説明

合成石英ガラス基板の製造方法

【解決手段】(1)合成石英ガラス基板を、コロイド粒子、該コロイド粒子と同符号の電荷を帯びたイオン性有機化合物及び水を含む研磨液により研磨する工程と、(2)研磨した基板を、酸性溶液又は塩基性溶液に浸漬し、該基板表面を0.001〜1nmエッチングする工程とを含む合成石英ガラス基板の製造方法。
【効果】本発明によれば、IC等の製造に重要な光リソグラフィー法において使用されるフォトマスク基板用合成石英ガラス基板や、ナノインプリント用途向け等の合成石英ガラス基板の製造において、合成石英ガラス基板表面の高感度欠陥検査装置で検出される欠陥の生成が抑制され、良好な面粗度が得られることにより、半導体デバイス製造等において歩留まりの向上が期待され、かつ半導体工業の更なる高精細化につなげることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に半導体関連電子材料に用いられる合成石英ガラス基板、特に最先端用途の合成石英ガラス基板やナノインプリント材料に用いられる合成石英ガラス基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成石英ガラス基板の品質としては、基板上の欠陥サイズ、欠陥密度、平坦度、面粗度、材質の光化学的安定性、表面の化学的安定性等が挙げられる。これら基板上の欠陥に関する品質は、ICの高精細化のトレンドに伴ってますます厳しくなってきている。
【0003】
これに対して合成石英ガラス基板の製造方法が改善され、面粗度や欠陥品質も年々向上してきた。研磨工程において、従来、酸化セリウム系研磨剤で研磨することが一般的であったが、特開昭64−40267号公報(特許文献1)では、酸化セリウム系研磨剤での研磨の後に、コロイダルシリカで精密研磨することで面粗さを低減する方法を提案しており、近年においてはコロイダルシリカを用いた精密研磨が一般的となっている。
洗浄工程においては、ガラス基板表面から研磨剤や汚染物質を除去するために、シャワー等でかけ流すシャワーリング法、スポンジ等を使用するスクラブ洗浄法、アルカリ性薬液や酸性薬液に浸漬させる方法などがあり、更にそれらを組み合わせた方法等が広く採用されている。またその際に、超音波を印加して洗浄効率を上げる方法も広く行われている。
【0004】
近年、上記以外にもガラス基板表面を更に清浄化させる研磨方法や洗浄方法が提唱されており、例えば、特許第4283061号公報(特許文献2)では、研磨の際の研磨パッドから溶出する界面活性剤が、コロイダルシリカを基板に付着させやすくすることに着目して、研磨パッドの界面活性剤を抜いてから研磨する方法を提案している。特開2002−131889号公報(特許文献3)では、コロイダルシリカの除去性能の高いフッ酸による洗浄を提案している。特開2007−284341号公報(特許文献4)では、ガラス基板に対してエッチング作用を有すると共に、研磨液中に含まれる金属不純物に対してより強いエッチング作用を有する洗浄液で洗浄することを提案している。
【0005】
また、特開2004−98278号公報(特許文献5)には、高純度のコロイダルシリカを中性付近で用いることで、凸状の微小欠陥を無くすことができると記載されているが、こうした中性域のコロイダルシリカは、金属等の不純物が十分低い高純度品であっても、研磨を重ねるに従ってゲル化したり、増粘したり、研磨砥粒の粒度分布が変位したりして、安定的に使用することは事実上不可能である。基板に接したスラリーを廃棄するワンウェイの掛け流し方法で研磨することは可能かもしれないが、高価な高純度のコロイダルシリカを大量に使用することにもなり、経済的、環境的に好ましくないという重大な問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭64−40267号公報
【特許文献2】特許第4283061号公報
【特許文献3】特開2002−131889号公報
【特許文献4】特開2007−284341号公報
【特許文献5】特開2004−98278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような背景の中、近年高感度の欠陥検査装置が開発され、本発明者らは同装置を用いて表面微細欠陥抑制のための研究を進めたところ、これまでの洗浄方法で洗浄を行ったコロイダルシリカ研磨面には、深さが数nm〜100nm程度で、長径が数十nm〜500nm程度の凹欠陥や、深さが1〜5nmと浅いながら、長さが1μm〜数十μmもある薄い筋状キズや、長径が数十nm〜500nm程度で、高さ数nm〜数十nm程度の除去不能の凸欠陥など、従来の検査方法では検出できなかった様々なタイプの欠陥が存在することが確認された。このような欠陥の存在する基板を用いてマスクブランクスを作成した場合、膜付けにより欠陥が拡大される傾向があり、Siウェーハ上への転写像に影響が大きくなり、キラー欠陥となってしまう。
【0008】
