説明

向上した始動中の速度推定のためのジャイロスコープの動的モータ振幅補償

【課題】電力供給後の始動段階において、速やかに正確な速度情報をもたらすことができるジャイロスコープ装置のシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】始動中のジャイロスコープ110の動的モータ振幅補償のためのシステムは、始動中のジャイロスコープのモータ振幅成長のモデルに基づいて、アプリオリのモータ振幅信号122を生成するように構成されたアプリオリのモータ振幅モジュール120と、定常状態のスケール係数モジュール124と、アプリオリのモータ振幅信号および定常状態のスケール係数信号を受けるように構成された動的モータ振幅補償モジュール128とを含む。動的モータ振幅補償モジュールは、ジャイロスコープからの測定されたモータ振幅信号116、アプリオリのモータ振幅信号、を受け、始動段階の間に、検出された速度信号に適用される時変スケール係数130を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、例えば、向上した始動中の速度推定のためのジャイロスコープの動的モータ振幅補償に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]ジャイロスコープが始動する間、ジャイロスコープのモータは、完全な定常状態の振幅に達するまでに有限の時間がかかる。この時間の間、速度推定値(rate estimate)(必要な場合)は、一般に正確ではない。音叉(tuning fork)ジャイロスコープなどのジャイロスコープを用いる速度検出は、ジャイロスコープのモータが立ち上がってほぼ定常状態で作動するまでは、現在の方法では、概して避けられてきた。
【0003】
[0002]音叉ジャイロスコープにおいて、検出された速度は、振動するプルーフマス(proof-mass)のピークピーク振幅(peak-to-peak amplitude)に比例する。この振幅は、(電力が印加される前の)ゼロから始まり、次いで始動中のある期間にわたって最終の定常状態の振幅に成長するので、この時間の間の検出速度(sensing rate)は不適当である。正しくは、検出速度は、定常状態のモータ振幅が達成された後の期間に限定されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0003]ジャイロスコープのモータが全振幅を達成するために、どれだけの長さの時間がかかるかによって、電力印加時点からの達成可能な速度検出の遅れは、大きな影響を与える。いくつかのジャイロスコープの用途は、始動直後に(very shortly after activation)正確に作動することを要求する。例えば、慣性計測装置(inertial measurement unit)(IMU)および速度センサ(rate sensor)において使用されるような、最新の音叉ジャイロスコープ装置は、正確な速度検出動作に到達するのに約0.4秒〜3秒かかる。この遅延は、電力印加後の可能な限り速やかな時点で速度検出情報を必要とする、高精度誘導用途にとって、容認し得ないものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0004]改良された速度検出のための、始動中のジャイロスコープの動的モータ振幅補償のためのシステムおよび方法が提供される。システムは、少なくとも1つのジャイロスコープと、ジャイロスコープと動作可能に通信する少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサに動作可能に結合される少なくとも1つのメモリユニットとを備える。メモリユニットおよびプロセッサは、始動中のジャイロスコープのモータ振幅成長(motor amplitude growth)のモデルに基づいて、アプリオリの(a-priori)モータ振幅信号を生成するように構成されたアプリオリのモータ振幅モジュールと、定常状態のスケール係数信号を生成するように構成された定常状態のスケール係数(scale factor)モジュールと、モータ振幅モジュールからのアプリオリのモータ振幅信号および定常状態のスケール係数モジュールからの定常状態のスケール係数信号を受けるように構成された動的モータ振幅補償モジュールとを含むプログラムモジュールをそれぞれ記憶し、実行するように構成される。ジャイロスコープに対する始動段階の間の方法を実施することにおいて、速度運動(rate motion)がジャイロスコープによって検出され、検出された速度信号が、ジャイロスコープによって出力される。動的モータ振幅補償モジュールは、ジャイロスコープからの測定されたモータ振幅信号、モータ振幅モジュールからのアプリオリのモータ振幅信号、またはそれらの組合せを受ける。動的モータ振幅補償モジュールは、始動段階の間にジャイロスコープから速やかで正確な検出された速度を生み出すために、検出された速度信号に適用される時変(time varying)スケール係数を出力する。
【0006】
