説明

吸収性樹脂粒子、これを含む吸収体及び吸収性物品並びに吸収性樹脂粒子の製造方法

【課題】従来のポリオキシアルキレンポリオールを含有した吸収性樹脂粒子は粉体流動性が低いこと又はポリオキシアルキレンポリオールが液体状であるためオムツ等の吸収性物品を製造する際におむつ製造機器に転写し、機器を汚染する等の問題がある。
【解決手段】カルボキシル(塩)基又はスルホ(塩)基を有するビニルモノマー(a1)及び内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、アルキレン基の炭素数が3〜9である結晶性ポリオキシアルキレンモノ又はポリオール(B)とを含んでなる吸収性樹脂粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性樹脂粒子、これを含む吸収体及び吸収性物品並びに吸収性樹脂粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシアルキレンポリオールを含有した吸収性樹脂粒子として、ポリエチレングリコールを混合した吸収性樹脂粒子(特許文献1)や、非晶性のポリプロピレングリコールを混合した吸収性樹脂粒子(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−277466号公報
【特許文献2】特許第3795210号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のポリオキシアルキレンポリオールを含有した吸収性樹脂粒子は粉体流動性が低いこと又はポリオキシアルキレンポリオールが液体状であるためオムツ等の吸収性物品を製造する際におむつ製造機器に転写し、機器を汚染する等の問題がある。
【0005】
すなわち本発明の目的は、粉体流動性が高く、吸収性物品を製造する際に機器を汚染しない吸収性樹脂粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吸収性樹脂粒子は、カルボキシル(塩)基又はスルホ(塩)基を有するビニルモノマー(a1)及び内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、アルキレン基の炭素数が3〜9である結晶性ポリオキシアルキレンモノ又はポリオール(B)とを含んでなる点を要旨とする。
【0007】
本発明の吸収体は、上記の吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる点を要旨とする。
【0008】
本発明の吸収性物品は、上記の吸収体を備えてなる点を要旨とする。
【0009】
本発明の吸収性樹脂粒子の製造方法は、水の存在下で、カルボキシル(塩)基又はスルホ(塩)基を有するビニルモノマー(a1)及び内部架橋剤(b)を重合し、(a1)のアルカリによる中和率を0〜20%とする重合工程と、重合工程で得られた重合体とアルキレン基の炭素数が3〜9である結晶性ポリオキシアルキレンモノ又はポリオール(B)とを混合する混合工程と、混合工程で得られた混合体を中和する中和工程とを含む点を要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により得られる吸収性樹脂粒子は粉体流動性が高く、吸収性物品を製造する際に機器を汚染しない。さらに、この吸収性樹脂粒子を吸収性物品を製造する際に使用することで粉体流動性が向上するという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
架橋重合体(A)はカルボキシル(塩)基又はスルホ(塩)基を有するビニルモノマー(a1)及び内部架橋剤(b)を必須構成単位として含有する。
カルボキシル(塩)基(−CO2M)を有するビニルモノマーとしては、炭素数3〜30のビニル基含有カルボン酸(塩)等が挙げられ、不飽和モノカルボン酸{(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩、クロトン酸及び桂皮酸等}及び不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、マレイン酸塩、フマル酸、シトラコン酸及びイタコン酸等)が挙げられる。
スルホ(塩)基(−SO3M)を有するビニルモノマーとしては、炭素数2〜30のビニル基含有スルホン酸(塩)等が挙げられ、脂肪族又は芳香族ビニルスルホン酸{ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸及びα−メチルスチレンスルホン酸等};(メタ)アクリロイル含有アルキルスルホン酸{(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等}が挙げられる。
(a1)のうち、好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩又はアンモニウム(NH)塩等が含まれる。 これらの塩のうち、吸収特性の観点等から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
なお、例えば、(メタ)アクリル酸はアクリル酸又はメタアクリル酸を意味する。
【0012】
架橋重合体(A)は必要により、加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位として含有することができる。
加水分解性ビニルモノマー(a2)は加水分解により水溶性となるビニルモノマーを意味し、特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}のビニルモノマー等が使用できる。
