説明

含窒素複素環化合物および有害生物防除剤

【課題】工業的に有利に合成でき、効果が確実で安全に使用できる有害生物防除剤の活性成分となりうる新規環状アミン化合物等、及びこの化合物を有効成分とする有害生物防除剤を提供する。
【解決手段】式(I)で表される化合物又はその塩、及びこれらの化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な含窒素複素環化合物、この化合物の塩、及びこれらの化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数の殺虫剤、殺ダニ剤等の有害生物防除剤が使用されているが、その効力が不十分であったり、薬剤抵抗性問題によりその使用が制限されたり、また、植物体に薬害や汚染を生じたり、あるいは人畜魚類等に対する毒性が強かったりすることから、必ずしも満足すべき防除薬剤とは言い難いものが少なくない。従って、かかる欠点の少ない安全に使用できる薬剤の開発が要望されている。
【0003】
本発明に関連して特許文献1には、本発明化合物と類似した骨格を有する、下記イソキサゾリン置換化合物が記載されている。
しかしながら、この文献には、本発明化合物は記載されていない。
【0004】
【化1】

【0005】
(式中、W’は酸素原子又は硫黄原子を表し、A、A及びAは、各々独立して炭素原子又は窒素原子を表し、Y’はハロゲン原子等を表し、n’は0又は1を表し、R、Rは、各々独立して水素原子、C1〜12アルキル基等を表し、Rはハロゲン原子等を表し、G’はフェニル基等を表す。)
【特許文献1】WO2005/085216号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、工業的に有利に合成でき、効果が確実で安全に使用できる有害生物防除剤の活性成分となりうる新規含窒素複素環化合物等、及びこの化合物を有効成分とする有害生物防除剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明は第1に、式(I)
【0008】
【化2】

【0009】
〔式中、Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
、A及びAは、各々独立して炭素原子又は窒素原子を表す。
Xは、炭素原子又は酸素原子を表す。
Yは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、C1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C1〜C6ハロアルキル基、C3〜C8シクロアルキル基、C3〜C8ハロシクロアルキル基、水酸基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C6アルキルスルホニルオキシ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニルオキシ基、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルフェニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6ハロアルキルチオ基、C1〜C6ハロアルキルスルフェニル基、C1〜C6ハロアルキルスルホニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルフェニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、−N=C(R)ORで表される基、−COで表される基、−C(=O)N(R)(R)で表される基、−C(=S)N(R)(R)で表される基、−Si(R)(R)(R)で表される基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
【0010】
、Rは各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
【0011】
〜Rは各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、又は無置換若しくは置換基を有するフェニル基を表す。
nは0〜4の整数を表す。nが2以上のとき、複数のYは互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
また、2つのYが隣接する場合には、2つのYが一緒になって結合して、5員環又は6員環を形成してもよい。
【0012】
Qは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、オキソ基、C1〜C12アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C8シクロアルキル基、C3〜C8ハロシクロアルキル基、水酸基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C6アルキルスルホニルオキシ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニルオキシ基、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルフェニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6ハロアルキルチオ基、C1〜C6ハロアルキルスルフェニル基、C1〜C6ハロアルキルスルホニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルフェニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、−C(=O)Rで表される基、−COで表される基、−OC(=O)Rで表される基、−C(=O)SRで表される基、−C(=S)ORで表される基、−C(=S)SRで表される基、−C(=S)N(R)(R)で表される基、−N=C(R)ORで表される基、−C(=O)N(R)(R)で表される基、−C(=S)N(R)(R)で表される基、−Si(R10)(R11)(R12)で表される基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
【0013】
、Rは各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
【0014】
10〜R12は各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、又は無置換若しくは置換基を有するフェニル基を表す。
qは、0〜7の整数を表す。
qが2以上のとき、複数のQは互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
Zは、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
【0015】
及びRは各々独立して、水素原子、シアノ基、Gによって置換されていてもよいC1〜C12アルキル基、Gによって置換されていてもよいC3〜C12シクロアルキル基、Gによって置換されていてもよいC2〜C12アルケニル基、Gによって置換されていてもよいC3〜C12シクロアルケニル基、Gによって置換されていてもよいC2〜C12アルキニル基、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルホニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基、−SN(R13)(R14)で表される基、−S(O)N(R13)(R14)で表される基、水酸基、アミノ基、−OR13で表される基、−N(R13)(R14)で表される基、−N=CH(R13)で表される基、−N=C(R13)(R14)で表される基、−C(=O)R13で表される基、−CO13で表される基、−C(=O)SR13で表される基、−C(=O)N(R13)(R14)で表される基、−C(=S)OR13で表される基、−C(=S)SR13で表される基、−C(=S)N(R13)(R14)で表される基、−C(=NR13)OR14で表される基、−C(=NR13)SR14で表される基、−C(=NR13)N(R14)(R15)で表される基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
【0016】
また、RとRは一緒になって結合して、=C(R13)(R14)で表される基を形成していてもよく、RとRとが一緒になって結合して、3〜8員環を形成していてもよい。
【0017】
13〜R15は、各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
【0018】
Gは、ハロゲン原子、シアノ基、C3〜C8シクロアルキル基、C3〜C8ハロシクロアルキル基、水酸基、C1〜C6アルキルスルホニルオキシ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニルオキシ基、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルフェニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6ハロアルキルチオ基、C1〜C6ハロアルキルスルフェニル基、C1〜C6ハロアルキルスルホニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルフェニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基、アミノ基、−OR16で表される基、−N(R16)(R17)で表される基、−N=CH(R16)で表される基、−N=C(R16)(R17)で表される基、−C(=O)R16で表される基、−CO16で表される基、−C(=O)SR16で表される基、−C(=O)N(R16)(R17)で表される基、−C(=S)OR16で表される基、−C(=S)SR16で表される基、−C(=S)N(R16)(R17)で表される基、−C(=NR16)OR17で表される基、−C(=NR16)SR17で表される基、−C(=NR16)N(R17)(R18)で表される基、−Si(R19)(R20)(R21)で表される基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
【0019】
16〜R18は各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
【0020】
19〜R21は各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、又は無置換若しくは置換基を有するフェニル基を表す。
sは、0又は1を表す。〕
で表される含窒素複素環化合物又はその塩を提供する。
【0021】
本発明は第2に、本発明の含窒素複素環化合物又はその塩の少なくとも一種を有効成分として含有する有害生物防除剤を提供する。
本発明の有害生物防除剤は、殺虫剤であるか、殺ダニ剤であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、工業的に有利に合成でき、効果が確実で安全に使用できる有害生物防除剤の活性成分となりうる新規含窒素複素環化合物又はその塩、及びこれらの化合物の少なくとも一種を有効成分とする有害生物防除剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
1)式(I)で表される含窒素複素環化合物又はその塩
本発明の第1は、前記式(I)で表される含窒素複素環化合物又はその塩である。
式(1)中、Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
、A及びAは各々独立して、炭素原子又は窒素原子を表す。
下記式(A)
【0024】
【化3】

