説明

含複素環化合物及びその用途

【課題】組織における細胞外マトリックス遺伝子の発現量を減少させ、細胞外マトリックス蓄積量を低下させることにより、組織の線維化を改善させる組成物(即ち、細胞外マトリックス蓄積抑制剤や、線維症治療剤又は心不全治療剤)等を提供する。
【解決手段】
本発明は、式(I-1)、式(I-2)、式(I-3)又は式(I-4)


で示される含複素環化合物と不活性担体とを含有することを特徴とする細胞外マトリックス遺伝子転写抑制組成物等に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含複素環化合物及びその用途等に関する。
【背景技術】
【0002】
肝硬変、慢性膵炎、スキルス胃癌、間質性肺疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患、糸球体腎炎、ループス腎炎、尿細管間質性腎炎、IgA腎症、腎硬化症、糖尿病性腎症、遺伝性腎疾患、心筋線維症、心不全、PTCA後の再狭窄、動脈硬化、骨髄線維症、関節リウマチ、炎症後の過形成痕跡、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、アトピー性皮膚炎、肥厚性瘢痕、子宮筋腫、前立腺肥大症、強皮症、アルツハイマー病、硬化性腹膜炎、糖尿病性網膜症、I型糖尿病等においては、コラーゲン及びフィブロネクチンに代表されるような細胞外マトリックスの過度の集積により組織が線維化して硬化し、その結果、臓器・組織の機能低下や瘢痕形成等に至る。このような細胞外マトリックスの過度の集積は、細胞外マトリックスの生合成と分解とのバランスの破綻に基づく細胞外マトリックスの産生亢進によって導かれる。
実際、線維化した組織においては、コラーゲン遺伝子(特にI型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン)や、フィブロネクチン遺伝子、ラミニン遺伝子、プロテオグリカン遺伝子等といった細胞外マトリックス遺伝子の発現量が増加していることが確認されている(非特許文献1〜6参照)。
また、線維化した組織においては、サイトカインの1種であるTGF−βの量が上昇していることも確認されている(非特許文献1、2参照)。TGF−βは、細胞外マトリックス遺伝子の発現量を増加させ、細胞外マトリックスタンパクの産生亢進、ひいては、組織の線維化に関与していることが示唆されている(非特許文献1、7参照)。更に、組織線維化のモデル動物に対し、抗TGF−β抗体や可溶性TGF−β受容体を投与することにより、組織の線維化が改善され、それに伴い組織機能が改善されることが明らかにされている(非特許文献8〜10参照)。またTGF−βの細胞内シグナル伝達に対し、抑制的に働く化合物を投与することにより、組織の線維化が改善され、それに伴い組織機能が改善されることも知られている(非特許文献11〜13参照)。また、左室拡張不全等の心不全や糖尿病性腎症や腎硬化症等の腎不全の病因は、高血圧状態の心臓線維化がその1つとされている。
【0003】
【非特許文献1】J.Invest.Dermatol.,94,365,(1990)
【非特許文献2】Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88,6642,(1991)
【非特許文献3】J.Am.Soc.Nephrol.,15,2637,(2004)
【非特許文献4】Cardiovasc.Pathol.,13,119,(2004)
【非特許文献5】Clin.Nephrol.,44,211,(1995)
【非特許文献6】J.Hepatol.,29,263,(1998)
【非特許文献7】Lab.Invest.,63,171,(1990)
【非特許文献8】Diabetes,45,522−530,(1996)
【非特許文献9】Proc.Natl.Acad.Sci.USA ,96,12719−12724,(1999)
【非特許文献10】Proc.Natl.Acad.Sci.USA ,97,8015−8020,(2000)]
【非特許文献11】Autoimmunity,35,277−282,(2002)
【非特許文献12】J.Hepatol.,37,331−339,(2002)
【非特許文献13】Life Sci.,71,1559−1606,(2002)]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
組織における細胞外マトリックス遺伝子の発現量を減少させ、細胞外マトリックス蓄積量を低下させることにより、組織の線維化を改善させる組成物等(細胞外マトリックス蓄積抑制剤や、線維症治療剤又は心不全治療剤等)の提供が切望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、かかる状況の下、鋭意検討した結果、下記の式(I-1)、式(I-2)、式(I-3)、式(I-4)、式(II-1)、式(II-2)、式(II-3)、式(II-4)、式(II'-1)、式(II'-2)又は式(II'-3)で示される含複素環化合物が細胞外マトリックス遺伝子の転写を抑制することを見出し、本発明に至った。
【0006】
即ち、本発明は以下の発明等を提供する。
発明1:
式(I-1)、式(I-2)、式(I-3)又は式(I-4)

[式中、
I.σは、
式(IA-1)


[式中、
1.Aは、芳香族5員環、又は、芳香族6員環を表す。
2.(Xにおいて、
は、下記のA群からN群までのいずれかの群に含まれる基を表し、
pは、0、1、2又は3を表し、
pが2以上のとき、Xは、同一又は相異なる。
(1)A群:D−R−基[Dは、(R−(O)−)AN−(O)k’−基{Rは、水素原子、又は、C1-C10アルキル基、又は、ハロゲン原子若しくはR−B−基(Rは、C1-C10アルキル基、C3-C10アルケニル基又はC3-C10アルキニル基を表し、Bは、オキシ基、チオ基、スルフィニル基又はスルホニル基を表す。)で置換されたC2-C10アルキル基、又は、C3-C10アルケニル基、又は、C3-C10アルキニル基を表し、kは、0又は1を表し、Aは、R−(CHR−(B−Bm’−基{Rは、水素原子、又は、ハロゲン原子若しくはR−B−基(R及びBは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC1-C10アルキル基、又は、C2-C10アルケニル基、又は、C2-C10アルキニル基を表し、Rは、水素原子、C1-C10アルキル基又はC2-C10ハロアルキル基を表し、mは、0又は1を表し、Bは、単結合、オキシ基、チオ基又は−N((O)’)−基(R’は、Rと同一又は相異なり、Rと同一の意味を表し、nは、0又は1を表す。)を表し、Bは、カルボニル基、チオカルボニル基又はスルホニル基を表し、m’は、0又は1を表し、Bがスルホニル基のとき、mは0となりかつRが水素原子となることはない。}を表し、k’は、0又は1を表す。}を表し、
は、C1-C10アルキレン基を表す。但し、R’R ’’N−R−基(R’及びR’’は、Rと同一又は相異なり、Rと同一の意味を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。)を除く。]、
−R−基[Dは、シアノ基、R’NC(=N−(O)−A)−基(R、R’、n、及びAは、前記と同一の意味を表す。)、AN=C(−OR)−基(A及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はNH−CS−基を表し、Rは前記と同一の意味を表す。]、
−R−基{Dは、ニトロ基又はROSO−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。}又は
OSO−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)である。
(2)B群:


(a)−基
[(a)において、E及びE’は、C1-C10アルキル基若しくはC1-C10アルコキシ基で置換されてもよいメチレン基、又は、カルボニル基を表す。但し、E及びE’は、同時にカルボニル基となることはない。Eは、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR’−基(R’は、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC2-C10アルキレン基、又は、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR’−基(R’は、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC3-C10アルケニレン基を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。]
である。
(3)C群:ハロゲン原子 、R−B−基(R及びBは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基[Dは、水酸基又はA−O−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)を表し、Rは前記と同一の意味を表す。]、D−基[Dは、O=C(R)−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)、A−(O)−N=C(R)−基(A、n及びRは、前記と同一の意味を表す。)、R−B−CO−R−(O)−N=C(R)−基{R、R、n及びRは、前記と同一の意味を表し、Bは、オキシ基、チオ基又は−N((O)’)−基(R’及びmは、前記と同一の意味を表す。)を表す。}、D−R−(O)−N=C(R)−基(D、R、n及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はRN−N=C(R)−基(R、A及びRは、前記と同一の意味を表す。)を表す。]、RN−O−R−基(R、A及びRは、前記と同一の意味を表す。)、R(A−(O)−)N−基(R、A及びnは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)又はD−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルケニル基
である。
(4)D群:

(b) −R−基[(b)において、G、G、G及びGは、隣接原子と単結合で結ばれた、メチル基で置換されてもよいメチレン基、又は、隣接原子と二重結合で結ばれた、メチル基で置換されてもよいメチン基を表し、
は、単結合、又は、二重結合、又は、メチル基、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC1-C10アルキレン基、又は、メチル基、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC2-C10アルケニレン基を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。]、