これらの知見から、近年になって提唱された新たな研磨方法や洗浄方法である、特許第4283061号公報(特許文献2)や、特開2002−131889号公報(特許文献3)や、特開2007−284341号公報(特許文献4)の方法を用いても、面粗度を良好に保ちながら、かつ様々なタイプ全ての欠陥を低減できないことが分かってきた。
本発明者らの研究によると、一般的に希フッ酸として使用されているフッ化水素酸の濃度は0.3〜0.5質量%程度であり、この濃度のフッ酸で合成石英ガラス基板表面を処理すると、例えば0.5質量%で20秒間浸漬させただけで約1nmのエッチング量となるが、この程度の処理でも非常に微小なキズが顕在化してしまう。即ち、元々は深さ数nm以下、大きさ50nm以下のキラー欠陥とならない、極微少な欠陥であったとしても、欠陥の周りに応力の溜まっていた部分があればフッ酸が作用し、欠陥が拡大し、転写像に影響を与えてしまうサイズの欠陥となってしまう。面粗度においても、RMSで0.15nm以下が求められる先端のフォトマスク用途のレベルにおいて、0.01nm程度の変化を伴って悪化してしまうことが分かった。
【0009】
エッチング力の強い洗剤でも同様の影響を与え、これら洗浄方法では確かにコロイダルシリカ研磨剤由来の凸欠陥に対する除去力は強いが、微細な凹欠陥を発生させたり、面粗度を悪化させる原因になってしまう。基板によっては、様々な検査項目の間の中間洗浄や、基板を長期保管後の再洗浄によって、洗浄工程を何度か繰り返す場合も考えられるので、そういった基板については、なおさら品質を落としてしまう。特許第4283061号公報(特許文献2)では、研磨方法を工夫して凸欠陥の付着を減らしているものの、実施例などを見る限り、洗浄については希フッ酸による洗浄としか記載されておらず、濃度や浸漬時間如何では品質を落としてしまいかねず、高品位表面品質基板の製造方法として十分とはいえない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、面粗度の悪化を抑えながら、凹欠陥を増やすことなく、凸欠陥を効果的に除去することで、半導体デバイスの製造等における歩留まりを向上させることができる合成石英ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、研磨工程と洗浄工程を一体的に捉え、洗浄性の良い研磨砥粒での研磨方法に、研磨剤を除去できる程度であって、かつ表面粗れを起こさない程度の洗浄方法を組み合わせることが、前記課題の解決に有用であることを見出した。そして、本発明者らは、更に検討した結果、凸欠陥の発生を防止すべく、研磨工程において用いられる、コロイド粒子を含む研磨液中に、このコロイド粒子と同符号の電荷を帯びたイオン性有機化合物を添加して、後の洗浄工程における洗浄性を向上させることを考えた。即ち、コロイド粒子と同符号に帯電したイオン性有機化合物は、研磨砥粒や研磨液中の不純物や、削りカス等の凸欠陥となりうる前駆体を、電気的若しくは立体障害的なかさ高さ又は両方の効果を備えて包括的に取り囲むことにより、凸欠陥となりうる前駆体を被研磨ガラス基板表面に縮合付着しにくくする。このイオン性化合物は、後の洗浄工程で使用する薬液に溶けやすい物質であり、たとえ凸欠陥となりうる前駆体と一体となって基板表面に付着してしまったとしても、洗浄工程において、イオン性有機化合物の持つ易溶性の効果で、凸欠陥と一体となって容易に除去できるような効果を持つ。また、イオン性有機化合物の帯電が強い場合や、イオン性有機化合物が水溶性高分子であることによって、一層これらの効果を発揮することができることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0012】
従って、本発明は、以下の合成石英ガラス基板の製造方法を提供するものである。
請求項1:
(1)合成石英ガラス基板を、コロイド粒子、該コロイド粒子と同符号の電荷を帯びたイオン性有機化合物及び水を含む研磨液により研磨する工程と、
(2)研磨した基板を、酸性溶液又は塩基性溶液に浸漬し、該基板表面を0.001〜1nmエッチングする工程と
を含むことを特徴とする合成石英ガラス基板の製造方法。
請求項2:
上記研磨液が、コロイダルシリカ分散液であり、コロイダルシリカ濃度が20〜50質量%であることを特徴とする請求項1記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
請求項3:
上記イオン性有機化合物が、水溶性高分子であることを特徴とする請求項1又は2記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
請求項4:
上記水溶性高分子が、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸及びポリフタル酸から選ばれる請求項3記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
請求項5:
