説明

同一の弁において、さまざまなKV値に維持される調整特性を有する調整弁

本発明は加熱または冷却システム内の媒体の流量を調整するように設計された装置に関し、さらにしっかりと固定された載置ベール(14)を有する調整弁(51)に関する。ベール(14)は加工され輪郭が描かれた回転可能コーン(11)と協働する。完成弁は、そのKv値を同じ弁寸法内で変更できること、および流れ特性が変更されたKv値に関係なく維持されることを含意する関数を得る。設置において弁を載置した後で、弁のKv値を変更したり、または調節することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に係る加熱および冷却システム内の流量を調整するように設計された装置に関する。
【0002】
本発明に係る装置の設計の一例は、以下のように弁を通る流量を調整することである。
すなわち、実際の動作の場合、ある流量が得られるとともに、システムから生じる効果が、調整弁およびそのコーンがその全揚高の50%まで上方に上昇される場合、効果も最大効果の50%になるように、弁を通る流量を調整することである。この相関は、調整弁を通るすべての流量に対して有効である。揚高と効果との間のそのような相関により、調整弁の特性は対数的と呼ばれる。この特性に対する英語の用語はEQすなわち等比率である。
【0003】
この特性はある変更により発展させることが可能である。これらの場合、EQM関数すなわち変更された等比率と呼ばれる。本発明に係る装置において、調整弁はこの関数を有するとともに、本発明は新規なものでもある。その理由は、最大流量、すなわち加熱、水および下水分野の当業者が調整弁のKv値と呼ぶ流量が、変化する場合、この特性を維持できるからである。
【0004】
このため本発明には非常に好都合な点がある。同じ寸法の同一の調整弁に対して前記Kv値を、特性が維持された状態で変化させることができる。よく用いられる1つの特性は、上述のEQ関数であるが、本発明はもちろん線形または代替特性用に開発することもできる。
【0005】
この目的のための既知の装置は、様々な欠点のために、芳しくないものになっている。
【0006】
例えばEQM関数を有する調整弁があるが、これらの場合、この関数は固定的に選択されたKv値に対して有効であるという事実により、限界が生じる。
【0007】
また可変のKv値を有する弁があるが、この変更例は、Kv値を弁の揚高と関係づけることにより、弁の調整機能に、制約が持ち込まれてしまったという事実と結び付けられる。このことは、これらの場合、ストロークの長さが、通常、制限されるということを意味する。すなわち、弁の最大開口度が単純に制限され、この結果、弁は、流量を調整する能力に劣り、ストロークの全長のほんの僅かな部分しか調整作業用に用いられていないということになる。今日用いられている構造は、調整弁が事前に選択されたKv値用に作製されているという主な欠点を有する。これは異なる流量用に様々な弁が作製されるということを意味する。これらは、流量間で、規格化された、サイズ比率であり、これは製造業者が、各々の寸法内でいくつかのKv値を含む異なる弁を、製造しかつ市販しなければならないということを含意するとともに、これは流量に関する要件について様々な要求を満たすために必要である。
【0008】
そしてこれはすべての他の専門家、例えばコンサルタント、卸売業者および設置技術者が、大量の弁を取り扱わなければならないということになるとともに、これは個々の使用状況に対して適正な調整機能を提供することができるように行われる。また、後の状況において、サービスおよびメンテナンスに関し、これらの機能/専門家は多種類の弁を保管しかつ取り扱わなければならないということが必要になる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、上述の問題を打ち消すことができるとともに上述の問題を可能な限り回避することができることである。また本発明は、様々な点でこの技術分野における技術の状態をさらに発展させるものである。これらの目的は本明細書の導入部に記載したタイプの装置によって、本発明により実現される。その装置は主に請求項1の特徴部に記載されているものにより特徴付けられる。
【0010】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の説明に記載されており、添付の図面を参照しながら、本発明の好適であるが限定するものではない実施形態を示す。
【0011】
