説明

吸収体、液体噴射装置及び液体噴射装置の吸収体交換時期告知方法

【課題】 装置内の汚染を防止する吸収体、液体噴射装置及び液体噴射装置の吸収体交換時期告知方法を提供する。
【解決手段】 CPUは、プリンタの印刷動作を開始すると、メモリ43に予め記憶されているフラッシング回数Fを読み出す(ステップS1)。そして、印刷動作の途中に定期的にフラッシング動作を実行する(ステップS2)。CPUは、フラッシング動作を実行すると、これに基づいてメモリ43に記憶されているフラッシング回数Fを更新する(ステップS3)。次に、CPUは、フラッシング回数Fが40000回以上かどうかを判定する(ステップS4)。CPUは、フラッシング回数Fが40000回以上になるときには、プラテンの右及び左吸収体の吸収能力が低下して寿命が近付いていると推定する(ステップS4でYES)。そして、CPUは、告知ランプを点灯させて、右及び左吸収体の交換時期を知らせる(ステップS5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収体、液体噴射装置及び液体噴射装置の吸収体交換時期告知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体噴射装置の1つとしてインクジェット式記録装置が広く知られている。このインクジェット式記録装置では、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドのノズルから液体としてのインクを吐出し、記録媒体にドットを形成することで記録を行っていた。
【0003】
通常、このようなインクジェット式記録装置では、ノズルの状態を好適にインクを吐出できるように保つために、ノズルからインクを空吐出しノズル内に付着した増粘したインク等を強制排出する、いわゆるフラッシング動作が行われていた。そして、このフラッシング動作によって排出されるインクは、インクジェット式記録装置内の非印刷領域に設けられた吸収体によって吸収されるようになっていた。
【0004】
ところで、近年、高い表現力をもつインクとして顔料インクが注目されている。この顔料インクは、インク溶媒に顔料を分散させることで形成されていた。このような顔料インクを備えたインクジェット式記録装置が種々提案されている(特許文献1)。
【0005】
図13に示すように、特許文献1に記載のインクジェット式記録装置は、スポンジ等の材質からなる吸収体100を備えている。この吸収体100と平行に設けられたガイド部材101には、キャリッジ102が挿通支持されている。このキャリッジ102には、ブラック、マゼンダ、シアン、イエローのインクカートリッジ103〜106がそれぞれ装填されていて、各インクカートリッジ103〜106は、キャリッジ102に設けられた記録ヘッド107の各ノズル108にインクを供給する。また、このうちインクカートリッジ104〜106は、濃顔料インクを貯留するインクカートリッジ104a〜106aと、同濃顔料インクの半分以下の顔料濃度となっている淡顔料インクを貯留するインクカートリッジ104b〜106bから構成されている。
【0006】
そして、インクジェット式記録装置は、フラッシング動作の際に、キャリッジ102を第1フラッシング位置P1に移動させてインクを空吐出させた後に、同キャリッジ102を第2フラッシング位置P2に移動させてインクを空吐出せていた。これによって、吸収体100に着弾した濃顔料インクの上に淡顔料インクを着弾させて、先に着弾した濃顔料インクの乾燥固化を、淡顔料インクのインク溶媒によって溶かすことで抑制していた。
【特許文献1】特開2003−191502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、一般に顔料インクのインク溶媒は揮発性が高く、顔料インクは乾燥し易い。このため、上述した特許文献1に記載のインクジェット式記録装置においても、吸収体100に着弾された顔料インクの乾燥を抑え、吸収体100の吸収能力を向上させることには限界があった。このように、吸収体100の吸収能力が低下した場合、フラッシングの際に、吸収体100上に先に着弾して乾燥し堆積している顔料インクに対して着弾する顔料インクが跳ね返りを起こしインクジェット式記録装置内を汚染する虞があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、目的は、装置内の汚染を防止する吸収体、液体噴射装置及び液体噴射装置の吸収体交換時期告知方法を提供する
ことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液体噴射装置の吸収体交換時期告知方法によれば、液体噴射ヘッドに相対向するように本体フレーム内に設けられた前記液体噴射ヘッドから空吐出される液体を吸収する吸収体を設けた液体噴射装置の吸収体交換時期告知方法であって、前記液体噴射ヘッドの空吐出回数を計数し、その計数した空吐出回数が、予め設定した前記吸収体の吸収能力を超える限界回数と比較し限界回数以上となったとき、前記吸収体の交換時期を告知する。
【0010】
これによれば、液体噴射ヘッドの空吐出回数が限界回数以上となったときに、吸収体の交換時期を告知する。これによって、この交換時期の告知に応じて吸収体を交換することで、吸収体の吸収能力の低下に起因する、空吐出の際に本体フレーム内でおこる液体の跳ね返りを抑制することができる。この結果、本体フレーム内の汚染を防ぐことができる。
【0011】
この液体噴射装置の吸収体交換時期告知方法の前記空吐出回数は、前記液体噴射ヘッドの噴射継続時間に対して設けられた第1の補正係数、又は、前記液体噴射ヘッドの噴射休止継続時間に対して設けられた第2の補正係数の少なくともいずれか一方で補正され、
その補正された値を新たな空吐出回数として前記限界回数と比較する。
【0012】
これによれば、空吐出回数は、第1の補正係数又は第2の補正係数の少なくともいずれか一方によって補正され、新たな空吐出回数として限界回数と比較される。そして、この空吐出回数が限界回数以上となったときに、吸収体の交換時期が告知される。
【0013】
従って、例えば、第1の補正係数を、噴射継続時間が短いほどに空吐出回数を大きく増やして補正し、噴射継続時間が長いほどに空吐出回数を小さく増やして補正するように設定した場合、噴射継続時間が短いときには、空吐出回数は、第1の補正係数によって大きく増やして補正されるので、早く限界回数を超えることができる。これによって、噴射継続時間が短く、吸収体が乾燥し吸収能力が低下していると予想される場合には交換時期を早く告知することができる。
【0014】
反対に、噴射継続時間が長いときには、空吐出回数は、第1の補正係数によって小さく増やして補正されるので、遅く限界回数を超えることができる。これによって、噴射継続時間が長く、吸収体が乾燥せず、吸収能力が維持されていると予想される場合には、交換時期を遅く告知することができる。
【0015】
また、例えば、第2の補正係数を、噴射休止継続時間が短いほどに空吐出回数を小さく増やして補正し、噴射休止継続時間が長いほどに空吐出回数を大きく増やして補正するように設定した場合、噴射休止継続時間が長いときには、空吐出回数は、第2の補正係数によって大きく増やして補正されるので、早く限界回数を越えることができる。これによって、噴射休止継続時間が長く、吸収体が乾燥し吸収能力が低下していると予想される場合には交換時期を早く告知することができる。反対に、噴射休止継続時間が短いときには、吐出回数は第2の補正係数によって小さく増やして補正されるので、遅く限界回数を超えることができる。これによって、噴射継続時間が短く吸収体が乾燥せず、吸収能力が維持されていると予想される場合には、交換時期を遅く告知することができる。
【0016】
即ち、吸収体の吸収能力の状態に基づいて正確な交換時期を告知することができるので、この交換時期に吸収体を交換することで、吸収体の吸収能力の低下に起因する、空吐出の際に本体フレーム内でおこる液体の跳ね返りをより抑制することができる。この結果、本体フレーム内の汚染をより防ぐことができる。さらに、吸収体の吸収能力の状態に基づ
いて交換することができ、吸収体の交換回数を低減することができるので、液体噴射装置の低コスト化を実現することができる。
【0017】
この液体噴射装置の吸収体交換時期告知方法の前記空吐出回数は、前記液体噴射ヘッドのノズルから噴射される複数の液体の性質に基づいて、複数の液体毎にその性質に対してそれぞれ設定された第3の補正係数で補正され、その補正された値を新たな空吐出回数として前記限界回数と比較する。
【0018】
これによれば、空吐出回数は、第3の補正係数によって補正され、新たな空吐出回数として限界回数と比較される。
従って、例えば、第3の補正係数を、液体の性質として液体の乾燥し易さに対応させて、乾燥し易い液体ほど空吐出回数を大きく増やして補正し、乾燥し難い液体ほど小さく増やして補正するように設定した場合、空吐出で乾燥し易い液体が吐出されたときには、空吐出回数は、第3の補正係数によって大きく増やして補正されるので、早く限界回数を超えることができる。反対に、空吐出で乾燥し難い液体が吐出されたときには、空吐出回数は、第3の補正係数によって小さく増やして補正されるので、遅く限界回数を超えることができる。これによって、乾燥し易い液体が空吐出されて、その液体が早く乾燥し吸収体の吸収能力が低下していることが予想される場合には、吸収体の交換時期を早く告知することができる。また、空吐出で乾燥し難い液体が吐出され、吸収体が湿っていて吸収能力が維持されていると予想される場合には、吸収体の交換時期を遅く告知することができる。
【0019】
即ち、吸収体の吸収能力の状態に基づいて正確な交換時期を告知することができるので、この交換時期に吸収体を交換することで、より吸収体の吸収能力の低下に起因する、空吐出の際に本体フレーム内でおこる液体の跳ね返りを抑制することができる。この結果、本体フレーム内の汚染をより防ぐことができる。さらに、吸収体の吸収能力の状態に基づいて交換することができ、吸収体の交換回数を低減することができるので、液体噴射装置の低コスト化を実現することができる。
【0020】
