説明

吐出容器

【課題】回転操作筒と連動して隔壁が主筒内を回転して内容物を押し出す容器において、隔壁が回転操作筒よりゆっくり回転するものを提案する。
【解決手段】有底で円筒形の主筒の開口部を塞ぐ蓋体の中心部から基軸を垂下し、主筒の内周面の一側から側内方へ突出した第1隔壁と、基軸から側外方へ突出した第2隔壁と、両隔壁の間の主筒内面部分及び基軸外面部分とで内容物収納室を形成し、かつこの内容物収納室から外部へ連通する注出路を開通した吐出容器において、
上記主筒8の外側に、上記蓋体24に回動不能に連結された把持筒2と、主筒8に対して連動可能な回転操作筒40とを形成するとともに、
この回転操作筒40が有する小径の原動軸部50と、主筒の一部に設けた大径の従動筒部12との間に歯車機構60を介在させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有底で円筒形の主筒の開口部を塞ぐ蓋板の中心部から基軸を垂下し、主筒の内周面の一側から側内方へ突出した第1隔壁と、基軸から側外方へ突出した第2隔壁と、両隔壁の間の主筒内面部分及び基軸外面部分とで内容物収納室を形成し、かつこの内容物収納室から外部へ連通する吐出路を開通した吐出容器が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭53−41999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の容器は、蓋板を把持して回転させると同じだけ第2隔壁が回転するので、利用者が蓋板を回転させ過ぎることで、内容物が過剰に吐出されるおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、回転操作筒と連動して隔壁が主筒内を回転して内容物を押し出す容器において、隔壁が回転操作筒よりゆっくり回転するようにして内容物の過剰な吐出を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、
有底で円筒形の主筒の開口部を塞ぐ蓋板の中心部から基軸を垂下し、主筒の内周面の一側から側内方へ突出した第1隔壁と、基軸から側外方へ突出した第2隔壁と、両隔壁の間の主筒内面部分及び基軸外面部分とで内容物収納室を形成し、かつこの内容物収納室から外部へ連通する吐出路を開通した吐出容器において、
上記主筒8の外側に、上記蓋板Cに対して回動不能に連結された把持筒2と、主筒8に対して連動可能な回転操作筒40とを形成するとともに、
この回転操作筒40が有する小径の原動軸部50と、主筒の一部に設けた大径の従動筒部12との間に、歯車機構60を介在させることで、回転操作筒40に比べて第1隔壁14を含む主筒8の回転速度が小さくなるように形成した。
【0007】
本手段は、図1又は図6のように蓋板Cに対して主筒8を回転させることで内容物を吐出可能な容器において、回転操作筒40から歯車機構60を介して主筒8を回転させる構成を提案している。回転操作筒は小径の原動軸部50を、主筒は大径の従動筒部12を有し、原動軸部と従動筒部との間に歯車機構を設ける。図1の例では、本願の容器は、主筒の上側で把持筒と基軸と連結する連結具を有している。
【0008】
「把持筒」は、容器を手で支える箇所であって、蓋板を介して第2隔壁付きの基軸を固定するための手段であり、また「回転操作筒」は、回転操作を加える箇所であって、原動軸部・歯車機構・従動筒部を介して第1隔壁付きの主筒を回転させるための手段である。図1に示すように把持筒を下側に、回転操作筒を上側に配置してもよく、また把持筒を上側に、回転操作筒を下側に配置してもよい。「蓋板」は、図示例では、主筒の上側に連結具があるときには連結具の水平板28aとパッキング24とで(図4参照)、そうでないときには蓋部材が有する基板23とパッキング24とで形成しているが(図6参照)、その構造は適宜変更することができる。「基軸」は、蓋板と一体に形成してもよく、また図4に示す回り止め手段Tで回動不能に蓋板側に取り付けてもよい。
【0009】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