上記酸性溶液又は塩基性溶液が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の無機塩基性水溶液であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
請求項6:
上記酸性溶液又は塩基性溶液に浸漬する工程を、研磨工程終了後、48時間以内に行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
請求項7:
上記酸性溶液又は塩基性溶液に浸漬する工程後に、更に別の洗浄工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
請求項8:
上記酸性溶液又は塩基性溶液に浸漬する工程を超音波をかけながら行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、IC等の製造に重要な光リソグラフィー法において使用されるフォトマスク基板用合成石英ガラス基板や、ナノインプリント用途向け等の合成石英ガラス基板の製造において、合成石英ガラス基板表面の高感度欠陥検査装置で検出される欠陥の生成が抑制され、良好な面粗度が得られることにより、半導体デバイス製造等において歩留まりの向上が期待され、かつ半導体工業の更なる高精細化につなげることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の合成石英ガラス基板の製造方法は、合成石英ガラス基板を、コロイド粒子、このコロイド粒子と同符号の電荷を帯びたイオン性有機化合物及び水を含む研磨液により研磨する工程と、研磨した基板を、酸性溶液又は塩基性溶液に浸漬し、この基板表面を0.001〜1nmエッチングする工程とを含むものである。
【0015】
ここで、本発明で使用される研磨液のコロイド粒子は、粒径が小さいことが好ましく、一次粒子径で5〜500nmが好ましく、より好ましくは10〜200nm、特に20〜150nmが望ましい。粒径が小さすぎると、被表面積が大きくなり、分散剤等の分散効果が有効に機能せず、基板表面にコロイド粒子が付着しやすいため洗浄性が悪くなる場合があり、大きすぎると研磨した基板の表面粗さが悪くなり、最終精密研磨用の研磨剤として好ましくない場合がある。なお、この粒子径は、動的光散乱法により測定した値である。
【0016】
また、研磨液のコロイド粒子の濃度としては、好ましくは20〜50質量%であり、更に好ましくは40〜50質量%である。濃度が20質量%未満ではガラス表面に微小キズが発生し、50質量%を超えると研磨液が不安定となり、増粘して研磨不能となる場合がある。
【0017】
更に、粒径分布は、単分散から多分散のもの、又は複数の粒径ピークを持つもの等が挙げられる。
コロイド粒子の種類としては、コロイダルシリカ、コロイダルセリア、コロイダルジルコニア等が挙げられるが、コロイダルシリカが特に好ましい。
【0018】
粒子の形状としては、球形、繭型、連結型等さまざまな形のコロイド状に分散したコロイダルシリカが挙げられるが、これらの中では特に球形のコロイダルシリカが好ましい。
【0019】
コロイダルシリカは様々な製法のものがあり、例えば水ガラスから造粒したものや、アルコキシシラン等の有機シリケート化合物等を加水分解したもの等があり、分散媒のpHは保存安定性の観点から通常アルカリ性のものが多いが、中性又は酸性でも可能である。中でもpHが3〜5の範囲か、もしくはpHが8〜11の範囲が好ましい。更に好ましくはpHが9〜10.5の範囲である。水ガラス法、アルコキシド法、エマルジョン法等の一般的な製法によって製造され、表面に化学修飾が行われておらず、表面が水酸基に覆われているコロイダルシリカであれば、pHが上記範囲のとき、コロイダルシリカは、通常負電荷を有する。pHが中性付近では、コロイドの静電的安定性を欠き、研磨液が不安定化しやすく、アルカリが強すぎると研磨したガラスに面粗れが発生する場合がある。なお、コロイダルシリカは、表面の水酸基を有機物や金属イオンで化学修飾することにより、正電荷を帯びる場合がある。
【0020】
更に、研磨砥粒シリカは通常は水に分散して使われるが、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン等の有機溶媒又はそれらの混合物に分散してあるものであっても構わない。更に、それらの有機溶媒又はその混合物のうち水溶性のものは、水と任意の割合で混合しても構わない。
【0021】
なお、コロイダルシリカの分散液としては、市販品を用いることができ、例えば(株)フジミインコーポレーテッド製COMPOL−50,COMPOL−80、COMPOL−120,COMPOL−EXIII、日産化学工業(株)製ST−XL、ST−YL、ST−ZL、Dupon製SYTON、ニッタ・ハース(株)製NALCOシリーズ、扶桑化学工業(株)製GPシリーズ等を用いることができる。
【0022】