加水分解性ビニルモノマーの加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれでもよいが、得られる吸収性樹脂粒子の分子量の観点等から重合後が好ましい。
【0013】
(a1)及び(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0014】
架橋重合体(A)は必要により、さらに共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成単位として含有することができる。
共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}の疎水性ビニルモノマー等が使用でき、下記の(i)〜(iii)のビニルモノマー等が使用できる。
(i)炭素数8〜30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2〜20の脂肪族エチレンモノマー
アルケン[エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等];並びにアルカジエン[ブタジエン及びイソプレン等]等。
(iii)炭素数5〜15の脂環式エチレンモノマー
モノエチレン性不飽和モノマー[ピネン、リモネン及びインデン等];並びにポリエチレン性ビニル重合性モノマー[シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等]等。
【0015】
内部架橋剤(b)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}の架橋剤等が使用できる。
これらのうち、吸収性能の観点等から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0016】
内部架橋剤(b)単位の含有量(モル%)は、(a1)単位及び必要により(a2)単位のモル数に基づいて、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.005〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0017】
架橋重合体(A)は1種でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
【0018】
アルキレン基の炭素数が3〜9である結晶性ポリオキシアルキレンモノ又はポリオール(B)は、例えば以下のアルキレンオキサイドを重合することにより得られる。
(i)炭素数3のアルキレンオキサイド
プロピレンオキサイド、1−クロロオキセタン、2−クロロオキセタン、1,2−ジクロロオキセタン、エピクロルヒドリン及びエピブロモヒドリン。
(ii)炭素数4のアルキレンオキサイド
1,2−ブチレンオキサイド及びメチルグリシジルエーテル。
(iii)炭素数5のアルキレンオキサイド
1,2−ペンチレンオキサイド、2,3−ペンチレンオキサイド及び3−メチル−1,2−ブチレンオキサイド。
(iv)炭素数6のアルキレンオキサイド
シクロヘキセンオキサイド、1,2−へキシレンオキサイド、3−メチル−1,2−ペンチレンオキサイド、2,3−ヘキシレンオキサイド、4−メチル−2,3−ペンチレンオキサイド及びアリルグリシジルエーテル。
(v)炭素数7のアルキレンオキサイド
1,2−へプチレンオキサイド。
(vi)炭素数8のアルキレンオキサイド
スチレンオキサイド。
(vii)炭素数9のアルキレンオキサイド
フェニルグリシジルエーテル。
【0019】
これらのアルキレンオキサイドのうち、重合体の親水性の観点から、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド及びシクロへキセンオキサイドが好ましく、さらに好ましくはプロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド及びシクロへキセンオキサイド、最も好ましくはプロピレンオキサイドである。
【0020】
アルキレンオキサイドを重合して結晶性ポリオキシアルキレンモノ若しくはポリオール(B)を得る方法としては特に限定はなく公知{たとえば、特開平11−12353号公報、特表2001−521957号公報、特開2008−291241号公報}の重合方法が使用できる。
【0021】
(B)の数平均分子量は、吸水性樹脂粒子の強度の観点から、1,000〜3,000,000が好ましく、さらに好ましくは300,000〜3,000,000である。この数平均分子量は、GPCにより、ポリスチレンの分子量を基準として通常の方法により測定される。
【0022】
(B)が有する水酸基の数は吸水性樹脂粒子は粉体流動性の観点から、1〜6が好ましく、さらに好ましくは2〜6である。
【0023】
(B)が有する水酸基は、アルキレンオキサイドの重合の際に使用する開始剤により所望の数とすることができる。
(B)の水酸基数が1の場合はメタノール等の1価アルコール、酢酸等の1価カルボン酸及びサレン錯体、水酸基数が2の場合は水及びエチレングリコール等の2価アルコールやシュウ酸等のジカルボン酸、水酸基数が3の場合はグリセリン等の3価アルコール、水酸基数が4の場合はペンタエリスリトール等の4価アルコール、水酸基数が5の場合はペンチトール等の5価アルコール並びに水酸基数が6の場合はジペンタエリスリトール等の6価アルコールが開始剤として使用できる。
(B)は、単独で、又は2種類以上を併用して使用することができる。
【0024】
