説明

向上されたフィルタラビリティを有する組成物

本発明は、少なくとも1種のバイオディーゼル油と、フィルタラビリティを向上させるための少なくとも1種の添加剤とを含有する燃料油組成物を記載する。それに加えて、本発明は、バイオディーゼルを含有する燃料油のフィルタラビリティを向上させる方法及びバイオディーゼルを含有する燃料油のフィルタラビリティを向上させるためのポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーの使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、向上されたフィルタラビリティを有する組成物に関する。さらに本発明は、燃料油の前記フィルタラビリティを向上させるためのポリマーの使用を記載する。
【0002】
燃料は今日では主として、化石資源から得られる。しかしながら、これらの資源は限定されるので、代替品が探し求められている。故に、燃料を製造するのに使用されることができる再生可能原料に関心が高まっている。極めて興味深い代替品は、特にバイオディーゼル燃料である。
【0003】
バイオディーゼルという用語は、多くの場合に、二重結合0〜3個を有する炭素原子12〜24個の脂肪酸部分の鎖長を有する脂肪酸エステル、通常、脂肪酸メチルエステル(FAME)の混合物を意味すると理解される。前記炭素数が多く存在すればするほど、かつ二重結合が少なく存在すればするほど、前記FAMEの融点はますます高くなる。典型的な原料は、植物油(すなわちグリセリド類)、例えばなたね油(キャノーラ油)、ひまわり油、大豆油、パーム油、やし油であり、かつ個別ケースでは、使用済植物油ですらある。バイオディーゼルの他の典型的な源は、動物脂肪である。前記原料は、塩基触媒反応下での通常メタノールとのエステル交換により、相応するFAMEに転化される。
【0004】
現在、なたね油メチルエステル(RME)は、欧州におけるバイオディーゼル生産にとって好ましい原料である、それというのも、なたねは、他の油源に比べて土地単位面積あたりより多くの油を生産するからである。しかしながらRMEの価格水準が高くなるにつれ、RMEと他の原料、例えば大豆メチルエステル(SME)又はパームメチルエステル(PME)との混合物も開発されてきた。100%バイオディーゼルの前記利用に加えて、化石ディーゼル、すなわち原油蒸留の中間留分と、バイオディーゼルとの混合物も、向上された低温特性及びより良好な燃焼特性のために興味深い。
【0005】
寒冷気候におけるバイオディーゼルの使用は、0℃及びそれ以下の温度で前記バイオディーゼル中で沈殿物を形成する傾向のために、特別な配慮を必要としうる。これらの沈殿物は、バイオディーゼルの流動特性を損なう。ミネソタにおける2005年の厳しい寒波の際のトラックエンジンの故障に基づき、ASTM規格に関する新しい要件、いわゆる低温浸漬ろ過試験(Cold Soak Filter Test, CSFT)が開発された。目下、規格ASTM D 6751及びASTM D 7501がそれぞれ用いられている。
【0006】
温度から独立した沈殿の他の現象は、貯蔵後のバイオディーゼル中で時々観察される。
【0007】
ステリルグルコシド(SG)が、これらの沈殿物源でありうるかもしれないという示唆は少しはある。実際、例えばLee et al.、"The Role of Sterol Glucosides on Filter Plugging", Biodiesel Magazine, April 2007に開示されたような、高度に複雑ないくつかのろ過方法により、これらの不純物のレベルを低下させる方法が開発されている。さらに、一部の酸化生成物は、フィルタ閉塞における一部の問題を引き起こしうる。前記粒子状物質は通常、高度に分散され、かつ前記試料は、常用のフィルタ試験に合格する。しかしながら、ASTM D 7501による低温浸漬ろ過試験は、これらの粒子状物質の凝集を促す。これらの粒子状物質に関連した前記問題を解決するために、高度に複雑な精製方法が開発されている。しかしながら、低ステリルグリコシド含量を達成するのに使用される精製処理は、極めて費用がかかり、かつ繁雑である。
【0008】
ポリアルキル(メタ)アクリラート、PA(M)Aは、M(M)Aを併用せず(例えば米国特許(US)第3 869 396号明細書、Shell Oil Company)又はM(M)Aを併用して(例えば米国特許(US)第5 312 884号明細書、Rohm & Haas Company)、鉱油用の流動点向上剤として、又はさもなければエステルベース潤滑剤用の流動点向上剤として(米国特許(US)第5 696 066号明細書、Rohm & Haas Company)、確立されており、かなり長期に記述されている。バイオディーゼル燃料少なくとも1種を含んでなる燃料組成物におけるこれらのポリマーの使用は、しかしながら記述されていない。
【0009】
そのうえ、国際公開(WO)第01/40334号(RohMax Additives GmbH)の刊行物には、バイオディーゼル燃料において使用されることができるポリアルキル(メタ)アクリラートが記載されている。この刊行物は、これらのポリマーに格別の性質を付与する特別な配合物を提供する。しかしながら、それにはバイオディーゼル燃料に関する実施例はない。
【0010】
化石ディーゼルとバイオディーゼルとの混合物用の油溶性ポリマーをベースとする流動性向上剤も知られている(国際公開(WO)第94/10267号、Exxon Chemical Patents Inc.)。しかしながら、実施例には、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)及びC12/C14−アルキルフマラート単位及び酢酸ビニル単位を有するコポリマーのみが記載されている。
【0011】
そのうえ、ディーゼル/バイオディーゼル混合物用の最適化された一連のEVAコポリマーも知られてきている(欧州特許(EP)第1 541 662〜664号明細書;国際公開(WO)第2008/113735号及び独国特許(DE)第103 57 877号明細書)。例えば、欧州特許(EP)第1 541 663号明細書には、鉱物由来のディーゼル燃料75体積%及びバイオディーゼル25体積%を含んでなる混合物が記載されており、前記混合物はポリ(ドデシルメタクリラート)150ppm及びエチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)100〜200ppmを含有する。
【0012】
そのうえ、鉱物ディーゼルとバイオディーゼルとを含んでなる燃料混合物用の添加剤は、国際公開(WO)第2007/113035号に記載されている。そのうえ、添加剤の添加を通じてディーゼル/バイオディーゼル混合物中で達成可能な低温特性は、純バイオディーゼル燃料に必ずしも適用可能ではない、それというのも、それらの沸騰挙動、それらの粘度、ひいてはそれらの化学組成、すなわち炭化水素の鎖長分布が異なるからである。
【0013】
公知のポリマーは、前記のように化石ディーゼル燃料における及び精製バイオディーゼル燃料における低温流動性向上剤としての許容できる効率を示す。しかしながら、これらのポリマーの一部が、低精製バイオディーゼル燃料油のフィルタラビリティを向上させるのに使用されてよいという示唆は入手できない。実際、常用のバイオディーゼルは、低フィルタラビリティの理由である粒子状物質に伴う問題が起こらないようなレベルに徹底的に精製される。
【0014】
実際のところ、先行技術の文献には、フィルタラビリティに伴う問題は記載されておらず、ひいては、低フィルタラビリティを有するバイオディーゼル燃料は、前記のようなポリマー添加剤の有効量を有することが、記載されていない。
【0015】
先行技術を鑑みて、故に、本発明の目的は、前記バイオディーゼル燃料の高度に複雑な精製プロセスを実施せずに、高いフィルタラビリティを有するバイオディーゼルを含んでなる燃料油を提供することである。前記フィルタラビリティは、長い貯蔵時間に亘ってかつ低温浸漬期間後に維持されるべきである。
【0016】
同時に、前記燃料はより詳しくは、極めて良好な低温特性を有するべきである。本発明のさらなる目的は、酸化に対する高い安定性を有する燃料を提供することであった。そのうえ、前記燃料は、最大のセタン価を有するべきである。同時に、前記新規燃料は、単純にかつ費用をかけずに製造可能であるべきである。
【0017】
好ましい燃料組成物は、鉱物ディーゼル燃料の性質のプロフィールに本質的に相当する性質のプロフィールを与え、再生可能原料の最大の割合を含んでなるべきである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、バイオディーゼル及びバイオディーゼルブレンドの前記フィルタラビリティを向上させることのできる添加剤を提供することであった。本発明のさらなる目的は、曇り点を下回って貯蔵される場合に、副次的にのみ沈殿を示す燃料を提供することであった。同時に、沈殿物のこの形成は、できるだけ長期に亘って遅らされるべきである。
【0019】
これらの目的と、明示的に述べられないが、しかし本明細書で導入部により議論された関係から直ちに導き出せるか又は認識できるさらなる目的とは、請求項1の全ての特徴を有する燃料組成物によって達成される。本発明による燃料組成物の相応しい変更態様は、請求項1を引用する従属請求項において保護される。フィルタラビリティを向上させる方法に関して、請求項26は、基礎となる前記問題への解決手段を提供する。フィルタラビリティ向上剤としてのエステル基含有ポリマーの使用に関して、請求項28は、前記問題への解決手段を構成する。
【0020】
本発明はそれに応じて、バイオディーゼル油を含んでなる燃料油組成物を提供するものであり、前記燃料組成物は、フィルタラビリティを向上させるための少なくとも1種の添加剤を含有することを特徴とする。
【0021】
これは、予測できないことに、バイオディーゼル燃料を含んでなり、かつ性質の卓越したプロフィールを包含する燃料組成物を提供することを可能にする。例えば、前記燃料油は、使用される前記バイオディーゼル燃料の高度に複雑な精製プロセスを実施せずに、高いフィルタラビリティを有する。フィルタラビリティは、長い貯蔵時間に亘って、かつ低温浸漬期間後に維持される。
【0022】
それに加えて、当該燃料組成物は特に、意外なことに低い曇り点、極めて良好な低温貯蔵性及び低温での卓越した流動特性を有する。
