説明

合わせガラス用中間膜及びその製造方法

【課題】 表面汚染が少なく、製造工程数が少なく低コストで製造でき、かつ、ガラス101へ室温で合わせ加工ができきる合わせガラス用中間膜10及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂からなる剥離層21A、アクリル系粘着性樹脂からなる粘着層19、及びポリオレフィン系樹脂からなる剥離層21Bがこの順で積層されてなることを特徴とし、また、剥離層21、粘着層19及び剥離層21を多層共押出し法で製造することも特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合わせガラス用中間膜に関し、さらに詳しくは、粘着層19の表面汚染がなく、少ない製造工程で低コストで製造でき、かつ、ガラス101への合わせ加工が従来のオートクレーブによる高温高圧処理を必要とせず、常温でもできる合わせガラス用中間膜及びその製造方法に関するものである。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、「PEN」は「ポリエチレン−2,6−テフタレート」、「PVB」は「ポリビニルブチラール」、「EVA」は「ポリビニルアセテート」、「PC」は「ポリカーボネート」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)合わせガラスは、自動車用安全ガラス、公共施設や運動施設の間仕切りや防犯用ドア等に広く用いられ、ガラス板同士又はガラス板と合成樹脂板の間に中間膜を介して合わせ加工することで製造される。このような中間膜としては、可塑剤により可塑化されたポリビニルブチラール(PVB)が、ガラス板や合成樹脂板との優れた接着性、強靭な引張り強度、高い透明性等を兼ね備えているため、最も一般的に用いられている。しかしながら、PVB樹脂からなる中間膜は、合わせガラスを製造する際には中間膜の調湿工程を必要とし、また合わせ加工にはオートクレーブを用い高温高圧条件下で行う必要があり、作業が煩雑になるという欠点があった。また、ガラスと合成樹脂板を用いた合わせガラスの場合には、ガラスと合成樹脂との線膨張係数の違いにより、貼り合せ時の加熱によって反りや割れが発生する危険性があった。さらに、合わせガラス用中間膜の製造方法は、基材へ粘着剤を塗布し離型紙を貼り合わせるために、製造工程が多いので、粘着剤面の表面が汚染されやすく、しかも高コストであるという問題もあった。
従って、合わせガラス用中間膜10には、粘着層19の表面汚染がなく、少ない製造工程で低コストで製造でき、かつ、ガラス101への合わせ加工は、オートクレーブによる高温高圧処理を必要とせず、室温で合わせ加工ができきることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−264348号公報
【特許文献2】特開平8−188453号公報
【特許文献3】特開平11−209510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(従来技術)従来、合わせガラスの製造を、2枚のガラス板を可塑化PVB樹脂を介して熱圧着する方法る方法がが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、2枚のガラス板でフィルムを挟んだ後、樹脂を密圧着させる為に、ゴム袋に入れて高温で真空脱泡したり、又は、オートクレーブを用いて高温高圧で長時間熱圧着せねばならず、生産性、経済性に劣る。
また、合わせガラス用中間膜としては、PVB樹脂に変えて、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主体とするものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、110℃以上の合わせ加工温度を必要とするため、合成樹脂板との加工における反りや割れの問題を解決することができない。さらに、特定の粘弾性特性を有する樹脂からなる中間膜が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、当該中間膜は、ブロッキング防止のために両面に離型フィルムを必要とするため安価に製造できない問題があった。また、フィルムを巻き取るまでの過程で、ガイドロールに巻きついたり、表面に埃などが付着して、製品の価値を著しく損なう危険性があった。
【0006】
そこで、本発明は上記のような問題点を解消するために、本発明者らは鋭意研究を進め、本発明の完成に至ったものである。その目的は、粘着層19の表面汚染がなく、少ない製造工程で低コストで製造でき、かつ、ガラス101への合わせ加工は、オートクレーブによる高温高圧処理を必要とせず、室温で合わせ加工ができきる合わせガラス用中間膜及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1の発明に係わる合わせガラス用中間膜は、ポリオレフィン系樹脂からなる剥離層、アクリル系粘着性樹脂からなる粘着層、及びポリオレフィン系樹脂からなる剥離層が、この順で積層されてなるように、したものである。
