説明

含水ゲルの乾燥方法及び(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の製造方法

【課題】含水ゲルを押出機を用いて解砕すると共に、乾燥プレート上に均一に積載することができる含水ゲルの乾燥方法及びその乾燥方法を用いる(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】含水ゲルを乾燥プレート上に積載して乾燥する含水ゲルの乾燥方法であって、上記乾燥方法は、押出機より押出された含水ゲルを鉛直方向に回転軸を有する分散機と接触させて乾燥プレート上に積載する工程を含む含水ゲルの乾燥方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含水ゲルの乾燥方法に関する。より詳しくは、医薬、塗料、製造プロセス、土木・建築等の種々の分野で多岐にわたって使用されている(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の乾燥方法及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含水ゲルは、通常では乾燥した後粉砕され、粉体として供給されることにより、種々の分野で多岐にわたって使用されている。例えば、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の含水ゲルを乾燥して得られた(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の粉体(粉末)は、医薬分野においては、湿布薬やパップ剤の粘着性や保水性の向上を目的とした添加剤や親水性軟膏基材として使用されている。また、塗料分野においては、各種コンパウンドの増粘剤、例えばカーペット用コンパウンドの増粘剤、あるいは各種塗料用の増粘剤、粘着剤及び粘着性向上剤といった添加剤として使用されている。また、製造プロセスの分野においては、アルミナ製造時の赤泥沈降剤、ソーダ工業における塩水精製用凝集剤としても多用されている。更に、土木・建築分野においては、掘削土処理剤、浚渫土処理剤及び調泥剤として使用され、その他一般工業分野において吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤及び各種増粘剤としても使用されている。
【0003】
このような含水ゲルの乾燥においては、乾燥効率を上げるために、含水ゲルを押出機等の装置を用いて解砕するのが一般的である。例えば、水溶液重合により含水ゲルを調製した後に熱風乾燥を行う場合、含水ゲルを押出機を用いて押出すことにより、その表面積を大きくした後、熱風乾燥し、その後に粉砕して微粉末状態の製品とされることになる。
【0004】
従来の含水ゲル状重合体の乾燥方法としては、含水ゲル状重合体を、押出方向と垂直かつ水平方向の回転軸を有する回転体により細断破砕した後、熱風乾燥する乾燥方法が記載されている(例えば、特許文献1参照)。切れ目の入った紐状の含水ゲル状重合体を細断破砕して効率よく熱風乾燥することができるとしている。またダイスより押出された樹脂を、該ダイス面と平行な回転シャフトに取り付けられた回転プレートを回転させることによりペレット状にかきとる樹脂の造粒方法が記載されている(例えば、特許文献2参照)。種々の樹脂を一定粒状のペレットに造粒することができるとしている。該方法を含水ゲルの解砕に応用した場合、水平方向の回転軸を有する回転体を用いて解砕を行うため、ばらばらの粒子とすることができるものではなかった。また解砕後一箇所に含水ゲル状重合体が集まるため乾燥プレート上に均一に積載することができず、例えば首振りシューターやならし機のような均一に積載するための装置が必要となり、乾燥性能向上、低コスト化、省スペース化等のために工夫の余地があった。
【0005】
また、含水ゲル状重合物を、多孔板内表面に実質的に接触して作動するカッターを備えたスクリュー押出機で押出し、離型剤で被覆しながら多孔板外表面と実質的に接触して作動するカッターで切断し、小粒とし、乾燥する乾燥方法が記載されている(例えば、特許文献3参照)。含水ゲル状重合体を小粒にし、表面積が増大して効率的に乾燥を行うことができるとしているが、離型剤の処理を必須要件とするものであった。離型剤は食品添加物ではなく、また工業用の製品においても、溶解時に離型剤が油層として浮かんだり、白濁したりすることになる。従って、食品添加物及び工業用の製品の製造に好適に適用できるようにするための工夫の余地があった。
【特許文献1】特開平5−230124号公報(第1−2頁)
【特許文献2】特開昭59−178208号公報(第1−3頁)
【特許文献3】特開平1−36039号公報(第1−2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、含水ゲルを押出機を用いて解砕すると共に、乾燥プレート上に均一に積載することができる含水ゲルの乾燥方法及びその乾燥方法を用いる(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、含水ゲルの乾燥方法について種々検討した。すなわち、押出する場合、押出されたゲルは通常、数cm以上の細長い紐状態であるが、含水ゲルを乾燥するためにこのような紐状態の含水ゲルに対して効率のいい乾燥を行なうためには、該細長い紐状のゲルを短く切断すると共に、乾燥プレート面上に均一に積載する必要があることに着目した。
紐状のゲルを短く切断することは、次工程である乾燥工程における乾燥機の乾燥プレート上に積載された含水ゲル層間の通気性がよくなる結果、乾燥効率が高まる。また、乾燥プレート面上に均一に積載することは、乾燥時の熱風が含水ゲル層を満遍なく通過するため、均一に乾燥させることができる。(つまり、未乾部分をなくすことができる。)このように、上記した細長い紐状のゲルを出来るだけ短く切断すると共に該切断ゲルを乾燥プレート面上に効率的かつ均一に積載する装置上の工夫が必要であった。
そして、乾燥プレート上の含水ゲルの解砕状態及び積載状態が含水ゲル全体の乾燥性能に起因することに着目し、押出機より押出された含水ゲルを特定方向に回転軸を有する分散機と接触させて乾燥プレート上に積載することにより、含水ゲルを粒状になるまで解砕できる上に乾燥プレート上に均一に積載することができ、上記課題をみごとに解決できることに想到した。具体的には、水平方向ではなく、鉛直方向に回転軸を有する分散機を含水ゲルと接触させて、乾燥プレート上に積載して乾燥する場合には、含水ゲルを粒状になるまで解砕して乾燥プレート上に均一に積載することができることを見いだした。また、このような乾燥方法において振動流動床乾燥機又は通気バンド乾燥機を用いることにより、効率的に乾燥を行うことができることを見いだした。更に、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルを上述の乾燥方法を用いて乾燥することにより、含水率及び不溶解分が低減された(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を高生産性で製造することができることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0008】
すなわち本発明は、含水ゲルを乾燥プレート上に積載して乾燥する含水ゲルの乾燥方法であって、上記乾燥方法は、押出機より押出された含水ゲルを鉛直方向に回転軸を有する分散機と接触させて乾燥プレート上に積載する工程を含む含水ゲルの乾燥方法である。