[0005]図面は、単に例示的実施形態を描いており、それゆえ範囲を限定するものとみなされるべきではないという理解の下に、例示的実施形態が、添付の図面を使用して、付加的な特殊性および詳細内容と共に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】[0006]一実施形態による、ジャイロスコープの動的モータ振幅補償のための制御システムのブロック図である。
【図1B】[0007]一実施形態による、ジャイロスコープの動的モータ振幅補償のための支援システム(supporting system)のブロック図である。
【図2】[0008]図1Aの制御システム内で使用される動的スケール係数補償のためのプロセスの流れ図である。
【図3】[0009]図2のプロセス内で使用されるモータ振幅速度補償アルゴリズムの流れ図である。
【図4】[0010]モータ振幅速度補償を用いるジャイロスコープ始動試験の結果を示すプロットのグラフである。
【図5】[0011]8つのジャイロスコープの、静止中の(while at rest)ターンオン(turn-on)からのデータを示すプロットのグラフである。
【図6】[0012]図5のプロットと同じデータに、モータ振幅速度補償が適用されたデータを示すプロットのグラフである。
【図7】[0013]ジャイロスコープの始動の主たる段階(main phase)を示す時系列(timeline)図である。
【図8】[0014]ジャイロスコープの動的モータ振幅補償のためのプロセスを実施することができるコンピュータシステムの一実施形態のブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0015]以下の詳細な説明において、具体的な例示的実施形態を例として示される添付の図面が、参照される。他の実施形態が使用されてよく、また、機械的および電気的な変更がなされてよいことを理解されたい。それゆえ、以下の詳細な説明は、限定的な意味に取られるべきではない。
【0009】
[0016]システムおよび方法が、ジャイロスコープが始動する間の速やかな速度推定を向上させる、ジャイロスコープの動的モータ振幅補償のために提供される。部分的モータ振幅と完全なモータ振幅との間の始動期間の間、実際のジャイロスコープのスケール係数が変化している。本アプローチは、瞬間的なモータ振幅の関数である、動的に変化するスケール係数を適用することによって、ジャイロスコープの始動段階の間に速度検出が達成されることを可能にする。その結果は、ジャイロスコープの電源投入サイクル(power-up cycle)においてより早期に正確な速度を検出することを可能にする。
【0010】
[0017]一実施形態では、ジャイロスコープのための制御システムは、スケール係数を調整するために、始動におけるモータ振幅を動的に使用して、完全で安定なモータ振幅が達成される前に、早期に速度を検出することを可能にする。初期の電力印加の動作と定常状態の動作との間のジャイロスコープのモータ振幅は、(1)実時間で測定されてよく、または(2)機械的モデルに基づいてアプリオリに特徴付けられてよい。例えば、動的スケール係数補償による速度検出は、初期のモータ始動の動作から最終の定常状態のモータ動作までの期間の間、実時間モータ振幅測定から導かれてよい。あるいは、動的スケール係数補償による速度検出は、初期のモータ始動から最終の定常状態のモータ動作までの期間の間、アプリオリなモータ振幅の数学的特性評価(characterization)を使用してもたらされてよい。
【0011】
[0018]動的スケール係数関数が、ジャイロスコープの始動段階の間、ジャイロスコープのモータ振幅情報を使用することによって安定な速度検出をもたらす。この関数は、ジャイロスコープのモータ始動の期間の間でかつ従来のジャイロスコープのシステムにおける時間より早期に、安定で正確な速度検出が達成されるように、ジャイロスコープのスケール係数を調節するために実時間ジャイロスコープのモータ振幅の知識を利用する。
【0012】
[0019]1つのアプローチでは、本方法が、実時間ソフトウェア補償アルゴリズムにおいて実施されてよい。アルゴリズムへの入力は、生のジャイロスコープの速度情報と、ジャイロスコープの動作構成情報と、時間の関数としてのジャイロスコープのモータ振幅の知識とである。アルゴリズムは、時間の関数としてのジャイロスコープの速度出力に対する調整利得(他にはスケール係数として知られる)をもたらす。アルゴリズムは、(1)ジャイロスコープ始動時系列の間のジャイロスコープのモータ振幅成長について知られるアプリオリな情報を使用してよく、または、(2)ジャイロスコープからの実時間モータ振幅測定を使用してよく、またはこれら2つの組合せを使用してよい。アルゴリズムの出力は、ジャイロスコープのモータが部分的振幅から全振幅に進行している間に、正確なジャイロスコープの速度情報をもたらす、補償された速度である。
【0013】
[0020]別のアプローチでは、本方法は、同じ補償アルゴリズムを達成するために、完全にアナログ電子形態で実施されてよい。