上記歯車機構60は、回転操作筒以外の容器部分に支承された中間歯車G2を有し、この中間歯車を介して原動軸部の外周面に形成した内側歯車G1と従動筒部の内周面に形成した外側歯車G3とを連係するように構成している。
【0010】
本手段は、歯車機構の具体的態様を特定したものである。中間歯車は、吐出容器のうち回転操作筒、すなわち原動軸部を有する部材以外の部分に支承する。
【0011】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ
上記主筒8の外面に把持筒2を回動自在に嵌合させるとともに、
上記蓋板Cを含むとともに把持筒2の上部に固定された中蓋22と、蓋板Cの上方へ配置した頂板44の外周から、把持筒2の外側へ装着させた周壁を垂下してなる外蓋兼用の回転操作筒40とを備えた蓋部材20を設け、
上記頂板の中央部から垂下した原動軸部50と、把持筒上部で形成する従動筒部12との間に歯車機構60を介在させた。
【0012】
本手段では、図1に示すように歯車機構60を主筒の上方に配置し、蓋板を含む中蓋と、外蓋である回転操作筒とで形成する蓋部材に歯車機構を内蔵させている。歯車が外部に露出していると体裁が悪いため、また歯車の間に異物などが挟まらないようにするためである。その蓋部材は、一体の部材として、主筒の開口部に対して着脱できる。
【0013】
第4の手段は、第2の手段を有し、かつ
有底筒形の回転操作筒40内に主筒8の下半部外面を回動可能に係合するとともに、回転操作筒40の底壁中央部から原動軸部50を、また主筒8の底壁外周部から従動筒部を各底壁がそれぞれ向かい合う方向へ突出して、これら原動軸部50と従動筒部12との間に歯車機構60を介在させるとともに、主筒の上部に有頂筒形であって頂壁部分に蓋板Cを含みかつ主筒の上部を囲む把持筒を有する蓋部材20を嵌合させた。
【0014】
本手段では、図6に示すように歯車機構60を主筒8の下方に配置し、有底筒形の回転操作筒と主筒との間に歯車機構を内蔵させている。
【0015】
第5の手段は、
有底で円筒形の主筒の開口部を塞ぐ蓋板の中心部から基軸を垂下し、主筒の内周面の一側から側内方へ突出した第1隔壁と、基軸から側外方へ突出した第2隔壁と、両隔壁の間の主筒内面部分及び基軸外面部分とで内容物収納室を形成し、かつこの内容物収納室から外部へ連通する吐出路を開通した吐出容器において、
上記主筒8に対して蓋板Cを回転可能とするとともに、主筒8の外側に、主筒8に対して連動可能な回転操作筒40とを形成し、
この回転操作筒40が有する小径の原動軸部50の外周面に形成した内側歯車G1と、主筒8の一部に設けた大径の固定筒部13の内周面に形成した外側歯車G3と、上記蓋板に取り付けられ、それら内側歯車及び外側歯車の双方に噛合する中間歯車G2とからなる歯車機構60を具備し、回転操作筒40に比べて第2隔壁36と連結した蓋板Cの回転速度が小さくなるように形成している。
【0016】
本手段は、図9〜図11に示すように第1隔壁を含む主筒8及び第2隔壁と連結した蓋板Cのうち、後者が回転する態様を提案している。このためには、蓋板に付設した中間歯車Gが原動軸部の周りを公転するように構成している。図9の例では、本願の容器は、主筒の上側で把持筒と基軸と連結する連結具を有し、この連結具の水平板28aとパッキング24とで蓋板Cを形成している。但し、その構造は適宜変更することができる。
【0017】
第6の手段は、第1の手段から第5の手段のいずれかを有し、かつ
上記主筒8の内部のうち内容物収納室を除く第1隔壁14及び第2隔壁36の間の空間Vと、外部とを連通する吸気路Eを、蓋部材20又は主筒に形成した。
【0018】
本手段は、図5に示すように第1隔壁14及び第2隔壁36の間の空間Vと外部とを吸気路Eで連通することを提案している。二つの隔壁が離れるとともに図5に黒矢印で示すように吸気路Eの通気孔26から空間内に外気が流入する。これにより、上記空間内部が負圧化して主筒を回転し難くなることを防止している。上記外気導入路は、主筒から内方突出した第1隔壁14の上下方向の端面に穿設した切欠き16を含むことが好適である。
【発明の効果】
