説明

台所用液体洗浄剤組成物

【課題】低皮膚刺激性であり、油汚れに対する洗浄性を向上させ、泡の持続性に優れ、洗い流し時のすすぎ性が良好で、使用後のしっとり感やすべすべ感といった感触に優れた台所用液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体を0.1〜5質量%、(b)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を5〜60質量%、及び、(c)下記式(II)で示される第3アミンオキシドを0.1〜5質量%、を含有することを特徴とする台所用液体洗浄剤組成物。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は台所用液体洗浄剤組成物、特にその洗浄性や使用感の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
台所用液体洗浄剤は、食器などの油汚れを除去するために日常的に使用されている。台所用液体洗浄剤に望まれる機能としては、油汚れに対する洗浄性以外にも、使用時に皮膚に触れることが多いために、マイルドで皮膚刺激性が低い組成物であることが望まれている。また使用時は、泡立ちが低下したところで、追加して使用するのが一般的であるため、少量の使用量で泡が持続でき、なおかつすすぎ性が良好なものが望まれている。
【0003】
台所用液体洗浄剤には、洗浄性および起泡性成分として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩などの陰イオン性界面活性剤、高級脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、アミドプロピルベタインなどの両性界面活性剤と第3アミンオキシドを組合せて用いられている。第3アミンオキシドは、洗浄性の向上、泡質の安定をもたらし、かつ、皮膚に対してマイルドであるために前述の界面活性剤と併用される。しかし、第3アミンオキシドを併用すると、皮膚刺激性は緩和されるが、しっとり感やすべすべ感、さっぱり感といった使用後の感触の面で劣るといった問題があった。
【0004】
この問題を解決する手段として、洗浄性および起泡性成分である界面活性剤に低刺激性を追究した提案が種々なされている。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、アミンオキシドおよび糖エステル系界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物の提案(例えば特許文献1)がなされている。しかしながら、これらは皮膚に対してはマイルドで低刺激ではあるが、すすぎ性や使用後のすべすべ感やしっとり感は十分ではなかった。
【0005】
また、スルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩またはアルキル硫酸エステル塩、オキシブチレン基を含有する直鎖型非イオン性界面活性剤、アミンオキシドを必須成分とする台所用液体洗浄剤組成物の提案もなされている(例えば特許文献2)。しかし、直鎖型非イオン性界面活性剤では洗浄性及び泡の持続性が十分ではなく、さらに末端水酸基を持つ構造物では皮膚刺激性において満足のいく効果が得られていなかった。
【0006】
さらに、界面活性剤とサポニンを必須成分とする台所用液体洗浄剤組成物の提案もなされている(例えば特許文献3)。しかし、サポニンは界面活性剤の生分解を促進するものの、洗浄性及び泡の持続性が十分ではなく、さらに感触(特に使用後のさっぱり感)において、十分満足のいく効果が得られていなかった。
2種の異なる陰イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール、泡安定化界面活性剤、任意成分を必須成分とする手洗い用台所洗剤組成物の提案もなされている(例えば特許文献4)が、本提案も感触(特に使用後のさっぱり感)において、十分満足のいく効果が得られていなかった。
また、末端水酸基にアルキル基を導入した直鎖型ポリアルキレンオキシドジアルキルエーテルを配合した提案(例えば特許文献5)もなされているが、直鎖型末端アルキルエーテル化物では、油汚れに対する泡の持続性において不十分であった。
【特許文献1】特開平3−188195号公報
【特許文献2】特開2002−226887号公報
【特許文献3】特開平10−324893号公報
【特許文献4】特開2004−51958号公報
【特許文献5】特許第4090330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑み行なわれたものであり、その目的は低皮膚刺激性であり、油汚れに対する洗浄性を向上させ、泡の持続性に優れ、洗い流し時のすすぎ性が良好で、使用後の感触、特にさっぱり感に優れた台所用液体洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を行なった結果、特定構造を有するブロック型アルキレンオキシド誘導体を、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩および第3アミンオキシドと共に配合することにより、洗浄性、泡の持続性、すすぎ性に優れ、且つ皮膚に対する刺激性が低く、使用後の感触、特にさっぱり感に優れる台所用液体洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明にかかる台所用液体洗浄剤組成物は、(a)下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体を0.1〜5質量%、(b)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を5〜60質量%、及び、(c)下記式(II)で示される第3アミンオキシドを0.1〜5質量%、を含有することを特徴とする。
(化1)

