説明

合金超微粒子、およびその製造方法

【課題】粒子表面が実質的に金属である合金超微粒子でありながら、融着性がなく、酸化に対する抑制度が高い合金超微粒子、およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】主たる金属と、この主たる金属と固溶可能な1種以上の従たる金属とを含む合金からなる合金超微粒子であって、1種以上の従たる金属の含有量が、1質量%〜25質量%の範囲であり、主たる金属に固溶された1種以上の従たる金属は、主たる金属を含む合金超微粒子の融着および酸化の少なくとも一方を防止する機能を発揮するものであることにより、上記課題を解決する。また、減圧下で、主たる金属と1種以上の従たる金属とを含む超微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入して、気相状態の混合物にし、この気相状態の混合物を急冷するのに十分な供給量で、冷却用気体を熱プラズマ炎の終端部に向けて導入して、上記合金超微粒子を生成することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融着を防止するとともに、酸化を抑制することが可能な金属合金超微粒子、およびその製造方法に関し、より詳細には、熱プラズマ法を用いて、主たる金属と、この主たる金属、例えば金属Aと固溶可能な1種以上の従たる金属、例えば主たる金属Aと固溶可能な複数の金属B,C,・・・の少なくとも1種の金属とを含む合金超微粒子、およびこの合金超微粒子を製造することが可能な合金超微粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化物微粒子、窒化物微粒子、炭化物微粒子などの微粒子は、半導体基板、プリント基板、各種電気絶縁部品などの電気絶縁材料や、ダイス、軸受などの高硬度・高精度の機械工作材料、粒界コンデンサ、湿度センサなどの機能性材料、精密焼結成形材料などの焼結体の製造や、エンジンバルブなどのような高温耐摩耗性が要求される材料などの溶射部品製造、さらには、燃料電池の電極や電解質材料および各種触媒などの分野で用いられている。このような微粒子を用いることにより、焼結体や溶射部品などにおける異種セラミックス同士や異種金属同士の接合強度や緻密性、あるいは機能性を向上させている。
【0003】
このような微粒子を製造する方法の一つに、気相法がある。気相法には、各種のガス等を高温で化学反応させる化学的方法と、電子やレーザ等のビームを照射して物質を分解・蒸発させ、微粒子をさせる物理的方法とがある。
【0004】
上記気相法の中の一つとして、熱プラズマ法がある。熱プラズマ法は、熱プラズマ中で原材料を瞬時に蒸発させた後、急冷凝固させ、微粒子を製造する方法であり、また、クリーンで生産性が高く、高温で熱容量が大きいため高融点材料にも対応可能であり、他の気相法に比べて複合化が比較的容易であるといった多くの利点を有する。このため、熱プラズマ法は、微粒子を製造する方法として積極的に利用されている。
【0005】
特許文献1には、粉末状にされた原材料を熱プラズマ炎中に導入する従来技術に関し、金属微粒子と被覆層との両粉末材料を複合化し、原材料混合物を不活性または還元性雰囲気の熱プラズマ(熱プラズマ炎)中に供給して原材料を蒸発させて気相状態の混合物にした後、この混合物を急冷して、酸化物金属被覆微粒子を製造する方法が開示されている。
特許文献1に開示された酸化物金属被覆微粒子は、その芯粒子の平均粒径が、0.01μm〜1μm、酸化物被覆層の平均厚みが、1nm〜10nmであるので、そのサイズは、概略0.011μm〜1.01μmである。また、この酸化物金属被覆微粒子は、粒子表面が酸化物で被覆されており、表面活性は高くなく、安定性のある微粒子である。
【0006】
ところで、近年、上述のような各種の微粒子については、その材質を問わず、より小さいサイズのものが要求される状況になってきている。
これは、微粒子が用いられる対象物それ自体が小サイズ化することに起因しているが、ここで問題となるのは、微粒子のサイズが小さくなるに従って表面活性が高くなり、この高い表面活性は、逆に微粒子の安定性を低下させるという点である。
【0007】
例えば、鉄や銅などの金属を微粒子化した場合、その粒径が数μmオーダーであれば、徐々に酸化することにより表面に酸化被膜を形成することはよく知られているが、これが数nm〜数十nmオーダー(いわゆるナノ粒子、以下、従来の感覚に基づく微粒子と区別するために、超微粒子という)になると、酸化が急激に起こって危険でさえあるという状態になる。
【0008】
また、特に、金や銀などの低融点金属を微粒子化した場合、数nmオーダーになると融点が急激に低下することが知られているが、これより大サイズの数十nmオーダーでも粒子同士が容易に融着し、それぞれが独立した超微粒子を得ることができない状態になることも知られている。
【0009】
そこで、このような超微粒子を安定に、かつ、効率的に製造する方法を確立することが必要になってきている。
これに関しては、例えば、特許文献2に記載されている技術が参考になる。
【0010】
特許文献2に記載されている技術は、反応性ガスの存在下での真空蒸着により、超微粉体(コアとなるもの)の表面に均一な厚さ(数原子層〜数十原子層程度という超薄層)の炭素原子層を形成した「炭素超薄膜を被覆した超微粉体」である。
【0011】
【特許文献1】特開2000−219901号公報
【特許文献2】特公平5−43791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の特許文献2に記載された「炭素超薄膜を被覆した超微粉体」の製造方法は、予め形成されている粒径数十nm(具体例は、30nm(300Å))のニッケル超微粉体などの超微粉体を蒸着雰囲気内に位置させ、この超微粉体の表面に、雰囲気内に存在する反応性ガスの分解により発生する原子状の炭素(炭素原子)を均一に(層状に)、厚さ数nm(具体例は、2nm(20Å))で付着させるというものである。
【0013】
一方で、近年、半導体装置等の発展に伴って半導体基板やプリント基板上にワイヤ(配線)を引く(描く)目的で導電性を有する超微粒子(実質的には、金属の超微粒子)が要求されている。
しかしながら、特許文献2に記載された「炭素超薄膜を被覆した超微粉体」は、前述のように、粒径が数十nm程度超微粉体であるとされているものの、ここに開示された超微粉体は、表面に炭素薄膜(グラファイト化した炭素原子の超薄膜被膜)を被覆したものであるため、上述のような半導体基板やプリント基板上への配線形成のためには、加熱して炭素薄膜を除く、すなわち炭素原子を飛ばす必要がある。このためには、加熱温度を高くする必要があるが、半導体基板やプリント基板の加熱温度には限界があるため、半導体基板やプリント基板上への配線形成のための超微粉体として用いることができないという問題があった。
すなわち、特許文献2に開示の「炭素超薄膜を被覆した超微粉体」では、粒子表面が実質的に金属の(すなわち、粒子表面も導電性を有する)超微粒子であることが要求される上記目的には対応できないという問題があった。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、前記従来技術に基づく問題点を解消した、粒子表面が実質的に金属である合金超微粒子でありながら、融着性がなく、酸化に対する抑制度が高い合金超微粒子、およびその製造方法を提供することにある。
【0015】