(c)−R−基
((c)において、J、J及びJは、同一又は相異なり、メチル基で置換されてもよいメチン基、又は、窒素原子を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。)、ハロゲン原子、R−B−R−基(R、B及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)又はD−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルキニル基である。
(5)E群:A−CO−R−基である。但し、Aが水酸基のとき、Rがビニレン基ではない。
[Aは、
(i)A−B−基
{Aは、水素原子、又は、C1-C10アルキル基、又は、C2-C10ハロアルキル基、又は、ハロゲン原子で置換されてもよいC2-C10アルケニル基、又は、ハロゲン原子で置換されてもよいC3-C10アルキニル基、又は、R−(R−基(Rは、ハロゲン原子、C1-C10アルキル基、C1-C10アルコキシ基若しくはニトロ基で置換されてもよい、フェニル基、ピリジル基、フリル基若しくはチエニル基を表し、R及びmは前記と同一の意味を表す。)、又は、(b)−R−基((b)及びRは、前記と同一の意味を表す。)、(c)−R−基((c)及びRは、前記と同一の意味を表す。)、R−B−R−基(R、B及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)若しくはA−SO−R−基{Aは、(b)−基((b)は、前記と同一の意味を表す。)、(c)−基((c)は、前記と同一の意味を表す。)又はR’N−基(R及びR’は、前記と同一の意味を表す。)を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。}で置換されたC1-C10アルキル基を表し、
は、オキシ基、チオ基又は−N((O))−基(R及びmは、前記と同一の意味を表す。)を表す。但し、Bがチオ基のとき、Aが水素原子ではない。}、
(ii)R−B−CO−R−B’−基(R、B及びRは、前記と同一の意味を表し、B’は、Bと同一又は相異なり、Bと同一の意味を表す。但し、Bがチオ基のとき、Rが水素原子ではない。)又はD−R−B−基(D、R及びBは、前記と同一の意味を表す。)、
(iii)R−SO−NR−基(Rは、前記と同一の意味を表す。但し、水素原子を除く。Rは、前記と同一の意味を表す。)、
(iv)(b)−基((b)は、前記と同一の意味を表す。)、
(v)(c)−基((c)は、前記と同一の意味を表す。)又は
(vi)RN−NR’−基(R、A及びR’は、前記と同一の意味を表す。)を表し、Rは、ハロゲン原子で置換されてもよいC2-C10アルケニレン基、又は、C2-C10アルキニレン基を表す。]
(6)F群:A−B−R−基[Aは、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)若しくはA−SO−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルキル基、又は、R−B−基(R及びBは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)若しくはA−CO−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC1-C10アルキル基を表し、
は、B−基(Bは、前記と同一の意味を表す。)又は−NA−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)を表し、
は、単結合又はC1-C10アルキレン基を表す。]
である。
(7)G群:A−B−R−基
[Aは、(a)−R−基((a)及びRは、前記と同一の意味を表す。)、又は、C2-C10アルケニル基、又は、C2-C10アルキニル基、又は、ハロゲン原子、R−B−基(R及びBは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)若しくはA−CO−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルケニル基、又は、ハロゲン原子、R−B−基(R及びBは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)若しくはA−CO−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルキニル基、又は、(b)−基((b)は、前記と同一の意味を表す。)、(c)−基((c)は、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)若しくはD−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC3-C10アルケニル基、又は、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)若しくはD−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC3-C10アルキニル基を表し、
及びRは、前記と同一の意味を表す。]
である。
(8)H群:
−N(−(O)−A)−R−基(D、n、A及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。但し、シアノ基を除く。)、R(R’(O))N−CR’’=N−R−基(R、R’、n及びRは、前記と同一の意味を表し、R’’は、Rと同一又は相異なり、Rと同一の意味を表す。)、R−(O)−N=CR’−NR−R−基(R、n、R’、R及びRは、前記と同一の意味を表す。)、R−B−NR−CO−NR’−R−基(R、B、R、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−CO−NR−R−基(D、R及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はA−COCO−NR−R−基(A、R及びRは、前記と同一の意味を表す。)
である。
(9)I群:
−B−N((O))−R−基[Aは、ハロゲン原子で置換されてもよいC2-C10アルケニル基、C2-C10アルキニル基、C3-C10ハロアルキニル基、R−B−R−基(R、B及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、(b)−R−基((b)及びRは、前記と同一の意味を表す。)、(c)−R−基((c)及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、A−SO−R−基(A及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はA−CO−R−基(A及びRは、前記と同一の意味を表す。)を表し、
は、カルボニル基又はチオカルボニル基を表し、
n、R及びRは、前記と同一の意味を表す。]、
−CS−N((O))−R−基[Aは、水素原子、又は、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-C10アルキル基を表し、
n、R及びRは、前記と同一の意味を表す。]、
’−B’−B−N((O))−R−基[A’は、ハロゲン原子で置換されてもよいC3-C10アルケニル基、ハロゲン原子で置換されてもよいC3-C10アルキニル基、R−B−R’−基(R及びBは、前記と同一の意味を表し、R’は、C2-C10アルキレン基を表す。)、D−R’−基(D及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、D−R’−基(D及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、(b)−R’−基((b)及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、(c)−R’−基((c)及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R’−基(D及びR’は、前記と同一の意味を表す。)又はA−CO−R−基(A及びRは、前記と同一の意味を表す。)を表し、
’は、オキシ基、チオ基又は−N((O)n’’)−基(n’は、nと同一又は相異なり、nと同一の意味を表し、R’は、前記と同一の意味を表す。)を表し、
、n、R及びRは、前記と同一の意味を表す。]、
’−B’−CS−N((O))−R−基[A’は、C1-C10アルキル基又はC2-C10ハロアルキル基を表し、
’は、前記と同一の意味を表し、
n、R及びRは、前記と同一の意味を表す。]、
’−S−B’−N((O))−R−基[A’、n、R及びRは、前記と同一の意味を表し、
’は、カルボニル基又はスルホニル基を表す。]又は
’’−SO−N((O))−R−基[A’’は、C2-C10アルケニル基、ハロゲン原子で置換されたC3-C10アルケニル基、ハロゲン原子で置換されてもよいC3-C10アルキニル基、R−B−R’−基(R、B及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、D−R’−基(D及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R’−基(D及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、(b)−R’−基((b)及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、(c)−R’−基((c)及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、NO−R−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)又はA−CO−R−基(A及びRは、前記と同一の意味を表す。)を表し、
n、R及びRは、前記と同一の意味を表す。]である。
(10)J群:A−CO−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)、又は、A−CS−基(Aは、A又はAを表す。)、又は、A’(O)N=C(A)−基(A’は、A’又はA’を表し、m及びAは、前記と同一の意味を表す。)、又は、D−CO−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、又は、A−COCO−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)、又は、A−CO−B’−R−基(A及びRは、前記と同一の意味を表し、B’は、オキシ基又はチオ基を表す。但し、B’がオキシ基のとき、Aは、Aではない。)、又は、A−CS−B’−R−基(A、B’及びRは、は、前記と同一の意味を表す。)、又は、A’’−SO−B’−R−基(A’’、B’及びRは、は、前記と同一の意味を表す。)、又は、A−SO−B’−R−基(A、B’及びRは、は、前記と同一の意味を表す。但し、Aは、水素原子となることはない。)、又は、A’−B’−B−B’−R−基(A’、B’、B、B’及びRは、前記と同一の意味を表す。)、又は、(b)−基((b)は、前記と同一の意味を表す。)若しくは(c)−基((c)は、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルケニル基である。
(11)K群:A10−N((O))−CO−R−基[A10は、水素原子(但し、nは0ではない。)、A’’−SO−基(A’’は、前記と同一の意味を表す。)、A−SO−基(Aは、前記と同一の意味を表す。但し、Aは、水素原子とはならない。)、A’O−基(A’は、前記と同一の意味を表す。但し、nは1ではない。)、A’−基(A’は、前記と同一の意味を表す。但し、nが0のとき、A’を除く。)、ROCH−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)、A−CO−R−基(A及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はA−CO−CH(CHCO−A)−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)を表し、
n、R及びRは、前記と同一の意味を表す。]である。
(12)L群:A10’−N((O))−SO−R−基[A10’は、水素原子(但し、nは0ではない。)、A’O−基(A’は、前記と同一の意味を表す。但し、nは1ではない。)、A’−基(A’は、前記と同一の意味を表す。但し、nが0のとき、A’を除く。)、R−CO−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)、A−CO−R−基(A及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はA−CO−CH(CHCO−A)−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)を表し、
n、R及びRは、前記と同一の意味を表す。]、
’’RN−SO−N((O)’)−R−基[A’’は、水素原子又はA’−基(A’は、前記と同一の意味を表す。)を表し、
、n、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。]又は
(b)−SO−N((O)’)−R−基[(b)、n、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。]である。
(13)M群:R(RS)C=N−R−基(R、R及びRは、前記と同一の意味を表す。)、RB(R’B’)C=N−R−基(R及びRは、前記と同一の意味を表し、R’は、Rと同一又は相異なり、Rと、同一の意味を表し、B及びB’は、同一又は相異なり、オキシ基又はチオ基を表す。)、R’N−(RS)C=N−R−基(R、R’、R及びRは、前記と同一の意味を表す。)、RN=C(SR)−NR’−R−基(R、R、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はR(R’O)N−R−基(R、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。)である。
(14)N群:A11−P(=O)(OR’)−R−基[A11は、R−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)、RO−R−基(R及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はROCO−CHR−基(R及びRは、前記と同一の意味を表す。)を表し、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。]である。
3.(Yにおいて、
は、下記のX群又はY群の基を表し、
qは、0、1、2又は3を表し、
p(pは、前記と同一の意味を表す。)とqとの和は3以下であり、
qが2以上のとき、Yは、同一又は相異なり、
qが2以上のとき、隣接している2個の同一又は相異なるYは、Z群の基をなして、A環と縮環してもよい。
(1)X群:M−基[Mは、R−基(Rは、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-C10アルキル基を表す。)、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、R−B−R−基(Rは、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-C10アルキル基を表し、Bは、オキシ基、チオ基、スルフィニル基又はスルホニル基を表し、Rは、単結合又はC1-C10アルキレン基を表す。)、HO−R−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)、R−CO−R−基(Rは、水素原子、又は、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-C10アルキル基を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。)、R−CO−O−R−基(R及びRは、前記と同一の意味を表す。)、RO−CO−R−基(R及びRは、前記と同一の意味を表す。)、HO−CO−CH=CH−基、R’N−R−基(R及びR’は、同一又は相異なり、Rは、前記と同一の意味を表し、R’は、Rと同一の意味を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。)、R−CO−NR’−R−基(R、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。)、RO−CO−N(R)−R−基(R、R 及びRは、前記と同一の意味を表す。)、R’N−CO−R−基(R、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。)、R’N−CO−NR’’−R−基(R、R’及びR’’は、同一又は相異なり、R及びR’は、前記と同一の意味を表し、R’’は、Rと同一の意味を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。)、R’N−C(=NR’’)−NR’’’−R−基(R、R’、R’’及びR’’’は、同一又は相異なり、R、R’及びR’’は、前記と同一の意味を表し、R’’’は、Rと同一の意味を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。)、R−SO−NR−R−基(R、R及びRは、前記と同一の意味を表す。)、R’N−SO−R−基(R、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。)、C2-C10アルケニル基又はC2-C10アルキニル基を表す。]である。
(2)Y群:M−R−基[Mは、M−基{Mは、M−R’−基{Mは、M−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいフェニル基、M−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいピリジル基、M−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいナフチル基、(b)−基((b)は、前記と同一の意味を表す。)、(c)−基((c)は、前記と同一の意味を表す。)、


(d)−基(lは、2、3又は4であり、Bは、オキシ基又はチオ基を表す。)又は


(e)−基(l及びBは、前記と同一の意味を表す。)を表し、R’は、Rと同一又は相異なり、Rと同一の意味を表す。}を表す。}、M−B−基(M及びBは、前記と同一の意味を表す。)、M−CO−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)、M−CO−O−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)、MO−CO−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)、MN−基(M及びRは、前記と同一の意味を表す。)、M−CO−NR−基(M及びRは、前記と同一の意味を表す。)、MO−CO−NR−基(M及びRは、前記と同一の意味を表す。)、MN−CO−基(M及びRは、前記と同一の意味を表す。)、MN−CO−NR’−基(M、R及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、MN−C(=NR’)−NR’’−基(M、R、R’及びR’’は、前記と同一の意味を表す。)、M−SO−NR−基(M及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はMN−SO−基(M及びRは、前記と同一の意味を表す。)を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。]である。
(3)Z群:−Y’’=C(Y)−Y’−基(Yは、水素原子、又は、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-C10アルキル基、又は、C1-C10アルコキシ基を表し、Y’は、オキシ基、又は、チオ基、又は、C1-C10アルキル基で置換されてもよいイミノ基を表し、Y’’は、−N=基又はメチン基を表す。)、C3-C10アルキレン基又は−Y=Y’−Y’’=Y’’’−基[Y、Y’、Y’’及びY’’’は、同一又は相異なり、Ma−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいメチン基、又は、−N=基を表す。]で示される基、
式(IA-2)

[式中、
1.KAAは、水素原子、ハロゲン原子、又は、(I-AA)−基
[(I-AA)は、式(I-AA)

[式中、AAは、芳香族5員環又は芳香族6員環を表し、
及びqは、前記と同一の意味を表し、
qが2以上のとき、隣接している2個の同一又は相異なるYは、Z群の基をなしてAA環と縮環してもよい。]
で示される基を表す。]を表す。
2.LAAは、(I-AA)−基((I-AA)は、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルキル基、(I-AA)−基((I-AA)は、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC4-C10アルケニル基、又は、(I-AA)−基((I-AA)は、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC4-C10アルキニル基、水素原子、又はC1-C10アルキル基を表し、
AAとLAAとは、単数又は同一又は相異なる複数のM−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC4-C10アルケニレン基をなすことがある。
3.QAAは、
水素原子、又は、Q−基
[Qは、水酸基、(b)−基((b)は、前記と同一の意味を表す。)、A−B−B−基[A及びBは、前記と同一の意味を表し、Bは、オキシ基又は−N((O))−基(m及びRは、前記と同一の意味を表す。)を表す。但し、Aが水素原子のとき、Bは、スルホニル基ではない。]、
''−SO−B−基(A''及びBは、前記と同一の意味を表す。)、A−SO−B−基(A及びBは、前記と同一の意味を表す。但し、Aは水素原子とはならない。)、R'N−SO−B−基(R、R'及びBは、前記と同一の意味を表す。)、(b)−SO−B−基((b)及びBは、前記と同一の意味を表す。)、A'−B−基(A'及びBは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−B−基(D、R及びBは、前記と同一の意味を表す。)、M−B−B−基(M、B及びBは、前記と同一の意味を表す。)又はM−B−基(M及びBは、前記と同一の意味を表す。)を表す。]である。
4.Wは、酸素原子又は
−NT−基[Tは、A’−基(A’は、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はM−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)を表す。]である。]で示される基、
式(IA-3)

[式中、KAA’は、水素原子、C1-C10アルキル基、又は、(III-AA)−基((III-AA)は、前記と同一の意味を表す。)を表し、
AA’は、水素原子又はC1-C10アルキル基を表し、
AA’とLAA’とは、C3-C10アルキレン基又は単数又は同一又は相異なる複数のM−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC4-C10アルケニレン基をなすことがあり、
U’は、水素原子又はメチル基を表し、
は、前記と同一の意味を表す。]で示される基、又は、
式(IA-4)

[式中、Tは、前記と同一の意味を表し、
は、水酸基、A−B−O−基(A及びBは、前記と同一の意味を表す。)、A''−SO−O−基(A''は、前記と同一の意味を表す。)、A−SO−O−基(Aは、前記と同一の意味を表す。但し、Aは水素原子とはならない。)、R'N−SO−O−基(R及びR'は、前記と同一の意味を表す。)、(b)−SO−O−基((b)は、前記と同一の意味を表す。)、A'−O−基(A'は、前記と同一の意味を表す。)、D−R−O−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、M−B−O−基(M及びBは、前記と同一の意味を表す。)又はM−O−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)を表す。]で示される基を表す。
II.式(I-1)において、
は、酸素原子又は−NT−基[Tは、水素原子、A’−基(A’は、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はM−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)を表す。]を表し、
は、水素原子、ハロゲン原子又はC1-C10アルキル基を表し、
は、水素原子、C1-C10アルキル基又はM−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)を表し、
とLとは、C3-C10アルキレン基、又は、単数又は同一又は相異なる複数のM−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC4-C10アルケニレン基をなすことがあり、
式(I-2)において、
は、前記と同一の意味を表し、
とLとは、−V=V'−V''=V'''−基{V、V'、V''及びV'''は、同一又は相異なり、M−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいメチン基、又は、−N=基を表し、V、V'、V''及びV'''のうち少なくとも一つは−N=基を表す。}をなし、
式(I-3)及び式(I-4)において、Tは、前記と同一の意味を表す。
但し、(I-1)において、Wが酸素原子である場合、同時にKとLとが1,3−ブタジエニレン基をなすとき、σがフェニル基となることはない。
また、(I-1)において、Kが水素原子であり、かつLがメチル基であって、同時に、Wが−NT−基であってTが水素原子又はメチル基である場合、σが4−メトキシフェニル基となることはない。]
で示される含複素環化合物。
発明2:
式(II-1)、式(II-2)、式(II-3)又は式(II-4)


[式中、I.sは、
式(IIa-1)