本発明の液体噴射装置は、液体噴射ヘッドの複数のノズルから空吐出される液体を吸収する吸収体を設けた液体噴射装置であって、前記液体噴射ヘッドの空吐出回数を計数する計数検出手段と、前記吸収体の吸収能力を超える空吐出回数を限界回数として記憶する第1の記憶手段と、前記吸収体の交換時期を告知する告知手段と、前記計数検出手段が計数した空吐出回数と前記第1の記憶手段が記憶した前記限界回数を比較し、前記空吐出回数が前記限界回数以上となったときに、前記告知手段を告知動作させる制御手段とを備えた。
【0021】
これによれば、制御手段は、係数手段が計数した空吐出回数が、第1の記憶手段が記憶した限界回数以上となったときに、告知手段に吸収体の交換時期を告知動作させる。従って、この交換時期の告知に応じて吸収体を交換することで、吸収体の吸収能力の低下に起因する、空吐出の際に本体フレーム内でおこる液体の跳ね返りを抑制することができる。この結果、本体フレーム内の汚染を防ぐことができる。
【0022】
この液体噴射装置は、前記液体噴射ヘッドの噴射継続時間に対して設けられた第1の補正係数、又は、前記液体噴射ヘッドの噴射休止継続時間に対して設けられた第2の補正係数の少なくともいずれか一方を記憶する第2の記憶手段を設け、前記制御手段は、前記限界回数と比較する前記空吐出回数を、前記第1の補正係数又は前記第2の補正係数の少なくともいずれか一方で補正し、その補正した値を新たな空吐出回数として前記限界回数と比較する。
【0023】
これによれば、制御手段は、第1の補正係数又は第2の補正係数の少なくともいずれか一方で補正した空吐出回数が、限界回数以上となったときに、告知手段に吸収体の交換時期を告知動作させる。
【0024】
従って、例えば、第1の補正係数を、噴射継続時間が短いほどに空吐出回数を大きく増やして補正し、噴射継続時間が長いほどに空吐出回数を小さく増やして補正するように設定した場合、制御手段は、噴射継続時間が短いときには、空吐出回数を、第1の補正係数によって大きく増やして補正する。これによって、空吐出回数は、早く限界回数を超えるので、制御手段は、噴射継続時間が短く、吸収体が乾燥し吸収能力が低下していると予想される場合には、告知手段に吸収体の交換時期を早く告知させることができる。
【0025】
反対に、制御手段は、噴射継続時間が長いときには、空吐出回数を、第1の補正係数によって小さく増やして補正する。これによって、空吐出回数は、遅く限界回数を超えるので、制御手段は、噴射継続時間が長く、吸収体が湿っていて吸収能力が維持されていると予想される場合には、告知手段に吸収体の交換時期を遅く告知させることができる。
【0026】
また、第2の補正係数を噴射休止継続時間が短いほどに空吐出回数を小さく増やして補正し、噴射休止継続時間が長いほどに大きく増やして補正するように設定した場合、制御手段は、噴射休止継続時間が短いときには、空吐出回数を第2の補正係数によって小さく増やして補正する。これによって、空吐出回数は、遅く限界回数を超えるので、制御手段は、噴射休止継続時間が短く、吸収体が、湿っていて吸収能力が維持されている場合には、告知手段に吸収体の交換時期を遅く告知させることができる。
【0027】
反対に、制御手段は、噴射休止継続時間が長いときには、空吐出回数を第2の補正係数によって大きく増やして補正する。これによって、空吐出回数は、早く限界回数を超えるので、制御手段は、噴射休止継続時間が長く、吸収体が、乾燥して吸収能力が低下していると予想される場合には、告知手段に吸収体の交換時期を早く告知させることができる。
【0028】
即ち、制御手段は、告知手段に吸収体の吸収能力の状態に基づいて正確な交換時期を告知させることができる。これによって、この交換時期に吸収体を交換することで、吸収体の吸収能力の低下に起因する、空吐出の際に本体フレーム内でおこる液体の跳ね返りをより抑制することができる。この結果、本体フレーム内の汚染をより防ぐことができる。さらに、本発明の液体噴射装置では、吸収体の吸収能力の状態に基づいて交換することができ、吸収体の交換回数を低減することができるので、低コスト化を実現することができる。
【0029】
この液体噴射装置の前記複数のノズルからそれぞれ噴射される液体毎にその乾燥し易さを示す第3の補正係数をそれぞれ記憶する第3の記憶手段を備え、前記制御手段は、前記限界回数と比較する前記空吐出回数を、前記第3の補正係数で補正し、その補正された値を新たな空吐出回数として前記限界回数と比較する。
【0030】
これによれば、制御手段は、空吐出回数を第3の補正係数によって補正し、新たな空吐出回数として限界回数と比較する。
従って、例えば、第3の補正係数を、噴射される液体が、乾燥し易いものほど空吐出回数を大きく増やして補正し、乾燥し難いものほど小さく増やして補正するように設定した場合、制御手段は、空吐出で乾燥し易い液体が吐出されたときには、空吐出回数を、第3の補正係数によって大きく増やして補正する。これによって、空吐出回数は、早く限界回数を超えることができる。
【0031】
反対に、空吐出で乾燥し難い液体が吐出されたときには、制御手段は、空吐出回数を、
第3の補正係数によって小さく増やして補正するので、空吐出回数は遅く限界回数を超えることができる。これによって、乾燥し易い液体が空吐出されて、その液体が早く乾燥し吸収体の吸収能力が低下していることが予想される場合には、制御手段は、告知手段に吸収体の交換時期を早く告知させることができる。
【0032】
また、空吐出で乾燥し難い液体が吐出され、吸収体が湿っていて吸収能力が維持されている場合には、制御手段は、告知手段に吸収体の交換時期を遅く告知させることができる。
【0033】
即ち、制御手段は、吸収体の吸収能力の状態に基づいて、告知手段に正確な交換時期を告知させることができるので、この交換時期に吸収体を交換することで、より吸収体の吸収能力の低下に起因する、空吐出の際に本体フレーム内でおこる液体の跳ね返りを抑制することができる。この結果、本体フレーム内の汚染をより防ぐことができる。さらに、吸収体の吸収能力の状態に基づいて交換することができ、吸収体の交換回数を低減することができるので、液体噴射装置の低コスト化を実現することができる。
【0034】
本発明の液体噴射装置は、複数のノズルからそれぞれ空吐出される性質の異なる液体をそれぞれ異なる領域で受け止めて吸収する吸収体を備えた液体噴射装置であって、前記吸収体は、前記受け止める液体の性質に応じて、それぞれの液体を受け止める各領域について、その各領域の各々の対応する前記ノズルまでの離間距離を相違させた。
【0035】
これによれば、例えば、吸収体を、受け止める液体の性質として液体の乾燥し易さに対応させて、乾燥し易い液体を吸収する領域をノズルとの離間距離を大きく、乾燥し難い液体を吸収する領域をノズルとの離間距離を小さくなるように形成する。この場合、吸収体の上で、液体が乾燥し堆積した場合であっても、各領域のそれぞれの離間距離によって堆積したときの高さは均一になるので、吸収体を均一に使用することができる。このため、吸収体の交換回数を低減することができるので、本発明の液体噴射装置は低コスト化を実現することができる。
【0036】
本発明の液体噴射装置は、複数のノズルからそれぞれ空吐出される性質の異なる液体をそれぞれ異なる領域で受け止め吸収する吸収体を備えた液体噴射装置であって、前記吸収体は、前記受け止める液体の性質に応じて、それぞれの液体を受け止める各領域の吸収能力を相違させた。
【0037】
これによれば、例えば、吸収体を、受け止める液体の性質として液体の乾燥し易さに対応させて、乾燥し易い液体を吸収する領域ほど吸収能力が高く、乾燥し難い液体を吸収する領域ほど吸収能力が低くなるように形成する。これによって、吸収体の各領域は、それぞれ液体の乾燥し易さに左右されることなく均一に液体を吸収することができる。また、乾燥し難い液体を吸収する領域の吸収能力を低くすることで、この液体の吸収に時間をかけることができ、他の領域を湿らせて乾燥を抑制し吸収能力を保つことができる。これによって、吸収体にて液体が乾燥し、堆積することを抑制できるので、空吐出に起因する液体の跳ね返りを抑制することができ、本体フレーム内の汚染を防ぐことができる。さらに、本発明の液体噴射装置は、吸収体の乾燥を抑制することで、吸収体の吸収能力を保つことができ、その交換時期を長くすることができる。この結果、液体噴射装置は、低コスト化を実現することができる。
【0038】
本発明の吸収体は、複数のノズルからそれぞれ空吐出される性質の異なる液体をそれぞれ異なる領域で受け止めて吸収する吸収体において、前記受け止める液体の性質に応じて、それぞれの液体を受け止める各領域の厚さを相違させた。
【0039】
これによれば、例えば、吸収体を、受け止める液体の性質として液体の乾燥し易さに対応させて、乾燥し易い液体を吸収する領域ほど薄く、乾燥し難い液体を吸収する領域ほど吸収能力が厚くなるように形成する。これによって、吸収体の各領域は、それぞれ液体の乾燥し易さに左右されることなく均一に液体を吸収することができる。また、このように吸収体の厚さを変えることで、吸収する液体との接触面積が増加し、その吸収を助長することができるので、吸収体にて液体が乾燥し堆積することを抑制することができる。この結果、吸収体の吸収能力を保つことができ、その交換時期を長くすることができるので、低コスト化を実現することができる。
【0040】
本発明の吸収体は、複数のノズルからそれぞれ空吐出される性質の異なる液体をそれぞれ異なる領域で受け止め吸収する吸収体において、前記受け止める液体の性質に応じて、それぞれの液体を受け止める各領域の材質を相違させた。
【0041】
これによれば、例えば、吸収体を、受け止める液体の性質として液体の乾燥し易さに対応させて、乾燥し易い液体を吸収する領域ほど細孔を多く有する多孔質部材とし、乾燥し難い液体を吸収する領域ほど細孔の少ない多孔質部材となるように形成する。これによって、吸収体の各領域は、それぞれ液体の乾燥し易さに左右されることなく均一に液体を吸収することができる。
【0042】
また、乾燥し難い液体を吸収する領域を、細孔の少ない多孔質部材とすることで、吸収能力を低くし、この液体の吸収に時間をかけることができ、他の領域を湿らせて乾燥を抑制し吸収能力を保つことができる。これによって、吸収体にて液体が乾燥し、堆積することを抑制できるので、空吐出に起因する液体の跳ね返りを抑制することができる。さらに、本発明の吸収体は、吸収体の乾燥を抑制することで、吸収体の吸収能力を保つことができ、その交換時期を長くすることができる。この結果、低コスト化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置(以下、単にプリンタという。)の第1実施形態を図1〜図6に従って説明する。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0044】