(B)には、上記のポリオキシアルキレンモノ又はポリオールの末端の水酸基にエチレンオキサイドを付加してなるモノ又はポリオールも含まれる。末端水酸基あたりのエチレンオキサイドの付加モル数は粉体流動性の観点から好ましくは1〜20モル、さらに好ましくは1〜10モルである。
【0025】
末端水酸基へのエチレンオキサイドの付加方法は、アルカリ金属水酸化物等を触媒として用いて公知の方法を使用することができる。
【0026】
(B)の含有量(重量%)は、(a1)及び(b)、必要により(a2)の合計重量に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3、特に好ましくは0.1〜1である。この範囲であると、吸収性能及び粉体流動性が良好となる。
【0027】
本発明における結晶性とは、ポリオキシアルキレンモノ又はポリオールのアイソタクティシティーが70%以上であることを意味する。
本発明に使用される(B)のアイソタクティシティーは、粉体流動性の観点から、80%以上が好ましく、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。アイソタクティシティーが70%未満の場合、機器への汚染性が悪くなる。
【0028】
アイソタクティシティーは、Macromolecules、vol.35、No.6、2389−2392頁(2002年)に記載の方法で算出することができ、以下のようにして求める。
測定試料約30mgを直径5mmの13C−NMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶剤を加えて溶解させ、分析用試料とする。ここで重水素化溶剤は、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることのできる溶剤を適宜選択する。
【0029】
13C−NMRにおいて3種類のメチン基由来の信号が観測され、それぞれシンジオタクチック値(S)は75.1ppm付近、ヘテロタクチック値(H)は75.3ppm付近及びアイソタクチック値(I)は75.5ppm付近に観測される。アイソタクティシティーを次の計算式(1)により算出する。
アイソタクティシティー(%)=[I/(I+S+H)]×100 (1)
但し、式中、Iはアイソタクチック信号の積分値;Sはシンジオタクチック信号の積分値;Hはヘテロタクチック信号の積分値である。
【0030】
本発明の吸収性樹脂粒子は、樹脂粒子の着色及び吸収性樹脂粒子の吸収速度の観点から、中和均一度が95〜100%であることが好ましい。
中和均一度は、吸収性樹脂粒子にpH指示薬をスプレー噴霧し、吸収性樹脂粒子の色変化した部分の面積量(%)を目視により評価する。詳細には下記の通りである。
【0031】
<中和均一度の測定方法>
吸収性樹脂粒子10gをろ紙上に均一に散布する。そこにメチルレッド/エタノール溶液(0.1g/100ml)5mlを霧吹きで均一に散布する。散布してから1分後に、5cm四方の面積あたり赤色に変色した部分の面積の比率を求める。
【0032】
本発明の吸収性樹脂粒子は、結晶性ポリオキシアルキレンモノ又はポリオール(B)を、従来の吸収性樹脂粒子の製造方法において、任意の段階{重合工程、細断工程、中和工程、乾燥工程、粉砕工程、表面架橋工程及び/又はこれらの工程の前後等}において混合することで製造できる。混合する工程としては、重合工程、細断工程、中和工程及び表面架橋工程からなる群より選ばれる少なくとも1つの工程で混合することが好ましい。
【0033】
重合工程において、吸収性樹脂粒子を得るための重合形態としては、従来から知られている方法が使用でき、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法等が適用できる。また、重合時の重合液の形状として、薄膜状及び噴霧状等であってもよい。重合制御の方法としては、断熱重合法、温度制御重合法及び等温重合法等が適用できる。
【0034】
重合方法として懸濁重合法又は逆相懸濁重合法を適用する場合、必要に応じて、公知の分散剤(ショ糖エステル、リン酸エステル及びソルビタンエステル等)及び保護コロイド(ポバール、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体及び酸化ポリエチレン等)等を使用できる。また、逆相懸濁重合法の場合、従来から公知の疎水性溶媒{シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、トルエン及びキシレン等}を使用して重合できる。
【0035】
重合工程において、水の存在下で、カルボキシル(塩)基又はスルホ(塩)基を有するビニルモノマー(a1)及び内部架橋剤(b)等を重合することが好ましい。水の使用量は、生産性の観点から(a1)の重量に基づいて、150〜350重量%が好ましく、さらに好ましくは210〜270重量%である。
【0036】
重合方法のうち、重合から得られるポリマーの分子量の観点から、溶液重合法が好ましく、さらに好ましくは水の存在下で重合する溶液重合法である。
【0037】
重合には重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては特に限定はなく公知のものが使用でき、(i)アゾ系開始剤、(ii)過酸化物系開始剤、(iii)レドックス系開始剤及び(iv)有機ハロゲン化合物開始剤等が使用できる。
【0038】
重合開始剤を使用する場合、重合開始剤の使用量(重量%)は、ポリマーの分子量の観点から、(a1)、(b)、必要により使用する(a2)及び(a3)の重量に基づいて、0.005〜3.0が好ましく、さらに好ましくは0.007〜1.5、特に好ましくは0.009〜1.0である。