より詳細には、本発明は、上述のような非融着性と高い酸化抑制性を備えた、主たる金属に対して補助的成分(すなわち、従たる金属)を含む合金からなる合金超微粒子、およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、このような高表面活性と新機能性が期待される合金超微粒子およびこのような合金超微粒子を安定にかつ効率的に製造する方法を確立することが必要になってきていることに鑑みて、上記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、合金を形成することが可能な合金超微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入して気相状態の混合物にし、この気相状態の混合物を急冷するのに十分な供給量で熱プラズマ炎の終端部に冷却用気体を導入することにより、非融着性と高い酸化抑制度を備えた合金からなる合金超微粒子を製造することができることを知見し、本発明に至ったものである。
【0017】
すなわち、本発明の第1の態様は、主たる金属と、この主たる金属と固溶可能な1種以上の従たる金属とを含む合金からなる合金超微粒子であって、前記1種以上の従たる金属の含有量が、1質量%〜25質量%の範囲であり、前記主たる金属に固溶された前記1種以上の従たる金属は、前記主たる金属を含む合金超微粒子の融着および酸化の少なくとも一方を防止する機能を発揮するものであることを特徴とする合金超微粒子を提供するものである。
【0018】
ここで、前記主たる金属および前記1種以上の従たる金属との各金属の融点のうちの最高の融点温度において、前記主たる金属が示す蒸気圧と、前記1種以上の従たる金属の各金属が示す蒸気圧との比が、1:10〜1:10−4(10−4:1〜10:1)の範囲内であることが好ましい。
また、前記主たる金属が、銀であり、前記1種以上の従たる金属が、パラジウム、錫、ニッケル、銅、金および白金よりなる群から選ばれるものであることが好ましい。
また、前記主たる金属が、銅であり、前記1種以上の従たる金属が、ニッケルであることが好ましい。
また、前記主たる金属が、鉄、コバルトおよびニッケルよりなる群から選ばれる1種であり、前記1種以上の従たる金属が、アルミニウムであることが好ましい。
【0019】
一方、本発明の第2の態様は、減圧下で、主たる金属と、この主たる金属と固溶可能な1種以上の従たる金属とを含み、前記1種以上の従たる金属の含有量が1質量%〜25質量%の範囲である超微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入して、気相状態の混合物にし、この気相状態の混合物を急冷するのに十分な供給量で、冷却用気体を前記熱プラズマ炎の終端部に向けて導入して、前記主たる金属と前記1種以上の従たる金属とを含む合金からなり、融着および酸化の少なくとも一方を防止する機能を備える合金超微粒子を生成することを特徴とする合金超微粒子の製造方法を提供するものである。
【0020】
ここで、前記主たる金属および前記1種以上の従たる金属との各金属の融点のうちの最高の融点温度において、前記主たる金属が示す蒸気圧と、前記1種以上の従たる金属の各金属が示す蒸気圧との比が、1:10〜1:10−4(10−4:1〜10:1)の範囲内であることが好ましい。
【0021】
また、前記主たる金属が、銀であり、前記1種以上の従たる金属が、パラジウム、錫、ニッケル、銅、金および白金よりなる群から選ばれるものであることが好ましい。
また、前記主たる金属が、銅であり、前記1種以上の従たる金属が、ニッケルであることが好ましい。
また、前記主たる金属が、鉄、コバルトおよびニッケルよりなる群から選ばれる1種であり、前記1種以上の従たる金属が、アルミニウムであることが好ましい。
【0022】
ここで、本発明において対象とする合金超微粒子のサイズとしては、超微粒子、いわゆるナノ粒子と称される、数nm〜数十nmオーダーの粒子径を有するサイズを挙げることができる。
【0023】
なお、本発明に係る合金超微粒子、およびその製造方法において、前記気相状態の混合物を急冷するのに十分な前記冷却用気体の供給量とは、以下の通りのものである。すなわち、前記気相状態の混合物を急冷するために形成される空間を冷却室(チャンバ)と呼ぶが、そこに導入される気体の冷却室内における平均流速(チャンバ内流速)を、0.001〜60m/secとすることが好ましく、0.01〜10m/secとすることがより好ましい。
【0024】
また、前記気体の前記冷却室内への導入方向としては、前記冷却室内において、熱プラズマ炎の尾部(終端部)に対して、垂直上方を0°とした場合の角度αが90°<α<240°(より好ましくは100°<α<180°)の範囲、気体射出口から見た熱プラズマ炎の方向を0°とした場合の角度βが−90°<β<90°(より好ましくは−45°<β<45°)の範囲であるのがよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、非融着性と高い酸化抑制度を備えた、補助的成分を含む合金からなる合金超微粒子、およびその製造方法を提供できるという顕著な効果を奏する。
【0026】
より具体的には、本発明によれば、減圧下で、主たる金属と、この主たる金属、例えば金属Aと固溶可能な1種以上の従たる金属、例えば主たる金属Aと固溶可能な複数の金属B,C,・・・の少なくとも1種の金属とを含み、前記1種以上の従たる金属の含有量が1質量%〜25質量%の範囲である合金超微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入して、気相状態の混合物にし、この気相状態の混合物を急冷するのに十分な供給量で、冷却用気体を前記熱プラズマ炎の終端部(尾部)に向けて導入して、前記主たる金属と前記1種以上の従たる金属とを含む合金からなる合金超微粒子を生成するようにしたことにより、非融着性と高い酸化抑制度を備えた合金からなる合金超微粒子を製造することが可能になるという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明に係る合金超微粒子およびその製造方法を詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る合金超微粒子の製造方法を実施するための合金超微粒子製造装置10の全体構成を示す模式図である。また、図2は、図1中に示したプラズマトーチ12付近の部分拡大図で、図3は、図1中に示した材料供給装置14の拡大図、また、図4は、図1中に示したチャンバ16の天板17、およびこの天板17に備えられた気体射出口28aおよび気体射出口28b付近を拡大した断面図である。
【0029】
図1に示す合金超微粒子製造装置10は、本発明に係る合金超微粒子を製造するための装置であって、熱プラズマ炎を発生させるプラズマトーチ12と、合金超微粒子製造用材料(粉末材料)をプラズマトーチ12内へ供給する材料供給装置14と、合金超微粒子18を生成させるための冷却室としての機能を有するチャンバ16と、生成された合金超微粒子18を回収する回収部20と、冷却用の気体をチャンバ16内に導入し、熱プラズマ炎24に向けて射出する気体導入装置28とを有する。
【0030】
図2に示すプラズマトーチ12は、石英管12aと、その外側を取り巻く高周波発振用コイル12bとで構成されている。プラズマトーチ12の上部には、合金超微粒子製造用材料とキャリアガスとをプラズマトーチ12内に導入するための後述する導入管14aがその中央部に設けられており、プラズマガス導入口12cがその周辺部(同一円周上)に形成されている。
【0031】
