説明

吊り下げ器

【課題】ネームカードホルダー3などの保持部に対するストラップ2の取り付け位置を、ネームカードホルダー3とストラップ2の両者を一旦切り離すことなく変更可能な吊り下げ器を提供する。
【解決手段】ネームカードを保持するネームカードホルダー3と、ネームカードホルダー3と接続したレール部4と、レール部4に嵌合し、レール部4との接続位置が任意の位置に設定されるレール嵌合部50と、レール嵌合部50と接続したストラップ部2と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話との接続紐やネームカードホルダーなどをストラップと接続し、携帯電話やネームカードなどの被吊り下げ物を利用者が吊り下げ保持するための吊り下げ器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話やネームカードなどを利用者の首などから吊り下げる吊り下げ器(いわゆるストラップ機構)が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。例えばネームカードが収納されるネームカードホルダーを吊り下げる吊り下げ器では、保持部としてのネームカードホルダーに設けられた貫通孔にストラップが挿通されてなる。
【特許文献1】特開2001−218613号公報(例えば図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の吊り下げ器は、上記したように保持部におけるストラップの取り付け位置を変えることができなかった。また、ストラップにクリップ等が取り付けられ当該クリップによって保持部を挟むことでストラップと保持部とを接続するようなストラップと保持部との間に間接部材が設けられた吊り下げ器でも同様に、保持部に対するストラップの取り付け位置(クリップ等の間接部材におけるストラップの接合位置/挿通位置)を変えることはできなかった。
【0004】
取り付け位置を変更するために例えば上記貫通孔をネームカードホルダーに複数設け、いずれの貫通孔にストラップを挿通させるか(いずれの貫通孔をストラップの取り付け位置にするか)変更することで保持部に対するストラップの取り付け位置を変更する吊り下げ器も存在するが、取り付け位置変更作業は、ストラップを現状の取り付け位置から取り外して所望の取り付け位置に取り付ける等の極めて煩雑な作業が必要とされる。
【0005】
本発明は、保持部に対するストラップの取り付け位置を、両者を一旦切断した状態(間接部材を介しても非接続の状態)とすることなく変更可能な吊り下げ器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第一の吊り下げ器は、被吊り下げ物を保持する保持部と、保持部と接続されたレール部と、レール部に嵌合し、レール部との接続位置が任意の位置に設定されるレール嵌合部と、レール嵌合部と接続したストラップ部と、を備えている。
本発明に係る第二の吊り下げ器は、ストラップ部と、ストラップ部と接続したレール部と、レール部に嵌合し、レール部との接続位置が任意の位置に設定されるレール嵌合部と、レール嵌合部に接続された被吊り下げ物を保持する保持部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
上記説明からも明らかなように、本発明によれば、保持部とストラップとの間を一旦切断した状態にすることなく保持部に対するストラップの取り付け位置を変更可能な吊り下げ器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。各実施例に係る吊り下げ器は、ストラップと保持部(ネームカードホルダー)との間にレール部とレール嵌
合部とを備えており、レール嵌合部はレール部に嵌合しつつレール部に沿って移動可能に構成されている。そのため、レール部におけるレール嵌合部の嵌合位置を変更することができ、これにより保持部に対するストラップの取り付け位置を変更することができる。
【実施例1】
【0009】
図1は、実施例1に係るネームカードホルダーを吊り下げ可能にする第一の吊り下げ器を示した斜視図である。図1に示すように第一の吊り下げ器は、ストラップ2と、ストラップ2が取り付けられた、レール嵌合部50を備えたストラップ取り付け部5と、レール嵌合部50が嵌合されるレール部4と、レール部4に溶着された保持部としてのネームカードホルダー3とを備える。
