説明

合わせガラス製造用真空バッグ

【課題】深曲げ形状に立体構造化した合わせガラスであっても、薄肉の合わせガラスであっても、ガラスの破損を生ずるおそれがなく、製造に際して原材料の引布のロスが発生しない合わせガラス製造用真空バッグを提供する。
【解決手段】合わせガラス製造用の真空バッグにおいて、真空バッグがゴム引布よりなり、該真空バッグの縦横方向に、ゴム引布のバイアス方向を略一致させてなることを特徴とする合わせガラス製造用真空バッグ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合わせガラス製造用真空バッグに関する。さらに詳しくは、本発明は、深曲げ形状に立体構造化した合わせガラスであっても、薄肉の合わせガラスであっても、ガラスの破損を生ずるおそれがなく、製造に際して原材料の引布のロスが発生しない合わせガラス製造用真空バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、2枚以上のガラスを軟質プラスチックの中間膜で接着し、万一破損してもガラス片が中間膜により保持されて飛び散ることがなく、ひび割れした状態で原形を保つガラスであり、自動車用窓ガラス、鉄道車両窓ガラス、航空機風防ガラス、舷窓、水槽用ガラス、建築用窓ガラス、防犯ガラスなどとして用いられている。わが国では、1987年から衝突時の安全のために、自動車のフロントガラスに合わせガラスを装着することが義務づけられている。自動車のフロントガラスには、衝突事故の際に、乗員の頭部がフロントガラスを貫通せず、裂傷が少ない耐貫通性も要求される。
合わせガラスの製造方式には、少なくとも2枚のガラスの間にポリビニルブチラールなどの中間膜を挟み、ゴム引布製の真空バッグの中に入れて吸引減圧し、ガラスと中間膜を密着させて加熱する真空バッグ方式と、少なくとも2枚のガラスの間に中間膜を挟み、ガラスと中間膜の間に存在する空気を脱気して予備接着し、次いで、オートクレーブ内で加圧加熱して本接着を行うオートクレーブ方式がある。オートクレーブ方式は、オートクレーブの設置のために多額の設備投資を必要とし、オートクレーブ内での本接着はバッチ工程になるために生産性も高くない。真空バッグ方式は、1枚の合わせガラスの製造はバッチ工程であるが、多数の真空バッグを用いて、真空バッグへのガラスと中間膜の積層物の封入、吸引減圧、加熱によるガラスの接着、冷却、合わせガラスの取り出しを工場内で循環して行うことにより、生産性を高めることができる。真空バッグの材料としては、平織りのポリエステル織布、平織りのポリアミド織布などに、ゴムを積層したゴム引布が用いられる。
図1は、真空バッグ方式の一例を示す平面図及びA−A線断面図である。真空バッグ1の中に、ガラス2、中間膜3及びガラス4の積層物が封入される。真空バッグを吸引脱気すると、真空バッグはガラスに密着し、ガラス、中間膜及びガラスの積層物は、大気圧により圧着され、この状態で加熱することにより、中間膜が溶融して2枚のガラスが接着される。
近年にいたり、自動車のデザインの多様性の追及、歩行者の安全に対する配慮などから、深曲げ形状に立体構造化したフロントガラスが増えてきた。このような深曲げ形状の合わせガラスを真空バッグ方式で製造すると、ガラスが破損する場合が生じた。図2は、真空バッグ方式の他の例を示す平面図及びB−B線断面図である。真空バッグ1の中に、ガラス2、中間膜3及びガラス4の積層物を封入して吸引脱気すると、真空バッグは内側のガラス4に完全に密着せず、圧着ムラが生じて接着が不均一になり、深曲げ形状のガラスの両端に内側に引っ張る力がはたらいてガラスが破損する場合がある。このために、深曲げ形状に立体構造化したフロントガラス用の合わせガラスを真空バッグ方式で製造することが困難となっていた。
自動車のフロントガラスには、厚さ3mmのガラス2枚と厚さ0.38mm又は0.76mmのポリビニルブチラールフィルム1枚を用いた合わせガラスが標準的に用いられている。しかし、自動車の軽量化と省資源を目指して、合わせガラスの薄肉化が進められている。例えば、軽量化のための薄板化とガラス板の強度の確保とを同時に実現し、クラックの入った状態でエアバッグが展開しても中間膜の破断を防止する合わせガラスとして、第1のガラス板、中間膜及び第2のガラス板を順次積層して貼り合わせた合わせガラスにおいて、第1のガラス板の厚さに対する第2のガラス板の厚さの比が0.6以上0.9以下であり、かつ、板厚が4mm以下である異厚合わせガラスが提案されている(特許文献1)。この合わせガラスは、衝突時の強度については十分な配慮がなされているが、板厚が薄いために、真空バッグを用いた製造時に破損を生じやすい。
