説明

吊り下げフック付きカートン

【課題】汎用されている吊り下げフック付き薄型カートンで、広告面積を増大、安定的な置型カートンとしても用いることができる。
【解決手段】吊下げ用のフックを有した薄型のカートンと、底部に取り付け可能な補助片からなり、カートンの底面部における正面側・背面側の折り曲げ端のうち、少なくとも正面側折り曲げ端に切り込み溝を形成するとともに、補助片は中央部に上記カートンの厚みに略等しい幅の基部を有し、該基部の両端部にはカートンの厚みよりも広幅の脚部を備え、前記基部の幅側両側辺には、前記したカートン底部の折り曲げ端の切り込み溝内に差し込みが可能、あるいはカートン背面に接着が可能な舌片を、上記側辺に沿って折り曲げ可能に連設してなる。カートンの正面および吊下げ用のフック部分のほか下部に取り付けた補助片の表面に印刷可能で、補助片の基部両端の脚部を接地させて需要者の目につきやすい場所に立たせた状態にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばネックレスやピアスなどの装飾品、あるいは下着やストッキングなどの身飾品、ウイルス予防用マスクや化粧品類、さらには携帯電話関連や家電製品関連の部品など、各種の商品展示用吊り下げケースとして用いられる薄型カートンの改良に関し、吊り下げ展示・販売が可能であると同時に広告面積を増大させ、しかも必要に応じて薄型のカートンを需要者の目につきやすい場所に安定的に立たせた状態で展示することも可能とすることを目的とする。
【背景技術】
【0002】
従来知られている吊り下げフック付きの薄型カートンとしては、たとえば1枚のブランクシートから箱体が形成され、上端片を途中から折り返して吊下げ片を一体に設けた包装用箱が知られている(特開2001−97447号公報参照)。一方比較的薄型のカートン類を平坦なディスプレー台や床面上に立設させるようにした技術に関しては、同じく1枚のブランクシートをもって横断面が方形をし、有底の中箱を収納可能とした外箱本体を形成するとともに、その下方部に折り線を介して正面側および背面側に箱支持本体を、また左右側に折り込み片をそれぞれ連設して箱支持体を互いに外側に向けて直角に折り曲げるとともに、左右の折込片を互いに内側に向けて直角に対向させた状態で設置するようにした箱体(実公昭44−19033号公報参照)が知られている。
【0003】
またプラズマディスプレイを入れる比較的大型の梱包資材ではあるが、梱包箱の底面部に転倒防止用の長方形の支持部材を、その中心において回転軸により回転自在に取り付けて、必要に応じて長方形の支持部材を回転させることによりその長さ方向両端部を梱包箱の長さ方向に対して交差方向に突出させて安定的に保持させるようにしたプラズマディスプレイの梱包装置(特開2003−95368号公報参照)も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−97447号公報
【特許文献2】実公昭44−19033号公報
【特許文献3】特開2003−95368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した引用文献1に開示された内容の薄型カートンは、高さや左右幅に比べて底面部の奥行き幅が狭いために上部の吊下げ片の中央部に形成された吊下げ孔を利用してフックなどに吊り下げた状態で展示できるだけで、平担なディスプレー台上に個別に立たせて展示することはできない。
【0006】
一方比較的薄型のカートン類を平坦なディスプレー台や床面上に立設させるようにした技術に関して、引用文献2に開示されている箱体は、底面に箱支持体を取り付けるようにして安定性を確保するものであるが、箱支持体を有する外箱本体には設置状態において底面がなく、必ず有底の中箱を備える必要があること、また、吊下げ展示には不向きであること、さらに正面側からみた場合におけるデザイン面が少ないなど、十分なものではない。
【0007】