図1は、本実施形態のプリンタの概略を説明するための斜視図である。図2は、同プリンタのプラテンの構成を説明するための斜視図である。図3は、同プラテンの要部断面図である。
【0045】
図1に示すように、液体噴射装置としてのプリンタ1は、本体フレームとして略直方体形状のフレーム2を備えている。フレーム2内には、その長手方向にプラテン3が配設されている。プラテン3は、記録用紙Pを支持する支持台であって、プラテン3上には、図示しない紙送り機構によって記録用紙Pが給送されるようになっている。プラテン3の下方には、使用したインクを貯留する廃インクタンク4が接続されている。
【0046】
フレーム2内には、プラテン3と平行となるようにガイド部材5が架設されている。このガイド部材5には、ガイド部材5に沿って移動可能なキャリッジ6が挿通支持されている。また、フレーム2には、駆動プーリ7a及び従動プーリ7bが設けられていて、駆動プーリ7aには、正逆回転可能なキャリッジモータ8が接続されている。駆動プーリ7a及び従動プーリ7bには、タイミングベルト9が掛け装されていて、キャリッジ6は、タイミングベルト9を介してキャリッジモータ8と駆動連結されている。そして、キャリッ
ジ6は、キャリッジモータ8によってタイミングベルト9を介して駆動されることで、ガイド部材5に案内されてプラテン3と平行(主走査方向)に往復移動するようになっている。
【0047】
図3に示すように、キャリッジ6には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド10が設けられている。この記録ヘッド10は、プラテン3と対向するノズル形成面10aを有していて、同ノズル形成面10aには、吐出するインクの種類に対応して設けられた複数のノズルN1〜N8からなる8つのノズル列が設けられている。
【0048】
キャリッジ6には、第1〜第8インクカートリッジ11〜18が着脱可能に装填されている。第1〜第7インクカートリッジ11〜17には、図示しない貯留室内に、それぞれ液体としてのカラーインクのイエローYL、マゼンダM、シアンCY、マットブラックMB、フォトブラックPB、レッドR、ブルーBがそれぞれ貯留されている。第1〜第7インクカートリッジ11〜17の各インクは、顔料インクであって、インク溶媒に顔料を溶かすことで形成されている。また、第8インクカ−トリッジ18には、図示しない貯留室内に、液体としての反応性インクのクリアCRが貯留されている。そして、第1〜第8インクカートリッジ11〜18からは、各インクが記録ヘッド10にそれぞれ供給されるようになっている。各インクは、記録ヘッド10内に設けられた図示しない圧電素子によって加圧されて対応するノズルN1〜N8のノズル列から吐出される。即ち、ノズルN1からはイエローYLが吐出され、ノズルN2からはマゼンダMが吐出される。ノズルN3からはシアンCYが吐出され、ノズルN4からはマットブラックMBが吐出される。ノズルN5からはフォトブラックPBが吐出され、ノズルN6からはレッドRが吐出される。さらに、ノズルN7からはブルーBが吐出され、ノズルN8からはクリアCRが吐出される。
【0049】
このように構成されたプリンタ1では、印刷の際に、キャリッジ6をガイド部材5に沿って往復移動させるとともに、記録ヘッド10のノズルN1〜N8からインク滴を吐出することで、記録用紙Pにドットを形成して、画像等を印刷するようになっている。そして、第8インクカートリッジ18のクリアCRは、各カラーインクの吐出前又は吐出後に、ノズルN8から吐出されるようになっていて、記録用紙P上で各カラーインクと混合されることにより、凝集、固化等の反応を起こし、各カラーインクの発色の向上や、印刷される画像等を保護するようになっている。
【0050】
プリンタ1では、図1に示す左奥側の非印刷領域にキャリッジ6を移動させて記録ヘッド10のノズルN1〜N8からインク滴を一斉に空吐出するフラッシング動作を行うようになっている。そして、プリンタ1では、このフラッシング動作を行うための非印刷領域をフラッシング領域とし、そのときのキャリッジ6の位置をフラッシングポジションとしている。また、プリンタ1では、図1に示す中央のプラテン3に給送される記録用紙Pに、キャリッジ6を移動させながらインク滴を吐出し印刷するための領域を印刷領域としている。さらに、プリンタ1では、図1に示す右側の非印刷領域は、非印刷時にキャリッジ6を退避させるための領域としている。この非印刷領域には退避してくるキャリッジ6の記録ヘッド10のノズル形成面10aを払拭するワイピング部材19と、非印刷時に記録ヘッド10のノズルN1〜N8を封止するキャップ部材20が設けられている。
【0051】
次に、上述したプラテン3の構成について図2及び図3に従って説明する。
図2に示すように、プラテン3は、略直方体形状に形成された本体ケース21を備えている。本体ケース21には、フレーム2内に配設されたときにキャリッジ6のフラッシング領域に位置する図2に示す左側の端部に、第1収容部22が凹設されている。この第1収容部22は、本体ケース21の上面21a側に開口していて、壁部23によって右収容部22a、左収容部22bに分割されている。右及び左収容部22a,22bには、スポ
ンジ等の多孔質体から構成された吸収体としての右吸収体25と左吸収体26がそれぞれ収容されている。
【0052】
そして、図3に示すように、左吸収体26は、フラッシング動作によってノズルN1〜N4から空吐出される第1〜第4インクカートリッジ11〜14の各インクを受け止めて吸収するようになっている。また、右吸収体25はノズルN5〜N8から空吐出される第5〜第8インクカートリッジ15〜18の各インクを受け止めて吸収するようになっている。
【0053】
一方、本体ケース21の下面21bには、右収容部22aと連通する第1導出ポート27と、左収容部22bと連通する第2導出ポート28が設けられている。第1及び第2導出ポート27,28は、それぞれ廃インクタンク4に接続されている。従って、フラッシング動作によって、記録ヘッド10のノズルN1〜N4から空吐出される第1〜第4インクカートリッジ11〜14の各インクは、左吸収体26に受け止められた後、第1導出ポート27を介して廃インクタンク4に排出される。さらに、ノズルN5〜N8から空吐出される第5〜第8インクカートリッジ15〜18の各インクは、右吸収体25に受け止められた後、第2導出ポート28を介して廃インクタンク4に排出される。
【0054】
他方、本体ケース21には、第1収容部22に隣接するように、略直方体形状の第2収容部29が、本体ケース21の長手方向に沿って凹設されている。この第2収容部29は、本体ケース21がフレーム2内に配設されたときに印刷領域に位置するようになっている。第2収容部29には、その底面から複数の第1ガイド部材30が突設されていて、プラテン3の長手方向に並設されている。また、本体ケース21の上面21aの印刷領域に位置する前後両端部には、第1ガイド部材30とほぼ同じ形状の第2ガイド部材31が複数形成されていて、第1ガイド部材30と同じ長手方向に並設されている。
【0055】
また、第2収容部29には、中央吸収体32が収容されている。中央吸収体32は、スポンジ等の多孔質体からなり、第2収容部29とほぼ同じ大きさの略直方体形状に形成されている。中央吸収体32には、第1ガイド部材30に対応する位置に切り込みが形成されていて、中央吸収体32は、第2収容部29に収容された際に、第1ガイド部材30をその切り込みに貫通させた状態で配設される。
【0056】
これによって、印刷時にプラテン3上に給送される記録用紙Pは、第1及び第2ガイド部材30,31に支持され、第1及び第2ガイド部材30,31の上面を滑りながら紙送りされる。このとき、余白の無い、いわゆる縁無し印刷が行われた場合、ノズルN1〜N8から記録用紙Pの縁よりやや外側(図2に示す手前側)に吐出されたインクは、中央吸収体32によって受け止められて吸収されるようになっている。
【0057】
また、図3に示すように、本体ケース21の下面21bには、第2収容部29の底面に貫通する第3導出ポート33が設けられている。第3導出ポート33は、廃インクタンク4に接続されていて、第3導出ポート33を介して第2収容部29と廃インクタンク4とを連通させるようになっている。従って、縁なし印刷によって、記録ヘッド10のノズルN1〜N8から吐出される第1〜第8インクカートリッジ11〜18の各インクは、中央吸収体32によって受け止められた後、第3導出ポート33を介して廃インクタンク4に排出される。
【0058】
そして、このように構成されたプラテン3を備えたプリンタ1では、右及び左吸収体25,26の吸収能力の低下、即ち寿命が近付くと、これをフレーム2に設けた告知ランプLによって告知するようになっている。詳しくは、通常、告知ランプLは、消灯しているが、プラテン3の右及び左吸収体25,26の寿命が近付くと点灯して、右及び左吸収体
25,26の交換時期を知らせるようになっている。
【0059】
次に、本実施形態のプリンタ1の電気的構成について説明する。
プリンタ1は、図4に示すように、プリンタエンジン41を備えている。このプリンタエンジン41は、プリンタ1を制御する制御手段及び計数検出手段としてのCPU42(中央演算処理装置)、第1及び第2の記憶手段としてのメモリ43と入出力回路44を備えている。CPU42は、入出力回路44を介してキャリッジモータ8、記録ヘッド10の圧電素子(図示しない)及び告知手段としての告知ランプLと電気的に接続されている。そして、CPU42が入出力回路44を介してキャリッジモータ8に、キャリッジモータ8を駆動制御するための第1駆動電流Iaを出力したり、告知ランプLに、告知ランプLを点灯させるための第2駆動電流Ibを出力するようになっている。さらに、CPU42が、入出力回路44を介して、記録ヘッド10の圧電素子に、圧電素子を駆動制御するための駆動電圧Vを出力するようになっている。