[式中、aは、ベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、ピリダジン環又はピリミジン環を表し、
は、シアノ基で置換されたC1-C10アルキル基、又は、テトラヒドロピラン−4−イリデン基で置換されたC1-C10アルキル基、又は、ハロゲン原子若しくはシアノ基で置換されたC2-C10アルケニル基、又は、C1-C10アルコキシカルボニル基で置換されたC2-C10アルケニル基、又は、ヒドロキシ基で置換されたC3-C10アルキニル基、又は、a−r−b−r’−基{aは、C1-C10アルキルチオ基で置換されたメチル基、C1-C10アルキルスルフィニル基で置換されたメチル基、C1-C10アルキルスルホニル基で置換されたメチル基、C2-C10アルケニル基、C2-C10アルキニル基、rO−CO−基(rは、C1-C10アルキル基又は水酸基で置換されたC2-C10アルキル基を表す。)、カルボキシ基、rr’N−CO−基(r及びr’は、同一又は相異なり、水素原子又はC1-C10アルキル基を表す。)、a−NH−CO−基(aは、C1-C10アルコキシ基で置換されたC2-C10アルキル基を表す。)、a’−CO−基(a’は、モルホリノ基を表す。)、rr’N−CH−基(r及びr’は、前記と同一の意味を表す。)、r−(O)−CONH−CH−基(rは、C1-C10アルキル基を表し、lは0又は1を表す。)、r−OCH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、r−CO−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、シアノ基又はスルホメチル基を表し、rは、C1-C10アルキレン基を表し、r’は、単結合又はC1-C10アルキレン基を表し、bは、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基又はメチル基で置換されてもよいイミノ基を表す。}、又は、a−y−CO−NH−基(aは、C1-C10アルコキシ基で置換されたC2-C10アルキル基を表し、yは、オキシ基又はイミノ基を表す。)、又は、rO−COCO−NH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、又は、a−z−NH−基(aは、C2-C10アルケニル基、又は、C1-C10アルコキシ基、C1-C10アルコキシカルボニル基、カルボキシ基若しくはシアノ基で置換されたC1-C10アルキル基を表し、zは、カルボニル基又はスルホニル基を表す。)、又は、a−Nr’CO−基{aは、C1-C10アルコキシ基、又は、C3-C10アルケニルオキシ基、又は、r−SO−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、又は、水酸基若しくはC1-C10アルコキシ基で置換されたC2-C10アルキル基、又は、r’N−基(rは、前記と同一の意味を表し、r’は、rと同一又は相異なり、rと同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルキル基、又は、rO−CO−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、シアノ基若しくはアミノカルボニル基で置換されたC1-C10アルキル基、又は、rO−CO−(rO−COCH)CH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)を表し、r’は、前記と同一の意味を表す。}、又は、a−NHSO−基(aは、C1-C10アルコキシ基で置換されたC2-C10アルキル基を表す。)、又は、rON=CH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、又は、rNHCSNH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、又は、rNHC(−Sr’)=N−基(r及びr’は、前記と同一の意味を表す。)、又は、(rO)P(=O)CH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)を表し、pは、0、1、2又は3を表し、pが2以上のとき、Xは、同一又は相異なり、
は、ハロゲン原子、又は、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-C10アルキル基、又は、C1-C10アルコキシ基で置換されてもよいC1-C10アルキル基、又は、C2-C10アルケニル基、又は、C2-C10アルキニル基、又は、2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル基、又は、[1,3]ジオキソラン−2−イル基、又は、モルホリノ基で置換されたC1-C10アルコキシ基、又は、a’−b’−基(a’は、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-C10アルキル基を表し、b’は、オキシ基、チオ基、スルフィニル基又はスルホニル基を表す。)、又は、ニトロ基、又は、シアノ基、又は、rO−CO−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、又は、r’N−基(r及びr’は、前記と同一の意味を表す。)、又は、rCO−NH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、又は、r’NCONH−基(r及びr’は、前記と同一の意味を表す。)、又は、rr’NCO−基(r及びr’は、前記と同一の意味を表す。)、又は、水酸基を表し、qは、0、1、2又は3を表し、qが2以上のとき、Yは、同一又は相異なり、qが2以上のとき、隣接しているYは、a環と縮環して4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン環をなしてもよい。]で示される基、
式(IIa-2)

[式中、
1.Kaaは、水素原子、ハロゲン原子、又は、(II-aa)−基
[(II-aa)は、式(II-aa)

[式中、aaは、チオフェン環、フラン環、ピロール環、チアゾール環、ベンゼン環又はピリジン環を表し、
及びqは、前記と同一の意味を表す。]で示される基を表す。]を表す。
2.Laaは、水素原子、C1-C10アルキル基、(II-aa)−基((II-aa)は、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルキル基、(II-aa)−基((II-aa)は、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC4-C10アルケニル基、又は、(II-aa)−基((II-aa)は、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC4-C10アルキニル基を表し、
aaとLaaとは、ハロゲン原子、C1-C10アルキル基、C1-C10アルコキシ基若しくはニトロ基で置換されてもよいC4-C10アルケニレン基をなすことがある。
3.Qaaは、水素原子、r−O−基{rは、水素原子、又は、C1-C10アルキル基、又は、C3-C10アルケニル基、又は、C3-C10アルキニル基、又は、r’N−CH−基(r及びr’は、前記と同一の意味を表す。)、rOCH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、r−CO−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、C1-C10アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アミノカルボニル基若しくはシアノ基で置換されたC1-C10アルキル基、又は、r−r−基(rは、フェニル基又はピリジル基を表し、rは、C1-C10アルキレン基を表す。)を表す。}、又は、ピペリジノ基、又は、モルホリノ基、又は、r’N−基(r及びr’は、同一又は相異なり、水素原子、又は、C1-C10アルキル基、又は、C3-C10アルケニル基、又は、C3-C10アルキニル基、又は、C1-C10アルコキシ基で置換されたC2-C10アルキル基を表す。但し、同時に水素原子となることはない。)である。
4.Wは、酸素原子又は−NT−基[Tは、r−基(rは、rと同一又は相異なり、rと同一の意味を表す。)又はr’−基(r’は、rと同一又は相異なり、rと同一の意味を表す。)を表す。但し、水素原子となることはない。]である。]で示される基、
式(IIa-3)

[式中、Kaa’は、水素原子、C1-C10アルキル基、又は、(II-aa)−基((II-aa)は、前記と同一の意味を表す。)を表し、
aa’は、水素原子又はC1-C10アルキル基を表し、
aa’とLaa’とは、ハロゲン原子、C1-C10アルキル基、C1-C10アルコキシ基若しくはニトロ基で置換されてもよいC4-C10アルケニレン基をなすことがあり、
U’は、水素原子又はメチル基を表し、
は、前記と同一の意味を表す。]で示される基、又は、
式(IIa-4)

[式中、Tは、前記と同一の意味を表し、
は、r−O−基(rは、前記と同一の意味を表す。)を表す。]で示される基を表す。
II.式(II-1)において、
は、酸素原子又は−NT−基[Tは、r−基(rは、rと同一又は相異なり、rと同一の意味を表す。)又はr’−基(r’は、rと同一又は相異なり、rと同一の意味を表す。)を表す。]を表し、
は、水素原子、ハロゲン原子又はC1-C10アルキル基を表し、
は、水素原子又はC1-C10アルキル基を表し、
とLとは、C3-C10アルキレン基又は1,3−ブタジエニレン基をなすことがあり、
式(II-2)において、
は、前記と同一の意味を表し、
とLとは、−V=V’−V’’=V’’’−基(V、V’、V’’及びV’’’は、同一又は相異なり、メチン基、又は、−N=基を表し、V、V’、V’’及びV’’’のうち少なくとも一つは−N=基を表す。)で示される基であり、
式(II-3)及び(II-4)において、Tは、前記と同一の意味を表す。
但し、(II-1)において、Waが酸素原子である場合、同時にKaとLaとが1,3−ブタジエニレン基をなすとき、sがフェニル基となることはない。
また、(II-1)において、Kaが水素原子であり、かつLaがメチル基であって、同時に、Waが−NTa−基であってTaが水素原子又はメチル基である場合、sが4−メトキシフェニル基となることはない。]
で示される含複素環化合物。
発明3:
式(II'-1)、式(II'-2)又は式(II'-3)

[式中、s'は、HOCOCHO−基、MeOCHCHO−CO−NH−基、HOCHCHO−基、MeO−COCHNHCO−基、MeOCHCO−NH−基もしくはMeOCHCHNH−CO−基で置換されたフェニル基、又は、
HOCOCHO−基、MeOCHCHO−CO−NH−基、HOCHCHO−基、MeO−COCHNHCO−基、MeOCHCO−NH−基もしくはMeOCHCHNH−CO−基で置換された2−ピリジル基、又は、
HOCOCHO−基、MeOCHCHO−CO−NH−基、HOCHCHO−基、MeO−COCHNHCO−基、MeOCHCO−NH−基もしくはMeOCHCHNH−CO−基で置換された2−チエニル基、又は、
NCCH−基もしくはMeO−COCH−基で1位が置換された2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−ピリジル基、又は、
NCCH−基もしくはMeO−COCH−基で1位が置換された2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリル基を表し、
T'は、水素原子又はメチル基を表し、V'は炭素原子又は窒素原子を表す。]
で示される含複素環化合物。
発明4:
請求項1,2いずれか一項記載の含複素環化合物と不活性担体とを含有することを特徴とする細胞外マトリックス遺伝子転写抑制組成物。
発明5:
請求項3記載の含複素環化合物と不活性担体とを含有することを特徴とする細胞外マトリックス遺伝子転写抑制組成物。
発明6:
請求項1,2いずれか一項記載の含複素環化合物の細胞外マトリックス遺伝子の転写を抑制するための使用。
発明7:
請求項3記載の含複素環化合物の細胞外マトリックス遺伝子の転写を抑制するための使用。
発明8:
細胞外マトリックス遺伝子の発現量を減少させて細胞外マトリックス蓄積量の低下を導くことにより組織の線維化を改善するための、請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物の使用。
発明9:
有効量の請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物を、組織の線維化を改善させる処置を必要とする哺乳動物に投与することを特徴とする組織線維化改善方法。
発明10:
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物と、不活性担体とを含有することを特徴とする慢性腎不全治療剤。
発明11:
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物の、慢性腎不全を治療するための有効成分としての使用。
発明12:
有効量の請求項1〜3の含複素環化合物を、慢性腎不全治療を必要とする哺乳動物に投与することを特徴とする慢性腎不全治療方法。
発明13:
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物と、不活性担体とを含有することを特徴とする心不全治療剤。
発明14:
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物の心不全を治療するための使用。
発明15:
有効量の請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物を、心不全治療を必要とする哺乳動物に投与することを特徴とする心不全治療方法。
発明16:
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物と、不活性担体と、を含有することを特徴とするTGF−β作用抑制組成物。
発明17:
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物のTGF−βの作用を抑制するための使用。
発明18:
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物と、不活性担体と、を含有することを特徴とする養毛組成物。
発明19:
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物の、TGF−βによる毛髪退行期への移行促進を阻害して毛髪成長期の延長を導くことにより養毛効果を得るための使用。
発明20:
有効量の請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物を、養毛処置を必要とする哺乳動物に投与することを特徴とする養毛方法。
尚、複数の置換基の間での同一記号における「前記と同一の意味を表す」とは、当該複数の置換基が互いに独立しながら前記と同一の意味を表すことを示し、当該複数の置換基の間では、選ばれる置換基の選択肢の範囲が同一であるが、その範囲内で選ばれる限り当該選ばれる置換基は同じであっても、異なっていてもよいことを意味するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、組織における細胞外マトリックス遺伝子の発現量を減少させ、細胞外マトリックス蓄積量を低下させることにより、組織の線維化を改善させる組成物等(細胞外マトリックス蓄積抑制剤や、線維症治療剤又は心不全治療剤等)の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明において、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基及びアルキレン基における飽和炭化水素基は、分枝していてもよく、またその炭素原子の一部又は全部で環を形成してもよく、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルキニル基、アルキニルオキシ基、アルケニレン基及びアルキニレン基における不飽和炭化水素基は、分枝をもっていてもよく、またその炭素原子の一部又は全部で環を形成してもよく、その不飽和結合数は単数又は複数である。
【0010】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基等があげられ、
ハロアルキル基としては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル基等があげられ、
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、シクロペンチルオキシ基、2−シクロヘキシルエトキシ等があげられ、
アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基等があげられ、
アルキルスルフィニル基としては、例えば、メチルスルフィニル基等があげられ、
アルキルスルホニル基としては、例えば、メチルスルホニル基等があげられ、
アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチルエチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等があげられ、
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、2−プロペニル基、3−メチル−2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、3−シクロヘキセニル基等があげられ、
アルキニル基としては、例えば、エチニル基、2−プロピニル基、2−ペンテン−4−イニル基等があげられ、
アルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1,3−ブタジエニレン基等があげられ、
アルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基等があげられる。
【0011】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子があげられる。
なお、本発明において、ピリジル基は、2−ピリジル基、3−ピリジル基及び4−ピリジル基を含み、
フリル基は、2−フリル基及び3−フリル基を含み、
チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基を含み、
ナフチル基は、1−ナフチル基及び2−ナフチル基を含む。
【0012】
式(I-1)、式(I-2)、式(I-3)及び式(I-4)で示される化合物(以下、化合物(I)と記すこともある)、式(II-1)、式(II-2)、式(II-3)及び式(II-4)で示される化合物(以下、化合物(II)と記すこともある)において、A及びaが窒素原子を有する芳香族6員環の場合は、そのN−オキシドも含む。式(II'-1)、式(II'-2)又は式(II'-3)で示される化合物(以下、化合物(II')と記すこともある)において、s’がピリジル基の場合は、そのN−オキシドも含む。化合物(I)、化合物(II)及び化合物(II')を、以下、本発明化合物と記すこともある。
【0013】
化合物(I)及び化合物(II)のA及びaにおいて、芳香族5員環としては、例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、フラザン環、1,2,5−チアジアゾール環等があげられ、芳香族6員環としては、例えば、ベンゼン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、1,3,5−トリアジン環、1,2,4−トリアジン環等があげられる。
【0014】
本発明化合物は、それらの薬理学上許容されうる塩も、同時に表す。
薬理学上許容されうる塩とは、本発明化合物の、無機酸との塩、有機酸との塩、無機塩基との塩又は有機塩基との塩を表す。
無機酸との塩とは、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩等があげられ、
有機酸との塩とは、例えば、酢酸塩、安息香酸塩等があげられ、
無機塩基との塩とは、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩等があげられ、
有機塩基との塩とは、例えば、ピリジン塩、モルホリン塩等があげられる。
【0015】
化合物(I)の、Xのとりうる置換基B群の(a)において、
「オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR’−基(R’は、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC2-C10アルキレン基」とは、炭素原子の一つ又は複数が、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR’−基(R’は、前記と同一の意味を表す。)から選ばれた、単数又は同一又は相異なる複数の基で置き換えられてもよいC2-C10アルキレン基を表し、
また「オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR’−基(R’は、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC3-C10アルケニレン基」とは、炭素原子の一つ又は複数が、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR’−基(R’は、前記と同一の意味を表す。)から選ばれた、単数又は同一又は相異なる複数の基で置き換えられてもよいC3-C10アルケニレン基を表す。
【0016】
化合物(I)の、Xのとりうる置換基D群の(b)において、「メチル基、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC1-C10アルキレン基」とは、炭素原子の一つ又は複数がメチル基で置換されてもよい、又は、炭素原子の一つ又は複数が、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)から選ばれた、単数又は同一又は相異なる複数の基で置き換えられてもよいC2-C10アルキレン基を表し、
「メチル基、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC2-C10アルケニレン基」とは、炭素原子の一つ又は複数がメチル基で置換されてもよい、又は、炭素原子の一つ又は複数が、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)から選ばれた、単数又は同一又は相異なる複数の基で置き換えられてもよいC2-C10アルケニレン基を表す。
【0017】
化合物(I)のXのとりうるA群、B群、C群、D群、E群、F群、G群、H群、I群、J群、K群、L群、M群及びN群に属する基を、各々、下記の表1、表2、表3、表4、表5〜8、表9〜12、表13〜16、表17、表18、表19、表20、表21、表22及び表23に例示し、
のとりうるX群、Y群及びZ群に属する基を、各々、下記の表24、表25及び表26に例示し、Tを、各々、下記の表27に例示する。
【0018】
前記A群〜N群に属する基を、以下の表1〜表23に例示するが、幾何異性が可能な基の場合はその全ての幾何異性体を意味し、互変異性が可能な基の場合はその全ての互変異性体を意味する。
【0019】
A群に属する基を、表1に例示する。
【0020】
【表1】