【0019】
第1の手段及び第5の手段に係る発明によれば、回転操作筒40に比べて、第1隔壁14を含む主筒8、或いは第2隔壁36と連結した蓋板Cの回転速度が小さくなるように形成したから、回転操作筒を回し過ぎても内容物が過剰に吐出されるおそれを低減できる。
【0020】
第1の手段又は第2の手段に係る発明によれば、小径の原動軸部と大径の従動筒部との間に歯車機構60を介在させたから、或いは小径の内側歯車と大径の外側歯車との間に中間歯車を設けたから、原動軸部に対して従動筒部の回転速度を十分に小さくできる。
【0021】
第3の手段又は第4の手段に係る発明によれば、蓋部材の中蓋と外蓋兼用の回転操作筒との間、又は主筒8と有底筒形の回転操作筒40との間に歯車機構60を内蔵させたから、内容物を充填するときに普通の蓋付き容器と同じように扱うことができ、操作性がよい。
【0022】
第5の手段に係る発明によれば、中間歯車が内側歯車の回りを公転するように構成したから、中間歯車を介して第2隔壁付きの基軸を主筒内で回転させることができる。
【0023】
第6の手段に係る発明によれば、第1隔壁14及び第2隔壁36の間の空間Vと、外部とを連通する吸気路Eを、蓋部材20又は主筒に形成したから、回転操作筒を回すときに上記空間内が負圧化されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る吐出容器の縦断面図である。
【図2】図1のII-II方向の容器の横断面図である。
【図3】図1の容器のIII-III方向の横断面図である。
【図4】図2のIV-IV方向から見た縦断面図である。
【図5】図1の容器の作用説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る吐出容器の縦断面である。
【図7】図6の容器のVII-VII方向から見た横断面図である。
【図8】図6の容器から蓋部材を外した状態での平面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る吐出容器の縦断面である。
【図10】図9の容器の横断面図である。
【図11】図9の容器の作用説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1から図5は、本発明の第1の実施形態に係る吐出容器である。この容器は、把持筒2と、主筒8と、蓋部材20と、オーバーキャップ66とで構成されている。これらの各部材は、特に断らない限り、合成樹脂材で形成することができる。
【0026】
把持筒2は、上下両面開放の筒体であり、後述の主筒を支持するための係止リブ4を筒壁上部2cの下端部に横設(図示例では周設)している。図示例の把持筒は、筒壁の下部2aを大径に、上下方向中間部2bを中径に、筒壁上部2cを小径に形成している。本実施形態の把持筒は脚筒を兼ねている。
【0027】
主筒8は、有底筒形である。図示例では、主筒の上部で形成する従動筒部12を、フランジ状部10を介して上方へ起立する大径部に形成し、このフランジ状部を上記係止リブ4の上に載置することで、主筒を吊り下げている。好適な図示例では、主筒の底壁中央部から後述の基軸と嵌合させるための軸受け筒11を起立している。
【0028】
上記主筒8の内面一側からは、図1に示すように周方向から見て四角形状の第1隔壁14を内方突出する。この第1隔壁14は、その三辺を後述の基軸の外周面と蓋板の下面と主筒の底面とにそれぞれ液密に当接させている。
【0029】
この第1隔壁14と後述の基軸に付設した第2隔壁とは、図3に示すように両隔壁の離れている方の空間に内容物収納室Rを形成するものである。第1隔壁及び第2隔壁の一方(図示例では第1隔壁)は垂直方向から見て扇形に形成することが好ましい。
【0030】
本発明では、主筒から突出する第1隔壁14を、図5に示すように筒軸の回りを回動可能な可動壁としている。第1隔壁の上端面には、その壁の巾方向中間部から第2隔壁側に開通する切欠き16を形成している。
【0031】
蓋部材20は、中蓋22と、外蓋を兼ねる回転操作筒40と、歯車機構60とで構成されている。
【0032】