図2は、ストラップ取り付け部5がレール部4の一端側(図1中のAの位置)に存する状態における図1中の符号42(位置決め凹部)の延在方向(紙面左下側から右上側方向)の断面図である。図3は、ストラップ取り付け部5の側面図である。図4(A)は、頸部501における中心線に直交する断面図であり、図4(B)は、表側ケース51を表側(正面側)から眺めた正面図である。以下、図2を中心に各構成要素について詳細に説明する。
【0010】
<ネームカードホルダー3>
ネームカードホルダー3は、投光性の樹脂で構成された表部30と裏部31の端部が溶着等されて形成された空間にネームカードが収納・保持されるネームカードの保持部である。裏部31の一辺(図1においては上側の辺)は、表部30と接着されず、ネームカードを上記空間に出し入れするための開口部を構成している。当該開口部にはカバー部32が設けられ、カバー部32に設けられた凸状部34と裏部31に設けられた凹溝33が嵌め合わされて開口部が閉じられる。
ネームカードホルダー3は、表部30の端部側(図2における上側)がホルダー取り付け部46に溶着されてレール部4と接続される。
【0011】
<レール部4>
レール部4は、レール基部44から一対の壁部である第一壁部43と第二壁部45とが起立している。第一壁部43、レール基部44及び第二壁部45により囲まれた空間(レール空間)47にはストラップ取り付け部5のL字状嵌合部507が挿通される。第一壁部43におけるレール空間47とは反対面側には図1において示す2箇所(レール部4の延在方向両端部に2箇所)に位置決め凹部42が設けられている。2つの位置決め凹部42間は、位置決め凹部42よりも浅い溝部である案内凹部(実施例1においては図示しない。実施例2に係る図5の案内凹部48も参照。)が延在している。第二壁部45における位置決め凹部42よりも先端側(図2における下側)は、位置決め凹部42よりも肉厚とされ引っかけ凸状部を構成している。第二壁部45は、先端側(図2における下側)にホルダー取り付け部46が設けられ、上記の通りネームカードホルダー3が接着されている。
【0012】
<ストラップ取り付け部5>
ストラップ取り付け部5は、レール嵌合部50と表側ケース51と裏側ケース52によって構成されている。
【0013】
レール嵌合部50は、レール嵌合部基部500の一方の面側に頸部501が設けられ、頸部501の先端側(図2における右側)に頸部501よりも径の大きな頭部502が設けられている。通常時(組み立てられた状態)には頸部501は表側ケース基部510の貫通孔部511内に挿通されて回動可能であり、頭部502は貫通孔部511を挿通不能である。したがって、レール嵌合部50は、頸部501及び貫通孔部511を中心として表側ケース基部510に対して回動可能とされている。
頸部501は、原則円筒状であるが、中心軸を基準として90度間隔で計4つの出っ張り部508が設けられている(図4(A)参照。)。貫通孔部511は、頭部502の径よりも一辺の長さが短く、当該径よりも対角線の長さが長い略矩形状貫通孔である(図4(B)参照。)。したがって頸部501が回動すると出っ張り部508が貫通孔部511の対角線方向に向いて(上記貫通孔部511の頂点側の空間内に配置されて)、貫通孔部511に対する相対角度が固定される。貫通孔部511の頂点間は、中心線(頸部501の中心線と略重なる線)からの距離が頸部501の中心線から出っ張り部508の最も外側までの距離よりも短いため、所定以上の力を加えない限り出っ張り部508と引っかかり頸部501の回動が阻止される。すなわち、レール嵌合部50は、表側ケース基部510に対して頭部502、貫通孔部511を中心に360度回転可能であるが、出っ張り部508及び貫通孔部511によって互いに直角若しくは180度の関係にある4つの方向の何れかを向く相対位置(相対方向/相対角度)で固定される。
【0014】
レール嵌合部50は、レール嵌合部基部500における他方の面において端部からL字状嵌合部507が設けられている。L字状嵌合部507のレール嵌合部壁部504はレール嵌合部基部500から起立しており、端部(図2における左側)からレール嵌合部基部500に略並行な板状部であるガイド板部505が設けられている。ガイド板部505は、レール嵌合部壁部504及びレール嵌合部基部500によってレール嵌合部側ガイド空間506を形成している。レール嵌合部基部500のレール嵌合部側ガイド空間506には、位置決め凹部42及び案内凹部に嵌合するレール嵌合部凸状部503が設けられている。
【0015】