【0021】
B群に属する基を、表2に例示する。
【0022】
【表2】

【0023】
C群に属する基を、表3に例示する。
【0024】
【表3】

【0025】
D群に属する基を、表4に例示する。
【0026】
【表4】

【0027】
E群に属する基を、表5〜表8に例示する。
【0028】
【表5】

【0029】
【表6】

【0030】
【表7】

【0031】
【表8】


【0032】
F群に属する基を、表9〜表12に例示する。
【0033】
【表9】

【0034】
【表10】

【0035】
【表11】

【0036】
【表12】

【0037】
G群に属する基を、表13〜表16に例示する。
【0038】
【表13】

【0039】
【表14】

【0040】
【表15】

【0041】
【表16】

【0042】
H群に属する基を、表17に例示する。
【0043】
【表17】

【0044】
I群に属する基を、表18に例示する。
【0045】
【表18】

【0046】
J群に属する基を、表19に例示する。
【0047】
【表19】

【0048】
K群に属する基を、表20に例示する。
【0049】
【表20】

【0050】
L群に属する基を、表21に例示する。
【0051】
【表21】

【0052】
M群に属する基を、表22に例示する。
【0053】
【表22】

【0054】
N群に属する基を、表23に例示する。
【0055】
【表23】

【0056】
前記X群〜Z群に属する基を、以下の表24〜表25に例示するが、幾何異性が可能な基の場合はその全ての幾何異性体を意味し、互変異性が可能な基の場合はその全ての互変異性体を意味する。
【0057】
X群に属する基を、表24に例示する。
【0058】
【表24】

【0059】
Y群に属する基を、表25に例示する。
【0060】
【表25】

【0061】
Z群と縮環したA環を、表26〜表28に例示する。
【0062】
【表26】

【0063】
【表27】

【0064】
【表28】

【0065】
を、表29に例示する。
【0066】
【表29】

【0067】
Chem.Pharm.Bull.242(1979)、J.Organic Chem.5556(1994)の文献に、本発明化合物の一部が記載されているが、これらの文献には組織内における細胞外マトリックス遺伝子の転写抑制の効果、ひいては細胞外マトリックス蓄積量抑制の効果についての記載は無い。
【0068】
本発明化合物は、例えば前記文献Chem.Pharm.Bull.242(1979)に記載の方法で、式(I'-1)、式(I'-2)、式(I'-3)又は式(I'-4)

(式中、σ、WA、A、A、E、及びTは、前記と同一の意味を表す。)で示される化合物から製造できるが、幾何異性が可能な化合物の場合はその全ての幾何異性体を意味し、互変異性が可能な化合物の場合はその全ての互変異性体を意味する。
【0069】
式(I'-1)で示される化合物は、WO2005/028439公報、WO2005/028463公報、WO2005/028441公報、WO2006/093336公報、WO2006/100922公報又はWO2007/132948公報に記載されている。
式(I'-2)で示される化合物は、WO2006/100922公報、WO2006/093339公報又はWO2007/132948公報に記載されている。
式(I'-3)で示される化合物は、WO2006/100922公報、WO2006/093339公報又はWO2007/132948公報に記載されている。
式(I'-4)で示される化合物は、WO2007/132948公報又はWO2007/132945公報に記載されている。
【0070】
本発明化合物(II)のうち、化合物番号(1a)〜(107a)で表される本発明化合物(IIa)を、表30に例示する。
本発明化合物(IIa)

表30において、化合物番号(1a)〜(89a)、(91a)〜(95a)及び(97a)〜(107a)においては、Aはベンゼン環を表す。
【0071】
【表30】

(表30続き)

(表30続き)

(表30続き)

(表30続き)

(表30続き)

(表30続き)


(表30続き)

(表30続き)

(表30続き)

【0072】
本発明化合物(II)のうち、化合物番号(1b)〜(87b)で表される本発明化合物(IIb)を、表31に例示する。
本発明化合物(IIb)

表31において、Aはベンゼン環を表す。
【0073】
【表31】

(表31続き)

(表31続き)

(表31続き)

【0074】
化合物(II)のうち、化合物番号(1c)〜(17c)で表される化合物(IIc)を表32に例示し、化合物番号(18c)〜(21c)で表される化合物(IIc)を、表33〜36に例示する。
化合物番号(1c)〜(17c)で表される化合物(IIc)

【0075】
【表32】

【0076】
【表33】

【0077】
【表34】

【0078】
【表35】

【0079】
【表36】

【0080】
化合物(II)のうち、化合物番号(1d)〜(24d)で表される化合物(IId)を、表37に例示する。
化合物(IId)


