説明

同形置換されたシリケートを製造するための方法

(1)シリカ又はこの前駆体、層構造シリケートの結晶化を可能とするための少なくとも1種の構造指向剤(SDA)、及び水を提供する工程、(2)熱水的な条件下で、工程(1)に従って得られた混合物を加熱する工程、(3)同形置換のために適切な、少なくとも1種の元素の少なくとも1種の供給源を加える工程、(4)工程(3)に従い得られた混合物を、熱水的な条件下で加熱する工程、を含むことを特徴とする同形置換された層構造のシリケートを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同形置換されたシリケートを製造するための方法に関する。更に、本発明は、この方法によって得ることができる、又は得られた、同形置換されたシリケートに関する。本発明は、製造方法に更なる工程、すなわち、層構造のシリケートから同形置換されたテクトシリケートを製造する工程をも含む。追加的に、本発明は、上記材料を使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
種々の技術的領域、例えば触媒又は吸着の領域で、新しい材料、特にシリケート、及び例えば、触媒又は吸着の問題のために、ぴったりの材料を製造可能とする、新しい方法についての絶え間ない要求が存在する。
【0003】
例えば、全−シリカシリケート、又は構造タイプRUB−39の置換されたシリケートの合成が、特許文献1(WO2005/100242)、特許文献2(WO2007/042531)、又は特許文献3(WO2008/122579)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2005/100242
【特許文献2】WO2007/042531
【特許文献3】WO2008/122579
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、工業に適用するために、これらの材料を製造するための効果的な方法を提供することに需要がある。更に、純度がより良好であり、及び結晶化度(透明さ)がより良好な生成物を製造可能とする方法に絶え間ない需要がある。追加的に、工業的な目的のためには、収率が高いことが重要である。
【0006】
従って、本発明の目的は、例えば、上述した領域で、それ自体として使用して良く、又はそれぞれのテクトシリケート、又はピラーシリケート(pillared silicate)を製造するための前駆体として使用しても良い、同形置換された層構造のシリケートを製造するための新しい方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、
(1)シリカ又はこの前駆体、層構造シリケートの結晶化を可能とするための少なくとも1種の構造指向剤(SDA)、及び水を提供する工程、
(2)熱水的な条件下で、工程(1)に従って得られた混合物を加熱し、前駆体懸濁物を得る工程、
(3)層構造のシリケート中のSi原子の少なくとも一部を同形置換するために適切な、少なくとも1種の元素の少なくとも1種の供給源を、前駆体懸濁物に加える工程、
(4)工程(3)に従い得られた混合物を、熱水的な条件下で加熱し、層構造のシリケートを得る工程、
を含むことを特徴とする同形置換された層構造のシリケートを製造する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】材料のXRDパターンを示した図である。
【図2】材料のXRDパターンを示した図である。
【図3】材料のXRDパターンを示した図である。
【図4】材料のXRDパターンを示した図である。
【図5】材料のXRDパターンを示した図である。
【図6】材料のXRDパターンを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
従来技術と比較して、この方法は、2つの別個の結晶化工程を使用する。第1の工程では、全シリカシリケートの結晶化のために使用される、通常の化合物が混合される。しかしながら、この混合物(1)(該混合物(1)は、工程(2)で熱水的な結晶化がなされる)は、所望の層構造のシリケート中に、同形置換元素として組み込まれる、少なくとも1種の元素のための供給源を未だ含んでいない。驚くべきことに、(特に同形置換のための適切な元素がアルミニウムである場合、)第1の結晶化工程(2)で前駆体懸濁液を製造し、次の工程(3)で、同形置換のために適切な少なくとも1種の元素(element)を加えることが有利であった。そして、前駆体懸濁液と、同形置換のために適切な少なくとも1種の元素の少なくとも1種の供給源の、得られた混合物を、第2の熱水的な結晶化工程(4)に送る。
【0010】
シリカ又はシリカ前駆体として、適切な任意の化合物を原則として使用することができる。ここで使用される「シリカ前駆体」という用語は、選択した反応条件下で、層構造のシリケートのシリケート構造を形成可能とする化合物を意味する。テトラアルコキシシラン、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、又はテトラプロポキシシランを、前駆体化合物として例示しても良い。本発明の方法では、シリカ自体を使用することが特に好ましい。例えば、このようなシリカ供給源は、シュームド、アモルファス(非結晶質)シリカ、シリカゾル、例えばLudox又はこれらに類似するものであっても良い。2種以上のシリカ供給源、又は2種以上のシリカ前駆体の混合物、又は少なくとも1種のシリカ供給源と少なくとも1種のシリカ前駆動体の混合物が使用されることも考えられる。非結晶質シリカ(アモルファスシリカ)が特に好ましい。更に、唯一のシリカ供給源として、非結晶質シリカが好ましい。
【0011】
従って、本発明は、上述した方法であって、工程(i)で非結晶質シリカ(アモルファスシリカ)が使用される方法にも関する。
【0012】
通常、原則として、適切な任意の非結晶質シリカを使用することが可能である。比表面積(BET、Brunauer−Emmet−Teller;DIN66131に従い、77Kで窒素吸着によって決定)が10〜400m2/gの範囲、好ましくは10〜100m2/gの範囲、及び特に好ましくは10〜50m2/gの範囲の非結晶質シリカが好ましい。更に好ましい範囲は、50〜100m2/g、100〜300m2/g、又は300〜400m2/gである。
【0013】
構造指向剤(structure directing agent)について、構造指向剤が、層構造のシリケートの結晶化を許容するならば、特定の限定は存在しない。
【0014】
本発明に従えば、RUB−39又はRUB−36構造を有する、層構造のシリケートを製造することが特に好ましい。
【0015】
RUB−39構造を有する層構造のシリケートの結晶化を可能とする構造指向剤として、ジメチルジ−n−プロピルアンモニウム化合物が記載されても良い。本発明に従えば、ジメチルジ−n−プロピルアンモニウム化合物に加え、この化合物とは異なる塩基が使用されても良い。この塩基の例は、アンモニウムヒドロキシドNH4OH、アルカリ金属ヒドロキシド、又はアルカリ土類金属ヒドロキシド、例えば、ナトリウムヒドロキシド、又はカリウムヒドロキシド、又はこれら化合物の2種以上の混合物である。この場合、ジメチルジ−n−プロピルアンモニウム化合物は、1種以上の適切なアニオン、例えばハロゲンアニオン、例えばフルオリド、又はクロリド、又はブロミド、又はアイオダイドを含む。好ましくは、ジメチルジ−n−プロピルアンモニウム化合物は、工程(1)でアニオンとして使用される塩基を含む。ここで、塩基性アニオンの例は、特に、ヒドロキシドイオンを含む。特に好ましい塩基性イオンは、ヒドロキシドイオンである。
【0016】
RUB−36構造を有する層構造のシリケートの結晶化を可能とする構造指向剤について、ジエチルジメチルアンモニウム及び/又はトリエチルメチルアンモニウム化合物が記載されても良い。本発明に従い、ジエチルジメチルアンモニウムイオン及び/又はトリエチルメチルアンモニウムイオン化合物に加え、この化合物とは異なる塩基が使用されても良い。この塩基の例は、アンモニウムヒドロキシドNH4OH、アルカリ金属ヒドロキシド、又はアルカリ土類金属ヒドロキシド、例えばナトリウムヒドロキシド、又はカリウムヒドロキシド、又はこれらの化合物の2種以上の混合物である。この場合、ジエチルジメチルアンモニウム及び/又はトリエチルメチルアンモニウム化合物は、1種以上の適切なアニオン、例えばハロゲンアニオン、例えばフルオリド、又はクロリド又はブロミド又はアイオダイドを含む。好ましくは、ジエチルジメチルアンモニウム及び/又はトリエチルメチルアンモニウム化合物は、アニオンとして、工程(1)に従い使用される塩基を含む。ここで塩基性アニオンの例は、特に、ヒドロキシドイオンを含む。特に好ましい塩基性アニオンは、ヒドロキシドイオンである。
【0017】
従って、本発明は、上述した方法であって、少なくとも1種の構造指向剤が、ジメチルジ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド(DMDPAOH)であるか、又はジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、及びジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシドとトリエチルメチルアンモニウムヒドロキシドの混合物から成る群から選ばれる方法にも関する。少なくとも1種の構造指向剤は、DMDPAOHであることが好ましい。