【特許文献1】特開2003−55007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、深曲げ形状に立体構造化した合わせガラスであっても、薄肉の合わせガラスであっても、ガラスの破損を生ずるおそれがなく、製造に際して原材料の引布のロスが発生しない合わせガラス製造用真空バッグを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ゴム引布からなる合わせガラス製造用真空バッグにおいて、真空バッグの縦横方向にゴム引布のバイアス方向を略一致させることにより、真空バッグのモジュラスが小さく、伸度が大きくなり、しかもこの真空バッグは原材料の引布のロスを発生させることなく製造し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)合わせガラス製造用の真空バッグにおいて、真空バッグがゴム引布よりなり、該真空バッグの縦横方向に、ゴム引布のバイアス方向を略一致させてなることを特徴とする合わせガラス製造用真空バッグ、
(2)引布のバイアス方向が、長手方向に対して35〜55°の角度をなす(1)記載の合わせガラス製造用真空バッグ、及び、
(3)ゴム引布が、バイアス方向に突き合わせ接合部を介して配列され、該接合部において、接着テープを積層して接合されてなる(1)記載の合わせガラス製造用真空バッグ、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の合わせガラス製造用真空バッグは、縦方向、横方向ともにモジュラスが小さく、伸度が大きく、深曲げ形状に立体構造化した合わせガラスであっても、薄肉の合わせガラスであっても、ガラスの破損を生ずることなく合わせガラスを製造することができる。本発明の合わせガラス製造用真空バッグは、引布をバイアス方向に突き合わせて接合するので、原材料の引布にロスを発生させることなく、完全に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の合わせガラス製造用真空バッグは、真空バッグがゴム引布よりなり、該真空バッグの縦横方向に、該引布のバイアス方向を略一致させてなる真空バッグである。
図3は、本発明の合わせガラス製造用真空バッグの一態様の説明図である。本態様の真空バッグは、本体部5とシール部6とからなり、上方に開口部7を有し、両側方と下方が封じられている。接合部において接合された本体部を構成する引布の接合線8が斜めに走り、真空バッグの縦方向Hと横方向Wに対して、引布の長手方向Mと幅方向Tが45°の角度をなし、真空バッグの縦横方向と引布のバイアス方向が一致している。真空バッグの本体部とシール部は、つなぎ線9において接合されている。シール部を構成する引布の長手方向Mは、真空バッグの横方向Wと一致している。
図4は、図3に示す真空バッグにガラス−中間膜−ガラスの3層積層物を入れ、シール部を折り返して真空バッグを閉じた状態を示す説明図である。この状態で真空バッグの内部を減圧にして、ガラス−中間膜−ガラスを大気圧により圧着し、加熱して中間膜を溶融することにより、2枚のガラスを中間膜で溶着して合わせガラスを得ることができる。
【0007】
本発明の合わせガラス製造用真空バッグは、その縦横方向に対して、本体部を構成する引布がバイアス方向となっているので、真空バッグの内部を減圧にして変形したとき、真空バッグの縦横方向にかかる力を、バイアス方向の引布の基布の長手方向と幅方向の繊維が同時に受ける。そのために、2方向の繊維があたかもパンタグラフのように菱形変形をするので、モジュラスが小さく、伸度が大きく、柔軟性に富み、良好な緩衝効果が得られる。その結果、深曲げ形状に立体構造化した合わせガラスであっても、引布がガラスに密着し、不均一な接着やガラスの破損を生ずるおそれがない。また、薄肉の合わせガラスであっても、真空バッグの本体部を構成する引布のモジュラスが小さいので、ガラスにかかる力が小さく、ガラスの破損を生ずるおそれがない。