プラズマガスは、プラズマガス供給源22からプラズマガス導入口12cへ送り込まれる。プラズマガスとしては、例えば、アルゴン,窒素,水素等が挙げられる。プラズマガス供給源22には、例えば、2種類のプラズマガスが準備されている。プラズマガスは、プラズマガス供給源22からリング状のプラズマガス導入口12cを介して、矢印Pで示されるようにプラズマトーチ12内に送り込まれる。そして、高周波発振用コイル12bに高周波電流が供給されて、熱プラズマ炎24が発生する。
【0032】
なお、石英管12aの外側は、同心円状に形成された管(図示されていない)で囲まれており、この管と石英管12aとの間に冷却水を循環させて石英管12aを水冷し、プラズマトーチ12内で発生した熱プラズマ炎24により石英管12aが高温になりすぎるのを防止している。
【0033】
材料供給装置14は、図3にその拡大図を示したように、主に、2種類以上の金属材料が所定の比率で混合された状態の粉末材料を貯蔵する貯蔵槽142と、上記混合状態の粉末材料を定量搬送するスクリューフィーダ160と、スクリューフィーダ160で搬送された粉末材料が最終的に散布される前に、これを一次粒子の状態に分散させる分散部170とから構成されている。
【0034】
貯蔵槽142には、図示されていないが、排気用配管および給気用配管が設けられる。また、貯蔵槽142はオイルシール等で密封された圧力容器であり、内部の雰囲気を制御することができるように構成されている。また、貯蔵槽142の上部には粉末材料を導入する導入口(図示されていない)が設けられており、粉末材料144が導入口から貯蔵槽142内部に投入され、貯蔵される。
【0035】
なお、ここでは、貯蔵槽142に貯蔵される粉末材料を、2種類以上の金属材料が所定の比率で混合された状態で導入する場合を例に挙げたが、これは一例であり、2種類以上の金属材料を個別の貯蔵室(図示されていない)に貯蔵しておいて、貯蔵槽142内へ導入する時点で、所定の比率で混合するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0036】
貯蔵槽142の内部には、貯蔵された粉末材料144の凝集を防止するために、攪拌軸146とそれに接続された攪拌羽根148とが設けられる。攪拌軸146は、オイルシール150aと軸受け152aとによって、貯蔵槽142内で回転可能に配設されている。
また、貯蔵槽142外部にある攪拌軸146の端部は、モータ154aに接続されており、図示しない制御装置によってその回転が制御される。
【0037】
貯蔵槽142の下部には、スクリューフィーダ160が設けられ、粉末材料144の定量的な搬送を可能にする。スクリューフィーダ160は、スクリュー162と、スクリュー162の軸164と、ケーシング166と、スクリュー162の回転動力源であるモータ154bとを有する。スクリュー162および軸164は、貯蔵槽142内の下部を横切って設けられている。軸164は、オイルシール150bと軸受け152bとによって貯蔵槽142内で回転可能に配設されている。
【0038】
また、貯蔵槽142外部にある軸164の端部は、モータ154bに接続されており、図示しない制御装置によってその回転が制御される。さらに、貯蔵槽142の下部の開口部と、後述する分散部170とを接続し、スクリュー162を包む筒状通路であるケーシング166が設けられる。ケーシング166は、後述する分散部170の内部途中まで延設されている。
【0039】
図3に示すように、分散部170は、ケーシング166の一部に外挿固定された外管172と、軸164の先端部に植設された回転ブラシ176を有し、スクリューフィーダ160によって定量搬送された粉末材料144を一次分散させることができる。
外管172の外挿固定された端部と反対の端部は、その形状が円錐台形状であり、その内部にも円錐台形状の空間である粉体分散室174を有する。また、その端部には分散部170で分散された粉末材料を搬送する搬送管182が接続される。
【0040】
ケーシング166の先端が開口し、その開口部を越えて外管172内部の粉体分散室174まで軸164が延設され、軸164の先端には回転ブラシ176が設けられる。外管172の側面にはキャリアガス供給口178が設けられており、また、ケーシング166の外壁と外管172の内壁とによって設けられる空間は、導入されたキャリアガスが通過するキャリアガス通路180としての機能を有する。
【0041】
回転ブラシ176は、ナイロン等の比較的柔軟な材質、あるいは鋼線等の硬質な材質からなる針状部材で、ケーシング166の先端部近傍の内部から粉体分散室174の内部まで、軸164の径外方に延出して密集植設されることによって形成される。このときの上記針状部材の長さは、ケーシング166内の周壁に針状部材の先端部が当接する程度の長さである。
【0042】
分散部170では、分散・搬送用の気体が、キャリアガス供給源15からキャリアガス供給口178、キャリアガス通路180を通って回転ブラシ176の径方向外側から回転ブラシ176に噴出され、定量的に搬送される粉末材料144が、回転ブラシ176の針状部材間を通過することで一次粒子に分散される。
【0043】
ここで、粉体分散室174の円錐台形の母線と軸164とのなす角度は、30°程度の角度をなすように設けられている。また、粉体分散室174の容積は小さいほうが好ましく、容積が大きいと回転ブラシ176で分散された粉末材料144が搬送管182に入る前に分散室の内壁に付着し、これが再飛散するために供給される分散粉体の濃度が一定しなくなるという問題を生じる。
【0044】
搬送管182は、その一端は外管172と接続され、他端はプラズマトーチ12に接続される。また、搬送管182は、その管径の10倍以上の管長を有し、少なくとも途中に分散粉体を含む気流が流速20m/sec以上になる管径部分を設けることが好ましい。これにより分散部170で一次粒子の状態に分散された粉末材料144の凝集を防止し、上記の分散状態を維持したまま、粉末材料144をプラズマトーチ12内部に散布することができる。
【0045】
押し出し圧力がかけられたキャリアガスが、キャリアガス供給源15から粉末材料144と共に、図2中に矢印Gで示されるように導入管14aを介してプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中へ供給される。導入管14aは、粉末材料をプラズマトーチ内の熱プラズマ炎24中に噴霧するためのノズル機構を有しており、これにより、粉末材料144をプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に噴霧する。キャリアガスには、アルゴン,窒素,水素等が単独または適宜組み合わせて用いられる。
【0046】
一方、図1に示したように、チャンバ16が、プラズマトーチ12の下方に隣接して設けられている。プラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に噴霧された粉末材料144は、蒸発して気相状態の混合物になり、その直後に上記気相状態の混合物がチャンバ16内で急冷され、合金超微粒子18が生成する。つまり、チャンバ16は、冷却室としての機能と反応室としての機能とを有する。
【0047】
ところで、本発明に係る合金超微粒子の製造方法に用いる合金超微粒子製造装置は、上記気相状態の混合物を急冷することを主たる目的とする気体導入装置を備えることを特徴としている。以下、この気体導入装置について説明する。
【0048】
