説明

吊下げ式遮光装置

【課題】 生地の脱着が簡単でしかも生地の落下を確実に防止する。
【解決手段】 生地1a,1bの上端に圧入バー9を取り付ける。ヘッドレール7の下面に断面蟻溝形のレール部8a,8bを長手方向全長に亘って形成する。ヘッドレール7をブラケット12で室内の固定側に取り付けた状態で、圧入バー9をヘッドレール7の一端側からレール部8a,8bに抜き差し可能に圧入し、生地1a,1bをヘッドレール7に昇降可能に吊下げ支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ローマンシェードやブラインド等のような吊下げ式遮光装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、室内の固定側(天井、壁、窓枠)に取り付けられたヘッドレール(支持フレーム)に生地の上端を固定することにより、生地をヘッドレールに昇降可能に吊下げ支持したローマンシェードが開示されている。
【0003】
一方、特許文献2には、室内の固定側(天井、壁、窓枠)に取り付けられたヘッドレールに生地の上端を面ファスナを介して着脱可能に取り付けることにより、生地をヘッドレールに昇降可能に吊下げ支持したローマンシェードが開示されている。
【特許文献1】特許第3571239号公報(段落0009欄、図2)
【特許文献2】特開2003−169746号公報(段落0010、図1,4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、生地を洗濯する際や新たな生地に交換する際等には、生地をヘッドレールから取り外す必要がある。
【0005】
しかし、特許文献1では、生地をヘッドレールに固定しているため取り外すことができず、洗濯や交換が事実上不可能である。
【0006】
一方、特許文献2では、生地が着脱式であるため洗濯や交換を行うことができるが、生地に身体や物を引っ掛けたりするなどして思わぬ外力が生地に掛かると、生地がヘッドレールから外れるおそれがある。また、面ファスナには生地の荷重が常に掛かっており、この状態で昇降操作時の衝撃が加わると面ファスナの係合が外れて生地がヘッドレールから外れることもある。
【0007】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、生地の脱着が簡単でしかも生地の落下を確実に防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、この発明は、面ファスナによる係合方式に代えて圧入方式を採用したことを特徴とする。
【0009】
具体的には、この発明は、支持フレームがブラケットで室内の固定側に取り付けられ、遮光部材が上記支持フレームに昇降可能に吊下げ支持された吊下げ式遮光装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、この発明は、上記遮光部材の上端には圧入バーが取り付けられ、上記支持フレームの下面には、上記圧入バーが支持フレームの一端側から抜き差し可能に圧入される断面蟻溝形の圧入溝が長手方向全長に亘って形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、生地を洗濯する際や新たな生地に交換する際等に、生地の上端を手で持って支持フレームに沿って側方に引っ張ることで、圧入バーを圧入溝から引き抜いて生地を簡単に支持フレームから取り外すことができる。逆に、生地を支持フレームに取り付ける場合には、生地の上端を手で持って圧入バーを支持フレームの一端側から圧入溝に圧入するだけで生地を簡単に支持フレームに取り付けることができる。この取付け状態で、圧入バーは支持フレームの一端側から断面蟻溝形の圧入溝に圧入されているので、生地に身体や物を引っ掛けたりするなどして思わぬ外力が生地に掛かったり、昇降操作時の衝撃が生地に掛かっても、生地の落下を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0013】
図2はこの発明の実施の形態に係る吊下げ式遮光装置としてのローマンシェードAを示すが、ブラインドにも適用することができるものである。このローマンシェードAは、遮光部材としてのドレープカーテンからなる室内側生地1aと、同じく遮光部材としてのレースカーテンからなる窓側生地1bとを前後に配置したダブルタイプである。これら生地1a,1bの下端内部には、1本のウェイトバー2が幅方向全体に亘って取り付けられているとともに、該ウェイトバー2から上方の生地1a,1b内部には、複数本のタックバー3が上下方向に所定間隔をあけて上記ウェイトバー2と平行になるように幅方向全体に亘って取り付けられている。上記ウェイトバー2から1本置きのタックバー3の両端内寄り2箇所には、リング4が1個ずつ取り付けられ、これらリング4は左右2列にかつ上下に直線状に配設されている。そして、室内側生地1aの2列のリング4には上から順に室内側操作コード5aがそれぞれ挿通され、該室内側操作コード5aの一端はウェイトバー2の連結具6に連結されている。同様に、窓側生地1bの2列のリング4にも上から順に窓側操作コード5bがそれぞれ挿通され、該窓側操作コード5bの一端はウェイトバー2の連結具6に連結されている。
【0014】