【0081】
【表37】

【0082】
本発明化合物(II)のうち、化合物番号(1e)〜(28e)で表される本発明化合物(IIe)を、表38〜66に例示する。
【0083】
【表38】

【0084】
【表39】

【0085】
【表40】

【0086】
【表41】

【0087】
【表42】

【0088】
【表43】

【0089】
【表44】

【0090】
【表45】

【0091】
【表46】

【0092】
【表47】

【0093】
【表48】

【0094】
【表49】

【0095】
【表50】

【0096】
【表51】

【0097】
【表52】

【0098】
【表53】

【0099】
【表54】

【0100】
【表55】

【0101】
【表56】

【0102】
【表57】

【0103】
【表58】

【0104】
【表59】

【0105】
【表60】

【0106】
【表61】

【0107】
【表62】

【0108】
【表63】

【0109】
【表64】

【0110】
【表65】

【0111】
化合物(I)、(II)及び(II')は、I型コラーゲン遺伝子、フィブロネクチン遺伝子等の細胞外マトリックス遺伝子の転写を抑制する。当該抑制能力は、I型コラーゲン遺伝子、フィブロネクチン遺伝子等の細胞外マトリックス遺伝子の発現量を減少させて、コラーゲン、フィブロネクチン等の細胞外マトリックスの蓄積量の低下を導くことにより組織の線維化を改善するために重要である。よって、化合物(I)、(II)及び(II')は、I型コラーゲン遺伝子、フィブロネクチン遺伝子等の細胞外マトリックス遺伝子の発現量を減少させてコラーゲン、フィブロネクチン等の細胞外マトリックスの蓄積量の低下を導くことにより組織の線維化を改善するための組成物(医薬品、化粧品、食品添加物等)の有効成分として利用することができる。
【0112】
本発明転写抑制組成物や本発明線維化改善組成物の適用可能な疾患としては、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン等の細胞外マトリックスの過度の集積により組織が線維化することにより硬化し、その結果、臓器等の組織の機能低下や瘢痕形成等を来たす疾患(即ち、線維症等)をあげることができる。具体的には例えば、肝硬変、慢性膵炎、スキルス胃癌、間質性肺疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患、糸球体腎炎、ループス腎炎、尿細管間質性腎炎、IgA腎症、腎硬化症、糖尿病性腎症、遺伝性腎疾患、心筋線維症、心不全、PTCA後の再狭窄、動脈硬化、骨髄線維症、関節リウマチ、炎症後の過形成痕跡、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、アトピー性皮膚炎、肥厚性瘢痕、子宮筋腫、前立腺肥大症、強皮症、アルツハイマー病、硬化性腹膜炎、糖尿病性網膜症、I型糖尿病等をあげることができる。
【0113】
因みに、肝硬変においては、1つの例として、C型又はB型肝炎ウイルスが慢性的な炎症を誘発し、TGF−βの量が上昇することにより、肝線維化(特に、I型・III型コラーゲンの蓄積)を引き起こして当該疾患となることがすでに知られている(例えば、Clin.Liver Dis.,7,195−210(2003)参照)。間質性肺疾患においては、1つの例として、ダニ・ウイルス・結核菌等による肺炎を誘発してTGF-βの量が上昇し、肺線維化を引き起こして当該疾患となると考えられている。糖尿病性腎症やIgA腎症等の慢性腎不全においては、前者では高血糖によって腎糸球体でTGF−βの量が上昇し、後者ではIgAが腎糸球体に蓄積することにより、腎炎を誘発してTGF−βの量が上昇し、腎線維化(特に、I型・IV型コラーゲンの蓄積)を引き起こして当該疾患となることがすでに示唆されている(例えば、Am.J.Physiol.Renal Phsiol.,278,F830−F838(2000)、Kidney Int.,64,149−159(2003)参照)。尚、糖尿病性腎症のモデル動物であるdb/dbマウスとは、摂食を抑制するレプチン受容体に変異をもつため、過食により高血糖となり自然発症的に糖尿病を併発するものである。db/dbマウスは、正常マウスに比較して血中グルコース濃度が約4倍高く、腎糸球体線維化とTGF−β量との増加が認められている(例えば、Am.J.Pathol.,158,1653−1663(2001)参照)。またIgA腎症のモデル動物である抗Thy−1ラットとは、抗Thy−1抗体を正常ラットに投与することにより、人工的に腎線維化を引き起こさせたものである。当該モデル動物に対して抗TGF−β受容体抗体を投与することにより、腎線維化が抑制されることが示されている(例えば、Kidney Int.,60,1745−1755(2001)参照)。強皮症においては、その原因は不明だが、そのモデル動物であるTskマウスに対し、TGF−β阻害剤を投与することにより皮膚線維化の改善が認められている(例えば、J.Invest.Dermatol.,118,461−470(2001)参照)。以上のことから、TGF−βの作用を抑制する化合物は、TGF−βによるコラーゲン合成促進を阻害して組織の線維化を抑制し、線維症治療効果を得るための組成物(医薬品、化粧品、食品添加物等)の有効成分として利用することができるのである。一方、左室拡張不全等の心不全の病因は、高血圧状態の心臓線維化がその1つとされている。以上のことから、TGF−βによるフィブロネクチン合成促進を阻害して組織の線維化を抑制し、心不全治療効果を得るための組成物(医薬品等)の有効成分として利用することができるのである。
【0114】
かかる本発明転写抑制組成物や本発明線維化改善組成物は、化合物(I)、(II)及び(II')と不活性担体とを含有する。これらの組成物中に含有される化合物(I)、(II)及び(II')は、通常、0.01重量%〜99.99重量%であり、不活性担体は、通常、99.99重量%〜0.01重量%である。該不活性担体は、薬学的に許容される担体や賦形剤であり、本発明転写抑制組成物や本発明線維化改善組成物は更に、医薬品添加剤、化粧品添加剤、食品添加剤等を含有してもよい。
【0115】
また、化合物(I)、(II)及び(II')は、後述する実施例3及び4にも示されるように、TGF−βが有するI型コラーゲン遺伝子の転写促進能力を阻害する。即ち、化合物(I)、(II)及び(II')はTGF−βの作用を抑制する能力を有するTGF−βアンタゴニストである。よって、化合物(I)、(II)及び(II')は、TGF−β作用抑制組成物の有効成分として利用することもできる。TGF−βは、毛髪の成長サイクルにおける成長期(以下、毛髪成長期と記すこともある。)から退行期(以下、毛髪退行期と記すこともある。)への移行を促進する能力を有することが知られている[J.Invest.Dermatol.,111,948−954(1998)、FASEB J.,16,1967−1969(2002)]。更に、抗TGF−β抗体や、TGF−β阻害剤であるFetuin等は、TGF−βによる毛の伸長抑制作用に対して拮抗的に働き、毛の伸長促進作用を示すことが報告されている[J.Invest.Dermatol.,118,993−997(2002)、公開特許公報 特開2000−342296]。よって、本発明化合物(及びこれを有効成分として含有するTGF−β作用抑制組成物)は、TGF−βによる毛髪退行期への移行促進を阻害して毛髪成長期の延長を導くことにより養毛効果を得るために利用してもよい。
【0116】
かかる本発明TGF−β抑制組成物や本発明養毛組成物は、化合物(I)、(II)及び(II')と不活性担体とを含有する。これらの組成物中に含有される化合物(I)、(II)及び(II')は、通常、0.01重量%〜99.99重量%であり、不活性担体は、通常、99.99重量%〜0.01重量%である。
【0117】
不活性担体は、薬学的に許容される担体や賦形剤であり、本発明TGF−β抑制組成物や本発明養毛組成物は更に、医薬品添加剤、化粧品添加剤、食品添加剤等を含有してもよく、化粧品添加剤等は、当該組成物の具体的用途に応じて適宜選択することができる。また、当該組成物の形態も、具体的用途に応じて、例えば、種々の固体、液体等の形態とすることができる。
例えば、化合物(I)、(II)及び(II')を医薬品の有効成分として用いる場合には、具体的な形態として、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、シロップ剤、カプセル剤、懸濁化剤、エマルジョン剤、エキス剤及び丸剤等の経口剤、注射剤、外用液剤や軟膏剤等の経皮吸収剤、坐剤及び局所剤等の非経口剤等をあげることができる。
経口剤は、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸等の担体や賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、安定化剤、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤等の医薬品添加剤を用いて、通常の方法に従って製造することができる。
【0118】
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明の組成物の種類、投与形態等によって異なるが、通常は経口の場合にはヒト成人で1日あたり有効成分量として約1mg〜約2g、好ましくは有効成分量として約5mg〜約1gを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回又は数回に分けて投与することができる。
非経口剤のうち、注射剤は、生理食塩水、滅菌水リンゲル液等の水溶性溶剤、植物油、脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖、塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤等の医薬品添加剤を用いて、通常の方法に従って製造することができる。外用液剤、ゲル状軟膏等の経皮吸収剤、直腸内投与のための坐剤等も通常の方法に従って製造することができる。このような非経口剤を投与するには、注射(皮下、静脈内等)、経皮投与、直腸投与すればよい。局所剤は、例えば、化合物(I)、(II)及び(II')をエチレンビニル酢酸ポリマー等の徐放性ポリマーのペレットに取り込ませて製造することができる。このペレットを治療すべき組織中に外科的に移植すればよい。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明の組成物の種類、投与形態等によって異なるが、通常は注射の場合にはヒト成人で有効成分量として約0.1mg〜約500mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回又は数回に分けて投与することができる。
【0119】
化合物(I)、(II)及び(II')を化粧品に添加して用いる場合には、当該化合物が添加された化粧品の具体的な形態としては、例えば、液状、乳状、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、エアゾール、ムース等をあげることができる。ローションは、例えば、懸濁剤、乳化剤、保存剤等の化粧品添加剤を用いて、通常の方法に従って製造することができる。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明の組成物の種類、投与形態等によって異なるが、通常ヒト成人で有効成分量として約0.01mg〜約50mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回又は数回に分けて投与することができる。
【0120】
化合物(I)、(II)及び(II')を食品添加物として用いる場合には、当該添加物が添加された食品の具体的な形態としては、例えば、粉末、錠剤、飲料、摂取可能なゲル若しくはシロップとの混合液状物、例えば、調味料、和菓子、洋菓子、氷菓、飲料、スプレッド、ペースト、漬物、ビン缶詰、畜肉加工品、魚肉・水産加工品、乳・卵加工品、野菜加工品、果実加工品、穀類加工品等の一般的な飲食物や嗜好物等をあげることができる。また、家畜、家禽、蜜蜂、蚕、魚等の飼育動物のための飼料や餌料への添加も可能である。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明の組成物の種類、投与形態等によって異なるが、通常ヒト成人で有効成分量として約0.1mg〜約500mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回又は数回に分けて投与することができる。
【実施例】
【0121】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明する。
【0122】
実施例1−1 本発明化合物[化合物番号(36a)]の合成
[3-[3-(4-ヒドロキシ-1,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)-3-オキソ-プロペニル]-フェノキシ]-酢酸 60mgを、アセトニトリル50mLと水50mLとトリフルオロ酢酸0.1mLの混合液に溶解し、室温で24時間静置した。得られた溶液を液体クロマトグラフィーにより分離精製し、[3-(6,7-ジメチル-4,5-ジオキソ-3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-ピラノ[3,2-c]ピリジン-2-イル)-フェノキシ]-酢酸[化合物番号(36a)]48mgを得た。
1H−NMR(270MHz,CDOD)δ(ppm): 2.44(s,3H),2.76(dd,1H, J=16.5, 3.2Hz),3.04(dd,1H, J=16.6, 12.6Hz),2.49(s,3H),4.67(s,2H),5.61(dd,1H,J=12.6, 3.4Hz),6.10(s,1H),6.93−7.00(m,1H),7.06−7.09(m,2H),7.34(t, 1H, J=8.64Hz)
【0123】
実施例2(I型コラーゲン遺伝子の転写調節領域と結合されたレポーター遺伝子を有するプラスミドの調製)
正常ヒト胎児皮膚線維芽細胞(Clontech社、カタログ番号CC−2509)1x10細胞を37℃、5% CO2雰囲気下で一晩培養した。培養された細胞をリン酸ナトリウム緩衝液(以下、PBSと記す。)で2回洗浄した後、PBS 3mlを加えセルスクレイパー(Nalgen、カタログ番号179693)を用いて細胞を器壁から剥がした。剥がされた細胞を遠心分離(1,500rpm、4℃、15分間)により集め、これをPBS 20mlに懸濁して再度遠心分離した。得られた沈殿に、DNA Extraction Kit(Stratagene社、カタログ番号200600)のSolution2を11ml、pronaseを4.8μlそれぞれ加えて60℃にて1時間振とうした後、得られた混合液を氷中に10分間放置した。次に、当該混合液に上記キットのSolution 3を4ml加えて混合した後、これを氷中に5分間放置した。遠心分離(3,000rpm、4℃、15分間)し、上清を回収した。回収された上清に、当該上清1ml当たり2μlのRNaseを加え、37℃で15分間放置した。この混合液に、2倍容量のエタノールを加えて混合し、出現した白い糸状の物質(ゲノムDNA)を回収した。回収されたゲノムDNAを70%エタノールで洗浄した後、風乾した。風乾されたゲノムDNAを10mM Tris−HCl,1mM EDTA(pH 8.0)(以下、TEと記す。)500μlに溶解した。
得られたゲノムDNA溶解液(ゲノムDNA 1μg相当量)と、配列番号1(配列番号1:コラーゲンプロモーターDNAを増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー:ccaagctagc gaaattatct tttctttcat ag 32)で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド及び配列番号2(配列番号2:コラーゲンプロモーターDNAを増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー:ccaaaagctt gcagtcgtgg ccagtacc 28)で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(10pmol/μl)各1μl、蒸留水 29μl、TaKaRa LA Taq(宝酒造社、カタログ番号RR002A)に添付されたbuffer 5μl、Mg2+溶液 5μl、dNTP mixture 5μl及びTaKaRa LA Taq(宝酒造社、カタログ番号RR002A)0.5μlを混合した。得られた混合液を94℃、5分間保温した後、94℃、1分間次いで60℃、1分間更に72℃、1分間の保温を1サイクルとしてこれを30サイクル行った。当該混合液を2%アガロースゲル電気泳動に供することにより、約0.5kbのDNAを回収した。回収されたDNAをフェノール・クロロホルム処理した後、エタノール沈殿することによりDNAを回収した。回収されたDNAを超純水に溶解し、この溶解液にNheI 2.5μl及びHindIII 2.5μlを加え、37℃で3時間保温した。次いで、当該溶解液を2%アガロースゲル電気泳動に供することにより、約3.5kbのDNAを回収した。回収されたDNAをエタノール沈殿することにより再びDNA(以下、コラーゲンプロモーターDNAと記す。)を回収した。
一方、ホタルルシフェラーゼをコードする塩基配列を有するベクターpGL3(Promega社、カタログ番号E1751)をNheI及びHindIIIで消化した後、上記と同様にアガロースゲル電気泳動に供することにより、約5kbのDNAを回収した。回収されたDNAをエタノール沈殿することにより再びDNAを回収した。回収されたDNAに蒸留水44μl、Alkaline Phosphatase(宝酒造、カタログ番号2120A)に添付されたBuffer5μl及びAlkaline Phosphatase(宝酒造社、カタログ番号2120A)1μlを加えて、この混合液を65℃で30分間保温した。次に、当該混合液を2回フェノール・クロロホルム処理した後、エタノール沈澱することによりDNA(以下、LucベクターDNAと記す。)を回収した。次いで、上記コラーゲンプロモーターDNA 約20ngとLucベクターDNA 約20ngとを混合した後、DNA Ligation kit Ver2酵素溶液を同量添加して16℃で一昼夜保温した。当該混合液に大腸菌5Hdα(TOYOBO社、カタログ番号DNA−903)を加えて氷中に30分間放置し、次いで42℃、45秒間保温した後、得られた大腸菌を50μg/ml アンピシリンナトリウム(ナカライ社、カタログ番号027−39)を含むLBプレートに播種し、37℃、一昼夜放置した。出現したシングルコロニーを50μg/ml アンピシリンを含むLB培地2mlで37℃、12時間培養した。得られた培養液からAUTOMATIC DNA ISOLATION SYSTEM PI−50(KURABO社)を用いてプラスミドDNAを調製した。調製されたプラスミドDNAの塩基配列をDNAシークエンサーで分析した。その結果、当該プラスミド(以下、COL−Lucと記す。)は、ヒト由来のI型コラーゲンα2鎖遺伝子の転写調節領域の−3500〜+57(転写開始点を+1とする。)の塩基配列の下流に、レポーター遺伝子としてホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列をコードする塩基配列が接続されてなる塩基配列を保有していることが確認された。
【0124】
実施例3(レポーター遺伝子の発現量を指標とした被験化合物が有するI型コラーゲン遺伝子の転写調節能力の測定)
正常ヒト胎児皮膚線維芽細胞 1x106細胞を100mmディッシュに播種し、非働化牛胎児血清(以下、FBSと記す。Gibco社、カタログ番号21140−079)を10(v/v)%含むDulbecco’s−MEM(日水製薬社、カタログ番号05919)培地(以下、当該培地をD−MEM(+)と記す。)中で37℃、5%CO2雰囲気下において一晩培養した。次いで培地を、FBSを含まないDulbecco’s−MEM培地(以下、当該培地をD−MEM(−)と記す。)に置換した。
D−MEM(−) 300μlに、COL−Luc 5μg及びpCMV−β−gal(Invitrogen社、カタログ番号10586−014)5μgを加え、得られた混合液を室温で5分間放置した(溶液1)。また、D−MEM(−) 300μlにLipofectine(Gibco社、カタログ番号18292−011)20μlを加え、得られた混合液を室温で45分間放置した(溶液2)。次に、溶液1と溶液2とを混合し、これを室温で10分間放置した後、当該混合液にD−MEM(−)5.4mlを加えて混合した。当該混合液を前記正常ヒト胎児皮膚線維芽細胞に添加した後、当該細胞を37℃、5%CO2雰囲気下で培養した。6時間後、ディッシュから培養上清を除き、細胞をPBSで2回洗浄した後、ディッシュに0.25%トリプシンを含むPBS 1mlを添加してディッシュから細胞を剥がした。剥がされた細胞にD−MEM(+)を加えてよく混合した後、当該混合物を12ウエルプレートに1mlずつ分注し、これを37℃、5%CO2雰囲気下で終夜培養した。翌日、各ウエルをD−MEM(−)で2回洗浄した後、0.1% FBSを含むDulbecco’s−MEM培地(以下、当該培地をD−MEM(0.1%)と記す。)1mlに置換した。
このようにして培養された細胞に、化合物番号(36a)で示される本発明化合物が1mMになるよう10%ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと記す。)で溶解し、その溶液を30μl添加した(本発明化合物最終濃度30μM、DMSO最終濃度0.1%)。尚、対照では10%DMSOを10μl添加した。
1時間後、TGF−β(Pepro Tech社)の0.5μg/ml水溶液又は蒸留水を10μl添加し、37℃、5%CO2雰囲気下で更に40時間培養した。培養された細胞をPBSで2回洗浄した後、これに細胞溶解剤(東洋インキ社、カタログ番号PD10)200μlを加え細胞を剥がした。剥がされた細胞を細胞懸濁液として回収した後、これを遠心分離(15,000rpm、4℃、5分間)することにより、上清を回収した。回収された上清各50μlを96ウエルプレートに移した後、MICROLUMAT LB96P(EG&G BERTHOLD社製)を用いて、Lucアッセイ溶液(20mM Tricine(pH7.8)、2.67mM MgSO、0.1mM EDTA、33.3mM DTT、270μM Coenzyme A、530μMATP、470μM Luciferin)50μlを当該プレートに自動分注した後、各ウエル内の発光量を測定した(Delay:1.6秒、Meas.Interval:20秒)。
一方、回収された上清又は細胞溶解剤50μlを、予め96ウエルプレートに分注されたβ−gal基質溶液(5.8mM o−nitrophenyl−beta−D−galactopyranoside、1mM MgCl、45mM 2−メルカプトエタノール)50μlに加えて37℃、2時間インキュベートした後、マイクロプレートリーダーを用いて各ウエル内の420nmの吸光度を測定した。得られた値を基にし、次式に従って転写活性を算出した。
転写活性=[発光量(上清添加区)−発光量(細胞溶解剤添加区)]/[420nm吸光度(上清添加区)−420nm吸光度(細胞溶解剤添加区)]
次に、算出された転写活性を基にし、次式に従って、TGF−βが有するI型コラーゲン遺伝子の転写促進能力に対する被験化合物の阻害効果を阻害度として算出した。
阻害度=[転写活性(DMSO及びTGF−β添加試験区)−転写活性(化合物及びTGF−β添加試験区)]/[転写活性(DMSO及びTGF−β添加試験区)−転写活性(DMSO及びTGF−β無添加試験区)]×100
化合物番号(36a)で示される本発明化合物が化合物最終濃度3μMにおいて、阻害度は、70%以上であった。本発明化合物が、TGF−βが有するI型コラーゲン遺伝子の転写促進能力を阻害し、I型コラーゲン遺伝子の転写を抑制する能力を有することが確認された。
【0125】
実施例4(フィブロネクチンの発現量を指標とした被験化合物が有するTGF−β抑制能力の測定)
正常ヒト皮膚線維芽細胞(Clonetics社、カタログ番号CC−2509)5x10個/ウエルを、96ウエルプレート(BECTON DICKINSON社、カタログ番号35−3075)に播き、37℃、5% CO2下のインキュベーターで一晩培養した。翌日、0.1%牛胎児血清を含むD−MEM培地(日水製薬(株)社、コード番号05919)0.1mlに交換した。その1時間後、化合物番号(36a)で示される本発明化合物を最終濃度100μMになるように添加し、1時間培養した後に、最終濃度5ng/mlのTGF−β(Peprotech社、カタログ番号100−21R)を添加し、更に26時間培養した。リン酸緩衝液で2回洗浄した後に、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社、カタログ番号74106)を用いて全RNAを分離した。分離された全RNA 5μlに、20μM オリゴdT 1μl及びRNaseフリー蒸留水 4μlを加えて65℃、5分間インキュベートし、直ぐに氷冷した。当該溶液10μlに、5×バッファー 4μl、MgCl 2.4μl、10mM dNTP 1μl、RNasin 1μl、ImpromII 1μl、RNaseフリー蒸留水0.6μl(以上、全てPromega社)を加えて25℃ 5分間、42℃ 1時間、70℃ 15分間の条件で逆転写反応した。
逆転写反応溶液5μlに、配列番号3(配列番号3:フィブロネクチン遺伝子のDNAを検出するために、PCR用プライマーとして設計されたオリゴヌクレオチド:tcgccatcag tagaaggtag ca 22)、配列番号4(配列番号4:フィブロネクチン遺伝子のDNAを検出するために、PCR用プライマーとして設計されたオリゴヌクレオチド:tatactgaac accaggttgc aagtc 25)で示される各20pmol/μlのプライマー1μl及び配列番号5(配列番号5:フィブロネクチン遺伝子のDNAを検出するために、プローブとして設計されたオリゴヌクレオチド:ctcaaccttc ctgaaactgc aaactccgtc 30)で示されるフィブロネクチン遺伝子のDNA検出用プローブ1.25μl、又はHuman GAPDHプラーマー・プローブ(Applied Biosystems社、カタログ番号4310884E)1.25μlを加え、TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems社、カタログ番号4304437) 12.5μl及び滅菌水を加えて50μlに調整し、Optical 96−Well Reaction Plate(Applied Biosystems社、カタログ番号N801−0560)のウエル中で混合した。スタンダードは、TGF−βのみを添加した細胞から全RNAを調製し、その250、125、62.5、31.25、15.625、7.8125ngをそれぞれ逆転写反応したcDNA溶液を用いた。その後、Gene Amp 7900(Applied Biosystems社)を用いて50℃ 5分間 1サイクル、95℃ 15秒間及び60℃ 1分間の40サイクルの条件でPCRした。定量は各スタンダード直線を作成した後、フィブロネクチン量及びGAPDH量をそれぞれ算出し、次式に従って転写量を算出した。
フィブロネクチン転写量=フィブロネクチン量/GAPDH量
阻害度=[転写量(DMSO及びTGF−β添加試験区)−転写量(化合物及びTGF−β添加試験区)]/[転写量(DMSO及びTGF−β添加試験区)−転写量(DMSO及びTGF−β無添加試験区)]x100
化合物番号(36a)で示される本発明化合物の阻害度は、70%以上であった。
本発明化合物が、TGF−βによって促進される皮膚線維芽細胞のフィブロネクチン遺伝子の転写量を抑制することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明により、組織における細胞外マトリックス遺伝子の発現量を減少させ、細胞外マトリックス蓄積量を低下させることにより、組織の線維化を改善させる組成物等(細胞外マトリックス蓄積抑制剤や、線維症治療剤又は心不全治療剤等)の提供が可能となる。
【配列表フリーテキスト】
【0127】
配列番号1
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号2
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号3
RT−PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号4
RT−PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号5
RT−PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I-1)、式(I-2)、式(I-3)又は式(I-4)

