説明

吊り上げ治具及びそれを用いた施工方法

【課題】ブロックを施工する際、施工現場における所定位置にブロックを複数同時に運搬する作業及び敷設する作業を容易に行うことができ、施工性を向上させることができる吊り上げ治具及びその吊り上げ治具を使用した施工方法を提供する。
【解決手段】上下方向に貫通する貫通孔150を中央部に有するブロック100を複数同時に吊り上げるための吊り上げ治具であって、各挿入フレーム4をブロック100の貫通孔150に挿入したあと、一対の保持片6a・6bを操作レバー5により閉塞状態から開放状態に切り替えることで、ブロック100を下方から保持し、ブロック100を保持している状態から、一対の保持片6a・6bを操作レバー5により閉塞状態に切り替えたあと、挿入フレーム4をブロック100の貫通孔150から抜くことで、ブロック100の保持を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬物を吊上装置により吊り上げて運搬する際に用いられる吊り上げ治具及びその吊り上げ治具を用いた施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運搬物である複数のブロックを公園や駐車場等に施工する際、施工現場における所定位置に、作業者は手作業で運搬車等に積載されたブロックを所定位置まで運搬してから、その運搬したブロックを一つずつ当該所定位置に敷設していた。しかし、各ブロックが重い場合やブロックの数量が多い場合、当該ブロックを運搬する作業及び敷設する作業は作業者にとって困難なものとなり、ブロックの施工性が低下していた。
【0003】
そこで、ブロックを運搬車等から所定位置までクレーンやホイスト等の吊上装置を用いて運搬することがある。この際には、運搬車等に積載されたブロックを吊上装置により吊り上げ治具を介して吊り上げて所定位置まで運搬してから、その運搬したブロックを当該所定位置に敷設していた。吊り上げ治具としては、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されるものが公知となっている。
【0004】
特許文献1に示された吊り上げ治具は、運搬物の左右一側面に当接する当接部を有する第一部材と、前記第一部材の当接位置に対応した前記運搬物の左右他側面に当接する当接部及び当該運搬物の上枠を支持する支持部を有する第二部材と、前記第一部材及び前記第二部材の上端部を連結する連結部材と、を備える。前記第二部材は、前記連結部材に左右方向へ向けて摺動自在に取り付けられる。
このような構成において、前記運搬物は、前記第一部材の前記当接部と前記第二部材の前記当接部とにより挟持され、且つ当該運搬物の上枠が当該第二部材の前記支持部に支持された状態で吊り上げられて、施工現場における所定位置に運搬される。
【0005】
しかし、特許文献1に示された吊り上げ治具は、運搬物としてパネル等の板状部材、特に外枠を備えた外壁パネルが想定されている。したがって、一般的に、外壁パネルよりも重量が重く、且つ外枠を備えないブロックを吊り上げる場合には、当該ブロックを前記第二部材の前記支持部に支持できず、また、当該ブロックの重量(重さ)のため、前記第一部材及び前記第二部材のそれぞれの前記当接部によって当該ブロックを挟持した状態で吊り上げることは困難である。
また、仮に前記ブロックが外枠を備え、前記吊り上げ治具によって吊り上げることができたとしても、当該吊り上げ治具は、当該ブロックを複数同時に吊り上げることができないので、当該ブロックの数量が多い場合には、(当該ブロックを一つずつ吊り上げるので)作業が煩雑となって作業効率が良くない。したがって、作業工期が長期化することとなり、ひいては施工コストが増加することとなる。
【0006】
また、特許文献2に示された吊り上げ治具では、運搬物の荷幅と略等しいか或いは長く形成されて当該運搬物を下面で支持する複数の支持部材と、前記運搬物の荷幅と等しいか或いは大きく且つ当該運搬物の長さ方向に沿った所定位置に複数の接合部を有する架台と、前記架台の複数の前記係合部と複数の前記支持部材とを接合する複数の紐体と、を備える。
このような構成において、前記運搬物は、前記ブロックのような重量の重い部材であっても、前記支持部材によって当該運搬物の下面で支持されるので、前記吊り上げ治具によって吊り上げられて、施工現場における所定位置に運搬される。また、運搬物は、複数の前記支持部材の上に積み重ねて吊り上げることができる。即ち、当該運搬物を複数同時に吊り上げて、施工現場における所定位置に運搬することができる。したがって、前記吊り上げ治具を使用すれば、当該吊り上げ治具を使用しない場合と比べて、当該運搬物の数量が多い場合であっても、作業が煩雑とならず、作業効率の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−11854号公報
【特許文献2】特開2004−250188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献2に開示された吊り上げ治具では、運搬物として前記ブロックを複数同時に運搬する場合には、前記支持部材の上に作業者の手作業によって当該ブロックを積み重ねる作業工程が必要である。また、積み重ねられた前記ブロックは、吊り上げられて施工現場における所定位置に運搬されたあと、作業者の手作業によって、当該支持部材の上から降ろして、当該所定位置に前後及び左右方向に敷設する作業工程が必要である。したがって、この吊り上げ治具を使用した作業は、作業者の手作業による前記ブロックの積み下ろし等の作業工程が必要であることから、当該作業者にとって未だ重労働であるとともに、作業効率が良くなかった。その結果、作業工期の短縮化は十分に達成できず、ひいては施工コストの低減化を図ることができない。