【0009】
本発明はまた、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルを乾燥して(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を製造する方法であって、上記製造方法は、該含水ゲルを上記乾燥方法を用いて乾燥することを特徴とする(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の製造方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0010】
本発明の含水ゲルの乾燥方法は、含水ゲルを乾燥プレート上に積載して乾燥する含水ゲルの乾燥方法であって、上記乾燥方法は、押出機より押出された含水ゲルを鉛直方向に回転軸を有する分散機と接触させて乾燥プレート上に積載する工程を含むものである。
上記鉛直方向とは、含水ゲルが押出される方向に対して垂直である方向であり、言い換えれば、水平面と垂直をなす方向(すなわち重力の方向)をいうが、本発明の効果が発揮される範囲内で実際の重力方向(又は含水ゲルが押出される方向に対して垂直である方向)に対して数度ないし十数度程度の角度分のずれがあってもよい。上記回転軸の方向が実際の重力方向となす角度は、含水ゲルを粒状になるまで解砕して乾燥プレート状に均一に積載する点で、15度以下が好ましく、10度以下がより好ましく、5度以下が特に好ましい。
【0011】
押出機の出口より排出されるゲルの形状として、押出機のダイス径が小さい場合、通常、空気が混入した多孔質紐状ゲルである。また、押出機のダイス径が比較的大きい場合、通常、細かく切断された粒子が互いに繋がった連球紐状ゲルとなる。
分散機の回転軸を鉛直方向として解砕工程を行うことにより、上記、多孔質紐状ゲルの場合、長軸方向で30mm以下、好ましくは20mm以下、更に好ましくは10mm以下に切断することができる。また、連球紐状ゲルの場合は、連球ではなく、それぞれ独立した粒子にまで解砕できる。また含水ゲル粒子を乾燥プレート上に満遍なく散らすことができるため、含水ゲルを乾燥プレート上に均一に積載することが可能となる。すなわち、押出方向から左右に含水ゲルを散らして、乾燥プレート上の含水ゲルの進行方向に対して縦方向(前後方向)で見ても横方向(左右方向)で見ても含水ゲルが均一に積載されたものとすることができる。その結果、乾燥に供される含水ゲルの表面積が増大されて、熱風をゲル表面に充分に供給することができ、含水ゲル全体の乾燥性能を向上することができる。
【0012】
その結果、含水ゲルの中まで充分に乾燥が促進されて、乾燥物の含水率を充分に低減することが可能となる。これに対して、例えば、分散機の回転軸を水平方向として解砕を行った場合では、上記、多孔質紐状ゲルは多少、短く解砕できるものの充分とはいえなかった。また、連球粒子の場合は連球をなくし、独立した粒子にまで解砕することは困難であった。
従って、乾燥効率を上げる工夫が必要であった。また、この方式で押出ゲルを解砕した場合、含水ゲル粒子を乾燥プレート上に満遍なく散らすことができず、乾燥プレート上に均一に積載する、特に、押出方向から左右に含水ゲルを散らして、乾燥プレート上の含水ゲルの進行方向に対して縦方向(前後方向)で見ても横方向(左右方向)で見ても含水ゲルが均一に積載されたものとする(例えば、図7(a)のように乾燥プレート上の含水ゲルの進行方向に対して縦方向(前後方向)で見ても含水ゲルが均一に積載されたものとし、図7(b)のように横方向(左右方向)で見ても含水ゲルが均一に積載されたものとする)ためには、首振りシューター、ならし機等の設備が必須となり、低コスト化、省スペース化等のために有利なものではなく、工夫の必要があった。
【0013】
本願発明の効果は、分散機と接触する前の押出ゲルの形態として、熱風が供される表面積が小さくなりがちな紐状の含水ゲルを使用した場合が最も顕著な効果を奏する。上記押出ゲルの大きさ及び形状は、ダイス径や押出速度等の条件によって変化し得るが、本発明の効果が顕著となる点で直径が15mm以下の紐状の含水ゲルであることがより好ましい。更に好ましくは10mm以下で、特に好ましくは8mm以下である。
中でも、切れ目が入ったもの又は粒子が連なった連球粒子形状であることが特に好ましい。含水ゲルをこのような形状のものとすることにより、含水ゲルが分散機と接触して粒状に解砕されやすくなる点で有利となる。
上記押出機は、その内側又は外側に切断用刃を備えたものが好ましい。
【0014】
上記押出ゲルは、例えば、ダイス径が0.5〜20mmである押出機を用いて押出したものであることが好ましい。ダイス径が0.5mm未満の場合、押出時の吐出圧が異常に高圧となりゲルがうまく押出されない可能性がある。また、20mmを超える場合、乾燥効率が低下する場合がある。
【0015】
上記押出しの際には、含水ゲルを押出機に供給する前に、含水ゲルを短冊状に切断することが好適である。これにより、効率的に含水ゲルを押出しすることができる。
上記押出機としては、特に限定されないが、例えばミートチョッパー、一軸押出機、プランジャ押出機、二軸押出機、二軸一軸押出機等を好適に用いることができる。
【0016】
上記押出ゲルは、含水ゲルの含水率が40〜80質量%であることが好ましい。含水率をこのような範囲とすることにより、本件の乾燥方法を適する上で好ましい形態とすることができる。含水率が40質量%未満であっても、80質量%を超えても、分子量低下、不溶解分の増加等品質が低下するおそれがある。また、分散機でゲルがうまく微粒子化できない恐れがある。より好ましい下限は45質量%、上限は75質量%であり、更に好ましい下限は50質量%、上限は70質量%である。
通常含水率40〜80質量%の含水ゲルは、固形分を20〜60質量%含むものである。
ここで、含水率は、以下のようにして求めることができる。
また、上記押出ゲルを本発明の方法で乾燥させることでより効率よく短時間で低い含水率となるまで乾燥することができる。
【0017】
(含水率の測定方法)
粉砕が不可能なゲルの場合;
ゲルをハサミを使用して粒径が約3mm程度になるようにきざむ。(以下、ハサミ処理品Aともいう。)該ゲル約2gをアルミシャーレ No.1072(宮野医療器(株)製)に精秤し、予め190℃に調整された卓上乾燥機で恒量になるまで乾燥したあとの残量を精秤する。乾燥する前の質量に対する乾燥による質量の減少分の割合を含水率(質量%)とする。
粉砕可能な含水重合体の場合;
重合体を卓上型粉砕機(Osterizer)で粉砕し、20メッシュパスとなるように分級する。(以下、分級品Bという。)分級品B約1gをアルミニウム製のホイールコンテナに精秤し、予め190℃に調整された卓上乾燥機で恒量となるまで乾燥した後の残量を精秤する。乾燥する前の質量に対する乾燥による質量の減少分の割合を含水率(質量%)とする。
つまり上記のように、含水ゲルの乾燥状態によっては、例えば水の含有量が多い場合には、ハサミで切断できる状態である。そして、更に乾燥状態が進み水の含有量が少なくなってくると、ハサミで切断できなくなり、また粉砕可能な含水重合体の状態になってくる。その2種の固形分の測定方法の使いわけは、当該重合体の固形分が測定できるのであれば適宜行うことができる。
【0018】
