説明

含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法

【課題】溶媒として、有機溶媒を使用しないで水を用い、選択的にRfSRを合成する方法を提供する。
【解決手段】 一般式: Rf-Y-(CH2)m-OC(=O)C(-X)=CH2 (I)
で示される含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法であって、
(A) アルカリ性水溶液中において、一般式: Rf-I (11)
で示される含フッ素アイオダイドと一般式: HS(CH2)mOH (12)
で示されるヒドロキシチオールとを、少なくとも1種の第四級アンモニウム塩の存在下、波長200〜600nmの光の照射下で、反応させることにより、
一般式:
Rf-S-(CH2)m-OH (13)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールを得る工程を特徴とする製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品や石材、フィルター(例えば静電フィルター)、防塵マスク、燃料電池の部品に優れた撥水性、撥油性を付与する含フッ素重合体の原料となる含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
RfIとチオールRSHとの反応によりRfSR(式中、Rfはフルオロアルキル基、Rはアリール基、アルキル基、エステル置換アルキル基である。)を得る方法としては、
Journal of Fluorine Chemistry (1984) Vol.24, 191-203に提案されているように
RfI + RSNa → RfSR または
RfI + RSN(Bu)4 → RfSR の反応をDMFまたはPhH/H2O中で行う方法、
Journal of Fluorine Chemistry (2000) Vol.105, 41-44(特開平2-204477)に提案されているように、
RfI + RSH → RfSR をロンガリッド(HOCH2SO2Na)共存下でDMF-H2O系で行う方法、
が挙げられる。これら方法は、有機溶媒(例えば、PhH, DMF)および界面活性剤を用いており、加えて、収率は低い(例えば、12〜48%程度)ものであった。
【0003】
さらに、最近ロンガリッドの代わりにNa2SO3-HCO2Naを用いる方法が、Journal of Fluorine Chemistry, Volume 124, Issue 1,3 November 2003,Pages 55-59に報告されている。しかし、有機溶媒および界面活性剤を用いており、加えて、収率は低い(例えば、70%程度)ものであった。
しかし、有機溶媒(PhH, DMF)を使用しないで水(特に、水溶液)を用い、選択的にRfSRを合成する方法は未だ提案されていなかった。
【特許文献1】特開平2-204477号公報
【非特許文献1】Journal of Fluorine Chemistry (1984) Vol.24, 191-203
【非特許文献2】Journal of Fluorine Chemistry, Volume 124, Issue 1,3 November 2003,Pages 55-59
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、溶媒として、有機溶媒(例えば、PhH(ベンゼン), DMF)を使用しないで水を用い、選択的にRfSRを合成する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、式:
CH2=C(-X)-C(=O)-O-(CH2)m-Y-Rf
[式中、Xは、水素原子またはメチル基であり;
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、mは1〜10である。〕
で示される含フッ素化合物を製造できる。
【0006】
本発明は、一般式:
Rf-Y-(CH2)m-OC(=O)C(-X)=CH2 (I)
(式中、Xは水素原子またはメチル基であり、
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、
Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法であって、
(A) アルカリ性水溶液中において、一般式:
Rf-I (11)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基である。)
で示される含フッ素アイオダイドと一般式:
HS(CH2) m OH (12)
(式中、mは1〜10である。)
とを、少なくとも1種の第四級アンモニウム塩の存在下、波長200〜600nmの光の照射下で、反応させることにより、
一般式:
Rf-S-(CH2)m -OH (13)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールを得る工程、
(B)場合により、含フッ素アルコールにおける-S-を-SO-または-SO2-に酸化する工程、
(C)含フッ素アルコールを(メタ)アクリル酸ハライドまたは(メタ)アクリル酸と反応させて含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを得る工程
を有してなる含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法を提供する。