図1および図4に示す気体導入装置28は、チャンバ16内に導入される気体に押し出し圧力をかけるコンプレッサ28cと、チャンバ16内に導入される上記気体の供給源28dと、これらとチャンバ16の天板17とを接続する管28eとから構成されている。
ここでは、一例として、気体供給源28dには、冷却用ガスとしてのアルゴンが貯蔵されている。なお、冷却用ガスとしては、アルゴンの他、例えば窒素,水素,酸素,空気,二酸化炭素,水蒸気およびこれらの混合ガスが挙げられる。
【0049】
また、気体導入装置28は、上記天板17内に、熱プラズマ炎24の尾部に向かって、前述のような所定の角度で気体(ここでは、一例として冷却用ガスとしてのアルゴン)を射出する気体射出口28aと、チャンバ16内の、生成した合金超微粒子18がチャンバ16内部に付着するのを防止する目的で、チャンバ16内側壁に沿って、上方から下方に向かって上記気体(アルゴン)を射出する気体射出口28bとを備えている。
ここで、熱プラズマ炎の尾部とは、プラズマガス導入口12cと反対側の熱プラズマ炎の端、つまり、熱プラズマ炎の終端部である。
【0050】
図4に示すように、気体射出口28aと28bとは、チャンバ16の天板17に形成されている。天板17は、円錐台形状で上側の一部が円柱である内側部天板部品17aと、円錐台形状の孔を有する下部天板部品17bと、内側部天板部品17aを垂直に移動させる移動機構を有する上部外側部天板部品17cとを有する。
【0051】
ここで、内側部天板部品17aと上部外側部天板部品17cとが接する部分(内側部天板部品17aでは上部の円柱部分)にはネジが切ってあり、内側部天板部品17aを回転させることで垂直方向に位置を変えることができ、内側部天板部品17aは、下部天板部品17bとの距離を調節できる。また、内側部天板部品17aの円錐部分の勾配と、下部天板部品17bが有する孔の円錐部分の勾配は同一であり、相互に組み合わされる構造になっている。
【0052】
また、気体射出口28aとは、内側部天板部品17aと下部天板部品17bとが形成した間隙、つまり、スリットのことであり、上述のようにしてその幅が調節可能であって、天板と同心である円周状に形成されている。ここで、気体射出口28aは、熱プラズマ炎24の尾部に向かって気体(ここでは、アルゴン)を射出することができる形状であればよく、上述のようなスリット形状に限定されるものではなく、例えば、円周上に多数の孔を配したものでもよい。
【0053】
上部外側部天板部品17cの内部には、管28eを介して送られる気体(アルゴン)が通過するための通気路17dが設けられている。管28eを介して送られる気体(アルゴン)の一部は、通気路17dを通過し、上述した内側部天板部品17aと下部天板部品17bとが形成するスリットである気体射出口28aに送られる。また、他の一部は、通気路17dを通過し、同じくスリットである気体射出口28bに送られる。
【0054】
そして、気体射出口28aに送られる前述の気体(アルゴン)は、図4中の矢印Sで示す方向から、通気路17dを通って、図1および図4中の矢印Qで示される方向、すなわち、熱プラズマ炎の尾部(終端部)に向かって、前述のように、所定の供給量および所定の角度で射出される。また、気体射出口28bに送られる気体(アルゴン)は、同じく図4中の矢印Sで示す方向から、通気路17dを通って(途中で分岐され)、図1および図4中の矢印Rで示される方向に射出され、生成した合金超微粒子18がチャンバ16内壁面に付着するのを防止するように供給される。
【0055】
ここで、上記気体(アルゴン)の所定の供給量について説明する。前述のように、前記気相状態の混合物を急冷するのに十分な供給量として、例えば前記気相状態の混合物を急冷するのに必要な空間を形成するチャンバ16において、そこに導入される気体のチャンバ16内における平均流速(チャンバ内流速)が、0.001〜60m/secとなるように供給することが好ましく、0.01〜10m/secとなるように供給することがより好ましい。このような平均流速範囲は、熱プラズマ炎24中に噴霧された粉末材料などが蒸発した、気相状態の混合物を急冷し合金超微粒子を生成させ、生成した合金超微粒子同士の衝突による凝集を防止するのに十分な気体の供給量である。
【0056】
なお、この供給量は、気相状態の混合物を急冷して凝固させるのに十分な量であり、また、生成した直後の合金超微粒子同士が衝突することで凝集し凝固しないように気相状態の混合物を希釈するのに十分な量である必要があり、チャンバ16の形状や大きさによりその値を適宜定めるのがよい。
ただし、この供給量は、熱プラズマ炎の安定を妨げることのないように制御されることが好ましい。
【0057】
次に、図5を用いて、気体射出口28aがスリット形状の場合における、上記所定の角度について説明する。図5(a)に、チャンバ16の天板17の中心軸を通る垂直方向の断面図を、また、図5(b)に、天板17を下方から見た図を示す。なお、図5(b)には、図5(a)に示した断面に対して垂直な方向が示されている。ここで、図5(a)および(b)中に示す点Xは、通気路17dを介して気体供給源28d(図1参照)から送られた気体が、気体射出口28aからチャンバ16内部へ射出される射出点である。実際は、気体射出口28aが円周状のスリットであるため、射出時の気体は帯状の気流を形成している。従って、点Xは、仮想的な射出点である。
【0058】
図5(a)に示すように、通気路17dの開口部の中心を原点として、垂直上方を0°、紙面で反時計周りに正の方向をとり、矢印Qで示される方向に気体射出口28aから射出される気体の角度を角度αで表す。この角度αは、上述した、熱プラズマ炎の頭部(始端部)から尾部(終端部)への方向(通常は鉛直方向)となす角度である。
【0059】
また、図5(b)に示すように、上記仮想的な射出点Xを原点として、熱プラズマ炎24の中心に向かう方向が0°、紙面で反時計回りを正の方向として、熱プラズマ炎24の頭部(始端部)から尾部(終端部)への方向に対して垂直な面方向における、矢印Qで示される方向に気体射出口28aから射出される気体の角度を角度βで表す。この角度βは、上述した、熱プラズマ炎の頭部(始端部)から尾部(終端部)への方向に対して直交する面内(通常は水平面内)で、熱プラズマ炎の中心部に対する角度である。
【0060】
上述した角度α(通常は鉛直方向の角度)および角度β(通常は水平方向の角度)を用いると、前記所定の角度、すなわち、前記気体の前記チャンバ内への導入方向は、前記チャンバ16内において、熱プラズマ炎24の尾部(終端部)に対して、角度αが90°<α<240°(より好ましくは100°<α<180°の範囲、最も好ましくはα=135°)、角度βが−90°<β<90°(より好ましくは−45°<β<45°の範囲、最も好ましくはβ=0°)であるのがよい。
【0061】
上述したように、熱プラズマ炎24に向かって所定の供給量および所定の角度で射出された気体により、上記気相状態の混合物が急冷され、合金超微粒子18が生成する。上述の所定の角度でチャンバ16内に射出された気体は、チャンバ16内に発生する乱流等の影響により必ずしもその射出された角度で熱プラズマ炎24の尾部に到達するわけではないが、気相状態の混合物の冷却を効果的に行い、かつ、熱プラズマ炎24を安定させて効率よく合金超微粒子製造装置10を動作させるためには、上記角度に決定するのが好ましい。なお、上記角度は、装置の寸法,熱プラズマ炎の大きさ等の条件を考慮して、実験的に決定すればよい。
【0062】
一方、気体射出口28bは、下部天板部品17b内に形成されたスリットである。気体射出口28bは、生成した合金超微粒子18がチャンバ16内壁へ付着することを防止するために、上記気体をチャンバ16内に導入するものである。