上記分散機に使用される攪拌羽根の形状としては、特に制限はなく広い範囲の羽根が使用できる。例えば、ファン型、プロペラ型、ストレート型、タービン型、ディスクタービン型、フラットタービン型、溶解型、遠心力型、平型、スクリュー型、錨型、こね器型等を挙げることができる。これらの羽根は、例えば、アズワン株式会社の製品カタログ「研究用総合機器80000(2003〜2005)」に収載されているものを参考にして、製造現場で使用できるサイズにすることによって作製することができる。また、例えば、図1に示すように、プロペラ型(図1(a)、(b))、ストレート型(図1(c))、遠心力型(図1(d))、溶解型(図1(e))、タービン型(図1(f))等が好適である。攪拌羽根の直径は、10〜100cmが好ましい。
【0019】
上記分散機の押出機に対する配置については、下記のように設定することが好適である。
(1)押出機から分散機の回転軸までの距離(図2に示される距離L);1〜50cm。
(2)押出機の含水ゲルが排出される先端部の中心(押出機のスクリューの中心軸)から分散機の攪拌羽根の中心位置までの高低差(図2に示される距離l);5〜100cm。
(3)分散機の攪拌羽根の中心位置から乾燥プレートの上部表面までの高低差(図2に示される距離R);5〜100cm。
(4)乾燥プレートの幅(押出方向から左右方向の乾燥プレートの長さ;図2に示される距離r);30〜150cm。
押出機と分散機との位置関係を上記のようにすることにより、押出機から排出される含水ゲルを充分に分散機に接触させることができ、含水ゲルを粒状に解砕することができる。また、乾燥プレート上に均一に積載することができ、特に、押出方向から左右に含水ゲルを散らして、乾燥プレート上の含水ゲルの進行方向に対して縦方向(前後方向)で見ても横方向(左右方向)で見ても含水ゲルが均一に積載されたものとすることができ、本発明の効果が顕著となる。
【0020】
上記分散機の回転数は、5〜10000rpmであることが好ましい。回転数が5rpm未満であると、含水ゲルを押出方向から充分に左右に散らすことができないおそれがあり、10000rpmを超えると、含水ゲルが過剰に散らされて乾燥プレート上に積載されないおそれがあり、何れにしても含水ゲルを乾燥プレート上に均一に積載することができなくなるおそれがある。より好ましくは50〜5000rpmであり、特に好ましくは100〜2000rpmである。
【0021】
上記分散機と接触されて得られる粒状の含水ゲルは、通常、乾燥プレート上に均一に積載された後、乾燥に供されることになる。
上記乾燥プレートとしては、乾燥機内に供されてプレート上の乾燥対象を乾燥することができるものであれば特に限定されず、例えば、パンチングメタルが好ましい。含水ゲルを乾燥プレート上により均一に積載するために、乾燥プレート上にディストリビューターを取り付けてもよい。
本発明の乾燥方法において、複数の粒状の含水ゲルが乾燥プレート上に均一に積載され、全体として表面積の大きな含水ゲルに熱風が供給されて、含水ゲル全体の乾燥が促進される。このように乾燥が促進されることにより、乾燥物の含水率が充分に低減することになる。ゲル内部に存在する気泡が熱風の通り道となることもある。
【0022】
上記乾燥は、例えば、通気式乾燥機を使用して行うことができる。
上記通気式乾燥機としては、乾燥性能に優れる点で、通気バンド乾燥機又は振動流動床乾燥機が好ましい。
【0023】
本発明の含水ゲルの乾燥方法においては、露点70℃以下であり、かつ、温度160〜230℃である熱風を用いて粒状の含水ゲルを乾燥することが好ましい。熱風性状をこのようなものとすることにより、乾燥性能に優れる上に、乾燥対象である重合体が熱分解を起こすこともなく、含水ゲルの中まで充分に乾燥が促進されて本発明の乾燥方法に好適なものとすることができる。
上記熱風における露点を70℃以下とし、かつ、乾燥温度を160℃以上とすることが好ましい。露点及び温度をこのようなものとすることにより、露点と乾燥温度との差が大きくなり、充分に乾燥した熱風によって含水ゲルの中まで高い温度で乾燥することができ、その結果、乾燥時間を短縮することができ、乾燥工程において含水ゲルが蒸されて架橋反応が起こるのを充分に抑制することができる。従って、不溶解分を低減させることができる。上記露点は、より好ましくは60℃以下であり、更に好ましくは、50℃以下である。上記温度は、170℃以上がより好ましく、180℃以上が更に好ましい。
また、上記熱風の温度を230℃以下とすることが好ましい。230℃を超えると、乾燥対象が熱分解を起こすおそれがある。上記温度は、220℃以下がより好ましく、210℃以下が更に好ましい。
乾燥時間は、100分以内が好ましい。
【0024】
また、上記通気バンド乾燥機、振動流動床乾燥機等の線速による規定が可能な乾燥機を用いて乾燥を行う場合、上記熱風が粒状の含水ゲル間隙を線速0.1m/s以上で通過するようにして乾燥することが好ましく、これにより熱風をゲル表面に満遍なく供給することができ、含水ゲル全体の乾燥性能を向上することができる。その結果、後述する実施例で裏付けられているように、乾燥物の含水率を充分に低減することが可能となる。線速が0.1m/sより小さいと、乾燥性能が充分でなくなるおそれがあり、含水ゲルの中まで充分に乾燥が促進されなくなる。下限は、0.3m/s以上が好ましく、0.5m/s以上がより好ましい。上限は、3.0m/s以下が好ましい。線速が3.0m/sより大きいと、乾燥中に乾燥物の一部が気流と共に飛散してしまうおそれがある。
【0025】
上記乾燥方法は、振動流動床乾燥機又は通気バンド乾燥機を用いて含水ゲルを乾燥することが好ましい。
上記乾燥方法は、振動流動床乾燥機を用いて含水ゲルを乾燥することが特に好ましい。
乾燥方法をこのようなものとすることにより、より効率的に乾燥せしめることが可能である。
振動流動床乾燥機を用いることにより、本願発明の作用効果をより発揮させることができる。
本発明の乾燥方法において振動流動床乾燥機を用いる場合は、ゲルが全体的に充分乾燥するように、また、振動が充分に伝わるように乾燥時のゲルの層高が3〜100mm程度となるように供給して乾燥することが好ましい。更に好ましいゲル層高は5〜80mmであり、最も好ましくは10〜50mmである。
【0026】
上記振動流動床乾燥機は、材料を振動により流動させながら、乾燥するものであり、例えば、三菱マテリアルテクノ社製Qユニット(連続式及び回分式)等が挙げられる。
振動流動床乾燥機を用いる場合には、振動ストローク等は、振動流動床乾燥機において通常行われる振動ストローク(2〜20mm)に設定すればよい。
【0027】
本発明の乾燥方法において通気バンド乾燥機を用いる場合には、ゲルが全体的に充分に乾燥するように、乾燥時のゲルの層高が3〜200mm程度となるように供給して乾燥することが特に好ましい。更に好ましいゲル層高は10〜150mmであり、最も好ましくは20〜120mmである。
上記通気バンド乾燥機は、乾燥しようとする材料が乾燥プレート上でプレートに対して動かないで乾燥されることになり、例えば、株式会社大川原製作所製の熱風乾燥機が挙げられる。
【0028】
本発明はまた、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルを乾燥して(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を製造する方法であって、上記製造方法は、該含水ゲルを上記乾燥方法を用いて乾燥する(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の製造方法でもある。
【0029】