含フッ素アルキル(メタ)アクリレートは、含フッ素重合体を構成できる単量体である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、溶媒として、有機溶媒(例えば、PhH(ベンゼン), DMF)を使用しないで水を用いて、選択的に高収率でRfSRを合成できる。
本発明の製法により得られた含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを用いることによって、撥水性、撥油性、および防汚性に優れた表面処理剤が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の製造方法によれば、Rf-I
(Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基である。)から
HO-(CH2)m-Y-Rf
(Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、mは1〜10である。)
を経由して
CH2=CH(-X)COZ
(Xは水素原子またはメチル基であり;ZはOHまたはハロゲン)
との縮合により、
CH2=C(-X)-C(=O)-O-(CH2)m-Y-Rf
で示される含フッ素アルキル(メタ)アクリレートが得られる。
【0009】
工程(A)において、アルカリ性水溶液中において、一般式:
Rf-I (11)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基である。)
で示される含フッ素アイオダイドと一般式:
HS(CH2)mOH (12)
(式中、mは1〜10である。)
で示されるヒドロキシチオールとを、少なくとも1種の第四級アンモニウム塩の存在下、波長200〜600nmの光の照射下で、反応させることにより、
一般式:
Rf-S-(CH2)m-OH (13)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールを得る。
【0010】
Rf-I(ヨウ化ペルフルオロアルキル)におけるRfの炭素数は1〜6、好ましくは4または6である。Rfの具体例は、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF3) 2、−CF2CF2CF2CF3、−CF2CF(CF3)2、−C(CF)3、−(CF2)4CF3、−(CF2)2CF(CF3)2、−CF2C(CF3)3、−CF(CF3)CF2CF2CF3、−(CF2)5CF3、−(CF2)3CF(CF3)2である。Rfが式:F(CF2CF2)n-(式中、nは1〜3の整数である。)で示される基であることが好ましい。
ヒドロキシチオールにおいて、mは1〜10、好ましくは2〜5である。
【0011】
工程(A)において、第四級アンモニウム塩の存在下で、水中で含フッ素アイオダイドとヒドロキシチオールを反応させる。含フッ素アイオダイドとヒドロキシチオールのモル比は、好ましくは1.0:1.0〜3.0:1.0、例えば1.2:1.0〜2.0:1.0 である。水の量は、ヒドロキシチオール1gに対して、1〜20mL、特に3〜6 mLであることが好ましい。第四級アンモニウム塩は、例えば、アンモニウムハライド(ハロゲンの例は塩素、臭素、ヨウ素である。)である、第四級アンモニウム塩の具体例は、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドである。第四級アンモニウム塩の量はヒドロキシチオール1モルに対して0.01モル〜0.2モルであることが好ましい。
工程(A)において、反応温度が0〜60℃、例えば0〜30℃であることが好ましい。反応時間は、一般に、0.1〜50時間、例えば0.5〜30時間である。
【0012】
工程(A)において、反応系は、アルカリ化合物を含有するアルカリ性水溶液であることが好ましい。アルカリ化合物の例は、水酸化アルカリ金属、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびアルカリ土類金属、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムである。反応系のpH値が8〜12であることが好ましい。アルカリ化合物の量がヒドロキシチオール1モルに対して0.1モル〜10モルであることが好ましい。
【0013】
工程(A)において、光の波長が200〜600nm、例えば250〜500nm、好ましくは300〜450nmである。光の照射の強度が200mW/cm2〜1mW/cm2であることが好ましい。
工程(A)によって、含フッ素アルコールが得られる。
【0014】
含フッ素アルコールを、工程(B)および(C)により、含フッ素アルキル(メタ)アクリレートに転化する。工程(B)および(C)は従来の方法である。
【0015】
工程(B)において、含フッ素アルコールを酸化剤と反応させ、含フッ素アルコールにおける−S−基を−SO−基または−SO−基に酸化させる。
酸化剤の例は、過酸化物、オゾン、酸素分子である。過酸化物の具体例は、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酢酸、オゾン、過硫酸塩である。酸化剤の量は、含フッ素アルコール1モルに対して1.0モル〜4.0モル、例えば2.0モル〜3.0モルであることが好ましい。酸化反応は、0〜120℃、例えば10〜80℃で、0.5〜50時間行うことができる。酸化反応は、溶媒(例えば、水または有機溶媒)の存在下で行ってよい。
【0016】