以上の研磨液を用いてガラス基板を研磨するに際して、研磨液中に、後の洗浄工程での洗浄性を向上させる添加剤(コロイド粒子と同じ電荷を有するイオン性有機化合物)を添加し、洗浄工程において所定の洗浄を行うことによって、様々なタイプの欠陥が抑制され、面粗さの良好なガラス基板を得ることができる。
【0023】
本発明者らは、様々なタイプの欠陥について、それぞれの生成機構に関して、以下のように仮定して研究を進めた。
即ち、長径が数十nm〜500nm程度で高さ数nm〜数十nm程度の除去不能の凸欠陥については、研磨剤中の研磨砥粒が研磨作用による仕事で砥粒表面間縮合を起こしたり、被研磨表面から除去されたガラス分と砥粒の間で縮合を起こしたりして、欠陥の原因となる活性な粒子を生成し、これが研磨作用によって表面上に縮合付着し、その後の洗浄工程の能力が不足しているため、欠陥を落としきれず、製品表面に残ってしまっているとの認識を持った。
【0024】
また、長径が数十nm〜500nm程度で深さが数nm〜100nm程度の凹欠陥や、深さが1〜5nmと浅いながら、長さが1μm〜数十μmもある薄い筋状キズについては、複合的な要因で発生していると考えられ、一つには、研磨剤中の研磨砥粒が研磨作用による仕事で砥粒表面間縮合を起こしたり、被研磨表面から除去されたガラス分と砥粒の間で縮合を起こしたりして、欠陥の原因となる活性な粒子を生成し、これが研磨作用によって表面上にキズを生成している場合が考えられる。また、このようにして生成されたキズは、元々は問題ないレベルの極微少なサイズであったとしても、後の洗浄工程にて、使用される洗浄液の種類によってエッチング力の強いものを使用してしまうと、キズを拡大し、転写後の結像に強い影響を与えてしまうキラー欠陥となってしまうことも考えられる。さらには、先述の研磨剤由来の付着した凸欠陥に対する除去力を高める目的で使用されることのあるスポンジやブラシ洗浄を行ってしまうと、スポンジやブラシ自体の接触が原因となったり、除去した凸欠陥が異物となってスポンジ上に残り、これら異物とガラス表面が擦れることが原因となってキズを生じさせ、これらが先端品フォトマスク用途では問題となってくる、長さが1μm〜数十μmもある薄い筋状キズとなって観察されていると考えた。
【0025】
このような状況から、本発明者らは、研磨工程と洗浄工程を一体的に捉え、洗浄性の良い研磨砥粒での研磨方法に、研磨剤を除去できる程度であって、かつ表面粗れを起こさない程度の洗浄方法を組み合わせて行うことが重要であるとの認識を持った。
そこで、本発明者らは、上述したように、研磨工程において用いられる研磨液中に、コロイド粒子と同符号の電荷を帯びたイオン性有機化合物を添加して洗浄性を向上させることを考えた。
【0026】
コロイド粒子が、負電荷を有する場合、コロイド粒子と同符号の電荷を帯びたイオン性有機化合物の種類としては、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリフタル酸等や、これらのアルカリ金属(ナトリウム等)塩等の重合体や、アクリル酸、マレイン酸、フタル酸等のモノマーを任意の割合で共重合させた共重合体、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子が挙げられる。また、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、トレオニンなどのアミノ酸が挙げられる。また、フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、クロログルシノール等のフェノール類が挙げられる。また、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケタラン硫酸、及びそれらの塩類が挙げられる。コロイド粒子が正電荷を有する場合、コロイド粒子と同符号に電荷を帯びたイオン性有機化合物の種類としては、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリオルニチン、ポリリジン等の水溶性高分子が挙げられる。その他、リシン、アルギニン等のアミノ酸やグアニジン等が挙げられる。
【0027】
これらの中でも特に、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリフタル酸及びこれらのアルカリ金属塩の水溶性高分子が好ましい。水溶性高分子の濃度は、コロイド溶液の固形分、特にシリカの質量に対し、0.001〜1質量%、特に0.01〜0.5質量%が好ましい。濃度が低すぎるとキズを抑制するのに十分な効果が得られない場合があり、高すぎると水溶性高分子の粘度の高さにより、研磨液の研磨機への安定供給が困難となる場合がある。また、水溶性高分子の重量平均分子量としては、1,000〜1億、特に1万〜1,000万が好ましい。分子量が小さすぎるとキズを抑制するのに十分な効果が得られない場合があり、大きすぎると粘度が高くなるため、研磨液の研磨機への安定供給が困難となる場合がある。
なお、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いたポリスチレン換算による測定値である。
