写シートの作製(図5参照)
基体シート(2)としてポリエステルフィルム(16μm厚)を用い、前記フィルムの片面に剥離性樹脂層用インキ1による第1の樹脂層(3)、非変色性油性グラビア印刷用インキ(紫色)による花柄の非変色性着色層(8)、樹脂層用インキ1による第2の樹脂層(4a)をグラビア印刷により順次形成した。
更に前記第2の樹脂層上の非変色性着色層が印刷されていない部分に可逆熱変色性インキ1による花柄の可逆熱変色層(5)、樹脂層用インキ2による第3の樹脂層(6b)、接着剤層用インキ2による接着剤層(7)をグラビア印刷により形成した後、150℃で1分間の熱処理を行い可逆熱変色性転写シート(7)を作製した。
【0046】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリプロピレン製弁当箱にロール転写機を用いて転写を行い、弁当箱表面に非変色性部分(紫色)及び可逆熱変色性部分よりなる花柄を形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記弁当箱の可逆熱変色性の花柄は室温(25℃)では赤色であるが、32℃以上の温度になると白色となり、室温(25℃)に放置すると再び赤色となった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分を水中(25℃)に24時間浸漬した後の接着性も良好であった。
【0047】
実施例9
可逆熱変色性転写シートの作製(図6参照)
実施例1と同様にして剥離性樹脂層用インキ1による第1の樹脂層(3)及び樹脂層用インキ1による第2の樹脂層(4a)を形成した後、可逆熱変色性組成物をエポキシ樹脂皮膜で内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料Dを含む可逆熱変色性インキ6を用いて円形の可逆熱変色層(5)を形成した。
更に樹脂層用インキ2による第3の樹脂層(6b)を形成し、次いで第3の樹脂層上から可逆熱変色層部分に非変色性油性グラビアインキ(黄色、赤色、緑色)による花柄の非変色性着色剤層(8)、及び接着剤層用インキ2による接着剤層(7)をグラビア印刷により形成した後、150℃で1分間の熱処理を行い可逆熱変色性転写シート(1)を作製した。
【0048】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリプロピレン製カップの表面に円形の図柄部分をロール転写機を用いて転写して可逆熱変色性物品を得た。
前記カップの転写部分は室温(25℃)では黒色であるが、42℃以上の温度になると黒色部分が無色となり、3色の花柄が現れた。この状態から室温(25℃)に放置すると39℃以下の温度で再び黒色となり前記花柄は視認できなくなった。前記色変化は繰り返し再現することができた。
また、転写部分の耐擦過性は良好であり、転写部分を水中(25℃)に24時間浸漬した後の接着性も良好であった。
【0049】
実施例10
可逆熱変色性転写シートの作製(図7参照)
第2樹脂層を樹脂層用インキ3により形成したことを除き、実施例2と同様にして作製した可逆熱変色性転写シート(第1樹脂層と第2樹脂層の厚みの総和は3μm)を用いて可逆熱変色性転写シートを作製した。
【0050】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリプロピレン製のカップに転写により可逆熱変色性の星形パターンを形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記カップの転写部分は耐擦過性及び乾燥時の接着性は良好であったが、転写部分を水中(25℃)に24時間浸漬した後の接着性試験においては実施例2で作製した軸胴と比較してやや剥離し易かった。
【0051】
実施例11(図2参照)
可逆熱変色性転写シートの作製
第1の樹脂層を剥離性樹脂層用インキ2により形成したことを除き、実施例2と同様にして可逆熱変色性転写シート(第1樹脂層と第2樹脂層の厚みの総和は3μm)を作製した。
【0052】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリプロピレン製カップ表面に転写により可逆熱変色性の星形パターンを形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記カップと実施例2のカップの転写部分のフェードメーターによる耐光性促進試験結果を以下の表に示す。
なお、耐光性試験評価は以下のとおりである。
○:初期濃度を維持している。
△:濃度が半減している。
×:殆ど退色している。
【0053】
【表5】
【0054】
比較例1
可逆熱変色性転写シートの作製(図8参照)
第2の樹脂層を形成しないことを除いて、実施例1と同様にして可逆熱変色性転写シート(第1樹脂層の厚み:1μm)を作製した。
【0055】
可逆熱変色性物品の作製
前記可逆熱変色性転写シートを用いて、物品として白色ポリカーボネート製の筆記具軸胴表面に転写により可逆熱変色性の花柄を形成して可逆熱変色性物品を得た。
前記軸胴表面の花柄部分は皮膜強度が不十分であるため指触による擦過により損傷し、接着性試験においても容易に剥離した。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の可逆熱変色性転写シートの一実施例の縦断面図である。
【図2】本発明の可逆熱変色性転写シートの他の実施例の縦断面図である。
【図3】本発明の可逆熱変色性転写シートの他の実施例の縦断面図である。
【図4】本発明の可逆熱変色性転写シートの他の実施例の縦断面図である。
【図5】本発明の可逆熱変色性転写シートの他の実施例の縦断面図である。
【図6】本発明の可逆熱変色性転写シートの他の実施例の縦断面図である。
【図7】本発明の可逆熱変色性転写シートの他の実施例の縦断面図である。
【図8】従来の可逆熱変色性転写シートの縦断面図である。
【図9】加熱消色型の可逆熱変色性材料の変色挙動を示す説明図である。
【図10】色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性材料の変色挙動を示す説明図である。
【図11】加熱発色型の可逆熱変色性材料の変色挙動を示す説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1 可逆熱変色性転写シート
2 基体シート
3 第一の樹脂層
4a 第二の樹脂層(硬化型)
4b 第二の樹脂層(非硬化型)
5 可逆熱変色層
6a 第三の樹脂層(硬化型)
6b 第三の樹脂層(非硬化型)
7 接着剤層
8 非変色性着色剤層
t1 加熱消色型の可逆熱変色性材料の完全発色温度
t2 加熱消色型の可逆熱変色性材料の発色開始温度
t3 加熱消色型の可逆熱変色性材料の消色開始温度
t4 加熱消色型の可逆熱変色性材料の完全消色温度
T1 加熱発色型の可逆熱変色性材料の完全消色温度
T2 加熱発色型の可逆熱変色性材料の消色開始温度
T3 加熱発色型の可逆熱変色性材料の発色開始温度
T4 加熱発色型の可逆熱変色性材料の完全発色温度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体シート上に、基体シートに対して剥離性を有する第一の樹脂層、第二の樹脂層、可逆熱変色層、接着剤層が順次積層されてなる可逆熱変色性転写シート。