本発明の乾燥方法を用いて(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルを乾燥することにより、上述したように、乾燥に供される含水ゲルの表面積が増大されて、熱風を含水ゲル全体に充分に供給することができ、含水ゲルの乾燥性能を向上することができる。その結果、含水ゲルの中まで充分に乾燥が促進されて、含水率の充分に低減された(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を製造することが可能となる。また、上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体は、不溶解分が充分に低減されたものとすることができる。不溶解分が充分に低減された(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体が得られる理由は、含水ゲルの中まで充分に乾燥が促進されることにより、固形分の低い含水ゲルの中で重合体が蒸される時間が結果的に短縮され、熱による架橋反応が抑制されるためであると推察される。これに対して、例えば、分散機の回転軸を水平方向として解砕した後、乾燥を行った場合では、押出機より押出された含水ゲルは、分散機との接触によりその長さは多少短くなる程度であり不充分である。しかも大部分が連球粒子であるため、乾燥性能に劣ることになり、含水率及び不溶解分が充分に低減された(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を製造することができなくなる。また更に不都合なことは上述したように、乾燥プレート上に含水ゲルを均一に積載することができないために、例えば、首振りシューター、ならし機等の設備が必要となり、コスト面、スペース面等において劣るものとなる。
【0030】
本発明の製造方法で用いられる乾燥方法における積載工程は、上述した通りである。
本発明の製造方法で用いられる押出機に供される前後の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルの形状、押出ゲルの含水率、押出条件等は、上述した通りである。
上記製造方法で用いられる(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルは、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸塩により構成される(メタ)アクリル酸(塩)単量体を必須とする単量体成分を重合して得られる重合体により形成される、水を含んでなるゲル状物である。このような含水ゲルの好適な形態としては、(メタ)アクリル酸(塩)単量体を含む単量体成分を重合して得られる重合体により形成されるものであり、該(メタ)アクリル酸(塩)単量体は、全単量体成分100モル%に対して、60モル%以上であることが好ましい。(メタ)アクリル酸(塩)単量体の比率が高い程、本願発明の効果がより顕著になる。より好ましくは、70モル%以上である。
なお、上記重合体としては、酸基を持つ酸型重合体でも酸基を持たない塩型重合体でもよく、塩型重合体を製造する場合、最初から酸部分を中和した塩型の単量体を使用してもよい。
【0031】
また上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の不溶解分は3質量%以下であることが好ましい。これにより、少ない使用量で(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の作用効果を充分に発揮することが可能となり、例えば、パップ剤として使用した場合には、より均質な膏体が得られることとなる。一方、不溶解分が3質量%を超えると、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の有効成分が少なくなるおそれがある。また、上記水溶性重合体を溶解するタンクに付属しているストレーナーに多量の不溶解分(ゲル)が溜り頻繁に掃除の必要性が生じ、更に、液移送配管の閉塞の原因となるおそれがある。好ましくは、2質量%以下であり、より好ましくは、1質量%以下であり、更に好ましくは、0.7質量%以下であり、特に好ましくは、0.5質量%以下である。なお、不溶解分は、以下のようにして求めることができる。
【0032】
(不溶解分の測定方法)
容量500mlのビーカーにメタノール20mlを入れた後、結果として固形分が97質量%以上に乾燥している上記重合体粉末(例えば上記分級品B)を純分として1g添加する。マグネチックスターラーで撹拌しながら、イオン交換水500mlを添加した後、ジャーテスターを使用し100rpmで50分間攪拌溶解させた後、32メッシュのフィルターを用いて濾過することにより、含水状態の不溶物を取り出す。そして、この不溶物が乾燥しないように素早く秤量し、下記計算式(1)に基づいて不溶解分を算出する。なお、上記濾過及び秤量は、25℃、相対湿度60%の状態で行う。
不溶解分(質量%)={不溶物の質量(g)/500(g)}×100 (1)
【0033】
更に上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の重量平均分子量としては、50万〜1000万であることが好ましい。この分子量範囲により、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体は、充分な凝集力や増粘性を発揮できるとともに、安定的にこれらの物性を保有することが可能となる。より好ましくは、100万〜700万であり、更に好ましくは、200万〜600万であり、特に好ましくは、300万〜500万である。
上記重量平均分子量の測定方法は、ダイナミック光散乱光度計を用いて以下の条件により測定するものである。
装置:ダイナミック光散乱光度計(大塚電子社製、商品名:DSL−700)
溶媒:0.16MのNaClの水溶液
試料濃度:0.05〜2mg/ml
試料pH:10(at25℃)
測定温度:25℃
【0034】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の製造方法は、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルを本発明の乾燥方法を用いて乾燥するものであればよいが、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルを粉砕する粉砕工程及び分級する分級工程を更に含むことが好ましく、処理工程としては、図3に示すように、重合、押出、積載、乾燥、粉砕、分級の順に、これらの工程を含むことが好ましい。ここで、重合工程とは、(メタ)アクリル酸(塩)を主成分とする単量体成分を重合する工程である。押出工程は、重合工程で得られた重合体のゲル状物を押出しして乾燥しやすいように成形する工程をいい、押出条件については上述した通りである。積載工程は、押出ゲルを鉛直方向に回転軸を有する分散機と接触させて乾燥プレート上に積載する工程をいい、積載条件については上述した通りである。乾燥工程は、乾燥プレート上に積載された粒状の含水ゲルを乾燥して乾燥物(すなわち、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体)を得る工程であり、乾燥条件については上述した通りである。粉砕工程は、その(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を一定の大きさ(粒度)に砕く工程であり、このようにして得られた粉粒体を次の分級工程で分級することが好ましい。このような工程を経ることにより、種々の分野に好適に使用できる(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体が得られることとなる。