【0023】
同時に、前記燃料油組成物は、一連のさらなる利点を達成されることを可能にする。これらは、以下のものを含む:
本発明の組成物は、格別の低温流動特性を示す。さらに、これらの向上は、前記添加剤の少量又は多量を前記燃料油に適用することによって達成される。本発明の組成物は、特に容易にかつ単純な方法で製造されることができる。常用の工業的規模のプラントを使用することが可能である。
【0024】
本発明の燃料組成物は、少なくとも1種のバイオディーゼル燃料成分を含んでなる。バイオディーゼル燃料は、植物材料又は動物材料又は双方から得られる物質、特に油、又は原則的に鉱物ディーゼル燃料の代替品として使用されることができるそれらの誘導体である。
【0025】
好ましい実施態様において、しばしば"バイオディーゼル"又は"バイオ燃料"とも呼ばれる前記バイオディーゼル燃料は、好ましくは炭素原子6〜30個及びより好ましくは12〜24個を有する脂肪酸と、炭素原子1〜4個を有する一価アルコールとの脂肪酸アルキルエステルを含んでなる。多くの場合に、前記脂肪酸の一部は、1個、2個又は3個の二重結合を有しうる。前記一価アルコールは、特にメタノール、エタノール、プロパノール及びブタノールを含み、メタノールが好ましい。
【0026】
動物材料又は植物材料から誘導され、かつ本発明により使用されることができる油の例は、パーム油、なたね油、コリアンダー油、大豆油、綿実油、ひまわり油、ひまし油、オリーブ油、ピーナッツ油、とうもろこし油、アーモンド油、パーム核油、やし油、からし油、動物タロー、特に牛タローから誘導される油、骨油、魚油及び廃食用油である。さらなる例は、穀物、小麦、ジュート、ゴマ、米ぬか、ジャトロファ、落花生油及びあまに油から誘導される油を含む。意外な利点は、バイオディーゼルを製造するための反応物として、パーム油、大豆油、ジャトロファ油又は動物タロー、特に牛の脂肪、鶏の脂肪又は豚の脂肪を使用する場合に、特に達成されることができる。好ましくは使用される脂肪酸アルキルエステルは、これらの油から先行技術において知られた方法により得ることができる。
【0027】
特別な実施態様によれば、高C16:0/C18:0−グリセリド含量を有する油、例えばパーム油及び動物タローから誘導される油、及びそれらの誘導体、特に一価アルコールから誘導されるパーム油アルキルエステルが本発明によれば好ましい。パーム油(パーム脂肪とも)は、パーム果実の果肉から得られる。前記果実は、滅菌され、かつ圧搾される。それらの高カロテン含量のために、果実及び油は、精製工程において除去される赤橙色を有する。これらの油は、C18:0−グリセリドを80%まで含有しうる。
【0028】
本発明の他の実施態様によれば、高C18:1、C18:2及びC18:3−グリセリドの含量を有する油及びそれらの誘導体、特に一価アルコールから誘導されるアルキルエステル含分が好ましい。これらの油は、綿実油、小麦胚芽油、大豆油、オリーブ油、とうもろこし油、ひまわり油、サフラワー油、麻実油、キャノーラ/なたね油を含む。これらの油は好ましくは、C18:1、C18:2及び/又はC18:3−グリセリドを少なくとも60%、特に少なくとも75質量%及びより好ましくは少なくとも90質量%含有しうる。
【0029】
特に適したバイオディーゼル燃料は、脂肪酸の低級アルキルエステルである。ここでの例は、炭素原子を6〜30個、好ましくは12〜24個及びより好ましくは14〜22個有する脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リシノール酸、エレオステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサン酸、ガドレイン酸、ドコサン酸又はエルカ酸の、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル及び特にメチルエステルの市販混合物を含む。
【0030】
本発明の特別な態様において、脂肪酸部分中に炭素原子を少なくとも16個有する飽和脂肪酸エステルを好ましくは少なくとも30質量%、より好ましくは少なくとも35質量%及び最も好ましくは少なくとも40質量%含有するバイオディーゼル燃料が、好ましくは使用される。このバイオディーゼル燃料は、特にパルミチン酸及びステアリン酸の前記エステルを含む。当業者に予測できなかった利点は特に、パルミチン酸メチルエステル及び/又はステアリン酸メチルエステルを少なくとも6質量%、より好ましくは少なくとも10質量%及び最も好ましくは少なくとも40質量%含有する燃料を用いて達成されることができる。
【0031】
本発明の他の実施態様によれば、脂肪酸部分中に炭素原子を少なくとも18個有する不飽和脂肪酸エステルを好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも75質量%及び最も好ましくは少なくとも90質量%含有するバイオディーゼル燃料が、好ましくは使用される。このバイオディーゼル燃料は特に、オレイン酸、リノール酸及び/又はリノレン酸の前記エステルを含む。当業者に予測できなかった利点は特に、オレイン酸メチルエステル、リノール酸メチルエステル及び/又はリノレン酸メチルエステルを少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも60質量%及び最も好ましくは少なくとも80質量%含有する燃料を用いて達成されることができる。
【0032】
コストの理由のために、これらの脂肪酸エステルは、混合物として典型的に使用される。本発明によれば有用なバイオディーゼル燃料は好ましくは、多くとも150、特に多くとも125、より好ましくは多くとも70及び最も好ましくは多くとも60のヨウ素価を有する。ヨウ素価は、DIN 53241-1により決定されることができ、それ自体として知られた不飽和化合物の脂肪又は油中の含量の尺度である。そのため、本発明の燃料組成物は、前記ディーゼルエンジン中のデポジットを特に低レベルで形成する。そのうえ、これらの燃料組成物は、特に高いセタン価を示す。
【0033】
一般的に、本発明の燃料組成物は、バイオディーゼル燃料を少なくとも2質量%、特に少なくとも5質量%、とりわけ少なくとも10質量%、よりとりわけ少なくとも20質量%、殊に少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも80質量%及びより好ましくは少なくとも95質量%含有してよい。
【0034】
前記のように、本発明のバイオディーゼルは不純物を含有してよく、従って、低精製バイオディーゼルが使用されることができる。好ましくは、前記バイオディーゼルは、ステリルグリコシドを少なくとも5ppm、殊に少なくとも10ppm、特に少なくとも20ppm、好ましくは少なくとも30ppm及びより好ましくは少なくとも50ppm含有してよい。ステリルグリコシドは、当工業界において十分知られている。バイオディーゼル中に存在する前記ステリルグリコシドは、ステロールのヒドロキシル部分で炭水化物に結合されたステロール基を含んでなる。前記ステリルグリコシドは、前記炭水化物部分のヒドロキシル基にエステル化された脂肪酸を含有してもよく;これらの化合物は、アシル化ステリルグリコシドとして記載されうる。前記ステリルグリコシドは、ステロールグルコシド、ステリルグルコシド、又はステロールグリコシドを含む。
【0035】
アシル化ステリルグリコシドは、植物中に見出される、天然に存在する化合物である。前記アシル化ステリルグリコシドは、ステリルグリコシドの炭水化物部分の第一級ヒドロキシル基にアシル化された脂肪酸を有する炭水化物に結合されたステロール基を含んでなる。大豆抽出物中に存在する前記アシル化ステリルグリコシドの一種は、約47%で存在するβ−シトステロールの6′−リノレイル−β−D−グルコシドである。植物中で、他の脂肪酸又は一塩基カルボン酸、例えばパルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、及びリノレン酸は、前記炭水化物部分にエステル結合を介してアシル化されてもよい。前記アシル化ステリルグリコシドは、前記(アシル化されていない)ステリルグリコシドよりも植物中で2〜10倍豊富である。ステロリンとしても知られる、ステリルグリコシドは、バイオディーゼルが合成される油中にモノグリコシドとして存在するが、しかし幾つかのジグリコシドも存在する。ステリルグリコシド中の普通の糖は、D−グルコースであり、これは前記ステロールに3−β−ヒドロキシ基を介してエクアトリアル結合又はβ−グルコシド結合により結合される。ステリルグリコシド中に見出されうる他の単糖類は、マンノース、ガラクトース、アラビノース及びキシロースを含む。
【0036】
さらなる詳細については、例えば、前記のような"The Role of Sterol Glucosides on Filter Plugging", Biodiesel Magazine, April 2007参照。
【0037】
バイオディーゼル中のステリルグリコシドの存在は、クロマトグラフィー法、例えば高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により、検出されることができる。
【0038】
本発明のさらなる実施態様によれば、本発明に有用な前記バイオディーゼルは、少なくとも6時間、より好ましくは少なくとも8時間のランシマット(Ranzimat)値を有しうる。前記ランシマット値は、DIN EN 14112により決定されることができる。
【0039】
前記フィルタラビリティを向上させるためのいずれの添加剤なしでは、前記バイオディーゼルは好ましくは、500秒後の300mlのCSFT値、より好ましくは多くとも250mlの720秒後のCSFT値を有しうる。CSFT値は、ASTM D 7501法により決定されることができ、かつ前記及び後記のデータは、それぞれ、約720sの最大時間後に達成される体積及び前記試料300mlをろ過するのに必要とされる時間を考察する。CSFT値を測定するために、前記油の試料は、約4.4℃(40°F)の低温で約16時間貯蔵される。ついで前記試料は、前記試料を1枚の0.7μmガラス繊維ろ紙で真空ろ過する前に室温(20〜22℃)に温められる。前記真空圧力は、71.1〜84.7kPaの範囲内であるべきである。より詳細については、それぞれ、規格ASTM D 7501及びASTM D 6217参照。
【0040】