【0018】
SDA、この前駆体のシリカ、及び水に加え、工程(1)に従う混合物は、好ましいSDAを介して導入されたヒドロキシドイオンに加えて、少なくとも1種の塩基を追加的に含むことが好ましい。特に、適切なヒドロキシドは、例えばアルカリ金属ヒドロキシド、又はアルカリ土類金属ヒドロキシドである。特に、ナトリウムヒドロキシド(水酸化ナトリウム)が適切な、追加的塩基性成分であることがわかった。
【0019】
従って、本発明は、上述した方法であって、工程(1)に従う混合物が、少なくとも1種の塩基、好ましくはヒドロキシド、より好ましくはナトリウムヒドロキシドを含む方法に関する。
【0020】
通常、追加的な塩基の量は、それぞれの所望の反応条件に従って選択されても良い。工程(1)に従う混合物が、SiO2、又はSiO2として計算されるSiO2の前駆体、及び塩基、好ましくはNaOHを、SiO2:塩基のモル割合として、1:(0.01〜0.5)、好ましくは1:(0.02〜0.1)のモル割合で含むことが好ましい。
【0021】
本発明の、なお更に好ましい実施の形態に従えば、少なくとも1種の適切な種材料(seeding material)が、結晶化助剤として、工程(1)に従う混合物中に含まれる。種材料として、工程(4)の後で、所望の層構造シリケート中に得られる全ての化合物が考えられる。
【0022】
好ましくは、合成される層構造のシリケートが、種材料として加えられる。同形置換された層構造のシリケートが使用されても良いと考えられる一方で、全−シリカ層構造のシリケートを、種材料として加えることが特に好ましい。
【0023】
従って、本発明は、上述した方法であって、工程(1)に従う混合物が、追加的に、少なくとも1種の種材料、好ましくは層構造シリケートの種結晶、より好ましくは全−シリカ層構造のシリケートの種結晶を含む方法に関する。
【0024】
好ましい層構造のシリケートRUB−39の合成のために、種材料として、(以下に記載する方法によって、この層構造のシリケートから得られる)RUB−39シリケート及び/又はテクトシリケートRUB−41を加えることが好ましい。種材料として、層構造のシリケートRUB−39を加えることが特に好ましい。通常、同形置換されたシリケートを、種材料として加えることが可能である。全−シリカシリケートを種材料として加えることが好ましい。従って、種材料として全−シリカRUB−39を加えることが特に好ましい。
【0025】
好ましい層構造のシリケートRUB−36を合成するために、種材料として、以下に記載する方法によって、この層構造のシリケートから得られるRUB−36シリケート及び/又はテクトシリケートRUB−37を加えることが好ましい。種材料として、層構造のシリケートRUB−36を加えることが特に好ましい。通常、同形置換されたシリケートを、種材料として加えることができる。全−シリカシリケートを種材料として加えることが好ましい。従って、種材料として、全シリカRUB−36を加えることが特に好ましい。
【0026】
種材料の代表的な濃度は、工程(1)に従う混合物中に存在する、シリカ、又はシリカとして計算されるシリカ前駆体に対して、0.001〜5質量%の種材料の範囲である。好ましくは、SiO2、又はSiO2として計算されるシリカ前駆体、及び種材料を、1:(0.005〜0.2)の質量割合、好ましくは1:(0.01〜0.1)の質量割合で含む。
【0027】
シリカ又はシリカの前駆体、SDA、及び水の上述したモル割合について、本発明のシリケートの製造を可能とする全ての範囲が考えられる。SiO2:SDA:H2Oのモル割合の範囲は、通常、1:(0.45〜0.55):(5〜20)、より好ましくは1:(0.45〜0.55):(6〜18)、及び更に好ましくは1:(0.45〜0.55):(7〜16)、特に好ましくは1:(0.48〜0.52):(8〜14)である。
【0028】
更に好ましくは、SiO2:SDAのモル割合は、好ましくは1:(0.47〜0.53)、より好ましくは1:(0.49〜0.51)である。
【0029】
本発明の方法の工程(1)で、所定の混合物が容易され、該混合物は、第1の熱水的な結晶化工程(2)で処理される。通常、個々の出発材料を、考えられる全ての順序で混合することができる。好ましくは、SDAが、種材料と最初に混合される。好ましい実施の形態に従い、追加的な塩基、例えばナトリウムヒドロキシドが使用される場合、SDAをこの塩基に加え、そして種材料をこの混合物に加えることが更に好ましい。好ましくは、シリカ、又はこの前駆体が、次に加えられる。好ましくは、各混合工程の後に、それぞれ得られた混合物を、通常、例えば5分〜5時間、好ましくは5分〜2時間攪拌しても良い。
【0030】
工程(1)に従う混合物の製造の間の温度は、好ましくは10〜40℃の範囲であり、より好ましくは15〜35℃の範囲であり、及び特に好ましくは20〜30℃の範囲である。
【0031】
出発材料の所望のモル割合に依存して、適切な量の水を適切に除去することも、又は適切に加えることも可能である。水の除去は、例えば、混合物を注意深く加熱することにより、又はロータリーエバポレーターを使用して行なっても良い。水は、好ましくは60〜85℃、より好ましくは65〜80℃の温度、及び特に好ましくは65〜75℃の温度で除去される。水が加えられるか、又は除去される場合、得られる混合物を0.1〜5時間、好ましくは0.2〜1時間攪拌することが好ましい。
【0032】
通常、攪拌期間は、出発材料の実際の量にも依存する。従って、実験室−スケールの製品造工程について、攪拌期間が、工業−スケールの製造工程よりも短くなくことが考えられる。上述した攪拌期間は、好ましくは、実験室−規模の製造工程を示している。
【0033】
得られた混合物は、次に工程(2)で、第1の熱水的な結晶化が行なわれる。好ましくは、混合物は、オートクレーブに移される。結晶化の温度を1つ以上の所望の温度に調整するために、加熱及び/又は冷却手段、例えば内部及び/又は外部の加熱及び/又は冷却手段、例えば加熱及び/又は冷却ジャケットを備えたオートクレーブを使用することが更に好ましい。オートクレーブを所定の環境、例えばオーブン、例えば循環空気オーブン、又はこれらに類似する、合成混合物の所望の温度を維持可能とするものの中に移すことも可能である。
【0034】
合成混合物は、好ましくは、工程(2)に従う結晶化のために、適切に攪拌される。結晶化が行われる反応容器を回転させることも可能である。
【0035】
結晶化温度について、125〜175℃の範囲の温度、より好ましくは130〜160℃の範囲の温度、及び更に好ましくは135〜155℃の範囲の温度が使用される。
【0036】
特にRUB−39シリケートが製造される場合、第1の結晶化工程の温度は、145〜155℃の範囲の温度、より好ましくは146〜154℃の範囲の温度が使用される。
【0037】
特にRUB−36シリケートが製造される場合、第1の結晶化工程の温度は、135〜145℃の範囲の温度、より好ましくは136〜144℃の範囲の温度が使用される。
【0038】
また、工程(2)の結晶化の間、2つ以上の異なる温度が使用されても良い。これについて、温度を上述した範囲内の所定の温度に調節し、この温度を所定の期間維持し、そして次に温度を上述した範囲内で、他の値に上昇又は下降させることも可能である。この段階的な温度調節とは逆に、又はこれに加えて、熱水的な結晶化の間、結晶化温度を徐々に減少又は上昇させても良い。通常、工程(1)に従い混合物を加熱すること(結晶化温度)、及び/又は工程(2)の間、混合物を加熱することに関し、使用する加熱速度は適切に選ぶことができる。好ましくは、加熱速度は、0.1℃/分〜20℃/分、好ましくは0.3℃/分〜15℃/分、及び特に0.5℃/分〜10℃/分の範囲である。
【0039】
工程(2)に従う熱水的な結晶化について、工程(2)の結晶化温度を12〜72時間の期間、より好ましくは24〜66時間、及び更に好ましくは36〜60時間、例えば42〜54時間、維持することが更に好ましい。
【0040】
本発明は、上述した方法によって、工程(2)の後に得ることができる、又は得られた前駆体懸濁物にも関する。
【0041】
本発明に従い、工程(2)の前駆体懸濁物に、層構造のシリケート中のSi原子の少なくとも1部を同形置換するために適切な、少なくとも1種の元素(element)の少なくとも1種の供給源が、工程(3)で加えられる。本発明の方法の工程(4)に従う第2の熱水的な結晶化の間、少なくとも1種の元素が、シリケートフレームワークの、Siがそれぞれの全−シリカシリケート中に配置されるであろう個所に組み込まれる。「全−シリカシリケート」という用語は、無意識に導入された不純物は別として、SiとOから成るシリケートを意味する。
【0042】