本明細書において本発明による装置は、本発明の単に一つの適用例である構造内に載置されている。本発明の主要部は、座およびベールと協働する、特別に設計されたコーンである。流量の制限および制御に関して、例えば加熱、水および下水技術分野で一般的に用いられる一般用語であるベールは、スクリーン壁の形態である。スクリーン壁は、本発明によれば、本明細書および添付の図面に記載されたように設計されている。このため、これらの部品、すなわち座、コーンおよびベールを、弁ハウスの他の実施形態において、載置して、完成弁を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による完成弁の設計の一例である。
【図2A】完成上片の外観図である。
【図2B】完成上片の外観図である。
【図2C】完成上片の外観図である
【図3】弁の関数を示すグラフである。
【図4A】コーンの外観および断面図である。
【図4B】コーンの外観および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明による弁がどのようなものかの一例を示すにすぎない。もちろん異なる実施形態があり得る。それらの実施形態において調整部、重要な構成要素すなわち弁座4と、コーン11を有する完成上片6と、ベール14とを例えば差圧機能と組み合わせるとともに、調整部と接合して一体にし得る。本発明は、共同で調整機能をもたらす要素および構造細部により特徴付けられるとともに、それらを他の機能、例えば差圧制御または遮断機能と組み合わせることができるということは、当業者にとって明らかな解決策である。
【0014】
このように図1は完成弁51を断面図で示しており、完成弁51は、好ましくは内部にねじを有する供給接続部2と、戻し側に、対応するねじ付きの戻し接続部3とを有する弁本体1を備える。また、弁本体1には、完成上片6用の接続継手5がある。上片6は接続継手5に挿入されるとともに係止ナット9によってしっかりと固定される。
【0015】
圧力および温度を測定するために、載置された測定ニップルとの様々な接続が用いられる。供給側の高圧レベル用に測定ニップル7が用いられるとともに、戻し側の低圧レベル用に測定ニップル8が用いられる。測定ニップル7および8はそれぞれ、規格化された構成要素である。この測定ニップル7および8は、製造業者により供給されるとともに、それらの機能および構造は、先行の特許文献、例えばSE465636に記載されている。
【0016】
設置作業中、完成弁51は接続部2および3を介して配管系に接続される。さらに図1に図示しない、あるタイプの調節装置が、上片6に付属される。その調節装置はスピンドル12およびコーン11の軸方向移動、ならびに弁座4および弁本体1の流路開口10に対する、コーンの高さ位置を制御する。コーンが弁座4から上方に移動されると、流路開口10は弁の供給側から弁の戻し側に開かれる。図1において、コーン11はその閉位置から上方に移動されている。その閉位置において、コーンは封止縁13により弁座4を封止する。封止縁13はコーン全体の周囲に延びている。またコーンはその長手方向軸を中心に回転することが可能であり、その結果コーンは、コーンと協働するベール14に対して、様々な位置を占めることができる。コーンの回転すなわち調節が行われる場合、コーンの回転は、上片6上に載置されている事前調節ツール上のホイール33により行われる。
ホイールについて以下に詳細に説明する。コーンはハウジング15を介して回転される。スピンドル12はハウジング15に載置され、協働スプライン16または同等の回転係止手段により回転方向に固定される。これらのスプラインは、好ましくスピンドル12の周囲に配置される。また、これらのスプラインは、ハウジングの内径に設けられたスプラインと協働する。しかしながら、スピンドル12は、ハウジング15に対して軸方向に移動することができる。ベール14は回転可能において接続継手5内の所定の位置に載置される。しかしながら、ハウジング15はベールに対して回転することができるが、ハウジングを接続継手5に対してある位置にしか載置することができない。これはスピンドル12およびコーン11もまた接続継手5に対して既知の位置を有するということを意味する。
【0017】
スピンドル12、コーン11、ハウジング15およびベール14の間の相互接続位置により、条件が得られ、コーンがベールに対して回転方向においてどこに配置されるかを常に知ることができる。このことは、弁を配達するとともに、ベール14内の開口25に対するコーンの既知の調節位置すなわち既知の回転位置で弁を設置できるようにする条件の1つである。
【0018】