(式中、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、これらの付加形態はブロック状である。a、およびbは、各々前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150であり、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は10〜99質量%である。Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
(化2)

(式中、Rは炭素数10〜20の炭化水素基、RまたはRは炭素数1〜4のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、mは平均付加モル数で、0≦m≦11である。)
【0010】
また、前記台所用液体洗浄剤組成物は、前記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体において、AOがオキシブチレン基であることが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特定構造を有するブロック型アルキレンオキシド誘導体を、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩および第3アミンオキシドと同時配合することにより、低皮膚刺激性であり、油汚れに対する洗浄性、および泡の持続性に優れ、洗い流し時のすすぎ性が良好で、なおかつ使用後の感触、特にさっぱり感に優れる非常に有用な台所用液体洗浄剤組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明にかかる台所用液体洗浄剤組成物は、(a)特定構造を有するブロック型アルキレンオキシド誘導体、(b)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及び、(c)特定構造を有する第3アミンオキシドをそれぞれ特定量含むものである。以下、前記必須成分について順次詳述する。
【0013】
(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体
本発明においては、下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体が適用し得る。
本発明にかかる台所用液体洗浄剤組成物は、下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体を含むものである。
(化1)

【0014】
式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体において、Zは、ダイマ−ジオールから水酸基を除いた残基、EOは炭素数2のオキシエチレン基である。AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、例として、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシt−ブチレン基などが挙げられる。好ましくは、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、さらに好ましくはオキシブチレン基である。これらの付加形態はブロック状である。
aおよびbは、各々前記オキシエチレン基、オキシアルキレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150である。好ましくは2≦2×a≦150、2≦2×b≦150、より好ましくは、2≦2×a≦120、10≦2×b≦130である。2×aが0、および2×aが150を越えると、台所用液体洗浄剤組成物に配合した場合に使用後のさっぱり感に劣る傾向にある。また2×bが0であると皮膚刺激性に劣る傾向になり、150を越えると使用後のさっぱり感に劣る傾向がある。
【0015】
前記式(I)中のAOとEOの合計に対するEOの割合は10〜99質量%であり、好ましくは20〜70質量%である。10質量%より小さいと皮膚刺激性に劣る傾向にある。
オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基の付加形態はブロック状であり、付加順序はダイマージオールに対して、AO、EOの順で結合している。
【0016】
Rは使用感触を良好にするための必須条件であり、炭素数1〜4の炭化水素基で、炭化水素基としては、メチル基、エチル基、N−プロピル基、イソプロピル基、N−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基およびこれらの混合基などが挙げられる。本発明においてはメチル基、エチル基であることが好ましい。炭素数が5より大きいと、起泡性が劣る傾向にある。
【0017】
式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体において、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基である。ここで、ダイマージオールとは、ダイマー酸を還元して得られるジオールである。
本発明に用いられるダイマージオールの原料となるダイマー酸は、不飽和脂肪酸又はその低級アルコールエステルを重合することによって得られる二量体である。具体的にはオレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等の不飽和脂肪酸又はこれらの低級アルコールのエステルをディールス・アルダー反応のような熱重合により反応させる方法又はその他の反応方法によって合成できる。生成したダイマー酸中に本発明の効果を損なわない範囲であれば未反応の脂肪酸が残っていても構わない。
ダイマー酸としては、炭素数12〜24の不飽和脂肪酸又はその低級アルコールエステルを二量化したものが好ましい。このような不飽和脂肪酸としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレイン酸およびこれらの炭素数1〜3の低級アルコールエステルなどが挙げられるが、好ましくは、炭素数18の不飽和脂肪酸であり、オレイン酸もしくは低級アルコールエステルが特に好ましい。
ダイマージオールは、動物油脂由来及び植物油脂由来のものが流通しており、本発明では何れも使用できるが、植物油脂由来のものがより好ましい。このようなダイマージオールとしては、コグニス・ジャパン社製Sovermol 908、ユニケマ社製PRIPOL 2033、東亞合成(株)製ペスポールHP−1000などが例示できる。
【0018】
本発明にかかる台所用液体洗浄剤組成物に配合されるアルキレンオキシド誘導体としては、具体的にはPOB(25)POE(34) ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(25)POE(35) ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(4)POE(13)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(25)POE(52)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(18)POE(41)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(18)POE(41)ジエチルダイマ−ジオールエーテル、POB(18)POE(41)ジプロプルダイマ−ジオールエーテル、POB(18)POE(41)ジブチルダイマ−ジオールエーテル、POB(11)POE(30)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(15)POE(45)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(18)POE(50)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(21)POE(56)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(12)POE(50)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(18)POE(61)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(3)POE(40)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(6)POE(82)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(40)POE(120)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POB(100)POE(40)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POE(35)POP(30)ジメチルダイマ−ジオールエーテル、POE(52)POP(30)ジメチルダイマ−ジオールエーテル等が挙げられる。
なお上記POE、POB、POPは、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシプロピレンの略であり、以下、このように略して記載することがある。
【0019】
本発明にかかる台所用液体洗浄剤組成物に配合されるブロック型アルキレンオキシド誘導体は、公知の方法で製造することができる。例えばダイマージオールに炭素数3〜4のアルキレンオキシド、エチレンオキシドを順に付加重合した後、ハロゲン化アルキルをアルカリ触媒の存在下にエーテル反応させることによって得られる。
【0020】
以上のようにして得られるブロック型アルキレンオキシド誘導体の配合量としては、本発明にかかる台所用液体洗浄剤組成物全量に対して0.1〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは1.0〜3質量%である。前記配合量が0.1質量%に満たないと、皮膚刺激性の低減が十分でないことがあり、配合量が3質量%を超えると、洗浄後のさっぱり感に劣る傾向にあり好ましくない。
【0021】
(b)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩
本発明に適用し得るポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は、炭素数8〜20のものを1種または2種以上用いることが好ましく、炭素数が12〜18のものがより好ましい。アルキル基の炭素数が8より小さいと、洗浄性に劣ることがあり、炭素数が20を超えると、すすぎ性および洗浄後のさっぱり感に劣ることがあり好ましくない。
【0022】
本発明において、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は塩基性化合物で中和されていることが好ましい。塩基性化合物としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属イオン、トリエタノールアミンなどのアミン性物質、リジンなどの塩基性アミノ酸等が挙げられ、特にアルカリ金属による中和が好適である。
【0023】
本発明にかかる台所用液体洗浄剤組成物における上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の配合量としては、組成物全量に対して5〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜30質量%である。前記配合量が5質量%に満たないと、油汚れに対する洗浄性が十分でないことがあり、60質量%を超えて配合すると、皮膚に対する刺激性に劣る傾向があり好ましくない。
【0024】
(c)第3アミンオキシド
本発明においては、下記式(II)で示される第3アミンオキシドが適用し得る。
(化2)