本発明の燃料組成物はさらに、前記フィルタラビリティを向上させるための少なくとも1種の添加剤を含有する。本発明の燃料組成物は好ましくは、前記フィルタラビリティを向上させるための少なくとも1種の添加剤を0.05〜5質量%、好ましくは0.08〜3質量%及びより好ましくは0.10〜1.0質量%含有することができる。
【0041】
特に、前記フィルタラビリティを向上させるための前記添加剤は、750〜100000g/モルの数平均分子量Mn及び1〜8の多分散性Mw/Mnを有する少なくとも1種のエステル基含有ポリマーを含有しうる。より好ましくは、前記エステル基含有ポリマーは、1000〜60000g/モルの範囲内の質量平均分子量Mwを有する。前記数平均分子量Mn及び前記質量平均分子量Mwは、標準としてのメタクリル酸メチルポリマーを用いるGPCにより決定されることができる。
【0042】
エステル基含有ポリマーは、本発明に関連して、エステル基を少なくとも1個有するエチレン系不飽和化合物を含んでなるモノマー組成物を重合することにより得ることができるポリマーを意味すると理解され、これらのエチレン系不飽和化合物は以下にエステルモノマーと呼ばれる。それに応じて、これらのポリマーは、前記側鎖の一部としてエステル基を含有する。
【0043】
本発明の特別な態様によれば、エチル酢酸ビニルをベースとするポリマーが、前記フィルタラビリティを向上させるための添加剤として使用されることができる。エチル酢酸ビニルをベースとする好ましいポリマーは、欧州特許(EP-B1)第0 739 971号明細書、欧州特許(EP-B2)第0 721 492号明細書及び欧州特許(EP-B1)第0 741 181号明細書に記載されている。1993年6月29日付で欧州特許庁に提出された出願番号96202136.6の欧州特許(EP-B1)第0 739 971号明細書;1994年7月22日付で欧州特許庁に提出された出願番号94924280.4の欧州特許(EP-B2)第0 721 492号明細書及び1993年6月29日付で欧州特許庁に提出された出願番号96202137.4の欧州特許(EP-B1)第0 741 181号明細書の文献は、参照により本明細書に取り込まれる。
【0044】
好ましくは、異なる前記EVAベースポリマーの混合物は、少なくとも1種のバイオディーゼル油を含んでなる前記燃料油の前記フィルタラビリティを向上させるために使用されることができる。第一EVAベースポリマーは、エチレン、酢酸ビニル及び(メタ)アクリラート、フマラート及び/又はマレアートのアルキルエステルを含んでなってよい。前記アルキルエステルは好ましくは、前記アルキル基中に炭素原子を6〜20個、より好ましくは7〜12個含有する。前記フマラート及び/又はマレアートとして、前記ジエステルが好ましい。前記第一EVAポリマーは好ましくは、50〜90モル%の範囲内のエチレン含量及び10〜40モル%の範囲内の酢酸ビニル含量を有する。(メタ)アクリラート、フマラート及び/又はマレアートから誘導されるアルキルエステルの量は、好ましくは1〜20モル%の範囲内、より好ましくは2〜10モル%の範囲内である。前記第一EVAポリマーの質量平均分子量Mwは好ましくは、10000〜50000g/モルの範囲内にあることができる。前記第一EVAポリマーの多分散性Mw/Mnは、好ましくは1.1〜5、より好ましくは1.5〜3の範囲内である。第二EVAポリマーは好ましくは、60〜95モル%の範囲内のエチレン含量及び5〜40モル%の範囲内の酢酸ビニル含量を有する。前記第二EVAポリマーの質量平均分子量Mwは、好ましくは1000〜10000g/モルの範囲内にあることができる。前記第二EVAポリマーの多分散性Mw/Mnは、好ましくは、1.1〜5、より好ましくは2.0〜4の範囲内である。
【0045】
本発明の好ましい実施態様によれば、前記フィルタラビリティを向上させるための前記添加剤は、ポリアルキル(メタ)アクリラート(PAMA)、ポリアルキルフマラート及び/又はポリアルキルマレアートを含みうる。
【0046】
ポリアルキル(メタ)アクリラート(PAMA)、ポリアルキルフマラート及び/又はポリアルキルマレアートを製造するためのエステルモノマーは、それ自体として知られている。それらは、特に(メタ)アクリラート、マレアート及びフマラートを含み、これらは異なるアルコール部分を有しうる。"(メタ)アクリラート"という表現は、メタクリラート及びアクリラート、及び前記2種の混合物を含む。これらのモノマーは広範に知られている。これに関連して、前記アルキル部分は、線状、環状又は分枝鎖状であってよい。前記アルキル部分は、公知の置換基を有していてもよい。
【0047】
"繰返し単位"という用語は、本技術分野において広範に知られている。当該エステル基含有ポリマーは好ましくは、モノマーのフリーラジカル重合により得ることができ、その際に、後で説明されるATRP、RAFT及びNMPの制御されたラジカルプロセス技術は、本発明に関連して前記フリーラジカルプロセスの中に含まれるが、このことは本発明に制限を課すことを何ら意図するものではない。これらのプロセスにおいて、二重結合は開いて共有結合を形成する。それに応じて、前記繰返し単位は、使用されるモノマーから得られる。
【0048】
前記エステル基含有ポリマーは好ましくは、アルコール部分中に炭素原子を7〜40個有するエステルモノマーから誘導される繰返し単位を含有する。好ましくは、前記ポリマーは、アルコール部分中に炭素原子を7〜40個、好ましくは7〜30個有するエステルモノマーから誘導される繰返し単位を少なくとも40質量%、特に少なくとも60質量%及びより好ましくは少なくとも80質量%含有する。
【0049】
好ましい実施態様によれば、前記ポリマーは、アルコール部分中に炭素原子を16〜40個、好ましくは16〜30個有するエステルモノマーから誘導される繰返し単位、及びアルコール部分中に炭素原子を7〜15個有するエステルモノマーから誘導される繰返し単位を含んでなってよい。
【0050】
前記エステル基含有ポリマーは、アルコール部分中に炭素原子を7〜15個有するエステルモノマーから誘導される繰返し単位を5〜100質量%、特に20〜98質量%及びより好ましくは30〜60質量%含有しうる。
【0051】
特別な態様において、前記エステル基含有ポリマーは、アルコール部分中に炭素原子を16〜40個、好ましくは16〜30個有するエステルモノマーから誘導される繰返し単位を0〜90質量%、好ましくは5〜80質量%及びより好ましくは40〜70質量%含有しうる。
【0052】
そのうえ、前記エステル基含有ポリマーは、アルコール部分中に炭素原子を1〜6個有するエステルモノマーから誘導される繰返し単位を0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜20質量%含有しうる。
【0053】
前記エステル基含有ポリマーは、エステルモノマーから誘導される繰返し単位を好ましくは少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも60質量%、特に好ましくは少なくとも80質量%及び極めて特に少なくとも95質量%含有する。
【0054】
本発明によるエステル基含有ポリマーを得ることができる混合物は、式(I)
【化1】

[式中、Rは、水素又はメチルであり、R1は、炭素原子1〜6個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基であり、R2及びR3はそれぞれ独立して、水素又は式−COOR′の基であり、ここで、R′は、水素であるか又は炭素原子を1〜6個有するアルキル基である]で示される1種又はそれ以上のエチレン系不飽和エステル化合物を0〜40質量%、特に0.1〜30質量%及びより好ましくは0.5〜20質量%含有しうる。
【0055】
成分(I)の例は、
飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリラート、フマラート及びマレアート、例えばメチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、t−ブチル(メタ)アクリラート及びペンチル(メタ)アクリラート、ヘキシル(メタ)アクリラート;
シクロアルキル(メタ)アクリラート、例えばシクロペンチル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラート
を含む。
【0056】
重合すべき組成物は好ましくは、式(II)
【化2】

[式中、Rは、水素又はメチルであり、R4は、炭素原子を7〜15個有する線状又は分枝鎖状のアルキル基であり、R5及びR6はそれぞれ独立して、水素又は式−COOR″の基であり、ここで、R″は水素であるか又は炭素原子を7〜15個有するアルキル基である]で示される1種又はそれ以上のエチレン系不飽和エステル化合物を0〜100質量%、特に5〜98質量%、特に20〜90質量%及びより好ましくは30〜60質量%含有する。
【0057】
成分(II)の例は、
飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリラート、フマラート及びマレアート、例えば2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、ヘプチル(メタ)アクリラート、2−t−ブチルヘプチル(メタ)アクリラート、オクチル(メタ)アクリラート、3−イソプロピルヘプチル(メタ)アクリラート、ノニル(メタ)アクリラート、デシル(メタ)アクリラート、2−プロピルヘプチル(メタ)アクリラート、ウンデシル(メタ)アクリラート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリラート、ドデシル(メタ)アクリラート、2−メチルドデシル(メタ)アクリラート、トリデシル(メタ)アクリラート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリラート、テトラデシル(メタ)アクリラート、ペンタデシル(メタ)アクリラート;
不飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリラート、例えばオレイル(メタ)アクリラート;
シクロアルキル(メタ)アクリラート、例えば3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリラート、ボルニル(メタ)アクリラート;及び相応するフマラート及びマレアート