【0035】
本発明の製造方法における重合工程、粉砕工程及び分級工程について、以下に更に説明する。
(重合工程)
重合工程では、上述したように(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸塩により構成される(メタ)アクリル酸(塩)単量体を必須とする単量体成分を重合することとなる。上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルは、このようにして得られる重合体により形成される、重合溶媒としての、水を含んでなるゲル状物であるが、(メタ)アクリル酸塩としては、(メタ)アクリル酸を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物、すなわち(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも(メタ)アクリル酸ナトリウムが好ましい。より好ましくは、アクリル酸ナトリウムである。
【0036】
上記単量体成分としては、(メタ)アクリル酸(塩)単量体以外の酸系単量体やその他の単量体を含んでいてもよく、(メタ)アクリル酸(塩)単量体以外の酸系単量体としては、α−ヒドロキシアクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド等の不飽和スルホン酸系単量体;(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸等の不飽和ホスホン酸系単量体及びこれら酸系単量体を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
上記その他の単量体としては、(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、2−メチルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性単量体;3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ビニルアルコール等の水酸基を有する不飽和単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のカチオン性単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルの重合において、特にアクリルアミド系単量体は、重合性が充分ではなく残存しやすいため、また、残存した場合には安全性が充分とはならないことや高温で加水分解を起こしやすいことから、上記のその他単量体としてのアクリルアミド系単量体の使用量は、全使用単量体100モル%に対して、30モル%以下とすることが好ましい。より好ましくは20〜0モル%、更に好ましくは10〜0モル%、特に好ましくは5〜0モル%の範囲内とすることである。
【0038】
上記(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルの製造方法(重合方法)としては、溶液重合法が好ましい。より好ましくは、水溶液中にて静置重合法で重合する方法であり、このような方法は、不溶解分を少なく、かつ、高分子量の水溶性重合体を容易に製造できるため好ましい。また、重合の形態としては、注型重合法やベルト重合法が採用できる。重合時の単量体濃度としては、20〜60質量%とすることが好ましい。より好ましくは、25〜55質量%であり、更に好ましくは、30〜50質量%である。
【0039】
上記重合方式としては、熱重合や光重合のいずれでも製造することができる。
尚、熱重合や光重合等において、重合温度や重合時間、光重合の場合には光強度や波長等の重合条件については、(メタ)アクリル酸(塩)単量体を必須とする単量体成分を重合して(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を調製するときに通常行われている条件で適宜設定すればよい。すなわち、この明細書に開示された原料やその他用いることができる原料を使用して、アクリル酸(塩)系単量体を必須とする単量体成分を重合して目的とする分子量や重合率の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体が調製されるように重合条件を適宜設定すればよい。
上記熱重合は、単量体を、熱重合開始剤の存在下で重合させる静置重合法が好ましい。静置重合法を行うとき、(メタ)アクリル酸系重合体を調製する場合は、アミン類の存在下で行うことが好ましく、(メタ)アクリル酸塩系重合体を調製する場合は、多価アルコール及びアミン類の存在下で行うことが好ましい。
【0040】
上記多価アルコールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ブタントリオール、グリセリン、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら多価アルコールは、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記例示の化合物のうち、グリセリンがより好ましい。
【0041】
上記多価アルコールの単量体成分に対する添加量は、特に限定されるものではないが、0.01〜20質量%の範囲内がより好ましく、0.1〜10質量%の範囲内が更に好ましい。これにより、(メタ)アクリル酸塩系水溶性重合体の重合度を更に一層高くすることができる。多価アルコールの添加量が0.01質量%よりも少ない場合、又は、多価アルコールの添加量が20質量%を越える場合には、超高分子量でかつ水溶性に優れた(メタ)アクリル酸塩系水溶性重合体を効率的に製造することが困難となるおそれがある。
【0042】
上記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、エチルヘキシルアミン、エトキシプロピルアミン、ジメチルラウリルアミン、ポリエチレンイミン、ピリジン、アミノ安息香酸、アミノフェノール、アニリン、ジメチルアニリン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらアミン類は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記例示の化合物のうち、トリエタノールアミンがより好ましい。
【0043】
上記アミン類の単量体成分1モルに対する添加量は、特に限定されるものではないが、1×10−5〜1×10−2モルの範囲内が好ましく、1×10−4〜3×10−3モルの範囲内が更に好ましい。これにより、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の重合度を更に一層高くすることができる。アミン類の添加量が1×10−5モルよりも少ない場合には、重合の進行が遅くなる。アミン類の添加量が1×10−2モルを越える場合には、超高分子量でかつ水溶性に優れた(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を効率的に製造することが困難となるおそれがある。