気体射出口28bは、天板17と同心である、円周状に形成されたスリットである。ただし、上記の目的を十分に達成する形状であれば、スリットである必要はない。
【0063】
ここで、気体供給源28dから管28eを介して天板17(詳しくは、下部天板部品17b)内に導入された気体は、通気路17dを介して気体射出口28bからチャンバ16の内側壁に沿って上方から下方に向かって、図1および図4に示す矢印Rの方向に射出される。
【0064】
この作用は、前記合金超微粒子が回収される過程(工程)において、前記合金超微粒子がチャンバ16の内側壁に付着するのを防止する効果をもたらす。気体射出口28bから射出される気体の量は、その目的を達成するに足りる量であれば不必要に大量でなくてよく、合金超微粒子がチャンバ16の内側壁に付着するのを防止するのに十分な量であればよい。
【0065】
なお、図1に示したチャンバ16の側壁に設けられている圧力計16pは、チャンバ16内の圧力を監視するためのものであり、主として、前述のようにチャンバ16内に供給されるガス量の変動等を検知し、系内の圧力を制御するためにも用いられる。
【0066】
図1に示すように、チャンバ16の側方には、生成した合金超微粒子18を回収する回収部20が設けられている。回収部20は回収室20aと、回収室20a内に設けられたフィルター20bと、回収室20a上部に設けられた管20cを介して接続された真空ポンプ(図示されていない)と、を備える。生成した合金超微粒子は、上記真空ポンプで吸引されることにより、回収室20a内に引き込まれ、フィルター20bの表面で留まった状態になって回収される。
【0067】
次に、上述した合金超微粒子製造装置10の作用を述べつつ、この合金超微粒子製造装置10を用いて、本発明の一実施形態に係る合金超微粒子の製造方法、およびこの製造方法により生成される合金超微粒子について説明する。
【0068】
本実施形態に係る合金超微粒子の製造方法では、まず、合金超微粒子を形成するための材料である粉末材料(ここでは、合金を生成することが可能な2種類以上の金属を含むものとする)を所定の比率で材料供給装置14に投入する。
また、ここで、使用する粉末材料の粒径は、例えば、10μm以下であることが好ましい。
【0069】
ここで好適に用いられる合金を形成すべき粉末材料としては、熱プラズマ炎により蒸発させられる主たる金属(主成分)および1種以上の従たる金属(1種以上の補助的成分)からなる2種類以上の金属を含むものであることが必要であるとともに、これらの2種類以上の金属が固溶可能であること、および、これらの金属が所定割合で混合されていることが必要であり、これらの金属の蒸気圧比が所定の範囲内にあることが好ましい。
【0070】
具体的には、本発明に用いられる超微粒子製造用粉末材料は、本発明の合金超微粒子を形成する主たる金属とこの主たる金属と固溶可能な1種以上の従たる金属との2種類以上の金属を含み、粉末材料中の1種以上の従たる金属の含有量が、1質量%〜25質量%の範囲である必要があり、従たる金属は、主たる金属と合金超微粒子を形成した際に、合金超微粒子に融着および酸化の少なくとも一方を防止する機能を付与し、発揮させるものである必要がある。
すなわち、本発明においては、従たる金属(補助的成分)は、主たる金属に固溶可能である必要があり、合金超微粒子に融着および酸化の少なくとも一方を防止する機能を付与することが必要であるが、これらの要件を満たせば、合金超微粒子を形成する金属材料の種類については特に限定はなく、使用目的に応じて、適宜選択することができる。
【0071】
また、本発明において、主たる金属および1種以上の従たる金属の2種以上の金属は、各金属の融点のうちの最高の融点温度において、主たる金属が示す蒸気圧と、1種以上の従たる金属の各金属が示す蒸気圧との比が、1:10〜1:10−4(10−4:1〜10:1)の範囲内であることが好ましい。
また、ここでいう(異種金属間の)蒸気圧比については、例えば、融点の異なる2種類の金属(主たる金属および従たる金属)のうちの高い方(一般には、複数の種類の金属のうちの最高)の融点においてそれらの蒸気圧、すなわち主たる金属および従たる金属の蒸気圧を比較することが重要である。
【0072】
なお、ここで、蒸気圧を、例えば、2種類の金属のうちの高い方(一般には、複数の種類の金属のうちの最高)の融点において比較しているのは、この温度以上ではすべての金属が液体もしくは気体状態にあり、合金を形成できる液相もしくは気相反応が起きる可能性が大きいのに対して、この温度より低い温度では、少なくとも1種類の金属は固化し、合金を形成することが不可能になるので、合金が形成される温度領域での蒸気圧を比較して、合金の形成されやすさの指標とするためである。
本発明において、2種類以上の金属の各金属の融点のうちの最高の融点温度において、主たる金属が示す蒸気圧と、1種以上の従たる金属の各金属が示す蒸気圧との比を、好ましい範囲として、1:10〜1:10−4(10−4:1〜10:1)の範囲内に限定する理由は、この範囲を外れた場合には、合金を形成しにくくなるからであり、特に、蒸気圧比に差があり過ぎると、蒸気圧の低い金属が先に析出、固化し、蒸気圧の高い金属とは合金にならずに、別々の粒子になるからである。
【0073】
本発明に用いられる合金超微粒子製造用粉末材料としては、好ましくは、以下のものがよい。すなわち、2種類以上の場合であれば、主たる金属の1種を金属A、他の従たる金属を、複数の金属B,C,・・・の少なくとも1種とすると、以下のように表わされる。
主たる金属(A)が、銀である場合、従たる金属(複数の金属B,C,・・・の少なくとも1種)が、パラジウム,錫,銅,ニッケル,金、白金よりなる群から選ばれる1種であることが好ましい。
主たる金属が、銅である場合、従たる金属が、ニッケルであることが好ましい。
主たる金属が、鉄,コバルト,ニッケルよりなる群から選ばれる1種であり、従たる金属が、アルミニウムであることが好ましい。
ここで、主たる金属と従たる金属とが、以上のような組み合わせであれば、本発明の主たる金属と従たる金属との要求される特性を満足するからである。
【0074】
また、上述したように、主たる金属と従たる金属との混合粉末材料中の従たる金属の混合の比率は、1質量%〜25質量%とする必要があり、好ましくは、2質量%〜20質量%とするのがよい。
その理由は、混合粉末材料中の従たる金属の混合の比率が、1質量%未満では、従たる金属によって合金超微粒子に融着防止機能や酸化防止機能を十分に付与することができなくなるからであり、25質量%超では、主たる金属の特性が低下し、合金超微粒子に要求される本来の特性や機能を達成できなくなるからである。
【0075】
次に、キャリアガスを用いて合金超微粒子製造用材料を気体搬送し、プラズマトーチ12内に導入するための導入管14aを介して熱プラズマ炎24中に導入して蒸発させ、気相状態の混合物にする。つまり、熱プラズマ炎24中に導入された粉末材料は、プラズマトーチ12内に供給されることにより、プラズマトーチ12内に発生している熱プラズマ炎24中に導入され、蒸発する結果、気相状態の混合物となる。
【0076】
なお、上記粉末材料が熱プラズマ炎24中で気相状態になる必要があるため、熱プラズマ炎24の温度は、粉末材料の沸点よりも高いことが必要である。一方、熱プラズマ炎24の温度が高いほど、容易に原材料が気相状態となるので好ましいが、特に温度は限定されず、原材料に応じて温度を適宜選択してよい。例えば、熱プラズマ炎24の温度を6000℃とすることもできるし、理論上は、10000℃程度に達するものと考えられる。