[0021]本方法は、始動中に変化するジャイロモータ振幅に対して動的に補償することによって、速やかでより正確なジャイロスコープの速度出力を得るために使用されてよい。本アプローチは、実時間で実施されてよく、異なるジャイロスコープのモータの構成および設計に適用可能である。本システムは、ジャイロスコープの始動時間を改良し、始動シーケンス全体を通して、もたらされる速度検出精度を改良する。このことが、始動動作と完全な動作との間の時間を著しく低減する。加えて、システムは、アナログまたはディジタルの形態で実施されてよい。
【0014】
[0022]システムおよび方法の他の詳細が、図面に関して以後の明細書で説明される。
[0023]図1Aは、一実施形態によるジャイロスコープ110のための制御システム100のブロック図である。制御システム100は、全体として、アプリオリのモータ振幅モジュール120と、定常状態のスケール係数モジュール124と、動的モータ振幅補償モジュール128と、乗算器132とを含む。アプリオリのモータ振幅モジュール120および定常状態のスケール係数モジュール124は、共に、動的モータ振幅補償モジュール128と動作可能に通信する。ジャイロスコープ110は、動的モータ振幅補償モジュール128および乗算器132と動作可能に通信する。動的モータ振幅補償モジュール128の出力は、乗算器132と動作可能に通信する。
【0015】
[0024]ジャイロスコープ110は、音叉ジャイロスコープ、回転質量(spinning mass)ジャイロスコープ、または微小電子機械システム(Micro-Electro-Mechanical Systems)(MEMS)ジャイロスコープなど、多様なジャイロスコープのうちの任意の1つであってよい。本方法は、そのプルーフマス運動に関連する有限の始動時間を有する任意のジャイロスコープに適用されてよい。
【0016】
[0025]アプリオリのモータ振幅モジュール120は、始動中のジャイロスコープのモータ振幅成長の速度を説明する数学的モデルに基づくソフトウェアパッケージを含む。時間tにおける速度サンプルのそれぞれに対して、達成されたモータ振幅は(補助単位(fractional unit)において)、
Motor_ampl_model(t)=(t−T0)/(T2−T0)、
ここで
t=速度データサンプルの時間
T0=ジャイロモータが全振幅の10%に到達する時間
T2=ジャイロモータが全振幅に到達する時間
Motor_ampl_model(t)=時間tにおけるジャイロモータ振幅
である。T0は、ジャイロモータ始動命令(start command)によって求められる。計算は、(t−T0)>(T2−T0)の10%、の制約の下でのみ有効である。T2は、前の始動時間の特性評価(time to start characterization)によって求められる。
【0017】
[0026]制御システム100の動作の間、速度運動112が、速度が検出されるべき車両または他の対象物(図示されず)に取り付けられるジャイロスコープ110によって検出される。検出された速度信号114は、ジャイロスコープ110によって生成されて乗算器132に送られる。一実施形態では、測定されたモータ振幅信号116が、ジャイロスコープ110から出力され、さらなる処理のために動的モータ振幅補償モジュール128に送られる。別の実施形態では、ジャイロスコープ110のモータ振幅始動が予測可能であるならば、アプリオリのモータ振幅信号122が、モータ振幅モジュール120から出力され、動的モータ振幅補償モジュール128に送信される。あるいは、測定されたモータ振幅信号116およびアプリオリのモータ振幅信号122の両方が、必要ならば、動的モータ振幅補償モジュール128に送信されてよい。
【0018】
[0027]定常状態のスケール係数信号126が、定常状態のスケール係数モジュール124から出力され、動的モータ振幅補償モジュール128に送られて改変される。定常状態のスケール係数信号126は、完全なジャイロモータ振幅が到達された直後に改変されずに使用され、ジャイロスコープ110の定常状態の動作の間、継続して使用される。
【0019】
[0028]動的モータ振幅補償モジュール128によって受けられる種々の信号が、モータ振幅速度補償アルゴリズムを使用して処理されるので、時変スケール係数130が、動的モータ振幅補償モジュール128から出力され、乗算器132に送られる。ジャイロスコープ110からの検出された速度信号114が、乗算器132において時変スケール係数130で乗算され、乗算器132は、調整された、検出された速度134を出力する。
【0020】
[0029]図1Bは、一実施形態によるジャイロスコープの動的モータ振幅補償のための支援システム150のブロック図である。支援システム150において、測定されたモータ振幅が、ジャイロスコープ154に結合されたハードウェア回路によって生成されてよい。ハードウェア回路は、ジャイロスコープに動作可能に結合されたアナログ/ディジタル変換器(A/D)158と、A/D158の出力に動作可能に結合された整流回路160と、整流回路160の出力に動作可能に結合されたローパスフィルタ162とを含む。
【0021】