【0028】
本発明で用いる研磨液には、必要に応じて、pH調整剤、緩衝剤、防錆剤等の添加物を加えてもよい。特に、微小欠陥を抑制するには研磨液のpH調整が重要であり、pHを9〜10.5の範囲にするためにpH調整剤を添加するのが望ましい。
【0029】
pH調整剤としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、塩基性塩類、アミン類、アンモニアを使用することができる。例として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、ホウ酸ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン等が挙げられる。例示した添加物は1種単独で用いても、2種以上の複数を組み合わせて使用してもよい。中でもジエタノールアミンかトリエタノールアミンが好ましい。
【0030】
pH調整剤は、研磨液のpHが9〜10.5の範囲となる量を添加するのが好ましい。研磨中の研磨液のpHがこの範囲から逸脱しないことが大切であるため、pH調整剤はそれ以外の添加物を先に添加した上で、最後に加えるのが好ましい。研磨中に研磨液のpHが変動する場合は、適時にpH調整剤を添加してpH9〜10.5になるように調整してもよい。アルカリ金属の水酸化物のような解離定数の大きい強塩基の場合、当該pH域では少量の添加量の差でもpHが大きく変動するため、調整するのが難しい。この点で、pH調整剤としては、中程度の塩基であるジエタノールアミンかトリエタノールアミンが好ましい。pHが中性付近ではコロイダルシリカが不安定化しやすく、連続的な研磨に不都合が生じる場合がある。pHが高すぎると研磨した石英ガラスに面粗れが発生する場合がある。
【0031】
pH調整剤以外の添加物としては、カルボン酸とその塩類を使用することもできる。具体的には、鎖状構造のカルボン酸のうち分子量100以上のものや芳香族カルボン酸が好ましい。例えばメタクリル酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸、安息香酸、メチル安息香酸、t−ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フェニル酢酸とそれらの塩類が挙げられる。例示した添加物は1種単独で用いても、2種以上の複数を組み合わせて使用してもよい。これらの分子は水溶性でかさ高いため、研磨液に添加することで、分子がコロイド粒子に配位して、コロイド状態を安定化させる効果がある。
【0032】
上記のように調製された研磨液による研磨工程で用いられる研磨方法としては、バッチ式の両面研磨が一般的であるが、片面研磨、枚葉式研磨でも構わない。
【0033】
研磨工程を終えた合成石英ガラス基板は、洗浄工程において洗浄される。洗浄の際には、酸性溶液又は塩基性溶液に浸漬し、ガラス表面を0.001〜1nmエッチングする。更に好ましくは0.01〜0.1nmエッチングする。エッチング量が0.001nm未満であると洗浄力が足りず、基板表面に研磨液由来の凸欠陥や汚れが残存してしまう。エッチング量が1nmを超えると、研磨液由来の凸欠陥や汚れは除去できるが、元々極微小だった凹欠陥を顕在化させてしまうばかりではなく、面粗さを悪化させてしまう。
【0034】
酸性溶液又は塩基性溶液に浸漬し、ガラス表面を0.001〜1nmエッチングする洗浄工程は、研磨終了後48時間以内、より好ましくは12時間以内、さらに好ましくは3時間以内に行うことが望ましい。研磨終了後、短時間で洗浄を開始することによって汚れが定着せずに、より大きな洗浄効果を得ることができる。研磨終了から洗浄を開始するまでの間、乾燥状態で放置することは汚れを決定的に固着させてしまうため絶対に避けるべきだが、pHが中性である清浄な超純水に浸して保管しておいた場合でも、ガラス基板表面に残留した、研磨砥粒として使用していたコロイド溶液、特にコロイダルシリカのゼータ電位が下がった状態となり、なおかつ、砥粒近傍に存在していた洗浄性を促進する物質も、時間がたつに連れて純水中に拡散して行ってしまい、ガラス基板表面への固着が強固なものとなって、たとえ後にエッチング力の強い洗浄液に浸したとしても凸欠陥として残ってしまうおそれがある。
【0035】
