説明

合成樹脂−パルプ製廃棄物を主材料にする固体燃料製造方法

【課題】本発明は、製造過程で不良処理された使い捨て廃おむつや廃生理用ナプキンを一定の加工工程を通じて低廉な産業用代替燃料として使用することができ、燃焼時、公害問題を引き起こさない固体燃料を提供するためのものである。
【解決手段】本発明は、使い捨ておむつや生理用ナプキンのように、合成樹脂とパルプとが一連不可分的に結合された合成樹脂−パルプ製廃棄物を主材料にする親環境性低価固体燃料とその製造方法を提供しようとするものであって、使い捨ておむつ及び生理用ナプキンのように、パルプと合成樹脂とが一体になった廃棄物を破砕機に投入して細かく破砕し、その破片に若干の廃食用油を粘結助剤として添加して押出成形し、切断してペレット化した後、乾燥する合成樹脂−パルプ製廃棄物を主材料にする固体燃料製造方法と、この方法により製造された親環境性低価自然乾燥型固体燃料を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造過程で不良処理された主材料であるパルプと合成樹脂フィルム製の防水膜の技術的な分離が困難で、焼却の他には処理方法がなかったものをリサイクルして熱量の豊富な固体燃料化した合成樹脂−パルプ製廃棄物を主材料にする固体燃料製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃資材の固体燃料化方法には、ワイヤが分離された廃タイヤなどの可燃性廃棄物に助燃剤を添加し、加熱押出して固体燃料化すること(例;韓国特許第709012号)、廃合成樹脂と廃パルプ、または廃紙を粉砕選別し、化学物質を添加して炭化させること(例;韓国特許第407374号)、可燃性ゴミに悪臭除去用魚介類を添加し、加熱して押出すること(例;韓国特許第390933号)、可燃性ゴミを粉砕して選別し、強制乾燥した後、粘結助剤を添加して押出すること(例;韓国特許第162130号)、木粉と活性炭にセルロース及びアセトンなどの有機溶媒を添加して押出成形すること(例;韓国特許第153205号)等、色々なものがある。
【0003】
上記に例示した従来の可燃性ゴミを主材料にする再生固体燃料は、金属成分の不完全な除去に起因する固体原料強制移送手段及び押出ダイスの内部傷、燃焼後の非炭化性残滓(スラッジ)の発生、押出形状の維持困難に起因する粘結助剤の添加に従う費用増加と公害物質の大気中放出、燃焼促進剤や助燃剤、または有機溶媒などの添加による費用上昇と燃焼時の有害物質の発生など、色々な問題が多い。
【0004】
最近、洗濯と手入れ負担を少なくすることに大変良い布おむつの代用品として使い捨ておむつと生理用ナプキンの需要が急増している。使い捨ておむつと生理用ナプキンは、排尿または分泌物の吸水性に優れて、触感が軟らかい上で、体積も小さくて使用に便利なパルプに合成樹脂フィルム製の防水布を接合して定形化したものである。
【0005】
このような使い捨ておむつと生理用ナプキンは、生産過程で不良処理された大単位の廃おむつや生理用ナプキンは特別にリサイクルが困難であるため、全量廃棄する。この時の廃棄方法は焼却が唯一の方法である。水に溶けないで、地中に埋めても腐らないのみならず、露地に放置する場合、長い間土壌と水質を汚染させる合成樹脂製防水布のためである。
【0006】
生産過程で発生する大単位の廃おむつと廃生理用ナプキンは、単純に焼却処理することよりは、リサイクル可能なパルプがリサイクルが困難な防水布(合成樹脂)に比べて量的に優れるため、これをうまく活用すれば、自然保護、資源節約次元で、少なくとも代替燃料次元で一度程は深刻に悩んで見るだけの価値があることと思われる。
【0007】
しかしながら、今までは廃タイヤ、廃合成樹脂、廃紙、木粉などの一般可燃性ゴミの固体燃料化のみに関心を有し、排泄物、分泌物の処理のためか、使い捨て廃おむつと廃生理用ナプキンのリサイクルには意外に消極的で、無関心であったとしても言い過ぎでない。
【0008】
事実、不良処理された使い捨ておむつと生理用ナプキンを単純に焼却することは、パルプ面ではリサイクル価値が充分であるにもこれを廃棄することであるから、資源再生的な観点から資源損失が大きいことであり、合成樹脂分である防水布を焼却することも悪臭と共に公害物質が発生することと考えられるので、環境的にも不利である。