上記生地1a,1bは、支持フレームとしてのヘッドレール7に昇降可能に取り付けられて吊下げ支持されている。該ヘッドレール7は、図1にも示すように、上面に断面コ字形の溝部7aが全長に亘って幅広に形成され、下面に断面蟻溝形の圧入溝からなる室内側レール部8aと窓側レール部8bとが長手方向全長に亘って平行に形成されている。このヘッドレール7は、レール部8a,8bが断面蟻溝形であるため、加工上の観点から木製が好ましいが、樹脂製や金属製であってもよい。一方、上記生地1a,1bの上端内部には、1本の圧入バー9が幅方向全体に亘って取り付けられ、圧入バー9を上記レール部8a,8bに図3で矢印で示すようにヘッドレール7の一端側から圧入することで、生地1a,1bがヘッドレール7に抜き差し可能に吊下げ支持されるようになっている。生地1a,1bを洗濯する際や新たな生地1a,1bに交換する際等には、生地1a,1bの上端を手で持ってヘッドレール7に沿って挿入方向と逆方向に引っ張ることで、圧入バー9をレール部8a,8bから引き抜くことができる。このことをこの発明の特徴としている。
【0015】
上記ヘッドレール7の一端側には、周知の室内側ストッパ機構10aと窓側ストッパ機構10bとが装備されている。これらストッパ機構10a,10bには上記操作コード5a,5bが2本ずつ連係され、該操作コード5a,5bの一端が上記ヘッドレール7の両端寄りでレール部8a,8b側方に穿設された挿通孔(図示せず)を挿通して生地1a,1bの左右2列のリング4を経て下端の連結具6に連結され、操作コード5a,5bの他端はストッパ機構10a,10bから室内側に垂下されている。室内側に2本ずつ垂下する操作コード5a,5bの途中には、生地1a,1bを傾くことなく均等に昇降させるためのイコライザ11a,11bが取り付けられている。
【0016】
上記ヘッドレール7は、2個の金属製ブラケット12で室内の固定側である天井、壁又は窓枠に取り付けられ、該ヘッドレール7に吊下げ支持された生地1a,1bで窓を覆うようになっている。
【0017】
上記ブラケット12は、図1,4〜8に示すように、矩形の頂面板13の一端(窓側)に矩形の後面板14が一体に垂設されたL字形のブラケット本体15を備えている。上記頂面板13には天井付け用のネジ挿通孔13aが横並びに2個形成され、かつ頂面板13の両側端にはガイド板部16がそれぞれ下方に直角に折曲げ形成され、該各ガイド板部16下端にはガイド片16aが内向きに直角に折曲げ形成されている。一方、上記後面板14には壁付け用又は窓枠付け用のネジ挿通孔14aが横並びに2個形成されているとともに、その上方にはカシメ用孔14bが1個形成され、かつ後面板14の下端には上記ヘッドレール7下面の幅方向一端側(窓側の端部)を受ける第1受け片17が室内側に向かって直角に折曲げ形成されている。また、後面板14の両側端部には当接部14cが折曲げ形成され、ヘッドレール7をブラケット12で支持した状態で該当接部14cがヘッドレール7の後端面に当接するようになっている。
【0018】
上記頂面板13の他端側(室内側)には前面板18が配置されている。該前面板18は、五角形の上半板部19と矩形細身の下半板部20とで一体に形成され、上記上半板部19上端側にネジ挿通孔19aが形成されているとともに、上記下半板部20下端に上記ヘッドレール7下面の幅方向他端側を受ける第2受け片21が折曲げ形成されている。また、上記上半板部19の幅方向両端には、後面板14側に延びるガイドフレーム22がそれぞれ平行に一体に突設されている。これらガイドフレーム22は上記頂面板13のガイド片16aに載せられ、上記前面板18が頂面板13の他端側(室内側)に後面板14に対して接離するように移動可能に支持されている。
【0019】
上記頂面板13裏面の幅方向中央には、断面円形の桿材23が長手方向に沿って一体に固着されている。該桿材23の室内側略半分の領域には、上記前面板18側に開口するネジ孔23aが形成されているとともに、窓側端部にはカシメ用突起23bが突設され、該カシメ用突起23bを上記後面板14のカシメ用孔14bに挿入して桿材23が後面板14にカシメ結合されている。そして、上記第1受け片17と第2受け片21とでヘッドレール7下面の幅方向両端側を受けた状態で、ネジ24を上記前面板18のネジ挿通孔19aを経て上記桿材23のネジ孔23aに螺合して前面板18を動かないように固定するようになっている。
【0020】
次に、ローマンシェードAの設置要領について説明する。
【0021】
まず、2個のブラケット12をヘッドレール7の長さに応じて間隔をあけて室内の固定側(天井、壁、窓枠)に取り付ける。固定側が天井である場合には、頂面板13の2個のネジ挿通孔13aにネジを挿通してブラケット12を天井に固定する。固定側が壁又は窓枠である場合には、後面板14の2個のネジ挿通孔14aにネジを挿通してブラケット12を壁に固定する。この際、桿材23のネジ孔23aに螺合しているネジ24を予め弛めて前面板18を後面板14から遠ざけ、両者の間隔をヘッドレール7の幅よりも大きくしておく。
【0022】
次いで、ヘッドレール7を上記2個のブラケット12に橋絡し、後面板14の第1受け片17と前面板18の第2受け片21とでヘッドレール7下面の幅方向両端側を受ける。
【0023】
