説明

同期整流型DC/DCコンバータ

【課題】低コストに逆流を抑制できる同期整流型DC/DCコンバータの提供。
【解決手段】同期整流型DC/DCコンバータ11は第1直流電圧源17と第2直流電圧源25との間に接続されるとともに、出力端子21における出力電圧Voを検出する電圧検出回路39と、出力電流Iを検出する電流検出回路41と、を備える。電圧検出回路39と電流検出回路41が接続される制御回路43は、出力端子21からの電力が停止している際に、出力電圧Voが基準電圧Vr以上であれば前記電力の停止状態を維持し、出力電圧Voが基準電圧Vr未満であれば前記電力の供給状態とするとともに、前記電力が供給されている際に、出力電流Iが逆流許容下限電流Ir以上であれば前記電力の供給状態を維持し、出力電流Iが逆流許容下限電流Ir未満であれば前記電力の停止状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された直流電圧を他の電圧値に変換して出力する同期整流型DC/DCコンバータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護に対する意識の高まりから、制動時のエネルギを回生電力として回収し利用することで省燃費化を図る自動車(以下、車両という)が開発されている。このような車両の構成として、例えば前記車両に搭載された発電機に前記回生電力の回収用キャパシタを接続するとともに、前記キャパシタとバッテリの間にDC/DCコンバータを接続するものが提案されている。これにより、前記車両の制動時に前記発電機で急峻に発生する前記回生電力を前記キャパシタに充電することができる。ここで、前記キャパシタを用いる理由は、前記キャパシタが急速充電特性に優れるためである。充電された前記回生電力は、前記車両の非制動時に前記DC/DCコンバータを介して前記バッテリを充電したり、前記車両に搭載される負荷(電装品)に供給される。ここで、前記DC/DCコンバータを用いる理由は、前記キャパシタの電圧が放電により経時的に低下することから、前記バッテリや前記負荷に安定した電圧を供給するためである。
【0003】
このような前記DC/DCコンバータとしては、前記回生電力により充電された前記キャパシタの電圧が前記バッテリの電圧よりも高い場合であれば、前記キャパシタ側から前記バッテリ側へ降圧する同期整流型DC/DCコンバータが適用できる。この同期整流型DC/DCコンバータは、例えば特許文献1に示される。図5は前記同期整流型DC/DCコンバータであるスイッチングレギュレータの回路構成図を示す。直流電源101の正極と負極の間には、スイッチングトランジスタ103、105の直列回路が接続される。スイッチングトランジスタ103、105の接続点にはコイル107を介して出力端子109が接続される。さらに、出力端子109には出力電圧Voutを検出するための抵抗111、113の直列回路と平滑用コンデンサ115が接続される。また、スイッチングトランジスタ103、105はスイッチング電源制御用IC117によりオンオフ制御が行なわれる。この際、スイッチング電源制御用IC117は抵抗111、113の接続点電圧(出力電圧Voutに比例)が所定の参照電圧Vref1となるようにオンオフ制御を行なう。
【0004】
このようなスイッチングレギュレータを用いて前記回生電力を回収する構成とするには、例えば直流電源101を前記キャパシタとし、出力端子109に前記バッテリと負荷を接続すればよい。しかし、前記スイッチングレギュレータは同期整流型であるため、前記負荷が軽くなり負荷電圧が参照電圧Vref1以上となった場合、前記負荷から直流電源101側へ電流が流れる現象(以下、逆流という)が発生する。逆流することにより前記キャパシタへ前記バッテリからのエネルギが充電されるので、制動時には既に前記キャパシタが満充電となっている可能性がある。この場合は前記回生電力を十分に回収できなくなる。そこで、図5の構成ではスイッチング電源制御用IC117がスイッチングトランジスタ105に流れる電流を検出し、逆流を検出すればスイッチングトランジスタ105をオフにする。これにより、逆流を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−60977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したスイッチングレギュレータによると、確かに逆流を防止することができるのであるが、高速でオンオフを繰り返すスイッチングトランジスタ105のオン電圧から、スイッチングトランジスタ105に流れる電流が一定値以下(負電流)になるタイミングを検出する必要があり、電流検出回路を高応答性のものにしなければならず高コスト化するという課題があった。