視覚だけでわかる実際の回転位置を様々な方法で示すことができる。このためホイール33を、例えばハウジング15の上部35上に載置することができる。ホイールまたは事前調節ツール33には、好ましくは、その底面に接続部が設けられる。接続部はハウジング15の上部36と協働する。上部36には、好ましくは、ハウジングの上部36のスプラインまたは同様な代替構造が設けられる。上部36の周囲のある部分上には、面取り平面42がある。ホイール33は、好ましくは、ホイールがハウジング15に対して回転方向に制御されるということを意味する、対応する構造を備える。
【0019】
ホイールには、好ましくは、その外周に、あるタイプの数値指示が設けられる。ホイールの回転位置がハウジング15に対して、固定/既知であるため、コーンに対しても固定/既知である。
【0020】
ホイールを回転させることにより、コーンの位置がベールに対して変更されるということになる。数値目盛りを有するホイール33を、弁本体上のあるタイプの指標位置に対して調節することができる。このため、その指標位置は、例えば縁27または測定ニップル8上の上部接続平面28の突部であってもよい。従って、縁または突部27には、完成上片6に対して一定の載置位置が与えられる。ホイール33は単なる事前調節ツールである。
【0021】
設置の後、動作場所において、コーンを軸方向に取り扱うために、あるタイプの、制御用の調節装置を、完成弁に設けなければならない。
【0022】
設置の後、動作場所においてコーンを軸方向に取り扱うことができるように、コーンの移動を制御するあるタイプの調節装置を、完成弁に設けなければならない。この調節装置は本文では詳細に説明しない。多数の調節装置が利用可能であり、これらの調節装置は本発明に係る弁に載置することが可能である。
【0023】
完成上片は以下の態様で構成されている。
スピンドル12上には、コーン11が一定の回転位置に載置されている。コーンの位置については、スピンドルが、コーンの対応平面と協働する面取り平面24(図2B参照)またはその等価物を有する、ということによって決まる。次に、スピンドル12はスプライン16によってハウジング15にはめ込まれる。またスピンドルの周囲には、面取り領域、または、同等な特別なタイプの領域がある。そこではスプライン16は面取りされているとともに、この部分はハウジングの対応部分と協働する。その結果スピンドル12はハウジング15に対して1つの位置にしか載置することができない。これはコーン11およびハウジング15の位置も互いに一義的である、ということを意味する。完成上片6が接続継手5内に載置されると、ベール14も回転方向に固定される。それはベールに突出部18が設けられているからである(図2B参照)。突出部18は接続継手5内の対応溝17にはまる。このようにして、ベールは接続継手内に固定載置される。ベールは下部19を有し、ばね20によるばね力によって押圧されて、弁座4に当接している。したがって、ベールは回転することも、接続継手5に対して軸方向に移動することもできない。
【0024】
ある用途において本発明による弁を、制御された前後運動を有する調節装置と組み合わせることができる。このような場合ばね20は必要ないが、このような場合、弁座4に対するベールの位置を保証するために、あるタイプのばね要素を、ハウジング15とベール14との間に配置することができる。
【0025】
完成上片の載置時の作業手順は、好ましくは以下のように行われる。
まずスピンドル12がハウジング15に載置される。そしてOリング21およびOリング22がそれぞれ載置される。Oリング23がコーン上に載置される。ばね20がハウジング15とベール14との間に位置決めされるとともに、コーン11が載置できるようにばねが圧縮される。コーンがスピンドル12上に、圧迫(compress)等され、載置される。
【0026】
上片が接続継手5内に下方に押しこまれて、係止ナット9により軸方向に固定される。係止ナット9は接続継手5上のネック29にねじ込まれる。係止ナット9はハウジング15上の平面30を押圧し、ハウジング15はベールの下部19を弁座4に向かって下方に押圧する。ここで、弁座4は上片6に対するストップを構成する。
【0027】
ばね20の機能は、スピンドルをその上方位置に押し込むこと、すなわち利用可能な調節装置がコーンを開放可能にする限り、常にコーンを開放することである。
【0028】
外部漏れのおそれに対してスピンドルを封止できるように、Oリング21が用いられる。Oリング21はパッキン押さえナット(stuffing box nut)31によって固定される。ナット31には、ナット31の載置用に設計された数個の、好ましくは2個の凹部32が設けられている。
【0029】