【0039】
重合工程で(B)を混合する場合、公知の分散剤(ショ糖エステル、リン酸エステル及びソルビタンエステル等)を用いて(B)を重合溶液中に分散した後に重合反応を行うことにより好ましく混合できる。
【0040】
重合後の中和における中和均一性の観点から、重合工程における(a1)のアルカリによる中和率は0〜20%が好ましく、さらに好ましくは0〜10%である。なお、中和率とは、(a1)に含まれるカルボキシル基及びスルホ基等の酸性官能基のモル数のうち中和されているモル数の比率である。
【0041】
重合によって得られるゲル状重合体{吸収性樹脂粒子の前駆体と溶媒とを含む}は、必要に応じて細断することができる。細断後のゲル状重合体の大きさ(最長径)は50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性がさらに良好となる。
【0042】
細断は、公知の方法で行うことができ、通常の細断装置{たとえば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機}等を使用して細断できる。
【0043】
重合工程で得られたゲル状重合体と(B)とを混合する場合、細断工程と同時に又は同様の操作の混合工程を行って、ゲル状重合体と(B)とを混合することができる。
ゲル状重合体と(B)を混合する場合、重合工程で得られたゲル状重合体に(B)を混合し、上記の細断装置等で機械的せん弾力を加えることにより混合できる。
【0044】
ゲル状重合体は、中和工程を行い、さらに中和することができる。
中和工程は、混合工程で得られた混合体を、アルカリ金属化合物(水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等)で中和する工程である。詳しくは重合工程又は細断工程で得られたゲル状重合物に対し、アルカリ金属化合物の水溶液を添加し、混合装置や上記の細断装置等で機械的せん弾力を加える工程である。
【0045】
本発明の吸収性樹脂粒子を得る製造方法としては、水の存在下で、(a1)のアルカリによる中和率が0〜20%である重合工程を行い、重合工程で得られた重合体(ゲル状重合体)と(B)とを混合工程で混合し、混合工程で得られた混合体を中和する中和工程を含む製造方法が好ましい。
【0046】
重合に溶媒(水を含む)を使用する場合、乾燥工程を行って、重合後に溶媒を留去することが好ましい。
溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、10〜0.01が好ましく、さらに好ましくは5〜0.05、特に好ましくは3〜0.1、最も好ましくは1〜0.5である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0047】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、0〜20が好ましく、さらに好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5、最も好ましくは0〜2である。この範囲であると、吸収性能及び乾燥後の粉体流動性が良好となる。
【0048】
なお、有機溶媒の含有量及び水分は、赤外水分測定器((株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W)により加熱したときの加熱前後の測定試料の重量減量から求められる。
【0049】
溶媒を留去する方法としては、80〜230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
【0050】
本発明の吸収性樹脂粒子は、乾燥後に粉砕することができる。
粉砕方法については、特に限定はなく、通常の粉砕装置{たとえば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機}等が使用できる。
粉砕された吸収性樹脂粒子は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
【0051】
本発明の吸収性樹脂粒子の重量平均粒径(μm)は、100〜800が好ましく、さらに好ましくは200〜500、特に好ましくは300〜400である。この範囲であると、粉砕後の粉体流動性がさらに良好となる。
【0052】
重量平均粒径は、測定試料の粒度分布を測定し、対数確率紙{横軸:粒径、縦軸:累積含有量(重量%)}に、累積含有量と粒子径との関係をプロットし、累積含有量が50重量%に対応する粒子径を求めることにより得られる。粒度分布は、JIS Z8815−1994に準拠して測定され、たとえば、内径150mm、深さ45mmのふるい{目開き:710μm、500μm、300μm、150μm及び106μm}を、目開きの狭いふるいを下にして重ね、一番上の最も目開きの広い710μmのふるいの上に、測定試料50gを入れ、ふるい振動機にて10分間ふるい、各ふるいの上に残った測定試料の重量を測定し、最初の測定試料の重量に基づく各ふるいの上に残った測定試料の重量%を求めることによって測定される。
【0053】
本発明の吸収性樹脂粒子は、微粒子の含有量が少ない方がよく、全粒子に占める106μm以下の微粒子の含有量が3重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは全粒子に占める150μm以下の微粒子の含有量が3重量%以下である。
【0054】
微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
【0055】