通常、同形置換のために適切な全ての元素、及びこれらの供給源が、それぞれ使用されて良い。好ましい、本発明に従う適切な元素は、Al、B、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nb、及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれる。アルミニウムが、特に好ましい。少なくとも1種の適切な元素の、少なくとも1種の供給源が存在するために、工程(4)での熱水的な結晶化の間に形成されたシリケート構造は、Si原子のみならず、Si原子の同形置換体として、少なくとも1種の適切な元素も含む。
【0043】
例えば、同形置換のための適切な元素としてアルミニウムが導入される場合、例えば、金属アルミニウム、又は適切なアルミネート(アルミン酸塩)、例えばアルカリ金属アルミネート、好ましくはナトリウムアルミネート(NaAlO2)、及び/又はアルミニウムアルコレート、例えばアルミニウムトリイソプロピレート(アルミニウムイソプロポキシドとしても公知)を適切な供給源として使用することができる。
【0044】
従って、本発明は、上述した方法であって、同形置換のための適切な少なくとも1種の元素の供給源が、アルミネート、好ましくはナトリウムアルミネート、又はアルミニムアルコレート、好ましくはアルミニウムイソプロポキシドである方法に関する。
【0045】
例えば、ホウソが組み込まれる場合、例えば遊離ホウ酸、及び/又はボレート、及び/又はホウ酸エステル、例えばトリエチルボレートを適切な供給源として使用することができる。例えば、チタニウムが組み込まれる場合、例えばチタニウムアルコレート、例えばチタニウムエタノレート、及び/又はチタニウムプロピレート、及び/又はチタニウムブチレートを適切な供給源として使用することが可能である。従って、本発明は、上述した方法であって、Tiの供給源が、テトラアルキル−オルトチタネート、又はテトラアルキルオルトチタネートの2種以上の混合物であり、上記テトラアルキルオルトチタネートは、好ましくは、テトラエチルオルトチタネート、テトラプロピルオルトチタネート、テトラブチルオルトチタネート、及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれる、方法に関する。例えば、スズが導入される場合、例えばスズクロリド、及び/又は有機金属スズ化合物、例えばスズアルコレート、又はキレート、例えばスズアセチルアセトネートを、出発材料として、テトラアルキルアンモニウム化合物、及びシリカ及び/又はシリカ前駆体に加え使用することができる。例えば、ジルコニウムが導入される場合、例えば、ジルコニウムクロリド、及び/又はジルコニウムアルコレートを(出発材料としてのテトラアルキルアンモニウム化合物、及びシリカ及び/又はシリカ前駆体に加え)使用することが可能である。例えば、バナジウム又はゲルマニウム、又はニオブが導入される場合、例えばバナジウムクロリド、又はゲルマニウムクロリド、又はニオビウムクロリドを(出発材料としてのテトラアルキルアンモニウム化合物、及びシリカ及び/又はシリカ前駆体に加え)使用することが可能である。
【0046】
工程(3)で加えられる、同形置換のために適切な、少なくとも1種の元素、好ましくはAlの少なくとも1種の供給源の量は、置換された層構造のシリケートの所望の特徴に依存して選ぶことができる。好ましくは、工程(3)に従う混合物中のSiO2、又はSiO2として計算されるシリカ前駆体、及び同形置換(1)のために適切な少なくとも1種の元素のモル割合は、1:(0.001〜0.5)、より好ましくは1:(0.005〜0.1)、及び特に好ましくは1:(0.01〜0.05)である。
【0047】
工程(3)で、少なくとも1種の適切な元素の、少なくとも1種の供給源を、前駆体懸濁物自体に加えても良い。少なくとも1種の適切な元素の、少なくとも1種の供給源を、水性混合物又は溶液として加えることもできる。本発明の好ましい実施の形態に従えば、工程(3)に従う混合物は、SiO2又はSiO2として計算されるSiO2の前駆体、構造指向剤、及び水を、SiO2:SDA:H2Oとして、1:(0.45〜0.55):(5〜20)、好ましくは1:(0.45〜0.55):(8〜15)のモル割合で含む。従って、少なくとも1種の適切な元素の少なくとも1種の供給源が、水性混合物又は溶液として加えられるか否かに依存して、水を加えるか、又は水を除去することによって、混合物中の水の含有量を調整することが必要であっても良い。水のこのような除去は、例えば、混合物を注意深く加熱することにより、又はロータリーエバポレーターを使用して行なっても良い。水は、好ましくは60〜85℃、より好ましくは65〜80℃の温度、及び特に好ましくは65〜75℃の温度で除去される。水が加えられるか、又は除去される場合、得られる混合物を0.1〜5時間、好ましくは0.2〜1時間攪拌することが好ましい。本発明の特に好ましい実施の形態に従えば、水が除去される場合、オートクレーブが、上述した温度に注意深く加熱され、これにより水が蒸発される。従って、工程(2)から得られた前駆体懸濁物を、好ましく使用されるオートクレーブから除去する必要はない。
【0048】
本発明の工程(3)で、混合物が提供され、該混合物は、第2の熱水的な結晶化工程(4)で処理される。好ましくは、少なくとも1種の適切な元素の、少なくとも1種の供給源を、前駆体懸濁物と混合した後、それぞれ得られた混合物を、通常、例えば5分間〜5時間、好ましくは5分間〜2時間の期間、攪拌しても良い。
【0049】
得られた混合物は、次に工程(4)で、第2の熱水的な結晶化工程に処理される。好ましくは、混合物は、工程(2)で使用したオートクレーブ内に残っている。
【0050】
しかしながら、第1のオートクレーブから混合物を除去し、そしてこれを、工程(4)での結晶化により適した他のオートクレーブに移すことも考えられる。結晶化の温度を1つ以上の所望の温度に調整するために、加熱及び/又は冷却手段、例えば内部及び/又は外部の加熱及び/又は冷却手段、例えば加熱及び/又は冷却ジャケットを備えたオートクレーブを第2の工程(4)で使用することが更に好ましい。オートクレーブを所定の環境、例えばオーブン、例えば循環空気オーブン、又はこれらに類似する、合成混合物の所望の温度を維持可能とするものの中に移すことも可能である。
【0051】
合成混合物は、工程(4)に従う結晶化のために、適切に攪拌されることが好ましい。結晶化が行われる反応容器を回転させることも可能である。
【0052】
結晶化温度に関し、125〜155℃の範囲の温度、より好ましくは130〜150℃、及び更に好ましくは135〜145℃の範囲の温度が使用される。
【0053】
工程(4)における結晶化の間、2つ以上の異なる温度も使用して良い。これについて、温度を上述した範囲内の所定の温度に調節し、この温度を所定の期間維持し、そして次に温度を上述した範囲内で、他の値に上昇又は下降させることも可能である。この段階的な温度調節とは逆に、又はこれに加えて、熱水的な結晶化の間、結晶化温度を徐々に減少又は上昇させても良い。通常、工程(3)に従い混合物を加熱すること(結晶化温度)、及び/又は工程(4)の間、混合物を加熱することに関する限り、使用する加熱速度は適切に選ぶことができる。好ましくは、加熱速度は、0.1℃/分〜20℃/分、好ましくは0.3℃/分〜15℃/分、及び特に0.5℃/分〜10℃/分の範囲である。
【0054】
工程(4)に従う熱水的な結晶化について、工程(4)における結晶化温度を、12〜132時間の範囲の期間、より好ましくは12〜72時間の範囲の期間、より好ましくは24〜66時間の期間、更に好ましくは36〜60時間の期間、例えば42〜54時間の期間、維持することが更に好ましい。
【0055】
本発明は、上述した方法によって、工程(4)の後に得ることができる、又は得られた懸濁物(懸濁液)にも関する。
【0056】
従って、本発明は、工程(1)〜(4)から成る方法によって得ることができる、又は得られた、同形置換された層構造のシリケート、すなわち、工程(1)で使用したSDAの少なくとも1部をなお含む、アズ合成された(as-synthesized)同形置換された層構造のシリケートにも関する。
【0057】
本発明の方法に従えば、工程(4)の熱水的な結晶化の後に得られる、その母液中に含まれる層構造のシリケートは、適切な方法で、少なくとも1工程で、工程(4)で得られた懸濁物から分離される。この分離は、例えば、ろ過、限外ろ過、ダイアろ過(diafiliration)、又は遠心分離法で、又は例えば、スプレー乾燥、及びスプレー造粒法によって行うことができる。スプレー乾燥又はろ過による分離が好ましい。
【0058】
分離の次に、少なくとも1つの洗浄工程、及び/又は少なくとも1つの乾燥工程を行うことができ、ここで、少なくとも2つの洗浄工程で、同一、又は異なる洗浄剤又は洗浄剤混合物を使用することができ、及び少なくとも2つの乾燥工程で、同一、又は異なる乾燥温度を使用することができる。
【0059】
少なくとも1つの洗浄工程が行われる場合、分離したシリケートを、(標準ガラス電極を使用して測定して)洗浄水のpHが6〜8の範囲、好ましくは6.5〜7.5の範囲になるまで洗浄することが好ましい。
【0060】
ここで、乾燥温度は、好ましくは室温〜180℃、より好ましくは55〜165℃、より好ましくは65〜150℃、及び特に好ましくは75〜125℃の範囲である。
【0061】