【0025】
で表される部分構造の具体例としては、下記のものが挙げられる。
【0026】
【化4】

【0027】
Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;ホルミル基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等のC1〜C6アルキル基;ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基等のC2〜C6アルケニル基;プロパルギル基、3−ブチニル基等のC2〜C6アルキニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等のC1〜C6ハロアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC3〜C8シクロアルキル基;2−クロロシクロプロピル基、2,2−ジクロロシクロプロピル基、3−クロロシクロペンチル基、4−ブロモシクロヘキシル基等のC3〜C8ハロシクロアルキル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のC1〜C6アルコキシ基;トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等のC1〜C6ハロアルコキシ基;メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、n−プロピルスルホニルオキシ基等のC1〜C6アルキルスルホニルオキシ基;フェニルスルホニルオキシ基、4−メチルフェニルスルホニルオキシ基等の無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニルオキシ基;メルカプト基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基等のC1〜C6アルキルチオ基;メチルスルフェニル基、エチルスルフェニル基、プロピルスルフェニル基等のC1〜C6アルキルスルフェニル基;メチルスルホニル基、エチルスホニル基、n−プロピルスルホニル基等のC1〜C6アルキルスルホニル基;クロロメチルチオ基、トリクロロメチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等のC1〜C6ハロアルキルチオ基;クロロメチルスルフェニル基、トリクロロメチルスルフェニル基、トリフルオロメチルスルフェニル基等のC1〜C6ハロアルキルスルフェニル基;クロロメチルスルホニル基、トリクロロメチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基等のC1〜C6ハロアルキルスルホニル基;フェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、2,4−ジクロロフェニルチオ基等の無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基;フェニルスルフェニル基、4−メチルフェニルスルフェニル基、2,4−ジクロロフェニルスルフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するフェニルスルフェニル基;フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基、2,4−ジクロロフェニルスルホニル基等の無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基;アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基等のモノC1〜C6アルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジC1〜C6アルキルアミノ基;アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基;フェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基等の無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基;−N=C(CH)OC、−N=C(CF)O(cPr)(cPrはシクロプロピル基を表す。以下にて同じ)、−N=C(OH)O(CH=CH)、−N=C(SCH)OPh(Phはフェニル基を表す。以下にて同じ。)等の−N=C(R)ORで表される基;−C(=O)N(CH)C、−C(=O)N(CF)Ph、−C(=O)N(cPr)C、−C(=O)N(CH=CH)OH等の−C(=O)N(R)(R)で表される基;−COCH、−COCCl、−COPh、−CO(cPr)等の−COで表される基;−C(=S)N(CH)C、−C(=S)N(CF)Ph、−C=S)N(cPr)C、−C(=S)N(CH=CH)OH等の−C(=S)N(R)(R)で表される基;−Si(CH、−SiPh、−Si(cPr)、−Si(CH)(t−Bu)(t−Buはターシャリーブチル基を表す。以下にて同じ。)等の−Si(R)(R)(R)で表される基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するフェニル基;又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
【0028】
前記R、Rは各々独立して、水素原子;メチル基、エチル基等のC1〜C12アルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等のC1〜C12ハロアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC3〜C12シクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のC2〜C12アルケニル基;3−クロロアリル基等のC2〜C12ハロアルケニル基;プロパルギル基、3−ブチニル基等のC2〜C12アルキニル基;2−クロロエチニル基、2−ブロモエチニル基、3,3,3−トリフルオロ−1−プロピニル基等のC2〜C12ハロアルキニル基;メチルチオ基、エチルチオ基等のC1〜C12アルキルチオ基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基等のC1〜C12アルコキシ基;アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基等のモノC1〜C6アルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジC1〜C6アルキルアミノ基;アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基;フェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基等の無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基;又は、フェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するフェニル基;又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
【0029】
〜Rは各々独立して、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等のC1〜C12アルキル基;又は、フェニル基、4−メチルフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するフェニル基を表す。
【0030】
前記Yの複素環基としては、環内に少なくとも一つのヘテロ原子を含む複素環の基であれば、特に制限されない。ここでヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。また、前記複素環基の環を構成する原子は3〜8個が好ましく、5又は6個がより好ましい。さらに、複素環基としては、飽和の複素環基であっても、不飽和の複素環基であってもよいが、優れた有害生物防除活性を有する上では、不飽和の複素環基が好ましく、不飽和の含窒素複素環基がより好ましい。
【0031】
このような不飽和の含窒素複素環基としては、環内に窒素原子を1〜3個含有し、さらに酸素原子又は硫黄原子を1若しくは2個含有していてもよい複素環の基が挙げられる。
【0032】
不飽和の含窒素複素環基の具体例としては、ピロール−2−イル基、ピロール−3−イル基、ピラゾール−3−イル基、ピラゾール−4−イル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、オキサゾール−5−イル基、チアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、チアゾール−5−イル基、イソオキサゾール−4−イル基、イソオキサゾール−5−イル基、イソチアゾール−2−イル基、イソチアゾール−4−イル基、イソチアゾール−5−イル基、トリアゾール−3−イル基、トリアゾール−5−イル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル基、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、1,2,4−チアジアゾール−3−イル基、1,2,4−チアジアゾール−5−イル基等の5員環の不飽和含窒素複素環基;
【0033】
ピリジン−2−イル基、ピリジン−3−イル基、ピリジン−4−イル基、ピリダジン−3−イル基、ピリダジン−4−イル基、ピリミジン−2−イル基、ピリミジン−4−イル基、ピリミジン−5−イル基、ピラジン−2−イル基、トリアジン−2−イル基等の6員環の不飽和含窒素複素環基;等が挙げられる。
【0034】
前記複素環基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、シアノ基;ニトロ基;ホルミル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等のC1〜C6アルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のC1〜C6アルコキシ基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC3〜C8シクロアルキル基;シクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のC3〜C8シクロアルキルオキシ基;シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基等のC3〜C8シクロアルキルC1〜C6アルキル基;シクロプロピルメトキシ基、シクロペンチルメトキシ基、シクロヘキシルメトキシ基等のC3〜C8シクロアルキルC1〜C6アルコキシ基;ペンテニルオキシ基、ブテニルオキシ基等のC2〜C6アルケニルオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等のC1〜C6ハロアルキル基;トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基等のC1〜C6ハロアルコキシ基;クロロプロペニルオキシ基、クロロブテニルオキシ基等のC2〜C6ハロアルケニルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のC1〜C6アルコキシカルボニル基(アルコキシ部分の炭素数が1〜6個であるアルコキシカルボニル基の意味である。以下にて同じ。);フェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するフェニル基;等が挙げられる。
【0035】
nは0〜4の整数を表す。nが2以上のとき、複数のYは互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
【0036】
また、2つのYが隣接する場合には、2つのYが一緒になって結合して、−CHCHCH−、−CHCHO−、−CHOCH−、−OCHO−、−CHCHS−、−CHSCH、−SCHS−、−CHCHCHCH−、−CHCHCHO−、−CHCHOCH−、−CHOCHO−、−OCHCHO−、−OCHCHS−、−SCHCHS−、−OCH=N−、−SCH=N−等を形成することにより、2つのYのそれぞれが結合する炭素原子と共に5員環又は6員環を形成してもよい。
【0037】
またこのとき、環を形成する各々の炭素原子に結合した水素原子は置換基Tによって置換されていてもよく、さらに、同時に2個以上のTで置換されている場合、各々のTは互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
【0038】
ここで、Tは、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C3〜C8シクロアルキル基、C3〜C8シクロアルキルオキシ基、C3〜C8シクロアルキルC1〜C6アルキル基、C3〜C8シクロアルキルC1〜C6アルコキシ基、C2〜C6アルケニルオキシ基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C2〜C6ハロアルケニルオキシ基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基;等が挙げられる。これらの具体例としては、前記Yの複素環基の置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0039】
Qは、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;ホルミル基;オキソ基(=O);C1〜C12アルキル基;C2〜C6アルケニル基;C2〜C6アルキニル基;C1〜C12ハロアルキル基;C3〜C8シクロアルキル基;C3〜C8ハロシクロアルキル基;水酸基;C1〜C6アルコキシ基;C1〜C6ハロアルコキシ基;C1〜C6アルキルスルホニルオキシ基;無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニルオキシ基;メルカプト基;C1〜C6アルキルチオ基;C1〜C6アルキルスルフェニル基;C1〜C6アルキルスルホニル基;C1〜C6ハロアルキルチオ基;C1〜C6ハロアルキルスルフェニル基;C1〜C6ハロアルキルスルホニル基;無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基;無置換若しくは置換基を有するフェニルスルフェニル基;無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基;アミノ基;モノC1〜C6アルキルアミノ基;ジC1〜C6アルキルアミノ基;アシルアミノ基;無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基;−C(=O)CH、−C(=O)CF、−C(=O)Ph、−C(=O)cPr等の−C(=O)Rで表される基;−COCH、−COCCl、−COPh、−CO(cPr)等の−COで表される基;−OC(=O)CH、−OC(=O)CF、−OC(=O)Ph、−OC(=O)cPr等の−OC(=O)Rで表される基;−C(=O)SCH、−C(=O)SCCl、−C(=O)SPh、−C(=O)S(cPr)等の−C(=O)SRで表される基;−C(=S)OCH、−C(=S)OCCl、−C(=S)OPh、−C(=S)O(cPr)等の−C(=S)ORで表される基;−C(=S)SCH、−C(=S)SCCl、−C(=S)SPh、−C(=S)S(cPr)等の−C(=S)SRで表される基;−C(=S)NHCH、−C(=S)N(CH、−C(=S)NHPh、−C(=S)NH(cPr)等の−C(=S)N(R)(R)で表される基;−N=C(CH)OC、−N=C(CF)O(cPr)、−N=C(OH)O(CH=CH)、−N=C(SCH)OPh等の−N=C(R)ORで表される基;−C(=O)NHCH、−C(=O)N(CH、−C(=O)NHPh、−C(=O)NH(cPr)等の−C(=O)N(R)(R)で表される基;−Si(CH、−SiPh、−Si(cPr)、−Si(Me)(t−Bu)等の−Si(R10)(R11)(R12)で表される基;無置換若しくは置換基を有するフェニル基;、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基;を表す。
【0040】
前記Qの、ハロゲン原子、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C3〜C8シクロアルキル基、C3〜C8ハロシクロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C6アルキルスルホニルオキシ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニルオキシ基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルフェニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6ハロアルキルチオ基、C1〜C6ハロアルキルスルフェニル基、C1〜C6ハロアルキルスルホニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルフェニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基の具体例としては、前記Yのこれらの基の具体例として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0041】
前記Qの、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基の具体例としては、R、Rの、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0042】
、Rは各々独立して、前記R、Rと同様の、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、又は無置換若しくは置換基を有するフェニル基を表す。
【0043】
また、R10〜R12はそれぞれ独立して、前記R、Rと同様の、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、又は無置換若しくは置換基を有するフェニル基を表す。
【0044】
qは、0〜7の整数を表す。
qが2以上のとき、複数のQは互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
【0045】
Zは、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。これらの具体例としては、前記Yの、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、及び無置換若しくは置換基を有する複素環基の具体例として列記したものと同様のものが挙げられる。Zの具体例としては、下記(Z−1)〜(Z−32)に示すものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
【化5】