本発明の吸収性樹脂粒子の形状については特に限定はなく、通常の形状{たとえば、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状}等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0056】
本発明の吸収性樹脂粒子は必要に応じて表面架橋を行うことができる。表面架橋を行うための架橋剤(表面架橋剤)としては、内部架橋剤(b)と同じもの等が使用できる。表面架橋剤としては、吸収性樹脂粒子の吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)の水溶性置換基{カルボキシ基、スルホ基又はカルバモイル基等}及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)の加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル、特に好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテル及びグリセリンジグリシジルエーテル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0057】
表面架橋する場合、表面架橋剤の含有量(重量%)は、(a1)、(b)、必要により使用する(a2)及び(a3)の重量に基づいて、0.001〜7が好ましく、さらに好ましくは0.002〜5、特に好ましくは0.003〜4である。この範囲であると、さらに吸収性能が良好となる。表面架橋は表面架橋剤を含む水溶液を吸収性粒子に噴霧又は含浸させた後、加熱処理(100〜200℃)する方法等により達成できる。
【0058】
表面架橋工程で(B)を混合する場合、吸収性樹脂粒子に対し表面架橋剤と共に(B)を添加し、加熱処理することにより好ましく混合できる。
【0059】
本発明の吸収性樹脂粒子には、必要により任意の段階{重合工程、細断工程、乾燥工程、粉砕工程、表面架橋工程及び/又はこれらの工程の前後等}において、添加剤{防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、有機質繊維状物及びこれらの混合物等}を添加することができる。
【0060】
これらの添加剤を含有する場合、添加剤の含有量(重量%)は用途によって異なるが、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、10−6〜20が好ましく、さらに好ましくは10−5〜10、特に好ましくは10−4〜5である。この範囲であると、吸収性樹脂粒子の吸収性能を低下させることなく、添加剤の作用効果を付与することができる。
【0061】
本発明の吸収性樹脂粒子は粉体流動性が良好なため、吸収体製造時での粉体の扱いが容易となる。
吸収体に吸収性樹脂粒子を適用する方法としては、通常の方法が適用でき、たとえば、(1)繊維状物の層の間に吸収性樹脂粒子を散粒する方法;(2)繊維状物と吸収性樹脂粒子とを混合する方法;(3)二枚以上の吸水紙や不織布で、必要により繊維状物と共に吸収性樹脂粒子をサンドイッチする等の方法等が挙げられる。
【0062】
本発明の吸収性樹脂粒子を吸収体に適用する場合、本発明の吸収性樹脂粒子の含有量(重量%)は、吸収体の種類やサイズ、目標とする吸収性能に応じて種々変化させることができるが、吸収性樹脂粒子及び繊維状物の重量に基づいて、30〜95が好ましく、さらに好ましくは40〜94、特に好ましくは50〜93である。この範囲であると、得られる吸収体の吸収性能がさらに良好となる。
【0063】
吸収性物品としては、吸収体、液体透過性シート、通気性バックシートを備える吸収性物品が好ましく、さらに好ましくは衛生用品としての吸収性物品である。
衛生用品としては、紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ等)、ナプキン(生理用ナプキン等)、紙タオル、パッド(失禁者用パッド及び手術用アンダーパッド等)及びペットシート(ペット尿吸収シート)等が挙げられる。これらの衛生物品のうち、紙おむつにより適している。
【実施例】
【0064】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、中和均一度は前述した方法により測定した。
粉体流動性の評価はパウダーレオメータFT4(シスメックス株式会社製)を用いて測定(Blade:48.0mm Blade、Vessel:50×160ml split vessel、tip speed:100mm/s)し、得られたトータルエネルギー(mJ)の値を指標とした。
【0065】
また、機器の汚染性の評価は、下記ろ紙の重さの増分(g)を指標とした。
<ろ紙の重さの増分の測定方法>
吸収性樹脂粒子10gを円形定性ろ紙#101(ADVANTEC社製。直径 24.0cm)の上に均一に散布する。温度25℃、湿度30%の条件下、散布した後10分静置する。その後、吸収性樹脂粒子を取り除き、ろ紙の重量を測定する。散布前のろ紙の重量をあらかじめ測定しておき、ろ紙の重さの増分を求めた。
【0066】
<製造例1>
アクリル酸135g(1.88モル)、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.44g(0.0017モル)及び脱イオン水363gを攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、過酸化水素1重量%水溶液0.5g、アスコルビン酸2重量%水溶液1g及び2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド2重量%水溶液0.3gを添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が80℃に達した後、80±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。