【請求項2】
前記第二の樹脂層が複数の層により形成されてなる請求項1記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項3】
前記第一の樹脂層と第二の樹脂層の膜厚の総和が2〜10μmである請求項1又は2記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項4】
前記可逆熱変色層と接着剤層の間に第三の樹脂層を介在してなる請求項1乃至3のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項5】
前記第三の樹脂層が複数の層により形成されてなる請求項4記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項6】
前記第二の樹脂層及び/又は第三の樹脂層が硬化型樹脂により形成されてなる請求項1乃至5のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項7】
前記可逆熱変色層に接する第二の樹脂層及び第三の樹脂層が硬化型樹脂により形成されてなる請求項6記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項8】
前記第一の樹脂層及び/又は第二の樹脂層の少なくとも一層に紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含んでなる請求項1乃至7のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項9】
前記第三の樹脂層中に隠蔽性顔料を含んでなる請求項4乃至8のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項10】
前記接着剤層中に隠蔽性顔料を含んでなる請求項1乃至9のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項11】
前記可逆熱変色層中に隠蔽性顔料を含んでなる請求項1乃至10のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項12】
非変色性着色層を有してなる請求項1乃至11のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項13】
前記可逆熱変色層中に含まれる可逆熱変色性材料が、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体とからなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料である請求項1乃至12のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シートを用いて外表面に可逆熱変色像を設けてなる可逆熱変色性物品。
【請求項1】
基体シート上に、基体シートに対して剥離性を有する第一の樹脂層、第二の樹脂層、可逆熱変色層、接着剤層が順次積層されてなる可逆熱変色性転写シート。
【請求項2】
前記第二の樹脂層が複数の層により形成されてなる請求項1記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項3】
前記第一の樹脂層と第二の樹脂層の膜厚の総和が2〜10μmである請求項1又は2記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項4】
前記可逆熱変色層と接着剤層の間に第三の樹脂層を介在してなる請求項1乃至3のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項5】
前記第三の樹脂層が複数の層により形成されてなる請求項4記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項6】
前記第二の樹脂層及び/又は第三の樹脂層が硬化型樹脂により形成されてなる請求項1乃至5のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項7】
前記可逆熱変色層に接する第二の樹脂層及び第三の樹脂層が硬化型樹脂により形成されてなる請求項6記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項8】
前記第一の樹脂層及び/又は第二の樹脂層の少なくとも一層に紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含んでなる請求項1乃至7のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項9】
前記第三の樹脂層中に隠蔽性顔料を含んでなる請求項4乃至8のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項10】
前記接着剤層中に隠蔽性顔料を含んでなる請求項1乃至9のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項11】
前記可逆熱変色層中に隠蔽性顔料を含んでなる請求項1乃至10のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項12】
非変色性着色層を有してなる請求項1乃至11のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項13】
前記可逆熱変色層中に含まれる可逆熱変色性材料が、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体とからなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料である請求項1乃至12のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シート。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載の可逆熱変色性転写シートを用いて外表面に可逆熱変色像を設けてなる可逆熱変色性物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−98778(P2007−98778A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291846(P2005−291846)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【出願人】(591023859)株式会社千代田グラビヤ (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【出願人】(591023859)株式会社千代田グラビヤ (13)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]