使用しても良い洗浄剤は、例えば、水、アルコール、例えばメタノール、エタノール、又はプロパノール、又はこれらの2種以上の混合物である。混合物の例は、2種以上のアルコール、例えばメタノールとエタノール、又はメタノールとプロパノール、又はエタノールとプロパノール、又はメタノールとエタノールとプロパノールの混合物、又は水と少なくとも1種のアルコールの混合物、例えば水とメタノール、又は水とエタノール、又は水とプロパノール、又は水とメタノールとエタノール、又は水とメタノールとプロパノールの混合物、又は水とエアノールとプロパノール、又は水とメタノールとエタノールとプロパノールの混合物である。水又は水と少なくとも1種のアルコールの混合物、好ましくは水とエタノールの混合物が好ましく、水が唯一の洗浄剤として極めて好ましい。
【0062】
従って、本発明は、上述した方法であって、
(5)工程(4)に従って得られた懸濁物から層構造のシリケートを分離し、
(6)任意に、分離された層構造のシリケートを、好ましくは洗浄水が6〜7の範囲のpHになるまで洗浄する工程、及び/又は
(7)任意に、分離され、及び任意に洗浄された層構造のシリケートを、好ましくは75〜125℃の範囲の温度で乾燥させる工程、
を追加的に含む方法にも関する。
【0063】
更に、本発明は、工程(1)、(2)、(3)、(4)、及び(5)及び/又は(6)及び/又は(7)から成る方法によって得ることができる、又は得られた、同形置換された層構造のシリケートにも関する。
【0064】
更に、本発明は、上述した層構造のシリケートであって、層構造シリケート中のSi:適切な元素、好ましくはAlの原子割合が1:(0.001〜0.5)、好ましくは1:(0.005〜1)、より好ましくは1:(0.01〜0.05)の範囲である層構造のシリケートに関する。
【0065】
特に、本発明は、同形置換されたRUB−39シリケート自体、又は上述した方法によって得ることができる、又は得られた同形置換されたRUB−39シリケートであって、層構造中のシリケート中のSi原子の少なくとも一部が、少なくとも1種の適切な元素で同形置換され、少なくとも1種の適切な元素が、好ましくはAl、B、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nb及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれ、より好ましくはAlが選ばれる、同形置換されたRUB−39シリケートに関し、そして好ましくは、本発明のRUB−39シリケートは、層構造シリケート中のSi:適切な元素、好ましくはAlの原子割合が、1:(0.001〜0.5)、好ましくは1:(0.005〜0.1)、より好ましくは1:(0.01〜0.05)の範囲である。
【0066】
更に、本発明は、同形置換されたRUB−36シリケート自体、又は上述した方法によって得ることができる、又は得られた同形置換されたRUB−36シリケートであって、層構造中のシリケート中のSi原子の少なくとも一部が、少なくとも1種の適切な元素で同形置換され、少なくとも1種の適切な元素が、好ましくはAl、B、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nb及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれ、より好ましくはAlが選ばれる、同形置換されたRUB−36シリケートに関し、そして好ましくは、本発明のRUB−36シリケートは、層構造シリケート中のSi:適切な元素、好ましくはAlの原子割合が、1:(0.001〜0.5)、好ましくは1:(0.005〜0.1)、より好ましくは1:(0.01〜0.05)の範囲である。
【0067】
本発明の方法の更なる実施の形態に従えば、工程(4)で得られた層構造のシリケートは、工程(8)に従い、少なくとも1つの追加的な工程でか焼される。原則として、層構造のシリケートを含む懸濁物、すなわち層構造のシリケートを含む母液を、直接的にか焼処理に処理することが可能である。上述したように、か焼の前に、工程(5)に従い、懸濁物からシリケートを分離することが好ましい。か焼の前に、懸濁物から分離したシリケートを、上述した少なくとも1つの洗浄工程(6)、及び/又は上述した少なくとも1つの乾燥工程(7)で処理することができる。
【0068】
工程(4)及び/又は(5)及び/又は(6)及び/又は(7)に従い得られたシリケートの、工程(8)に従うか焼は、好ましくは700℃以下の範囲の温度で行われ、同形置換されたテクトシリケートが得られる。より好ましくは、か焼温度は、300〜700℃の範囲、更に好ましくは、550〜650℃の範囲である。
【0069】
ここで、本発明の方法の好ましい実施の形態に従えば、層構造のシリケートの加熱は、室温〜700℃の温度で行われ、加熱速度は、好ましくは、0.1℃/分〜20℃/分、より好ましくは0.2℃/分〜10℃/分、及び特に0.5℃/分〜5℃/分の範囲である。
【0070】
本発明の方法の可能な実施の形態に従えば、か焼は、連続する温度で、段階的に行なわれる。ここで本発明について使用される「連続する温度で、段階的に」という記載は、シリケートがある温度で加熱されるか焼が、この温度で所定時間保持され、そしてこの温度から少なくとも更なる温度に加熱され、そしてこの温度で、所定時間保持されることを意味する。段階的なか焼が行なわれた場合、か焼されるシリケートは、好ましくは4種以下、より好ましくは3種以下、特に好ましくは2種以下の温度に保持される。
【0071】
か焼は、任意の適切な雰囲気、例えば空気、希薄空気、窒素、蒸気、合成空気、又は二酸化炭素中で行うことができる。か焼は、空気下に行うことが好ましい。
【0072】
か焼は、この目的のために適切な任意の装置内で行うことができる。か焼は、回転チューブ内、ベルトか焼機内、マッフル炉内、又はシリケートが次に意図する目的のために(例えば、分子篩、又は以下に記載する他の用途のために)実質的に使用される装置内で、現場(in situ)で行うことが好ましい。ここで回転チューブ及びベルトか焼機が特に好ましい。
【0073】
従って、本発明は、上述した方法であって、
(8)(4)又は(5)又は(6)又は(7)に従い得られたシリケートを、好ましくは300〜700℃の範囲の温度、より好ましくは550〜650℃の範囲の温度でか焼する工程、
を追加的に含む方法にも関する。
【0074】
従って、本発明は、工程(8)に従うか焼を含む上述した方法によって得ることができる、又は得られた、同形置換されたテクトシリケートにも関する。特に、本発明は、上述した方法(該方法は、工程(8)に従うか焼を含む)によって、層構造のシリケートRUB−39から得ることができる、又は得られた、同形置換されたテクトシリケートRUB−41に関する。更に、本発明は、上述した方法(該方法は、工程(8)に従うか焼を含む)によって、層構造のシリケートRUB−36から得ることができる、又は得られた、同形置換されたテクトシリケートRUB−37に関する。
【0075】
更に、本発明は、上述したテクトシリケートであって、層構造シリケート中のSi:適切な元素、好ましくはAlの原子割合が、1:(0.001〜0.5)、好ましくは1:(0.005〜0.1)、より好ましくは1:(0.01〜0.05)の範囲であるテクトシリケートに関する。
【0076】
特に、本発明は、同形置換されたRUB−41シリケート自体、又は上述した方法によって得ることができる、又は得られた同形置換されたRUB−41シリケートであって、層構造のシリケート中のSi原子の少なくとも一部が、少なくとも1種の適切な元素で同形置換され、少なくとも1種の適切な元素が、好ましくはAl、B、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nb及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれ、より好ましくはAlが選ばれる、同形置換されたRUB−41シリケートに関する。好ましくは、本発明のRUB−41シリケートは、層構造のシリケート中のSi:適切な元素、好ましくはAlの原子割合が、1:(0.001〜0.5)、好ましくは1:(0.005〜0.1)、より好ましくは1:(0.01〜0.05)の範囲である。
【0077】
特に、本発明は、同形置換されたRUB−37シリケート自体、又は上述した方法によって得ることができる、又は得られた同形置換されたRUB−37シリケートであって、層構造のシリケート中のSi原子の少なくとも一部が、少なくとも1種の適切な元素で同形置換され、少なくとも1種の適切な元素が、好ましくはAl、B、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nb及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれ、より好ましくはAlが選ばれる、同形置換されたRUB−37シリケートに関する。好ましくは、本発明のRUB−37シリケートは、層構造のシリケート中のSi:適切な元素、好ましくはAlの原子割合が、1:(0.001〜0.5)、好ましくは1:(0.005〜0.1)、より好ましくは1:(0.01〜0.05)の範囲である。
【0078】