【0047】
【化6】

【0048】
上記式中、rは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;メチル基、エチル基等のC1〜C6アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC3〜C8シクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基等のC2〜C6アルケニル基;エチニル基、プロパルギル基等のC2〜C6アルキニル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のC1〜C6アルコキシ基;フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等の無置換若しくは置換基を有するフェノキシ基;メルカプト基;メチルチオ基、エチルチオ基等のC1〜C6アルキルチオ基;メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基等のC1〜C6アルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等のC1〜C6アルキルスルホニル基;フェニルチオ基、4−クロロフェニルチオ基等の無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基;フェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基等の無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基;メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基等のC1〜C6アルキルスルホニルオキシ基;フェニルスルホニルオキシ基、2−クロロフェニルスルホニルオキシ基等の無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のC1〜C6アルコキシカルボニル基;等を表す。
【0049】
m0は0〜5の整数を表し、m1は0〜4の整数を表し、m2は0〜3の整数を表し、m3は0〜2の整数を表し、m4は0又は1を表す。m0〜m3がそれぞれ2以上のとき、複数のrは互いに同一であっても相異なっていてもよい。
r’は、水素原子;メチル基、エチル基等のC1〜C6アルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するフェニル基;等を表す。
【0050】
及びRは各々独立して、水素原子;シアノ基;Gによって置換されていてもよい(C1〜C12アルキル基;C3〜C12シクロアルキル基;C2〜C12アルケニル基;C3〜C12シクロアルケニル基;C2〜C12アルキニル基;メルカプト基;C1〜C6アルキルチオ基;C1〜C6アルキルスルホニル基;無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基;無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基;−SNH(CH)、−SN(CH、−SNHPh、−SNH(cPr)等の−SN(R13)(R14)で表される基;−SONH(CH)、−SON(CH、−SONHPh、−SONH(cPr)等の−S(O)N(R13)(R14)で表される基;水酸基;メトキシ基。トリフルオロメトキシ基、フェノキシ基、シクロペンチルオキシ基等の−OR13で表される基;アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の−N(R13)(R14)で表される基;−N=CH(CH)、−N=CH(CF)、−N=CH(Ph)、−N=CH(cPr)等の−N=CH(R13)で表される基;−N=C(CH、−N=C(CH)(CF)、−N=C(CF、−N=C(CH)(Ph)、−N=C(Ph)、−N=C(CH)(cPr)等の−N=C(R13)(R14)で表される基;−C(=O)CH、−C(=O)CF、−C(=O)Ph、−C(=O)cPr等の−C(=O)R13で表される基;−COCH、−COCCl、−COPh、−COcPr等の−CO13で表される基;−C(=O)SCH、−C(=O)SCCl、−C(=O)SPh、−C(=O)S(cPr)等の−C(=O)SR13で表される基;−C(=O)NHCH、−C(=O)N(CH、−C(=O)NHPh、−C(=O)NH(cPr)等の−C(=O)N(R13)(R14)で表される基;−C(=S)OCH、−C(=S)OCCl、−C(=S)OPh、−C(=S)O(cPr)等の−C(=S)OR13で表される基;−C(=S)SCH、−C(=S)SCCl、−C(=S)SPh、−C(=S)S(cPr)等の−C(=S)SR13で表される基;−C(=S)NHCH、−C(=S)N(CH、−C(=S)NHPh、−C(=S)NH(cPr)等の−C(=S)N(R13)(R14)で表される基;−C(=NH)OCH、−C(=NCH)OCH、−C(=NH)OCCl、−C(=NH)OPh、−C(=NCH)OPh、−C(=NH)OcPr等の−C(=NR13)OR14で表される基;−C(=NH)SCH、−C(=NCH)SCH、−C(=NH)SCCl、−C(=NH)SPh、−C(=NCH)SPh、−C(=NH)ScPr等の−C(=NR13)SR14で表される基;−C(=NH)NHCH、−C(=NCH)NHCH、−C(=NH)N(CH、−C(=NH)NHPh、−C(=NCH)NHPh、−C(=NH)NH(cPr)等の−C(=NR13)N(R14)(R15)で表される基;無置換若しくは置換基を有するフェニル基;、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基;を表す。
【0051】
13〜R15は各々独立して、前記R、Rと同様の、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、又は無置換若しくは置換基を有するフェニル基を表す。
【0052】
前記R及びRの、Gによって置換されていてもよいC1〜C12アルキル基のC1〜C12アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
【0053】
Gによって置換されていてもよいC3〜C12シクロアルキル基のC3〜C12シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる、
【0054】
Gによって置換されていてもよいC2〜C12アルケニル基のC2〜C12アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0055】
Gによって置換されていてもよいC3〜C12シクロアルケニル基のC3〜C12シクロアルケニル基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。
【0056】
Gによって置換されていてもよいC2〜C12アルキニル基のC2〜C12アルキニル基としては、エチニル基、プロパギル基、2−ブチニル基、2−ペンチニル基等が挙げられる。
【0057】
Gは、ハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;C3〜C8シクロアルキル基;C3〜C8ハロシクロアルキル基;水酸基;C1〜C6アルコキシ基;C1〜C6アルキルスルホニルオキシ基;無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニルオキシ基;メルカプト基;C1〜C6アルキルチオ基;C1〜C6アルキルスルフェニル基;C1〜C6アルキルスルホニル基;C1〜C6ハロアルキルチオ基;C1〜C6ハロアルキルスルフェニル基;C1〜C6ハロアルキルスルホニル基;無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基;無置換若しくは置換基を有するフェニルスルフェニル基;無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基;メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメトキシ基、シクロプロピルオキシ基、アリルオキシ基、3−クロロアリルオキシ基、プロパルギルオキシ基、3−クロロプロパルギルオキシ基、フェノキシ基等の−OR16で表される基;アミノ基、メチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、フェニルメチルアミノ基等の−N(R16)(R17)で表される基;−N=CH(CH)、−N=CH(CF)、−N=CHPh、−N=CH(cPr)等の−N=CH(R16)で表される基;−N=C(CH)、−N=C(CH)(CF)、−N=C(CF)、−N=C(Ph)、−N=C(CH)Ph、−N=C(cPr)等の−N=C(R16)(R17)で表される基;−C(=O)CH、−C(=O)CF、−C(=O)Ph、−C(=O)cPr等の−C(=O)R16で表される基;−COCH、−COCCl、−COPh、−CO(cPr)等の−CO16で表される基;−C(=O)SCH、−C(=O)SCCl、−C(=O)SPh、−C(=O)S(cPr)等の−C(=O)SR16で表される基;−C(=O)NHCH、−C(=O)N(CH、−C(=O)NHPh、−C(=O)NHcPr等の−C(=O)N(R16)(R17)で表される基;−C(=S)OCH、−C(=S)OCCl、−C(=S)OPh、−C(=S)O(cPr)等の−C(=S)OR16で表される基;−C(=S)SCH、−C(=S)SCCl、−C(=S)SPh、−C(=S)S(cPr)等の−C(=S)SR16で表される基;−C(=S)NHCH、−C(=S)N(CH、−C(=S)NHPh、−C(=S)NHcPr等−C(=S)N(R16)(R17)で表される基;−C(=NH)OCH、−C(=NCH)OCH、−C(=NH)OCCl、−C(=NH)OPh、−C(=NCH)OPh、−C(=NH)OcPr等の−C(=NR16)OR17で表される基;−C(=NH)SCH、−C(=NCH)SCH、−C(=NH)SCCl、−C(=NH)SPh、−C(=NCH)SPh、−C(=NH)S(cPr)等の−C(=NR16)SR17で表される基;−C(=NH)NHCH、−C(=NCH)NHCH、−C(=NH)N(CH、−C(=NH)NHPh、−C(=NH)NHcPr等の−C(=NR16)N(R17)(R18)で表される基;−Si(CH、−SiPh、−Si(cPr)、−Si(Me)(t−Bu)等の−Si(R19)(R20)(R21)で表される基;無置換若しくは置換基を有するフェニル基;、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基;を表す。
【0058】
ここで、R16〜R18は各々独立して、前記R、Rと同様の、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、又は無置換若しくは置換基を有するフェニル基を表す。
【0059】
また、R19〜R21はそれぞれ独立して、前記R、Rと同様の、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、又は無置換若しくは置換基を有するフェニル基を表す。
【0060】
前記Gの無置換若しくは置換基を有する複素環基の具体例としては、前記Yの無置換若しくは置換基を有する複素環基の具体例として列記したものと同様のものが挙げられる。
【0061】
前記R及びRの、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルホニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基、C1〜C6アルコキシ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、及び無置換若しくは置換基を有する複素環基の具体例としては、前記Yの、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルホニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基、C1〜C6アルコキシ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、及び無置換若しくは置換基を有する複素環基の具体例として列記したものと同様のものが挙げられる。
【0062】
また、RとRは一緒になって結合して、=C(R13)(R14)で表される基(R13、R14は前記と同じ意味を表す。)を形成していてもよく、RとRとが一緒になって結合して、3〜8員環を形成していてもよい。
【0063】
前記=C(R13)(R14)で表される基の具体例としては、=CH、=CH(CH)、=C(CH、=CH(C)、=C(C)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
また、RとRとが一緒になって結合して形成する3〜8員環の具体例としては、RとRとが−緒になってC2〜C7アルキレン鎖を形成して、結合する窒素原子と共に構成される3〜8員環が挙げられる。
【0065】
このとき、このアルキレン鎖は酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を1個含んでもよく、且つハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、C1〜C6アルコキシ(C1〜C6)アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、ホルミル基、C1〜C6アルキルカルボニル基、C1〜C6ハロアルキルカルボニル基、又はC1〜C6アルコキシカルボニル基によって置換されていてもよい。
sは0又は1を表す。
【0066】
本発明の含窒素複素環化合物としては、下記式(I−1)
【0067】
【化7】