【0009】
そこで、本発明は、ブロックを施工する際、施工現場における所定位置にブロックを複数同時に運搬する作業及び敷設する作業を容易に行うことができ、施工性を向上させることができる吊り上げ治具及びその吊り上げ治具を使用した施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1においては、上下方向に貫通する貫通孔を中央部に有するブロックを複数同時に吊り上げるための吊り上げ治具であって、略水平方向に延出されて、その延出方向と直交する方向に所定間隔ごとに配置される複数のメインフレームと、互いに隣り合う前記メインフレームを連結する複数の連結部材と、前記各メインフレームから下方へ突出されて、前記ブロックの貫通孔に挿入可能な挿入部材と、前記各挿入部材の下方に水平方向に回動可能に設けられて、全部が当該挿入部材の外周よりも内側に位置する閉塞状態と、一部が当該挿入部材の外周よりも外側に位置する開放状態とに切替可能な一対の保持片と、前記各挿入部材における一対の保持片と連結されて、当該一対の保持片を前記閉塞状態又は前記開放状態に切り替えるための操作具と、を備え、前記各挿入部材を前記ブロックの貫通孔に挿入したあと、前記一対の保持片を前記操作具により閉塞状態から開放状態に切り替えることで、前記ブロックを下方から保持し、前記ブロックを保持している状態から、前記一対の保持片を前記操作具により閉塞状態に切り替えたあと、前記挿入部材を前記ブロックの貫通孔から抜くことで、前記ブロックの保持を解除するものである。
【0012】
請求項2においては、前記挿入部材を前記各メインフレームに当該メインフレームの延出方向に所定間隔ごとに複数設け、前記複数の挿入部材の各一対の保持片を、リンク機構を介して同一の前記操作具と連結して、当該操作具により閉塞状態又は開放状態に一括して切り替えるものである。
【0013】
請求項3においては、前記各連結部材を前記メインフレームに対して着脱可能に設けるものである。
【0014】
請求項4においては、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吊り上げ治具を使用してブロックを施工するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
請求項1においては、ブロックを吊り上げ治具により複数同時に吊り上げることが可能となる。したがって、施工現場における所定位置に当該ブロックを複数同時に運搬する作業及び敷設する作業を容易に行うことができ、施工性を向上させることができる。
【0017】
請求項2においては、ブロックを吊り上げ治具に一括して複数同時に保持することが可能となる。したがって、施工現場における所定位置に当該ブロックを複数同時に運搬する作業及び敷設する作業を容易に行うことができ、施工性を向上させることができる。
【0018】
請求項3においては、吊り上げ治具において、連結部材をメインフレームに対して着脱して、メインフレームの数及び隣り合うメインフレーム間の間隔を任意に変更する、即ち吊り上げ治具により一括して同時に吊り上げることが可能なブロックの数を変更することが可能となる。したがって、施工現場における所定位置に当該ブロックを運搬する作業及び敷設する作業を施工状況に応じて容易に行うことができ、施工性を向上させることができる。
【0019】
請求項4においては、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吊り上げ治具を使用することによって、施工現場における所定位置に当該ブロックを複数同時に運搬する作業及び敷設する作業を容易に行うことができ、施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る吊り上げ治具の全体的な構成を示した平面図。
【図2】同じく、図1のX−X矢視断面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る吊り上げ治具の全体的な構成を示した正面図。
【図4】(a)同じく、一対の保持片が閉塞状態のリンク機構の全体的な構成を示した底面図。(b)同じく、一対の保持片が開放状態のリンク機構の全体的な構成を示した底面図。
【図5】同じく、第二連結ロッドの全体的な構成を示した一部断面側面図。
【図6】(a)同じく、閉塞状態における一対の保持片の構成を示した底面図。(b)同じく、開放状態における一対の保持片の構成を示した底面図。
【図7】(a)同じく、閉塞状態における一対の保持片及びブロックの構成を示した底面図。(b)同じく、開放状態における一対の保持片及びブロックの構成を示した底面図。
【図8】(a)前後及び左右方向に並べられたブロックの構成を示した平面図。(b)前後及び左右方向に並べられたブロック及び吊り上げ治具の位置関係を示した平面図。
【図9】(a)本発明の別実施形態に係る吊り上げ治具の誤動作防止装置の構成を示す平面図。(b)同じく、側面図。
【図10】(a)吊り上げ治具により吊り上げられるブロックの構成を示した平面図。(b)同じく、側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