【0044】
上記熱重合の場合の重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2′−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス−〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩等のアゾ系化合物等の水溶性ラジカル重合開始剤が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。これら熱重合開始剤の中でも、過硫酸塩が特に好ましい。上記熱重合開始剤の使用量は、単量体成分1モルに対して、0.0001〜0.05gの範囲内が好適である。熱重合する時の重合開始温度としては、15〜50℃が好ましい。重合時の反応液の最高温度は150℃以下、好ましくは、120℃以下、より好ましくは、110℃以下となるように重合を制御することが好ましい。
【0045】
上記光重合の場合の重合開始剤としては、以下のような化合物を用いることができる。
2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、1,1′−アゾビス(1−アミジノ−1−シクロプロピルエタン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノ−4−メチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−N−フェニルアミノアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(1−イミノ−1−エチルアミノ−2−メチルプロパン)、2,2′−アゾビス(1−アリルアミノ−1−イミノ−2−メチルブタン)、2,2′−アゾビス(2−N−シクロへキシルアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノプロパン)及びその塩酸、硫酸、酢酸塩等、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(1,1′−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−1,1′−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ系光重合開始剤。
【0046】
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)とベンゾフェノンとの共融混合物、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア369)と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)との3:7の混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:1の混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:1の液状混合物、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの共融混合物、4−メチルベンゾフェノンとベンゾフェノンとの液状混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドとオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]とメチルベンゾフェノン誘導体との液状混合物。
【0047】
1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルファニル)プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、α−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、エチル4−ジメチルアミノベンゾエート、アクリル化アミンシナジスト、ベンゾイン(iso−及びn−)ブチルエステル、アクリルスルホニウム(モノ、ジ)ヘキサフルオロリン酸塩、2−イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルスルフィド、2−ブトキシエチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインヒドロキシアルキルエーテル、ジアセチル及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、ジフェニルジスルフィド及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、ベンジル及びその誘導体。
【0048】
上記光重合開始剤の使用量としては、重合に使用される単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また、1g以下が好ましい。これにより、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の重量平均分子量や重合率を充分に高いものとすることができる。より好ましくは、0.001g以上であり、また、0.5g以下である。光重合する時の重合開始温度としては、0〜30℃が好ましい。重合時の反応液の最高温度は150℃以下、好ましくは120℃、より好ましくは110℃以下となるように重合を制御することが好ましい。
【0049】
上記光重合を行う場合には、反応液等に近紫外線を照射することが好ましい。近紫外線を照射する装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光ケミカルランプ、蛍光青色ランプ等が好適である。また、近紫外線の波長領域としては、300nm以上であることが好ましく、また、500nm以下であることが好ましい。この範囲の波長を有する紫外線を反応液等に照射することにより、光重合が開始し、適切な速度で重合反応が進行することになる。また、光重合を行う場合には、近紫外線を0.1〜100W/mの強度で照射して重合させることが好ましく、これにより、不溶解分をより少なくすることができる。
【0050】
上記重合方法においてはまた、上記重合開始剤とともに連鎖移動剤を併用することが好ましい。適当量の連鎖移動剤を使用することにより、(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の重量平均分子量がより大きく、かつ不溶解分がより少ない重合体を製造することができ、その結果、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
上記連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオ酢酸、メルカプトエタノール等の含硫黄化合物;亜燐酸、亜燐酸ナトリウム等の亜燐酸系化合物;次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム等の次亜燐酸系化合物;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類が好適である。これらの中でも、次亜燐酸系化合物が好ましい。より好ましくは、次亜燐酸ナトリウムである。上記連鎖移動剤の使用量としては、重合濃度や光重合開始剤との組み合わせ等により適宜設定すればよいが、重合に使用される単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また、0.2g以下が好ましい。また、更に好ましくは、0.001g以上であり、また、0.15g以下であり、特に好ましくは、0.005g以上であり、また、0.10g以下である。