[式中、
I.σは、
式(IA-1)


[式中、
1.Aは、芳香族5員環、又は、芳香族6員環を表す。
2.(Xにおいて、
は、下記のA群からN群までのいずれかの群に含まれる基を表し、
pは、0、1、2又は3を表し、
pが2以上のとき、Xは、同一又は相異なる。
(1)A群:D−R−基[Dは、(R−(O)−)AN−(O)k’−基{Rは、水素原子、又は、C1-C10アルキル基、又は、ハロゲン原子若しくはR−B−基(Rは、C1-C10アルキル基、C3-C10アルケニル基又はC3-C10アルキニル基を表し、Bは、オキシ基、チオ基、スルフィニル基又はスルホニル基を表す。)で置換されたC2-C10アルキル基、又は、C3-C10アルケニル基、又は、C3-C10アルキニル基を表し、kは、0又は1を表し、Aは、R−(CHR−(B−Bm’−基{Rは、水素原子、又は、ハロゲン原子若しくはR−B−基(R及びBは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC1-C10アルキル基、又は、C2-C10アルケニル基、又は、C2-C10アルキニル基を表し、Rは、水素原子、C1-C10アルキル基又はC2-C10ハロアルキル基を表し、mは、0又は1を表し、Bは、単結合、オキシ基、チオ基又は−N((O)’)−基(R’は、Rと同一又は相異なり、Rと同一の意味を表し、nは、0又は1を表す。)を表し、Bは、カルボニル基、チオカルボニル基又はスルホニル基を表し、m’は、0又は1を表し、Bがスルホニル基のとき、mは0となりかつRが水素原子となることはない。}を表し、k’は、0又は1を表す。}を表し、
は、C1-C10アルキレン基を表す。但し、R’R ’’N−R−基(R’及びR’’は、Rと同一又は相異なり、Rと同一の意味を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。)を除く。]、
−R−基[Dは、シアノ基、R’NC(=N−(O)−A)−基(R、R’、n、及びAは、前記と同一の意味を表す。)、AN=C(−OR)−基(A及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はNH−CS−基を表し、Rは前記と同一の意味を表す。]、
−R−基{Dは、ニトロ基又はROSO−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。}又は
OSO−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)である。
(2)B群:


(a)−基
[(a)において、E及びE’は、C1-C10アルキル基若しくはC1-C10アルコキシ基で置換されてもよいメチレン基、又は、カルボニル基を表す。但し、E及びE’は、同時にカルボニル基となることはない。Eは、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR’−基(R’は、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC2-C10アルキレン基、又は、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR’−基(R’は、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC3-C10アルケニレン基を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。]
である。
(3)C群:ハロゲン原子 、R−B−基(R及びBは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基[Dは、水酸基又はA−O−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)を表し、Rは前記と同一の意味を表す。]、D−基[Dは、O=C(R)−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)、A−(O)−N=C(R)−基(A、n及びRは、前記と同一の意味を表す。)、R−B−CO−R−(O)−N=C(R)−基{R、R、n及びRは、前記と同一の意味を表し、Bは、オキシ基、チオ基又は−N((O)’)−基(R’及びmは、前記と同一の意味を表す。)を表す。}、D−R−(O)−N=C(R)−基(D、R、n及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はRN−N=C(R)−基(R、A及びRは、前記と同一の意味を表す。)を表す。]、RN−O−R−基(R、A及びRは、前記と同一の意味を表す。)、R(A−(O)−)N−基(R、A及びnは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)又はD−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルケニル基
である。
(4)D群:

(b) −R−基[(b)において、G、G、G及びGは、隣接原子と単結合で結ばれた、メチル基で置換されてもよいメチレン基、又は、隣接原子と二重結合で結ばれた、メチル基で置換されてもよいメチン基を表し、
は、単結合、又は、二重結合、又は、メチル基、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC1-C10アルキレン基、又は、メチル基、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基若しくは−NR−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC2-C10アルケニレン基を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。]、