また本発明は、RUB−37シリケート自体であって、層構造のシリケート中のSi原子の少なくとも一部が、少なくとも1種の適切な元素で同形置換され、少なくとも1種の適切な元素が、好ましくはAl、B、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nb及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選ばれ、より好ましくはTi、Al、B、及びこれらの2種以上の混合物から選ばれ、更に好ましくは、Ti、又はAl、又はBから選ばれるRUB−37シリケートに関する。
【0079】
好ましくは、本発明のRUB−37シリケートは、層構造のシリケート中のSi:適切な元素、好ましくはTi、又はB、又はAlの原子割合が、1:(0.0001〜0.1)、好ましくは1:(0.001〜0.05)、より好ましくは1:(0.005〜0.02)の範囲である。
【0080】
多くの技術的な適用で、使用者はシリケート材料自体の替わりに、しばしば(成形物に加工された)同形置換された層構造のシリケート及び/又は同形置換されたテクトシリケートを使用することを望む。このような成形物は、例えば、管反応器等の内部の混合物から物質を有利に分離するために、特に多くの工業プロセスで必要なものである。
【0081】
従って、本発明は、上述した同形置換された層構造のシリケート、特にRUB−39、又はRUB−36、及び/又は同形置換されたテクトシリケート、特にRUB−41、又はRUB−37にも関する。
【0082】
通常、成形物は、得られる成形物が所望の用途にとって適切であるならば、本発明の同形置換された層構造のシリケート及び/又は同形置換されたテクトシリケートに加え、考えられる全ての更なる化合物をも含んで良い。
【0083】
本発明について、少なくとも1種の適切なバインダー材料が、成形物の製造に使用されることが好ましい。この好ましい実施の形態について、より好ましくは、同形置換された層構造のシリケート及び/又は同形置換されたテクトシリケート及び少なくとも1種のバインダーの混合物が製造される。適切なバインダーは、通常、(バインダーなしで存在して良い物理吸着に加え、)結合されるべき同形置換された層構造のシリケート、及び/又は同形置換されたテクトシリケートの粒子間に接着及び/又は粘着を与える全ての混合物である。このようなバインダーの例は、金属酸化物、例えばSiO2、Al23、TiO2、ZrO2、又はMgO又はクレイ、又はこれらの化合物の2種以上の混合物である。Al23バインダー、クレイミネラル、及び天然又は合成アルミナ、例えばアルファ−、ベータ、ガンマ−、デルタ−、エータ−、カッパ−、チ−、又はセータ−アルミナ、及びこれらの無機又は有機金属前駆体化合物、例えばギップサイト、ベイライト、ベーマイト、シュードボエマイト、又はトリアルコキシアルミネート、例えばアルミニウムトリイソプピレートが特に好ましい。更に好ましいバインダーは、極性及び非極性部分を有する両親媒性化合物、及びグラファイトである。更なるバインダーは、例えば、クレイ、例えばモントモリオナイト、カオリン、ベントナイト、ハロイサイト、ディッカイト、ナクライト又はアナキシトである。これらのバインダーは、それ自体で使用することができる。本発明について、成形物の製造の少なくとも一つの更なる工程でバインダーが形成される化合物を使用することも可能である。このようなバインダー前駆体の例は、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシチタネート、テトラアルコキシジルコネート、又は2種以上の異なるテトラアルコシシランの混合物、又は2種以上の異なるテトラアルコキシチタネートの混合物、又は2種以上の異なるテトラアルコキシジルコネートの混合物、又は少なくとも1種のテトラアルコキシシランと少なくとも1種のテトラアルコキシチタネート、又は少なくとも1種のテトラアルコキシシランと少なくとも1種のテトラアルコキシジリコネート、又は少なくとも1種のテトラアルコキシチタネートと少なくとも1種のテトラアルコキシジルコネートの混合物、又は少なくとも1種のテトラアルコキシシランと少なくとも1種のテトラアルコキシチタネートと少なくとも1種のテトラアルコキシジルコネートの混合物である。本発明について、完全に又は部分的にSiO2で構成されるか、又は成形物の製造の少なくとも1つの更なる工程でSiO2が形成される、SiO2の前駆体であるバインダーが記載されるべきである。このことについて、コロイド状のシリカ及び「ウェット法」シリカ及び「乾燥法」シリカの何れもが使用可能である。これらは、極めて好ましくは非結晶質のシリカであり、シリカ粒子のサイズ(粒径)は、例えば5〜100nmの範囲であり、及びシリカ粒子の表面積は、50〜500m2/gの範囲である。好ましくはアルカリ性及び/又はアンモニア性の溶液の状態の、より好ましくはアンモニア性溶液の状態のコロイド状シリカは、例えば市販されており、特にLudox(登録商標)、Syton(登録商標)、Nalco(登録商標)、又はSnowtex(登録商標)として市販されている。「ウェット法」シリカは、例えば、特にHi−Sil(登録商標)、Ultrasil(登録商標)、Vulcasil(登録商標)、Santocel(登録商標)、Valron−Estersil(登録商標)、Tokusil(登録商標)、又はNipsil(登録商標)として市販されている。「乾燥法」シリカは、例えば、特に、Aerosil(登録商標)、Reolosil(登録商標)、Cab−O−Sil(登録商標)、Fransil(登録商標)、又はArcSilica(登録商標)として市販されている。バインダーは、好ましくは、そのバインダー含有量が、それぞれ最終的に得られる成形物の合計質量に対して、80質量%以下、より好ましくは5〜80質量%の範囲、より好ましくは10〜70質量%の範囲、より好ましくは10〜60質量%の範囲、より好ましくは15〜50質量%の範囲、より好ましくは15〜45質量%の範囲、特に好ましくは15〜40質量%の範囲である、最終的に得られる成形物を得ることができる量で使用される。ここで使用される「最終的に得られる成形物」という記載は、以下に記載する乾燥及びか焼工程(IV)及び/又は(V)から得ることができる(特に好ましくは工程(V)から得ることができる)成形物に関するものである。
【0084】
更なる加工のために、及び可塑材量(plastic material)の形成のために、バインダー、又はバインダーの前駆体の混合物、及び同形置換された層構造のシリケート及び/又は同形置換されたテクトシリケート材料を、少なくとも1種の更なる化合物と一緒に混合することができる。ここで特に、好ましくは孔形成剤が記載されて良い。本発明の方法において、仕上られた成形物に関し、所定の孔径及び/又は所定の孔径分布、及び/又は所定の孔体積を形成する全ての化合物を、孔形成剤として使用することができる。本発明の方法に使用される好ましい孔形成剤は、水又は水性溶媒混合物に対して分散性、懸濁性、又は乳濁性のポリマーである。ここで、好ましいポリマーは、ポリマー性ビニル化合物、例えばポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、及びポリエステル、炭水化物、例えばセルロース、又はセルロース誘導体、例えばメチルセルロース、又は砂糖又は天然ファイバーである。更に適切な孔形成剤は、例えば、パルプ又はグラファイトである。工程(I)に従う混合物の製造で孔形成剤が使用される場合、孔形成剤の含有量、好ましくは工程(I)に従う混合物のポリマー含有量は、工程(I)に従う混合物中のRUB−39及び/又はRUB−41及び/又はRUB−36及び/又はRUB−37の量に対して、好ましくは5〜90質量%の範囲、好ましくは15〜75質量%の範囲、及び特に好ましくは25〜55質量%の範囲である。所望の孔径分布を所望する場合、2種以上の孔形成剤の混合物を使用しても良い。本発明の方法の特に好ましい実施の形態では、以下に記載するように、孔形成剤は、(工程(V)でか焼して、多孔性の成形物を得ることによって)除去される。
【0085】
本発明の同様に好ましい実施の形態では、少なくとも1種のペースト剤(pasting agent)が工程(I)に従う混合物の製造に加えられる。使用しても良いペースト剤は、この目的のために適切な全ての化合物である。これらは、好ましくは、有機、特に親水性ポリマー、例えばセルロース、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、スターチ、例えばポテトスターチ、ウォールペーパーペースト、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリイソブテン、又はポリテトラフランである。従って、孔形成剤としても作用する特定の化合物をペースト剤として使用することができる。本発明の方法の特に好ましい実施の形態では、以下に記載するように、これらのペースト剤は、工程(V)でか焼して多孔性成形物を得ることによって除去される。
【0086】
本発明の更なる実施の形態では、少なくとも1種の酸性添加剤を、工程(I)に従う混合物の製造の間に加えても良い。以下に記載するような、好ましい工程(V)でか焼によって除去可能な有機酸性化合物が極めて好ましい。カルボン酸、例えばギ酸、シュウ酸、及び/又はクエン酸が特に好ましい。2種以上のこれら酸性化合物を使用することも可能である。