本発明の真空バッグは、図3に示すように、シール部を構成する引布の長手方向Mが、真空バッグの横方向と一致している。そのために、シール部には引布の接合部がなく、図4に示すようにシール部を折り返して真空バッグの内部を減圧にしたとき、気密性が良好であり、シール部からの空気の洩れが少ない。本発明の真空バッグは、本体部を構成するゴム引布の厚さが0.3〜2.0mmであることが好ましく、0.4〜1.6mmであることがより好ましい。本体部を構成する引布の厚さが0.3mm未満であると、引布の強度が不足するおそれがある。本体部を構成する引布の厚さが2.0mmを超えると、熱伝導性が不足するおそれがある。シール部を構成するゴム引布の厚さは、本体部を構成するゴム引布より厚く、0.9〜3.0mmであることが好ましく、1.0〜2.0mmであることがより好ましい。シール部を構成する引布の厚さを本体部を構成する引布より厚くすることにより、シール部を折り返して真空バッグの内部を減圧にしたとき、シール部にシワが入らず、シール部が良好な気密性を保ち、空気の洩れが少なくなる。
【0008】
本発明の合わせガラス製造用真空バッグにおいては、引布のバイアス方向が、長手方向に対して35〜55°の角度をなすことが好ましく、40〜50°の角度をなすことがより好ましく、45°の角度をなす正バイアスであることがさらに好ましい。引布のバイアス方向が長手方向に対してなす角度が35°未満であっても、55°を超えても、真空バッグの本体部のモジュラスを下げ、伸度を大きくする効果が十分に発現しないおそれがある。
図5は、従来の真空バッグの一例の説明図である。本例の真空バッグは、本体部10とシール部11とからなり、上方に開口部12を有し、両側方と下方が封じられている。接合部において接合された本体部を構成する引布の接合線13が真空バッグの横方向に走り、真空バッグの縦方向Hと引布の幅方向Tが一致し、真空バッグの横方向Wと引布の長手方向Mが一致している。真空バッグの本体部とシール部は、つなぎ線14において接合されている。シール部を構成する引布の長手方向Mは、真空バッグの横方向Wと一致している。
従来の合わせガラス製造用真空バッグは、その縦方向が引布の幅方向と一致し、その横方向が引布の長手方向と一致しているので、真空バッグの内部を減圧にして変形したとき、真空バッグの縦方向又は横方向にかかる力を、引布の基布の幅方向又は長手方向の繊維がそれぞれ独立して受ける。そのために、モジュラスが大きく、伸度が小さく、柔軟性に乏しい。その結果、深曲げ形状に立体構造化した合わせガラスや、薄肉の合わせガラスでは、ガラスの破損を生じやすい。
【0009】
本発明の合わせガラス製造用真空バッグは、ゴム引布が、バイアス方向に突き合わせ接合部を介して配列され、該接合部において、接着テープを積層して接合されてなることが好ましい。図6は、本発明の合わせガラス製造用真空バッグを製造する方法の一態様の説明図である。原材料ロール15から、バイアス方向が長手方向に対して所定の角度αをなすように引布を巻き出し、幅uが真空バッグの本体部の縦方向の長さの2倍になるように切断する。隣接する引布の端部を突き合わせながら順次この手順を繰り返すと、長さ数十ないし数百mの原材料の引布は、両末端のごく僅かの部分を除いてロスを発生することなく、完全に利用することができる。
図7は、本発明における引布の接合方法の一態様の説明図である。引布16をバイアス方向に突き合わせ接合部17を介して配列し、突き合わせ接合部において、接着テープ18を積層して接合する。接着テープは、バイアステープであることが好ましい。引布の接合部を突き合わせ接合とし、バイアステープで接着することにより、接合部にも接合部以外の部分と同じ低モジュラスと高伸度を与えることができる。接着テープの幅は、20〜100mmであることが好ましく、30〜70mmであることがより好ましい。突き合わせ接合部をすべて接合することにより、本発明の合わせガラス製造用真空バッグの原反を得ることができる。得られた原反は、真空バッグの横方向の長さごとに切断し、シール部を構成する引布を両側端に仮接着し、二つ折りにして、開口部を残して両側方を接着するとともに、シール部と本体部を本接着することにより、三方が封じられた真空バッグを得ることができる。
【0010】
図8は、従来の合わせガラス製造用真空バッグを製造する方法の一例の説明図である。原材料ロール19から引布を巻き出し、接合したときに真空バッグの本体部の縦方向の長さの2倍の幅uとなるように本体部用引布A20、本体部用引布B21及び本体部用引布C22を切り出し、本体部用引布A、B及びCを接合して幅uの本体部用引布とする。幅uの本体部用引布の両側端にシール部用引布23及び24を仮接着し、二つ折りにして、開口部を残して両側方を接着するとともに、シール部と本体部を本接着することにより、三方が封じられた真空バッグを得ることができる。幅uが原材料の引布の幅の整数倍であることは稀なので、多くの場合引布のロス部分25が発生する。