第一壁部43がガイド板部505によってレール嵌合部基部500から離れる方向(図2における右側方向)への移動が規制されているため、レール嵌合部凸状部503は、位置決め凹部42及び案内凹部の何れか一方に必ず嵌る。これにより、レール嵌合部凸状部503は図2に示すように引っかけ凸状部41と係合し合い、レール嵌合部50に対するレール部4の図2における上側方向への相対移動が規制される。また、上記の通りガイド板部505がレール空間47に挿入されているため、レール嵌合部50に対するレール部4の図2における下側方向への相対移動も規制されている。したがって、レール嵌合部凸状部503は、位置決め凹部42、42間を案内凹部に沿ってのみ相対移動することができる。すなわち、レール嵌合部50を備えたストラップ取り付け部5は、ネームカードホルダー3が取り付けられたレール部4に沿って相対移動可能に構成されている。
【0016】
表側ケース51は、上記の通り裏側ケース基部510に貫通孔部511が設けられたケース部材であり、裏側ケース52とともに挿通されたストラップ2を保持する(相対位置を一定にする)ストラップ収納空間523及び頭部収納空間525を形成する。ストラップ収納空間523については裏側ケース52の説明とあわせて説明する。頭部収納空間525は、表側ケース51に対してレール嵌合部基部500が回動する際の頭部502の動きを邪魔しないための空間である。
【0017】
裏側ケース52は、裏側ケース基部520の端部において表側ケース51と接続し、ストラップ取り付け部5におけるケース部(本体部)を構成している。裏側ケース基部520は一対の裏側ケース壁部521、521が設けられている。裏側ケース壁部521、521は、ストラップ取り付け部5内におけるストラップ2が挿通される方向(延在される方向)に沿って設けられており、裏側ケース基部520及び表側ケース基部510とともにストラップ収納空間523を構成する。ストラップ収納空間523は、延在方向端部がケース側面に設けられた一対の開口部であるストラップ収納空間開口部53、53(図1、図3を参照)を介して外部空間と接続している。
【0018】
裏側ケース基部520におけるストラップ収納空間523側には突起部522が複数設
けられている。突起部522は、ストラップ2に食い込んだり、ストラップ2を表側ケース基部510に押しつけるなどして、ストラップ収納空間523におけるストラップ2の相対移動を規制する。したがって、通常使用においてストラップ2をストラップ取り付け部5から引き抜くことはできない。
【0019】
次に、レール部4に対するストラップ取り付け部5の接合位置(取り付け位置)を図1におけるAの位置(Aの状態)からBの位置へ変更する様子、並びに、Bの状態においてレール部4を基準としたストラップ取り付け部5を回転させる(ストラップ2との接続方向(延在方向)を変更する(Cの状態とする))様子を説明する。
【0020】
<状態Aから状態Bへの移動手順>
図1における状態Aでは、図2の断面図に示すようにレール嵌合部凸状部503が位置決め凹部42に嵌合しており、また、位置決め凹部42は上記の通り案内凹部よりも深いため、レール部4におけるレール嵌合部50の相対的位置が安定的に維持されている。一方、レール嵌合部50は、ケースを構成する表側ケース51との相対的位置関係が上記出っ張り部508並びに貫通孔部511によって維持されるため、状態Aにおけるレール部4に対するストラップ取り付け部5からのストラップ2の延在方向(ストラップ収納空間開口部53直近におけるストラップ2の方向)も安定的に維持されている。したがって、図1に示す状態Aは安定的に維持される。
【0021】
状態Aのストラップ取り付け部5にレール部4の延在方向の一定以上の力を加えると、レール嵌合部凸状部503が位置決め凹部42と案内凹部との段差を乗り越え、レール嵌合部凸状部503が案内凹部に嵌合した状態となる。嵌合凹部の深さはいずれの箇所でもおおむね同じであるため、レール嵌合部凸状部503の案内凹部方向(レール部4延在方向)の位置は制限されない。したがって、ストラップ取り付け部5をレール部4における他端部側である状態Bの位置まで移動させることができる。
図1にBと示す位置には位置決め凹部42が設けられている。レール嵌合部凸状部503は、一旦位置決め凹部42に嵌合すると、位置決め凹部42よりも浅い案内凹部側へは所定以上の力を加えないと移動することができないため安定的に嵌合し続ける。したがって、レール部4に対するストラップ取り付け部5の相対位置は状態Bに示す位置で安定的に維持される。
【0022】
<状態Bから状態Cへの移動手順>