【0051】
(粉砕工程)
粉砕工程では、上記乾燥工程により乾燥された乾燥物を一定の大きさ(粒度)に砕くこととなるが、粉砕工程としては特に限定されず、通常行われる方法が採用される。
【0052】
(分級工程)
分級工程では、上記粉砕工程により砕かれた粉粒体の粒度を調製することとなり、分級方法としてもまた、特に限定されず、通常行われる方法が採用される。
【0053】
本発明の製造方法により、種々の分野に好適に使用できる(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を製造することができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明の含水ゲルの乾燥方法は、上述の構成よりなるため、含水ゲルを効率的に乾燥することができる。また本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の製造方法は、上述の構成よりなるので、含水率及び不溶解分が充分に低減された(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を高生産性で得ることができ、湿布薬やパップ剤用の添加剤や親水性軟膏基材、カーペット用コンパウンドの増粘剤、塗料の増粘剤や粘着剤や粘着性向上剤、アルミナ製造時の赤泥沈降剤、ソーダ工業における塩水精製用凝集剤、掘削土処理剤や浚渫土処理剤や調泥剤、吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤、各種増粘剤等に好適に使用することが可能となる。又、その中でもポリアクリル酸(塩)は、食品添加物、飼料用添加剤として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0056】
合成例1(中和度100モル%、熱重合)
容量5Lのビーカーにアクリル酸ナトリウム37質量%水溶液4865部、グリセリン36部及び重合開始剤としての過硫酸ナトリウム0.111部を入れて攪拌混合することにより、これらを均一に溶解させた。この水溶液に少量の水酸化ナトリウムを添加することにより、該水溶液のpHを12.0に調整した。その後、該水溶液にイオン交換水を加えることにより反応液5000部を調製した。また、反応液に含まれる溶存酸素は、窒素ガスをバブリングすることにより除去した。
該反応液におけるアクリル酸ナトリウムの濃度は36質量%であった。そして、アクリル酸ナトリウムに対するグリセリンの添加量は2.0質量%であり、アクリル酸ナトリウム1モルに対する過硫酸ナトリウムの添加量は0.0058g(2.5×10−5モル)であった。
【0057】
上記反応液5000部を図4及び図5に示した重合容器に仕込んだ後、ガラスコックを閉じると共に温度計11を挿入して重合容器内部を密閉した。
この重合容器を予め35℃に調整された恒温水槽(加熱装置)に浸漬し、重合(静置重合)を開始した。従って、重合開始時の水槽温度(加熱温度)は35℃である。
【0058】
重合容器を恒温水槽に浸漬した後、重合が徐々に進行して浸漬した時点から3.6時間後に重合温度がピークに到達して82℃(ピーク温度)となった。この間、水槽温度は35℃を保持した。そして、重合温度がピーク温度に達した後、更に0.5時間、水槽温度を35℃に保持した。次いで、水槽温度を35℃から75℃に0.5時間かけて連続的に昇温させた。そして、該温度(加熱温度)を2.0時間保持することにより熟成し重合を完結させた。重合終了後、重合容器を冷却し、ボルト・ナットを弛めて型枠を開き、内容物を取り出した。得られた内容物は透明な板状ゲルであった。
該板状ゲルをカッターで切断して短冊状ゲルを得た。
【0059】
実施例1(振動流動床乾燥機の実施例)
図6(a)に示した装置における含水ゲル入口1よりミートチョッパー2(平賀工作所製、No.32E型、ダイス径4.5mmΦ)中に、合成例1で得られた短冊状ゲルを1.2kg/minの速度で供給した。スクリュー4により動力をかけられ、ミートチョッパー2の内側の切断用刃5により切断されて解砕されたゲルは、ダイス板3を通過する際に成形された後、粒子が連なった連球粒子形状となり、鉛直方向に回転軸を有する分散機6(回転数200rpm)で粒状に解砕されて、原料投入口14を通って振動流動床乾燥機22内部の幅70cm(すなわち、r=70cm)長さ1500cmの乾燥プレートの上部表面(パンチングメタル)上に積載された。乾燥プレート上にはディストリビューター23が取り付けられていた。なお、L=5cm、l=40cm、R=60cmであった。
ゲルは乾燥プレート上に均一に積載され、その厚さは約30mmであった。図6(b)に示すように、乾燥プレート上の含水ゲルの進行方向に対して縦方向(前後方向)で見ても横方向(左右方向)で見ても含水ゲルが均一に積載されていた。また、ゲルは連球粒子がほとんどなく、バラバラの独立した粒子に解砕されていた。振動流動床乾燥機の運転条件として振動数750cpm、ストローク6mmであった。乾燥プレートは下から上に向かってゲル層を通過する形で露点が50℃で温度が200℃の熱風を通過線速1.0m/sで通気することにより乾燥した。
尚、乾燥室内での材料の滞留時間は、15分であった。このようにして得られた乾燥物を卓上型の粉砕機で粉砕し、20メッシュパスとなるよう分級してポリアクリル酸ナトリウムからなる粉末状重合体を得た。該粉末状重合体1gを秤取し、190℃に調整された卓上乾燥機で恒量になるまで乾燥することにより含水率を測定した結果、1.2質量%であった。また前記した方法により測定した不溶解分は0.2質量%であった。
【0060】
実施例2(通気バンド乾燥機の実施例)
図7(a)に示した装置において、含水ゲルは、実施例1と同様にミートチョッパーにより成形された後、粒子が連なった連球粒子形状となり、鉛直方向に回転軸を有する分散機6(回転数300rpm)で粒状に解砕されて、幅60cm(すなわち、r=60cm)で4cm/minの速度で連続的に走行しているベルトコンベア24の上部表面(パンチングメタルである乾燥プレート)上に積載された。なお、L=3cm、l=30cm、R=70cmであった。
ゲルは乾燥プレート上に均一に積載され、その厚さは約90mmであった。図7(b)に示すように、乾燥プレート上の含水ゲルの進行方向に対して縦方向(前後方向)で見ても横方向(左右方向)で見ても含水ゲルが均一に積載されていた。また、ゲルは連球粒子がほとんどなく、バラバラの独立した粒子に解砕されていた。乾燥プレート上のゲルは通気バンド乾燥機25の乾燥室(チャンバー)内に導入され、温度200℃、線速1.5m/sの熱風を上部から下部方向に通過させることにより乾燥した。
尚、乾燥室内での滞留時間は、60分であった。このようにして得られた乾燥物を卓上型の粉砕機で粉砕し、20メッシュパスとなるよう分級してポリアクリル酸ナトリウムからなる粉末状重合体を得た。該粉末状重合体1gを秤取し、190℃に調整された卓上乾燥機で恒量になるまで乾燥することにより含水率を測定した結果、0.8質量%であった。また、不溶解分は、2.6質量%であった。