【0060】
CPU42は、メモリ43に記憶された制御プログラムに従ってキャリッジモータ8を駆動制御することで、キャリッジ6の移動を制御し、フラッシングポジション、印刷領域又は非印刷領域のいずれかに移動させるようになっている。さらに、CPU42は、記録ヘッド10の圧電素子を駆動制御することで、ノズルN1〜N8から第1〜第8インクカートリッジ11〜18の各インクをそれぞれ吐出させるようになっている。さらに、CPU42は、第2駆動電流Ibを出力又はその出力を停止することで、告知ランプLを点灯又は消灯させるようになっている。
【0061】
詳しくは、CPU42は、プリンタ1に、印刷動作を実行させるとともに、この印刷動作中に定期的にフラッシング動作を実行させるようになっている。そして、CPU42は、プリンタ1に印刷動作を実行させるときには、キャリッジモータ8に第1駆動電流Iaを出力し駆動させて、キャリッジ6を印刷領域内にて往復移動させる。さらに、記録ヘッド10の圧電素子に駆動電圧Vを出力することによって、各ノズルN1〜N8からインクをプラテン3上に給送される記録用紙Pに吐出させて印刷するようになっている。また、CPU42は、プリンタ1にフラッシング動作を実行させるときには、キャリッジモータ8に第1駆動電流Iaを出力して印刷領域にいるキャリッジ6をフラッシングポジションに移動させた後、記録ヘッド10の圧電素子に駆動電圧Vを出力する。これによって、各ノズルN1〜N8からは、それぞれプラテン3の右及び左吸収体25,26に対してインクが空吐出されるようになっている。さらに、CPU42は、このフラッシング動作の回数を、毎回、「フラッシング回数F」としてメモリ43に記憶するようになっている。CPU42は、このフラッシング回数Fに基づいて、右及び左吸収体25,26の吸収能力を推定し、右及び左吸収体25,26の寿命を検出する。そして、寿命となったときには、告知ランプLに第2駆動電流Ibを出力し点灯させて右及び左吸収体25,26の交換時期を告知するようになっている。
【0062】
尚、本実施形態における定期的なフラッシング動作を行うタイミングは、ノズルN1〜N8を好適な状態に保つことができるように印刷時間等に基づいて行い、予め実験等によって求められて設定されている。
【0063】
次に、上述したプリンタ1のCPU42の動作について図5に従って説明する。図5は、CPU42の動作を説明するためのフローチャート図である。
プリンタ1のCPU42は、図示しない電源スイッチがオン操作されると、これに応答して、キャリッジモータ8及び記録ヘッド10の前記圧電素子に第1駆動電流Ia及び駆動電圧Vを、入出力回路44を介して、それぞれに出力し印刷動作を開始するようになっている。
【0064】
CPU42は、プリンタ1の印刷動作を開始すると、メモリ43に予め記憶されているフラッシング回数Fを読み出す(ステップS1)。そして、この印刷動作の途中に定期的にフラッシング動作を実行する(ステップS2)。
【0065】
次に、CPU42は、フラッシング動作を実行すると、これに基づいてメモリ43に記憶されているフラッシング回数Fを更新する(ステップS3)。
次に、CPU42は、フラッシング回数Fが40000回以上かどうかを判定する(ステップS4)。CPU42は、フラッシング回数Fが40000回を以上のときには、第1収容部22に収容された右及び左吸収体25,26の吸収能力が低下して寿命が近付いていると推定する(ステップS4でYES)。そして、CPU42は、入出力回路44を介して第2駆動電流Ibを出力し告知ランプLを点灯させて、右及び左吸収体25,26の寿命を知らせる(ステップS5)。この後、CPU42は、駆動電圧Vの出力を停止し記録ヘッド10のインクの吐出を停止するとともに、キャリッジモータ8に第1駆動電流Iaを出力し、キャリッジ6を非印刷領域に移動させ印刷動作を終了させて、プラテン3の交換に備える。
【0066】
また、CPU42は、フラッシング回数Fが40000回未満と判定したときには(ステップS4でNO)、右及び左吸収体25,26の吸収能力が維持されていると推定し、告知ランプLを点灯させずに、引き続きプリンタ1の印刷動作の途中に、定期的にフラッシング動作を実行する(ステップS2)。
【0067】
尚、上述したステップS4では、フラッシング回数Fが40000回以上であることを判定条件としたが、これは、フレーム2内にてフラッシングによるインクの跳ね返りが起きない程度に、右及び左吸収体25,26の吸収能力が低下し寿命が近付いていることを推定するための限界回数である。そして、この限界回数は、右及び左吸収体25,26の吸収能力に基づいて、予め実験等によって求められて設定されている。
【0068】
以上、上記した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態では、プリンタ1を記録ヘッド10のフラッシング動作によって空吐出されるインクを吸収する右及び左吸収体25,26の交換時期(寿命)を、告知ランプLを点灯させて知らせるように構成した。これによって、ユーザは、告知ランプLが点灯した場合には、プラテン3をフレーム2から取り外して右及び左吸収体25,26を新しいものに交換することができる。この結果、右及び左吸収体25,26の吸収能力の低下に起因する、フラッシング動作によるインクの跳ね返りを抑制することができるので、フレーム2内の汚染を防ぐことができる。
【0069】
(2)本実施形態では、CPU42を、限界回数として予め設定されている40000回以上を基準としてフラッシング回数Fを判定するように構成した。これによって、CPU42は、限界回数に基づいて右及び左吸収体25,26の吸収能力を精度よく推定することができるので、右及び左吸収体25,26の交換時期を、告知ランプLを介して正確に知らせることができる。
【0070】
(第2実施形態)
次に本発明を具体化した第2実施形態について、図6〜図8に従って説明する。尚、以下の説明では、便宜上、上述した第1実施形態と差異のある箇所について説明し、同様の箇所については同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0071】
本実施形態のプリンタ1は、前記第1実施形態と比較して、前記フラッシング回数Fに加えて、さらに、プリンタ1の印刷時間、印刷停止時間に基づいて、プラテン3の右及び左吸収体25,26の交換時期を知らせることを特徴としている。
【0072】
詳しくは、本実施形態のプリンタエンジン41のCPU42は、プリンタ1の図示しない電源スイッチがオン操作されると、メモリ43に記憶された制御プログラムに従って、上述したように第1駆動電流Ia及び駆動電圧Vを、入出力回路44を介して出力し印刷動作を実行する。そして、この印刷動作を実行している時間をプリンタエンジン41が内蔵している図示しない計時して「印刷時間」としてメモリ43に記憶し随時更新するようになっている。また、プリンタエンジン41のCPU42は、電源スイッチがオフ操作されると、メモリ43に記憶されている印刷時間をリセットした後、第1駆動電流Ia及び駆動電圧Vの出力を停止しプリンタ1を停止する。さらに、CPU42は、プリンタ1の停止している停止時間を前記タイマが計時して「印刷停止時間」としてメモリ43に記憶するようになっている。
【0073】
そして、CPU42は、プリンタ1の印刷動作の実行中に予め記憶されている「印刷停止時間」と、随時更新される「印刷時間」に基づいて、メモリ43に記憶されているマップデータを参照し第2駆動電流Ibを、入出力回路44を介して出力し告知ランプLを点灯させるようになっている。
【0074】
次に、本実施形態のメモリ43に記憶されているマップデータを図6及び図7に従って説明する。
図6及び図7に示すように、マップデータ50,51は、プリンタ1の印刷時間に対応した第1時間係数X及び第2時間係数Yの情報を有している。この第1時間係数X及び第2時間係数Yは、メモリ43に記憶されるフラッシング回数Fを補正するための係数である。
【0075】
詳しくは、上述したように、プリンタ1では、印刷動作の実行中に定期的にフラッシング動作が行われる。このため、印刷時間の長短によっては、そのフラッシング回数も変化する。従って、印刷時間、即ち噴射継続時間が短い場合では、フラッシング回数が少なく、右及び左吸収体25,26にて各インクが乾燥し、吸収能力が低下することが予想される。
【0076】
また、このように各インクが乾燥したときであっても、印刷時間、即ち噴射継続時間が長い場合では、フラッシング回数が多く、乾燥した各インクを再溶解し右及び左吸収体25,26の吸収能力が維持されることが予想される。
【0077】
つまり、印刷時間の長短によっては、右及び左吸収体25,26の吸収能力は変化することが予想されるため、限界回数と比較するためのフラッシング回数Fの更新もこの印刷時間に応じて補正する必要がある。
【0078】
このため、本実施形態では、フラッシング回数Fを正確に補正するために、予め実験等によって、印刷時間によって変化する右及び左吸収体25,26の吸収能力に基づいて、印刷時間の長短の基準値を200秒と設定し、さらに、この基準値に対応した第1の補正係数として第1時間係数Xを設定した。そして、印刷時間が短く、右及び左吸収体25,26の吸収能力が低下していると予想される場合、即ち、印刷時間が200秒未満のときの第1時間係数Xを「2」と設定した。また、印刷時間が長く、右及び左吸収体25,26の吸収能力が維持されていると予想される場合、即ち、印刷時間が200秒以上のときに、この値を「1」と設定した。
【0079】
このように設定された第1時間係数Xは、フラッシング回数Fの更新の際に、CPU42によって参照され、フラッシング回数Fに乗算されるようになっている(F=F×X+1)。
【0080】
従って、例えば、メモリ43にフラッシング回数Fが1000回と記憶されていて、500秒以上の印刷動作が実行された場合、CPU42は、印刷時間が200秒未満の時点での更新では、第1時間係数Xを「2」として、このフラッシング回数Fに乗算し更新する(F=1000×2+1)。さらに、CPU42は、この次の更新を印刷時間が200秒以上の時点で実行する場合、第1時間係数Xを「1」として、このフラッシング回数Fに乗算し更新する(F=2001×1+1)。即ち、CPU42は、印刷時間が200秒未満であって、右及び左吸収体25,26の吸収能力が低下していると予想されるときには、フラッシング回数Fの値を大きく増やすように更新し、印刷時間が200秒以上となって、右及び左吸収体25,26の吸収能力が維持できていると予想されるときには、フラッシング回数Fの値を小さく増やすように更新する。