上片6と接続継手5との間の漏れを防止するために、Oリング22が用いられ、ハウジング15上のOリング溝34内に載置される。
【0030】
生成される静的力を平衡させるために、弁が閉じられると、コーン11が減圧される。スピンドル12内の穴40を通して静的圧力がコーンの下側からその上側に導かれる。このようにして、コーンに下方からおよび上方からそれぞれ作用する力のつり合いが得られる。そして、これにより、必要とされる大きな調節力が生じるのを避けられる。この大きな調節力は、弁が閉じられる場合にコーンが減圧されないと生じてしまう。
【0031】
図2Aは完成上片6の主要外観図を示す。
図はハウジング15が、つめ付き部(spiked part)36を備える上部35を有することを示す。このつめ付き部は面取り平面42を有する。ホイール33内には、この面取り平面42に対して、対応する面取り部がある。このように、ハウジング15に対するホイール33の載置位置は明白である。ホイールには、好ましくは、その周囲に多数の数字が表示される。その数字は調節回転位置に起因する数値を示す。数値は測定ニップル8用の接続平面およびその上部接続平面28にある縁27の正面で読み取ることができる。数値は、コーンが開始値に対して行った回転を示す。
図2Aにベール14がその開口25と共に示されている。その開口はベールの周囲に沿って延びている。また、その開口は、コーン11などと協働する場合、弁の供給側から戻し側への流量を変更できるように選択された高さを有する。そのやり方は、例えばEQ関数を有する調整弁に特有のものである。
また、図2Aには主要弁座4はリング部37を有することが示されている。簡潔、明瞭にするために、このリング部は示されている。もちろん、弁座は実際には、図1に示す弁本体1の一部分である。
【0032】
図2Aにおいて、コーン11は、弁座に対して開かれた位置で示されている。
【0033】
図2Bにおいて、下方から斜めから見た完成上片6が示されている。この図においてコーンは、流路開口の最大開口を可能にする位置にある。最大開口は、コーン11が回転して、コーンの最大加工側面38がベールの開口縁39の正面に位置するとともに、コーンが軸方向においてその最高開放位置にある、すなわち弁座4に対して最も高い位置にある場合に得られる。したがって、ベールおよび座に対するコーンのこの位置は、最大開口を、ひいては調整弁を通過する最大流量を可能にする。この最大流量は、当業者により弁のKv値と呼ばれる。
【0034】
この弁が上述した調節で得られる最大流量、すなわちKv値まで調節されたことを知るために、事前調節ツールまたはホイール33が用いられる。これにより、ハウジング15が、ひいてはスピンドル12およびコーン11も、ある数値、例えば10に回転される。この数値は最大開口位置に対応するとともに、数字10は測定ニップル8の接続平面28にある縁27の正面に位置する。
【0035】
図2Cはベール14に対するコーン11の別の位置を示す。この動作の場合、コーンは相当な角度、回転されており、それによりこの位置のベールは、コーンの最大加工側面38を含む部分をさえぎることになる。この場合、ベールの開口25と協働するコーンのこの部分は、他の様式を有する。その様式は、開口、すなわちコーンと、座と、ベールとの間の流路開口10が、図2Bによる場合ほど大きくないことを示す。
【0036】
この場合、弁の新たなKv値が得られる。また、コーンが回転され、つまりハウジング15が同程度回転されているので、事前調節ツールまたはホイール33により、測定ニップル8の接続平面28にある縁27の真正面で、新たな低い数値を読み取ることが可能である。
【0037】
一方、ハウジング/コーンをさらに回転させて、弁の新たなKv値を得ることが可能である。
【0038】
本発明のまったく新しい特徴は、同一の弁のさまざまなKv値にかかわらず、弁が、これらの動作の場合において、一例として、EQ関数に対応する特徴を有することにある。
【0039】
本発明は、同一の弁で多数のKv値を選択し、そしてこのようなフレキシビリティーがあるにもかかわらず、選択されたKv値に関係なく、同じ調整特性を得る、という特有の状況を可能にする。また弁が常にコーン/弁の全揚高で作動することができるため、最大限の調整精度が得られる。
【0040】