請求項2の発明に係わる合わせガラス用中間膜は、上記粘着層のアクリル系粘着性樹脂が、式A−B−A(式中、AおよびBはそれぞれ異なる重合体ブロックを表し、Aはメタクリル酸アルキルエステル単位からなり、Bはアクリル酸アルキルエステル単位からなる)で表されるトリブロック共重合体を含み、重合体ブロックAおよびBが炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位およびアクリル酸アルキルエステル単位から主としてなるように、したものである。
請求項3の発明に係わる合わせガラス用中間膜は、上記重合体ブロックAがメタクリル酸メチル重合体ブロックであり、上記重合体ブロックBがアクリル酸ブチル重合体ブロックであるように、したものである。
請求項4の発明に係わる合わせガラス用中間膜は、上記剥離層のポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンであるように、したものである。
請求項5の発明に係わる合わせガラス用中間膜の製造方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜の製造方法であって、上記剥離層、上記粘着層、及び上記剥離層を多層共押出し法で製造するように、したものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の本発明によれば、粘着層19の表面汚染がなく、少ない製造工程で低コストで製造でき、かつ、ガラス101への合わせ加工は、オートクレーブによる高温高圧処理を必要とせず、室温で合わせ加工ができきる効果を奏する。
請求項2〜3の本発明によれば、請求項1の効果に加えて、より安定してガラスへ合わせ加工ができる効果を奏する。
請求項4の本発明によれば、請求項1〜3の効果に加えて、より低コストで製造でき、しかも、ガラスへ合わせるときに、予め剥離層を剥離する際に剥離層のフィルムが伸びたり切れてしまうことがなく、剥離作業が容易となる効果も奏する。
請求項5の本発明によれば、請求項1〜4の効果を有する合わせガラス用中間膜を、1工程と最小の製造工程で低コストで製造できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の1実施例を示す合わせガラス用中間膜の断面図である。
【図2】本発明の合わせガラス用中間膜の一方の剥離層を剥離しガラスへ合わせた状態を示す断面図である。
【図3】図2から他方の剥離層を剥離しもう1枚のガラスと合わせて合わせガラスとなった状態を示す断面図である。
【図4】図2の合わせガラス製造方法の1例を示す説明図である。
【図5】図3の合わせガラス製造方法の1例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0011】
(合わせガラス用中間膜)本発明の合わせガラス用中間膜10は図1に示すように、剥離層21A、粘着層19、及び剥離層21Bの3層からなり、粘着層19はアクリル系粘着性樹脂からなり、剥離層21A、21Bはポリオレフィン系樹脂からなっている。なお、剥離層21Aと剥離層21Bとをまとめて剥離層21と呼称する。また、ガラス101Aとガラス101Bともまとめてガラス101と呼称する。使用時には合わせガラス用中間膜10の剥離層21Bを剥離して除去して、露出した粘着層19面をガラス等へ貼り合わせることで、図2に示すような構成となり、さらに、剥離層21Aを剥離して除去して、露出した粘着層19面をガラス等へ貼り合わせることで、図3に示すような構成となり、合わせガラス103となる。図3においては、両面がガラスの例を例示しているが、片面がガラス板で、他方面が合成樹脂板と異なっていてもよい。本発明の合わせガラス用中間膜10は、従来の加熱溶融させてガラスを合わせるタイプではなく、室温で合わせ加工ができ、十分な接着性能を有している。また、本発明の合わせガラス用中間膜10の製造方法は、例えばTダイ共押出機、インフレーション共押出機を使用することで、1回の共押出法で成型することができる。
【0012】
(粘着層)粘着層19を形成する材料としては、粘着性と柔軟性を併せ持つアクリル系の粘着性樹脂の使用が好適である。例えば、式A−B−A(式中、AおよびBはそれぞれ異なる重合体ブロックを表し、Aはメタクリル酸アルキルエステル単位からなり、Bはアクリル酸アルキルエステル単位からなる)で表されるトリブロック共重合体を含むものが使用できる。好ましくは上記重合体ブロックAおよびBが炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位およびアクリル酸アルキルエステル単位から主としてなるアクリル系樹脂が好ましい。
【0013】