を含む。
【0058】
そのうえ、好ましいモノマー組成物は、式(III)
【化3】

[式中、Rは、水素又はメチルであり、R7は、炭素原子を16〜40個及び好ましくは16〜30個有する線状又は分枝鎖状のアルキル基であり、R8及びR9はそれぞれ独立して、水素又は式−COOR′″の基であり、ここで、R′″は水素であるか又は炭素原子を16〜40個及び好ましくは16〜30個有するアルキル基である]で示される1種又はそれ以上のエチレン系不飽和エステル化合物を0〜100質量%、特に0.1〜90質量%、好ましくは5〜80質量%及びより好ましくは40〜70質量%含有する。
【0059】
成分(III)の例は、
飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリラート、例えばヘキサデシル(メタ)アクリラート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリラート、ヘプタデシル(メタ)アクリラート、5−イソプロピルヘプタデシル(メタ)アクリラート、4−t−ブチルオクタデシル(メタ)アクリラート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリラート、3−イソプロピルオクタデシル(メタ)アクリラート、オクタデシル(メタ)アクリラート、ノナデシル(メタ)アクリラート、エイコシル(メタ)アクリラート、セチルエイコシル(メタ)アクリラート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリラート、ドコシル(メタ)アクリラート及び/又はエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリラート;
シクロアルキル(メタ)アクリラート、例えば2,4,5−トリ−t−ブチル−3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリラート、2,3,4,5−テトラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリラート、
及び相応するフマラート及びマレアート
を含む。
【0060】
長鎖アルコール部分を有する前記エステル化合物、特に成分(II)及び(III)は、例えば、(メタ)アクリラート、フマラート、マレアート及び/又は相応する酸を長鎖脂肪アルコールと反応させることにより得ることができ、これは一般的にエステルの混合物、例えば前記アルコール部分中に異なる長鎖炭化水素を有する(メタ)アクリラートを生じさせる。これらの脂肪アルコールは、Oxo Alcohol(登録商標) 7911、Oxo Alcohol(登録商標) 7900、Oxo Alcohol(登録商標) 1100;Alfol(登録商標) 610、Alfol(登録商標) 810、Lial(登録商標) 125及びNafol(登録商標)タイプ(Sasol);Alphanol(登録商標) 79(ICI);Epal(登録商標) 610及びEpal(登録商標) 810(Afton);Linevol(登録商標) 79、Linevol(登録商標) 911及びNeodol(登録商標) 25E(Shell);Dehydad(登録商標)、Hydrenol(登録商標)及びLorol(登録商標)タイプ(Cognis);Acropol(登録商標) 35及びExxal(登録商標) 10(Exxon Chemicals);Kalcol(登録商標) 2465(Kao Chemicals)を含む。
【0061】
前記エチレン系不飽和エステル化合物の中では、前記(メタ)アクリラートが、前記マレアート及びフマラートよりも特に好ましく、すなわち、特に好ましい実施態様において式(I)、(II)及び(III)のR2、R3、R5、R6、R8及びR9はそれぞれ水素である。
【0062】
炭素原子を7〜15個有するエステルモノマーから誘導される単位、好ましくは式(II):炭素原子を16〜40個有するエステルモノマーから誘導される単位、好ましくは式(III)の質量比は、幅広い範囲内にあってよい。アルコール部分中に炭素原子を7〜15個有するエステルモノマーから誘導される繰返し単位:アルコール部分中に炭素原子を16〜40個有するエステルモノマーから誘導される繰返し単位の質量比は、好ましくは5:1〜1:30の範囲内、より好ましくは1:1〜1:3、特に好ましくは1:1.1〜1:2の範囲内である。
【0063】
成分(IV)は特に、式(I)、(II)及び/又は(III)のエチレン系不飽和エステル化合物と共重合されることができるエチレン系不飽和モノマーを含んでなる。
【0064】
しかしながら、本発明による重合に特に適したコモノマーは、式:
【化4】

[式中、R1*及びR2*はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、CN、1〜(2n+1)個のハロゲン原子により置換されていてよく、炭素原子を1〜20個、好ましくは1〜6個及びより好ましくは1〜4個有する線状又は分枝鎖状のアルキル基(ここで、nは、前記アルキル基の炭素原子の数である)(例えばCF3)、1〜(2n−1)個のハロゲン原子、好ましくは塩素により置換されていてよく、炭素原子を2〜10個、好ましくは2〜6個及びより好ましくは2〜4個有するα,β−不飽和の線状又は分枝鎖状のアルケニル又はアルキニル基(ここで、nは、前記アルキル基の炭素原子の数である)、例えばCH2=CCl−、1〜(2n−1)個のハロゲン原子、好ましくは塩素により置換されていてよく、炭素原子を3〜8個有するシクロアルキル基(ここで、nは、前記シクロアルキル基の炭素原子の数である);C(=Y*)R5*、C(=Y*)NR6*7*、Y*C(=Y*)R5*、SOR5*、SO25*、OSO25*、NR8*SO25*、PR5*2、P(=Y*)R5*2、Y*PR5*2、Y*P(=Y*)R5*2、NR8*2{これらは、付加的なR8*、アリール又はヘテロシクリル基で四級化されてよく、ここで、Y*は、NR8*、S又はO、好ましくはOであってよく;R5*は、炭素原子を1〜20個有するアルキル基、炭素原子を1〜20個有するアルキルチオ、OR15(R15は水素又はアルカリ金属である)、炭素原子1〜20個のアルコキシ、アリールオキシ又はヘテロシクリルオキシであり;R6*及びR7*はそれぞれ独立して、水素であるか又は炭素原子を1〜20個有するアルキル基であるか、又はR6*及びR7*は一緒になって、炭素原子を2〜7個、好ましくは2〜5個有するアルキレン基を形成してよく、この場合にこれらは3〜8員環、好ましくは3〜6員環を形成し、かつR8*は、水素であるか、炭素原子を1〜20個有する線状又は分枝鎖状のアルキル又はアリール基である}からなる群から選択され;
3*及びR4*は独立して、水素、ハロゲン(好ましくはフッ素又は塩素)、炭素原子を1〜6個有するアルキル基及びCOOR9*(ここで、R9*は、水素、アルカリ金属又は炭素原子を1〜40個有するアルキル基である)からなる群から選択され、あるいはR1*及びR3*は一緒になって、1〜2n′個のハロゲン原子又はC1〜C4アルキル基により置換されていてよい式(CH2n′の基を形成してよく、又は式C(=O)−Y*−C(=O)を形成してよい(ここで、n′は、2〜6、好ましくは3又は4であり、かつY*は、上記で定義されたとおりである);かつR1*、R2*、R3*及びR4*基の少なくとも2個は、水素又はハロゲンである)]に相当するものである。
【0065】
好ましいコモノマー(IV)は、
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、例えば3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリラート、1,10−デカンジオール(メタ)アクリラート;
アミノアルキル(メタ)アクリラート及びアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、3−ジエチルアミノペンチル(メタ)アクリラート、3−ジブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリラート;
(メタ)アクリル酸のニトリル及び他の窒素含有(メタ)アクリラート、例えばN−(メタクリロイルオキシエチル)ジイソブチルケチミン、N−(メタクリロイルオキシエチル)ジヘキサデシルケチミン、(メタ)アクリロイルアミドアセトニトリル、2−メタクリロイルオキシエチルメチルシアナミド、シアノメチル(メタ)アクリラート;
アリール(メタ)アクリラート、例えばベンジル(メタ)アクリラート又はフェニル(メタ)アクリラート、ここで、前記アクリル基はそれぞれ、非置換又4置換までされていることができる;
カルボニル含有(メタ)アクリラート、例えば2−カルボキシエチル(メタ)アクリラート、カルボキシメチル(メタ)アクリラート、オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリラート、
N−メタアクリロイルオキシ)ホルムアミド、アセトニル(メタ)アクリラート、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリルオキシオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシペンタデシル(−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシヘプタデシル−2−ピロリジノン;
エーテルアルコールの(メタ)アクリラート、例えばテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリラート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリラート、1−ブトキシプロピル(メタ)アクリラート、シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリラート、プロポキシエトキシエチル(メタ)アクリラート、ベンジルオキシエチル(メタ)アクリラート、フルフリル(メタ)アクリラート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリラート、2−エトキシ−2−エトキシエチル(メタ)アクリラート、2−メトキシ−2−エトキシプロピル(メタ)アクリラート、エトキシル化(メタ)アクリラート、1−エトキシブチル(メタ)アクリラート、メトキシエチル(メタ)アクリラート、2−エトキシ−2−エトキシ−2−エトキシエチル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸とメトキシポリエチレングリコールとのエステル;