本発明による構造により、流量要件、すなわちKv要件が、設置するたびにに変動する場合も、同一の弁を用いることができる。利点の一例は、供給ラインおよび戻しラインの寸法が一致した、弁の寸法を選択できるということである。今日用いられている構造と同じような、異なる寸法間の変換要素は必要としない。弁が作動すべき範囲の大きさ、例えば弁がいくつの規格Kv値に対応するかは、可変である。製造業者がこれを決めることができる。これを制御する他の要因は、コーンは当然、360°から開口25の幅の角度を差し引いた分より多く回転できないため、多数のKv値をもつことが、ベールの開口25の幅を限定することになるということである。
【0041】
当然、その弁の有用性は多数のKv値を含むことにあるため、製造および、ひいては様々なユーザにとっての保管は、より簡単でより費用効率が高い。
また、実際の動作状況が、算出したものと恐らく完全には一致しないので、弁の設置後にKv値を変化させることができるということは、本発明のもう1つの大きな利点である。
弁を無段階状に事前調節することができるため、当然Kv値を完全に自由に選択することができるとともに、標準値と結び付ける必要はない。
【0042】
図3は本発明の場合の流量と弁コーンの揚高との間の関数関係の一例を示す。グラフは弁にわたる一定の差圧に対して得られる。熱を発するとともに弁がその流量を調整する装置が、流量が所定流量の20%である場合、所定の効果の50%を上げると仮定すると、この場合、弁が50%まで開放されている場合、弁は20%の流量を生成する。これは弁が50%まで開放されている場合、効率も50%であることを意味する。この関係がすべての流量に対して有効である場合、弁は対数関数または変形対数特性、すなわちEQM関数を有する。
【0043】
本発明は、コーンの設計により、100%揚高に対する流量が異なる場合にも、すなわち同一弁寸法の場合の異なるKv値に対して、揚高、流量及び効果の間のこの関連性が維持されるという特異な性質を有する。
【0044】
コーンの設計が図4に示されている。コーンは好ましくは鋳造により、且つ好ましくはプラスチック材料で作製されている。プラスチック材料は、通常約150℃未満の使用温度レベルに耐えることができ、かつ流動媒体により生じる磨耗に耐えることができる。
【0045】
図4Aにコーン11の断面図が示されており、穴40を有するスピンドル12も示されている。コーンは圧入により、または他の永久載置方法によりスピンドル上に載置される。封止縁13は、コーンが閉じられると、弁座4に当接する表面を構成する。コーンをベール14に対して封止および誘導するために、Oリング23がOリング溝43内に載置されている。
【0046】
図4Bにコーンが、スピンドル12の対応面と協働する面取り溝41を有することが示されている。これによりスピンドルおよびコーンをある位置に、回転方向において互いに固定される。図4および4Bに、コーン上の側面44がコーンの周囲に沿ってどのように変化するかが概略的に示されている。対数関数を有する弁に対するコーンの例において、コーンの側面はインボリュートに加工され、その形状は最小半径46すなわちRMIN から外側に向かって連続して大きくなり、360°回転後の最大半径47すなわちRMAX に至る。ここでRMAX は、封止縁13直下のコーンの半径と同じである。2つの半径46と47との間の移行は、垂直縁45で行われる。
【0047】
また、コーンの輪郭は鉛直方向に描かれている。輪郭は、底面50にある、下縁にある、RMIN46を有する縁45から始まって、上端におけるRMAX 47までつながっている。縁45であり且つその下内縁において、側面はその最大屈曲または最大加工38を有する。
【0048】
そのため縁45に対して180°回転された仮想切断面において、輪郭は半径(RMIN +RMAX )/2を有する底面50で始まるとともに、この場合も上端ではRMAX までつながっている。図2Bに示すように、縁45はこの場合ベールの開口縁39と一致する。ここでは、最大Kv値がKv値となることが、弁の変形例にとって望ましいものであり、そのように調節されるべきである。コーン11がこの位置に回転されると、コーン11とベール14との間の最大の半径方向の遊びが得られる。
側面44は鉛直方向に周囲全体において同じ大きさを有するとともに、側面の上部も全体において同じ直径を有する。側面44はそこで封止縁13に接する。そして封止縁13は側面44に向かって垂直な方向に、且つ外側にコーンの外径49に向かって延びている。このように、側面44がRMIN 46からRMAX 47まで、連続して増加する底面半径、すなわちコーンの底面50における半径を有するため、コーンが新たな位置に回転されると、側面44とベールの内側半径48との間に形成される間隙が連続的に減少する。この間隙およびその連続的変化は、弁構造に、流路開口10を変化させる、その弁の特有の能力を与える。弁を通る所望の流量は、常に弁の開口度に対する所要の量に対応している。