その後、上記ネジ24を締めて前面板18を後面板14に接近させ、ヘッドレール7を前面板18と後面板14とで動かないように挟持する。
【0024】
しかる後、窓側生地1bの圧入バー9を窓側レール部8bに図3で矢印で示すようにヘッドレール7の一端側から圧入し、窓側生地1bをヘッドレール7に吊下げ支持した後、2本の窓側操作コード5bの一端を2列のリング4に上から順に挿通し、一番下のウェイトバー2の連結具6に連結する。
【0025】
同様に、室内側生地1aの圧入バー9を室内側レール部8aに図3で矢印で示すようにヘッドレール7の一端側から圧入し、室内側生地1aをヘッドレール7に吊下げ支持した後、2本の室内側操作コード5aの一端を2列のリング4に上から順に挿通し、一番下のウェイトバー2の連結具6に連結する。これにより、ダブルタイプのローマンシェードAの設置が完了する。
【0026】
このように構成されたローマンシェードAでは、室内側操作コード5a又は窓側操作コード5bを下に引っ張ると、室内側生地1a又は窓側生地1bが上昇し、手を弛めると停止する。この間、上下に隣り合う連結具6やリング4が互いに当接することによってその間の生地1a(1b)がタックバー3を境に折り畳まれて襞を形成しながらたくし上げられる。生地1a(1b)を下げるには、操作コード5a(5b)を少し下に引っ張った後に手を弛めることで行われる。これらの昇降停止動作はストッパ機構10a(10b)が司っている。
【0027】
このように、この実施の形態では、生地1a,1bを洗濯する際や新たな生地1a,1bに交換する際等には、生地1a,1bの上端を手で持ってヘッドレール7に沿って側方に引っ張れば、圧入バー9がレール部8a,8bから引き抜かれて生地1a,1bを簡単にヘッドレール7から取り外すことができる。逆に、生地1a,1bをヘッドレール7に取り付ける場合には、生地1a,1bの上端を手で持って圧入バー9をヘッドレール7の一端側からレール部8a,8bに圧入するだけで生地1a,1bを簡単にヘッドレール7に取り付けることができる。この取付け状態で、タックバー3は断面蟻溝形のレール部8a,8bに圧入されているので、生地1a,1bに身体や物を引っ掛けたりするなどして思わぬ外力が生地1a,1bに掛かったり、昇降操作時の衝撃が生地1a,1bに掛かっても、生地1a,1bの落下を確実に防止することができる。
【0028】
また、この実施の形態では、ヘッドレール7をブラケット12の後面板14の第1受け片17と前面板18の第2受け片21とで両側から受けているので、生地1a(1b)やヘッドレール7の荷重がネジ24に掛からないようにしてネジ24の螺進退操作を簡単に行うことができる。しかも、ヘッドレール7を取り外す際や取り付ける際にヘッドレール7を作業者が支持しておかずに済むので、取外し及び取付け作業を容易に行うことができる。また、取外し作業時にネジ24を弛めてもヘッドレール7は落下しないので、取外し作業を安全に行うことができる。
【0029】
さらに、この実施の形態では、ブラケット本体15に前面板18を移動可能に支持するとともに、これらブラケット本体15及び前面板18にそれぞれ受け片17,21を形成し、ネジ24で前面板18を固定するだけなので、ブラケット12の構造の簡素化及び製作費の低減化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明は、ローマンシェードやブラインド等のような吊下げ式遮光装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ローマンシェードのヘッドレール部分を示す断面図である。
【図2】ローマンシェードの全体を示す斜視図である。
【図3】生地をヘッドレールに取り付ける前の背面図である。
【図4】ブラケットの斜視図である。
【図5】ブラケットの側面図である。
【図6】ブラケットの底面図である。
【図7】ブラケットの正面図である。
【図8】ブラケットの背面図である。
【符号の説明】
【0032】
1a 室内側生地(遮光部材)
1b 窓側生地(遮光部材)
7 ヘッドレール(支持フレーム)
8a 室内側レール部(圧入溝)
8b 窓側レール部(圧入溝)
9 圧入バー
12 ブラケット
A ローマンシェード(吊下げ式遮光装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームがブラケットで室内の固定側に取り付けられ、遮光部材が上記支持フレームに昇降可能に吊下げ支持された吊下げ式遮光装置であって、
上記遮光部材の上端には圧入バーが取り付けられ、
上記支持フレームの下面には、上記圧入バーが支持フレームの一端側から抜き差し可能に圧入される断面蟻溝形の圧入溝が長手方向全長に亘って形成されていることを特徴とする吊下げ式遮光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−514(P2007−514A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186552(P2005−186552)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(503236784)アジアブリッジ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】