まず、本発明の一実施形態に係る吊り上げ治具1を介してクレーンやホイスト等の吊上装置により吊り上げて運搬する運搬物の一例であるブロック100について、図10を用いて説明する。
なお、以下の説明において、図中における矢印Aの指す方向を前方とする。
【0022】
本実施形態において、ブロック100は、緑化ブロックであり、公園や駐車場等の施工現場における所定位置に施工される緑化舗装に使用される。ただし、この吊り上げ治具1を介して吊上装置により吊り上げて運搬する運搬物は、ブロック100(緑化ブロック)に限定するものではない。即ち、運搬物は、建築材料や土木材料等、吊り上げ治具1によって吊り上げ可能な部材であればよい。
【0023】
ブロック100は、透水性のコンクリートブロックであり、平面視略正方形で上下幅が左右幅よりも短い略直方体状に形成される。ブロック100は、その一側面全面を他のブロック100の一側面全面と当接させた状態で、他のブロック100と連続して敷設可能とされる。
【0024】
ブロック100においては、貫通孔150が、当該ブロック100の中央部に上下方向へ貫通するように形成される。貫通孔150は、上下方向にわたって同径を有し、平面視で略真円形状となるように形成される。
【0025】
第一切欠部110が、ブロック100の前後左右の各側面の中央部に上下にわたって外側方へ向けて開放するように平面視凹状に形成される。第二切欠部120が、ブロック100の平面視における四隅部に上下にわたって外側方へ向けて開放するように平面視凹状に形成される。
【0026】
第三切欠部130が、ブロック100の上部内側に前後及び左右にわたって上方へ向けて開放するように正面視及び側面視凹状かつ平面視略十字状に形成される。第四切欠部140が、ブロック100の上部外側に周方向にわたって外上方へ向けて開放するように正面視及び側面視凹状に形成される。
【0027】
第三切欠部130は、貫通孔150と連続するとともに、各第一切欠部110と連続する。第四切欠部140は、各第一切欠部110と連続するとともに、各第二切欠部120と連続する。そして、複数のブロック100が前記所定位置に敷設されて緑化舗装が施工される際に、貫通孔150及びすべての切欠部110・120・130・140に芝生を植設するための芝生土が充填可能とされる。
【0028】
緑化舗装が施工されたあとには、貫通孔150と、第一切欠部110により隣り合うブロック100同士の間に形成される上下方向の孔と、第二切欠部120とにより四つのブロック100間に形成される上下方向の孔とから、ブロック100上の雨水が地面へ向かって速やかに浸透するものとされる。
【0029】
ブロック100は、トラック等の運搬車に複数積載されて、公園や駐車場等の施工現場における所定位置まで運搬される。この運搬時、運搬車は、ブロック100を略水平面上で縦方向及び横方向に複数個ずつ一列に並べて一組をなし、この組を積み重ねた状態で当該運搬車の荷台に載置する。
【0030】
ブロック100は、本実施形態においては、図8(a)に示すように、1組当たり縦(前後)方向に4個、横(左右)方向に3個ずつの、合計12個並べられる。ただし、1組当たりのブロックの数は特に限定するものではない。例えば、ブロック100を、施工状況に応じて、1組当たり縦(前後)方向に6個、横(左右)方向に4個ずつの、合計24個並べるようにしてもよい。
【0031】
次に、本発明の一実施形態に係る吊り上げ治具1の全体構成について、図1から図3を用いて説明する。
【0032】
吊り上げ治具1は、クレーンやホイスト等の吊上装置に連結されて、運搬物である前述のブロック100を保持可能な部材である。吊り上げ治具1は、ブロック100を吊上装置により運搬車から緑化舗装の施工現場における所定位置まで複数同時に運搬して当該所定位置に敷設する際に用いられる。
吊り上げ治具1は、メインフレーム2と、被掛止部23と、連結部材と、挿入フレーム4と、操作レバー5と、一対の保持片6a・6bと、リンク機構7と、を備える。
【0033】
メインフレーム2は、吊り上げ治具1の主たる構造体を為す部材である。
メインフレーム2は、細長い中空状の鋼材である。メインフレーム2は、正面視で略矩形状に形成される。メインフレーム2は、その長手方向を前後方向として、略水平方向に延出される。メインフレーム2は、複数備えられ、その延出方向と直交する方向、即ち左右方向に所定間隔ごとに配置されて、互いに略平行となるように並べられる。
なお、本実施形態において、吊り上げ治具1は3つのメインフレーム2を備えるが、メインフレーム2の数はこれに限定するものではない。
【0034】
なお、図8(b)に示すように、メインフレーム2の前端部は、メインフレーム2の取り付けられた複数の(後述する)挿入フレーム4のうち、最前側に取り付けられた挿入フレーム4が、ブロック100の貫通孔150に挿入された状態で、当該ブロック100の前端部よりも後方に位置するのが望ましい。同様に、メインフレーム2の後端部は、メインフレーム2の取り付けられた複数の(後述する)挿入フレーム4のうち、最後側に取り付けられた挿入フレーム4が、ブロック100の貫通孔150に挿入された状態で、当該ブロック100の後端部よりも前方に位置するのが望ましい。
このような構成により、吊り上げ治具1を使用してブロック100を施工する際に、メインフレーム2が障害物と干渉することを防止し、施工性を向上させることができる。
【0035】