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、低コストに逆流を抑制できる同期整流型DC/DCコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の同期整流型DC/DCコンバータは、第1直流電圧源と第2直流電圧源との間に電気的に接続され、前記第2直流電圧源が電気的に接続される出力端子における出力電圧(Vo)を検出する電圧検出回路と、前記出力端子における出力電流(I)を検出する電流検出回路と、を備え、前記電圧検出回路、および前記電流検出回路と電気的に接続される制御回路は、前記出力端子からの電力が停止している際に、前記出力電圧(Vo)が基準電圧(Vr)以上であれば前記電力の停止状態を維持し、前記出力電圧(Vo)が前記基準電圧(Vr)未満であれば前記電力の供給状態とするとともに、前記電力が供給されている際に、前記出力電流(I)が逆流許容下限電流(Ir)以上であれば前記電力の供給状態を維持し、前記出力電流(I)が前記逆流許容下限電流(Ir)未満であれば前記電力の停止状態とするようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の同期整流型DC/DCコンバータによれば、出力端子に接続した電流検出回路で検出した出力電流(I)が逆流許容下限電流(Ir)未満となれば逆流が発生していると判断し、同期整流型DC/DCコンバータを停止状態とすることで逆流を抑制する。従って、逆流判断のための出力電流(I)をスイッチングトランジスタの高速オンオフ動作に関係なく検出することができるので、高応答性を有する高価な電流検出回路が不要となり、前記同期整流型DC/DCコンバータのコストを低減しつつ逆流を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における同期整流型DC/DCコンバータのブロック回路図
【図2】本発明の実施の形態1における同期整流型DC/DCコンバータの動作を示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態1における同期整流型DC/DCコンバータの他の構成のブロック回路図
【図4】本発明の実施の形態2における同期整流型DC/DCコンバータの動作を示すフローチャート
【図5】従来のスイッチングレギュレータの回路構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における同期整流型DC/DCコンバータのブロック回路図である。図2は、本発明の実施の形態1における同期整流型DC/DCコンバータの動作を示すフローチャートである。図3は、本発明の実施の形態1における同期整流型DC/DCコンバータの他の構成のブロック回路図である。なお、図1、図3において太線は電力系配線を、細線は信号系配線をそれぞれ示す。
【0013】
図1において、同期整流型DC/DCコンバータ11における入力端子13と入力側グランド端子15の間には第1直流電圧源17と発電機19が電気的に接続されている。一方、同期整流型DC/DCコンバータ11における出力端子21と出力側グランド端子23の間には第2直流電圧源25と前記車両に搭載される電装品からなる負荷27が電気的に接続されている。なお、第2直流電圧源25は開放電圧が約14Vの車両用バッテリである。
【0014】
第1直流電圧源17は複数の電気二重層キャパシタを14個直列接続した構成を有する。ここで、前記電気二重層キャパシタとして定格電圧が2Vのものを用いたので、第1直流電圧源17には28Vまでの電圧で充電される。また、発電機19は後述する車両側制御回路により定電圧モードと定電力モードが切り替えられる構成とし、前記車両が制動していない通常時は定電圧モードで、制動時は定電力モードで、それぞれ発電を行なう。この際、定電圧モードでは例えば14.5Vを出力するようにすれば、第1直流電圧源17には14.5Vまで充電が行なわれることになる。同時に、同期整流型DC/DCコンバータ11を介して第2直流電圧源25の充電や負荷27への電力供給を行なう。定電力モードになれば、発電機19から定電力出力が得られるので、それにより第1直流電圧源17が充電され、その電圧Viが上昇する。その結果、発電電流が絞られ、定電力出力を維持するように発電機19が動作する。ゆえに、制動時に回生電力を第1直流電圧源17に充電することができる。このような動作とすることで、発電機19と第1直流電圧源17とを直接接続できるので、前記回生電力を効率よく充電できる。