【0087】
同形置換された層構造のシリケート及び/又は同形置換されたテクトシリケートを含む、工程(I)に従う混合物の成分を加える順序は重要ではない。最初に少なくとも1種のバインダーを加え、次に少なくとも1種の孔形成剤及び少なくとも1種の酸性化合物を加え、そして最後に少なくとも1種のペースト剤を加えることが可能であり、及び少なくとも1種のバインダー、少なくとも1種の孔形成剤、少なくとも1種の酸性化合物、及び少なくとも1種のペースト剤について、順序を入れ替えることも可能である。
【0088】
同形置換された層構造のシリケート及び/又は同形置換されたテクトシリケートにバインダーを加えた後(これには、適切であれば、上述した少なくとも1種の化合物が事前に加えられている)、工程(I)に従う混合物は、通常、10〜180分間、均一化される。特に、ニーダー(練り器)、エッジミル、又は押出し機が均一化のために特に好ましく使用される。混合物は、練られることが好ましい。工業規模では、均一化のために、エッジミルが好ましく使用される。均一化は、通常、約10℃からペースト剤の沸点の範囲の温度、及び標準圧力又は大気圧を僅かに超える圧力で行われる。この後、適切であれば、上述した少なくとも1種の化合物を加えることもできる。このようにして得られた混合物は、好ましくは、押出し可能な可塑材料(プラスチック材料)が形成されるまで練られる。
【0089】
本発明のより好ましい実施の形態に従えば、均一化された混合物は成形される。本発明について、例えば直径が好ましくは1〜10mm、特に好ましくは2〜5mmの押出し物を与える、通常の押出し機によって押出しすることによって成形が行われる方法が、成形工程のために好ましい。このような押出し機は、例えばUllmann’s Enzyklopadie der Technischen Chemie,4th Edition,Vol.2,page295 et seq.,1972に記載されている。スクリュータイプ押出し機の使用に加え、プランジャータイプの押出し機も成形のために好ましく使用される。しかしながら、原則として、公知の全ての、及び/又は適切な練り及び成形装置と方法を、成形のために使用して良い。これらの例は、特に次のものである:ブリケット化、すなわち追加的なバインダーを加えての、又は加えることのない機械的な圧縮;ペレット化、すなわち、円状及び/又は回転動作によるコンパクト化;焼成、すなわち成形される材料が、熱処理に処理される。本発明に従い製造された成形物の形状は、所望するように選ぶことができる。特に、中でも、球状、楕円形状、シリンダー状、又はタブレット状が可能である。
【0090】
本発明について、工程(III)の後に、少なくとも1つの乾燥工程を行うことが好ましい。
【0091】
本発明について、工程(IV)の次に、少なくとも1つのか焼工程を行うことが好ましい。か焼工程は、通常、300〜700℃、好ましくは400〜600℃の範囲の温度で行われる。か焼は、任意の適切なガス雰囲気下に行うことができ、空気及び/又は希薄空気(lean air)下に行うことが好ましい。更に、か焼は、マッフル炉、ロータリーキルン及び/又はベルトか焼オーブン内で行うことが好ましい。か焼工程の間、温度を一定に保つか、又は連続的又は不連続的に変化させることができる。か焼を2回以上行う場合、か焼温度は、個々の工程で異なることも、同一であることも可能である。
【0092】
従って、本発明は、上述した成形物を製造する方法であって、以下の工程
(I)上述した同形置換された層構造のシリケート及び/又は同形置換されたテクトシリケート、及び任意に少なくとも1種のバインダーを含む混合物を製造する工程、
(II)混合物を練る工程、
(III)練った混合物を成形し、少なくとも1種の成形物を得る工程、
(IV)少なくとも1種の成形物を乾燥する工程、
(V)少なくとも1種の乾燥した成形物を、か焼する工程、
を含む方法にも関する。
【0093】
乾燥の前及び/又は後、及び/又はか焼の前及び/又は後に、少なくとも1種の成形物を、適切であれば、濃縮又は希釈されたブレンステッド酸、又は2種以上のブレンステッド酸の混合物で処理することができる。適切な酸は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、又はカルボン酸、ジカルボン酸、又はオリゴ−又はポリカルボン酸、例えばニトリロトリ酢酸、スルホサリチル酸、又はエチレンジアミンテトラ酢酸である。適切であれば、この、少なくとも1種のブレンステッド酸を使用した少なくとも一つの処理の次に、(各場合において、上述した条件下に行われる)少なくとも一つの乾燥工程、及び/又は少なくとも一つのか焼工程が行われる。
【0094】
本発明の更なる実施の形態に従えば、本発明に従い得られた成形物は、更に良好な硬化のために、水蒸気処理に処理することができ、この処理の後、好ましくは乾燥が、少なくとも、もう1回行われ、及び/又はか焼が少なくとも、もう1回行われる。例えば、少なくとも1回の乾燥工程、及び少なくとも1回の次のか焼工程の後、か焼された成形物は、蒸気処理に処理され、そして次に乾燥が少なくとも、もう1回、及び/又はか焼が少なくとも、もう1回行われる。
【0095】
本発明は、更に、分子篩、触媒、触媒担体、又はこれらのバインダーとして、吸着剤、顔料、洗剤の添加剤、建築材料の添加剤として、被覆ペースト、及び仕上げ物にチキソトロピック(揺変性)の特性を与えるために、及び外部及び内部滑剤としての適用、耐炎剤、紙製品への助剤及び充填剤として、殺菌性(bactericidal)及び/又は殺菌際(fungicidal)、及び/又は除草組成物中に、イオン交換のために、セラミックスの製造のために、ポリマーに、電気、光学、又は電子工学的な成分及びスイッチイング素子又はセンサーに、本発明の同形置換された層構造のシリケート、及び/又は同形置換されたテクトシリケート、及び/又は成形物を使用する方法に関する。
【0096】
好ましくは、本発明の同形置換された層構造のシリケート、及び/又は同形置換されたテクトシリケート、及び/又は本発明の成形物は、触媒、触媒担体、又はこれらのバインダー、吸着剤として、イオン交換のために、セラミックスの製造のために、又はポリマーに使用して良い。
【0097】
特に、本発明の同形置換されたテクトシリケート、更に好ましくは、本発明のアルキニウム−置換されたテクトシリケート、及び更に好ましくは、本発明のアルミニウム−置換されたテクトシリケートRUB−41(Al−RUB−41)は、アミノ化反応、好ましくはメタノールのアミノ化のために、又はMTO(メタノール−ツー−オレフィン)変換のために、触媒、又は触媒組成物として使用される。
【0098】
更に、本発明に従う同形置換された層構造のシリケートは、ピラーシリケート(pillared silicate)の製造のための出発材料として使用しても良い。
【0099】
本発明を、実施例、図、及び表を使用して以下に詳細に説明する。本発明の実施例は、実験室規模の実験、及び大規模の実感を含む。従って、本発明の広範囲に渡る適用性が示される。
【0100】
図面の説明
粉X−線回折パターンを、単色のCuKアルファ−1照射、及び選択方位(方位配列)を回避するための毛細管のサンプルホルダを備えたSiemens D−5000に記録した。回折データーをBraunからの位置敏感(型)検出器を使用して、8〜96°(2−シータ)の範囲で、及び0.0678°のステップ幅で、収集した。パウダーダイヤグラムの指標付けをパウダーXに備えられたプログラムTreor90を使用して行った(Treor90は、URL http://www.ch.iucr.org/sincrics−top/logiciel/を介して自由にアクセスできるパブリックドメインのプログラムである)。図中、「°」で表される角度2シータを、横座標に沿って示し、そして強度を縦座標に沿って示した。
【実施例】
【0101】
実施例1:Al−RUB−39の2−工程(ステップ)合成
工程(ステップ)1:
8.6gのナトリウムヒドエオキシド(NaOH)を、229.3gの水に溶解した。次にこの溶液を、653.4gのテンプレート(SDA)、ジメチルジプロピルアアンモニウムヒドロキシド(39質量%)の溶液と、室温で10分間、攪拌しながら混合した。次に8.6gのRUB−39の種結晶を、室温で、20分間、攪拌させながらこの溶液に加えた。ヒュームドシリカ(Aerosil)を、この混合物に、小部分を連続的に導入することにより段階的に加え、そして比較的濃い懸濁物(懸濁液)を得た。この懸濁物を室温で、更に20分間、攪拌した。得られたゲルを、オートクレーブ内に注いだ。この合成混合物のモル組成は、SiO2:SDA:NaOH:H2O=1:0.5:0.0625:10であった。第1の結晶化工程を、150℃で行い、そして期間は48時間であった。第1の工程の後、底部に沈澱物を有する不透明な懸濁物が得られた。
【0102】
工程(ステップ)2:
20.17gのアルミニウムイソプロポキシド(アルミニウムトリイソプロピレート)を、第1工程から得られた前駆体(1068g)に直接的に導入した。混合物を2時間、攪拌した。第2の結晶化工程を140℃で行い、そして継続時間は、48時間であった。底部に沈澱物を有する、不透明な懸濁物を得た。この生成物を、(遠心分離で)ろ過し、そして水で洗浄した。固体生成物を100℃で乾燥させた。