弁が開放されるとコーンも軸方向に移動されるため、この軸方向移動によっても、コーンとベールの内径との間の間隙は連続して増加する。それはベールの開口25が、コーンの底面50に向かってさらに下方に位置決めされ、結果として、側面44からさらに下方に且つさらに離れて位置決めされるためである。その結果、側面44とベールの開口25との間の空間または開放表面は、弁座4から上方にコーンの軸方向移動の増加と共に増加する。数学的に説明すると、側面44とベールの開口25との間の表面は、A=f(x)*f(y)であり、ここでxはコーンの回転の関数であり、yは軸方向移動の関数である。
【符号の説明】
【0049】
1 弁本体 2 供給接続部
3 戻し接続部 4 弁座
5 接続継手 6 完成上片
7 測定ニップル 8 測定ニップル
9 係止ナット 10 流路開口
11 コーン 12 スピンドル
13 封止縁 14 ベール
15 ハウジング 16 スプライン
17 溝 18 突出部
19 下部 20 ばね
21 Oリング 22 Oリング
23 Oリング 24 面取り平面
25 ベールの開口 26 上側
27 縁 28 上部接続平面
29 ネック 30 平面
31 パッキン押さえナット 32 凹部
33 事前調節ツール/ホイール 34 Oリング溝
35 上部 36 つめ付き部
37 リング部 38 最大加工側面
39 開口縁 40 穴
41 溝 42 面取り平面
43 Oリング溝 44 側面
45 縁 46 RMIN
47 RMAX 48 内半径
49 外径 50 底面
51 完成弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱または冷却システム内の媒体の流量を調整するように設計された装置であって、
前記装置は、供給接続部(2)と、戻し接続部(3)と、弁座(4)とを含む弁本体(1)を有する完成調整弁(51)を備え、
前記完成調整弁が、さらに圧力または温度レベルをそれぞれ測定する測定ニップル(7)、(8)と、弁座(4)および載置された完成上片(6)を有する接続継手(5)とを含み、
前記完成上片(6)がスピンドル(12)上に載置されたコーン(11)を備え、
前記スピンドルは、ハウジング(15)内に回転方向に固定されて載置されるが、調節装置により前記ハウジング内の軸方向に移動可能であり、
前記調節装置は、前記弁の利用/設置に関連して、前記ハウジング(15)の上部(36)上に載置され、前記ハウジングが事前調節ツールまたはホイール(33)と協働するように設計されており、
前記事前調節ツールまたはホイール(33)により、前記ハウジング(15)そしてさらに前記コーン(11)がベール(14)に対して必要な位置に回転可能であり、
前記ベール(14)が開口(25)を有し、前記コーン(11)が前記開口(25)と協働し、
前記開口の大きさが前記ベール(14)に対する前記コーンの高さおよび回転位置に応じて変化し、
前記ベール(14)が前記接続継手(5)内に固定して載置されている、
装置において、
前記コーン/スピンドルが前記調節装置により連続して開放/上昇される時に、
前記コーン(11)が、前記ベール(14)内の前記開口(25)に対して回転可能であるとともに、前記開口(25)に対する開口度が増加するにつれて軸方向に変位可能であるという事実により、
前記完成弁(51)を通る最大流量が、選択された最大流量、選択されたKv値と関係なく、流れ特性を維持して無段階状に減少されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記選択されたKv値が変化している場合も、前記完成弁(51)は対数関数または変形対数特性、すなわちEQM関数により、あるいは線形または同等関数により前記流量を調整し、
前記コーン(11)が加工側面(44)を有し、
その設計が最小半径RMIN(46)から外側に最大半径RMAX (47)まで底面(50)内で連続的に増大していること、および
前記コーンも、鉛直方向に描かれているとともに、前記底面(50)におけるRMIN(46)から外側に向かって上端におけるRMAX (47)まで、封止縁(13)に沿って増加することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記調整機能が前記コーン(11)によって決められ、
前記コーン(11)が前記スピンドル(12)に対して固定された位置に載置され、
前記スピンドル(12)が前記ハウジング(15)内に回転方向に固定されて、
前記ハウジング(15)が前記完成上片(6)内に回転可能に載置され、
前記完成上片(6)が