各メインフレーム2の前後所定位置の左右側面には、それぞれ左右方向に貫通した開口部が、側面視で互いに一致するように開口される(以下、この二つの開口部をあわせて「左右開口部21」と称する。)。本実施形態では、左右開口部21は、当該メインフレーム2の前部及び後部のそれぞれに設けられ、互いに前後方向に所定間隔をあけて配置される。左右開口部21には、後述する連結フレーム3が挿入される。ただし、左右開口部21の数は限定するものではない。
【0036】
各メインフレーム2の下面には、開口部(以下、「下開口部22」と称する。)が下方へ向けて開口される。下開口部22は、複数、本実施形態においては4つ備えられ、メインフレーム2の前後方向に所定間隔ごとに配置される。下開口部22には、後述する挿入フレーム4が取り付けられる。なお、前後方向に隣り合う下開口部22の間隔は、ブロック100が前記一組並べられた際に縦方向に隣り合うブロック100の貫通孔150間の間隔と同一となるように設定される。
【0037】
被掛止部23は、少なくとも一つのメインフレーム2の上面における所定位置に設けられる。被掛止部23は、クレーンやホイスト等の吊上装置から延びるワイヤ等の紐体と連結され、この吊上装置の作動に応じて吊り上げ治具1全体が吊り上げられるように構成される。被掛止部23は、左右方向に並設された3つのメインフレーム2のうち、真ん中に配置されたメインフレーム2の前後左右略中央部に設けられて、吊り上げられた吊り上げ治具1(メインフレーム2)が重量バランスを保って略水平となるように構成される。ただし、被掛止部23は本実施形態では1つだけ設けているが、複数設けることもできる。例えば、被掛止部23を4つ設ける場合、左右両側のメインフレーム2の上面における前後所定位置に設けて、吊り上げられた吊り上げ治具1(メインフレーム2)が重量バランスを保って略水平となるようにする。
【0038】
前記連結部材は、互いに隣り合うメインフレーム2を連結する部材である。前記連結部材は、連結フレーム3と、第一スペーサ32と、第二スペーサ33とを備える。
連結フレーム3は、細長い中空状の鋼材である。連結フレーム3は、側面視で略真円形状に形成される。連結フレーム3は、その長手方向を左右方向として、略水平方向に延出される。連結フレーム3は、複数、本実施形態においては2つ備えられ、互いに前後方向に所定間隔をあけて配置されて、互いに略平行となるように並べられる。連結フレーム3は、3つのメインフレーム2の前部及び後部において、左右方向に一直線上に並ぶ左右開口部21をそれぞれ左右方向に貫通して、当該3つのメインフレーム2を着脱可能に連結する。
なお、本実施形態において、吊り上げ治具1は2つの連結フレーム3を備えるが、連結フレーム3の数はこれに限定するものではない。
また、連結フレーム3の配置位置は、前後方向に並べられたブロック100とブロック100の境界部分に配置される。言い換えれば、挿入フレーム4と干渉しないように、挿入フレーム4と挿入フレーム4との間位置に配置される。
【0039】
また、連結フレーム3の左右一側、本実施形態において左側端部は、外側方へ向けて開口される。この連結フレーム3の左側端部には、当該連結フレーム3の半径方向へ向けて拡径される拡径部31が設けられる。拡径部31は、吊り上げ治具1の最左側に配置されるメインフレーム2の左側面と当接して、当該メインフレーム2がその左右開口部21を貫通した連結フレーム3の左側端部から脱落することを防止している。
【0040】
連結フレーム3には、互いに隣り合うメインフレーム2の間において、第一スペーサ32が外嵌される。第一スペーサ32は、略筒状の部材であり、軸心方向を左右方向として配置される。第一スペーサ32の左右両端部の開口は、左右方向へ向けて開口される。第一スペーサ32は、その左右の各端部でメインフレーム2の右又は左側面と当接して、隣り合うメインフレーム2の左右間隔を規定する。つまり、第一スペーサ32の左右方向の長さが隣り合うメインフレーム2の左右間隔となる。こうして、第一スペーサ32は、互いに隣り合うメインフレーム2の間の間隔を調整可能とするとともに、メインフレーム2が連結フレーム3を左右方向へ向けて摺動移動することを防止している。
【0041】
連結フレーム3の右側端部には、第二スペーサ33が外嵌される。第二スペーサ33は、略筒状の部材であり、軸心方向を左右方向として配置される。第二スペーサ33の左側端部の開口は左方向へ向けて開口され、右側端部の開口は閉塞される。第二スペーサ33の右側面は、連結フレーム3の右側面に当該第二スペーサ33の内部で当接して、締結部材34を介して固定される。これによって、第二スペーサ33と連結フレーム3とが着脱可能に連結される。
第二スペーサ33の左側の開口縁部は、当該第二スペーサ33の右側面が連結フレーム3の右側面に固定された際に吊り上げ治具1の最右側に配置されるメインフレーム2の右側面と当接して、当該メインフレーム2がその左右開口部21を貫通した連結フレーム3の右側端部から脱落することを防止している。
【0042】
このような構成により、3つのメインフレーム2と、2つの連結フレーム3とが着脱可能に連結されて、平面視で前後方向に長い格子状の枠体が形成される。
【0043】
挿入フレーム4は、ブロック100の貫通孔150に挿入される部材である。