状態Bにおいて、表ケース51を挟持してレール嵌合部基部500に対して(頸部501を基準として)回動させると、頸部501における出っ張り部508が、それまで収納されていた貫通孔部511における頂点側の空間から隣接する頂点側における貫通孔部511の外周辺において当接する。この状態においてさらに力を加えると、出っ張り部508が当該当接箇所から隣接する頂点側へ移動し(当該当接箇所を乗り越え)、隣接する頂点側の空間内に収まる。さらに隣接する頂点側へ移動するにはやはり所定以上の力を加える必要があり、また、元の頂点側へ移動するにも所定以上の力を加える必要がある。すなわち、所定以上の力を加えない限り、出っ張り部508は上記隣接する頂点側の空間内に収まった状態が維持される。したがって状態Cが安定的に維持される。
【0023】
このように第一の吊り下げ器は、レール部4に沿ってストラップ取り付け部5の位置を自在に変更することができる。また、位置決め凹部42が設けられているため、レール部4におけるストラップ取り付け部5の相対位置を特定の位置で安定的に維持できる。
【0024】
第一の吊り下げ器は、頸部501が貫通孔部511と嵌合し、表側ケース基部510が頭部502とレール嵌合部基部500に挟まれているため、レール部4に対するストラップ収納空間開口部53の開口方向を変更することができる。また、頸部501には出っ張
り部508が設けられ、貫通孔部511が上記した形状に設計されているため、上記開口方向を特定の方向で安定的に維持できる。
したがって、第一の吊り下げ器は、例えば以下のように活用することもできる。
【0025】
・縦型名刺及び横型名刺のいずれにも対応可能な吊り下げ器(ネームカードストラップ)とする。
図1における状態Aや状態Bでは、長方形の長手方向に横書きされた名刺やネームカードがネームカードホルダー3に入れられると、当該名刺等(横型名刺)の天地方向は吊り下げ方向と一致する。すなわち状態Aや状態Bは横型名刺に対応した位置である。一方、状態Cでは、長方形の長手方向に縦書きされた名刺やネームカードがネームカードホルダー3に入れられた場合に当該名刺等(縦型名刺)の天地方向と吊り下げ方向とが一致する。すなわち状態Cは縦型名刺に対応した位置である。
このように、第一の吊り下げ器は、縦型名刺、横型名刺のいずれにも対応することができる。
【0026】
・ネームカードホルダー3が胸ポケットに入りやすくする。
利用者は、吊り下げ器を首から吊り下げた状態においてネームカードホルダー3を(これに収納された名刺等を)外部から視認できなくしたい場合があり、この場合一般的には利用者の洋服における胸ポケットにネームカードホルダー3を収納する。そして、名刺等の長手方向の長さは胸ポケットの開口部(入り口)の幅よりも一般に長いため、ネームカードホルダー3を胸ポケットに入れる場合には、通常、ネームカードホルダー3の長手方向を天地方向として胸ポケットに挿入される。
この場合、ストラップ取り付け部5はネームカードホルダー3を基準として出っ張った位置となるため胸ポケットの入り口に引っかかってしまい、ネームカードホルダー3の全てを胸ポケットに入れられない場合がある。これに対して第一の吊り下げ器は、ネームカードホルダー3に対するストラップ取り付け部5の位置を状態Aから状態Bや状態Cに変更することができるので、ネームカードホルダー3の全て(若しくは多くの部分)を胸ポケットに収納し、ストラップ取り付け部5が胸ポケットの外部に位置させ、ネームカードホルダー3に収納された名刺等の内容を外部から視認できなくすることができる。
【0027】
また、ストラップ2の長さが足りず、ネームカードホルダー3を胸ポケットに全て収納することができない場合もある。例えば、ストラップ2によって構成された環状部を利用者の首にかけストラップ取り付け部5を胸ポケットに近づけた場合にストラップ取り付け部5が胸ポケットの開口部近傍に位置してしまい、ネームカードホルダー3の一部しか胸ポケットに収納できない場合である。この場合でも、実施例1に係る吊り下げ器は、レール部4に対するストラップ取り付け部5の相対位置を状態Aから状態Bとすることで、ストラップ取り付け部5の位置が変更できなくてもネームカードホルダー3の大部分(全部を含む。)を胸ポケットに収納することが可能となる。
さらに、上記吊り下げ器は、レール部4に対するストラップ収納空間開口部53からのストラップ2の延在方向を状態Bから状態Cへ変更できるため、ストラップ収納空間開口部53、53を利用者の首側により近づけることができる。したがって、ネームカードホルダー3の胸ポケットへの収納量を状態Bよりも多くすることが可能となる。