【0081】
一方、プリンタ1では、電源スイッチをオフ操作されて停止している状態では、フラッシング動作が行われていない。このため、印刷停止時間の長短によっては、右及び左吸収体25,26に吸収された各インクの乾燥具合が異なる。従って、印刷停止時間、即ち噴射休止継続時間が長い場合では、右及び左吸収体25,26に吸収された各インクが乾燥し固化して、右及び左吸収体25,26の吸収能力が低下することが予想される。
【0082】
また、このように各インクが乾燥したときであっても、印刷停止時間が短い場合では、プリンタ1の起動後に行われるフラッシング動作によって、乾燥した各インクが再溶解されて右及び左吸収体25,26の吸収能力が維持されることが予想される。
【0083】
このため、本実施形態では、上述した第1時間係数Xと同じように、フラッシング回数Fを正確に補正するために、予め実験等によって、印刷停止時間によって変化する右及び左吸収体25,26の吸収能力に基づいて、印刷停止時間の長短の基準値を12時間及び5時間と設定し、さらに、この基準値に対応した第2時間係数Yを設定した。
【0084】
そして、印刷停止時間が長く、右及び左吸収体25,26の吸収能力が低下していると予想される場合、即ち、印刷停止時間が12時間以上のときの第2時間係数Yを「2」と設定した。また、印刷停止時間がやや長く、右及び左吸収体25,26の吸収能力がやや低下していると予想される場合、即ち、印刷停止時間が5時間以上12時間未満のときの第2時間係数Yを「1」とした。さらに、印刷停止時間が短く、右及び左吸収体25,26の吸収能力が維持されていると予想される場合、即ち、印刷停止時間が5時間未満のときの第2時間係数Yを「0.5」とした。
【0085】
このように設定された第2時間係数Yは、フラッシング回数Fの更新の際に、CPU42によって参照され、フラッシング回数Fに乗算されるようになっている(F=F×Y+1)。
【0086】
従って、例えば、メモリ43にフラッシング回数Fが1000回と記憶されているプリンタ1が12時間以上の印刷停止後に、印刷動作を開始した場合、CPU42は、その印刷動作中に実行するフラッシング回数Fの更新では、第2時間係数Yを「2」として、このフラッシング回数Fに乗算し更新する(F=1000×2+1)。また、5時間以上12時間未満の印刷停止後に印刷動作を開始した場合では、CPU42は、フラッシング回数Fの更新では、第2時間係数Yを「1」として、フラッシング回数Fに乗算し更新する(F=1000×1+1)。さらにまた、5時間未満の印刷停止後に印刷動作を開始した場合、CPU42は、フラッシング回数Fの更新では第2時間係数Yを「0.5」として、フラッシング回数Fに乗算し更新する(F=1000×0.5+1)。
【0087】
即ち、CPU42は、印刷停止時間が12時間以上であって、右及び左吸収体25,2
6の吸収能力が低下していると予想されるときには、フラッシング回数Fの値を大きく増やし更新する。また、印刷停止時間が5時間以上12時間未満であって右及び左吸収体25,26の吸収能力がやや低下していると予想されるときには、フラッシング回数Fの値をやや大きく増やし更新する。さらに、印刷停止時間が5時間未満となっていて、右及び左吸収体25,26の吸収能力が維持できていると予想されるときには、フラッシング回数の値を小さく増やし更新する。
【0088】
次に、上述したプリンタ1のCPU42の動作について図8に従って説明する。図8は、CPU42の動作を説明するためのフローチャート図である。
プリンタ1のCPU42は、図示しない電源スイッチがオン操作されると、これに応答して、印刷動作を開始する。
【0089】
CPU42は、プリンタ1の印刷動作を開始すると、メモリ43に予め記憶されているフラッシング回数F及び印刷停止時間を読み出す(ステップS11)。そして、この印刷動作の途中に定期的にフラッシング動作を実行する(ステップS2)。
【0090】
次に、CPU42は、フラッシング動作を実行すると、メモリ43に予め記憶されていたフラッシング回数Fに第1時間係数X及び第2時間係数Yを乗算し、これに基づいてメモリ43に記憶されているフラッシング回数Fを更新する(ステップS13でF=XYF+1)。
【0091】
従って、CPU42は、例えば12時間以上停止していたプリンタ1に200秒以上の印刷動作を実行させた場合には、第1時間係数Xを「1」とし、第2時間係数Yを「2」として、フラッシング回数Fに乗算し更新する(F=1×2×F+1)。例えば、5時間未満停止していたプリンタ1に200秒以上の印刷動作を実行させた場合には、第1時間係数Xを「1」とし、第2時間係数Yを「0.5」として、フラッシング回数Fに乗算し更新する(F=1・0.5・F+1)。また、例えば、5時間未満停止していたプリンタ1に200秒未満の印刷動作を実行させた場合には、第1時間係数Xを「2」とし、第2時間係数Yを「0.5」として、フラッシング回数Fに乗算し更新する(F=2・0.5・F+1)。例えば、5時間未満停止していたプリンタ1に200秒以上の印刷動作を実行させた場合には、第1時間係数Xを「1」とし、第2時間係数Yを「0.5」として、フラッシング回数Fに乗算し更新する(F=1×0.5×F+1)。
【0092】
即ち、CPU42は、プリンタ1の印刷停止時間が長い、又は、印刷時間が短い場合には、フラッシング回数Fの値を大きく増やし、補正して更新する。反対に、CPU42は、プリンタ1の印刷停止時間が短い、又は、印刷時間が長い場合には、フラッシング回数Fの値を小さく増やし、補正して更新する。
【0093】
次に、CPU42は、第1実施形態で説明したステップS4の処理に移り、第1収容部22に収容された右及び左吸収体25,26の吸収能力が低下して寿命が近付いていると推定した時には、入出力回路44を介して第2駆動電流Ibを出力し告知ランプLを点灯させて、右及び左吸収体25,26の交換時期(寿命)を知らせる(ステップS5)。
【0094】
また、CPU42は、右及び左吸収体25,26の吸収能力が維持されていると推定したときには(ステップS4でNO)、告知ランプLを点灯させずに、引き続きプリンタ1の印刷動作の途中に、定期的にフラッシング動作を実行する(ステップS2)。
【0095】
以上、上記した本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施形態では、プリンタ1を、印刷時間に対応した第1時間係数X、印刷停止時間に
対応した第2時間係数Y及びフラッシング回数Fに基づいて、告知ランプLを点灯させて右及び左吸収体25,26の交換時期(寿命)を知らせるように構成した。さらに、CPU42を、プリンタ1の印刷停止時間が長い、又は、印刷時間が短い場合には、フラッシング回数Fの値を大きく増やし補正して更新し、反対に、プリンタ1の印刷停止時間が短い、又は、印刷時間が長い場合には、フラッシング回数Fの値を小さく増やして補正して更新するように構成した。
【0096】
これによって、CPU42は、プリンタ1の印刷停止時間が長く、又は、印刷時間が短く、フラッシング回数が少なく、右及び左吸収体25,26にて各インクが乾燥し、その吸収能力が低下していると予想される場合には、告知ランプLを早く点灯させて、右及び左吸収体25,26の交換時期を早く知らせることができる。
【0097】
反対に、CPU42は、プリンタ1の印刷停止時間が短い、又は、印刷時間が長いときには、フラッシング回数が多い。これによって、右及び左吸収体25,26に乾燥し堆積した顔料インクが再溶解されて、右及び左吸収体25の吸収能力が維持されていると予想される。このような場合には、告知ランプLを遅く点灯させて、右及び左吸収体25,26の交換時期を遅く知らせることができる。
【0098】
即ち、CPU42は、印刷時間及び印刷停止時間に基づいて、右及び左吸収体25,26の吸収能力の状態を推定し、その推定結果に基づいて正確な交換時期を知らせることができる。従って、この交換時期に右及び左吸収体25,26を交換することで、フラッシング動作に起因するインクの跳ね返りを抑制し、フレーム2内の汚染を防ぐことができる。さらに、右及び左吸収体25,26の吸収能力に基づいて交換することで、その交換回数を低減することができ、消費量を低減することができる。この結果、プリンタ1の低コスト化を実現することができる。
【0099】
(第3実施形態)
次に本発明を具体化した第3実施形態について、図9及び図10に従って説明する。尚、以下の説明では、便宜上、上述した第1及び第2実施形態と差異のある箇所について説明し、同様の箇所については同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0100】
本実施形態のプリンタ1のフラッシング動作は、第1及び第2実施形態とは異なって、前記記録ヘッド10の各ノズルN1〜N8から個々にインクを空吐出させて実行するようになっている。そして、本実施形態のプリンタ1は、プリンタ1の前記印刷時間、前記印刷停止時間及び各ノズルN1〜N8からのフラッシング回数Fに基づいて、プラテン3の右及び左吸収体25,26の交換時期を知らせるようになっている。
【0101】
詳しくは、CPU42は、上述した印刷時間及び印刷停止時間の計時に加えて、プリンタ1の印刷動作の実行中に、定期的に行われる各ノズルN1〜N8のフラッシング動作に基づいて、それぞれの空吐出回数としてのフラッシング回数Fを「フラッシング回数F1〜F8」としてメモリ43に記憶し随時更新するようになっている。そして、CPU42は、メモリ43に予め記憶されている「印刷停止時間」と、随時更新される「印刷時間」及び「フラッシング回数F1〜F8」に基づいて、メモリ43に記憶されているマップデータ50,51及びマップデータ61(図9参照)を参照し第2駆動電流Ibを、入出力回路44を介して出力し告知ランプLを点灯させるようになっている。
【0102】
次に、本実施形態の第1〜第3の記憶手段としてのメモリ43に記憶されているマップデータ61を図9に従って説明する。