【0015】
次に、同期整流型DC/DCコンバータ11の詳細構成について説明する。
【0016】
入力端子13と入力側グランド端子15との間には、入力側平滑コンデンサ29、および第1スイッチング素子31と第2スイッチング素子33の直列回路が電気的に接続される。第1スイッチング素子31と第2スイッチング素子33は、いずれも外部からオンオフ制御ができる構成のものであればよいが、信頼性の観点から半導体スイッチング素子が望ましい。その中でも本実施の形態ではオン抵抗が小さく低損失の電界効果トランジスタを用いた。
【0017】
第1スイッチング素子31と第2スイッチング素子33の接続点にはインダクタ35の一端が電気的に接続されている。インダクタ35の他端は出力端子21に電気的に接続される。また、出力端子21と出力側グランド端子23の間には出力側平滑コンデンサ37が電気的に接続される。
【0018】
以上が電力系配線の構成であるが、次に信号系配線の構成について述べる。
【0019】
出力端子21には、その電圧、すなわち出力電圧Voを検出する電圧検出回路39が電気的に接続される。なお、電圧検出回路39の構成は従来の図5に示されたものと同様に、2個の抵抗の直列回路で構成される。
【0020】
また、出力端子21に流れる出力電流Iを検出するための電流検出回路41が出力端子21と電気的に接続される電力系配線に設けられる。ここで、本実施の形態1では電流検出回路41としてシャント抵抗器(図示せず)による電圧降下から電気的に出力電流Iを検出するものを用いた。なお、電流検出回路41は上記以外にも例えばホール素子による磁気的検出手段によるものでもよいが、前記車両による振動や温度の影響を比較的受けにくく高精度なシャント抵抗器によるものが望ましい。
【0021】
なお、電流検出回路41の出力は、そのゼロ点に対し既定オフセット電圧が印加される構成とした。具体的には、出力電流Iが0Aの時に既定オフセット電圧として例えば2.5Vが出力される。この電圧を中心に、出力電流Iが正の場合は2.5Vより大きい電圧が、負(逆流)の場合は2.5Vより小さい電圧が出力される。このような構成とすることで、電流検出回路41の出力は逆流が発生しても常に正の電圧となるため、正負を含む出力電流Iの検出が容易になる。
【0022】
電圧検出回路39と電流検出回路41は制御回路43に電気的に接続される。制御回路43はマイクロコンピュータと、メモリやA/Dコンバータなどの周辺回路で構成される。従って、制御回路43は電圧検出回路39から出力電圧Voを、電流検出回路41から出力電流Iを、それぞれ読み込む構成となる。
【0023】
また、電圧検出回路39からの出力電圧Voは誤差増幅器45にも入力される。誤差増幅器45には制御回路43から出力される基準電圧Vrも入力され、両者の違いに応じた制御電圧Vcontが出力される。ここで、基準電圧Vrは出力端子21の調整目標電圧のことで、例えば発電機19が定電力モードとなり入力端子13の電圧Viが変化しても、基準電圧Vrを14.5Vに設定することにより、出力電圧Voが基準電圧Vr(=14.5V)になるように制御電圧Vcontを出力する。
【0024】
制御電圧Vcontはスイッチング回路47に入力される。スイッチング回路47は制御電圧Vcontに応じた時比率で第1スイッチング素子31と第2スイッチング素子33をオンオフするスイッチング信号SWを出力する。スイッチング信号SWは第2スイッチング素子33にそのまま、第1スイッチング素子31には反転回路49を介して、それぞれ入力される。これにより、第1スイッチング素子31と第2スイッチング素子33は決定された時比率でオンオフ動作を交互に繰り返す。
【0025】
また、スイッチング回路47は制御回路43とも接続されている。制御回路43はスイッチング回路47に対してオンオフ信号ONOFを出力する。これを受け、スイッチング回路47はスイッチング信号SWを出力して出力端子21からの電力を供給状態とするか、あるいはスイッチング信号SWを停止して出力端子21からの電力を停止状態とする。
【0026】
また、制御回路43は外部端子51を介して車両側制御回路53と各種のデータ信号dataを送受信する。これにより、車両側制御回路53は出力電圧Voや出力電流Iなどのデータを受信するとともに、同期整流型DC/DCコンバータ11の動作を制御する信号、例えば前記車両の状況に応じて最適な効率となるように基準電圧Vrの値を可変する信号などを送信する。