【実施例2】
【0028】
実施例2に係る第二の吊り下げ器は、図5に示すようにレール部4の形状が第一吊り下げ器と異なる点が大きな特徴である。以下、第二の吊り下げ器における第一の吊り下げ器との主たる相違点について説明する。なお、図5には第二の吊り下げ器における第一の吊り下げ器と同等の機能を奏する構成要素については同一の符号を付し、当該相違点を除いて説明を省略する。また、レール部4に対するストラップ取り付け部5の係合機構は第一吊り下げ器と同等の機構(同等の作用を奏する機構を含む。)を採用すればよいため、図
2に相当する断面図等を用いた詳細な説明も省略する。
【0029】
図5に示すように、第二の吊り下げ器のレール部4は曲線部を備え、ネームカードホルダー3の一辺(図中Dの位置)からこれに隣接する辺(図中Eの位置)に至る、中心角90度の扇形(1/4円)の円弧におおよそ沿った形状である。レール部4のホルダー取り付け部は、図5における紙面奥側に接着され、レール部4がネームカードホルダー3の表側(表面側;図5における紙面奥側)から視認しにくくされている。レール部4は、その両端(図5中Dの位置並びにEの位置)の2箇所に設けられている。
ネームカードホルダー3は、開口部の位置が第一の吊り下げ器と異なり、カバー部32がレール部4に対して垂直方向に延在しているが、基本的な機能は第一の吊り下げ器におけるネームカードホルダー3と同等である。
【0030】
ストラップ取り付け部5は、レール嵌合部がなく、表側ケースからL字状嵌合部が延在し、レール嵌合部凸状部等も表側ケース部に設けられている。つまり、第二の吊り下げ器におけるストラップ取り付け部5は、第一の吊り下げ器におけるストラップ取り付け部5からレール部4に対するストラップ収納空間開口部53近傍のストラップ2の延在方向を変更する機構(回転機構)を省いたものである。
また、ストラップ取り付け部5は(表側ケース及び裏側ケース)は、L字状嵌合部がレール部4に嵌めあわされた状態でネームカードホルダー3の表側から視認できない大きさにされている。したがって、ネームカードホルダー3の表側からはおおむねネームカードホルダー3及びストラップ2が視認可能とされている。
【0031】
図5に示す状態Dにおいては、レール嵌合部凸状部503に相当する表側ケース凸状部が位置決め凹部42に嵌め合わされ、状態Dで安定的に維持されている。この状態においてストラップ取り付け部5に対してレール部4の延在方向に所定以上の力を加えることで上記同様に表側ケース凸状部が位置決め凹部42と案内凹部48との段差を乗り越え、表側ケース凸状部が案内凹部48に嵌合した状態となり、ストラップ取り付け部5をレール部4に沿って自在に移動させることができる。
【0032】
そして、図5に示すEの位置までストラップ取り付け部5を動かすと、表側ケース凸状部がEの位置における位置決め凹部42と嵌合し合い、ストラップ取り付け部5のレール部4に対する相対位置(状態)がEの位置(状態)で安定的に維持される。
第二の吊り下げ器は、図5に示すようにレール部4がおおよそ「し」形状であり、ストラップ取り付け部5に回転機構がないため、状態Eでは、ストラップ取り付け部5からのストラップ2の延在方向が状態Dの場合と90度傾いた状態(図5では状態Dがおおよそ図上側方向で、状態Eがおおよそ図左側方向)となる。
【0033】
第二の吊り下げ器は、特に縦型名刺と横型名刺のいずれにも対応可能な吊り下げ器として有用であるが、レール部の形状を他の用途に適した形状にすることもできる。
【実施例3】
【0034】
図6に示す実施例3に係る第三の吊り下げ器は、第一の吊り下げ器とはレール部4の長さが異なる点と、レール空間47が端部において外部空間と連通している点が主たる相違点である。以下、後者の相違点を中心に第三の吊り下げ器について説明する。
【0035】
レール部4には3つの位置決め凹部42が設けられており、各位置決め凹部42間は案内凹部48によって結ばれている。そして、第三の吊り下げ器は、レール部4の両端側に存する位置決め凹部42、42からさらにレール部4延在方向外側に案内凹部48、48がレール部4の端部側にまで延在している。レール空間47は、案内凹部48と位置決め凹部42に沿った方向に延在し、実施例3ではさらにレール部4の延在方向端部において
開口している。すなわち、L字状嵌合部は、レール部4の両端側に位置する開口部からレール空間47に出し入れ自由である。
【0036】