[0030]ジャイロスコープのモータ振幅の実時間測定値が、ジャイロスコープ154からのACモータ振幅信号のアナログピックオフ(analog pickoff)と、それに続く、A/D158によるモータ振幅信号のアナログディジタル変換とによって、支援システム150内で取得されてよい。A/D158からのディジタル化されたモータ振幅信号が、整流回路160に送信され、整流動作を実施する。次いで、整流された信号が、ローパスフィルタ162を通して送信され、その結果、ジャイロスコープのモータ振幅116の実時間測定値がもたらされ、その測定値が、今度は、実際に検出されたジャイロスコープの速度を適切に拡縮するために使用されてよい。
【0022】
[0031]図2および図3は、動的スケール係数補償のための、本方法のさらなる詳細を例示する流れ図である。方法は、単一ジャイロスコープに対して、または慣性計測装置(IMU)など、複数のジャイロスコープに対して実行されてよい。典型的には、IMUは、個別のチャネルを有する3つのジャイロスコープを有し、本方法は、ジャイロスコープのチャネルのそれぞれの中で独立して実行されてよい。
【0023】
[0032]図2に示されるように、方法の開始時に、210で、(図1Aに示されるような)制御システムが可能であるか否かの判定がなされる。制御システムが可能であれば、モータ振幅速度補償アルゴリズム220が、所定の期間の間実行される。期間は、約0.1秒〜約3秒にわたってよく、ジャイロスコープの始動段階の間に発生する。モデルモータ振幅成長関数(すなわち、アプリオリのモータ振幅)および/または測定されたモータ振幅からのデータ(ブロック230)が、アルゴリズムが実行する間にモータ振幅速度補償アルゴリズム220に入力される。支援パラメータ231が、ジャイロスコープの較正または他の特性評価の間に求められてよい。モータ振幅速度補償アルゴリズムの他の詳細が、図3に関して、以降の本明細書で説明される。
【0024】
[0033]240で、モータ振幅補償の期間が満了したか否かの判定がなされる。期間が満了していないのであれば、方法は、元にループして、速度補償アルゴリズム220が再び実行される。このループの動作周波数は、選択されてよいが、通常は約600Hzである。速度補償アルゴリズムは、制御システムが可能のままであり、かつ期間が満了していない間、繰り返し実行される。期間満了すると、方法は終了する。
【0025】
[0034]図3は、モータ振幅速度補償アルゴリズム220の他の詳細を例示する流れ図である。このアルゴリズムに入ると、310で、速度データサンプル114が読まれ、320で、アプリオリのモータ振幅モデルまたは測定されたモータ振幅のいずれを適用するかについて判定がなされる。アプリオリのモータ振幅モデルが適用されるならば、330で、スケール係数およびオフセット(バイアス)が計算される。アプリオリのスケール係数を計算するために使用されるアルゴリズムは、以下のように時間の関数として求められる:
(t<T2)の場合
scalefactor(t)=1/Motor_ampl_model(t);
他に(t>T2)の場合
scalefactor(t)=Steady State Scalefactor
終了
ここで:
t=速度データサンプルの時間;
T2=ジャイロモータが全振幅に到達する時間;
Motor_ampl_model(t)=(t−T0)/(T2−T0)。
【0026】
[0035]測定されたモータ振幅が適用されるならば、340で、モータ振幅が読まれ、350で、測定されたモータ振幅信号116からの実時間スケール係数が計算される。実時間スケール係数を計算するために使用されるアルゴリズムは、以下のとおりである:
(t<T2)の場合
scalefactor(t)=Mo/Motor_amplitude_real time(t);
他に(t>T2)の場合
scalefactor(t)=Steady State Scalefactor
終了
ここで:
t=速度データサンプルの時間;
T2=ジャイロモータが全振幅に到達する時間;
Mo=計算で求められる、定常状態の完全なモータ振幅。この計算は、Motor_amplitude_reat time(t)>Moの10%、に対してのみ有効である。
【0027】
[0036]アプリオリのモータ振幅情報および測定されたモータ振幅情報は、独立に適用されてよく、または355で、任意選択で、スケール係数を形成するために、共に組み合わされてよい。次いで、360で、新しい補償された速度が計算される。
【0028】
[0037]アプリオリのモータ振幅情報が適用されると、調整された、検出された速度が、モデルのモータ振幅成長関数のスケール係数に、入力の速度データサンプルを乗じ、かつ任意のオフセットを加えることによって計算されてよい。オフセット(バイアス)は、ジャイロスコープを較正する間に求められるパラメータである。オフセットは、ジャイロスコープが静的な(ゼロ速度入力の)状態にあるとき生成されるジャイロスコープの速度信号である。測定されたモータ振幅情報が適用されると、調整された、検出された速度が、測定されたモータ振幅成長関数のスケール係数に、入力の速度データサンプルを乗じ、かつ任意のオフセットを加えることによって計算されてよい。あるいは、調整された、検出された速度は、アプリオリのスケール係数と測定されたスケール係数との平均または他の組合せに、入力の速度データサンプルを乗じ、かつ任意のオフセット信号を加えることによって計算されてよい。