【0027】
また、車両側制御回路53は発電機19とも電気的に接続され、上記したように定電圧モードや定電流モードの切替などを行なう発電機制御信号Gcontを出力する。
【0028】
次に、このような同期整流型DC/DCコンバータ11の動作について、まず基本的な動作を説明する。
【0029】
前記車両の通常走行時は前記回生電力が発生していないので、車両側制御回路53は発電機19を定電圧モードとなるよう発電機制御信号Gcontを送信する。これにより、上記したように発電機19は14.5Vの電圧を出力する。その結果、第1直流電圧源17を14.5Vまで充電し維持するとともに、同期整流型DC/DCコンバータ11を介して第2直流電圧源25と負荷27に電力を供給する。この際、基準電圧Vrは14.5Vであるので、スイッチング回路47は第1スイッチング素子31がほぼオンになるような時比率でスイッチング信号SWを出力する。これにより、出力電圧Voがほぼ14.5Vとなる。
【0030】
次に、前記車両が制動され、発電機19が前記回生電力を発生できる状態になると、車両側制御回路53は発電機19に対し定電力モードに切り替えるように発電機制御信号Gcontを送信する。これにより、発生した前記回生電力は第1直流電圧源17に直接充電される。従って、効率のよい前記回生電力の回収が可能となる。この場合、入力端子13の電圧Viは第1直流電圧源17の充電とともに経時的に上昇するが、同期整流型DC/DCコンバータ11は出力端子21が基準電圧Vrになるように制御する。従って、制動時であっても第2直流電圧源25や負荷27へは安定した出力電圧Voが供給される。
【0031】
その後、前記車両が通常走行に戻ると、車両側制御回路53は発電機19を定電圧モードに切り替える。この際、第1直流電圧源17には前記回生電力が充電されているため、その電圧Viは発電機の定電圧出力(14.5V)より高い。従って、発電機19は発電を行なわず、第1直流電圧源17からの電力が同期整流型DC/DCコンバータ11を介して第2直流電圧源25や負荷27に供給される。これにより、前記回生電力を有効利用できるとともに、第1直流電圧源17から電力が出力されている間は発電機19が発電しないため、その分、図示しないエンジンへの負担が軽減され、燃費が向上する。
【0032】
以上のような動作を繰り返すことにより、前記車両の高効率化、省燃費化が図れる。
【0033】
次に、このような同期整流型DC/DCコンバータ11における出力端子21から入力端子13への逆流抑制動作について図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0034】
まず、前記車両のイグニションスイッチ(図示せず)がオンされると、車両側制御回路53を介して制御回路43にその情報が送信される。これを受け、制御回路43は直ちに図2のフローチャートを実行する。これにより、制御回路43は電圧検出回路39から出力電圧Voを読み込む(ステップ番号S11)。この時、同期整流型DC/DCコンバータ11はまだ動作していないので、第2直流電圧源25の開放電圧に近い電圧が得られる。
【0035】
次に、制御回路43は読み込んだ出力電圧Voと基準電圧Vrを比較する(S13)。なお、基準電圧Vrは制御回路43に内蔵した前記メモリに記憶されている。もし、出力電圧Voが基準電圧Vr以上であれば(S13のNo)、同期整流型DC/DCコンバータ11を動作すると、出力電圧Voが基準電圧Vrとなるように第2直流電圧源25から入力端子13に向けて電流を流すことになり、逆流が発生する。これにより、せっかく第2直流電圧源25に充電した電力を第1直流電圧源17に充電してしまうことになり、電力の有効利用ができず効率が低下する。そこで、S13でNoの場合、制御回路43の制御は再びS11に戻る。これにより、同期整流型DC/DCコンバータ11は動作しないので、出力端子21からの電力の停止状態を維持することになる。
【0036】
一方、例えば前記エンジンを始動することで負荷27に含まれるスタータ(図示せず)が電力を消費するなどにより、出力電圧Voが基準電圧Vr未満となれば(S13のYes)、逆流が発生することはないので制御回路43は同期整流型DC/DCコンバータ11を駆動し、出力端子21からの電力の供給状態とする(S15)。具体的には制御回路43からスイッチング回路47に対してスイッチング信号SWを出力するようにオンオフ信号ONOFを送信する。これにより、同期整流型DC/DCコンバータ11は駆動を開始し、出力電圧Voが基準電圧Vrになるように制御される。