【0067】
<製造例2>結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの合成
<サレン錯体(Y)の合成>
窒素雰囲気下、1,2−ジアミノベンゼン10.8g(100ミリモル)、3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド50g(213ミリモル)及びエタノール400mLを、還流管を備えた1Lナスフラスコに入れた。攪拌しながら還流を4時間行い、還流後室温にて24時間放置し、その後濾過により得られた黄色固体を、50mLのエタノールで3回洗浄した。得られた固体を24時間真空乾燥し、黄色結晶の中間体(X1−1)を41g得た(75ミリモル、収率75重量%)。なお、同定は、H−NMR、C−NMRにより行った。
【0068】
窒素雰囲気下、中間体(X1−1)40g(73ミリモル)、酢酸コバルト4水和物13.1g(52ミリモル)及びエタノール500mLを、還流管を備えた1Lナスフラスコに入れた。攪拌しながら還流を2時間行った後、室温まで冷却し、析出した固体を減圧濾過し、50mLのメタノールで3回洗浄した。ジクロロメタン40mLに固体を溶解させ、得られた溶液にさらにヘキサン500mLを加えた後、0℃に冷却し、24時間放置した。析出した固体を減圧濾過し、20mlのヘキサンで3回洗浄して、エンジ色結晶の中間体(X1−2)を29g(48.4ミリモル、収率93重量%)得た。同定は、質量分析法(以下、MSと略記する。)で行った。
【0069】
中間体(X1−2)27.2g(45.1ミリモル)、酢酸2.58mL(45.1ミリモル)及びジクロロメタン200mLを500mLビーカーに入れ、空気下で4時間攪拌した。ロータリーエバポレーターで溶剤を除去後、100mLのペンタンに懸濁させて減圧濾過し、20mlのペンタンで3回洗浄して、赤褐色のサレン錯体(Y)を29g(45.7ミリモル、収率97重量%)得た。同定は、MSで行った。
【0070】
<結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの合成>
窒素雰囲気下、サレン錯体(Y)2.3g(3.47ミリモル)、酢酸0.4g(0.67ミリモル)、プロピレンオキサイド342g(5.91モル)及びトルエン300mLを1Lナスフラスコに入れ、0℃で6時間攪拌した。反応後に0.1Nの塩酸を250mL加えると沈殿が生成した。これにジクロロメタンを200mL加えて溶解させて分液を行った後、有機層から溶剤をロータリーエバポレーターで留去した。析出した固体を40℃のアセトン200mLに溶解し、0℃で24時間冷却した。減圧濾過により得られた白色固体に0.1Nの水酸化カリウム−メタノール溶液を500mL入れ、80℃で2時間攪拌した。その後0.1Nの塩酸で中和し、トルエン500mLと水1Lを加え、分液を3回行った。有機層から溶剤をロータリーエバポレーターで除去することで結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−1)を336g得た。アイソタクティシティーは99%、数平均分子量(以下、Mnと略す)は221,000、収率は98重量%であった。
【0071】
<製造例3>
製造例2の<結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの合成>において、プロピレンオキサイド342gをフェニルグリシジルエーテル342g(2.27ミリモル)に変更した以外は製造例2と同様にして、結晶性ポリアルキレンオキサイドジオール(B−2)を305g得た。アイソタクティシティーは99%、Mnは144,500、収率は89重量%であった。
【0072】
<製造例4>
製造例2の<結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの合成>において、酢酸0.4gを酢酸0.2g(0.33ミリモル)に変更した以外は製造例2と同様にして、結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−3)を336g得た。アイソタクティシティーは98%、Mnは301,500、収率は98重量%であった。
【0073】
<製造例5>
製造例2の<結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの合成>において、酢酸0.4gを酢酸62.4g(1041ミリモル)に変更した以外は製造例2と同様にして、結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−4)を333g得た。アイソタクティシティーは98%、Mnは2,800、収率は97重量%であった。
【0074】
<製造例6>
窒素雰囲気下、ジペンタエリスリトール0.4g(1.6ミリモル)、(S)−(−)プロピレンオキサイド342g(5.91モル)及び水酸化ナトリウム0.04g(1.0ミリモル)を1Lナスフラスコに入れ、0℃で6時間攪拌することで、結晶性ポリプロピレンオキサイドヘキサオール(B−5)を342g得た。アイソタクティシティーは100%、Mnは144,500、収率は100重量%であった。
【0075】
<製造例7>