工程(C)において、含フッ素アルコールを(メタ)アクリル酸ハライドまたは(メタ)アクリル酸と反応させ、含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを得る。
(メタ)アクリル酸ハライドにおいて、ハロゲンの例は、塩素、臭素、ヨウ素である。(メタ)アクリル酸ハライドまたは(メタ)アクリル酸の量は、含フッ素アルコール1モルに対して1.0〜1.5モルであることが好ましい。反応は、0〜120℃、例えば10〜80℃で、0.1〜50時間行うことができる。反応は、溶媒(例えば、水または有機溶媒)の存在下で行ってよい。触媒、例えば、塩基または酸を、含フッ素アルコール1モルに対して10〜3000ミリモル、特に100〜1500ミリモルの量で用いてもよい。塩基の例は、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-アザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7-エン、2-tert-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチルペルヒドロ-1,3,2-ジアザホスフォリンなどのアミンである。酸の例は、塩酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム塩、塩化ハフニウムTHF錯体などのルイス酸やブレンステッド酸である。
【0017】
本発明の方法は、例えば、次のようにして行える。
Rf基の片末端がヨウ素で置換されているペルフルオロアルキルアイオダイドとメルカプトプロパノールを、例えば触媒量の塩化ベンジルトリエチルアンモニウム存在下、溶媒(例えば水酸化ナトリウム水溶液)中で、例えば0℃〜30℃で、光照射しながら0.5〜30時間反応させることによりペルフルオロアルキルチオプロパノール(RfSCH2CH2CH2OH)を得る。
このスルフィドアルコールを、例えば触媒量のタングステン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩存在下、30%過酸化水素水で例えば35〜45℃で、5〜30時間反応させることによりペルフルオロアルキルスルホニルプロパノール(RfSO2CH2CH2CH2OH)を得る。
ペルフルオロアルキルスルホニルプロパノールとアクリル酸クロライドを有機塩基(例えばトリエチルアミン)存在下、溶媒(例えば塩化メチレン)中で例えば5〜25℃で0.5〜30時間反応させることによりペルフルオロアルキルスルホニルプロピルアクリレート(CH2=CH-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf)を得る。
【実施例】
【0018】
本発明の実施例について具体的に説明するが、実施例が本発明を限定するものではない。
以下のようにして単量体(モノマー)を合成した。
【0019】
実施例1
3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールの合成


300mL四つ口フラスコに、マグネティックスターラー、ジムロートコンデンサーを装着した。反応容器に10%水酸化ナトリウム水溶液72g(180mmol)を入れ、氷冷しながら塩化ベンジルトリエチルアンモニウム3.42g(15mmol)を加え溶解した。氷冷下、アルゴンを緩やかにバブリングしながら、3-メルカプト-1-プロパノール 12.9mL(13.8g、150mmol)をゆっくりと滴加した(内温5℃)。室温でさらにアルゴンを30分間バブリングした。その後、アルゴンバブリングを止めジムロートコンデンサー頭頂部からのアルゴン気流雰囲気に変更した。あらかじめ室温で30分間アルゴンバブリングした1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ-4-ヨードブタン50.4mL(103.8g、300mmol) を、内温23℃でUV365nmを照射しながら(アズワン製ハンディーUVランプ SLUV-6使用、光源と反応容器の距離約1cm)ゆっくりと滴加した。このとき内温は43℃まで上昇した。その後アルゴン雰囲気下、室温放置(内温28-43℃)、UV365nmを照射しながら攪拌した。2時間後、反応液にトリフルオロトルエン21.9g(150mmol)を加えF-NMR分析を行ったところ、フッ素捕捉率98.3%、3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールの収率92.2%、還元体不純物C4F9Hの生成率2.0%であった。得られた反応液を分液ロートで下層を分取し、水層が中性になるまで水洗を行った。有機層をエバポレーターで濃縮した後、酢酸エチルを加えて析出する固体を濾過して除いた。濾液を減圧蒸留し(4mmHg、62-69℃)、3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールを39.66g(収率85.3%)得た。
【0020】
1H NMR(CDCl3; 内部標準TMS δppm): 3.78(t, 2H, JHH=5.9Hz,CH2OH), 3.09(t, 2H, JHH=7.1Hz, SCH2), 1.96(tt, 2H, JHH=7.1Hz, JHH=5.9Hz, CH2CH2CH2)
19F NMR(CDCl3; 内部標準CFCl3 δppm): -81.5(m, 3F, CF3), -88.2(m, 2F, CF2S), -121.3(m, 2F, CF2), -126.0(m, 2F, CF2).