図9に示すように、マップデータ61は、第1〜第8インクカートリッジ11〜18の各インクに対応した第3の補正係数としての色係数H1〜H8の情報を有している。
【0103】
この色係数H1〜H8は、メモリ43に記憶されるフラッシング回数Fを補正するための係数である。
詳しくは、上述したように、プリンタ1では印刷動作の実行中に定期的にフラッシング動作が行われる。そして、右及び左吸収体25,26には、このフラッシング動作によって、それぞれ乾燥し易さが異なった各インクが空吐出される。
【0104】
このため、乾燥し易いインクが多く空吐出されている場合では、このインクが右及び左吸収体25,26にて乾燥し、右及び左吸収体25,26の吸収能力が低下することが予想される。また、このように各インクが乾燥したときであっても、乾燥し難いインクが多く空吐出された場合では、乾燥した各インクが再溶解し右及び左吸収体25,26の吸収能力が維持されることが予想される。
【0105】
つまり、空吐出されるインクによっては、右及び左吸収体25,26の吸収能力は変化することが予想されるため、フラッシング回数Fの更新も空吐出されるインクの性質(乾燥しやすさ)に応じて補正する必要がある。
【0106】
このため、本実施形態では、フラッシング回数Fを正確に補正するために、予め実験等によって、空吐出されるインクによって変化する右及び左吸収体25,26の吸収能力に基づいて、各ンクに対応する色係数H1〜H8を設定した。
【0107】
そして、最も乾燥し易いインクであるイエローYLの色係数H1を「1」、マゼンダMの色係数H2を「1」とした。この色係数H1,H2を基準として、次に乾燥し易いインクであるシアンCYの色係数H3を「0.9」、マットブラックMBの色係数H4を「0.9」とした。また、次に乾燥し易いインクであるレッドRの色係数H6を「0.8」、クリアCRの色係数H8を「0.8」とした。さらに、次に乾燥し易いインクであるフォトブラックPBの色係数H5を「0.7」とし、最も乾燥し難いインクであるブルーBの色係数H7を「0.5」とした。
【0108】
このように設定された色係数H1〜H8は、フラッシング回数F1〜F8の更新の際に、それぞれCPU42によって参照され、フラッシング回数F1〜F8に乗算されるようになっている(F1〜F8=F1〜F8×H1〜H8+1)。
【0109】
従って、例えば、メモリ43にフラッシング回数F7が1000回と記憶されているときに、フラッシング動作によってノズルN7からブルーBが空吐出されたときには、色係数H7の「0.5」をフラッシング回数F7に乗算して更新する(F7=1000×0.5+1)。また、例えば、メモリ43にフラッシング回数F1が500回と記憶されているとき、フラッシング動作によってノズルN1からイエローYLが空吐出されたときには、色係数H1の「1」をフラッシング回数F1に乗算して更新する(F1=500×1+1)。
【0110】
即ち、CPU42は、乾燥し易いインクを吐出したノズルのフラッシング回数Fについて、その1回の更新値を、乾燥し難いインクを空吐出するノズルのフラッシング回数Fの更新値よりも大きく増やして更新している。
【0111】
次に、上述したプリンタ1のCPU42の動作について図10に従って説明する。
図10は、プリンタエンジン41のCPU42の動作を説明するためのフローチャート図である。
【0112】
プリンタ1のプリンタエンジン41(CPU42)は、図示しない電源スイッチがオン
操作されると、これに応答して、印刷動作を開始する。
CPU42は、プリンタ1の印刷動作を開始すると、メモリ43に予め記憶されているフラッシング回数F1〜F8及び印刷停止時間を読み出す(ステップS21)。そして、この印刷動作の途中に、定期的にフラッシング動作を実行する(ステップS2)。
【0113】
次に、CPU42は、フラッシング動作を実行すると、メモリ43に予め記憶されていたフラッシング回数F1〜F8に、色係数H1〜H8、第1時間係数X及び第2時間係数Yをそれぞれ乗算し、これに基づいてメモリ43に記憶されているフラッシング回数F1〜F8を更新する(ステップS23でF1〜F8=H1〜H8×XY×F1〜F8+1)。
【0114】
従って、CPU42は、例えば、12時間以上停止していたプリンタ1に200秒以上の印刷動作を実行させて、ノズルN1からイエローYLのインクを空吐出させた場合には、色係数H1を「1」、第1時間係数Xを「1」、第2時間係数Yを「2」として、フラッシング回数F1に乗算し更新する(F1=1×1×2×F1+1)。同様に、ノズルN7からブルーBのインクを空吐出させた場合には、色係数H7を「0.5」、第1時間係数Xを「1」、第2時間係数Yを「2」として、フラッシング回数F7に乗算し更新する(F7=0.5×1×2×F7+1)。
【0115】
即ち、この場合、CPU42は、乾燥し易いインクを吐出するノズルN1のフラッシング回数F1の値を大きく増やし補正して更新し、反対に、乾燥し難いインクを吐出するノズルN7のフラッシング回数Fの値を小さく増やして補正して更新する。
【0116】
次に、CPU42は、フラッシング回数F1〜F8のいずれかが40000回以上かどうかを判定する(ステップS24)。CPU42は、フラッシング回数F1〜F8のいずれかが40000回以上と判定したときには、第1収容部22に収容された右及び左吸収体25,26の吸収能力が低下して寿命が近付いていると推定する(ステップS24でYES)。そして、CPU42は、この判定に基づいて入出力回路44を介して第2駆動電流Ibを出力し告知ランプLを点灯させて、右及び左吸収体25,26の交換時期(寿命)を知らせる(ステップS5)。
【0117】
また、CPU42は、フラッシング回数F1〜F8のいずれもが40000回未満と判定したときには(ステップS24でNO)、右及び左吸収体25,26の吸収能力が維持されていると推定し、告知ランプLを点灯させずに、引き続きプリンタ1の印刷動作の途中に、定期的にフラッシング動作を実行する(ステップS2)
以上、上記した本実施形態によれば、第1及び第2実施形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0118】
本実施形態では、プリンタ1をフラッシング回数F1〜F8、色係数H1〜H8、印刷時間に対応した第1時間係数X及び印刷停止時間に対応した第2時間係数Yに基づいて、告知ランプLを点灯させて右及び左吸収体25,26の交換時期(寿命)を知らせるように構成した。さらに、CPU42を、乾燥し易いインクを吐出するノズルのフラッシング回数の値を大きく増やし補正して更新し、反対に、乾燥し難いインクを吐出するノズルのフラッシング回数の値を小さく増やし補正して更新するように構成した。
【0119】
これによって、CPU42は、右及び左吸収体25,26に乾燥し易いインクが多く空吐出され、このインクが右及び左吸収体25,26にて乾燥し、右及び左吸収体25,26の吸収能力を低下させていると予想される場合には、告知ランプLを早く点灯させて、右及び左吸収体25,26の交換時期を早く知らせることができる。反対に、CPU42は、右及び左吸収体25,26に乾燥し難いインクが多く空吐出され湿らせられて、右及
び左吸収体25,26の吸収能力が維持されていると予想される場合には、告知ランプLを遅く点灯させて、右及び左吸収体25,26の交換時期を遅く知らせることができる。
【0120】
即ち、CPU42は、印刷時間、印刷停止時間及び空吐出される各インクの種類に基づいて、右及び左吸収体25,26の吸収能力を推定し、その推定結果に基づいてより正確な交換時期を知らせることができる。従って、この交換時期に右及び左吸収体25,26を交換することで、フラッシング動作に起因するインクの跳ね返りをより抑制し、フレーム2内の汚染をより低減することができる。さらに、右及び左吸収体25,26の吸収能力をより精度よく推定できるので、右及び左吸収体25,26の交換回数を低減することができ、消費量をより低減することができる。この結果、プリンタ1の低コスト化を実現することができる。
(第4実施形態)
次に本発明を具体化した第4実施形態について、図11に従って説明する。
【0121】
本実施形態のプリンタ1では、第1実施形態の右及び左吸収体25,26とその構成を異にする吸収体を備えたことを特徴としている。尚、以下の説明では、便宜上、第1実施形態と差異のある箇所について説明し、同様の箇所については同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0122】
図11に示すように、第1収容部22の右及び左収容部22a,22bには、フラッシング動作によって各ノズルN1〜N8に一斉に空吐出される各インクを吸収する吸収体としての右及び左吸収体70,71がそれぞれ収容されている。左吸収体71は、第1実施形態の前記左吸収体26と同様に、記録ヘッド10のノズルN1〜N4から空吐出される各インクを受け止めて吸収するようになっている。右吸収体70は、第1実施形態の前記右吸収体25と同様に、記録ヘッド10のノズルN5〜N8から空吐出される各インクを受け止めて吸収するようになっている。この右及び左吸収体70,71の各位置における厚さは、それぞれ対向する各ノズルN1〜N8から空吐出される各インクのインク溶媒の乾燥し易さに基づいて設定されている。
【0123】
詳しくは、右及び左吸収体25,26は、図9に示したマップデータ61の各色係数H1〜H8に基づいて形成されていて、色係数H1〜H8の値が大きいインクを吐出するノズルと対向する位置(付着領域)ほど薄く、その値が小さいインクを吐出するノズルと対向する位置(付着領域)ほど厚く形成されている。
【0124】
即ち、右及び左吸収体25,26は、乾燥し易いインクを吐出するノズルと対向する付着領域は、薄く記録ヘッド10のノズル形成面10aとの相対距離(離間距離)が長くなっていている。反対に、乾燥し難いインクを吐出するノズルと対向する付着領域は、厚く記録ヘッド10のノズル形成面10aとの相対距離(離間距離)が短くなっている。これによって、左吸収体26には、各ノズルN1〜N4にそれぞれ相対向するように厚さの異なる吐出領域Z1,Z2,Z3,Z4が形成される。また、右吸収体25も、各ノズルN5〜N8にそれぞれ相対向するように厚さの異なる吐出領域Z5,Z6,Z7,Z8が形成されていろ。