【0025】
前記式(II)で示される第3アミンオキシドにおいて、Rは炭素数10〜20の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数12〜18の炭化水素基である。このような炭化水素基としては、例えば、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、イソステアリル基などの直鎖型または分岐型の飽和炭化水素基、オレイル基、リノール基などの不飽和炭化水素基、ヤシ油アルキル基、牛脂アルキル基などの混合炭化水素基などが挙げられ、これらの1種または2種以上を組合せて用いることができる。
の炭素数が10より小さいと、皮膚刺激性に劣ることがあり、炭素数が20を超えると、すすぎ性および洗浄後のさっぱり感に劣ることがあり好ましくない。
【0026】
およびRは炭素数1〜4のアルキル基またはヒドロキシアルキル基である。このようなアルキル基またはヒドロキシアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシイソプロピル基、ヒドロキシブチル基などが挙げられ、特にメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシイソプロピル基が好ましい。
【0027】
mはオキシエチレン基の平均付加モル数を示し、0≦m≦11であり、好ましくは0≦m≦3である。mが11より大きくなると、洗浄性および泡の持続性が損なわれることがあり好ましくない。
本発明にかかる台所用液体洗浄剤組成物における上記第3アミンオキシドの配合量としては、組成物全量に対して0.1〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜3質量%である。前記配合量が0.1質量%に満たないと、洗浄性、泡の持続性および皮膚刺激性が低下し、5質量%を超えて配合すると、すすぎ性、使用後のさっぱり感に劣ることがあり好ましくない。
【0028】
本発明にかかる台所用液体洗浄剤組成物には、上記した必須成分(a)〜(c)の他、本発明の効果を損なわない範囲内において、通常洗浄剤に配合される成分を配合することができる。すなわち、本発明にかかる台所用液体洗浄剤組成物は、上記必須成分と下記のような任意成分を適宜配合し、通常洗浄剤組成物の製造において適用される方法により得ることができる。
任意成分としては、例えば、アルキルエーテルアルキルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、スルホベタイン等の両性界面活性剤、高級脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールとのエステル、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸ソルビタンエステルおよびそのエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、ポリエチレングリコール、低級アリールスルホン酸等のハイドロトロープ剤、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸誘導体、ニトリロトリ酢酸三ナトリウム等のキレート剤、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル等の防腐剤、抗炎症剤、色素、香料等が挙げられる。
【0029】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、配合量については特に断りのない限り、質量%で示す。
【0030】
下記表1に示す成分および配合量で、台所用液体洗浄剤組成物(試験例1〜10)を常法により調製し、その特性を評価した。
なお表中のアルキレンオキシド誘導体は、以下の構造を有するものを用いた。2×a=18、2×b=41の場合は、(BO)18(EO)41と表記する。以下にブロック型アルキレンオキシド誘導体の合成例について示す。
<合成例>
POB(18)POE(41) ジメチルダイマージオールエーテル
(化3)

(Z;炭素数36のダイマージオール、AO;オキシブチレン基、2×a=18、2×b=41、R=メチル基、EO58.2質量%)の合成