【0077】
また、プラズマトーチ12内における圧力雰囲気は、大気圧以下であるのが好ましい。ここで、大気圧以下の雰囲気については、特に限定されないが、例えば0.5〜100kPaとすることが考えられる。
【0078】
次に、熱プラズマ炎24中で粉末材料が蒸発し気相状態となった混合物を、チャンバ16内で急冷することにより、合金超微粒子18が生成する。詳しくは、熱プラズマ24中で気相状態となった混合物が、気体射出口28aを介して所定の角度および供給量で熱プラズマ炎に向かって矢印Qで示される方向に射出される気体によって急冷され、合金超微粒子18が生成される。
【0079】
一般に、上述のような生成直後の合金超微粒子同士が衝突し、凝集体を形成することで粒径の不均一が生じる。これに対し、本発明に係る合金超微粒子の製造方法においては、気体射出口28aを介して所定の角度および供給量で熱プラズマ炎の尾部(終端部)に向かって矢印Qで示される方向に射出される気体が合金超微粒子18を希釈することで、合金超微粒子同士が衝突し凝集することを防止する。
【0080】
また、上述の気体射出口28aを介して所定の角度および供給量で熱プラズマ炎の尾部(終端部)に向かって矢印Qで示される方向に射出される気体は、チャンバ16内の温度を急激に低下させるが、この際に、気相状態の混合物となっていた、合金を生成することが可能な2種類以上の金属の蒸気から、上記2種類以上の金属の固溶体である合金超微粒子が生成される。
【0081】
つまり、気体射出口28aから射出された気体が、上記気相状態の混合物を急冷して合金超微粒子を生成し、さらに、生成した合金超微粒子の凝集を防止することで、粒子径の微細化、および粒子径の均一化および粒子同士の凝集・融着および酸化を防止するように作用しており、このことは本発明の大きな特徴である。
【0082】
ところで、気体射出口28aから射出される気体は、熱プラズマ炎24の安定性に少なからず悪影響を与える。しかし、装置全体を連続的に運転するためには、熱プラズマ炎を安定させる必要がある。このため、本実施形態に係る合金超微粒子製造装置10における気体射出口28aは、円周状に形成されたスリットとなっており、そのスリット幅を調節することで気体の供給量および射出速度を調節することができ、中心方向に均一な気体を射出することができるので、熱プラズマ炎を安定させるのに好ましい形状を有するといえる。また、この調節は、射出される気体の供給量を変えることでも行える。
【0083】
一方、一部の導入気体は、気体射出口28bを介してチャンバ16の内側壁に沿って上方から下方に向かって、図1,図4に示す矢印Rの方向に射出される。これによって、合金超微粒子の回収の過程において、合金超微粒子18がチャンバ16の内壁に付着することを防止し、生成した合金超微粒子の収率を向上させることができる。最終的に、チャンバ16内で生成した合金超微粒子は、管20cに接続された真空ポンプ(図示されていない)により吸引され、回収部20のフィルター20bで回収される。
【0084】
ここで、キャリアガスまたは噴霧ガスとしては、一般には、空気,酸素,窒素,アルゴンまたは水素等の使用が考えられるが、生成する合金超微粒子が金属合金超微粒子の場合には、キャリアガスまたは噴霧ガスとしてアルゴンを用いるのがよい。
【0085】
本実施形態に係る製造方法により製造される合金超微粒子は、合金超微粒子製造用粉末材料と同様の成分からなり、同様の組成からなる合金超微粒子であり、すなわち、合金超微粒子製造用粉末材料に含まれる主たる金属と、この主たる金属と固溶可能な1種以上の従たる金属とを含む合金からなり、この1種以上の従たる金属の含有量が、1質量%〜25質量%の範囲である合金超微粒子である。
ここで、上述したように、主たる金属に固溶された1種以上の従たる金属は、主たる金属を含む合金超微粒子の融着防止機能および酸化防止機能の少なくとも一方を発揮するものである。
【0086】
したがって、合金超微粒子中の従たる金属の含有量も、1質量%〜25質量%とする必要があり、好ましくは、2質量%〜20質量%とするのがよい。
その理由は、合金超微粒子中の従たる金属の含有量が、1質量%未満では、従たる金属による合金超微粒子への融着防止機能や酸化防止機能の付与が不十分となるからであり、25質量%超では、主たる金属の特性が低下し、合金超微粒子に要求される特性や機能を発揮できなくなるからである。
また、本発明において、主たる金属および1種以上の従たる金属の各金属の融点のうちの最高の融点温度において、主たる金属が示す蒸気圧と、1種以上の従たる金属の各金属が示す蒸気圧との比が、1:10〜1:10−4(10−4:1〜10:1)の範囲内であるのが好ましいことはもちろんであり、その限定理由は、上述した通りである。
【0087】
本実施形態に係る製造方法により製造される合金超微粒子は、その粒度分布幅が狭い、すなわち、均一な粒径を有し、粗大粒子の混入が少なく、具体的には、その平均粒径が1〜100nmのものである。すなわち、本発明において対象とする合金超微粒子のサイズとしては、超微粒子、いわゆるナノ粒子と称される、数nm〜数十nmオーダーの粒子径を有する超微粒子サイズを挙げることができる。
本実施形態に係る合金超微粒子の製造方法では、前述のような条件に合う範囲で、非融着性と高い酸化抑制度を備えた、補助的成分を含む合金からなる合金超微粒子を形成することができる。
【0088】
前述のように、本実施形態の合金超微粒子製造方法により生成する合金超微粒子は、その粒径が上述したように小さいので、その表面活性が極めて大きくなるが、前述の射出される気体により、合金超微粒子同士が、衝突して凝集することを防ぐことができる。つまり、本発明に係る合金超微粒子の製造方法は、気相状態の混合物を急冷し、凝集・融着および酸化しにくい合金超微粒子を生成することにより、当初の目的である、非融着性と高い酸化抑制度を備えた合金超微粒子を製造することができるものである。
【0089】
また、本実施形態に係る合金超微粒子の製造方法では、プラズマガス,キャリアガス,冷却用ガス,回収部に備えられた真空ポンプの排気動作等によりチャンバ16内に生み出される気流によって、熱プラズマ炎から気相状態の混合物を十分に離れた場所に導くことで実現される冷却のみならず、熱プラズマ炎の尾部(終端部)に向けて射出される気体により、気相状態の混合物を急冷することができるという作用をも有している。
【実施例】
【0090】
以下に、本発明に係る合金超微粒子およびその製造方法を実施例に基づいて具体的に
説明する。
【0091】
(実施例1)
まず、銀とパラジウムの合金からなる合金超微粒子を製造し、粒子同士の凝集・融着を防止した実施例を示す。
合金超微粒子製造用材料の原料として、平均粒径4.5μmの銀粉末、並びに平均粒径5μmのパラジウム粉末を用いた。ここで、銀とパラジウムとの混合質量比(混合比率)は、87:13とした。
【0092】
銀とパラジウムの融点に関しては、パラジウムの融点が1540℃で、銀の融点より高いことが知られている。この温度(パラジウムの融点である1540℃)における蒸気圧は、銀が7.14×10−2Pa、パラジウムが6.28×10−5Paであり、蒸気圧比としては、1:8.80×10−4(0.880×10−3)(=1137:1)となり、約3桁の差になる。
【0093】
ここでは、キャリアガスとしては、アルゴンを用いた。