これらの特に好ましいアクリル系トリブロック共重合体の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル−b−ポリアクリル酸n−ブチル−b−ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル−b−ポリアクリル酸n−ブチル−b−ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル−b−ポリアクリル酸n−ブチル−b−ポリアクリル酸エチルなどの式A−B−AまたはA−B−Cの構造で示されるトリブロック共重合体を挙げることができる。また更には、上記重合体ブロックAがメタクリル酸メチル重合体ブロックであり、上記重合体ブロックBがアクリル酸n-ブチル重合体ブロックであるアクリル系樹脂が好ましい。
【0014】
トリブロック共重合体中の重合体ブロックA、重合体ブロックBの重量平均分子量は、必ずしも限定されないが、一般的にはそれぞれ3、000〜500、000の範囲であることが好ましく、3、000〜300、000の範囲であることがより好ましい。またトリブロック共重合体全体の重量平均分子量は、必ずしも限定されないが、一般的には10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましく、40、000〜200、000の範囲であることがより好ましい。これらを満たす樹脂としては、例えば、株式会社クラレ製、LAポリマーがある。
【0015】
粘着層19の厚みは、50μm以上、好ましくは100μm以上で、2000μm未満である。50μm未満ではガラス101A、101Bや合成樹脂板との接着性に劣る場合があり、また2000μmを超えるとコスト高となる。
【0016】
(剥離層)剥離層21を形成するポリオレフィン系樹脂については、例えばα−オレフィン、およびその変性物、又はα−オレフィンと、各種ビニル化合物との共重合体を挙げることができる。好ましくは、剥離性とコスト面より、汎用樹脂であるポリエチレン及び/又はポリプロプレンであり、その厚みは各々50μm〜200μmの範囲内である。厚みが50μm未満の場合、剥離の際にフィルムが伸びたり切れてしまうことで、剥離作業が困難となる場合があり、好ましくない。また、200μm以上としても、剥離性は向上せず、コスト高となるため好ましくない。
【0017】
ポリエチレンとしては、エチレン単独重合体、エチレンと他のα−オレフィンからなるエチレン・α−オレフィン共重合体を挙げることができる。具体的には、例えば低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを使用することができる。
【0018】
本発明の粘着層19はアクリル系粘着性樹脂であり、高温で急激に粘度が低下するため、低温での製膜で可能な低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン系触媒の存在下で重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体の利用が好ましい。
【0019】
また、ポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィンからなるプロピレン・α−オレフィン共重合体が好ましいが、前述のポリエチレンと同様に、低温製膜が可能なメタロセン系触媒の存在下で重合されたプロピレン・α−オレフィン共重合体の利用が好ましい。
【0020】
当然ではあるが、剥離層21となるポリオレフィン系樹脂については、成形性、剥離性、及びコスト面を考慮して、ポリエチレンとポリプロピレンの1種又は2種以上のブレンド物とすることも可能である。また、剥離層21Aと剥離層21Bの組成物はポリオレフィン系樹脂であれば、同じでも異なっていてもよく、各々の厚さも同じでも異なっていてもよい。
【0021】
(合わせ加工法)合わせガラス用中間膜10はガラス板間に合わされて、ガラス101A/合わせガラス用中間膜10/ガラス101B、の構成で強化ガラスとなる。合わせ加工は、粘着層19のアクリル系樹脂層の粘着性を利用するので、ガラス同士又はガラスと合成樹脂板とを貼り合わせでも、貼り合わせ時の加熱処理や加圧、減圧処理が不要となる。即ち、本発明の合わせガラス用中間膜10は、従来の加熱溶融させてガラスを合わせるタイプではなく、室温で合わせ加工ができ、常温合わせ加工でも十分に接着し、強化ガラスとしての透明性や耐衝撃性を有している。
【0022】
図3においては、両面がガラス101の例を例示しているが、片面がガラス板で、他方面が合成樹脂板と異なっていてもよく、両側が合成樹脂板でもよく、他の層を加えてもよい。合わせガラスの層構成としては、ガラス/中間膜/ガラス、ガラス/中間膜/PETフィルム/中間膜/ガラス、ポリカーボネート板/中間膜/PETフィルム/中間膜/ポリカーボネート板、アクリル樹脂板/中間膜/金属板/中間膜/アクリル樹脂板、アクリル樹脂板/中間膜/紙/中間膜/アクリル樹脂板などが例示できる。
【0023】