前記接続継手(5)内に固定され、且つ
指標、前記測定ニップル(8)用の接続平面(28)上の縁(27)に対して固定され、
このようにして前記コーン(11)の回転方向の載置位置が前記縁(27)に対して知られることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記コーン(11)が前記ハウジング(15)とともに回転され、
前記ハウジングが上部(35)を有し、
事前調節ツールまたはホイール(33)が、明確に、回転方向に固定され、
前記ホイール(33)には、好ましくはその周囲に多数の数字が設けられ、
調節回転位置に応じて、前記縁(27)の前で読み取られる数値が表示され、
前記数値は、前記コーンが前記回転を既知の開始位置/載置位置に対して行う回転に依存することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記完成上片(6)が、前記接続継手(5)に対して所定の回転位置に固定して載置された前記ベール(14)であり、
このようにして、前記ベールの周囲の開口(25)が、その位置に関して、前記コーン(11)に対して決定されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コーン(14)が、加工側面(44)を有し、
前記加工側面の高さが、前記コーン全体の周囲に沿って同じ大きさを有するとともに、 前記加工側面が前記コーンの底面(50)から上方に封止縁(13)に向かって延び、
前記コーンが、前記側面(44)から外側に垂直に延びること、および
前記側面(44)が、前記底面(50)において最小半径RMIN (46)を有するとともに最大半径RMAX (47)を有し、前記封止縁(13)が前記コーンの周囲に接続されていること
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記2つの半径RMIN (46)とRMAX (47)との間の移行が、前記側面(44)における前記コーンの周囲に垂直な縁(45)で行われること、および
前記側面(44)が360°回転されると、前記最小半径から前記最大半径までの移行が行われること
を特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記側面(44)が鉛直方向に輪郭を有し、
前記輪郭が、下部における前記縁(45)において前記半径RMIN (46)で始まり、上端においてRMAXにつながっていること、および
360°後の位置で、前記底面(50)と上方に向かって前記封止縁(13)との間で、直線的な側面/ラインを構成するために、この側面輪郭がその屈曲形状を連続して減少すること
を特徴とする請求項1および6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記コーンが前記ベールおよびその開口(25)に対して回転されると、前記側面(44)と前記ベールの内半径(48)との間に形成される間隙が、連続的に減少また増加すること、
前記コーンの半径方向移動中にこの間隙も変化すること、および
前記ベール(14)およびその開口(25)に対する前記コーン(11)のこれらの変化位置が、前記流路開口(10)における連続変化を生じ、前記完成弁(51)を通る所望の流量が常に、前記開口度、すなわち揚高および回転位置に対する所望の流量に対応すること
を特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記コーン(11)が回転されると、前記完成弁(51)が流量に関して、任意のKv値まで無段階状に事前調節されることを特徴とする請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2009−540250(P2009−540250A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515337(P2009−515337)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【国際出願番号】PCT/SE2007/000329
【国際公開番号】WO2007/145559
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(508366813)トゥアー・アンド・アンダーソン・アクチボラグ (5)
【氏名又は名称原語表記】TOUR & ANDERSSON AB
【住所又は居所原語表記】524 80 Ljung, Sweden
【Fターム(参考)】