さらに特許文献3に開示されたものは、梱包箱の底面部に転倒防止用の長方形の支持部材を、その中心において回転軸により回転自在に取り付けて、必要に応じて長方形の支持部材を回転させることによりその長さ方向両端部を梱包箱の長さ方向に対して交差方向に突出させて安定的に保持させるようにしたために、別部品である比較的丈夫な転倒防止用支持部材をあらかじめ梱包箱の底面中央部に回転軸により取り付けておく必要があるばかりでなく、吊下げ展示には全く不向きで、しかもデザイン面の増加は望めない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記した従来技術における各種の課題を解決し、吊り下げ販売が可能であると同時にディスプレー広告面積を増大させ、しかも必要に応じて需要者の目につきやすい場所に立たせた状態で安定的に静置させた状態で展示ないし販売に供することも可能としたものであって、具体的には上端に吊下げ用のフックを有した薄型のカートンと、該カートンの底部に取り付け可能な補助片とからなり、カートンの底面部における正面側および背面側の折り曲げ端のうち、少なくとも正面側折り曲げ端に切り込み溝を形成するとともに、補助片は中央部に上記カートンの厚みに略等しい幅の基部を有し、しかも該基部の両端部にはカートンの厚みよりも広幅の脚部を備え、さらに前記基部の幅側両側辺には、前記したカートン底部の折り曲げ端の切り込み溝内に差し込みが可能であるか、あるいはカートン背面に接着が可能な舌片を、上記側辺に沿って折り曲げ可能に連設してなる吊り下げフック付きカートンに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記したように上端に吊下げ用のフックを有した薄型のカートンと、該カートンの底部に取り付け可能な補助片とからなり、カートンの底面部における正面側および背面側の折り曲げ端のうち、少なくとも正面側折り曲げ端に切り込み溝を形成するとともに、補助片は中央部に上記カートンの厚みに略等しい幅の基部を有し、しかも該基部の両端部にはカートンの厚みよりも広幅の脚部を備え、さらに前記基部の幅側片側辺に、前記したカートン底部の背面側折り曲げ端の切り込み溝内に差し込みが可能であるか、あるいはカートン背面に接着が可能な舌片と、幅側他側辺に連設させたところの、カートン底面の正面側折り曲げ端に有する切り込み溝内に差し込みが可能な舌片とを、上記した基部の側辺に沿って折り曲げ可能に連設してなるものであるために、一方の舌片を、カートン底部の背面側折り曲げ端に位置する切り込み溝内に差し込み、あるいはカートン背面に接着して取り付けることにより、カートンの吊下げ時においてはカートンの正面および吊下げ用のフック部分のみならず下部に取り付けた補助片の表面にまでデザインや説明書き等の印刷を施すことができるために、商品としての広告面積が増大して宣伝効果が著しく高まる。
【0010】
その結果販売に利用できる商品の選択の範囲が広まるのみならず、内容物商品によっては、フックを利用しての吊下げばかりでなく、補助片の基部両側辺に連設した両舌片をもってU字状に折り曲げるとともに、一方の舌片をカートンの背面に対して接着し、または背面側折り曲げ端の切り込み溝内に差し込んで取り付けるとともに、もう一方の舌片を正面側折り曲げ端の切り込み溝内に差し込んで補助片の基部をカートン底面に沿わせることにより、基部両端の脚部を接地させることができるので、薄型のカートンを需要者の目につきやすい場所に安定的に立たせた状態で展示に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例である吊下げフック付きカートンを床置きし、上部のフック部を上方に開いた状態をあらわした斜視図。
【図2】本発明に用いる吊下げフック付きカートンの一実施例をあらわしたカートンブランクの展開図。
【図3】本発明に用いる吊下げフック付きカートンの別の実施例をあらわしたカートンブランクの展開図。
【図4】本発明において使用する補助片の一例をあらわした拡大斜視図。
【図5】本発明の一実施例をあらわした吊り下げフック付きカートンの全体をあらわした正面図。
【図6】図5にあらわした吊り下げフック付きカートンの背面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において本発明の具体的な内容を、図の実施例にもとづいて説明をする。各図において、1は薄型のカートン、Fはフック部、22は補助片をあらわしている。薄型のカートン1およびフック部Fは板紙あるいは樹脂材等により構成され、図2にカートンの展開図としてあらわしたように、背面板2の片側に折線dを介して接着板2aを、また反対側に右側面板3、正面板4、および左側面板6を、それぞれ折線a・b・cを介して横方向に連設するとともに、上記背面板2の上方部には主フック板7および該主フック板7から折線eを介して上方に向け折り返し板7aが連設され、さらに該折り返し板7aの上端には差し込み突起片9・9が突設されている。
【0013】