ダイマージオール270g(0.50モル、商品名:コグニスジャパン(株)製Sovermol 908、オレイン酸由来のダイマージオール)と水酸化カリウム7.0gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃にて触媒を完全に溶解させた。引き続き、120℃、0.2〜0.5MPa(ゲージ圧)にて、滴下装置よりブチレンオキシド648gを滴下させ、3時間撹拌した。続いて120℃、0.2〜0.5MPa(ゲージ圧)にて滴下装置よりオキシエチレン902gを滴下させ、2時間攪拌した。次に、水酸化カリウム100gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル80gを温度80〜130℃、0.3MPa(ゲージ圧)にて圧入し6時間反応させた。その後オートクレーブより反応物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を100℃で1時間処理することで除去した。さらに処理後生成した塩を除去するためにろ過を行い、目的化合物を得た。
【0031】
表1中の各評価項目は、以下の評価試験及び基準によるものである。評価結果も表1に併せて示す。
「評価(1):洗浄性」
リーナッツ改良洗浄試験法(JIS K−3370 4.9)に準じて行った。25℃で3分間洗浄(250rpm)後、1分間すすぎを行い、洗浄前後の重量より洗浄率(%)を下記式により求め、洗浄力を評価した。洗浄は各組成物の界面活性剤濃度が300ppmとなるように水で希釈して行った。なお、牛脂(10g)、大豆油(10g)、モノオレイン酸グリセリド(0.25g)、スダンIII(0.1g)をクロロホルム60mlに溶解したものを人工汚垢として用いた。
洗浄率(%)={(洗浄後のスライドガラス重量)−(汚垢付着前のスライドガラスの重量)}/(汚垢付着量)×100
洗浄力の値が70%以上であると十分な洗浄効果を有するものとした。一方70%未満であると洗浄効果は不十分であると評価した。
○:洗浄力が70%以上。
×:洗浄力が70%未満。
【0032】
「評価(2):泡の持続性」
200mlの有栓メスシリンダーに、各組成物を20g入れ、そこにサラダ油を1gずつ添加し、よく振とうさせて、泡の高さを測定した。高さが130mm以下となった時点でのサラダ油の添加量を測定し、○を合格とした。
○:3g以上添加しても泡の高さが130mm以上。
×:2g以下で、泡の高さが130mm未満。
【0033】
「評価(3):すすぎ性」
各組成物の濃度を0.075質量%となるように希釈した水溶液200mlを25℃に調整し、直径65mm×高さ140mmのカップに入れ、ミルサー(岩谷産業(株)製IMF−100)にて1分間撹拌する。次に、泡だった水溶液の水を捨て、200mlの水を入れ、よく振り、水を捨てる。この操作を泡が完全になくなるまで繰り返す。すすいだ回数を測定し、以下の基準に従い評価した。
○:すすぎ性が良好(2回まで)
×:すすぎ性が不良(3回以上)
【0034】
「評価(4):使用後のさっぱり感」
使用後の肌のさっぱり感の有無を専門パネラー10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。◎もしくは○をさっぱり感があるものと判断した。
◎…専門パネラー8名以上が、使用後さっぱり感があると認めた。
○…専門パネラー6名以上8名未満が、使用後さっぱり感があると認めた。
△…専門パネラー3名以上6名未満が、使用後さっぱり感があると認めた。
×…専門パネラー3名未満が、使用後さっぱり感があると認めた。
【0035】
「評価(5):皮膚刺激試験」
10名のパネルの上腕内側部に24時間の閉塞パッチを行ない、その後以下の基準により平均値を算出した。◎もしくは○を皮膚刺激が低いものと判断した。
0…全く異常が認められない。
1…わずかに赤みが認められる。
2…赤みが認められる。
3…赤みと丘疹が認められる。
「皮膚刺激試験」の評価基準は以下の通りである。
◎…パネル10名の平均値:0.1未満
○…パネル10名の平均値:0.1以上0.15未満
△…パネル10名の平均値:0.15以上0.2未満
×…パネル10名の平均値:0.2以上
【0036】
(表1)