上記中蓋22は、パッキング24と、連結具28と、基軸32とで形成されている。
【0033】
上記パッキング24は、後述の連結具の水平板裏面に取り付けられている。本実施形態ではこの水平板とパッキングとで蓋板Cを形成している。パッキングの中心部に大径の取付孔25を、また中心部からやや離れた位置に通気孔26をそれぞれ開口している。
【0034】
上記連結具28は、上記主筒8の開口部に嵌めこまれた水平板28aを有する。そしてこの水平板の外周部から図2に示すように周方向に間欠的に突出した連結片28bを介して把持筒の筒壁上部2cの外周面に固着した嵌合筒28cを、主筒の上部及び把持筒の筒壁上部2cを跨るように延設している。また水平板28aの内周部からは、上記水平板の取付孔25を通して取付筒28dを垂下している。
【0035】
上記水平板28aからは、周方向に間隔を存して適数(図示例では3つ)の歯車用の車軸30を立設している。図示例の車軸は細い筒形であり、車軸の一つは通気孔26の上方に位置しており、この車軸30の内部と通気孔26と切欠き16とで吸気路Eを形成している。これに対して、第1隔壁の下面に切欠きを、また主容器の底壁に連通孔を形成することで、主容器の底部側に吸気路を形成しても構わない。
【0036】
上記基軸32は、上記取付筒28dに上部を固定させて主筒の底面まで垂下している。これら基軸32の上端部の内面及び取付筒28dの内面には、凹凸状の係合部である回り止め手段Tを形成することが好適である。回り止め手段の数及び位置は適宜変更することができる。また図示例の基軸32は、下端開口の垂直筒とし、この垂直筒内に上記軸受け筒11を嵌合させている。また基軸の筒壁の一部には連通孔34を開口している。もっともこれらの構成は適宜変更することができる。
【0037】
基軸32の一側からは、第2隔壁36を側外方へ突出している。この第2隔壁36は、第1隔壁と同様に周方向から見て四角形状であり、その三辺を主筒の内周面と底面と蓋板の下面とに液密に当接させている。図示例の第2隔壁36は垂直平板に形成しているが、その形状は適宜変更できる。
【0038】
この第2隔壁36と第1隔壁14とは、図示例のようにそれらの一方の表面を相互に当接乃至近接させている。そして前述の内容物収納室Rを、それら第1、第2隔壁の他方の表面と、両隔壁の間の主筒の内周面部分及び底面部分と、両隔壁の蓋板下面部分と基軸外面部分とで形成している。両隔壁間の基軸外面部分のうち第1隔壁14側の端部には、前述の連通孔34を配置している。
【0039】
上記回転操作筒40は、その筒壁42の上面を閉塞する頂板44を有し、この頂板の中心部から原動軸部50を垂下している。回転操作筒40の筒壁42は、上記嵌合筒28cの外面に、また上記原動軸部50は上記取付筒28d内にそれぞれ回動自在に嵌合している。この原動軸部50は中空であり、連通孔34から原動軸部50の内部を通る吐出路Dを形成している。
【0040】
蓋部材20の内部には、上記歯車機構60を設ける。この歯車機構は、原動軸部50の外周面に形成された内側歯車Gと、従動筒部12の内周面に形成された外側歯車Gと、上記車軸で支承された中間歯車Gとからなり、中間歯車が内側歯車及び外側歯車の双方に噛合するように構成されている。中間歯車は予め連結具28に対して組み付けておくと好適である。図示例では3つの中間歯車を設けているが、その構成は適宜変更することができる。
【0041】
従来公知のように[外側歯車の角速度/内側歯車の各速度]=[内側歯車の歯数/外側歯車の歯数]であり、従動筒部12は原動軸部50より大径であるから、回転操作筒を回転させると、主筒8はそれより遅い回転速度で追動する。
【0042】
オーバーキャップ66は、回転操作筒40の外面を覆っている。
【0043】
上記構成において、把持筒2を持ってオーバーキャップ66を外し、回転操作筒40の筒壁を回転させると、歯車機構60によって従動筒部12を含む主筒8がゆっくり回転する。これにより第1隔壁14が図3の矢示方向に動いて内容物を吐出路Dを経由して外方へ徐々に押し出す。これとともに吸気路Eを介して空気が第1隔壁14及び第2隔壁36の間の空間V内に流入し、空間内の負圧化を防止する。この負圧化により回転操作筒の回動抵抗が増大することを防止する。