【0068】
(式中、W、A、A、A、Y、n、R、R、X、Q及びZは、前記と同じ意味を表す。)で表される含窒素複素環化合物であることが好ましく、式(I―2)
【0069】
【化8】

【0070】
(式中、A、A、A、Y、n、R、R、X、Q及びZは、前記と同じ意味を表す。)で表される含窒素複素環化合物であることが特に好ましい。
【0071】
前記式(I)で表される化合物は、例えば、以下に示す方法によって製造することができる。
(製造法1)
【0072】
【化9】

【0073】
(式中、W、A、A、A、Y、n、R、R、X、Q、q及びZは、前記と同じ意味を表し、Lは、ハロゲン原子、C1〜C6アルコキシ基、フェノキシ基、C1−6アルキルカルボニルオキシ基、C1〜C6アルコキシカルボニルオキシ基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニル基等の脱離基を表す。)
【0074】
すなわち、式(1)で表される化合物と式(3)で表されるアミン化合物とを、所望により塩基の存在下、縮合剤を用いて反応させることによって、式(4)で表される化合物を得ることができる。
【0075】
この反応で用いる縮合剤としては、向山試薬(2−クロロ−N−メチルピリジニウムアイオダイド)、DCC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)、EDCI(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩)、カルボニルジイミダゾール、ジメチルプロピニルスルホニウムブロマイド、プロパルギルトリフェニルホスホニウムブロマイド、シアノリン酸ジエチル等が挙げられる。
【0076】
用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩;ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド、マグネシウムエトキシド等の金属アルコキシド;n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)等の有機金属;水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基;等が挙げられる。
【0077】
用いる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されない。例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;及びこれらの溶媒を二つ以上混合してなる混合溶媒;が挙げられる。
反応は、−78℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で円滑に進行する。
【0078】
また、式(4)で表される化合物は、式(1)で表される化合物から、塩化チオニル、オキオザリルクロライド等のハロゲン化剤と反応させる方法;塩化ピバロイル、クロロギ酸エチル等の有機ハロゲン化合物と、必要ならば塩基の存在下に反応させる方法;あるいは、カルボニルイミダゾール等と反応させる方法;により、式(2)で表される化合物を得た後、このものを式(3)で表される化合物と、必要ならば塩基の存在下に反応させることによって、式(4)で表される化合物を得ることもできる。
【0079】
この反応に用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩;ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド、マグネシウムエトキシド等の金属アルコキシド;n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)等の有機金属;水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基;等が挙げられる。
【0080】
使用できる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;およびこれらの溶媒を二つ以上混合してなる混合溶媒;が挙げられる。
【0081】
反応は、−78℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で円滑に進行する。
(製造法2)
【0082】
【化10】

【0083】
(式中、W、A、A、A、Y、n、R、R、X、Q、q及びZは、前記と同じ意味を表し、Yはハロゲン原子、C1−6ハロアルキルスルホニルオキシ基、又はC1−6アルキルスルホニルオキシ基等の脱離基を表す。)
【0084】
すなわち、式(5)で表される化合物と式(6)で表される化合物とを、文献記載の一般的なパラジウム等遷移金属触媒を用いたクロスカップリング反応、例えば、Tetrahedron Lett.,1997,38,36,6359;J.Org.Chem.,2000,65,4,1144等に記載の反応条件に準じて反応させることにより、式(4)で表される化合物を得ることができる。
(製造法3)
【0085】
【化11】