【0021】
実施例2
3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールの合成


100mL四つ口フラスコに、マグネティックスターラー、ジムロートコンデンサーを装着した。反応容器に10%水酸化ナトリウム水溶液20g(50mmol)を入れ、氷冷しながら塩化ベンジルトリエチルアンモニウム1.14g(5mmol)を加え溶解した。氷冷下、アルゴンを緩やかにバブリングしながら、3-メルカプト-1-プロパノール 4.3mL(4.60g、50mmol)をゆっくりと滴加した(内温5℃)。室温でさらにアルゴンを30分間バブリングした。その後、アルゴンバブリングを止めジムロートコンデンサー頭頂部からのアルゴン気流雰囲気に変更した。あらかじめ室温で30分間アルゴンバブリングした1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ-4-ヨードブタン16.8mL(34.6g、100mmol) を、内温28℃でUV365nmを照射しながら(アズワン製ハンディーUVランプ SLUV-6使用、光源と反応容器の距離約1cm)ゆっくりと滴加した。このとき内温は30℃まで上昇した。その後アルゴン雰囲気下、室温放置(内温28-30℃)、UV365nmを照射しながら攪拌した。1時間後、得られた反応液を分液ロートで下層を分取し、水層が中性になるまで水洗を行った。有機層をエバポレーターで濃縮した後、酢酸エチルを加えて析出する固体を濾過して除いた。濾液を減圧蒸留し(4mmHg、62-69℃)、3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールを11.19g(収率72.2%)得た。
【0022】
1H NMR(CDCl3; 内部標準TMS δppm): 3.78(t, 2H, JHH=5.9Hz,CH2OH), 3.09(t, 2H, JHH=7.1Hz, SCH2), 1.96(tt, 2H, JHH=7.1Hz, JHH=5.9Hz, CH2CH2CH2)
19F NMR(CDCl3; 内部標準CFCl3 δppm): -81.5(m, 3F, CF3), -88.2(m, 2F, CF2S), -121.3(m, 2F, CF2), -126.0(m, 2F, CF2).
【0023】
実施例3
3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールの合成


300mL四つ口フラスコに、マグネティックスターラー、ジムロートコンデンサーを装着した。反応容器に10%水酸化ナトリウム水溶液72g(180mmol)を入れ、氷冷しながら塩化ベンジルトリエチルアンモニウム3.42g(15mmol)を加え溶解した。氷冷下、アルゴンを緩やかにバブリングしながら、3-メルカプト-1-プロパノール 12.9mL(13.8g、150mmol)をゆっくりと滴加した(内温5℃)。室温でさらにアルゴンを30分間バブリングした。その後、アルゴンバブリングを止めジムロートコンデンサー頭頂部からのアルゴン気流雰囲気に変更した。あらかじめ室温で30分間アルゴンバブリングした1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ-4-ヨードブタン30.2mL(62.3g、180mmol) を、内温26℃でUV365nmを照射しながら(アズワン製ハンディーUVランプ SLUV-6使用、光源と反応容器の距離約1cm)ゆっくりと滴加した。このとき内温は41℃まで上昇した。その後アルゴン雰囲気下、室温放置(内温26-41℃)、UV365nmを照射しながら攪拌した。1.5時間後、反応液にトリフルオロトルエン21.9g(150mmol)を加えF-NMR分析を行ったところ、フッ素捕捉率100%、3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールの収率84.7%、還元体不純物C4F9Hの生成率3.5%であった。得られた反応液を分液ロートで下層を分取し、水層が中性になるまで水洗を行った。有機層をエバポレーターで濃縮した後、酢酸エチルを加えて析出する固体を濾過して除いた。濾液を減圧蒸留し(4mmHg、62-69℃)、3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールを36.56g(収率78.6%)得た。
【0024】
実施例4
3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールの合成