本発明に用いるゴムとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムなどを挙げることができる。これらの中で、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムは、耐熱性と耐老化性が良好なので、特に好適に用いることができる。
【実施例】
【0011】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
目付が180g/m2、引張強度が長手方向520N/cm、幅方向460N/cm、伸度が長手方向25%、幅方向25%の幅1,400mmのポリエステル平織物の両面に、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム[住友化学(株)、エスプレン(登録商標)EPDM]組成物を積層し、連続プレス加硫設備を用いて180℃で加硫し、厚さが0.8mmのゴム引布を作製した。
得られたゴム引布は、5%モジュラスが長手方向166N/cm、幅方向84N/cm、正バイアス48N/cm、10%モジュラスが長手方向250N/cm、幅方向126N/cm、正バイアス79N/cm、20%モジュラスが幅方向306N/cm、正バイアス132N/cmであり、切断時伸びが長手方向18%、幅方向21%、正バイアス41%であった。
このゴム引布を、図6に示すように、引布のバイアス方向が長手方向に対して45°の角度をなすように配置し、バイアス接着テープを用いて接合し、幅2,600mmの原反を作製した。この原反を、長さ2,500mmに切断し、両側端に幅500mm、長さ2,500mm、厚さ1.2mmのエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム引布からなるシール部材を取り付け、折り返して二つ折りとし、両側方及び本体部とシール部を未加硫のエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム接着剤を加硫することにより接着し、横方向の長さが2,500mm、縦方向の長さが本体部1,300mm、シール部500mmで、シール部に開口部を有し、三方が封じられた真空バッグを作製した。
この真空バッグに、深曲げ形状に立体構造化したフロントガラス用の合わせガラスを封入して吸引脱気した。図9は、フロントガラス用の合わせガラスの寸法説明図である。ガラスの幅wは1,640mm、高さhは550mm、曲げ深さdは270mmであり、d/wは0.165である。減圧とともに、真空バッグは深曲げ形状に立体構造化したフロントガラス用の合わせガラスの形状に従って変形し、内圧が8.0kPaになったときに合わせガラスの全面に密着した。
比較例1
実施例1で作製したエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム引布を用い、図8に示すように、真空バッグの横方向と引布の長手方向が一致し、横方向の長さが2,500mm、縦方向の長さが本体部1,300mm、シール部500mmで、シール部に開口部を有し、三方が封じられた真空バッグを作製した。
この真空バッグを用いて、実施例1と同様にして、実施例1と同じフロントガラス用の合わせガラスを封入して吸引脱気した。8.0kPaまで減圧したが、真空バッグは、図2のように、フロントガラス用の合わせガラスの内側の両端において、合わせガラスと密着しなかった。
【0012】
実施例2
実施例1で作製した真空バッグに、フロントガラス用の薄肉の合わせガラスを封入して吸引脱気した。図9は、フロントガラス用の合わせガラスの寸法説明図である。ガラスの幅wは1,400mm、高さhは530mm、曲げ深さdは120mmであり、d/wは0.086である。減圧とともに、真空バッグは、フロントガラス用の合わせガラスの形状に従って変形し、内圧が13.3kPaになったときに合わせガラスの全面に密着した。
比較例2