【0086】
(式中、W、A、A、A、Y、n、Y、X、Q、q及びZは、前記と同じ意味を表し、Yはハロゲン原子、C1−6ハロアルキルスルホニルオキシ基、C1−6アルキルスルホニルオキシ基等の脱離基を表し、Rはメチル基、エチル基等の低級アルキル基を表す。)
【0087】
すなわち、式(7)で表される化合物と式(6)で表される化合物とを、文献記載の一般的なパラジウム等遷移金属触媒を用いたクロスカップリング反応、例えば、Tetrahedron Lett.,1997,38,36,6359;J.Org.Chem.,2000,65,4,1144等に記載の反応条件に準じて反応させることにより、式(8)で表される化合物を得ることができる。
【0088】
また、式(1)で表される化合物は、式(8)で表される化合物を、文献記載の一般的なエステルの加水分解反応、例えば、J.Am.Chem.Soc.,1929,51,1865;Angew.Chem.,1950,63,329等に記載の反応条件に準じた加水分解反応により得ることができる。
(製造法4)
【0089】
【化12】

【0090】
また、本発明化合物のうち、前記式(I)において、sが1である化合物は、前記式(I)において、sが0である化合物(式(4)で表される化合物)に酸化剤を作用させることにより得ることができる。
【0091】
用いることができる酸化剤としては、過酸化水素、過酢酸、m−クロロ過安息香酸等が挙げられる。
【0092】
出発原料である前記式(6)で表される化合物の多くは公知物質であり、公知の方法により製造することができる。例えば、式(6−1)で表される化合物は、下記に示す反応スキムに従って製造することができる。
【0093】
【化13】