【0029】
[0038]図4は、モータ振幅速度補償を用いるMEMSジャイロスコープの始動試験の結果を示すグラフのプロットである。プロットは、時間0.0における電力印加、ジャイロモータ駆動開始時刻T0、ディジタル速度データ出力の時間t、オリジナルの速度出力410、実際の入力速度420、完全なモータ振幅の時間T2、およびモータ振幅補償速度の出力430を示す。モータ振幅補償速度430は、0.22秒〜0.3秒の間の始動段階の間、同じ期間の間の不正確なオリジナル速度410に比べて、実際の速度420に十分に接近することに留意されたい。
【0030】
[0039]図5は、8つのジャイロスコープの、静止中のターンオンからの実際の試験データを示すグラフのプロットである。8つの入力速度が、単一軸の速度表からジャイロスコープに提示され、50、100、200、300、−50、−100、−200、−300(度/秒)の数値を有した。始動段階の間の増加する速度出力に反映されるように、変化するジャイロスコープのモータ振幅成長が、520において示される。
【0031】
[0040]図6は、図5のプロットと同じであるが、モータ振幅補償を適用し、過渡信号にフィルタをかけた後のデータを示すグラフのプロットである。図6に示されるように、電力印加後220msにおいて、測定された始動ジャイロ速度が、モータ定常状態の段階600において見られる定常状態のジャイロ速度とほぼ同じになる。この試験で実現される性能利得は、モータ始動段階610の間の、十分に改良された速度推定値の中にある。
【0032】
[0041]図7は、ジャイロスコープ始動の主要な段階(key phase)を示す時系列である。電力印加の前に、ジャイロスコープは動作していない。電力印加700において、ジャイロスコープのモータが動作し始め、その振幅が、始動段階730の間に710におけるゼロから定常状態値720まで成長する。次いで、ジャイロスコープは、完全なモータ振幅で動作し、動作の定常状態の段階740に入る。本システムおよび方法は、始動段階730の間に、ジャイロスコープが正確で有用な速度検出をもたらすことを可能にする。
【0033】
[0042]図8は、本システムおよび方法を実施することができるコンピュータシステム800の一実施形態のブロック図である。コンピュータシステム800は、全体として、少なくとも1つのプロセッサ810と、プロセッサ810に動作可能に結合された少なくとも1つのメモリユニット820とを含む。コンピュータシステム800は、有線接続または無線接続840を介して、IMU834の中などの、少なくとも1つのジャイロスコープ830に動作可能に結合される。メモリユニット820は、本方法を実施するために、プロセッサ810によって実行可能な命令を有する、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体を含む。
【0034】
[0043]プロセッサ810は、当業者に知られるような、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、または任意の適切なそれらの組合せを使用して実施されてよい。限定ではなく例として、プロセッサ810のためのハードウェア構成要素は、マイクロプロセッサ、メモリ素子、ディジタル信号処理(DSP)素子、インターフェースカード、および当技術分野で知られる他の標準的な構成要素のうちの1つまたは複数を含んでよい。上述のいずれかが、特別設計された特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)によって補足されてよく、またはそれらの中に組み入れられてよい。この例示的実施形態では、プロセッサ810は、本方法で使用される、種々のプロセスタスク、計算、および制御機能を遂行するために、ソフトウェアプログラム、ファームウェア、または他のコンピュータ可読命令を含むかまたはそれらを用いて機能する。これらの命令は、通常、コンピュータ可読命令またはデータ構造を記憶するために使用されるコンピュータ可読媒体を含む、任意の適切なコンピュータプログラム製品上に明確に具現化される。
【0035】
[0044]メモリユニット820は、汎用もしくは専用のコンピュータもしくはプロセッサ、または任意のプログラマブル論理デバイスによってアクセスされうる任意の利用可能なコンピュータ可読記憶媒体を用いて実施されてよい。適切なコンピュータ可読媒体は、磁気媒体または光媒体などの記憶媒体またはメモリ媒体を含んでよい。例えば、記憶媒体またはメモリ媒体は、従来のハードディスク、コンパクトディスク−リードオンリメモリ(CD−ROM)、DVD、ランダムアクセスメモリ(RAM)(シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダブルデータレート(DDR)RAM、RAMBUSダイナミックRAM(RDRAM)、スタティックRAM(SRAM)、他を限定なしに含む)などの揮発性または不揮発性媒体、リードオンリメモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、ブルーレイディスク、他を含んでよい。また、上記の組合せが、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれる。