比較例1で作製した真空バッグに、実施例2と同様にして、実施例2と同じフロントガラス用の合わせガラスを封入して吸引脱気した。13.3kPaまで減圧したが、真空バッグは、フロントガラス用の合わせガラスの内側において、合わせガラスとわずかに密着しなかった。さらに、8.0kPaまで減圧すると、真空バッグは全面において合わせガラスと密着した。
実施例1で作製したゴム引布のモジュラスと切断時伸びを第1表に、真空バッグと合わせガラスの密着性試験の結果を第2表に示す。
【0013】
【表1】

【0014】
【表2】

【0015】
第2表に見られるように、真空バッグの縦横方向にゴム引布のバイアス方向を一致させた真空バッグを用いた実施例1では、真空バッグは、d/w0.165の深曲げ形状に立体構造化したフロントガラス用の合わせガラスと、内圧8.0kPaで密着する。これに対して、真空バッグの縦方向とゴム引布の幅方向、真空バッグの横方向とゴム引布の長手方向を一致させた真空バッグを用いた比較例1では、真空バッグは、深曲げ形状に立体構造化した合わせガラスと、内圧8.0kPaでは密着しない。
また、真空バッグの縦横方向にゴム引布のバイアス方向を一致させた真空バッグを用いた実施例2では、真空バッグは、d/w0.086のフロントガラス用の合わせガラスと、内圧13.3kPaで密着する。これに対して、真空バッグの縦方向とゴム引布の幅方向、真空バッグの横方向とゴム引布の長手方向を一致させた真空バッグを用いた比較例2では、真空バッグは、内圧を8.0kPaまで下げないと合わせガラスと密着しない。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の合わせガラス製造用真空バッグは、縦方向、横方向ともにモジュラスが小さく、伸度が大きく、深曲げ形状に立体構造化した合わせガラスであっても、薄肉の合わせガラスであっても、ガラスの破損を生ずることなく合わせガラスを製造することができる。本発明の合わせガラス製造用真空バッグは、ゴム引布をバイアス方向に突き合わせて接合するので、原材料のゴム引布にロスを発生させることなく、完全に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】真空バッグ方式の一例を示す平面図及び断面図である。
【図2】真空バッグ方式の他の例を示す平面図及び断面図である。
【図3】本発明の合わせガラス製造用真空バッグの一態様の説明図である。
【図4】図3に示す真空バッグを閉じた状態を示す説明図である。
【図5】従来の真空バッグの一例の説明図である。
【図6】本発明の合わせガラス製造用真空バッグを製造する方法の一態様の説明図である。
【図7】本発明における引布の接合方法の一態様の説明図である。
【図8】従来の合わせガラス製造用真空バッグを製造する方法の一例の説明図である。
【図9】実施例及び比較例で用いた合わせガラスの寸法説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1 真空バッグ
2 ガラス
3 中間膜
4 ガラス
5 本体部
6 シール部
7 開口部
8 接合線
9 つなぎ線
10 本体部
11 シール部
12 開口部
13 接合線
14 つなぎ線
15 原材料ロール
16 引布
17 突き合わせ接合部
18 接着テープ
19 原材料ロール
20 本体部用引布A
21 本体部用引布B
22 本体部用引布C
23 シール部用引布
24 シール部用引布
25 引布のロス部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合わせガラス製造用の真空バッグにおいて、真空バッグがゴム引布よりなり、該真空バッグの縦横方向に、ゴム引布のバイアス方向を略一致させてなることを特徴とする合わせガラス製造用真空バッグ。
【請求項2】
引布のバイアス方向が、長手方向に対して35〜55°の角度をなす請求項1記載の合わせガラス製造用真空バッグ。
【請求項3】
ゴム引布が、バイアス方向に突き合わせ接合部を介して配列され、該接合部において、接着テープを積層して接合されてなる請求項1記載の合わせガラス製造用真空バッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−169052(P2008−169052A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1116(P2007−1116)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】