【0009】
上記に例示した先行技術のうち、廃合成樹脂と廃パルプ、または廃紙を粉砕選別する工程が含まれた特許第407374号における廃合成樹脂と廃紙、または廃パルプは、合成樹脂とパルプとが結合された廃棄物から合成樹脂成分とパルプ成分とを分離選別することよりは回収した合成樹脂−廃紙、または廃パルプが混在したゴミで、燃焼時、公害物質放出などの問題点を有しているので、固体燃料化に不適な廃合成樹脂を分離するという意味が強くて、これをパルプと防水布とが合わせられて一連不可分の一体物をなした使い捨ておむつ、生理用ナプキンなどの廃棄物を樹脂とパルプとを分離選別する工程に見合わせて同一視することは無理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国特許第709012号公報
【特許文献2】韓国特許第407374号公報
【特許文献3】韓国特許第390933号公報
【特許文献4】韓国特許第162130号公報
【特許文献5】韓国特許第153205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような点を考慮した本発明の目的は、不良処理されて焼却の他には適した処理方案がなかった使い捨ておむつや生理用ナプキンのように、合成樹脂とパルプとが一連不可分的に結合された合成樹脂−パルプ製の廃棄物を主材料にする親環境性低価固体燃料製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題は、使用した使い捨て廃おむつ及び廃生理用ナプキンのように、パルプと合成樹脂とが一体になった廃棄物を破砕機に投入して細かく破砕し、その破片に若干の廃食用油を粘結助剤として添加して押出成形し、切断してペレット化した後、乾燥する合成樹脂−パルプ製の廃棄物を主材料にする固体燃料製造方法と、この方法により製造された親環境性低価自然乾燥型固体燃料により達成できる。
【発明の効果】
【0013】
焼却の他には特別に他の用途がなかった製造過程の不良品であるおむつと生理用ナプキンの廃棄物を有用な固体燃料に加工して低廉な産業用代替燃料として使用することができる。
【0014】
体積が大きくて押出し難い使い捨て廃おむつと使い捨て廃生理用ナプキンを細かく破砕して押出形状が維持されるようにすることに必要な粘結助剤が廃食用油であるので、可燃性廃棄物を主材料にする再生固体燃料の製造コストを大幅低めることができ、一般の粘結助剤とは異なり、燃焼時、悪臭及び公害物質が全く発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の固体燃料製造工程を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
合成樹脂とパルプ粉が一体になった代表的な物品に使い捨ておむつと生理用ナプキンがあり、上記製品の製造過程で生じる廃おむつ及び生理用ナプキンは、合成樹脂−パルプが混用されたものであるので、廃棄物は環境問題及び処理工程を考慮して合成樹脂とパルプとを分離回収することを原則とする。
【0017】
上記製造過程で不良処理されたおむつ及び生理用ナプキンは、その構成材料を区分せず、破砕機に投入して細かく破砕して破片化する。破砕された破片は小さいほど後続工程で添加される粘結助剤の侵入が容易で、スクリューコンベヤによる移送性及びダイスによる高密度押出も可能である。
【0018】
周知のように、使い捨ておむつと生理用ナプキンは、厚いパルプ層の底面に柔軟な合成樹脂フィルムからなる防水布が接合されたものである。このような廃棄物から機械的にパルプと防水布とを分離することは、現実的に不可能に近いものであり、かつそのような機械や装置も実際に開発されていない実状である。敢えて分離するとしても人力が動員されなければならないが、多量の使い捨て廃おむつと廃生理用ナプキンからパルプと防水膜とを手作業で分離することは現実的に非常に困難であり、莫大な人件費を耐えることも困難である。
【0019】
このような点で、不良処理された使い捨ておむつ及び生理用ナプキンは、分離して燃焼時、環境的に問題がより少ないパルプのみを別に分離するよりは、分離されていない状態の使い捨ておむつや生理用ナプキンをスクリューコンベヤに押送させながら粘結助剤を混ぜて互いに固まるようにして破片化することが製造工程上、最も便利な方法である。