【0044】
以下本発明の他の実施形態を説明する。これらの形態において第1実施形態と同じ構成については同一の符号を用いることで説明を省略する。
【0045】
図6〜図8は、本発明の第2実施形態に係る吐出容器を開示している。本実施形態では、歯車機構60を主筒8の下方に配置している。
【0046】
具体的には、回転操作筒40を有底筒形に形成し、この回転操作筒内に主筒8を挿入する。主筒8の底壁外周部からは大径の従動筒部12を垂下し、また回転操作筒40の底板46の中央部からは小径の原動軸部50を起立して、これら従動筒部12と原動軸部50との間に歯車機構60を設ける。原動軸部の外周面及び従動筒部の内周面には、それぞれ内側歯車G、外側歯車Gを形成し、また回転操作筒の底板及び主筒8の底壁の一方の側からは適数の車軸30を突出し、これら車軸に中間歯車Gを支承させる。
【0047】
好適な図示例では、上記従動筒部12内に嵌着された水平板28aの外縁の複数箇所から突出した連結片28bを、従動筒部12の外面に嵌合させた嵌合筒28cの下端に連結してなる連結具28を設け、そして上記水平板28aから車軸30を垂下している。そしてこれら車軸に予め中間歯車を支承させている。
【0048】
さらに図示例では、回転操作筒の底板46から支持筒52を嵌合し、この支持筒内に上記連結具の嵌合筒28cを回転可能に嵌合させている。
【0049】
また回転操作筒40の上部外面に鍔部48を付設し、この鍔部と回転操作筒の上端部とにそれぞれ回転可能に接続する接続筒54を設けている。
【0050】
蓋部材20は、主筒8の開口部に対して回動不能に嵌合しており、その周壁を把持筒2としている。図示例の蓋部材は、基軸32取付け用の取付筒27を有する中蓋と、把持筒2を有する外蓋とで構成しているが、その構造は適宜変更することができる。上記取付筒27及び基軸32には第1実施形態と同じく回り止め手段Tを設ける。中蓋は、水平な基板23の裏面にパッキング24を取り付けてなる蓋板Cを有し、その基板の外周部から垂下した蓋周壁を、主筒8の上部に嵌合させている。また蓋部材の頂壁(中蓋のパッキング付き基板及び外蓋の頂板)を貫通して図8に示す吐出路Dを形成している。また蓋部材又は主容器の底壁側には図示しない吸気路を形成するとよい。
【0051】
図9〜図11は、本発明の第3実施形態に係る吐出容器を開示している。本実施形態では、第2隔壁36及び蓋板Cが回転するようにしたものである。
【0052】
具体的には、主筒の上部と把持筒の上部とを一体化して大径の固定筒部13とするとともに、この固定筒部の内周面に外側歯車G3を形成し、また回転操作筒40の中央部から垂下する原動軸部の周りに内側歯車G1を形成している。本実施形態では、第1実施形態と同様に連結具28の水平板28aとパッキング24とで蓋板Cを構成している。そして連結具の水平板28aの上面から従動軸部18を起立し、この従動軸部に中間歯車G2を支承させている。この中間歯車は、外側歯車及び内側歯車の双方に噛合しており、回転操作筒を回すと、原動軸部50の周りを回転操作筒よりも遅い速度で回転する。これにより内容物収納室内の内容物が吐出路Dから押し出される。
【符号の説明】
【0053】
2…把持筒 2a…筒壁下部 2b…筒壁上下方向中間部 2c…筒壁上部
4…係止リブ 8…主筒 10…フランジ状部 11…軸受け筒
12…従動筒部 13…固定筒部
14…第1隔壁 16…切欠き 18…従動軸部 20…蓋部材 22…中蓋 23…基板
24…パッキング 25…蓋板 25…取付孔 26…通気孔 27…取付筒
28…連結具 28a…水平板 28b…連結片 28c…嵌合筒 28d…取付筒
30…車軸 32…基軸 34…連通孔 36…第2隔壁 38…回り止め用リブ
40…回転操作筒 42…筒壁 44…頂板 46…底板 48…鍔部 50…原動軸部
52…支持筒 54…接続筒 60…歯車機構
66…オーバーキャップ
C…蓋板 D…吐出路 E…吸気路
…内側歯車 G…中間歯車 G…外側歯車 R…内容物収納室