具体的な合わせ加工は、まず、図4に示すように、合わせガラス用中間膜10の剥離層21Bを剥離して除去して、露出した粘着層19面をガラス等へニップロールで加圧しながら、合わせることで、図2に示すような構成となり、さらに、図5に示すように、剥離層21Aを剥離して除去して、露出した粘着層19面をガラス等へニップロールで加圧しながら合わせることで、図3に示すような構成となり、合わせガラス103とできる。
【0024】
(製造方法)本願発明の合わせガラス用中間膜の製造方法は、剥離層21A、粘着層19、剥離層21Bを多層共押出し法で1工程で製造することができるので、安価に提供することができる。多層共押出し法としては、Tダイ共押出機、インフレーション共押出機などが適用できる。多層共押出は3種3層法でも、剥離層21Aと剥離層21Bを同じ組成物を用いれば2種3層でもよい。従来のような、フィルムの積層工程、粘着剤の塗工工程、離型紙の添付工程などの多くの製造工程が不要で、1回の共押出法で成型することができて、合わせガラス用中間膜10を安価に提供することが可能となる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0026】
(実施例1)(1)下記の組成物よりなる3種3層フィルムをTダイ型製膜機を用いて製造した。製膜時に特に問題はなく、安定した製膜ができた。
・剥離層21A:直鎖状低密度ポリエチレン 60μm
宇部興産社製ユメリット1540F
密度=0.913g/cm3、MFR=4.0g/10分
・粘着層19 :アクリルエラストマ 150μm
クラレ社製 LAポリマー LA2250
MFR=25g/10分(190℃)
・剥離層21B:直鎖状低密度ポリエチレン 60μm
宇部興産社製ユメリット1540F
密度=0.913g/cm3、MFR=4.0g/10分
(2)次に、図4に示すように、上記剥離層21Bを剥がしながら、市販のガラス板(厚み3mm、幅20cm、長さ20cm)の片面に卓上型ラミネーター(日本GBC社、GL835PRO)を用いて中間層を貼り付けた(速度0.6m/分、圧力は、0.3MPa)。
(3)さらに、図5に示すように、剥離層21Aを剥がした後、ポリカーボネート板(厚み3mm、幅20cm、長さ20cm)を重ね合わせ、(2)と同様に卓上型ラミネーター(日本GBC社、GL835PRO)を用いて貼り付けて(速度0.6m/分、圧力は、0.3MPa)、合わせガラスを問題なく製造できた。
【0027】
(実施例2)(1)下記の組成物よりなる3種3層フィルムをインフレーション型製膜機を用いて製造した。製膜時に特に問題はなく、安定した製膜ができた。
・剥離層21A:直鎖状低密度ポリエチレン 60μm
宇部興産社製ユメリット1520F
密度=0.913g/cm3、MFR=2.0g/10分
・粘着層19 :アクリルエラストマ 150μm
クラレ社製 LAポリマー LA2250
MFR=25g/10分(190℃)
・剥離層21B:直鎖状低密度ポリエチレン 60μm
宇部興産社製ユメリット1520F
密度=0.913g/cm3、MFR=2.0g/10分
(2)次に、実施例1と同様に、ガラス板とポリカーボネート板を卓上型ラミネーターを用いて貼り合わせて、合わせガラスを問題なく製造できた。
【0028】
(実施例3)(1)下記の組成物よりなる3種3層フィルムをインフレーション型製膜機を用いて製造した。製膜時に特に問題はなく、安定した製膜ができた。
・剥離層21A:直鎖状低密度ポリエチレン 60μm
宇部興産社製ユメリット1520F
密度=0.913g/cm3、MFR=2.0g/10分
・粘着層19 :アクリルエラストマー150μm
クラレ社製 LAポリマー LA2250
MFR=25g/10分(190℃)
・剥離層21B:ランダムポリプロピレン 60μm
日本ポリプロピレン社製ウィンテックWFX6
密度=0.90g/cm3、MFR=2.0g/10分、融点125℃
(2)次に、実施例1と同様に、ガラス板同士を卓上型ラミネーターを用いて貼り合わせて、合わせガラスを問題なく製造できた。
【0029】
(比較例1)(1)粘着層として、アクリルエラストマーを用いた単層フィルムをTダイ型製膜機を用いて製造した。巻取り時に、表裏がブロッキングして、再度繰り出しすることができず、中間膜としての使用は不可であった。
・粘着層19 :アクリルエラストマー150μm
クラレ社製 LAポリマー LA2250
MFR=25g/10分(190℃)
【0030】
(比較例2)(1)比較例1と同様に、粘着層として、アクリルエラストマーを用いた単層フィルムをTダイ型製膜機を用いて製造した。ブロッキング防止のため、アクリルエラストマーの両側を厚み38μの離型ポリエステルフィルムにて挟み込み、巻取りを行った。
・粘着層19 :アクリルエラストマー150μm
クラレ社製 LAポリマー LA2250
MFR=25g/10分(190℃)
(2)次に、実施例1と同様に、ガラス板同士を卓上型ラミネーターを用いて貼り合わせて、合わせガラスを得た。
(3)原料コストは、実施例1を100とした場合、250となり、割高となった。また、製造時には、ガイドロールへの貼り付きが多発し、安定した生産が出来なかったばかりでなく、フィルム表面には埃の付着が多数認められた。