【0125】
詳述すると、色係数H1が「1」のイエローYLのインクを受け止める左吸収体71の吐出領域Z1と、色係数H2が「1」のマゼンダMのインクを受け止める左吸収体71の吐出領域Z2は同じ厚さとなっている。
【0126】
また、色係数H3が「0.9」のシアンCYのインクを受け止める左吸収体71の吐出領域Z3と、色係数H4が「0.9」のマットブラックMBのインクを受け止める左吸収体71の吐出領域Z4は同じ厚さである。しかも、これら吐出領域Z3,Z4の厚さは、
前記吐出領域Z1,Z2の厚さより厚くなっている。
【0127】
さらに、色係数H6が「0.8」のレッドRのインクを受け止める右吸収体70の吐出領域Z6と、色係数H8が「0.8」のクリアCRのインクを受け止める右吸収体70の吐出領域Z8は同じ高さとなっている。しかも、これら吐出領域Z6,Z8の厚さは、前記吐出領域Z3,Z4の厚さより厚くなっている。
【0128】
さらに、色係数H5が「0.7」のフォトブラックPBのインクを受け止める右吸収体70の吐出領域Z5の厚さは、吐出領域Z6,Z8の厚さより厚くなっている。さらにまた、色係数H7が「0.5」のブルーBのインクを受け止める右吸収体70の吐出領域Z7の厚さは、吐出領域Z5の厚さより厚くなっている。
【0129】
つまり、右及び左収容部22a,22bの右及び左吸収体70,71は、乾燥し易いインクが吐出される吐出領域ほど薄くなり、反対に、乾燥し難いインクが吐出される吐出領域ほど厚くなっている。
【0130】
このように構成された右及び左吸収体70,71を収容することによって、右及び左収容部22a,22bは、乾燥し易いインクが吐出される吐出領域ほど深くなり、反対に、乾燥し難いインクが吐出される吐出領域ほど浅くなっている。
【0131】
次に、上述したプラテン3の右及び左吸収体70,71の作用について、図11に従って説明する。
図11に示すように、プリンタ1のフラッシング動作が実行されると、左吸収体71は、記録ヘッド10の各ノズルN1〜N4から空吐出される第1〜第4インクカートリッジ11〜14の各インクを、それぞれの吐出領域Z1〜Z4にて受け止めた後、各インクを第1導出ポート27を介して廃インクタンク4に排出する。さらに、右吸収体70は、各ノズルN5〜N8から空吐出される第5〜第8インクカートリッジ15〜18の各インクを、それぞれの吐出領域Z5〜Z8にて受け止めた後、各インクを、第2導出ポート28を介して廃インクタンク4に排出する。
【0132】
このとき、右及び左吸収体70,71上にて各インクが乾燥し堆積した場合であっても、上述したように右及び左吸収体70,71の厚みを対応するノズルN1〜N8に対応させて形成したことによって、堆積したインクは均一な高さとなる。さらに、この右及び左吸収体70,71を収容したことによって右及び左収容部22a,22bの深さは、乾燥し堆積しやすいインクが吐出される吐出領域ほど深くなっているので、最も乾燥し易いイエローYL及びマゼンダMのインクが溢れ出ない限り、この堆積した各インクが溢れ出ることは抑制されている。
【0133】
そして、吐出領域Z2に吐出されたインクは、吐出領域Z2に隣接する吐出領域Z3の左吸収体26の側面によって、吸収されて跳ね返りが抑制される。さらに、吐出領域Z6に吐出されたインクは、吐出領域Z6に隣接する吐出領域Z5,Z7の右吸収体25の側面によって吸収され、又、吐出領域Z8に吐出されたインクは、吐出領域Z8に隣接する吐出領域Z7の右吸収体25の側面によって吸収されて跳ね返りが抑制される。
【0134】
以上、上記した本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施形態では、右及び左吸収体70,71において、色係数H1〜H8、即ち乾燥しやすさに応じて、乾燥し易いインクが吐出される吐出領域を薄くなるように、反対に、乾燥し難いインクが吐出される吐出領域を厚くなるように形成した。そして、この右及び左吸収体25,26を右及び左収容部22a,22bに収容することで、同右及び左収容部
22a,22bの深さを、乾燥し易いインクが吐出される部分は深く、反対に、乾燥し難いインクが吐出される部分は浅く形成した。
【0135】
このように各インク毎に持つ乾燥し易さに応じて右及び左吸収体70,71を形成することによって、各インクが右及び左吸収体70,71上で乾燥し、その顔料が堆積した場合、堆積する顔料の高さのバラツキを低減することができる。
【0136】
これによって、右及び左吸収体70,71を交換する際には、右及び左吸収体70,71を各インク毎に持つ乾燥し易さに左右されることなく均一に使用した状態で交換することができるので、右及び左吸収体70,71の交換回数を低減することができる。この結果、プリンタ1の低コスト化を実現することができる。
【0137】
さらに、このように吐出領域Z1〜Z8を形成したことによって、右及び左吸収体70,71と吐出された各インクとの接触面積が増加する。従って、右及び左吸収体70,71の各インクの吸収を助長することができるので、右及び左吸収体70,71での各インクの乾燥を低減することができる。従って、右及び左吸収体70,71に各インクの顔料が堆積することを抑制できるので、フラッシング動作に起因するインクの跳ね返りを抑制することができ、フレーム2内の汚染を防ぐことができる。
(第5実施形態)
次に本発明を具体化した第5実施形態について、図12に従って説明する。
【0138】
本実施形態のプリンタ1では、第1実施形態のプラテン3の右及び左吸収体25,26のかわりに、複数の吸収体を備えたことを特徴としている。尚、以下の説明では、便宜上、第1実施形態と差異のある箇所について説明し、同様の箇所については同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0139】
図12に示すように、第1収容部22の左収容部22bには、フラッシングポジションに位置した各ノズルN1〜N4に相対向するように、スポンジ等の多孔質体から構成された吸収体としての第1〜第4吸収体81〜84がそれぞれ収容されている。同様に、第1収容部22の右収容部22aには、各ノズルN5〜N8に相対向するように、スポンジ等の多孔質体から構成された吸収体としての第5〜第8吸収体85〜88がそれぞれ収容されている。第1〜第8吸収体81〜88は、フラッシング動作によって各ノズルN1〜N8から一斉に空吐出される各インクを受け止めて吸収した後、前記第1及び第2導出ポート27,28に誘導するようになっている。
【0140】
そして、第1〜第8吸収体81〜88は、その多孔質体を構成する細孔の数等が、それぞれ対向する各ノズルN1〜N8から空吐出される各インク毎に持つ乾燥し易さ応じて形成されている。
【0141】
詳しくは、図9に示したマップデータ61の各色係数H1〜H8に基づいて形成されていて、色係数H1〜H8の値が大きいインクを吐出するノズルと対向する吸収体ほど、細孔の数が多く、その値が小さいインクを吐出するノズルと対向する吸収体ほど細孔の数が少なくなるように形成されている。即ち、第1〜第8吸収体81〜88は、乾燥し易いインクを吐出するノズルと対向するものほど、吸収能力が高く、反対に、乾燥し難いインクを吐出するノズルと対向するものほど、吸収能力が低く設定されている。
【0142】
従って、色係数H1が「1」のイエローYLのインクを受け止める第1吸収体81と、色係数H2が「1」のマゼンダMのインクを受け止める第2吸収体82は、同じ数の細孔を有している。
【0143】
また、色係数H3が「0.9」のシアンCYのインクを受け止める第3吸収体83と、色係数H4が「0.9」のマットブラックMBのインクを受け止める第4吸収体84は、同じ数の細孔を有している。しかも、これら第3及び第4吸収体83,84の細孔の数は、第1及び第2吸収体81,82の細孔の数より少なくなっている。
【0144】
さらに、色係数H6が「0.8」のレッドRのインクを受け止める第6吸収体86と、色係数H8が「0.8」のクリアCRのインクを受け止める第8吸収体88は、同じ数の細孔を有している。しかも、これら第6及び第8吸収体86,88の細孔の数は、第3及び第4吸収体83,84の細孔の数より少なくなっている。
【0145】
さらに、色係数H5が「0.7」のフォトブラックPBのインクを受け止める第5吸収体85の細孔の数は、第6及び第8吸収体86,88の細孔の数より少なくなっている。さらにまた、色係数H7が「0.5」のブルーBのインクを受け止める第7吸収体87の細孔の数は、第5吸収体85の細孔の数より少なくなっている。
【0146】
次に、上述したプラテン3の第1〜第8吸収体81〜88の作用について、図12に従って説明する。
図12に示すように、プリンタ1のフラッシング動作が実行されると、第1〜第4吸収体81〜84は、記録ヘッド10の各ノズルN1〜N4から空吐出される第1〜第4インクカートリッジ11〜14の各インク受け止めた後、各インクを、第1導出ポート27を介して廃インクタンク4に排出する。さらに、第5〜第8吸収体85〜88は、各ノズルN5〜N8から空吐出される第5〜第8インクカートリッジ15〜18の各インクを受け止めた後、第2導出ポート28を介して廃インクタンク4に排出する。
【0147】
そして、第1〜第8吸収体81〜88の吸収能力を受け止めるインクの乾燥し易さに応じて変更した。そのため、記録ヘッド10の各ノズルN1〜N8からそれぞれ吐出される各インクは、その乾燥し易さが異なっているが、第1〜第8吸収体81〜88にそれぞれ均一に吸収される。
【0148】
以上、上記した本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施形態では、第1〜第8吸収体81〜88を、色係数H1〜H8、すなわち、乾燥し易いインクを吐出するノズルと対向するものほど、細孔の数を多くし吸収能力を高く形成した。また反対に、乾燥し難いインクを吐出するノズルと対向するものほど、細孔の数を少なくし吸収能力を低く形成した。
【0149】
これによって、各ノズルN1〜N8に空吐出される各インクは、それぞれ乾燥し易さが異なっているが、第1〜第8吸収体81〜88に等しく吸収させることができる。