【0036】
[0045]本方法は、少なくとも1つのプロセッサによって実行される、プログラムモジュールまたはプログラム構成要素など、コンピュータ実行可能命令によって実施されてよい。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実施するか、または特定の抽象データ型を実施する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、データ構成要素、データ構造、アルゴリズム、他を含む。
例示的実施形態
[0046]例1は、始動中のジャイロスコープの動的モータ振幅補償のためのシステムを含み、システムは、少なくとも1つのジャイロスコープと、ジャイロスコープと動作可能に通信する少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサに動作可能に結合された少なくとも1つのメモリユニットとを備え、メモリユニットおよびプロセッサが、始動中のジャイロスコープのモータ振幅成長のモデルに基づいて、アプリオリのモータ振幅信号を生成するように構成されたアプリオリのモータ振幅モジュールと、定常状態のスケール係数信号を生成するように構成された定常状態のスケール係数モジュールと、モータ振幅モジュールからのアプリオリのモータ振幅信号および定常状態のスケール係数モジュールからの定常状態のスケール係数信号を受けるように構成された動的モータ振幅補償モジュールとを備えるプログラムモジュールを、それぞれ記憶し実行するように構成され、ジャイロスコープに対する始動段階の間、速度運動がジャイロスコープによって検出され、検出された速度信号が、ジャイロスコープによって出力され、動的モータ振幅補償モジュールがジャイロスコープからの測定されたモータ振幅信号、モータ振幅モジュールからのアプリオリのモータ振幅信号、またはそれらの組合せを受け、始動段階の間にジャイロスコープからの正確な検出された速度を生み出すために、検出された速度信号に適用される時変スケール係数を出力する。
【0037】
[0047]例2は、例1のシステムを含み、ジャイロスコープは、音叉ジャイロスコープを含む。
[0048]例3は、例1のシステムを含み、ジャイロスコープは、回転質量ジャイロスコープを含む。
【0038】
[0049]例4は、例1のシステムを含み、ジャイロスコープは、微小電子機械システム(MEMS)ジャイロスコープである。
[0050]例5は、例1〜例4のいずれかのシステムを含み、ジャイロスコープは、慣性計測装置の中で実施される。
【0039】
[0051]例6は、例5のシステムを含み、慣性計測装置は、3つのジャイロスコープを含む。
[0052]例7は、始動中のジャイロスコープの動的モータ振幅補償のための方法を含み、方法は、少なくとも1つのジャイロスコープから検出された速度信号を出力するステップと、アプリオリのモータ振幅信号、または測定されたモータ振幅信号、またはアプリオリのモータ振幅信号および測定されたモータ振幅信号の両方を受けるステップと、定常状態のスケール係数信号を受けるステップと、定常状態のスケール係数信号と、アプリオリのモータ振幅信号または測定されたモータ振幅信号またはアプリオリのモータ振幅信号および測定されたモータ振幅信号の組合せとに基づいて時変スケール係数を計算するステップと、ジャイロスコープのモータが始動する間に、モータ振幅補償および正確な速度推定値をもたらす、ジャイロスコープのための調整された、検出された速度を求めるために、検出された速度信号に時変スケール係数を乗じるステップとを含む。
【0040】
[0053]例8は、例7の方法を含み、ジャイロスコープは、音叉ジャイロスコープまたは回転質量ジャイロスコープを含む。
[0054]例9は、例7の方法を含み、ジャイロスコープは、MEMSジャイロスコープである。
【0041】
[0055]例10は、例7〜例9のいずれかの方法を含み、ジャイロスコープは、慣性計測装置の中で実施される。
[0056]例11は、例10の方法を含み、慣性計測装置は、3つのジャイロスコープを含む。
【0042】
[0057]例12は、例7〜例11のいずれかによる、始動中にジャイロスコープの動的モータ振幅補償の方法を実施するために、プロセッサによって実行可能に記憶された命令を有するコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラム製品を含む。
【0043】
[0058]例13は、ジャイロスコープが始動中の動的モータ振幅補償のための方法を含み、方法は、(a)動的モータ振幅補償のための制御システムが可能か否かを判定するステップと、(b)制御システムが可能である場合、モデルのモータ振幅成長関数、または測定されたモータ振幅信号、またはモデルのモータ振幅成長関数および測定されたモータ振幅信号の両方を、モータ振幅速度補償アルゴリズムに入力するステップと、(c)ジャイロスコープを始動中の所定の期間の間、モータ振幅速度補償アルゴリズムを実行するステップと、(d)期間が満了したか否かを判定するステップと、(e)期間が満了するまで(a)から(d)までを繰り返すステップとを含む。