【0037】
その後、制御回路43は電流検出回路41から出力電流Iを読み込む(S17)。次に、制御回路43は読み込んだ出力電流Iと逆流許容下限電流Irを比較する(S19)。ここで、逆流許容下限電流Irとは、出力端子21から入力端子13に向かって逆流が発生した場合の許容下限値のことで、電流検出回路41の誤差やマージンを加味して決定される。本実施の形態1では−1Aとした。従って、制御回路43はS15で同期整流型DC/DCコンバータ11を駆動した後、逆流を監視していることになる。なお、この逆流許容下限電流Irも前記メモリに記憶してある。
【0038】
もし、出力電流Iが逆流許容下限電流Ir以上であれば(S19のNo)、逆流は発生していないか、発生していたとしても許容できる範囲であるため、S17に戻り再び逆流を監視する。その結果、同期整流型DC/DCコンバータ11は駆動を続け、出力端子21からの電力の供給状態を維持する。
【0039】
一方、例えば負荷27の消費電流が急に少なくなるなどにより出力電流Iが逆流許容下限電流Ir未満になれば(S19のYes)、逆流が発生しているので、制御回路43は直ちに同期整流型DC/DCコンバータ11を停止し、出力端子21からの電力の停止状態とする(S21)。具体的には制御回路43からスイッチング回路47に対してスイッチング信号SWを停止するようにオンオフ信号ONOFを送信する。これにより、同期整流型DC/DCコンバータ11は駆動を停止する。その結果、第1スイッチング素子31と第2スイッチング素子33はオフとなり、出力端子21からの逆流が停止する。なお、同期整流型DC/DCコンバータ11が停止している間は、第2直流電圧源25から負荷27に電力が供給される。従って、逆流が発生すれば同期整流型DC/DCコンバータ11を停止できるので、逆流発生中における同期整流型DC/DCコンバータ11による損失がなくなり、高効率化が可能となる。
【0040】
その後、制御回路43の制御は同期整流型DC/DCコンバータ11の駆動を再開するためにS11に戻る。これは、S21で同期整流型DC/DCコンバータ11が停止しており出力電流Iが流れず、電流検出回路41による逆流終了の判断ができないためである。
【0041】
S11以降では出力電圧Voを読み込み基準電圧Vrと比較しているが、上記したように逆流発生中は第2直流電圧源25からのみ負荷27に電力が供給されるので、第2直流電圧源25の電圧(出力電圧Vo)は低下していく。従って、制御回路43は逆流発生中で出力端子Voからの電力が停止している際に、出力電圧Voが基準電圧Vr以上であれば(S13のNo)、前記電力の停止状態を維持し、出力電圧Voが基準電圧Vr未満になれば(S13のYes)、前記電力の供給状態とする。
【0042】
その後、前記電力が供給されている際に出力電流Iを監視し、出力電流Iが逆流許容下限電流Ir以上であれば(S19のNo)、前記電力の供給状態を維持し、出力電流Iが逆流許容下限電流Ir未満であれば(S19のYes)、前記電力の停止状態とする。
【0043】
このような動作を繰り返すことにより、逆流が発生すれば直ちに同期整流型DC/DCコンバータ11を停止し、逆流がなくなれば同期整流型DC/DCコンバータ11を再び駆動することができる。
【0044】
以上の構成、動作により、出力端子21に接続した電流検出回路41で出力電流Iを検出することで、逆流判断のための出力電流Iを第2スイッチング素子33の高速オンオフ動作に関係なく検出することができるので、高応答性を有する高価な電流検出回路が不要となり、低コストの同期整流型DC/DCコンバータ11が実現できる。さらに、逆流発生中は同期整流型DC/DCコンバータ11を停止し、第2直流電圧源25から負荷27へ電力を供給する構成としたので、逆流を抑制するとともに、停止期間中の同期整流型DC/DCコンバータ11の損失が低減され、高効率化を図ることができる。
【0045】
なお、本実施の形態1では制御回路43の前記マイクロコンピュータにより図2の動作を行なっているが、これはハードウエアにより動作を行なう構成でもよい。このような同期整流型DC/DCコンバータ11のブロック回路図を図3に示す。図3において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0046】
すなわち、図3の構成における特徴となる部分は以下の通りである。
【0047】
1)制御回路43に替わりハードウエアで構成されるオンオフ制御回路61とした。なお、オンオフ制御回路61の詳細構成は後述する。