【0061】
比較例1(通気バンド乾燥機の比較例)
図8(a)に示した装置において、含水ゲルは、実施例1と同様にミートチョッパーにより成形された後、粒子が連なった連球粒子形状となり、水平方向に回転軸を有する分散機27(回転数300rpm)で部分的に解砕されて、パンチングメタルである乾燥プレート上に積載された。なお、L=3cm、l=30cm、R=70cm、r=60cmであった。
なお、分散機27は、回転軸に垂直に長さ50mm、10mmφ丸棒を30mmピッチでとりつけたものであり、ミートチョッパー2のダイス板3外表面と分散機27の羽根の先端の最短距離が10mmとなるように設置したものであった。ケーシング13内に設けた分散機27の回転数は100rpmとした。また、ケーシング13内面はテフロン(登録商標)コーティングを実施したものであった。更に、含水ゲルを細かく解砕するための破砕用固定刃26を設置したものであった。
このようにして得られた含水ゲル状重合体は、長さが短くなったものの、大部分が連球粒子であり、バラバラの独立粒子は殆ど得られなかった。また分散機27との接触後積載された含水ゲルは、図8(b)に示すように乾燥プレート上の含水ゲルの進行方向に対して横方向(左右方向)で見ると含水ゲルが均一に積載されておらず、厚みむらが大きかった(厚み0〜130mm)。次工程として、積載された含水ゲルは乾燥室内に導入され、温度200℃、線速1.5m/sの熱風を上部から下部方向に通過させることにより乾燥した。
尚、乾燥室内での滞留時間は、60分であった。このようにして得られた乾燥物を卓上型の粉砕機で粉砕し、20メッシュパスとなるよう分級してポリアクリル酸ナトリウムからなる粉末状重合体を得た。該粉末状重合体1gを秤取し、190℃に調整された卓上乾燥機で恒量になるまで乾燥することにより含水率を測定した結果、4.7質量%であった。不溶解分は、4.3質量%であった。
【0062】
上述した実施例及び比較例から、次のようにいえることがわかった。すなわち、押出機より押出された含水ゲルを鉛直方向に回転軸を有する分散機と接触させて乾燥プレート上に積載することにより、それ以外の場合と比べて、含水率が4.7質量%から0.8〜1.2質量%、不溶解分が4.3質量%から0.2〜2.6質量%にそれぞれ低減し、これらの実施例においては、本発明の効果が顕著に現れることになる。具体的には、分散機の回転軸を水平方向から鉛直方向とすることで、含水ゲルが粒状になるまで充分に解砕された上に乾燥プレート上に均一に積載されることにより、乾燥における効率が上がり、乾燥物の含水率及び不溶解分が非常に低減されたものとなる。実施例1では、振動流動床乾燥機を用いているが、この実施例においては不溶解分が0.2質量%となり、更に本発明の効果が顕著に現れることになる。
【0063】
なお、上述した実施例及び比較例では、乾燥機として、振動流動床乾燥機、通気バンド乾燥機を用いているが、「押出機より押出された含水ゲルを鉛直方向に回転軸を有する分散機と接触させて乾燥プレート上に積載する」条件を満たす限り、含水ゲルが粒状に解砕され、乾燥プレート上に均一に積載される機構は同様であり、その結果乾燥における効率が上がり、乾燥物の含水率及び不溶解分が非常に低減されるといえる。したがって、振動流動床乾燥機、通気バンド乾燥機以外の乾燥機であっても、本発明の効果(性能)を発揮することになる。
【0064】
(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルを本発明の乾燥方法を用いて乾燥することにより製造される(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体は、本発明の効果によって効率的に乾燥が行われ、含水率及び不溶解分が低減されたものであるので、湿布薬やパップ剤用の添加剤や親水性軟膏基材、カーペット用コンパウンドの増粘剤、塗料の増粘剤や粘着剤や粘着性向上剤、アルミナ製造時の赤泥沈降剤、ソーダ工業における塩水精製用凝集剤、掘削土処理剤や浚渫土処理剤や調泥剤、吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤、各種増粘剤等に好適に使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の乾燥方法において、分散機に好適に使用される攪拌羽根の形状を示す概略図である。
【図2】本発明の乾燥方法において、押出機、分散機及び乾燥プレートを示す概略図である。
【図3】本発明の製造方法の好適な形態を示す工程図である。
【図4】本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を製造するために好適に用いられる反応装置の一例を示すものであり、該反応装置(重合容器)の概略の正面図である。
【図5】図4の反応装置の概略の断面図である。
【図6】(a)本発明の含水ゲルの乾燥方法において、積載工程の実施の一形態を示す概略の正面図である。(b)(a)の実施の一形態を示す概略の側面図である。(c)(a)の実施の一形態を示す概略の斜視図である。
【図7】(a)本発明の含水ゲルの乾燥方法において、積載工程の実施の一形態を示す概略の正面図である。(b)(a)の実施の一形態を示す概略の側面図である。
【図8】(a)従来の含水ゲルの乾燥方法において、積載工程の実施の一形態を示す概略の正面図である。(b)(a)の実施の一形態を示す概略の側面図である。
【符号の説明】
【0066】
1:含水ゲル入口
2:ミートチョッパー
3:ダイス板
4:スクリュー
5:切断用刃
6:鉛直方向に回転軸を有する分散機
7:型枠
8:反応液注入口
9:反応液パージ口
10:パッキング
11:温度計
12:重合部
13:ケーシング
14:原料投入口
15:プレナム
16:フード
17:防振ゴム
18:空気入口
19:振動モータ
20:空気出口
21:乾燥品出口
22:振動流動床乾燥機
23:ディストリビューター
24:ベルトコンベア
25:通気バンド乾燥機
26:破砕用固定刃
27:水平方向に回転軸を有する分散機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水ゲルを乾燥プレート上に積載して乾燥する含水ゲルの乾燥方法であって、
該乾燥方法は、押出機より押出された含水ゲルを鉛直方向に回転軸を有する分散機と接触させて乾燥プレート上に積載する工程を含む
ことを特徴とする含水ゲルの乾燥方法。
【請求項2】
前記乾燥方法は、振動流動床乾燥機又は通気バンド乾燥機を用いて含水ゲルを乾燥する
ことを特徴とする請求項1記載の含水ゲルの乾燥方法。
【請求項3】
(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体含水ゲルを乾燥して(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体を製造する方法であって、
該製造方法は、該含水ゲルを請求項1又は2記載の乾燥方法を用いて乾燥する
ことを特徴とする(メタ)アクリル酸(塩)系水溶性重合体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−7576(P2008−7576A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177349(P2006−177349)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】