ハロゲン化アルコールの(メタ)アクリラート、例えば2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリラート、4−ブロモフェニル(メタ)アクリラート、1,3−ジクロロ−2−プロピル(メタ)アクリラート、2−ブロモエチル(メタ)アクリラート、2−ヨードエチル(メタ)アクリラート、クロロメチル(メタ)アクリラート;
オキシラニル(メタ)アクリラート、例えば2,3−エポキシブチル(メタ)アクリラート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリラート、10,11−エポキシウンデシル(メタ)アクリラート、2,3−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリラート、オキシラニル(メタ)アクリラート、例えば10,11−エポキシヘキサデシル(メタ)アクリラート、グリシジル(メタ)アクリラート;
リン、ホウ素及び/又はケイ素を含有する(メタ)アクリラート、例えば2−(ジメチルホスファト)プロピル(メタ)アクリラート、2−(エチルホスフィト)プロピル(メタ)アクリラート、2−ジメチルホスフィノメチル(メタ)アクリラート、ジメチルホスホノエチル(メタ)アクリラート、ジエチルメタクリロイルホスホナート、リン酸ジプロピルメタクリロイル、2−(ジブチルホスホノ)エチル(メタ)アクリラート、ホウ酸2,3−ブチレンメタクリロイルエチル、メチルジエトキシメタクリロイルエトキシシラン、ジエチルホスファトエチル(メタ)アクリラート;
硫黄含有(メタ)アクリラート、例えばエチルスルフィニルエチル(メタ)アクリラート、4−チオシアナトブチル(メタ)アクリラート、エチルスルホニルエチル(メタ)アクリラート、チオシアナトメチル(メタ)アクリラート、メチルスルフィニルメチル(メタ)アクリラート、ビス(メタクリロイルオキシエチル)スルフィド;
ヘテロ環式(メタ)アクリラート、例えば2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリラート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリラート及び1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン;
(I)、(II)及び(III)で挙げられたものとは異なるマレイン酸及びマレイン酸誘導体、例えば無水マレイン酸、メチルマレイン酸無水物、マレイミド、メチルマレイミド;
(I)、(II)及び(III)で挙げられたものとは異なるフマル酸及びフマル酸誘導体;
ハロゲン化ビニル、例えば、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン及びフッ化ビニリデン;
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル;
芳香族基を有するビニルモノマー、例えばスチレン、側鎖中にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばα−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、環上にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばビニルトルエン及びp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン及びテトラブロモスチレン;
ヘテロ環式ビニル化合物、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール及び水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール及び水素化ビニルオキサゾール;
ビニルエーテル及びイソプレニルエーテル;
メタクリル酸及びアクリル酸
を含む。
【0066】
コモノマー(IV)の割合は、前記ポリマーの使用及び性質のプロフィールに依存して変動されることができる。一般的に、この割合は、0〜60質量%、好ましくは0.01〜20質量%及びより好ましくは0.1〜10質量%の範囲内であってよい。前記燃焼特性のため及び生態学的な理由のために、芳香族基、ヘテロ芳香族基、窒素含有基、リン含有基及び硫黄含有基を含んでなる前記モノマーの割合は、最小限にされることができる。これらのモノマーの割合は、故に、1質量%、特に0.5質量%及び好ましくは0.01質量%に制限されることができる。
【0067】
コモノマー(IV)及び式(I)、(II)及び(III)のエステルモノマーはそれぞれ、個々に又は混合物として使用されることができる。
【0068】
意外な利点は、とりわけ、ヒドロキシル含有モノマー及び/又はエーテルアルコールの(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を含んでなるエステル基含有ポリマーを用いて達成されることができる。前記ヒドロキシル含有モノマーは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート及びビニルアルコールを含む。これらのモノマーは、上記で詳細に開示されている。
【0069】
本発明により使用するための前記エステル基含有ポリマーは、750〜100 000g/モルの範囲内、好ましくは2 000〜70 000g/モルの範囲内及びより好ましくは5 000〜40 000g/モルの範囲内の数平均分子量を有する。好ましくは、本発明により使用するための前記エステル基含有ポリマーの質量平均分子量は、1000〜60000g/モルの範囲内、より好ましくは5000〜50000g/モルの範囲内である。
【0070】
前記のように、数平均分子量Mn及び質量平均分子量Mwは、標準としてのメタクリル酸メチルポリマーを用いるGPCにより決定されることができる。
【0071】
不飽和エステル化合物の重合により得ることができる好ましい前記コポリマーは好ましくは、1〜8、より好ましくは1.05〜6.0及び最も好ましくは1.2〜5.0の範囲内の多分散性Mw/Mnを有する。このパラメーターは、前記及び後記のようにGPCにより決定されることができる。
【0072】
本発明の特別な実施態様によれば、前記フィルタラビリティを向上させるための前記添加剤は、少なくとも2種のポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーを含んでなる。
【0073】
前記フィルタラビリティを向上させるための前記添加剤が、少なくとも2種のポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーを含んでなる場合には、前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーの1種は好ましくは、ヒドロキシル含有モノマー及び/又はエーテルアルコールの(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を含んでなる。ヒドロキシル含有モノマー及び/又はエーテルアルコールの(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を含んでなる前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーはさらに、アルコール部分中に炭素原子を7〜40個有するエステルモノマーから誘導される繰返し単位を含む。好ましくは、ヒドロキシル含有モノマー及び/又はエーテルアルコールの(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を有する前記ポリマーは、アルコール部分中に炭素原子を7〜40個、より好ましくは炭素原子7〜15個有するエステルモノマーから誘導される繰返し単位を少なくとも40質量%、特に少なくとも60質量%及びより好ましくは少なくとも80質量%含有する。特に、ヒドロキシル含有モノマー及び/又はエーテルアルコールの(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を有する前記ポリマーは、前記のようなヒドロキシル含有モノマー及び/又はエーテルアルコールの(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を0.1〜40質量%、特に1〜20質量%及びより好ましくは4〜12質量%含有してよい。前記ヒドロキシル含有モノマーは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート及びビニルアルコール類を含む。これらのモノマーは、上記で詳細に開示されている。
【0074】
ヒドロキシル含有モノマー及び/又はエーテルアルコールの(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を含んでなる前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーに加えて、前記フィルタラビリティを向上させるための好ましい添加剤はさらに、アルキル基中に炭素原子を16〜40個有するアルキル(メタ)アクリラートから誘導されている繰返し単位を含んでなるポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーを含む。
【0075】