挿入フレーム4は、中空状の鋼材である。挿入フレーム4は、平面視で略真円形状に形成されて、上方へ向けて開口される。挿入フレーム4は、その長手方向を上下方向として、メインフレーム2の下方(真下)で略鉛直方向に延出される。挿入フレーム4は、下開口部22と同数、即ち各メインフレーム2ごとに4つ備えられ、それぞれが各下開口部22と前後方向で一致するように配置されて、互いに略平行となるように並べられる。挿入フレーム4の上端部がメインフレーム2の下面に開口された下開口部22の開口縁部に溶接等の固着手段により固着されて、挿入フレーム4とメインフレーム2との互いの内部が連通される。挿入フレーム4の下端面には、一対の保持片6a・6bが回動自在に支持される。
【0044】
なお、挿入フレーム4の上下方向の長さは、ブロック100の貫通孔150の上下方向の長さよりも長くなるように設定される。
また、挿入フレーム4の平面視における直径は、ブロック100の貫通孔150の平面視における直径よりも短くなるように設定される。
また、前後方向に隣り合う挿入フレーム4の間隔は、一組分のブロック100が並べられた際に縦方向に隣り合うブロック100の貫通孔150の前後方向の間隔と同一となるように設定される。一方、左右方向に隣り合う挿入フレーム4の間隔は、一組分のブロック100が並べられた際に横方向に隣り合うブロック100の貫通孔150間の間隔と同一となるように設定される。
【0045】
操作レバー5は、一対の保持片6a・6bを回動(開閉)操作する操作具である。
操作レバー5は、細長い板状部材により形成される。操作レバー5は、その長手方向を概ね左右方向として、メインフレーム2の前後一側、本実施形態においては後側の上方であって、最後側の挿入フレーム4よりも後方に配置される。操作レバー5の基端部は、メインフレーム2の後側上面に、基端支持部材51を介して回動自在に支持される。操作レバー5の先端部は、メインフレーム2の左側面よりも左側方に配置される。こうして、操作レバー5は、基端部(基端支持部材51)を中心として回動して、先端部を前後方向へ移動させることができるように、メインフレーム2の後側上面に回動可能に取り付けられる。
【0046】
一対の保持片6a・6bは、ブロック100を吊り上げ可能に保持する部材である。
一対の保持片6a・6bは、1つの挿入フレーム4に対して一つ備えられる。
図4、図6及び図7に示すように、一対の保持片6a・6bは、それぞれ平板状であって、平面視で外周の一部が凹む略楕円形状に形成される。一対の保持片6a・6bは、挿入フレーム4の下方、詳しくは挿入フレーム4の下面の真下に配置される。各保持片6a・6bの大きさは、平面視において、双方の保持片6a・6bが近接して並置された状態で挿入フレーム4の外周よりも内側に位置し、かつ、この状態から双方の保持片6a・6bが動作することで互いの一部が挿入フレーム4の外周よりも外側に位置する程度の大きさに設定される。
【0047】
一対の保持片6a・6bは、その板面を上下方向へ向けて、平面視で略真円形状に形成される挿入フレーム4の下面の円中心となる位置を中心として点対称に配置される。各保持片6a・6bは、その基端部を挿入フレーム4の下面から突出する第二連結ロッド73a・73bの下端部に保持片支持部材61a・61bを介して一体的に固定して、当該挿入フレーム4に対して回動可能に設けられる。そして、各保持片6a・6bは、それぞれに対応する第二連結ロッド73a・73bの回動にともなって、第二連結ロッド73a・73bを中心として略水平方向に回動可能とされる。
【0048】
以下では、一対の保持片6a・6bが互いの先端部が離れるように回動して、図6(b)に示すように開いたときの状態を「開放状態」と称し、一対の保持片6a・6bが互いの先端部が近づくように回動して、図6(a)に示すように閉じたときの状態を「閉塞状態」と称する。
【0049】
閉塞状態において、一対の保持片6a・6bは、外周の凹部を利用して互いに干渉しないように、互いの外周の一部を対向させつつ先端部を近接させる。こうして、一対の保持片6a・6bは、平面視において、全部が挿入フレーム4の下面の外周よりも内側に位置する、換言すれば、一部が挿入フレーム4の下面の外周から外側へはみ出さない状態となる。
【0050】
したがって、一対の保持片6a・6bが閉塞状態になった場合に、図7(a)に示すように、挿入フレーム4がブロック100の貫通孔150に挿入されるとき、一対の保持片6a・6bが当該貫通孔150の内側壁と接触しなくなる。よって、挿入フレーム4がブロック100の貫通孔150に出入自在となる。
【0051】
開放状態において、一対の保持片6a・6bは、互いの先端部を平面視における挿入フレーム4の下面の外周から外側へ向けて突出させて離間させる。こうして、一対の保持片6a・6bは、平面視において、一部が挿入フレーム4の下面の外周よりも外側に位置する状態となる。
また、一対の保持片6a・6bのそれぞれ先端部は、平面視で略真円形状に形成される挿入フレーム4の下面の円中心となる位置を中心として点対称に配置される。
ここで、一方の保持片6aの先端部から他方の保持片6bの先端部までの長さは、ブロック100の貫通孔150の平面視における略真円形状の直径よりも長く設定される。
【0052】
したがって、図7(b)に示すように、一対の保持片6a・6bを閉塞状態として、挿入フレーム4をブロック100の貫通孔150に上方から挿入したあと、一対の保持片6a・6bを操作レバー5により回動(開閉)操作して閉塞状態から開放状態に切り替えることで、この一対の保持片6a・6bが当該ブロック100を下方から保持することとなる。これにより、吊り上げ治具1を用いてブロック100を吊り上げ可能となる。