100mL四つ口フラスコに、マグネティックスターラー、温度計、ジムロートコンデンサーを装着した。反応容器に10%水酸化ナトリウム水溶液24g(60mmol)を入れ、氷冷しながら塩化ベンジルトリエチルアンモニウム1.14g(5.0mmol)を加え溶解した。氷冷下、アルゴンを緩やかにバブリングしながら、3-メルカプト-1-プロパノール 4.3mL(4.6g、50mmol)をゆっくりと滴加した(内温5℃)。氷冷しながらさらにアルゴンを30分間バブリングした。その後、アルゴンバブリングを止めジムロートコンデンサー頭頂部からのアルゴン気流雰囲気に変更した。あらかじめ室温、30分間アルゴンでバブリングした1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ-4-ヨードブタン16.8mL(34.6g、100mmol) を、内温5℃でUV365nmを照射しながら(アズワン製ハンディーUVランプ SLUV-6使用、光源と反応容器の距離約1cm)ゆっくりと滴加した。このとき内温は8℃まで上昇した。その後アルゴン雰囲気で氷冷下(内温5-8℃)、UV365nmを照射しながら攪拌した。2時間後、反応液にトリフルオロトルエン7.3g(50mmol)を加えF-NMR分析を行ったところ、フッ素捕捉率97.4%、3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールの収率93.9%、還元体不純物C4F9Hの生成率0.0%であった。得られた反応液を分液ロートで下層を分取し、水層が中性になるまで水洗を行った。有機層をエバポレーターで濃縮した後、酢酸エチルを加えて析出する固体を濾過して除いた。濾液を減圧蒸留し(4mmHg、62-69℃)、3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールを13.3g(収率85.9%)得た。
【0025】
比較例1


20Lセパラブルフラスコにスリーワンモーター、攪拌羽、熱電対ホルダー(PFAチューブの先を熱で密閉)、リービッヒコンデンサーを装着し、亜硫酸ナトリウム・7水和物2kg(7.94mol)、3-メルカプトプロパノール707g(7.67mol)、水1.5L、DMF7.7Lをフラスコに加えた。20℃に保温して、攪拌しながら 1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ-4-ヨードブタン3.98kg(11.5 mol) を一気に加えた。数分〜55分の誘導時間で液が黄色に変化し、内温が約40℃以下へ上昇した。温度が下降し始めたら、水浴の水を捨て、40℃程度の水に入れ替え、4時間攪拌を続けた(内温は30〜40℃)。反応液を水35Lにあけ、2層分離した。20L分液漏斗で下層を分取した(3〜4kg程度の粗生成物)。この粗生成物はDMFを含んでいるので、5L分液漏斗を用いて、水2Lで3回洗浄した。エバポレーターで過剰のC4F9Iを除去し、減圧蒸留(沸点68〜73℃/200Pa)して、1.50kg(収率63.3%)の3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールを得た。
【0026】
1H NMR(CDCl3; 内部標準TMS δppm): 3.78(t, 2H, JHH=5.9Hz,CH2OH), 3.09(t, 2H, JHH=7.1Hz, SCH2), 1.96(tt, 2H, JHH=7.1Hz, JHH=5.9Hz, CH2CH2CH2)
19F NMR(CDCl3; 内部標準CFCl3 δppm): -81.5(m, 3F, CF3), -88.2(m, 2F, CF2S), -121.3(m, 2F, CF2), -126.0(m, 2F, CF2).
【0027】
実施例5
3-(ペルフルオロブチルスルホニル)プロパノールの合成


3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノール 6.48kg(20.9mol)にテトラブチルアンモニウム硫酸水素酸塩130g(0.38mol;×0.018eq.)を加え、35〜45℃に反応温度を調整し、激しく撹拌しながら、35% 過酸化水素水4.91L(57.1mol;×1.36eq.)、フェニルホスホン酸66g(0.42mol;×0.02eq.)及びタングステン酸ナトリウム二水和物137g (0.42mol;×0.02eq.)の混合溶液を9時間要して滴加した。さらに50℃で1時間、60℃で4.5時間撹拌した。40℃に冷却後、撹拌しながら13Lの水を加えた。濾別して得た結晶9.0kgをメチルイソブチルケトン9Lに溶かして20%チオ硫酸ナトリウム水6Lで洗浄した。メチルイソブチルケトン(下層)を分離し硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した濾液を減圧濃縮さらに真空乾燥して粗製の3-(ペルフルオロブチルスルホニル)プロパノール 7.0kg (97.9%)を得た。この残渣100gをトルエンから再結晶して3-(ペルフルオロブチルスルホニル)プロパノール 70.0gを得た。
【0028】
1H NMR(CDCl3; 内部標準TMS δppm): 3.85(t, 2H, JHH=5.8Hz,CH2OH), 3.47(t, 2H, JHH=7.6Hz, SO2CH2), 2.22(tt, 2H, JHH=7.6Hz, JHH=5.8Hz, CH2CH2CH2)
19F NMR(CDCl3; 内部標準CFCl3 δppm): -81.2(m, 3F, CF3), -113.8(m, 2F, CF2SO2), -121.8(m, 2F, CF2), -126.3(m, 2F, CF2).