前記のように、前記フィルタラビリティを向上させるための好ましい添加剤は、少なくとも2種のポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーを含んでなり、その際に、前記ポリマーの1種が、他のものよりも高い含量の、ヒドロキシル含有モノマー及び/又はエーテルアルコールの(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を有する。それに応じて、本発明による燃料混合物中で好ましくは使用される、アルキル基中に炭素原子を16〜40個有するアルキル(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を含んでなる好ましいポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーは好ましくは、ヒドロキシル含有モノマー及び/又はエーテルアルコールの(メタ)アクリラートから誘導される単位を多くとも5質量%、好ましくは多くとも3質量%、より好ましくは多くとも1質量%及び最も好ましくは多くとも0.1質量%含有する。
【0076】
本発明の好ましい態様によれば、ヒドロキシル含有モノマー及び/又はエーテルアルコールの(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を含んでなる前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーは好ましくは、他の前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーよりも低い分子量を有する。
【0077】
特に、アルキル基中に炭素原子を16〜40個有するアルキル(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を含んでなる前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマー:より低い分子量を有し、ヒドロキシル含有モノマー及び/又はエーテルアルコールの(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を含んでなる前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーの質量比は、10:1〜1:10の範囲内、より好ましくは3:1〜1:3の範囲内である。
【0078】
前記エステル基含有ポリマーの構成は、多くの用途及び性質にとって重要ではない。それに応じて、前記エステル基含有ポリマーは、ランダムコポリマー、勾配コポリマー、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマーであってよい。
【0079】
ブロックコポリマー及び勾配コポリマーは、例えば、連鎖生長中に不連続にモノマー組成を変えることにより、得ることができる。式(I)、(II)及び/又は(III)のエステル化合物から誘導される前記ブロックは好ましくは、少なくとも10個及びより好ましくは少なくとも30個のモノマー単位を有する。
【0080】
前記の組成物からの前記ポリアルキルエステルの製造は、それ自体として知られている。故に、これらのポリマーは、特にフリーラジカル重合及び関連プロセス、例えばATRP(=Atom Transfer Radical Polymerization, 原子移動ラジカル重合)又はRAFT(=Reversible Addition Fragmentation Chain Transfer, 可逆的付加開裂連鎖移動)により得ることができる。
【0081】
常用のフリーラジカル重合は、とりわけ、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Editionに、記載されている。一般的に、重合開始剤及び連鎖移動剤は、このために使用される。有用な前記開始剤は、本技術分野において広範に知られているアゾ開始剤、例えばAIBN及び1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、並びにペルオキシ化合物、例えばメチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、t−ブチルペル−2−エチルヘキサノアート、ケトンペルオキシド、t−ブチルペルオクトアート、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、過酸化ジベンゾイル、t−ブチルペルオキシベンゾアート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボナート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノアート、ジクミルペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボナート、2種又はそれ以上の前記の化合物の相互の混合物、及び前記の化合物と、記載されていないが、しかし同様にフリーラジカルを形成することができる化合物との混合物を含む。適した連鎖移動剤は、特に油溶性メルカプタン、例えばn−ドデシルメルカプタン又は2−メルカプトエタノール、さもなければテルペンの種類からの連鎖移動剤、例えばテルピノレンである。
【0082】
前記ATRPプロセスはそれ自体として知られている。これは"リビング"フリーラジカル重合であると想定されているが、前記機構の説明は制限を課すことを何ら意図するものではない。これらのプロセスにおいて、遷移金属化合物は、移動可能な原子団を有する化合物と反応される。これは、移動可能な前記原子団を遷移金属化合物に移動させ、前記金属を酸化させる。この反応は、エチレン系基上に付加するラジカルを形成する。しかしながら、前記遷移金属化合物への前記原子団の前記移動は可逆的であるので、前記原子団は、制御された重合系を形成する成長するポリマー鎖に移動して戻される。前記ポリマーの構造、分子量及び分子量分布は、相応して制御されることができる。
【0083】
この反応は、例えばJ-S. Wang, et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 117, p. 5614-5615 (1995)、Matyjaszewski, Macromolecules, vol. 28, p. 7901-7910 (1995)に、記載されている。そのうえ、国際公開(WO)第96/30421号、国際公開(WO)第97/47661号、国際公開(WO)第97/18247号、国際公開(WO)第98/40415号及び国際公開(WO)第99/10387号には、上記で説明された前記ATRPの変法が開示されている。
【0084】
そのうえ、本発明によるポリマーは、例えば、RAFT法によっても、得られうる。このプロセスは、詳細に、例えば、国際公開(WO)第98/01478号及び国際公開(WO)第2004/083169号に紹介され、これらは開示の目的のために明示的に参照される。
【0085】
そのうえ、本発明によるポリマーは、とりわけ、米国特許(US)第4581429号明細書に記載されている、NMPプロセス(ニトロキシド媒介重合)により、得ることができる。
【0086】
これらの方法は、包括的に、特にさらに参照して、とりわけ、K. Matyjaszewski, T.P. Davis, Handbook of Radical Polymerization, Wiley Interscience, Hoboken 2002に記載されており、これは開示の目的のために明示的に参照される。
【0087】
前記重合は、標準圧力、減圧又は高められた圧力で実施されてよい。重合温度は、一般的に、−20℃〜200℃、好ましくは0℃〜160℃及びより好ましくは60℃〜140℃の範囲内である。
【0088】
前記重合は、溶剤あり又はなしで実施されてよい。溶剤という用語は、ここでは広義で理解されるべきである。
【0089】
前記重合は好ましくは、無極性溶剤中で実施される。これらは、炭化水素溶剤、例えば芳香族溶剤、例えばトルエン、ベンゼン及びキシレン、飽和炭化水素、例えばシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカンを含み、これらは分枝鎖形で存在してもよい。これらの溶剤は、個々に及び混合物として使用されてよい。特に好ましい溶剤は、鉱油、鉱物由来のディーゼル燃料、天然の植物油及び動物油、バイオディーゼル燃料及び合成油(例えばエステル油、例えばジノニルアジパート)、並びにそれらの混合物である。これらの中では、鉱油及び鉱物ディーゼル燃料が極めて特に好ましい。
【0090】
本発明による燃料組成物は、問題への特別な解決手段を達成するために、さらに添加剤を含有してよい。これらの添加剤は、分散剤、例えばろう分散剤及び極性物質用の分散剤、解乳化剤、消泡剤、潤滑性添加剤、酸化防止剤、セタン価向上剤、洗剤、染料、腐食抑制剤及び/又は付臭剤を含む。
【0091】
例えば、本発明による燃料組成物は、例えば欧州特許出願公開(EP-A)第1 541 663号明細書に記載されるエチレンコポリマーを含有しうる。これらのエチレンコポリマーは、1種又はそれ以上のビニルエステル及び/又は(メタ)アクリルエステル8〜21モル%及びエチレン79〜92質量%を含有してよい。少なくとも1種のビニルエステルを10〜18モル%及び特に12〜16モル%含有するエチレンコポリマーが特に好ましい。適したビニルエステルは、炭素原子を1〜30個有する線状又は分枝鎖状のアルキル基を有する脂肪酸から誘導される。例は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチラート、ビニルヘキサノアート、ビニルヘプタノアート、ビニルオクタノアート、ビニルラウラート及びステアリン酸ビニル、並びに分枝鎖状脂肪酸をベースとするビニルアルコールのエステル、例えばビニルイソブチラート、ビニルピバラート、ビニル2−エチルヘキサノアート、ビニルイソノナノアート、ビニルネオノナノアート、ビニルネオデカノアート及びビニルネオウンデカノアートを含む。同様に適したコモノマーは、アルキル基中に炭素原子1〜20個を有するアクリル酸及びメタクリル酸のエステル、例えばメチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、プロピル(メタ)アクリラート、n−及びイソブチル(メタ)アクリラート、ヘキシル(メタ)アクリラート、オクチル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、デシル(メタ)アクリラート、ドデシル(メタ)アクリラート、テトラデシル(メタ)アクリラート、ヘキサデシル(メタ)アクリラート、オクタデシル(メタ)アクリラート、並びに2種、3種又は4種、さもなければそれ以上のこれらのコモノマーの混合物である。
【0092】