また、一対の保持片6a・6bを開放状態として、ブロック100を保持している場合に、一対の保持片6a・6bを操作レバー5により回動(開閉)操作して開放状態から閉塞状態に切り替えたあと、挿入フレーム4を当該ブロック100の貫通孔150から上方へ抜くことで、当該ブロック100の保持が解除されることとなる。これにより、吊り上げ治具1を用いてブロック100を吊り上げて運搬したあと、一組分のブロック100をそのままの状態で敷設することが可能となる。
【0053】
リンク機構7は、各メインフレーム2において、操作レバー5の回動操作により生じた回動力を複数の一対の保持片6a・6bに伝達して、これらの一対の保持片6a・6bを一括して回動(開閉)させるための機構、換言すれば、これらの一対の保持片6a・6bの開放状態と閉塞状態とを一括して切り替えるための機構である。
【0054】
リンク機構7は、図4から図6に示すように、第一連結ロッド71と、一対のリンクアーム72a・72bと、一対の第二連結ロッド73a・73bとを備える。
【0055】
第一連結ロッド71は、操作レバー5と、複数の一対のリンクアーム72a・72bとを連動連結する細長い板状の部材である。第一連結ロッド71の長手方向の長さは、メインフレーム2の長手方向の長さよりも若干短く設定される。
第一連結ロッド71は、その長手方向を前後方向として、メインフレーム2に沿って延出される。第一連結ロッド71は、メインフレーム2の左上側方に当該メインフレーム2と所定間隔をあけて左右平行に配置される。第一連結ロッド71の後端部は、操作レバー5の長手方向略中途部に、中央支持部材52を介して回動自在に連動連結される。第一連結ロッド71には、複数、本実施形態においては4組の一対のリンクアーム72a・72bが長手方向(前後方向)に所定間隔ごとに回動自在に連動連結される。
【0056】
一対のリンクアーム72a・72bは、第一連結ロッド71と、対応する一対の第二連結ロッド73a・73bとを連動連結する細長い板状の部材である。一対のリンクアーム72a・72bは、それぞれ略同一形状に形成される。各リンクアーム72a・72bの長手方向の長さは、操作レバー5の長手方向の長さの略半分程度に設定される。
【0057】
一対のリンクアーム72a・72bは、共に長手方向を概ね左右方向として、メインフレーム2の上方で前後平行に並べられる。各リンクアーム72a・72bは、一端部がメインフレーム2の上面であって一対の第二連結ロッド73a・73bを収容する挿入フレーム4の直上方に位置し、他端部が第一連結ロッド71の真下に位置するように配置される。
【0058】
各リンクアーム72a・72bの基端部は、メインフレーム2の上面に、基端支持部材75a・75bを介して回動自在に支持される。各リンクアーム72a・72bの先端部は、第一連結ロッド71に、先端支持部材76a・76bを介して回動自在に連動連結される。
一対のリンクアーム72a・72bに係る基端支持部材75a・75bと先端支持部材76a・76bとを結ぶ直線の延在方向及び長さは、操作レバー5に係る基端支持部材51と中央支持部材52とを結ぶ直線の延在方向及び長さと略同一となる。
【0059】
こうして、一対のリンクアーム72a・72bは、基端部(基端支持部材75a・75b)を中心として回動して、先端部を前後方向へ移動させることができるように、メインフレーム2の後側上面に回動可能に取り付けられるとともに、操作レバー5と連動可能に第一連結ロッド71を介して連結される。
【0060】
一対の第二連結ロッド73a・73bは、一対のリンクアーム72a・72bと、対応する一対の保持片6a・6bと、を連動連結する棒状の部材である。
一対の第二連結ロッド73a・73bは、共に長手方向を上下方向として、メインフレーム2及び挿入フレーム4の内側で前後平行に並べられる。即ち、各第二連結ロッド73a・73bは、上端面をメインフレーム2の上面内側に略当接させたうえで、メインフレーム2の下面及び挿入フレーム4の下面を貫通し、これらに軸心回りに回動可能に支持される。各第二連結ロッド73a・73bは、挿入フレーム4の下面から下方へ向かって一対の保持片6a・6bを保持片支持部材61a・61bを介して固定できる程度突出する。
【0061】
第二連結ロッド73a・73bの上端部は、メインフレーム2の上面上に配置された一対のリンクアーム72a・72bと基端支持部材75a・75bにより相対回転不能に連動連結される。第二連結ロッド73a・73bの下端部は、挿入フレーム4の下面側で、保持片支持部材61a・61bにより一対の保持片6a・6bと相対回転不能に連動連結される。
【0062】
このような構成のリンク機構7により、図4(b)に示すように、操作レバー5が基端部(基端支持部材51)を中心として前方へ向けて回動すると、第一連結ロッド71が前方へ向けて移動するとともに、各一対のリンクアーム72a・72bが基端部(基端支持部材75a・75b)を中心として前方へ向けて回動する。これらの一対のリンクアーム72a・72bにともなって、それぞれに対応する一対の第二連結ロッド73a・73bが軸心回りに、平面視で時計回り(右回り)に回動する。これにより、一対の保持片6a・6bが基端部(保持片支持部材61a・61b)を中心として平面視で時計回り(右回り)に回動して、図6(b)に示すように、当該一対の保持片6a・6bが開放状態となる。
【0063】