【0020】
廃棄物の破片の粒度があまり大きければ、スクリューコンベヤに付いた投入ホッパーに投下される時、飛ひが甚だしくて、スクリューコンベヤの投入口に容易に巻込まれなくて、移送性に問題が生じ、または、スクリューコンベヤに乗って移送される間の押送密度が低くて、高密度押出物、言い換えれば、押出後、固体燃料の形状維持が困難である。それで、廃棄物の破片は小さいほど、このような問題が表れなくて好ましい。
【0021】
廃棄物の破片はホッパーの下端吐出口を通じてスクリューコンベヤの投入口に巻込まれる。このように巻込まれる破片はスクリューの移送圧力とシリンダーの周面摩擦力の協力により圧縮されてからダイスに至れば押送密度が最高潮に達する。
【0022】
コンベヤのシリンダー初入部の上には粘結助剤ノズルが設置されている。粘結助剤ノズルは、合成樹脂−パルプ廃棄物の破片同士互いに凝るようにする粘結助剤を噴霧するものであって、押送初期の緩い合成樹脂−パルプ廃棄物破片の間に均等に粘結助剤が侵入できるように移送方向に沿って均等の間隔をおいて複数で設置したり、シリンダーの円周を等分した地点に螺旋方向に均等分配設置することが好ましい。
【0023】
本発明で使用する粘結助剤は廃食用油である。廃食用油は知られたように、再生石鹸の他には使い道がそんなに多くない。廃食用油は需要が多い、かつ回収も容易である。また、セルロースや樹脂類、一般の油類に比べて価格も非常に低廉で、濃度調節も容易である。その上、焼却しても環境公害問題を引き起こさず、悪臭もない。
【0024】
廃食用油は少ないほど経済的であり、燃焼時、悪臭や煤の減少に有利である。廃食用油は廃棄物の破片の総重量に対し、5重量%乃至10重量%に該当する重量比で噴霧されることが好ましい。廃食用油の量が基準値に達しなければ、廃棄物破片に対する粘結性が低いので、押出形状の維持が困難で、かつ作業過程で作業場の内に飛ばされる廃棄物破片の毛羽による作業者の呼吸器疾患が誘発する可能性があり、廃食用油の添加量が基準値を超えると、廃食用油の調達にかかる費用が増加して非経済的で、また廃棄物破片の固まり状態が薄いので、押出された形状をそのまま維持することが困難である。
【0025】
なお、本発明の固体燃料製造工程図は、図1を参照する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造過程で不良処理されたものであって、パルプの底面に合成樹脂防水膜が接合された使い捨ておむつまたは使い捨て生理用ナプキンのような廃棄物を細かく破砕して破片化するステップと、
前記破片化ステップが処理された廃棄物破片をスクリューコンベヤに押送しながら粘結助剤を噴霧して混ぜ合わすステップと、
前記混ぜ合わすステップが処理された廃棄物を押出器で押出し乾燥するステップと、
を含んで構成され、
前記粘結助剤は廃食用油であり、廃食用油は廃棄物破片の総重量に対し、5重量%乃至10重量%に該当する重量比で噴霧され、
前記粘結助剤はコンベヤのシリンダー初入部にコンベヤの移送方向に沿って均等の間隔をおいて複数個で設置されたり、シリンダーの円周を等分した地点に螺旋方向に均等分配設置される粘結助剤ノズルを介して噴霧されるように構成されることを特徴とする、合成樹脂−パルプ製廃棄物を主材料にする固体燃料の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−211318(P2012−211318A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−78570(P2012−78570)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(512083573)
【氏名又は名称原語表記】JEON,Young‐Cheol
【住所又は居所原語表記】167−168,Baekbong‐ri,Cheongbuk−myeon,Pyeongtaek‐si,Gyeonggi‐do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】