また、プラズマトーチ12の高周波発振用コイル12bには、約4MHz,約80kVAの高周波電圧を印加し、プラズマガス供給源22からは、プラズマガスとして、アルゴン80リットル/min,水素5リットル/minの混合ガスを導入し、プラズマトーチ12内にアルゴン・水素熱プラズマ炎を発生させた。なお、ここでは、反応温度が約8000℃になるように制御し、材料供給装置14のキャリアガス供給源15からは、10リットル/minのキャリアガスを供給した。
【0094】
銀粉末およびパラジウム粉末の混合物を、キャリアガスであるアルゴンとともにプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に導入した。
気体導入装置28によって、チャンバ16内に導入される気体としては、気体射出口28aから射出されるガスにはアルゴン150リットル/minを用い、また、気体射出口28bから射出されるガスにはアルゴン50リットル/minを使用した。このときのチャンバ内流速は、0.25m/secであった。なお、チャンバ16内の圧力は、50kPaとした。
【0095】
上記のような製造条件で銀とパラジウムの合金からなる合金超微粒子を生成した。生成された銀とパラジウムの合金からなる合金超微粒子の比表面積(1グラム当たりの表面積)から換算した粒子径は、30nmであった。図6に、粒子の電子顕微鏡写真を示す。図6は走査型電子顕微鏡による写真で、この合金超微粒子の表面を観察したところでは、粒子同士の融着は殆んど発生していなかった。
【0096】
なお、本実施例で生成された合金超微粒子の収率は、投入した粉末材料100g当たりに回収された前記合金超微粒子の量が35gであったことから、35%であった。
【0097】
(実施例2)
次に、鉄とアルミニウムの合金からなる合金超微粒子を製造し、粒子同士の凝集・融着を防止した実施例を示す。
原料として、平均粒径3〜5μmの鉄粉末、並びに平均粒径5μmのアルミニウム粉末を用いた。ここで、鉄とアルミニウムとの混合質量比(混合比率)は、98:2とした。
【0098】
鉄とアルミニウムの融点に関しては、鉄の融点が1550℃で、アルミニウムの融点より高いことが知られている。この温度(鉄の融点である1550℃)における蒸気圧は、鉄が2.67×10−4Pa、アルミニウムが1.37×10−6Paであり、蒸気圧比としては、1:5.13×10−3(=195:1)となり、約2.3桁の差になる。
【0099】
ここで、キャリアガスとしては、実施例1と同様に、アルゴンを用いた。
また、プラズマトーチ12に印加した高周波電圧、プラズマガスの供給量等は、実施例1と同じにして、プラズマトーチ12内にアルゴン・水素熱プラズマ炎を発生させた。なお、反応温度も約8000℃になるように制御し、材料供給装置14のキャリアガス供給源15からのキャリアガス供給量も、10リットル/minとした。
【0100】
鉄粉末およびアルミニウム粉末の混合物を、キャリアガスであるアルゴンとともにプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に導入した。
気体導入装置28によって、チャンバ16内に導入される気体としては、気体射出口28aから射出されるガスにはアルゴン150リットル/minを用い、また、気体射出口28bから射出されるガスにはアルゴン50リットル/minを使用した。このときのチャンバ内流速は、0.25m/secであった。なお、チャンバ16内の圧力は、35kPaとした。
【0101】
上記のような製造条件で、鉄とアルミニウムの合金からなる合金超微粒子を生成した。生成された鉄とアルミニウムの合金からなる合金超微粒子の比表面積から換算した粒子径は、25nmであった。図7に、粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【0102】
また、この鉄とアルミニウムの合金からなる合金超微粒子は、3週間大気中に放置したものでも、酸化は殆んど生じなかった。すなわち、この合金超微粒子は、表面活性が高くなく、安定性の高い超微粒子(いわゆるナノ粒子)であった。また、図7に示す走査型電子顕微鏡による写真による観察では、粒子同士の融着はあまり見られなかった。
なお、生成された前記合金超微粒子の収率は、投入した粉末材料100g当たりに回収された前記合金超微粒子の量が38gであったことから、38%であった。
【0103】
(比較例1)
次に、比較例として、錫とビスマスの合金超微粒子の製造を試みたが、合金化できず、粒子同士の凝集・融着を防止し得なかった例を示す。
原料として、平均粒径10μmの錫粉末、並びに平均粒径10μmのビスマス粉末を用いた。ここで、錫とビスマスの混合質量比は、50:50とした。
【0104】
錫とビスマスの融点に関しては、ビスマスの融点が271℃で、錫の融点より高いことが知られている。この温度(ビスマスの融点である271℃)における蒸気圧は、錫が、1.16×10−25Pa、ビスマスが、8.93×10−13Paであり、蒸気圧比としては、1:7.70×1012(0.770×1013)(=1.299×10−13:1)となり、約13桁の差になる。
【0105】
ここでも、キャリアガスとしては、実施例1と同様に、アルゴンを用いた。
また、プラズマトーチ12に印加した高周波電圧、プラズマガスの供給量等は、実施例1〜実施例2と同じにして、プラズマトーチ12内にアルゴン・水素熱プラズマ炎を発生させた。なお、反応温度も約8000℃になるように制御し、材料供給装置14のキャリアガス供給源15からのキャリアガス供給量も、10リットル/minとした。
【0106】
錫粉末およびビスマス粉末の混合物を、キャリアガスであるアルゴンとともにプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に導入した。
気体導入装置28によって、チャンバ16内に導入される気体としては、気体射出口28aから射出されるガスにはアルゴン150リットル/minを用い、また、気体射出口28bから射出されるガスにはアルゴン50リットル/minを使用した。このときのチャンバ内流速は、0.25m/secであった。なお、チャンバ16内の圧力は、50kPaとした。
【0107】
上記のような製造条件で、錫とビスマスとからなる超微粒子を生成した。生成された超微粒子を走査型電子顕微鏡で観察すると、粒子同士の融着が発生し、それぞれが独立した超微粒子を得ることが不可能であった。また、粒子の成長も生じるため、100nm以上の粗大粒子も確認できた。
図8に、超微粒子の電子顕微鏡写真を示す。図9は、得られた超微粒子をX線回折で測定した結果である。縦軸には強度、横軸には2θ角を示してある。
【0108】
図9に示されるように、X線回折パターンには錫およびビスマスそれぞれのピークが単独で現れており、合金に起因するピークは現れていないことから、得られた超微粒子は、合金ナノ粒子、すなわち本発明の合金超微粒子ではないことが確認できる。
【0109】
(実施例3〜12)
表1に示す実施例3〜12の主たる金属(主金属という)および従たる金属(従金属という)の種々の組み合わせの原料粉末を用い、実施例1と同様な製造条件で同様にして、主金属および従金属からなる合金超微粒子を製造した。ここで、実施例3〜12においてそれぞれ用いられた主金属および従金属の原料粉末の平均粒径、蒸気圧比(主金属/従金属)および混合質量比は、表1に示すものであった。
製造された実施例3〜12の各合金超微粒子の粒子径を実施例1と同様にして求めた。
その結果を表1に示す。
【0110】
【表1】

【0111】