また、図4(a)に示すように、操作レバー5が基端部(基端支持部材51)を中心として後方へ向けて回動すると、第一連結ロッド71が後方へ向けて移動するとともに、各一対のリンクアーム72a・72bが基端部(基端支持部材75a・75b)を中心として後方へ向けて回動する。そこれらの一対のリンクアーム72a・72bにともなって、それぞれに対応する一対の第二連結ロッド73a・73bが軸心回りに、平面視で反時計回り(左回り)に回動する。これにより、一対のリンクアーム72a・72bに相対回転不能に固定される一対の保持片6a・6bが基端部(保持片支持部材61a・61b)を中心として平面視で反時計回り(左回り)に回動して、図6(a)に示すように、当該一対の保持片6a・6bが閉塞状態となる。
【0064】
なお、本実施形態においては、各メインフレーム2における複数の一対の保持片6a・6bを一つの操作レバー5により後述のリンク機構7を介して回動(開閉)操作可能としているが、一対の保持片6a・6bのそれぞれに対して一つの操作レバー5と同様の構成を有する操作具を備え、一対の保持片6a・6bをそれぞれの操作具により個別に回動(開閉)操作可能とすることもできる。この場合、操作具は、メインフレーム2に取り付けられた各挿入フレーム4の上方であって、当該メインフレーム2の上面に回動自在に取り付けられる。そして、操作具が一対の保持片6a・6bと図示せぬ連結ロッド等を介して相対回転不能に連結されて、当該操作レバー5が回動すると、当該一対の保持片6a・6bが回動するように構成される。
【0065】
以上のような構成の吊り上げ治具1は、上下方向に貫通する貫通孔150を中央部に有するブロック100を複数同時に吊り上げるための吊り上げ治具であって、略水平方向に延出されて、その延出方向と直交する方向に所定間隔ごとに配置される複数のメインフレーム2と、互いに隣り合うメインフレーム2を連結する複数の連結フレーム3と、各メインフレーム2から下方へ突出されて、ブロック100の貫通孔150に挿入可能な挿入フレーム4(挿入部材)と、各挿入フレーム4の下方に水平方向に回動可能に設けられて、全部が挿入フレーム4の外周よりも内側に位置する閉塞状態と、一部が挿入フレーム4の外周よりも外側に位置する開放状態とに切替可能な一対の保持片6a・6bと、各挿入フレーム4における一対の保持片6a・6bと連結されて、一対の保持片6a・6bを閉塞状態又は開放状態に切り替えるための操作レバー5(操作具)と、を備え、各挿入フレーム4をブロック100の貫通孔150に挿入したあと、一対の保持片6a・6bを操作レバー5により閉塞状態から開放状態に切り替えることで、ブロック100を下方から保持し、ブロック100を保持している状態から、一対の保持片6a・6bを操作レバー5により閉塞状態に切り替えたあと、挿入フレーム4をブロック100の貫通孔150から抜くことで、ブロック100の保持を解除するものである。
【0066】
このような構成により、ブロック100の施工方法として、各一対の保持片6a・6bを閉塞状態としたうえで、吊り上げ治具1を吊上装置により運搬車に積載された複数のブロック100へ向かって降ろして、図8(b)に示すように、挿入フレーム4を複数(12個)のブロック100のうち各々異なるブロック100の貫通孔150に挿入し、各挿入フレーム4が当該貫通孔150を貫通したあと、各一対の保持片6a・6bを閉塞状態から開放状態へ切り替えることによって、吊り上げ治具1が各ブロック100を下方から保持することとなる。これにより、吊上装置の作動に応じて、ブロック100を吊り上げ治具1を介して吊上装置により一括して複数同時に吊り上げることが可能となる。
また、ブロック100を吊り上げ治具1を介して吊上装置により一括して複数同時に吊り上げて、運搬車から施工現場における所定位置まで運搬したときには、吊り上げ治具1を吊上装置により降ろして各ブロック100を敷設面へ設置したあと、各一対の保持片6a・6bを開放状態から閉塞状態へ切り替え、つづいて吊り上げ治具1のみを吊上装置により再び吊り上げて、挿入フレーム4を当該ブロック100の貫通孔150から抜くことによって、吊り上げ治具1による各ブロック100の保持が解除されることとなる。よって、ブロック100を吊り上げ治具1を介して一括して複数同時に敷設することが可能となる。
【0067】
したがって、作業者の手作業によりブロック100を運搬したり、積み重ねたり、ブロック100を敷設したりする作業工程が不要となって、施工現場における所定位置に当該ブロック100を複数同時に運搬する作業及び敷設する作業を容易に行うことができ、施工性を向上させることができる。その結果、作業工期を短縮させることができるとともに、施工コストを抑制することができる。しかも、作業者の労働負担の軽減を図ることができる。
【0068】
また、以上のような構成の吊り上げ治具1は、挿入フレーム4を各メインフレーム2にメインフレーム2の延出方向(前後方向)に所定間隔ごとに複数設け、複数の挿入フレーム4の各一対の保持片6a・6bを、リンク機構7を介して同一の操作レバー5(操作具)と連結して、操作レバー5により閉塞状態又は開放状態に一括して切り替えるものである。
【0069】
このような構成により、ブロック100の施工方法としてリンク機構7を設けない場合とは違って、操作レバー5により一括して一対の保持片6a・6bの閉塞状態又は開放状態を切り替えることが可能となる。
したがって、吊り上げ治具1によるブロック100の保持または保持解除を簡単かつ速やかに行うことができる。つまり、施工現場における所定位置に当該ブロック100を複数同時に運搬する作業及び敷設する作業をさらに容易に行うことができ、施工性を向上させることができる。
【0070】
また、以上のような構成の吊り上げ治具1は、各連結フレーム3をメインフレーム2に対して着脱可能に設けるものである。