【0029】
実施例6
3-(ペルフルオロブチルスルホニル)プロピル アクリレートの合成


3-(ペルフルオロブチルスルホニル)プロパノール54.4g(159mmol)、トリエチルアミン33mL(238mmol)、4-t-ブチルカテコール(0.14g)、ジクロロメタン520mLの溶液を、塩化カルシウム管装着下0℃に冷却し、アクリロイルクロリド15.5mL(191mmol)を40分要してゆっくり滴下した。室温で1時間攪拌し、15%クエン酸水600mL、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過して減圧濃縮することで、粗製のアクリル酸エステルを得た。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製し、濃縮後の透明液体を真空乾燥することで、3-(ペルフルオロブチルスルホニル)プロピル アクリレート60.0gを得た。収率95.3%
【0030】
1H NMR(CDCl3; 内部標準TMS δppm): 6.45(dd, 1H, JAB=1.1Hz, JAX=17.3Hz, CHAHB=C), 6.12(dd, 1H, JAX=17.3Hz, JBX=10.5Hz, C=CHX), 5.95(dd, 1H, JBX=10.5Hz, JAB=1.1Hz, CHAHB=C), 4.34(t, 2H, JHH=6.0Hz, OCH2), 3.41(t, 2H, JHH=7.8Hz, CH2SO2), 2.36(tt, 2H, JHH=7.8Hz, JHH=6.0Hz, CH2CH2CH2).
19F NMR(CDCl3; 内部標準CFCl3 δppm): -81.2(m, 3F, CF3), -113.8(m, 2F, CF2SO2), -121.8(m, 2F, CF2), -126.3(m, 2F, CF2).
【0031】
実施例7
3-(ペルフルオロブチルスルホニル)プロピル アクリレートの合成


3-(ペルフルオロブチルスルホニル)プロパノール20.0g(58.5mmol)、アクリル酸5.2g(72.2mmol;×1.2eq.)、4-t-ブチルカテコール(0.10g;0.6mmol)、シクロヘキサン50mLの混合物に、p-トルエンスルホン酸一水和物0.6g(3.2mmol;×0.05eq.)を加え、塩化カルシウム管を付けたディーン・スターク装置装着下浴温100℃で13.5時間攪拌して脱水を行った。室温に冷却後、酢酸エチル50mLを加えて溶液を濾過した。濾液を減圧濃縮して残渣を真空蒸留(127-133℃/1Pa)して粗製の3-(ペルフルオロブチルスルホニル)プロピル アクリレート14.9gを得た。収率64.3%
【0032】
1H NMR(CDCl3; 内部標準TMS δppm): 6.45(dd, 1H, JAB=1.1Hz, JAX=17.3Hz, CHAHB=C), 6.12(dd, 1H, JAX=17.3Hz, JBX=10.5Hz, C=CHX), 5.95(dd, 1H, JBX=10.5Hz, JAB=1.1Hz, CHAHB=C), 4.34(t, 2H, JHH=6.0Hz, OCH2), 3.41(t, 2H, JHH=7.8Hz, CH2SO2), 2.36(tt, 2H, JHH=7.8Hz, JHH=6.0Hz, CH2CH2CH2).
19F NMR(CDCl3; 内部標準CFCl3 δppm): -81.2(m, 3F, CF3), -113.8(m, 2F, CF2SO2), -121.8(m, 2F, CF2), -126.3(m, 2F, CF2).