【0044】
[0059]例14は、例13の方法を含み、モータ振幅速度補償アルゴリズムが、ジャイロスコープからの入力の速度データサンプルを読むステップと、モータ振幅成長関数または測定されたモータ振幅信号のいずれを適用するかについて判定するステップと、モデルのモータ振幅成長関数が適用されるとき、モータ振幅成長関数からスケール係数を計算するステップと、測定されたモータ振幅が適用されるとき、測定されたモータ振幅を読んで、測定されたモータ振幅からスケール係数を計算するステップと、任意選択で、モデルのモータ振幅成長関数からのスケール係数を、測定されたモータ振幅からのスケール係数と組み合わせるステップと、ジャイロスコープが始動する間に、モータ振幅補償をもたらす、調整された、検出された速度を計算するステップとを含む。
【0045】
[0060]例15は、例13〜例14のいずれかの方法を含み、期間は、約0.1秒〜約1.5秒の範囲を有する。
[0061]例16は、例14〜例15のいずれかの方法を含み、調整された、検出された速度が、モデルのモータ振幅成長関数のスケール係数に、入力の速度データサンプルを乗じ、かつ任意のオフセット信号を加えるステップによって計算される。
【0046】
[0062]例17は、例14〜例15のいずれかの方法を含み、調整された、検出された速度が、測定されたモータ振幅成長関数のスケール係数に、入力の速度データサンプルを乗じるステップによって計算される。
【0047】
[0063]例18は、例14〜例15のいずれかの方法を含み、調整された、検出された速度が、組み合わされたスケール係数に、入力の速度データサンプルを乗じ、任意のオフセット信号を加えるステップによって計算される。
【0048】
[0064]例19は、例18の方法を含み、スケール係数を組み合わせるステップが、組み合わされたスケール係数を形成するために、平均または加重平均を使用するステップを含む。
【0049】
[0065]例20は、例14〜例19のいずれかによる、ジャイロスコープが始動中の動的モータ振幅補償のための方法を実施するためにプロセッサによって実行可能な、記憶された命令を有するコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラム製品を含む。
【0050】
[0066]例21は、始動中のジャイロスコープの動的モータ振幅測定のためのシステムを含み、システムは、少なくとも1つのジャイロスコープと、ジャイロスコープに動作可能に結合され、ジャイロスコープからモータ振幅信号を受けるように構成されたアナログ/ディジタル変換器と、アナログ/ディジタル変換器の出力に動作可能に結合され、アナログ/ディジタル変換器からディジタル化されたモータ振幅信号を受けるように構成された整流回路と、整流回路の出力に動作可能に結合され、整流回路からの整流されたモータ振幅信号を受けるように構成されたローパスフィルタとを備え、ジャイロスコープのモータ振幅の実時間測定値がローパスフィルタの出力から取得され、ジャイロスコープのモータ振幅の実時間測定値が、ジャイロスコープのモータが始動する間の実際の検出されたジャイロスコープの速度を拡縮するのに有用である。
【0051】
[0067]特定の実施形態が、本明細書で例示され、説明されたが、同じ目的を達成するために計算される任意の構成(arrangement)が、示された特定の実施形態で置き換えられてよいことは、当業者には理解されよう。説明された実施形態は、あらゆる点で、限定的ではなく単なる例示であるものとみなされるべきである。それゆえ、本発明の範囲は、上の説明によるのではなく、以下の特許請求の範囲によって明示される。特許請求の範囲と等価な意味および範囲内に入るすべての変更形態は、この範囲内に包含される。
【符号の説明】
【0052】
100 制御システム
110 ジャイロスコープ
112 速度運動
114 検出された速度信号
116 測定されたモータ振幅信号
120 アプリオリのモータ振幅モジュール
122 アプリオリのモータ振幅信号
124 定常状態のスケール係数モジュール
126 定常状態のスケール係数信号
128 動的モータ振幅補償モジュール
130 時変スケール係数
132 乗算器
134 調整された、検出された速度
150 ジャイロスコープの動的モータ振幅補償のための支援システム
154 ジャイロスコープ
158 アナログ/ディジタル変換器
160 整流回路
162 ローパスフィルタ
410 オリジナルの速度
420 実際の入力速度
430 モータ振幅補償速度
520 ジャイロスコープのモータ振幅成長
600 モータ定常状態の段階
610 モータ始動段階
700 電力印加
710 ゼロ値
720 定常状態値
730 始動段階
740 定常状態の段階
800 コンピュータシステム
810 プロセッサ
820 メモリユニット
830 ジャイロスコープ
834 IMU
840 有線接続または無線接続

【特許請求の範囲】
【請求項1】