【0048】
2)制御回路43から出力される基準電圧Vrを基準電圧源63により出力するようにした。なお、基準電圧源63は基準電圧源用外部端子65を介して車両側制御回路53と電気的に接続され、車両側制御回路53により基準電圧Vrを可変することができる。
【0049】
3)スイッチング回路47はスイッチング回路用外部端子67を介して車両側制御回路53と電気的に接続される構成とした。これにより、車両側制御回路53から出力される制御信号contにより、スイッチング回路47の起動、停止などの制御を行なうことができる。なお、図1の構成では車両側制御回路53によるスイッチング回路47の制御は制御回路43を介して行なわれているため、図3に示すようなスイッチング回路47と車両側制御回路53とを接続する構成にはしていない。
【0050】
次に、オンオフ制御回路61の詳細構成について説明する。電圧検出回路39の出力は電圧値比較器69に入力される。また、基準電圧源63の出力である基準電圧Vrも電圧値比較器69に入力される。電圧値比較器69の出力は切替ダイオード71を介してスイッチング回路47に入力される。
【0051】
同様に、電流検出回路41の出力は電流値比較器73に入力される。また、逆流許容下限電流Irに対応した電圧が逆流許容電圧源75から電流値比較器73に入力される。電流値比較器73の出力は切替ダイオード77を介してスイッチング回路47に入力される。
【0052】
次に、オンオフ制御回路61の動作について説明する。電圧検出回路39の出力(出力電圧Vo)は電圧値比較器69で基準電圧Vrと比較される。電圧値比較器69は出力電圧Voが基準電圧Vr未満の際には、出力電圧Voが基準電圧Vrとなるように制御するために、切替ダイオード71を介してスイッチング回路47をオンにするオンオフ信号ONOF(例えば5V)を出力する。これにより、スイッチング回路47がスイッチング信号SWを出力し、同期整流型DC/DCコンバータ11を駆動する。
【0053】
一方、電流検出回路41の出力(出力電流Iに対応)は電流値比較器73で逆流許容電流Irに対応した電圧と比較される。出力電流Iが逆流許容電流Ir未満の際には、逆流が発生しているので、電流値比較器73は切替ダイオード77を介してスイッチング回路47をオフにするオンオフ信号ONOF(例えば0V)を出力する。これにより、スイッチング回路47がスイッチング信号SWの出力を停止することで、同期整流型DC/DCコンバータ11を停止する。
【0054】
このようなハードウエアからなる回路構成によっても、逆流発生中は同期整流型DC/DCコンバータ11が停止するので、効率のよい同期整流型DC/DCコンバータ11が実現できる。
【0055】
なお、図3の構成では高価なマイクロコンピュータや制御ソフトウエア開発などが不要となるため、さらなる低コスト化を図ることが可能となる。しかし、逆流許容電流Irの値が固定されるなどにより、同期整流型DC/DCコンバータ11の仕様変更に対しては部品交換などが必要となり柔軟性が欠ける。従って、高機能重視であれば図1の構成を、さらなる低コスト重視であれば図3の構成を、適宜選択すればよい。
【0056】
また、本実施の形態1では電流検出回路41のゼロ点は既定オフセット電圧が印加されるようにしているが、これに限定されるものではなく、電流検出回路41の出力に既定オフセット電圧を印加せず、電流の方向によって正負の電圧に対応して出力される構成としてもよい。この場合であっても、正負の電圧に対応した回路構成が必要となるものの、低コストの電流検出回路41を用いた同期整流型DC/DCコンバータ11が構成できるという効果が得られる。但し、回路構成の簡易化(さらなる低コスト化)や高精度化を考慮すると、ゼロ点に既定オフセット電圧を印加する本実施の形態1の構成の方が望ましい。
【0057】
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2における同期整流型DC/DCコンバータの動作を示すフローチャートである。なお、本実施の形態2において、構成は図1と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0058】
本実施の形態2の同期整流型DC/DCコンバータ11における特徴は、制御回路43による動作において、出力端子21から電力を供給状態とする前に出力電流Iを検出し、その出力電流Iを電流検出回路41のゼロ点として記憶するようにした点である。以下に、この特徴となる動作の詳細を図4のフローチャートにより説明する。なお、図4において、図2と同じ動作を行なう部分には同じステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0059】