酸性溶液又は塩基性溶液としては、石英ガラス基板は耐薬品性が強いためにエッチングできる薬液は少ないが、フッ酸、フッ酸塩、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物などの無機塩基性水溶液が例示できる。これらの中でもアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物が好ましい。研磨液であるコロイド溶液、特に塩基性コロイダルシリカのpHは10前後であるため、強塩基性であるアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物にてpHを10.5超14以下に調整した溶液に浸漬させることが好ましい。研磨液よりも高いpHの洗浄液に浸漬させることで、先述の研磨液に添加したコロイド粒子と同符号の電荷を帯びたイオン性有機化合物を伴って付着している研磨液由来の汚れに対して、高いpHによって溶けやすくなるとともに、表面に付着した研磨砥粒残りそのものを溶解させる効果が期待できる。pHについて、さらに好ましくはpH11〜13に調整した溶液に浸漬させることが好ましい。この領域のpHであれば、エッチング量を0.001〜1nmにコントロールしやすい。pHが低すぎると0.001nmのエッチング量を満たすのに多くの時間を費やしてしまい生産性が悪くなるとともに、洗浄力不足で、十分な洗浄効果が得られない場合がある。pHが高すぎると面粗れの原因となる場合がある。フッ酸、フッ酸塩は石英ガラスに対するエッチング力が強いために、フッ酸濃度が低い希フッ酸であってもエッチング量を0.001〜1nmの範囲に安定的にコントロールするのが難しい場合がある。
【0036】
上記酸性溶液又は塩基性溶液による洗浄工程で用いる洗浄方法としては、枚葉式洗浄、バッチ式洗浄のどちらでも構わない。
【0037】
酸性溶液又は塩基性溶液に浸漬し、ガラス表面を0.001〜1nmエッチングする洗浄工程は、スポンジやブラシによる洗浄や、純水、オゾン水、アンモニア過水、硫酸過水、濃硫酸、水素水など石英ガラス基板に対するエッチング性がないか、きわめて低い薬液への単純な浸漬や、超音波を印加した状態での上記薬液への浸漬など、更に別の洗浄工程と組み合わせてもよいが、別の洗浄工程よりも先に、酸性溶液又は塩基性溶液に浸漬し、ガラス表面を0.001〜1nmエッチングする洗浄工程を行うことがより好ましい。スポンジやブラシは凸欠陥に対する除去力はあるが、除去した凸欠陥がスポンジやブラシに付着し、そうした表面で基板をこすることで凹欠陥を発生させる原因となってしまう。そのため、研磨上がり直後の凸欠陥が大量に付着しているであろうガラス基板表面に対してスポンジやブラシによる洗浄を用いると、大量の凹欠陥を発生させてしまうので好ましくない。その他の洗浄方法では、例えばオゾン水は有機物の除去については有効であったり、硫酸過水や濃硫酸は金属パーティクルの除去には有効であるが、凸欠陥の最大原因と考えられるコロイドの研磨砥粒、特にコロイダルシリカの洗浄には特に適してはおらず、こういった薬液に浸漬させている間にゼータ電位の低下からむしろ凸欠陥の固着を促進させてしまう可能性がある。
【0038】
酸性溶液又は塩基性溶液に浸漬し、ガラス表面を0.001〜1nmエッチングする洗浄工程は、超音波を印加しながら行うことがより好ましい。超音波を印加することにより、凸欠陥をより除去しやすくなる。超音波の周波数としては500kHz〜3MHzが好ましい。周波数が低すぎるとエネルギーが大きくなり、ガラス基板表面を傷つける可能性がある。周波数が高すぎるとエネルギーが小さすぎ、サブミクロンオーダーの凸欠陥を効果的に除去するには不十分である場合がある。出力は25〜100Wが好ましい。小さすぎると洗浄効果が足りず、大きすぎても効果は飽和して意味がなく、超音波発振機に負担がかかって装置の寿命を早めるだけである。
【0039】
本発明におけるそれぞれの洗浄液のエッチング量は、極めて小さい値の範囲であるが、これはエッチング量を算出するために準備した表面積が計算できて、約330gの板状である石英ガラス片に対して、あらかじめ精密に質量を測定しておき、洗浄に用いる各種溶液を20Lの容積で調製し、その溶液中に石英ガラス板を浸漬させ、溶液の劣化がないようにこまめに新液に取り替えながら数時間〜数週間経過させた後、再び質量を測定し、その質量の減少分から洗浄液の表面エッチング量を求め、これらの値から換算して導いた値である。
【0040】
本発明の製造方法は、前工程として、合成石英ガラスインゴットを成型、アニール、スライス加工、ラッピング、粗研磨加工をした合成石英ガラス基板に対する最終的な表面品質を決定する精密研磨工程及びその後の洗浄工程として適用できる。
【0041】
本発明の製造方法を用いて製造される合成石英ガラス基板は、半導体関連電子材料に用いることができ、特にフォトマスク用又はナノインプリント用として好適に使用することができる。
【0042】
例えば半導体用基板の場合、152mm×152mmで厚さは6.35mm程度である。また、ナノインプリント用基板の場合、ナノインプリント技術が少量多品種生産に向いている性格上、基板サイズも様々な大きさが想定されるが、例えば半導体用基板と同じく、152mm×152mmで厚さは6.35mm程度のものや、65mm×65mmで厚さは6.35mm程度のものの他、直径150mmで厚さ0.5〜1.0mmのウェーハ基板が挙げられる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例と比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例において、粒子径は動的光散乱法により測定した値である。