【0033】
実施例8
3-(ペルフルオロブチルスルホニル)プロピル メタクリレートの合成


3-(ペルフルオロブチルスルホニル)プロパノール20.0g(58.8mmol)、トリエチルアミン12mL(86.6mmol)、4-t-ブチルカテコール(0.10g)、ジクロロメタン108mLの溶液を、塩化カルシウム管装着下0℃に冷却し、メタクリロイルクロリド6.7mL(68.6mmol)を30分要してゆっくり滴下した。室温で1時間攪拌し、15%クエン酸水240mL、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過して減圧濃縮することで、粗製のメタクリル酸エステルを得た。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製し、濃縮後の固体を真空乾燥することで、3-(ペルフルオロブチルスルホニル)プロピル メタクリレート 16.7gを得た。収率 69.6%
【0034】
1H NMR(CDCl3; 内部標準TMS δppm): 6.13(m, 1H, CHAHB=C), 6.12(m, 1H, CHAHB=C), 4.32(t, 2H, JHH=6.0Hz, OCH2), 3.40(t, 2H, JHH=7.8Hz, CH2SO2), 2.36(tt, 2H, JHH=7.8Hz, JHH=6.0Hz, CH2CH2CH2), 1.96(s, 3H, CH3).
19F NMR(CDCl3; 内部標準CFCl3 δppm): -81.1(m, 3F, CF3), -113.5(m, 2F, CF2SO2), -121.8(m, 2F, CF2), -126.4(m, 2F, CF2).
【0035】
実施例9
3-(ペルフルオロブチルスルホニル)プロピル メタクリレートの合成


塩化カルシウム管を装着した四口フラスコに、3-(ペルフルオロブチルスルホニル)プロパノール85.5g(250mmol)、メタクリル酸21.5g(250mmol)、ジメチルアミノピリジン2.44g(20mmol)及び塩化メチレン200mLを加え攪拌しながら、氷冷した。ジシクロヘキシルカルボジイミド56.7g(275mmol)と塩化メチレン150mLの溶液を5〜10℃で滴下した。滴下終了後、氷浴をはずし、室温で2時間攪拌した。反応液を1N−塩酸水溶液(200mL×2)さらに飽和重曹水(200mL×2)で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後濾過し、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲル(350g)カラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=7:1→4:1)で精製し、濃縮後の固体を真空乾燥することで、3-(ペルフルオロブチルスルホニル)プロピル メタクリレート 86.5gを得た。収率 84.4%。
【0036】
実施例10
3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールの合成


100mL四つ口フラスコに、マグネティックスターラー、ジムロートコンデンサーを装着した。反応容器に10%水酸化ナトリウム水溶液24g(60mmol)を入れ、氷冷しながら塩化ベンジルトリエチルアンモニウム1.14g(5mmol)を加え溶解した。氷冷下、アルゴンを緩やかにバブリングしながら、3-メルカプト-1-プロパノール 4.3mL(4.6g、50mmol)をゆっくりと滴加した(内温5℃)。室温でさらにアルゴンを30分間バブリングした。その後、アルゴンバブリングを止めジムロートコンデンサー頭頂部からのアルゴン気流雰囲気に変更した。あらかじめ室温で30分間アルゴンバブリングした1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ-4-ヨードブタン16.8mL(34.6g、100mmol) を、内温23℃で強力UV装置(100W高圧水銀ランプ)を照射しながら(セン特殊光源製ハンディー100;反応容器の距離約1cm)ゆっくりと滴加した。このとき内温は43℃まで上昇した。その後アルゴン雰囲気下、室温放置(内温23-44℃)、照射しながら攪拌した。30分後、反応液にトリフルオロトルエン7.3g(50mmol)を加えF-NMR分析を行ったところ、フッ素捕捉率98.0%、3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールの収率87.3%、還元体不純物C4F9Hの生成率1.4%であった。得られた反応液を分液ロートで下層を分取し、水層が中性になるまで水洗を行った。有機層をエバポレーターで濃縮した後、酢酸エチルを加えて析出する固体を濾過して除いた。濾液を減圧蒸留し(4mmHg、62-69℃)、3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールを12.43g(収率80.3%)得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
Rf-Y-(CH2)m-OC(=O)C(-X)=CH2 (I)
(式中、Xは水素原子またはメチル基であり、
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、
Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法であって、
(A) アルカリ性水溶液中において、一般式:
Rf-I (11)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基である。)
で示される含フッ素アイオダイドと一般式:
HS(CH2)mOH (12)
(式中、mは1〜10である。)
で示されるヒドロキシチオールとを、少なくとも1種の第四級アンモニウム塩の存在下、波長200〜600nmの光の照射下で、反応させることにより、
一般式:
Rf-S-(CH2)m-OH (13)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールを得る工程、
(B)場合により、含フッ素アルコールにおける-S-を-SO-または-SO2-に酸化する工程、
(C)含フッ素アルコールを(メタ)アクリル酸ハライドまたは(メタ)アクリル酸と反応させて含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを得る工程
を有してなる含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法。
【請求項2】