なお、上記の主フック板7と折り返し板7aには、折線eを境として対称となる位置に、互いに対象となる形状のフック穴8・8aが開設されており、上記した主フック板7および折り返し板7aと、この両者間に挟まれる内フラップ11とによりフック部Fが構成される。
【0014】
また背面板2の下端部中央には逆U字状の切り込みnを介して開封板部21が形成されている。さらに正面板4の上方には折線f・gを介して上蓋10および内フラップ11が連設されている。なお図中において11aは内フラップに形成された凹部、12は折線gに沿って形成された切込み溝をあらわしている。
【0015】
また正面板4の下方には折線h・iを介して下蓋13および差し込みフラップ14が連設され、さらに折線hおよびiに沿って中央部に正面板側切込み溝15および背面板側切込み溝16がそれぞれ形成されている。なお正面板4の中央部には開口窓5が開設されているとともに、該開口窓5を覆うべく透明フィルム(図示省略)が施されるが、この開口窓5については必ずしも必要としない。また右側面板3の上・下端部にはそれぞれ折線j・kを介してフラップ17・18が、また左側面板6の上・下端部にはそれぞれ折線l・mを介してフラップ19・20が形成されている。なお上記した背面板側切込み溝16については必ずしも必要ではなく、図3にあらわしたように背面側切込み溝16の形成を省略して補助片22の片側舌片をカートンの背面に接着するようにしてもよい。
【0016】
さらに補助片22は、図3にもあらわしたように、中央部に上記カートンの厚み(折線hとiとの間隔)に略等しい幅(折線oとpとの間隔)の基部23を有し、しかも該基部23の左右側両端部にはカートン1の厚みよりも広幅の脚部24・24を備え、しかも前記基部23の幅側両側辺(折線o・pに接する辺)にはそれぞれこれと交差する方向に向けて形成された溝25および切り込み27を施すことにより前記したカートン1の底部の切り込み溝15・16内に差し込みが可能な舌片26・28、またはカートン1の背面に接着が可能な舌片26を、上記基部23の側辺に施した折線o・pに沿って折り曲げ可能に連設してなるものである。
【0017】
なお、図4において(A)は、補助片22に施した溝25の奥方が折線oに沿って直角方向にL字状に引き延ばされており、これによって舌片26の連設部に係止部26a・26aが形成されており、カートン1の背面側切込み溝16に差し込んだ際にこの係止部26a・26aが背面側切込み溝16の両端部に係止して容易に抜け出すことがない構造となっている。また(B)にあらわしたような補助片22の舌片26は上記したような係止部26a・26aを有しない構造であるために、図6にあらわしたようにカートン1の背面に接着して用いることができる。
【0018】
上記において、図2あるいは図3にあらわしたカートンブランクを、背面板2を中心とし、折線a・b・c・およびdにより正面板4が背面板2の手前側に位置するように順次箱型に折り曲げて左側面板6を接着板2aの外側面に接着剤を介して接着し、差し込みフラップ14を背面板2の内側に差し込んでその一部を接着剤を介して背面板2の開封板部21の内側に接着することにより箱体を形成する。
【0019】
また正面板4の上方にある上蓋10を折線fにより背面板2側に向けて直角に折り曲げるとともに、これに連設されている内フラップ11を、折線gにより直角上方に向けて起立させて主フック板7に重合させる。次いで折り返し板7aを折線eにより正面板4側に折り返し、前記した内フラップ11を包み込むように重ね合わせた後、先端に有する差し込み突起片9・9を切込み溝12・12内に差し込んでフック部Fを完成させる。
【0020】
さらに補助片22の舌片26をカートン1の底部の切り込み溝16内に差し込み固定し、またはかかる舌片26を開封板部21に合わせて背面板2の後ろ側面に接着剤を介して接着固定し、図5および図6にあらわした状態に構成する。
【0021】
使用に際しては、カートン1内に商品を装入し、これをフック部Fによってフック穴8・8aを利用して店内の吊下げ金具(図示省略)に吊下げることにより展示する。また吊下げが不適当である箇所においては、底部に有する補助片22の基部23を折線oにより直角に折り曲げてカートン1の下蓋13に重ね、さらに折線pにより舌片28を上方に折り曲げて正面板側切込み溝15内に差し込むことにより図1にあらわしたように陳列台上等に安定的に立設展示させることができる。
【0022】