【0094】
(式中、Q、Zは前記と同じ意味を表し、Eは、ベンジル基、t−ブトキシカルボニル基、アセチル基、ベンゾイル基等の保護基を表す。)
【0095】
すなわち、式(9)で表される化合物と式(10)で表される化合物とを、適当な溶媒中、酸触媒の存在下に反応させることによって、式(11)で表される化合物を得た後、Eを脱保護することにより、目的とする式(1−1)で表される化合物を得ることができる。
【0096】
この反応に用いる酸触媒としては、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。
酸触媒の使用量は、式(9)で表される化合物に対して、通常0.1〜0.5当量である。
【0097】
この反応に用いる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されない。例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒;アセトニトリル、プロピオンニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;及びこれらの溶媒の2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
溶媒の使用量は、式(9)で表される化合物1gに対して、通常1〜100mlである。
【0098】
反応温度は、通常、−20℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲である。
反応時間は、通常数分から数十時間である。
【0099】
式(11)で表される化合物からEを脱離させる方法としては、特に限定されず、公知のアミノ基の保護基を脱離させる反応を適用することができる。例えば、式(11)で表される化合物に、クロロギ酸−1−クロロエチルエステルを反応させる方法;式(11)で表される化合物を、塩酸等の鉱酸類を用いて加水分解する方法;式(9)で表される化合物を、水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム、ナトリウムジスルフィド等のアルカリ類を用いて加水分解する方法;式(11)で表される化合物を、金属アルコキシドを用いる加アルコール分解する方法;式(11)で表される化合物を、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を用いる還元する方法;等が挙げられる。
【0100】
これらのEを脱離させる方法において用いる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されない。例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒;アセトニトリル、プロピオンニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;及びこれらの溶媒の二種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。溶媒の使用量は、式(11)で表される化合物1gに対して、通常1〜100mlである。
【0101】
反応温度は、通常、0℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲である。
反応時間は、通常数分から24時間である。
【0102】
式(I)で表される化合物の塩としては、農園芸学的に許容されるものであれば特に制限されない。例えば、式(I)で表される化合物の、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸の塩;酢酸、プロピオン酸、乳酸等の有機酸の塩;が挙げられる。
【0103】
式(I)で表される化合物の塩は、例えば、式(I)で表される化合物に無機酸又は有機酸を作用させることにより製造することができる。
【0104】
いずれの反応においても、反応終了後は、通常の後処理操作の後、生成物の精製が必要であれば、蒸留、再結晶又はカラムクロマトグラフィー等の公知慣用の精製手段により精製することにより、目的物を単離することができる。
【0105】
目的物の構造は、元素分析、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等の公知の分析手段により同定、確認することができる。
【0106】
2)有害生物防除剤
式(I)で表される化合物及びその塩(以下、「本発明化合物」という)は、農業上の有害生物、衛生害虫、貯殻害虫、衣類害虫、家屋害虫等の防除に使用でき、殺成虫、殺若虫、殺幼虫、殺卵作用を有する。その代表例として、下記のものが挙げられる。
【0107】
鱗翅目害虫、例えば、ハスモンヨトウ、ヨトウガ、タマナヤガ、アオムシ、タマナギンウワバ、コナガ、チャノコカクモンハマキ、チャハマキ、モモシンクイガ、ナシヒメシンクイ、ミカンハモグリガ、チャノホソガ、キンモンホソガ、マイマイガ、チャドクガ、ニカメイガ、コブノメイガ、ヨーロピアンコーンボーラー、アメリカシロヒトリ、スジマダラメイガ、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属、アグロティス属、イガ、コドリンガ、ワタアカミムシ等、
【0108】
半翅目害虫、例えば、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、ムギクビレアブラムシ、ホソヘリカメムシ、アオクサカメムシ、ヤノネカイガラムシ、クワコナカイガラムシ、オンシツコナジラミ、タバココナジラミ、シルバーリーフコナジラミ、ナシキジラミ、ナシグンバイムシ、トビイロウンカ、ヒメトビウンカ、セジロウンカ、ツマグロヨコバイ等、
甲虫目害虫、例えば、キスジノミハムシ、ウリハムシ、コロラドハムシ、イネミズゾウムシ、コクゾウムシ、アズキゾウムシ、マメコガネ、ヒメコガネ、ジアブロティカ属、タバコシバンムシ、ヒラタキクイムシ、マツノマダラカミキリ、ゴマダラカミキリ、アグリオティス属、ニジュウヤホシテントウ、コクヌスト、ワタミゾウムシ等、
【0109】
双翅目害虫、例えば、イエバエ、オオクロバエ、センチニクバエ、ウリミバエ、ミカンコミバエ、タネバエ、イネハモグリバエ、キイロショウジョウバエ、サシバエ、コガタアカイエカ、ネッタイシマカ、シナハマダラカ等、
アザミウマ目害虫、例えば、ミナミキイロアザミウマ、チャノキイロアザミウマ等、
膜翅目害虫、例えば、イエヒメアリ、キイロスズメバチ、カブラハバチ等、
直翅目害虫、例えば、トノサマバッタ、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ、クロゴキブリ等
【0110】
シロアリ目害虫、例えば、イエシロアリ、ヤマトシロアリ等、
隠翅目害虫、例えば、ヒトノミ、ネコノミ等、シラミ目害虫、例えば、ヒトジラミ等、
ダニ類、例えば、ナミハダニ、ニセナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、ミカンサビダニ、リンゴサビダニ、チャノホコリダニ、ブレビパルパス属、エオテトラニカス属、ロビンネダニ、ケナガコナダニ、コナヒョウヒダニ、オウシマダニ、フタトゲチマダニ等、
植物寄生性線虫類、例えば、サツマイモネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、ダイズシストセンチュウ、イネシンガレセンチュウ、マツノザイセンチュウ等。
【0111】
適用が好ましい有害生物としては、鱗翅目害虫、半翅目害虫、ダニ類、アザミウマ目害虫、甲虫目害虫であり、特に好ましくは、ダニ類である。
【0112】
また、近年コナガ、ウンカ、ヨコバイ、アブラムシ等多くの害虫において有機リン剤、カーバメート剤や殺ダニ剤に対する抵抗性が発達し、それら薬剤の効力不足問題を生じており、抵抗性系統の害虫やダニにも有効な薬剤が望まれている。本発明化合物は感受性系統のみならず、有機リン剤、カーバメート剤、ピレスロイド剤抵抗性系統の害虫や、殺ダニ剤抵抗性系統のダニにも優れた殺虫殺ダニ効果を有する薬剤である。
【0113】
また本発明化合物は薬害が少なく、魚類や温血動物への毒性が低く、安全性の高い薬剤である。
本発明化合物は、水棲生物が船底、魚網等の水中接触物に付着するのを防止するための防汚剤として使用することもできる。
【0114】
本発明化合物の中には、殺菌活性、除草活性、植調作用を示すものもある。また本発明化合物の中間体化合物の中には殺虫・殺ダニ活性を示すものもある。
【0115】
本発明の殺虫剤及び殺ダニ剤は、本発明化合物の1種又は2種以上を有効成分として含有する。
本発明化合物を実際に施用する際には他成分を加えずそのまま使用できるが、通常は、さらに固体担体、液体担体、ガス状担体と混合し、又は多孔セラミック板や不織布等の基剤に含浸し、必要により界面活性剤、その他の補助剤を添加して、農薬として使用する目的で一般の農薬のとり得る形態、即ち、水和剤、粒剤、粉剤、乳剤、水溶剤、懸濁剤、顆粒水和剤、フロアブル、エアゾール、煙霧剤、加熱蒸散剤、燻煙剤、毒餌、マイクロカプセル等の形態に製剤化して使用する。
【0116】
添加剤及び担体としては固型剤を目的とする場合は、大豆粒、小麦粉等の植物性粉末、珪藻土、燐灰石、石こう、タルク、ベントナイト、パイロフィライト、クレイ等の鉱物性微粉末、安息香酸ソーダ、尿素、芒硝等の有機及び無機化合物が使用される。液体の剤型を目的とする場合は、ケロシン、キシレン及びソルベントナフサ等の石油留分、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール、アセトン、メチルイソブチルケトン、鉱物油、植物油、水等を溶剤として使用することができる。噴射剤に用いられるガス状担体としては、ブタンガス、LG、ジメチルエーテル及び炭酸ガスを使用することができる。
【0117】
毒餌の基材としては、例えば穀物粉、植物油、糖、結晶セルロース等の餌成分、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアイアレチック酸等の酸化防止剤、デヒドロ酢酸等の保存料、トウガラシ末等の子供やペットによる誤食防止剤、チーズ香料、タマネギ香料等の害虫誘引性香料を使用することができる。
【0118】
これらの製剤において均一かつ安定な形態をとるために、必要ならば界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤としては、特に限定はないが、例えば、ポリオキシエチレンが付加したアルキルエーテル、ポリオキシエチレンが付加した高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したトリスチリルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物、イソブチレン−無水マレイン酸の共重合体等が挙げられる。
【0119】
本発明化合物を農業用の有害生物防除剤として使用する場合、その製剤中の有効成分量は0.01〜90重量%であり、とくに好ましくは0.05〜85重量%であり、水和剤、乳剤、懸濁剤、フロアブル剤、水溶剤、顆粒水和剤は水で所定の濃度に希釈して、溶解液、懸濁液あるいは乳濁液として、粉剤・粒剤はそのまま植物或いは土壌に散布する方法で使用される。
【0120】
また、本発明化合物を防疫用の有害生物防除剤として使用する場合には、乳剤、水和剤、フロアブル剤等は水で所定の濃度に希釈して施用し、油剤、エアゾール、煙霧剤、毒餌、防ダニシート等についてはそのまま施用する。
【0121】
本発明化合物をウシ、ブタ等の家畜類、イヌ、ネコ等のペット類の動物外部寄生虫防除用の有害生物防除剤として使用する場合は、通常本発明化合物の製剤を、獣医学的に公知の方法で使用する。その方法としては、例えば全身的抑制(systemic control)を目的とする場合には、錠剤、カプセル、浸漬液、飼料混入、坐薬、注射(筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内等)等により投与する方法が挙げられ、非全身的抑制(non−systemic control)を目的とする場合は、油性又は水性液剤を噴霧、注ぎかけ(pour−on)、滴下(spot−on)等により投与する方法及び樹脂製剤を首輪、耳札等の適当な形状に成形した物を装着する方法が挙げられる。この場合、通常宿主動物1kgに対して、本発明化合物として0.01−1000mgの割合で使用される。
【0122】
なお、本発明化合物は単独でも十分有効であることは言うまでもないが、他の有害生物防除剤、殺菌剤、殺虫・殺ダニ剤、除草剤、植物調節剤、共力剤、肥料、土壌改良剤、動物用飼料等の1種又は2種以上と混用又は併用することもできる。
【0123】
本発明化合物と混用又は併用することのできる殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、植物生長調節剤等の有効成分の代表例を以下に示す。
【0124】
殺菌剤:
キャプタン、フォルペット、チウラム、ジラム、ジネブ、マンネブ、マンコゼブ、プロピネブ、ポリカーバメート、クロロタロニン、キントーゼン、キャプタホル、イプロジオン、プロサイミドン、フルオロイミド、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、オキシカルボキシン、ホセチルアルミニウム、プロパモカーブ、トリアジメホン、トリアジメノール、プロピコナゾール、ジクロブトラゾール、ビテルタノール、ヘキサコナゾール、マイクロブタニル、フルシラゾール、エタコナゾール、フルオトリマゾール、フルトリアフェン、ペンコナゾール、ジニコナゾール、サイプロコナゾーズ、フェナリモール、トリフルミゾール、プロクロラズ、イマザリル、ペフラゾエート、トリデモルフ、フェンプロピモルフ、トリホリン、ブチオベート、ピリフェノックス、アニラジン、ポリオキシン、メタラキシル、オキサジキシル、フララキシル、イソプロチオラン、プロベナゾール、ピロールニトリン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、バリダマイシン、硫酸ジヒドロストレプトマイシン、ベノミル、カルベンダジム、チオファネートメチル、ヒメキサゾール、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅、フェンチンアセテート、水酸化トリフェニル錫、ジエトフェンカルブ、キノメチオナート、ビナパクリル、レシチン、重曹、ジチアノン、ジノカップ、フェナミノスルフ、ジクロメジン、グアザチン、ドジン、IBP、エディフェンホス、メパニピリム、フェルムゾン、トリクラミド、メタスルホカルブ、フルアジナム、エトキノラック、ジメトモルフ、ピロキロン、テクロフタラム、フサライド、フェナジンオキシド、チアベンダゾール、トリシクラゾール、ビンクロゾリン、シモキサニル、シクロブタニル、グアザチン、プロパモカルブ塩酸塩、オキソリニック酸、シフルフェナミド、イミノクタジン、クレソキシムメチル、トリアジン、フェンヘキサミド、シアゾファミド、シプロジニル、プロチオコナゾール、フェンブコナゾール、トリフロキシストロビン、アゾキシストロビン、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、テブコナゾール、ジフェノコナゾール、キノメチオナート、カルプロパミド等。
【0125】
殺虫・殺ダニ剤:
有機燐及びカーバメート系殺虫剤:
フェンチオン、フェニトロチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、ESP、バミドチオン、フェントエート、ジメトエート、ホルモチオン、マラソン、トリクロルホン、チオメトン、ホスメット、ジクロルボス、アセフェート、EPBP、メチルパラチオン、オキシジメトンメチル、エチオン、サリチオン、シアノホス、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、ホサロン、メチダチオン、スルプロホス、クロルフェンビンホス、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、プロパホス、イソフェンホス、エチルチオメトン、プロフェノホス、ピラクロホス、モノクロトホス、アジンホスメチル、アルディカルブ、メソミル、チオジカルブ、カルボフラン、カルボスルファン、ベンフラカルブ、フラチオカルブ、プロポキスル、BPMC、MTMC、MIPC、カルバリル、ピリミカーブ、エチオフェンカルブ、フェノキシカルブ、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ等。
【0126】
ピレスロイド系殺虫剤:
ペルメトリン、シペルメトリン、デルタメスリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、ピレトリン、アレスリン、テトラメスリン、レスメトリン、ジメスリン、プロパスリン、フェノトリン、プロトリン、フルバリネート、シフルトリン、シハロトリン、フルシトリネート、エトフェンプロックス、シクロプロトリン、トラロメトリン、シラフルオフェン、アクリナトリン等。
【0127】
ベンゾイルウレア系その他の殺虫剤:
ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、トリフルムロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、ブプロフェジン、ピリプロキシフェン、メトプレン、ベンゾエピン、ジアフェンチウロン、イミダクロプリド、フィプロニル、硫酸ニコチン、ロテノン、メタアルデヒド、アセタミプリド、クロルフェナピル、ニテンピラム、チアクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフラン、インドキサカルブ、ピメトロジン、スピノサド、エマメクチン、ピリダリル、テブフェノジド、クロマフェノジド、メトキシフェノジド、トルフェンピラド、機械油、BTや昆虫病原ウイルス等の微生物農薬等。
【0128】
殺線虫剤:
フェナミホス、ホスチアゼート、カズサホス等。
殺ダニ剤:
クロルベンジレート、フェニソブロモレート、ジコホル、アミトラズ、BPPS、ベンゾメート、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ポリナクチン、キノメチオネート、CPCBS、テトラジホン、アベルメクチン、ミルベメクチン、クロフェンテジン、シヘキサチン、ピリダベン、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピリミジフェン、フェノチオカルブ、ジエノクロル、フルアクリピリム、アセキノシル、ビフェナゼート、エトキサゾール、スピロディクロフェン、フェナザキン等。
【0129】
植物生長調節剤:
ジベレリン類(例えばジベレリンA3、ジベレリンA4、ジベレリンA7)、IAA、NAA等。
【実施例】
【0130】
次に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。但し、実施例によって本発明は何ら限定されることはない。
【0131】
(実施例1)4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−3−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル]−2−メチル−N−(2−ピリジルメチル)安息香酸アミド(化合物番号1−1)の製造
(工程1)1−ベンジル−3−(3,5−ジクロロフェニル)−3−トリフルオロメチルピロリジンの製造
【0132】
【化14】