窒素雰囲気下、メタノール0.04g(1.3ミリモル)、(S)−(−)プロピレンオキサイド342g(5.91モル)及び水酸化ナトリウム0.04g(1.0ミリモル)を1Lナスフラスコに入れ、0℃で6時間攪拌することで、結晶性ポリプロピレンオキサイドモノオール(B−6)を342g得た。アイソタクティシティーは100%、Mnは178,500、収率は100重量%であった。
【0076】
<製造例8>
窒素雰囲気下、サレン錯体(Y)2.3g(3.47ミリモル)、酢酸0.4g(0.67ミリモル)、プロピレンオキサイド342g(5.91モル)及びトルエン300mLを1Lナスフラスコに入れ0℃で6時間攪拌し、続いてエチレンオキサイド0.14g(3.2ミリモル)を入れさらに3時間攪拌した。反応後に0.1Nの塩酸を250mL加えると沈殿が生成した。これにジクロロメタンを200mL加えて溶解させて分液を行った後、有機層から溶剤をロータリーエバポレーターで留去した。析出した固体を40℃のアセトン200mLに溶解し、0℃で24時間冷却した。減圧濾過により得られた白色固体に0.1Nの水酸化カリウム−メタノール溶液を500mL入れ、80℃で2時間攪拌した。その後0.1Nの塩酸で中和し、トルエン500mLと水1Lを加え、分液を3回行った。有機層から溶剤をロータリーエバポレーターで除去することで結晶性ポリプロピレンオキサイドジオールのエチレンオキサイド付加物(B−7)を336g得た。アイソタクティシティーは98%、数平均分子量(以下、Mnと略す)は223,000、収率は98重量%であった。
【0077】
<実施例1>
製造例1で得られた含水ゲル(1)500gに対し製造例2で得られた結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−1)1.4gを加えミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断し、さらに30重量%水酸化ナトリウム水溶液180gを添加して中和し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機{140℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、架橋重合体粒子{乾燥粒子}を得た。ついで、架橋重合体粒子{乾燥粒子}100gを高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤{エチレングリコールジグリシジルエーテルを濃度3重量%で含有する水/メタノール混合溶液(水/メタノール重量比=70/30)}5gを添加し、均一混合した後、150℃で30分間静置して、吸収性樹脂粒子(1)を得た。
【0078】
<実施例2>
実施例1において、製造例2で得られた結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−1)1.4gを製造例3で得られた結晶性ポリアルキレンオキサイドジオール(B−2)に変更した以外は実施例1と同様にして、吸収性樹脂粒子(2)を得た。
【0079】
<実施例3>
実施例1において、製造例2で得られた結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−1)1.4gを製造例4で得られた結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−3)1.4gに変更した以外は実施例1と同様にして、吸収性樹脂粒子(3)を得た。
【0080】
<実施例4>
実施例1において、製造例2で得られた結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−1)1.4gを製造例5で得られた結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−4)1.4gに変更した以外は実施例1と同様にして、吸収性樹脂粒子(4)を得た。
【0081】
<実施例5>
実施例1において、製造例2で得られた結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−1)1.4gを製造例6で得られた結晶性ポリプロピレンオキサイドヘキサオール(B−5)1.4gに変更した以外は実施例1と同様にして、吸収性樹脂粒子(5)を得た。
【0082】
<実施例6>
実施例1において、結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−1)1.4gを0.014gに変更した以外は実施例1と同様にして、吸収性樹脂粒子(6)を得た。
【0083】
<実施例7>
実施例1において、結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−1)1.4gを7.0gに変更した以外は実施例1と同様にして、吸収性樹脂粒子(7)を得た。
【0084】
<実施例8>
実施例1において、製造例2で得られた結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−1)1.4gを製造例7で得られた結晶性ポリプロピレンオキサイドモノオール(B−6)1.4gに変更した以外は実施例1と同様にして、吸収性樹脂粒子(8)を得た。
【0085】
<実施例9>
実施例1において、製造例2で得られた結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−1)1.4gを製造例8で得られた結晶性ポリプロピレンオキサイドジオールのエチレンオキサイド付加物(B−7)1.4gに変更した以外は実施例1と同様にして、吸収性樹脂粒子(9)を得た。