図4のフローチャートが実行されると、制御回路43はまず電流検出回路41から出力電流Iを読み込む(S31)。なお、この際には図2で説明した通り出力端子21からの電力は停止状態である。従って、S31の時点では出力電流Iが流れていないので、読み込まれた値は出力電流Iが0Aの時のものとなる。
【0060】
次に、制御回路43は読み込んだ出力電流Iをゼロ点として前記メモリに記憶する(S33)。このように動作することにより、電流検出回路41の周囲温度等の環境が変化してゼロ点がドリフトしても、出力電流Iが流れていない時の値でゼロ点を補正することができるので、逆流発生を高精度、かつ的確に検出でき、その分、効率のよい同期整流型DC/DCコンバータ11を実現できる。
【0061】
S33の後は図2と同じ動作となるため、説明を省略する。なお、S21を実行した後はS31に戻り、それ以降の動作を繰り返す。これにより、逆流が発生して同期整流型DC/DCコンバータ11を停止するたびに、タイムリーに電流検出回路41のゼロ点を補正でき、さらなる高精度化が可能となる。
【0062】
以上の構成、動作により、安価な電流検出回路41を用いることができ、低コスト化が図れるとともに、逆流発生中は同期整流型DC/DCコンバータ11が停止するので、効率のよい同期整流型DC/DCコンバータ11が実現できる。
【0063】
なお、本実施の形態2では制御回路43を用いて電流検出回路41のゼロ点を補正する構成としたが、これは図3に示すハードウエアで構成されたオンオフ制御回路61に対して適用してもよい。但し、ハードウエアのみでゼロ点補正を行なうための回路を追加する必要があり回路構成が複雑化、高コスト化するので、図1の回路構成でゼロ点補正を行なう方が望ましい。
【0064】
また、実施の形態1、2では第1直流電圧源17として電気二重層キャパシタを用いたが、それに限定されるものではなく、電気化学キャパシタや二次電池でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明にかかる同期整流型DC/DCコンバータは低コストに逆流を抑制できるので、特に2系統の直流電圧源を有する車両などの移動体に搭載される同期整流型DC/DCコンバータ等として有用である。
【符号の説明】
【0066】
11 同期整流型DC/DCコンバータ
17 第1直流電圧源
21 出力端子
25 第2直流電圧源
39 電圧検出回路
41 電流検出回路
43 制御回路
61 オンオフ制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1直流電圧源と第2直流電圧源との間に電気的に接続される同期整流型DC/DCコンバータであって、
前記第2直流電圧源が電気的に接続される出力端子における出力電圧(Vo)を検出する電圧検出回路と、
前記出力端子における出力電流(I)を検出する電流検出回路と、を備え、
前記電圧検出回路、および前記電流検出回路と電気的に接続される制御回路は、前記出力端子からの電力が停止している際に、前記出力電圧(Vo)が基準電圧(Vr)以上であれば前記電力の停止状態を維持し、前記出力電圧(Vo)が前記基準電圧(Vr)未満であれば前記電力の供給状態とするとともに、
前記電力が供給されている際に、前記出力電流(I)が逆流許容下限電流(Ir)以上であれば前記電力の供給状態を維持し、前記出力電流(I)が前記逆流許容下限電流(Ir)未満であれば前記電力の停止状態とするようにした同期整流型DC/DCコンバータ。
【請求項2】
前記制御回路は、前記電力を供給状態とする前に前記出力電流(I)を検出し、その出力電流(I)を前記電流検出回路のゼロ点として記憶するようにした請求項1に記載の同期整流型DC/DCコンバータ。
【請求項3】
前記電流検出回路のゼロ点は既定オフセット電圧が印加されるようにした請求項1に記載の同期整流型DC/DCコンバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−188694(P2011−188694A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53983(P2010−53983)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】