【0133】
N−(トリメチルシリルメチル)−N−(n−ペンチルオキシメチル)ベンジルアミン2.58g、及び3,5−ジクロロ−1−(1−トリフルオロメチルエテニル)ベンゼン3.60gを塩化メチレン20mlに溶解した。この溶液に、氷冷下にてトリフルオロ酢酸0.4gを加え、室温に戻した後、同温度で一晩撹拌した。反応液を水に注加し、塩化メチレンで抽出した。有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/9(体積比))で精製して、目的化合物2.08gを得た。収率63%
【0134】
(工程2)3−(3,5−ジクロロフェニル)−3−トリフルオロメチルピロリジンの製造
【0135】
【化15】

【0136】
1−ベンジル−3−(3,5−ジクロロフェニル)−3−トリフルオロメチルピロリジン2.37gを1,2−ジクロロエタン24mlに溶解した。この溶液にクロロギ酸−1−クロロエチルエステル1.0gを室温で加え、全容を5時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、メタノール12mlを加え、さらに2時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮後、濃縮物を5%水酸化ナトリウム水溶液に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を、水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:メタノール/クロロホルム=1/9(体積比))で精製して、目的化合物1.68gを得た。収率93%
【0137】
(工程3)4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−3−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル]−2−メチル安息香酸メチルエステルの製造
【0138】
【化16】

【0139】
3−(3,5−ジクロロフェニル)−3−トリフルオロメチルピロリジン0.31g、4−ブロモ−2−メチル安息香酸メチルエステル0.25gをトルエン6mlに溶解し、t−ブトキシナトリウム0.16g、Pd(dba)10mgおよび2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル6mgを加え、混合物を窒素雰囲気下で一晩加熱還流した。反応混合物を冷却後、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/19(体積比))で精製して、目的化合物0.18gを得た。収率38%
【0140】
(工程4)4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−3−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル]−2−メチル安息香酸の製造
【0141】
【化17】

【0142】
4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−3−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル]−2−メチル安息香酸メチルエステル0.18gを、エタノール10ml及び水1mlの混合溶媒に懸濁させた。この懸濁液に水酸化カリウム0.17gを室温で加え、1.5時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮後、水に注加し、濃塩酸を加えてpH1〜2とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去して目的化合物0.16gを得た。収率91%
【0143】
(工程5)4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−3−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル]−2−メチル−N−(2−ピリジルメチル)安息香酸アミド(化合物番号1−1)の製造
【0144】
【化18】

【0145】
4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−3−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル]−2−メチル安息香酸0.16gを塩化メチレン10mlに懸濁させた。この懸濁液に、氷冷下にて、DMF数滴及び塩化オキザリル0.08gを加え、室温に戻した後、同温度で1.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮して、4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−3−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル]−2−メチル安息香酸クロリドの粗生成物を得、特に精製することなく次の反応に供した。
【0146】
2−ピコリルアミン0.07g、トリエチルアミン0.09gを塩化メチレン10mlに溶解した。この溶液に、氷冷下にて、上記で得た4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−3−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル]−2−メチル安息香酸クロリドを加え、室温に戻した後、同温度で一晩撹拌した。反応液を水に注加し、クロロホルムで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1(体積比))で精製して、目的化合物0.13gを得た。収率61%
【0147】
実施例1と同様にして製造された本発明化合物の構造式及び物理恒数を、実施例1で得られた化合物を含め、第1〜第7表に示す。またH−NMRデータを第8表に示す。
【0148】
【表1】