【0031】
(比較例3)(1)比較例2と同様に、粘着層としてSEBSよりなる単層フィルムをTダイ型製膜機を用いて製造した。ブロッキング防止のため、厚み38μの離型ポリエステルフィルムにて挟み込み、巻取りを行った。
・粘着層19 :SEBS 150μm
クレイトン社 クレイトンG1657
MFR=7g/10分(200℃)
(2)次に、実施例1と同様に、ガラス板同士を卓上型ラミネーターを用いて貼り合わせて、合わせガラスを得た。
(3)原料コストは、実施例1を100とした場合、240となり、割高となった。また、比較例2と同様に、製造時には、ガイドロールへの貼り付きが多発し、安定した生産が出来なかったばかりでなく、フィルム表面には埃の付着が多数認められた。
【0032】
(比較例4)(1)下記の組成物よりなる3種3層フィルムをインフレーション型製膜機を用いて製造した。製膜時に特に問題はなく、安定した製膜ができた。
・剥離層21A:直鎖状低密度ポリエチレン 60μm
宇部興産社製ユメリット1520F
密度=0.913g/cm3、MFR=2.0g/10分
・粘着層19 :SEBS 150μm
クレイトン社 クレイトンG1657
MFR=7g/10分(200℃)
・剥離層21B:直鎖状低密度ポリエチレン 60μm
宇部興産社製ユメリット1520F
密度=0.913g/cm3、MFR=2.0g/10分
(2)実施例1と同様に、ガラス板同士を卓上型ラミネーターを用いて貼り合わせを試みたが、剥離層21A、21Bともに、粘着層から剥離することができなかった。
【0033】
(評価)評価結果は実施例及び比較例中に記載し、その結果をまとめて表1に示す。品質の評価は、埃の付着が少なく、合わせ加工で、繰り出しや剥離に問題がなかったものを○印で示している。
【0034】
【表1】

【0035】
(評価結果)実施例1〜3の合わせガラス用中間膜10を用いた合わせガラス103は問題なく製造できた。いずれの合わせガラス103も室温で貼り合わせたのもかかわらず、ガラス面へ強固に接着しており、透明性及び耐候性にも優れていた。
比較例1〜4の合わせガラス用中間膜10では、繰り出せなかったり、埃が付着したり、剥離が困難だったり、といった問題が発生して、品質のよい合わせガラスが得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0036】
(産業上の利用可能性)本発明の合わせガラス用中間膜の主なる用途としては、自動車用安全ガラス、公共施設や運動施設、間仕切り、防犯用ドア等への利用でき、また、液晶ディスプレイやタッチパネル等のガラスの薄層化が必要とされる場合の合わせガラス用中間膜としてもよい。しかしながら、ガラス同士、ガラスと合成樹脂、合成樹脂同士を合わせる用途であれば、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0037】
10:合わせガラス用中間膜
21:剥離層
21A、21B:剥離層
19:粘着層
101:ガラス
101A、101B:ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂からなる剥離層、アクリル系粘着性樹脂からなる粘着層、及びポリオレフィン系樹脂からなる剥離層が、この順で積層されてなることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
上記粘着層のアクリル系粘着性樹脂が、式A−B−A(式中、AおよびBはそれぞれ異なる重合体ブロックを表し、Aはメタクリル酸アルキルエステル単位からなり、Bはアクリル酸アルキルエステル単位からなる)で表されるトリブロック共重合体を含み、重合体ブロックAおよびBが炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位およびアクリル酸アルキルエステル単位から主としてなることを特徴とする請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
上記重合体ブロックAがメタクリル酸メチル重合体ブロックであり、上記重合体ブロックBがアクリル酸ブチル重合体ブロックであることを特徴とする請求項2に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
上記剥離層のポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜の製造方法であって、上記剥離層、上記粘着層、及び上記剥離層を多層共押出し法で製造することをを特徴とする合わせガラス用中間膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−1201(P2011−1201A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142959(P2009−142959)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】