(c)−R−基
((c)において、J、J及びJは、同一又は相異なり、メチル基で置換されてもよいメチン基、又は、窒素原子を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。)、ハロゲン原子、R−B−R−基(R、B及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)又はD−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルキニル基である。
(5)E群:A−CO−R−基である。但し、Aが水酸基のとき、Rがビニレン基ではない。
[Aは、
(i)A−B−基
{Aは、水素原子、又は、C1-C10アルキル基、又は、C2-C10ハロアルキル基、又は、ハロゲン原子で置換されてもよいC2-C10アルケニル基、又は、ハロゲン原子で置換されてもよいC3-C10アルキニル基、又は、R−(R−基(Rは、ハロゲン原子、C1-C10アルキル基、C1-C10アルコキシ基若しくはニトロ基で置換されてもよい、フェニル基、ピリジル基、フリル基若しくはチエニル基を表し、R及びmは前記と同一の意味を表す。)、又は、(b)−R−基((b)及びRは、前記と同一の意味を表す。)、(c)−R−基((c)及びRは、前記と同一の意味を表す。)、R−B−R−基(R、B及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)若しくはA−SO−R−基{Aは、(b)−基((b)は、前記と同一の意味を表す。)、(c)−基((c)は、前記と同一の意味を表す。)又はR’N−基(R及びR’は、前記と同一の意味を表す。)を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。}で置換されたC1-C10アルキル基を表し、
は、オキシ基、チオ基又は−N((O))−基(R及びmは、前記と同一の意味を表す。)を表す。但し、Bがチオ基のとき、Aが水素原子ではない。}、
(ii)R−B−CO−R−B’−基(R、B及びRは、前記と同一の意味を表し、B’は、Bと同一又は相異なり、Bと同一の意味を表す。但し、Bがチオ基のとき、Rが水素原子ではない。)又はD−R−B−基(D、R及びBは、前記と同一の意味を表す。)、
(iii)R−SO−NR−基(Rは、前記と同一の意味を表す。但し、水素原子を除く。Rは、前記と同一の意味を表す。)、
(iv)(b)−基((b)は、前記と同一の意味を表す。)、
(v)(c)−基((c)は、前記と同一の意味を表す。)又は
(vi)RN−NR’−基(R、A及びR’は、前記と同一の意味を表す。)を表し、Rは、ハロゲン原子で置換されてもよいC2-C10アルケニレン基、又は、C2-C10アルキニレン基を表す。]
(6)F群:A−B−R−基[Aは、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)若しくはA−SO−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルキル基、又は、R−B−基(R及びBは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)若しくはA−CO−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC1-C10アルキル基を表し、
は、B−基(Bは、前記と同一の意味を表す。)又は−NA−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)を表し、
は、単結合又はC1-C10アルキレン基を表す。]
である。
(7)G群:A−B−R−基
[Aは、(a)−R−基((a)及びRは、前記と同一の意味を表す。)、又は、C2-C10アルケニル基、又は、C2-C10アルキニル基、又は、ハロゲン原子、R−B−基(R及びBは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)若しくはA−CO−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルケニル基、又は、ハロゲン原子、R−B−基(R及びBは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)若しくはA−CO−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルキニル基、又は、(b)−基((b)は、前記と同一の意味を表す。)、(c)−基((c)は、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)若しくはD−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC3-C10アルケニル基、又は、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)若しくはD−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC3-C10アルキニル基を表し、
及びRは、前記と同一の意味を表す。]
である。
(8)H群:
−N(−(O)−A)−R−基(D、n、A及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−基(Dは、前記と同一の意味を表す。但し、シアノ基を除く。)、R(R’(O))N−CR’’=N−R−基(R、R’、n及びRは、前記と同一の意味を表し、R’’は、Rと同一又は相異なり、Rと同一の意味を表す。)、R−(O)−N=CR’−NR−R−基(R、n、R’、R及びRは、前記と同一の意味を表す。)、R−B−NR−CO−NR’−R−基(R、B、R、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−CO−NR−R−基(D、R及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はA−COCO−NR−R−基(A、R及びRは、前記と同一の意味を表す。)
である。
(9)I群:
−B−N((O))−R−基[Aは、ハロゲン原子で置換されてもよいC2-C10アルケニル基、C2-C10アルキニル基、C3-C10ハロアルキニル基、R−B−R−基(R、B及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、(b)−R−基((b)及びRは、前記と同一の意味を表す。)、(c)−R−基((c)及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、A−SO−R−基(A及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はA−CO−R−基(A及びRは、前記と同一の意味を表す。)を表し、
は、カルボニル基又はチオカルボニル基を表し、
n、R及びRは、前記と同一の意味を表す。]、
−CS−N((O))−R−基[Aは、水素原子、又は、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-C10アルキル基を表し、
n、R及びRは、前記と同一の意味を表す。]、
’−B’−B−N((O))−R−基[A’は、ハロゲン原子で置換されてもよいC3-C10アルケニル基、ハロゲン原子で置換されてもよいC3-C10アルキニル基、R−B−R’−基(R及びBは、前記と同一の意味を表し、R’は、C2-C10アルキレン基を表す。)、D−R’−基(D及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、D−R’−基(D及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、(b)−R’−基((b)及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、(c)−R’−基((c)及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R’−基(D及びR’は、前記と同一の意味を表す。)又はA−CO−R−基(A及びRは、前記と同一の意味を表す。)を表し、
’は、オキシ基、チオ基又は−N((O)n’’)−基(n’は、nと同一又は相異なり、nと同一の意味を表し、R’は、前記と同一の意味を表す。)を表し、
、n、R及びRは、前記と同一の意味を表す。]、
’−B’−CS−N((O))−R−基[A’は、C1-C10アルキル基又はC2-C10ハロアルキル基を表し、
’は、前記と同一の意味を表し、
n、R及びRは、前記と同一の意味を表す。]、
’−S−B’−N((O))−R−基[A’、n、R及びRは、前記と同一の意味を表し、
’は、カルボニル基又はスルホニル基を表す。]又は
’’−SO−N((O))−R−基[A’’は、C2-C10アルケニル基、ハロゲン原子で置換されたC3-C10アルケニル基、ハロゲン原子で置換されてもよいC3-C10アルキニル基、R−B−R’−基(R、B及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、D−R’−基(D及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、D−R’−基(D及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、(b)−R’−基((b)及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、(c)−R’−基((c)及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、NO−R−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)又はA−CO−R−基(A及びRは、前記と同一の意味を表す。)を表し、
n、R及びRは、前記と同一の意味を表す。]である。
(10)J群:A−CO−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)、又は、A−CS−基(Aは、A又はAを表す。)、又は、A’(O)N=C(A)−基(A’は、A’又はA’を表し、m及びAは、前記と同一の意味を表す。)、又は、D−CO−基(Dは、前記と同一の意味を表す。)、又は、A−COCO−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)、又は、A−CO−B’−R−基(A及びRは、前記と同一の意味を表し、B’は、オキシ基又はチオ基を表す。但し、B’がオキシ基のとき、Aは、Aではない。)、又は、A−CS−B’−R−基(A、B’及びRは、は、前記と同一の意味を表す。)、又は、A’’−SO−B’−R−基(A’’、B’及びRは、は、前記と同一の意味を表す。)、又は、A−SO−B’−R−基(A、B’及びRは、は、前記と同一の意味を表す。但し、Aは、水素原子となることはない。)、又は、A’−B’−B−B’−R−基(A’、B’、B、B’及びRは、前記と同一の意味を表す。)、又は、(b)−基((b)は、前記と同一の意味を表す。)若しくは(c)−基((c)は、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルケニル基である。
(11)K群:A10−N((O))−CO−R−基[A10は、水素原子(但し、nは0ではない。)、A’’−SO−基(A’’は、前記と同一の意味を表す。)、A−SO−基(Aは、前記と同一の意味を表す。但し、Aは、水素原子とはならない。)、A’O−基(A’は、前記と同一の意味を表す。但し、nは1ではない。)、A’−基(A’は、前記と同一の意味を表す。但し、nが0のとき、A’を除く。)、ROCH−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)、A−CO−R−基(A及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はA−CO−CH(CHCO−A)−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)を表し、
n、R及びRは、前記と同一の意味を表す。]である。
(12)L群:A10’−N((O))−SO−R−基[A10’は、水素原子(但し、nは0ではない。)、A’O−基(A’は、前記と同一の意味を表す。但し、nは1ではない。)、A’−基(A’は、前記と同一の意味を表す。但し、nが0のとき、A’を除く。)、R−CO−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)、A−CO−R−基(A及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はA−CO−CH(CHCO−A)−基(Aは、前記と同一の意味を表す。)を表し、
n、R及びRは、前記と同一の意味を表す。]、
’’RN−SO−N((O)’)−R−基[A’’は、水素原子又はA’−基(A’は、前記と同一の意味を表す。)を表し、
、n、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。]又は
(b)−SO−N((O)’)−R−基[(b)、n、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。]である。
(13)M群:R(RS)C=N−R−基(R、R及びRは、前記と同一の意味を表す。)、RB(R’B’)C=N−R−基(R及びRは、前記と同一の意味を表し、R’は、Rと同一又は相異なり、Rと、同一の意味を表し、B及びB’は、同一又は相異なり、オキシ基又はチオ基を表す。)、R’N−(RS)C=N−R−基(R、R’、R及びRは、前記と同一の意味を表す。)、RN=C(SR)−NR’−R−基(R、R、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はR(R’O)N−R−基(R、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。)である。
(14)N群:A11−P(=O)(OR’)−R−基[A11は、R−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)、RO−R−基(R及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はROCO−CHR−基(R及びRは、前記と同一の意味を表す。)を表し、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。]である。
3.(Yにおいて、
は、下記のX群又はY群の基を表し、
qは、0、1、2又は3を表し、
p(pは、前記と同一の意味を表す。)とqとの和は3以下であり、
qが2以上のとき、Yは、同一又は相異なり、
qが2以上のとき、隣接している2個の同一又は相異なるYは、Z群の基をなして、A環と縮環してもよい。
(1)X群:M−基[Mは、R−基(Rは、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-C10アルキル基を表す。)、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、R−B−R−基(Rは、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-C10アルキル基を表し、Bは、オキシ基、チオ基、スルフィニル基又はスルホニル基を表し、Rは、単結合又はC1-C10アルキレン基を表す。)、HO−R−基(Rは、前記と同一の意味を表す。)、R−CO−R−基(Rは、水素原子、又は、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-C10アルキル基を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。)、R−CO−O−R−基(R及びRは、前記と同一の意味を表す。)、RO−CO−R−基(R及びRは、前記と同一の意味を表す。)、HO−CO−CH=CH−基、R’N−R−基(R及びR’は、同一又は相異なり、Rは、前記と同一の意味を表し、R’は、Rと同一の意味を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。)、R−CO−NR’−R−基(R、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。)、RO−CO−N(R)−R−基(R、R 及びRは、前記と同一の意味を表す。)、R’N−CO−R−基(R、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。)、R’N−CO−NR’’−R−基(R、R’及びR’’は、同一又は相異なり、R及びR’は、前記と同一の意味を表し、R’’は、Rと同一の意味を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。)、R’N−C(=NR’’)−NR’’’−R−基(R、R’、R’’及びR’’’は、同一又は相異なり、R、R’及びR’’は、前記と同一の意味を表し、R’’’は、Rと同一の意味を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。)、R−SO−NR−R−基(R、R及びRは、前記と同一の意味を表す。)、R’N−SO−R−基(R、R’及びRは、前記と同一の意味を表す。)、C2-C10アルケニル基又はC2-C10アルキニル基を表す。]である。
(2)Y群:M−R−基[Mは、M−基{Mは、M−R’−基{Mは、M−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいフェニル基、M−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいピリジル基、M−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいナフチル基、(b)−基((b)は、前記と同一の意味を表す。)、(c)−基((c)は、前記と同一の意味を表す。)、


(d)−基(lは、2、3又は4であり、Bは、オキシ基又はチオ基を表す。)又は


(e)−基(l及びBは、前記と同一の意味を表す。)を表し、R’は、Rと同一又は相異なり、Rと同一の意味を表す。}を表す。}、M−B−基(M及びBは、前記と同一の意味を表す。)、M−CO−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)、M−CO−O−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)、MO−CO−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)、MN−基(M及びRは、前記と同一の意味を表す。)、M−CO−NR−基(M及びRは、前記と同一の意味を表す。)、MO−CO−NR−基(M及びRは、前記と同一の意味を表す。)、MN−CO−基(M及びRは、前記と同一の意味を表す。)、MN−CO−NR’−基(M、R及びR’は、前記と同一の意味を表す。)、MN−C(=NR’)−NR’’−基(M、R、R’及びR’’は、前記と同一の意味を表す。)、M−SO−NR−基(M及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はMN−SO−基(M及びRは、前記と同一の意味を表す。)を表し、Rは、前記と同一の意味を表す。]である。
(3)Z群:−Y’’=C(Y)−Y’−基(Yは、水素原子、又は、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-C10アルキル基、又は、C1-C10アルコキシ基を表し、Y’は、オキシ基、又は、チオ基、又は、C1-C10アルキル基で置換されてもよいイミノ基を表し、Y’’は、−N=基又はメチン基を表す。)、C3-C10アルキレン基又は−Y=Y’−Y’’=Y’’’−基[Y、Y’、Y’’及びY’’’は、同一又は相異なり、Ma−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいメチン基、又は、−N=基を表す。]で示される基、
式(IA-2)

[式中、
1.KAAは、水素原子、ハロゲン原子、又は、(I-AA)−基
[(I-AA)は、式(I-AA)

[式中、AAは、芳香族5員環又は芳香族6員環を表し、
及びqは、前記と同一の意味を表し、
qが2以上のとき、隣接している2個の同一又は相異なるYは、Z群の基をなしてAA環と縮環してもよい。]
で示される基を表す。]を表す。
2.LAAは、(I-AA)−基((I-AA)は、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルキル基、(I-AA)−基((I-AA)は、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC4-C10アルケニル基、又は、(I-AA)−基((I-AA)は、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC4-C10アルキニル基、水素原子、又はC1-C10アルキル基を表し、
AAとLAAとは、単数又は同一又は相異なる複数のM−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC4-C10アルケニレン基をなすことがある。
3.QAAは、
水素原子、又は、Q−基
[Qは、水酸基、(b)−基((b)は、前記と同一の意味を表す。)、A−B−B−基[A及びBは、前記と同一の意味を表し、Bは、オキシ基又は−N((O))−基(m及びRは、前記と同一の意味を表す。)を表す。但し、Aが水素原子のとき、Bは、スルホニル基ではない。]、
''−SO−B−基(A''及びBは、前記と同一の意味を表す。)、A−SO−B−基(A及びBは、前記と同一の意味を表す。但し、Aは水素原子とはならない。)、R'N−SO−B−基(R、R'及びBは、前記と同一の意味を表す。)、(b)−SO−B−基((b)及びBは、前記と同一の意味を表す。)、A'−B−基(A'及びBは、前記と同一の意味を表す。)、D−R−B−基(D、R及びBは、前記と同一の意味を表す。)、M−B−B−基(M、B及びBは、前記と同一の意味を表す。)又はM−B−基(M及びBは、前記と同一の意味を表す。)を表す。]である。
4.Wは、酸素原子又は
−NT−基[Tは、A’−基(A’は、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はM−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)を表す。]である。]で示される基、
式(IA-3)

[式中、KAA’は、水素原子、C1-C10アルキル基、又は、(III-AA)−基((III-AA)は、前記と同一の意味を表す。)を表し、
AA’は、水素原子又はC1-C10アルキル基を表し、
AA’とLAA’とは、C3-C10アルキレン基又は単数又は同一又は相異なる複数のM−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC4-C10アルケニレン基をなすことがあり、
U’は、水素原子又はメチル基を表し、
は、前記と同一の意味を表す。]で示される基、又は、
式(IA-4)