得られた材料のXRDパターンを図1に示す。
【0103】
実施例2:Al−RUB−39の2−工程合成
工程(ステップ)1:
1.3gのナトリウムヒドロイシド(NaOH)を、35.4gの水に溶解した。次に、この溶液を、100.9gのテンプレート(SDA)の水溶液、ジメチルジプロピルアンモニウムヒドロキシド(39質量%)と、室温で10分間、攪拌しながら混合した。次に1.3gのRUB−39の種結晶を、室温で、20分間、攪拌させながらこの溶液に加えた。ヒュームドシリカ(Aerosil)を、この混合物に、小部分を連続的に導入することにより段階的に加え、そして比較的濃い懸濁物(懸濁液)を得た。この懸濁物を室温で、更に20分間、攪拌した。得られたゲルを、オートクレーブ内に注いだ。この合成混合物のモル組成は、SiO2:SDA:NaOH:H2O=1:0.5:0.0625:10であった。第1の結晶化工程を、150℃で行い、そして期間は48時間であった。第1の工程の後、底部に沈澱物を有する不透明な懸濁物が得られた。
【0104】
工程(ステップ)2:
1.47gのアルミネート(NaAlO2)を、20分間攪拌させながら、53.7gの水に溶解した。次にこの溶液を、第1の工程で得られた前駆体と混合した。この混合物を、30分間、攪拌した。次に、温度を70℃に上昇させ、そして合成混合物から53.7gの水を蒸発させた。得られたゲルをオートクレーブ内に注いだ。この合成混合物のモル組成は、SiO2:NaAlO2:SDA:NaOH:H2O=1:0.0333:0.5:0.0625:10であった。第2の結晶化工程を、140℃で行い、そして期間は48時間であった。底部に沈澱物を有する不透明な懸濁物が得られた。生成物を、(遠心分離で)ろ過し、そして水で洗浄した。固体生成物を100℃で乾燥させた。
【0105】
得られた材料のXRDパターンを図2に示す。
【0106】
比較例:Al−RUB−39の1−工程合成
この比較例に使用する試薬の量を、以降の実施例3で使用する、それぞれの量とおおよそ同一になるように選んだ。
試薬:
1)NaOH 8.6g
2)H2O 576.8g
3)ジメチルジプロピルアンモニウムヒドロキシド(39質量%)水溶液 653.4g
4)種結晶(RUB−39) 8.6g
5)Aerosil200 208.5g
6)NaAlO2 9.5g
NaOHを、229.3gの水に溶解し、次にジメチルジエチルアンモニウムヒドロキシド溶液を加え、そして得られた溶液を10分間、攪拌した。次に、種結晶を加え、そして溶液を更に20分間、混合した。次にAerosilを、攪拌しながら部分に分けて加え、そしてこの混合物を20分間、攪拌した。次に、347.5gの水中に溶解したNaAlO2の溶液をこの混合物に加え、そして30分間、攪拌した。次に、ロータリーエバポレーター(回転蒸発器)を使用して、混合物から347.5gの水を除去し、この後、濃縮混合物を、圧力消化容器(pressure digestion vessel)に移し、そして次に熱水条件下で、140℃で120時間、この中で加熱した。
【0107】
得られた白色の懸濁物を遠心分離し、そして固体生成物を蒸留水で洗浄し、そして次に100℃で乾燥させ、2.65gの生成物を得た。
【0108】
本発明に従い合成した材料とは逆に、得られた生成物は、完全に非結晶(アモルファス)であることがわかった。
【0109】
実施例3:Al−RUB−39の2−工程合成
工程(ステップ)1
試薬:
1)Aerosil200 208.5g
2)ジメチルジプロピルアンモニウムヒドロキシド(39質量%)水溶液 653.4g
3)種結晶(RUB−39) 8.6g
4)H2O 229.3g
5)NaOH 8.6g
NaOHを、水に溶解し、これにジメチルジプロピルアンモニウムヒドロキシドを加え、そして得られた溶液を10分間、攪拌した。次に、種結晶を加え、そして得られた溶液を更に20分間、攪拌した。次にAerosilを、攪拌しながら部分に分けて加え、そしてこの混合物を1時間、攪拌した。次に、混合物を、圧力消化容器に移し、そして次に熱水条件下で、150℃で48時間、この中で加熱し、茶色がかった白色のかすかに光る懸濁物を得た。
【0110】
工程(ステップ)2
試薬:
1)NaAlO2 9.3g
2)H2O 339.9g
NaAlO2を、水に溶解し、次に得られた溶液を20分間、攪拌した。この溶液を、工程1の生成物に加え、そしてこの後、この混合物を1時間、攪拌した。次に、混合物を、圧力消化容器に移し、そして次に熱水条件下で、140℃で48時間、この中で加熱し、グレイホワイトのかすかに光る懸濁物を得た。次に、この反応生成物を遠心分離し、そして固体を2リットルの蒸留水で洗浄した。次にこの固体を120℃で6時間乾燥させ、51.14gの白色粉を得た。
【0111】
得られた材料のXRDパターンを図3に示す。
【0112】
実施例4:Al−RUB−39のAl−RUB−41への転換
実施例1からの36.838gの生成物を、1℃/分の速度で600℃に加熱し、次にその温度で、10時間保持し、29.507gのAl−RUB−41を得た。
得られた材料のXRDパターンを図4に示す。
【0113】
実施例5:Al−RUB−39の2工程合成
工程(ステップ)1
試薬:
1)Aerosil200 208.5g
2)ジメチルジプロピルアンモニウムヒドロキシド(39質量%)水溶液 653.4g
3)種結晶(RUB−39) 8.6g
4)H2O 229.3g
5)NaOH 8.6g
NaOHを、水に溶解し、これにジメチルジプロピルアンモニウムヒドロキシドを加え、そして得られた溶液を10分間、攪拌した。次に、種結晶を加え、そして得られた溶液を更に20分間、攪拌した。次にAerosilを、攪拌しながら部分に分けて加え、そしてこの混合物を1時間、攪拌した。次に、混合物を、圧力消化容器に移し、そして次に熱水条件下で、140℃で48時間、この中で加熱した。
工程(ステップ)2
試薬:
1)アルミニウムトリイソプロピレート 5.0g
アルミニウムトリイソプロピレートを、工程1の生成物に加え、そして得られた混合物を2時間、攪拌した。次に、混合物を、圧力消化容器に移し、そして次に熱水条件下で、140℃で48時間、この中で加熱し、黄色のかすかに光る懸濁物を得た。
【0114】
得られた懸濁物を吸引ろ過によって分離し、3リットルの蒸留水で洗浄し、そして次に120℃で19時間乾燥させ、35.55gの白色粉を得た。
【0115】
得られた材料のXRDパターンを図5に示す。
【0116】
実施例6:Al−RUB−41上でのメタノールアミノ化試験
350℃〜400℃、N/C割合が2で、触媒を試験した。アンモニアをその状態で供給した;メタノールは、Heを使用した飽和器からのものであった。WHSV(時間での質量空間速度:weight hourly space velocity)は、〜0.6g/g.hであった。
【0117】
実施例4からのAl−RUB−39を、試験に使用した。これを、最初に、Al−RUB−41へとか焼し、次にNH4Clで2回変換し、再度か焼し、そして粒状にした。
【0118】
参照菱沸石(BASFから入手)を、同じように予備処理した。
【0119】
使用の前に、触媒をHe下に400℃に加熱した。
【0120】
400℃での結果
【0121】
【表1】

【0122】
他の非アミノ生成物(オレフィン及びジメチルエーテルと思われる)が存在するが、しかし数%の量である。
【0123】
TMA形成は、(N/C=2で)非成形の選択触媒上で、予想していたよりも非常に少ない量でなされた。例えば、フォージャサイト型触媒について、通常、50%以下が許容される。
【0124】
変換レベルが最初の2時間、観測され、これは安定していた。
【0125】
実施例7:Al−RUB−36の2−工程合成
0.04gのナトリウムヒドロキシドを、5.434gの水性ジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド(21.9質量%)溶液に、攪拌しながら加えた。次に1.2gのヒュームドシリカをこの混合物に加え、次にこれを10分間、攪拌した。次に、0.036gのRUB−36を種結晶材料として加え、そしてこの混合物を、10分間、攪拌した。次に得られた懸濁液を、圧力消化容器に移し、そして次に、熱水条件下で、140℃で48時間、加熱した。
【0126】
0.078gのNaAlO2を、2mlの蒸留水に溶解し、次にこの溶液を、熱水的処理から得られた混合物に加えた。次にこの混合物を10分間、攪拌し、そしてロータリーエバポレーターを使用して、混合物から2gの水を除去した。次に、この濃縮した混合物を、圧力消化容器に移し、そして次に熱水条件下で、140℃で、5日間(120時間)加熱した。
【0127】
得られた固体生成物を、吸引ろ過によって分子し、蒸留水で洗浄し、そして100℃で16時間乾燥させ、0.558gの生成物を得た。
XRD回折パターンを図6に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)シリカ又はその前駆体、層構造シリケートの結晶化を可能とするための少なくとも1種の構造指向剤(SDA)、及び水を提供する工程、