【0149】
【表2】

【0150】
【表3】

【0151】
【表4】

【0152】
【表5】

【0153】
【表6】

【0154】
【表7】

【0155】
【表8】

【0156】
【表9】

【0157】
【表10】

【0158】
【表11】

【0159】
次に、本発明の組成物の実施例を若干示すが、添加物及び添加割合は、これら実施例に限定されるべきものではなく、広範囲に変化させることが可能である。また、製剤実施例中の部は重量部を示す。
【0160】
製剤実施例1 水和剤
本発明化合物 40部
クレー 48部 ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 4部 リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
以上を均一に混合して微細に粉砕し、有効成分40%の水和剤を得る。
【0161】
製剤実施例2 乳剤
本発明化合物 10部
ソルベッソ200 53部
シクロヘキサノン 26部
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩 1部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 10部
以上を混合溶解し、有効成分10%の乳剤を得る。
【0162】
製剤実施例3 粉剤
本発明化合物 10部
クレー 90部
以上を均一に混合して微細に粉砕し、有効成分10%の粉剤を得る。
【0163】
製剤実施例4 粒剤
本発明化合物 5部
クレー 73部
ベントナイト 20部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩
1部
リン酸カリウム 1部
以上をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥して有効成分5%の粒剤を得る。
【0164】
製剤実施例5 懸濁剤
本発明化合物 10部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 4部
ポリカルボン酸ナトリウム塩 2部
グリセリン 10部
キサンタンガム 0.2部
水 73.8部
以上を混合し、粒度が3ミクロン以下になるまで湿式粉砕し、有効成分10%の懸濁剤を得る。
【0165】
製剤実施例6 顆粒水和剤
本発明化合物 40部
クレー 36部
塩化カリウム 10部 アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩 1部 リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の
ホルムアルデヒド縮合物 5部
以上を均一に混合して微細に粉砕後,適量の水を加えてから練り込んで粘土状にする.粘土状物を造粒した後乾燥し、有効成分40%の水和剤を得る。 以上のようにして得られた本発明の組成物を有害生物防除剤として適用した例を以下に示す。
【0166】
試験例1 ワタアブラムシに対する効力
3寸鉢に播種した発芽10日が経過したキュウリにワタアブラムシ成虫を接種した。 1日後に成虫を除去し、産下された若虫が寄生するキュウリに、前記製剤実施例2に示された乳剤の処方に従い、化合物濃度が125ppmになるように水で希釈した薬液を散布した。温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、5日後に生死を調べ、殺虫率を求めた。試験は2反復である。
【0167】
その結果、以下の化合物が100%の殺虫率を示した。
1−1、1−4、1−5、1−6、1−7、1−10、1−18、1−19、
対照に用いたピリミカーブの殺虫率は9%であった。
【0168】
試験例2 アワヨトウに対する効力
前記の製剤実施例1に示された水和剤の処方に従い、化合物濃度が125ppmになるように水で希釈した。その薬液中にトウモロコシ葉を30秒間浸漬し風乾後、ろ紙を敷いたシャーレに入れ、アワヨトウ2齢幼虫5頭を接種した。ガラス蓋をして、温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、5日後に生死を調べ、殺虫率を求めた。試験は2反復である。
【0169】
その結果、以下の化合物が100%の殺虫率を示した。
1−1、1−2、1−3、1−4、1−5、1−6、1−7、1−8、1−9、1−10、1−11、1−12、1−14、1−17、1−18、1−19、1−20、1−22、1−23、1−24、2−1、3−1、3−2、4−2、6−1、7−2
対照に用いたクロルジメフォルムの殺虫率は40%であった。
【0170】
試験例3 ナミハダニに対する効力3寸鉢に播種したインゲンの発芽後7〜10日を経過した第1本葉上に、有機リン剤抵抗性のナミハダニ雌成虫を17頭接種したのち、前記薬剤の実施例1に示された水和剤の処方に従い、化合物濃度が125ppmになるように水で希釈した薬液を散布した。温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、3日後に殺成虫率を調査した。試験は2反復である。
【0171】
その結果以下の化合物が100%の殺虫率を示した。
1−1、1−4、1−10、1−19
対照に用いたクロルジメフォルムの殺虫率は40%であった。
【産業上の利用可能性】
【0172】
従来の殺虫剤、殺ダニ剤は、その効力が不十分であったり、薬剤抵抗性問題によりその使用が制限されたり、植物体に薬害や汚染を生じたりするため、必ずしも満足すべき防除薬剤とは言い難いものが少なくない。よって本発明は、低毒性かつ低在留性の新規な有害生物防除剤を提供するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
、A及びAは各々独立して、炭素原子又は窒素原子を表す。
Xは、炭素原子又は酸素原子を表す。
Yは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、C1〜C6アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C1〜C6ハロアルキル基、C3〜C8シクロアルキル基、C3〜C8ハロシクロアルキル基、水酸基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C6アルキルスルホニルオキシ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニルオキシ基、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルフェニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6ハロアルキルチオ基、C1〜C6ハロアルキルスルフェニル基、C1〜C6ハロアルキルスルホニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルフェニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、−N=C(R)ORで表される基、−COで表される基、−C(=O)N(R)(R)で表される基、−C(=S)N(R)(R)で表される基、−Si(R)(R)(R)で表される基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
、Rは各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
〜Rは各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、又は無置換若しくは置換基を有するフェニル基を表す。
nは0〜4の整数を表す。nが2以上のとき、複数のYは互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
また、2つのYが隣接する場合には、2つのYが一緒になって結合して、5員環又は6員環を形成してもよい。
Qは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ホルミル基、オキソ基、C1〜C12アルキル基、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C8シクロアルキル基、C3〜C8ハロシクロアルキル基、水酸基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、C1〜C6アルキルスルホニルオキシ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニルオキシ基、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルフェニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6ハロアルキルチオ基、C1〜C6ハロアルキルスルフェニル基、C1〜C6ハロアルキルスルホニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルフェニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、−C(=O)Rで表される基、−COで表される基、−OC(=O)Rで表される基、−C(=O)SRで表される基、−C(=S)ORで表される基、−C(=S)SRで表される基、−C(=S)N(R)(R)で表される基、−N=C(R)ORで表される基、−C(=O)N(R)(R)で表される基、−C(=S)N(R)(R)で表される基、−Si(R10)(R11)(R12)で表される基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
、Rは各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
10〜R12は各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、又は無置換若しくは置換基を有するフェニル基を表す。
qは、0〜7の整数を表す。
qが2以上のとき、複数のQは互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
Zは、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
及びRは各々独立して,水素原子、シアノ基、Gによって置換されていてもよいC1〜C12アルキル基、Gによって置換されていてもよいC3〜C12シクロアルキル基、Gによって置換されていてもよいC2〜C12アルケニル基、Gによって置換されていてもよいC3〜C12シクロアルケニル基、Gによって置換されていてもよいC2〜C12アルキニル基、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルホニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基、−SN(R13)(R14)で表される基、−S(O)N(R13)(R14)で表される基、水酸基、アミノ基、−OR13で表される基、−N(R13)(R14)で表される基、−N=CHR13で表される基、−N=C(R13)(R14)で表される基、−C(=O)R13で表される基、−CO13で表される基、−C(=O)SR13で表される基、−C(=O)N(R13)(R14)で表される基、−C(=S)OR13で表される基、−C(=S)SR13で表される基、−C(=S)N(R13)(R14)で表される基、−C(=NR13)OR14で表される基、−C(=NR13)SR14で表される基、−C(=NR13)N(R14)(R15)で表される基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
また、RとRは一緒になって結合して、=C(R13)(R14)で表される基を形成していてもよく、RとRとが一緒になって結合して、3〜8員環を形成していてもよい。
13〜R15は、各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
Gは、ハロゲン原子、シアノ基、C3〜C8シクロアルキル基、C3〜C8ハロシクロアルキル基、水酸基、C1〜C6アルキルスルホニルオキシ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニルオキシ基、メルカプト基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルフェニル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6ハロアルキルチオ基、C1〜C6ハロアルキルスルフェニル基、C1〜C6ハロアルキルスルホニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルチオ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルフェニル基、無置換若しくは置換基を有するフェニルスルホニル基、アミノ基、−OR16で表される基、−N(R16)(R17)で表される基、−N=CH(R16)で表される基、−N=C(R16)(R17)で表される基、−C(=O)R16で表される基、−CO16で表される基、−C(=O)SR16で表される基、−C(=O)N(R16)(R17)で表される基、−C(=S)OR16で表される基、−C(=S)SR16で表される基、−C(=S)N(R16)(R17)で表される基、−C(=NR16)OR17で表される基、−C(=NR16)SR17で表される基、−C(=NR16)N(R17)(R18)で表される基、−Si(R19)(R20)(R21)で表される基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
16〜R18は各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、C3〜C12シクロアルキル基、C2〜C12アルケニル基、C2〜C12ハロアルケニル基、C2〜C12アルキニル基、C2〜C12ハロアルキニル基、C1〜C12アルキルチオ基、水酸基、C1〜C12アルコキシ基、アミノ基、モノC1〜C6アルキルアミノ基、ジC1〜C6アルキルアミノ基、アシルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニルアミノ基、無置換若しくは置換基を有するフェニル基、又は無置換若しくは置換基を有する複素環基を表す。
19〜R21は各々独立して、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C12ハロアルキル基、又は無置換若しくは置換基を有するフェニル基を表す。
sは、0又は1を表す。〕
で表される含窒素複素環化合物又はその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の含窒素複素環化合物又はその塩の少なくとも一種を有効成分として含有する有害生物防除剤。
【請求項3】
殺虫剤である請求項2に記載の有害生物防除剤。
【請求項4】
殺ダニ剤である請求項2に記載の有害生物防除剤。

【公開番号】特開2008−110971(P2008−110971A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261695(P2007−261695)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】