工程(A)において、反応温度が0〜60℃である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(A)において、アルカリ性水溶液のpH値が8〜12であるかまたはアルカリ化合物の量が ヒドロキシチオール1モルに対して0.1モル〜10モルである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(A)において,光の波長が250〜500nmである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(A)において,光の照射の強度が200mW/cm2〜1mW/cm2である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(B)において、酸化剤が過酸化物、酸素分子またはオゾンである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(B)において、酸化剤が、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酢酸、オゾン、酸素分子、過硫酸塩である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(C)において、含フッ素アルコールと(メタ)アクリル酸ハライドとを、塩基の存在下に反応させる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(C)において、含フッ素アルコールと(メタ)アクリル酸とを酸触媒の存在下に反応させる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(C)において、含フッ素アルコールと(メタ)アクリル酸とを、脱水剤および塩基の存在下に反応させる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
Rfが式:
F(CF2CF2)n-
(式中、nは1〜3の整数である。)
で示される基である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
一般式:
Rf-Y-(CH2)m-OC(=O)C(-X)=CH2 (I)
(式中、Xは水素原子またはメチル基であり、
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、
Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法であって、
(A) アルカリ性水溶液中において、一般式:
Rf-I (11)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基である。)
で示される含フッ素アイオダイドと一般式:
HS(CH2)mOH (12)
(式中、mは1〜10である。)
で示されるヒドロキシチオールとを、少なくとも1種の第四級アンモニウム塩の存在下、波長200〜600nmの光の照射下で、反応させることにより、
一般式:
Rf-S-(CH2)m-OH (13)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールを得る工程、
(B) 必要により、含フッ素アルコールを酸化剤と反応させ、含フッ素アルコールにおける−S−を−SO−または−SO−に酸化させる工程、
(C) 工程(A)または工程(B)から得られた一般式:
Rf-Y-(CH2)m-OH (21)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールと(メタ)アクリル酸ハライドまたは(メタ)アクリル酸とを反応させることにより、含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを得る工程
を有して成る含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法。
【請求項13】
一般式:
Rf-Y-(CH2)m-OC(=O)C(-X)=CH2 (I)
(式中、Xは水素原子またはメチル基であり、
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、
Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法であって、
(A) アルカリ性水溶液中において、一般式:
Rf-I (11)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基である。)
で示される含フッ素アイオダイドと一般式:
HS(CH2)mOH (12)
(式中、mは1〜10である。)
で示されるヒドロキシチオールとを、少なくとも1種の第四級アンモニウム塩存在下、波長200〜600nmの光の照射下で、反応させることにより、一般式:
Rf-S-(CH2)m-OH (13)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールを得る工程、
(B) 必要により、含フッ素アルコールと過酸化水素を反応させることにより、一般式:
Rf-Y-(CH2)m-OH (21)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールを得る工程、次いで
(C) 工程(B)で得られた含フッ素アルコールと、(メタ)アクリル酸ハライドまたは(メタ)アクリル酸とを反応させることにより、一般式:
Rf-Y-(CH2)m-OC(=O)C(-X)=CH2 (I)
(式中、Xは水素原子またはメチル基であり、
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、
Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを得る工程
を有してなる含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法。
【請求項14】
一般式:
Rf-S-(CH2)m-OH (13)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールの製造方法であって、
アルカリ性水溶液中において、一般式:
Rf-I (11)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基である。)
で示される含フッ素アイオダイドと一般式:
HS(CH2)mOH (12)
(式中、mは1〜10である。)
で示されるヒドロキシチオールとを、少なくとも1種の第四級アンモニウム塩存在下、波長200〜600nmの光の照射下で、反応させることを特徴とする、含フッ素アルコールの製造方法。

【公開番号】特開2008−239556(P2008−239556A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83500(P2007−83500)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】