【0071】
このような構成により、ブロック100の施工方法として吊り上げ治具1において、連結フレーム3を長手方向の長さが異なる別の連結部材に交換し、吊り上げ治具1により一括して同時に吊り上げるブロック100の数や形状にあわせて、メインフレーム2の数及び隣り合うメインフレーム2間の間隔を任意に変更することが可能となる。
したがって、施工現場における所定位置に当該ブロック100を複数同時に運搬する作業及び敷設する作業を施工状況に応じて容易に行うことができ、施工性を向上させることができる。
【0072】
また、以上のような構成のブロック100の施工方法は、吊り上げ治具1を使用するものである。
【0073】
このような構成により、吊り上げ治具1により施工現場における所定位置に当該ブロック100を複数同時に運搬する作業及び敷設する作業を容易に行うことができ、施工性を向上させることができる。その結果、作業工期を短縮させることができるとともに、施工コストを抑制することができる。
また、リンク機構7及び操作レバー5により施工現場における所定位置に当該ブロック100を複数同時に運搬する作業及び敷設する作業をさらに容易に行うことができ、施工性を向上させることができる。
また、各連結フレーム3をメインフレーム2に対して着脱可能に設けることにより施工現場における所定位置に当該ブロック100を複数同時に運搬する作業及び敷設する作業を施工状況に応じて容易に行うことができ、施工性を向上させることができる。
【0074】
また、吊り上げ治具1は、別実施形態として操作レバー5の誤動作を防止するために、誤動作防止装置を設ける構成とすることができる。
図9に示すように、この別実施形態において誤動作防止装置は、挿入ピン80を備える。挿入ピン80は、操作レバー5を回動させて、一対の保持片6a・6bが開放状態となる位置で当該操作レバー5及びメインフレーム2の上面に水平方向の位置を合わせてそれぞれ開口された開口部に脱着可能に挿入することができる。
このような構成により、吊り上げ治具1がブロック100を保持して運搬する際(即ち一対の保持片6a・6bが開放状態である場合)に、挿入ピン80を操作レバー5及びメインフレーム2の上面に開口された前記開口部に挿入していれば、操作レバー5が障害物と衝突等して回動することを防止して、当該一対の保持片6a・6bが閉塞状態に切り替わることを防止することができる。換言すれば、ブロック100の運搬している途中で、当該ブロック100が所定位置に到達する前に操作レバー5の誤動作により吊り上げ治具1から落下することを防止することができる。
なお、この別実施形態において、誤動作防止装置は挿入ピン80を備えるが、これに限定するものではない。即ち、誤動作防止装置は、操作レバー5の誤動作を防止することができるものであればよい。
【符号の説明】
【0075】
1 吊り上げ治具
2 メインフレーム
3 連結フレーム
4 挿入フレーム(挿入部材)
5 操作レバー(操作具)
6a 保持片
6b 保持片
7 リンク機構
100 ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に貫通する貫通孔を中央部に有するブロックを複数同時に吊り上げるための吊り上げ治具であって、
略水平方向に延出されて、その延出方向と直交する方向に所定間隔ごとに配置される複数のメインフレームと、
互いに隣り合う前記メインフレームを連結する複数の連結部材と、
前記各メインフレームから下方へ突出されて、前記ブロックの貫通孔に挿入可能な挿入部材と、
前記各挿入部材の下方に水平方向に回動可能に設けられて、全部が当該挿入部材の外周よりも内側に位置する閉塞状態と、一部が当該挿入部材の外周よりも外側に位置する開放状態とに切替可能な一対の保持片と、
前記各挿入部材における一対の保持片と連結されて、当該一対の保持片を前記閉塞状態又は前記開放状態に切り替えるための操作具と、を備え、
前記各挿入部材を前記ブロックの貫通孔に挿入したあと、前記一対の保持片を前記操作具により閉塞状態から開放状態に切り替えることで、前記ブロックを下方から保持し、
前記ブロックを保持している状態から、前記一対の保持片を前記操作具により閉塞状態に切り替えたあと、前記挿入部材を前記ブロックの貫通孔から抜くことで、前記ブロックの保持を解除する、
吊り上げ治具。
【請求項2】
前記挿入部材を前記各メインフレームに当該メインフレームの延出方向に所定間隔ごとに複数設け、
前記複数の挿入部材の各一対の保持片を、リンク機構を介して同一の前記操作具と連結して、当該操作具により閉塞状態又は開放状態に一括して切り替える、
請求項1に記載の吊り上げ治具。
【請求項3】
前記各連結部材を前記メインフレームに対して着脱可能に設ける、
請求項1又は請求項2に記載の吊り上げ治具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吊り上げ治具を使用してブロックを施工する施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−111327(P2011−111327A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272547(P2009−272547)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(509189385)大和ランテック西日本株式会社 (1)
【Fターム(参考)】