なお、カートン1内の商品を取り出す場合においては、背面板2の下端部に有した逆U字状の切り込みnを破って開封板部21を引き出すことにより下蓋13を開くことにより容易に取り出すことができる。また上記した実施例における薄型カートン1は図2あるいは図3にあらわしたような1枚物のカートンブランクを用いる場合について説明をしたが、必ずしも上記の実施例のものに限られるものではなく、要するに薄型のカートンに仕上がるものであればいずれの構成のものであってもよい。
【0023】
さらに本発明において、薄型のカートンとは板厚を含めた正面板4と背面板2とにより形成された箱体の厚み、すなわち下蓋13や左右の側面板3・6の幅(折線hとiや折線aとbとの間隔)が、5mm〜19mmの範囲であって、しかもカートンの高さが上記した箱体の厚み(下蓋13や左右の側面板3・6の幅)よりも高いものである場合をいう。
【0024】
具体的には薄型カートンといっても、収納利用する商品の形状や質量にもよるが、一般的に正面板4と背面板2との間隔が5mm未満であると収納すべき利用商品がきわめて限定されて実用性に欠ける反面、20mmを超える場合にはカートンを形成する場合に1枚物のカートンブランクとして前記した補助片22に相当する部品、すなわちカートン1の厚みよりも広幅の脚部24・24に相当する部分を同一のカートンブランク中に確保することが可能となるために敢えてコスト上昇につながる別部品として用意する必要がなくなる。
【0025】
また高さがカートンを構成する箱体の厚み(下蓋13や左右の側面板3・6の幅)と同等以下である場合においては、これを床置きする場合にも安定性が問題になることはない。したがって本願発明が有効に機能する薄型のカートンとは、カートンを構成する箱体の厚みが5mm〜19mmの範囲であって、しかもカートンの高さが上記したカートンを構成する箱体の厚みよりも高い場合において、薄型カートンを低コストに、しかも吊下げカートンを床置きとして安定化させることができる。
【0026】
さらに本発明において用いられる補助片22については、必ずしもカートン1と同様の材質である必要はなく、補助片22のみ、あるいは補助片22のうち少なくとも脚部24の部分だけ、その材質としてより一層厚みのある厚紙、あるいは薄板状のプラスチック材を用いるようにすると、強度が増し、しかも安定性がより一層増大する。
【符号の説明】
【0027】
1 薄型のカートン
2 背面板
2a 接着板
3 右側面板
4 正面板
5 開口窓
6 左側面板
7 主フック板
7a 折り返し板
8 フック穴
8a フック穴
9 差し込み突起片
10 上蓋
11 内フラップ
12 切込み溝
13 下蓋
14 差し込みフラップ
15 正面板側切込み溝
16 背面板側切込み溝
17 フラップ
18 フラップ
19 フラップ
20 フラップ
21 開封板部
22 補助片
23 基部
24 脚部
25 溝
26 舌片
26a 係止部
27 切り込み
28 舌片
a〜m 折線
n 逆U字状の切り込み
o〜p 折線
n 逆U字状の切り込み
F フック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に吊下げ用のフックを有した薄型のカートンと、該カートンの底部に取り付け可能な補助片とからなり、カートンの底面部における正面側および背面側の折り曲げ端のうち、少なくとも正面側折り曲げ端に切り込み溝を形成するとともに、補助片は中央部に上記カートンの厚みに略等しい幅の基部を有し、しかも該基部の両端部にはカートンの厚みよりも広幅の脚部を備え、さらに前記基部の幅側両側辺には、前記したカートン底部の折り曲げ端の切り込み溝内に差し込みが可能であるか、あるいはカートン背面に接着が可能な舌片を、上記側辺に沿って折り曲げ可能に連設してなる吊り下げフック付きカートン。
【請求項2】
薄型のカートンは、正面板と背面板とにより形成された板厚を含む箱体の厚みが、5mm〜19mmの範囲であって、しかもカートンの高さが上記した箱体の厚みよりも高いものであるところの請求項1に記載の吊り下げフック付きカートン。
【請求項3】
補助片は、基部の幅側両側辺に、該側辺に沿って折り曲げ可能に連設した舌片のうち、少なくとも一方の舌片を、カートンの背面に対し接着して取り付けるようにした請求項1に記載の吊り下げフック付きカートン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−51630(P2011−51630A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202675(P2009−202675)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】