[式中、Tは、前記と同一の意味を表し、
は、水酸基、A−B−O−基(A及びBは、前記と同一の意味を表す。)、A''−SO−O−基(A''は、前記と同一の意味を表す。)、A−SO−O−基(Aは、前記と同一の意味を表す。但し、Aは水素原子とはならない。)、R'N−SO−O−基(R及びR'は、前記と同一の意味を表す。)、(b)−SO−O−基((b)は、前記と同一の意味を表す。)、A'−O−基(A'は、前記と同一の意味を表す。)、D−R−O−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)、M−B−O−基(M及びBは、前記と同一の意味を表す。)又はM−O−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)を表す。]で示される基を表す。
II.式(I-1)において、
は、酸素原子又は−NT−基[Tは、水素原子、A’−基(A’は、前記と同一の意味を表す。)、D−R−基(D及びRは、前記と同一の意味を表す。)又はM−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)を表す。]を表し、
は、水素原子、ハロゲン原子又はC1-C10アルキル基を表し、
は、水素原子、C1-C10アルキル基又はM−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)を表し、
とLとは、C3-C10アルキレン基、又は、単数又は同一又は相異なる複数のM−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC4-C10アルケニレン基をなすことがあり、
式(I-2)において、
は、前記と同一の意味を表し、
とLとは、−V=V'−V''=V'''−基{V、V'、V''及びV'''は、同一又は相異なり、M−基(Mは、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいメチン基、又は、−N=基を表し、V、V'、V''及びV'''のうち少なくとも一つは−N=基を表す。}をなし、
式(I-3)及び式(I-4)において、Tは、前記と同一の意味を表す。
但し、(I-1)において、Wが酸素原子である場合、同時にKとLとが1,3−ブタジエニレン基をなすとき、σがフェニル基となることはない。
また、(I-1)において、Kが水素原子であり、かつLがメチル基であって、同時に、Wが−NT−基であってTが水素原子又はメチル基である場合、σが4−メトキシフェニル基となることはない。]
で示される含複素環化合物。
【請求項2】
式(II-1)、式(II-2)、式(II-3)又は式(II-4)


[式中、
I.sは、
式(IIa-1)

[式中、aは、ベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、ピリダジン環又はピリミジン環を表し、
は、シアノ基で置換されたC1-C10アルキル基、又は、テトラヒドロピラン−4−イリデン基で置換されたC1-C10アルキル基、又は、ハロゲン原子若しくはシアノ基で置換されたC2-C10アルケニル基、又は、C1-C10アルコキシカルボニル基で置換されたC2-C10アルケニル基、又は、ヒドロキシ基で置換されたC3-C10アルキニル基、又は、a−r−b−r’−基{aは、C1-C10アルキルチオ基で置換されたメチル基、C1-C10アルキルスルフィニル基で置換されたメチル基、C1-C10アルキルスルホニル基で置換されたメチル基、C2-C10アルケニル基、C2-C10アルキニル基、rO−CO−基(rは、C1-C10アルキル基又は水酸基で置換されたC2-C10アルキル基を表す。)、カルボキシ基、rr’N−CO−基(r及びr’は、同一又は相異なり、水素原子又はC1-C10アルキル基を表す。)、a−NH−CO−基(aは、C1-C10アルコキシ基で置換されたC2-C10アルキル基を表す。)、a’−CO−基(a’は、モルホリノ基を表す。)、rr’N−CH−基(r及びr’は、前記と同一の意味を表す。)、r−(O)−CONH−CH−基(rは、C1-C10アルキル基を表し、lは0又は1を表す。)、r−OCH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、r−CO−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、シアノ基又はスルホメチル基を表し、rは、C1-C10アルキレン基を表し、r’は、単結合又はC1-C10アルキレン基を表し、bは、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基又はメチル基で置換されてもよいイミノ基を表す。}、又は、a−y−CO−NH−基(aは、C1-C10アルコキシ基で置換されたC2-C10アルキル基を表し、yは、オキシ基又はイミノ基を表す。)、又は、rO−COCO−NH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、又は、a−z−NH−基(aは、C2-C10アルケニル基、又は、C1-C10アルコキシ基、C1-C10アルコキシカルボニル基、カルボキシ基若しくはシアノ基で置換されたC1-C10アルキル基を表し、zは、カルボニル基又はスルホニル基を表す。)、又は、a−Nr’CO−基{aは、C1-C10アルコキシ基、又は、C3-C10アルケニルオキシ基、又は、r−SO−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、又は、水酸基若しくはC1-C10アルコキシ基で置換されたC2-C10アルキル基、又は、r’N−基(rは、前記と同一の意味を表し、r’は、rと同一又は相異なり、rと同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルキル基、又は、rO−CO−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、シアノ基若しくはアミノカルボニル基で置換されたC1-C10アルキル基、又は、rO−CO−(rO−COCH)CH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)を表し、r’は、前記と同一の意味を表す。}、又は、a−NHSO−基(aは、C1-C10アルコキシ基で置換されたC2-C10アルキル基を表す。)、又は、rON=CH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、又は、rNHCSNH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、又は、rNHC(−Sr’)=N−基(r及びr’は、前記と同一の意味を表す。)、又は、(rO)P(=O)CH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)を表し、pは、0、1、2又は3を表し、pが2以上のとき、Xは、同一又は相異なり、
は、ハロゲン原子、又は、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-C10アルキル基、又は、C1-C10アルコキシ基で置換されてもよいC1-C10アルキル基、又は、C2-C10アルケニル基、又は、C2-C10アルキニル基、又は、2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル基、又は、[1,3]ジオキソラン−2−イル基、又は、モルホリノ基で置換されたC1-C10アルコキシ基、又は、a’−b’−基(a’は、ハロゲン原子で置換されてもよいC1-C10アルキル基を表し、b’は、オキシ基、チオ基、スルフィニル基又はスルホニル基を表す。)、又は、ニトロ基、又は、シアノ基、又は、rO−CO−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、又は、r’N−基(r及びr’は、前記と同一の意味を表す。)、又は、rCO−NH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、又は、r’NCONH−基(r及びr’は、前記と同一の意味を表す。)、又は、rr’NCO−基(r及びr’は、前記と同一の意味を表す。)、又は、水酸基を表し、qは、0、1、2又は3を表し、qが2以上のとき、Yは、同一又は相異なり、qが2以上のとき、隣接しているYは、a環と縮環して4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン環をなしてもよい。]で示される基、
式(IIa-2)

[式中、
1.Kaaは、水素原子、ハロゲン原子、又は、(II-aa)−基
[(II-aa)は、式(II-aa)

[式中、aaは、チオフェン環、フラン環、ピロール環、チアゾール環、ベンゼン環又はピリジン環を表し、
及びqは、前記と同一の意味を表す。]で示される基を表す。]を表す。
2.Laaは、水素原子、C1-C10アルキル基、(II-aa)−基((II-aa)は、前記と同一の意味を表す。)で置換されたC2-C10アルキル基、(II-aa)−基((II-aa)は、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC4-C10アルケニル基、又は、(II-aa)−基((II-aa)は、前記と同一の意味を表す。)で置換されてもよいC4-C10アルキニル基を表し、
aaとLaaとは、ハロゲン原子、C1-C10アルキル基、C1-C10アルコキシ基若しくはニトロ基で置換されてもよいC4-C10アルケニレン基をなすことがある。
3.Qaaは、水素原子、r−O−基{rは、水素原子、又は、C1-C10アルキル基、又は、C3-C10アルケニル基、又は、C3-C10アルキニル基、又は、r’N−CH−基(r及びr’は、前記と同一の意味を表す。)、rOCH−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、r−CO−基(rは、前記と同一の意味を表す。)、C1-C10アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アミノカルボニル基若しくはシアノ基で置換されたC1-C10アルキル基、又は、r−r−基(rは、フェニル基又はピリジル基を表し、rは、C1-C10アルキレン基を表す。)を表す。}、又は、ピペリジノ基、又は、モルホリノ基、又は、r’N−基(r及びr’は、同一又は相異なり、水素原子、又は、C1-C10アルキル基、又は、C3-C10アルケニル基、又は、C3-C10アルキニル基、又は、C1-C10アルコキシ基で置換されたC2-C10アルキル基を表す。但し、同時に水素原子となることはない。)である。
4.Wは、酸素原子又は−NT−基[Tは、r−基(rは、rと同一又は相異なり、rと同一の意味を表す。)又はr’−基(r’は、rと同一又は相異なり、rと同一の意味を表す。)を表す。但し、水素原子となることはない。]である。]で示される基、
式(IIa-3)

[式中、Kaa’は、水素原子、C1-C10アルキル基、又は、(II-aa)−基((II-aa)は、前記と同一の意味を表す。)を表し、
aa’は、水素原子又はC1-C10アルキル基を表し、
aa’とLaa’とは、ハロゲン原子、C1-C10アルキル基、C1-C10アルコキシ基若しくはニトロ基で置換されてもよいC4-C10アルケニレン基をなすことがあり、
U’は、水素原子又はメチル基を表し、
は、前記と同一の意味を表す。]で示される基、又は、
式(IIa-4)

[式中、Tは、前記と同一の意味を表し、
は、r−O−基(rは、前記と同一の意味を表す。)を表す。]で示される基を表す。
II.式(II-1)において、
は、酸素原子又は−NT−基[Tは、r−基(rは、rと同一又は相異なり、rと同一の意味を表す。)又はr’−基(r’は、rと同一又は相異なり、rと同一の意味を表す。)を表す。]を表し、
は、水素原子、ハロゲン原子又はC1-C10アルキル基を表し、
は、水素原子又はC1-C10アルキル基を表し、
とLとは、C3-C10アルキレン基又は1,3−ブタジエニレン基をなすことがあり、
式(II-2)において、
は、前記と同一の意味を表し、
とLとは、−V=V’−V’’=V’’’−基(V、V’、V’’及びV’’’は、同一又は相異なり、メチン基、又は、−N=基を表し、V、V’、V’’及びV’’’のうち少なくとも一つは−N=基を表す。)で示される基であり、
式(II-3)及び(II-4)において、Tは、前記と同一の意味を表す。
但し、(II-1)において、Waが酸素原子である場合、同時にKaとLaとが1,3−ブタジエニレン基をなすとき、sがフェニル基となることはない。
また、(II-1)において、Kaが水素原子であり、かつLaがメチル基であって、同時に、Waが−NTa−基であってTaが水素原子又はメチル基である場合、sが4−メトキシフェニル基となることはない。]
で示される含複素環化合物。
【請求項3】
式(II'-1)、式(II'-2)又は式(II'-3)

[式中、s'は、HOCOCHO−基、MeOCHCHO−CO−NH−基、HOCHCHO−基、MeO−COCHNHCO−基、MeOCHCO−NH−基もしくはMeOCHCHNH−CO−基で置換されたフェニル基、又は、
HOCOCHO−基、MeOCHCHO−CO−NH−基、HOCHCHO−基、MeO−COCHNHCO−基、MeOCHCO−NH−基もしくはMeOCHCHNH−CO−基で置換された2−ピリジル基、又は、
HOCOCHO−基、MeOCHCHO−CO−NH−基、HOCHCHO−基、MeO−COCHNHCO−基、MeOCHCO−NH−基もしくはMeOCHCHNH−CO−基で置換された2−チエニル基、又は、
NCCH−基もしくはMeO−COCH−基で1位が置換された2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−ピリジル基、又は、
NCCH−基もしくはMeO−COCH−基で1位が置換された2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリル基を表し、
T'は、水素原子又はメチル基を表し、V'は炭素原子又は窒素原子を表す。]
で示される含複素環化合物。
【請求項4】
請求項1,2いずれか一項記載の含複素環化合物と不活性担体とを含有することを特徴とする細胞外マトリックス遺伝子転写抑制組成物。
【請求項5】
請求項3記載の含複素環化合物と不活性担体とを含有することを特徴とする細胞外マトリックス遺伝子転写抑制組成物。
【請求項6】
請求項1,2いずれか一項記載の含複素環化合物の細胞外マトリックス遺伝子の転写を抑制するための使用。
【請求項7】
請求項3記載の含複素環化合物の細胞外マトリックス遺伝子の転写を抑制するための使用。
【請求項8】
細胞外マトリックス遺伝子の発現量を減少させて細胞外マトリックス蓄積量の低下を導くことにより組織の線維化を改善するための、請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物の使用。
【請求項9】
有効量の請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物を、組織の線維化を改善させる処置を必要とする哺乳動物に投与することを特徴とする組織線維化改善方法。
【請求項10】
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物と、不活性担体とを含有することを特徴とする慢性腎不全治療剤。
【請求項11】
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物の、慢性腎不全を治療するための有効成分としての使用。
【請求項12】
有効量の請求項1〜3の含複素環化合物を、慢性腎不全治療を必要とする哺乳動物に投与することを特徴とする慢性腎不全治療方法。
【請求項13】
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物と、不活性担体とを含有することを特徴とする心不全治療剤。
【請求項14】
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物の心不全を治療するための使用。
【請求項15】
有効量の請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物を、心不全治療を必要とする哺乳動物に投与することを特徴とする心不全治療方法。
【請求項16】
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物と、不活性担体と、を含有することを特徴とするTGF−β作用抑制組成物。
【請求項17】
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物のTGF−βの作用を抑制するための使用。
【請求項18】
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物と、不活性担体と、を含有することを特徴とする養毛組成物。
【請求項19】
請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物の、TGF−βによる毛髪退行期への移行促進を阻害して毛髪成長期の延長を導くことにより養毛効果を得るための使用。
【請求項20】
有効量の請求項1〜3いずれか一項記載の含複素環化合物を、養毛処置を必要とする哺乳動物に投与することを特徴とする養毛方法。

【公開番号】特開2009−161479(P2009−161479A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309(P2008−309)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】