ビニル2−エチルヘキサノアート、ビニルネオノナノアート及びビニルネオデカノアートの特に好ましいターポリマーは、エチレンとは別に、好ましくは3.5〜20モル%、特に8〜15モル%の酢酸ビニル及び0.1〜12モル%、特に0.2〜5モル%の、特に長鎖のビニルエステルを含有し、その際に全コモノマー含量は、8〜21モル%、好ましくは12〜18モル%である。さらに好ましいコポリマーは、エチレン及び8〜18モル%のビニルエステルに加えて、0.5〜10モル%のオレフィン、例えばプロペン、ブテン、イソブチレン、ヘキセン、4−メチルペンテン、オクテン、ジイソブチレン及び/又はノルボルネンも含有する。
【0093】
前記エチレンコポリマーは好ましくは、20〜10 000mPas、特に30〜5000mPas及び特に50〜1000mPasの140℃での溶融粘度に相当する分子量を有する。1H NMR分光法を用いて決定される分枝度は、好ましくはCH2基100個につきCH3基1〜9個、特にCH2基100個につきCH3基2〜6個、例えばCH2基100個につきCH3基2.5〜5個であり、これらの基は前記コモノマーに由来しない。
【0094】
そのようなエチレンコポリマーは、詳細に、とりわけ、独国特許出願公開(DE-A)第34 43 475号明細書、欧州特許(EP-B)第0 203 554号明細書、欧州特許(EP-B)第0 254 284号明細書、欧州特許(EP-B)第0 405 270号明細書、欧州特許(EP-B)第0 463 518号明細書、欧州特許(EP-B)第0 493 769号明細書、欧州特許(EP)第0 778 875号明細書、独国特許出願公開(DE-A)第196 20 118号明細書、独国特許出願公開(DE-A)第196 20 119号明細書及び欧州特許出願公開(EP-A)第0 926 168号明細書に、記載されている。
【0095】
これに関連して、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、及びエチレン及び酢酸ビニル繰返し単位に加えて(メタ)アクリルエステル繰返し単位も有するターポリマーが好ましい。これらのポリマーは、例えば、ランダムコポリマーとして、ブロックコポリマーとして又はグラフトコポリマーとして、構造化されてよい。
【0096】
好ましい実施態様において、本発明による燃料組成物は、エチレンコポリマーを0.0005〜2質量%、好ましくは0.01〜0.5質量%含有しうる。
【0097】
コストの理由のために、しかしながら、前記のエチレンコポリマーの割合は、さらなる実施態様において省かれることができ、この場合に有意な割合のエチレンコポリマーを有しないこれらの燃料組成物が傑出した性質を有する。この特別な実施態様において、エチレンコポリマーの割合は好ましくは、多くとも0.05質量%、より好ましくは多くとも0.001質量%及び最も好ましくは多くとも0.0001質量%でありうる。
【0098】
本発明の燃料組成物は、鉱物由来のディーゼル燃料、すなわちディーゼル、軽油又はディーゼル油を含んでなりうる。鉱物ディーゼル燃料は、それ自体として広範に知られており、かつ商業的に入手可能である。これは、ディーゼルエンジン用の燃料として適している異なる炭化水素の混合物を意味すると理解される。ディーゼルは、中間留分として、特に原油の蒸留により得ることができる。前記ディーゼル燃料の主成分は好ましくは、分子あたり炭素原子を約10〜22個有するアルカン、シクロアルカン及び芳香族炭化水素を含む。
36個までの炭素原子の少しより長鎖のn−パラフィンが典型的に存在してよく、かつディーゼル燃料のコールドフロー特性に有意に影響を及ぼしうる。
【0099】
鉱物由来の好ましいディーゼル燃料は、120℃〜450℃、より好ましくは170℃〜390℃の範囲内で沸騰する。硫黄を0.05質量%及びそれ未満、より好ましくは硫黄を350ppm未満、特に硫黄を200ppm未満及び特殊な場合に硫黄を50ppm未満、例えば硫黄を10ppm未満含有するそれらの中間留分を使用することが好ましい。それらは好ましくは、水素化条件下で精製にかけられ、故に少ない割合のポリ芳香族化合物及び極性化合物のみを含有するそれらの中間留分である。それらは好ましくは、370℃未満、特に350℃未満及び特別な場合に330℃未満の95%蒸留点を有するそれらの中間留分である。例えば、フィッシャー−トロプシュプロセス又はガス・ツー・リキッドプロセス(GTL)により得ることができるような合成燃料は、鉱物由来のディーゼル燃料としても適している。
【0100】
好ましくは使用すべき鉱物由来のディーゼル燃料の動粘度は、ASTM D 445により40℃で測定され、0.5〜8mm2/s、より好ましくは1〜5mm2/s、及び特に好ましくは1.5〜3mm2/sの範囲内である。
【0101】
環境保護の理由のために、鉱物由来のディーゼル燃料の割合は好ましくは、多くとも95質量%、特に多くとも90質量%、より好ましくは多くとも80質量%、殊に多くとも60質量%及び最も好ましくは多くとも15質量%に限定されうる。
【0102】
当該燃料油組成物は、前記のようなASTM D 7501による卓越したフィルタラビリティを有する。好ましくは、前記バイオディーゼルは、前記フィルタラビリティを向上させるための有効量の前記添加剤ありで、多くとも300mlの350秒後のCSFT値を有する。特に、300mlの体積が、多くとも300秒の期間後に、より好ましくは多くとも200秒の期間後に達成されることができる。
【0103】
本発明による燃料組成物は、傑出した低温特性を有する。より詳しくは、ASTM D97による流動点(PP)は好ましくは、18℃又はそれ以下、好ましくは0℃又はそれ以下及びより好ましくは−12℃又はそれ以下の値を有する。本発明により使用するためのポリマーを添加しない前記バイオディーゼル燃料を基準として、3℃、好ましくは6℃及び最も好ましくは>6℃の流動点の向上を達成することが予期せずに可能である。
【0104】
DIN EN 116により測定される目詰まり点(CFPP)の限度は、好ましくは16℃、より好ましくは0℃及びより好ましくは−12℃である。そのうえ、好ましい燃料組成物のASTM D2500による曇り点(CP)は、16℃又はそれ以下、好ましくは0℃又はそれ以下及びより好ましくは−12℃又はそれ以下の値を想定しうる。
【0105】
通常、燃料油組成物は、燃料油を少なくとも70質量%、より好ましくは少なくとも90質量%及び最も好ましくは少なくとも98質量%含有する。有用な燃料油は、鉱物由来のディーゼル燃料及びバイオディーゼル燃料油を含む。
【0106】
本発明による燃料組成物は好ましくは、多くとも30、より好ましくは多くとも20及び最も好ましくは多くとも10のヨウ素価を有する。
【0107】
本発明による燃料組成物のDIN 51773によるセタン価は、好ましくは少なくとも50、より好ましくは少なくとも53、特に少なくとも55及び最も好ましくは少なくとも58である。
【0108】
当該燃料組成物の粘度は、幅広い範囲内にあってよく、かつこの特徴は、意図された使用に調節されることができる。この調節は、例えば、前記バイオディーゼル燃料又は前記鉱物ディーゼル燃料を選択することにより、行われることができる。そのうえ、前記粘度は、使用される前記エステル含有ポリマーの量及び分子量により変動されることができる。本発明の好ましい燃料組成物の動粘度は、ASTM D445により40℃で測定され、1〜10mm2/s、より好ましくは2〜5mm2/s及び特に好ましくは2.5〜4mm2/sの範囲内である。
【0109】
バイオディーゼルを含んでなる燃料油の前記フィルタラビリティを向上させるための、750〜100000g/モルの数平均分子量Mn及び1〜8の多分散性Mw/Mnを有するポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーの使用はそれに応じて、格別の性質を有する燃料組成物を提供する。そのような態様に関して、低精製バイオディーゼルは、ASTM D 7501の要件に適合させるために使用されることができる。
【0110】
それに加えて、本発明は、バイオディーゼルを含んでなる燃料油の前記フィルタラビリティを向上させる方法を提供し、その際に前記フィルタラビリティを向上させるための添加剤が、前記燃料油組成物に添加される。特に750〜100000g/モルの数平均分子量Mn及び1〜8の多分散性Mw/Mnを有するポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーは、前記フィルタラビリティを向上させるための添加剤として、前記燃料油組成物に添加されることができる。
【0111】
本発明は、実施例及び比較例に関連して以下に詳細に説明されるが、このことが制限を課すことを何ら意図するものではない。他に記載されない限り、百分率は質量%である。
【0112】
実施例及び比較例
前記ポリマーを製造するための一般的方法
それぞれ第1表に詳述された組成によるモノマー組成物600g及びn−ドデシルメルカプタン(所望の分子量に依存して20g〜2g)を混合する。このモノマー/調節剤混合物44.4gを、キャリヤー油(例えば100N鉱油、合成ジノニルアジパート又は植物油)400gと一緒に、sabre撹拌機、凝縮器、温度計、フィードポンプ及びN2フィードラインを備えた装置の2l反応フラスコ中へ装入する。前記装置を不活性化し、油浴を用いて100℃に加熱する。モノマー/調節剤混合物555.6gの残りの量を、t−ブチルペルオクトアート1.4gと混合する。前記反応フラスコ中の前記混合物が100℃の温度に達したら、t−ブチルペルオクトアート0.25gを添加し、ポンプを用いるモノマー/調節剤/開始剤混合物の前記フィードを同時に開始する。前記添加を、100℃で210分の期間に亘って一様に行う。供給の終了2h後に、t−ブチルペルオクトアートをさらに1.2g添加し、かつ前記混合物を100℃でさらに2h撹拌する。60%の澄明な濃縮物が得られる。
【0113】
前記ポリマーの質量平均分子量Mw及び多分散性指数PDIを、GPCにより測定した。前記測定を、テトラヒドロフラン中で35℃で、Mピークが5×106〜2×102g/モルの範囲に亘って対数的に一様に分布された≧25の標準のセットから構成されるポリメタクリル酸メチル校正曲線(Polymer Standards Service又はPolymer Laboratories)に対して行った。6本のカラム(Polymer Standards Service SDV 100Å/SDV LXL 2本/SDV 100Å 2本/Shodex KF-800D)の組合せを使用した。前記信号を記録するために、RI検出器(Agilent 1100 Series)を使用した。