第三の吊り下げ器は、上記の通りレール部4にL字状嵌合部を挿通自在であり、かつ、位置決め凹部42とレール嵌合部凸状部とが嵌合することによって状態F、G、Hにてレール部4とストラップ取り付け部5との相対位置が安定的に維持される。
【0037】
状態Gの位置にあるストラップ取り付け部5を状態Fの位置、状態Hの位置へ移動させ、さらにはレール部4から取り外す場合には、利用者がネームカードホルダー3を持ちストラップ2から遠ざける方向に所定以上の力を加えると、紐であるストラップ2による回転(ねじり)と、レール嵌合部に対する表側ケースの回転機構による回転によって、案内凹部48は当該力の方向とほぼ同等の方向に向く。したがって、L字状嵌合部は、位置決め凹部42と案内凹部48との段差をレール嵌合部凸状部が乗り越えると、上記力の方向側の位置決め凹部42に対応する位置にまで移動し、さらに力を加えるとレール部4から取り外される。
なお、第三の吊り下げ器の状態F、状態Hにおける位置決め凹部42は、状態Gにおける位置決め凹部42とレール嵌合部凸状部との嵌合状態が解除されてしまった場合に直ちにストラップ取り付け部5がレール部4から外れてしまうことを防止する安全装置としても機能する。
【0038】
本発明は、上記実施例に限定して解釈されるものではなく、その趣旨・精神に沿って適宜変更することができる。例えば、ネームカードホルダー等の被吊り下げ物の保持部側にL字状嵌合部等のレール嵌合部を設け、ストラップ側にレール部を設けても、上記同等の作用・効果を奏する。レール機構も適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施例1に係る吊り下げ器の斜視図。
【図2】図1に係る吊り下げ器1を位置決め凹部42の延在方向において切断した断面図。
【図3】図1に係る吊り下げ器1のストラップ取り付け部5の側面図。
【図4A】図1に係る吊り下げ器1の頸部501の断面図。
【図4B】表側ケース51の表側を示した断面図。
【図5】実施例2に係る吊り下げ器の斜視図。
【図6】実施例3に係る吊り下げ器の斜視図。
【符号の説明】
【0040】
2:ストラップ、3:ネームカードホルダー、30:表部、31:裏部、32:カバー部、33:凹溝、34:凸状部、4:レール部、41:引っかけ凸状部、42:位置決め凹部、43:第一壁部、44:レール基部、45:第二壁部、46:ホルダー取り付け部、47:レール空間、48:案内凹部、5:ストラップ取り付け部、50:レール嵌合部、500:レール嵌合部基部、501:頸部、502:頭部、503:レール嵌合部凸状部、504:レール嵌合部壁部、505:ガイド板部、506:レール嵌合部側ガイド空間、507:L字状嵌合部、508:出っ張り部、51:表側ケース、510:表側ケース基部、511:貫通孔部、52:裏側ケース、520:裏側ケース基部、521:裏側ケース壁部、522:突起部、523:ストラップ収納空間、524:突起部、525:頭部収納空間、53:ストラップ収納空間開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被吊り下げ物を保持する保持部と、
前記保持部と接続したレール部と、
前記レール部に嵌合し、レール部との接続位置が任意の位置に設定されるレール嵌合部と、
レール嵌合部と接続したストラップ部と、
を備えた吊り下げ器。
【請求項2】
前記レール嵌合部は、さらに、これに接続されたストラップ部の接続方向を変える接続方向変更部を備えた、請求項1に記載の吊り下げ器。
【請求項3】
ストラップ部と、
ストラップ部と接続したレール部と、
前記レール部に嵌合し、レール部との接続位置が任意の位置に設定されるレール嵌合部と、
前記レール嵌合部に接続された被吊り下げ物を保持する保持部と、
を備えた吊り下げ器。
【請求項4】
前記レール部及び前記レール嵌合部は、さらに、レール部におけるレール嵌合部の位置を所定位置に保つ位置決め部を備えた、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の吊り下げ器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−11886(P2010−11886A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171856(P2008−171856)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000129437)株式会社キングジム (241)
【Fターム(参考)】