【0086】
<実施例10>
実施例1において、製造例1で得られた含水ゲル(1)500gをミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断し、さらに30重量%水酸化ナトリウム水溶液180gを添加して中和し、細断ゲルを得た。さらに細断ゲルを通気型バンド乾燥機{140℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、架橋重合体粒子{乾燥粒子}を得た。ついで、架橋重合体粒子{乾燥粒子}100gを高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤{エチレングリコールジグリシジルエーテルを濃度3重量%で含有する水/メタノール混合溶液(水/メタノール重量比=70/30)}5gと、結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−1)1.4gとを添加し、均一混合した後、150℃で30分間静置して、吸収性樹脂粒子架橋重合体粒子(10)を得た。
【0087】
<比較例1>
実施例1において、結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−1)1.4gを加えなかった以外は実施例1と同様にして、比較の吸収性樹脂粒子(R1)を得た。
【0088】
<比較例2>
実施例1において、結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−1)1.4gをポリプロピレンオキサイドジオール(ニューポールPP3000、Mn:3000、三洋化成工業製、アイソタクティシティー25%)1.4gに変更した以外は実施例1と同様にして、比較の吸収性樹脂粒子(R2)を得た。
【0089】
<比較例3>
実施例1において、結晶性ポリプロピレンオキサイドジオール(B−1)1.4gをポリエチレンオキサイドジオール(PEG−10000、Mn:10000、三洋化成工業製)1.4gに変更した以外は実施例1と同様にして、比較の吸収性樹脂粒子(R3)を得た。
【0090】
実施例1〜10及び比較例1〜3で得た吸収性樹脂粒子について、中和均一度、粉体流動性及び機器の汚染性を表1に示した。
【0091】
【表1】

【0092】
実施例1〜10で得られた本発明の吸収性樹脂粒子は、比較例1〜3で得られた比較の吸収性樹脂粒子に比べて、粉体流動性に極めて優れている。また、機器への汚染性が同等以上である。また、実施例1〜9においては、中和均一度も大きな値となっている。
一方、比較例1は、実施例と比較して、中和均一度及び粉体流動性が劣っている。比較例2は、実施例と比較して、粉体流動性及び機器への汚染性が劣っている。比較例3は、実施例と比較して、粉体流動性が劣っている。
すなわち、本発明の吸収性樹脂粒子のみが、粉体流動性及び機器への汚染性の両方において十分な結果が得られている。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の吸収性樹脂粒子は、吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体に適用でき、この吸収体を備えてなる吸収性物品{紙おむつ、生理用ナプキン及び医療用保血剤等}に有用である。また、ペット尿吸収剤、携帯トイレ用尿ゲル化剤、青果物用鮮度保持剤、肉類・魚介類用ドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物・土壌用保水剤、結露防止剤、止水剤、パッキング剤及び人工雪等の種々の用途にも使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル(塩)基又はスルホ(塩)基を有するビニルモノマー(a1)及び内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、アルキレン基の炭素数が3〜9である結晶性ポリオキシアルキレンモノ又はポリオール(B)とを含んでなる吸収性樹脂粒子。
【請求項2】
下記測定方法により求められる中和均一度が、95〜100%である請求項1に記載の吸収性樹脂粒子。
中和均一度の測定法:吸収性樹脂粒子10gをろ紙上に均一に散布する。そこにメチルレッド/エタノール溶液(0.1g/100ml)5mlを霧吹きで均一に散布する。散布してから1分後に、5cm四方の面積あたり赤色に変色した部分の面積の比率を求める。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸収性樹脂粒子と繊維とを含有してなる吸収体。
【請求項4】
請求項3に記載の吸収体を配してなる吸収性物品。
【請求項5】
水の存在下で、カルボキシル(塩)基又はスルホ(塩)基を有するビニルモノマー(a1)及び内部架橋剤(b)を重合し、(a1)のアルカリによる中和率を0〜20%とする重合工程と、重合工程で得られた重合体とアルキレン基の炭素数が3〜9である結晶性ポリオキシアルキレンモノ又はポリオール(B)とを混合する混合工程と、混合工程で得られた混合体を中和する中和工程とを含む請求項1に記載の吸収性樹脂粒子の製造方法。

【公開番号】特開2011−32422(P2011−32422A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182084(P2009−182084)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(301023009)サンダイヤポリマー株式会社 (57)
【Fターム(参考)】