【0037】
上記の結果から、本発明の台所用液体洗浄剤組成物である試験例1〜5は、洗浄性、泡の持続性、すすぎ性、使用後のさっぱり感、及び皮膚刺激性のいずれも優れているものであった。
これに対して、オキシブチレン基のみであるアルキレンオキシド誘導体を配合した試験例6は、泡の持続性、すすぎ性の点で劣るものであった。さらにアルキレンオキシド誘導体の末端が水酸基である試験例7では、使用後のさっぱり感、及び皮膚刺激性の点で劣っていた。アルキレンオキシド誘導体の末端が炭素数6のヘキシル基を有する試験例8では、泡の持続性、すすぎ性及び皮膚刺激性の点、エチレンオキシド、プロピレンオキシドランダム共重合体のジメチルエーテルであるアルキレンオキシド誘導体を配合した試験例9は、泡の持続性の点で劣っていた。
そして、本発明品の特定構造のブロック型アルキレンオキシド誘導体を配合しても陰イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩とは異なる直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を配合した試験例10の場合、使用後のさっぱり感が劣るものであった。
【0038】
したがって、以上の検討により、(a)特定構造のブロック型アルキレンオキシド誘導体、(b)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及び、(c)特定構造の第3アミンオキシドを適量配合することにより、洗浄性、泡の持続性、すすぎ性に優れ、且つ皮膚に対する刺激性が低く、使用後の感触、特にさっぱり感に優れる台所用液体洗浄剤組成物を得ることができることが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体を0.1〜5質量%、
(b)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を5〜60質量%、及び、
(c)下記式(II)で示される第3アミンオキシドを0.1〜5質量%、
を含有することを特徴とする台所用液体洗浄剤組成物。
(化1)

(式中、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、これらの付加形態はブロック状である。a、およびbは、各々前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150であり、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は10〜99質量%である。Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
(化2)

(式中、Rは炭素数10〜20の炭化水素基、RまたはRは炭素数1〜4のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、mは平均付加モル数で、0≦m≦11である。)
【請求項2】
請求項1に記載の殺菌用組成物において、前記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体のAOがオキシブチレン基であることを特徴とする殺菌用組成物。

【公開番号】特開2010−95571(P2010−95571A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265494(P2008−265494)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】