【0044】
[実施例1]
スライスされたシリカ合成石英ガラス基板原料(6インチ)をラッピング、両面ポリッシュ装置により粗研磨を行った後、最終精密研磨に導入した。軟質のスエード製研磨布を用い、研磨液としてSiO2濃度が40質量%のコロイダルシリカ水分散液((株)フジミインコーポレーテッド製、一次粒子径78nm)にポリアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量25万〜70万:和光純薬工業(株)製)を0.5質量%加え、更にジエタノールアミンを添加することでpHを10に調整したものを用いた。研磨荷重は10gfで、取り代は粗研磨工程で入ったキズを除去するのに十分な量(約1μm以上)を研磨した。
【0045】
研磨後、基板は純水中に保管し、およそ3時間後に、表面エッチング量が約0.01nmである、KOH水溶液0.2質量%(pH12.6)に3分間浸漬する工程に投入することで、洗浄を開始した。洗浄の間、周波数1MHz、出力50Wで超音波を印加した。この工程以降、超音波を印加した水素水に浸漬するなどして洗浄工程を継続したが、それらの工程での表面エッチング量は約0.001nm未満であった。
【0046】
洗浄後、乾燥してから50nmのPSL粒子を検出できる感度のレーザーコンフォーカル光学系高感度欠陥検査装置(レーザーテック(株)製)を用いて欠陥検査を行ったところ、欠陥数は平均2.3個(凸欠陥1.7点、凹欠陥0.6点、筋状キズ0点)であった。また、AFMにて粗さ測定を行ったところRMSで0.102nmであった。
【0047】
[比較例1]
実施例1において、最終研磨に使用する研磨液にポリアクリル酸ナトリウムを添加しないで研磨すること以外、全て実施例1と同じ条件で行った。その結果、同様にしてレーザーコンフォーカル光学系高感度欠陥検査装置を用いて欠陥検査を行ったところ、欠陥数は平均34個であった(凸欠陥33.0点、凹欠陥0.8点、筋状キズ0.2点)。RMSは0.105nmであった。
【0048】
[比較例2]
実施例1において、洗浄工程にて、表面エッチング量が0.001nm未満である、アンモニアの添加された水素水(pH10.1)に3分間浸漬する工程に投入することで、洗浄を開始すること以外、全て実施例1と同じ条件で行った。その結果、同様にしてレーザーコンフォーカル光学系高感度欠陥検査装置を用いて欠陥検査を行ったところ、欠陥数は平均1421個(凸欠陥約1420点、凹欠陥及び筋状キズは1点以下、凹凸の割合は欠陥数が多すぎたので、一部をAFMにてプロファイル観察した結果から換算した)であった。RMSは0.098nmであった。
【0049】
[比較例3]
実施例1において、洗浄工程にて表面エッチング量が約3nmである、0.5質量%フッ酸に3分間浸漬する工程に投入することで、洗浄を開始すること以外、全て実施例1と同じ条件で行った。その結果、同様にしてレーザーコンフォーカル光学系高感度欠陥検査装置を用いて欠陥検査を行ったところ、欠陥数は平均5.1個(凸欠陥1.3点、凹欠陥3.6点、筋状キズ0.2点)であった。RMSは0.128nmであった。欠陥数は比較的少なかったが、凹欠陥の割合が多かった。また、RMSが悪化する傾向が見られた。
【0050】
[実施例2]
実施例1のポリアクリル酸ナトリウムをポリマレイン酸ナトリウム(重量平均分子量1,000:東亞合成(株)製)に代えた以外は、実施例1と同様にして欠陥検査を行ったところ、欠陥数は平均3.5個(凸欠陥1.0点、凹欠陥2.5点、筋状キズ0点)であった。RMSは0.107nmであった。
【0051】
[実施例3]
実施例1のポリアクリル酸ナトリウムをアクリル酸/マレイン酸共重合体(重量平均分子量6万:(株)日本触媒製)に代えた以外は、実施例1と同様にして欠陥検査を行ったところ、欠陥数は平均4.6個(凸欠陥3.1点、凹欠陥1.2点、筋状キズ0.3点)であった。RMSは0.102nmであった。
【0052】
[実施例4]
実施例1のポリアクリル酸ナトリウムをアスパラギン酸(和光純薬工業(株)製)に代えた以外は、実施例1と同様にして欠陥検査を行ったところ、欠陥数は平均4.8個(凸欠陥3.2点、凹欠陥1.3点、筋状キズ0.3点)であった。RMSは0.108nmであった。
【0053】
[実施例5]
実施例1のポリアクリル酸ナトリウムをカテコール(和光純薬工業(株)製)に代えた以外は、実施例1と同様にして欠陥検査を行ったところ、欠陥数は平均5.8個(凸欠陥3.8点、凹欠陥1.8点、筋状キズ0.2点)であった。RMSは0.099nmであった。
【0054】
[実施例6]
実施例1のポリアクリル酸ナトリウムをヒアルロン酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)に代えた以外は、実施例1と同様にして欠陥検査を行ったところ、欠陥数は平均4.8個(凸欠陥3.3点、凹欠陥1.2点、筋状キズ0.3点)であった。RMSは0.104nmであった。
【0055】
[実施例7]