【0114】
【表1】

【0115】
その後に、こうして得られたポリマーを、キャノーラ油から誘導されるバイオディーゼル組成物中で調査した。前記バイオディーゼルは、約63.1%のオクタデセン酸メチルエステル(特にオレイン酸メチルエステル);約18.0%のオクタデカジエン酸メチルエステル(特にリノール酸メチルエステル);約8.3%のオクタデカトリエン酸メチルエステル(特にリノレン酸メチルエステル);約4.1%のヘキサデカン酸メチルエステル(特にパルミチン酸メチルエステル);約2.1%のオクタデカン酸メチルエステル(特にステアリン酸メチルエステル);約1.4%のエイコサン酸メチルエステル(特にアラキン酸メチルエステル)を含有し;かつ残部は、1%未満の量の他の飽和及び不飽和の脂肪酸メチルエステルにより形成されていた。前記分析は、ガスクロマトグラフィー(GC)により行われ、かつ%は、前記クロマトグラムの前記ピーク面積に基づいている。
【0116】
前記組成物の前記フィルタラビリティを調査するために、ASTM D 7501による前記燃料組成物のCold Soak Filter Test(低温浸漬ろ過試験、CSFT)値を測定した。
【0117】
【表2】

【0118】
前記例は明らかに、バイオディーゼルの前記フィルタラビリティが、驚異的に向上されることができることを示している。例1によるアルキルメタクリラートからなる前記添加剤が、前記CSFT値を著しく向上させることができる一方で、前記のようなポリマーPAMA 1及びPAMA 2の混合物は、意外な相乗効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオディーゼル油を含有する燃料油組成物であって、
前記燃料組成物が、フィルタラビリティを向上させるための少なくとも1種の添加剤を含有することを特徴とする、バイオディーゼル油を含有する燃料油組成物。
【請求項2】
フィルタラビリティを向上させるための添加剤が、750〜100000g/モルの数平均分子量Mn及び1〜8の多分散性Mw/Mnを有する少なくとも1種のエステル基含有ポリマーを含有する、請求項1記載の燃料油組成物。
【請求項3】
前記エステル基含有ポリマーが、1000〜60000g/モルの範囲内の質量平均分子量Mwを含有する、請求項2記載の燃料油組成物。
【請求項4】
前記エステル基含有ポリマーが、750〜100000g/モルの数平均分子量Mn及び1〜8の多分散性Mw/Mnを有するポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーである、請求項2記載の燃料油組成物。
【請求項5】
前記エステル基含有ポリマーが、1000〜60000g/モルの範囲内の質量平均分子量Mwを有するポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーである、請求項3記載の燃料油組成物。
【請求項6】
前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーが、アルキル基中に炭素原子を7〜40個有するアルキル(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を少なくとも40質量%含有する、請求項4記載の燃料油組成物。
【請求項7】
前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーの多分散性Mw/Mnが、1.2〜5の範囲内である、請求項4記載の燃料油組成物。
【請求項8】
前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーが、アルキル基中に炭素原子16〜40個を有するアルキル(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を5〜80質量%含有する、請求項4記載の燃料油組成物。
【請求項9】
前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーが、3:1〜1:1の範囲内の、アルキル基中に炭素原子を16〜40個有するアルキル(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位:アルキル基中に炭素原子を7〜15個有するアルキル(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位の質量比を有する、請求項8記載の燃料油組成物。
【請求項10】
フィルタラビリティを向上させるための前記添加剤が、少なくとも2種のポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーを含有する、請求項1記載の燃料油組成物。
【請求項11】
前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーの1種が、アルキル基中に炭素原子を16〜40個有するアルキル(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を含有する、請求項10記載の燃料油組成物。
【請求項12】
前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーの一種が、ヒドロキシル含有モノマー及び/又はエーテルアルコールの(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を含有する、請求項11記載の燃料油組成物。
【請求項13】
ヒドロキシル含有モノマー及び/又はエーテルアルコールの(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を有する前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーが、他の前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーよりも低い分子量を有する、請求項12記載の燃料油組成物。
【請求項14】
アルキル基中に炭素原子を16〜40個有するアルキル(メタ)アクリラートから誘導される繰返し単位を含有する前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマー:他の前記ポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーの質量比が、10:1〜1:10の範囲内である、請求項12記載の燃料油組成物。
【請求項15】
前記組成物が、少なくとも70質量%の燃料油を含有する、請求項1記載の燃料油組成物。
【請求項16】
前記燃料油が鉱油を含有する、請求項1記載の燃料油組成物。
【請求項17】
前記バイオディーゼルが、炭素原子1〜4個を有する一価アルコールから誘導される脂肪酸エステルを含有する、請求項1記載の燃料油組成物。
【請求項18】
前記バイオディーゼルが、メタノール及び/又はエタノール及び飽和脂肪酸から誘導される脂肪酸エステルを少なくとも10質量%含有する、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
前記バイオディーゼルが、ステリルグリコシドを少なくとも5ppm含有する、請求項1記載の燃料油組成物。
【請求項20】
前記バイオディーゼルが、ステリルグリコシドを少なくとも20ppm含有する、請求項19記載の燃料油組成物。
【請求項21】
前記バイオディーゼルが、少なくとも6時間のランシマット値を有する、請求項1記載の燃料油組成物。
【請求項22】
前記バイオディーゼルが、フィルタラビリティを向上させるためのいずれかの添加剤なしで、300mlの500秒後のCSFT値を有する、請求項1記載の燃料油組成物。
【請求項23】
前記バイオディーゼルが、フィルタラビリティを向上させるためのいずれかの添加剤なしで、多くとも250mlの720秒後のCSFT値を有する、請求項22記載の燃料油組成物。
【請求項24】
前記バイオディーゼルが、フィルタラビリティを向上させるための有効量の前記添加剤ありで、多くとも300mlの350秒後のCSFT値を有する、請求項1記載の燃料油組成物。
【請求項25】
前記バイオディーゼルが、フィルタラビリティを向上させるための添加剤を0.15〜1.0質量%含有する、請求項1記載の燃料油組成物。
【請求項26】
バイオディーゼルを含有する燃料油のフィルタラビリティを向上させる方法であって、
フィルタラビリティを向上させるための添加剤を、前記燃料油組成物に添加する、燃料油のフィルタラビリティを向上させる方法。
【請求項27】
750〜100000g/モルの数平均分子量Mn及び1〜8の多分散性Mw/Mnを有するポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーを、フィルタラビリティを向上させるための添加剤として前記燃料油組成物に添加する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
バイオディーゼルを含有する燃料油のフィルタラビリティを向上させるための、750〜100000g/モルの数平均分子量Mn及び1〜8の多分散性Mw/Mnを有するポリアルキル(メタ)アクリラートポリマーの使用。

【公表番号】特表2013−518944(P2013−518944A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551520(P2012−551520)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069684
【国際公開番号】WO2011/095249
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(312017709)エボニック オイル アディティヴス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Oil Additives GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】