T…回り止め手段 V…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底で円筒形の主筒の開口部を塞ぐ蓋板の中心部から基軸を垂下し、主筒の内周面の一側から側内方へ突出した第1隔壁と、基軸から側外方へ突出した第2隔壁と、両隔壁の間の主筒内面部分及び基軸外面部分とで内容物収納室を形成し、かつこの内容物収納室から外部へ連通する吐出路を開通した吐出容器において、
上記主筒(8)の外側に、上記蓋板(C)に対して回動不能に連結された把持筒(2)と、主筒(8)に対して連動可能な回転操作筒(40)とを形成するとともに、
この回転操作筒(40)が有する小径の原動軸部(50)と、主筒の一部に設けた大径の従動筒部(12)との間に、歯車機構(60)を介在させることで、回転操作筒(40)に比べて第1隔壁(14)を含む主筒(8)の回転速度が小さくなるように形成したことを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
上記歯車機構(60)は、回転操作筒以外の容器部分に支承された中間歯車(G2)を有し、この中間歯車を介して原動軸部の外周面に形成した内側歯車(G1)と従動筒部の内周面に形成した外側歯車(G3)とを連係するように構成したことを特徴とする、請求項1記載の吐出容器。
【請求項3】
上記主筒(8)の外面に把持筒(2)を回動自在に嵌合させるとともに、
上記蓋板(C)を含むとともに把持筒(2)の上部に固定された中蓋(22)と、蓋板(C)の上方へ配置した頂板(44)の外周から、把持筒(2)の外側へ装着させた周壁を垂下してなる外蓋兼用の回転操作筒(40)とを備えた蓋部材(20)を設け、
上記頂板の中央部から垂下した原動軸部(50)と、把持筒上部で形成する従動筒部(12)との間に歯車機構(60)を介在させたことを特徴とする、請求項2記載の吐出容器。
【請求項4】
有底筒形の回転操作筒(40)内に主筒(8)の下半部外面を回動可能に係合するとともに、回転操作筒(40)の底壁中央部から原動軸部(50)を、また主筒(8)の底壁外周部から従動筒部を各底壁がそれぞれ向かい合う方向へ突出して、これら原動軸部(50)と従動筒部(12)との間に歯車機構(60)を介在させるとともに、主筒の上部に有頂筒形であって頂壁部分に蓋板(C)を含みかつ主筒の上部を囲む把持筒を有する蓋部材(20)を嵌合させたことを特徴とする、請求項2に記載の吐出容器。
【請求項5】
有底で円筒形の主筒の開口部を塞ぐ蓋板の中心部から基軸を垂下し、主筒の内周面の一側から側内方へ突出した第1隔壁と、基軸から側外方へ突出した第2隔壁と、両隔壁の間の主筒内面部分及び基軸外面部分とで内容物収納室を形成し、かつこの内容物収納室から外部へ連通する吐出路を開通した吐出容器において、
上記主筒(8)に対して蓋板(C)を回転可能とするとともに、主筒(8)の外側に、主筒(8)に対して連動可能な回転操作筒(40)とを形成し、
この回転操作筒(40)が有する小径の原動軸部(50)の外周面に形成した内側歯車(G1)と、主筒(8)の一部に設けた大径の固定筒部(13)の内周面に形成した外側歯車(G3)と、上記蓋板に取り付けられ、それら内側歯車及び外側歯車の双方に噛合する中間歯車(G2)とからなる歯車機構(60)を具備し、回転操作筒(40)に比べて第2隔壁(36)と連結した蓋板(C)の回転速度が小さくなるように形成したことを特徴とする吐出容器。
【請求項6】
上記主筒(8)の内部のうち内容物収納室を除く第1隔壁(14)及び第2隔壁(36)の間の空間(V)と、外部とを連通する吸気路(E)を、蓋部材(20)又は主筒に形成したことを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれかに記載の吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−116530(P2012−116530A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267930(P2010−267930)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】