実施例1のKOH水溶液0.2質量%を、表面エッチング量が約0.009nmである、NaOH水溶液0.2質量%(pH12.7)に代えた以外は、実施例1と同様にして欠陥検査を行ったところ、欠陥数は平均4.7個(凸欠陥4.0点、凹欠陥0.7点、筋状キズ0点)であった。RMSは0.107nmであった。
【0056】
[実施例8]
実施例1のKOH水溶液0.2質量%を、表面エッチング量が約0.021nmである、市販の弱塩基性界面活性剤(花王(株)製クリーンスルーPC−3053(商品名))1質量%溶液にKOH0.2質量%を添加してエッチング力を上げた溶液(pH12.6)に代えた以外は、実施例1と同様にして欠陥検査を行ったところ、欠陥数は平均2.8個(凸欠陥1.9点、凹欠陥0.8点、筋状キズ0.1点)であった。RMSは0.108nmであった。
【0057】
[比較例4]
実施例1のKOH水溶液0.2質量%を、表面エッチング量が約0.001nm未満である市販の弱塩基性界面活性剤(花王(株)製クリーンスルーPC−3053(商品名))1質量%溶液(pH9.3)に代えた以外は、実施例1と同様にして欠陥検査を行ったところ、欠陥数は平均82.8個(凸欠陥81.4点、凹欠陥1.3点、筋状キズ0.1点)であった。RMSは0.098nmであった。
【0058】
[実施例9]
実施例1の洗浄工程を、研磨後、約36時間後に行うこと以外は、実施例1と同様にして欠陥検査を行ったところ、欠陥数は平均11.8個(凸欠陥10.2点、凹欠陥1.5点、筋状キズ0.1点)であった。RMSは0.109nmであった。
【0059】
[実施例10]
実施例1の洗浄工程にて表面エッチング量が約0.01nmである、KOH水溶液0.2質量%に3分間浸漬する工程に投入することで、洗浄を開始し、その間、周波数1MHz、出力50Wで超音波を印加し、この工程以降、超音波を印加した水素水に浸漬するなどして洗浄工程の中で、再び表面エッチング量が約0.021nmである、市販の弱塩基性界面活性剤(花王(株)製クリーンスルーPC−3053(商品名))1質量%溶液にKOH0.2質量%を添加してエッチング力を上げた溶液(pH12.6)に3分間浸漬させ、洗浄工程での総合のエッチング量を0.031nmとした以外は、実施例1と同様にして欠陥検査を行ったところ、欠陥数は平均2.5個(凸欠陥1.2点、凹欠陥1.3点、筋状キズ0点)であった。RMSは0.101nmであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)合成石英ガラス基板を、コロイド粒子、該コロイド粒子と同符号の電荷を帯びたイオン性有機化合物及び水を含む研磨液により研磨する工程と、
(2)研磨した基板を、酸性溶液又は塩基性溶液に浸漬し、該基板表面を0.001〜1nmエッチングする工程と
を含むことを特徴とする合成石英ガラス基板の製造方法。
【請求項2】
上記研磨液が、コロイダルシリカ分散液であり、コロイダルシリカ濃度が20〜50質量%であることを特徴とする請求項1記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
【請求項3】
上記イオン性有機化合物が、水溶性高分子であることを特徴とする請求項1又は2記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
【請求項4】
上記水溶性高分子が、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸及びポリフタル酸から選ばれる請求項3記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
【請求項5】
上記酸性溶液又は塩基性溶液が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の無機塩基性水溶液であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
【請求項6】
上記酸性溶液又は塩基性溶液に浸漬する工程を、研磨工程終了後、48時間以内に行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
【請求項7】
上記酸性溶液又は塩基性溶液に浸漬する工程後に、更に別の洗浄工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板の製造方法。
【請求項8】
上記酸性溶液又は塩基性溶液に浸漬する工程を超音波をかけながら行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の合成石英ガラス基板の製造方法。

【公開番号】特開2011−136388(P2011−136388A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297214(P2009−297214)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】