即ち、第1〜第8吸収体81〜88を交換する際には、第1〜第8吸収体81〜88を各インクの乾燥具合に左右されることなく均一に使用した状態で交換することができるので、第1〜第8吸収体81〜88の交換回数を低減することができる。
【0150】
また、第1〜第8吸収体81〜88を乾燥し難いインクを受け止めるものほど、細孔の数を少なくしインクを吸収し難く形成したことで、吸収に時間がかかり、乾燥し難いインクを右及び左収容部22a,22b内にある程度、保持することができるので、第1〜第8吸収体81〜88の乾燥を抑制することができる。これによって、第1〜第8吸収体81〜88に各インクの顔料が堆積することを抑制できるので、フラッシング動作に起因するインクの跳ね返りを抑制することができ、フレーム2内の汚染を防ぐことができる。
【0151】
さらに、乾燥を抑制することで、第1〜第8吸収体81〜88の吸収能力を保ち、交換
時期(寿命)を長くすることができるので、プリンタ1の低コスト化を実現することができる。
【0152】
尚、発明の実施の形態は、上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
・上記第1〜第3実施形態では、プリンタ1を右及び左吸収体25,26の交換時期(寿命)を、告知ランプLを点灯させることで知らせるように構成したが、この限りではなく、適宜変更してもよい。従って、例えば、プリンタ1のフレーム2に、ブザーを設けて、ブザーを鳴動させることによって交換時期を知らせるように構成してもよい。また、例えば、この交換時期を表示部としてのディスプレイ等に表示されてもよい。このとき、プリンタエンジン41の構成を適宜変更することが望ましい。
【0153】
・上記第2及び第3実施形態では、フラッシング回数F,F1〜F8に、それぞれ第1時間係数X及び第2時間係数Yを乗算しプリンタエンジン41のメモリ43に記憶させたが、この限りではなく、第1時間係数X又は第2時間係数Yのいずれか一方のみを乗算して記憶させてもよい。
【0154】
・上記第4実施形態では、右及び左吸収体25,26に吐出領域Z1〜Z8を設け、受け止めるインクの乾燥し易さに応じて厚さを変更したが、この限りではなく、適宜変更してもよい。従って、例えば、各ノズルN1〜N8のノズル列に対応するように、8つの吸収体を設け、それぞれの吸収体の厚さを変更してもよい。
【0155】
・上記第5実施形態では、第1〜第8吸収体81〜88の吸収能力を、細孔の数を変えることで設定したが、この限りではなく、細孔径を変えることで吸収能力を設定してもよい。
【0156】
・上記第1〜第5実施形態では、第1〜第7インクカートリッジ11〜17にカラーインクを収容し、第8インクカートリッジ18に反応性インクを収容したが、この限りではなく、それぞれ収容するインクを適宜変更してもよい。このとき、プリンタエンジン41の構成、右吸収体25,70、左吸収体26,71、第1〜第8吸収体81〜88の構成を適宜変更することが望ましい。
【0157】
・上記第1〜第5実施形態では、液体噴射装置をプリンタ1に具体化したが、この限りではなく、他の液体を噴射する液体噴射装置に具体化するようにしてもよい。例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。このとき、プリンタエンジン41、右吸収体25,70、左吸収体26,71、第1〜第8吸収体81〜88の構成を適宜変更することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】第1実施形態のプリンタの概略を説明するための斜視図。
【図2】同プリンタのプラテンの構成を説明するための斜視図。
【図3】同プラテンの要部断面図。
【図4】同プリンタの電気的構成を説明するためのブロック図。
【図5】同プリンタのCPUの動作を説明するためのフローチャート図。
【図6】第2実施形態のプリンタのマップデータを説明するための説明図。
【図7】同プリンタのマップデータを説明するための説明図。
【図8】同プリンタのCPUの動作を説明するためのフローチャート図。
【図9】第3実施形態のプリンタのマップデータを説明するための説明図。
【図10】同プリンタのCPUの動作を説明するためのフローチャート図。
【図11】第4実施形態のプラテンの要部断面図。
【図12】第5実施形態のプラテンの要部断面図。
【図13】従来のインクジェット式記録装置を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0159】
1…液体噴射装置としてのプリンタ、2…本体フレームとしてのフレーム、10…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、25,70…吸収体としての右吸収体、26,71…吸収体としての左吸収体、42…計数検出手段及び制御手段としてのCPU、43…第1〜第3の記憶手段としてのメモリ、81〜88…吸収体としての第1〜第8吸収体、F,F1〜F8…空吐出回数としてのフラッシング回数、H1〜H8…第3の補正係数としての色係数、L…告知手段としての告知ランプ、N1〜N8…ノズル、X…第1の補正係数としての第1時間係数、Y…第2の補正係数としての第2時間係数。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴射ヘッドに相対向するように本体フレーム内に設けられた前記液体噴射ヘッドから空吐出される液体を吸収する吸収体を設けた液体噴射装置の吸収体交換時期告知方法であって、
前記液体噴射ヘッドの空吐出回数を計数し、その計数した空吐出回数が、予め設定した前記吸収体の吸収能力を超える限界回数と比較し限界回数以上となったとき、前記吸収体の交換時期を告知することを特徴とする液体噴射装置の吸収体交換時期告知方法。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置の吸収体交換時期告知方法において、
前記空吐出回数は、前記液体噴射ヘッドの噴射継続時間に対して設けられた第1の補正係数、又は、前記液体噴射ヘッドの噴射休止継続時間に対して設けられた第2の補正係数の少なくともいずれか一方で補正され、
その補正された値を新たな空吐出回数として前記限界回数と比較することを特徴とする液体噴射装置の吸収体交換時期告知方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体噴射装置の吸収体交換時期告知方法において、
前記空吐出回数は、前記液体噴射ヘッドのノズルから噴射される複数の液体の性質に基づいて、複数の液体毎にその性質に対してそれぞれ設定された第3の補正係数で補正され、
その補正された値を新たな空吐出回数として前記限界回数と比較することを特徴とする液体噴射装置の吸収体交換時期告知方法。
【請求項4】
液体噴射ヘッドの複数のノズルから空吐出される液体を吸収する吸収体を設けた液体噴射装置であって、
前記液体噴射ヘッドの空吐出回数を計数する計数検出手段と、
前記吸収体の吸収能力を超える空吐出回数を限界回数として記憶する第1の記憶手段と、
前記吸収体の交換時期を告知する告知手段と、
前記計数検出手段が計数した空吐出回数と前記第1の記憶手段が記憶した前記限界回数を比較し、前記空吐出回数が前記限界回数以上となったときに、前記告知手段を告知動作させる制御手段と
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液体噴射装置において、
前記液体噴射ヘッドの噴射継続時間に対して設けられた第1の補正係数、又は、前記液体噴射ヘッドの噴射休止継続時間に対して設けられた第2の補正係数の少なくともいずれか一方を記憶する第2の記憶手段を設け、
前記制御手段は、前記限界回数と比較する前記空吐出回数を、前記第1の補正係数又は前記第2の補正係数の少なくともいずれか一方で補正し、その補正した値を新たな空吐出回数として前記限界回数と比較することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の液体噴射装置において、
前記複数のノズルからそれぞれ噴射される液体毎にその乾燥し易さを示す第3の補正係数をそれぞれ記憶する第3の記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記限界回数と比較する前記空吐出回数を、前記第3の補正係数で補正し、その補正された値を新たな空吐出回数として前記限界回数と比較することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項7】
複数のノズルからそれぞれ空吐出される性質の異なる液体をそれぞれ異なる領域で受け止
めて吸収する吸収体を備えた液体噴射装置であって、
前記吸収体は、
前記受け止める液体の性質に応じて、それぞれの液体を受け止める各領域について、その各領域の各々の対応する前記ノズルまでの離間距離を相違させたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項8】
複数のノズルからそれぞれ空吐出される性質の異なる液体をそれぞれ異なる領域で受け止め吸収する吸収体を備えた液体噴射装置であって、
前記吸収体は、
前記受け止める液体の性質に応じて、それぞれの液体を受け止める各領域の吸収能力を相違させたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項9】
複数のノズルからそれぞれ空吐出される性質の異なる液体をそれぞれ異なる領域で受け止めて吸収する吸収体において、
前記受け止める液体の性質に応じて、それぞれの液体を受け止める各領域の厚さを相違させたことを特徴とする吸収体。
【請求項10】
複数のノズルからそれぞれ空吐出される性質の異なる液体をそれぞれ異なる領域で受け止め吸収する吸収体において、
前記受け止める液体の性質に応じて、それぞれの液体を受け止める各領域の材質を相違させたことを特徴とする吸収体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−27058(P2006−27058A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208757(P2004−208757)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】