こうして、製造された実施例3〜12の各合金超微粒子は、走査型電子顕微鏡による写真での合金超微粒子の表面観察によれば、いずれも、粒子同士の融着は殆んど見られず、また、表面活性が高くなく、急激な表面酸化が生じることもなく、安定性の高い超微粒子(いわゆるナノ粒子)であった。
【0112】
上述の説明から、本発明の効果は明らかである。
すなわち、実施例1〜実施例12では、2種類以上の金属の主金属と従金属との混合質量比が、本発明の限定範囲を満足するものであり、また、実施例1〜実施例11では、2種類の金属の主金属に対する従金属の蒸気圧比、実施例12では、3種類の金属の主金属Feに対する従金属Co、Alのそれぞれの蒸気圧比が、所定の範囲(10−4:1〜10:1(1:10〜1:10−4))にあり、好ましい合金超微粒子が形成されているが、比較例1では、2種類の金属の混合質量比および蒸気圧比が、本発明の限定範囲を大きく逸脱しており、本発明の合金微粒子は殆んど形成されていないことが分かる。
以上から、本発明の特徴である混合質量比および蒸気圧比による規定が有効であることが示されている。
【0113】
なお、上記実施形態並びに実施例は、いずれも本発明の一例を示したものであり、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更や改良を行ってもよいことはいうまでもない。
【0114】
なお、本発明に係る合金超微粒子の製造方法によって製造される合金超微粒子は、材料の組み合わせや製造条件によっては、必ずしも、使用したすべての材料が目的とする合金超微粒子にならず、材料とした金属単体の超微粒子がわずかに含まれる場合もあるが、このような単体超微粒子がわずかに含まれている場合でも、実用上問題ない場合も多く、本発明の目的を達成し、本発明の効果を奏することができる量であれば、本発明の意義を低下させるものではなく、本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明に係る合金超微粒子の製造方法を実施するための合金超微粒子製造装置の一実施形態の全体構成を示す断面模式図である。
【図2】図1に示す合金超微粒子製造装置のプラズマトーチ付近を拡大して示す断面図である。
【図3】図1に示す合金超微粒子製造装置の粉末材料供給装置の概略構成を示す断面図である。
【図4】図1に示す合金超微粒子製造装置のチャンバの天板およびこの天板に備えられた気体射出口付近を拡大して示す断面図である。
【図5】射出される気体の角度を示す説明図であり、(a)は、図4に示すチャンバの天板の中心軸を通る垂直方向の断面図、(b)は、天板を下方から見た下面図である。
【図6】実施例1に係る合金超微粒子の電子顕微鏡写真である(倍率5万倍)。
【図7】実施例2に係る合金超微粒子の電子顕微鏡写真である(倍率5万倍)。
【図8】比較例1に係る金属超微粒子の電子顕微鏡写真である(倍率5万倍)。
【図9】比較例1に係る金属超微粒子のX線回折測定結果である。
【符号の説明】
【0116】
10 (合金超微粒子)製造装置
12 プラズマトーチ
12a 石英管
12b 高周波発振用コイル
12c プラズマガス導入口
14 材料供給装置
14a 導入管
15 キャリアガス供給源
16 チャンバ
16p 圧力計
17 天板
17a 内側部天板部品
17b 下部天板部品
17c 上部外側部天板部品
17d 通気路
18 合金超微粒子
20 回収部
20a 回収室
20b フィルター
20c 管
22 プラズマガス供給源
24 熱プラズマ炎
26 管
28 気体導入装置
28a,28b 気体射出口
28c コンプレッサ
28d 気体供給源
28e 管
142 貯蔵槽
144 粉末材料
146 攪拌軸
148 攪拌羽根
150a,150b オイルシール
152a,152b 軸受け
154a,154b モータ
160 スクリューフィーダ
162 スクリュー
164 軸
166 ケーシング
170 分散部
172 外管
174 粉体分散室
176 回転ブラシ
178 キャリアガス供給口
180 キャリアガス通路
182 搬送管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主たる金属と、
この主たる金属と固溶可能な1種以上の従たる金属とを含む合金からなる合金超微粒子であって、
前記1種以上の従たる金属の含有量が、1質量%〜25質量%の範囲であり、
前記主たる金属に固溶された前記1種以上の従たる金属は、前記主たる金属を含む合金超微粒子の融着および酸化の少なくとも一方を防止する機能を発揮するものであることを特徴とする合金超微粒子。
【請求項2】
前記主たる金属および前記1種以上の従たる金属との各金属の融点のうちの最高の融点温度において、前記主たる金属が示す蒸気圧と、前記1種以上の従たる金属の各金属が示す蒸気圧との比が、1:10〜1:10−4の範囲内である請求項1に記載の合金超微粒子。
【請求項3】
前記主たる金属が、銀であり、前記1種以上の従たる金属が、パラジウム、錫、ニッケル、銅、金および白金よりなる群から選ばれるものである請求項1または2に記載の合金超微粒子。
【請求項4】
前記主たる金属が、銅であり、前記1種以上の従たる金属が、ニッケルである請求項1または2に記載の合金超微粒子。
【請求項5】
前記主たる金属が、鉄、コバルトおよびニッケルよりなる群から選ばれる1種であり、前記1種以上の従たる金属が、アルミニウムである請求項1または2に記載の合金超微粒子。
【請求項6】
減圧下で、主たる金属と、この主たる金属と固溶可能な1種以上の従たる金属と、を含み、前記1種以上の従たる金属の含有量が1質量%〜25質量%の範囲である超微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入して、
気相状態の混合物にし、
この気相状態の混合物を急冷するのに十分な供給量で、冷却用気体を前記熱プラズマ炎の終端部に向けて導入して、
前記主たる金属と前記1種以上の従たる金属とを含む合金からなり、融着および酸化の少なくとも一方を防止する機能を備える合金超微粒子を生成することを特徴とする合金超微粒子の製造方法。
【請求項7】
前記主たる金属および前記1種以上の従たる金属との各金属の融点のうちの最高の融点温度において、前記主たる金属が示す蒸気圧と、前記1種以上の従たる金属の各金属が示す蒸気圧との比が、1:10〜1:10−4の範囲内である請求項6に記載の合金超微粒子の製造方法。
【請求項8】
前記主たる金属が、銀であり、前記1種以上の従たる金属が、パラジウム、錫、ニッケル、銅、金および白金よりなる群から選ばれるものである請求項6または7に記載の合金超微粒子の製造方法。
【請求項9】
前記主たる金属が、銅であり、前記1種以上の従たる金属が、ニッケルである請求項6または7に記載の合金超微粒子の製造方法。
【請求項10】
前記主たる金属が、鉄、コバルトおよびニッケルよりなる群から選ばれる1種であり、前記1種以上の従たる金属が、アルミニウムである請求項6または7に記載の合金超微粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−138284(P2008−138284A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281443(P2007−281443)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000226998)株式会社日清製粉グループ本社 (125)
【出願人】(000226954)日清エンジニアリング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】