始動中(during startup)のジャイロスコープの動的(dynamic)モータ振幅補償のためのシステムであって、
少なくとも1つのジャイロスコープと、
前記ジャイロスコープと動作可能に通信する少なくとも1つのプロセッサと、
前記プロセッサに動作可能に結合される少なくとも1つのメモリユニットとを備え、
前記メモリユニットおよび前記プロセッサが、
始動中のジャイロスコープのモータ振幅成長(amplitude growth)のモデルに基づいて、アプリオリ(a-priori)のモータ振幅信号を生成するように構成されたアプリオリのモータ振幅モジュールと、
定常状態(steady state)のスケール係数(scale factor)信号を生成するように構成された定常状態のスケール係数モジュールと、
前記モータ振幅モジュールからの前記アプリオリのモータ振幅信号および前記定常状態のスケール係数モジュールからの前記定常状態のスケール係数信号を受けるように構成された動的モータ振幅補償モジュールと
を備えるプログラムモジュールを、それぞれ記憶し実行するように構成され、
前記ジャイロスコープに対する始動段階の間、
速度運動(rate motion)が前記ジャイロスコープによって検出され、検出された速度信号(sensed rate signal)が、前記ジャイロスコープによって出力され、
前記動的モータ振幅補償モジュールが、前記ジャイロスコープからの測定されたモータ振幅信号、前記モータ振幅モジュールからの前記アプリオリのモータ振幅信号、またはそれらの組合せを受け、前記始動段階(startup phase)の間に前記ジャイロスコープから正確な検出された速度(sensed rate)を生み出すために、前記検出された速度信号(sensed rate signal)に適用される(applied to)時変(time varying)スケール係数(scale factor)を出力する、システム。
【請求項2】
始動中のジャイロスコープの動的モータ振幅補償のための方法であって、
少なくとも1つのジャイロスコープからの検出された速度信号を出力するステップと、
アプリオリのモータ振幅信号、または測定されたモータ振幅信号、または前記アプリオリのモータ振幅信号および前記測定されたモータ振幅信号の両方を受けるステップと、
定常状態のスケール係数信号を受けるステップと、
前記定常状態のスケール係数信号と、前記アプリオリのモータ振幅信号または前記測定されたモータ振幅信号または前記アプリオリのモータ振幅信号および前記測定されたモータ振幅信号の組合せとに基づいて時変スケール係数を計算するステップと、
ジャイロスコープのモータが始動する間に、モータ振幅補償および正確な速度推定値をもたらす、前記ジャイロスコープのための調整された、検出された速度を求めるために、前記検出された速度信号に前記時変スケール係数を乗じるステップとを含む、方法。
【請求項3】
ジャイロスコープが始動中の動的モータ振幅補償のための方法であって、
(a)前記動的モータ振幅補償のための制御システムが、可能か(enabled)否かを判定するステップと、
(b)前記制御システムが可能である場合、モデルのモータ振幅成長関数、または測定されたモータ振幅信号、または前記モデルのモータ振幅成長関数および前記測定されたモータ振幅信号の両方を、モータ振幅速度補償アルゴリズムに入力するステップと、
(c)前記ジャイロスコープを始動中の所定の期間の間、前記モータ振幅速度補償アルゴリズムを実行するステップと、
(d)前記期間が満了した(expired)か否かを判定するステップと、
(e)前記期間が満了するまで(a)から(d)までを繰り返すステップとを含む、方法。
【請求項4】
始動中のジャイロスコープの動的モータ振幅測定のためのシステムであって、
少なくとも1つのジャイロスコープと、
前記ジャイロスコープに動作可能に結合され(coupled)、前記ジャイロスコープからモータ振幅信号を受けるように構成されたアナログ/ディジタル変換器と、
前記アナログ/ディジタル変換器の出力に動作可能に結合され、前記アナログ/ディジタル変換器からディジタル化されたモータ振幅信号を受けるように構成された整流回路と、
前記整流回路の出力に動作可能に結合され、前記整流回路から整流されたモータ振幅信号を受けるように構成されたローパスフィルタと、を備え、
ジャイロスコープのモータ振幅の実時間測定値が前記ローパスフィルタの出力から取得され、前記ジャイロスコープのモータ振幅の実時間測定値(real-time measurement)が、ジャイロスコープのモータが始動(startup)する間の実際の(actual)検出された(sensed)ジャイロスコープの速度を拡縮する(scale)のに有効(usable)である、システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−3141(P2013−3141A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−122776(P2012−122776)
【出願日】平成24年5月30日(2012.5.30)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】