(2)熱水的な条件下で、工程(1)に従って得られた混合物を加熱し、前駆体懸濁物を得る工程、
(3)層構造のシリケート中のSi原子の少なくとも一部を同形置換するために適切な、少なくとも1種の元素の少なくとも1種の供給源を、前駆体懸濁物に加える工程、
(4)工程(3)に従い得られた混合物を、熱水的な条件下で加熱し、層構造のシリケートを得る工程、
を含むことを特徴とする同形置換された層構造のシリケートを製造する方法。
【請求項2】
工程(1)で、非結晶質シリカが使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1種の構造指向剤が、ジメチルジ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド(DMDPAOH)であるか、又はジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチル−メチルアンモニウムヒドロキシド、及びジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド及びトリエチルメチルアンモニウムヒドロキシドの混合物から成る群、好ましくはDMDPAOHから選ばれることを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の方法。
【請求項4】
工程(1)に従う混合物が、追加的に、少なくとも1種の塩基、好ましくはヒドロキシド、より好ましくは水酸化ナトリウムを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程(1)に従う混合物が、SiO2又はSiO2として計算される、SiO2の前駆体、及び塩基、好ましくはNaOHを、SiO2:塩基として、1:(0.01〜0.5)のモル割合、好ましくは1:(0.02〜0.1)のモル割合で含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(1)に従う混合物が、追加的に、少なくとも1種の適切な種材料、好ましくは層構造のシリケートの種結晶、より好ましくは全シリカ層構造のシリケートの種結晶を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程(1)に従う混合物が、SiO2又はSiO2として計算されるSiO2の前駆体、及び種材料を、SiO2:種材料の質量割合として、1:(0.005〜0.2)、好ましくは1:(0.01〜0.1)の質量割合で含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(1)に従う混合物が、SiO2又はSiO2として計算されるSiO2の前駆体、構造指向剤、及び水を、SiO2:SDA:H2Oのモル割合として、1:(0.45〜0.55):(5〜20)のモル割合、好ましくは1:(0.48〜0.52):(8〜14)のモル割合で含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程(1)に従う混合物が、工程(2)に従い、12〜72時間の範囲の期間、好ましくは36〜60時間の範囲の期間、加熱されることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
混合物が、工程(2)に従い、130〜160℃の範囲の温度で加熱されることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
同形置換のために適切な少なくとも1種の元素が、Al、B、Fe、Ti、Sn、Ga、Ge、Zr、V、Nb及びこれらの2種以上の混合物から成る群から、好ましくはAlから選ばれることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
同形置換のために適切な、少なくとも1種の元素の供給源が、アルミネート、好ましくはナトリウムアルミネート、又はアルミニウムアルコレート、好ましくはアルミニウムイソプロポキシドであることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程(3)に従う混合物が、SiO2又はSiO2として計算されるSiO2の前駆体、及び少なくとも1種の適切な元素、好ましくはAlを、SiO2:元素のモル割合として1:(0.001〜0.5)のモル割合、好ましくは1:(0.005〜1)、より好ましくは1:(0.01〜0.05)のモル割合で含むことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
工程(3)に従う混合物が、SiO2又はSiO2として計算されるSiO2の前駆体、構造指向剤、及び水を、SiO2:SDA:H2Oのモル割合として1:(0.45〜0.55):(5〜20)、好ましくは1:(0.45〜0.55):(8〜15)のモル割合で含むことを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
工程(3)に従う混合物が、工程(2)に従い、12〜132時間の範囲の期間、好ましくは36〜60時間の範囲の期間、加熱されることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
混合物が工程(2)に従い、135〜145℃の範囲の温度に加熱されることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
(5)工程(4)に従い得られた懸濁物から層構造のシリケートを分離する工程、
(6)任意に、分離された層構造のシリケートを、好ましくは洗浄液が6〜7の範囲のpHになるまで洗浄する工程、及び/又は
(7)任意に、分離され及び任意に洗浄された層構造のシリケートを、好ましくは75〜125℃の範囲の温度で乾燥させる工程、
を追加的に含むことを特徴とする請求項1〜16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
(8)(4)又は(5)又は(6)又は(7)に従い得られたシリケートを、好ましくは300〜700℃の範囲の温度、より好ましくは550〜650℃の範囲の温度でか焼する工程、
を追加的に含むことを特徴とする請求項1〜17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜17の何れか1項に記載の方法で得ることができる、同形置換された層構造のシリケート。
【請求項20】
層構造のシリケートの、Si:適切な元素、好ましくはAlの原子割合が、1:(0.001〜0.5)、好ましくは1:(0.005〜1)、より好ましくは1:(0.01〜0.05)の範囲であることを特徴とする請求項19に記載の層構造のシリケート。
【請求項21】
RUB−39又はRUB−36構造、好ましくはRUB−39構造を有することを特徴とする請求項19又は20の何れかに記載の層構造のシリケート。
【請求項22】
請求項18に従う方法によって得ることができる、同形置換されたテクトシリケート。
【請求項23】
テクトシリケート中のSi:適切な元素、好ましくはAlの原子割合が、1:(0.001〜0.5)、好ましくは1:(0.005〜0.1)、より好ましくは1:(0.01〜0.05)の範囲であることを特徴とする請求項22に記載のテクトシリケート。
【請求項24】
RUB−41又はRUB−37構造、好ましくはRUB−41構造を有することを特徴とする請求項22又は23の何れかに記載のテクトシリケート。
【請求項25】
成形物中に含まれることを特徴とする、請求項19〜24の何れか1項に記載のシリケート。
【請求項26】
請求項19〜25の何れか1項に記載のシリケートを、分子篩、触媒、触媒成分、触媒担体、又はこれらのバインダーとして、吸着剤、顔料、洗剤の添加剤、建築材料の添加剤として、被覆ペースト、及び仕上げ物に揺変性の特性を与えるために、及び外部及び内部滑剤として、耐炎剤、紙製品への助剤及び充填剤として、バクテリシダル殺菌性及び/又はフンギシダル殺菌性及び/又は除草組成物中に、イオン交換のために、セラミックスの製造のために、ポリマーに、電気、光学、又は電子工学的な成分及びスイッチイング素子又はセンサーに使用する方法。
【請求項27】
アミノ化反応のため、好ましくはメタノールのアミノ化のため、又はMTO(メタノール−ツー−オレフィン)変換のための触媒、又は触媒成分としての、請求項26に記載の使用方法、好ましくは請求項22〜24の何れか1項に記載のシリケートの使用方法、より好ましくはAl−RUB−41のシリケートの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−519639(P2012−519639A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552437(P2011−552437)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052713
【国際公開番号】WO2010/100203
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】